説明

加工面評価装置、加工面評価方法及びプログラム

【課題】短時間に加工面の評価を行うことができる加工面評価装置等を提供する。
【解決手段】制御部3は、入力部13から面法線ベクトル21を含む加工形状データ27を入力し(S11)、工具の形状や加工パラメータを設定する(S12)。次に、画像演算部5は、カスプデータ26を算出し、算出結果をカスプデータベース20に記憶する(S13)。次に、制御部3は、加工形状データ27、工具の形状や加工パラメータに基づいて、カスプデータベース20を検索してカスプデータ26を取得する(S14)。次に、画像演算部5は、カスプデータ26をテクスチャデータに変換し(S15)、テクスチャデータを加工形状データ27の加工面にマッピングして、全面カスプを生成し(S16)、全面カスプ画像を表示部7に表示する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実加工前に、加工面の加工残り量(カスプ量)を評価する加工面評価装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金型などの自由曲面を機械加工によって製作する場合、主に回転工具による切削加工が行われる。一般に、切削加工による金型の仕上り面には、図9に示すように、工具の進行方向に平行な筋状の加工残り(以下、「カスプ」と言う。)が生じる。製品の品質を上げるためには、加工残り量(以下、「カスプ量」と言う。)を抑える必要がある。
【0003】
加工残り量は、工具経路を生成するための加工パラメータ(工具のピックフィード量など)を適切な値に調整することによって、低く抑えることが可能となる。一般的には、加工パラメータは、CAM(Computer Aieded Manufacturing:コンピュータ支援製造)で設定する。ここで、CAMとは、CAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)によって作成される形状データを入力データとして、加工用のNC(Numerical Control:数値制御)プログラムを作成するためのコンピュータシステムを意味する。
【0004】
しかし、加工面の形状が複雑な加工品に対しては、局部的に、許容加工残り量(以下、「許容カスプ量」と言う。)を満たさない場合がある。その為、現在、実加工前に(工具によって実際の素材を切削する前に)、NCシミュレーション装置によって加工面を評価し、加工パラメータを調整することが行われている。
NCシミュレータ(コンピュータをNCシミュレーション装置として機能させる為のソフトウェア)としては、例えば、非特許文献1に記載のものが市販されている。
また、本発明者も、干渉計算の負荷が少なく、高精度に計算を行うことができる加工シミュレーション装置等を発明している(特許文献1参照)。
【0005】
非特許文献1に記載のNCシミュレータがインストールされるコンピュータも、特許文献1に記載の加工シミュレーション装置も、共に、工具経路データを入力として幾何演算を行い、加工後の形状を模擬するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2009−240222号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】藤井康博、「生産現場の問題を解消するシミュレーションソフト VERICUT7.0」、ツールエンジニア、株式会社大河出版、2009年11月号、p34−37.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術(非特許文献1や特許文献1を含む。)において加工面を評価する為には、図10に示すように、「工具経路の生成」(S33)及び「加工シミュレーション」(S34)の2つの幾何演算を実行するステップが必要となる。
幾何演算処理は、計算負荷が非常に高く、ハードウエアの性能が向上している現在であっても、多大な時間を要する。そうすると、作業者にとっては、CAMにおいて加工パラメータを設定してから加工面の評価を行うまでの待ち時間が長くなり、短時間に加工面の評価を行うことができなかった。ひいては、加工データ作成の作業全体の時間が長くなるとともに、作業者の思考が途切れることによって加工データ作成に必要なアイデアの創案に悪影響が生じていた。
【0009】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、短時間に加工面の評価を行うことができる加工面評価装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースと、前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、を具備することを特徴とする加工面評価装置である。
第1の発明によって、短時間に加工面の評価を行うことができる。第1の発明では、幾何演算によって素材(ワーク)形状の加工を模擬することなく、カスプ量を直接算出することができる。これによって、短時間に加工面の評価を行うことができ、ひいては作業者の待ち時間が短縮され、所望の加工面(許容カスプ量未満となる面)が製作される適切な加工パラメータを短時間に設定することが可能となる。
【0011】
第1の発明は、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出し、前記カスプデータベースに記憶させる蓄積手段、を更に具備することが望ましい。
これによって、予め様々なパラメータに基づいてカスプデータを算出し、カスプデータベースに記憶することができる。この場合、実際に加工面を評価するときは、カスプデータの算出処理を行わずに、カスプデータベースからカスプデータを取得すれば良いので、高速に加工面を評価することができる。
【0012】
第1の発明における前記蓄積手段は、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状を画素によって定義し、前記加工面投影形状に属する画素から、前記第1の工具投影形状と前記第2の工具投影形状とが交わる画素までの画素数を計数し、前記カスプデータとして算出することが望ましい。
これによって、グラフィック演算によってカスプデータを算出することができる。そして、第1の発明の加工面評価装置が、高速な画像処理を実行できる画像演算部を具備するコンピュータであれば、高速にカスプデータを算出することができる。
【0013】
第2の発明は、加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出手段と、前記算出手段によって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、を具備することを特徴とする加工面評価装置である。
第2の発明によって、短時間に加工面の評価を行うことができる。第2の発明では、幾何演算によって素材(ワーク)形状の加工を模擬することなく、カスプ量を直接算出することができる。これによって、短時間に加工面の評価を行うことができ、ひいては作業者の待ち時間が短縮され、所望の加工面(許容カスプ量未満となる面)が製作される適切な加工パラメータを短時間に設定することが可能となる。そして、第2の発明の加工面評価装置が、高速な画像処理を実行できる画像演算部を具備するコンピュータであれば、画像演算部が、カスプデータの算出処理から全面カスプ画像の表示処理までを一貫して行うことによって、処理を高速に実行することができる。
【0014】
第3の発明は、加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースを具備するコンピュータが実行する加工面評価方法であって、前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力ステップと、前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定ステップと、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得ステップと、前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換ステップと、前記変換ステップによって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示ステップと、を含むことを特徴とする加工面評価方法である。
【0015】
第4の発明は、コンピュータが実行する加工面評価方法であって、加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力ステップと、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定ステップと、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出ステップと、前記算出ステップによって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換ステップと、前記変換ステップによって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示ステップと、を含むことを特徴とする加工面評価方法である。
【0016】
第5の発明は、コンピュータを、加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースと、前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、を具備する加工面評価装置として機能させるためのプログラムである。
【0017】
第6の発明は、コンピュータを、加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出手段と、前記算出手段によって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、を具備する加工面評価装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、短時間に加工面の評価を行うことができる加工面評価装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】加工面評価装置1を実現するコンピュータのハードウエア構成図
【図2】カスプデータベース20のデータ構成を示す図
【図3】第1の実施の形態に係る加工面評価装置1の処理の詳細を示すフローチャート
【図4】工具投影形状を説明する為の図
【図5】工具投影形状の配置を説明する為の図
【図6】グラフィック演算によるカスプデータの算出処理を説明するための図
【図7】表示結果の一例を示す模式図
【図8】第2の実施の形態に係る加工面評価装置1の処理の詳細を示すフローチャート
【図9】カスプを説明する為の図
【図10】従来技術における加工面評価処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の加工面評価装置等の実施形態について説明する。
最初に、図1を参照しながら、全ての実施形態に共通する構成について説明する。
【0021】
図1は、加工面評価装置1を実現するコンピュータのハードウエア構成図である。尚、図1に示すコンピュータのハードウエア構成は一例であり、用途に応じて様々な構成を採ることが可能である。
【0022】
加工面評価装置1を実現するコンピュータは、制御部3、画像演算部5、表示部7、記憶部9、通信部11、入力部13、出力部15等を具備し、これらがバス17によって接続される構成となっている。
【0023】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなり、記憶部9やROM等に記憶されたデータやプログラム等をRAMに読み出して、各種の演算および制御を行う。これにより、後述の加工面評価装置1が行う処理を実現する。
【0024】
画像演算部5は、GPU(Graphics Processing Unit)、VRAM(Video RAM)等からなり、制御部3からの指示に従って、画像処理を実行する。
本発明は、幾何演算を極力行わず、グラフィック演算によって加工面の評価を高速に行うことから、加工面評価装置1は、画像処理を高速に実行することができる画像演算部5を具備するコンピュータであることが望ましい。但し、画像演算部5を具備しないコンピュータであっても本発明を適用することができ、従来技術と比較して、加工面の評価を高速に行うことができる。画像演算部5を具備しないコンピュータの場合、後述する画像演算部5の処理は、制御部3が実行する。
【0025】
表示部7は、液晶パネル、CRTモニタなどのディスプレイ装置であり、後述する加工面評価装置1が行う処理に係る画面を表示する。
【0026】
記憶部9は、ハードディスク等からなり、後述の加工面評価装置1が行う処理に係る各種のデータやプログラムを読み出し可能に記憶する。また、記憶部9は、加工面評価装置1とネットワーク19を介して接続する構成としても良い。
【0027】
通信部11は、通信制御装置、通信ポート等を有する。通信部11は、ネットワーク19に接続し、各種情報の送受信を行う。ただし、加工面評価装置1は、ネットワーク19等と接続せず、スタンドアローンとなる構成でもよい。
【0028】
入力部13は、例えばキーボードやマウス、ドライブ装置やスキャナなどであり、加工面評価装置1へデータ入力を行うための周辺装置である。入力部13は、加工面評価装置1と各装置を接続し、データ入力を行うためのインタフェースを備える。
【0029】
出力部15は、例えばプリンタやドライブ装置など、加工面評価装置1からデータ出力を行うための周辺装置である。出力部15は、加工面評価装置1と各装置を接続し、データ出力を行うためのインタフェースを備える。
【0030】
バス17は、各装置間の制御信号やデータ信号等の授受を媒介する経路である。
【0031】
<第1の実施の形態>
以下、図2〜図7を参照しながら、第1の実施の形態について説明する。
図2は、カスプデータベース20のデータ構成を示す図である。カスプデータベース20は、加工面における加工残りの高さをカスプデータ26として蓄積する。カスプデータベース20の記憶領域は、例えば、記憶部9に定義される。
【0032】
カスプデータベース20のデータ構成は、面法線ベクトル21、工具形状データ22、進行方向ベクトル23、ピックフィード方向ベクトル24、ピックフィード量25、カスプデータ26等である。面法線ベクトル21〜ピックフィード量25は、カスプデータ26を一意に特定するパラメータである。
【0033】
面法線ベクトル21は、加工面の法線方向を表す。加工面が、所定の単位面積を有する矩形の集合によって表現される場合、面法線ベクトル21は、この各矩形の法線ベクトルである。
【0034】
工具形状データ22は、工具の形状を示す。工具には、様々な種類があり、例えば、エンドミル工具であれば、ボールエンドミル、ブルノーズエンドミル、フラットエンドミル等がある。また、同じ種類であっても、形状や大きさは様々である。工具形状データ22は、これらの様々な工具の形状を定義するデータである。尚、カスプデータベース20には、工具の形状を一意に特定する工具IDを記憶し、工具の形状を定義するデータ自体は、他のデータベースに記憶させるようにしても良い。
【0035】
進行方向ベクトル23は、工具の進行方向を表す。ピックフィード方向ベクトル24は、工具のピックフィード方向を表す。ピックフィード量25は、ピックフィードを行うときの移動距離である。進行方向ベクトル23とピックフィード方向ベクトル24は、互いに直交する。
進行方向ベクトル23、ピックフィード方向ベクトル24及びピックフィード量25は、工具経路を定義するパラメータである。
【0036】
第1の実施の形態では、加工面評価装置1は、予め面法線ベクトル21〜ピックフィード量25の様々な値についてカスプデータ26を算出し、カスプデータベース20に蓄積しておく。そして、加工面評価装置1は、カスプデータベース20を参照することによって、表示部7にカスプに関する情報を表示する処理を実行する。
【0037】
以下、図3を参照しながら、加工面評価装置1の処理を説明し、必要に応じて他の図面を参照することにする。
図3は、第1の実施の形態に係る加工面評価装置1の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0038】
加工面評価装置1の制御部3は、面法線ベクトル21を含む加工形状データ27を入力する(S11)。加工形状データ27には、所望の仕上がり形状が定義されている。
【0039】
次に、制御部3は、工具の形状や加工パラメータを設定し、表示部7に表示する(S12)。作業者は、必要に応じて、入力部13を介して、表示部7に表示されている工具の形状や加工パラメータを変更しても良い。
設定される工具の形状が、工具形状データ22として設定される。また、設定される加工パラメータは、少なくとも、進行方向ベクトル23、ピックフィード方向ベクトル24及びピックフィード量25を含む。
【0040】
本発明の実施の形態では、工具経路の生成を行わず、カスプを評価するものである。従って、工具の切り込み深さなどの加工パラメータは、設定不要である。
尚、このような前提は、加工面を評価するだけであれば、何ら制約となるものではない。
【0041】
次に、制御部3は、画像演算部5にカスプデータ26の算出処理を実行させ、算出結果をカスプデータベース20に記憶させる(S13)。
具体的には、画像演算部5は、面法線ベクトル21が示す加工面を進行方向ベクトル23と直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、加工面投影形状を投影面に配置する。次に、画像演算部5は、工具形状データ22が示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を投影面に配置する。次に、画像演算部5は、ピックフィード方向ベクトル24が示す方向にピックフィード量25の間隔を設けて、第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を投影面に配置する。そして、画像演算部5は、加工面投影形状、第1の工具投影形状及び第2の工具投影形状に基づいてカスプデータ26を算出する。
画像演算部5は、上記の計算を加工面全体にわたり行い、算出結果をカスプデータベース20に記憶する。このとき、重複する面法線については、カスプデータの生成処理を省略する。
【0042】
図4は、工具投影形状を説明する為の図である。
図4に示す投影面31は、進行方向ベクトル23と直交する平面である。工具32は、工具形状データ22から得られる3次元形状の図形である。工具進行方向33は、進行方向ベクトル23が示す方向である。
工具投影形状34は、図4に示すように、工具32の輪郭形状を投影面31に平行投影した形状である。
【0043】
図5は、工具投影形状の配置を説明する為の図である。
図5に示す加工面35は、所望の仕上がり形状を示している。加工面35の表面形状は、例えば、面法線ベクトル21が示す方向を法線とする有限面積の閉じた平面(一般に、「ポリゴン」と呼ばれる。)の集合によって近似される。
工具投影形状34a及び工具投影形状34bは、投影面31内において、加工面35に接するように配置される。工具投影形状34aと工具投影形状34bは、ピックフィード方向37に沿ってピックフィード量36の間隔を設けて配置される。ピックフィード方向37は、ピックフィード方向ベクトル24が示す方向である。ピックフィード量36は、カスプデータベース20のデータ項目の1つであるピックフィード量25と同義である。
加工残り高さ38は、加工面35から、工具投影形状34a及び工具投影形状34bの交点までの距離である。本発明の実施の形態では、加工残り高さ38が、カスプデータ26として算出される。
【0044】
図6は、グラフィック演算によるカスプデータ26の算出処理を説明するための図である。図6では、紙面が投影面31に相当する。
尚、図6では、工具投影形状34a及び工具投影形状34bが、加工面投影形状39と直交していないが、当然ながら直交するように配置しても良い。
【0045】
グラフィック演算によるカスプデータ26の算出処理では、工具や加工面35の形状を画素の集合として表現する。
まず、画像演算部5は、加工面35を投影面31に投影し、加工面投影形状39に属する画素の集合を決定する。図6では、斜線部分が加工面投影形状39を示している。
次に、画像演算部5は、工具形状を投影面31に投影し、第1の工具投影形状34aに属する画素の集合を決定する。ここで、第1の工具投影形状34aに属する画素は、第1の工具投影形状34aと加工面投影形状39とが接するという条件を満たすように決定する。
次に、画像演算部5は、第1の工具投影形状34aに属する画素の集合を、ピックフィード方向37にピックフィード量36だけ平行移動し、第2の工具投影形状34bに属する画素の集合を決定する。
そして、画像演算部5は、加工面投影形状39に属する画素から、第1の工具投影形状34aと第2の工具投影形状34bとが交わる画素までの画素数を加工残り高さ38とする。加工残り高さ38は、カスプデータ26としてカスプデータベース20に記憶される。
【0046】
ここで、前述の説明では、第1の工具投影形状34aと第2の工具投影形状34bとが交わることを前提としているが、ピックフィード量36の値が大きすぎる場合、第1の工具投影形状34aと第2の工具投影形状34bとが交わらないことも考えられる。しかし、第1の工具投影形状34aと第2の工具投影形状34bとが交わらないようなピックフィード量36では、加工面35に許容カスプ量を超えるカスプが発生することは明らかである。そこで、加工面評価装置1の制御部3は、S12において、このような値の設定を制限すれば良い。例えば、制御部3は、工具の形状が円筒状である場合、断面の直径よりも大きい値をピックフィード量36として設定することを制限すれば良い。
画像演算部5がグラフィック演算によってカスプデータ26を算出する場合、処理が高速になるとともに、どのような工具形状に対しても同じアルゴリズムによって処理を実現することができる。
【0047】
また、前述の説明では、処理を高速化する為に、画像演算部5が実行可能なグラフィック演算によってカスプデータ26を算出する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。
例えば、加工面評価装置1の制御部3は、加工面投影形状39、第1の工具投影形状34a及び第2の工具投影形状34bを、方程式によって表現し、方程式同士の交点を求めることによって、カスプデータ26を算出しても良い。この場合、工具形状ごとに方程式が異なる為、複数のアルゴリズムが必要となる。
【0048】
図3の説明に戻る。
次に、制御部3は、S11において入力される加工形状データ27、及び、S12において設定される工具の形状や加工パラメータに基づいて、カスプデータベース20を検索してカスプデータ26を取得する(S14)。
制御部3は、加工面35を走査していき、面法線ベクトル21、工具形状データ22、進行方向ベクトル23、ピックフィード方向ベクトル24及びピックフィード量25のパラメータが異なるごとに、カスプデータベース20を検索してカスプデータ26を取得する。
【0049】
次に、制御部3は、S14において取得されるカスプデータ26を画像演算部5に渡し、画像処理を実行させる。画像演算部5は、カスプデータ26をテクスチャデータに変換する(S15)。
テクスチャは、カスプデータ26の違い、すなわち、加工残り高さ38の違いが表現できれば、どのようなものでも良く、例えば、色、模様、陰影などの要素を用いれば良い。
また、テクスチャは、カスプデータ26が示す形状をそのまま表現するようにしても良い。例えば、図6に示す例であれば、第1の工具投影形状34a、第2の工具投影形状34b及び加工面投影形状39によって囲まれる閉領域(3つの交点によって定まる領域)の形状をカスプデータ26とし、この形状をそのままテクスチャデータとしても良い。
【0050】
次に、画像演算部5は、S15において変換されるテクスチャデータを、加工形状データ27の加工面35にマッピングして、全面カスプ(加工面35全体にわたるカスプの分布)を生成し、カスプの分布を示すカスプ分布データ28をVRAMに記憶する(S16)。尚、カスプ分布データ28は、必要に応じて、記憶部9にも記憶して良い。
【0051】
次に、画像演算部5は、カスプ分布データ28に基づいて全面カスプ画像(加工面35全体にカスプデータ26が反映されたテクスチャが貼られた画像)を表示部7に表示する(S17)。
作業者は、S17の表示結果を参照し、カスプ量が許容できるかどうか判断する(S18)。許容できない場合(S18の「不足」)、作業者は、S12において工具の形状や加工パラメータを再設定し、加工面評価装置1に対してS13以降の処理を実行させる。許容できる場合(S18の「満足」)、処理を終了する。
また、S18における許容判定は、作業者ではなく、加工面評価装置1が自動的に実行しても良い。例えば、S12において、作業者が、入力部13を介して許容カスプ量を設定し、S18において、加工面評価装置1の制御部3が、許容カスプ量を超えるカスプが存在するかどうかを判定すれば良い。
【0052】
図7は、表示結果の一例を示す模式図である。
図7に示すように、加工面評価装置1の画像演算部5は、加工面35に全面カスプ40をマッピングして表示部7に表示する。
図7に示す例では、特許図面の制約の為(カラー画像は不可。グレースケール画像はjpeg形式のみであり文字の画質が劣化する。)、白と黒のみのテクスチャによって加工残り高さ38を表現している。具体的には、ドットの密度によって加工残り高さ38を表現している。ドットの密度が高い部分が、加工残り高さ38が高い部分、すなわち、カスプが多い部分である。
【0053】
第1の実施の形態に係る加工面評価装置1によれば、幾何演算によって素材(ワーク)形状の加工を模擬することなく、カスプ量を直接算出することができる。これによって、短時間に加工面の評価を行うことができ、ひいては作業者の待ち時間が短縮され、所望の加工面(許容カスプ量未満となる面)が製作される適切な加工パラメータを短時間に設定することが可能となる。
また、画像演算部5が、グラフィック演算によってカスプデータ26を算出し、テクスチャ変換によって算出結果を表示することによって、処理を高速化することができるとともに、精度良く加工面を評価することができる。仮に、幾何演算によって本発明に近い精度を実現しようとすると、実用的な時間内に計算を終了させることができない。
【0054】
また、第1の実施の形態に係る加工面評価装置1は、予め様々なパラメータに基づいてカスプデータ26を算出し、カスプデータベース20に記憶することもできる。この場合、実際に加工面を評価するときは、カスプデータ26の算出処理を行わずに、カスプデータベース20からカスプデータ26を取得すれば良いので、高速に加工面を評価することができる。
【0055】
<第2の実施の形態>
以下、図8を参照しながら、第2の実施の形態について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る加工面評価装置1の処理の詳細を示すフローチャートである。
第1の実施の形態と比較すると、第2の実施の形態では、カスプデータベース20を必要としないことが異なる。以下では、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
加工面評価装置1の制御部3は、入力部13から面法線ベクトル21を含む加工形状データ27を入力する(S21)。
次に、制御部3は、工具の形状や加工パラメータを設定する(S22)。
【0057】
次に、制御部3は、画像演算部5に画像処理を実行させる。まず、画像演算部5は、S21において入力される加工形状データ27と、S22において設定される工具の形状や加工パラメータに基づいて、第1の実施の形態と同様にカスプデータ26を算出する(S23)。画像演算部5は、例えば、算出結果をVRAMに記憶する。
【0058】
次に、画像演算部5は、第1の実施の形態と同様にカスプデータ26をテクスチャデータに変換する(S24)。
次に、画像演算部5は、S24において変換されるテクスチャデータを、加工形状データ27の加工面35にマッピングして、全面カスプ40を生成し、カスプの分布を示すカスプ分布データ28をVRAMに記憶する(S25)。
次に、画像演算部5は、カスプ分布データ28に基づいて全面カスプ画像を表示部7に表示する(S26)。
作業者は、S26の表示結果を参照し、カスプ量が許容できるかどうか判断する(S27)。許容できない場合(S27の「不足」)、作業者は、S22において工具の形状や加工パラメータを再設定し、加工面評価装置1に対してS23以降の処理を実行させる。許容できる場合(S27の「満足」)、処理を終了する。
【0059】
第2の実施の形態に係る加工面評価装置1によれば、幾何演算によって素材(ワーク)形状の加工を模擬することなく、カスプ量を直接算出することができる。これによって、短時間に加工面の評価を行うことができ、ひいては作業者の待ち時間が短縮され、所望の加工面(許容カスプ量未満となる面)が製作される適切な加工パラメータを短時間に設定することが可能となる。
また、画像演算部5が、グラフィック演算によってカスプデータ26を算出し、テクスチャ変換によって算出結果を表示することによって、処理を高速化することができる。
【0060】
第1の実施の形態では、カスプデータの生成が集約されるために処理が特に高速である。また、第2の実施の形態では、記述データを節約して高速処理が可能である。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る加工面評価装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0062】
1………加工面評価装置
3………制御部
5………画像演算部
7………表示部
9………記憶部
11………通信部
13………入力部
15………出力部
17………バス
19………ネットワーク
20………カスプデータベース
21………面法線ベクトル
22………工具形状データ
23………進行方向ベクトル
24………ピックフィード方向ベクトル
25………ピックフィード量
26………カスプデータ
27………加工形状データ
28………カスプ分布データ
31………投影面
32………工具
33………工具進行方向
34………工具投影形状
35………加工面
36………ピックフィード量
37………ピックフィード方向
38………加工残り高さ
39………加工面投影形状
40………全面カスプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースと、
前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、
前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする加工面評価装置。
【請求項2】
前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出し、前記カスプデータベースに記憶させる蓄積手段、
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の加工面評価装置。
【請求項3】
前記蓄積手段は、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状を画素によって定義し、前記加工面投影形状に属する画素から、前記第1の工具投影形状と前記第2の工具投影形状とが交わる画素までの画素数を計数し、前記カスプデータとして算出することを特徴とする請求項2に記載の加工面評価装置。
【請求項4】
加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、
工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする加工面評価装置。
【請求項5】
加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースを具備するコンピュータが実行する加工面評価方法であって、
前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力ステップと、
前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定ステップと、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得ステップと、
前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップによって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする加工面評価方法。
【請求項6】
コンピュータが実行する加工面評価方法であって、
加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力ステップと、
工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定ステップと、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出ステップと、
前記算出ステップによって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップによって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする加工面評価方法。
【請求項7】
コンピュータを、
加工面の法線方向を表す面法線ベクトル、工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量をパラメータとして、カスプデータを記憶するカスプデータベースと、
前記面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、
前記工具形状データ、前記進行方向ベクトル、前記ピックフィード方向ベクトル及び前記ピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記カスプデータベースを検索して前記カスプデータを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、
を具備する加工面評価装置として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
加工面の法線方向を表す面法線ベクトルを含む加工形状データを入力する入力手段と、
工具の形状を示す工具形状データ、工具の進行方向を表す進行方向ベクトル、工具のピックフィード方向を表すピックフィード方向ベクトル、及び、工具のピックフィード量を含む加工パラメータを設定する設定手段と、
前記加工形状データ及び前記加工パラメータに基づいて、前記面法線ベクトルが示す加工面を前記進行方向ベクトルと直交する投影面に投影することによって加工面投影形状を生成して、前記加工面投影形状を配置し、前記工具形状データが示す工具形状を前記投影面に投影することによって工具投影形状を生成して、第1の工具投影形状を配置し、前記ピックフィード方向ベクトルが示す方向に前記ピックフィード量の間隔を設けて、前記第1の工具投影形状と同じ形状を有する第2の工具投影形状を配置し、前記加工面投影形状、前記第1の工具投影形状及び前記第2の工具投影形状に基づいて前記カスプデータを算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出される前記カスプデータを、テクスチャデータに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換される前記テクスチャデータを、前記加工形状データの加工面にマッピングして表示する表示手段と、
を具備する加工面評価装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−84079(P2012−84079A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231847(P2010−231847)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】