説明

化学的硬化性一体型ウォームエッジスペーサー及びシール

組成物を硬化させるのに十分な量で塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤は、湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー10重量%〜65重量%、縮合触媒0.1重量%〜3重量%及び(C)物理的乾燥剤15重量%〜25重量%を含有する硬化性組成物へ添加される。IGユニットにおけるエッジシールとして使用される場合、この組成物の硬化生成物は、シーリング、接着、間隔空け及び乾燥の機能を果たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
断熱ガラスユニットで有用な「一体型」スペーサー及びシールは、シラン官能性エラストマー有機ポリマー(例えば、ケイ素硬化性ポリイソブチレン又はケイ素硬化性ブチルゴム)技術に基づく。この化学的架橋性(硬化性)可撓性熱硬化性スペーサー及びシールは、市販の熱可塑性スペーサー材料の現在の不足を克服するための解決策を提供する。熱硬化性材料は、硬化し、接着性を発現し、断熱ガラスユニットのガラスパネルを支持するための強度を示す。上記スペーサー及びシールは、エッジシールの4つの役割、即ち、シーリング、接着、間隔空け及び乾燥、ひいては「一体型」解決策を提供する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年7月3日に出願された米国仮出願第60/818,046号の利益を主張する。米国仮出願第60/818,046号は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
[連邦政府資金による研究及び開発に関する記述]
なし。
【背景技術】
【0004】
断熱ガラス(IG)ユニットは当該技術分野で既知である。典型的なIGユニットでは、窓ガラスは、スペーサーによって離れた固定距離で互いに平行に維持される。一次シーリング材は、窓ガラス間のバリアとして使用される。一次シーリング材は、水蒸気が窓ガラス間の空間(窓ガラス間スペース)へ移動するのを防ぐのに使用され得る。また、一次シーリング材はまた、アルゴンのような不活性ガスが窓ガラス間スペースから移動するのを防ぐのに使用され得る。二次シーリング材は、窓ガラスを互いに接着し且つスペーサーを接着するのに使用される。窓ガラス間スペースから湿分を除去するために、乾燥剤をスペーサーに添加してもよい。スペーサーは、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼)、プラスチック、プラスチックコーティングされた金属、発泡体(例えば、EPDM、シリコーン)又は他の適切な材料から形成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IGユニットを生産するより効率的な方法が求められている。一次シーリング材、二次シーリング材、スペーサー及び乾燥剤の役割、即ち、シーリング、接着、間隔空け及び乾燥のうちの2つ以上を担う単一シーリング材組成物が望ましい。好ましくは、これらの役割の全てを担う単一シーリング材組成物、ひいては「一体型」解決策が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
IG用途で有用な「一体型」シーリング材組成物が開示される。この組成物は、(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー、(B)縮合触媒、(C)乾燥剤及び(D)塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤を含む。
【0007】
本発明者等は、驚くべきことに、湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマーが乾燥剤及び水放出剤の両方の存在下で硬化され得ることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】IGユニットの部分断面図である。
【図2】IGユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、IG用途で有用な「一体型」シーリング材組成物に関する。上記組成物は、1部型組成物又は複数部型組成物であり得る。上記組成物は、(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー10重量部〜65重量部、(B)縮合触媒0.1重量部〜3重量部、(C)物理的乾燥剤15重量部〜25重量部、(D)塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤5重量部〜30重量部、(E)(C)成分及び(D)成分以外の充填剤0重量部〜30重量部、(F)非反応性エラストマー有機ポリマー0重量部〜30重量部、(G)架橋剤0重量部〜5重量部、(H)(G)成分以外の化学的乾燥剤0重量部〜5重量部、(I)(G)成分及び(H)成分以外の接着促進剤0重量部〜5重量部、(J)25℃で固体であり、且つワックスが所望の塗布温度範囲の下端で溶融するように選択される融点を有するマイクロクリスタリンワックス0重量部〜20重量部、(K)老化防止添加剤0重量部〜3重量部、並びに(L)粘着付与剤(tackifying agent)0重量部〜20重量部を含む。
【0010】
(A)成分 湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー
(A)成分は、湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマーである。本願の目的で、「エラストマーの」は、(A)成分により組成物に付与されるゴム状稠度を指し、(A)成分は、一般的に熱可塑性ポリマーと称される半結晶質ポリオレフィン及び非晶質ポリオレフィン(例えば、α−オレフィン)と識別される。
【0011】
(A)成分は、イソモノオレフィンとビニル芳香族モノマーとのシリル化共重合体、ジエンとビニル芳香族モノマーのシリル化共重合体、オレフィンとジエンとのシリル化共重合体(例えば、ポリイソブチレン及びイソプレンから調製された任意にハロゲンシリル化されたブチルゴム)、若しくはそれらの組合せ(シリル化共重合体)、イソモノオレフィンのシリル化単独重合体、ビニル芳香族モノマーのシリル化単独重合体、ジエンのシリル化単独重合体(例えば、シリル化ポリブタジエン又はシリル水素化ポリブタジエン)、若しくはそれらの組合せ(シリル化単独重合体)、又はシリル化共重合体とシリル化単独重合体との組合せを含み得る。本願のために、シリル化共重合体及びシリル化単独重合体は、集合的に「シリル化ポリマー」と呼ぶ。任意に、シリル化ポリマーは、1つ又は複数のハロゲン基、特に臭素基を含有してもよい。
【0012】
(A)成分は、式:
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Dは、二価有機基を表し、Xはそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、Rはそれぞれ独立して、一価炭化水素基を表し、下付きのeは、0、1、2又は3を表し、下付きのfは、0、1又は2を表し、下付きのgは、0〜18の範囲の値を有するが、但し、e+fの合計は少なくとも1である)
を有するシラン官能基を含むシリル化ポリマーであり得る。
【0015】
或いは、Dは、エチレン、プロピレン、ブチレン及びヘキシレンのような二価炭化水素基であってもよい。或いは、Xはそれぞれ、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アミド基(例えば、アセトアミド基、メチルアセトアミド基又はベンズアミド基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、アミノ基、アミノキシ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、オキシモ基及びケトキシモ基から成る群から選択され得る。或いは、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、及び炭素数7〜20のアラルキル基から選択され得る。或いは、下付きのgは0である。
【0016】
適切なモノイソオレフィンの例としては、イソブチレン、イソペンチレン、イソヘキシレン及びイソヘプチレンのようなイソアルキレンが挙げられるが、これらに限定されず、代替的にはイソブチレンである。適切なビニル芳香族モノマーの例としては、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン及びパラ−メチルスチレンのようなアルキルスチレンが挙げられるが、これらに限定されず、代替的にはパラ−メチルスチレンである。適切なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びt−ブチルが挙げられ、代替的にはメチルである。適切なアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル及びヘキセニルが挙げられ、代替的にはビニルである。(A)成分は、20000〜100000、或いは25000〜50000、或いは28000〜35000の範囲の平均分子量(Mn)を有し得る。(A)成分は、0.2%〜10%、或いは0.5%〜5%、或いは0.5%〜2.0%の範囲の量のシラン官能基を含有し得る。
【0017】
シリル化共重合体及びそれらの調製方法の適切な例は、当該技術分野で既知であり、欧州特許第0,320,259 B1号(Dow Corning)、独国特許第19,821,356 A1号(Metallgesellschaft)並びに米国特許第4,900,772号(Kaneka)、米国特許第4,904,732号(Kaneka)、米国特許第5,120,379号(Kaneka)、米国特許第5,262,502号(Kaneka)、米国特許第5,290,873号(Kaneka)、米国特許第5,580,925号(Kaneka)、米国特許第4,808,664号(Dow Corning)、米国特許第6,380,316号(Dow Corning/ExxonMobil)及び欧州特許第6,177,519号 (Dow Corning/ExxonMobil)で開示されるシリル化共重合体により例示される。米国特許第6,380,316号及び米国特許第6,177,519号は、参照により本明細書に援用される。簡潔に述べると、米国特許第6,177,519号のシリル化共重合体を調製する方法は、i)炭素数4〜7を有するイソモノオレフィン少なくとも50モル%とビニル芳香族モノマーとを有するオレフィン共重合体、ii)少なくとも2つの加水分解性有機基と少なくとも1つのオレフィン不飽和炭化水素基又はヒドロカルボノキシ基とを有するシラン、及びiii)フリーラジカル生成剤を接触させることを包含する。
【0018】
或いは、シリル化共重合体は、既知の方法(例えば、イソシアネート官能性アルコキシシランとの反応、Naの存在下での塩化アリルとの反応、続くヒドロシリル化)による市販のヒドロキシル化ポリブタジエン(例えば、商品名Poly BDの下でSartomerから市販されているもの)の変換を含む方法により調製され得る。
【0019】
(A)成分の量は、組成物の重量に基づいて、10部〜65部、或いは10部〜35部、或いは15部〜35部の範囲であり得る。(A)成分は、1つの湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマーであり得る。或いは、(A)成分は、以下の特性:構造、粘度、平均分子量、ポリマーユニット及び配列のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上の湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマーを含んでもよい。
【0020】
(B)成分 縮合触媒
(B)成分は、縮合触媒である。適切な縮合触媒としては、錫(IV)化合物、錫(II)化合物及びチタネートが挙げられる。錫(IV)化合物の例としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジメチル錫ジラウレート、ジ−(n−ブチル)錫ビス−ケトネート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセチルアセトネート、ジブチル錫ジメトキシド、カルボメトキシフェニル錫トリス−ウベレート、イソブチル錫トリセロエート、ジメチル錫ジブチレート、ジメチル錫ジ−ネオデカノエート(di-neo deconoate)、トリエチル錫タータレート、ジブチル錫ジベンゾエート、ブチル錫トリ−2−エチルヘキソエート、ジオクチル錫ジアセテート、錫オクチレート、錫オレエート、錫ブチレート、錫ナフテネート、ジメチル錫ジクロリド及びそれらの組合せが挙げられる。錫(IV)化合物は当該技術分野で既知であり、市販されている(例えば、Metatin 740及びFascat 4202)。
【0021】
錫(II)化合物の例としては、錫(II)ジアセテート、錫(II)ジオクタノエート、錫(II)ジエチルヘキサノエート、錫(II)ジラウレートのような有機カルボン酸の錫(II)塩、オクタン酸第一錫、オレイン酸第一錫、酢酸第一錫、ラウリン酸第一錫のようなカルボン酸の第一錫塩及びそれらの組合せが挙げられる。
【0022】
有機官能性チタン酸塩の例としては、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、2,3−ジイソプロポキシ−ビス(エチルアセテート)チタン、チタンナフテネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラエチルヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラオクタデシルチタネート、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、エチルトリエタノールアミンチタネート、ビス(アセチルアセトニル)ジイソプロピルチタネート等のβジカルボニルチタン化合物、又はそれらの組合せが挙げられる。シロキシチタネートは、テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン、ビス(トリメチルシロキシ)ビス(イソプロポキシ)チタン、又はこれらの組合せによって例示される。
【0023】
(B)成分の量は、組成物を硬化させるのに十分な量である。(B)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0.1部〜3部、或いは0.2部〜2部の範囲であり得る。(B)成分は、1つの縮合触媒であり得る。或いは、(B)成分は、2つ以上の異なる縮合触媒を含んでもよい。
【0024】
(C)成分 乾燥剤
(C)成分は乾燥剤である。乾燥剤は、様々な供給源由来の水を結合する。IG用途では、乾燥剤は、IGユニットがその製造時に窓ガラス間に含有する水、及び/又はIGユニットの耐用寿命中に窓ガラス間スペースへ拡散する水と結合し得る。乾燥剤は、水及びアルコールのような硬化反応の副生成物を結合し得る。乾燥剤は、物理的手段により水及び副生成物を結合する。例えば、乾燥剤は、それらを物理的に吸着又は吸収させることにより水及び副生成物を結合し得る。(C)成分は、IGユニットにおいてエッジシールの乾燥機能を実施するために、及び硬化反応の副生成物により引き起こされ得るIGユニットの化学的曇り(fogging)を低減又は排除するために、組成物に添加され得る。
【0025】
(C)成分に適した吸着剤の例は、無機微粒子であり得る。吸着剤は、10マイクロメートル以下、或いは5マイクロメートル以下の粒径を有し得る。吸着剤は、水及びアルコールを吸着するのに十分な平均孔径、例えば10Å(オングストローム)以下、或いは5Å以下、或いは3Å以下を有し得る。吸着剤の例としては、菱沸石(chabasite)、モルデン沸石及び方沸石のようなゼオライト、アルカリ金属アルミノケイ酸塩のようなモレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカ−マグネシアゲル、活性炭、活性アルミナ、酸化カルシウムの並びにそれらの組合せが挙げられる。当業者は、過度の実験を伴わずに(C)成分に適した乾燥剤を選択することが可能である。シリカゲルのような或る特定の乾燥剤が水と結合する一方で、モレキュラーシーブのような他の乾燥剤は水、アルコール又はその両方と結合し得ることが当業者に理解されよう。
【0026】
市販の乾燥剤の例としては、乾燥モレキュラーシーブ、例えば商標SYLOSIV(登録商標)の下でGrace Davidsonから、及び商品名PURMOLの下でZeochem(Louisville, Kentucky, U.S.A.)から市販されている3Å(オングストローム)モレキュラーシーブ、並びにIneos Silicas(Warrington, England)から入手可能なDoucilゼオライト4Aのような4Åモレキュラーシーブが挙げられる。他の有用なモレキュラーシーブとしては、MOLSIV ADSORBENT TYPE 13X、3A、4A及び5A(これらは全て、UOP(Illinois, U.S.A.)から市販されている)、Atofina(Philadelphia, Pennsylvania, U.S.A.)からのSILIPORITE NK 30AP及び65xP、並びにW.R.Grace(Maryland, U.S.A.)から入手可能なモレキュラーシーブが挙げられる。
【0027】
(D)成分 水放出剤
(D)成分は、塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤である。(D)成分は、(D)成分が組成物を硬化させるのに十分な量の水を含有するように、また(D)成分が例えば本明細書中の参照例2の方法により塗布温度範囲における温度へ十分な時間暴露される場合に組成物を硬化させるのに十分な量の水を放出するように選択される。しかしながら、(D)成分は、過剰量が加工中に放出されるのを防ぐように十分に水と結合する。例えば、(D)成分は、組成物が使用される塗布プロセス中に又は塗布プロセス後に、組成物を硬化させるのに十分な水が利用可能であるように、組成物の配合中に十分に水を結合する。この「制御放出」特性はまた、組成物を硬化させることにより形成されるシーリング材においてこの水が泡立ち又は隙間を引き起こし得るため、大量の水が塗布プロセス中にあまりにも速く放出しないことを保証するという有益性を提供し得る。例えば、組成物がIG用途で使用される場合、塗布温度範囲は、組成物が窓ガラス間に塗布又は介在される温度範囲であり得る。塗布温度範囲は、IGユニット製造業者の特定の製造プロセスを含む各種要因に依存する。塗布温度が80℃〜120℃、或いは90℃〜110℃、或いは90℃〜100℃の範囲である場合、沈降炭酸カルシウムが(D)成分として使用され得る。しかしながら、組成物が連続(例えば、二軸スクリュー)配合機で調製される場合、成分は、短時間に塗布温度範囲より20℃〜30℃高い温度で配合されることがある。したがって、(D)成分は、含水量の全てが配合中に放出されるわけではないが、(D)成分は、十分な期間、塗布温度範囲に暴露されると組成物を硬化させるのに十分量の水を放出することを保証するように選択される。沈降炭酸カルシウムは、商標WINNOFIL(登録商標)SPMの下でSolvayから入手可能である。選択される水放出剤は、組成物に関して選択される他の成分(触媒型及び量を含む)並びに配合、充填及び塗布中のプロセス条件を含む各種要因に依存する。二軸スクリュー配合機では、滞留時間は、数分未満、通常1分〜2分未満であり得る。バレル中の及びスクリューに沿った表面/容量比は高く、且つ成分をせん断することにより熱が誘導されるため、成分は迅速に加熱される。どのくらいの水が(D)成分から取り出されるかは、水結合能力、温度、暴露時間(持続期間)及び配合機を通過する材料を抜去するのに使用される真空レベルに依存する。最大200℃の配合温度及び完全操業真空抜去を用いた場合でさえ、約3週の外気保管後に、その後90℃で約30分間暴露された場合に、沈降CaCO3には組成物を硬化させるのに十分な水が残存する。理論により拘束されることを望まないが、120℃の二軸スクリュー配合温度を用いると、組成物が90℃で塗布された場合に、室温で1〜2週間の期間にわたって沈降CaCO3には組成物を硬化させるのに十分な量の水が残存すると考えられる。組成物中の(D)成分の量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の選択、並びに任意の成分が存在するかどうかを含む各種要因に依存するが、(D)成分の量は、組成物の重量に基づいて5部〜30部の範囲であり得る。理論により拘束されることを望まないが、(D)成分の量が組成物100重量部に基づいて5重量部未満である場合、(D)成分は、組成物を硬化させるのに不十分な水しか含有し得ないと考えられる。
【0028】
驚くべきことに、本発明者等は、水供給源が存在する場合に、本発明の組成物が(C)成分の乾燥剤の存在下で硬化することを見出した。理論により拘束されることを望まないが、組成物がIGユニットのような用途で使用される場合、(A)成分(及び存在する場合には(F)成分)により付与される低い湿分透過性は、組成物が合理的な期間内に大気湿分への暴露により硬化するのを防止する可能性があると考えられる。(D)成分はこの問題を対処するために添加される。理論により拘束されるのを望まないが、組成物が塗布温度に加熱される場合、熱は水を遊離して、水は(A)成分上の加水分解性基と反応して、組成物を硬化させ、組成物中に残されたアルコール及び/又は水のような任意の副生成物は(C)成分により結合され得て、それにより縮合反応を完成まで進行させて、例えばIGユニットにおける窓ガラス間の硬化副生成物の縮合(「化学的曇り」として既知である)を防ぐと考えられる。
【0029】
本願の目的で、(D)成分の水放出剤は、液体の水、米国特許第6,025,445号により開示されるような水和金属塩及びそれらの組合せを排除し得る。理論により拘束されることを望まないが、組成物に液体の水を添加することは、組成物を作製するための配合プロセス中に、基材への組成物の塗布プロセス中に、或いはその両方中に蒸気を形成し得ると考えられる。理論により拘束されることを望まないが、水和金属塩は、特に接着が水又は水蒸気を含む環境条件に抵抗する必要がある場合に、組成物の接着に対して負の影響を有し得ると考えられる。
【0030】
(E)成分 充填剤
組成物は任意に、さらなる(E)成分をさらに含んでもよい。(E)成分は、(C)成分及び(D)成分以外の充填剤である。(E)成分は概して、組成物の硬化中、及び組成物の硬化後に存在する水の量に有意に影響を与えない。(E)成分は、補強充填剤、増量充填剤、揺変性充填剤、顔料又はそれらの組合せを含み得る。当業者は、過度の実験を伴わずに適切なさらなる充填剤を選択することが可能である。適切なさらなる充填剤の例としては、重質炭酸カルシウム、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、タルク、二酸化チタン、プラスチック粉末、ガラス又はプラスチック(例えば、Saran(商標))ミクロスフェア、高アスペクト比充填剤(例えば、雲母又は剥離雲母)及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤は任意に、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)のような処理剤で処理されてもよい。
【0031】
適切な充填剤は当該技術分野で既知であり、市販されている。重質炭酸カルシウムは、商標Imerys Gammasperseの下でQCI Britannic(Miami, Frorida, U.S.A.)から入手可能である。カーボンブラック(例えば、1011)は、Williamsから市販されている。シリカは、Cabot Corporationから市販されている。
【0032】
組成物中の(E)成分の量は、選択される特定の水放出剤及び任意のさらなる充填剤が存在するかどうかを含む各種要因に依存する。しかしながら、(E)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜30部、或いは5部〜30部の範囲であり得る。(E)成分は1つの充填剤であり得る。或いは、(E)成分は、以下の特性:組成、粒径及び表面処理のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上の充填剤を含んでもよい。
【0033】
(F)成分 非反応性結合剤
(F)成分は、非反応性エラストマー有機ポリマー、即ち(A)成分と反応しないエラストマー有機ポリマーである。(F)成分は、(A)成分と相溶性であり、即ち(F)成分は、(A)成分と2相系を形成しない。(F)成分は、例えば組成物がIG用途で使用される場合、十分に低いガス透過性及び湿分透過性を有し得る。(F)成分は、30000〜75000の範囲のMnを有し得る。或いは、(F)成分は、より高い分子量の非反応性エラストマー有機ポリマーと、より低い分子量の非反応性エラストマー有機ポリマーとのブレンドであってもよい。この場合、より高い分子量のポリマーは、100000〜600000の範囲のMnを有してもよく、より低い分子量のポリマーは、900〜10000、或いは900〜3000の範囲のMnを有してもよい。Mnに関する範囲の下端に関する値は、(F)成分が(A)成分及び組成物の他の成分と相溶性を有して、組成物が使用されるIGユニットにおいて化学的曇りを最低限に抑えるように選択され得る。
【0034】
(F)成分は、ポリイソブチレンを含み得る。ポリイソブチレンは当該技術分野で既知であり、市販されている。(F)成分として使用するのに適した例としては、ドイツのBASF Corporationにより商標OPPANOL(登録商標)の下で販売されるポリイソブチレンが挙げられる。かかるポリイソブチレンは、以下の表で概要される。
【0035】
【表1】

【0036】
他のポリイソブチレンとしては、NOF CORPORATION(Functional Chemicals & Polymers Div., Yebisu Garden Place Tower, 20-3 Ebisu 4-chome, Shibuya-ku, Tokyo 150-6019, Japan)からの最高分子量の水素化ポリイソブテンPARLEAM(登録商標)SV(POLYSYNLANE SV)(動粘度(98.9℃)4700)のような種々のParleam等級が挙げられる。他のポリイソブチレンは、ExxonMobil Chemical Co.(Baytown, Texas, U.S.A.)から市販されており、MML−80、MML−100、MML−120及びMML−140のような商標VISTANEX(登録商標)の下で販売されるポリイソブチレンが挙げられる。VISTANEX(登録商標)ポリイソブチレンは、鎖末端オレフィン結合のみを含有する長い直鎖高分子で構成されるパラフィン炭化水素ポリマーである。VISTANEX(登録商標)MMポリイソブチレンは、70000〜90000の範囲の粘度平均分子量を有する。より低い分子量のポリイソブチレンとしては、LM−MS(8700〜10000の範囲の粘度平均分子量、同様にExxonMobil Chemical Co.により作製される)及びVISTANEX LM−MH(10000〜11700の粘度平均分子量)のようなVISTANEX(登録商標)LM、並びにAmocoからのSoltex PB−24(Mn 950)及びIndopol(登録商標)H−100(Mn 910)及びIndopol(登録商標)H−1200(Mn 2100)が挙げられる。他のポリイソブチレンは、BP Chemicals(London, England)により商標NAPVIS(登録商標)及びHYVIS(登録商標)の下で販売される。これらのポリイソブチレンとしては、NAPVIS(登録商標)200、NAPVIS(登録商標)D10及びNAPVIS(登録商標)DE3並びにHYVIS(登録商標)200が挙げられる。NAPVIS(登録商標)ポリイソブチレンは、900〜1300の範囲のMnを有し得る。或いは、(F)成分はブチルゴムを含んでもよい。或いは、(F)成分は、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体又はそれらの組合せを含んでもよい。SEBSブロック共重合体及びSEPSブロック共重合体は当該技術分野で既知であり、Kraton Polymers U.S.LLC(Houston, Texas, U.S.A.)からKraton(登録商標)Gポリマーとして、及びKuraray America, Inc.(New York, NY, U.S.A.)からSeptonポリマーとして市販されている。或いは、(F)成分は、ポリオレフィンプラストマーを含んでもよい。ポリオレフィンプラストマーは当該技術分野で既知であり、Dow Chemical Company(Elastomers & Specialty Products Division, Midland, Michigan, U.S.A.)からAFFINITY(登録商標)GA 1900及びAFFINITY(登録商標)GA 1950として市販されている。
【0037】
(F)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜50部、或いは10部〜40部、或いは5部〜35部の範囲である。(F)成分は、1つの非反応性エラストマー有機ポリマーであり得る。或いは、(F)成分は、以下の特性:構造、粘度、平均分子量、ポリマーユニット及びは配列のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上の非反応性エラストマー有機ポリマーを含んでもよい。
【0038】
(G)成分 架橋剤
(G)成分は架橋剤である。(G)成分は、シラン、シランのオリゴマー反応生成物又はそれらの組合せであり得る。アルコキシシラン架橋剤は、一般式R1aSiR2(4-a)(式中、R1はそれぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基又はアリール基のような一価の有機基であり、R2はそれぞれ、加水分解性基であり、aは、1、2又は3である)を有し得る。オリゴマー架橋剤は、一般式R1Si(OSi(R233(式中、R1及びR2は上述の通りである)を有し得る。
【0039】
上記の式において、R1に関する好適な一価の有機基としては、一価の置換及び非置換炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。R1に関する一価の非置換炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル等のアルキル;シクロヘキシル等のシクロアルキル;ビニル、アリル及びプロペニル等のアルケニル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチル等のアリールが挙げられるが、これらに限定されない。R1に関する一価の置換炭化水素基の例としては、一価のハロゲン化炭化水素基(例えば、クロロメチル及びクロロプロピル基等の塩化アルキル基;フルオロメチル、2−フルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロへキシル、及び8,8,8,7,7−ペンタフルオロオクチル等のフッ化アルキル基;2,2−ジクロロシクロプロピル(dichlorocycliopropyl)、2,3−ジクロロシクロペンチル等の塩化シクロアルキル;並びに2,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロブチル、3,4−ジフルオロシクロへキシル、及び3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル等のフッ化シクロアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。R1に関する一価の置換炭化水素基の例としては、グリシドキシアルキル等の酸素で置換された炭化水素基、並びにアミノアルキル及びシアノ官能基(例えばシアノエチル及びシアノプロピル)等の窒素で置換された炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。代替的に、R1はそれぞれ、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であってもよい。
【0040】
2はそれぞれ独立して、アルコキシ基;アルケニルオキシ基;アセトアミド基、メチルアセトアミド基またはベンズアミド基等のアミド基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;アミノ基;アミノキシ(aminoxy)基;ヒドロキシル基;メルカプト基;オキシモ(oximo)基、及びケトキシモ(ketoximo)基から選択され得る。代替的に、R2はそれぞれ、アルコキシ基であり得る。R2に関する好適なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
(G)成分は、ジアルキルジアルコキシシラン等のジアルコキシシラン、又はアルキルトリアルコキシシラン若しくはアルケニルトリアルコキシシラン等のトリアルコキシシラン、又はその部分的若しくは完全な加水分解産物、或いはそれらの別の組合せによって例示されるアルコキシシランを含み得る。好適なトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びこれらの組合せが挙げられる。アルコキシシラン架橋剤の例は、米国特許第4,962,076号、米国特許第5,051,455号及び米国特許第5,053,442号に開示される。
【0042】
代替的には、(G)成分は、クロロメチルメチルジメトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチル−n−プロピルジメトキシシラン、(2,2−ジクロロシクロプロピル)−メチルジメトキシシラン、(2,2−ジフルオロシクロプロピル)−メチルジエトキシシラン、(2,2−ジクロロシクロプロピル)−メチルジエトキシシラン、フルオロメチル−メチルジエトキシシラン、フルオロメチル−メチルジメトキシシラン、又はこれらの組合せから選択されるジアルコキシシランを含み得る。
【0043】
代替的に、(G)成分は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、2−エチル−ヘキシルトリメトキシシラン、2,3−ジメチルシクロヘキシルトリメトキシシラン(dimethylcyclohexyltrimethoxislane)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、トリクロロフェニルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチルトリメトキシシラン、2,2−ジフルオロシクロプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、テトラクロロフェニルトリエトキシシラン、フルオロメチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル−トリス(メトキシエトキシ)シラン、n−プロピル−トリス(3−メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス−(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、又はこれらの組合せから選択されるトリアルコキシシランを含み得る。
【0044】
或いは、(G)成分は、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン又はそれらの組合せから選択されるテトラアルコキシシランを含んでもよい。
【0045】
(G)成分の量は、選択される特定の架橋剤に依存する。しかしながら、(G)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜5部、或いは0.1部〜5部の範囲であり得る。(G)成分は1つの架橋剤であり得る。或いは、(G)成分は、2つ以上の異なる架橋剤を含んでもよい。
【0046】
(G)成分は、アセトキシシランのようなアシルオキシシランを含んでもよい。アセトキシシランとしては、テトラアセトキシシラン、オルガノトリアセトキシシラン、ジオルガノジアセトキシシラン又はそれらの組合せが挙げられる。アセトキシシランは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びt−ブチルのようなアルキル基、ビニル、アリル又はヘキセニルのようなアルケニル基、フェニル、トリル又はキシリルのようなアリール基、ベンジル又は2−フェニルエチルのようなアラルキル基、並びに3,3,3−トリフルオロプロピルのようなフッ素化アルキル基を含有してもよい。或いは、(G)成分は、オルガノトリアセトキシシラン、例えばメチルトリアセトキシシランとエチルトリアセトキシシランとを含有する混合物を含んでもよい。
【0047】
或いは、(G)成分は、ケトキシモシランを含んでもよい。(G)成分に関するケトキシモシランの例としては、テトラ(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチル−トリス−(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス−(メチルエチルケトキシモ)シラン及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
或いは、(G)成分は、式R43Si−D−SiR43(式中、R4及びDは本明細書中に記載される通りである)を有するジシランを含んでもよい。かかるジシランの例としては、例えば米国特許第6,130,306号に記載されるように、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン)、1,4−ビス[トリメトキシシリル(エチル)]ベンゼン及びビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドが挙げられる。
【0049】
(H)成分 化学的乾燥剤
或いは、(G)成分に加えて組成物に添加される或る量の架橋剤は、化学的乾燥剤として機能を果たし得る。理論により拘束されることを望まないが、化学的乾燥剤は、組成物が水の存在しない状態を保つために、及び組成物の複数の部が一緒に混合された後で(D)成分に由来する水と結合するのを助長するために複数部型組成物の乾燥部に添加されてもよいと考えられる。例えば、乾燥剤として適切なアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
(H)成分の量は、選択される特定の乾燥剤に依存する。しかしながら、(H)成分の量は、0部〜5部、或いは0.1部〜0.5部の範囲であり得る。(H)成分は、1つの化学的乾燥剤であり得る。或いは、(H)成分は、2つ以上の異なる化学的乾燥剤を含んでもよい。
【0051】
(I)成分 接着促進剤
(I)成分は接着促進剤である。(I)成分は、(G)成分以外の有機官能性シランであり得る。有機官能性シランは、一般式R3bSiR4(4-b)(式中、R3はそれぞれ独立して、一価の有機基であり、R4はそれぞれ、アルコキシ基であり、bは0、1、2又は3であり、或いはbは、0又は1であってもよい)を有し得る。
【0052】
或いは、接着促進剤は、式R5c6dSi(OR54-(c+d)(式中、R5はそれぞれ独立して、炭素数少なくとも3を有する置換又は無置換の一価炭化水素基であり、R6はそれぞれ、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はアクリレート基のような接着促進基を有する少なくとも1つのSiC結合された基を含有し、cは、0〜2の値を有し、dは1又は2のいずれかであり、c+dの合計は3以下である)を有する有機官能性シランを含んでもよい。接着促進剤はまた、上記シランの部分縮合体であり得る。
【0053】
(I)成分の例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン;及びテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0054】
代替的には、(I)成分は、ビニル、メチル、ジメトキシシラン;ビニル、メチル、ジエトキシシラン;ビニル、エチル、ジメトキシシラン;ビニル、エチル、ジエトキシシラン;又はこれらの組合せ等のジアルコキシシランを含み得る。
【0055】
代替的に、(I)成分は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、又はこれらの組合せから選択されるトリアルコキシシランを含んでもよい。
【0056】
代替的に、(I)成分は、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、又はこれらの組合せから選択されるテトラアルコキシシランを含んでもよい。
【0057】
或いは、(I)成分は、上述され、また米国特許第4,602,078号及び米国特許第5,405,889号に開示されるものに例示されるようなエポキシ官能性シラン及びアミノ官能性シランの反応生成物を含んでもよい。或いは、(I)成分は、米国特許第5,936,110号におけるものに例示されるようなエポキシ官能性シラン及びアミン化合物に由来するシラトラン誘導体を含んでもよい。
【0058】
或いは、(I)成分は、式R43Si−D−SiR43(式中、R4及びDは上述の通りである)を有するジシランを含んでもよい。かかるジシランの例としては、例えば米国特許第6,130,306号に記載されるように、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン)、1,4−ビス[トリメトキシシリル(エチル)]ベンゼン及びビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドが挙げられる。
【0059】
(I)成分の量は、選択される特定の接着促進剤に依存する。(G)成分及び(I)成分に関する或る特定の例が、架橋特性及び接着促進特性の両方を有し得ることは当業者に理解されよう。組成物に添加される(I)成分の量が(G)成分に加えて存在すること、及び(I)成分が添加される場合、選択される接着促進剤は架橋剤と同じであってもよく、又は架橋剤と異なってもよいことは当業者に理解されよう。しかしながら、(I)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜5部、或いは0部〜2部、或いは0.5部〜1.5部の範囲であり得る。(I)成分は、1つの接着促進剤であり得る。或いは、(I)成分は、2つ以上の異なる接着促進剤を含んでもよい。
【0060】
有機官能性アルコキシシラン架橋剤及び接着促進剤は当該技術分野で既知であり、市販されている。例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン及び(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシランは、Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から入手可能である。アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ−イソシアノプロピルトリエトキシシランは、Momentive Performance Materials(187 Danbury Road, Wilton, CT USA)から名称SILQUEST(登録商標)(それぞれA−1100及びA−1310)の下で入手可能である。
【0061】
(G)成分、(H)成分及び(I)成分を選択する際、架橋剤(硬化生成物の物理的特性に影響を及ぼす)と接着促進剤(硬化生成物の接着に影響を及ぼす)と化学的乾燥剤(貯蔵安定性に影響を及ぼす)との間で重複が存在し得ることは当業者に理解されよう。当業者は、組成物の目的とする使用及び組成物が1部型組成物又は複数部型組成物として調製されるかどうかを含む各種要因に基づいて、(G)成分、(H)成分及び/又は(I)成分を識別し、また選択することが可能である。
【0062】
(J)成分 マイクロクリスタリンワックス
(J)成分は、25℃で固体(ワックス)であるマイクロクリスタリンワックスである。融点は、ワックスが所望の塗布温度範囲の下端で融点を有するように選択され得る。例えば、組成物がIGユニットで使用される場合、ワックスは、80℃〜100℃の範囲の融点を有し得る。理論により拘束されることを望まないが、(J)成分は、例えば組成物が基材に塗布された後、組成物を数度冷却する際に、迅速な生強度成長(即ち、温度降下に伴う組成物から調製されるシールの負荷容量の増加に相当する粘度の強力な増加)を可能にすると同時に、流動特性を改善する加工助剤として作用すると考えられる。理論により拘束されることを望まないが、ワックスの組込みはまた、充填剤の組込み、配合及び脱気(組成物の生産中)、並びに混合(2部型組成物の両方の部の塗布時の静的混合又は動的混合)を容易とし得ると考えられる。ワックスは溶融すると、加工助剤として役立ち、実質的に配合中のシーリング材における充填剤の組込み、配合プロセス自体並びに脱気工程を容易とすると考えられる。100℃以下の溶融温度を有するワックスは、簡素な静的混合機においてでさえ、塗布前に2部シーリング材組成物の2つの部の混合を容易とし得る。ワックスはまた、良好なレオロジ−で、80℃〜110℃、或いは90℃〜100℃の範囲の温度でのシーリング材の塗布を容易とし得る。
【0063】
(J)成分として使用するのに適したワックスは、無極性炭化水素であり得る。ワックスは、分岐状構造、環状構造又はそれらの組合せを有し得る。例えば、石油マイクロクリスタリンワックスは、Strahl & Pitsch, Inc.(West Babylon, NY, U.S.A.)から入手可能であり、SP 96(62℃〜69℃の範囲の融点)、SP 18(73℃〜80℃の範囲の融点)、SP 19(76℃〜83℃の範囲の融点)、SP 26(76℃〜83℃の範囲の融点)、SP 60(79℃〜85℃の範囲の融点)、SP 617(88℃〜93℃の範囲の融点)、SP 89(90℃〜95℃の範囲の融点)及びSP 624(90℃〜95℃の範囲の融点)が挙げられる。他の石油マイクロクリスタリンワックスとしては、Crompton Corporation(Petrolia, Pennsylvania, U.S.A.)により商標Multiwax(登録商標)の下で販売されるワックスが挙げられる。これらのワックスとしては、飽和分岐状及び環状無極性炭化水素を含み、且つ79℃〜87℃の範囲の融点を有する180−W、飽和分岐状及び環状無極性炭化水素を含み、且つ76℃〜83℃の範囲の融点を有するMultiwax(登録商標)W−445、並びに飽和分岐状及び環状無極性炭化水素を含み、且つ73℃〜80℃の範囲の融点を有するMultiwax(登録商標)W−835が挙げられる。
【0064】
(J)成分の量は、選択される特定のワックス、並びに(C)成分及び(D)成分の選択及び存在する場合には(E)成分の選択を含む各種要因に依存する。しかしながら、(J)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜20部、或いは1部〜15部、或いは1部〜5部の範囲であり得る。(J)成分は、1つのワックスであり得る。或いは、(J)成分は、2つ以上の異なるワックスを含んでもよい。
【0065】
(K)成分 老化防止添加剤
(K)成分は老化防止添加剤である。(K)成分は、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、熱安定剤又はそれらの組合せを含み得る。UV吸収剤の例としては、フェノール、例えば分岐状及び直鎖状2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチル−フェノール(TINUVIN(登録商標)571)が挙げられる。UV安定剤の例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、及びそれらの組合せ(TINUVIN(登録商標)272)が挙げられる。これらのTINUVIN(登録商標)添加剤は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown, NY, U.S.A.)から市販されている。適切な酸化防止剤は当該技術分野で既知であり、市販されている。適切な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びフェノール系酸防止剤と安定剤との組合せが挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、完全に立体障害を受けているフェノール及び部分的に障害を受けているフェノールが挙げられる。安定剤としては、三価有機リン化合物、ホスファイト、ホスホネート及びそれらの組合せのような有機リン誘導体、スルフィド、ジアルキルジチオカルバメート、ジチオジプロピオネート及びそれらの組合せを含む有機硫黄化合物のようなチオ協力剤、並びにテトラメチル−ピペリジン誘導体のような立体障害を受けているアミンが挙げられる。適切な酸化防止剤及び安定剤は、Zweifel, Hans、「加工処理中のポリプロピレンの安定化の効果及び熱応力下での長期挙動に対するその影響(Effect of Stabilization of Polypropylene During Processing and Its Influence on Long-Term Behavior under Thermal Stress)」、Polymer Durability, Ciba-Geigy AG, Additives Division, CH-4002, Basel, Switzerland, American Chemical Society, vol. 25, pp. 375-396, 1996に開示されている。適切なフェノール系酸化防止剤としては、ビタミンE及びCiba Specialty Chemicals(U.S.A.)からのIRGANOX(登録商標)1010が挙げられる。IRGANOX(登録商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。オリゴマー(高分子量)安定剤は、IGユニットの化学的曇り及び移行の潜在性を最低限に抑えるのに使用され得る。オリゴマー酸化防止剤安定剤(具体的には、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS))の例は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールと共重合されたブタン二酸のジメチルエステルであるCiba Tinuvin 622である。
【0066】
(K)成分の量は、選択される特定の老化防止添加剤に依存する。しかしながら、(K)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜5部、或いは0.5部〜3部の範囲であり得る。(K)成分は、1つの老化防止添加剤であり得る。或いは、(K)成分は、2つ以上の異なる老化防止添加剤を含んでもよい。
【0067】
(L)成分 粘着付与剤
適切な粘着付与剤は当該技術分野で既知である。例えば、粘着付与剤は、炭素数6〜20を有する水素化ポリオレフィンのような脂肪族炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂、ロジンエステル、水素化ロジングリセロールエステル又はそれらの組合せを含み得る。粘着付与剤は市販されている。脂肪族炭化水素樹脂は、Exxon ChemicalからのESCOREZ 1102、1304、1310、1315及び5600、並びにEastmanからのEastotac樹脂(例えば、環球式軟化点100℃を有するEastotac H−100、環球式軟化点115℃を有するEastotac H−115E及び環球式軟化点130℃を有するEastotac H−130L)により例示される。水素化テルペン樹脂は、Arakawa ChemicalsからのArkon P 100及びGoodyearからのWingtack 95により例示される。水素化ロジングリセロールエステルは、HerculesからのStaybelite Ester 10及びForalにより例示される。市販のポリテルペンの例としては、HerculesからのPiccolyte A125が挙げられる。脂肪族/芳香族又は脂環式/芳香族樹脂の例としては、Exxon ChemicalからのECR 149B又はECR 179Aが挙げられる。
【0068】
さらに、(L)成分の重量に基づいて最大20重量部、或いは10重量部の固体粘着付与剤(即ち、25℃を超える環球式軟化点を有する粘着付与剤)が、(A)成分及び(F)成分と相溶性である。適切な粘着付与剤としては、(1)例えばガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン及び重合ロジンのような天然ロジン又は変性ロジン、(2)例えばペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステルのような天然ロジン又は変性ロジンのグリセロールエステル及びペンタエリスリトールエステル、(3)天然テルペンの共重合体及びターポリマー、例えばスチレン/テルペン及びαメチルスチレン/テルペン、(4)60℃〜150℃の範囲のASTM法E28、58Tにより確定される場合の軟化点を有するポリテルペン樹脂(このポリテルペン樹脂は概して、適度に低い温度におけるフリーデル・クラフツ触媒の存在下での、ピネンとして既知である二環式モノテルペンのようなテルペン炭化水素の重合から生じる、また水素化ポリテルペン樹脂も包含される)、(5)例えば二環式テルペン及びフェノールの酸性媒質中での縮合から生じる樹脂生成物のようなフェノール変性テルペン樹脂及びそれらの水素化誘導体、(6)60℃〜135℃の範囲の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂(この樹脂は、主としてオレフィン及びジオレフィンで構成されるモノマーの重合から生じる、また水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も包含される)、(7)脂環式族石油炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体、並びに(8)脂肪族/芳香族又は脂環式/芳香族共重合体及びそれらの水素化誘導体のような任意の相溶性樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
(L)成分の量は、選択される特定の粘着付与剤及び(I)成分の選択を含む各種要因に依存する。しかしながら、(L)成分の量は、組成物の重量に基づいて、0部〜20部の範囲であり得る。(L)成分は、1つの粘着付与剤であり得る。或いは、(L)成分は、2つ以上の異なる粘着付与剤を含んでもよい。
【0070】
組成物の調製
プロセスは、バッチ配合プロセス又は連続配合物プロセスのいずれかであり得る。連続配合プロセスは、留去(stripping)条件のより良好な制御を可能とする場合があり、組成物の熱への暴露の持続期間を最低限に抑えることができ、それにより組成物の含水量の制御を改善する。理論により拘束されることを望まないが、含水量の制御を改善することにより、組成物の硬化の改善が可能となると考えられる。
【0071】
本発明の組成物は、1部型組成物又は複数部型組成物(例えば、2部型組成物)として配合され得る。1部型組成物は、せん断下で成分を混合することを含むプロセスにより調製され得る。成分は、真空下又は乾燥不活性ガス下、或いはその両方の下で混合され得る。成分は、外気温下又は高温下、或いはそれらの組合せの下で混合され得る。
【0072】
1部型組成物は、(A)成分及び(F)成分及び存在する場合には(J)成分を加熱した後、(D)成分及び(C)成分を添加することにより調製され得る。これらの成分を高温で組み合わせた後、(B)成分並びに(E)、(G)、(H)、(I)、(K)及び(L)のようなさらなる成分(存在する場合)を添加してもよい。或いは、(E)成分及び(J)成分を組み合わせてもよく、その後続いて、(A)成分、(F)成分、(G)成分、(E)成分、(H)成分、(I)成分、(C)成分及び(B)成分を添加してもよい。
【0073】
或いは、組成物は、以下で記載する2部型組成物のような複数部型組成物として調製されてもよい。(B)成分の縮合触媒及び(D)成分の水放出剤を別個の部に保管することにより複数部型組成物を調製する方法は当業者に理解されよう。例示的な2部型組成物は、湿潤(水含有)部と乾燥部とを含む。湿潤部は、(F)非反応性エラストマー有機ポリマー及び(D)水放出剤、並びに以下の任意の成分:(J)ワックス、(L)粘着付与剤、(E)強化充填剤(例えば、カーボンブラック)、増量充填剤又はその両方のような充填剤のうちの1つ又は複数を含む成分をせん断下で混合することにより調製され得る。
【0074】
乾燥部は、(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー、(F)非反応性エラストマー有機ポリマー、(B)縮合触媒、(C)乾燥剤、並びに以下の任意の成分:(J)ワックス、(L)粘着付与剤、(G)架橋剤、(H)化学的乾燥剤、(K)安定剤及び(I)接着促進剤のうちの1つ又は複数を含む成分をせん断下で混合することにより調製され得る。
【0075】
或いは、湿潤部は、(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー、(F)非反応性エラストマー有機ポリマー及び(D)水放出剤を含む成分をせん断下で混合することにより調製され得る。湿潤部が(A)成分を含む場合、湿潤部における他の成分はいずれも、非意図的に縮合触媒として作用し得ないことに留意しなくてはならない。この場合、水放出剤(D)の性質に考慮すべきである。乾燥部は、(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー及び(B)縮合触媒、(C)物理的乾燥剤、任意に(G)架橋剤、任意に(H)化学的乾燥剤、任意に(I)接着促進剤等を含む成分をせん断下で混合することにより調製され得る。湿潤部及び乾燥部はそれぞれ任意に、(F)非反応性エラストマー有機ポリマー、(J)25℃で固体であるマイクロクリスタリンワックス、(K)老化防止添加剤及び(L)粘着付与剤から選択される1つ又は複数のさらなる成分をさらに含んでもよい。
【0076】
せん断及び加熱のプロセス条件は、組成物を硬化させるのに十分な量の水が、組成物を調製するための配合操作中に(D)成分の水放出剤中に残存するように選択される。この操作中に十分均質な混合を達成するために(特に、ポリマー及び粉末構成成分、例えば乾燥剤及び水放出剤に関して)、当業者は、塗布温度に近い配合温度を選択してもよく、その結果、ポリマー構成成分は、粉末構成成分の効率的な組込みを可能にするのに十分液体である。しかしながら、この操作に要される機械的せん断のため、実際の配合温度は多くの場合、実質的に塗布温度を超える。例えば、二軸スクリュー配合機を用いて組成物を製造する場合、温度は、塗布温度を20℃〜30℃超える温度(例えば、組成物がIGユニットにおいて80℃〜100℃で塗布される場合には110℃〜120℃)で、また場合によっては塗布温度を100℃〜110℃を超えるほど高い温度で実行され得る。組成物が長期間この温度に暴露されないと同時に、「結合された」水は、この配合工程に依然として残存する必要がある。理論により拘束されることを望まないが、(D)成分は、十分量の水を配合工程に残存させるために水が十分堅く結合されていると同時に、硬化を開始させる塗布温度では、組成物を硬化させるのに十分量の水を保護するには不十分に堅く結合されている水放出剤であると考えられる。
【0077】
使用方法
(A)成分は、縮合反応を介して組成物を硬化させることが可能である。(A)成分及び(F)成分は、低透過性ポリマーとみなされる、即ち、これらのポリマーは、組成物の硬化生成物の湿分透過性及びガス透過性を最低限に抑える。したがって、塗布温度範囲にわたって水を放出する(D)成分の水放出剤は、組成物を硬化させるために組成物中に含まれる。2部型組成物では、沈降CaCO3のような水放出剤の組成物の一方の部への添加は、組成物が(D)成分から十分量の水を放出する温度へ加熱される場合に2つの部の混合時に硬化を誘導する適切な手段である。組成物は限られた持続期間の間のみ塗布機器において塗布温度へ暴露されるため、水放出剤は、組成物をその塗布後に再び冷却させた後でさえ、十分速い硬化を誘導するのに十分な量の水を放出するように選択され得る。例えば、組成物が、室温で又は40℃〜60℃以下で混合される場合、組成物は、IGユニットの工業製造プロセスにとってあまりにもゆっくりと硬化し得る。
【0078】
本発明の組成物は、IG用途で使用され得る。図1(単一シール)及び図2(二重シール)は、IGユニットの一部を示す断面図である。IGユニットはそれぞれ、第1の窓ガラス101と、第1の窓ガラス101から距離を空けて配置される第2の窓ガラス102とを含む。図1では、上述の組成物の硬化生成物103は、第1の窓ガラス101と第2の窓ガラス102との間の窓ガラス間スペースに介在される。硬化生成物103は、一体化エッジシールとして作用し得る、即ち水蒸気バリア、ガスバリア、窓ガラス間のシーリング材、スペーサー、接着剤及び乾燥剤マトリックスとして作用する。図2は、一次シーリング材としての上述の組成物の硬化生成物103の使用を示す。ポリスルフィド、ポリウレタン又はシリコーンのような二次シーリング材104は、一次シーリング材及び窓ガラス101、窓ガラス102へ接着される。二重シール(図2)の場合では、硬化生成物103は、一体化エッジシールとして作用し得る、即ち水蒸気バリア、ガスバリア、窓ガラス間のシーリング材、スペーサー、接着剤及び乾燥剤マトリックスとして作用する。続いて、二次シーリング材104は、硬化生成物103のシーリング機能及び接着(付着)機能をさらに支持する。
【0079】
2部型組成物を塗布するプロセスは、2つの部を溶融させること、及びそれらを適切な手段(例えば、ホットメルトポンプ又は押出機のような従来の機器)により、加熱された静的混合機又は動的混合機へと、及びそこから加熱されたホースを介して塗布ノズルへと供給することを含み得る。エッジシールを形成するためにノズルからガラス上へシーリング材を塗布するため、及びIGユニットを作製するためのプロセスは、従来のTPS(登録商標)IGユニットを作製するのに現在使用されるのと同じ機器又は類似した機器を用いるという利点を提供し(、但し、機器は、2部型組成物が使用される場合には2つの部(二重供給物)を取り扱うように改良されてもよい)、上述の組成物によって、単一シールの製造も可能になる。TPS(登録商標)を作製するのに使用されるプロセスの1つは、第1の窓ガラスの周囲付近にシールフィラメントとして組成物を塗布すること、第1の窓ガラスに近接近して平行位置で第2の窓ガラスを移動させること、任意に窓ガラス間容量にガス(例えば、アルゴン)を充填すること、及び第1の窓ガラス上に形成されるフィラメントシールに対して第2の窓ガラスを押し付けることによりIGユニットを閉鎖することを含む(例えば、欧州特許第0,805,254 B1号、国際公開第95/11,363号、国際公開第96/09,456号を参照)。或いは、窓ガラスを平行で間隔を空けた位置で維持して、組成物を窓ガラス間に押し出してもよく(国際公開第90/02,696号を参照)、或いは組成物をまず、組成物がガラスよりもあまり良好に接着しない支持体上へ押し出し、次に組成物を支持体から一方の窓ガラス上へ移行し、窓ガラスが互いに、合致するように作製して、続いて互いに押し付けてもよい(国際公開第95/11,364号を参照)。
【0080】
IGユニットは、i)第1の窓ガラス101及び第2の窓ガラス102を、窓ガラス間スペースにより間隔を空けて平行位置に至らせること、ii)上述の組成物を、第1の窓ガラス101及び第2の窓ガラス102の周囲に沿って窓ガラス間スペースへ塗布すること、並びにiii)組成物を硬化させることを含むプロセスにより作製され得る。
【0081】
或いは、IGユニットは、i)上述の組成物を第1の窓ガラス101の周囲付近にフィラメントシールとして塗布すること、ii)第1の窓ガラス101及び第2の窓ガラス102が窓ガラス間スペースにより間隔を空けて配置されるように、第2の窓ガラス102を第1の窓ガラス101に対して平行位置へ移動すること、任意にiii)窓ガラス間スペースに、アルゴン又は乾燥空気のようなガスを充填すること、iv)第1の窓ガラス101上に形成されるフィラメントシールに対して、第2の窓ガラス102を押し付けること、並びにv)組成物を硬化させることを含むプロセスにより作製され得る。
【0082】
或いは、IGユニットは、i)上述の組成物を、組成物がガラスよりもあまり良好に接着しない支持体上へフィラメントシールとして塗布すること、ii)フィラメントシールを支持体から第1の窓ガラス101上へ移行させること、iii)第1の窓ガラス101及び第2の窓ガラス102を平行位置で互いに押し付けること、並びにiv)組成物を硬化させることを含むプロセスにより作製され得る。
【0083】
IGユニットを作製するプロセスのいずれかにおいて、上述の1部型組成物又は2部型組成物が使用され得る。2部型組成物が使用される場合、2つの部は、プロセス工程i)又はプロセス工程ii)の直前に混合され得る。IGユニットを作製するこれらのプロセスは、組成物の硬化が大気湿分の非存在下で実施され得るという利点を提供し得る。本願の目的で、「大気湿分の非存在」は、環境大気中に存在する任意量の湿分が、3〜4週の期間内における本発明の硬化には不十分であることを意味する。硬化は、組成物を塗布温度範囲へ加熱することにより実施され、それにより(D)成分から水が放出し得る。硬化は、窓ガラスへの組成物の塗布中又は塗布後に実施され得る。IGユニットを作製するプロセスでは、組成物の塗布は、80℃〜140℃の範囲の温度で実施され得る。硬化は、室温で3〜4週間実施されて、最終特性の80%に到達し得る。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、本発明を当業者に実証するために包含される。しかしながら、当業者は、本開示を鑑みて、開示される特定の実施形態において多くの変更が成され得ること、また特許請求の範囲に記述される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく同等又は同様の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。量、比及びパーセントは全て、別記しない限りは重量に基づく。表1に記載される成分を以下の実施例で使用した。
【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
<参照例1>
特性評価方法
Aresレオメーター
Aresレオメーターは、複雑な弾性率要素を使用した硬化プロファイリングに関して、並びに時間及び温度に伴って得られる粘度及び弾性率に関して、動的せん断で使用された。
【0089】
硬化プロファイリングを行う際、使用される条件は、25mmの平行板の形状寸法、周波数1Hz及び温度95℃であった。ソフトウェアにより、貯蔵弾性率であるG’が損失弾性率G”と交差する時点が確定された。即ち、この点でG’=G”であった。次に、この時間を、計器中に材料を取るのにかかる時間に付け加えて、その時間全体を硬化の始まりとみなした。この点は、多くの場合ゲル化点(Melt Rheology and Its Role in Plastics Processing, Dealy, J and Wissbrun, K, 1990 pg. 420)及び硬化の始まりに関する有限測定可能点として称される。
【0090】
レオメーターはまた、重量セル又はトランスデューサに過負荷しないように注意を払ってプレート間に硬化サンプルを配置すること、続いて所望の温度で25mmの平行板及び周波数1Hzを使用してG’値を測定することにより、硬化の程度を確定するのにも使用された。
【0091】
サンプルの温度掃引もまた、凝固点及び新鮮な混合材料の粘度に対する温度の影響を確定するために混合直後及び数日後に行われ、混合及びクリーンアウトの目的でレオロジ−プロファイリングを可能にした。これらは、試験されるサンプルに応じて−20℃〜145℃の温度範囲に関して25mmの平行板又は10mmの平行板及び周波数1Hzを用いて実施した。
【0092】
デュロメーター−材料の硬度
材料の硬度は、ASTM D 2240の変型により測定した。Conveloaderを伴うShore Instrument and ManufacturingからのデュロメータータイプAを、材料を試験するのに使用した。試験される材料は概して、3mm厚であった。別の一連の試験で、Conveloader表面上に一貫してサンプルを配置させる際に、再現性のある結果を達成するのに3mm厚が十分であることが示されている。粘弾性材料と同様に、サンプルは、デュロメーターピンとサンプルの表面との間の接触時間に対するデュロメーター測定の依存性を示した。この影響は、サンプル中に含有されるワックスに主として起因すると考えられる。サンプルをconveloader表面上に配置し、デュロメーターヘッドを1kg重量に起因するその既定速度で落下させた。このサンプルの種々の性質に起因して、デュロメーター針と表面との初期接触時に、タイマーを5秒間始動させた。その後まもなくして、高い読取りが計器上で見られ、初期値として記録した。次に、5秒後が過ぎた後、計器上での第2の読取りを5秒値として記録した。最低限3つの読取りを行い、初期値及び5秒値の両方の中央値を記録した。ワックスがサンプル中に存在する場合、デュロメーターヘッドは概して、サンプルのスラブを加熱した後にその元の形状に専ら戻る孔を残し、スラブを試験前に硬化させた。
【0093】
接着(T/A)接合部の構築(configuration)
接着(T/A)接合部の構築は、2つのガラス基材間の接着を試験するために実施された。組成物によるT/A接合部の一般的な構築は、溶融サンプルを用いて行われ、サンプルを、Hauschild混合機により97℃で混合した後に脱気して、再びHauschild混合機により97℃で混合した後、或いはサンプルを以下の実施例において容量に基づいて2部混合において概説される方法により調製した後に、空隙を含まない最良のサンプルを用いて接合部へ押し込めた。T/A接合部の分配及び構築は、空気が材料中に捕捉されないように材料を接合部構造体へ押し込むか又は分配させることが可能である95℃の熱い作業空間及び/又は高い空気流中で行われた。構築物が満たされた後、それらを室温にまで冷却させたが、構築物は多くの場合、それらが冷却されて、生強度が得られた後はいつでも、クランプから取り外された。サンプルの接着性に起因して、構築物からのサンプルの容易な剥離のため、剥離ライナー片をテフロン(登録商標)スペーサーとサンプル間に配置させた。続いて、硬化時又は完全な冷却時のいずれかに、この剥離ライナーは取り外すことができた。ライナーの剥離の増強は、構築物のさらなる冷却がフリーザー中で行う場合、及び剥離ライナーの速い引張りが行われて、剥離ライナーを取り外す場合に可能であることが見出された。
【0094】
商業等級のTPS材料(非反応性熱可塑性スペーサー/シール−比較例1)を用いた接着(T/A)接合部の構築もまた実施されたが、構築物は、2”×0.5”×0.5”構造を創出するのに予め押し出された材料を使用することによりわずかに異なった。この場合、TPSの3つの片を一緒に配置させた。TPS材料(KoemmerlingのKoedimelt(登録商標)TPS)を構造ジグへ押し込めた後、120℃で30分間加熱した。炉から構造体を取り出し、Arbor Pressを使用してTPS材料をガラス構造体へ押し込めて、空隙を除去して、TPSとガラスとの間での良好な接触を保証した。構築物を堅く締めて、一晩冷却させた後、分解して、硬化時間が必要ではないため、サンプルを試験する前に過剰のTPSを切り落とした。
【0095】
ゲルの膨潤
未硬化状態で材料を溶解させるのに一般的に使用される溶媒であるトルエンに対する耐性を使用して、硬化の完了を確定した。サンプルを5日間硬化させて、その後既知の重量を、トルエンと共に1オンスのバイアルに配置させた。数日毎に、トルエンを新鮮なトルエンと取り替えた。1週後、サンプルを取り出して、溶媒の大半をデカントして除き、続いて乾燥させるために予め秤量した皿へサンプルを配置させた。安定なレベルにまで乾燥させた後に残った量を測定して、元のサンプルの重量と比較して、ポリマー、充填剤及び他の硬化性材料の硬化ネットワークの量を確定した。
【0096】
耐溶剤性
公称64mm2×3mm厚のサンプルの小片を、1オンスのバイアル中に配置させて、トルエンで覆い、サンプルが溶解するかどうかを確かめた。短時間後、サンプルが種々のレベルの溶媒和を有することが見出され、ポリマー溶媒和時に遊離されるカーボンブラックに起因して混合物がどれくらい黒くなるかどうかに従って評価システムを講じた。評価システムは、溶媒和されず、溶媒が透明のままであり、黒くならない材料による「最良」を0値とした。灰色から黒色の様々なレベルを1〜10で確定して、10は、完全に溶解されているサンプルである。これらの評価は、種々の組成物を用いて硬化及び硬化の程度を識別するように設定間隔で行われ、複数の組成物相互作用を短時間で識別することが可能であった。評価値は、バイアルを一度はじいて、トルエンの色彩を観察した後に確定した。
【0097】
弾性回復率
弾性回復率は、ASTM C736−00の見解を使用して研究したが、95℃で実施される場合に接着特性よりもバルク特性を理解することを目指すサンプルを用いた使用のために変更された。試験は、硬化エラストマー及びTPS(比較例)に関して行った。全ての場合において、サンプルは、シートに押し込まれたか、又は流延された。次に、取付け及び締付けに関してより小さな断面積の領域及びより大きな断面積の領域を有するように、これらのシートを打ち抜いた(「イヌの骨」形状の検体)。この場合、引張りサンプルを切り取るためのダイをArborプレスと併用し、続いてバーを半分に切り取って、試験で使用した。試験検体は、95℃の高空気流炉中での垂直実験用に作製した。試験サンプルを、メカニカルクランプ、及びメカニカルクランプがサンプルを押しつぶして、取付け点での初期故障を引き起こすのを防ぐためにサンプル上の締付け圧力を分散させるためのサンプルとクランプとの間のマスキングテープと共に適所に維持した。サンプルの元の距離を測定して、元の長さとして記録した。締付けられたサンプルを高空気流炉中に配置させて、サンプル単独を、サンプル自体の重量下での熱抵抗に関して既定時間、場合によっては20時間試験した。サンプルを炉から取り出して、冷却するまで垂直に吊下げて、そこでサンプルを再び測定して、記録した。続いて、これらのサンプルは第2のクランプを有し、重りを取り付けた。重りは、断面積及び所定の力を供給するための量に基づいて既定された。次に、この機構を設定時間の間、95℃の炉に垂直に戻して置いた後、垂直位置のまま冷却するために取り出した。冷却時に、長さを再び測定した。この数を使用して、元の長さと比較した場合の伸長パーセントを導き出した。続いて、第2のクランプ又は底部のものを取り外して、サンプルを10分の回復時間、炉中に戻して置いた。取り外し及びサンプルの冷却時に、サンプル長を再び測定した後、この戻り長の比較は、回復パーセント又は弾性回復率に関して延伸長に対して行うことができた。
【0098】
死荷重試験
長期間所定の重量を支持するサンプルの能力を予期する死荷重試験を行った。サンプル調製は、まさに上述する弾性回復率に類似した様式で行ったが、最初から両端で締付けた。長さの測定もまた、これらのサンプルに対しても弾性回復率測定に関する試験を通じて実施された。試験は硬化サンプルに対して行われた。全ての場合において、サンプルは、シートへ押し込まれたか、又は流延されて、所定の期間硬化させ、場合によっては、強度の追加のために後硬化が行われた。Arborプレスを使用して引張りダイからサンプルを打ち抜き、より小さな断面積の領域を使用して、所望の印加力2psi及び3.45psiを送達するのに必要な、即ちそれぞれ公称18.2グラム及び31.4グラムの重りを確定した。サンプルを、メカニカルクランプ、及びサンプルの両端での締付け圧力を分散させるための材料とクランプとの間のマスキングテープと共に準備した。引張りバーの直線領域は、半径間で34mmであり、これは、弾性回復率に関して延伸中に判断される区域であった。全ての場合で、2psi試験は、まず95℃の高空気流炉中で3時間サンプルに対して行われ、その後、サンプルを取り出して、冷却させて測定した。次に、重り及び底部クランプを取り外して、サンプルを、95℃の高空気炉中に1時間垂直に戻して置いた後、冷却及び測定のために取り出して、弾性回復率を確定した。続いて、サンプルを3.45psi試験に負荷させて、炉中に17時間(一晩)置き、その後、サンプルを取り出して、冷却して測定した。次に、重り及び底部クランプを取り外して、95℃の高空気炉中に1時間垂直に戻して置いた後、冷却及び測定のために取り出して、弾性回復率を確定した。
【0099】
湿分分析
原材料の含水量は、150℃で設定されたMark 4湿度計を使用して熱重量測定の方法により確定した。この装置は、充填剤又は他の物質の重量損失を測定して、抜けている唯一の物質が水であると仮定し、この場合、純(D)成分に関する正当な仮定であるものとする。
【0100】
硬化の深み
サンプルにおいて、十分な内部湿分が存在しない場合、露出表面からの硬化のみが行われる。硬化の7日及び6日後の材料を使用して、トルエン中に1日浸漬させたサンプルを用いて耐溶剤性試験を行った。次に、サンプルを取り出して、トルエンを蒸発させて、残ったものを測定した。このタイプの試験は、重量測定が行われる場合の典型的なゲルの膨潤試験で取り残されるものに類似している。しかしながら、サンプル硬化の徴候は、トルエンが蒸発された後に取り残されたフィルムの厚さから確かめることができる。非常に少量の材料が取り残された場合には、それは非常に少量の硬化ネットワークを示唆し、まさに露出された表面から硬化されたものである可能性が最も高い。材料の大半を硬化させるのに十分な湿分を有し、且つトルエンに耐性であるサンプルは非常に厚かった一方で、適切な湿分供給源が硬化ネットワークを作製するのに利用可能であったことを示唆する。
【0101】
重ねせん断試験
重ねせん断サンプルは、ASTM D3164−97に従って、1”×3”ガラスパネルを使用して、0.25インチボンドラインを創出するように加熱区域中に加熱サンプルを適用させて調製した。サンプルを既定時間硬化させた後、Alliance RT/5張力計を使用して、サンプルを引っ張って、重ねせん断値を得た。サンプルを適用させて、95℃の作業空間中で2つのガラスパネル間に押し込めて、冷却させた後、試験した。これらの値は全て、室温で測定されたか、又は試験の30分前に−31℃のフリーザー中に配置させて、フリーザーから取り出した直後に試験した。
【0102】
可撓性
マンドレル曲げ試験、即ちASTM 3111を−30℃で行った。マンドレル及びサンプルを−30℃のフリーザー中に30分間置いた。各サンプルのサイズは、8mm×22mm及び3mm厚であった。サンプル及びロッドの取り出し時に、サンプルを即座にロッドにわたって曲げて、任意の亀裂又は変化に関して検査した。亀裂又は変化のいかなる徴候も記録した。
【0103】
霜点試験
指針として密閉断熱ガラス(IG)ユニットの霜点(Frost Point of Sealed Insulating Glass (IG) units)に関するASTM E546−88標準試験法を使用して、霜点を試験するために実験室手順を創出した。試験は、小さな実験室ユニット(3”×6”)に関して実施した。ユニットは、高空気流炉中で94℃に保持されるMixPac S−50ハンドヘルドガン及び静的混合機を使用して容量に基づいて1対1の比で混合されるサンプルを用いて作製された。サンプルは、ガラスパネル上へ完全円形、卵形又は長方形を創出するように分配された後、第2のガラスパネルを、分配されたサンプルの最上部上へ配置させて、密閉環境を作り出した。次に、サンプルのガラスパネル間のスペースを乾燥させた。ユニットを室温で4日間硬化させた。硬化後、実験室IGユニットを、IGユニットの片側上で10分間直接ドライアイスにさらした。続いて、ドライアイスを除去して、外側表面にイソプロピルアルコールを噴霧して、外側表面上に凝結する湿分を消散させて、ウィンドウユニットの内部スペースを確かめることを可能にした。凝結が明白でない場合、サンプルは、固体CO2であるドライアイスの温度である−78℃以下の霜点を有するとみなした。
【0104】
<参照例2>
組成物の塗布の3〜4週以内に上述される硬化レベルを達成するために、組成物は、所定の塗布温度で遊離される(利用可能な)十分量の水を含有する必要がある。塗布温度での水の利用可能性は、水放出剤自体又は混合組成物に関してではなく、2部型組成物の「湿潤」部に関して確定されることが好ましい。水放出剤自体に関する水の利用可能性の測定は、組成物の高分子成分中の水の溶解度のような様々な他の要因に起因して組成物中の水の任意の利用可能性を無視するものである。混合組成物中の水の利用可能性の測定は、アルコールのような反応副生成物への水の変換をもたらし得る、水と、シラン、ケイ素反応性ポリマー及び他の水捕捉成分との反応を説明しない。
【0105】
2部型組成物の湿潤部における塗布温度での水の利用可能性は、Annex C of EN 1279 Glass in Building-Insulating Glass Units, Part 2, Long-Term Test Method and Requirements for Moisture Penetrationに記載される方法の変法により、カールフィッシャー電量計及び0.1mgの精度での分析規模を使用して確定することができる。標準試験方法に反して、温度ランプアップを適用する。試験手順に関する詳細を以下に記載する:
【0106】
手順パラメータ
開始温度: 50℃
終了温度: 250℃
温度勾配: 2℃/分
ガス流量: 50ml/分
【0107】
手順:
サンプル0.5gを、組成物の湿潤部のバルク(表面ではない)から採取して、その直後に、カールフィッシャー電量計へ移した。バイアルをカールフィッシャー電量計の炉サンプルプロセッサへ移して、電量計のオペレーティングソフトウェアで設定される手順パラメータに基づいて、測定を開始させる。別個の測定が三重サンプルに関して実施される。次に、カールフィッシャー法により、組成物の湿潤部から遊離される水の絶対量が測定される。続いて、サンプルの重量に基づいて、この絶対量は、放出される水の重量%へ変換することができる。この読取りに基づいて、混合された硬化性組成物の水の量が、組成物の2つの構成成分間の混合比に基づいて確定され得る。
【0108】
良好な硬化性(上記で定義されるような)は、それぞれ総混合組成物の重量に基づいて、塗布温度で放出される水の量が0.015%を超える場合、或いは0.02%を超える場合、或いは0.025%を超える場合に得られ得る。
【0109】
<実施例1〜実施例3>
水放出剤の比較
実施例1は、唯一の水放出剤として沈降炭酸カルシウムを含有する。実施例2は、沈降炭酸カルシウム及び水和モレキュラーシーブの両方を含有する。実施例3は、水放出剤を含有しない。実施例1〜実施例3は、Hauschild(Waterkamp 1, Hamm 59075 Germany)からの汎用混合機であるモデルAM 501 Tを使用して、列挙した順序で表2における成分を混合することにより1部型組成物として調製された。
【0110】
サンプルを調製するために、まずHauschild混合カップ中で(J2)成分のワックス25.2グラムを(E1)成分のカーボンブラック18グラムと共に配置させること、それらを97℃で30分間加熱すること、及び26秒間混合することにより、そのプレブレンドを作製した。混合物を手動で攪拌して、再び混合させた。混合物を取り出して、剥離ライナーの2つのシート間に押し込めて、冷却した。次に、このプレブレンドをマスターバッチ中で乾燥構成成分として添加した。したがって、プレブレンド3.6グラムを使用することは、組成物中に1.5グラムレベルのカーボンブラックをもたらした。
【0111】
(A1)成分のシリル化共重合体、(F2)成分のポリイソブチレン、上記で調製されるプレブレンド及び(J2)成分のワックスをHauschild混合カップ中で組み合わせて、高空気流炉中で97℃にて1時間加熱した後、26秒間混合した。次に、(G2)成分のビニルトリメトキシシランをカップに添加して、さらに26秒間混合した。
【0112】
続いて、以下の成分を順に添加した:(D1)沈降炭酸カルシウム、(E2)粉砕炭酸カルシウム、(I1)テトラエチルオルトシリケート、(I2)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及び(C1)モレキュラーシーブ。各添加後、カップを高空気流炉中で97℃にて10分〜15分間置いて、カップの内容物を26秒間混合した。
【0113】
この段階で、材料は、より後期の作業のためのマスターバッチであるとみなされた。材料を保存して、さらなる試験を可能にするために、マスターバッチ10グラムの基盤を使用して、最終組成物へと配合させた。より小さな混合カップ中に、マスターバッチを添加して、(D2)水和モレキュラーシーブ(存在する場合)を混合した。これに続いて、(B2)錫触媒を添加して、混合した。錫添加後に混合機を始動させた時間を、反応の開始とみなすと共に、硬化の開始とみなした。
【0114】
【表5】

【0115】
デュロメーターの物理的特性及び耐溶剤性を参照例1に記載されるように測定して、結果は表3に示す。実施例1及び実施例2は、この1部型組成物では、初期のデュロメーターの結果により示されるように(D2)水和モレキュラーシーブの存在が生強度に有意に寄与しないことを示す。表3により、水和モレキュラーシーブ(実施例2)由来の水は、この組成物が5秒デュロメーター(バルク)及び耐溶剤性を構築するのをわずかに助長するが、沈降炭酸カルシウム(実施例3)由来の水なしでは、硬化は、IG産業が必要であると考える迅速な加工サイクルにとって十分迅速ではないことが示唆される。Aresレオメーターによる硬化はまた、内部硬化水によりこの配合物が十分迅速な硬化を達成することが可能であることを示唆する。
【0116】
【表6】

【0117】
実施例1及び実施例2はさらに、エラストマーネットワークの形成がこの組成物においてやや低いシリル化共重合体含有量で達成され得ることを示す。このことは、耐溶剤性、膨潤/ゲル分率、弾性回復率のような乏しいエラストマー特性をもたらす不十分に架橋されたネットワークが生じなかったことから驚くべきことである。
【0118】
<実施例4〜実施例7>
硬化する能力
実施例4〜実施例7は、硬化する能力を実証するのに使用された。組成物は、Hauschild混合機により97℃で加熱した後の材料を混合することにより、実施例1に関して上述するプロセスと類似したプロセスで作製された。できるだけ数少ない構成成分を、水供給源の識別のために使用した。錫触媒の添加時に、硬化時間の開始とした。以下の表4は、何らかの手段によって水が添加されていない組成物(実施例4)が、試験を可能にさせる少なくとも1時間で硬化しなかったことを示す。沈降炭酸カルシウムサンプル(実施例5)は、約4.5分での最も迅速なゲル化点を示し、これは高含有量水和モレキュラーシーブ配合物(実施例7)の半分であった。
【0119】
【表7】

【0120】
水和モレキュラーシーブ及び沈降炭酸カルシウムの含水量は、原材料に関して150℃で設定されたMark 4湿度計を使用して熱重量測定の方法により確定し、実際の組成物に関しては確定しなかった。この装置は、重量損失を測定して、抜けている唯一の物質が水であると仮定し、この場合、原材料に関する正当な仮定であるものとする。
【0121】
これらの実験により、100℃の塗布温度では、沈降CaCO3は、この組成物において水和モレキュラーシーブよりも実質的なより有効な水の供給源であることが示される。貯蔵弾性率(G’)は、組成物の硬化生成物のゴム状弾性に関連する。損失弾性率(G”)は、硬化生成物の粘性流れ特性に関連する。短期間のうちにG’弾性率とG”弾性率との交差の達成は、組成物がより速く硬化し始めると解釈することができる。組成物中の水の%が実施例5におけるよりも実施例6及び実施例7においてより高いにも関わらず、実施例5は、実施例6及び実施例7における水和モレキュラーシーブを用いた場合よりもこの組成物において沈降CaCO3を用いた場合により速く硬化が始まることを示す。実施例5は、より速い硬化に相当する最高のG’値を有した(比較例よりも実施例5において、この時点で、より多くの硬化が起こり、より多くの硬化ネットワークを形成する)。理論により拘束されるのを望まないが、本発明の組成物は、水和モレキュラーシーブ上で保有されるより大量の水を含有する組成物と比較した場合に、低減された含水量により改善された硬化を有するという利点を提供し、これが、組成物の貯蔵安定性を改善させることができ、またIGユニットの窓ガラス間スペースへ拡散する湿分の危険性を低減させ得ると考えられる。実施例1〜実施例7の結果に基づいて、モレキュラーシーブではなく、沈降CaCO3が、90℃〜110℃の範囲の塗布温度範囲に関して水供給源として使用され得る。しかしながら、理論により拘束されることを望まないが、飽和モレキュラーシーブは、より高い塗布温度範囲、例えば120℃〜140℃で(D)成分に関して使用され得ると考えられる。さらに、理論により拘束されるのを望まないが、本発明の組成物は、水供給源として水和塩の必要性を排除するという利点を提供する可能性があり、それにより接着に対する負の影響のようなそれに付随する不利点を回避すると考えられる。
【0122】
湿分含有量による硬化をさらに研究するために、実施例4〜実施例7は、参照例1に従って耐溶剤性に関して試験された。サンプルは、硬化の7日後及び6日後に試験した。サンプルを効果的に着色するようにカーボンブラックを存在させなかったため、サンプルが溶解しているかどうかを確認することは困難であったが、各場合において、サンプルは、異なってはいるが依然としてもとのままであるように見えた。1日間トルエン中に存在させた後、サンプルを取り出して、トルエンを蒸発させて、取り残されたものを確定した。これは、ゲルの膨潤試験の典型である。重量測定は行わず、そのためゲル又は未反応材料のパーセントは入手不可能であった。しかしながら、サンプル硬化の徴候は、トルエンを蒸発させた後に取り残されたフィルムの厚さから確かめることができる。比較例2では、非常に少量の材料が、0.07mm膜厚で取り残され、非常に少量の硬化ネットワークが形成され、硬化が、まさに露出された表面から行われた可能性が最も高いことを示唆した。比較例3及び比較例4並びに実施例3は全て、材料の大半を硬化させるのに、またトルエンに対して耐性であるのに十分な湿分を有し、それぞれが十分な硬化時間を付与される適切な湿分供給源であることを示唆した。結果は表5に示す。
【0123】
【表8】

【0124】
<実施例8〜実施例10>
容量に基づいて1:1及び重量に基づいて2:1の混合比を有する2部系において生成物を配合する能力
実施例8〜実施例10は、組成物が1:1の混合比又は1:1に近い混合比(例えば、1:2又は2:1)を有する2部型組成物として調製され得ることを示す。理論により拘束されることを望まないが、これらの混合比は、通常10:1の基剤対触媒の混合比を有するRTV2部生成物よりも混合比許容性に関してより寛大であるため、このことは有益であると考えられる。
【0125】
実施例8(混合)、実施例9(混合)及び実施例10(混合)は、容量に基づいて1:1又は重量に基づいて2:1の混合比で混合される場合に、良好な生成物を示した。容量に基づいて1:1の例では、配合データは、未知のデータに起因して提示されないが、個々の部は、重量基準で行うことができ、2部の比重を考慮して容量基準に基づいて1対1で混合されるとされている。
【0126】
【表9】

【0127】
【表10】

【0128】
1:1の容量基準で混合された実施例8、実施例9及び実施例10はまた、可撓性に関しても試験された。マンドレル曲げ試験、即ちASTM 3111を−30℃で行った。マンドレル及び各実施例の検体を−30℃のフリーザー中に30分間置いた。各検体のサイズは、8mm×22mm及び3mm厚であった。サンプル及びロッドの取り出し時に、サンプルを即座にロッドにわたって曲げて、任意の亀裂又は変化に関して検査した。サンプルは全て容易に曲げられ、亀裂又の徴候を示さなかった。
【0129】
<実施例11及び実施例12>
市販の「硬化性」及び「構造的」PIB/ブチル材料
実施例11のDelchem D−2000(反応性ホットメルトブチルIGシーリング材として公表される)、実施例12のDelchem D130 HMブチル(Intercept(登録商標)スペーサー系に関して改善された構造特性を有するホットメルトブチルIGシーリング材として公表される)(共に、Delchem, Inc., P.O. Box 10703, Wilmington, DE 19850, U.S.A.から市販されている)、及び実施例13のKoemmerling, Pirmasens, GermanyからのKoedimelt TPS(非硬化性)TPS材料は、これらの材料が分配されて、3年間硬化させた後でさえも良好に架橋しないことを示す。表7で報告される数に基づくDelchem D−2000に関するトルエン溶解度データは、一晩保管された場合でさえも低いようであるが、材料はバラバラになって壊れていた。これまでのゲルの膨潤試験では、多量のDelchem D−2000が溶解されて、非架橋系を代表するHMブチルは完全に溶解された。同様に、KoemmerlingのKoedimeltは非硬化性であるため、材料は、3年保管後でさえ、トルエン中に溶解する。
【0130】
【表11】

【0131】
<実施例14〜実施例17>
生強度の発達
生強度の迅速な発達は、それが生産ラインの最後での密閉IGユニットの取り扱い及びユニットの早期出荷を可能にし得る(ユニットを注文に応じて作製して、迅速に出荷することができる)ため望ましい。理論により拘束されることを望まないが、マイクロクリスタリンワックスは、シーリング材に対して優れた生強度、即ち温度降下に伴う組成物粘度の強力な増加を提供すると考えられる。
【0132】
実施例15は、生強度を悪化させる硬化の開始の影響を伴わない材料の生強度の発達又は硬化前の強度を実証すると意図される。したがって、実施例15は、別の状況では硬化性配合物であるが、硬化の開始を遅延させるように錫触媒の添加を伴わない。重ねせん断強度は、ASTM D816−82(1993)e1、D1002−94に従って、ガラスパネルを使用して、加熱区域で加熱材料を適用させて測定された。サンプルは、20.4psiの重ねせん断値をもたらした。実施例16は、錫触媒を用いずに作製されて、22.7psiの重ねせん断値をもたらした。実施例14は、錫触媒を添加したことを除いて、実施例16と同じであった。実施例14は、硬化の7日後に36.7psiの重ねせん断値をもたらした。比較して、KoemmerlingからのKoedimelt TPSの実施例17は、13.7psiの重ねせん断値を示した。したがって、実施例13の組成物からの生強度は、IGユニットの製造にとって十分である。これらの値は全て、室温で測定した。
【0133】
【表12】

【0134】
<実施例18>
ワックスの存在にも関わらない低温可撓性
1:1基準で容量に基づいて混合される実施例18のA部及びB部は、硬化の7日後に−31℃でさえ重ねせん断値78.4psi及び歪4.6%を示した。サンプルは、再びカーボンブラックのマスターバッチを使用してすでに説明した実施例8〜実施例10に関する方法に類似した個々の部で作製されたが、この場合では、酸化防止剤もまたこのブレンドに添加した。重ねせん断検体は、接着剤のボンドラインが0.25インチ厚である1インチ×3インチのガラス2片に対してASTM D816−82(1993)e1、D1002−94に従って標準的な手段により調製した。94℃の炉中で加熱しながら17個の要素の静的混合機を使用した2部50cc混合システムにより、材料を混合してガラスに塗布した。
【0135】
【表13】

【0136】
<実施例19>
連続配合機で調製される2部配合物
表10に示される2部型組成物は、COPERION 25mm共回転の十分にかみ合った二軸押出機(12バレル長)(長さ:直径、L:D比 48:1)で配合した。
【0137】
【表14】

【0138】
A部の中間体は、計量用のBonnotポンプ及びギヤポンプにより押出機の第1のバレル中で(F4)成分を供給することにより調製された。(J2)成分及び(L1)成分は第3のバレルに添加された。(D1)成分及び(E1)成分のプレブレンドは、プラスチック袋中でこれらの成分を振とうすることにより調製され、この充填剤プレブレンドの60%(重量に基づく)は押出機の第9のバレルに添加された。第11のバレルで真空を引いた。得られた混合物は、中間体として第12のバレルの最後で押し出された。中間体製造の完了後、この中間体を、計量用のBonnotポンプ及びギヤポンプにより第1のバレルへ再び供給した。充填剤プレブレンドの残りの40%を押出機の第9のバレルに添加した。第11のバレルで真空を引いた。得られた混合物は、組成物のA部として第12のバレルの最後に押し出された。
【0139】
B部は、バレル1中で計量用のBonnotポンプ及びギヤポンプにより(A1)成分を供給することにより調製された。(J2)成分及び(L1)成分は、バレル3に添加された。(I4)成分、(G2)成分、(G3)成分、(K1)成分、(K2)成分及び(B2)成分は、手動で振とうすることによりガラス器具中でプレブレンドされた後、高圧二重ピストン(HPLC)ポンプによりバレル5に添加された。バレル7で真空を引いて、メタノールを取り除いた。(C1)成分は、バレル9に添加された。バレル11で真空を引いた。得られた混合物は、バレル12の最後に押し出された。
【0140】
押出機は、A部に関しては200rpm〜600rpmで、B部に関しては100rpm〜400rpmで作動された(機械能力は0rpm〜1200rpmである)。A部を作製する際、温度プロフィールは、機械の長さに沿って90℃〜120℃の範囲であった(長さの半分は90℃で存在し、残部は120℃で存在した)。B部を作製する際、温度プロフィールは通常、機械の全長に関して90℃であった。
【0141】
A部及びB部を500mLの「ソーセージ」容器へ包装した。A部及びB部は、2部混合及び計量供給機械により一緒に混合させた。ソーセージ容器は、2つの部を加熱された静的混合機(長さ80cm、最少15個の静的混合要素)へ、そこからギヤポンプへ、続いてBystronic TPS塗布ヘッド(5.8mm×18mmの押出ダイを有する)へ供給するために水力学により約280・105Paへ加圧された2つのシリンダーへ供給された。機器は、90℃塗布温度に設定された。塗布機器に関するさらなる実験条件は表11に見られる。
【0142】
【表15】

【0143】
2つの部の優れた混合は、15個を超える静的混合要素を用いて達成された(バルク混合材料を通して約1/3を切断すること、続いてストランドを引き離すことにより切断部を伸長することにより可視的に判断した)。90℃で、2つの部を混合することにより調製される組成物は、良好に押出成形された(但し、塗布機器で達成される低押出速度(約100g/分)は除く)。組成物は、90℃で熱いうちに塗布される場合、ガラス上での良好な湿潤性(ガラス/シーリング材界面を、ガラスを通して可視的に検査することにより判断される)及びガラス上での良好な粘着力を有した。冷たいガラス表面へより低温(30℃〜40℃)で塗布される場合、組成物は依然として許容可能な粘着力を示した。組成物はまた、良好な自己接着を有した(予め塗布される低温材料へ新たに塗布される高温材料の接着)。
【0144】
組成物の2mm厚のシートを、90℃及び30・105Pa圧力で40分間硬化させた。その後、得られた硬化生成物は、1分以内にマンドレルの周囲で90°曲げられる際にほぼ100%の弾性回復率を示した。硬化生成物は、毎日繰り返しの激しい振とうを伴ってトルエン中で室温にて1週間保管される場合に溶解しなかった。
【0145】
<実施例19>
連続配合機で調製される2部配合物
表12で示される2部型組成物は、COPERION 25mm共回転の十分にかみ合った二軸押出機(12バレル長)(長さ:直径、L:D比 48:1)で配合される。
【0146】
【表16】

【0147】
A部は、計量用のBonnotポンプ及びギヤポンプにより押出機の第1のバレル中で(F4)成分を供給することにより調製される。(J2)成分及び(L1)成分は第3のバレルに添加される。(D1)成分22部及び(E1)成分15部のプレブレンドは、プラスチック袋中でこれらの成分を振とうすることにより調製される。プレブレンドは、押出機の第9のバレルに添加される。(E1)成分の残りの15部は、第6のバレルに添加される。第11のバレルで真空を引く。得られた混合物は、第12のバレルの最後に押し出される。
【0148】
B部は、バレル1中で計量用のBonnotポンプ及びギヤポンプにより(A1)成分を供給することにより調製される。(J2)成分及び(L1)成分は、バレル3に添加される。(I4)成分、(G2)成分、(G3)成分、(K1)成分、(K2)成分及び(B2)成分は、手動で振とうすることによりガラス器具中でプレブレンドされた後、高圧HPLCポンプによりバレル5に添加される。バレル7で真空を引いて、メタノールを取り除く。(C1)成分は、バレル9に添加される。バレル11で真空を引く。得られた混合物は、バレル12の最後に押し出される。
【0149】
押出機は、A部に関しては200rpm〜600rpmで、B部に関しては100rpm〜400rpmで作動される(機械能力は0rpm〜1200rpmである)。A部を作製する際、温度プロフィールは、機械の長さに沿って90℃〜120℃の範囲である(長さの半分は90℃で存在し、残部は120℃で存在する)。B部を作製する際、温度プロフィールは通常、機械の全長に関して90℃である。
【0150】
A部及びB部を500mLの「ソーセージ」容器へ包装する。A部及びB部は、2部混合及び計量供給機械により一緒に混合させる。ソーセージ容器は、2つの部を加熱された静的混合機(長さ80cm、最少15個の静的混合要素)へ、そこからギヤポンプへ、続いてBystronic TPS塗布ヘッド(5.8mm×18mmの押出ダイを有する)へ供給するために水力学により約280・105Paへ加圧された2つのシリンダーへ供給される。機器は、90℃塗布温度に設定される。塗布機器に関するさらなる実験条件は表13に見られる。
【0151】
【表17】

【0152】
<実施例20>
連続配合機で調製される2部配合物
表14に示される2部型組成物は、COPERION 25mm共回転の十分にかみ合った二軸押出機(12バレル長)(長さ:直径、L:D比 48:1)で配合した。
【0153】
【表18】

【0154】
A部は、(J2)成分及び(F5)成分をプレブレンドすることにより、並びに重量一軸スクリュー供給機(K−Tron)を用いてそれらを第1のバレルへ計量することにより調製された。材料は第1の2つのバレル中で混合されて、ドロドロ状にされた後、ポンプで送り込まれて、ギヤポンプと併用してBonnotポンプを使用して(F3)成分の30%〜50%を第3のバレルへ計量する。これらの材料を完全に混合した後、HPLCポンプ、静的混合機及び高圧注入バルブを使用して第4のバレルにおいて(I4)成分及び(B2)成分を注入した。再び、これらの材料を完全に混合した後、プレブレンドされ、且つ二軸スクリューサイドラム押出機(Coperion)と共に二軸スクリュー供給機(Brabender)を使用してバレル6の側面に供給される(C3)成分及び(E1)成分を添加する。材料をブレンドへ組み込ませて、(F3)成分の残りの50%〜70%の残余を、ギヤポンプと併用してBonnotポンプを使用してバレル7に添加する。充填剤が良好に分散された後、再び二軸スクリューラム押出機(Coperion)と併用して二軸スクリュー供給機(K−Tron)を使用してバレル9の側面で(F6)成分を添加する。第2の充填剤は良好に分散され、バレル11で真空を適用させて、残留副生成物及び空気を除去する。得られた混合物は、第12のバレルの最後に押し出される。
【0155】
B部は、(J2)成分、(F5)成分及び(F6)成分をプレブレンドすることにより、並びに重量一軸スクリュー供給機(K−Tron)を用いてそれらを第1のバレルへ計量することにより調製された。材料は第1の2つのバレル中で混合されて、ドロドロ状にされた後、ポンプで送り込まれて、ギヤポンプと併用してBonnotポンプを使用して(A1)成分の30%〜50%を第3のバレルへ計量する。これらの材料を完全に混合した後、HPLCポンプ、静的混合機及び高圧注入バルブを使用して第4のバレルにおいて(G3)成分、(K1)成分及び(K2)成分を注入した。再び、これらの材料を完全に混合した後、二軸スクリューサイドラム押出機(Coperion)と共に二軸スクリュー供給機(Brabender)を使用してバレル6の側面に供給された(D1)成分を添加する。材料をブレンドへ組み込ませて、(A1)成分の残りの50%〜70%の残余を、ギヤポンプと併用してBonnotポンプを使用してバレル7に添加する。充填剤が良好に分散された後、再び二軸スクリューラム押出機(Coperion)と併用して二軸スクリュー供給機(K−Tron)を使用してバレル9の側面で(E3)成分を添加する。第2の充填剤は良好に分散され、バレル11で真空を適用させて、残留副生成物及び空気を除去する。得られた混合物は、第12のバレルの最後に押し出される。
【0156】
押出機は、A部に関しては200rpm〜600rpmで、B部に関しては100rpm〜400rpmで作動された(機械能力は0rpm〜1200rpmである)。A部を作製する際、温度プロフィールは通常、機械の全長に関して90℃であった。B部を作製する際、温度プロフィールは、機械の長さに沿って120℃〜90℃の範囲であった(第1の3つのバレルは120℃で存在し、機械の残部は90℃で存在した)。
【0157】
A部及びB部を、ランス型充填システムを使用して200Lのドラムへ包装した。A部及びB部は、2部混合及び計量供給機械により一緒に混合させた。ドラム由来の材料(A部及びB部)は、加熱された伴板を使用して加水分解的に作動されるホットメルトドラムポンプにより圧力シリンダー(実施例18及び実施例19で記載される)へ供給された。続いて、2つのシリンダーは、2つの部を加熱された静的混合機(長さ80cm、最少15個の静的混合要素)へ、そこからギヤポンプへ、続いてBystronic TPS塗布ヘッド(5.8mm×18mmの押出ダイを有する)へ供給するために水力学により約280・105Paへ加圧された。機器は、95℃塗布温度に設定された。塗布機器に関するさらなる実験条件は表15及び表16に見られる。
【0158】
【表19】

【0159】
【表20】

【0160】
2つの部の優れた混合は、15個を超える静的混合要素を用いて達成された(バルク混合材料を通して約1/3を切断すること、続いてストランドを引き離すことにより切断部を伸長することにより可視的に判断した)。95℃で、2つの部を混合することにより調製される組成物は、良好に押出成形された(ギヤポンプ回転速度60rpmで、最大押出速度約1600グラム/分が達成された)。組成物は、95℃で熱いうちに塗布される場合、ガラス上での良好な湿潤性(ガラス/シーリング材界面を、ガラスを通して可視的に検査することにより判断される)及びガラス上での良好な粘着力を有した。冷たいガラス表面へより低温(30℃〜40℃)で塗布される場合、組成物は依然として非常に良好な粘着力を示した。組成物はまた、良好な自己接着を有した(予め塗布される冷たい材料に対する新たに塗布される熱い材料の接着)。最大12mmの押出幅まで、ビーズはスランプを全く示さなかった。
【0161】
組成物の2mm厚のシートを、100℃及び30・105Pa圧力で40分間硬化させた。その後、得られた硬化生成物は、1分以内にマンドレルの周囲で90°曲げられる際にほぼ100%の弾性回復率を示した。硬化生成物は、毎日繰り返しの激しい振とうを伴ってトルエン中で室温にて1週間保管される場合に溶解しなかった。
【0162】
塗布されたてのビーズの荷重負荷能力を評価するために、第1の断熱ガラス(IG)ユニットを調製した。IGユニットは下記の通りに構築された:まず、混合材料の12mm幅及び5.8mm厚のビーズを、50×50cm2寸法を有する4mm厚のフロート窓ガラスの周囲に沿って塗布した。その直後に、より小さな窓ガラスがより大きな窓ガラスの中央に正確に中心にくるような様式で、塗布したビーズと一緒に窓ガラスを、100×100cm2寸法を有する4mm厚のフロート窓ガラスに対して押し込めた。次に、より大きな窓ガラスが完全に支持されず、且つ混合材料のビーズが支持されていない窓ガラスの重量を支えなくてはならないように、より小さな窓ガラスを木製展翅板上に設定した。1時間後、より大きな窓ガラスの最大2.5mmのたるみが観察された。比較して、同条件下で試験した塗布したてのTPS/シリコーン二重シールは、支持されていない窓ガラスの最大3mm〜4mmのたるみを生じる。
【0163】
塗布されたてのビーズの初期接着(粘着力)を評価するために、第2の断熱ガラス(IG)ユニットを調製した。IGユニットは下記の通りに構築された:まず、混合材料の12mm幅及び5.8mm厚のビーズを、35×55cm2寸法を有する4mm厚のフロート窓ガラスの周囲に沿って塗布した。その直後に、塗布したビーズと一緒に窓ガラスを、35×55cm2寸法を有する4mm厚のフロート窓ガラスに対して押し込めた。材料を1時間冷却させた後、Annex F.4.2. Butterfly Testにおける欧州基準EN 1279 Part6(2002)に記載されるようにIGユニットに対してバタフライ試験を実施することにより、材料の初期接着(粘着力)を試験した。バタフライ試験は、観察されるシーリング材材料の接着の任意の損失を伴わずに、フロートガラスの2つの切断片を180℃分回転させることにより実施された。
【0164】
材料構成成分(A部及びB部)の安定性は、95°で16時間加熱されたドラムを維持することにより試験された。その後、この実施例で上述するように、押出速度を試験した。押出速度の変化は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー10重量%〜65重量%、
(B)縮合触媒0.1重量%〜3重量%、
(C)物理的乾燥剤15重量%〜25重量%、
(D)塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤5重量%〜30重量%、
(E)充填剤0重量%〜30重量%、
(F)非反応性エラストマー有機ポリマー0重量%〜30重量%、
(G)架橋剤0重量%〜5重量%、
(H)(G)成分以外の化学的乾燥剤0重量%〜5重量%、
(I)(G)成分及び(H)成分以外の接着促進剤0重量%〜5重量%、
(J)25℃で固体であるマイクロクリスタリンワックス0重量%〜20重量%、
(K)老化防止添加剤0重量%〜3重量%、並びに
(L)粘着付与剤0重量%〜20重量%
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、(I)湿潤部及び(II)乾燥部を含む複数部型組成物として調製され、(I)該湿潤部は、
任意に(F)前記非反応性エラストマー有機ポリマー、
(D)前記水放出剤、
任意に(J)ワックス、
任意に(L)粘着付与剤、並びに
任意に(E)補強充填剤及び増量充填剤、
任意に(K)前記老化防止添加剤
を含み、且つ(II)該乾燥部は、
(A)前記湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー、
任意に(F)前記非反応性エラストマーポリマー、
(B)前記縮合触媒、
(C)前記物理的乾燥剤、
任意に(J)前記ワックス、
任意に(L)前記粘着付与剤、
任意に(G)前記架橋剤、
任意に(H)前記化学的乾燥剤、
任意に(K)前記老化防止添加剤、並びに
任意に(I)前記接着促進剤
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、(I)湿潤部及び(II)乾燥部を含む複数部型組成物として調製され、(I)該湿潤部は、
(A)前記湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー、
任意に(F)前記非反応性エラストマー有機ポリマー、
(D)前記水放出剤、
任意に(J)ワックス、
任意に(L)前記粘着付与剤、並びに
任意に(E)補強充填剤及び増量充填剤、
任意に(K)前記老化防止添加剤
を含み、且つ(II)該乾燥部は、
任意に(F)前記非反応性エラストマー有機ポリマー、
(B)前記縮合触媒、
(C)前記物理的乾燥剤、
任意に(J)前記ワックス、
任意に(L)前記粘着付与剤、
任意に(G)前記架橋剤、
任意に(H)前記化学的乾燥剤、
任意に(K)前記老化防止添加剤、並びに
任意に(I)前記接着促進剤
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
せん断下で前記成分を混合することを含む請求項1に記載の組成物の製造方法。
【請求項5】
前記成分が、真空下又は乾燥不活性ガス下、或いはその両方の下で混合される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1)(A)、(B)及び(C)を含む成分をせん断下で混合し、前記乾燥部を形成すること、並びに
2)(F)及び(D)を含む成分をせん断下で混合し、前記湿潤部を形成すること
を含む請求項2に記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
1)(A)、(F)、(B)及び(C)を含む成分をせん断下で混合し、前記乾燥部を形成すること、並びに
2)(F)及び(D)を含む成分をせん断下で混合し、前記湿潤部を形成すること
を含む請求項2に記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
1)(A)、(B)及び(C)を含む成分をせん断下で混合し、前記乾燥部を形成すること、並びに
2)(J)及び(D)を含む成分をせん断下で混合し、前記湿潤部を形成すること
を含む請求項2に記載の組成物の製造方法。
【請求項9】
1)(B)及び(C)を含む成分を混合し、前記乾燥部を形成すること、並びに
2)(A)及び(D)を含む成分をせん断下で混合し、前記湿潤部を形成すること
を含む請求項3に記載の組成物の製造方法。
【請求項10】
3)前記湿潤部及び前記乾燥部を混合すること、並びに
4)工程3)の生成物を基材へ塗布すること
をさらに含む請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
断熱ガラスの製造におけるシーリング材、接着剤、スペーサー、乾燥剤マトリックス、一体化エッジシール又はそれらの組合せとしての、請求項1に記載の組成物の硬化生成物の使用。
【請求項12】
断熱ガラスの製造における水蒸気バリア、ガスバリア、窓ガラス間のシーリング材、窓ガラス間のスペーサー及び乾燥剤マトリックスとしての、請求項1に記載の組成物の硬化生成物の使用。
【請求項13】
第1の窓ガラス101、
該第1の窓ガラス101から距離を空けて配置される第2の窓ガラス102、及び
該第1の窓ガラスと該第2の窓ガラスとの間に介在される請求項1又は請求項2に記載の組成物の硬化生成物103
を備える断熱ガラスユニット201であって、該硬化生成物103が、該第1の窓ガラスと該第2の窓ガラスとの間でスペーサー、シール、湿分バリア、ガスバリア及び乾燥剤マトリックスを形成する断熱ガラスユニット。
【請求項14】
i)前記第1の窓ガラス及び前記第2の窓ガラスを窓ガラス間スペースによって間隔を空けて配置される平行位置へと至らせること、
ii)前記第1の窓ガラス及び前記第2の窓ガラスの周囲に沿って該窓ガラス間スペースへ該組成物を塗布すること、並びに
iii)前記組成物を硬化させること
を含む請求項13に記載の断熱ガラスユニットの製造方法。
【請求項15】
i)前記第1の窓ガラスの周囲付近にフィラメントシールとして前記組成物を塗布すること、
ii)前記第1の窓ガラス及び前記第2の窓ガラスが窓ガラス間スペースによって間隔を空けて配置されるように、前記第2の窓ガラスを前記窓ガラスに対して平行位置へと動かすこと、
任意にiii)前記窓ガラス間スペースにガスを充填すること、
iv)前記第1の窓ガラス上に形成された該フィラメントシールに対して前記第2の窓ガラスを押し付けること、並びに
v)前記組成物を硬化させること
を含む請求項13に記載の断熱ガラスユニットの製造方法。
【請求項16】
i)前記組成物がガラスに比べて接着しにくい支持体上へフィラメントシールとして前記組成物を塗布すること、
ii)該支持体から前記第1の窓ガラス上へ該フィラメントシールを移すこと、
iii)前記第1の窓ガラス及び前記第2の窓ガラスを平行位置で一緒に押し付けること、並びに
iv)前記組成物を硬化させること
を含む請求項13に記載の断熱ガラスユニットの製造方法。
【請求項17】
請求項2に記載の組成物を使用し、前記湿潤部及び前記乾燥部が、工程i)又は工程ii)の直前に混合される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物の硬化が、大気湿分の非存在下で実施される請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を硬化させる方法であって、前記組成物を基材へ塗布する間に、前記組成物を基材へ塗布した後に、又はそれらの組み合わせで、80℃〜110℃の範囲の温度に前記組成物を加熱することによって前記組成物の硬化を実施する組成物の硬化方法。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を硬化させる方法であって、前記組成物を基材へ塗布する間に80℃〜110℃の範囲の温度に前記組成物を加熱し、その後、3〜4週間、20℃〜80℃の温度に前記組成物を冷却することによって前記組成物の硬化を実施する組成物の硬化方法。
【請求項21】
(A)成分が、イソモノオレフィンとビニル芳香族モノマーとのシリル化共重合体、イソモノオレフィンのシリル化単独重合体、ビニル芳香族モノマーのシリル化単独重合体及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
(A)成分が、イソブチレンとアルキルスチレンとのシリル化共重合体、イソブチレンのシリル化単独重合体、イソプレンとイソブチレンとのシリル化共重合体、アルキルスチレンのシリル化単独重合体及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
(B)成分が、錫(IV)化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
(C)成分が、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
(D)成分が、沈降炭酸カルシウムである請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
(E)成分が存在し、(E)成分が、補強充填剤、増量充填剤、揺変性充填剤、顔料及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
(F)成分が存在し、(F)成分がポリイソブチレンである請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
(G)成分が存在し、(G)成分が、アルコキシシラン、アルコキシシランのオリゴマー反応生成物又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
(I)成分が存在し、(I)成分が、テトラエチルオルトシリケート、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン及び(γ−イソシアノプロピル)トリエトキシシラン並びにそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
(J)成分が存在し、(J)成分が無極性炭化水素である請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
(K)成分が存在し、(K)成分が、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、熱安定剤及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
(L)成分が存在し、(L)成分が、脂肪族炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂、ロジンエステル、水素化ロジングリセロールエステル及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
I)(A)湿分硬化性シラン官能性エラストマー有機ポリマー10重量%〜65重量%、
(B)縮合触媒0.1重量%〜3重量%、
(C)物理的乾燥剤15重量%〜25重量%、
(E)充填剤0重量%〜30重量%、
(F)非反応性エラストマー有機ポリマー0重量%〜30重量%、
(G)架橋剤0重量%〜5重量%、
(H)(G)成分以外の化学的乾燥剤0重量%〜5重量%、
(I)(G)成分及び(H)成分以外の接着促進剤0重量%〜5重量%、
(J)25℃で固体であるマイクロクリスタリンワックス0重量%〜20重量%、
(K)老化防止添加剤0重量%〜3重量%、並びに
(L)粘着付与剤0重量%〜20重量%
を含む組成物へ、(D)塗布温度範囲にわたって水を放出する水放出剤5重量%〜30重量%を添加すること、並びに
II)水和した前記水放出剤から水を放出させ、それにより工程I)の生成物を硬化させること
を含む方法。
【請求項34】
せん断下で前記成分を混合することを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記成分が、真空下又は乾燥不活性ガス下、或いはその両方の下で混合される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程II)が大気湿分の非存在下で実施される請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物を基材へ塗布する間に、前記組成物を基材へ塗布した後に、又はそれらの組み合わせで、80℃〜120℃の範囲の温度に前記組成物を加熱することによって工程II)を実施する請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物を2つの基材間に介在させた後に80℃〜110℃の範囲の温度に前記組成物を加熱することによって工程II)を実施する請求項33に記載の方法。
【請求項39】
(A)成分が、イソモノオレフィンとビニル芳香族モノマーとのシリル化共重合体、イソモノオレフィンのシリル化単独重合体、ビニル芳香族モノマーのシリル化単独重合体及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項40】
(A)成分が、イソブチレンとアルキルスチレンとのシリル化共重合体、イソブチレンのシリル化単独重合体、アルキルスチレンのシリル化単独重合体及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項41】
(B)成分が、錫(IV)化合物である請求項33に記載の方法。
【請求項42】
(C)成分が、ゼオライト、モレキュラーシーブ及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項43】
(D)成分が、沈降炭酸カルシウムである請求項33に記載の方法。
【請求項44】
(E)成分が存在し、(E)成分が、補強充填剤、増量充填剤、揺変性充填剤、顔料及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項45】
(F)成分が存在し、(F)成分がポリイソブチレンである請求項33に記載の方法。
【請求項46】
(G)成分が存在し、(G)成分が、アルコキシシラン、アルコキシシランのオリゴマー反応生成物又はそれらの組合せを含む請求項33に記載の方法。
【請求項47】
(I)成分が存在し、(I)成分が、テトラエチルオルトシリケート、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、(エチレンジアミンプロピル)トリメトキシシラン及び(γ−イソシアノプロピル)トリエトキシシラン並びにそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項48】
(J)成分が存在し、(J)成分が無極性炭化水素である請求項33に記載の方法。
【請求項49】
(K)成分が存在し、(K)成分が、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、熱安定剤及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項50】
(L)成分が存在し、(L)成分が、脂肪族炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂、ロジンエステル、水素化ロジングリセロールエステル及びそれらの組合せから成る群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項51】
断熱ガラスの製造におけるシーリング材、接着剤、スペーサー、乾燥剤マトリックス、一体化エッジシール又はそれらの組合せとしての、請求項33〜50のいずれか一項に記載の工程II)の生成物の使用。
【請求項52】
断熱ガラスの製造における水蒸気バリア、ガスバリア、窓ガラス間のシーリング材、窓ガラス間のスペーサー及び乾燥剤マトリックスとしての、請求項33〜50のいずれか一項に記載の工程II)の生成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−542846(P2009−542846A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518194(P2009−518194)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/014669
【国際公開番号】WO2008/005214
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】