説明

半導体スイッチ及びその測定方法

【課題】端子間の直流オン抵抗を高精度で測定可能な半導体スイッチ及びその測定方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子と、制御回路と、を備えた半導体スイッチが提供される。第1のスイッチ素子は、第1の端子及び第2の端子を含む複数の高周波端子のそれぞれと共通端子との間に接続される。第2のスイッチ素子は、前記第1の端子と接地用端子との間に接続される。前記制御回路は、前記第1のスイッチ素子及び前記第2のスイッチ素子をそれぞれオンまたはオフさせる制御信号を出力し、端子切替信号に応じて、前記共通端子を前記複数の高周波端子のいずれか1つに接続する通常動作モードと、前記共通端子を前記第1の端子と前記第2の端子と接地用端子とに接続するテストモードと、を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体スイッチ及びその測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路の開閉を実行する半導体スイッチは、各種の電子機器に用いることができる。例えば、携帯電話機の高周波回路部においては、送信回路及び受信回路が半導体スイッチを介して共通のアンテナに選択的に接続されるようになっている。また、通信規格の増加にともない、半導体スイッチのポート数も増加している。そのため、半導体スイッチの高周波特性の測定に要する時間も増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−515657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、端子間の直流オン抵抗を高精度で測定可能な半導体スイッチ及びその測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、第1のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子と、制御回路と、を備えた半導体スイッチが提供される。第1のスイッチ素子は、第1の端子及び第2の端子を含む複数の高周波端子のそれぞれと共通端子との間に接続される。第2のスイッチ素子は、前記第1の端子と接地用端子との間に接続される。前記制御回路は、前記第1のスイッチ素子及び前記第2のスイッチ素子をそれぞれオンまたはオフさせる制御信号を出力し、端子切替信号に応じて、前記共通端子を前記複数の高周波端子のいずれか1つに接続する通常動作モードと、前記共通端子を前記第1の端子と前記第2の端子と接地用端子とに接続するテストモードと、を実行することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る半導体スイッチの構成を例示するブロック図。
【図2】図1に表した半導体スイッチのスイッチ部の構成を例示する回路図。
【図3】半導体スイッチのレベルシフタの入出力特性を表す真理値表。
【図4】半導体スイッチの他の構成を含むオン抵抗の測定方法を例示するブロック図。
【図5】制御回路の第1及び第2の回路の真理値表。
【図6】半導体スイッチのオン抵抗の他の測定方法を例示するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体スイッチの構成を例示するブロック図である。
図1に表したように、半導体スイッチ1は、共通端子ANTと、第1の端子RF1及び第2の端子RF2を含む各高周波端子RF1〜RFk(kは2以上の自然数)と、の端子間の接続を切り替えるスイッチ部3を備える。スイッチ部3は、制御回路4から出力される制御信号Con1a〜Conka、Con1b〜Conkbに応じて端子間の接続を切り替える。
【0009】
制御回路4は、切替信号端子IN1〜INiに入力された端子切替信号に応じて、通常動作モードとテストモードとに切り替わる。ここで、切替信号端子IN1〜INiの端子数iは、例えば、選択する高周波端子をエンコードするのに必要なビット数に、通常動作モードかテストモードかを表す1ビットを追加したビット数である。切替信号端子IN1〜INiの端子数iは、例えば、i≧logk+1を満たす2以上の最小の整数である。
【0010】
なお、上記の端子数iの値は、切替信号端子IN1〜INiに入力される端子切替信号がパラレル信号の場合である。シリアル信号が切替信号端子IN1〜INiに入力される等の場合には、切替信号端子IN1〜INiの端子数iは1としてもよい。
【0011】
制御回路4は、通常動作モードの場合、端子切替信号に応じて、共通端子ANTを、第1の端子RF1及び第2の端子RF2を含む高周波端子RF1〜RFkのいずれか1つに接続する。また、テストモードの場合、端子切替信号に応じて、共通端子ANTを、高周波端子RF1〜RFkのいずれか2つ及び接地用端子GNDに接続する。例えば、共通端子ANTを第1の端子RF1と第2の端子RF2と接地用端子GNDに接続する。
【0012】
制御回路4には、第1の電位Vp及び第2の電位Vnが供給される。
ここで、第1の電位Vpは、制御信号Con1a〜Conka、Con1b〜Conkbのハイレベルの電位である。第1の電位Vpは、スイッチ部3の各FETのゲートに印加して各FETをオンさせ、かつ、そのオン抵抗が十分小さい値になる電位である。例えば、3.5Vである。
【0013】
また、第2の電位Vnは、制御信号Con1a〜Conka、Con1b〜Conkbのローレベルの電位である。第2の電位Vnは、スイッチ部3の各FETのゲートに印加して各FETをオフさせ、かつ、高周波信号が重畳してもオフの状態を十分維持できる電位である。例えば、−1.5Vである。
【0014】
第1の電位Vp及び第2の電位Vnは、電源回路5から供給される。電源回路5は、外部から供給される正の電源電位Vddよりも高い第1の電位Vpと負の第2のVnとを生成する。電源回路5は、例えば発振回路とチャージポンプなどにより構成される。スイッチ部3、制御回路4及び電源回路5は、例えば同一基板2上に設けられる。
【0015】
なお、半導体スイッチ1に供給される電源電位Vddが十分高く、スイッチ部3の各FETのゲートに印加して各FETをオンさせ、かつ、そのオン抵抗が十分小さい値になる電位であれば、第1の電位Vpとして電源電位Vddを供給してもよい。また、接地電位が、スイッチ部3の各FETのゲートに印加して各FETをオフさせ、かつ、高周波信号が重畳してもオフの状態を十分維持できる電位であれば、第2の電位Vnとして接地電位を供給してもよい。この場合、電源回路5はなくてもよい。
【0016】
半導体スイッチ1は、通常動作モードの場合、端子切替信号に応じて共通端子ANTと高周波端子RF1〜RFkとの間の接続を切り替えるSPkT(Single-Pole k-Throw)のスイッチである。
【0017】
また、半導体スイッチ1は、テストモードの場合、端子切替信号に応じて、共通端子ANTを、高周波端子RF1〜RFkのいずれか2つ及び接地用端子GNDに接続する。図4において説明するように、テストモードの場合、高周波端子RF1〜RFkと共通端子ANTとの間の直流抵抗値を測定することができる。
【0018】
次に各部について説明する。
図2は、図1に表した半導体スイッチのスイッチ部の構成を例示する回路図である。
図2に表したように、スイッチ部3aにおいては、SP6Tスイッチの構成を例示している。共通端子ANTと第1の端子RF1、第2の端子RF2を含む各高周波端子RF1、RF2、RF3、RF4、RF5、RF6との間には、それぞれ第1のスイッチ素子13a、13b、13c、13d、13e、13fが接続されている。第1のスイッチ素子13a〜13fをそれぞれオンさせることにより、共通端子ANTと各高周波端子RF1〜RF6との間にそれぞれ伝送路が形成される。
【0019】
第1のスイッチ素子13aにおいては、n段(nは自然数)のスルーFET T11、T12、…、T1nが直列に接続されている。スルーFET T11、T12、…、T1nの各ゲートには、高周波漏洩防止用の抵抗を介して、制御信号Con1aが入力される。第1のスイッチ素子13b〜13fは、それぞれ第1のスイッチ素子13aと同一構成である。第1のスイッチ素子13b〜13fには、それぞれ制御信号Con2a〜Con6aが入力される。
【0020】
第1の端子RF1と接地用端子GNDとの間には、第2のスイッチ素子14aが接続されている。第1の端子RF1を除く各高周波端子RF2〜RF6と接地用端子GNDとの間には、それぞれスイッチ素子14b〜14fが接続されている。
例えば、通常動作モードの場合、第2のスイッチ素子14a、スイッチ素子14b〜14fは、第1のスイッチ素子13a〜13fがそれぞれオフのときにオンさせる。各高周波端子RF1〜RF6に流れる漏洩電流を接地用端子GNDに逃がし、高周波端子RF1〜RF6間のアイソレーションを改善することができる。
【0021】
第2のスイッチ素子14aにおいては、m段(mは自然数)のシャントFET S11、S12、…、S1mが直列に接続されている。シャントFET S11、S12、…、S1mの各ゲートには、高周波漏洩防止用の抵抗を介して、制御信号Con1bが入力される。スイッチ素子14b〜14fは、それぞれ第2のスイッチ素子14aと同一構成である。スイッチ素子14b〜14fには、それぞれ制御信号Con2b〜Con6bが入力される。
【0022】
例えば、通常動作モードの場合は、以下のように各スイッチ素子を制御すると、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間が導通する。第1の端子RF1と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13aをオンとし、第1の端子RF1と接地用端子GNDとの間の第2のスイッチ素子14aをオフとする。すなわち、第1のスイッチ素子13aの各スルーFET T11、T12、…、T1nをすべてオンとし、第2のスイッチ素子14aの各シャントFET S11、S12、…、S1mをすべてオフとする。
【0023】
同時に、第1の端子RF1を除く他の各高周波端子RF2〜RF6と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13b〜13fをすべてオフとし、第1の端子RF1を除く他の各高周波端子RF2〜RF6と接地用端子GNDとの間のスイッチ素子14b〜14fをすべてオンとする。すなわち、第1のスイッチ素子13b〜13fの各スルーFETをすべてオフとし、スイッチ素子14b〜14fの各シャントFETをすべてオンとすればよい。
【0024】
上記の場合、制御信号Con1aは第1の電位Vp、制御信号Con2a〜Con6aは第2の電位Vn、制御信号Con1bは第2の電位Vn、制御信号Con2b〜Con6bは第1の電位Vpに設定される。
【0025】
また、例えば、テストモードの場合は、以下のように各スイッチ素子を制御すると、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13aの直流オン抵抗の値を測定可能になる。
【0026】
第1の端子RF1と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13aをオンとし、第1の端子RF1と接地用端子GNDとの間の第2のスイッチ素子14aをオンとする。すなわち、第1のスイッチ素子13aの各スルーFET T11、T12、…、T1nをすべてオンとし、第2のスイッチ素子14aの各シャントFET S11、S12、…、S1mをすべてオンとする。
【0027】
同時に、第2の端子RF2と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13bをオンとし、第2の端子RF2と接地用端子GNDとの間のスイッチ素子14aをオフとする。すなわち、第1のスイッチ素子13bの各スルーFETをすべてオンとし、スイッチ素子14bの各シャントFETをすべてオフとすればよい。
【0028】
さらに、他の各高周波端子RF3〜RF6を介して、接地用端子GNDが共通端子ANTに接続されないようにする。例えば、他の各高周波端子RF3〜RF6と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13c〜13f、または他の各高周波端子RF3〜RF6と接地用端子GNDとの間のスイッチ素子14c〜14fの少なくともいずれかをすべてオフとする。すなわち、第1のスイッチ素子13c〜13fの各スルーFET、またはスイッチ素子14c〜14fの各シャントFETの少なくともいずれかをすべてオフとすればよい。
【0029】
上記の場合、制御信号Con1a及び制御信号Con2aは第1の電位Vp、制御信号Con1bは、第1の電位Vp、制御信号Con2bは第2の電位Vnに設定される。また、制御信号Con3a〜Con6a、Con3b〜Con6bの少なくともいずれかは、第2の電位Vnに設定され、第2の電位Vnに設定されなかった制御信号は第1の電位Vpに設定される。なお、制御信号Con3a〜Con6a、Con3b〜Con6bはすべて第2の電位Vnに設定してもよい。
【0030】
なお、図2においては、スイッチ部3aの構成として、SP6Tスイッチを例示したが、他の構成のスイッチに対しても同様に適用でき、lPkT(lは自然数、kは2以上の自然数)スイッチを構成することもできる。
【0031】
再度図1に戻ると、制御回路4は、制御信号生成回路6と駆動回路7とを有する。
制御信号生成回路6は、図4において説明するように、切替信号端子IN1〜INiに入力された端子切替信号から、制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbを生成する。ここで、制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbは、ハイレベルが電源電位Vdd、ローレベルが接地電位の信号である。
【0032】
制御信号生成回路6は、端子切替信号に応じて、通常動作モードとテストモードとに切り替わる。
制御信号生成回路6は、通常動作モードのときは、端子切替信号に応じて、共通端子ANTを接続する高周波端子RF1〜RF6を選択する制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbを生成する。また、テストモードのときは、端子切替信号に応じて、オン抵抗を測定する高周波端子RF1〜RFkを選択する制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbを生成する。そして、選択された高周波端子と共通端子との間のオン抵抗の値を測定することができる。
【0033】
なお、端子切替信号は、通常動作モードとテストモードとの選択、及び高周波端子RF1〜RF6の選択が可能であればよい。上記のように、通常動作モードとテストモードを表す1ビットを付加してエンコードしなくてもよい。
【0034】
駆動回路7は、制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbを入力して、ハイレベルが第1の電位Vp、ローレベルが第2の電位Vnの制御信号Con1a〜Con6a、Con1b〜Con6bにレベルシフトする。
駆動回路7は、第1の端子RF1及び第2の端子RF2を含む高周波端子RF1〜RFk(kは2以上の自然数)の数の2倍の2k個の同一構成のレベルシフタSF1a〜SFka、SF1b〜SFkbを有する。
【0035】
各レベルシフタSF1a〜SFka、SF1b〜SFkbは、ハイレベルが電源電位Vdd、ローレベルが0Vである入力信号Qを、ハイレベルが第1の電位Vp、ローレベルが第2の電位Vnの出力信号Conにレベルシフトする。
【0036】
図3は、半導体スイッチのレベルシフタの入出力特性を表す真理値表である。
図3においては、レベルシフタSF1aの入力信号Qに対する出力信号Conの電位を表している。
レベルシフタSF1a〜SFka、SF1b〜SFkbは同一構成であり、他のレベルシフタSF2a〜SFka、SF1b〜SFkbも図3と同様の入出力特性を有する。
【0037】
なお、レベルシフタSF1a〜SFka、SF1b〜SFkbの回路構成としては、様々な種類が可能である。半導体スイッチ1におけるレベルシフタは、ハイレベルを外部から供給される正の電源電位Vddよりも高い第1の電位Vp、ローレベルを負の第2の電位Vnにレベルシフトする機能を有するものであれば、どのような回路構成でも良い。
【0038】
また、上記のとおり、第1の電位Vpとして電源電位Vdd、第2の電位Vnとして接地電位が供給される場合は、駆動回路7はなくともよい。この場合、制御信号Con1a〜Con6a、Con1b〜Con6bとして、制御信号Q1a〜Qka、Q1b〜Qkbがスイッチ部3に入力される。
【0039】
次に、SPDT(Single-Pole double-Throw)スイッチを例に、制御信号生成回路6の構成及び端子間のオン抵抗の測定方法についてさらに詳細に説明する。
図4は、半導体スイッチの他の構成を含むオン抵抗の測定方法を例示するブロック図である。なお、図1及び図2と同一の要素には同一の符号を付している。
【0040】
図4に表したように、半導体スイッチ1aには、スイッチ部3bと、制御回路4aと、電源回路5と、が設けられている。スイッチ部3bは、図2に表したスイッチ部3aをSPDTの構成にしたものである。すなわち、スイッチ部3bにおいては、第1の端子RF1、第2の端子RF2の2つの高周波端子RF1、RF2を有する。
【0041】
第1の端子RF1と共通端子ANTとの間には、第1のスイッチ素子13aが接続されている。第2の端子RF2と共通端子ANTとの間には、第1のスイッチ素子13bが接続されている。第1の端子RF1と接地用端子GNDとの間には、第2のスイッチ素子14aが接続されている。第2の端子RF2と接地用端子GNDとの間には、スイッチ素子14bが接続されている。
【0042】
なお、図4においては、接地用端子GNDは、スイッチ部3bの内部で接地された構成を例示している。また、第2のスイッチ素子14a及びスイッチ素子14bは、それぞれ接地用端子GNDに接続されている。しかし、接地用端子GNDは、スイッチ部3bの内部で接地されておらず、また、第2のスイッチ素子14a及びスイッチ素子14bは、それぞれ独立の接地用端子に接続されてもよい。
【0043】
第1のスイッチ素子13a、13b、第2のスイッチ素子14a、及びスイッチ素子14bは、図2と同様である。
また、電源回路5は、図1と同様であり、第1の電位Vp、第2の電位Vnを生成して、制御回路4aの駆動回路7aに供給する。
【0044】
なお、電源回路5は、電源電位Vddが十分高く、スイッチ部3aの各FETのゲートに印加して各FETをオンさせ、かつ、そのオン抵抗が十分小さい値になる電位であれば、第1の電位Vpとして電源電位Vddを供給してもよい。また、接地電位が、スイッチ部3aの各FETのゲートに印加して各FETをオフさせ、かつ、高周波信号が重畳してもオフの状態を十分維持できる電位であれば、第2の電位Vnとして接地電位を供給してもよい。この場合、電源回路5はなくてもよい。
【0045】
制御回路4aは、切替信号端子IN1、IN2に入力された2ビットの端子切替信号に応じて、4ビットの制御信号Con1a、Con1b、Con2a、Con2bを生成する。制御回路4aは、制御信号生成回路6aと駆動回路7aとを有する。
【0046】
駆動回路7aは、4ビットのレベルシフタSF1a、SF1b、SF2a、SF2bを有する。レベルシフタSF1a、SF1b、SF2a、SF2bは、図1に表した駆動回路7と同様であり、制御信号Q1a、Q2a、Q1b、Q2bをレベルシフトした制御信号Con1a、Con2a、Con1b、Con2bを生成する。第1の電位Vpとして電源電位Vdd、第2の電位Vnとして接地電位が供給される場合は、駆動回路7aは、なくてもよい。
【0047】
制御信号生成回路6aにおいては、デコーダ12は、切替信号端子IN1、IN2に入力された2ビットの端子切替信号をデコードして、信号D1、D2、Tを出力する。ここで、信号D1、D2は、それぞれ高周波端子RF1、RF2を選択する。例えば、高周波端子RF1が選択された場合、信号D1はハイレベル、信号D2はローレベルになる。信号Tは、通常動作モードかテストモードかを表す。例えば、信号Tは、通常動作モードのときローレベル、テストモードのときハイレベルになる。
【0048】
第1の回路10a、10b及び第2の回路11a、11bは、信号D1、D2、Tを入力して制御信号Q1a、Q2a、Q1b、Q2bを生成する。第1の回路10aは、信号D1、Tを入力して、制御信号Q1aを生成する。第1の回路10bは、信号D2、Tを入力して、制御信号Q2aを生成する。第2の回路11aは、信号D1、Tを入力して制御信号Q1bを生成する。第2の回路11bは、信号D2、Tを入力して制御信号Q2bを生成する。
【0049】
図5は、制御回路の第1及び第2の回路の真理値表である。
第1の回路10a、10bは同一構成であり、信号D、Tを入力して信号Qaを生成する。第2の回路11a、11bは、同一構成であり、信号D、Tを入力して信号Qbを生成する。
図5においては、第1及び第2の列にそれぞれ信号T、Dを表している。また、第3列に第1の回路10a、10bが生成する信号Qa、第4列に第2の回路11a、11bが生成する信号Qbを表している。
【0050】
通常動作モードのとき信号Tはローレベル(0)であり、信号Qaは信号Dと同一、信号Qbは信号Dの否定になっている。
テストモードのとき信号Tはハイレベル(1)であり、信号Qaはハイレベル(1)、信号Qbは信号Dと同一になっている。
なお、図5の真理値表から、例えば、第1の回路10a、10bは、論理和回路(OR)、第2の回路11a、11bは、排他的論理和回路の否定(EXNOR)で構成できる。
【0051】
再度図4に戻ると、通常動作モードのとき、制御信号生成回路6aは、信号D1、D2と同一論理の信号として制御信号Q1a、Q2aを生成する。また、制御信号生成回路6aは、信号D1、D2を否定した信号として制御信号Q1b、Q2bを生成する。駆動回路7aを介して、制御信号Con1a、Con2a、Con1b、Con2bが制御回路4aから出力される。
【0052】
例えば、デコーダ12が、信号D1にハイレベル、信号D2にローレベル、信号Tにローレベルを出力している場合、制御信号Con1aは、ハイレベルの第1の電位Vpになる。制御信号Con2aは、ローレベルの第2の電位Vnになる。また、制御信号Con1bは、ローレベルの第2の電位Vn、制御信号Con2bはハイレベルの第1の電位Vpになる。
【0053】
第1のスイッチ素子13aはオンし、第1のスイッチ素子13bはオフする。また、第2のスイッチ素子14aはオフし、スイッチ素子14bはオンする。共通端子ANTは、第1の端子RF1に接続される。
【0054】
また、例えば、デコーダ12が、信号D1にハイレベル、信号D2にローレベル、信号Tにハイレベルを出力している場合、制御信号Con1aは、ハイレベルの第1の電位Vpになる。制御信号Con2aは、ハイレベルの第1の電位Vpになる。また、制御信号Con1bは、ハイレベルの第1の電位Vp、制御信号Con2bはローレベルの第2の電位Vnになる。
【0055】
第1のスイッチ素子13a、13bは、ともにオンする。また、第2のスイッチ素子14aはオンし、スイッチ素子14bはオフする。共通端子ANTは、第1の端子RF1と第2の端子RF2と接地用端子GNDとに接続される。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る半導体スイッチの端子間の直流オン抵抗の測定方法について図4を参照して説明する。
測定する半導体スイッチ1aは、第1の端子RF1、第2の端子RF2を含む複数の高周波端子RF1〜RF2と共通端子ANTとの間に接続された第1のスイッチ素子13a、13bと、第1の端子RF1と接地用端子GNDとの間に接続された第2のスイッチ素子14aを備える。
【0057】
なお、半導体スイッチ1aのように、第2の端子RF2と接地用端子GNDとの間にさらにスイッチ素子14bを備えていてもよい。第1の端子RF1以外の各高周波端子RF2と接地用端子GNDとの間にスイッチ素子14bが接続されている場合は、スイッチ素子14bが接続されている各高周波端子RF2と共通端子ANTとの間の第1のスイッチ素子13bの直流オン抵抗を測定することができる。
【0058】
まず、上記のように、切替信号端子IN1、IN2に端子切替信号を入力して、デコーダ12から、信号D1にハイレベル、信号D2にローレベル、信号Tにハイレベルを出力させる。
【0059】
すなわち、第1の端子RF1及び第2の端子RF2に接続された第1のスイッチ素子13a、13bをともにオンさせる。また、第1の端子RF1に接続された第2のスイッチ素子14aをオンさせ、他の第2の端子RF2に接続されたスイッチ素子14bはオフさせる。共通端子ANTは、第1の端子RF1と第2の端子RF2と接地用端子GNDとに接続される。
【0060】
第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aに電流を流す。例えば、図4に表したように、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間に電流源20を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aに電流を流す。
【0061】
次に、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を測定する。例えば、第2の端子RF2と接地用端子GNDとの間に電圧計21を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を測定する。
第1のスイッチ素子13aの両端の電圧の測定値を流した電流の値で割ることにより、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの直流オン抵抗を測定することができる。
【0062】
半導体スイッチ1aにおいては、共通端子ANTは、第1の端子RF1と第2の端子RF2と接地用端子GNDとに接続される。そのため、4端子法により、第1のスイッチ素子13aの直流オン抵抗を高精度で測定することができる。
【0063】
半導体スイッチ1aのように共通端子ANTが第1の端子RF1と第2の端子RF2と接地用端子GNDとに接続された構成にすることができない場合は、例えば以下のようにして、直流オン抵抗を測定することもできる。
【0064】
例えば、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間の直流オン抵抗を測定するときには、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間に直流電流を流し、両端の電圧を測定することで、抵抗値を測定することができる。例えば、上記測定を半導体チップで実施する場合、サンプルの端子パッド上にプローブを当てることで電流源や電圧計などの外付け回路と接続する必要がある。しかし、このような測定においては、第1の端子RF1及び共通端子ANTの接触部に存在する接触抵抗が大きいときには、例えば1Ω程度まで増大してしまう。
【0065】
図2に表したようなスイッチ部3aの場合、例えば、各高周波端子RF1〜RF6と共通端子ANTとの間のオン抵抗は、第1のスイッチ素子13a〜13fの各スルーFETのオン抵抗が支配的である。また、このスルーFETのオン抵抗の値は3Ω程度と小さい。このため、各高周波端子RF1〜RF6と共通端子ANTとの間のオン抵抗の値を高精度で測定することが困難である。
【0066】
これに対して、半導体スイッチ1、1aにおいては、第1の端子RF1及び第2の端子RF2に接続された第1のスイッチ素子13a、13b及び第1の端子RF1に接続された第2のスイッチ素子14aのみをオンさせることができる。
【0067】
そのため、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を測定する場合、例えば、第2の端子RF2と接地用端子GNDとの間に電圧計21を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を測定することができる。
【0068】
このとき、電圧計21のインピーダンスは、第1のスイッチ素子13aのオン抵抗と比較して十分に大きいため、電圧計21には電流は流れない。そのため、電圧計21が接続される第2の端子RF2及び接地用端子GNDと電圧計21との接触抵抗の影響を受けずに、第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を高精度で測定することができる。
【0069】
半導体スイッチ1、1aの高周波特性の測定と比較して、直流測定は、簡便である。また、共通端子ANTと各高周波端子RF1〜RFkとの間の直流オン抵抗を測定することで、スイッチ部3、3a、3bの各FETの動作確認や直流の挿入損失を測定することができる。
【0070】
なお、図4においては、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間に電流源20を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aに電流を流している。しかし、他の構成も可能である。
【0071】
図6は、半導体スイッチのオン抵抗の他の測定方法を例示するブロック図である。なお、図6においては、半導体スイッチ1aの内部構造については、記載を省略している。
図6に表したように、半導体スイッチ1aの接地用端子GNDと第2の端子RF2との間に電流源20を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aに電流を流す。
【0072】
そして、第1の端子RF1と共通端子ANTとの間に電圧計21を接続して、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を測定する。
第1のスイッチ素子13aの両端の電圧の測定値を流した電流の値で割ることにより、第1の端子RF1に接続された第1のスイッチ素子13aの直流オン抵抗を測定することができる。
【0073】
この場合も、電圧計21のインピーダンスは、第1のスイッチ素子13aのオン抵抗と比較して十分に大きいため、電圧計21には電流は流れない。そのため、電圧計21が接続される第1の端子RF1及び共通端子ANTと電圧計21との接触抵抗の影響を受けずに、第1のスイッチ素子13aの両端の電圧を高精度で測定することができる。
【0074】
なお、オン抵抗の測定方法として、半導体スイッチ1aを例に説明したが、図1に表した半導体スイッチ1を用いても同様に、オン抵抗を測定することができる。
また、各高周波端子RF1〜RFkの第1の端子RF1以外のそれぞれと接地用端子GNDとの間に接続されたスイッチ素子14b〜14kを備える場合は、端子切替信号に応じて、各高周波端子RF1〜RFkに接続された第1のスイッチ素子13a〜13kの直流オン抵抗を測定することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1、1a…半導体スイッチ、 2…基板、 3、3a、3b…スイッチ部、 4、4a…制御回路、 5…電源回路、 6、6a…制御信号生成回路、 7、7a…駆動回路、 10a、10b…第1の回路、 11a、11b…第2の回路、 12…デコーダ、 13a〜13f…第1のスイッチ素子、 14a…第2のスイッチ素子、 14b〜14f…スイッチ素子、 ANT…共通端子、 RF1…第1の端子(高周波端子)、 RF2…第2の端子(高周波端子)、 RF3〜RFk…高周波端子、 S11〜S1m…シャントFET、 T11〜T1n…スルーFET、 SF1a〜SFka、SF1b〜SFkb…レベルシフタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子及び第2の端子を含む複数の高周波端子のそれぞれと共通端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記第1の端子と接地用端子との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子及び前記第2のスイッチ素子をそれぞれオンまたはオフさせる制御信号を出力し、端子切替信号に応じて、前記共通端子を前記複数の高周波端子のいずれか1つに接続する通常動作モードと、前記共通端子を前記第1の端子と前記第2の端子と接地用端子とに接続するテストモードと、を実行する制御回路と、
を備えたことを特徴とする半導体スイッチ。
【請求項2】
前記複数の高周波端子の前記第1の端子以外のそれぞれと前記接地用端子との間に接続され、前記制御信号によりオンまたはオフされるスイッチ素子をさらに備え、
前記制御回路は、前記テストモードにおいて、前記端子切替信号に応じて、前記共通端子を前記複数の高周波端子のいずれか2つと接地用端子とに接続することを特徴とする請求項1記載の半導体スイッチ。
【請求項3】
正の電源電位よりも高い第1の電位を生成する電源回路をさらに備え、
前記制御回路は、前記制御信号のハイレベルを前記第1の電位にレベルシフトする駆動回路をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体スイッチ。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1のスイッチ素子及び前記第2のスイッチ素子と同一の半導体基板に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体スイッチ。
【請求項5】
第1の端子及び第2の端子を含む複数の高周波端子のそれぞれと共通端子との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記第1の端子と接地用端子との間に接続された第2のスイッチ素子と、を有する半導体スイッチの前記第1の端子に接続された前記第1のスイッチ素子の直流オン抵抗の測定方法であって、
前記第1の端子及び前記第2の端子に接続された前記第1のスイッチ素子及び前記第1の端子に接続された前記第2のスイッチ素子のみをオンさせる工程と、
前記第1の端子に接続された前記第1のスイッチ素子に電流を流す工程と、
前記第1の端子に接続された前記第1のスイッチ素子の両端の電圧を測定する工程と、
を備えたことを特徴とする測定方法。
【請求項6】
前記電流を流す工程は、前記共通端子と前記第1の端子との間に電流を流す工程であり、
前記電圧を測定する工程は、前記第2の端子と前記接地用端子との間の電圧を測定する工程であることを特徴とする請求項5記載の測定方法。
【請求項7】
前記電流を流す工程は、前記接地用端子と前記第2の端子との間に電流を流す工程であり、
前記電圧を測定する工程は、前記第1の端子と前記共通端子との間の電圧を測定する工程であることを特徴とする請求項5記載の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134219(P2012−134219A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282989(P2010−282989)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】