説明

半導体装置の入出力回路

【課題】 pull−down抵抗が端子に設けられている場合においても、
AC特性を改善することを目的とする。
【解決手段】 半導体内部電源電圧よりも高電圧の外部信号線に接続される出力端子部6と、フローティングNウェルを有し複数のPチャネル型トランジスタ52、53、54とアナログスイッチ51aにより構成され半導体内部信号を外部へ出力するハイ側出力回路部と、複数のNチャネル型トランジスタ55、57が直列に接続され半導体内部信号を外部へ出力するロー側出力回路部とを備えた半導体装置の入出力回路において、前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタ51aの閾値電圧を他のトランジスタの閾値電圧より低く設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の入出力回路に関し、さらに詳しくは、内部電源電圧、例えば3V電源仕様より高い外部電源電圧、例えば5V入力に対応できるトレラント回路を備えた入出力回路の出力部分に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の電源電圧は5Vから3Vまたは3.3Vに変わりつつあるが、その過渡期においては5V駆動素子と3V駆動素子とが混在している。このような場合、自身が3Vで駆動される素子であっても、5Vの電圧が外部より印加される場合があり、その際、入出力回路の出力バッファ回路を構成するMOSトランジスタの信頼性が確保されないという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、従来、図1及び図2に示されるような保護回路を伴った入出力回路(3V/5Vトレラント回路)が知られている。
【0004】
図1は、入出力回路の出力バッファ回路部分の全体構成を示し、コントロール信号がインバータ3を介してナンド回路1の一方の入力に与えられる。また、ナンド回路1の他方の入力には出力信号I1が与えられる。このナンド回路1からトレラントを内蔵した出力回路5のハイ(Hi)側出力回路部を構成する出力用PチャネルMOS(PMOS)トランジスタに与えるPI信号が出力される。
【0005】
一方、コントロール信号がノア回路2の一方の入力に与えられる。また、ノア回路2の他方の入力には出力信号I1が与えられる。このノア回路1からトレラントを内蔵した出力バッファ回路5のロー(Low)側出力回路部を構成する出力用NチャネルMOS(NMOS)トランジスタに与えるNI信号が出力される。そして、出力端子部6に出力バッファ回路5からの出力が与えられる。
【0006】
図2に、トレラント回路を備えた入出力回路の出力バッファ回路5の具体的構成例を示す。図2に示すように、出力用PMOSトランジスタ52のゲートとPIノード間にトレラントを構成するトランジスタが設けられている。すなわち、PIノードと出力用PMOSトランジスタ52との間には3つのPMOSトランジスタ51、53、54と1つのNMOSトランジスタ56が設けられている。NMOSトランジスタ56、PMOSトランジスタ54のゲート及びPMOSトランジスタ53のドレインには内部電源電圧(intVCC)が与えられる。PMOSトランジスタ51、53のゲートはNウェル(N−well)抵抗58を介して出力ノードに接続される。PMOSトランジスタ54のドレインが出力ノードに接続される。そして、上記PMOSトランジスタ51がアナログスイッチとして機能する。
【0007】
また、出力用PMOSトランジスタ52と出力用NMOSトランジスタ57の間にはNMOSトランジスタ55が設けられ、このNMOSトランジスタ55のゲートには、内部電源電圧(intVCC)が与えられる。出力用PMOSトランジスタ52のソースには、内部電源電圧が与えられ、出力用NMOSトランジスタ57のソースは接地されている。NMOSトランジスタ55と出力用PMOSトランジスタ52との接続ノード(出力ノード)が出力端子部6に接続されている。
【0008】
上記した図1及び図2に示す入出力回路のコントロール信号と各ノードの出力の関係を表1に示す。出力端子部6は、Hi、Low、及び出力バッファ回路を不使用にするHi−Z(ハイインピ−ダンス)状態となる。尚、表1において、Hiは3V、Lowは0Vの状態を示している。
【0009】
【表1】

【0010】
次に、図2の出力バッファ回路で出力端子部6から5Vの高電圧が印加された場合につき説明する。図2の回路は出力バッファ回路であるので、出力端子部6から信号が入力された際、自身出力信号をドライブすることは無いので、PIノードはHi(3V)、NIノードはLow(0V)となっている。
【0011】
まず、NMOSトランジスタ側では、NMOSトランジスタ55があるために、1つずつのNMOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧が低くなり、信頼性が確保される。
【0012】
次に、PMOSトランジスタ側では、PMOSトランジスタ53がオフ(OFF)し、代わりに出力用PMOSトランジスタ52及びPMOSトランジスタ54のドレインからバックゲートへ電流が流入する。この結果、PMOSトランジスタの基板電位(N−well電位)が5Vとなり、PMOSトランジスタ51、53の信頼性が確保される。更に、PMOSトランジスタ54が設けられているために、出力PMOSトランジスタ52のゲート電位も5Vとなり、PMOSトランジスタ52の信頼性も確保される。加えて、PMOSトランジスタ51がOFF状態のため、5Vの電位がPIノード側へは伝わらず(NMOSトランジスタ56により3V−Vth(閾値電圧)となるため)、PIノードの先に繋がる回路の信頼性も確保される。
【0013】
しかしながら、図2の出力バッファ回路を内蔵する半導体装置を実機に搭載し、評価を行ったところ、出力端子部6に外付けのプルダウン(pull−down)抵抗を設ける構成の場合に問題が発生した。すなわち、出力端子部6が通常使用(0〜3V使用)の出力Hから出力バッファ回路5を不使用にするHi−Z、即ち、端子フローティングに変更する時にAC特性に問題があることが判明した。尚、最終的には、pull−down抵抗で出力端子部6はLow(0V)へ落ちる。
【0014】
具体的には、図2に示すように、出力端子部6がHからHi−Z(端子フローティング時)になった時、アナログスイッチとしてのPMOSトランジスタ51が完全にオン(ON)しないため、出力用PMOSトランジスタ52のゲート電位が3V−Vth(トランジスタの閾値電圧)程度となり、PMOSトランジスタ52のソース─ドレイン間にリーク電流が流れる。この結果、図3に示すように、PMOSトランジスタ52の不完全なOFF状態が存在することになる。例えば、トランジスタの閾値電圧(Vth)が−0.6V程度とすると、出力端子部6がHからHi−Zになった時、PMOSトランジスタ51がVth(−0.6V程度)を越えて完全にオン(ON)するまでの遷移時間が長い。また、この期間は、出力用PMOSトランジスタ52のゲート電位が3V−Vth(2.4V程度)となり、PMOSトランジスタ52に流れるリーク電流も多い。このことから、図3に示されるPMOSトランジスタ52の不完全OFF時間がどうしても長くなるという問題がある。最後は出力端子部6に接続されたpull−down抵抗が勝ち、L(0V)となるが、そのAC特性が問題となった。
【0015】
この不具合は、pull−down抵抗が出力端子部6に付いた場合という条件ではあるが、従来回路のままでは、システム上重大な欠陥を招くこととなる。
【0016】
また、トレラント回路を備えた入力回路については、種々の回路が提案されている。例えば、入力バッファの消費電力を低減し、且つ信頼性を向上させた5Vトレラント入力回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
しかしながら、これら入力回路においては、端子にpull−down抵抗が付いた場合の不具合については何ら言及されていない。
【特許文献1】特開平10-135818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記したように、従来のトレラント回路を備えた出力バッファ回路においては、pull−down抵抗が端子に付いた場合という条件ではあるが、システム上重大な結果を招くこととなる。
【0019】
この発明は、上記した問題点に鑑みなされたものにして、pull−down抵抗が出力端子部に設けられている場合においても、AC特性を改善し、不具合の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、半導体内部電源電圧よりも高電圧の外部信号線に接続される端子部と、フローティングNウェルを有し複数のPチャネル型トランジスタとアナログスイッチにより構成され半導体内部信号を外部へ出力するハイ側出力回路部と、複数のNチャネル型トランジスタが直列に接続され半導体内部信号を外部へ出力するロー側出力回路部とを備え、ゲートが前記端子部に接続された前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタの閾値電圧を他のトランジスタの閾値電圧より低く設定することを特徴とする。
【0021】
前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタの閾値電圧は、閾値制御用不純物の注入を調整することにより設定することができる。
【0022】
また、前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタのチャネル長を他のトランジスタのチャネル長より短くし、閾値電圧を他のトランジスタの閾値電圧より低く設定するように構成してもよい。
【0023】
上記した構成によれば、アナログスイッチとしてのPチャネル型トランジスタとして閾値電圧(Vth)の低いトランジスタを用いているので、アナログスイッチとしてのPMOSトランジスタが閾値電圧を超えてONするまでの遷移時間が短くなる。この結果、出力用PMOSトランジスタの不完全オフ(OFF)時間を短くすることができる。このため、端子に外付けプルダウン抵抗が付いた場合でも即座にHレベルからLレベルへ電圧を落とすことができる。また、通常より閾値電圧の低いPチャネル型トランジスタを用いるだけで構成でき、回路規模を大きくすることなく不完全OFF時間を短くすることができる。
【0024】
また、この発明は、半導体内部電源電圧よりも高電圧の外部信号線に接続される端子部と、フローティングNウェルを有し複数のPチャネル型トランジスタとアナログスイッチにより構成され半導体内部信号を外部へ出力するハイ側出力回路部と、複数のNチャネル型トランジスタが直列に接続され半導体内部信号を外部へ出力するロー側出力回路部とを備え、前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタのゲートが前記端子部に接続され、前記ハイ側出力回路部のノードとロー側出力回路部の出力トランジスタのゲートと間にダミードライブ制御回路を設け、前記ダミードライブ制御回路は、ハイ側出力回路部とロー側出力回路部の両方がオフ状態へ遷移するときに一定時間ドライブすることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記ダミードライブ制御回路は、前記ハイ側出力回路部のノードの出力の立ち上がり時にワンショットパルスを発生するワンショットパルス発生回路と、このワンショットパルス発生回路からの出力とロー側出力回路部の出力ノードからの出力が与えられるオアゲートと、で構成することができる。
【0026】
上記した構成によれば、端子部がHiからHi−Zになったときに、ロー側出力回路部とダミードライブ制御回路を用いて、一定時間ロー側にダミードライブすることで、AC特性を改善することができる。また、不完全オフ状態でのハイ側出力回路部に流れるリーク電流も低減することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、この発明によれば、出力トランジスタの不完全OFF時間を短くすることができ、従来の回路よりAC特性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。図4は、この発明の第1の実施形態にかかる出力バッファ回路を示す回路図である。尚、図2の構成と同じ構成部分に同じ符号を付す。
【0029】
この発明の出力バッファ回路5も図4に示すように、出力用PMOSトランジスタ52のゲートとPIノード間にトレラントを構成するトランジスタが設けられている。すなわち、PIノードと出力用PMOSトランジスタ52との間には3つのPMOSトランジスタ51a、53、54と1つのNMOSトランジスタ56が設けられている。NMOSトランジスタ56、PMOSトランジスタ54のゲート及びPMOSトランジスタ53のドレインには内部電源電圧(intVCC)が与えられる。PMOSトランジスタ51a、53のゲートはNウェル抵抗58を介して出力ノードに接続される。PMOSトランジスタ54のドレインが出力ノードに接続される。PMOSトランジスタ51aがアナログスイッチとして機能する。この発明においては、このPMOSトランジスタ51aの閾値電圧(Vth)を通常の他のトランジスタの閾値電圧(Vth)より低いトランジスタ(Low(低)−Vth)に構成している。例えば、通常のトランジスタの閾値電圧(Vth)が−0.6V程度とすると、このPMOSトランジスタ51aの閾値電圧(Vth)は−0.3V(ΔVth)分低くした−0.3V程度に設定している。
【0030】
また、出力用PMOSトランジスタ52と出力用NMOSトランジスタ57の間にはNMOSトランジスタ55が設けられ、このNMOSトランジスタ55のゲートには、内部電源電圧(intVCC)が与えられる。出力用PMOSトランジスタ52のソースには、内部電源電圧が与えられ、出力用NMOSトランジスタ57のソースは接地されている。NMOSトランジスタ55と出力用PMOSトランジスタ52との接続ノード(出力ノード)が出力端子部6に接続されている。
【0031】
上記したPMOSトランジスタ51aを(Low−Vth)トランジスタに構成する方法としては、プロセスにて閾値制御用不純物の注入、すなわち、Vth注入を制御することにより実現することができる。一般的には、通常トランジスタのVth注入以外にLow−Vthトランジスタ専用のVth注入を実施すればよい。
【0032】
上記したように、PMOSトランジスタ51aにLow−Vthトランジスタトランジスタを使用しているので、PMOSトランジスタ51aが閾値電圧(−0.3V程度)を越えて完全にオン(ON)するまでの遷移時間が短くなる。また、図5に示すように、この期間は出力用PMOSトランジスタ52のゲート電位も3V−Vth(2.7V程度)となり、出力用PMOSトランジスタ52のソース─ドレイン間に流れるリーク電流も少ない。
【0033】
図6に出力端子部6にpull−down抵抗を設け、出力端子部6がHからHi−Z(端子フローティング時)になった時の従来の回路と本発明の回路における出力用PMOSトランジスタ52の不完全なOFF状態を示す。
【0034】
上記したように、PMOSトランジスタ51aが閾値電圧(−0.3V程度)を越えて完全にオン(ON)するまでの遷移時間が短くなる。また、この期間は出力用PMOSトランジスタ52のゲート電位も3V−Vth(2.7V程度)となり、出力用PMOSトランジスタ52のソース─ドレイン間に流れるリーク電流も少ない。このことから、図6に示すように、従来の回路の波形Aに比べてこの発明の波形Bを比べれば、不完全なOFF状態の時間(a、b)がより短くなる。
【0035】
図7は、この発明の第2の実施形態にかかる出力バッファ回路を示す回路図である。尚、図4の構成と同じ構成部分に同じ符号を付し、ここでは異なる構成につき説明する。
【0036】
上記した図4に示す実施形態においては、PMOSトランジスタ51aをLow−Vthトランジスタにするために、プロセスにてVth注入を制御することにより構成した。これに対して図7に示す実施形態は、PMOSトランジスタ51bのトランジスタ長を通常より短くすることにより、意図的にショートチャンネル状態にして実際の閾値電圧(Vth)を下げている。ショートチャンネル効果というのは、一般的にはトランジスタ長が短くなると実際の閾値電圧(Vth)が下がるという現象をいう。図8に示すように、チャネル長を短くすると、閾値電圧が下がる。この第2の実施形態では、閾値電圧を通常のトランジスタよりΔVth(−0.3V程度)下げた状態になるチャネル長にPMOSトランジスタ51bを設定している。
【0037】
これにより、Low−Vthトランジスタというプロセスオプションを使用せずに、第1の実施形態と同様の特性を得ることができる。
【0038】
以下、この発明の第3の実施の形態につき説明する。図9は、この発明の第3の実施形態にかかる出力バッファ回路を示す回路図である。尚、図2の構成と同じ構成部分に同じ符号を付す。
【0039】
この第3の実施の形態にかかる出力バッファ回路5も図9に示すように、ハイ(Hi)側出力部を構成する出力用PMOSトランジスタ52のゲートとPIノード間にトレラントを構成するトランジスタが設けられている。すなわち、PIノードと出力用PMOSトランジスタ52との間には3つのPMOSトランジスタ51、53、54と1つのNMOSトランジスタ56が設けられている。NMOSトランジスタ56、PMOSトランジスタ54のゲート及びPMOSトランジスタ53のドレインには内部電源電圧(intVCC)が与えられる。PMOSトランジスタ51、53のゲートはNウェル抵抗58を介して出力ノードに接続される。PMOSトランジスタ54のドレインが出力ノードに接続される。PMOSトランジスタ51がアナログスイッチとして機能する。
【0040】
また、ロー(Lo)側出力部を構成する出力用NMOSトランジスタ57はNMOSトランジスタ55を介して出力用PMOSトランジスタ52に接続されている。このNMOSトランジスタ55のゲートには、内部電源電圧(intVCC)が与えられる。出力用PMOSトランジスタ52のソースには、内部電源電圧が与えられ、出力用NMOSトランジスタ57のソースは接地されている。NMOSトランジスタ55と出力用PMOSトランジスタ52との接続ノード(出力ノード)が出力端子部6に接続されている。
【0041】
ロー側出力回路部の出力用NMOSトランジスタ57のゲートとハイ側出力回路部のPIノードとはダミードライブ制御回路60を介して接続される。また、ロー側出力部のNIノードの出力もダミードライブ制御回路60を介してロー側出力部の出力用NMOSトランジスタ57のゲートに与えられる。
【0042】
このダミードライブ制御回路60は、端子部6がHiからHi−zになったときに、pull−down抵抗より強いドライブ能力を有するロー側出力回路部を一定時間ドライブするように制御するものである。即ち、図10の回路の波形図に示すように、端子部6がHiから出力バッファ回路を不使用にするHi−Z(ハイインピ−ダンス)状態となると、PIノードの出力はHiに、NIノードの出力はLowのままである。ダミードライブ制御回路60から出力される信号NEは、PIノードの出力のHiへの遷移により、図10の破線Aで囲んだように、ロー側出力回路部を一定時間駆動する信号を生成し、出力用トランジスタ57のゲートに与える。この信号により、pull−down抵抗より強いドライブ能力を有するロー側出力回路部を一定時間ドライブし、端子部6の電位が急速に下がる。この結果、アナログスイッチを構成するPMOSトランジスタ51がVth(−0.6V程度)を越えて、図2に示すものに比べて早く完全にオン(ON)する。そして、図11の波形に示されるように、出力用PMOSトランジスタ52の不完全オフ(OFF)時間を短くすることができる。
【0043】
また、出力用PMOSトランジスタ52のゲート電位が3Vとなり、PMOSトランジスタ52が完全にオフ(OFF)することにより、この期間にPMOSトランジスタ52のゲート電位が3V−Vth(2.4V程度)となり、PMOSトランジスタ52のソース−ドレイン間に流れるリーク電流も少なくできる。
【0044】
図12に、この第3の実施形態におけるダミードライブ制御回路60の具体的回路例を示す。尚、ダミードライブ制御回路60の具体的構成以外は図9と同じ構成であるので、ここでは説明を割愛する。
【0045】
ダミードライブ制御回路60は、ハイ側出力回路部のPIノードの出力の立ち上がり時にワンショットパルスを発生するワンショットパルス発生回路61と、このワンショットパルス発生回路61からの出力とロー側出力回路部のNIノードからの出力が与えられるオアゲート64と、で構成されている。ワンショットパルス発生回路61は、ナンド回路62と奇数段のインバータ62…で構成され、PIノードの出力と、奇数段のインバータ62…を介して与えられるPIノードの出力をナンド回路62に与え、PI出力の立ち上がり時にワンショットパルスを発生する。
【0046】
このワンショットパルス発生回路61の出力信号と、通常の出力信号としてNIノードに与えられる信号NIをオアゲート64に与え、オアゲート64からの出力信号NEでロー側出力回路部のNMOSトランジスタ57をコントロールする。
【0047】
動作としては、通常のロー出力時には、NIノードからの信号でロー側出力回路部のNMOSトランジスタ57を動作させる。そして、端子部6がHiから出力バッファ回路を不使用にするHi−Z(ハイインピ−ダンス)状態への遷移時には、PIノードの出力信号の立ち上がりで、ダミードライブ制御回路60から発生されるワンショットパルスにより、ロー側出力回路部のNMOSトランジスタ57を一定時間ダミードライブさせる。
【0048】
尚、ダミードライブ動作させる時間は、外部pull−down抵抗値とロー側出力回路部のドライブ能力等によって決定し、奇数段のインバータ62…の段数で時間調整を行う。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】入出力回路の全体構成を示すブロック図である。
【図2】従来のトレラントを備えた出力バッファ回路を示す回路図である。
【図3】図2に示す回路において、端子にプルダウン抵抗が付いたときのHからHi−zに変化するときの特性図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係るトレラントを備えた出力バッファ回路を示す回路図である。
【図5】この発明の出力バッファ回路と従来の出力バッファ回路におけるゲート−ソース間電圧とドレイン電流の関係を示す特性図である。
【図6】この発明の出力バッファ回路と従来の出力バッファ回路において、出力端子部にプルダウン抵抗が付いたときのHからHi−zに変化するときの特性図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係るトレラントを備えた出力バッファ回路を示す回路図である。
【図8】チャネル長と閾値電圧の関係を示す特性図である。
【図9】この発明の第3の実施形態に係るトレラントを備えた出力バッファ回路を示す回路図である。
【図10】この発明の第3の実施形態の動作を示す波形図である。
【図11】この発明の第3の実施形態の出力バッファ回路において、出力端子部にプルダウン抵抗が付いたときのHからHi−zに変化するときの特性図である。
【図12】この発明の第3の実施形態に係るトレラントを備えた出力バッファ回路の具体例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0050】
6 端子
51、53、54 PMOSトランジスタ
52 出力用PMOSトランジスタ
55、56 NMOSトランジスタ
57 出力用NMOSトランジスタ
60 ダミードライブ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体内部電源電圧よりも高電圧の外部信号線に接続される端子部と、フローティングNウェルを有し複数のPチャネル型トランジスタとアナログスイッチにより構成され半導体内部信号を外部へ出力するハイ側出力回路部と、複数のNチャネル型トランジスタが直列に接続され半導体内部信号を外部へ出力するロー側出力回路部とを備え、ゲートが前記端子部に接続された前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタの閾値電圧を他のトランジスタの閾値電圧より低く設定することを特徴とする半導体装置の入出力回路。
【請求項2】
半導体内部電源電圧よりも高電圧の外部信号線に接続される端子部と、フローティングNウェルを有し複数のPチャネル型トランジスタとアナログスイッチにより構成され半導体内部信号を外部へ出力するハイ側出力回路部と、複数のNチャネル型トランジスタが直列に接続され半導体内部信号を外部へ出力するロー側出力回路部とを備え、前記アナログスイッチを構成するPチャネル型トランジスタのゲートが前記端子部に接続され、前記ハイ側出力回路部のノードとロー側出力回路部の出力トランジスタのゲートと間にダミードライブ制御回路を設け、前記ダミードライブ制御回路は、ハイ側出力回路部とロー側出力回路部の両方がオフ状態へ遷移するときに一定時間ドライブすることを特徴とする半導体装置の入出力回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−306622(P2007−306622A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204291(P2007−204291)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【分割の表示】特願2003−53753(P2003−53753)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】