説明

半導体試験ボード

【課題】ピンアサインの異なる被試験デバイスに対して同一のFTボード(パフォーマンスボード)を使用することができるようにし、半導体デバイスの試験コストの低減化を図ることができるようにした半導体試験ボードを提供する。
【解決手段】本発明の第1実施形態28は、多層基板29を用意し、接触子45を始めとする電源用の接触子と、接触子46を始めとする接地用の接触子と、接触子47を始めとする信号用の接触子とを、DUT13のピンアサインに応じて多層基板29に装着することにより構成することができ、ICソケット17とFTボード22との間に介在させて使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスをIC(integrated circuit)テスタで試験する場合に用いて好適な半導体試験ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は半導体デバイスをICテスタで試験する場合に用いられる従来の試験冶具の一例を示す模式的断端面図である。図6中、1はICテスタのテストヘッド、2はパッケージの下面に外部端子が形成されたDUT(device under test:被試験デバイス)であり、3はDUT2の外部端子をなす半田ボールである。4はDUT2が装着される試験冶具であるICソケットであり、5は接触子であるポゴピン、6はポゴピン5を保持するポゴピン保持部である。
【0003】
7はICテスタのテストヘッド1に装着される試験冶具であるパフォーマンスボード、いわゆるFT(final test)ボードであり、8はポゴピン5の先端が接触される電極、9はICヘッドのテストヘッド1の電極が接触される電極、10は必要に応じてDUT2以外との接続に使用される電極、11は配線層(電源配線、接地配線、信号配線)である。
【特許文献1】特開平5−72269号公報
【特許文献2】特開平10−123208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、図6に示すように、試験冶具として、ICソケット4及びFTボード7のみを用いる場合には、FTボード7の電源/接地のピンアサインは固定されているので、電源/接地のピンアサインが異なるDUT毎にFTボード7を開発する必要がある。しかし、FTボード7は、電源/接地/信号の各配線層を積層構造化して構成されるので、新たなFTボードの開発は、層数の増加等を招き、多大なコストを必要とする。
【0005】
ここに、近年、半導体デバイスは、1品1様化されてきており、品種個々にFTボードを開発する事が必要となってきている。この為、品種個々に関わる試験コストが増加している。そこで、試験コストを抑え、且つ、高い信頼性のある試験を実施できるようにする事が今後の試験開発の大きな課題となっている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑み、ピンアサインの異なる被試験デバイスに対して同一のFTボードを使用することができるようにし、半導体デバイスの試験コストの低減化を図ることができるようにした半導体試験ボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ICソケットとFTボードとの間に介在させる半導体試験ボードであって、FTボードの電源端子と電気的に接続される電源層を有する基板と、ICソケットの端子と前記電源層との選択的接続を行うための接続部材を備えるというものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、FTボードの電源端子と電気的に接続される電源層を有する基板と、ICソケットの端子と前記電源層との選択的接続を行うための接続部材を備えるとしているので、ピンアサインの異なるDUTに対して同一のFTボードを使用することが可能となる。したがって、半導体デバイスの試験コストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について、本発明をパッケージの下面に外部端子が形成されたBGA(Ball Grid Array)をDUTとする場合を例にして説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の構造及び使用例を示す模式的断端面図である。図1中、12はICテスタのテストヘッド、13はDUTであり、14、15、16はDUT13の外部端子をなす半田ボールである。この例では、半田ボール14は電源端子を成し、半田ボール15は接地端子を成し、半田ボール16は信号端子を成している。
【0011】
17はDUT13が装着される試験冶具であるICソケットであり、18、19、20は接触子であるポゴピン、21はポゴピン18、19、20を保持するポゴピン保持部である。この例では、ポゴピン18はDUT13の電源端子を成す半田ボール14に電気的に接続され、ポゴピン19はDUT13の接地端子を成す半田ボール15に電気的に接続され、ポゴピン20はDUT13の信号端子を成す半田ボール16に電気的に接続されている。
【0012】
22はICテスタのテストヘッド12に装着される試験冶具であるFTボードであり、23は電源(第1電源)用の電極、24は接地(第2電源)用の電極、25、26、27は信号用の電極である。なお、配線層及び電極23〜27に対応して設けられているICテスタのテストヘッド12側の電極は、図示を省略している。
【0013】
28は本発明の第1実施形態、29は本発明の第1実施形態28を構成する多層基板であり、破線30で囲む部分は、多層基板29の層構成を示している。31は絶縁層、32は導電層を有する電源層(第1電源層)、33は絶縁層、34は導電層を有する接地層(第2電源層)、35は絶縁層、36〜44は直径を同一とするスルーホールである。
【0014】
本発明の第1実施形態28は、FTボード22上に装着した場合、電源層32がビア部32Aを介してFTボード22の電源用の電極23に接触し、接地層34がビア部34Aを介してFTボード22の接地用の電極24に接触するように構成されている。
【0015】
45、46、47は導電材からなる接続部材をなす接触子であり、45は電源用の接触子(第1種の接触子)、46は接地用の接触子(第2種の接触子)、47は信号用の接触子(第3種の接触子)である。接触子45、46、47は、多層基板29のスルーホール36〜44に装着して使用される。
【0016】
この例では、電源用の接触子45は、ポゴピン18と電源層32とを電気的に接続するために利用され、接地用の接触子46は、ポゴピン19と接地層34とを電気的に接続するために利用され、信号用の接触子47は、ポゴピン20とFTボード22の信号用の電極27とを電気的に接続するために利用されている。本発明の第1実施形態28では、電源用の接触子45、接地用の接触子46及び信号用の接触子47がそれぞれ必要な個数だけ用意される。
【0017】
図2は接触子45、46、47の模式的斜視図である。電源用の接触子45は、第1部分48、第2部分49及び第3部分50を有している。第1部分48は、直径をスルーホール36〜44よりも大とされた円柱形状とされ、使用時には、その下面を多層基板29の上面に当接させ、その上面にポゴピンの先端が接触される。第2部分49は、その上部及び下部を円錐形状、その中間部を円柱形状とされ、側面49Aがスルーホール36〜44内の電源層32と接触するように構成されている。
【0018】
第3部分50は、第1部分48と第2部分49とを結合する部分であり、円柱形状とされており、第2部分49をスルーホール36〜44に挿入し、第1部分48の下面を多層基板29の上面に当接させた場合に、第2部分49の側面49Aがスルーホール内の電源層32に接触する長さとされている。
【0019】
接地用の接触子46は、第1部分51、第2部分52及び第3部分53を有している。第1部分51は、直径をスルーホール36〜44よりも大とされた円柱形状とされ、使用時には、その下面を多層基板29の上面に当接させ、その上面にポゴピンの先端が接触される。第2部分52は、その上部及び下部を円錐形状、その中間部を円柱形状とされ、側面52Aがスルーホール36〜44内の接地層34と接触するように構成されている。
【0020】
第3部分53は、第1部分51と第2部分52とを結合する部分であり、円柱形状とされており、第2部分52をスルーホール36〜44に挿入し、第1部分51の下面を多層基板29の上面に当接させた場合に、第2部分52の側面52Aがスルーホール内の接地層34に接触する長さとされている。
【0021】
信号用の接触子47は、第1部分54と第2部分55を有している。第1部分54は、直径をスルーホール36〜44よりも大とされた円柱形状とされ、使用時には、その下面を多層基板29の上面に当接させ、その上面にポゴピンの先端が接触される。第2部分55は、先端を円錐形状、その他の部分を円柱形状とされ、第1部分54の下面を多層基板29の上面に当接させた場合、その先端がFTボード22の電極に接触するように構成されている。
【0022】
即ち、本発明の第1実施形態28は、多層基板29を用意し、電源用の接触子45と、接地用の接触子46と、信号用の接触子47とを、DUT13のピンアサインに応じて多層基板29に装着することにより構成することができる。
【0023】
以上のように、本発明の第1実施形態28は、FTボード22の電源用の電極23に接触する電源層32と、FTボード22の接地用の電極24と接触する接地層34を有し、スルーホール36〜44が形成された多層基板29と、ポゴピンと電源層32との電気的接続を図る接触子45と、ポゴピンと接地層34との電気的接続を図る接触子46と、ポゴピンとFTボード22の信号用の電極との電気的接続を図る接触子47を有しているので、本発明の第1実施形態28を使用する場合には、DUTの半田ボールとFTボード22の電極との電気的接続上の整合性を図ることができる。
【0024】
即ち、本発明の第1実施形態28を用いる場合には、ピンアサインの異なるDUTに対して同一のFTボード22を使用することが可能となる。したがって、半導体デバイスの試験コストの低減化を図ることができる。
【0025】
なお、本発明の第1実施形態28では、ポゴピンとFTボード22の信号用の電極を電気的に接続する接触子47を備えるとしているが、このような接触子を備えず、ポゴピンの先端部がFTボード22の信号用の電極と接触する構成としても良い。
【0026】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態の構造及び使用例を示す模式的断端面図である。図3中、56はICテスタのテストヘッド、57はDUTであり、58、59、60はDUT57の外部端子をなす半田ボールである。この例では、半田ボール58は接地端子を成し、半田ボール59は信号端子を成し、半田ボール60は電源端子を成している。
【0027】
61はDUT57が装着される試験冶具であるICソケットであり、62、63、64は接触子であるポゴピン、65はポゴピン62、63、64を保持するポゴピン保持部である。
【0028】
66はICテスタのテストヘッド56に装着される試験冶具であるFTボードであり、67はFTボード66の上面に直立状に設けられた接地用のピン、68はFTボード66の上面に直立状に設けられた電源用のピン、69、70、71は信号用の電極である。なお、配線層及びピン67、68、電極69、70、71に対応して設けられているICテスタのテストヘッド56側の電極は、図示を省略している。
【0029】
72は本発明の第2実施形態、73は本発明の第2実施形態72を構成する積層基板であり、破線74で囲む部分は、積層基板73の構成を示している。75は絶縁板、76は絶縁板に導電層(第2電源層)を形成してなる接地板(第2電源板)、77は絶縁板、78は絶縁板に導電層(第1電源層)を形成してなる電源板(第1電源板)、79は絶縁板である。
【0030】
80は接地用のピン67に対応して設けられたスルーホール、81は電源用のピン68に対応して設けられたスルーホール、82〜90は直径を同一とする電源/接地/信号用のスルーホール、91〜94は直径を同一とする固定ピン用スルーホール、95は積層基板組み立て用のピンである。なお、図3はスルーホール80〜84、91が含まれるように断端面をとったものである。
【0031】
本発明の第2実施形態72をFTボード66に装着した場合、接地板76の導電層と接地用のピン67とが接触し、電源板78の導電層と接地用のピン67とが接触しないように、スルーホール80は、接地板76の部分は相対的に小さく、電源板78の部分は相対的に大きく形成されている。また、電源板78の導電層と電源用のピン68とが接触し、接地板76の導電層と電源用のピン68とが接触しないように、スルーホール81は、電源板78の部分は相対的に小さく、接地板76の部分は相対的に大きく形成されている。
【0032】
97、98は導電材からなる接続部材をなす接触子であり、接触子97、98は接地板76又は電源板78のスルーホール部分に装着して使用される。本発明の第2実施形態では、接触子97、98と同形の接触子が必要な個数だけ用意される。
【0033】
この例では、接触子97は、ポゴピン62と接地板76との電気的接続を図るために利用され、接触子98は、ポゴピン64と電源層78との電気的接続を図るために利用されている。なお、本発明の第2実施形態72を使用する場合には、DUT57の信号用の半田ボールとFTボード66の信号用の電極とは、電源/接地/信号用のスルーホールを介してポゴピンにより電気的に接続される。
【0034】
図4は接触子97の模式的斜視図であり、本発明の第2実施形態72で使用される接触子は全て同一の構成とされている。接触子97は、第1部分99と第2部分100を有している。第1部分99は、直径を電源/接地/信号用のスルーホール82〜90よりも大とする円柱形状とされ、第2部分100は、電源/接地/信号用のスルーホール82〜90に嵌入し得る円柱形状とされている。
【0035】
図5は接触子97と接地板76との接触の様子を示す模式的断端面図である。図5中、接地板76において、101は絶縁板、102は導電層である。この例では、接触子97は、第2部分100を接地板76のスルーホール部分に嵌入し、第1部分99の下面を導電層102に接触させている。他の接触子と接地板76との接触、接触子と電源板78との接触も同様に行われる。
【0036】
本発明の第2実施形態72は、積層基板73を構成する絶縁板75、接地板76、絶縁板77、電源板78、絶縁板79を用意し、接触子97、98を始めとする接触子をDUT57のピンアサインに応じて接地板76及び電源板78のスルーホール部分に装着し、絶縁板75、接地板76、絶縁板77、電源板78、絶縁板79を積層して固定することにより構成することができる。
【0037】
以上のように、本発明の第2実施形態72では、積層基板73は、絶縁板75、接地板76、絶縁板77、電源板78、絶縁板79から構成され、接触子97、98を始めとするポゴピンと接地板76の導電層又は電源板の導電層とを電気的に接続するための接触子を有しているので、本発明の第2実施形態72を使用する場合には、DUTの半田ボールとFTボード66の電極との接続上の整合性を図ることができる。
【0038】
即ち、本発明の第2実施形態72を用いる場合には、ピンアサインの異なるDUTに対して同一のFTボード66を使用することが可能となる。したがって、半導体デバイスの試験コストの低減化を図ることができる。
【0039】
なお、特許文献1には、FTボードとICソケットとの間にI/Fユニットを介在させる技術が記載され、特許文献2には、汎用LSIボード上部と汎用LSIボード下部との間に変換コンタクトボードを介在させる技術が記載されているが、これらI/Fユニット及び変換コンタクトボードは、本発明のように、FTボードの電源端子と電気的に接続される電源層を有する基板と、ICソケットの端子と前記電源層との選択的接続を行うための接続部材を備えるというものではなく、本発明の構成は、特許文献1、2から示唆されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態の構造及び使用例を示す模式的断端面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を構成する接触子の模式的斜視図である。
【図3】本発明の第2実施形態の構造及び使用例を示す模式的断端面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を構成する接触子の模式的斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態を構成する接触子と接地板との接触の様子を示す模式的断端面図である。
【図6】半導体デバイスをICテスタで試験する場合に用いられる従来の試験冶具の一例を示す模式的断端面図である。
【符号の説明】
【0041】
12…ICテスタのテストヘッド
13…DUT(被試験デバイス)
14、15、16…半田ボール
17…ICソケット
18、19、20…ポゴピン
21…ポゴピン保持部
22…FTボード
28…本発明の第1実施形態
29…多層基板
45、46、47…接触子
56…ICテスタのテストヘッド
57…DUT(被試験デバイス)
58、59、60…半田ボール
61…ICソケット
62、63、64…ポゴピン
65…ポゴピン保持部
66…FTボード
72…本発明の第2実施形態
73…多層基板
97、98…接触子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス用のソケットとICテスタに装着されるFTボードとの間に介在させる半導体試験ボードであって、
前記FTボードの電源端子と電気的に接続される電源層を有する基板と、
前記ソケットの端子と前記電源層との選択的接続を行うための接続部材を備えることを特徴とする半導体試験ボード。
【請求項2】
前記基板は、スルーホールが形成された多層基板であり、前記電源層として、第1電源層と第2電源層を有し、
前記接続部材として、前記スルーホールを介して前記ソケットの端子と前記第1電源層との電気的接続を図る第1種の接触子と、前記スルーホールを介して前記ソケットの端子と前記第2電源層との電気的接続を図る第2種の接触子を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体試験ボード。
【請求項3】
前記第1種の接触子は、前記多層基板の上面に当接し、前記ソケットの端子が接触する第1部分と、前記スルーホール内で前記第1電源層の側面に接触する第2部分を有し、
前記第2種の接触子は、前記多層基板の上面に当接し、前記ソケットの端子が接触する第1部分と、前記スルーホール内で前記第2電源層の側面に接触する第2部分を有する
ことを特徴とする請求項2記載の半導体試験ボード。
【請求項4】
前記基板は、第1電源層が形成された第1電源板と前記第2電源層が形成された第2電源板を含む複数の板を積層し、スルーホールが形成された積層基板であり、
前記接続部材として、前記スルーホールを介して前記ソケットの端子と前記第1電源層又は前記第2電源層との電気的接続を図る接触子を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体試験ボード。
【請求項5】
前記接触子は、前記第1電源板又は前記第2電源板のスルーホール部分に装着するものである
ことを特徴とする請求項4記載の半導体試験ボード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−112891(P2006−112891A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299753(P2004−299753)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】