説明

吸音部材

【課題】車両が吸音体と接触するのを防止することで走行の安全性を向上させることが可能な吸音部材を提供する。
【解決手段】道路進行方向に沿って立設された遮音壁の頂部に設けられる吸音部材10において、外表面を被覆する多孔板11と内側面を構成する内面板12との間に吸音材13を介在させてなるとともに断面略U字状に成形された吸音体14を備え、吸音体14は、その断面略U字状の両端部で上記遮音壁の頂部を狭持するように配設可能とされ、各両端部からそれぞれ上方に立ち上げられた道路側に面する第1の側壁16a及び外側に面する第2の側壁16bと、断面略円弧状の頭頂部17とを有し、第1の側壁16aは、略鉛直方向に延長されてなり、第2の側壁16bは、頭頂部17から外側へ膨出され、その外側に膨出された膨出端51から内側へ円弧状に折り曲げられた後、更に下方に向けて折り曲げられてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路等における走行車両による騒音等を防音するための遮音壁の頂部に設けられる吸音部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等においては車両の高速走行に伴って大きな騒音が発生し、道路周辺の環境を損なう。このため、車両の走行に伴って発生する騒音などが外部に漏れるのを防止するために、道路の両側に遮音壁を設けることが一般的に行われている。この遮音壁は、車両走行方向に向けて所定間隔で支柱を設け、隣接する支柱間に遮音パネルを複数段に亘って積み上げて壁体構造を形成する場合が多い。
【0003】
遮音壁が設けられている場合における車両走行による交通騒音は、遮音壁自体を通過する透過音と、遮音壁の頂点を回りこんで受音点側に再放射する回折音とにより、遮音性能を評価する。遮音壁自体の遮音性能が十分なものであれば、受音点の騒音レベルは、回折音によって決定されることになる。この回折音を低減させるためには、遮音壁の頂部において集中した音響エネルギーを低減させることにより、受音点の騒音レベルを低減させることが可能となる。従来においては、この遮音性能の向上を図るべく、防音壁の頂部に吸音部材を取り付ける技術も提案されている。
【0004】
特許文献1の開示技術では、防音壁本端の上端にセラミックス吸音材により構成された円筒状吸音筒を取り付ける技術が提案されている。この特許文献1の開示技術では、防音壁の高さを低くしても、円筒状吸音筒により音波の回折量を減少させることができる点が開示されている。
【0005】
図10は、特許文献2に示す遮音壁用吸音装置の例を示している。この遮音壁用吸音装置7は、内面板72と外側の多孔板71との間に、無機質繊維マットや多孔質セラミックス等からなる吸音材73を狭持させて構成した吸音体74を形成してなる。そして、この吸音体74は、上下方向に延長された下壁部75と、下壁部75の上部から側方へ断面半円弧状に膨出する庇部76と、庇部76の上端から形成されてなる略凸弧状の頂壁部77とからなる長尺材で構成されている。そして、この下壁部75の内側には、内面板72の下端にビス等で固着されたブラケットの如き固着部79が設けられている。頂壁部77の端面80には、閉塞板81がビス等で固着されている。
【0006】
この遮音壁用吸音装置7は、遮音壁を構成する金属板83、84に対して固着部79を当接させた上でボルト86、87を介して取り付けられることとなる。この特許文献2の開示技術では、遮音壁への取り付け構造を改良したものであり、取付容易性を向上させたものである。
【0007】
また図11は、特許文献3に示す遮音壁頂部の吸音体91の取付構造9を示したものである。吸音体91の構成は、上述した吸音体74とほぼ同様であるが一枚の長尺材で構成されてなる点が相違する。この取付構造9は、断面倒立L字状の上辺部と断面倒立逆F字状の下辺部からなる外側取付レール97と、断面倒立逆L字状の下辺部を有し、下辺部には更に突出段部が設けられた内側取付レール98を遮音壁90に取り付け、吸音体91に対しては外側固定レール101と内側固定レール102とがそれぞれ設けられており、外側固定レール101を外側取付レール97に、また内側固定レール102を内側取付レール98にそれぞれに嵌挿させる構成としている。即ち、この特許文献3の開示技術では、防音壁への取付構造について、特許文献2の開示技術よりも更に改良を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平03−108012号公報
【特許文献2】特開平06−235209号公報
【特許文献3】特開平10−237830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1〜3の開示技術では、何れも遮音壁の頂部に取り付けられた吸音体が道路側に向けて側方に膨出している構成とされている。このため、この吸音体による道路側への膨出分に応じて建築限界がより狭く設定されることとなる。このため、車両が正確な進行方向を逸脱して遮音壁下部の縁石にタイヤが接触する等した場合には、車両が防音壁へ異常接近することとなり、特にトラック等の大型車両の場合には、それにより吸音体における側方への膨出部に接近してしまう場合もあった。
【0010】
またカーブ区間においては、図12に示すように横断勾配θが高くなり、これに応じて走行する車両130が傾くこととなるため、仮にトラック等の大型車両が誤って防音壁に異常接近してしまった場合には、吸音体131の膨出部132と接触する虞もあった。
【0011】
これに加えて、吸音体が道路内に膨出した形状では、車両の運転者に対して圧迫感を与える場合もあった。
【0012】
更に、従来における吸音体91の内部では、図11に示すようにA部分が下方に向けて徐々に先細に形成されている。その結果、大雨が降った場合には、かかる膨出部からA部分に雨水が溜まってしまうという問題点もあった。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、トラック等の大型車両が誤って防音壁に異常接近してしまった場合においても、吸音体と接触するのを防止することで走行の安全性を向上させることが可能な吸音部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上述した問題点を解決するために、断面略U字状からなる吸音部材の両端部で遮音壁の頂部を狭持するように配設可能とされ、各両端部からそれぞれ上方に立ち上げられた第1の側壁及び第2の側壁と、上記第1の側壁及び上記第2の側壁の双方から連続する断面略円弧状の頭頂部とを形成してなるとともに、第2の側壁は、第1の側壁よりも断面外側へ膨出されてなり、望ましくは、第1の側壁が、略鉛直方向に延長されてなる吸音部材を発明した。
【0015】
請求項1に係る吸音部材は、道路進行方向に沿って立設された遮音壁の頂部に設けられる吸音部材において、外表面を被覆する多孔板と内側面を構成する内面板との間に吸音材を介在させてなるとともに断面略U字状に成形された吸音体を備え、上記吸音体は、その断面略U字状の両端部で上記遮音壁の頂部を狭持するように配設可能とされ、各両端部からそれぞれ上方に立ち上げられた道路側に面する第1の側壁及び外側に面する第2の側壁と、上記第1の側壁及び上記第2の側壁の双方から連続する断面略円弧状の頭頂部とを有し、上記第1の側壁は、略鉛直方向に延長されてなり、上記第2の側壁は、上記頭頂部から外側へ膨出され、その外側に膨出された膨出端から内側へ円弧状に折り曲げられた後、更に下方に向けて折り曲げられてなることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に係る吸音部材は、請求項1記載の発明において、上記第2の側壁は、端部に向けて薄厚化され、上記第1の側壁は、略同一の厚みとされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述した構成からなる本発明によれば、道路側に面する第1の側壁は、上方に向けて略鉛直方向に延長されてなり、第2の側壁の如く外側に膨出された構成とされていない。このため、道路側へ第1の側壁が膨出していない分に応じて建築限界がより広く確保しつつ、遮音壁の頂点を回りこんで受音点側に再放射する回折音を減少させることが可能となる。特にトラック等の車両が正常な進行方向を逸脱して遮音壁へ異常接近しても、車両が吸音部材に接触してしまうのを防止することができる。
【0018】
また本発明によれば、第1の側壁を側方に膨出させることなく鉛直方向に上下に延長されていることから、車両の運転者が圧迫感を感じることが無くなり、走行時に前方への注意力が高まることが期待される。また本発明によれば、第2の側壁は従来と同様に側方に膨出させる構成としていることから、外側からの景観が大きく変わることも無くなく、従来の景観を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した遮音壁の平面図である。
【図2】本発明を適用した遮音壁の側断面図である。
【図3】本発明を適用した吸音部材の斜視図である。
【図4】(a)は、本発明を適用した吸音部材の側面図であり、(b)は、本発明を適用した吸音部材の側断面図である。
【図5】本発明を適用した吸音部材の正面図である。
【図6】吸音部材が設けられる各取付器具の拡大断面図である。
【図7】吸音部材が設けられる各取付器具の正面図である。
【図8】遮音壁(遮音パネル)の上端に吸音部材を取り付けた例を示す図である。
【図9】本発明を適用した吸音部材の作用効果について説明するための図である。
【図10】特許文献2に示す遮音壁用吸音装置の例を示す図である。
【図11】特許文献3に示す遮音壁頂部の吸音体の取付構造を示す図である。
【図12】カーブ区間において横断勾配θが高くなり、これに応じて走行する車両が傾いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、道路の中央分離帯あるいは道路、鉄道等の路側部に立設配備される遮音壁に関し、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明を適用した遮音壁1の斜視図を、図2は、その遮音壁1の側断面図を示している。
【0022】
遮音壁1は、道路進行方向に沿って立設されてなり、コンクリート製のベース2上において、所定間隔で立設された支柱3と、この支柱3間に取り付けられた遮音パネル4とを備えており、この遮音壁1の上端には吸音部材10が設けられる。
【0023】
支柱3は、ウェブ部の両端に一対のフランジ部が連設されたH形鋼からなる。
【0024】
遮音パネル4は、支柱3間に取り付けられ、車道を走行する車両から直接伝わる騒音を遮音できるように遮音機能が施されたパネルである。遮音パネル4は、薄板からなる断面長方形状の鋼管を配列させたパネルで構成されていてもよいし、コンクリート板で構成されていてもよい。また、この遮音パネル4は、周知の吸音材を配列させたパネルとして構成されていてもよい。
【0025】
吸音部材10は、図3の斜視図、図4(a)の側面図、図4(b)の側断面図、並びに図5の正面図に示すように、外表面を被覆する多孔板11と内側面を構成する内面板12との間に吸音材13を介在させてなる吸音体14を備えている。
【0026】
多孔板11は、樹脂製又は金属製の板に規則的又は非規則的に吸音孔18が多数個に亘って穿設させてなり、当該貫通穴を介して道路側からの交通騒音の音波が入射可能な構成とされている。また、この多孔板11は内部に充填した吸音材13が外部に飛散してしまうのを防止する役割を担うものである。
【0027】
吸音材13は、例えばグラスウール、無機質繊維材、有機質繊維材、金属繊維材、多孔質セラミック材等から選ばれたものであり、何れも入射した音響エネルギーを減少させる機能を担うものである。
【0028】
また内面板12は、金属製の板で構成されてなり、多孔板11との間で吸音材13が飛散しないように保持する役割を担う。また、内面板12は、その内側に内接された内接板36が一方の側端から突出された構成とされていてもよい。
【0029】
このような多孔板11と内面板12間に吸音材を介在させてなるとともに断面略U字状に成形して吸音体14を形成している。この吸音体14は、端部15a、15bと、この端部15a、15bからそれぞれ上方に立ち上げられた第1の側壁16a、第2の側壁16bと、第1の側壁16a及び第2の側壁16bの双方から連続する断面略円弧状の頭頂部17とが形成されている。
【0030】
第1の側壁16aは、端部15aから上方に向けて略鉛直方向に延長されてなる。これに対して、第2の側壁16bは、図4に示すように、頭頂部17から外側へ膨出され、その外側に膨出された膨出端51から内側へ円弧状に折り曲げられた後、更に下方に向けて折り曲げられてなる。即ち、第2の側壁16bは、第1の側壁16aよりも断面外側へ膨出されているものであればよいものであり、第1の側壁16aも同様に断面外側に向けて膨出されていてもよいし、また断面内側へ凹んだ形状とされていてもよい。
【0031】
第2の側壁16bは、端部15bに向けて徐々に薄厚化された形状とされている。これに対して、第1の側壁16aは、端部15aから頭頂部17に至るまで略同一の厚みとされている。
【0032】
また本発明によれば、更に遮音壁1(遮音パネル4)の上端への取り付け機構としては、第2の側壁16bの内腔20側には、金属製の外側固定レール21が取り付けられ、また第1の側壁16aの内腔20側並びに下端には、金属製の道路側固定レール22が取り付けられている。
【0033】
外側固定レール21は、図4(b)に示すように、中央の接触段部25において第2の側壁16bへとボルトやネジ等を介して固定され、その下部には内腔20側へ折り曲げられた後に更に下方に折り曲げられてなる第1の折曲段部26が設けられている。またその接触段部25の上部には、内腔20側へ折り曲げられた後に更に上方に折り曲げ、更に第2の側壁16bへ向けて折り返された、断面略コ字状の第2の折曲段部27が設けられている。
【0034】
道路側固定レール22は、図4(b)に示すように断面略L字状に折り曲げられた金属片で構成されている。この道路側固定レール22は、第1の側壁16aの端部15に対してボルトやネジ等を介して固定されている。この道路側固定レール22には、長穴29が所定間隔をおいて穿設されている。
【0035】
また、この吸音部材10の側端部には、図3、図4(a)に示すように側板58が設けられている。この側板58には、ボルト穴19が形成され、多孔板11や内面板12と側板58とをボルト接合が可能とされている。また互いに隣接する他の吸音部材10との間で側板58を互いに当接させ、内接板36を隣接する他の吸音部材10の内面板12に内接させて固定するようにしてもよい。
【0036】
図6は、上述の如き構成からなる吸音部材10が設けられる各取付器具の拡大断面図であり、図7はその正面図を示している。支柱3には、先ず固定器具30が取り付けられる。この固定器具30は、断面コ字状で構成されてなり、その道路側のフランジ30aが、支柱3のフランジ3aに対して、ボルト及びナットを介して取り付けられる。そして、この固定器具30における外側のフランジ30bには、外側取付レール31がボルト42を介して取り付けられ、また固定器具30における道路側のフランジ30aには、道路側取付レール32がボルト43を介して取り付けられる。
【0037】
外側取付レール31並びに道路側取付レール32は、ともに隣接する支柱3に取り付けられた固定器具30間において架設するように構成されている。そして、この外側取付レール31は、断面倒立L字状の上辺部と断面倒立逆F字状の下辺部からなり、特にこの下辺部においては、金属板により囲まれた溝部が形成されている。また、道路側取付レール32は、図6に示すように道路方向に突出されてなると共にその先端は下向きに折り曲げられている。
【0038】
そして、この外側取付レール31には、打ち抜き穴45が互いに所定間隔をおいて複数個に亘り形成されてなる。また、この道路側取付レール32には、長穴46が互いに所定間隔をおいて複数個に亘り形成されている。
【0039】
図8は、実際に遮音壁1(遮音パネル4)の上端に吸音部材10を取り付けた例を示している。実際に吸音部材10を取り付ける際には、外側固定レール21における第1の折曲段部26を溝部38に嵌入させて上下方向の位置を固定させる。そして、この外側取付レール31は、断面倒立L字状の上辺部の上面と第2の折曲段部27の上面とが同一平面となるように調整された上で、これらをジョイントバー55により嵌着することで固定される。
【0040】
また、道路側取付レール32の長穴46と、道路側固定レール22の長穴29とを互いに位置合わせが行われ、ボルト等の螺着手段により螺着固定される。
【0041】
これにより、第1の側壁16aが道路側となるように、また第2の側壁16bが外側になるように、吸音部材10を遮音壁1の配設することが可能となる。即ち、吸音体は、上述した構成を採用することにより、断面略U字状の両端部で遮音壁の頂部を狭持するように配設可能とされる。
【0042】
ちなみに、この遮音壁1(遮音パネル4)の上端に対する吸音部材10を取り付けについては、例えば特許文献3の開示技術を適用するようにしてもよい。
【0043】
本発明では、このようにして遮音壁1(遮音パネル4)の上端に吸音部材10を取り付けることにより、遮音壁の頂点を回りこんで受音点側に再放射する回折音を減少させることができ、遮音壁の頂部において集中した音響エネルギーを低減させることにより、外側の受音点の騒音レベルを低減させることが可能となる。このため、遮音壁1の高さを低くしても、吸音部材10を取り付けることにより音波の回折量を減少させることが可能となる。
【0044】
これに加えて、本発明は、道路側に面する第1の側壁16aは、上方に向けて略鉛直方向に延長されてなり、第2の側壁16bの如く外側に膨出された構成とされていない。このため、図9に示すように、吸音部材10による道路側へ第1の側壁16aが膨出していない分に応じて建築限界がより広く設定される。特にトラック等の車両61が正確な進行方向を逸脱して遮音壁1へ異常接近しても、車両61が吸音部材10に接触してしまうのを防止することができる。特にカーブ区間のように横断勾配θが高くなる場合において、トラック等の車両61の傾きが大きくなる場合において顕著な効果がある。具体的には横断勾配が5%以下であれば、トラック等の車両が遮音壁1の下部の縁石にタイヤが接触した場合においても、吸音部材10に接触することによる破損を防止することが可能となる。
【0045】
また本発明によれば、第1の側壁16aを側方に膨出させることなく鉛直方向に上下に延長されていることから、車両61の運転者が圧迫感を感じることが無くなり、走行時に前方への注意力が高まることが期待される。また本発明によれば、第2の側壁16bは従来と同様に側方に膨出させる構成としていることから、外側からの景観が大きく変わることも無くなく、従来の景観を維持することが可能となる。
【0046】
また、本発明によれば、第2の側壁16bについては、端部15bに向けて薄厚化され、第1の側壁16aについて略同一の厚みとされている。このため、特に第1の側壁16aについて均一に吸音材13を充填することが可能となり、また充填する吸音材の量を増やすことも可能となる。特にこの第1の側壁16aは、道路側に面するものであることから、その道路側から伝搬してくる音波をより多くの吸音材13を以って吸音することが可能となる。これにより、回折音低減に寄与する本発明の吸音部材10を、最上部の遮音パネル4の変わって取り付けても、吸音性能低下の懸念がなくなり受音点側の騒音を低減することができる。
【0047】
また、本発明では、第1の側壁16aが上下方向に略鉛直に延長されているため、下方に向かって先細になることも無くなり、大雨が降った場合においても雨水が当該第1の側壁16aの内部に溜まることなく、スムーズに流すことが可能となる。
【0048】
なお、上述した説明においては、第1の側壁16aが上下方向に略鉛直に延長されている場合を例にとり説明をしたが、かかる構成に限定されるものではなく、第2の側壁16bが第1の側壁16aよりも断面外側へ膨出されてなれば、換言すれば、第1の側壁16aが第2の側壁16bよりも側方への膨出幅が抑えられていれば、上述した所期の効果を得ることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 遮音壁
2 ベース
3 支柱
4 遮音パネル
10 吸音部材
11 多孔板
12 内面板
13 吸音材
14 吸音体
15a、15b 端部
16a 第1の側壁
16b 第2の側壁
17 頭頂部
18 吸音孔
19 ボルト穴
20 内腔
21 外側固定レール
22 道路側固定レール
25 接触段部
26、27 折曲段部
29 長穴
30 固定器具
31 外側取付レール
32 道路側取付レール
38 溝部
41、42、43 ボルト
45 穴
46 長穴
55 ジョイントバー
58 側板
61 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路進行方向に沿って立設された遮音壁の頂部に設けられる吸音部材において、
外表面を被覆する多孔板と内側面を構成する内面板との間に吸音材を介在させてなるとともに断面略U字状に成形された吸音体を備え、
上記吸音体は、その断面略U字状の両端部で上記遮音壁の頂部を狭持するように配設可能とされ、各両端部からそれぞれ上方に立ち上げられた道路側に面する第1の側壁及び外側に面する第2の側壁と、上記第1の側壁及び上記第2の側壁の双方から連続する断面略円弧状の頭頂部とを有し、
上記第1の側壁は、略鉛直方向に延長されてなり、
上記第2の側壁は、上記頭頂部から外側へ膨出され、その外側に膨出された膨出端から内側へ円弧状に折り曲げられた後、更に下方に向けて折り曲げられてなること
を特徴とする吸音部材。
【請求項2】
上記第2の側壁は、端部に向けて薄厚化され、上記第1の側壁は、略同一の厚みとされていること
を特徴とする請求項1記載の吸音部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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