圧電駆動装置、バルブおよびブレーキ装置
【課題】圧電素子の変位を拡大して被駆動体に伝えることができ、被駆動体を精度よく移動させることができる圧電駆動装置を提供すること。
【解決手段】圧電駆動装置10は、ケース2と駆動装置本体11とを備える。駆動装置本体11は、第1および第2の圧電素子17,18と、圧電素子17の変位を拡大する第1の変位拡大機構と、第1の変位拡大機構によって圧電素子17の伸長方向に直交する方向に移動してケース内面に当接する当接部と、圧電素子18の変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備える。圧電素子17に電圧を印加すると、第1の変位拡大機構を介して当接部がケース内面に当接して駆動装置本体11がケース2に対して移動不能に停止される。圧電素子18に電圧を印加すると、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動される。
【解決手段】圧電駆動装置10は、ケース2と駆動装置本体11とを備える。駆動装置本体11は、第1および第2の圧電素子17,18と、圧電素子17の変位を拡大する第1の変位拡大機構と、第1の変位拡大機構によって圧電素子17の伸長方向に直交する方向に移動してケース内面に当接する当接部と、圧電素子18の変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備える。圧電素子17に電圧を印加すると、第1の変位拡大機構を介して当接部がケース内面に当接して駆動装置本体11がケース2に対して移動不能に停止される。圧電素子18に電圧を印加すると、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を駆動源とする圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を用いたバルブおよびブレーキ装置に利用できる。
【背景技術】
【0002】
圧電素子は、小型でかつ高速応答性能に優れ、電気エネルギから機械エネルギへの変換効率が極めて高いという特性を有するため、機械的駆動源としての利用が試みられている。
例えば、圧電素子は、発生する変位が小さいため、その変位を拡大して弁体に作用させることで空気排出口を開閉する圧電式エアバルブが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−316835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、圧電素子に電圧を加えた際に弁体を、てこの原理で移動して弁座から離し、圧電素子の電圧印加を解除した際に弁体を元の位置に戻して弁座に当接させており、弁座に対する弁体の位置調整を精度良く行わなければならないという問題があった。
【0005】
また、特許文献1では、空気圧力室内と空気排出口との圧力差も利用して前記弁体を弁座に密着させているが、このような圧力差がない場合、弁を閉じる力を大きくすることが困難であるという問題があった。
なお、特許文献1では、弁体をばね部材で支持し、弁体を弁座に当接させる力を大きくすることが試みられているが、弁体を弁座に当接させた際にばね部材を大きく撓ませて当接力を大きくすると、圧電素子に電圧を加えた際には、ばね部材の撓みが無くなるまで弁体が弁座から離れないため、バルブの開放が遅れるという新たな問題が発生してしまう。
【0006】
また、チューブバルブやダイアフラムバルブのように、弾性変形可能な部材を押圧してバルブの開閉を行う場合、圧電素子に電圧を印加してバルブを閉じるように構成することは比較的容易であるが、圧電素子の電圧印加を解除した際にバルブを閉じるように構成すること、つまりノーマリークローズタイプのバルブを圧電素子で実現することは難しかった。
【0007】
このような問題は、圧電素子でバルブを開閉する場合に限らず、圧電素子の変位を利用する様々な駆動装置においても共通する問題であった。
【0008】
本発明の目的は、圧電素子の変位を拡大して被駆動体に伝えることができ、被駆動体を精度よく移動させることができる圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を利用してノーマリークローズの動作も実現できるバルブと、前記圧電駆動装置を利用したブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、第1および第2の圧電素子と、前記第1の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、前記第2の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、前記第1の圧電素子に電圧を印加した際には、第1の変位拡大機構を介して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、前記第2の圧電素子に電圧を印加した際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、圧電素子と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、前記第2の変位拡大機構は、第1の変位拡大機能に比べて剛性が高く設定され、前記圧電素子が伸長された際には、第1の変位拡大機構が変位して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、さらに圧電素子が伸長され続けた際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とするものでもよい。
【0011】
このような各発明においては、ケースに対して駆動装置本体を移動可能に設け、圧電素子の伸長に伴い、第1の変位拡大機構を介して当接部をケース内面に当接させているので、圧電素子の駆動によって駆動装置本体の位置を固定することができる。
このため、圧電素子を伸長させて第2の変位拡大機構を介して被駆動体を移動させる際に、駆動装置本体を移動の基準となる位置に移動してから第2の変位拡大機構を変位させて被駆動体を移動でき、被駆動体を常に所定の基準位置から精度良く移動させることができる。
【0012】
また、第1の変位拡大機構を介して当接部を移動させているので、圧電素子の伸長量が小さい場合でも、その変位量を拡大でき、圧電素子の変位量に比べて大幅に大きい量だけ当接部を移動できる。このため、ケース内面に当接部を比較的大きな圧力で圧接でき、その摩擦力で駆動装置本体を十分に移動停止状態にできる。
さらに、第2の変位拡大機構を介して被駆動体を移動させているので、圧電素子の伸長量に比べて被駆動体の移動量を大きくできる。このため、様々な被駆動体の移動に本発明の圧電駆動装置を利用することができる。
【0013】
さらに、請求項1の発明では、各変位拡大機構をそれぞれ別々の圧電素子を駆動して変位させているので、各圧電素子の駆動タイミングを制御することで、第1の変位拡大機構による駆動装置本体の移動停止処理を行った後に、第2の変位拡大機構による被駆動体の移動処理を確実に行うことができ、駆動装置本体の位置を決めてから被駆動体を移動できるので、より確実な駆動を行うことができる。
【0014】
一方、請求項2の発明では、各変位拡大機構の剛性の差を利用して各変位拡大機構の変位タイミングをコントロールすることで、1つの圧電素子のみで駆動できるように構成しているので、コストを低減でき、圧電駆動装置の構造や制御を簡易にできる。
【0015】
ここで、請求項1の圧電駆動装置において、前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた第1圧電素子および第2圧電素子とを備えて構成され、前記変位拡大板は、長手方向の略中央部分に設けられた基端部と、この基端部から連続して形成されて前記第1圧電素子の第1の端部が取り付けられた第1圧電素子第1端部取付部と、前記基端部から第1圧電素子第1端部取付部と反対側に連続して形成されて前記第2圧電素子の第1の端部が取り付けられた第2圧電素子第1端部取付部と、基端部から前記第1圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第1圧電素子を挟んで設けられた一対の第1連結部と、各第1連結部の端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第1圧電素子の第2の端部が取り付けられた第1圧電素子第2端部取付部と、前記基端部から第2圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第2圧電素子を挟んで設けられた一対の第2連結部と、各第2連結部の端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第2圧電素子の第2の端部が取り付けられた第2圧電素子第2端部取付部と、前記各第2連結部の端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、前記第1の圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、第1連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、前記第2の圧電素子が伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることが好ましい。
【0016】
また、請求項2の圧電駆動装置において、前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備えて構成され、前記変位拡大板は、前記圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ圧電素子を挟んで設けられた一対の連結部と、各連結部の一端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記連結部の他端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と、前記各連結部の他端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、前記圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、前記連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、前記圧電素子がさらに伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることが好ましい。
【0017】
これらの各発明によれば、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
すなわち、圧電素子の伸長量は非常に小さいため、変位を伝達する経路途中にピンやカムなどが存在すると、その部分の「がた」で変位が吸入されてしまうおそれがある。これに対し、本発明では、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形したので、変位が吸入されてしまうことがなく、圧電素子の伸長に伴い変位拡大部を所定量だけ確実に変位させることができる。
【0018】
本発明のバルブは、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の第2変位拡大機構に取り付けられた弁体と、前記弁体が当接可能な弁座と、前記弁体および弁座によって開閉される流路と、前記弁体を弁座に当接させる方向に弁体または前記駆動装置本体を付勢する付勢手段と、前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記弁体が前記弁座に当接されて前記流路が閉じられ、前記駆動制御手段は、前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止させた後、前記第2の変位拡大機構を変位させて前記付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を弁座から離して前記流路を開くことを特徴とする。
【0019】
このようなバルブであれば、圧電駆動装置で駆動される被駆動体としての弁体を、所定の基準位置から精度良く移動できるので、例えば基準位置を弁座に当接する位置にすることで、バルブを確実に開閉できる。また、弁体の移動量は、圧電素子の伸長量つまり圧電素子の印加電圧値によって調整できるので、バルブの開き量を容易にかつ精度良く制御できる。
さらに、例えば、被駆動体として弁体を移動させる際に、ケースに対して駆動装置本体をバネ等で付勢して弁体を弁座に当接させることができる。このため、弁座に弁体が当接している位置を基準とし、圧電素子を駆動することで弁座から弁体を離すことができる。従って、弁座に対する弁体の位置調整も容易にかつ精度良く行うことができ、ノーマリークローズタイプのバルブを容易に構成できる。
また、付勢手段の付勢力を利用して弁体を弁座に当接させているので、バルブを閉じる力を容易に大きくすることができ、バルブクローズ状態を確実に維持できる。その上、駆動装置本体を移動不能に停止させてから、弁体を弁座から離しているので、付勢手段を用いていても、弁体を確実に弁座から離すことができ、バルブの開放操作を確実に行うことができる。
【0020】
ここで、前記第2の変位拡大機構と前記弁体とは、前記付勢手段の付勢力より弱い付勢力に設定された連動用付勢手段または磁石によって着脱可能に設けられていることが好ましい。
このように構成すれば、弁体を駆動装置本体から容易に取り外すことができ、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0021】
本発明のブレーキ装置は、前記圧電駆動装置と、回転体と、回転体に対して前記圧電駆動装置によって押圧可能に設けられた摩擦部材と、前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動装置本体は、ケースに対して付勢手段によって前記第2の変位拡大機構がケースの外部側に突出する方向に付勢され、前記摩擦部材は前記第2の変位拡大機構に取り付けられ、前記圧電素子に電圧が印加されておらず圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで摩擦部材が回転体に押圧されて制動力を発生させ、前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧が印加されて前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構がケースの内側に向かう方向に変位されると、前記摩擦部材が回転体から離れてブレーキが解除されることを特徴とする。
【0022】
このようなブレーキ装置の駆動源として、本発明の圧電駆動装置を用いれば、圧電素子に電圧を印加していない状態では、付勢手段によって第2の変位拡大機構がケース外部に突出する方向に付勢されるため、圧電駆動装置で駆動される摩擦部材がドラムやディスクなどの回転体に当接している状態を基準位置にできる。従って、圧電素子に電圧を印加しない状態でブレーキを掛けて制動力を加えることができるブレーキ装置を提供できる。
また、駆動装置本体を付勢手段で付勢して各摩擦部材を回転体に押し付けているため、摩擦部材における摩擦材(ライニング)が摩耗したり、新しい摩擦材に交換してその厚さ寸法が変化した場合でも、前記付勢手段による付勢で摩擦部材が回転体に押圧される状態に自動的に調整することができる。
さらに、圧電素子は、伸縮方向に変位する間だけ電力を消費し、電圧を印加し続けて圧電素子が伸長された状態を維持している間も電流が流れず、電力を消費しない。このため、圧電素子に電圧を印加し続けてブレーキを解除している場合でも電力消費がなく、ソレノイドで摩擦部材を変位させる場合に比べて消費電力を大幅に低減できる。
また、本発明のブレーキ装置は、無励磁型であり、かつ小型で消費電力も抑えることができるため、例えば、ブレーキモータにおけるブレーキ装置などに好適である。さらに、ブレーキモータ以外でも、車、リフト、コンベアなどの各種回転体のブレーキ装置として広く利用できる。
【0023】
ここで、前記回転体は、ドラムで構成され、前記摩擦部材は、前記ドラムの内側に配置されて一端側が支持板に回動自在に取り付けられ、かつ摩擦材が設けられた一対のブレーキシューで構成され、各ブレーキシュー間には、各ブレーキシューの摩擦材がドラム内面から離れる方向に各ブレーキシューを移動させるバネが設けられ、前記圧電駆動装置は、各ブレーキシューの他端間に配置され、一方のブレーキシューに前記第2の変位拡大機構が取り付けられ、他方のブレーキシューに前記ケースが取り付けられ、前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで、各ブレーキシューの他端間の間隔が広がってブレーキシューの摩擦材がドラム内面に押圧されて制動力を発生させ、前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構をケースの内側に向かう方向に変位されると、前記各ブレーキシューの摩擦材が前記バネによってドラム内面から離され、ブレーキが解除されることが好ましい。
【0024】
このような構成のブレーキ装置によれば、リーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキとして利用でき、サーボ効果(自己倍力効果)などのドラムブレーキの特徴を生かしたブレーキ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態のバルブ1が示されている。なお、以下の説明においては、便宜上、図1の上側を上方、下側を下方として説明するが、バルブ1の使用時の向きは図1のものに限らず、水平方向に向けて用いたり、上下を逆にして用いてもよい。
【0026】
バルブ1は、ダイアフラムバルブであり、駆動部ケース2と、駆動部ケース2の一端に取り付けられた流路ブロック3と、駆動部ケース2の他端に取り付けられた蓋4とを備えている。
【0027】
蓋4は、図2に示すように、ネジ41によって駆動部ケース2に固定されている。さらに、蓋4には、ネジ42によってコネクタ43が固定されている。コネクタ43には、駆動制御手段である外部の制御装置(図示略)が接続され、制御装置から出力される駆動信号によって後述する各圧電素子が駆動されるように構成されている。
【0028】
流路ブロック3は、図3に示すように、バルブ1を各種機械に装着するための取付穴31と、駆動部ケース2に流路ブロック3を取り付けるためのネジが挿入される取付穴32が形成されている。
さらに、流路ブロック3には、図1に示すように、液体を供給するパイプが装着されるポート33,34が形成されている。各ポート33,34は、連通孔35,36を介して流路ブロック3に形成されたバルブ面37に開口されている。すなわち、連通孔36はバルブ面37の中心軸部分に開口されている。また、連通孔35は、バルブ面37において、連通孔36の開口の周囲にリング状に形成された凹溝38に開口されている。
【0029】
駆動部ケース2の内部には、図4に示すように、断面略矩形状とされ駆動部ケース2の長手方向(上下方向)に沿って連続する空間が形成され、この空間には一対のガイド部材5が配置されている。
ガイド部材5は、それぞれ直方体状に形成されたプレートで構成されている。各ガイド部材5の対向面には凹溝51が開口されている。また、このガイド部材5は、駆動部ケース2にねじ込まれた押しネジ52によって互いに近接する方向に位置調整できるように構成されている。
【0030】
[圧電駆動装置の構成]
バルブ1の圧電駆動装置10は、駆動部ケース2と、この駆動部ケース2内に内蔵された駆動装置本体11とを備えて構成されている。
駆動装置本体11は、変位拡大板12と、第1のバネ座13と、第2のバネ座14と、各バネ座13,14間に配置された押しバネ15と、磁石ホルダ16と、変位拡大板12に固定された第1圧電素子17および第2圧電素子18とを備えている。
【0031】
[変位拡大板の構造]
変位拡大板12は、マルエージ鋼、ステンレス、インバー材などの曲げ変形(弾性変形)可能な部材で構成され、1枚の板材をワイヤカットなどで以下に説明する所定の形状に切断することで製造されている。
すなわち、変位拡大板12の蓋4側の略半分(上半分)は、図5にも示すように、その長手方向(上下方向)の略中央部分に設けられた基端部121と、基端部121の軸直交方向つまり幅方向の両端部から蓋4側(上方)に延長された一対の第1連結部122と、各第1連結部122の蓋4側の端部(上端部122A)からそれぞれ第1ヒンジ部123を介して連続して形成された一対の第1駆動部124と、各第1駆動部124から第2ヒンジ部125を介して連続して形成された第1圧電素子第2端部取付部である上端側取付部126とを備えて構成されている。
【0032】
一方、前記基端部121の蓋4側の端面には、細幅部127Aを介して第1圧電素子第1端部取付部である基端上部側取付部127が連続して形成されている。そして、基端上部側取付部127には、第1圧電素子17の軸方向の第1の端部(下端)が取り付けられている。
また、上端側取付部126には、スペーサ128を介して第1圧電素子17の軸方向の第2の端部(上端)が取り付けられている。
従って、各第1連結部122は、第1圧電素子17を挟んで設けられ、かつ、第1圧電素子17の長手方向に沿って延長されて形成されている。
【0033】
変位拡大板12の流路ブロック3側の略半分(下半分)は、図1,6に示すように、前記基端部121と、基端部121の幅方向両端部から流路ブロック3側(下方)に延長された一対の第2連結部132と、各第2連結部132の流路ブロック3側の端部(下端部132A)において互いに近接する方向に延出された部分からそれぞれ第3ヒンジ部133を介して連続して形成された一対の第2駆動部134と、各第2駆動部134から第4ヒンジ部135を介して連続して形成された第2圧電素子第2端部取付部である下端側取付部136とを備えて構成されている。すなわち、第1ヒンジ部123、第1駆動部124、第2ヒンジ部125が形成された変位拡大板12の上端部とほぼ同様の構成とされている。
【0034】
前記下端側取付部136には、第2圧電素子18の軸方向の第2の端部(下端)が取り付けられている。
また、前記基端部121の流路ブロック3側の端面には、細幅部を介して第2圧電素子第1端部取付部である基端下部側取付部129が連続して形成されている。そして、基端下部側取付部129には、スペーサ128を介して第2圧電素子18の軸方向の一端が取り付けられている。
従って、各第2連結部132は、第2圧電素子18を挟んで設けられ、かつ、第2圧電素子18の長手方向に沿って延長されて形成されている。
【0035】
また、前記各第2連結部132の下端部132Aのケース2側の端部には、第5ヒンジ部137を介して一対の第3駆動部138が連続して形成され、各第3駆動部138から第6ヒンジ部139を介して被駆動体取付部であるホルダ取付部140が連続して形成されている。
そして、前記第1ヒンジ部123、第1駆動部124、第2ヒンジ部125を備えて第1の変位拡大機構が構成され、第3ヒンジ部133、第2駆動部134、第4ヒンジ部135、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を備えて第2の変位拡大機構が構成されている。
【0036】
また、各圧電素子17,18に沿って配置される第1連結部122、第2連結部132の基端部121との接続部分は、第1連結部122、第2連結部132の他の部分に比べて幅寸法が小さな細幅部(ヒンジ部)122B,132Bとされ、第1連結部122の上端部122Aや第2連結部132の下端部132Aが、前記各変位拡大機構の作用によってケース2側に押された場合、第1連結部122、第2連結部132は前記細幅部122B,132Bから湾曲するように設定されている。
【0037】
本実施形態においては、制御装置は、第1圧電素子17に対しては、第1圧電素子用第1設定値から第1圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成され、第2圧電素子18に対しては、第2圧電素子用第1設定値から第2圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成されている。さらに、本実施形態では、各第1設定値は電圧値「0」に設定され、第2設定値は使用する圧電素子17,18やその圧電素子17,18に求める変位量に応じて設定されている。
【0038】
また、圧電素子17,18は、熱膨張係数が「0」またはマイナスの数値のものが利用されている。このため、各取付部126,129および圧電素子17,18間に、熱膨張係数の大きなアルミなどの材質からなるスペーサ128を挟んで接着し、温度が変化して圧電素子17,18の長さ寸法が変化してもその変化分をスペーサ128の長さ寸法の変化で補い、圧電素子17,18にスペーサ128を加えた長さ寸法は温度変化に関係なく常にほぼ一定となるように構成し、温度変化の影響を少なくするようにしている。
なお、上記のように温度変化に対応するには、圧電素子17,18とスペーサ128とが同じ温度に維持される必要がある。このため、圧電素子17,18およびスペーサ128と変位拡大板12との間の隙間部分を、シリコン等の伝熱材で埋めて圧電素子17,18とスペーサ128とが同じ温度に維持されるように工夫している。
【0039】
各ヒンジ部123,125,133,135,137,139は、他の部分に比べて幅寸法が狭い細幅に形成され、力が加わると弾性変形可能に形成されている。
また、第1ヒンジ部123および第2ヒンジ部125は、前記幅方向の位置がずれているため、初期状態では、各ヒンジ部123,125が略直線上に配置されるように斜めに設けられている。同様に、第3ヒンジ部133および第4ヒンジ部135と、第5ヒンジ部137および第6ヒンジ部139も、それぞれ略直線上に配置されるように斜めに設けられている。
【0040】
第1のバネ座13は、略リング状に形成され、その上端面はガイド部材5に当接して配置されている。また、バネ座13の下端面には凹部が形成され、バネ15の上端部が収納されている。
【0041】
第2のバネ座14は、略円筒状に形成され、その下端面は磁石ホルダ16に当接して配置されている。また、バネ座14の上端面にも凹部が形成され、バネ15の下端部が収納されている。
なお、バネ座14は下端部近くに薄肉部14Aが形成され、後述するように、第2圧電素子18の駆動で、第2連結部132の下端部132Aがケース2側に広がるように撓んだ際に、バネ座14も薄肉部14A部分で撓んで第2連結部132の変形に追従できるように構成されている。
さらに、バネ座14には、下端が開口された開口溝14Bが形成され、この開口溝14B部分に板状の変位拡大板12やホルダ取付部140が配置されている。このため、バネ座14は、変位拡大板12やホルダ取付部140に干渉することなく、直接磁石ホルダ16に当接されている。
【0042】
そして、各バネ座13,14間には前記バネ15が介在されているため、磁石ホルダ16はバネ座14を介して前記バネ15で下方に付勢され、後述するダイアフラムが流路ブロック3のバルブ面に当接されてバルブ1が閉じられるように構成されている。従って、バネ15によって本発明の付勢手段が構成されている。
なお、磁石ホルダ16には、変位拡大板12のホルダ取付部140が取り付けられているため、変位拡大板12と磁石ホルダ16とは一体で移動するが、後述するように、圧電素子17に電圧を印加して伸長させない限り、変位拡大板12はケース2に対して移動可能なフリー状態であるため、バルブ1が閉じられている間は、バネ15の付勢力(応力)が変位拡大板12の各ヒンジ部137,139等や圧電素子17,18に加わることはない。
【0043】
磁石ホルダ16は、前記変位拡大板12のホルダ取付部140にねじ止めされている。磁石ホルダ16の下端には磁石161が埋設されている。なお、磁石ホルダ16とケース2との間には、図示しないパッキンおよびパッキン押さえが配置され、仮にダイアフラム20から液が漏れたとしても駆動装置本体11側に漏れ出さないようにシールしている。このシール構造は以下の各実施形態でも図示しないが設けられている。
【0044】
駆動部ケース2および流路ブロック3間には、ダイアフラム20が配置されている。ダイアフラム20は、略円板状に形成され、その周囲には肉厚な挟持部201が設けられている。そして、この挟持部201を駆動部ケース2および流路ブロック3で挟持することで、ダイアフラム20が固定されている。
また、ダイアフラム20の中心にも肉厚なバルブ開閉部202が設けられている。このバルブ開閉部202には、ダイアフラム金具203がねじ止めされている。ダイアフラム金具203は、前記磁石161の磁力によって磁石161に吸着され、バルブ開閉部202は磁石ホルダ16つまりはホルダ取付部140と一体で動作する。また、磁石161およびダイアフラム金具203を容易に分離できるので、作業者は分解して流路ブロック3やダイアフラム20を容易にメンテナンスできる。
【0045】
ダイアフラム20の挟持部201およびバルブ開閉部202間は、肉厚が薄く、かつ湾曲して変位しているので、流路ブロック3に対してホルダ取付部140が上方に移動した場合には、図8に示すように、流路ブロック3のバルブ面37およびダイアフラム20間に隙間が生じ、各連通孔35,36が互いに連通可能となるように構成されている。
一方、流路ブロック3に対してホルダ取付部140が下方に移動し、バルブ開閉部202がバルブ面37に当接した場合には、連通孔36の開口がダイアフラム20で塞がれ、各連通孔35,36は互いに連通されてない状態となるように構成されている。
従って、ポート33,34、連通孔35,36、凹溝38によって液体が流れ、かつ、ダイアフラム20によって開閉される流路が構成されている。
また、ダイアフラム20によってバルブ1の弁体が構成され、バルブ面37によって弁座が構成されている。
さらに、駆動部ケース2には、ダイアフラム20が配置された空間を外部に連通する空気抜き穴21が形成され、ダイアフラム20がスムーズに変位するように構成されている。
【0046】
[バルブ駆動動作]
次に、このような構成のバルブ1の動作について説明する。
【0047】
[バルブ動作:初期状態]
初期状態では、制御装置は、圧電素子17,18に電圧を加えない。すなわち、制御装置は、圧電素子17,18に第1設定値の電圧を印加するが、本実施形態では第1設定値は電圧値「0」であるため、駆動信号の入力を行わない。この状態では、図1,5,6に示すように、各ヒンジ部123,125,133,135,137,139が変形しないように構成されている。そして、この状態では、第1連結部122とガイド部材5の凹溝51間には、図5に示すように、寸法Lの僅かな隙間53が形成されている。
【0048】
そして、変位拡大板12は、前記隙間53によってガイド部材5が設けられた駆動部ケース2に対して移動可能に設けられ、変位拡大板12に固定された磁石ホルダ16はバネ15によって下方つまり流路ブロック3側に付勢されている。
このため、磁石ホルダ16、ダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202も下方に付勢され、連通孔36が開口されたバルブ面37にダイアフラム20のバルブ開閉部202が密着してバルブを閉じた状態となっている。すなわち、本実施形態のバルブ1は、圧電素子17,18に電圧が印加されていない未駆動状態では、付勢手段であるバネ15の付勢力でバルブが閉じられるノーマリークローズタイプのバルブである。
【0049】
[バルブ駆動動作:バルブオープン動作]
次に、圧電素子17に第2設定値の電圧を印加すると、図7に示すように、圧電素子17が伸長してその長手方向寸法が長くなる。この際、基端上部側取付部127の細幅部127Aよりもヒンジ部123,125のほうが幅寸法が小さくて変形しやすいため、圧電素子17の長手方向寸法が長くなると、ヒンジ部123,125が変形する。この際、各ヒンジ部123はヒンジ部125に対して外側に配置され、かつ第1連結部122に連結されているので、圧電素子17が変位すると、ヒンジ部125を介して第1駆動部124は上方側が外側に傾斜するように傾き、さらにヒンジ部123を介して第1連結部122の上端部122Aが外側に傾斜するように傾く。すると、第1連結部122の上端部122Aはガイド部材5の凹溝51に圧接する。このため、変位拡大板12は、ガイド部材5つまり駆動部ケース2に対して上下方向に移動不能に固定される。
従って、前述の通り、前記ヒンジ部123,125、第1駆動部124を備えて第1の変位拡大機構が構成され、第1連結部122の上端部122Aによって当接部が構成されている。
また、圧電素子17に第2設定値の電圧を印加した際に、上端部122Aが十分な圧力で凹溝51に圧接するように、上端部122Aの移動量を考慮して前記隙間寸法Lが設定されている。例えば、寸法Lは、100μm以下、例えば50μm程度であり、ネジ52を進退させることで設定されている。
【0050】
続いて、第2圧電素子18に第2設定値の電圧を印加すると、図8に示すように、第2圧電素子18が伸長してその長手方向寸法が長くなる。すると、下端側取付部136が下方に移動し、その移動に伴い第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135がそれぞれ外側(ケース2側)に変位し、第2連結部132の下端部132Aも外側に変位する。
下端部132Aが外側に変位すると、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を介してホルダ取付部140が上方に移動する。
【0051】
ここで、図6,8に示すように、第3ヒンジ部133、第2駆動部134、第4ヒンジ部135の駆動装置本体11の移動方向つまり軸方向の長さをla、幅方向の長さをLa、第2圧電素子18の伸長による下端側取付部136の下方への移動量をaとすると、下端部132Aの幅方向への移動量bは、式1:b=(la/La)×aで求められる。
【0052】
さらに、図6,8に示すように、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139の軸方向の長さをLb、幅方向の長さをlbとすると、ホルダ取付部140の上方への移動量cは、式2:c=(lb/Lb)×bで求められる。
この式2のbに前記式1を代入すると、c=(lb/Lb)×(la/La)×aとなり、出力cは、各長さの比だけ変位aが拡大したものとなる。
すなわち、ホルダ取付部140の変位量は第2圧電素子18の変位量の数倍から十数倍程度に拡大される。そして、第2圧電素子18の変位量は、第2圧電素子18に印加する電圧値によって調整される。
従って、前述の通り、第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を備えて第2の変位拡大機構が構成されている。
【0053】
ホルダ取付部140が上方に移動すれば、磁石ホルダ16、ダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202も上方に移動し、図8に示すように、バルブ面37から離れる。このため、各連通孔35,36を介して各ポート33,34が連通し、バルブが開かれる。従って、本実施形態では、圧電素子17,18に順次電圧を印加することでバルブを開くことができる。
すなわち、磁石ホルダ16をバネ15で付勢しているため、第1圧電素子17を駆動して第1連結部122をガイド部材5に圧接させて変位拡大板12の移動を防止、つまり固定しておかないと、第2圧電素子18を駆動してホルダ取付部140を上方に移動した際に、前記バネ15で磁石ホルダ16および変位拡大板12が下方に移動してしまいバルブを開くことができない。これに対し、本実施計形態では、バルブを開く際に、まず、第1圧電素子17を駆動して変位拡大板12を固定してから第2圧電素子18を駆動してホルダ取付部140を上方に移動しているので、流路ブロック3に対して相対的にホルダ取付部140、磁石ホルダ16、バルブ開閉部202などを上方に移動でき、バルブを確実に開くことができる。
【0054】
[バルブ駆動動作:バルブクローズ動作]
次に、バルブ1を閉じる場合には、前記バルブ1を開く場合と逆の手順で制御すればよい。すなわち、まず第2圧電素子18への電圧印加を無くし、ホルダ取付部140を元の位置に戻す。これによりダイアフラム20がバルブ面37に密着してバルブ1が閉じられる。
【0055】
続いて、第1圧電素子17への電圧印加を無くし、第1連結部122の上端部122Aが凹溝51に圧接する状態を解除する。
すると、変位拡大板12はガイド部材5や駆動部ケース2に対して移動可能となるため、バネ15によって下方に付勢され、ダイアフラム20がバルブ面37に密着する力を高め、バルブ1を確実に閉じることができる。
以上の動作を繰り返すことで、バルブ1の開閉を制御することができる。また、バルブ1の開き量は、第2圧電素子18の伸長量つまり印加電圧値によって精度良く制御できる。
なお、各圧電素子17,18への電圧印加を無くすには、圧電素子17,18に電圧を印加するための端子間を短絡して放電すればよい。
【0056】
[メンテナンス]
また、バルブ1を介して供給する液体の種類を変更するためや、1日の作業が終了した場合など、液体の流路を洗浄する場合には、流路ブロック3を駆動部ケース2から取り外し、磁石161によって磁石ホルダ16に取り付けられたダイアフラム20を取り出せばよい。本実施形態においては、液に接するのは、流路ブロック3とダイアフラム20のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、駆動装置本体11は分解する必要が無く、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0057】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)圧電素子17,18を利用してダイアフラム20を駆動してバルブ1を開閉しているので、バルブ1を小型、軽量化することができる。すなわち、サーボモータ、ソレノイド、カムなどの駆動機構を採用した場合に比べて、バルブ1を容易に小型・軽量化できる。
従って、各種製品の生産ラインにおいて、接着剤や各種液体の流路に本実施形態のバルブ1を利用する際にも、配置スペースを小さくできる。
【0058】
(2)さらに、圧電素子17,18に電圧を印加していない場合には、バネ15の付勢力で磁石ホルダ16を下方に付勢してダイアフラム20をバルブ面37に密着させているので、バルブ1はバネ15のバネ力で閉じられる。このため、ダイアフラム20のバルブ開閉部202の厚さ寸法にバラツキがあったり、バルブ面37の位置が多少変化したとしても、前記バネ15によってダイアフラム20がバルブ面37に当接するまで付勢されるため、確実にバルブ1を閉じることができる。
すなわち、バルブ1は、電圧を印加しないときにバルブが閉じるノーマリークローズタイプのバルブとすることができる。また、バルブが閉じられている際のダイアフラム20のバルブ面37への当接力もバネ15のばね力のみで設定でき、バルブ1のクローズ状態を安定して維持できる。
【0059】
(3)また、ダイアフラム20をバルブ面37に押し付ける力をバネ15のばね力のみで設定できるため、例えば、洗浄のためにダイアフラム20や流路ブロック3を取り外して再度取り付けた際に、ネジの締め付け量などによってその取付位置が微妙に異なる場合があるが、そのような微差があっても前記バネ15でダイアフラム20をバルブ面37に押し付けているので、ダイアフラム20の押し付け力をほぼ一定にでき、この点でもバルブ1を安定して閉じておくことができる。このため、ダイアフラム20の交換作業も容易に行うことができる。特に、接液部分であるダイアフラム20は消耗品でもあるため、交換作業は必須であるが、その作業が容易に行えるため、メンテナンス性も向上できる。
【0060】
(4)さらに、バルブ1を開く場合、まず第1圧電素子17に電圧を印加して第1連結部122の上端部122Aをガイド部材5の凹溝51に押し付けて変位拡大板12が移動しないように固定し、その固定位置を基準として第2圧電素子18に電圧を印加して磁石ホルダ16やダイアフラム金具203、バルブ開閉部202を上方に移動してバルブ1を開いているので、常に安定した開閉動作を行うことができる。
【0061】
(5)その上、バルブ1の開閉タイミングや、開閉量つまりダイアフラム20のバルブ面37に対する移動量は、各圧電素子17,18に駆動電圧を加えるタイミングや、第2圧電素子18に加える電圧値によって容易に調整することができる。このため、バルブの開き量の遠隔設定や、フィードバック制御を実現でき、使い勝手のよいバルブ1を提供できる。
【0062】
(6)圧電素子17,18は高速駆動が可能なため、例えば、1秒間に100回以上の開閉動作が可能であり、エアシリンダ駆動に比べて高速なバルブ切替動作を実現できる。
【0063】
(7)液に接するのは、流路ブロック3とダイアフラム20のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、駆動部ケース2内部は分解する必要が無く、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
また、磁石161を用いているので、流路ブロック3を駆動部ケース2から取り外し、磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられたダイアフラム20を取り出せばよいため、メンテナンス作業をより一層容易に行うことができる。
【0064】
(8)バネ座14を磁石ホルダ16に当接させ、変位拡大板12には直接当接させておらず、かつ、圧電素子17に電圧を印加して伸長させない限り、変位拡大板12はケース2に対して移動可能なフリー状態であるため、バルブ1が閉じられている間は、バネ15の付勢力が変位拡大板12の各ヒンジ部123,125,133,135,137,139や、圧電素子17,18に加わることがなく、ヒンジ部123,125,133,135,137,139や圧電素子17,18にバネの付勢力が加わることによる影響を軽減できる。
【0065】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図9〜11を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述する各実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
第2実施形態のバルブ1Aは、図9に示すように、前記第1実施形態のバルブ1が2つの圧電素子17,18を用いた駆動装置本体11を利用していたのに対し、1つの圧電素子19のみを用いた駆動装置本体11Aを利用している点と、そのために、変位拡大板12Aの構造が第1実施形態の変位拡大板12に比べて僅かに異なっている点が相違する。
【0066】
すなわち、変位拡大板12Aは、基端部121が無く、第1連結部122および第2連結部132が直接連続して連結部142とされている。そして、圧電素子19は、取付部126と取付部136との間に架け渡されて配置されている。
また、第3ヒンジ部133および第4ヒンジ部135は、ヒンジ部123,125に比べて幅寸法が大きくされるなどで剛性(強度)が大きくされ、ヒンジ部123,125よりは変形し難く設定されている。すなわち、第1の変位拡大機構よりも第2の変位拡大機構のほうが剛性が高くされ、変形しにくい設定とされている。
【0067】
このような第2実施形態のバルブ1Aにおいても前記第1実施形態のバルブ1と同様の動作でバルブの開閉がおこなわれる。
すなわち、圧電素子19に電圧を印加されていない状態では、変位拡大板12Aは、バネ15によって下方に付勢され、ダイアフラム20のバルブ開閉部202がバルブ面37に密着してバルブが閉じられている。
【0068】
そして、上部側(蓋4側)のヒンジ部123,125は、下部側(流路ブロック3側)のヒンジ部133,135に比べて剛性(強度)が小さく、撓みやすいため、圧電素子19に電圧を印加して圧電素子19を伸長させると、図10に示すように、まず、上側のヒンジ部123,125が撓み、連結部142の上端部(当接部)142Aがガイド部材5の凹溝51に当接し、変位拡大板12Aが固定される。
さらに、圧電素子19への電圧印加を継続して圧電素子19をより伸長すると、ガイド部材5に連結部142が当接しているために、上部のヒンジ部123,125はそれ以上変形できない。
このため、圧電素子19の伸長に伴い、下端側取付部136が下方に移動し、その移動に伴い第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135がそれぞれ外側(ケース2側)に変位し、連結部142の下端部142Bも外側に変位する。
下端部132Aが外側に変位すると、前記第1実施形態と同じく、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を介してホルダ取付部140が上方に移動する。
【0069】
ホルダ取付部140が移動すると、前記第1実施形態と同じく、磁石ホルダ16やダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202が上方に移動してバルブ面37から離れる。このため、バルブが開放されて液が流通できるようになる。
従って、バルブの開き量は圧電素子19の伸長量つまり圧電素子19に印加する電圧値によって調整される。
【0070】
次に、圧電素子19への電圧印加を解除し、圧電素子19が縮小すると、撓んでいたヒンジ部133,135が最初に元の状態に戻り、左右に広がっていた連結部142の下端部142Bが元の状態に戻り、これに伴い、ヒンジ部137,139や第3駆動部138も元の状態になる。このため、ホルダ取付部140や磁石ホルダ16も下方に移動し、ダイアフラム20のバルブ開閉部202もバルブ面37に密着し、バルブが閉じられる。
続いて、上部のヒンジ部123,125や第1駆動部124も元の状態に戻り、連結部142の上端部142Aはガイド部材5の凹溝51から離れる。このため、磁石ホルダ16は、バネ15の付勢力で下方に付勢され、ダイアフラム20のバルブ面37への密着力も高まり、バルブが確実に閉じられる。
【0071】
以上のように、バルブ1Aは、圧電素子19に電圧を印加したり、印加を解除することで開閉されるため、電圧を印加していない際にバルブが閉じられるノーマリークローズタイプのバルブ1Aとすることができる。
【0072】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果も得られる。
すなわち、1つの圧電素子19のみを設ければよいため、2つの圧電素子17,18を用いた第1実施形態に比べて、構造を簡易にでき、小型化も容易となり、コストを削減できる。また、制御対象が1つの圧電素子19であるから、2つの圧電素子17,18を制御する場合に比べて容易に駆動を制御できる。さらに、各圧電素子17,18に順次電圧を印加する前記第1実施形態に比べて1つの圧電素子19への電圧印加を制御するだけで、バルブのオン・オフ制御を行うことができるので、バルブの動作スピードも向上できる。
但し、本実施形態では、各ヒンジ部123,125および133,135が撓むタイミングの設定を、各ヒンジ部123,125および133,135の剛性の差によって設定しなければならず、変位拡大板12Aの設計や圧電素子19の調整が難しい。この点では、前記第1実施形態のように2つの圧電素子17,18を設け、変位拡大板12をガイド部材5に固定する動作を行うための圧電素子17と、その固定後にバルブの開閉を行うための圧電素子18とを独立して別々に設ければ、変位拡大板12の設計が容易になり、かつ、各動作を確実に実行できる利点がある。
【0073】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について図12〜14を参照して説明する。
第3実施形態のバルブ1Bは、図12に示すように、駆動装置本体11Bによって駆動されるポペット弁タイプのバルブである。
バルブ1Bでは、流路を有する流路ブロック3Bに形成された弁座300対して、弁体310を密着させたり、離したりすることで、バルブを開閉するように構成されている。
【0074】
このため、駆動装置本体11Bは、圧電素子19に対して電圧を印加した際に、ホルダ取付部140が下方に移動して前記弁体310を下方に押すことができるように設計された変位拡大板12Bを備える。具体的には、変位拡大板12Bは、上部側は変位拡大板12Aと同一構造とされている。
一方、下部側は、連結部142の下端部142Bが圧電素子19の伸長に伴って左右に開かれると、ホルダ取付部140が下方に移動するように、ヒンジ部137,139および第3駆動部138が設定されている。各ヒンジ部137,139および第3駆動部138は、前記実施形態の変位拡大板12Aとは異なり、連結部142に連結された部分からホルダ取付部140に連結される部分に向かって、斜め上方に各ヒンジ部137,139が向かうように設計されている。
【0075】
なお、変位拡大板12Bでは、第3ヒンジ部133は、連結部142の下端部142Bから互いに近接する方向に延出されて形成され、第2駆動部134は、第3ヒンジ部133から上方(基端部121側つまり蓋4側)に向かって延長されて形成され、第4ヒンジ部135は、第2駆動部134の上端部において互いに連結された部分で形成されている。
そして、これらのヒンジ部133,135は、ヒンジ部123,125に比べて幅寸法が大きいために剛性も高くされ、圧電素子19が伸長した際には、先にヒンジ部123,125側が変形するように設定されている。
【0076】
そして、ホルダ取付部140にはホルダ取付部140の変位を弁体310に伝えるための連動用ホルダ16Aが取り付けられ、この連動用ホルダ16Aの下端は弁体310を保持する弁体ホルダ320に当接されている。
【0077】
変位拡大板12Bが内蔵された駆動部ケース2Bと、弁体310で開閉される流路が形成された流路ブロック3Bとの間にはスペーサ部材7が介在されている。前記弁体ホルダ320は、スペーサ部材7の中心軸部分を貫通して配置され、スペーサ部材7と弁体ホルダ320との間に配置された付勢手段としてのコイルバネ330によって上方に付勢され、連動用ホルダ16Aに当接されている。
また、スペーサ部材7と流路ブロック3Bとの間には、ダイアフラム340が挟持されている。ダイアフラム340は、流路ブロック3B内を通過する液体が駆動部ケース2B側に流入しないようにシールするために設けられている。
【0078】
前記弁体310は、前記ダイアフラム340を介して弁体ホルダ320にねじ込まれたボルトによって弁体ホルダ320およびダイアフラム340に取り付けられている。そして、弁体310は、前記コイルバネ330の付勢力で弁体ホルダ320が上方に付勢されていることで上方に付勢され、流路ブロック3Bの下面に形成された弁座300に対し、下方から当接してバルブを閉じるように構成されている。
【0079】
このような本実施形態においては、圧電素子19に電圧が印加されていない状態では、変位拡大板12Bは連動用バネ150によって下方に付勢され、連動用ホルダ16Aは弁体ホルダ320に当接している。ここで、前記連動用バネ150は、付勢手段であるコイルバネ330の付勢力よりも小さく設定されており、連動用ホルダ16Aを弁体ホルダ320に常時当接させるために設けられている。
そして、弁体ホルダ320はコイルバネ330の付勢力によって、前記弁体310が弁座300に当接する位置まで上方に移動されている。従って、バルブ1Bもノーマリークローズタイプのバルブ(ポペット弁)とされている。
【0080】
なお、本実施形態では、バネ座14は変位拡大板12Bの連結部142に形成された下端部142Bに当接して配置されている。この場合、連動用バネ150の応力がヒンジ部137,139等に加わることになるが、連動用バネ150の付勢力は小さいため、その影響は殆ど無い。
【0081】
次に、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、前記第2実施形態と同様に、まず、各ヒンジ部123,125が撓んで連結部142の上端部142Aがガイド部材5に当接し、変位拡大板12Bは固定される。
さらに、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、図14に示すように、ヒンジ部133,135が撓んで連結部142の下端部142Bが左右に広がり、その変位に伴って各ヒンジ部137,139が変形し、ホルダ取付部140が下方に移動する。すると、連動用ホルダ16Aを介して弁体ホルダ320および弁体310がコイルバネ330の付勢力に抗して下方に移動され、弁体310が弁座300から離れてバルブが開かれる。
弁体310の移動量つまりバルブの開き量は、前記第2実施形態と同様に圧電素子19の伸長量つまり圧電素子19に加える印加電圧値によって制御される。
【0082】
また、圧電素子19に加える印加電圧を減らしていくと、ヒンジ部133,135および連結部142の下端部142Bが元の状態に戻り、ホルダ取付部140が上方に移動し、コイルバネ330によって弁体ホルダ320が上方に移動し、弁体310が弁座300に当接してバルブが閉じられる。さらに、上方のヒンジ部123,125が元の状態に戻り、変位拡大板12Bの固定が解除される。
【0083】
このような本実施形態においても、前記第1,2実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果も得られる。
すなわち、弁座300の開口面に対して垂直方向に移動する弁体310を用いたポペット弁1Bを圧電素子19で駆動できるため、液漏れを少なくできるというポペット弁の特徴を生かしたバルブ1Bを構成できる。
【0084】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態について図15を参照して説明する。
第4実施形態のバルブ1Cは、図15に示すように、駆動装置本体11Cによって駆動されるピンチバルブである。
駆動装置本体11Cは、その変位拡大板12Cが、駆動装置本体11Bの変位拡大板12Bに対し、ヒンジ部137,139および第3駆動部138が変位拡大板12Aと同様の向きに配置されている点のみが相違し、他の構成は同一である。
また、バルブ1Cの駆動部ケース2には、内部にチューブ400が挿通されたチューブブロック401が取り付けられている。チューブブロック401と駆動部ケース2との間には、チューブ押しガイド403が介装され、このガイド403によって案内されるチューブ押し404が配置されている。
【0085】
チューブ押し404は金属製とされ、前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
チューブ押し404の先端(下端)は、断面三角形状(山形)に形成され、チューブ押し404を下方に移動してその先端で前記チューブ400を押し潰すことでバルブを閉じ、チューブ押し404を上方に移動してチューブ400の押しつぶしを解除することでバルブを開くように構成されている。
なお、その他の構成は前記実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0086】
このような第4実施形態においても、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢され、その付勢力によって前記チューブ押し404が下方に移動されてチューブ400を押し潰し、バルブを閉じている。このため、本実施形態のバルブ1Cも、ノーマリークローズタイプのバルブとされている。
次に、圧電素子19に電圧を印加すると、圧電素子19が伸長され、上側のヒンジ部123,125が撓み、連結部142の上端部142Aがガイド部材5に当接し、変位拡大板12Cが固定される。さらに、圧電素子19への電圧印加を継続して圧電素子19をより伸長すると、前記第2実施形態と同様に、ヒンジ部133,135が左右に開き、下部のヒンジ部137,139が撓んで変形し、ホルダ取付部140が上方に移動する。
【0087】
ホルダ取付部140が移動すると、前記実施形態と同じく、磁石ホルダ16を介してチューブ押し404が上方に移動し、チューブ400の閉塞状態が解除され、バルブが開放されて液が流通できるようになる。従って、バルブ1Cの開き量も圧電素子19に印加する電圧値によって調整される。
【0088】
次に、圧電素子19への電圧印加を解除し、圧電素子19が縮小すると、ヒンジ部133,135、下端部142B、ヒンジ部137,139、第3駆動部138も元の状態になる。このため、ホルダ取付部140およびチューブ押し404も下方に移動し、チューブ400を押し潰してバルブが閉じられる。
続いて、上部のヒンジ部123,125や第1駆動部124も元の状態に戻り、連結部142の上部はガイド部材5の凹溝51から離れる。このため、変位拡大板12Cは、バネ15の付勢力で下方に付勢され、チューブ押し404がチューブ400を押し潰す力も高まり、バルブが確実に閉じられる。
【0089】
このような本実施形態のピンチバルブ1Cにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態について図16を参照して説明する。
第5実施形態のバルブ1Dは、図16に示すように、前記駆動装置本体11Cによって駆動されるディスペンシングバルブである。
すなわち、バルブ1Dの駆動部ケース2には、流路ブロック500が取り付けられている。流路ブロック500には、図16の上下方向つまり磁石ホルダ16の進退方向に沿った貫通孔501が形成され、この貫通孔501にはニードルバルブ502が挿入されている。
【0091】
ニードルバルブ502は、大径の基端部502Aと小径のニードル部502Bとを備えて構成された金属材であり、基端部502Aが前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
また、貫通孔501には貫通孔501の大径部とニードルバルブ502間をシールするガイドシール503と、ガイドシール押さえ504が配置されている。ガイドシール押さえ504は、駆動部ケース2と流路ブロック500とで挟持されて固定されている。
【0092】
貫通孔501の下端には、バルブシート受け505で固定されたバルブシート506が配置されている。バルブシート506には、ニードルバルブ502の先端が当接可能なテーパ状のバルブ面が形成され、このバルブ面に開口された吐出孔507をニードルバルブ502で閉塞できるように構成されている。
この吐出孔507は、ノズル袋ナット508によってバルブシート506の下面に取り付けられたノズル509に連通されている。
【0093】
また、流路ブロック500には、流路ブロック500の側面および貫通孔501間を連通する連通路510が形成され、この連通路510はシリンジホルダ袋ナット511によって流路ブロック500に取り付けられたシリンジホルダ512に連通されている。
【0094】
このような本実施形態では、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢されて前記ニードルバルブ502がバルブシート506に当接し、吐出孔507が塞がれるために、バルブが閉じられている。従って、このバルブ1Dもノーマリークローズタイプのバルブとされている。
【0095】
そして、供給する液体が収納されたシリンジを、シリンジホルダ512に装着し、圧電素子19に電圧を印加すると、前記各実施形態と同様の作用で、変位拡大板12Cが固定され、かつ、磁石ホルダ16およびニードルバルブ502が上方に移動し、ニードルバルブ502がバルブシート506から離れて吐出孔507が開口し、バルブが開かれる。そして、シリンジから、連通路510、貫通孔501、吐出孔507を介して液が吐出される。
一方、圧電素子19の電圧印加を解除すると、磁石ホルダ16およびニードルバルブ502が下方に移動してニードルバルブ502がバルブシート506に当接し、吐出孔507つまりバルブが閉じられる。そして、変位拡大板12Cの固定も解除されるため、ニードルバルブ502はバネ15の付勢力でバルブシート506に当接してバルブが閉じられ、液の吐出も中断される。従って、圧電素子19への電圧印加を制御して、バルブを開閉することで、液を断続的に吐出することができる。
【0096】
このような本実施形態のディスペンシングバルブ1Dにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、ニードルバルブ502をバルブシート506に当接させて吐出孔507を塞ぐことでバルブを閉じているので、吐出液の液切れを良くでき、バルブを閉じた際に液が垂れることを防止できる。
【0097】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態について図17を参照して説明する。
第6実施形態は、ディスペンサのバルブ(ディスペンシングバルブ)1Eに本発明を用いたものである。すなわち、ディスペンサの駆動部ケース2には、第1アダプタ601が取り付けられている。この第1アダプタ601の内側には、略円筒状の第2アダプタ602が配置され、さらにその内側には第3アダプタ603が配置されている。
第3アダプタ603の中心軸部分に形成された貫通孔604には、ニードルバルブ605の上端部が挿通されている。
【0098】
ニードルバルブ605は、大径の基端部605A,605Bと小径のニードル部605Cとを備えて構成された金属材であり、基端部605Aが前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
また、各基端部605A,605B間にはニードルパッキン606が配置され、貫通孔604とニードルバルブ605の隙間から液が駆動部ケース2側に漏れ出さないようにシールしている。
さらに、第3アダプタ603とケース2との間、第2アダプタ602と第1アダプタ601との間には、それぞれ上Oリング607、下Oリング608が介装され、液漏れを防止している。
【0099】
第1アダプタ601には、シリンジ610の上端部が取り付けられている。このシリンジ610の上部開口には、前記第2アダプタ602が挿入され、第2アダプタ602およびシリンジ610内面間にはシリンジOリング611が介装され、液漏れを防止している。
シリンジ610の下端開口にはテーパ状のバルブ面が形成されたバルブシートノズル612が取り付けられている。前記ニードルバルブ605のニードル部605Cの先端(下端)は、シリンジ610の下端開口を挿通してバルブシートノズル612のバルブ面に当接可能に配置されている。そして、このバルブ面に開口された吐出孔613をニードルバルブ605で閉塞できるように構成されている。
【0100】
このような本実施形態では、供給する液体が収納されたシリンジ610を予め第1アダプタ601に取り付けておく。そして、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢されて前記ニードルバルブ605がバルブシートノズル612のバルブ面に当接し、吐出孔613が塞がれるために、バルブが閉じられている。従って、このバルブ1Eもノーマリークローズタイプのバルブとされている。
【0101】
次に、圧電素子19に電圧を印加すると、前記各実施形態と同様の作用で、変位拡大板12Cが固定され、かつ、磁石ホルダ16およびニードルバルブ605が上方に移動し、ニードルバルブ605がバルブシートノズル612から離れて吐出孔613が開口し、バルブが開かれる。
一方、圧電素子19の電圧印加を解除すると、磁石ホルダ16およびニードルバルブ605が下方に移動してニードルバルブ605がバルブシートノズル612に当接し、吐出孔613つまりバルブが閉じられる。そして、変位拡大板12Cの固定も解除されるため、ニードルバルブ605はバネ15の付勢力でバルブシートノズル612に当接してバルブが閉じられる。
【0102】
そして、圧電素子19に電圧が印加されてバルブが開かれている際には、シリンジ610内の液体が吐出孔613から吐出され、電圧印加が解除されてバルブが閉じられると液体吐出が中断されるため、前記圧電素子19への電圧印加および解除を制御することで、液体を吐出するディスペンサとして機能させることができる。
【0103】
このような本実施形態のディスペンシングバルブ1Eにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、ニードルバルブ605をバルブシートノズル612に当接させて吐出孔613を塞ぐことでバルブを閉じているので、吐出液の液切れを良くでき、バルブを閉じた際に液が垂れることを防止できる。
【0104】
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明のバルブとしては、前記各実施形態に記載したものに限らない。例えば、図18に示すように、各種エンジンの吸気弁や排気弁に用いられるきのこ弁(ポペットバルブ)に本発明を適用してもよい。
要するに、本発明の圧電駆動装置は、被駆動体を進退移動できるため、このような進退駆動を利用してバルブを開閉する各種のバルブに適用できる。
【0105】
さらに、前記各実施形態では、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態でバルブを閉じるノーマリークローズタイプのバルブとしていたが、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態でバルブを開くノーマリーオープンタイプのバルブに本発明の圧電駆動装置を適用することもできる。例えば、第1、2実施形態のダイアフラムバルブ1,1Aにおいて、第3実施形態の駆動装置本体11Bを組み込むとともに、第3実施形態のコイルバネ330のように、磁石ホルダ16等を介してバルブ開閉部202を上方に付勢する付勢手段を組み込むことで、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態では付勢手段によってバルブ開閉部202が上方に移動されてバルブがオープンとされ、圧電素子17〜19に電圧を印加するとバルブ開閉部202が下方に移動されてバルブ面37に当接し、バルブがクローズとされるように構成してもよい。
【0106】
また、ガイド部材5の位置を調整する押しネジ52を設けていたが、変位拡大板12,12A,12B,12Cを精度良く加工・組立することなどで、ネジ52等の位置調整手段を無くしても良い。また、位置調整手段としては、前記実施形態の構成に限らず、変位拡大板12に対するガイド部材5の位置を、各ヒンジ部123,125を変形させて第1連結部122や連結部142の上端部(当接部)を外側に撓ませてガイド部材5に当接させる際の変形量等に応じて調整できるものであればよい。
【0107】
前記実施形態では、圧電素子17,18,19に印加する第1設定値の電圧は「0」としていたが、所定の値の電圧を印加するようにしてもよい。要するに、第1設定値を印加した状態から第2設定値を印加した状態間で圧電素子17,18,19の長さ寸法が変化するように各電圧値を設定すればよい。
【0108】
前記実施形態では、駆動装置本体11〜11Bと、被駆動体(弁体)とを磁石161や、連動用バネ150を利用して容易に着脱できるように連結していたが、ネジ等で連結しても良い。但し、前記実施形態のように容易に着脱できるようにしたほうが、洗浄などのメンテナンスを容易に行うことができる利点がある。
【0109】
また、駆動装置本体11〜11Bにおける変位拡大板12,12A,12B,12Cの具体的な構成は前記各実施形態に例示したものに限らない。
例えば、変位拡大板としては、図19〜21に示すような変位拡大板12Dを用いてもよい。
変位拡大板12Dは、圧電素子19を挟んで配置された一対の連結部242を備えている。各連結部242の一端(図19中上端)および他端には、第1の変位拡大機構および第2の変位拡大機構がそれぞれ設けられている。
第1の変位拡大機構は、連結部242の一端に連続して形成された一対の第1ヒンジ部223と、この第1ヒンジ部223に連続して形成された一対の第1駆動部224と、各第1駆動部224に連続して形成された一対の第2ヒンジ部225とを備えて構成されている。第2ヒンジ部225には、圧電素子第1端部取付部である上端側取付部226が連続して形成されている。上端側取付部226には、スペーサ128を介して圧電素子19の一端(第1の端部)が取り付けられている。
【0110】
第2の変位拡大機構は、連結部242の他端に連続して形成された一対の第3ヒンジ部233と、第3ヒンジ部233に連続して形成された一対の第2駆動部234と、第2駆動部234に連続して形成された一対の第4ヒンジ部235と、各第2駆動部234の先端に順次連続して形成された一対の第5ヒンジ部237、一対の第3駆動部238、一対の第6ヒンジ部239とを備えて構成されている。各第6ヒンジ部239は、被駆動体に連結される取付部240に接続されている。また、第4ヒンジ部235には、圧電素子第2端部取付部である下端側取付部236が連続して形成されている。下端側取付部236には、圧電素子19の他端(第2の端部)が取り付けられている。
【0111】
このような構成の変位拡大板12Dにおいて、電圧を印加されていない圧電素子19と、スペーサ128、上端側取付部226、下端側取付部236の合計軸方向寸法と、連結部242の軸方向寸法はほぼ同一とされ、各第1ヒンジ部223および第2ヒンジ部225と、第3ヒンジ部233および第4ヒンジ部235は互いに平行に設けられている。
また、第1ヒンジ部223および第2ヒンジ部225間の寸法は、第3ヒンジ部233および第4ヒンジ部235間の寸法に比べて長く設定されている。このため、第1の変位拡大機構よりも第2の変位拡大機構のほうが剛性が高くされ、圧電素子19を伸長した際には、先に第1の変位拡大機構が変位するようにされている。
さらに、各第1駆動部224、第2駆動部234は、それぞれ各ヒンジ部223,225,233,235が接合された基部から斜め外側に向かって延長されている。
【0112】
このような変位拡大板12Dでは、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、図20,21に示すように、第1ヒンジ部223および第3ヒンジ部233が支点、第2ヒンジ部225、第4ヒンジ部235が力点となるため、第1駆動部224、第2駆動部234の先端がそれぞれ外側に傾くように変位する。この際、第1の変位拡大機構におけるヒンジ部223,225間の寸法に比べて、第2の変位拡大機構におけるヒンジ部233,235間の寸法が短いため、ヒンジ部の剛性は第2の変位拡大機構のほうが、第1の変位拡大機構よりも大きくなる。このため、圧電素子19が伸長すると、図20に示すように、まず第1の変位拡大機構の第1駆動部224が傾く。従って、前記各実施形態と同様に、第1駆動部224の先端(当接部)をケース側に圧接させることで変位拡大板12Dを軸方向に移動しないように固定することができる。
そして、第1駆動部224がケース側に当接すると、第1の変位拡大機構はそれ以上変形できないため、図21に示すように、圧電素子19の伸長に伴い、第2の変位拡大機構の第2駆動部234が傾く。すると、第2駆動部234の先端間の距離が広がるため、各先端間に設けられた第5ヒンジ部237、第3駆動部238、第6ヒンジ部239、取付部240は上方に変位する。
従って、変位拡大板12Dを用いた場合でも、前記各実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0113】
なお、第5ヒンジ部237、第3駆動部238、第6ヒンジ部239は、ほぼ直線状のまま変位させることができるので、第3駆動部238部分の厚さ寸法をヒンジ部237,239に比べて厚くしなくてもよい。この場合、実体的には、ヒンジ部237,239および第3駆動部238の区別はなくなり、これらの全体でヒンジ部を構成するものとなる。
【0114】
さらに、変位拡大板の構成は、以上に説明したものに限定されるものではない。
要するに、圧電素子の伸長に伴いその変位を拡大する第1の変位拡大機構と、その第1の変位拡大機構によってケースに対して当接されて変位拡大板を移動不能に固定する当接部と、圧電素子の伸長に伴いその変位を拡大する第2の変位拡大機構とを備えていればよい。例えば、2つの圧電素子17,18を用いる場合、圧電素子17や当接部が設けられた上部側と、圧電素子18や被駆動体取付部が設けられた下部側とを別々の板材で形成し、各板材を接合して用いてもよい。
【0115】
また、第3〜5実施形態では、バネ座14を変位拡大板に当接させていたが、第1、2実施形態のように磁石ホルダ16にバネ座14を直接当接させてもよい。逆に、第1,2実施形態において、バネ座14を変位拡大板に当接させてもよい。但し、バネ座14を変位拡大板に当接させると、ヒンジ部137,139等にばねの付勢力が加わるため、磁石ホルダ16等の被駆動体側にバネ座14を当接させることが好ましい。
【0116】
前記実施形態では、各圧電素子17,18,19は印加電圧値で制御していたが、例えば、変位拡大板12,12A,12Bの変位部分に歪みゲージを設けたり、バルブの弁体の位置を検出するセンサなどを設けて、駆動状態を検出し、その検出値に基づいてフィードバック制御を行うように設定してもよい。
【0117】
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記各実施形態のようなバルブの駆動用に限定されるものではなく、図22,23に示すようなブレーキ装置700の駆動源にも利用できる。
ブレーキ装置700は、いわゆるリーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキであり、圧電駆動装置710と、支持板720と、一対のブレーキシュー730と、スプリングコイル(バネ)740と、回転体であるドラム750とを備えている。
【0118】
各ブレーキシュー730の一端側は、固定ピン731によって支持板720に対して回動自在に支持されている。
また、各ブレーキシュー730の他端側には、前記スプリングコイル740が架け渡され、各ブレーキシュー730の他端同士を互いに近接する方向に、つまり各他端間の間隔が小さくなる方向に付勢している。
さらに、各ブレーキシュー730の対向面にはガイド部732が突出して形成され、ブレーキシュー730のドラム750に対向する外周面には、摩擦材(ライニング)733が設けられている。
【0119】
前記ガイド部732間には前記圧電駆動装置710が配置されている。
圧電駆動装置710は、前記第2実施形態の圧電駆動装置と略同じ構造である。
その蓋4には、一方のブレーキシュー730のガイド部732が挿入される凹部が形成されている。また、変位拡大板12Aのホルダ取付部140にはホルダ711が取り付けられ、このホルダ711には他方のブレーキシュー730のガイド部732が挿入される凹部が形成されている。
【0120】
このような構成のブレーキ装置700では、圧電素子19に電圧を印加しない状態では、内部のバネ15によってホルダ711がケース2から突出する方向に付勢される。このバネ15の付勢力は、スプリングコイル740の付勢力よりも大きいため、各ブレーキシュー730はドラム750側に押し付けられ、図22に示すように、摩擦材733がドラム750内面に押圧されて制動力が働き、ブレーキを掛けた状態とされる。
一方、圧電素子19に電圧を印加すると、変位拡大板12Cの作用でホルダ711がケース2内部に向かう方向に移動する。このため、各ブレーキシュー730はスプリングコイル740の付勢力で互いに近づく方向に変位し、図23に示すように、摩擦材733はドラム750内面から離れ、ブレーキ状態が解除される。
【0121】
このような構成のブレーキ装置700によれば、リーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキとして利用でき、サーボ効果(自己倍力効果)などのドラムブレーキの特徴を生かしたブレーキ装置を提供できる。
さらに、バネ15の付勢力で、各ブレーキシュー730をドラム750内周面に押し付けているため、摩擦材733が摩耗等して厚さ寸法が変化しても、その変化分を自動的に調整できて摩擦材733を確実にドラム750に押圧させて所定の制動力を得ることができる。
さらに、圧電素子19は、伸縮方向に変位する間だけ電力を消費し、電圧を印加し続けて圧電素子19が伸長された状態を維持している間も電流が流れず、電力を消費しない。このため、圧電素子19に電圧を印加し続けてブレーキを解除している場合でも電力消費がなく、ソレノイドでブレーキシュー730を変位させる場合に比べて消費電力を大幅に低減できる。
さらに、ブレーキ装置700は、無励磁型であり、かつ小型で消費電力も抑えることができるため、例えば、ブレーキモータにおけるブレーキ装置などに好適である。さらに、ブレーキモータ以外でも、車、リフト、コンベアなどの各種回転体のブレーキ装置として広く利用できる。
【0122】
なお、ブレーキ装置としては、ドラムブレーキに限らず、ディスクブレーキでもよく、要するに、本発明の圧電駆動装置でドラムやディスクなどの回転体に摩擦部材を押圧させて制動力を得られるものであればよい。
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記バルブやブレーキ装置の駆動源だけでなく、様々な機械の駆動源として利用できる。特に、圧電素子を用いており、かつ、変位拡大機構によってある程度の変位量を確保できるため、小型の機器の駆動源に適している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図2】前記第1実施形態のバルブの上面図である。
【図3】前記第1実施形態のバルブの下面図である。
【図4】前記第1実施形態のバルブの平断面図である。
【図5】前記第1実施形態における駆動装置本体の上部側を示す図である。
【図6】前記第1実施形態における駆動装置本体の下部側を示す図である。
【図7】前記第1実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図8】前記第1実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図10】前記第2実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図11】前記第2実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図13】前記第3実施形態におけるバルブクローズ時の状態を示す図である。
【図14】前記第3実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第6実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図18】本発明の変形例を示す縦断面図である。
【図19】本発明の他の変形例の変位拡大板を示す図である。
【図20】図19の変位拡大板の変位状態を示す図である。
【図21】図19の変位拡大板の変位状態を示す図である。
【図22】本発明の他の変形例であるブレーキ装置を示す図である。
【図23】本発明の他の変形例であるブレーキ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
1,1A…ダイアフラムバルブ、1B…ポペット弁、1C…ピンチバルブ、1D…ディスペンシングバルブ、1E…ディスペンシングバルブ、2,2B…駆動部ケース、4…蓋、10…圧電駆動装置、11,11A,11B,11C…駆動装置本体、12,12A,12B,12C,12D…変位拡大板、13,14…バネ座、15…バネ、16…磁石ホルダ、17,18,19…圧電素子、20…ダイアフラム、37…バルブ面、121…基端部、122…第1連結部、122A…上端部、123,223…第1ヒンジ部、124,224…第1駆動部、125,225…第2ヒンジ部、126…上端側取付部、127…基端上部側取付部、129…基端下部側取付部、132…第2連結部、133,233…第3ヒンジ部、134,234…第2駆動部、135,235…第4ヒンジ部、136,236…下端側取付部、137,237…第5ヒンジ部、138,238…第3駆動部、139,239…第6ヒンジ部、140…ホルダ取付部、142…連結部、161…磁石、202…バルブ開閉部、203…ダイアフラム金具、242…連結部、300…弁座、310…弁体、340…ダイアフラム、400…チューブ、500…流路ブロック、502,605…ニードルバルブ、700…ブレーキ装置、710…圧電駆動装置、730…ブレーキシュー、733…摩擦材(ライニング)、740…スプリングコイル(バネ)、750…ドラム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を駆動源とする圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を用いたバルブおよびブレーキ装置に利用できる。
【背景技術】
【0002】
圧電素子は、小型でかつ高速応答性能に優れ、電気エネルギから機械エネルギへの変換効率が極めて高いという特性を有するため、機械的駆動源としての利用が試みられている。
例えば、圧電素子は、発生する変位が小さいため、その変位を拡大して弁体に作用させることで空気排出口を開閉する圧電式エアバルブが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−316835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、圧電素子に電圧を加えた際に弁体を、てこの原理で移動して弁座から離し、圧電素子の電圧印加を解除した際に弁体を元の位置に戻して弁座に当接させており、弁座に対する弁体の位置調整を精度良く行わなければならないという問題があった。
【0005】
また、特許文献1では、空気圧力室内と空気排出口との圧力差も利用して前記弁体を弁座に密着させているが、このような圧力差がない場合、弁を閉じる力を大きくすることが困難であるという問題があった。
なお、特許文献1では、弁体をばね部材で支持し、弁体を弁座に当接させる力を大きくすることが試みられているが、弁体を弁座に当接させた際にばね部材を大きく撓ませて当接力を大きくすると、圧電素子に電圧を加えた際には、ばね部材の撓みが無くなるまで弁体が弁座から離れないため、バルブの開放が遅れるという新たな問題が発生してしまう。
【0006】
また、チューブバルブやダイアフラムバルブのように、弾性変形可能な部材を押圧してバルブの開閉を行う場合、圧電素子に電圧を印加してバルブを閉じるように構成することは比較的容易であるが、圧電素子の電圧印加を解除した際にバルブを閉じるように構成すること、つまりノーマリークローズタイプのバルブを圧電素子で実現することは難しかった。
【0007】
このような問題は、圧電素子でバルブを開閉する場合に限らず、圧電素子の変位を利用する様々な駆動装置においても共通する問題であった。
【0008】
本発明の目的は、圧電素子の変位を拡大して被駆動体に伝えることができ、被駆動体を精度よく移動させることができる圧電駆動装置と、この圧電駆動装置を利用してノーマリークローズの動作も実現できるバルブと、前記圧電駆動装置を利用したブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、第1および第2の圧電素子と、前記第1の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、前記第2の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、前記第1の圧電素子に電圧を印加した際には、第1の変位拡大機構を介して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、前記第2の圧電素子に電圧を印加した際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の圧電駆動装置は、ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、前記駆動装置本体は、圧電素子と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、前記第2の変位拡大機構は、第1の変位拡大機能に比べて剛性が高く設定され、前記圧電素子が伸長された際には、第1の変位拡大機構が変位して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、さらに圧電素子が伸長され続けた際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とするものでもよい。
【0011】
このような各発明においては、ケースに対して駆動装置本体を移動可能に設け、圧電素子の伸長に伴い、第1の変位拡大機構を介して当接部をケース内面に当接させているので、圧電素子の駆動によって駆動装置本体の位置を固定することができる。
このため、圧電素子を伸長させて第2の変位拡大機構を介して被駆動体を移動させる際に、駆動装置本体を移動の基準となる位置に移動してから第2の変位拡大機構を変位させて被駆動体を移動でき、被駆動体を常に所定の基準位置から精度良く移動させることができる。
【0012】
また、第1の変位拡大機構を介して当接部を移動させているので、圧電素子の伸長量が小さい場合でも、その変位量を拡大でき、圧電素子の変位量に比べて大幅に大きい量だけ当接部を移動できる。このため、ケース内面に当接部を比較的大きな圧力で圧接でき、その摩擦力で駆動装置本体を十分に移動停止状態にできる。
さらに、第2の変位拡大機構を介して被駆動体を移動させているので、圧電素子の伸長量に比べて被駆動体の移動量を大きくできる。このため、様々な被駆動体の移動に本発明の圧電駆動装置を利用することができる。
【0013】
さらに、請求項1の発明では、各変位拡大機構をそれぞれ別々の圧電素子を駆動して変位させているので、各圧電素子の駆動タイミングを制御することで、第1の変位拡大機構による駆動装置本体の移動停止処理を行った後に、第2の変位拡大機構による被駆動体の移動処理を確実に行うことができ、駆動装置本体の位置を決めてから被駆動体を移動できるので、より確実な駆動を行うことができる。
【0014】
一方、請求項2の発明では、各変位拡大機構の剛性の差を利用して各変位拡大機構の変位タイミングをコントロールすることで、1つの圧電素子のみで駆動できるように構成しているので、コストを低減でき、圧電駆動装置の構造や制御を簡易にできる。
【0015】
ここで、請求項1の圧電駆動装置において、前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた第1圧電素子および第2圧電素子とを備えて構成され、前記変位拡大板は、長手方向の略中央部分に設けられた基端部と、この基端部から連続して形成されて前記第1圧電素子の第1の端部が取り付けられた第1圧電素子第1端部取付部と、前記基端部から第1圧電素子第1端部取付部と反対側に連続して形成されて前記第2圧電素子の第1の端部が取り付けられた第2圧電素子第1端部取付部と、基端部から前記第1圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第1圧電素子を挟んで設けられた一対の第1連結部と、各第1連結部の端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第1圧電素子の第2の端部が取り付けられた第1圧電素子第2端部取付部と、前記基端部から第2圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第2圧電素子を挟んで設けられた一対の第2連結部と、各第2連結部の端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第2圧電素子の第2の端部が取り付けられた第2圧電素子第2端部取付部と、前記各第2連結部の端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、前記第1の圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、第1連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、前記第2の圧電素子が伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることが好ましい。
【0016】
また、請求項2の圧電駆動装置において、前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備えて構成され、前記変位拡大板は、前記圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ圧電素子を挟んで設けられた一対の連結部と、各連結部の一端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記連結部の他端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と、前記各連結部の他端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、前記圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、前記連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、前記圧電素子がさらに伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることが好ましい。
【0017】
これらの各発明によれば、変位拡大板を一体成形したので、圧電素子の伸縮に対応する駆動部の変位量を精度良く設定できる。
すなわち、圧電素子の伸長量は非常に小さいため、変位を伝達する経路途中にピンやカムなどが存在すると、その部分の「がた」で変位が吸入されてしまうおそれがある。これに対し、本発明では、変位拡大板をワイヤカットなどで一体成形したので、変位が吸入されてしまうことがなく、圧電素子の伸長に伴い変位拡大部を所定量だけ確実に変位させることができる。
【0018】
本発明のバルブは、前記圧電駆動装置と、前記圧電駆動装置の第2変位拡大機構に取り付けられた弁体と、前記弁体が当接可能な弁座と、前記弁体および弁座によって開閉される流路と、前記弁体を弁座に当接させる方向に弁体または前記駆動装置本体を付勢する付勢手段と、前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記弁体が前記弁座に当接されて前記流路が閉じられ、前記駆動制御手段は、前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止させた後、前記第2の変位拡大機構を変位させて前記付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を弁座から離して前記流路を開くことを特徴とする。
【0019】
このようなバルブであれば、圧電駆動装置で駆動される被駆動体としての弁体を、所定の基準位置から精度良く移動できるので、例えば基準位置を弁座に当接する位置にすることで、バルブを確実に開閉できる。また、弁体の移動量は、圧電素子の伸長量つまり圧電素子の印加電圧値によって調整できるので、バルブの開き量を容易にかつ精度良く制御できる。
さらに、例えば、被駆動体として弁体を移動させる際に、ケースに対して駆動装置本体をバネ等で付勢して弁体を弁座に当接させることができる。このため、弁座に弁体が当接している位置を基準とし、圧電素子を駆動することで弁座から弁体を離すことができる。従って、弁座に対する弁体の位置調整も容易にかつ精度良く行うことができ、ノーマリークローズタイプのバルブを容易に構成できる。
また、付勢手段の付勢力を利用して弁体を弁座に当接させているので、バルブを閉じる力を容易に大きくすることができ、バルブクローズ状態を確実に維持できる。その上、駆動装置本体を移動不能に停止させてから、弁体を弁座から離しているので、付勢手段を用いていても、弁体を確実に弁座から離すことができ、バルブの開放操作を確実に行うことができる。
【0020】
ここで、前記第2の変位拡大機構と前記弁体とは、前記付勢手段の付勢力より弱い付勢力に設定された連動用付勢手段または磁石によって着脱可能に設けられていることが好ましい。
このように構成すれば、弁体を駆動装置本体から容易に取り外すことができ、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0021】
本発明のブレーキ装置は、前記圧電駆動装置と、回転体と、回転体に対して前記圧電駆動装置によって押圧可能に設けられた摩擦部材と、前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動装置本体は、ケースに対して付勢手段によって前記第2の変位拡大機構がケースの外部側に突出する方向に付勢され、前記摩擦部材は前記第2の変位拡大機構に取り付けられ、前記圧電素子に電圧が印加されておらず圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで摩擦部材が回転体に押圧されて制動力を発生させ、前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧が印加されて前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構がケースの内側に向かう方向に変位されると、前記摩擦部材が回転体から離れてブレーキが解除されることを特徴とする。
【0022】
このようなブレーキ装置の駆動源として、本発明の圧電駆動装置を用いれば、圧電素子に電圧を印加していない状態では、付勢手段によって第2の変位拡大機構がケース外部に突出する方向に付勢されるため、圧電駆動装置で駆動される摩擦部材がドラムやディスクなどの回転体に当接している状態を基準位置にできる。従って、圧電素子に電圧を印加しない状態でブレーキを掛けて制動力を加えることができるブレーキ装置を提供できる。
また、駆動装置本体を付勢手段で付勢して各摩擦部材を回転体に押し付けているため、摩擦部材における摩擦材(ライニング)が摩耗したり、新しい摩擦材に交換してその厚さ寸法が変化した場合でも、前記付勢手段による付勢で摩擦部材が回転体に押圧される状態に自動的に調整することができる。
さらに、圧電素子は、伸縮方向に変位する間だけ電力を消費し、電圧を印加し続けて圧電素子が伸長された状態を維持している間も電流が流れず、電力を消費しない。このため、圧電素子に電圧を印加し続けてブレーキを解除している場合でも電力消費がなく、ソレノイドで摩擦部材を変位させる場合に比べて消費電力を大幅に低減できる。
また、本発明のブレーキ装置は、無励磁型であり、かつ小型で消費電力も抑えることができるため、例えば、ブレーキモータにおけるブレーキ装置などに好適である。さらに、ブレーキモータ以外でも、車、リフト、コンベアなどの各種回転体のブレーキ装置として広く利用できる。
【0023】
ここで、前記回転体は、ドラムで構成され、前記摩擦部材は、前記ドラムの内側に配置されて一端側が支持板に回動自在に取り付けられ、かつ摩擦材が設けられた一対のブレーキシューで構成され、各ブレーキシュー間には、各ブレーキシューの摩擦材がドラム内面から離れる方向に各ブレーキシューを移動させるバネが設けられ、前記圧電駆動装置は、各ブレーキシューの他端間に配置され、一方のブレーキシューに前記第2の変位拡大機構が取り付けられ、他方のブレーキシューに前記ケースが取り付けられ、前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで、各ブレーキシューの他端間の間隔が広がってブレーキシューの摩擦材がドラム内面に押圧されて制動力を発生させ、前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構をケースの内側に向かう方向に変位されると、前記各ブレーキシューの摩擦材が前記バネによってドラム内面から離され、ブレーキが解除されることが好ましい。
【0024】
このような構成のブレーキ装置によれば、リーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキとして利用でき、サーボ効果(自己倍力効果)などのドラムブレーキの特徴を生かしたブレーキ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態のバルブ1が示されている。なお、以下の説明においては、便宜上、図1の上側を上方、下側を下方として説明するが、バルブ1の使用時の向きは図1のものに限らず、水平方向に向けて用いたり、上下を逆にして用いてもよい。
【0026】
バルブ1は、ダイアフラムバルブであり、駆動部ケース2と、駆動部ケース2の一端に取り付けられた流路ブロック3と、駆動部ケース2の他端に取り付けられた蓋4とを備えている。
【0027】
蓋4は、図2に示すように、ネジ41によって駆動部ケース2に固定されている。さらに、蓋4には、ネジ42によってコネクタ43が固定されている。コネクタ43には、駆動制御手段である外部の制御装置(図示略)が接続され、制御装置から出力される駆動信号によって後述する各圧電素子が駆動されるように構成されている。
【0028】
流路ブロック3は、図3に示すように、バルブ1を各種機械に装着するための取付穴31と、駆動部ケース2に流路ブロック3を取り付けるためのネジが挿入される取付穴32が形成されている。
さらに、流路ブロック3には、図1に示すように、液体を供給するパイプが装着されるポート33,34が形成されている。各ポート33,34は、連通孔35,36を介して流路ブロック3に形成されたバルブ面37に開口されている。すなわち、連通孔36はバルブ面37の中心軸部分に開口されている。また、連通孔35は、バルブ面37において、連通孔36の開口の周囲にリング状に形成された凹溝38に開口されている。
【0029】
駆動部ケース2の内部には、図4に示すように、断面略矩形状とされ駆動部ケース2の長手方向(上下方向)に沿って連続する空間が形成され、この空間には一対のガイド部材5が配置されている。
ガイド部材5は、それぞれ直方体状に形成されたプレートで構成されている。各ガイド部材5の対向面には凹溝51が開口されている。また、このガイド部材5は、駆動部ケース2にねじ込まれた押しネジ52によって互いに近接する方向に位置調整できるように構成されている。
【0030】
[圧電駆動装置の構成]
バルブ1の圧電駆動装置10は、駆動部ケース2と、この駆動部ケース2内に内蔵された駆動装置本体11とを備えて構成されている。
駆動装置本体11は、変位拡大板12と、第1のバネ座13と、第2のバネ座14と、各バネ座13,14間に配置された押しバネ15と、磁石ホルダ16と、変位拡大板12に固定された第1圧電素子17および第2圧電素子18とを備えている。
【0031】
[変位拡大板の構造]
変位拡大板12は、マルエージ鋼、ステンレス、インバー材などの曲げ変形(弾性変形)可能な部材で構成され、1枚の板材をワイヤカットなどで以下に説明する所定の形状に切断することで製造されている。
すなわち、変位拡大板12の蓋4側の略半分(上半分)は、図5にも示すように、その長手方向(上下方向)の略中央部分に設けられた基端部121と、基端部121の軸直交方向つまり幅方向の両端部から蓋4側(上方)に延長された一対の第1連結部122と、各第1連結部122の蓋4側の端部(上端部122A)からそれぞれ第1ヒンジ部123を介して連続して形成された一対の第1駆動部124と、各第1駆動部124から第2ヒンジ部125を介して連続して形成された第1圧電素子第2端部取付部である上端側取付部126とを備えて構成されている。
【0032】
一方、前記基端部121の蓋4側の端面には、細幅部127Aを介して第1圧電素子第1端部取付部である基端上部側取付部127が連続して形成されている。そして、基端上部側取付部127には、第1圧電素子17の軸方向の第1の端部(下端)が取り付けられている。
また、上端側取付部126には、スペーサ128を介して第1圧電素子17の軸方向の第2の端部(上端)が取り付けられている。
従って、各第1連結部122は、第1圧電素子17を挟んで設けられ、かつ、第1圧電素子17の長手方向に沿って延長されて形成されている。
【0033】
変位拡大板12の流路ブロック3側の略半分(下半分)は、図1,6に示すように、前記基端部121と、基端部121の幅方向両端部から流路ブロック3側(下方)に延長された一対の第2連結部132と、各第2連結部132の流路ブロック3側の端部(下端部132A)において互いに近接する方向に延出された部分からそれぞれ第3ヒンジ部133を介して連続して形成された一対の第2駆動部134と、各第2駆動部134から第4ヒンジ部135を介して連続して形成された第2圧電素子第2端部取付部である下端側取付部136とを備えて構成されている。すなわち、第1ヒンジ部123、第1駆動部124、第2ヒンジ部125が形成された変位拡大板12の上端部とほぼ同様の構成とされている。
【0034】
前記下端側取付部136には、第2圧電素子18の軸方向の第2の端部(下端)が取り付けられている。
また、前記基端部121の流路ブロック3側の端面には、細幅部を介して第2圧電素子第1端部取付部である基端下部側取付部129が連続して形成されている。そして、基端下部側取付部129には、スペーサ128を介して第2圧電素子18の軸方向の一端が取り付けられている。
従って、各第2連結部132は、第2圧電素子18を挟んで設けられ、かつ、第2圧電素子18の長手方向に沿って延長されて形成されている。
【0035】
また、前記各第2連結部132の下端部132Aのケース2側の端部には、第5ヒンジ部137を介して一対の第3駆動部138が連続して形成され、各第3駆動部138から第6ヒンジ部139を介して被駆動体取付部であるホルダ取付部140が連続して形成されている。
そして、前記第1ヒンジ部123、第1駆動部124、第2ヒンジ部125を備えて第1の変位拡大機構が構成され、第3ヒンジ部133、第2駆動部134、第4ヒンジ部135、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を備えて第2の変位拡大機構が構成されている。
【0036】
また、各圧電素子17,18に沿って配置される第1連結部122、第2連結部132の基端部121との接続部分は、第1連結部122、第2連結部132の他の部分に比べて幅寸法が小さな細幅部(ヒンジ部)122B,132Bとされ、第1連結部122の上端部122Aや第2連結部132の下端部132Aが、前記各変位拡大機構の作用によってケース2側に押された場合、第1連結部122、第2連結部132は前記細幅部122B,132Bから湾曲するように設定されている。
【0037】
本実施形態においては、制御装置は、第1圧電素子17に対しては、第1圧電素子用第1設定値から第1圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成され、第2圧電素子18に対しては、第2圧電素子用第1設定値から第2圧電素子用第2設定値までの電圧を印加可能に構成されている。さらに、本実施形態では、各第1設定値は電圧値「0」に設定され、第2設定値は使用する圧電素子17,18やその圧電素子17,18に求める変位量に応じて設定されている。
【0038】
また、圧電素子17,18は、熱膨張係数が「0」またはマイナスの数値のものが利用されている。このため、各取付部126,129および圧電素子17,18間に、熱膨張係数の大きなアルミなどの材質からなるスペーサ128を挟んで接着し、温度が変化して圧電素子17,18の長さ寸法が変化してもその変化分をスペーサ128の長さ寸法の変化で補い、圧電素子17,18にスペーサ128を加えた長さ寸法は温度変化に関係なく常にほぼ一定となるように構成し、温度変化の影響を少なくするようにしている。
なお、上記のように温度変化に対応するには、圧電素子17,18とスペーサ128とが同じ温度に維持される必要がある。このため、圧電素子17,18およびスペーサ128と変位拡大板12との間の隙間部分を、シリコン等の伝熱材で埋めて圧電素子17,18とスペーサ128とが同じ温度に維持されるように工夫している。
【0039】
各ヒンジ部123,125,133,135,137,139は、他の部分に比べて幅寸法が狭い細幅に形成され、力が加わると弾性変形可能に形成されている。
また、第1ヒンジ部123および第2ヒンジ部125は、前記幅方向の位置がずれているため、初期状態では、各ヒンジ部123,125が略直線上に配置されるように斜めに設けられている。同様に、第3ヒンジ部133および第4ヒンジ部135と、第5ヒンジ部137および第6ヒンジ部139も、それぞれ略直線上に配置されるように斜めに設けられている。
【0040】
第1のバネ座13は、略リング状に形成され、その上端面はガイド部材5に当接して配置されている。また、バネ座13の下端面には凹部が形成され、バネ15の上端部が収納されている。
【0041】
第2のバネ座14は、略円筒状に形成され、その下端面は磁石ホルダ16に当接して配置されている。また、バネ座14の上端面にも凹部が形成され、バネ15の下端部が収納されている。
なお、バネ座14は下端部近くに薄肉部14Aが形成され、後述するように、第2圧電素子18の駆動で、第2連結部132の下端部132Aがケース2側に広がるように撓んだ際に、バネ座14も薄肉部14A部分で撓んで第2連結部132の変形に追従できるように構成されている。
さらに、バネ座14には、下端が開口された開口溝14Bが形成され、この開口溝14B部分に板状の変位拡大板12やホルダ取付部140が配置されている。このため、バネ座14は、変位拡大板12やホルダ取付部140に干渉することなく、直接磁石ホルダ16に当接されている。
【0042】
そして、各バネ座13,14間には前記バネ15が介在されているため、磁石ホルダ16はバネ座14を介して前記バネ15で下方に付勢され、後述するダイアフラムが流路ブロック3のバルブ面に当接されてバルブ1が閉じられるように構成されている。従って、バネ15によって本発明の付勢手段が構成されている。
なお、磁石ホルダ16には、変位拡大板12のホルダ取付部140が取り付けられているため、変位拡大板12と磁石ホルダ16とは一体で移動するが、後述するように、圧電素子17に電圧を印加して伸長させない限り、変位拡大板12はケース2に対して移動可能なフリー状態であるため、バルブ1が閉じられている間は、バネ15の付勢力(応力)が変位拡大板12の各ヒンジ部137,139等や圧電素子17,18に加わることはない。
【0043】
磁石ホルダ16は、前記変位拡大板12のホルダ取付部140にねじ止めされている。磁石ホルダ16の下端には磁石161が埋設されている。なお、磁石ホルダ16とケース2との間には、図示しないパッキンおよびパッキン押さえが配置され、仮にダイアフラム20から液が漏れたとしても駆動装置本体11側に漏れ出さないようにシールしている。このシール構造は以下の各実施形態でも図示しないが設けられている。
【0044】
駆動部ケース2および流路ブロック3間には、ダイアフラム20が配置されている。ダイアフラム20は、略円板状に形成され、その周囲には肉厚な挟持部201が設けられている。そして、この挟持部201を駆動部ケース2および流路ブロック3で挟持することで、ダイアフラム20が固定されている。
また、ダイアフラム20の中心にも肉厚なバルブ開閉部202が設けられている。このバルブ開閉部202には、ダイアフラム金具203がねじ止めされている。ダイアフラム金具203は、前記磁石161の磁力によって磁石161に吸着され、バルブ開閉部202は磁石ホルダ16つまりはホルダ取付部140と一体で動作する。また、磁石161およびダイアフラム金具203を容易に分離できるので、作業者は分解して流路ブロック3やダイアフラム20を容易にメンテナンスできる。
【0045】
ダイアフラム20の挟持部201およびバルブ開閉部202間は、肉厚が薄く、かつ湾曲して変位しているので、流路ブロック3に対してホルダ取付部140が上方に移動した場合には、図8に示すように、流路ブロック3のバルブ面37およびダイアフラム20間に隙間が生じ、各連通孔35,36が互いに連通可能となるように構成されている。
一方、流路ブロック3に対してホルダ取付部140が下方に移動し、バルブ開閉部202がバルブ面37に当接した場合には、連通孔36の開口がダイアフラム20で塞がれ、各連通孔35,36は互いに連通されてない状態となるように構成されている。
従って、ポート33,34、連通孔35,36、凹溝38によって液体が流れ、かつ、ダイアフラム20によって開閉される流路が構成されている。
また、ダイアフラム20によってバルブ1の弁体が構成され、バルブ面37によって弁座が構成されている。
さらに、駆動部ケース2には、ダイアフラム20が配置された空間を外部に連通する空気抜き穴21が形成され、ダイアフラム20がスムーズに変位するように構成されている。
【0046】
[バルブ駆動動作]
次に、このような構成のバルブ1の動作について説明する。
【0047】
[バルブ動作:初期状態]
初期状態では、制御装置は、圧電素子17,18に電圧を加えない。すなわち、制御装置は、圧電素子17,18に第1設定値の電圧を印加するが、本実施形態では第1設定値は電圧値「0」であるため、駆動信号の入力を行わない。この状態では、図1,5,6に示すように、各ヒンジ部123,125,133,135,137,139が変形しないように構成されている。そして、この状態では、第1連結部122とガイド部材5の凹溝51間には、図5に示すように、寸法Lの僅かな隙間53が形成されている。
【0048】
そして、変位拡大板12は、前記隙間53によってガイド部材5が設けられた駆動部ケース2に対して移動可能に設けられ、変位拡大板12に固定された磁石ホルダ16はバネ15によって下方つまり流路ブロック3側に付勢されている。
このため、磁石ホルダ16、ダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202も下方に付勢され、連通孔36が開口されたバルブ面37にダイアフラム20のバルブ開閉部202が密着してバルブを閉じた状態となっている。すなわち、本実施形態のバルブ1は、圧電素子17,18に電圧が印加されていない未駆動状態では、付勢手段であるバネ15の付勢力でバルブが閉じられるノーマリークローズタイプのバルブである。
【0049】
[バルブ駆動動作:バルブオープン動作]
次に、圧電素子17に第2設定値の電圧を印加すると、図7に示すように、圧電素子17が伸長してその長手方向寸法が長くなる。この際、基端上部側取付部127の細幅部127Aよりもヒンジ部123,125のほうが幅寸法が小さくて変形しやすいため、圧電素子17の長手方向寸法が長くなると、ヒンジ部123,125が変形する。この際、各ヒンジ部123はヒンジ部125に対して外側に配置され、かつ第1連結部122に連結されているので、圧電素子17が変位すると、ヒンジ部125を介して第1駆動部124は上方側が外側に傾斜するように傾き、さらにヒンジ部123を介して第1連結部122の上端部122Aが外側に傾斜するように傾く。すると、第1連結部122の上端部122Aはガイド部材5の凹溝51に圧接する。このため、変位拡大板12は、ガイド部材5つまり駆動部ケース2に対して上下方向に移動不能に固定される。
従って、前述の通り、前記ヒンジ部123,125、第1駆動部124を備えて第1の変位拡大機構が構成され、第1連結部122の上端部122Aによって当接部が構成されている。
また、圧電素子17に第2設定値の電圧を印加した際に、上端部122Aが十分な圧力で凹溝51に圧接するように、上端部122Aの移動量を考慮して前記隙間寸法Lが設定されている。例えば、寸法Lは、100μm以下、例えば50μm程度であり、ネジ52を進退させることで設定されている。
【0050】
続いて、第2圧電素子18に第2設定値の電圧を印加すると、図8に示すように、第2圧電素子18が伸長してその長手方向寸法が長くなる。すると、下端側取付部136が下方に移動し、その移動に伴い第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135がそれぞれ外側(ケース2側)に変位し、第2連結部132の下端部132Aも外側に変位する。
下端部132Aが外側に変位すると、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を介してホルダ取付部140が上方に移動する。
【0051】
ここで、図6,8に示すように、第3ヒンジ部133、第2駆動部134、第4ヒンジ部135の駆動装置本体11の移動方向つまり軸方向の長さをla、幅方向の長さをLa、第2圧電素子18の伸長による下端側取付部136の下方への移動量をaとすると、下端部132Aの幅方向への移動量bは、式1:b=(la/La)×aで求められる。
【0052】
さらに、図6,8に示すように、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139の軸方向の長さをLb、幅方向の長さをlbとすると、ホルダ取付部140の上方への移動量cは、式2:c=(lb/Lb)×bで求められる。
この式2のbに前記式1を代入すると、c=(lb/Lb)×(la/La)×aとなり、出力cは、各長さの比だけ変位aが拡大したものとなる。
すなわち、ホルダ取付部140の変位量は第2圧電素子18の変位量の数倍から十数倍程度に拡大される。そして、第2圧電素子18の変位量は、第2圧電素子18に印加する電圧値によって調整される。
従って、前述の通り、第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を備えて第2の変位拡大機構が構成されている。
【0053】
ホルダ取付部140が上方に移動すれば、磁石ホルダ16、ダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202も上方に移動し、図8に示すように、バルブ面37から離れる。このため、各連通孔35,36を介して各ポート33,34が連通し、バルブが開かれる。従って、本実施形態では、圧電素子17,18に順次電圧を印加することでバルブを開くことができる。
すなわち、磁石ホルダ16をバネ15で付勢しているため、第1圧電素子17を駆動して第1連結部122をガイド部材5に圧接させて変位拡大板12の移動を防止、つまり固定しておかないと、第2圧電素子18を駆動してホルダ取付部140を上方に移動した際に、前記バネ15で磁石ホルダ16および変位拡大板12が下方に移動してしまいバルブを開くことができない。これに対し、本実施計形態では、バルブを開く際に、まず、第1圧電素子17を駆動して変位拡大板12を固定してから第2圧電素子18を駆動してホルダ取付部140を上方に移動しているので、流路ブロック3に対して相対的にホルダ取付部140、磁石ホルダ16、バルブ開閉部202などを上方に移動でき、バルブを確実に開くことができる。
【0054】
[バルブ駆動動作:バルブクローズ動作]
次に、バルブ1を閉じる場合には、前記バルブ1を開く場合と逆の手順で制御すればよい。すなわち、まず第2圧電素子18への電圧印加を無くし、ホルダ取付部140を元の位置に戻す。これによりダイアフラム20がバルブ面37に密着してバルブ1が閉じられる。
【0055】
続いて、第1圧電素子17への電圧印加を無くし、第1連結部122の上端部122Aが凹溝51に圧接する状態を解除する。
すると、変位拡大板12はガイド部材5や駆動部ケース2に対して移動可能となるため、バネ15によって下方に付勢され、ダイアフラム20がバルブ面37に密着する力を高め、バルブ1を確実に閉じることができる。
以上の動作を繰り返すことで、バルブ1の開閉を制御することができる。また、バルブ1の開き量は、第2圧電素子18の伸長量つまり印加電圧値によって精度良く制御できる。
なお、各圧電素子17,18への電圧印加を無くすには、圧電素子17,18に電圧を印加するための端子間を短絡して放電すればよい。
【0056】
[メンテナンス]
また、バルブ1を介して供給する液体の種類を変更するためや、1日の作業が終了した場合など、液体の流路を洗浄する場合には、流路ブロック3を駆動部ケース2から取り外し、磁石161によって磁石ホルダ16に取り付けられたダイアフラム20を取り出せばよい。本実施形態においては、液に接するのは、流路ブロック3とダイアフラム20のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、駆動装置本体11は分解する必要が無く、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0057】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)圧電素子17,18を利用してダイアフラム20を駆動してバルブ1を開閉しているので、バルブ1を小型、軽量化することができる。すなわち、サーボモータ、ソレノイド、カムなどの駆動機構を採用した場合に比べて、バルブ1を容易に小型・軽量化できる。
従って、各種製品の生産ラインにおいて、接着剤や各種液体の流路に本実施形態のバルブ1を利用する際にも、配置スペースを小さくできる。
【0058】
(2)さらに、圧電素子17,18に電圧を印加していない場合には、バネ15の付勢力で磁石ホルダ16を下方に付勢してダイアフラム20をバルブ面37に密着させているので、バルブ1はバネ15のバネ力で閉じられる。このため、ダイアフラム20のバルブ開閉部202の厚さ寸法にバラツキがあったり、バルブ面37の位置が多少変化したとしても、前記バネ15によってダイアフラム20がバルブ面37に当接するまで付勢されるため、確実にバルブ1を閉じることができる。
すなわち、バルブ1は、電圧を印加しないときにバルブが閉じるノーマリークローズタイプのバルブとすることができる。また、バルブが閉じられている際のダイアフラム20のバルブ面37への当接力もバネ15のばね力のみで設定でき、バルブ1のクローズ状態を安定して維持できる。
【0059】
(3)また、ダイアフラム20をバルブ面37に押し付ける力をバネ15のばね力のみで設定できるため、例えば、洗浄のためにダイアフラム20や流路ブロック3を取り外して再度取り付けた際に、ネジの締め付け量などによってその取付位置が微妙に異なる場合があるが、そのような微差があっても前記バネ15でダイアフラム20をバルブ面37に押し付けているので、ダイアフラム20の押し付け力をほぼ一定にでき、この点でもバルブ1を安定して閉じておくことができる。このため、ダイアフラム20の交換作業も容易に行うことができる。特に、接液部分であるダイアフラム20は消耗品でもあるため、交換作業は必須であるが、その作業が容易に行えるため、メンテナンス性も向上できる。
【0060】
(4)さらに、バルブ1を開く場合、まず第1圧電素子17に電圧を印加して第1連結部122の上端部122Aをガイド部材5の凹溝51に押し付けて変位拡大板12が移動しないように固定し、その固定位置を基準として第2圧電素子18に電圧を印加して磁石ホルダ16やダイアフラム金具203、バルブ開閉部202を上方に移動してバルブ1を開いているので、常に安定した開閉動作を行うことができる。
【0061】
(5)その上、バルブ1の開閉タイミングや、開閉量つまりダイアフラム20のバルブ面37に対する移動量は、各圧電素子17,18に駆動電圧を加えるタイミングや、第2圧電素子18に加える電圧値によって容易に調整することができる。このため、バルブの開き量の遠隔設定や、フィードバック制御を実現でき、使い勝手のよいバルブ1を提供できる。
【0062】
(6)圧電素子17,18は高速駆動が可能なため、例えば、1秒間に100回以上の開閉動作が可能であり、エアシリンダ駆動に比べて高速なバルブ切替動作を実現できる。
【0063】
(7)液に接するのは、流路ブロック3とダイアフラム20のみであるため、これらを取り外して洗浄すれば、駆動部ケース2内部は分解する必要が無く、洗浄などのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
また、磁石161を用いているので、流路ブロック3を駆動部ケース2から取り外し、磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられたダイアフラム20を取り出せばよいため、メンテナンス作業をより一層容易に行うことができる。
【0064】
(8)バネ座14を磁石ホルダ16に当接させ、変位拡大板12には直接当接させておらず、かつ、圧電素子17に電圧を印加して伸長させない限り、変位拡大板12はケース2に対して移動可能なフリー状態であるため、バルブ1が閉じられている間は、バネ15の付勢力が変位拡大板12の各ヒンジ部123,125,133,135,137,139や、圧電素子17,18に加わることがなく、ヒンジ部123,125,133,135,137,139や圧電素子17,18にバネの付勢力が加わることによる影響を軽減できる。
【0065】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について図9〜11を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述する各実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
第2実施形態のバルブ1Aは、図9に示すように、前記第1実施形態のバルブ1が2つの圧電素子17,18を用いた駆動装置本体11を利用していたのに対し、1つの圧電素子19のみを用いた駆動装置本体11Aを利用している点と、そのために、変位拡大板12Aの構造が第1実施形態の変位拡大板12に比べて僅かに異なっている点が相違する。
【0066】
すなわち、変位拡大板12Aは、基端部121が無く、第1連結部122および第2連結部132が直接連続して連結部142とされている。そして、圧電素子19は、取付部126と取付部136との間に架け渡されて配置されている。
また、第3ヒンジ部133および第4ヒンジ部135は、ヒンジ部123,125に比べて幅寸法が大きくされるなどで剛性(強度)が大きくされ、ヒンジ部123,125よりは変形し難く設定されている。すなわち、第1の変位拡大機構よりも第2の変位拡大機構のほうが剛性が高くされ、変形しにくい設定とされている。
【0067】
このような第2実施形態のバルブ1Aにおいても前記第1実施形態のバルブ1と同様の動作でバルブの開閉がおこなわれる。
すなわち、圧電素子19に電圧を印加されていない状態では、変位拡大板12Aは、バネ15によって下方に付勢され、ダイアフラム20のバルブ開閉部202がバルブ面37に密着してバルブが閉じられている。
【0068】
そして、上部側(蓋4側)のヒンジ部123,125は、下部側(流路ブロック3側)のヒンジ部133,135に比べて剛性(強度)が小さく、撓みやすいため、圧電素子19に電圧を印加して圧電素子19を伸長させると、図10に示すように、まず、上側のヒンジ部123,125が撓み、連結部142の上端部(当接部)142Aがガイド部材5の凹溝51に当接し、変位拡大板12Aが固定される。
さらに、圧電素子19への電圧印加を継続して圧電素子19をより伸長すると、ガイド部材5に連結部142が当接しているために、上部のヒンジ部123,125はそれ以上変形できない。
このため、圧電素子19の伸長に伴い、下端側取付部136が下方に移動し、その移動に伴い第3ヒンジ部133、第4ヒンジ部135がそれぞれ外側(ケース2側)に変位し、連結部142の下端部142Bも外側に変位する。
下端部132Aが外側に変位すると、前記第1実施形態と同じく、第5ヒンジ部137、第3駆動部138、第6ヒンジ部139を介してホルダ取付部140が上方に移動する。
【0069】
ホルダ取付部140が移動すると、前記第1実施形態と同じく、磁石ホルダ16やダイアフラム金具203を介してダイアフラム20のバルブ開閉部202が上方に移動してバルブ面37から離れる。このため、バルブが開放されて液が流通できるようになる。
従って、バルブの開き量は圧電素子19の伸長量つまり圧電素子19に印加する電圧値によって調整される。
【0070】
次に、圧電素子19への電圧印加を解除し、圧電素子19が縮小すると、撓んでいたヒンジ部133,135が最初に元の状態に戻り、左右に広がっていた連結部142の下端部142Bが元の状態に戻り、これに伴い、ヒンジ部137,139や第3駆動部138も元の状態になる。このため、ホルダ取付部140や磁石ホルダ16も下方に移動し、ダイアフラム20のバルブ開閉部202もバルブ面37に密着し、バルブが閉じられる。
続いて、上部のヒンジ部123,125や第1駆動部124も元の状態に戻り、連結部142の上端部142Aはガイド部材5の凹溝51から離れる。このため、磁石ホルダ16は、バネ15の付勢力で下方に付勢され、ダイアフラム20のバルブ面37への密着力も高まり、バルブが確実に閉じられる。
【0071】
以上のように、バルブ1Aは、圧電素子19に電圧を印加したり、印加を解除することで開閉されるため、電圧を印加していない際にバルブが閉じられるノーマリークローズタイプのバルブ1Aとすることができる。
【0072】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果も得られる。
すなわち、1つの圧電素子19のみを設ければよいため、2つの圧電素子17,18を用いた第1実施形態に比べて、構造を簡易にでき、小型化も容易となり、コストを削減できる。また、制御対象が1つの圧電素子19であるから、2つの圧電素子17,18を制御する場合に比べて容易に駆動を制御できる。さらに、各圧電素子17,18に順次電圧を印加する前記第1実施形態に比べて1つの圧電素子19への電圧印加を制御するだけで、バルブのオン・オフ制御を行うことができるので、バルブの動作スピードも向上できる。
但し、本実施形態では、各ヒンジ部123,125および133,135が撓むタイミングの設定を、各ヒンジ部123,125および133,135の剛性の差によって設定しなければならず、変位拡大板12Aの設計や圧電素子19の調整が難しい。この点では、前記第1実施形態のように2つの圧電素子17,18を設け、変位拡大板12をガイド部材5に固定する動作を行うための圧電素子17と、その固定後にバルブの開閉を行うための圧電素子18とを独立して別々に設ければ、変位拡大板12の設計が容易になり、かつ、各動作を確実に実行できる利点がある。
【0073】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について図12〜14を参照して説明する。
第3実施形態のバルブ1Bは、図12に示すように、駆動装置本体11Bによって駆動されるポペット弁タイプのバルブである。
バルブ1Bでは、流路を有する流路ブロック3Bに形成された弁座300対して、弁体310を密着させたり、離したりすることで、バルブを開閉するように構成されている。
【0074】
このため、駆動装置本体11Bは、圧電素子19に対して電圧を印加した際に、ホルダ取付部140が下方に移動して前記弁体310を下方に押すことができるように設計された変位拡大板12Bを備える。具体的には、変位拡大板12Bは、上部側は変位拡大板12Aと同一構造とされている。
一方、下部側は、連結部142の下端部142Bが圧電素子19の伸長に伴って左右に開かれると、ホルダ取付部140が下方に移動するように、ヒンジ部137,139および第3駆動部138が設定されている。各ヒンジ部137,139および第3駆動部138は、前記実施形態の変位拡大板12Aとは異なり、連結部142に連結された部分からホルダ取付部140に連結される部分に向かって、斜め上方に各ヒンジ部137,139が向かうように設計されている。
【0075】
なお、変位拡大板12Bでは、第3ヒンジ部133は、連結部142の下端部142Bから互いに近接する方向に延出されて形成され、第2駆動部134は、第3ヒンジ部133から上方(基端部121側つまり蓋4側)に向かって延長されて形成され、第4ヒンジ部135は、第2駆動部134の上端部において互いに連結された部分で形成されている。
そして、これらのヒンジ部133,135は、ヒンジ部123,125に比べて幅寸法が大きいために剛性も高くされ、圧電素子19が伸長した際には、先にヒンジ部123,125側が変形するように設定されている。
【0076】
そして、ホルダ取付部140にはホルダ取付部140の変位を弁体310に伝えるための連動用ホルダ16Aが取り付けられ、この連動用ホルダ16Aの下端は弁体310を保持する弁体ホルダ320に当接されている。
【0077】
変位拡大板12Bが内蔵された駆動部ケース2Bと、弁体310で開閉される流路が形成された流路ブロック3Bとの間にはスペーサ部材7が介在されている。前記弁体ホルダ320は、スペーサ部材7の中心軸部分を貫通して配置され、スペーサ部材7と弁体ホルダ320との間に配置された付勢手段としてのコイルバネ330によって上方に付勢され、連動用ホルダ16Aに当接されている。
また、スペーサ部材7と流路ブロック3Bとの間には、ダイアフラム340が挟持されている。ダイアフラム340は、流路ブロック3B内を通過する液体が駆動部ケース2B側に流入しないようにシールするために設けられている。
【0078】
前記弁体310は、前記ダイアフラム340を介して弁体ホルダ320にねじ込まれたボルトによって弁体ホルダ320およびダイアフラム340に取り付けられている。そして、弁体310は、前記コイルバネ330の付勢力で弁体ホルダ320が上方に付勢されていることで上方に付勢され、流路ブロック3Bの下面に形成された弁座300に対し、下方から当接してバルブを閉じるように構成されている。
【0079】
このような本実施形態においては、圧電素子19に電圧が印加されていない状態では、変位拡大板12Bは連動用バネ150によって下方に付勢され、連動用ホルダ16Aは弁体ホルダ320に当接している。ここで、前記連動用バネ150は、付勢手段であるコイルバネ330の付勢力よりも小さく設定されており、連動用ホルダ16Aを弁体ホルダ320に常時当接させるために設けられている。
そして、弁体ホルダ320はコイルバネ330の付勢力によって、前記弁体310が弁座300に当接する位置まで上方に移動されている。従って、バルブ1Bもノーマリークローズタイプのバルブ(ポペット弁)とされている。
【0080】
なお、本実施形態では、バネ座14は変位拡大板12Bの連結部142に形成された下端部142Bに当接して配置されている。この場合、連動用バネ150の応力がヒンジ部137,139等に加わることになるが、連動用バネ150の付勢力は小さいため、その影響は殆ど無い。
【0081】
次に、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、前記第2実施形態と同様に、まず、各ヒンジ部123,125が撓んで連結部142の上端部142Aがガイド部材5に当接し、変位拡大板12Bは固定される。
さらに、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、図14に示すように、ヒンジ部133,135が撓んで連結部142の下端部142Bが左右に広がり、その変位に伴って各ヒンジ部137,139が変形し、ホルダ取付部140が下方に移動する。すると、連動用ホルダ16Aを介して弁体ホルダ320および弁体310がコイルバネ330の付勢力に抗して下方に移動され、弁体310が弁座300から離れてバルブが開かれる。
弁体310の移動量つまりバルブの開き量は、前記第2実施形態と同様に圧電素子19の伸長量つまり圧電素子19に加える印加電圧値によって制御される。
【0082】
また、圧電素子19に加える印加電圧を減らしていくと、ヒンジ部133,135および連結部142の下端部142Bが元の状態に戻り、ホルダ取付部140が上方に移動し、コイルバネ330によって弁体ホルダ320が上方に移動し、弁体310が弁座300に当接してバルブが閉じられる。さらに、上方のヒンジ部123,125が元の状態に戻り、変位拡大板12Bの固定が解除される。
【0083】
このような本実施形態においても、前記第1,2実施形態と同様の作用効果を奏することができる上、次のような効果も得られる。
すなわち、弁座300の開口面に対して垂直方向に移動する弁体310を用いたポペット弁1Bを圧電素子19で駆動できるため、液漏れを少なくできるというポペット弁の特徴を生かしたバルブ1Bを構成できる。
【0084】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態について図15を参照して説明する。
第4実施形態のバルブ1Cは、図15に示すように、駆動装置本体11Cによって駆動されるピンチバルブである。
駆動装置本体11Cは、その変位拡大板12Cが、駆動装置本体11Bの変位拡大板12Bに対し、ヒンジ部137,139および第3駆動部138が変位拡大板12Aと同様の向きに配置されている点のみが相違し、他の構成は同一である。
また、バルブ1Cの駆動部ケース2には、内部にチューブ400が挿通されたチューブブロック401が取り付けられている。チューブブロック401と駆動部ケース2との間には、チューブ押しガイド403が介装され、このガイド403によって案内されるチューブ押し404が配置されている。
【0085】
チューブ押し404は金属製とされ、前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
チューブ押し404の先端(下端)は、断面三角形状(山形)に形成され、チューブ押し404を下方に移動してその先端で前記チューブ400を押し潰すことでバルブを閉じ、チューブ押し404を上方に移動してチューブ400の押しつぶしを解除することでバルブを開くように構成されている。
なお、その他の構成は前記実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0086】
このような第4実施形態においても、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢され、その付勢力によって前記チューブ押し404が下方に移動されてチューブ400を押し潰し、バルブを閉じている。このため、本実施形態のバルブ1Cも、ノーマリークローズタイプのバルブとされている。
次に、圧電素子19に電圧を印加すると、圧電素子19が伸長され、上側のヒンジ部123,125が撓み、連結部142の上端部142Aがガイド部材5に当接し、変位拡大板12Cが固定される。さらに、圧電素子19への電圧印加を継続して圧電素子19をより伸長すると、前記第2実施形態と同様に、ヒンジ部133,135が左右に開き、下部のヒンジ部137,139が撓んで変形し、ホルダ取付部140が上方に移動する。
【0087】
ホルダ取付部140が移動すると、前記実施形態と同じく、磁石ホルダ16を介してチューブ押し404が上方に移動し、チューブ400の閉塞状態が解除され、バルブが開放されて液が流通できるようになる。従って、バルブ1Cの開き量も圧電素子19に印加する電圧値によって調整される。
【0088】
次に、圧電素子19への電圧印加を解除し、圧電素子19が縮小すると、ヒンジ部133,135、下端部142B、ヒンジ部137,139、第3駆動部138も元の状態になる。このため、ホルダ取付部140およびチューブ押し404も下方に移動し、チューブ400を押し潰してバルブが閉じられる。
続いて、上部のヒンジ部123,125や第1駆動部124も元の状態に戻り、連結部142の上部はガイド部材5の凹溝51から離れる。このため、変位拡大板12Cは、バネ15の付勢力で下方に付勢され、チューブ押し404がチューブ400を押し潰す力も高まり、バルブが確実に閉じられる。
【0089】
このような本実施形態のピンチバルブ1Cにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態について図16を参照して説明する。
第5実施形態のバルブ1Dは、図16に示すように、前記駆動装置本体11Cによって駆動されるディスペンシングバルブである。
すなわち、バルブ1Dの駆動部ケース2には、流路ブロック500が取り付けられている。流路ブロック500には、図16の上下方向つまり磁石ホルダ16の進退方向に沿った貫通孔501が形成され、この貫通孔501にはニードルバルブ502が挿入されている。
【0091】
ニードルバルブ502は、大径の基端部502Aと小径のニードル部502Bとを備えて構成された金属材であり、基端部502Aが前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
また、貫通孔501には貫通孔501の大径部とニードルバルブ502間をシールするガイドシール503と、ガイドシール押さえ504が配置されている。ガイドシール押さえ504は、駆動部ケース2と流路ブロック500とで挟持されて固定されている。
【0092】
貫通孔501の下端には、バルブシート受け505で固定されたバルブシート506が配置されている。バルブシート506には、ニードルバルブ502の先端が当接可能なテーパ状のバルブ面が形成され、このバルブ面に開口された吐出孔507をニードルバルブ502で閉塞できるように構成されている。
この吐出孔507は、ノズル袋ナット508によってバルブシート506の下面に取り付けられたノズル509に連通されている。
【0093】
また、流路ブロック500には、流路ブロック500の側面および貫通孔501間を連通する連通路510が形成され、この連通路510はシリンジホルダ袋ナット511によって流路ブロック500に取り付けられたシリンジホルダ512に連通されている。
【0094】
このような本実施形態では、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢されて前記ニードルバルブ502がバルブシート506に当接し、吐出孔507が塞がれるために、バルブが閉じられている。従って、このバルブ1Dもノーマリークローズタイプのバルブとされている。
【0095】
そして、供給する液体が収納されたシリンジを、シリンジホルダ512に装着し、圧電素子19に電圧を印加すると、前記各実施形態と同様の作用で、変位拡大板12Cが固定され、かつ、磁石ホルダ16およびニードルバルブ502が上方に移動し、ニードルバルブ502がバルブシート506から離れて吐出孔507が開口し、バルブが開かれる。そして、シリンジから、連通路510、貫通孔501、吐出孔507を介して液が吐出される。
一方、圧電素子19の電圧印加を解除すると、磁石ホルダ16およびニードルバルブ502が下方に移動してニードルバルブ502がバルブシート506に当接し、吐出孔507つまりバルブが閉じられる。そして、変位拡大板12Cの固定も解除されるため、ニードルバルブ502はバネ15の付勢力でバルブシート506に当接してバルブが閉じられ、液の吐出も中断される。従って、圧電素子19への電圧印加を制御して、バルブを開閉することで、液を断続的に吐出することができる。
【0096】
このような本実施形態のディスペンシングバルブ1Dにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、ニードルバルブ502をバルブシート506に当接させて吐出孔507を塞ぐことでバルブを閉じているので、吐出液の液切れを良くでき、バルブを閉じた際に液が垂れることを防止できる。
【0097】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態について図17を参照して説明する。
第6実施形態は、ディスペンサのバルブ(ディスペンシングバルブ)1Eに本発明を用いたものである。すなわち、ディスペンサの駆動部ケース2には、第1アダプタ601が取り付けられている。この第1アダプタ601の内側には、略円筒状の第2アダプタ602が配置され、さらにその内側には第3アダプタ603が配置されている。
第3アダプタ603の中心軸部分に形成された貫通孔604には、ニードルバルブ605の上端部が挿通されている。
【0098】
ニードルバルブ605は、大径の基端部605A,605Bと小径のニードル部605Cとを備えて構成された金属材であり、基端部605Aが前記磁石161の磁力によって磁石ホルダ16に取り付けられている。
また、各基端部605A,605B間にはニードルパッキン606が配置され、貫通孔604とニードルバルブ605の隙間から液が駆動部ケース2側に漏れ出さないようにシールしている。
さらに、第3アダプタ603とケース2との間、第2アダプタ602と第1アダプタ601との間には、それぞれ上Oリング607、下Oリング608が介装され、液漏れを防止している。
【0099】
第1アダプタ601には、シリンジ610の上端部が取り付けられている。このシリンジ610の上部開口には、前記第2アダプタ602が挿入され、第2アダプタ602およびシリンジ610内面間にはシリンジOリング611が介装され、液漏れを防止している。
シリンジ610の下端開口にはテーパ状のバルブ面が形成されたバルブシートノズル612が取り付けられている。前記ニードルバルブ605のニードル部605Cの先端(下端)は、シリンジ610の下端開口を挿通してバルブシートノズル612のバルブ面に当接可能に配置されている。そして、このバルブ面に開口された吐出孔613をニードルバルブ605で閉塞できるように構成されている。
【0100】
このような本実施形態では、供給する液体が収納されたシリンジ610を予め第1アダプタ601に取り付けておく。そして、圧電素子19に電圧を印加していない状態では、バネ15によって変位拡大板12Cが下方に付勢されて前記ニードルバルブ605がバルブシートノズル612のバルブ面に当接し、吐出孔613が塞がれるために、バルブが閉じられている。従って、このバルブ1Eもノーマリークローズタイプのバルブとされている。
【0101】
次に、圧電素子19に電圧を印加すると、前記各実施形態と同様の作用で、変位拡大板12Cが固定され、かつ、磁石ホルダ16およびニードルバルブ605が上方に移動し、ニードルバルブ605がバルブシートノズル612から離れて吐出孔613が開口し、バルブが開かれる。
一方、圧電素子19の電圧印加を解除すると、磁石ホルダ16およびニードルバルブ605が下方に移動してニードルバルブ605がバルブシートノズル612に当接し、吐出孔613つまりバルブが閉じられる。そして、変位拡大板12Cの固定も解除されるため、ニードルバルブ605はバネ15の付勢力でバルブシートノズル612に当接してバルブが閉じられる。
【0102】
そして、圧電素子19に電圧が印加されてバルブが開かれている際には、シリンジ610内の液体が吐出孔613から吐出され、電圧印加が解除されてバルブが閉じられると液体吐出が中断されるため、前記圧電素子19への電圧印加および解除を制御することで、液体を吐出するディスペンサとして機能させることができる。
【0103】
このような本実施形態のディスペンシングバルブ1Eにおいても、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、ニードルバルブ605をバルブシートノズル612に当接させて吐出孔613を塞ぐことでバルブを閉じているので、吐出液の液切れを良くでき、バルブを閉じた際に液が垂れることを防止できる。
【0104】
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲の変形は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明のバルブとしては、前記各実施形態に記載したものに限らない。例えば、図18に示すように、各種エンジンの吸気弁や排気弁に用いられるきのこ弁(ポペットバルブ)に本発明を適用してもよい。
要するに、本発明の圧電駆動装置は、被駆動体を進退移動できるため、このような進退駆動を利用してバルブを開閉する各種のバルブに適用できる。
【0105】
さらに、前記各実施形態では、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態でバルブを閉じるノーマリークローズタイプのバルブとしていたが、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態でバルブを開くノーマリーオープンタイプのバルブに本発明の圧電駆動装置を適用することもできる。例えば、第1、2実施形態のダイアフラムバルブ1,1Aにおいて、第3実施形態の駆動装置本体11Bを組み込むとともに、第3実施形態のコイルバネ330のように、磁石ホルダ16等を介してバルブ開閉部202を上方に付勢する付勢手段を組み込むことで、圧電素子17〜19に電圧を印加していない状態では付勢手段によってバルブ開閉部202が上方に移動されてバルブがオープンとされ、圧電素子17〜19に電圧を印加するとバルブ開閉部202が下方に移動されてバルブ面37に当接し、バルブがクローズとされるように構成してもよい。
【0106】
また、ガイド部材5の位置を調整する押しネジ52を設けていたが、変位拡大板12,12A,12B,12Cを精度良く加工・組立することなどで、ネジ52等の位置調整手段を無くしても良い。また、位置調整手段としては、前記実施形態の構成に限らず、変位拡大板12に対するガイド部材5の位置を、各ヒンジ部123,125を変形させて第1連結部122や連結部142の上端部(当接部)を外側に撓ませてガイド部材5に当接させる際の変形量等に応じて調整できるものであればよい。
【0107】
前記実施形態では、圧電素子17,18,19に印加する第1設定値の電圧は「0」としていたが、所定の値の電圧を印加するようにしてもよい。要するに、第1設定値を印加した状態から第2設定値を印加した状態間で圧電素子17,18,19の長さ寸法が変化するように各電圧値を設定すればよい。
【0108】
前記実施形態では、駆動装置本体11〜11Bと、被駆動体(弁体)とを磁石161や、連動用バネ150を利用して容易に着脱できるように連結していたが、ネジ等で連結しても良い。但し、前記実施形態のように容易に着脱できるようにしたほうが、洗浄などのメンテナンスを容易に行うことができる利点がある。
【0109】
また、駆動装置本体11〜11Bにおける変位拡大板12,12A,12B,12Cの具体的な構成は前記各実施形態に例示したものに限らない。
例えば、変位拡大板としては、図19〜21に示すような変位拡大板12Dを用いてもよい。
変位拡大板12Dは、圧電素子19を挟んで配置された一対の連結部242を備えている。各連結部242の一端(図19中上端)および他端には、第1の変位拡大機構および第2の変位拡大機構がそれぞれ設けられている。
第1の変位拡大機構は、連結部242の一端に連続して形成された一対の第1ヒンジ部223と、この第1ヒンジ部223に連続して形成された一対の第1駆動部224と、各第1駆動部224に連続して形成された一対の第2ヒンジ部225とを備えて構成されている。第2ヒンジ部225には、圧電素子第1端部取付部である上端側取付部226が連続して形成されている。上端側取付部226には、スペーサ128を介して圧電素子19の一端(第1の端部)が取り付けられている。
【0110】
第2の変位拡大機構は、連結部242の他端に連続して形成された一対の第3ヒンジ部233と、第3ヒンジ部233に連続して形成された一対の第2駆動部234と、第2駆動部234に連続して形成された一対の第4ヒンジ部235と、各第2駆動部234の先端に順次連続して形成された一対の第5ヒンジ部237、一対の第3駆動部238、一対の第6ヒンジ部239とを備えて構成されている。各第6ヒンジ部239は、被駆動体に連結される取付部240に接続されている。また、第4ヒンジ部235には、圧電素子第2端部取付部である下端側取付部236が連続して形成されている。下端側取付部236には、圧電素子19の他端(第2の端部)が取り付けられている。
【0111】
このような構成の変位拡大板12Dにおいて、電圧を印加されていない圧電素子19と、スペーサ128、上端側取付部226、下端側取付部236の合計軸方向寸法と、連結部242の軸方向寸法はほぼ同一とされ、各第1ヒンジ部223および第2ヒンジ部225と、第3ヒンジ部233および第4ヒンジ部235は互いに平行に設けられている。
また、第1ヒンジ部223および第2ヒンジ部225間の寸法は、第3ヒンジ部233および第4ヒンジ部235間の寸法に比べて長く設定されている。このため、第1の変位拡大機構よりも第2の変位拡大機構のほうが剛性が高くされ、圧電素子19を伸長した際には、先に第1の変位拡大機構が変位するようにされている。
さらに、各第1駆動部224、第2駆動部234は、それぞれ各ヒンジ部223,225,233,235が接合された基部から斜め外側に向かって延長されている。
【0112】
このような変位拡大板12Dでは、圧電素子19に電圧を印加して伸長させると、図20,21に示すように、第1ヒンジ部223および第3ヒンジ部233が支点、第2ヒンジ部225、第4ヒンジ部235が力点となるため、第1駆動部224、第2駆動部234の先端がそれぞれ外側に傾くように変位する。この際、第1の変位拡大機構におけるヒンジ部223,225間の寸法に比べて、第2の変位拡大機構におけるヒンジ部233,235間の寸法が短いため、ヒンジ部の剛性は第2の変位拡大機構のほうが、第1の変位拡大機構よりも大きくなる。このため、圧電素子19が伸長すると、図20に示すように、まず第1の変位拡大機構の第1駆動部224が傾く。従って、前記各実施形態と同様に、第1駆動部224の先端(当接部)をケース側に圧接させることで変位拡大板12Dを軸方向に移動しないように固定することができる。
そして、第1駆動部224がケース側に当接すると、第1の変位拡大機構はそれ以上変形できないため、図21に示すように、圧電素子19の伸長に伴い、第2の変位拡大機構の第2駆動部234が傾く。すると、第2駆動部234の先端間の距離が広がるため、各先端間に設けられた第5ヒンジ部237、第3駆動部238、第6ヒンジ部239、取付部240は上方に変位する。
従って、変位拡大板12Dを用いた場合でも、前記各実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0113】
なお、第5ヒンジ部237、第3駆動部238、第6ヒンジ部239は、ほぼ直線状のまま変位させることができるので、第3駆動部238部分の厚さ寸法をヒンジ部237,239に比べて厚くしなくてもよい。この場合、実体的には、ヒンジ部237,239および第3駆動部238の区別はなくなり、これらの全体でヒンジ部を構成するものとなる。
【0114】
さらに、変位拡大板の構成は、以上に説明したものに限定されるものではない。
要するに、圧電素子の伸長に伴いその変位を拡大する第1の変位拡大機構と、その第1の変位拡大機構によってケースに対して当接されて変位拡大板を移動不能に固定する当接部と、圧電素子の伸長に伴いその変位を拡大する第2の変位拡大機構とを備えていればよい。例えば、2つの圧電素子17,18を用いる場合、圧電素子17や当接部が設けられた上部側と、圧電素子18や被駆動体取付部が設けられた下部側とを別々の板材で形成し、各板材を接合して用いてもよい。
【0115】
また、第3〜5実施形態では、バネ座14を変位拡大板に当接させていたが、第1、2実施形態のように磁石ホルダ16にバネ座14を直接当接させてもよい。逆に、第1,2実施形態において、バネ座14を変位拡大板に当接させてもよい。但し、バネ座14を変位拡大板に当接させると、ヒンジ部137,139等にばねの付勢力が加わるため、磁石ホルダ16等の被駆動体側にバネ座14を当接させることが好ましい。
【0116】
前記実施形態では、各圧電素子17,18,19は印加電圧値で制御していたが、例えば、変位拡大板12,12A,12Bの変位部分に歪みゲージを設けたり、バルブの弁体の位置を検出するセンサなどを設けて、駆動状態を検出し、その検出値に基づいてフィードバック制御を行うように設定してもよい。
【0117】
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記各実施形態のようなバルブの駆動用に限定されるものではなく、図22,23に示すようなブレーキ装置700の駆動源にも利用できる。
ブレーキ装置700は、いわゆるリーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキであり、圧電駆動装置710と、支持板720と、一対のブレーキシュー730と、スプリングコイル(バネ)740と、回転体であるドラム750とを備えている。
【0118】
各ブレーキシュー730の一端側は、固定ピン731によって支持板720に対して回動自在に支持されている。
また、各ブレーキシュー730の他端側には、前記スプリングコイル740が架け渡され、各ブレーキシュー730の他端同士を互いに近接する方向に、つまり各他端間の間隔が小さくなる方向に付勢している。
さらに、各ブレーキシュー730の対向面にはガイド部732が突出して形成され、ブレーキシュー730のドラム750に対向する外周面には、摩擦材(ライニング)733が設けられている。
【0119】
前記ガイド部732間には前記圧電駆動装置710が配置されている。
圧電駆動装置710は、前記第2実施形態の圧電駆動装置と略同じ構造である。
その蓋4には、一方のブレーキシュー730のガイド部732が挿入される凹部が形成されている。また、変位拡大板12Aのホルダ取付部140にはホルダ711が取り付けられ、このホルダ711には他方のブレーキシュー730のガイド部732が挿入される凹部が形成されている。
【0120】
このような構成のブレーキ装置700では、圧電素子19に電圧を印加しない状態では、内部のバネ15によってホルダ711がケース2から突出する方向に付勢される。このバネ15の付勢力は、スプリングコイル740の付勢力よりも大きいため、各ブレーキシュー730はドラム750側に押し付けられ、図22に示すように、摩擦材733がドラム750内面に押圧されて制動力が働き、ブレーキを掛けた状態とされる。
一方、圧電素子19に電圧を印加すると、変位拡大板12Cの作用でホルダ711がケース2内部に向かう方向に移動する。このため、各ブレーキシュー730はスプリングコイル740の付勢力で互いに近づく方向に変位し、図23に示すように、摩擦材733はドラム750内面から離れ、ブレーキ状態が解除される。
【0121】
このような構成のブレーキ装置700によれば、リーディングトレーディングシュー型ドラムブレーキとして利用でき、サーボ効果(自己倍力効果)などのドラムブレーキの特徴を生かしたブレーキ装置を提供できる。
さらに、バネ15の付勢力で、各ブレーキシュー730をドラム750内周面に押し付けているため、摩擦材733が摩耗等して厚さ寸法が変化しても、その変化分を自動的に調整できて摩擦材733を確実にドラム750に押圧させて所定の制動力を得ることができる。
さらに、圧電素子19は、伸縮方向に変位する間だけ電力を消費し、電圧を印加し続けて圧電素子19が伸長された状態を維持している間も電流が流れず、電力を消費しない。このため、圧電素子19に電圧を印加し続けてブレーキを解除している場合でも電力消費がなく、ソレノイドでブレーキシュー730を変位させる場合に比べて消費電力を大幅に低減できる。
さらに、ブレーキ装置700は、無励磁型であり、かつ小型で消費電力も抑えることができるため、例えば、ブレーキモータにおけるブレーキ装置などに好適である。さらに、ブレーキモータ以外でも、車、リフト、コンベアなどの各種回転体のブレーキ装置として広く利用できる。
【0122】
なお、ブレーキ装置としては、ドラムブレーキに限らず、ディスクブレーキでもよく、要するに、本発明の圧電駆動装置でドラムやディスクなどの回転体に摩擦部材を押圧させて制動力を得られるものであればよい。
さらに、本発明の圧電駆動装置は、前記バルブやブレーキ装置の駆動源だけでなく、様々な機械の駆動源として利用できる。特に、圧電素子を用いており、かつ、変位拡大機構によってある程度の変位量を確保できるため、小型の機器の駆動源に適している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図2】前記第1実施形態のバルブの上面図である。
【図3】前記第1実施形態のバルブの下面図である。
【図4】前記第1実施形態のバルブの平断面図である。
【図5】前記第1実施形態における駆動装置本体の上部側を示す図である。
【図6】前記第1実施形態における駆動装置本体の下部側を示す図である。
【図7】前記第1実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図8】前記第1実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図10】前記第2実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図11】前記第2実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態のバルブを示す縦断面図である。
【図13】前記第3実施形態におけるバルブクローズ時の状態を示す図である。
【図14】前記第3実施形態におけるバルブオープン時の駆動状態を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第6実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図18】本発明の変形例を示す縦断面図である。
【図19】本発明の他の変形例の変位拡大板を示す図である。
【図20】図19の変位拡大板の変位状態を示す図である。
【図21】図19の変位拡大板の変位状態を示す図である。
【図22】本発明の他の変形例であるブレーキ装置を示す図である。
【図23】本発明の他の変形例であるブレーキ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
1,1A…ダイアフラムバルブ、1B…ポペット弁、1C…ピンチバルブ、1D…ディスペンシングバルブ、1E…ディスペンシングバルブ、2,2B…駆動部ケース、4…蓋、10…圧電駆動装置、11,11A,11B,11C…駆動装置本体、12,12A,12B,12C,12D…変位拡大板、13,14…バネ座、15…バネ、16…磁石ホルダ、17,18,19…圧電素子、20…ダイアフラム、37…バルブ面、121…基端部、122…第1連結部、122A…上端部、123,223…第1ヒンジ部、124,224…第1駆動部、125,225…第2ヒンジ部、126…上端側取付部、127…基端上部側取付部、129…基端下部側取付部、132…第2連結部、133,233…第3ヒンジ部、134,234…第2駆動部、135,235…第4ヒンジ部、136,236…下端側取付部、137,237…第5ヒンジ部、138,238…第3駆動部、139,239…第6ヒンジ部、140…ホルダ取付部、142…連結部、161…磁石、202…バルブ開閉部、203…ダイアフラム金具、242…連結部、300…弁座、310…弁体、340…ダイアフラム、400…チューブ、500…流路ブロック、502,605…ニードルバルブ、700…ブレーキ装置、710…圧電駆動装置、730…ブレーキシュー、733…摩擦材(ライニング)、740…スプリングコイル(バネ)、750…ドラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
第1および第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、
前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、
前記第2の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、
前記第1の圧電素子に電圧を印加した際には、第1の変位拡大機構を介して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、
前記第2の圧電素子に電圧を印加した際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、
前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、
前記第2の変位拡大機構は、第1の変位拡大機能に比べて剛性が高く設定され、
前記圧電素子が伸長された際には、第1の変位拡大機構が変位して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、
さらに圧電素子が伸長され続けた際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた第1圧電素子および第2圧電素子とを備えて構成され、
前記変位拡大板は、長手方向の略中央部分に設けられた基端部と、この基端部から連続して形成されて前記第1圧電素子の第1の端部が取り付けられた第1圧電素子第1端部取付部と、前記基端部から第1圧電素子第1端部取付部と反対側に連続して形成されて前記第2圧電素子の第1の端部が取り付けられた第2圧電素子第1端部取付部と、基端部から前記第1圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第1圧電素子を挟んで設けられた一対の第1連結部と、各第1連結部の端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第1圧電素子の第2の端部が取り付けられた第1圧電素子第2端部取付部と、前記基端部から第2圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第2圧電素子を挟んで設けられた一対の第2連結部と、各第2連結部の端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第2圧電素子の第2の端部が取り付けられた第2圧電素子第2端部取付部と、前記各第2連結部の端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、
前記第1の圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、第1連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、
前記第2の圧電素子が伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備えて構成され、
前記変位拡大板は、前記圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ圧電素子を挟んで設けられた一対の連結部と、各連結部の一端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記連結部の他端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と、前記各連結部の他端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、
前記圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、前記連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、
前記圧電素子がさらに伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の第2変位拡大機構に取り付けられた弁体と、
前記弁体が当接可能な弁座と、
前記弁体および弁座によって開閉される流路と、
前記弁体を弁座に当接させる方向に弁体または前記駆動装置本体を付勢する付勢手段と、
前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記弁体が前記弁座に当接されて前記流路が閉じられ、
前記駆動制御手段は、前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止させた後、前記第2の変位拡大機構を変位させて前記付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を弁座から離して前記流路を開くことを特徴とするバルブ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブにおいて、
前記第2の変位拡大機構と前記弁体とは、前記付勢手段の付勢力より弱い付勢力に設定された連動用付勢手段または磁石によって着脱可能に設けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
回転体と、
回転体に対して前記圧電駆動装置によって押圧可能に設けられた摩擦部材と、
前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動装置本体は、ケースに対して付勢手段によって前記第2の変位拡大機構がケースの外部側に突出する方向に付勢され、
前記摩擦部材は前記第2の変位拡大機構に取り付けられ、
前記圧電素子に電圧が印加されておらず圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで摩擦部材が回転体に押圧されて制動力を発生させ、
前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧が印加されて前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構がケースの内側に向かう方向に変位されると、前記摩擦部材が回転体から離れてブレーキが解除されることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のブレーキ装置において、
前記回転体は、ドラムで構成され、
前記摩擦部材は、前記ドラムの内側に配置されて一端側が支持板に回動自在に取り付けられ、かつ摩擦材が設けられた一対のブレーキシューで構成され、
各ブレーキシュー間には、各ブレーキシューの摩擦材がドラム内面から離れる方向に各ブレーキシューを移動させるバネが設けられ、
前記圧電駆動装置は、各ブレーキシューの他端間に配置され、一方のブレーキシューに前記第2の変位拡大機構が取り付けられ、他方のブレーキシューに前記ケースが取り付けられ、
前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで、各ブレーキシューの他端間の間隔が広がってブレーキシューの摩擦材がドラム内面に押圧されて制動力を発生させ、
前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構をケースの内側に向かう方向に変位されると、前記各ブレーキシューの摩擦材が前記バネによってドラム内面から離され、ブレーキが解除されることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
第1および第2の圧電素子と、
前記第1の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、
前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、
前記第2の圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、
前記第1の圧電素子に電圧を印加した際には、第1の変位拡大機構を介して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、
前記第2の圧電素子に電圧を印加した際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
ケースと、前記ケース内に移動可能に設けられた駆動装置本体とを備え、
前記駆動装置本体は、
圧電素子と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大し、かつ圧電素子の伸長方向に直交する方向に変位させる第1の変位拡大機構と、
前記第1の変位拡大機構によって圧電素子の伸長方向に直交する方向に移動して前記ケース内面に当接する当接部と、
前記圧電素子に電圧を印加して圧電素子が伸長した際に、その変位を拡大して被駆動体を移動させる第2の変位拡大機構とを備え、
前記第2の変位拡大機構は、第1の変位拡大機能に比べて剛性が高く設定され、
前記圧電素子が伸長された際には、第1の変位拡大機構が変位して前記当接部がケース内面に当接して前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止され、
さらに圧電素子が伸長され続けた際には、第2の変位拡大機構が変位して被駆動体が移動されることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた第1圧電素子および第2圧電素子とを備えて構成され、
前記変位拡大板は、長手方向の略中央部分に設けられた基端部と、この基端部から連続して形成されて前記第1圧電素子の第1の端部が取り付けられた第1圧電素子第1端部取付部と、前記基端部から第1圧電素子第1端部取付部と反対側に連続して形成されて前記第2圧電素子の第1の端部が取り付けられた第2圧電素子第1端部取付部と、基端部から前記第1圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第1圧電素子を挟んで設けられた一対の第1連結部と、各第1連結部の端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第1圧電素子の第2の端部が取り付けられた第1圧電素子第2端部取付部と、前記基端部から第2圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ第2圧電素子を挟んで設けられた一対の第2連結部と、各第2連結部の端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記第2圧電素子の第2の端部が取り付けられた第2圧電素子第2端部取付部と、前記各第2連結部の端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、
前記第1の圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、第1連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、
前記第2の圧電素子が伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動装置本体は、一体成形された変位拡大板と、変位拡大板に取り付けられた圧電素子とを備えて構成され、
前記変位拡大板は、前記圧電素子の長手方向に沿って延長されかつ圧電素子を挟んで設けられた一対の連結部と、各連結部の一端部からそれぞれ第1ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第1駆動部と、各第1駆動部から第2ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第1の端部が取り付けられた圧電素子第1端部取付部と、前記連結部の他端部からそれぞれ第3ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第2駆動部と、各第2駆動部から第4ヒンジ部を介して連続して形成されて前記圧電素子の第2の端部が取り付けられた圧電素子第2端部取付部と、前記各連結部の他端部から第5ヒンジ部を介して連続して形成された一対の第3駆動部と、各第3駆動部から第6ヒンジ部を介して連続して形成された被駆動体取付部とを備えて形成され、
前記圧電素子が伸長した際には、前記第1ヒンジ部、第1駆動部、第2ヒンジ部が第1の変位拡大機構として機能し、前記連結部または第1駆動部に設けられた当接部を前記ケース内面に当接させ、
前記圧電素子がさらに伸長した際には、前記第3ヒンジ部、第2駆動部、第4ヒンジ部、第5ヒンジ部、第3駆動部、第6ヒンジ部が第2の変位拡大機構として機能し、被駆動体取付部を圧電素子の長手方向に移動させることを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置の第2変位拡大機構に取り付けられた弁体と、
前記弁体が当接可能な弁座と、
前記弁体および弁座によって開閉される流路と、
前記弁体を弁座に当接させる方向に弁体または前記駆動装置本体を付勢する付勢手段と、
前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記弁体が前記弁座に当接されて前記流路が閉じられ、
前記駆動制御手段は、前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止させた後、前記第2の変位拡大機構を変位させて前記付勢手段の付勢力に抗して前記弁体を弁座から離して前記流路を開くことを特徴とするバルブ。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブにおいて、
前記第2の変位拡大機構と前記弁体とは、前記付勢手段の付勢力より弱い付勢力に設定された連動用付勢手段または磁石によって着脱可能に設けられていることを特徴とするバルブ。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
回転体と、
回転体に対して前記圧電駆動装置によって押圧可能に設けられた摩擦部材と、
前記圧電素子の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動装置本体は、ケースに対して付勢手段によって前記第2の変位拡大機構がケースの外部側に突出する方向に付勢され、
前記摩擦部材は前記第2の変位拡大機構に取り付けられ、
前記圧電素子に電圧が印加されておらず圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで摩擦部材が回転体に押圧されて制動力を発生させ、
前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧が印加されて前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体がケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構がケースの内側に向かう方向に変位されると、前記摩擦部材が回転体から離れてブレーキが解除されることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のブレーキ装置において、
前記回転体は、ドラムで構成され、
前記摩擦部材は、前記ドラムの内側に配置されて一端側が支持板に回動自在に取り付けられ、かつ摩擦材が設けられた一対のブレーキシューで構成され、
各ブレーキシュー間には、各ブレーキシューの摩擦材がドラム内面から離れる方向に各ブレーキシューを移動させるバネが設けられ、
前記圧電駆動装置は、各ブレーキシューの他端間に配置され、一方のブレーキシューに前記第2の変位拡大機構が取り付けられ、他方のブレーキシューに前記ケースが取り付けられ、
前記圧電素子が伸長していない状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記ケースに対して第2の変位拡大機構が外部に突出する方向に変位されることで、各ブレーキシューの他端間の間隔が広がってブレーキシューの摩擦材がドラム内面に押圧されて制動力を発生させ、
前記駆動制御手段によって前記圧電素子に電圧を印加して前記第1の変位拡大機構を変位させて前記駆動装置本体をケースに対して移動不能に停止された後、前記第2の変位拡大機構をケースの内側に向かう方向に変位されると、前記各ブレーキシューの摩擦材が前記バネによってドラム内面から離され、ブレーキが解除されることを特徴とするブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−8356(P2008−8356A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178008(P2006−178008)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000111373)ノイベルク有限会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000111373)ノイベルク有限会社 (10)
【Fターム(参考)】
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