説明

多数個取り基板

【課題】欠けやクラックの発生を抑制できるとともに、多数個取り基板や配線基板にショートの原因となる物質が付着することを抑制できる多数個取り基板を提供すること。
【解決手段】セラミックを主体とし、平面視が矩形を呈する多数個取り基板1であって、複数の配線基板13が平面方向において縦横に配置された配線基板領域9と、配線基板領域9の平面方向における全周を囲む様に配置された枠部11と、枠部11の平面方向における外周に沿って形成された外周メタライズ層43とを備えている。この外周メタライズ層43は、枠部11の外周の複数の角部41、45を覆うように形成されるとともに、角部41、45と角部41、45との間には、外周メタライズ層43が形成されない不形成領域46が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばSAWフィルター用パッケージやデュプレクサー用パッケージなどに用いられる配線基板を製造する際に使用される多数個取り基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、配線基板を製造する場合には、1枚の大版の基板上に複数の配線基板を形成したいわゆる多数個取り基板が用いられる。この種の多数個取り基板は、ビア導体や配線層などを有する複数の配線基板が縦横に配置された中央の配線基板領域と、その配線基板領域の周囲を囲む様に形成されたセラミック層からなる枠部とから構成されている。
【0003】
また、近年では、部品全体の小型化のために、多数個取り基板の薄型化が顕著であり、そのため多数個取り基板が反るという問題が生じている。この対策として、枠部の外周に沿って、配線基板領域の全周を囲む様に、複数のライン状のメタライズ層を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この従来技術によって多数個取り基板を製造する際には、大版のグリーンシートに、複数の多数個取り基板に対応した領域(多数個取り基板用領域)を形成し、次に、各多数個取り基板用領域の外周の縁部に沿ってメタライズ層を形成し、次に、メタライズ層に沿って各多数個取り基板用領域を切断して各多数個取り基板用領域のグリーンシートを分離し、その後、各多数個取り基板用領域のグリーンシートを焼成して多数個取り基板を製造していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−278808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、多数個取り基板の反りについては解決が図られているが、多数個取り基板を薄型化するに伴って、多数個取り基板を搬送する際などに、その角部等に欠けやクラックが発生するという問題については、何等検討されていない。
【0007】
また、上述した従来技術では、メタライズ層の形成箇所にて各多数個取り基板領域を切断するので、その切断の際に、メタライズ層の切断くずが多数個取り基板領域に付着することがある。そのため、多数個取り基板領域のグリーンシートを焼成後した場合に、多数個取り基板にメタライズ層の切断くずが残っていると、多数個取り基板や各配線基板にショート等の問題が生じる恐れがあった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、欠けやクラックの発生を抑制できるとともに、多数個取り基板や配線基板にショートの原因となる物質が付着することを抑制できる多数個取り基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、第1態様として、セラミックを主体とし、平面視が矩形を呈する多数個取り基板であって、複数の配線基板が平面方向において縦横に配置された配線基板領域と、前記配線基板領域の平面方向における全周を囲む様に配置された枠部と、前記枠部の平面方向における外周に沿って形成されたメタライズ層と、を備え、前記メタライズ層は、前記枠部の外周の複数の角部を覆うように形成されるとともに、前記角部と角部との間には、前記メタライズ層が形成されない不形成領域を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明では、枠部の外周に沿って形成されたメタライズ層は、枠部の外周の複数の角部を覆うように形成されるとともに、角部と角部との間には、メタライズ層が形成されない不形成領域を備えている。
【0011】
従って、多数個取り基板を例えば0.15〜0.3mmの様に薄型化した場合でも、角部はメタライズ層で覆われているので、多数個取り基板を搬送する際などに、角部に欠けやクラックが発生し難いという効果がある。
【0012】
しかも、本発明では、メタライズ層の形成範囲が少ないので、グリーンシートから多数個取り基板領域を切断する際に、メタライズ層の切断くずが多数個取り基板領域に付着し難く、そのため、多数個取り基板領域のグリーンシートを焼成後した場合に、多数個取り基板や配線基板にショートが発生し難いという効果がある。
【0013】
(2)本発明は、第2態様として、前記角部は、矩形の多数個取り基板の四隅であることを特徴とする。
ここでは、角部を例示している。矩形の基板の四隅の角部は破損し易いが、角部にメタライズ層を形成することにより、角部における欠けやクラックの発生を防止できる。
【0014】
(3)本発明は、第3態様として、前記多数個取り基板の所定の辺に凹部を備える場合には、前記角部は凹部の開口端であることを特徴とする。
ここでは、角部を例示している。矩形の基板の辺に凹部がある場合には、凹部の(角となる)開口端は破損し易いが、この開口端にメタライズ層を形成することにより、開口端における欠けやクラックの発生を防止できる。この凹部はメッキを行う場合の接点端子となりうるが、接点端子を取り付ける際に発生する凹部の破損防止の効果もある。
【0015】
(4)本発明では、第4態様として、前記多数個取り基板の所定の辺に凹部を備える場合には、当該凹部を備えた辺のメタライズ層の幅が凹部を備えない辺のメタライズ層の幅よりも大であることを特徴とする。
【0016】
凹部が形成してある辺は、メッキ時のラック掛け、はずし作業時のハンドリングミスによる欠けやクラックが発生し易いが、第4態様では、凹部が形成してある辺におけるメタライズ層の幅を(そうでない辺に比べて)広く設定しているので、凹部が形成してある辺における欠けやクラックの発生を好適に防止できる。
なお、上述した発明では、多数個取り基板の各辺においてメタライズ層が形成される長さは、各辺の40〜80%の範囲が好ましい。この範囲であれば、角部における欠けやクラックの防止と、製造段階におけるメタライズ層の切断くずの付着の防止とを、好適に両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の多数個取り基板の平面図である。
【図2】(a)は図1におけるA−A断面図、(b)は多数個取り基板の側面図である。
【図3】(a)は多数個取り基板の四隅の角部の一部を拡大して示す説明図、(b)は多数個取り基板の凹部を拡大して示す説明図である。
【図4】多数個取り基板の製造方法を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の多数個取り基板の平面図である。
【図6】第3実施形態の多数個取り基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
a)まず、本実施形態の多数個取り基板の構成を説明する。
【0019】
図1に示す様に、本実施形態の多数個取り基板1は、平面視が長方形(矩形)であり、例えばアルミナからなる上下2層のセラミック層3、5(図2参照)を積層した薄膜(例えば厚み0.15〜0.3mm)の多層基板である。なお、この多数個取り基板1の寸法としては、例えば縦80mm×横60mm×厚み1mmを採用できる。
【0020】
この多数個取り基板1は、複数の配線基板7が平面方向において格子状に配置された配線基板領域(図1の中央の灰色部分)9と、配線基板領域9の全周を囲む様に形成された四角形状の枠部11とからなる。
【0021】
このうち、配線基板領域9には、例えば縦2.5mm×横2.0mm×厚み1mmの配線基板13が、所定の個数だけ縦横方向に配置されている。
図2に示す様に、前記配線基板13においては、これを構成している上層側のセラミック層3には、縦横に合計12個のビア導体15が格子状に貫通して形成され、それらの上端面には表面側パッド17が形成されている。一方、配線基板13における下層側のセラミック層5には、縦横に2個ずつ合計4個のビア導体19が貫通して形成され、それらの下端面には裏面側パッド21が形成されている。なお、両セラミック層3、5の間には、ビア導体15同士や上下のビア導体15、19を電気的に接続する内部配線層23が形成されている。
【0022】
なお、前記ビア導体15、19、内部配線層23、表面側パッド17、裏面側パッド21は、例えばW又はMoからなり、表面側パッド17及び裏面側パッド21の(露出する側の)外側表面には、Niメッキ膜及びAuメッキ膜(何れも図示せず)が被覆されている。
【0023】
一方、図1に示す様に、前記枠部11は、図1の上下方向の短辺側の短辺側枠部25、27と、図1の左右方向の長辺側の長辺側枠部29、31とから構成されている。
このうち、長辺側枠部29、31には、その外側(同図左右方向)に、メッキ用の電極として使用される平面形状が半円状(例えば半径1mm)の凹部41が、長辺毎に2箇所づつ設けられている。
【0024】
特に、本実施形態では、枠部11の上下両面(図2の上下方向)において、枠部11の外周に沿って、例えばW又はMoからなる外周メタライズ層43が、一部隙間を空けて断続的に形成されている。
【0025】
この外周メタライズ層43は、帯状の層(例えば厚み10〜20μm×幅1mm)であり、多数個取り基板1の四隅の角部(隅の角部)45と、長辺側の4箇所の凹部41の近傍(特に内側に湾曲する部分と湾曲する端の部分(端の角部42))を覆う様に形成されている。
【0026】
詳しくは、外周メタライズ層43は、短辺側においては、短辺の長さの30%を覆う様に形成され、長辺側においては、長辺の長さの10%を覆う様に形成されている。なお、長辺の長さは凹部41が凹んでいないと仮定した長さとしている。
【0027】
つまり、図3(a)に拡大して示す様に、外周メタライズ層43は、多数個取り基板1の隅の角部45においては、その角部45の90°に曲がる端部(曲がり点X)から短辺に沿って約20mm伸びており、且つ、曲がり点Xから長辺に沿って約8mm伸びている。
【0028】
同様に、図3(b)に拡大して示す様に、外周メタライズ層43は、多数個取り基板1の凹部41においては、その凹部41の端の角部42の湾曲開始点(曲がり点Y)から長辺に沿って両隅の角部45側に約8mm伸びている。なお、凹部41の内側(配線基板領域9側)の上下面においては、その湾曲に沿って他の箇所と同様な幅で、半円状に外周メタライズ層43が形成されている。
【0029】
なお、多数個取り基板1の各辺において、外周メタライズ層43が形成されていない箇所が、(外周メタライズ層43の)不形成領域46である。
b)次に、本実施形態の多数個取り基板1の製造方法について説明する。
【0030】
・予め、アルミナ粉末の粒子、樹脂バインダ、可塑剤、および溶剤などからなる原料を混合して、セラミックスラリーを製作した。
・このセラミックスラリーを用い、ドクターブレード法によって、平面視が長方形(矩形)である2層のグリーンシートを形成した。尚、この2層のグリーンシートは、多数個取り基板1を複数個(例えば3個)とるための大版タイプであり、予め各多数個取り基板1の領域や各配線基板13の領域が設定されている。
【0031】
・次に、上層用と下層用との各グリーンシートにおける複数の配線基板13の形成箇所に、所要数のビアホールを、打ち抜き加工により貫通させて形成した。
・次に、各ビアホール内に、スキージに押されたW又はMo粉末を含む導電性ペーストを、反対側の吸引による負圧を利用して充填して、未焼成ビア導体を個別に形成した。
【0032】
・次に、下層用のグリーンシートの表面に対し、前記と同様の導電性ペーストを、スクリーン印刷して未焼成内部配線層を形成した。
・次に、未焼成ビア導体が形成された上層用のグリーンシートと、未焼成ビア導体及び未焼成内部配線層が形成された下層用のグリーンシートとを、積層し且つ圧着して、図4に示す様な大版のグリーンシート積層体47を形成した。
【0033】
・次に、前記と同様の導電性ペーストを用いたスクリーン印刷によって、グリーンシート積層体47の上下面に、未焼成表面側パッド及び未焼成裏面側パッドを形成するとともに、切断ラインSに沿って部分的に未焼成外周メタライズ層51を形成した。
【0034】
つまり、この未焼成外側メタライズ層51を形成する際には、図4に示す様に、グリーンシート積層体47から(各多数個取り基板1に対応する)各未焼成多数個取り基板49を切り分ける際の切断ラインSに沿って、切断ラインSを跨ぐ様に所定幅(例えば外周メタライズ層43の幅の2倍の幅)で未焼成外周メタライズ層51を形成する。例えば切断ラインSの外側にも、外周メタライズ層43と同様な幅で未焼成外周メタライズ層51を形成する。なお、凹部41の部分は、凹部41の湾曲に沿って未焼成外周メタライズ層51を形成する。
【0035】
・次に、カッターを用いて、切断ラインSに沿って、グリーンシート積層体47から各未焼成多数個取り基板49を切り分ける。その際に、未焼成外周メタライズ層51も同時に切断する。
【0036】
なお、前記凹部41の部分は、各未焼成多数個取り基板49を切り分ける前に、予めパンチング等により、半円形(又は円形)に切断ラインを入れておいてもよいが、未焼成多数個取り基板を切り分けた後に、パンチング等により切り分けてもよい。
【0037】
なお、本実施形態においては、凹部41の側面にメタライズを塗布する必要はないが、別途塗布してもよい。塗布する場合は、未焼成外側メタライズ層51を形成する工程と同じ工程中に形成してもよい。
【0038】
・次に、未焼成ビア導体、未焼成表面側パッド、未焼成裏面側パッド、未焼成内部配線層、未焼成外周メタライズ層51が形成された未焼成多数個取り基板49を、所定の温度帯に加熱して焼成し、焼成済み基板を作製した。
【0039】
・その後、焼成済み基板の凹部41の部分(即ちメッキ用の電極となる部分)に、電極棒(メッキラック)を接触させて、Ni電解メッキおよびAu電解メッキを行って、表面側パッド17及び裏面側パッド21の表面に、Niメッキ膜およびAuメッキ膜を被覆した。
【0040】
これにより、多数個取り基板1を完成した。
なお、その後、カッターにより、多数個取り基板1を配線基板13の外周に沿って切り離すことにより、各配線基板13を作製した。なお、焼成前に切断ラインが予め形成してある場合は、分割によって各配線基板13を個片化してもよい。
【0041】
c)次に、本実施形態の効果を確認するために行った実験例について説明する。
上述した製造方法により、各多数個取り基板において、外周メタライズ層の各辺に沿った長さの割合(%)を変えた試料を作製した。
【0042】
具体的には、各辺において、外周メタライズ層の長さ(辺に沿った長さ)の割合を、0%(メタライズ無し)とした試料Aと、100%(全周メタライズ)とした試料Bと、一部メタライズ層有り(短辺側30%、長辺側10%)とした試料Cとを、それぞれ10個ずつ作製した(他の寸法は前記実施形態と同様)。
【0043】
そして、これらの試料を用いて、上述した製造方法の様に、カッターを用いて、切断ラインSに沿って、グリーンシート積層体から各未焼成多数個取り基板を切り分けた(メタライズ層も同時に切断した)ところ、下記表1に示す様に、外周メタライズ層が一部形成されている試料Cの場合には、全周メタライズの試料Bと比べて、多数個取り基板にメタライズの切断くずが付着する割合が少なかった。
【0044】
【表1】

また、同様な各試料について、焼成後にNi/Auメッキをした後に、クラックや欠けの有無を、目視で確認した。
【0045】
その結果を、下記表2に示すが、外周メタライズ層が一部形成されている試料Cの場合には、メタライズ層無しの試料Aと比べて、隅の角部や凹部の端の角部における欠けやクラックの発生が少なかった。
【0046】
【表2】

これらの実験により、多数個取り基板の各辺において、一部に外周メタライズ層が形成されているものは、欠けやクラックの発生を好適に抑制できるとともに、切断くずの発生に伴うショートの発生も抑制できることが分かる。
【0047】
d)この様に、本実施形態の多数個取り基板1では、枠部11の外周に沿って形成された外周メタライズ層43は、枠部11の外周の四隅の角部(隅の角部)45や凹部41の開口端の角部(端の角部42)を覆うように形成されるとともに、各角部45、42の間には、外周メタライズ層43が形成されない不形成領域46が設けられている。
【0048】
従って、多数個取り基板1を例えば0.15〜0.3mmの様に薄型化した場合でも、各角部45、42は外周メタライズ層43で覆われているので、多数個取り基板1を搬送する際などに、各角部45、42に欠けやクラックが発生し難いという効果がある。特に、矩形の多数個取り基板1の隅の角部5や凹部41の端の角部42は、破損し易いが、その部分に外周メタライズ層43を形成することにより、効果的に欠けやクラックの発生を防止できる。
【0049】
しかも、本実施形態では、外周メタライズ層43の形成範囲が少ないので、グリーンシート積層体47から未焼成多数個取り基板49を切断する際に、未焼成外周メタライズ層51の切断くずが未焼成多数個取り基板49に付着し難く、そのため、未焼成多数個取り基板49を焼成後した場合に、多数個取り基板1や配線基板13にショートが発生し難いという効果がある。
【0050】
つまり、本実施形態では、多数個取り基板1の各辺において、一部に外周メタライズ層43が形成されているので、上述した実験例から明らかな様に、各角部45、42における欠けやクラックの防止と、製造段階における未焼成外周メタライズ層51の切断くずの付着の防止とを、好適に両立することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0051】
図5に示す様に、本実施形態の多数個取り基板51は、前記第1実施形態と同様に、略長方形のセラミック基板であり、その中央部分に多数の配線基板53が配置された長方形の配線基板領域55を備えるとともに、その配線基板領域55の外周の全てを囲む様に四角形状の枠部57を備えている。
【0052】
また、枠部57の表面及び裏面において、枠部57の外周の隅の角部59や凹部61には、枠部57の外周に沿って、前記第1実施形態と同様な外周メタライズ層63を備えている。なお、外周メタライズ層63の形成範囲は、各辺の長さの20〜80%の範囲である。
【0053】
特に、本実施形態では、枠部57(従って多数個取り基板51)の外周の四隅の1箇所の角部59は斜めに切りかかれており、この切り欠き部65の縁部にも、同様な外周メタライズ層63が形成されている。
【0054】
なお、外周メタライズ層63の形成範囲の%(割合)の計算の際には、斜めに切りかかれていないとして計算した(即ち、縦横の辺を延長した交点を角部とし、この角部からの外周メタライズ層63の端部までの距離を用いて算出した)。
【0055】
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、多数個取り基板51の1箇所の角部59に切り欠き部65が形成されているので、多数個取り基板51の向きが容易に分かるという利点がある。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第2実施形態と同様な内容の説明は省略する。
【0056】
図6に示す様に、本実施形態の多数個取り基板71は、前記第1実施形態と同様に、略長方形のセラミック基板であり、その中央部分に多数の配線基板73が配置された長方形の配線基板領域75を備えるとともに、その配線基板領域75の外周の全てを囲む様に四角形状の枠部77を備えている。
【0057】
また、枠部77の表面及び裏面において、枠部77の外周の隅の角部79や凹部81には、枠部77の外周に沿って、前記第2実施形態と同様な外周メタライズ層83を備えている。なお、外周メタライズ層83の形成範囲は、各辺の長さの20〜80%の範囲である。
【0058】
更に、本実施形態においても、枠部77(従って多数個取り基板71)の外周の1箇所の角部79は斜めに切りかかれており、この切り欠き部85の縁部にも、同様な外側メタライズ層83が形成されている。
【0059】
特に、本実施形態においては、長辺側(図の左右方向)の外側メタライズ層83の幅は、短辺側(図の上下方向)の外周メタライズ層83の幅よりも大きく(例えば2倍の幅)設定されている。
【0060】
本実施形態においても、前記第2実施形態と同様な効果を奏するとともに、長辺側(即ち凹部81のある側)の外周メタライズ層83の幅は、短辺側よりも大きく設定されているので、メッキの際に凹部81にメッキ用の部材(メッキラック)が当たっても、長辺側が破損し難いという利点がある。
【0061】
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、多数個取り基板を形成するセラミックは、前記アルミナに限らず、窒化アルミニウムやムライトなど、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックとしても良い。
【0062】
(2)また、多数個取り基板は、単層のセラミック層からなる形態としたり、3層以上のセラミック層を積層した多層セラミック基板としても良い。
(3)配線基板のビア導体の露出側の端面に、表面側パッドや裏面側パッドを形成せずに、ビア導体の端面にメッキを施してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1、51、71…多数個取り基板
3、5…セラミック層
9、55、75…配線基板領域
11、57、77…枠部
13、53、73…配線基板
15、19…ビア導体
17…表面側パッド
21…裏面側パッド
23…内部配線層
41、61、81…凹部
42…端の角部
43、63、83…外周メタライズ層
45、59、79…隅の角部
46…不形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックを主体とし、平面視が矩形を呈する多数個取り基板であって、
複数の配線基板が平面方向において縦横に配置された配線基板領域と、
前記配線基板領域の平面方向における全周を囲む様に配置された枠部と、
前記枠部の平面方向における外周に沿って形成されたメタライズ層と、
を備え、
前記メタライズ層は、前記枠部の外周の複数の角部を覆うように形成されるとともに、前記角部と角部との間には、前記メタライズ層が形成されない不形成領域を備えたことを特徴とする多数個取り基板。
【請求項2】
前記角部は、矩形の多数個取り基板の四隅であることを特徴とする請求項1に記載の多数個取り基板。
【請求項3】
前記多数個取り基板の所定の辺に凹部を備える場合には、前記角部は凹部の開口端であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多数個取り基板。
【請求項4】
前記多数個取り基板の所定の辺に凹部を備える場合には、当該凹部を備えた辺のメタライズ層の幅が凹部を備えない辺のメタライズ層の幅よりも大であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多数個取り基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−204389(P2012−204389A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64802(P2011−64802)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】