説明

多数個取り配線基板およびその製造方法

【課題】 個片(電子部品収納用パッケージ毎)に分割する際に、枠体の壁面にクラックやバリが発生するのを抑制された多数個取り配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の配線基板領域を有するセラミック基体1と、セラミック基体1のそれぞれの配線基板領域11の境界線12に沿って、隣り合う配線基板領域11の周縁部にまたがって立設された絶縁ペーストの焼結体からなる枠体2とを具備し、枠体2の上面にそれぞれの配線基板領域11に分割するための分割溝21を有する多数個取り配線基板であって、枠体2は表層部22と少なくとも配線基板領域の境界線上の領域を含む内部23とが互いに異なる材料からなり、内部23の形成材料の強度が表層部22の形成材料の強度よりも低く、分割溝21が表層部22から内部23まで形成されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子などの電子部品を収納する電子部品収納用パッケージなどを作製するための多数個取り配線基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を実装して収納する電子部品収納用パッケージとして、上面に一対の接続パッドを有する絶縁基体と、絶縁基体の周縁部に立設された枠体と、枠体の上面に取り付けられた蓋体とを備えたものが知られている。
【0003】
上記の枠体の形成方法としては、セラミックグリーンシートを金型で打ち抜いて形成する方法の他、絶縁ペーストを印刷することによって形成する方法が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電子部品収納用パッケージの小型化のためには、枠体の幅をより狭く形成することのできる絶縁ペーストの印刷によって形成する方法が適している。そして、小型化により枠体の幅が狭くなる分、枠体の形成材料として曲げ強度の高い材料を用いるのが好ましいと考えられる。
【0006】
しかしながら、複数の配線基板領域を有する絶縁基体のそれぞれの配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う配線基板領域の周縁部にまたがって立設された絶縁ペーストの焼結体からなる枠体を具備し、枠体の上面にそれぞれの配線基板領域に分割するための分割溝を有する多数個取り配線基板において、枠体の形成材料が強度の高い材料のみからなる場合、境界線(分割溝)に沿ってブレイクして電子部品収納用パッケージ毎に分割する際に、枠体の壁面にクラックが発生して枠体の気密性が低下したり、枠体の壁面にバリが発生してバリの除去とともに枠体が破損してしまうというおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、個片(電子部品収納用パッケージ毎)に分割する際に、枠体の壁面にクラックやバリが発生するのを抑制された多数個取り配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の配線基板領域を有するセラミック基体と、該セラミック基体のそれぞれの前記配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う前記配線基板領域の周縁部にまたがって立設された絶縁ペーストの焼結体からなる枠体とを具備し、該枠体の上面にそれぞれの前記配線基板領域に分割するための分割溝を有する多数個取り配線基板であって、前記枠体は表層部と少なくとも前記配線基板領域の境界線上の領域を含む内部とが互いに異なる材料からなり、前記内部の形成材料の強度が前記表層部の形成材料の強度よりも低く、前記分割溝が前記表層部から前記内部まで形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、前記枠体の前記表層部と前記セラミック基体とが同じ材料で形成されていることを特徴とする多数個取り配線基板である。
【0010】
さらに、多数個取り配線基板を製造するための製造方法であって、複数の配線基板形成領域を有するセラミックグリーンシートを作製する工程と、該セラミックグリーンシートのそれぞれの前記配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う前記配線基板形成領域の周縁部にまたがるように第1の絶縁ペーストを塗布した後、前記第1の絶縁ペーストの表面を覆うように第2の絶縁ペーストを塗布し、枠体用成形体を作製する工程と、枠体用成形体の上面に分割溝を形成する工程と、焼成する工程とを有することを特徴とする多数個取り配線基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の多数個取り配線基板によれば、個片(電子部品収納用パッケージ毎)に分割する際に、ブレイクされる部分が表層部よりも強度の低い部分のみとなるので、枠体の壁面にクラックやバリが発生するのを抑制し、曲げ強度の高い枠体を有する小型の電子部品収納用パッケージを得ることができる。
【0012】
また、本発明の多数個取り配線基板の製造方法によれば、第2の絶縁ペーストにより形成される強度の高い表層部が第1の絶縁ペーストにより形成される強度の低い内部を保護することで、製造工程内の取り扱い上による枠体の欠損、クラック等を防止することができ、製造工程内での信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例の平面図である。
【図2】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例の概略断面図である。
【図3】本発明の多数個取り配線基板の製造方法の流れの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例の平面図であり、図2は本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例の概略断面図である。
【0016】
図1および図2に示す多数個取り配線基板は、複数の配線基板領域を有するセラミック基体1と、セラミック基体1のそれぞれの配線基板領域11の境界線12に沿って、隣り合う配線基板領域11の周縁部にまたがって立設された絶縁ペーストの焼結体からなる枠体2とを具備し、枠体2の上面にそれぞれの配線基板領域11に分割するための分割溝21を有する多数個取り配線基板であって、枠体2は表層部22と少なくとも配線基板領域の境界線上の領域を含む内部23とが互いに異なる材料で形成されていて、内部23の形成材料の強度が表層部22の形成材料の強度よりも低く、分割溝21が表層部22から内部23まで形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
セラミック基体1は、例えばアルミナ,サファイア,窒化珪素,ジルコニア,炭化珪素
,ムライトなどの材料で、縦140〜340mm、横140〜340mm、厚さ0.1〜2.0mmに形成されたものである。
【0018】
図1に示すように、セラミック基体1には複数の配線基板領域11が形成されていて、多数個取り配線基板を分割し個片化して多数の電子部品収納用パッケージを製造する際に、セラミック基体1はそれぞれの配線基板領域11の境界線12に沿って分割される。なお、配線基板領域11は、例えば縦60〜100mm、横60〜100mmに形成され、それぞれの配線基板領域11には枠体2で囲まれた電子部品収納空間13が形成されてい
る。
【0019】
セラミック基体1のそれぞれの配線基板領域11には、図2に示すように、上面に電子部品と電気的に接続される上面パッド14が形成され、下面に外部回路基板と電気的に接続される下面パッド15が形成され、内部に上面パッド14と下面パッド15とを電気的に接続する貫通導体16が形成されている。これらの上面パッド14,下面パッド15、貫通導体16は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,金,白金等で形成されている。なお、図示していないが、セラミック基体1は複数の絶縁層の積層体で形成され、所望の絶縁層と絶縁層との間に配線層が形成され、各絶縁層には平面視で異なる位置に貫通導体が形成されていてもよい。
【0020】
図2に示すように、隣り合う配線基板領域11の周縁部にまたがって枠体2が立設されている。また、枠体2の上面には、それぞれの配線基板領域11に分割するための分割溝21が形成されている。この枠体2は、絶縁ペーストの印刷により形成された成形体が焼結してなるものであり、隣り合う配線基板領域11の周縁部にまたがって形成されているのは、多数個取り配線基板を分割した際に、それぞれの配線基板領域の周縁部に枠体2が立設された個片(電子部品収納用パッケージの構成部品)とすることができる製造上のメリットのためである。
【0021】
そして、枠体2は表層部22と少なくとも配線基板領域の境界線上の領域を含む内部23とが互いに異なる材料で形成されていて、内部23の形成材料の強度が表層部22の形成材料の強度よりも低く、分割溝21が表層部22から内部23まで形成されていることが重要である。ここで、内部23の形成材料の強度および表層部22の形成材料の強度とは、それぞれの形成材料で厚み3mm×幅4mm×長さ40mmの試験片を用いて、JISR1601に基づいて3点曲げ試験を行ったときの曲げ強度(最大繊維応力)のことであり、両者の曲げ強度の差は100MPa以上、好ましくは200MPa以上であるのが、内部23の緩衝材としての効果がより発揮される点で好ましい。
【0022】
表層部22の形成材料としては、内部23の形成材料の強度よりも強度の高い材料、具体的には厚み3mm×幅4mm×長さ40mmの試験片について3点曲げ試験による曲げ強度を測定したときに、この曲げ強度が600〜1000MPaとなるような材料であるアルミナ、窒化珪素、ジルコニアなどが挙げられる。ここで、セラミック基体1と枠体2との接合力の点を考慮すると、表層部22の形成材料はセラミック基体1の形成材料と同じ材料であるのが好ましい。
【0023】
一方、内部23の形成材料としては、表層部22の形成材料の強度よりも強度の低い材料、具体的には厚み3mm×幅4mm×長さ40mmの試験片について3点曲げ試験による曲げ強度を測定したときに、この曲げ強度が160〜400MPaとなるような材料である窒化アルミニウム、チタニア、ムライトなどが挙げられる。なお、表層部22と同様の材料にて粒度や添加材の量を異ならせてなる材料を用いてもよい。
【0024】
枠体2は、断面の幅が例えば50〜160μm、高さが例えば50〜160μmに形成されている。断面視したときの枠体2の側壁とセラミック基体1の上面とのなす角度は、例えば50〜90度であればよい。また、枠体2を構成する内部23の断面の幅が例えば30〜150μm、高さが例えば30〜150μmであって、表層部22の断面の厚みは例えば5〜20μmである。上記の枠体2の断面の幅および内部23の断面の幅は、それぞれの配線基板領域11に分割される前の数値であり、個片に分割された際には枠体2の断面の幅と内部23の断面の幅は半分の数値となる。
【0025】
また、枠体2の上面に形成された分割溝21は、表層部22の厚みよりも深く形成され
ていて、内部23まで達するように形成されている。これにより、個片(電子部品収納用パッケージ毎)に分割する際に、ブレイクされる部分(割られる部分)折られるが表層部よりも強度の低い部分のみとなるので、枠体の壁面にクラックやバリが発生するのを抑制し、曲げ強度の高い枠体を有する小型の電子部品収納用パッケージを得ることができる。
【0026】
なお、図2に示すように、枠体2の上面には環状導体24が形成され、ロウ材を介してこの枠体2の上に金属製の蓋体(図示せず)が取り付けられてもよい。また、図示しないが、枠体2の上面に形成された分割溝21(V字溝)と対応するようにセラミック基体1の下面にも分割溝(V字溝)が形成されていてもよい。
【0027】
以下、本発明の多数個取り配線基板の一実施形態の製造方法の流れの一例を説明する。
【0028】
本発明の多数個取り配線基板の製造方法は、図3(a)に示すように、まず複数の配線基板形成領域を有するセラミックグリーンシート31を作製する。
【0029】
セラミックグリーンシート31は、例えば、アルミナ,サファイア,窒化珪素,ジルコニア,炭化珪素,ムライトなどなどの原料粉末に有機バインダおよび溶剤を加えたものを
ドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート形成技術を用いて長尺のシート状に形成したものである。
【0030】
図3(b)に示すように、セラミックグリーンシート31には、配線基板形成領域毎に、金型によるパンチング加工やレーザ加工等により一対の貫通孔を形成し、それぞれの貫通孔に貫通導体用導体ペースト32を印刷やプレス充填等の埋め込み手段により充填する。また、セラミックグリーンシート31の上面には、電子部品と電気的に接続される上面パッド用導体パターン33を導体ペーストにて形成し、セラミックグリーンシート31の下面には、外部回路基板と電気的に接続される下面パッド用導体パターン34を導体ペーストにて形成する。
【0031】
貫通導体用導体ペースト32、上面パッド用導体パターン33および下面パッド用導体パターン34を形成する導体ペーストとしては、導体粉末に有機バインダと溶剤と必要に応じて分散剤とを加えて混合したものをボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、トリミックス等の混練手段により均質に分散した後、溶剤を必要量添加することにより粘度を調整したものである。導体粉末の導体材料としては、例えばタングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,金,白金等の1種または2種以上が挙げられ、その導体粉末はアトマイズ法、還元法等により製造されたものであり、必要により酸化防止、凝集防止等の処理をされていてもよい。導体材料が2種以上の場合は2種類以上の粉末を混合してもよいし、合金、コーティング等により2種以上の材料が一体となった粉末であってもよい。また、分級等により微粉末または粗粉末を除去し粒度分布を調整したものであってもよい。
【0032】
なお、セラミックグリーンシート31は、ポリエチレンテレフタレートなどの支持フィルム上に絶縁ペーストを塗布することによって形成されてもよく、この場合は、例えば支持フィルム上に下面パッド用配線パターンを形成し、この上に貫通導体用導体ペーストを塗布し、絶縁ペーストを塗布した後、上面パッド用配線パターンを形成する。このとき、それぞれのパターンやペーストを塗布した後、温風乾燥機、真空乾燥機または遠赤外線乾燥機等の乾燥機を用いて、例えば60℃乃至80℃の乾燥温度で乾燥させるのがよい。
【0033】
次に、図3(c)に示すように、セラミックグリーンシート31のそれぞれの配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う配線基板形成領域の周縁部にまたがるように第1の絶縁ペースト351を塗布する。
【0034】
第1の絶縁ペースト351は、後述する第2の絶縁ペースト352を構成する原料粉末よりもやわらかい材料である例えば窒化アルミニウム、チタニア、ムライト等を主成分とする粉末に、有機バインダと溶剤と必要に応じて分散剤とを加えて混合したものをボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、トリミックス等の混練手段により均質に分散させたものである。
【0035】
第1の絶縁ペースト351に用いられる有機バインダとしては、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。有機バインダの選定にあたっては、溶解度パラメータの他、焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系の有機バインダがより好ましい。
【0036】
第1の絶縁ペースト351に用いられる溶剤としては、例えばテルピネオールやブチルカルビトールアセテート及びフタル酸等などが使用可能である。
【0037】
このような第1の絶縁ペースト351を用いて印刷法もしくはインクジェット法にて塗布した後に60℃乃至80℃程度の温度で乾燥するのがよい。
【0038】
次に、図3(d)に示すように、第1の絶縁ペースト351の表面を覆うように第2の絶縁ペースト352を塗布する。
【0039】
第2の絶縁ペースト352は、第1の絶縁ペースト351を構成する原料粉末よりも硬い例えば窒化珪素、ジルコニア等を主成分とする粉末に、有機バインダと溶剤と必要に応じて分散剤とを加えて混合したものをボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、トリミックス等の混練手段により均質に分散させたものである。有機バインダおよび溶剤は第1の絶縁ペースト351と同様のものが用いられる。
【0040】
第1の絶縁ペースト351の表面を覆うように第2の絶縁ペースト352を印刷法もしくはインクジェット法にて塗布した後に、60℃乃至80℃程度の温度で乾燥するのがよい。
【0041】
これにより、内部が第1の絶縁ペースト351による成形体からなり、表層部が第2の絶縁ペースト352による成形体からなる枠体用成形体35が作製される。ここで、ペースト仕様や印刷条件により、枠体用成形体35を形成する際には若干のペーストのダレが生じてしまい、枠体用成形体35の側面が傾斜する傾向がある。
【0042】
ここで、図3(e)に示すように、枠体用成形体35の上面には、焼成後の枠体の上にロウ材を介して金属製の蓋体(図示せず)を取り付けるために、導体ペーストによる環状導体用導体パターン36を形成してもよい。
【0043】
次に、図3(f)に示すように、枠体用成形体35の上面にスナップ刃37を用いて分割のための分割溝38(V字溝)を形成する。このとき、分割溝38は第1の絶縁ペースト351による成形体まで達するように形成される。
【0044】
最後に、焼成する工程となる。焼成する工程は、有機成分の除去とセラミック粉末の焼結を目的とする。有機成分の除去は、100〜800℃の温度範囲での加熱によって、有
機成分を分解、揮発させるものである。また、焼成温度は、原料組成により異なるが、約800〜1600℃の範囲内で行なう。焼成雰囲気は、原料粉末(セラミック粉末、ガラス粉末)や導体材料により異なり、大気中、還元雰囲気中、非酸化性雰囲気中等で行なわれ、有機成分の除去を効果的に行なうために水蒸気等を含ませてもよい。
【0045】
なお、焼成後には、上面パッド用導体パターン33が焼結してなる上面パッド、下面パッド用導体パターン34が焼結してなる下面パッド、環状導体用導体パターン36が焼結してなる環状導体等の腐食防止のため、および環状導体と蓋体(図示せず)との良好な接合のために、NiめっきやAuめっきを施すとよい。
【0046】
このような製造方法により、図2に示すような多数個取り配線基板を作製することができる。この多数個取り配線基板の製造方法によれば、第2の絶縁ペーストにより形成される強度の高い表層部が第1の絶縁ペーストにより形成される強度の低い内部を保護することで、製造工程内の取り扱い上による枠体の欠損、クラック等を防止することができ、製造工程内での信頼性を高くすることができる。
【0047】
そして、図2に示す多数個取り配線基板におけるセラミック基体1の上面に形成された上面パッド14の上に導電接着剤を塗布して、圧電素子を片持ち梁のように実装し、環状導体24の上に例えばSu−Au半田などのロウ材を形成し、金属製の蓋体を搭載して260℃乃至280℃程度の温度でリフローして蓋体を接合させた後、個片にブレイクする(折って割る)。もしくは、個片にブレイクした(折って割った)後に、セラミック基体1の上面に形成された上面パッド14の上に導電接着剤を塗布して、圧電素子を片持ち梁のように実装し、環状導体24の上に例えばSu−Au半田などのロウ材を形成し、金属製の蓋体を搭載して260℃乃至280℃程度の温度でリフローして蓋体を接合させる。これにより、多数の圧電素子収納用パッケージを得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・セラミック基体
11・・・配線基板領域
12・・・境界線
13・・・電子部品収納空間
14・・・上面パッド
15・・・下面パッド
16・・・貫通導体
2・・・枠体
21・・・分割溝
22・・・表層部
23・・・内部
24・・・環状導体
31・・・セラミックグリーンシート
32・・・貫通導体用導体ペースト
33・・・上面パッド用導体パターン
34・・・下面パッド用導体パターン
35・・・枠体用成形体
351・・・第1の絶縁ペースト
352・・・第2の絶縁ペースト
36・・・環状導体用導体パターン
37・・・スナップ刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線基板領域を有するセラミック基体と、該セラミック基体のそれぞれの前記配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う前記配線基板領域の周縁部にまたがって立設された絶縁ペーストの焼結体からなる枠体とを具備し、該枠体の上面にそれぞれの前記配線基板領域に分割するための分割溝を有する多数個取り配線基板であって、
前記枠体は表層部と少なくとも前記配線基板領域の境界線上の領域を含む内部とが互いに異なる材料からなり、前記内部の形成材料の強度が前記表層部の形成材料の強度よりも低く、前記分割溝が前記表層部から前記内部まで形成されていることを特徴とする多数個取り配線基板。
【請求項2】
前記枠体の前記表層部と前記セラミック基体とが同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多数個取り配線基板。
【請求項3】
請求項1に記載の多数個取り配線基板を製造するための製造方法であって、複数の配線基板形成領域を有するセラミックグリーンシートを作製する工程と、該セラミックグリーンシートのそれぞれの前記配線基板領域の境界線に沿って、隣り合う前記配線基板形成領域の周縁部にまたがるように第1の絶縁ペーストを塗布した後、前記第1の絶縁ペーストの表面を覆うように第2の絶縁ペーストを塗布し、枠体用成形体を作製する工程と、枠体用成形体の上面に分割溝を形成する工程と、焼成する工程とを有することを特徴とする多数個取り配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−79802(P2012−79802A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221581(P2010−221581)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】