大面積基板のため改良型マグネトロンスパッタリングシステム
【課題】本発明は、一般に、大面積基板における堆積の均一性を向上させるため、大きな陽極表面積を有する物理気相蒸着(PVD)チャンバにおいて、基板表面を処理する装置及び方法を提供する。
【解決手段】一般に、本発明の態様はフラットパネルディスプレイ工程、半導体工程、太陽素子工程又は他の基板処理工程で用いることができる。ある態様において、処理チャンバは1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、これは処理チャンバの処理領域にわたって陽極表面積を増大し、より均一に分布させる。1の態様において、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリは真空を解除することなく堆積された陽極表面を堆積されていない新品と交換するために用いられる。他の態様において、接地経路を有する遮蔽フレームは、陽極面積及び堆積均一性を増大するため、基板表面の堆積層と接触する。
【解決手段】一般に、本発明の態様はフラットパネルディスプレイ工程、半導体工程、太陽素子工程又は他の基板処理工程で用いることができる。ある態様において、処理チャンバは1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、これは処理チャンバの処理領域にわたって陽極表面積を増大し、より均一に分布させる。1の態様において、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリは真空を解除することなく堆積された陽極表面を堆積されていない新品と交換するために用いられる。他の態様において、接地経路を有する遮蔽フレームは、陽極面積及び堆積均一性を増大するため、基板表面の堆積層と接触する。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の実施例は、一般に、基板の表面上に薄膜を堆積するために用いられる基板プラズマ処理装置及び方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
マグネトロンを用いた物理気相蒸着(PVD)は、半導体集積回路に金属を堆積し、集積回路デバイスにおいて電気的接続及び他の構造を形成するための主要な方法の1つである。PVDプロセスの間、ターゲットは電気的にバイアスされ、処理領域で生成されたイオンは十分なエネルギーを持ってターゲット表面に衝突し、ターゲットから原子を放出させる。ターゲットをバイアスし、プラズマを生成し、イオンをターゲット表面に衝突させてターゲット表面から原子を放出させるプロセスは、一般的に、スパッタリングと称される。スパッタされた原子は、一般的に、弾丸のようにスパッタコーティングされるウェハに向かって移動し、スパッタされた原子はウェハ上に堆積される。選択的に、原子はプラズマ内で、例えば、窒素のような他のガスと反応し、ウェハ上に化合物を反応的に堆積する。しばしば、反応スパッタリングは、窒化チタン、窒化タンタルのバリア層及び核層を狭い孔部の側面に形成するために用いられる。
【0003】
DCマグネトロンスパッタリングは、スパッタリングの最も日常的に用いられる商業的形態である。金属ターゲットは約−400から−600VDCの範囲内において、負のDCバイアスにバイアスされ、作用ガス(例えば、アルゴン)の陽イオンをターゲットに向かって引き寄せ、金属原子をスパッタする。通常、スパッタリアクタの側部は、スパッタ堆積からチャンバ壁を保護するためのシールドにより覆われている。シールドは、典型的には、電気的に接地されており、これによってターゲット陰極に対向する陽極を提供し、DCターゲット電源をチャンバ及びプラズマと静電容量的に結合する。
【0004】
少なくとも1対の対向している磁気ポールを有するマグネトロンは、典型的には、ターゲットの背面近傍に配置され、これによって、ターゲットの正面の近傍でこれと平行に磁力を生成する。対向している一対の磁石により誘導される磁界は電子を捕獲し、これらが陽極表面で消失する前に電子の寿命を延長し、又はプラズマ内でガス原子と再結合する。寿命の延長及びプラズマ内における電荷の中性を維持する必要性により、追加的なアルゴイオンはマグネトロンの近傍の領域に引き付けられ、ここで高密度のプラズマを形成する。これによって、スパッタリング速度が向上する。
【0005】
しかしながら、従来のスパッタリングは、フラットパネルディスプレイ基板のような大面積基板上の進化した集積回路の形成に課題を有している。典型的には、TFTに応用する場合、基板は表面積が約2000cm2より大きなガラス基板である。通常、TFTプロセス装置は、一般的に、約1.5×1.8mまでの基板を収容するように設計されている。しかしながら、近い将来、2.16×2.64mまでの及びこれを超える基板を収容するように設計されているプロセス設備が視野に入れられている。ここで生ずる問題の1つは、従来のスパッタ処理チャンバで一般的に用いられている陽極表面積に対する陰極(ターゲット)の比を維持するために十分な大きさを有するチャンバを製造することは一般的に実現可能性が低いことである。表面積比を維持しようとすると、所望の表面積比を達成するために必要な部品のサイズが大きくなり、これによって製造上の困難性が生じ、プロセスの問題は処理前に所望のベース圧力まで大容積を排気する必要性に関連する。大きなターゲット表面積に対する陽極の小さな表面積は、一般的に、ターゲットの下方で基板の上方と定義される処理領域において発生されるプラズマ密度が、ターゲットの中心とターゲットの端部でかなり変化させる。陽極表面はターゲットの周辺部の周りに一般的に分布しているので、ターゲットの中心から陰極表面までの距離が大きくなると、ターゲットの端部におけるターゲット表面からの電子の放出はより良好になり、ターゲット中心部近傍のプラズマ密度を減少させると考えられている。ターゲット表面における種々の領域でプラズマ密度が減少すると、局所的な領域でターゲットの表面を叩くイオンの数が減少し、ターゲット表面から所定の距離を介して位置する基板の表面において堆積される薄膜の均一性を変化させる。十分な陽極面積の問題は、基板の端部に対して中心部近傍が小さくなるという薄膜厚さの非均一性の問題を明らかにする。
【0006】
不十分な陽極面積の問題を解決するため、ターゲットの下方の処理領域に追加的な陽極構造を配置し、陽極表面積を増大させることが行なわれている。配置される陽極構造は、通常、固定されている陽極構造(例えば、コリメータ)、又はターゲット表面の下方に位置し蒸着プロセスの際に移動型マグネトロン構造と共に配列され、これと同時に移動する走査型陽極構造を含んでいる。処理領域において保持され又は配置される陽極構造の1つの問題は多くの場合、これらは処理の際に継続的に堆積されるので、これによって時間の経過と共にそのサイズ及び形状が変化することである。PVD型プロセスは典型的には直線堆積プロセスであるので、構造のサイズ及び形状の経時的変化は時間の経過により堆積の均一性の変化を生じさせる。また、構造に対するターゲット材料の堆積は、ここで堆積した物質が処理の間にこれらの構造上に堆積された薄膜に形成される内因性又は外因性ストレスにより割れて剥離する可能性を増大させる。堆積された薄膜の割れ及び剥がれはこの方法を用いて形成されるデバイスの生産性に影響を与える可能性がある微粒子を生成する。
従って、微粒子を生成せず、他の上述した問題を克服することが可能なPVD処理チャンバにおいて、より均一なプラズマを生成することが可能な方法及び装置に対する要望が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、アクチュエータの使用により、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供する。
【0008】
更に、本発明の実施例は、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、処理領域を包囲する1又はそれ以上の壁部と、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第1スロットと、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第2スロットとを備えた陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、この陽極アセンブリは第1スロット及び第2スロットを介して延伸しており、処理領域と接触する第2陽極部材と、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結されている支持ローラアセンブリを備え、送りローラアセンブリと支持ローラアセンブリは処理領域内で第2陽極部材の表面の位置を共同して調節するために用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供することができる。
【0009】
更に、本発明の実施例は、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズマ理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置する基板受領表面を有する基板支持部を備え、基板受領表面に位置する基板は処理領域と接触しており、処理領域と接触する表面と、陽極シールドと電気的に連絡している導電体要素を有する遮蔽フレームを備え、導電体要素は基板受領表面に位置する基板上に形成された金属層と接触するように用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供することができる。
【0010】
更に、本発明の実施例は、処理チャンバの処理領域内に装着された基板支持部に基板を配置し、プラズマ処理チャンバの処理領域内の第1処理位置に基板を位置し、基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、プラズマ処理チャンバの処理領域内の第2処理位置に基板を位置し、第2処理位置への基板の配置は電気的に接地されている遮蔽フレームを基板表面上に堆積された層と電気的に接触させて配置し、基板支持部上に配置した基板の表面に層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法を提供することができる。
【詳細な説明】
【0011】
本発明は、一般的に、堆積均一性を向上するため大きな陽極表面積を有するPVDチャンバ内で基板の表面を処理する装置及び方法を提供する。一般に、本発明の態様はフラットパネルディスプレイ工程、半導体工程、太陽素子工程又は他のいかなる基板工程にも用いることができる。以下、本発明は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の一部門であるAKTより入手可能なPVDシステムのような大面積基板を処理する物理気相蒸着システムを参照して説明される。1の実施例において、処理チャンバは少なくとも約2000cm2の表面積を有する基板の処理に用いられる。他の実施例において、処理チャンバは少なくとも約19500cm2(例えば、1300mm×1500mm)の表面積を有する基板の処理に用いられる。しかしながら、この装置及び方法は他のシステム構造においても有用性を有し、これには大面積の丸型基板を処理するために設計されたシステムも含まれる。
【0012】
図1は従来の物理気相蒸着(PVD)チャンバ1の処理領域の断面図を示す。従来のPVDチャンバ1は、一般的に、ターゲット8、真空チャンバ2、接地シールド3、遮蔽リング4、ターゲット電気絶縁体6、DC電源7、処理ガス源9、真空ポンプシステム13、及び基板支持部5を備えている。スパッタリング工程を実行するため、アルゴンのような処理ガスはガス源9から排気された従来のPVDチャンバ1内に導入され、DC電源7の使用によりターゲット8と接地シールド3の間で形成された負のバイアスによりプラズマが処理領域15内で形成される。一般的に、プラズマは、一次的にはターゲットバイアスに基づくターゲット表面からの電子の放出により、二次的には負の(陰極の)ターゲット表面に対するイオンの衝突によって生ずる二次放出により生成され、維持される。PVD処理ステップを行なう前、真空チャンバは真空ポンプシステム11を用いて基本圧力(例えば、10−6〜10−9Torr)まで減圧されるのが通常である。
【0013】
図1は、ターゲットの中心近傍のターゲットの表面から出射された電子(e−)の経路(A)と端部近傍のターゲットの表面から出射された電子の経路(B)の差を強調することによって、大面積基板処理チャンバにおけるプラズマの不均一性の原因の1つを説明するための図である。ターゲットの中心を離れる電子により形成される接地までの長い経路は、電子が陽極表面で消失し又はプラズマ中に含まれるイオンと再結合する前に、電子の衝突回数を増加する一方、ターゲット8から出射される電子の大部分は接地までの経路の低い電気抵抗によりターゲットの端部の近傍出射される。ターゲットの端部近傍から接地までの経路の小さな電気抵抗は、導電性ターゲット8の材料による低抵抗経路と、接地までの電子の経路の短い経路長(B)に基づく。低抵抗経路はターゲットの端部近傍の電流密度及びプラズマ密度を増加する傾向があり、それ故、ターゲット1の中央部に対し端部においてスパッタされる材料の量は増加する。
【0014】
(大きな陽極面積のハードウェア)
図2Aは、本明細書で説明される発明の態様を実施するために用いることができる処理チャンバ10の一実施例の縦断面図を示す。図2Aに示される構成において、処理チャンバ10は、処理領域15において陽極表面積を増大して、均等に分布するために用いられる1又はそれ以上の調節可能な陽極アセンブリ90を含んでいる。図2Aは、処理領域15内の処理位置に位置する基板12を示している。一般に、処理チャンバ10は上部アセンブリ20と下部チャンバアセンブリ35を含んでいる。上部アセンブリ20は、一般に、ターゲット24、上部エンクロージャ22、セラミック絶縁体26、1又はそれ以上のO−リングシール29、及びターゲット背面領域21に位置する1又はそれ以上のマグネトロンアセンブリ23を含んでいる。一般に、各々のマグネトロンアセンブリ23は、1対の対向する磁極(即ち、N極及びS極)を有する少なくとも1のマグネット27を備えており、これによってターゲット24及び処理領域15にわたる磁界(B)を形成する(図5Aにおける要素B)。図2Aは、ターゲット24の背面に位置する3個のマグネット27を含む1つのマグネトロンアセンブリ23を有する処理チャンバ10の一実施例の断面図を示す。本明細書で示される発明に有効に用いることができる典型的なマグネトロンアセンブリは、同一出願人に譲渡される2004年1月7日に出願された米国特許仮出願番号第60/534,952号に基づく優先権を主張する2004年7月7日出願された米国特許出願第10/863,152号に記載されており、この出願は特許請求の範囲に記載されている発明と矛盾しない範囲内で引用により全体として本明細書に一体化される。
【0015】
下部チャンバセンブリ35は、一般に、基板支持アセンブリ60、チャンバ本体アセンブリ40、シールド50、処理ガス配送システム45、及び遮蔽フレーム52を含む。遮蔽フレーム52は、一般に、基板端部を遮蔽し、処理の際に基板12及び基板支持部61の端部における堆積を防止し又は最小化するために用いられる(図2A参照)。チャンバ本体アセンブリ40は、一般に、1又はそれ以上のチャンバ壁41とチャンバ基部42を備えている。1又はそれ以上のチャンバ壁41、チャンバ基部42及びターゲット24は、一般に、下部真空領域16及び処理領域15を有する真空処理領域17を形成する。1の態様において、シールド50のシールド装着表面50Aはチャンバ壁40に形成された接地チャンバシールド支持部43上に装着され又はこれに連結されており、これによってシールド50を接地する。処理ガス搬送システム45は、一般に、1又はそれ以上の導入口45Bと流体的に連絡している1又はそれ以上のガス源45を備えており、導入口は下部真空領域16(図2Aに示されている)及び/又は処理領域15と直接的に連絡しており、これによって、プラズマ工程の際に用いられる処理ガスを搬送する。典型的には、PVD型の応用で用いられる処理ガスは、例えば、アルゴンのような不活性ガスであるが、窒素のような他のガスも用いることができる。
【0016】
基板支持アセンブリ60は、一般に、基板支持部61、基板支持部61を支持するために用いられるシャフト62、移動可能な真空シールを形成するためシャフト62及びチャンバ基部42にシール可能に連結されるベローズ63を含んでおり、これによって基板支持部61が昇降機構65によって下部チャンバセンブリ35内に位置することができる。昇降機構65は従来のリニアスライド(図示せず)、空気圧シリンダ(図示せず)、及び/又はリードスクリューに連結されているDCサーボモータ(図示せず)を備えていてもよく、これらは基板支持部61及び基板12を処理領域15内の所望の位置に位置するために用いられる。
【0017】
図2Aにおいて、下部チャンバセンブリ35は、一般に、基板昇降アセンブリ70、スリットバルブ46、及び真空ポンプシステム44を備えている。昇降アセンブリ70は、一般に、3又はそれ以上の昇降ピン74、昇降プレート73、昇降アクチュエータ71、及び昇降アクチュエータ71及びチャンバ基部42にシール可能に連結されたベローズ72を含んでおり、これによって中央搬送チャンバ(図示せず)から下部チャンバアセンブリ35内に延伸しているロボットブレード(図示せず)に位置する基板を排出し及び交換することができる。延伸しているロボットブレードはチャンバ壁41のアクセスポート32を介して下部チャンバセンブリ35内に挿入され、搬送位置(図示せず)に位置する基板支持部61の上方に位置する。真空ポンプシステム44(要素44A、44B)は、一般に、下部真空領域16及び処理領域15を所望の基本及び/又は処理圧力まで減圧するため、低温ポンプ、ターボポンプ、低温ターボポンプ、ラフポンプ、及び/又はルートブロワーを含んでいてもよい。スリットバルブ46を1又はそれ以上のチャンバ壁41に対して又はそこから隔離して位置するために用いられるスリットバルブアクチュエータ(図示せず)は、本技術分野で公知である従来の空気圧アクチュエータであってもよい。
【0018】
蒸着プロセスの際に処理チャンバ10の種々の要素及び処理変数を制御するため、コントローラ101が用いられる。処理チャンバの処理変数はコントローラ101を用いることにより制御することができ、これは典型的にはマイクロプロセッサを基本とするコントローラである。コントローラ101は使用者及び/又はプラズマ処理チャンバ内の種々のセンサから入力を受領し、この入力及びコントローラのメモリに保存されているソフトウェアの命令に従って、プラズマ処理チャンバの要素を適切に制御する。コントローラ101は、一般に、種々のプログラムを保存し、プログラムを処理し、必要な場合にプログラムを実行するため、コントローラによって用いられるメモリ及びCPUを含んでいる。メモリはCPUに連結されており、このメモリはランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、内部であるか外部かを問わずあらゆる形態のデジタル記録媒体のような容易に入手可能な1又はそれ以上のメモリであってもよい。ソフトウェアの命令及びデータは、CPUに命令するため、コード化され、メモリ内に保存されることができる。補助回路はプロセッサを補助するため、従来の方法でCPUに接続される。補助回路は、本技術分野で公知なキャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含むことができる。コントローラ101により読出し可能なプログラム(又はコンピュータの命令)は、プラズマ処理チャンバ内でどの作業を行なうかを決定する。好ましくは、プログラムはコントローラ101により読出し可能なソフトウェアであり、所定の規則及び入力データに基づきプラズマ工程をモニタし、制御する命令を含む。
【0019】
また、図2Aは1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリ90の一実施例を示し、これは下部チャンバアセンブリ35内に位置している。一般に、調整可能な陽極アセンブリ90は処理領域15を通じて延伸し、接地されている導電部材91を有し、これによって処理領域15内で形成されるプラズマは、ターゲット表面24Cの全領域に対する陽極表面の分布がより均一になることにより均一になる。1の態様において、導電部材91は、例えば、チタン、アルミニウム、白金、銅、マグネシウム、クロム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、リテニウム及び合金及び/又はこれらの組合わせのような導電性金属で形成されているワイヤ、複数のワイヤを含むケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュであってもよい。一般に、導電部材91は、ターゲットがバイアスされるときに生成される電流のかなりの部分を受領するのに十分な導電性を有する材料及びサイズに形成されている一方、処理の際に生じる高温下で堆積材料の重量で変形しない十分な融点と十分な強度を有する物質で形成される。高温は放射型熱移動及び導電部材91を通じる電流からのIR下降加熱により生じる傾向がある。導電部材91の種々の実施例は下記の図3A−D及び図4A−Bに示される。
【0020】
PVD蒸着プロセスを実行するため、コントローラ101は真空ポンプシステム44に処理チャンバ10を所定の圧力/真空状態まで排気するよう命令し、これによってプラズマ処理チャンバ10は真空状態にある中央搬送チャンバ(図示せず)に装着されたシステムロボット(図示せず)から基板を受領することができる。を処理チャンバ10に基板12を搬送するため、処理チャンバ10を中央搬送チャンバからシールしているスリットバルブ(要素46)が開口し、これによってシステムロボットがチャンバ壁41のアクセスポートを介して延伸することが可能になる。その後、リフトピンは、延伸しているロボットブレード(図示せず)から基板を持ち上げることにより、延伸しているシステムロボットから基板を除去する。その後、システムロボットは処理チャンバ10から引込められ、スリットバルブ46は閉鎖し、処理チャンバ10は中央搬送チャンバから分離される。その後、基板支持部61はリフトピン74から基板を上昇させ、基板をターゲット24の下方の所望の処理位置に移動する。その後、所望の基準圧力に達した後、所望の処理ガス流が処理領域15内に注入され、電源28を用いてターゲットにバイアス電圧を印加し、処理領域15にプラズマを発生させる。電源28によるDCバイアス電圧の印加により、ガスは処理領域15内でイオン化され、ターゲット表面に衝突し、基板支持部61の表面に位置する基板の表面に着地する金属原子を「スパッタ」する。図2Aに示される構成において、バイアス電圧の印加から生じる電流の一定割合は接地されている導電部材91を通じて流れ、これによって発生したプラズマは処理領域にわたってより均一に分布する。「接地」は、一般に、導電部材91と処理チャンバ内に位置する陽極表面の直接的又は非直接的な電気的接続を意味するものと理解されるべきである。1の態様において、導電表面91と陽極表面の間の電気的経路に抵抗、容電及び/又は誘電的要素を導入することにより、導電部材91を陽極表面に対して異なる電位でバイアスしてもよい。図3Aは処理領域15及び導電部材91の縦断面図であり、ターゲットから接地されている導電部材91までの電流の流れが概念的に示されている。本明細書に記載されている調整可能な陽極アセンブリ90の実施例の1つの利点は、接地までの経路の抵抗が低いことにより、所望の蒸着速度を達成するために必要なターゲットバイアス電圧を低減する傾向があることである。
【0021】
図3Bは処理領域15の縦断面図を示し、ターゲット24(要素24A、24B)、導電部材91及び基板支持部61上に位置する基板12を示している。図3Bは、イオン化されたガス原子、ここではアルゴン原子の効果を示し、この原子はターゲット材料24Aのターゲット表面24Cに衝突し、ここでターゲット原子(要素M)はあらゆる方向において表面からスパッタされ、基板支持部61上に位置する基板上に薄膜を形成する。一般的に、「スパッタ」されたターゲット原子(要素M)は非指向的(矢印A参照)にターゲットを離れ、スパッタされたターゲット原子(要素M)は基板表面上に堆積され、その上に薄膜11Aを形成し、導電部材91上に薄膜11Bを形成する。処理及び所定停止時に、導電部材91の温度はかなり変化し、それ故導電部材91上に堆積した薄膜11Bが導電部材91の形状を変化させ、又は堆積された材料が剥離し、処理されている基板でデバイス生産効率の問題を生じさせる微粒子を発生させる可能性がある。1の態様において、この問題を解決するため、導電部材91の表面はグリットブラスト荒仕上げ加工、化学エッチング又は他の従来の方法により荒仕上げ加工されていてもよく、これによって堆積された薄膜の導電部材91に対する機械的接着性を向上させることができる。一の態様において、堆積された薄膜の接着性を向上させるために、アルミニウムアークスプレイ、フレイムスプレイ又はプラズマスプレーコーティングを導電部材91の表面に施すこともできる。
【0022】
他の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90は、処理領域15で堆積された導電部材91の部分を、新たな又は堆積されていない導電部材91の表面で交換するために用いることができる。この構成は、堆積の均一性及び陽極表面を被覆している堆積物質により生じる微粒子の問題を最小化又は解決するのに役立つ。導電部材91の再配置が可能なことにより、かなりの時間と費用を要する処理領域に配置されている陽極表面を交換する必要性に起因するチャンバのダウンタイムを減らすことができる。従来の処理チャンバにおけるチャンバのダウンタイムのかなりの部分は、処理チャンバ要素が取扱可能な温度に冷却されるまでの待機、チャンバの開口及び真空状態を解除、使用済みの陽極表面を除去、新たな陽極要素の設置、チャンバの閉鎖、チャンバの排気及び加熱、及び処理のための処理チャンバの準備といった工程を完了するために生じる。従って、本明細書で説明される実施例では、陽極表面を交換する必要があるときに、これらの工程を行なう必要がなく、時間と費用を節約することができる。
【0023】
1の態様において、露出している導電体91の表面を再配置する工程を実行するため、調整可能な陽極アセンブリ90は送りローラアセンブリ96、支持ローラアセンブリ95、及び送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95と連結されている導電部材91を備えていてもよい。一般に、導電部材91は送りローラアセンブリ96からシールド50に形成された第1スロット50Bを介し、次いで処理領域15及びシールド50内に形成された第2スロット50Cを介して搬送され、ここで支持ローラアセンブリ95により回収される。図6において、一般的に、本明細書で用いられるスロットという用語(例えば、要素50B)は、シールドの1の表面から(要素50E)からシールドの他の表面(要素50F)までを連結するスリット、狭い開口、貫通口、間隙又は孔部を意味する。他の態様において、図2Aに示されるように、2つの配列ローラ94は、送りローラアセンブリ96と第1スロット50Bとの間、及び第2スロット50Cと支持ローラアセンブリ95との間に位置しており、導電部材91が処理領域15を通過するときに、これを支持し、配向する。導電部材91が処理の間に堆積されるような構成において、コントローラ101は支持ローラアセンブリ95及び/又は送りローラアセンブリ96の回転位置を調整し、導電部材91上の堆積されていない部分を処理領域15に移動し、導電部材91領域の堆積されている領域を処理領域から排出する。
【0024】
1の態様において、送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95の両方は移動制御アセンブリ116(図4A−C、後述)、スピンドル92、シールアセンブリ98(図4A−Bの要素98A−B、図4Dの要素98を参照)、及び回転アセンブリ97(図4A−Bの要素97A−B、図4Dの要素97)を含み、これらは導電部材91の張力を制御し、処理領域15内で導電部材91を移動し又は配置する工程を制御するために用いられる。
【0025】
一実施例において、コントローラ101は処理の際に導電部材91の位置を継続的に調節するために用いることができ、これによって堆積された薄膜の基板上での堆積均一性及びPVDプロセスにおける微粒子の挙動に影響を与える可能性を減少する。他の態様において、導電部材91は処理の際に一定の場所に位置し、基板の蒸着工程毎に再配置される。他の態様において、導電部材91は処理領域15において導電部材91の領域上で複数回の堆積工程が行われた後、再配置される。導電部材91の位置を制御を実行するため、送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95の各々は移動制御アセンブリ116を含み、これはエンコーダのような回転位置追跡装置を含んでいてもよく、これは導電部材91が体処理領域15を通過するときに、その位置、スピード及び張力を制御するために用いることができる。
【0026】
1の態様において、支持ローラアセンブリ95は移動制御アセンブリ116を含み、送りローラアセンブリ96はスプリング(例えば、捻れスプリング)で負荷されている。この構成において、送りローラアセンブリ96は導電部材91に張力が付加され続けるように用いられ、支持ローラアセンブリ95が処理領域15において導電部材91の位置及び送り速度を制御することができる。
【0027】
図3Bと同様に、図3Cは陽極表面、この場合、処理領域15における導電部材91の位置により生ずる問題を説明するためのものである。ある場合、導電部材91が基板12に近接しすぎると、導電部材91はターゲットの表面からスパッタされる材料から基板表面を遮蔽する傾向があり、これによって基板12の表面に形成される薄膜11に凹部11を形成させる。この問題は薄膜11Aにおいて不均一に関連する問題を生じさせるので、基板表面に対する導電部材91の位置はこの遮蔽効果を減少するために最適化させてもよい。導電部材91の基板12の表面に対する最適な距離は、処理領域15内のガス圧力、スパッタ工程のパワー及び基板12とターゲット表面24Cの間の距離に基づいて変化することができる。一般的に、導電体をターゲットと基板の約中間位置に位置することができる。例えば、基板とターゲットの間の距離が200mである場合、導電部材はターゲットから約100mmの位置に配置することができる。1の態様において、導電部材91はターゲット表面24Cから約70mm〜約130mmの間の固定した距離に配置される。
【0028】
図3Dを参照すると、1の態様において、導電部材91の形状は基板12の表面に対する導電部材91の遮蔽効果を減少するため変更することができる。図3Dは基板12の表面上に堆積された薄膜11Aへの導電部材91の遮蔽効果を減少するために、長円形の断面形状を有する導電部材の一実施例を示す。この長円の丸められている端部は、堆積された薄膜に形成される張力又は圧力の歪みに起因する導電部材91上に堆積された薄膜11Bの剥離を防止するのに有用である。本発明の他の態様において、導電部材91の断面は陽極表面の表面積を増加し、及び/又は導電部材91の遮蔽効果を減少するために形成することができる。
【0029】
図3A−Dは導電部材91の円形又は長円形断面を示しているが、本発明の他の実施例において、導電部材91は四角形、長方形、三角形、星型又は本発明の基本的な範囲を変えることがない他の有用な幾何学的形状を有していてもよい。1の態様において、導電部材の断面は円形であり、約0.5mmから約12.0mmの間の直径を有している。
【0030】
図4は処理チャンバ10の一実施例の上断面図であり、断面平面は、ターゲット24の下方で導電部材91の上方の処理領域15内に位置している。図4Aは処理領域15を通過する3つの導電部材91を有する実施例を示している。1の態様において、処理領域15を通過する導電体の数は、所望のプロセス均一性、コスト及び所望の利用で許容される複雑性により、約1〜130の間であってもよい。好ましくは、処理領域15を通過する導電体の数は約2〜10の間である。
【0031】
導電部材91を形成する断面積及び物質は、プロセスの際に生じる高温に耐える導電体の能力に影響を与えるので(例えば、耐熱性及びプラズマとの相互作用)、重要である。導電部材91の数及び処理領域15に露出している表面積、又は調整可能な陽極アセンブリ90の全表面積は、各々の導電部材91を通過する電流の量及び処理の際に各々の導電部材91が到達する最高温度に影響を与えるので重要である。調整可能な陽極アセンブリ90の全表面積は、処理領域における導電部材の長さ×導電部材の断面積の周囲の長さ×処理領域に位置する導電部材の数として定義される。基板のサイズが変化すると導電部材の長さが変化するので、各々の導電部材について「ユニット表面積」として知られるパラメータを用いるのが便利であり、これは単位長さあたりの各々の導電部材91の断面の周囲の長さである。例えば、直径が5.0mmの円形の導電部材について、ユニット表面積は約15.708mm2/mm(例えば、TT×D/1mm)、単一の2000mmの長さの導電部材については表面積は約31416mm2である。従って、2000mmの長さを有する直径5.0mmの導電部材を3個有する処理チャンバ10について、導電部材91の全表面積は約94248mm2となる。本発明の1の態様において、導電部材91の各々のユニット表面積は約1.5mm2/mm〜約75mm2/mmの間である。1の態様において、導電部材91の断面積は約0.2mm2〜約125mm2の範囲で変化してもよい。ある例において、1800mm×1500mmのサイズの基板について、導電部材91の表面積は約6.0mm2である。1の態様において、導電部材91の断面積は、ターゲットバイアスにより生成されるプラズマから導電部材91に送られる電流を送るためのサイズに形成される。ある例では、全ての導電部材により送られる総電流は約1000アンペアである。
【0032】
図4に示される構成において、導電部材91は単一の支持ローラアセンブリ95及び単一の送りローラアセンブリ96内に収容されるスピンドル92の周りに巻回されている。従って、導電部材91は送りローラアセンブリ96からシールド50内に形成された第1スロット50Bを介して送られ、基板支持部61(図示せず)上に位置する基板上を通過し、シールド50内に形成される第2スロット50Cを介して処理領域15に到達し、ここで支持ローラアセンブリ95に受領される。一般に、支持ローラアセンブリ95及び送りローラアセンブリ96は、材料が処理の際にそれらの上に堆積されるのを防止するため下部真空領域16内に位置しており、これによって処理チャンバ10の信頼性及び粒子の挙動に影響を与えることができる。第1スロット50Bと第2スロット50Cは、一般に、処理領域15からのプラズマの漏洩を防止し、スパッタされた材料が下部真空領域16内に保持されている要素に蒸着することを防止するサイズに形成されている。本発明の1の態様において、シールド50内に形成されたスロット50D、50Cのアスペクト比(即ち、直径及び/又は長さ)は、プラズマ及び堆積される材料の漏洩を防ぐようなサイズに形成されている。他の態様において、スロット50B、50Cは、スパッタされた材料を通過させて処理領域15の外部に導く経路を形成するシールド要素(図示せず)を有している。
【0033】
図4Aに示される図面と同様に、図4Bは処理チャンバ10の上断面図であり、これは調整可能な陽極アセンブリ90の表面積を増大するための追加的な交差部材91Bを有する導電部材91Aを有している。この方法において、導電部材91は導電部材91Aの所望のピッチを含むワイヤメッシュ、及び調整可能な陽極アセンブリ90の表面積を増加させる交差部材91Bであってもよい。この構成において、導電部材91A及び交差部材91Bはシールド50内に形成されたスロット50Dを介して処理領域15に向かって及びここから搬送される。1の態様において、要素91A、91Bを有している導電部材91は送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95内のスピンドル92の周りに巻回される。この構成は、処理領域15を通過する各々の導電部材91の間の電圧差を減少させるのに有用であり、これによってプラズマ密度の均一性及び堆積の均一性を向上させることが可能になる。
【0034】
図4Cに示される1の態様において、2セットの調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)は、調整可能な陽極アセンブリ90の各々における導電部材91が互いに所定の角度関係に配向され、1セットの導電部材91がターゲット24から異なる距離にあり、これによって異なる調整可能な陽極アセンブリ内の導電部材91の間の相互干渉を防止することができるように配向される。例えば、第1の調整可能な陽極アセンブリ90Aにおける3個の導電部材91は、第1の方向に配向され、ターゲットから第1の距離に位置し、他方4つの導電部材91を有する第2の調整可能な陽極アセンブリ90Bは第1の方向と直角な第2の方向に位置し、ターゲットから第1の距離より大きな第2の距離を介して位置する。1の態様において、2セットの調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)は、支持ローラアセンブリ95(要素95A−B)、送りローラアセンブリ96(要素96A−B)及び導電部材91を備えている。この方法において、陽極面積は処理領域15にわたってより均一に分布され、これは四角形形状の大面積基板を用いる場合に重要である。1の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)の各々の電圧差は、接地までの経路の電気的特性(例えば、抵抗)を調整することにより変えることができ、これは処理均一性を調整するために有用である。
【0035】
図4Dは移動制御アセンブリ116の一実施例の断面図であり、これはスピンドル92を回転し、導電部材91が処理領域15を通過するとき導電部材91の位置、張力及び速度を調節するために用いられる。一般に、移動制御アセンブリ116はシールアセンブリ98及びモータアセンブリ97を備えている。一般に、シールアセンブリ98は移動アセンブリ97とスピンドル92に連結されているシャフト113と、装着プレート115と、少なくとも1つのシール部材112を備えている。この構成において、モータアセンブリ97の回転運動はスピンドル92に伝達され、チャンバ壁45外部の大気圧からスピンドル92に連結している下部真空領域16内部の真空圧を通過する。1の態様において、図4Dに示されるように、シール部材112は、シャフト113を回転させ、外部の汚染物質が処理チャンバ内に混入するのを防止するために用いられる2個のリップシール(要素112A、112B)である。1の態様において、単一のシール部材(要素112A、112B)にわたる圧力の低下を減少するため、2つのシール部材間の領域を異なって排気することが必要である。本発明の1の態様において、シール部材112は従来の磁性流体シール(例えば、ジョージア州、キャントンのスクーンオーバー(Schoonover Inc.)より購入されたもの)又は真空雰囲気において回転運動を部分に伝えるために本技術分野で公知である機械的に連結された回転フィードスルーである。従って、プレート115とチャンバ壁41の間に形成されているシール又はO−リングシールを用いることにより、大気中の汚染物質は下部真空領域16及び処理領域15から隔離することができる。
【0036】
一般に、アクチュエータアセンブリ97は、アクチュエータ117、モータをシールアセンブリ98に取付けるために用いられる装着ブラケット111、及びアクチュエータ117をシャフト113に接続するモータ連結部を備えている。1の態様において、アクチュエータ117の出力シャフトは捻りスプリング(図示せず)のような張力保持デバイスを介してシャフト113に連結されており、これによって支持ローラアセンブリ95及び送りローラアセンブリ96の両方のスピンドル92上に保持されている導電部材91に一定の力及び張力を与えることが可能になる。1の態様において、スリップリング又は回転水銀フィードスルーのような回転電気フィードスルーはスピンドル92に電気的に接続されており、これによって導電部材91からスピンドル92、シャフト113、モータシャフト117及び回転電気フィードスルー118を介して接地部まで電流が流れることが可能になる。1の態様において、アクチュエータ117は本技術分野で公知のDCサーボモータ又はステッパーモータであってもよい。
【0037】
(処理のためのマグネトロンの設計)
図5Aは本発明の一実施例を示し、ターゲット表面24C及び複数のマグネトロンアセンブリ(例えば、3個が示されている)の拡大図である。処理チャンバ10のこの構成において、複数のマグネトロンアセンブリ23(要素23A−B)は1又はそれ以上のマグネット27を備えている。典型的には、ターゲット物質の利用性を向上し、堆積の均一性を向上するため、マグネトロンアクチュエータ(図示せず)を用いてターゲット表面24Cに平行な方向にマグネトロンアセンブリを並進し、走査し、及び/又は回転するのが一般的である。一般に、PVD蒸着のプロセスの際、処理領域15で見出される電子の磁界(要素B)の封じ込めにより、処理領域15内で生成されたプラズマの大部分はマグネトロンアセンブリ23の下方で形成され、維持される。マグネトロンアセンブリ23は、マグネトロンアセンブリ23により生成された磁界の強さ及び方向により、PVD蒸着層の形状及び均一性に影響を与える。
【0038】
ターゲット24の中央に対してターゲット24の端部において、接地までの優先的な経路の抵抗の相違を均一化するため、マグネトロンの設計を変更し、マグネトロンアセンブリ23がターゲットの端部よりもターゲットの中心部でより高い磁界強度を有するようにしてもよい。他の態様において、ターゲット端部に対するマグネットの実際の位置により、ターゲットの表面におけるマグネットの並進、走査又は回転速度を調整することにより、ターゲットの中心上で単位時間毎により高い磁界強度が維持される(例えば、中央部において低速度であり、端部において高速度)。マグネトロンの中心近傍でより強力なマグネットを用い、マグネトロンの端部に対し中心部のマグネットの密度を増加し、ターゲット中心上に固定した追加的な強力な固定マグネットを配置し、又はマグネトロンがターゲットの背面を並進するときにターゲットの中心部での移動停止時間を増大することにより、より強力な磁界を形成することが可能になる。図5Aはターゲット24の中心部(要素23A)及び端部(要素23B)に位置する3つのマグネトロンを示す。本明細書で説明される発明で有効に利用することができるマグネトロンアセンブリにおけるマグネット配列に沿ってマグネトロンを移動するために用いられる並進機構は、2004年1月7日に出願された米国特許仮出願第60/534952号に基づく利益を主張する2004年6月7日に出願された同一出願人に譲渡される米国特許出願第10/863152号(AMAT8841)に記載されており、特許請求の範囲に記載されている本発明と矛盾しない範囲で全体として本明細書に一体化される。処理チャンバ10の最適な磁界プロファイルは、1の基板と他の基板、陽極(例えば、接地表面)から陰極(例えば、ターゲット)の面積の比、ターゲットから基板までの空間、処理圧力、ターゲット表面におけるマグネトロンの移動、堆積速度、及び蒸着される物質の種類により異なることに留意すべきである。
【0039】
しかしながら、マグネトロンの形状、磁界密度及びターゲットにおける走査プロファイルを調整することにより、大面積基板においてより均一な堆積プロファイルを達成することができる。図5Bは図2Aに示される処理チャンバ10の一実施例を示し、これはターゲット表面で形成される磁界密度を最適化するため複数のマグネトロンアセンブリ23(要素23A−B)を有するマグネトロンアセンブリを有している。
【0040】
中心部から端部への堆積層の厚さの変化を減少させることについてのマグネトロンの有効性は、ターゲット材料の磁気透過性により影響を受ける。従って、いくつかの場合において、マグネトロンの磁界パターンはターゲット24の材料の種類やその厚さに基づいて調整する必要がある。また、いくつかの場合において、中央部から端部への制御する最適なマグネトロンの磁界の有効性は限定的であり、従って、所望のプロセス均一性を達成するため、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリ90、及び/又は堆積層との電気的接触を(後述する)組み合わせる必要がある。
【0041】
(堆積層との電気的接触)
図6A−Cは処理チャンバ10の一実施例を示し、ここで接地されている遮蔽フレーム52は基板12上の堆積層11に接触するために用いられ、これによって蒸着層11は陽極表面として作用する。従って、この構成は、処理領域内のプラズマの均一性を向上させるために堆積層11を陽極表面として用いることにより、処理中の陽極表面積を増加させている。図6Aは、支持部61及び基板12が接地されている遮蔽フレーム52と接触するときに、導電要素52Aが基板支持部61上に位置する基板12上の堆積層11と接触するように用いられる一実施例を示す。1の態様において、遮蔽フレーム52は導電線又はワイヤ(図6における要素52D)を用いてシールド50と直接的に接続されている。1の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90及び第1スロット50B及び第2スロット50Cを有する処理シールド50が処理チャンバ10に追加的に加えられており(図5Aに示されている)、これによって陽極表面積を更に増大することが可能になる。図6A−Cに示されている処理チャンバ10は図2Aに示されている処理チャンバと同様であるため、説明を明確にするため同様の参照番号が示されている。
【0042】
一実施例において、導電要素52Aは遮蔽フレーム52の表面に設けられており、ブロック52Bを用いることにより保持されている。1の態様において、ブロック52Bは複数のネジ又はファスナー(図示せず)を用いて導電要素52Aを遮蔽フレームの下方にクランプしており、これによって導電要素52Aは遮蔽フレーム52と電気的に接触することができる。図6A−Bにおいて、導電要素52は、基板表面が導電要素52と接触していないときに生ずる圧縮されてない状態で示されている。図6Cにおいて、導電要素52Aは圧縮された状態で示されており、これによって基板12の表面に堆積された薄膜11と電気的に接触することができる。一般に、導電要素52Aは導電材料の薄いシート、ホイル又はロッドから形成され、発生されたプラズマから導電体薄膜11(図6A)への電流を送る。1の態様において、導電要素52Aの基板表面上への侵入は物理的に最小化されており、これによって基板の端部の無駄な領域を減少することができる。1の態様において、導電要素52Aは、例えば、チタン、ステンレス、銅、白金、金、真鍮、ハステロイCのような金属又は電気的接触部を形成するために用いられる他の材料により形成することができる。
【0043】
図6Dは、基板表面上に形成された導電層11(図6A)との電気的接触により堆積均一性を向上させるために用いることができる一連の方法工程200の一実施例を示す。蒸着プロセスは、一般に、基板を処理チャンバに挿入する(ステップ201)、基板を第1処理位置に配置する(ステップ203)、第1導電薄膜を堆積する(ステップ205)、基板を第2処理位置に配置する(ステップ207)、導電薄膜を堆積する(ステップ209)という工程を含んでいる。他の実施例において、本発明の基本的な範囲を変更することなく、方法ステップ200の手順を再構成し、変えることができ、1又はそれ以上のステップを除去することができ、2又はそれ以上のステップを単一のステップに組み合わせることができる。
【0044】
図6B及び6Dを参照すると、処理チャンバへの基板の挿入(ステップ201)は、コントローラ101が真空ポンプシステム44に処理チャンバ10を所定の圧力/真空度まで排気するように命じ、これによってプラズマ処理チャンバ10が典型的には同様に真空状態にある中央搬送チャンバ(図示せず)に装着されたシステムロボット(図示せず)から基板12を受領することができるときに完了する。処理チャンバに基板を搬送するため、中央搬送チャンバから処理チャンバ10を封止しているスリットバルブ(要素46)は開口し、これによってシステムロボットがチャンバ壁41のアクセスポート32を介して延伸することが可能になる。その後、リフトピン74は延伸しているロボットブレード(図示せず)から基板を持ち上げることにより、延伸しているシステムロボットから基板を除去する。その後、システムロボットは処理チャンバ10から回収され、スリットバルブは閉鎖し、処理チャンバ10を中央搬送チャンバから分離する。その後、基板支持部61はリフトピン74から基板を持ち上げ、基板12を所望の位置に移動する。
【0045】
ステップ203、即ち、第1処理位置への基板の配置(ステップ203)において、基板12が配置されている基板支持部61は、ターゲット24の下方の第1処理位置に移動される。この場合、第1処理位置において、基板は接地された遮蔽フレーム52の近傍に配置され、これによって次の方法ステップ205で堆積される薄膜が、基板の斜め領域(図6Aにおける要素12B)及び背面(図6Aにおける要素12C)及び露出している基板支持表面61Aをコーティングしないように遮蔽する。第1処理位置は、接地されている遮蔽フレーム52が基板の上方に位置しているが、基板の表面と電気的に接触しない位置である。
【0046】
第1導電体薄膜を堆積するステップ205は、第1処理位置に配置された基板(ステップ203)の表面に導電体層を堆積するプロセスステップである。1の態様において、堆積プロセスは基板の表面上への導電体層のスパッタリングを必要とし、これは最終堆積ステップ(例えば、ステップ209)の際に接地された支持フレームに十分な電流を送ることができるような連続層を形成する ために十分に厚く、これによって処理領域15において生成されたプラズマをより均一にすることが可能になる。1の態様において、導電体薄膜は約10オングストローム(Å)から約1000オングストローム(Å)の間である。一例として、堆積パワー約200kW、プロセス圧力約2.5ミリTorr(mT)で約10秒間モリブデン堆積プロセスを行い、約383オングストローム(Å)の厚さの薄膜を得ることができた。均一なプラズマ生成を促進するのに必要な第1導電体層の厚さは、蒸着薄膜の導電度により変化することができる。この工程で堆積されることができる薄膜の種類は、銅、アルミニウム、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−ネオジウム合金、タンタル、窒化タンタル、タングステン、コバルト、ルテニウム、金、チタン、窒化チタン、モリブデン及びこれらの他の組み合わせ及び合金を含むが、これに限定されない。
【0047】
ステップ207、又は第2処理位置への基板の配置(ステップ207)において、基板が位置する基板支持部61は、ターゲット表面24C(図6C)の下方の第2処理位置に移動される。この場合、第2処理位置において、基板支持部61は接地されている遮蔽フレーム52と係合し、基板12は接地されている遮蔽フレーム52と接触して配置される。第2処理位置は、最終堆積ステップ(例えば、ステップ209)の際に堆積される薄膜が基板12の表面に均一に蒸着される位置である。実際の第2処理位置は蒸着工程の際に用いられるプロセスパラメータにより変化し、これには一般に基板とターゲットの空間、堆積プロセス圧力、堆積プロセスパワーの設定、及びプロセスの際のマグネトロンの種類及びその動きが含まれる。
【0048】
最終ステップ、即ち第2導電体薄膜層の堆積(ステップ209)は、所望の薄膜厚を得るため、基板表面上に第2導電体層を堆積するために用いられる。一例において、モリブデン蒸着プロセスが、堆積パワー約200kW、プロセス圧力約2.5mTで約60秒間行われ、これによって2300オングストローム(Å)の薄膜厚さを得ることができた。第2導電体薄膜層は第1導電体薄膜層と完全に同一である必要はなく、従って反応スパッタリング方法(例えば、TaN、TiN)を用いて又は用いることなく行なうことができる。ステップ209が完了すると、典型的には基板は処理チャンバから排出され、逆にステップ201が続く。
【0049】
図6Eは、基板表面上に形成された導電体層11(図6A)と電気的な接触を形成することにより、堆積均一性を向上させるために用いることができる一連の方法ステップ210の一実施例を示す。図6Eに示されている堆積方法は、追加的なステップ206が加えられた点を除き、図6Dに示される方法ステップと同一である。他の実施例において、発明の基本的な範囲を変えることなく、方法ステップ201の順序を再構成し、変換し、1又はそれ以上の工程を除去し、2又はそれ以上の工程を単一のステップに組合せることもできる。
【0050】
方法ステップ206、即ち、基板からの残留電荷の除去は、基板に残留している残留電荷を放電するために用いられるステップであり、これによって基板が接地されている遮蔽フレームと接触するときのアーク放電を防止することができる。残留電荷は、プラズマプロセス又は他の電荷生成プロセスの際に電気的に浮いている基板で形成されることがある。保持される電荷は、基板表面(又は浮いている基板支持部61)と第1導電体薄膜の堆積(ステップ205)又は他のその前のプロセスステップで形成されるプラズマとの相互作用に基づき、基板12(又は浮いている基板支持部61)に形成されることがある。捕獲された電荷の急激な放電はアーク放電を生じさせ、基板表面に形成されたデバイスを損傷することがある。従って、デバイスの損傷を防止するため、残留電荷除去工程206は図6で示される方法ステップに加えられた。一般に、基板における残留電荷除去工程206は、遮蔽フレーム52と基板の表面上に形成されている薄膜11の間の電気的接触の前に、接地されている遮蔽フレーム52と基板12との間の電位差を減少することにより行なわれる。
【0051】
1の態様において、電位差を小さくするため、接地されている遮蔽フレーム52と基板支持部は、接地されている遮蔽フレーム52が基板12に形成された薄膜と電気的に接触する前に(図6G)、接地されている遮蔽フレーム52が基板支持部61と電気的に接触するように設計されている。遮蔽フレーム52が基板12より前に基板支持部61と接触することにより、基板支持部61の残留電荷は消失し、基板を介したアーク放電が防止される。この作業を実行するため、接地されている遮蔽フレーム52又は基板61は導電性スプリング52E(図6G)を備えていてもよく、これによって接地されている遮蔽フレーム52が基板12に接触する前に、接地されている遮蔽フレームを基板支持部61に接触させる。
【0052】
他の態様において、ステップ206は、遮蔽フレーム52が基板12上に形成された薄膜11と電気的に接触する前に、遮蔽フレーム52を接地から分離し、その後基板支持部61を遮蔽フレーム52と電気的に接触することができる接地されている表面を有する基板支持部61と電気的に接触させることにより行なうことができる。遮蔽フレーム52は2つの要素の接触を物理的に防止することにより、陽極表面(例えば、シールド50)から分離することができる。1の態様において、絶縁体53(図6F参照)を遮蔽フレーム52をシールド50から分離するために用いることができる。遮蔽フレーム52を基板12より前に基板支持部61と接触させることにより、基板支持部61における残留電荷を放電させ、基板12を介するアーク放電を防止することができる。この作業を実行するため、上述した導電体スプリング52C(図6G)を用いることができる。
【0053】
他の態様において、基板からの残留電荷除去ステップ206は、遮蔽フレーム52が基板12上に形成された薄膜11に電気的に接触する前に、遮蔽フレーム52を接地から分離し(即ち、電気的に浮いている)、その後、遮蔽フレーム52を基板支持部61及び基板12と電気的に接触することにより行なうことができる。1の態様において、このステップを実行するため、基板支持部61は、浮いている遮蔽フレーム52が基板12の表面上に形成された基板11と接触する前に、RFでバイアスされる。この構成において、基板支持部61は浮いている遮蔽フレーム52と基板12と基板支持部61を静電的にRF結合するために用いられるバイアス可能な要素(図6Aにおける要素61B)を含んでいてもよく、これはRF電源67及びバイアス可能な要素と連結されているRFマッチング装置66(図6A参照)を用いて行われる。基板支持部61のRFバイアスにより形成されたRFにより生成されるプラズマの利用により、浮いている遮蔽フレーム52と基板12がステップ207で違いに接触する前に、これらは同一電位となることができる。1の態様において、RFバイアスはRF周波数13.56MHzにおいて約100ワット〜約6000ワットの間でよく、アルゴンが多い雰囲気中で約1.0mT〜約6.0mTのチャンバ圧力がステップ207の実行前及び実行の間に基板に用いられる。
【0054】
図6Fは遮蔽フレーム52の一実施例の等大の断面図であり、これはその下方に導電体要素52を有している。この構成において、導電要素52Aは導電要素52に形成された複数の導電体フィンガー52Cを含んでおり、これによって基板12の表面に形成された導電体薄膜と繰り返して均一に接触することが可能になる。1の態様において、導電体フィンガー52Cは、基板12の周りの全てと接触する単一の連続部材の一部であってもよい。他の態様において、導電要素52Aの複数の分離したセクションが遮蔽フレーム52の下方の周りに配置されていてもよく、導電体要素52を形成するために材料の単一の一体部材を形成する必要がなくなる。
【0055】
上述した説明は本発明の実施例を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施例は本発明の基本的範囲から逸脱することなく案出することができ、その範囲は特許請求の範囲により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の上述した構成の詳細な理解と上記部分で要約されている本発明のより具体的な説明は実施例を参照することにより得られるものであり、これらは添付図面に記載されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施例のみを記載したものであり、従って、本発明は他の同等に効果的な実施例を含むものであり、図面は本発明の範囲を限定するものではない。
【図1】従来の物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図2A】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図3A】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3B】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3C】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3D】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図4A】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4B】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4C】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4D】本発明の態様を効果的に実施することができる図4A−4Cに示される移動アセンブリの横断面図である。
【図5A】典型的な物理気相蒸着チャンバで用いることができるターゲット及びマグネトロンアセンブリの縦断面図である。
【図5B】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6A】典型的な物理気相蒸着チャンバに形成される処理領域の縦断面図である。
【図6B】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6C】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6D】本発明の種々の実施例に係る基板上に均一な層を堆積する方法の工程のフローチャートである。
【図6E】本発明の種々の実施例に係る基板上に均一な層を堆積する方法の工程のフローチャートである。
【図6F】典型的な物理気相蒸着チャンバの処理領域の等大の断面図である。
【図6G】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【発明の分野】
【0001】
本発明の実施例は、一般に、基板の表面上に薄膜を堆積するために用いられる基板プラズマ処理装置及び方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
マグネトロンを用いた物理気相蒸着(PVD)は、半導体集積回路に金属を堆積し、集積回路デバイスにおいて電気的接続及び他の構造を形成するための主要な方法の1つである。PVDプロセスの間、ターゲットは電気的にバイアスされ、処理領域で生成されたイオンは十分なエネルギーを持ってターゲット表面に衝突し、ターゲットから原子を放出させる。ターゲットをバイアスし、プラズマを生成し、イオンをターゲット表面に衝突させてターゲット表面から原子を放出させるプロセスは、一般的に、スパッタリングと称される。スパッタされた原子は、一般的に、弾丸のようにスパッタコーティングされるウェハに向かって移動し、スパッタされた原子はウェハ上に堆積される。選択的に、原子はプラズマ内で、例えば、窒素のような他のガスと反応し、ウェハ上に化合物を反応的に堆積する。しばしば、反応スパッタリングは、窒化チタン、窒化タンタルのバリア層及び核層を狭い孔部の側面に形成するために用いられる。
【0003】
DCマグネトロンスパッタリングは、スパッタリングの最も日常的に用いられる商業的形態である。金属ターゲットは約−400から−600VDCの範囲内において、負のDCバイアスにバイアスされ、作用ガス(例えば、アルゴン)の陽イオンをターゲットに向かって引き寄せ、金属原子をスパッタする。通常、スパッタリアクタの側部は、スパッタ堆積からチャンバ壁を保護するためのシールドにより覆われている。シールドは、典型的には、電気的に接地されており、これによってターゲット陰極に対向する陽極を提供し、DCターゲット電源をチャンバ及びプラズマと静電容量的に結合する。
【0004】
少なくとも1対の対向している磁気ポールを有するマグネトロンは、典型的には、ターゲットの背面近傍に配置され、これによって、ターゲットの正面の近傍でこれと平行に磁力を生成する。対向している一対の磁石により誘導される磁界は電子を捕獲し、これらが陽極表面で消失する前に電子の寿命を延長し、又はプラズマ内でガス原子と再結合する。寿命の延長及びプラズマ内における電荷の中性を維持する必要性により、追加的なアルゴイオンはマグネトロンの近傍の領域に引き付けられ、ここで高密度のプラズマを形成する。これによって、スパッタリング速度が向上する。
【0005】
しかしながら、従来のスパッタリングは、フラットパネルディスプレイ基板のような大面積基板上の進化した集積回路の形成に課題を有している。典型的には、TFTに応用する場合、基板は表面積が約2000cm2より大きなガラス基板である。通常、TFTプロセス装置は、一般的に、約1.5×1.8mまでの基板を収容するように設計されている。しかしながら、近い将来、2.16×2.64mまでの及びこれを超える基板を収容するように設計されているプロセス設備が視野に入れられている。ここで生ずる問題の1つは、従来のスパッタ処理チャンバで一般的に用いられている陽極表面積に対する陰極(ターゲット)の比を維持するために十分な大きさを有するチャンバを製造することは一般的に実現可能性が低いことである。表面積比を維持しようとすると、所望の表面積比を達成するために必要な部品のサイズが大きくなり、これによって製造上の困難性が生じ、プロセスの問題は処理前に所望のベース圧力まで大容積を排気する必要性に関連する。大きなターゲット表面積に対する陽極の小さな表面積は、一般的に、ターゲットの下方で基板の上方と定義される処理領域において発生されるプラズマ密度が、ターゲットの中心とターゲットの端部でかなり変化させる。陽極表面はターゲットの周辺部の周りに一般的に分布しているので、ターゲットの中心から陰極表面までの距離が大きくなると、ターゲットの端部におけるターゲット表面からの電子の放出はより良好になり、ターゲット中心部近傍のプラズマ密度を減少させると考えられている。ターゲット表面における種々の領域でプラズマ密度が減少すると、局所的な領域でターゲットの表面を叩くイオンの数が減少し、ターゲット表面から所定の距離を介して位置する基板の表面において堆積される薄膜の均一性を変化させる。十分な陽極面積の問題は、基板の端部に対して中心部近傍が小さくなるという薄膜厚さの非均一性の問題を明らかにする。
【0006】
不十分な陽極面積の問題を解決するため、ターゲットの下方の処理領域に追加的な陽極構造を配置し、陽極表面積を増大させることが行なわれている。配置される陽極構造は、通常、固定されている陽極構造(例えば、コリメータ)、又はターゲット表面の下方に位置し蒸着プロセスの際に移動型マグネトロン構造と共に配列され、これと同時に移動する走査型陽極構造を含んでいる。処理領域において保持され又は配置される陽極構造の1つの問題は多くの場合、これらは処理の際に継続的に堆積されるので、これによって時間の経過と共にそのサイズ及び形状が変化することである。PVD型プロセスは典型的には直線堆積プロセスであるので、構造のサイズ及び形状の経時的変化は時間の経過により堆積の均一性の変化を生じさせる。また、構造に対するターゲット材料の堆積は、ここで堆積した物質が処理の間にこれらの構造上に堆積された薄膜に形成される内因性又は外因性ストレスにより割れて剥離する可能性を増大させる。堆積された薄膜の割れ及び剥がれはこの方法を用いて形成されるデバイスの生産性に影響を与える可能性がある微粒子を生成する。
従って、微粒子を生成せず、他の上述した問題を克服することが可能なPVD処理チャンバにおいて、より均一なプラズマを生成することが可能な方法及び装置に対する要望が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、アクチュエータの使用により、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供する。
【0008】
更に、本発明の実施例は、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、処理領域を包囲する1又はそれ以上の壁部と、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第1スロットと、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第2スロットとを備えた陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、この陽極アセンブリは第1スロット及び第2スロットを介して延伸しており、処理領域と接触する第2陽極部材と、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結されている支持ローラアセンブリを備え、送りローラアセンブリと支持ローラアセンブリは処理領域内で第2陽極部材の表面の位置を共同して調節するために用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供することができる。
【0009】
更に、本発明の実施例は、処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、プラズマ理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、プラズマ理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、プラズマ処理チャンバ内に位置する基板受領表面を有する基板支持部を備え、基板受領表面に位置する基板は処理領域と接触しており、処理領域と接触する表面と、陽極シールドと電気的に連絡している導電体要素を有する遮蔽フレームを備え、導電体要素は基板受領表面に位置する基板上に形成された金属層と接触するように用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリを提供することができる。
【0010】
更に、本発明の実施例は、処理チャンバの処理領域内に装着された基板支持部に基板を配置し、プラズマ処理チャンバの処理領域内の第1処理位置に基板を位置し、基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、プラズマ処理チャンバの処理領域内の第2処理位置に基板を位置し、第2処理位置への基板の配置は電気的に接地されている遮蔽フレームを基板表面上に堆積された層と電気的に接触させて配置し、基板支持部上に配置した基板の表面に層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法を提供することができる。
【詳細な説明】
【0011】
本発明は、一般的に、堆積均一性を向上するため大きな陽極表面積を有するPVDチャンバ内で基板の表面を処理する装置及び方法を提供する。一般に、本発明の態様はフラットパネルディスプレイ工程、半導体工程、太陽素子工程又は他のいかなる基板工程にも用いることができる。以下、本発明は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の一部門であるAKTより入手可能なPVDシステムのような大面積基板を処理する物理気相蒸着システムを参照して説明される。1の実施例において、処理チャンバは少なくとも約2000cm2の表面積を有する基板の処理に用いられる。他の実施例において、処理チャンバは少なくとも約19500cm2(例えば、1300mm×1500mm)の表面積を有する基板の処理に用いられる。しかしながら、この装置及び方法は他のシステム構造においても有用性を有し、これには大面積の丸型基板を処理するために設計されたシステムも含まれる。
【0012】
図1は従来の物理気相蒸着(PVD)チャンバ1の処理領域の断面図を示す。従来のPVDチャンバ1は、一般的に、ターゲット8、真空チャンバ2、接地シールド3、遮蔽リング4、ターゲット電気絶縁体6、DC電源7、処理ガス源9、真空ポンプシステム13、及び基板支持部5を備えている。スパッタリング工程を実行するため、アルゴンのような処理ガスはガス源9から排気された従来のPVDチャンバ1内に導入され、DC電源7の使用によりターゲット8と接地シールド3の間で形成された負のバイアスによりプラズマが処理領域15内で形成される。一般的に、プラズマは、一次的にはターゲットバイアスに基づくターゲット表面からの電子の放出により、二次的には負の(陰極の)ターゲット表面に対するイオンの衝突によって生ずる二次放出により生成され、維持される。PVD処理ステップを行なう前、真空チャンバは真空ポンプシステム11を用いて基本圧力(例えば、10−6〜10−9Torr)まで減圧されるのが通常である。
【0013】
図1は、ターゲットの中心近傍のターゲットの表面から出射された電子(e−)の経路(A)と端部近傍のターゲットの表面から出射された電子の経路(B)の差を強調することによって、大面積基板処理チャンバにおけるプラズマの不均一性の原因の1つを説明するための図である。ターゲットの中心を離れる電子により形成される接地までの長い経路は、電子が陽極表面で消失し又はプラズマ中に含まれるイオンと再結合する前に、電子の衝突回数を増加する一方、ターゲット8から出射される電子の大部分は接地までの経路の低い電気抵抗によりターゲットの端部の近傍出射される。ターゲットの端部近傍から接地までの経路の小さな電気抵抗は、導電性ターゲット8の材料による低抵抗経路と、接地までの電子の経路の短い経路長(B)に基づく。低抵抗経路はターゲットの端部近傍の電流密度及びプラズマ密度を増加する傾向があり、それ故、ターゲット1の中央部に対し端部においてスパッタされる材料の量は増加する。
【0014】
(大きな陽極面積のハードウェア)
図2Aは、本明細書で説明される発明の態様を実施するために用いることができる処理チャンバ10の一実施例の縦断面図を示す。図2Aに示される構成において、処理チャンバ10は、処理領域15において陽極表面積を増大して、均等に分布するために用いられる1又はそれ以上の調節可能な陽極アセンブリ90を含んでいる。図2Aは、処理領域15内の処理位置に位置する基板12を示している。一般に、処理チャンバ10は上部アセンブリ20と下部チャンバアセンブリ35を含んでいる。上部アセンブリ20は、一般に、ターゲット24、上部エンクロージャ22、セラミック絶縁体26、1又はそれ以上のO−リングシール29、及びターゲット背面領域21に位置する1又はそれ以上のマグネトロンアセンブリ23を含んでいる。一般に、各々のマグネトロンアセンブリ23は、1対の対向する磁極(即ち、N極及びS極)を有する少なくとも1のマグネット27を備えており、これによってターゲット24及び処理領域15にわたる磁界(B)を形成する(図5Aにおける要素B)。図2Aは、ターゲット24の背面に位置する3個のマグネット27を含む1つのマグネトロンアセンブリ23を有する処理チャンバ10の一実施例の断面図を示す。本明細書で示される発明に有効に用いることができる典型的なマグネトロンアセンブリは、同一出願人に譲渡される2004年1月7日に出願された米国特許仮出願番号第60/534,952号に基づく優先権を主張する2004年7月7日出願された米国特許出願第10/863,152号に記載されており、この出願は特許請求の範囲に記載されている発明と矛盾しない範囲内で引用により全体として本明細書に一体化される。
【0015】
下部チャンバセンブリ35は、一般に、基板支持アセンブリ60、チャンバ本体アセンブリ40、シールド50、処理ガス配送システム45、及び遮蔽フレーム52を含む。遮蔽フレーム52は、一般に、基板端部を遮蔽し、処理の際に基板12及び基板支持部61の端部における堆積を防止し又は最小化するために用いられる(図2A参照)。チャンバ本体アセンブリ40は、一般に、1又はそれ以上のチャンバ壁41とチャンバ基部42を備えている。1又はそれ以上のチャンバ壁41、チャンバ基部42及びターゲット24は、一般に、下部真空領域16及び処理領域15を有する真空処理領域17を形成する。1の態様において、シールド50のシールド装着表面50Aはチャンバ壁40に形成された接地チャンバシールド支持部43上に装着され又はこれに連結されており、これによってシールド50を接地する。処理ガス搬送システム45は、一般に、1又はそれ以上の導入口45Bと流体的に連絡している1又はそれ以上のガス源45を備えており、導入口は下部真空領域16(図2Aに示されている)及び/又は処理領域15と直接的に連絡しており、これによって、プラズマ工程の際に用いられる処理ガスを搬送する。典型的には、PVD型の応用で用いられる処理ガスは、例えば、アルゴンのような不活性ガスであるが、窒素のような他のガスも用いることができる。
【0016】
基板支持アセンブリ60は、一般に、基板支持部61、基板支持部61を支持するために用いられるシャフト62、移動可能な真空シールを形成するためシャフト62及びチャンバ基部42にシール可能に連結されるベローズ63を含んでおり、これによって基板支持部61が昇降機構65によって下部チャンバセンブリ35内に位置することができる。昇降機構65は従来のリニアスライド(図示せず)、空気圧シリンダ(図示せず)、及び/又はリードスクリューに連結されているDCサーボモータ(図示せず)を備えていてもよく、これらは基板支持部61及び基板12を処理領域15内の所望の位置に位置するために用いられる。
【0017】
図2Aにおいて、下部チャンバセンブリ35は、一般に、基板昇降アセンブリ70、スリットバルブ46、及び真空ポンプシステム44を備えている。昇降アセンブリ70は、一般に、3又はそれ以上の昇降ピン74、昇降プレート73、昇降アクチュエータ71、及び昇降アクチュエータ71及びチャンバ基部42にシール可能に連結されたベローズ72を含んでおり、これによって中央搬送チャンバ(図示せず)から下部チャンバアセンブリ35内に延伸しているロボットブレード(図示せず)に位置する基板を排出し及び交換することができる。延伸しているロボットブレードはチャンバ壁41のアクセスポート32を介して下部チャンバセンブリ35内に挿入され、搬送位置(図示せず)に位置する基板支持部61の上方に位置する。真空ポンプシステム44(要素44A、44B)は、一般に、下部真空領域16及び処理領域15を所望の基本及び/又は処理圧力まで減圧するため、低温ポンプ、ターボポンプ、低温ターボポンプ、ラフポンプ、及び/又はルートブロワーを含んでいてもよい。スリットバルブ46を1又はそれ以上のチャンバ壁41に対して又はそこから隔離して位置するために用いられるスリットバルブアクチュエータ(図示せず)は、本技術分野で公知である従来の空気圧アクチュエータであってもよい。
【0018】
蒸着プロセスの際に処理チャンバ10の種々の要素及び処理変数を制御するため、コントローラ101が用いられる。処理チャンバの処理変数はコントローラ101を用いることにより制御することができ、これは典型的にはマイクロプロセッサを基本とするコントローラである。コントローラ101は使用者及び/又はプラズマ処理チャンバ内の種々のセンサから入力を受領し、この入力及びコントローラのメモリに保存されているソフトウェアの命令に従って、プラズマ処理チャンバの要素を適切に制御する。コントローラ101は、一般に、種々のプログラムを保存し、プログラムを処理し、必要な場合にプログラムを実行するため、コントローラによって用いられるメモリ及びCPUを含んでいる。メモリはCPUに連結されており、このメモリはランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク(登録商標)、ハードディスク、内部であるか外部かを問わずあらゆる形態のデジタル記録媒体のような容易に入手可能な1又はそれ以上のメモリであってもよい。ソフトウェアの命令及びデータは、CPUに命令するため、コード化され、メモリ内に保存されることができる。補助回路はプロセッサを補助するため、従来の方法でCPUに接続される。補助回路は、本技術分野で公知なキャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含むことができる。コントローラ101により読出し可能なプログラム(又はコンピュータの命令)は、プラズマ処理チャンバ内でどの作業を行なうかを決定する。好ましくは、プログラムはコントローラ101により読出し可能なソフトウェアであり、所定の規則及び入力データに基づきプラズマ工程をモニタし、制御する命令を含む。
【0019】
また、図2Aは1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリ90の一実施例を示し、これは下部チャンバアセンブリ35内に位置している。一般に、調整可能な陽極アセンブリ90は処理領域15を通じて延伸し、接地されている導電部材91を有し、これによって処理領域15内で形成されるプラズマは、ターゲット表面24Cの全領域に対する陽極表面の分布がより均一になることにより均一になる。1の態様において、導電部材91は、例えば、チタン、アルミニウム、白金、銅、マグネシウム、クロム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、リテニウム及び合金及び/又はこれらの組合わせのような導電性金属で形成されているワイヤ、複数のワイヤを含むケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュであってもよい。一般に、導電部材91は、ターゲットがバイアスされるときに生成される電流のかなりの部分を受領するのに十分な導電性を有する材料及びサイズに形成されている一方、処理の際に生じる高温下で堆積材料の重量で変形しない十分な融点と十分な強度を有する物質で形成される。高温は放射型熱移動及び導電部材91を通じる電流からのIR下降加熱により生じる傾向がある。導電部材91の種々の実施例は下記の図3A−D及び図4A−Bに示される。
【0020】
PVD蒸着プロセスを実行するため、コントローラ101は真空ポンプシステム44に処理チャンバ10を所定の圧力/真空状態まで排気するよう命令し、これによってプラズマ処理チャンバ10は真空状態にある中央搬送チャンバ(図示せず)に装着されたシステムロボット(図示せず)から基板を受領することができる。を処理チャンバ10に基板12を搬送するため、処理チャンバ10を中央搬送チャンバからシールしているスリットバルブ(要素46)が開口し、これによってシステムロボットがチャンバ壁41のアクセスポートを介して延伸することが可能になる。その後、リフトピンは、延伸しているロボットブレード(図示せず)から基板を持ち上げることにより、延伸しているシステムロボットから基板を除去する。その後、システムロボットは処理チャンバ10から引込められ、スリットバルブ46は閉鎖し、処理チャンバ10は中央搬送チャンバから分離される。その後、基板支持部61はリフトピン74から基板を上昇させ、基板をターゲット24の下方の所望の処理位置に移動する。その後、所望の基準圧力に達した後、所望の処理ガス流が処理領域15内に注入され、電源28を用いてターゲットにバイアス電圧を印加し、処理領域15にプラズマを発生させる。電源28によるDCバイアス電圧の印加により、ガスは処理領域15内でイオン化され、ターゲット表面に衝突し、基板支持部61の表面に位置する基板の表面に着地する金属原子を「スパッタ」する。図2Aに示される構成において、バイアス電圧の印加から生じる電流の一定割合は接地されている導電部材91を通じて流れ、これによって発生したプラズマは処理領域にわたってより均一に分布する。「接地」は、一般に、導電部材91と処理チャンバ内に位置する陽極表面の直接的又は非直接的な電気的接続を意味するものと理解されるべきである。1の態様において、導電表面91と陽極表面の間の電気的経路に抵抗、容電及び/又は誘電的要素を導入することにより、導電部材91を陽極表面に対して異なる電位でバイアスしてもよい。図3Aは処理領域15及び導電部材91の縦断面図であり、ターゲットから接地されている導電部材91までの電流の流れが概念的に示されている。本明細書に記載されている調整可能な陽極アセンブリ90の実施例の1つの利点は、接地までの経路の抵抗が低いことにより、所望の蒸着速度を達成するために必要なターゲットバイアス電圧を低減する傾向があることである。
【0021】
図3Bは処理領域15の縦断面図を示し、ターゲット24(要素24A、24B)、導電部材91及び基板支持部61上に位置する基板12を示している。図3Bは、イオン化されたガス原子、ここではアルゴン原子の効果を示し、この原子はターゲット材料24Aのターゲット表面24Cに衝突し、ここでターゲット原子(要素M)はあらゆる方向において表面からスパッタされ、基板支持部61上に位置する基板上に薄膜を形成する。一般的に、「スパッタ」されたターゲット原子(要素M)は非指向的(矢印A参照)にターゲットを離れ、スパッタされたターゲット原子(要素M)は基板表面上に堆積され、その上に薄膜11Aを形成し、導電部材91上に薄膜11Bを形成する。処理及び所定停止時に、導電部材91の温度はかなり変化し、それ故導電部材91上に堆積した薄膜11Bが導電部材91の形状を変化させ、又は堆積された材料が剥離し、処理されている基板でデバイス生産効率の問題を生じさせる微粒子を発生させる可能性がある。1の態様において、この問題を解決するため、導電部材91の表面はグリットブラスト荒仕上げ加工、化学エッチング又は他の従来の方法により荒仕上げ加工されていてもよく、これによって堆積された薄膜の導電部材91に対する機械的接着性を向上させることができる。一の態様において、堆積された薄膜の接着性を向上させるために、アルミニウムアークスプレイ、フレイムスプレイ又はプラズマスプレーコーティングを導電部材91の表面に施すこともできる。
【0022】
他の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90は、処理領域15で堆積された導電部材91の部分を、新たな又は堆積されていない導電部材91の表面で交換するために用いることができる。この構成は、堆積の均一性及び陽極表面を被覆している堆積物質により生じる微粒子の問題を最小化又は解決するのに役立つ。導電部材91の再配置が可能なことにより、かなりの時間と費用を要する処理領域に配置されている陽極表面を交換する必要性に起因するチャンバのダウンタイムを減らすことができる。従来の処理チャンバにおけるチャンバのダウンタイムのかなりの部分は、処理チャンバ要素が取扱可能な温度に冷却されるまでの待機、チャンバの開口及び真空状態を解除、使用済みの陽極表面を除去、新たな陽極要素の設置、チャンバの閉鎖、チャンバの排気及び加熱、及び処理のための処理チャンバの準備といった工程を完了するために生じる。従って、本明細書で説明される実施例では、陽極表面を交換する必要があるときに、これらの工程を行なう必要がなく、時間と費用を節約することができる。
【0023】
1の態様において、露出している導電体91の表面を再配置する工程を実行するため、調整可能な陽極アセンブリ90は送りローラアセンブリ96、支持ローラアセンブリ95、及び送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95と連結されている導電部材91を備えていてもよい。一般に、導電部材91は送りローラアセンブリ96からシールド50に形成された第1スロット50Bを介し、次いで処理領域15及びシールド50内に形成された第2スロット50Cを介して搬送され、ここで支持ローラアセンブリ95により回収される。図6において、一般的に、本明細書で用いられるスロットという用語(例えば、要素50B)は、シールドの1の表面から(要素50E)からシールドの他の表面(要素50F)までを連結するスリット、狭い開口、貫通口、間隙又は孔部を意味する。他の態様において、図2Aに示されるように、2つの配列ローラ94は、送りローラアセンブリ96と第1スロット50Bとの間、及び第2スロット50Cと支持ローラアセンブリ95との間に位置しており、導電部材91が処理領域15を通過するときに、これを支持し、配向する。導電部材91が処理の間に堆積されるような構成において、コントローラ101は支持ローラアセンブリ95及び/又は送りローラアセンブリ96の回転位置を調整し、導電部材91上の堆積されていない部分を処理領域15に移動し、導電部材91領域の堆積されている領域を処理領域から排出する。
【0024】
1の態様において、送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95の両方は移動制御アセンブリ116(図4A−C、後述)、スピンドル92、シールアセンブリ98(図4A−Bの要素98A−B、図4Dの要素98を参照)、及び回転アセンブリ97(図4A−Bの要素97A−B、図4Dの要素97)を含み、これらは導電部材91の張力を制御し、処理領域15内で導電部材91を移動し又は配置する工程を制御するために用いられる。
【0025】
一実施例において、コントローラ101は処理の際に導電部材91の位置を継続的に調節するために用いることができ、これによって堆積された薄膜の基板上での堆積均一性及びPVDプロセスにおける微粒子の挙動に影響を与える可能性を減少する。他の態様において、導電部材91は処理の際に一定の場所に位置し、基板の蒸着工程毎に再配置される。他の態様において、導電部材91は処理領域15において導電部材91の領域上で複数回の堆積工程が行われた後、再配置される。導電部材91の位置を制御を実行するため、送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95の各々は移動制御アセンブリ116を含み、これはエンコーダのような回転位置追跡装置を含んでいてもよく、これは導電部材91が体処理領域15を通過するときに、その位置、スピード及び張力を制御するために用いることができる。
【0026】
1の態様において、支持ローラアセンブリ95は移動制御アセンブリ116を含み、送りローラアセンブリ96はスプリング(例えば、捻れスプリング)で負荷されている。この構成において、送りローラアセンブリ96は導電部材91に張力が付加され続けるように用いられ、支持ローラアセンブリ95が処理領域15において導電部材91の位置及び送り速度を制御することができる。
【0027】
図3Bと同様に、図3Cは陽極表面、この場合、処理領域15における導電部材91の位置により生ずる問題を説明するためのものである。ある場合、導電部材91が基板12に近接しすぎると、導電部材91はターゲットの表面からスパッタされる材料から基板表面を遮蔽する傾向があり、これによって基板12の表面に形成される薄膜11に凹部11を形成させる。この問題は薄膜11Aにおいて不均一に関連する問題を生じさせるので、基板表面に対する導電部材91の位置はこの遮蔽効果を減少するために最適化させてもよい。導電部材91の基板12の表面に対する最適な距離は、処理領域15内のガス圧力、スパッタ工程のパワー及び基板12とターゲット表面24Cの間の距離に基づいて変化することができる。一般的に、導電体をターゲットと基板の約中間位置に位置することができる。例えば、基板とターゲットの間の距離が200mである場合、導電部材はターゲットから約100mmの位置に配置することができる。1の態様において、導電部材91はターゲット表面24Cから約70mm〜約130mmの間の固定した距離に配置される。
【0028】
図3Dを参照すると、1の態様において、導電部材91の形状は基板12の表面に対する導電部材91の遮蔽効果を減少するため変更することができる。図3Dは基板12の表面上に堆積された薄膜11Aへの導電部材91の遮蔽効果を減少するために、長円形の断面形状を有する導電部材の一実施例を示す。この長円の丸められている端部は、堆積された薄膜に形成される張力又は圧力の歪みに起因する導電部材91上に堆積された薄膜11Bの剥離を防止するのに有用である。本発明の他の態様において、導電部材91の断面は陽極表面の表面積を増加し、及び/又は導電部材91の遮蔽効果を減少するために形成することができる。
【0029】
図3A−Dは導電部材91の円形又は長円形断面を示しているが、本発明の他の実施例において、導電部材91は四角形、長方形、三角形、星型又は本発明の基本的な範囲を変えることがない他の有用な幾何学的形状を有していてもよい。1の態様において、導電部材の断面は円形であり、約0.5mmから約12.0mmの間の直径を有している。
【0030】
図4は処理チャンバ10の一実施例の上断面図であり、断面平面は、ターゲット24の下方で導電部材91の上方の処理領域15内に位置している。図4Aは処理領域15を通過する3つの導電部材91を有する実施例を示している。1の態様において、処理領域15を通過する導電体の数は、所望のプロセス均一性、コスト及び所望の利用で許容される複雑性により、約1〜130の間であってもよい。好ましくは、処理領域15を通過する導電体の数は約2〜10の間である。
【0031】
導電部材91を形成する断面積及び物質は、プロセスの際に生じる高温に耐える導電体の能力に影響を与えるので(例えば、耐熱性及びプラズマとの相互作用)、重要である。導電部材91の数及び処理領域15に露出している表面積、又は調整可能な陽極アセンブリ90の全表面積は、各々の導電部材91を通過する電流の量及び処理の際に各々の導電部材91が到達する最高温度に影響を与えるので重要である。調整可能な陽極アセンブリ90の全表面積は、処理領域における導電部材の長さ×導電部材の断面積の周囲の長さ×処理領域に位置する導電部材の数として定義される。基板のサイズが変化すると導電部材の長さが変化するので、各々の導電部材について「ユニット表面積」として知られるパラメータを用いるのが便利であり、これは単位長さあたりの各々の導電部材91の断面の周囲の長さである。例えば、直径が5.0mmの円形の導電部材について、ユニット表面積は約15.708mm2/mm(例えば、TT×D/1mm)、単一の2000mmの長さの導電部材については表面積は約31416mm2である。従って、2000mmの長さを有する直径5.0mmの導電部材を3個有する処理チャンバ10について、導電部材91の全表面積は約94248mm2となる。本発明の1の態様において、導電部材91の各々のユニット表面積は約1.5mm2/mm〜約75mm2/mmの間である。1の態様において、導電部材91の断面積は約0.2mm2〜約125mm2の範囲で変化してもよい。ある例において、1800mm×1500mmのサイズの基板について、導電部材91の表面積は約6.0mm2である。1の態様において、導電部材91の断面積は、ターゲットバイアスにより生成されるプラズマから導電部材91に送られる電流を送るためのサイズに形成される。ある例では、全ての導電部材により送られる総電流は約1000アンペアである。
【0032】
図4に示される構成において、導電部材91は単一の支持ローラアセンブリ95及び単一の送りローラアセンブリ96内に収容されるスピンドル92の周りに巻回されている。従って、導電部材91は送りローラアセンブリ96からシールド50内に形成された第1スロット50Bを介して送られ、基板支持部61(図示せず)上に位置する基板上を通過し、シールド50内に形成される第2スロット50Cを介して処理領域15に到達し、ここで支持ローラアセンブリ95に受領される。一般に、支持ローラアセンブリ95及び送りローラアセンブリ96は、材料が処理の際にそれらの上に堆積されるのを防止するため下部真空領域16内に位置しており、これによって処理チャンバ10の信頼性及び粒子の挙動に影響を与えることができる。第1スロット50Bと第2スロット50Cは、一般に、処理領域15からのプラズマの漏洩を防止し、スパッタされた材料が下部真空領域16内に保持されている要素に蒸着することを防止するサイズに形成されている。本発明の1の態様において、シールド50内に形成されたスロット50D、50Cのアスペクト比(即ち、直径及び/又は長さ)は、プラズマ及び堆積される材料の漏洩を防ぐようなサイズに形成されている。他の態様において、スロット50B、50Cは、スパッタされた材料を通過させて処理領域15の外部に導く経路を形成するシールド要素(図示せず)を有している。
【0033】
図4Aに示される図面と同様に、図4Bは処理チャンバ10の上断面図であり、これは調整可能な陽極アセンブリ90の表面積を増大するための追加的な交差部材91Bを有する導電部材91Aを有している。この方法において、導電部材91は導電部材91Aの所望のピッチを含むワイヤメッシュ、及び調整可能な陽極アセンブリ90の表面積を増加させる交差部材91Bであってもよい。この構成において、導電部材91A及び交差部材91Bはシールド50内に形成されたスロット50Dを介して処理領域15に向かって及びここから搬送される。1の態様において、要素91A、91Bを有している導電部材91は送りローラアセンブリ96及び支持ローラアセンブリ95内のスピンドル92の周りに巻回される。この構成は、処理領域15を通過する各々の導電部材91の間の電圧差を減少させるのに有用であり、これによってプラズマ密度の均一性及び堆積の均一性を向上させることが可能になる。
【0034】
図4Cに示される1の態様において、2セットの調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)は、調整可能な陽極アセンブリ90の各々における導電部材91が互いに所定の角度関係に配向され、1セットの導電部材91がターゲット24から異なる距離にあり、これによって異なる調整可能な陽極アセンブリ内の導電部材91の間の相互干渉を防止することができるように配向される。例えば、第1の調整可能な陽極アセンブリ90Aにおける3個の導電部材91は、第1の方向に配向され、ターゲットから第1の距離に位置し、他方4つの導電部材91を有する第2の調整可能な陽極アセンブリ90Bは第1の方向と直角な第2の方向に位置し、ターゲットから第1の距離より大きな第2の距離を介して位置する。1の態様において、2セットの調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)は、支持ローラアセンブリ95(要素95A−B)、送りローラアセンブリ96(要素96A−B)及び導電部材91を備えている。この方法において、陽極面積は処理領域15にわたってより均一に分布され、これは四角形形状の大面積基板を用いる場合に重要である。1の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90(要素90A、90B)の各々の電圧差は、接地までの経路の電気的特性(例えば、抵抗)を調整することにより変えることができ、これは処理均一性を調整するために有用である。
【0035】
図4Dは移動制御アセンブリ116の一実施例の断面図であり、これはスピンドル92を回転し、導電部材91が処理領域15を通過するとき導電部材91の位置、張力及び速度を調節するために用いられる。一般に、移動制御アセンブリ116はシールアセンブリ98及びモータアセンブリ97を備えている。一般に、シールアセンブリ98は移動アセンブリ97とスピンドル92に連結されているシャフト113と、装着プレート115と、少なくとも1つのシール部材112を備えている。この構成において、モータアセンブリ97の回転運動はスピンドル92に伝達され、チャンバ壁45外部の大気圧からスピンドル92に連結している下部真空領域16内部の真空圧を通過する。1の態様において、図4Dに示されるように、シール部材112は、シャフト113を回転させ、外部の汚染物質が処理チャンバ内に混入するのを防止するために用いられる2個のリップシール(要素112A、112B)である。1の態様において、単一のシール部材(要素112A、112B)にわたる圧力の低下を減少するため、2つのシール部材間の領域を異なって排気することが必要である。本発明の1の態様において、シール部材112は従来の磁性流体シール(例えば、ジョージア州、キャントンのスクーンオーバー(Schoonover Inc.)より購入されたもの)又は真空雰囲気において回転運動を部分に伝えるために本技術分野で公知である機械的に連結された回転フィードスルーである。従って、プレート115とチャンバ壁41の間に形成されているシール又はO−リングシールを用いることにより、大気中の汚染物質は下部真空領域16及び処理領域15から隔離することができる。
【0036】
一般に、アクチュエータアセンブリ97は、アクチュエータ117、モータをシールアセンブリ98に取付けるために用いられる装着ブラケット111、及びアクチュエータ117をシャフト113に接続するモータ連結部を備えている。1の態様において、アクチュエータ117の出力シャフトは捻りスプリング(図示せず)のような張力保持デバイスを介してシャフト113に連結されており、これによって支持ローラアセンブリ95及び送りローラアセンブリ96の両方のスピンドル92上に保持されている導電部材91に一定の力及び張力を与えることが可能になる。1の態様において、スリップリング又は回転水銀フィードスルーのような回転電気フィードスルーはスピンドル92に電気的に接続されており、これによって導電部材91からスピンドル92、シャフト113、モータシャフト117及び回転電気フィードスルー118を介して接地部まで電流が流れることが可能になる。1の態様において、アクチュエータ117は本技術分野で公知のDCサーボモータ又はステッパーモータであってもよい。
【0037】
(処理のためのマグネトロンの設計)
図5Aは本発明の一実施例を示し、ターゲット表面24C及び複数のマグネトロンアセンブリ(例えば、3個が示されている)の拡大図である。処理チャンバ10のこの構成において、複数のマグネトロンアセンブリ23(要素23A−B)は1又はそれ以上のマグネット27を備えている。典型的には、ターゲット物質の利用性を向上し、堆積の均一性を向上するため、マグネトロンアクチュエータ(図示せず)を用いてターゲット表面24Cに平行な方向にマグネトロンアセンブリを並進し、走査し、及び/又は回転するのが一般的である。一般に、PVD蒸着のプロセスの際、処理領域15で見出される電子の磁界(要素B)の封じ込めにより、処理領域15内で生成されたプラズマの大部分はマグネトロンアセンブリ23の下方で形成され、維持される。マグネトロンアセンブリ23は、マグネトロンアセンブリ23により生成された磁界の強さ及び方向により、PVD蒸着層の形状及び均一性に影響を与える。
【0038】
ターゲット24の中央に対してターゲット24の端部において、接地までの優先的な経路の抵抗の相違を均一化するため、マグネトロンの設計を変更し、マグネトロンアセンブリ23がターゲットの端部よりもターゲットの中心部でより高い磁界強度を有するようにしてもよい。他の態様において、ターゲット端部に対するマグネットの実際の位置により、ターゲットの表面におけるマグネットの並進、走査又は回転速度を調整することにより、ターゲットの中心上で単位時間毎により高い磁界強度が維持される(例えば、中央部において低速度であり、端部において高速度)。マグネトロンの中心近傍でより強力なマグネットを用い、マグネトロンの端部に対し中心部のマグネットの密度を増加し、ターゲット中心上に固定した追加的な強力な固定マグネットを配置し、又はマグネトロンがターゲットの背面を並進するときにターゲットの中心部での移動停止時間を増大することにより、より強力な磁界を形成することが可能になる。図5Aはターゲット24の中心部(要素23A)及び端部(要素23B)に位置する3つのマグネトロンを示す。本明細書で説明される発明で有効に利用することができるマグネトロンアセンブリにおけるマグネット配列に沿ってマグネトロンを移動するために用いられる並進機構は、2004年1月7日に出願された米国特許仮出願第60/534952号に基づく利益を主張する2004年6月7日に出願された同一出願人に譲渡される米国特許出願第10/863152号(AMAT8841)に記載されており、特許請求の範囲に記載されている本発明と矛盾しない範囲で全体として本明細書に一体化される。処理チャンバ10の最適な磁界プロファイルは、1の基板と他の基板、陽極(例えば、接地表面)から陰極(例えば、ターゲット)の面積の比、ターゲットから基板までの空間、処理圧力、ターゲット表面におけるマグネトロンの移動、堆積速度、及び蒸着される物質の種類により異なることに留意すべきである。
【0039】
しかしながら、マグネトロンの形状、磁界密度及びターゲットにおける走査プロファイルを調整することにより、大面積基板においてより均一な堆積プロファイルを達成することができる。図5Bは図2Aに示される処理チャンバ10の一実施例を示し、これはターゲット表面で形成される磁界密度を最適化するため複数のマグネトロンアセンブリ23(要素23A−B)を有するマグネトロンアセンブリを有している。
【0040】
中心部から端部への堆積層の厚さの変化を減少させることについてのマグネトロンの有効性は、ターゲット材料の磁気透過性により影響を受ける。従って、いくつかの場合において、マグネトロンの磁界パターンはターゲット24の材料の種類やその厚さに基づいて調整する必要がある。また、いくつかの場合において、中央部から端部への制御する最適なマグネトロンの磁界の有効性は限定的であり、従って、所望のプロセス均一性を達成するため、1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリ90、及び/又は堆積層との電気的接触を(後述する)組み合わせる必要がある。
【0041】
(堆積層との電気的接触)
図6A−Cは処理チャンバ10の一実施例を示し、ここで接地されている遮蔽フレーム52は基板12上の堆積層11に接触するために用いられ、これによって蒸着層11は陽極表面として作用する。従って、この構成は、処理領域内のプラズマの均一性を向上させるために堆積層11を陽極表面として用いることにより、処理中の陽極表面積を増加させている。図6Aは、支持部61及び基板12が接地されている遮蔽フレーム52と接触するときに、導電要素52Aが基板支持部61上に位置する基板12上の堆積層11と接触するように用いられる一実施例を示す。1の態様において、遮蔽フレーム52は導電線又はワイヤ(図6における要素52D)を用いてシールド50と直接的に接続されている。1の態様において、調整可能な陽極アセンブリ90及び第1スロット50B及び第2スロット50Cを有する処理シールド50が処理チャンバ10に追加的に加えられており(図5Aに示されている)、これによって陽極表面積を更に増大することが可能になる。図6A−Cに示されている処理チャンバ10は図2Aに示されている処理チャンバと同様であるため、説明を明確にするため同様の参照番号が示されている。
【0042】
一実施例において、導電要素52Aは遮蔽フレーム52の表面に設けられており、ブロック52Bを用いることにより保持されている。1の態様において、ブロック52Bは複数のネジ又はファスナー(図示せず)を用いて導電要素52Aを遮蔽フレームの下方にクランプしており、これによって導電要素52Aは遮蔽フレーム52と電気的に接触することができる。図6A−Bにおいて、導電要素52は、基板表面が導電要素52と接触していないときに生ずる圧縮されてない状態で示されている。図6Cにおいて、導電要素52Aは圧縮された状態で示されており、これによって基板12の表面に堆積された薄膜11と電気的に接触することができる。一般に、導電要素52Aは導電材料の薄いシート、ホイル又はロッドから形成され、発生されたプラズマから導電体薄膜11(図6A)への電流を送る。1の態様において、導電要素52Aの基板表面上への侵入は物理的に最小化されており、これによって基板の端部の無駄な領域を減少することができる。1の態様において、導電要素52Aは、例えば、チタン、ステンレス、銅、白金、金、真鍮、ハステロイCのような金属又は電気的接触部を形成するために用いられる他の材料により形成することができる。
【0043】
図6Dは、基板表面上に形成された導電層11(図6A)との電気的接触により堆積均一性を向上させるために用いることができる一連の方法工程200の一実施例を示す。蒸着プロセスは、一般に、基板を処理チャンバに挿入する(ステップ201)、基板を第1処理位置に配置する(ステップ203)、第1導電薄膜を堆積する(ステップ205)、基板を第2処理位置に配置する(ステップ207)、導電薄膜を堆積する(ステップ209)という工程を含んでいる。他の実施例において、本発明の基本的な範囲を変更することなく、方法ステップ200の手順を再構成し、変えることができ、1又はそれ以上のステップを除去することができ、2又はそれ以上のステップを単一のステップに組み合わせることができる。
【0044】
図6B及び6Dを参照すると、処理チャンバへの基板の挿入(ステップ201)は、コントローラ101が真空ポンプシステム44に処理チャンバ10を所定の圧力/真空度まで排気するように命じ、これによってプラズマ処理チャンバ10が典型的には同様に真空状態にある中央搬送チャンバ(図示せず)に装着されたシステムロボット(図示せず)から基板12を受領することができるときに完了する。処理チャンバに基板を搬送するため、中央搬送チャンバから処理チャンバ10を封止しているスリットバルブ(要素46)は開口し、これによってシステムロボットがチャンバ壁41のアクセスポート32を介して延伸することが可能になる。その後、リフトピン74は延伸しているロボットブレード(図示せず)から基板を持ち上げることにより、延伸しているシステムロボットから基板を除去する。その後、システムロボットは処理チャンバ10から回収され、スリットバルブは閉鎖し、処理チャンバ10を中央搬送チャンバから分離する。その後、基板支持部61はリフトピン74から基板を持ち上げ、基板12を所望の位置に移動する。
【0045】
ステップ203、即ち、第1処理位置への基板の配置(ステップ203)において、基板12が配置されている基板支持部61は、ターゲット24の下方の第1処理位置に移動される。この場合、第1処理位置において、基板は接地された遮蔽フレーム52の近傍に配置され、これによって次の方法ステップ205で堆積される薄膜が、基板の斜め領域(図6Aにおける要素12B)及び背面(図6Aにおける要素12C)及び露出している基板支持表面61Aをコーティングしないように遮蔽する。第1処理位置は、接地されている遮蔽フレーム52が基板の上方に位置しているが、基板の表面と電気的に接触しない位置である。
【0046】
第1導電体薄膜を堆積するステップ205は、第1処理位置に配置された基板(ステップ203)の表面に導電体層を堆積するプロセスステップである。1の態様において、堆積プロセスは基板の表面上への導電体層のスパッタリングを必要とし、これは最終堆積ステップ(例えば、ステップ209)の際に接地された支持フレームに十分な電流を送ることができるような連続層を形成する ために十分に厚く、これによって処理領域15において生成されたプラズマをより均一にすることが可能になる。1の態様において、導電体薄膜は約10オングストローム(Å)から約1000オングストローム(Å)の間である。一例として、堆積パワー約200kW、プロセス圧力約2.5ミリTorr(mT)で約10秒間モリブデン堆積プロセスを行い、約383オングストローム(Å)の厚さの薄膜を得ることができた。均一なプラズマ生成を促進するのに必要な第1導電体層の厚さは、蒸着薄膜の導電度により変化することができる。この工程で堆積されることができる薄膜の種類は、銅、アルミニウム、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−ネオジウム合金、タンタル、窒化タンタル、タングステン、コバルト、ルテニウム、金、チタン、窒化チタン、モリブデン及びこれらの他の組み合わせ及び合金を含むが、これに限定されない。
【0047】
ステップ207、又は第2処理位置への基板の配置(ステップ207)において、基板が位置する基板支持部61は、ターゲット表面24C(図6C)の下方の第2処理位置に移動される。この場合、第2処理位置において、基板支持部61は接地されている遮蔽フレーム52と係合し、基板12は接地されている遮蔽フレーム52と接触して配置される。第2処理位置は、最終堆積ステップ(例えば、ステップ209)の際に堆積される薄膜が基板12の表面に均一に蒸着される位置である。実際の第2処理位置は蒸着工程の際に用いられるプロセスパラメータにより変化し、これには一般に基板とターゲットの空間、堆積プロセス圧力、堆積プロセスパワーの設定、及びプロセスの際のマグネトロンの種類及びその動きが含まれる。
【0048】
最終ステップ、即ち第2導電体薄膜層の堆積(ステップ209)は、所望の薄膜厚を得るため、基板表面上に第2導電体層を堆積するために用いられる。一例において、モリブデン蒸着プロセスが、堆積パワー約200kW、プロセス圧力約2.5mTで約60秒間行われ、これによって2300オングストローム(Å)の薄膜厚さを得ることができた。第2導電体薄膜層は第1導電体薄膜層と完全に同一である必要はなく、従って反応スパッタリング方法(例えば、TaN、TiN)を用いて又は用いることなく行なうことができる。ステップ209が完了すると、典型的には基板は処理チャンバから排出され、逆にステップ201が続く。
【0049】
図6Eは、基板表面上に形成された導電体層11(図6A)と電気的な接触を形成することにより、堆積均一性を向上させるために用いることができる一連の方法ステップ210の一実施例を示す。図6Eに示されている堆積方法は、追加的なステップ206が加えられた点を除き、図6Dに示される方法ステップと同一である。他の実施例において、発明の基本的な範囲を変えることなく、方法ステップ201の順序を再構成し、変換し、1又はそれ以上の工程を除去し、2又はそれ以上の工程を単一のステップに組合せることもできる。
【0050】
方法ステップ206、即ち、基板からの残留電荷の除去は、基板に残留している残留電荷を放電するために用いられるステップであり、これによって基板が接地されている遮蔽フレームと接触するときのアーク放電を防止することができる。残留電荷は、プラズマプロセス又は他の電荷生成プロセスの際に電気的に浮いている基板で形成されることがある。保持される電荷は、基板表面(又は浮いている基板支持部61)と第1導電体薄膜の堆積(ステップ205)又は他のその前のプロセスステップで形成されるプラズマとの相互作用に基づき、基板12(又は浮いている基板支持部61)に形成されることがある。捕獲された電荷の急激な放電はアーク放電を生じさせ、基板表面に形成されたデバイスを損傷することがある。従って、デバイスの損傷を防止するため、残留電荷除去工程206は図6で示される方法ステップに加えられた。一般に、基板における残留電荷除去工程206は、遮蔽フレーム52と基板の表面上に形成されている薄膜11の間の電気的接触の前に、接地されている遮蔽フレーム52と基板12との間の電位差を減少することにより行なわれる。
【0051】
1の態様において、電位差を小さくするため、接地されている遮蔽フレーム52と基板支持部は、接地されている遮蔽フレーム52が基板12に形成された薄膜と電気的に接触する前に(図6G)、接地されている遮蔽フレーム52が基板支持部61と電気的に接触するように設計されている。遮蔽フレーム52が基板12より前に基板支持部61と接触することにより、基板支持部61の残留電荷は消失し、基板を介したアーク放電が防止される。この作業を実行するため、接地されている遮蔽フレーム52又は基板61は導電性スプリング52E(図6G)を備えていてもよく、これによって接地されている遮蔽フレーム52が基板12に接触する前に、接地されている遮蔽フレームを基板支持部61に接触させる。
【0052】
他の態様において、ステップ206は、遮蔽フレーム52が基板12上に形成された薄膜11と電気的に接触する前に、遮蔽フレーム52を接地から分離し、その後基板支持部61を遮蔽フレーム52と電気的に接触することができる接地されている表面を有する基板支持部61と電気的に接触させることにより行なうことができる。遮蔽フレーム52は2つの要素の接触を物理的に防止することにより、陽極表面(例えば、シールド50)から分離することができる。1の態様において、絶縁体53(図6F参照)を遮蔽フレーム52をシールド50から分離するために用いることができる。遮蔽フレーム52を基板12より前に基板支持部61と接触させることにより、基板支持部61における残留電荷を放電させ、基板12を介するアーク放電を防止することができる。この作業を実行するため、上述した導電体スプリング52C(図6G)を用いることができる。
【0053】
他の態様において、基板からの残留電荷除去ステップ206は、遮蔽フレーム52が基板12上に形成された薄膜11に電気的に接触する前に、遮蔽フレーム52を接地から分離し(即ち、電気的に浮いている)、その後、遮蔽フレーム52を基板支持部61及び基板12と電気的に接触することにより行なうことができる。1の態様において、このステップを実行するため、基板支持部61は、浮いている遮蔽フレーム52が基板12の表面上に形成された基板11と接触する前に、RFでバイアスされる。この構成において、基板支持部61は浮いている遮蔽フレーム52と基板12と基板支持部61を静電的にRF結合するために用いられるバイアス可能な要素(図6Aにおける要素61B)を含んでいてもよく、これはRF電源67及びバイアス可能な要素と連結されているRFマッチング装置66(図6A参照)を用いて行われる。基板支持部61のRFバイアスにより形成されたRFにより生成されるプラズマの利用により、浮いている遮蔽フレーム52と基板12がステップ207で違いに接触する前に、これらは同一電位となることができる。1の態様において、RFバイアスはRF周波数13.56MHzにおいて約100ワット〜約6000ワットの間でよく、アルゴンが多い雰囲気中で約1.0mT〜約6.0mTのチャンバ圧力がステップ207の実行前及び実行の間に基板に用いられる。
【0054】
図6Fは遮蔽フレーム52の一実施例の等大の断面図であり、これはその下方に導電体要素52を有している。この構成において、導電要素52Aは導電要素52に形成された複数の導電体フィンガー52Cを含んでおり、これによって基板12の表面に形成された導電体薄膜と繰り返して均一に接触することが可能になる。1の態様において、導電体フィンガー52Cは、基板12の周りの全てと接触する単一の連続部材の一部であってもよい。他の態様において、導電要素52Aの複数の分離したセクションが遮蔽フレーム52の下方の周りに配置されていてもよく、導電体要素52を形成するために材料の単一の一体部材を形成する必要がなくなる。
【0055】
上述した説明は本発明の実施例を対象としているが、本発明の他の及び更なる実施例は本発明の基本的範囲から逸脱することなく案出することができ、その範囲は特許請求の範囲により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の上述した構成の詳細な理解と上記部分で要約されている本発明のより具体的な説明は実施例を参照することにより得られるものであり、これらは添付図面に記載されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施例のみを記載したものであり、従って、本発明は他の同等に効果的な実施例を含むものであり、図面は本発明の範囲を限定するものではない。
【図1】従来の物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図2A】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図3A】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3B】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3C】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図3D】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【図4A】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4B】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4C】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の横断面図である。
【図4D】本発明の態様を効果的に実施することができる図4A−4Cに示される移動アセンブリの横断面図である。
【図5A】典型的な物理気相蒸着チャンバで用いることができるターゲット及びマグネトロンアセンブリの縦断面図である。
【図5B】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6A】典型的な物理気相蒸着チャンバに形成される処理領域の縦断面図である。
【図6B】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6C】典型的な物理気相蒸着チャンバの縦断面図である。
【図6D】本発明の種々の実施例に係る基板上に均一な層を堆積する方法の工程のフローチャートである。
【図6E】本発明の種々の実施例に係る基板上に均一な層を堆積する方法の工程のフローチャートである。
【図6F】典型的な物理気相蒸着チャンバの処理領域の等大の断面図である。
【図6G】典型的な物理気相蒸着チャンバ内に形成される処理領域の縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズマ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、アクチュエータの使用により、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項2】
処理領域と接触する基板の表面の表面積は少なくとも19500mm2である請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項3】
処理領域外に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、
処理領域外に位置し、第2陽極部材と連結している支持ローラアセンブリとを備えた請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項4】
第2陽極部材は、ワイヤ、複数線のケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュである請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項5】
第2陽極部材は、チタン、アルミニウム、白金、金、銀、銅、マグネシウム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、ルテニウムからなる群から選択される金属で形成される請求項4記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項6】
第2陽極部材の断面は長円形、楕円形、円形、正方形、四角形、星型又は三角形の形状を有する請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項7】
一般的にターゲットの表面の近傍に位置するマグネトロンアセンブリを備え、マグネトロンアセンブリはターゲットの端部に対しターゲットの中心部の近傍がより強い磁界強度を有するように用いられる請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項8】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、処理領域を包囲する1又はそれ以上の壁部と、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第1スロットと、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第2スロットとを備えた陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、
1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、この陽極アセンブリは第1スロット及び第2スロットを介して延伸しており、処理領域と接触する第2陽極部材と、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結されている支持ローラアセンブリを備え、送りローラアセンブリと支持ローラアセンブリは処理領域内で第2陽極部材の表面の位置を共同して調節するために用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項9】
第2陽極部材は、ワイヤ、複数の線を含むケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュである請求項8記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項10】
第2陽極部材は、チタン、アルミニウム、白金、金、銀、銅、マグネシウム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、ルテニウムからなる群から選択される金属で形成されている請求項9記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項11】
第2陽極部材の断面は長円、楕円、円、正方形、四角形、星、又は三角形の形状を有する請求項8記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項12】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズマ理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置する基板受領表面を有する基板支持部を備え、基板受領表面に位置する基板は処理領域と接触しており、
処理領域と接触する表面と、陽極シールドと電気的に連絡している導電体要素を有する遮蔽フレームを備え、導電体要素は基板受領表面に位置する基板上に形成された金属層と接触するように用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項13】
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項14】
処理領域と接触する基板の表面の表面積は少なくとも19500mm2である請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項15】
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域の内部に位置することができる請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項16】
処理チャンバの処理領域内に装着された基板支持部に基板を配置し、
プラズマ処理チャンバの処理領域内の第1処理位置に基板を位置し、
基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、
プラズマ処理チャンバの処理領域内の第2処理位置に基板を位置し、第2処理位置への基板の配置はプラズマ処理チャンバ内の陽極表面と電気的に連絡している遮蔽フレームと電気的に接触する基板の表面に堆積層を配置する工程を含み、
基板支持部上に配置した基板の表面に層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法。
【請求項17】
導電部材の表面及び基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、
プラズマ処理チャンバが大気圧以下の圧力のときに処理領域内に導電部材の表面を位置し、導電部材の表面は処理領域内に位置する前に処理領域外に位置するプラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板の表面に薄膜を堆積する方法。
【請求項18】
導電体表面を配置する方法は、導電体の表面上への層の堆積が行われている間に行われる請求項17記載の方法。
【請求項19】
導電部材の第1表面と、プラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板支持部に位置する第1基板の表面に層を堆積し、
1又はそれ以上のアクチュエータを用いて、処理領域から導電部材の第1表面を移動し、処理領域に導電部材の第2表面を位置し、第1表面を移動する工程と第2表面を位置する工程は処理領域が大気圧より低い圧力である間に完了し、
プラズマ処理チャンバから第1基板を移動し、
導電部材の第2表面とプラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板支持部上に位置する第2基板の表面に第2の層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法。
【請求項1】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズマ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、アクチュエータの使用により、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項2】
処理領域と接触する基板の表面の表面積は少なくとも19500mm2である請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項3】
処理領域外に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、
処理領域外に位置し、第2陽極部材と連結している支持ローラアセンブリとを備えた請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項4】
第2陽極部材は、ワイヤ、複数線のケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュである請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項5】
第2陽極部材は、チタン、アルミニウム、白金、金、銀、銅、マグネシウム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、ルテニウムからなる群から選択される金属で形成される請求項4記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項6】
第2陽極部材の断面は長円形、楕円形、円形、正方形、四角形、星型又は三角形の形状を有する請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項7】
一般的にターゲットの表面の近傍に位置するマグネトロンアセンブリを備え、マグネトロンアセンブリはターゲットの端部に対しターゲットの中心部の近傍がより強い磁界強度を有するように用いられる請求項1記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項8】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズ処理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、処理領域を包囲する1又はそれ以上の壁部と、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第1スロットと、1又はそれ以上の壁部の1つを介して形成される第2スロットとを備えた陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置し、基板受領表面を有している基板支持部を備え、基板受領表面上に位置する基板の表面は処理領域と接触しており、
1又はそれ以上の調整可能な陽極アセンブリを備え、この陽極アセンブリは第1スロット及び第2スロットを介して延伸しており、処理領域と接触する第2陽極部材と、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結している送りローラアセンブリと、処理領域の外部に位置し、第2陽極部材と連結されている支持ローラアセンブリを備え、送りローラアセンブリと支持ローラアセンブリは処理領域内で第2陽極部材の表面の位置を共同して調節するために用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項9】
第2陽極部材は、ワイヤ、複数の線を含むケーブル、金属リボン、シート、又はワイヤメッシュである請求項8記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項10】
第2陽極部材は、チタン、アルミニウム、白金、金、銀、銅、マグネシウム、マンガン、ステンレス、ハステロイC、ニッケル、タングステン、タンタル、イリジウム、ルテニウムからなる群から選択される金属で形成されている請求項9記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項11】
第2陽極部材の断面は長円、楕円、円、正方形、四角形、星、又は三角形の形状を有する請求項8記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項12】
処理領域を有するプラズマ処理チャンバと、
プラズマ理チャンバに位置し、その表面が処理領域と接触するターゲットと、
プラズマ理チャンバ内に位置し、その表面が処理領域と接触する陽極シールドと、
プラズマ処理チャンバ内に位置する基板受領表面を有する基板支持部を備え、基板受領表面に位置する基板は処理領域と接触しており、
処理領域と接触する表面と、陽極シールドと電気的に連絡している導電体要素を有する遮蔽フレームを備え、導電体要素は基板受領表面に位置する基板上に形成された金属層と接触するように用いられる基板上に層を堆積するためのプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項13】
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域内に位置することができる請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項14】
処理領域と接触する基板の表面の表面積は少なくとも19500mm2である請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項15】
処理領域内に位置する第1表面と処理領域外に位置する第2表面とを有する第2陽極部材を備え、第1表面は処理領域から移動されることができ、第2表面は処理領域の内部に位置することができる請求項12記載のプラズマ処理チャンバアセンブリ。
【請求項16】
処理チャンバの処理領域内に装着された基板支持部に基板を配置し、
プラズマ処理チャンバの処理領域内の第1処理位置に基板を位置し、
基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、
プラズマ処理チャンバの処理領域内の第2処理位置に基板を位置し、第2処理位置への基板の配置はプラズマ処理チャンバ内の陽極表面と電気的に連絡している遮蔽フレームと電気的に接触する基板の表面に堆積層を配置する工程を含み、
基板支持部上に配置した基板の表面に層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法。
【請求項17】
導電部材の表面及び基板支持部上に位置する基板の表面に層を堆積し、
プラズマ処理チャンバが大気圧以下の圧力のときに処理領域内に導電部材の表面を位置し、導電部材の表面は処理領域内に位置する前に処理領域外に位置するプラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板の表面に薄膜を堆積する方法。
【請求項18】
導電体表面を配置する方法は、導電体の表面上への層の堆積が行われている間に行われる請求項17記載の方法。
【請求項19】
導電部材の第1表面と、プラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板支持部に位置する第1基板の表面に層を堆積し、
1又はそれ以上のアクチュエータを用いて、処理領域から導電部材の第1表面を移動し、処理領域に導電部材の第2表面を位置し、第1表面を移動する工程と第2表面を位置する工程は処理領域が大気圧より低い圧力である間に完了し、
プラズマ処理チャンバから第1基板を移動し、
導電部材の第2表面とプラズマ処理チャンバの処理領域に位置する基板支持部上に位置する第2基板の表面に第2の層を堆積する基板上に薄膜を堆積する方法。
【図1】
【図2A】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図2A】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【公開番号】特開2007−23376(P2007−23376A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−326956(P2005−326956)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326956(P2005−326956)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]