説明

射出成形体の製造方法、燈体の製造方法、燈体の製造装置および燈体

【課題】一の半製品を二種類の材料で構成することができる射出成形体の製造方法、手間をかけずに遮光領域を有した燈体を製造することができる燈体の製造方法、燈体の製造装置、および遮光領域を確実に確保することができる燈体を提供する。
【解決手段】レンズ部2とハウジング4を備えた燈体1において、レンズ部2の一部に遮光部2dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形体の製造方法、燈体の製造方法、燈体の製造装置および燈体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両などに搭載されるサイドターンランプなどの各種車両用ランプが知られている(例えば、特許文献1参照)。車両用ランプは、レンズ部とハウジングとを備えている。ここで、一般的にはレンズ部は透明の樹脂材料で形成され、ハウジングに取り付けられた電球やLEDの光がレンズ部を透過してランプの点滅状態を確認する。
【特許文献1】特開2002−46141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した車両用ランプからの光はレンズ部を透過して発散されるが、その光を視界に捉えることにより例えば運転者が眩しく感じる場合などがあった。この問題を解消するために、車両用ランプにさらにカバー体を被せたり、マスキングテープなどを貼着させたりして遮光領域を形成していた。しかしながら、上述の対応では、カバー体やマスキングテープが経年的に脱落したりする虞があることや、製造過程において手間がかかるといった問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、一の半製品を二種類の材料で構成することができる射出成形体の製造方法、手間をかけずに遮光領域を有した燈体を製造することができる燈体の製造方法、燈体の製造装置、および遮光領域を確実に確保することができる燈体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、同一型内で、複数の半製品を一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記半製品同士を型に保持された状態で突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形した射出成形体の製造方法において、前記一次射出時に、少なくとも一つの前記半製品の一部に凹陥部を形成するように材料を射出し、前記二次射出時に、前記凹陥部に別の材料を射出して前記半製品を成形することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載した発明は、レンズ部とハウジングとを一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記レンズ部と前記ハウジングとを突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形した燈体の製造方法において、前記一次射出時に、前記レンズ部の一部に凹陥部を形成し、前記二次射出時に前記凹陥部に遮光性材料を射出して遮光部を有するレンズ部を成形することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記遮光部と前記ハウジングとが同一の材料で構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記凹陥部および前記突き合わせ部に同時に二次射出されて、前記レンズ部に前記遮光部が形成されるとともに、前記レンズ部と前記ハウジングとが一体化成形されることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載した発明は、レンズ部を射出成形するための金型と、ハウジングを射出成形するための金型と、を備え、前記レンズ部と前記ハウジングとを一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記レンズ部と前記ハウジングとを突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形可能に構成された燈体の製造装置において、前記レンズ部の一部に凹陥部を形成するための第一成形用金型と、前記凹陥部に射出して前記レンズ部を成形するための第二成形用金型と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載した発明は、レンズ部とハウジングとを備えた燈体において、前記レンズ部の一部に遮光部が形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載した発明は、前記遮光部と前記ハウジングとが同一の材料で形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、半製品を製造する際に半製品の一部に凹陥部を形成し、その凹陥部に別の材料を射出して半製品を製造するため、二種類の材料で構成された半製品を備えた射出成形体を製造することができる効果がある。また、半製品の製造工程において一次射出時に凹陥部を形成し、二次射出時にその凹陥部に射出材料を流し込むことで所望の半製品を得ることができるため、手間をかけずに二種類の材料で構成された半製品を備えた射出成形体を製造することができる効果がある。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、レンズ部を製造する際にレンズ部の一部に凹陥部を形成し、その凹陥部に遮光性材料を射出してレンズ部を製造するため、遮光領域が確実に確保されたレンズ部を備えた燈体を製造することができる効果がある。また、レンズ部の製造工程において一次射出時に凹陥部を形成し、二次射出時にその凹陥部に射出材料を流し込むことで所望のレンズ部を得ることができるため、手間をかけずに遮光領域を有した燈体を製造することができる効果がある。
【0014】
請求項3に記載した発明によれば、燈体に使用する射出材料の種類を少なくすることができるため、材料費や製造装置にかかる費用を低減することができる効果がある。
【0015】
請求項4に記載した発明によれば、凹陥部と突き合わせ部に同時に遮光性材料を二次射出することで、遮光部の形成およびレンズ部とハウジングとの一体化成形が同時に行われるため、製造工程を増やすことなく、効率よく燈体を製造することができる効果がある。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、従来の燈体を一体化成形するための製造装置に、第一成形用金型を付加するだけで遮光部を有する燈体を製造することができるため、製造装置に費用をかけることなく実現することができる効果がある。また、製造装置内で自動的に遮光部を有する燈体を製造することができるため、作業員の手に触れることなく、高品質の燈体を得ることができる効果がある。
【0017】
請求項6に記載した発明によれば、レンズ部の一部に形成された遮光部により、光を必要とする方向のみに光を発散させ、光を必要としない領域には光を遮断することができる。また、遮光部がレンズ部の一部として形成されているため、遮光領域を確実に確保することができる効果がある。
【0018】
請求項7に記載した発明によれば、燈体に使用する射出材料の種類を少なくすることができるため、材料費や製造装置にかかる費用を低減することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、成膜成形装置を用いて車両用ランプを製造する場合の説明を行う。
図1に示すように、車両用ランプ1は、レンズ部2と、電球3が組み込まれるハウジング4とで構成されている。レンズ部2およびハウジング4は半割り製品である一次製品として可動金型51、固定金型52でそれぞれ一次射出により成形し、可動金型51をスライド移動させてハウジング4の内面を成膜した後に、可動金型51をスライド移動させて両一次製品同士を突き合わせ、その突き合わせ部5に樹脂材を二次射出して一体化成形される。
【0020】
図2に示すように、レンズ部2とハウジング4とで構成される中空部6に、電球3が配置されている。電球3には、導電性の端子7が接続されている。また、端子7はハウジング4の裏面27の略中央部に形成されたソケット部8内に配置され、端子の先端部7bはソケット部8内に露出している。
【0021】
レンズ部2は平面視略楕円形状で、椀形状に形成されており、開口周縁部2aにおいてハウジング4と接合されている。ここで、レンズ部2の表面2bの一部(レンズ部2の長径方向一端)には凹陥部2cが形成されている。また、凹陥部2cには遮光性材料が、レンズ部2の表面2bが平滑になるように充填され、遮光部2dとして形成されている。ここで、レンズ部2における遮光部2d以外は、例えば透明のアクリル樹脂で構成され、遮光部2dはハウジング4の材料と同一の遮光性のポリカーボネート樹脂で構成されている。なお、遮光部2dの材料はハウジング4と異なる遮光性材料を用いてもよい。
【0022】
一方、ハウジング4は、電球(バルブ)3が取付けられる台座部21と、台座部21の外周縁から水平方向(左右方向)へ延設しているフランジ部22とで一体成形されている。フランジ部22の端縁部22aにおいて、レンズ部2と接合されている。なお、ハウジング4は、例えば、上述したようにポリカーボネート樹脂で構成されている。また、電球3はLEDでもよい。
【0023】
そして、レンズ部2とハウジング4とが突き合わされた状態で、その突き合わせ部5に樹脂材を二次射出して車両用ランプ1が一体化成形される。ここで、突き合わせ部5の樹脂材は、ハウジング4の材料と同じ材料で構成されている。本実施形態においては、突き合わせ部5の樹脂材はポリカーボネート樹脂からなる。なお、突き合わせ部5は、レンズ部2と同じ材料を採用してもよい。
【0024】
次に、車両用ランプ1を成膜成形するための製造装置50について説明する。
図3に示すように、製造装置50は、主として可動金型51と固定金型52とで構成されている。可動金型51には、レンズ部2を型形成するための成形用型面53、ハウジング4を型形成するための成形用型面54が形成され、固定金型52には、レンズ部2に凹陥部2cを型形成するための成形用型面55、レンズ部2を型形成するための成形用型面56、ハウジング4を型形成するための成形用型面57および成膜装置40を収容するための成膜用型面58が形成されている。なお、成形用型面53〜57および成膜用型面58は、可動金型51および固定金型52にそれぞれ着脱自在に取り付けられたものである。
【0025】
ここで、成形用型面55には、レンズ部2の凹陥部2cの形状に沿うようにキャビティが形成されている。また、成形用型面56には、レンズ部2の表面2bの形状に沿うようにキャビティが形成されている。
【0026】
また、可動金型51は、図示しないアクチュエータ(サーボモータやシリンダ)により金型同士の近接・離間方向の移動と、型表面に沿った移動とができるように構成されている。
さらに、各型面において射出成形をする際にキャビティ内に射出材料を供給するための配管(バルブゲート)75が各所に設けられている。
【0027】
成膜装置40は、公知の真空蒸着装置であり、成膜用型面58、成膜空間を真空にする真空ポンプ41、真空ポンプ41にバルブ42を介して接続される真空流路43、蒸着する金属(例えば、アルミニウムやクロム)を入れるボート(ターゲット)44、ボート44を加熱するためのヒータ45、およびヒータ45用の電源46などを備えて構成されている。
【0028】
次に、車両用ランプ1を成膜成形するための成膜成形装置10について図4を用いて説明する。
図4に示すように、成膜成形装置10は、筐体11内に製造装置50が配置されたものである。製造装置50は、可動金型51と固定金型52とで構成されている。また、可動金型51と固定金型52とを型締めするためのトグル機構を有する型締め装置70が、製造装置50の可動金型51に連接されている。
【0029】
筐体11の上面には、筐体11内を空調・換気するための空調機77が取り付けられており、筐体11に形成された開口部76に空調機77の下部に設けられた吹出口78が挿通され、筐体11内に空調空気を吹き出し可能に構成されている。また、筐体11の側面などには、適宜点検口12が設けられている。例えば、製造装置50の側面に対応した位置に点検口12が設けられており、容易に開閉可能に構成されている。ここで、点検口12は気密性を確保することができるタイプのものを採用することが好ましい。
【0030】
また、筐体11の側面において、製造装置50などに対応した位置近傍は透明ガラスなどで構成し、筐体11内を視認できることが好ましい。
また、筐体11の側部近傍には、射出成形用の樹脂材料が収容された射出材料供給装置81と、成膜用の真空ポンプ41および電源46とが配置されている。
【0031】
型締め装置70は、駆動部71とアーム部72とを備えている。アーム部72の一端に接続されている駆動部71に、制御部などが収容されており、制御部からの信号によりアーム部72が可動するように構成されている。また、アーム部72の他端には、可動金型51が接続されている。そして、アーム部72が可動することで、可動金型51が合わせて移動し、可動金型51と固定金型52とを型締め可能に構成されている。
【0032】
射出材料供給装置81は、筐体11外に配置され、材料を収容しているタンク89と、材料を金型に形成されたキャビティへ供給する供給配管90と、供給配管90の途中に設けられ、供給経路を開閉可能に構成されたバルブ91とを備えている。供給配管90は、その途中で筐体11を貫通し、筐体11内へと導かれ、各金型内に設けられた配管(バルブゲート)75へ接続され、材料を各キャビティ内へ供給可能に構成されている。タンク89内に収容されている材料は、図示しない制御部からの指示によりバルブ91を開状態にした後、供給配管90および金型内に設けられた配管(バルブゲート)75を介して、金型のキャビティ内へ供給され、一次射出および二次射出可能に構成されている。なお、複数の材料を用いて射出成形する場合には、射出材料供給装置81は、材料の種類分の装置が設けられることとなる。
【0033】
成膜装置40に備えられている真空ポンプ41および電源46は、筐体11外に配置され、真空ポンプ41はそれに接続している真空流路43の途中で筐体11を貫通し、筐体11内へと導かれ、成膜を行う空間内へ接続されている。また、電源46には配線が接続され、その配線が筐体11を貫通して、ヒータ45へ接続されている。なお、真空ポンプ41および電源46は、筐体11内に配置されていてもよい。
【0034】
次に、車両用ランプ1を成膜成形する工程について、図5〜図10を用いて説明する。なお、成膜成形装置10が稼動している間は、空調機77も連動して稼動しており、筐体11内がクリーンルーム化されている。
【0035】
図5(A)に示すように、可動金型51の成形用型面53が固定金型52の成形用型面55に対向するように配置する。
【0036】
図5(B)に示すように、可動金型51を固定金型52方向に移動して、型締め装置70にて可動金型51と固定金型52とを、トグル機構が機能するように型締めする。この状態で、レンズ部2を構成する材料(例えば、透明のアクリル樹脂)を一次射出する。ここで、一次射出する際は、射出材料供給装置81から供給された材料が配管(バルブゲート)75を介して、レンズ部2を成形するためのキャビティに供給される。
【0037】
図6(C)に示すように、レンズ部2の一次射出完了後、可動金型51を型開き方向に移動する。このとき、レンズ部2は可動金型51側に残るように型設計されている。ここでは、凹陥部2cが形成された状態のレンズ部2が成形される。
【0038】
図6(D)に示すように、可動金型51を型表面に沿う方向(水平方向)に移動して、成形用型面54が固定金型52の成形用型面57に対向するように配置する。
【0039】
図7(E)に示すように、可動金型51を固定金型52方向に移動して、型締め装置70にて可動金型51と固定金型52とを、トグル機構が機能するように型締めする。この状態で、ハウジング4を構成する材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)を一次射出する。ここで、一次射出する際は、射出材料供給装置81から供給された材料が配管(バルブゲート)75を介して、ハウジング4を成形するためのキャビティに供給される。
【0040】
図7(F)に示すように、ハウジング4の一次射出完了後、可動金型51を型開き方向に移動する。このとき、ハウジング4は可動金型51側に残るように型設計されている。また、レンズ部2は固定金型52側に残るように型設計されている。
【0041】
図8(G)に示すように、可動金型51を型表面に沿う方向(水平方向)に移動して、成形用型面54(ハウジング4)が固定金型52の成膜用型面58に対向するように配置する。
【0042】
図8(H)に示すように、可動金型51を型締め方向に移動してハウジング4が成形されている成形用型面54と成膜装置40が内蔵された成膜用型面58により、封止状の成膜空間が形成された後、バルブ42を開放して成膜空間内の空気を真空ポンプ41により真空流路43から抜き、成膜空間を真空状態にする。
【0043】
この状態で、ボート44へ配置された成膜材料は、電源46により加熱したヒータ45により溶融され、蒸気化される。そして、蒸気化された金属材料からなる成膜材料により、ハウジング4における成膜用型面58から露出した面が成膜され、成膜面66が形成される。なお、成膜工程では部材組み込み部67は図示しないマスキング材でマスキングされ、成膜面66が形成されないように構成されている。なお、成膜材料としては、例えばアルミニウムを使用する。
【0044】
図9(I)に示すように、成膜完了後、可動金型51を型開き方向に移動して、ハウジング4を成膜用型面58から離間させる。
【0045】
図9(J)に示すように、可動金型51側の成形用型面54(ハウジング4)と固定金型52の成形用型面56(レンズ部2)とが対向するように、可動金型51を型表面に沿う方向(水平方向)に移動する。そして、電球3および端子7を図示しない部材組み込み装置よりハウジング4の部材組み込み部67に組み込む。なお、部材を組み込むタイミングは、レンズ部2とハウジング4とが対向する位置に配置される前に行ってもよい。
【0046】
図10(K)に示すように、可動金型51を固定金型52方向に移動して型締めし、この型締め状態で、レンズ部2の凹陥部2cおよびレンズ部2とハウジング4との突き合わせ部5に樹脂材を二次射出することで一体化成形する。ここで、樹脂材は射出材料供給装置81より供給される。また、ここで供給される樹脂材は、ハウジング4と同じ遮光性のポリカーボネート樹脂である。
【0047】
図10(L)に示すように、可動金型51を型開き方向に移動し、図示しない押し出し部材により車両用ランプ1を取り出す。なお、このとき突き合わせ部5を射出した際に車両用ランプ1の側方に形成されるランナー部は図示しない切除装置により切除される。そして、再び図5(A)の状態に可動金型51を移動し、上述の一連の工程を繰り返すことで、車両用ランプ1を連続して製造することができる。
この方法により、レンズ部2の凹陥部2cに遮光部2dが形成された車両用ランプ1を得ることができる。
【0048】
本実施形態によれば、レンズ部2とハウジング4とを備えた車両用ランプ1において、レンズ部2の一部に遮光部2dを形成した。
【0049】
このように、レンズ部2の一部に遮光部2dを構成したため、光を必要とする方向のみに光を発散させ、光を必要としない領域には光を遮断することができる。また、遮光部2dがレンズ部2の一部として形成されているため、従来のマスキングテープなどによる対策と異なり、経年的に劣化することもなく、遮光領域を確実に確保することができる。
【0050】
また、遮光部2dとハウジング4とを同一の材料で構成した。
【0051】
このように構成したため、車両用ランプ1に使用する射出材料の種類を少なくすることができ、材料費や製造装置にかかる費用を低減することができる。
【0052】
また、レンズ部2とハウジング4とを一次射出によりそれぞれ成形し、成形されたレンズ部2とハウジング4とを突き合わせた後、その突き合わせ部5に二次射出して一体化成形可能に構成された車両用ランプ1の製造方法において、一次射出時にレンズ部2の一部に凹陥部2cを形成し、二次射出時に凹陥部2cに遮光性材料を射出してレンズ部2を製造した。
【0053】
このように、レンズ部2を製造する際にレンズ部2の一部に凹陥部2cを形成し、その凹陥部2cに遮光性材料を射出してレンズ部2を製造するため、遮光領域が確実に確保されたレンズ部2を備えた車両用ランプ1を製造することができる。また、レンズ部2の製造工程において一次射出時に凹陥部2cを形成し、二次射出時にその凹陥部2cに射出材料を流し込むことで所望のレンズ部2を得ることができるため、手間をかけずに遮光領域を有した車両用ランプ1を製造することができる。
【0054】
さらに、凹陥部2cおよびレンズ部2とハウジング4との突き合わせ部5に同時に二次射出して、レンズ部2に遮光部2cを形成するとともに、レンズ部2とハウジング4とを一体化成形するようにした。
【0055】
このように構成したため、凹陥部2cとレンズ部2とハウジング4との突き合わせ部5に同時に遮光性材料(樹脂材)を二次射出することで、遮光部2dの形成およびレンズ部2とハウジング4の一体化成形が同時に行われ、製造工程を増やすことなく、効率よく車両用ランプ1を製造することができる。
【0056】
そして、レンズ部2を射出成形するための金型と、ハウジング4を射出成形するための金型と、を備えた車両用ランプ1の製造装置50において、レンズ部2の一部に凹陥部2cを形成するための成形用金型55と、凹陥部2cに射出してレンズ部2を製造するための成形用金型56と、を備えて構成した。
【0057】
このように構成したため、従来の車両用ランプ1を一体化成形するための製造装置に、成形用金型55を付加するだけで遮光部2dを有する車両用ランプ1を製造することができ、製造装置50に費用をかけることなく実現することができる。また、製造装置50内で自動的に遮光部2dを有する車両用ランプ1を製造することができるため、作業員の手に触れることなく、高品質の車両用ランプ1を得ることができる。
【0058】
また、ハウジング4、突き合わせ部5および遮光部2dの材料を同一の材料で形成することで、遮光部2dがより一体化成形されるため、長期間の使用に耐え得る遮光部2dを有した車両用ランプ1を提供することができる。
【0059】
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、ボートを構成する各部材の形状などの具体的な構成については上記実施形態に限ることなく適宜変更が可能である。
【0060】
例えば、本実施形態において、成形されたレンズ部およびハウジングは複雑な形状を有さず、各成形用型面から押し出すと容易に取り出される形状の場合で説明したが、レンズ部またはハウジングに複雑な形状部分があり、各成形用型面から押し出しても型面から取り出すことができない場合には、各成形用型面における隣接する成形用型面が配置された方向と直交する方向に、各型面の平面視略中央部において2分割可能に構成して、射出成形された部品を取り出すようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態において、凹陥部に射出して遮光部を形成する工程を、レンズ部とハウジングとの突き合わせ部5に二次射出する工程と同時にしたが、ハウジングを一次射出する工程と同時に、レンズ部の凹陥部に射出して遮光部を形成してもよい。
【0062】
さらに、本実施形態において、レンズ部の遮光部を射出する配管と、レンズ部とハウジングとの突き合わせ部を射出する配管とをそれぞれ設けて射出する場合の説明をしたが、図11に示すように、遮光部を射出する配管と突き合わせ部を射出する配管とを共通の配管にして、遮光部および突き合わせ部を同時に射出するような装置構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態における車両用ランプの斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の実施形態における製造装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態における成膜成形装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態における車両用ランプの製造工程を示す説明図である。
【図6】図5の続きを示す説明図である。
【図7】図6の続きを示す説明図である。
【図8】図7の続きを示す説明図である。
【図9】図8の続きを示す説明図である。
【図10】図9の続きを示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態における別の態様を示す製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0064】
1…車両用ランプ(燈体) 2…レンズ部 2c…凹陥部 2d…遮光部 4…ハウジング 5…突き合わせ部 50…製造装置 55…成形用型面(第一成形用金型) 56…成形用型面(第二成形用金型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一型内で、複数の半製品を一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記半製品同士を型に保持された状態で突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形した射出成形体の製造方法において、
前記一次射出時に、少なくとも一つの前記半製品の一部に凹陥部を形成するように材料を射出し、前記二次射出時に、前記凹陥部に別の材料を射出して前記半製品を成形することを特徴とする射出成形体の製造方法。
【請求項2】
レンズ部とハウジングとを一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記レンズ部と前記ハウジングとを突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形した燈体の製造方法において、
前記一次射出時に、前記レンズ部の一部に凹陥部を形成し、前記二次射出時に前記凹陥部に遮光性材料を射出して遮光部を有するレンズ部を成形することを特徴とする燈体の製造方法。
【請求項3】
前記遮光部と前記ハウジングとが同一の材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の燈体の製造方法。
【請求項4】
前記凹陥部および前記突き合わせ部に同時に二次射出されて、前記レンズ部に前記遮光部が形成されるとともに、前記レンズ部と前記ハウジングとが一体化成形されることを特徴とする請求項2または3に記載の燈体の製造方法。
【請求項5】
レンズ部を射出成形するための金型と、ハウジングを射出成形するための金型と、を備え、
前記レンズ部と前記ハウジングとを一次射出によりそれぞれ成形し、成形された前記レンズ部と前記ハウジングとを突き合わせた後、その突き合わせ部に二次射出して一体化成形可能に構成された燈体の製造装置において、
前記レンズ部の一部に凹陥部を形成するための第一成形用金型と、前記凹陥部に射出して前記レンズ部を成形するための第二成形用金型と、を備えていることを特徴とする燈体の製造装置。
【請求項6】
レンズ部とハウジングとを備えた燈体において、
前記レンズ部の一部に遮光部が形成されていることを特徴とする燈体。
【請求項7】
前記遮光部と前記ハウジングとが同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の燈体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−23247(P2009−23247A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189505(P2007−189505)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000149468)株式会社大嶋電機製作所 (89)
【Fターム(参考)】