説明

導波路型光アイソレータ

【課題】構造が簡単で材料が限定されない、広い動作波長帯域を持つ導波路型光アイソレータを提供する。
【解決手段】幅方向に屈折率の勾配を有する導波路101を備え、導波路101を第1の方向に伝搬する光の入射位置と導波路101を第1の方向とは反対方向の第2の方向に伝搬する光の出射位置とが重ならないように導波路型光アイソレータを構成する。導波路101に入射される光は、該光の前記導波路101の幅方向のモード広がりが導波路101内を光が伝搬しても入射時以上には広がらない条件で導波路101に入射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、幅方向に屈折率の勾配を有する導波路を備えた導波路を用いた導波路型光アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザは光通信システムや光情報処理システム用の光源として用いられている。半導体レーザから出射した光は、他の光学素子を通って伝送される。光が他の光学素子に入射するときに、一部の光は反射がおき、この反射光が戻り光となって、半導体レーザへ再び戻ってくる。半導体レーザはこの戻り光によって動作が不安定になる。戻り光を半導体レーザに入れないようにするために、光アイソレータが用いられている。
【0003】
光アイソレータは、光を1方向にしか通さないようにする光デバイスである。つまり、光アイソレータの入力ポートから入射した光は出力ポートで出射されるが、出力ポートから入射した光は入力ポートで出射されない。このため、半導体レーザの出射端と光アイソレータの入力ポートとをつなげることにより、半導体レーザの動作を不安定にする戻り光をさえぎり、半導体レーザが安定に動作する。
【0004】
光アイソレータの構成は、特許文献1(特開2007−171326号公報)に示されるように2枚の偏光子の間にファラデー回転子を入れている。この構成の光アイソレータをバルク型光アイソレータという。
【0005】
ファラデー回転子は磁気光学効果によって直線偏光の偏向角を傾ける素子であり、ファラデー回転子の前方から入射した光と後方から入射した光とは、偏光の傾く方向は反転しない。そのため、このファラデー回転子は非相反素子となる。しかし、バルク型光アイソレータではファラデー回転子を用いるために、磁石が必要であり、光学系が複雑になり、かつ、デバイスサイズが大きくなる。
【0006】
また、バルク型光アイソレータでは、光の伝搬方向に直交する断面内に光を閉じ込める作用がないため、伝搬損失が大きい。さらに、バルク型光アイソレータは半導体レーザなどの他の素子と一体で集積化することが不可能である。このため、バルク型光アイソレータを他の素子と別々に作製して後で組み合わせることになり、製造プロセスが複雑になる。
【0007】
これらの課題のうち、伝搬損失の低減と、他の素子との集積化を解決する素子として導波路型光アイソレータが特許文献2により提案されている。
【0008】
図18および図19に特許文献2(特開2003−302603号公報)に示されたTMモード動作の光アイソレータ300を示す。図19に示すように従来の導波路型光アイソレータは、基板301の上に、下部クラッド層302が成長しており、下部クラッド層302の上に入力用の光導波路303、出力用の光導波路304、光導波路305、光導波路306が設けられている。
【0009】
そして、入力用の光導波路303の素子外面の端面に入力ポート307が設けられ、4本の光導波路303,304,305,306は上部クラッド層309に覆われている。また、アーム型でほぼ同形状の光導波路305と光導波路306を対向させてマッハツェンダ干渉計を構成するため、入力ポート307側に3分岐光結合器310を配置し、出力ポート308側に3分岐光結合器311を配置する。
【0010】
そして、3分岐光結合器310と3分岐光結合器311にはさまれた光導波路305と光導波路306で干渉系が構成される。なお、入力ポート307側から出力ポート308側への方向を順方向とし、出力ポート308側から入力ポート307側への方向を逆方向とする。
【0011】
干渉系を伝搬する2波に位相差を設けるために、光導波路305と光導波路306とに非相反移相器312を組み込む。非相反移相器312では磁性材料である組成式RFe12(Rは希土類元素を表す)で表される希土類磁性ガーネットが用いられる。非相反移相器312に外部磁場313を印加すると、非相反移相器312を伝搬する光に対して磁気光学効果が得られる。
【0012】
磁気光学効果は磁性ガーネットへの磁化方向と伝搬する光の磁気成分とが持つベクトルの向きによって作用が異なっている。このため、図18のように、非相反移相器312へ印加する外部磁場313の向きを光導波路305と光導波路306とで逆向きにして、外部磁場313の大きさを調節すると、非相反移相器312を順方向に伝搬するTMモードの2波に対して位相差−90°、非相反移相器312を逆方向に伝搬するTMモードの2波に対して位相差90°をそれぞれ得ることができる。このとき、順方向または逆方向のTEモードの2波に対しては位相差が得られない。
【0013】
さらに干渉系を伝搬する2波に相反な位相差を設けるために、光導波路305へ相反移相器314を組み込む。この相反移相器314はモード複屈折率を有する光導波路からなる。そこで、TMモードに対しては相反移相器長が((1/4)+m)×λTM、TEモードに対しては相反移相器長が((1/2)+m)×λTEという条件をそれぞれ満足するように、相反移相器長を調整する。
【0014】
すると相反移相器314を伝搬するTMモードの2波に対して相反な位相差90°、相反移相器314を伝搬するTEモードの2波に対して相反な位相差180°をそれぞれ得ることができる。
【0015】
導波路型光アイソレータ300に入力用の光導波路303からTMモードの光を入射すると、3分岐光結合器310により、同振幅、同位相の2波に分波される。2波は光導波路305および、光導波路306を伝搬する際に、90°の相反な位相差と−90°の非相反な位相差をうけ、3分岐光結合器311に入射するときには、同振幅、同位相となっている。
【0016】
この場合、2波は出力用の光導波路304に結合し、出力ポート308から出射される。一方、出力用の光導波路304から入射するTMモードは、3分岐光結合器311で同振幅、同位相の2波に分波される。
【0017】
2波は光導波路305および、光導波路306を伝搬する際に、90°の相反な位相差と+90°の非相反な位相差を受け、3分岐光結合器310に入射するときには、同振幅で逆位相となっている。この場合、入力用の光導波路303には結合しないため、入力ポート307からは出射されず、光アイソレータとなっている。
【0018】
また、出力用の光導波路304から入射したTEモードの光は逆方向に伝搬し、3分岐光結合器311により、同振幅、同位相の2波に分波する。そして、2波は干渉系を伝搬する際に、相反移相器314の相反な位相差180°だけを受ける。
【0019】
したがって、3分岐光結合器310で結合するときには、2波が同振幅、逆位相となっている。このため、2波は入力用の光導波路303に結合せず、TEモードは入力ポート307から出射されない。
【特許文献1】特開2007−171326号公報
【特許文献2】特開2003−302603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、従来の導波路型光アイソレータでは次のような課題があった。
従来の導波路型光アイソレータでもバルク型光アイソレータと同様に磁石は必要であり、素子の構造は複雑で、サイズは大きくなる。また、磁気光学効果を非相反素子の原理として用いるために材料が磁性ガーネットなど高い磁気光学効果を持つ物質に限定される。さらに従来の導波路型光アイソレータは干渉を用いており、干渉を引き起こす位相差は波長によって変わるために、動作波長帯域が狭い。
【0021】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構造が簡単で、材料が限定されない、広い動作波長帯域を持つ導波路型光アイソレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明に基づいた導波路型光アイソレータに従えば、幅方向に屈折率の勾配を有する導波路を備え、上記導波路を第1の方向に伝搬する光の入射位置と上記導波路を上記第1の方向とは反対方向の第2の方向に伝搬する光の出射位置とが重ならないように構成した導波路型光アイソレータであって、上記導波路に入射される光は、該光の上記導波路の幅方向のモード広がりが上記導波路内を該光が伝搬しても入射時以上には広がらない条件で上記導波路に入射される。
【0023】
上記導波路型光アイソレータにおいて好ましくは、上記導波路の幅方向に温度勾配を設けることにより、上記導波路の幅方向に屈折率の勾配が形成されている。
【0024】
上記導波路型光アイソレータにおいて好ましくは、上記導波路の高さを幅方向に変化させることにより、上記導波路の幅方向に屈折率の勾配が形成されている。
【0025】
上記導波路型光アイソレータにおいて好ましくは、入射光の上記導波路の幅方向のモード広がりが20μm以上とされている。
【0026】
上記導波路型光アイソレータにおいて好ましくは、スポットサイズ変換導波路をさらに備え、入射光は該スポットサイズ変換導波路を介して上記導波路に入射される。
【0027】
上記導波路型光アイソレータにおいて好ましくは、上記導波路を上記第1の方向に伝搬する光の入射位置と上記導波路を上記第2の方向に伝搬する光の出射位置とが、入射光の上記導波路の幅方向のモード広がり以上に離隔している。
【0028】
上記導波路型光アイソレータにおいてさらに好ましくは、上記導波路を上記第1の方向に伝搬する光の入射位置と上記導波路を上記第2の方向に伝搬する光の出射位置とが、20μm以上離隔している。
【0029】
上記導波路型光アイソレータにおいてさらに好ましくは、上記導波路は、入射光の上記導波路の幅方向のモード広がりの2倍以上の幅を有している。
【0030】
上記導波路型光アイソレータにおいてさらに好ましくは、上記導波路の幅は40μm以上である。
【発明の効果】
【0031】
本発明による光アイソレータの主要な部品は、導波路の延びる方向に垂直方向の幅が広い導波路だけであるのでその構造が簡単である。
【0032】
また、本発明に係る導波路型光アイソレータは、動作波長で光が透過する材料なら何で用いることができ、その材料が磁性ガーネットなどの特殊な材料に限定されることがない。
【0033】
さらに、導波路の延びる方向に垂直方向の幅が広い導波路内を伝搬する光は、波長が変化しても伝搬特性はほとんど変わらないため、広い動作波長帯域を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明者らは鋭意研究を行うことで、導波路の延びる方向に垂直方向の幅が広い導波路に屈折率の勾配を設けた素子(屈折率勾配つき幅広導波路)に、導波路の幅方向の入射光のモード広がりが20μm以上の光を入射すると、順方向の伝搬光と逆方向の伝搬光の経路が変わり、屈折率勾配つき幅広導波路が非相反素子になることを見出した。
【0035】
そして、この非相反素子を用いると、構造が簡単で、材料が限定されない、広い動作波長帯域を持つ導波路型光アイソレータを実現できることを見出した。
【0036】
以下、この発明に基づいた各実施の形態における導波路型光アイソレータの構造について、図を参照しながら説明する。なお、各実施の形態において、同一または相当箇所については同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。
【0037】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るSOI(Silicon On Insulator)基板を用いた導波路型光アイソレータ100の平面図である。図1において101は幅広導波路、102はSSC(Spot Size Converter)、103はクーラー、104はヒーター、105は順方向における入射光、106は幅広導波路への順方向の入射光、107は順方向の伝搬光、108は順方向の出射光、109は逆方向の入射光、110は逆方向の伝搬光、111は逆方向の出射光をそれぞれ示す。
【0038】
クーラー103とヒーター104は、幅広導波路101の屈折率がクーラー103からの距離に比例して上昇するように温度が設定されている。この幅広導波路素子の導波路が延びる方向の長さは2000μmであり、導波路の延びる方向に垂直方向の幅は60μmである。
【0039】
なお、幅広導波路とは、導波路の延びる方向に垂直方向の幅が広い導波路のことである。また、SSCとは、入射光の導波路の幅方向、すなわち入射光の導波路の延びる方向と垂直な方向のモード広がりを大きくする素子である。本実施の形態では、入力ポート112側から出力ポート113側への方向を順方向とし、出力ポート113側から入力ポート112側への方向を逆方向とする。また、順方向の出射光108と逆方向の入射光109の導波路の幅方向のモード広がりは同じ大きさとする。
【0040】
ここでモード広がりとは、光の強度の空間的分布がガウス分布であるとしたときに、強度が中心での強度の1/eとなる場所の幅を意味する。
【0041】
図1に示されるSSC102に入射した順方向の入射光105は、SSCにより導波路の幅方向のモード広がりが大きくなり、幅広導波路への順方向の入射光106となる。幅広導波路への順方向の入射光106は、幅広導波路101内を順方向の伝搬光107で示されるように伝搬し、順方向の出射光108として出射する。
【0042】
一方、逆方向の入射光109は、幅広導波路101内を逆方向の伝搬光110で示されるように伝搬し、逆方向の出射光111として出射する。
【0043】
図2は、図1におけるII−II矢視断面図である。図2において、114はコア層、115はクラッド層、116は基板をそれぞれ示す。コア層114はSi(シリコン)であり、クラッド層115はSiO(酸化ケイ素)であり、基板116はSiである。
【0044】
基板116に対して、クラッド層115、コア層114の順に積層され、幅広導波路101を形成している。それぞれの層の厚さは、あくまでも一例であるが、クラッド層115が1.0μm、コア層114が0.3μmである。なお、本実施の形態での順方向の入射光105の波長は1.5μmである。
【0045】
本実施の形態における導波路型光アイソレータ100では、図1に示すように、幅広導波路101の両端にクーラー103とヒーター104を設置する構成をしている。Siの場合、屈折率は温度に比例することから、クーラー103とヒーター104によって形成される温度勾配によって幅広導波路101の屈折率に勾配が形成される。
【0046】
また、本実施の形態における入射光106の導波路の幅方向のモード広がりはSSC102によって20μmとなっている。
【0047】
図17は、入射時のモードの広がりを変化させたときの、入射時のモードの広がりに対する2000μm伝搬時のモードの広がりの比の変化を示す図である。図17から明らかなように、幅広導波路内を伝搬する光の、導波路の幅方向のモード広がりが、伝搬中に広がらないための条件は、入射光のモード広がりが20μm以上であることである。したがって、モード広がりが20μmとした本実施の形態では、モード広がりが広がっていくことなく伝搬する。
【0048】
さらに、本実施の形態における幅広導波路101の幅は60μmであり、入射光106の導波路の幅方向のモード広がりより2倍以上大きい。また、幅広導波路101への順方向の入射光106の入射位置と、逆方向の出射光111の出射位置は20μm以上離れており、入射光106の導波路の幅方向のモード広がり以上に離れている。そのため、順方向の入射光106の入射位置と逆方向の出射光111の出射位置とは重ならない。
【0049】
次に、図3から図6を参照して、図1および図2に示す屈折率勾配を有する幅広導波路の製造工程について説明する。
【0050】
まず、Si基板116にクラッド層115およびコア層114がこの順番で積層されたSOI基板が準備される。次に図3に示すようにコア層114の上にフォトリソグラフィー用のレジスト膜117を塗布する。
【0051】
その後、フォトリソグラフィーによりレジスト膜117を加工して、SSCを形成するために、図4に示すレジストパターンを形成する。
【0052】
前述のレジストパターンをマスクとして、図4に示すように、コア層114をエッチングすれば、図5に示すSSC102つき幅広導波路101が得られる。
【0053】
次に、図6に示すように、スパッタリング法または蒸着法を用いて、基板116にクーラー103としてヒートシンクとなる窒化アルミニウム膜を形成する。さらに、スパッタリング法または蒸着法を用いて、基板116にヒーター104となる窒化タンタル膜を形成する。
【0054】
最後に、図1に示すようにヒーター104の温度を変化させるために、一の金属線118および他の金属線118を用いてヒーター104に電源装置119を電気的に接続することで、図1および図2に示す導波路型光アイソレータ100が完成する。
【0055】
次に、作製した屈折率勾配つき幅広導波路が非相反素子となる原理を説明する。
本実施の形態の導波路では、Siの屈折率が温度に比例して変化することを利用している。すなわち、ヒーター104とクーラー103を用いて幅広導波路101に温度の勾配を形成することで、幅広導波路101の屈折率に勾配を設けている。
【0056】
屈折率が高くなると、光の伝搬する速度は小さくなるため、屈折率が高いほうに光は進んでいく。そのため、ヒーター104とクーラー103によって屈折率に勾配が設けられている幅広導波路101に光を入射すると、光は屈折率が高い方へ順方向の伝搬光107のように伝搬し、順方向の出射光108として出射する。
【0057】
幅広導波路101に順方向の出射位置と同じ位置から逆方向の入射光109を入射した場合、逆方向の伝搬光110は、屈折率が低くなる順方向の伝搬光107の経路を戻らずに、屈折率が高い方へと進む。そのため、順方向の伝搬光107の経路と逆方向の伝搬光110の経路とは異なる。その結果、本実施の形態で用いる屈折率勾配つき幅広導波路は非相反素子となる。
【0058】
なお、幅広導波路101への入射光の導波路の幅方向のモード広がりが小さい場合、図7に示すように、光は回折により幅広導波路101全体に広がり、非相反素子としての効果がなくなる。図17に示すように、入射光の導波路の幅方向のモード広がりを20μm以上にすれば、幅広導波路101内の回折を抑えることができ、図1に示すように、幅広導波路101内で光が広がることはない。
【0059】
本実施の形態では、SSC102によって入射光の導波路の幅方向のモード広がりを20μmにしている。また、順方向の伝搬光107や逆方向の伝搬光110は入射光の波長が変わっても、ほぼ同じ経路を描いて幅広導波路101内を伝搬する。
【0060】
次に本実施の形態における導波路型光アイソレータについて説明する。
まず、屈折率勾配つき幅広導波路を導波路型光アイソレータとする条件について説明する。
【0061】
屈折率勾配つき幅広導波路を導波路型光アイソレータとするには、屈折率勾配つき幅広導波路内を伝搬する光の経路が非相反であることから、順方向の入射光の入射位置と逆方向の出射光の出射位置とが重ならないことが必要である。そのために、順方向の入射光の入射位置と逆方向の出射光の出射位置との距離が、幅広導波路への入射光の導波路の幅方向のモード広がり以上でなければならない。すなわち、幅広導波路の、導波路の延びる方向に垂直方向の幅は、入射光の導波路の幅方向のモード広がりの2倍以上が必要である。
【0062】
本実施の形態の場合、幅広導波路への順方向の入射光106の導波路の幅方向のモード広がりは20μmであるため、順方向の入射光106の入射位置と逆方向の出射光111の出射位置とが20μm以上にならなければならない。すなわち、幅広導波路101の導波路の幅方向の幅は40μm以上が必要となっている。
【0063】
本実施の形態は幅広導波路101の層に平行な幅は60μmであり、さらに順方向の入射光106の入射位置と逆方向の出射光111の出射位置とが20μm以上離れているため、本実施の形態は導波路型光アイソレータとなる条件を満たしており、幅広導波路101は光アイソレータとなる。
【0064】
次に、本実施の形態における導波路型光アイソレータの動作原理について説明する。
本実施の形態の導波路型光アイソレータ100においては、図1および図2に示したように、順方向の光は、幅広導波路への順方向の入射光106、順方向の伝搬光107、順方向の出射光108の順で伝搬する。逆方向の光は、逆方向の入射光109、逆方向の伝搬光110、逆方向の出射光111の順で伝搬する。
【0065】
このとき、図7のようにSSCがない場合、幅広導波路101には入射光の導波路の幅方向のモード広がりが2μmと小さい順方向の入射光105が入射される。順方向の伝搬光の端部125は伝搬に伴い、図7のように回折によって光が幅広導波路101全体に広がって、順方向の伝搬光の導波路の幅方向のモード広がり126となり、順方向の出射光127として出射される。
【0066】
順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり129と逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり130とは同じ大きさなので、逆方向の入射光128は幅広導波路101全体に広がった光となり、逆方向の伝搬光の端部131で示す逆方向の伝搬光および、逆方向の出射光132も幅広導波路101全体に広がった光となる。
【0067】
その結果、図7および図8に示すように、逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり133は導波路全体に広がっており、逆方向の出射光132は順方向の入射光105と重なってしまう。そのため、SSCがない幅広導波路101に順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり120が小さいときには、屈折率勾配つき幅広導波路101は光アイソレータとならない。
【0068】
一方、図1に示した導波路型光アイソレータにおいては、順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり120がSSCによって20μmまで広がる。この光が幅広導波路101へ入射されることによって、幅広導波路への順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり121は、順方向の伝搬光の導波路の幅方向の平行なモード広がりおよび順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり122と同じ大きさとなる。
【0069】
順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり122と逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり123とは同じ大きさである。さらに、逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり123は、逆方向の伝搬光の導波路の幅方向のモード広がりおよび逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり124と同じ大きさである。
【0070】
そのため、幅広導波路への順方向の入射光106の入射位置と逆方向の出射光111の出射位置は離れる。さらに、幅広導波路101を伝搬する光の導波路の幅方向のモード広がりは広がらないため、幅広導波路への順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり121は20μmであり、逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり124も20μmとなる。
【0071】
その結果、逆方向の出射光111は、図2に示すように幅広導波路への順方向の入射光106の入射位置にはなく除去される。そのため、屈折率勾配つき幅広導波路101は光アイソレータとなる。
【0072】
以上により、導波路型光アイソレータを屈折率勾配つき幅広導波路という簡単な構造で作製できる。また、温度勾配を設けることができれば、屈折率勾配はどんな材料にでも設けることができるので、動作波長の光が透過する材料ならば、材料はなんでも良い。さらに、幅広導波路内を伝搬する光の経路は波長による変化がないため、本発明における導波路型光アイソレータは広い動作波長帯域を持つ。
【0073】
なお、本発明で用いた導波路層はSi層であるが、これは、動作波長で透過する材料であれば、AlGaAs、InGaAsPなどの半導体や、ポリマーなどどんな材料でも良い。
【0074】
本実施の形態では、幅広導波路への入射光の導波路の幅方向のモード広がりは20μmとしているが、入射光の導波路の幅方向のモード広がりは20μm以上であればかまわない。
【0075】
また、本実施の形態では入射光の波長は、例示的に1.5μmに限定したが、波長による光の経路の変化がないため、入射光の波長は1.5μmに限らない。
【0076】
また、ヒーター104とクーラー103は、幅広導波路101に温度の勾配を設けることができるものであれば、ヒーター104は窒化タンタルに限定されず、たとえば、ニッケルクロムを用いたヒーターまたはペルチェ素子であっても良い。また、クーラー103は窒化アルミニウムを用いたヒートシンクに限定されず、たとえば、銅を用いたヒートシンクまたはペルチェ素子であっても良い。
【0077】
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2に係るAlGaAsを用いた導波路型光アイソレータ200の平面図である。
【0078】
図9において201は幅広導波路、202はSSC(Spot Size Converter)、203は順方向の入射光、204は幅広導波路への順方向の入射光、205は順方向の伝搬光、206は順方向の出射光、207は逆方向の入射光、208は逆方向の伝搬光、209は逆方向の出射光をそれぞれ示す。幅広導波路201の導波路が延びる方向の長さは2000μmであり、導波路の延びる方向に垂直方向の幅は60μmである。
【0079】
なお、本実施の形態では入力ポート210側から出力ポート211側への方向を順方向とし、出力ポート211側から入力ポート210側への方向を逆方向とする。また、順方向の出射光206と逆方向の入射光207との導波路の幅方向のモード広がりは同じとする。
【0080】
図9に示されるSSC202に入射した順方向の入射光203は、SSC202により導波路の幅方向のモード広がりが大きくなり、幅広導波路への順方向の入射光204となる。幅広導波路への順方向の入射光204は、幅広導波路201内を順方向の伝搬光205で示されるように伝搬し、順方向の出射光206として出射する。一方、逆方向の入射光207は、幅広導波路201内を逆方向の伝搬光208で示されるように伝搬し、逆方向の出射光209として出射する。
【0081】
図10は、図9におけるX−X矢視断面図である。図10において、212は上部クラッド層、213はコア層、214は下部クラッド層、215は基板をそれぞれ示す。上部クラッド層212および下部クラッド層214は、Al0.3Ga0.7Asであり、コア層213はAl0.2Ga0.8Asであり、基板215はGaAsである。
【0082】
基板215に対して、下部クラッド層214、コア層213、上部クラッド層212の順に積層され、幅広導波路201を形成している。それぞれの層の厚さは、下部クラッド層214が4.0μm、コア層213が1.5μm、上部クラッド層212が1.5μmである。なお、本実施の形態での順方向の入射光203の波長は1.5μmである。
【0083】
実施の形態2はクーラーとヒーターがないことと、上部クラッド層212が傾斜している点が実施の形態1と異なっている。実施の形態1と比べ、クーラーとヒーターが不要なため、部品点数が少なくなり、サイズをより小さくできる。また、熱に弱い材料でも屈折率の勾配を設けることができる。
【0084】
本実施の形態では、実施の形態1のように温度勾配を設けて屈折率勾配を設けるのではなく、上部クラッド層212の高さに勾配を設けることによって、実効屈折率に勾配を設け、実施の形態1と同様に幅広導波路201が導波路型光アイソレータとして機能することが特徴である。
【0085】
なお、入射光の条件や、導波路の延びる方向と垂直方向の幅の条件は、実施の形態1と同じであり、本実施の形態の導波路型光アイソレータ200は、SSC202により幅広導波路201への順方向の入射光204の導波路の幅方向のモード広がりは20μmである。幅広導波路201の導波路の延びる方向と垂直方向の幅は60μmである。これにより入射光の条件や導波路の延びる方向と垂直方向の幅の条件を満たしている。
【0086】
次に、図11から図14を用いて、図9および図10に示す導波路型光アイソレータの製造工程を説明する。
【0087】
まず、下部クラッド層214、コア層213、上部クラッド層212を基板215に順に積層したウェハーを用いる。次に図11に示すように上部クラッド層212の上にフォトリソグラフィー用のレジスト膜216を塗布する。
【0088】
その後、フォトリソグラフィーによりレジスト膜216を加工して、SSCを形成するために、図12に示すレジストパターンを形成する。
【0089】
前述のレジストパターンをマスクとして、図12に示すように、上部クラッド層212をエッチングすれば、図13に示すSSCつき幅広導波路が得られる。
【0090】
この後、マスク蒸着法もしくは選択成長を用いて、図14に示すように、幅広導波路201部の上にのみ、さらに上部クラッド層212を斜めに積層させて、図9および図10に示す導波路型光アイソレータが完成する。
【0091】
次に、作製した屈折率勾配つき幅広導波路が非相反素子になる原理を説明する。
本実施の形態における導波路型光アイソレータは、上部クラッド層212の層に垂直方向の高さに勾配を設けている。言い換えると、導波路を構成する上部クラッド層212の高さが、導波路の幅方向の位置によって異なっている。
【0092】
上部クラッド層212の垂直方向の高さが薄い部分ではコア層213に光が多くなるため、順方向の伝搬光205や逆方向の伝搬光208の屈折率(実効屈折率)は大きくなり、上部クラッド層212の層に垂直方向の高さが厚い部分では、クラッド層に光が多くなり、コア層213の光が少なくなるため、実効屈折率は小さくなる。
【0093】
上部クラッド層212の垂直方向の高さに応じた実効屈折率の変化を利用して、実効屈折率に勾配を設けている。そのため、実施の形態1と同様に実効屈折率に勾配を設けることができる。
【0094】
また、実効屈折率が高くなると、光の伝搬する速度は小さくなるため、実効屈折率が高い方に光は進んでいく。そのため、上部クラッド層212の垂直方向の高さに勾配を設けて実効屈折率に勾配が形成されている幅広導波路201に光を入射すると、光は実施の形態1と同様に実効屈折率が高い方へ順方向の伝搬光205のように伝搬し、順方向の出射光206として出射する。
【0095】
幅広導波路201に順方向の出射位置と同じ位置から逆方向の入射光207を入射した場合、逆方向の伝搬光208は、実施の形態1と同様に実効屈折率が低くなる順方向の伝搬光205の経路を戻らずに実効屈折率が高い方へと進み、順方向の伝搬光205の経路と逆方向の伝搬光208の経路が異なる。これにより、本実施の形態で用いる屈折率勾配つき幅広導波路は非相反素子となる。
【0096】
なお、幅広導波路201への入射光の導波路の幅方向のモード広がりが小さい場合、図15に示すように、光は実施の形態1と同様に回折により幅広導波路201に広がり、非相反素子の効果がなくなる。図17に示すように、幅広導波路201への入射光の導波路の幅方向のモード広がりを20μm以上にすれば、この幅広導波路201内の回折を抑えることができ、図9に示すように、幅広導波路201内で光が広がることはない。
【0097】
本実施の形態では、SSC202によって入射光の導波路の幅方向のモード広がりを20μmにしている。また、順方向の伝搬光205は入射光の波長が変わっても、ほぼ同じ経路を描いて幅広導波路201内を伝搬する。
【0098】
次に、本実施の形態における導波路型光アイソレータの動作原理について説明する。
本実施の形態の導波路型光アイソレータ200においては、図9および図10に示したように、順方向には入射光204、伝搬光205、出射光206の順で伝搬する。逆方向には入射光207、伝搬光208、出射光209の順で伝搬する。
【0099】
このとき、図15のようにSSCがない場合、幅広導波路201には入射光の導波路の幅方向のモード広がりが2μmと小さい順方向の入射光203が入射される。順方向の伝搬光の端部222は伝搬に伴い、図15のように回折によって光が幅広導波路201全体に広がって、順方向の伝搬光の導波路の幅方向のモード広がり223となり、順方向の出射光224として出射される。
【0100】
順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり226と逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり227とは同じ大きさなので、逆方向の入射光225は幅広導波路201全体に広がった光となり、逆方向の伝搬光の端部228で示す逆方向の伝搬光および、逆方向の出射光229も幅広導波路201全体に広がった光となる。その結果、図15および図16に示すように、逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり230は導波路全体に広がっており、逆方向の出射光229は順方向の入射光203と重なってしまう。そのため、SSCが設けられていない幅広導波路201に、順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり217が小さいときには、屈折率勾配つき幅広導波路201は光アイソレータを構成することができない。
【0101】
一方、図9に示した導波路型光アイソレータにおいては、順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり217がSSCによって20μmまで広がる。この光が幅広導波路201へ入射されることによって、幅広導波路への順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり218は、順方向の伝搬光205および、順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり219と同じ大きさとなる。
【0102】
順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり219と逆方向の入射光207の導波路の幅方向のモード広がり220とは同じ大きさであり、さらに、逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり220は、逆方向の伝搬光の導波路の幅方向のモード広がりおよび逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり221と同じ大きさである。
【0103】
そのため、順方向の入射光204の入射位置と逆方向の出射光209の出射位置は離れる。また、幅広導波路201を伝搬する光の導波路の幅方向のモード広がりは広がらないため、幅広導波路への順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり218は20μmでとなる。逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり221も20μmとなる。その結果、実施の形態1と同様に、逆方向の出射光209は、図9に示すように順方向の入射光204の入射位置にはなく、除去される。そのため、屈折率勾配つき幅広導波路201は光アイソレータとなる。
【0104】
以上により、この構成によって導波路型光アイソレータを屈折率勾配つき幅広導波路という簡単な構造で作製できる。また、上部クラッド層の層に垂直方向の高さによって実効屈折率に勾配を設けることはどんな材料でもできるので、動作波長の光が透過する材料ならば、材料はなんでも良い。さらに、幅広導波路での光の経路は波長による変化がないため、本発明における導波路型光アイソレータは広い動作波長帯域を持つ。
【0105】
なお、本実施の形態では、材料にAlGaAsを用いたが、これは、動作波長で透過する材料であれば、Si、InPなどの半導体や、ポリマーなどどんな材料でも良い。
【0106】
また、本実施の形態では入射光の波長は、例示的に1.5μmとしたが、波長による光の経路の変化がないため、入射光の波長は1.5μmに限らない。
【0107】
本実施の形態では、幅広導波路への入射光の導波路の幅方向のモード広がりは20μmとしているが、入射光の導波路の幅方向のモード広がりは20μm以上であればかまわない。
【0108】
本実施の形態では、AlGaAsの上部クラッド層の層に垂直方向の高さに勾配を設けたが、層に垂直方向の高さに勾配を設けるのは、上部クラッド層に限らず、たとえば、コア層、下部クラッド層の垂直方向の高さに勾配を設けても良い。
【0109】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの構造を示す平面図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの構造を示す、図1におけるII−II矢視断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図4】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図5】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図6】この発明に基づいた実施の形態1における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図7】比較例の幅広導波路の構造を示す平面図である。
【図8】比較例の幅広導波路の構造を示す、図7におけるVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの構造を示す平面図である。
【図10】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの構造を示す、図9におけるX−X矢視断面図である。
【図11】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図12】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図13】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図14】この発明に基づいた実施の形態2における導波路型光アイソレータの製造工程を示す断面図である。
【図15】比較例の幅広導波路の構造を示す平面図である。
【図16】比較例の幅広導波路の構造を示す、図15におけるXVI−XVI矢視断面図である。
【図17】入射時のモードの広がりを変化させたときの、入射時のモードの広がりに対する2000μm伝搬時のモードの広がりの比の変化を示す図である。
【図18】従来の光アイソレータの構造を示す平面図である。
【図19】従来の光アイソレータの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0111】
100,200 導波路型光アイソレータ、101,201 幅広導波路、102,202 SSC、103 クーラー、104 ヒーター、105,203 順方向の入射光、106,204 幅広導波路への順方向の入射光、107,205 順方向の伝搬光、108,206 順方向の出射光、109,207 逆方向の入射光、110,208 逆方向の伝搬光、111,209 逆方向の出射光、112,210 入力ポート、113,211 出力ポート、114 コア層、115 クラッド層、116,215 基板、117,216 レジスト膜、118 金属線、119 電源装置、120,217 順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり、121,218 幅広導波路への順方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり、122,219 順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり、123,220 逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり、124,221 逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり、125,222 順方向の伝搬光の端部、126,223 順方向の伝搬光の導波路の幅方向のモード広がり、127,224 順方向の出射光、128,225 逆方向の入射光、129,226 順方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり、130,227 逆方向の入射光の導波路の幅方向のモード広がり、131,228 逆方向の伝搬光の端部、132,229 逆方向の出射光、133,230 逆方向の出射光の導波路の幅方向のモード広がり、212 上部クラッド層、213 コア層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に屈折率の勾配を有する導波路を備え、前記導波路を第1の方向に伝搬する光の入射位置と前記導波路を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に伝搬する光の出射位置とが重ならないように構成した導波路型光アイソレータであって、
前記導波路に入射される光は、該光の前記導波路の幅方向のモード広がりが前記導波路内を該光が伝搬しても入射時以上には広がらない条件で前記導波路に入射される、導波路型光アイソレータ。
【請求項2】
前記導波路の幅方向に温度勾配を設けることにより、前記導波路の幅方向に屈折率の勾配が形成されている、請求項1に記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項3】
前記導波路の高さを幅方向に変化させることにより、前記導波路の幅方向に屈折率の勾配が形成されている、請求項1に記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項4】
入射光の前記導波路の幅方向のモード広がりが20μm以上とされている、請求項1から3のいずれかに記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項5】
スポットサイズ変換導波路をさらに備え、
入射光は該スポットサイズ変換導波路を介して前記導波路に入射される、請求項1から4のいずれかに記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項6】
前記導波路を前記第1の方向に伝搬する光の入射位置と前記導波路を前記第2の方向に伝搬する光の出射位置とが、入射光の前記導波路の幅方向のモード広がり以上に離隔している、請求項1から5のいずれかに記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項7】
前記導波路を前記第1の方向に伝搬する光の入射位置と前記導波路を前記第2の方向に伝搬する光の出射位置とが、20μm以上離隔している、請求項6に記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項8】
前記導波路は、入射光の前記導波路の幅方向のモード広がりの2倍以上の幅を有している、請求項6に記載の導波路型光アイソレータ。
【請求項9】
前記導波路の幅は40μm以上である、請求項8に記載の導波路型光アイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−145673(P2009−145673A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323417(P2007−323417)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】