説明

干渉対物レンズ及び当該干渉対物レンズを備えた光干渉測定装置

【課題】測定・観察の可能な測定対象物の選択範囲を増加させ、作業性を向上させることのできる構成を有する干渉対物レンズ及びこの干渉対物レンズを備えた光干渉測定装置を提供する。
【解決手段】光出射部10からの光を測定対象物Wに照射する干渉対物レンズ30において、干渉対物レンズ30の先端部には干渉光学系100が設けられ、干渉光学系100は、光出射部10からの光を測定対象物Wに対して収束させるレンズ群130と、レンズ群130よりも光出射部10側に配される参照ミラー120と、レンズ群130の光軸L方向の中央に配され、光出射部10からの光を参照光路と測定光路とに分岐させると共に、参照光路からの反射光と測定光路からの反射光とを干渉光として出力させるハーフミラー140と、を備え、レンズ群130は、ハーフミラー140に対して光軸L方向の一方と他方とが対称となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉対物レンズ及び当該干渉対物レンズを備えた光干渉測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて例えば測定対象物の三次元形状などを精密に測定する三次元形状測定装置などの光干渉測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この光干渉測定装置では、高倍率、高N.A.(開口数)の干渉対物レンズとしてミロー型と呼ばれる構成が知られている。
【0003】
図6は、一般的なミロー型の光学系90の基本構成を示す模式図である。
光学系90は、図6に示すように、同一光軸L上に上方から順に、凸レンズ91と、参照ミラー92付きガラスプレート93と、ハーフミラー94と、を備えて構成され、ハーフミラー94の下方には、測定対象物Wが、ステージSに載置されて配されている。
この光学系90においては、凸レンズ91を透過して下方に出射した光は、ハーフミラー94によって、参照ミラー92を有する参照光路(図中の破線)と測定対象物Wを配置した測定光路(図中実線)とに分岐され、その後、参照ミラー92からの反射光(参照光)と測定対象物Wからの反射光とが合波される。そして、参照光と反射光の光路長が等しいとき、それぞれの光は、位相がそろった光波となって強めあい干渉波となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−148921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなミロー型の構成では、対物レンズの先端に凸レンズ91を備え、対物レンズの先端と測定対象物Wとの間に参照ミラー92付きガラスプレート93とハーフミラー94を配置する構成であるため、作動距離がハーフミラー94から測定対象物Wまでの距離と限定されてしまう。
このため、測定や観察のできる測定対象物Wが上記した作動距離内に適用できるものに限られ、また、作動距離が短いため作業性も悪いという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、測定・観察の可能な測定対象物の選択範囲を増加させ、作業性を向上させることのできる構成を有する干渉対物レンズ及びこの干渉対物レンズを備えた光干渉測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
光源から出力された光を測定対象物に照射する干渉対物レンズにおいて、
前記干渉対物レンズの前記測定対象物と対向する先端部には、干渉光を得るための干渉光学系が設けられ、
前記干渉光学系は、
前記光源から出力された光を、前記測定対象物に対して収束させるレンズ群と、
前記レンズ群よりも前記光源側に配される参照ミラーと、
前記レンズ群の光軸方向の中央に配され、前記光源から出力された光を、前記参照ミラーを有する参照光路と前記測定対象物を配置した測定光路とに分岐させると共に、前記参照ミラーからの反射光と前記測定対象物からの反射光とを前記干渉光として出力させるハーフミラーと、を備え、
前記レンズ群は、前記ハーフミラーに対して光軸方向の一方と他方とが対称となるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の干渉対物レンズにおいて、
前記レンズ群は、平面を有する同一な2枚のレンズの平面同士を当接させてなるレンズ体を備え、
前記レンズ体における前記2枚のレンズの当接面に前記ハーフミラーが備えられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の干渉対物レンズにおいて、
前記レンズ群は、所定の間隙を備えて配置される同一な2つのレンズ体を備え、
前記2つのレンズ体の間隙に、前記ハーフミラーが配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の干渉対物レンズにおいて、
前記参照ミラーは、第1の透明板の一面に備えられ、
前記ハーフミラーは、第2の透明板の一面に備えられ、
前記参照ミラー及び前記ハーフミラーは、前記第1の透明板及び前記第2の透明板のそれぞれに対して光軸方向の同一側の一面に配されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、光干渉測定装置において、
前記請求項1〜4の何れか一項に記載の干渉対物レンズと、
前記干渉対物レンズに対して光を出力する光源と、
前記参照光路又は前記測定光路の何れか一方の光路長を変化させる光路長可変手段と、
前記干渉対物レンズから出力された前記干渉光により干渉画像を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、干渉対物レンズと測定対象物の間に参照ミラーとハーフミラーを配置する必要がないため、作動距離を干渉対物レンズの先端から測定対象物までの距離とすることができる。
よって、従来のミロー型と比較して作動距離を広げることができるため、測定・観察の可能な測定対象物の選択範囲を増加させ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の光干渉測定装置としての三次元形状測定装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の三次元形状測定装置における干渉対物レンズの構成を示す要部拡大図である。
【図3】図1の三次元形状測定装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】変形例1の干渉対物レンズの構成を示す要部拡大図である。
【図5】第2実施形態の干渉対物レンズの構成を示す要部拡大図である。
【図6】従来のミロー型の光学系の基本構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明にかかる光干渉測定装置としての三次元形状測定装置(以下、形状測定装置と称する。)について、詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
先ず、構成について説明する。
本実施形態における形状測定装置1は、図1に示すように、光出射部(光源)10と、光学ヘッド部20、対物レンズ部(干渉対物レンズ)30と、撮像部(撮像手段)40と、駆動機構部(光路長可変手段)50と、表示部60と、制御部70と、測定対象物Wを載置するためのステージSと、等を備える。
【0016】
光出射部10は、広帯域に亘る多数の波長成分を有しコヒーレンシーの低い広帯域光を出力する光源であって、例えば、キセノンランプ(500W)などの白色光源が用いられる。
【0017】
光学ヘッド部20は、ビームスプリッタ21と、コリメータレンズ22とを備えている。光出射部10から出射した光は、対物レンズ部30の光軸Lと直角の方向から、コリメータレンズ22を介してビームスプリッタ21に平行に照射され、ビームスプリッタ21からは光軸Lに沿った光が出射されて、対物レンズ部30に対して上方から平行ビームが照射される。
【0018】
対物レンズ部30は、その先端部から、当該対物レンズ部30の下方のステージS上に載置される測定対象物Wに対して光を照射する。
対物レンズ部30の測定対象物Wと対向する先端部には、図2に示すように、干渉光(干渉縞)を得るための干渉光学系100が備えられている。
【0019】
干渉光学系100は、ガラスプレート110の下面に設けられる参照ミラー120と、参照ミラー120の下方に配設されるレンズ群130と、レンズ群130の光軸L方向の中央に配されるハーフミラー140と、等から構成される。
【0020】
参照ミラー120は、レンズ群130よりも上方(光源側)の光軸L上に配され、下方に位置するハーフミラー140により反射されて上方に進んだ参照光を反射させて、ハーフミラー140の方向に進ませる。
【0021】
レンズ群130は、光学ヘッド部20から照射された光を、測定対象物Wに対して収束させる。
レンズ群130は、その上下方向(光軸L方向)の中央にハーフミラー140を備え、このハーフミラー140に対して上方と下方(光軸方向の一方と他方)とが対称となるように構成されている。
具体的に、本実施形態のレンズ群130は、平面を有する同一な2枚のレンズ(平凸レンズ131a,131b)の平面同士を当接させてなるレンズ体131を備えている。
2枚の平凸レンズ131a,131bは、形状、曲率半径、厚み、材質、などが同一なものが用いられる。
そして、このレンズ体131における2枚の平凸レンズ131a,131bの当接面にハーフミラー140が蒸着されて形成される。
【0022】
ハーフミラー140は、上記したように、レンズ体131における2枚の平凸レンズ131a,131bの当接面、即ち、レンズ群130の光軸L方向の中央に配置される薄膜である。
このハーフミラー140は、上方から入射された光を、参照ミラー120を有する参照光路(図2中破線)と測定対象物Wを配置した測定光路(図2中実線)とに分岐させると共に、参照ミラー120からの反射光と測定対象物Wからの反射光とを合成して干渉光として出力させる。
【0023】
ここで、図2を用いて、対物レンズ部30上方から、光学ヘッド部20を介して光が干渉光学系100に入射したことを想定して、干渉動作を説明する。なお、図2中の矢印に沿った光路を用いて説明するが、実際、干渉は光軸Lに対して回転対称に起こる。
【0024】
まず、干渉光学系100に入射した入射光は、ガラスプレート110を透過し、次いでレンズ群130の平凸レンズ131aを透過して、ハーフミラー膜140に入射する。ここで、入射光は、参照光路を進む反射光と、測定光路を進む透過光とに分岐する。
反射光は、収束して参照ミラー120で反射され、その後、ハーフミラー140で反射される。一方、透過光は、収束して測定対象物Wの一点を照射し、そこで反射されてハーフミラー140に入射して透過する。ここで、参照ミラー120からの反射光と測定対象物Wからの反射光とはハーフミラー140により合波されて合成波(干渉光)となり、上方へ進む。このとき、参照光路(光路1+光路2)と、測定光路(光路3+光路4)の光路長が等しいときに、干渉が発生する。
このとき、干渉光学系100においては、ハーフミラー140で反射され参照光路を進む反射光が平凸レンズ131aを透過した後に集光する位置に、参照ミラー120が配置されている。
これにより、ハーフミラー140を透過して測定対象物W上に集光する光と、ハーフミラー140で反射して参照ミラー120に集光する光が同じ光路長となり干渉縞が観察できるようになっている。
その後、合成波は、撮像部40上に結像し、干渉画像を形成する。干渉画像は制御部70に取り込まれて画像処理が施される。
【0025】
なお、対物レンズ部30は、ガラスプレート110より上方(先端部より上方)においては、如何なるレンズ構成を備えても良い。
【0026】
撮像部40は、撮像手段を構成するための2次元の撮像素子からなるCCDカメラ等であり、対物レンズ部30から出力された合成波(測定対象物Wからの反射光と参照ミラー120からの反射光)の干渉画像を撮像するものである。
撮像部40により撮像された干渉画像の画像データは電気信号として制御部70に取り込まれ、所定の画像処理が施された後、表示部60上に表示される。
【0027】
駆動機構部50は、制御部70からの移動指令によって、光学ヘッド部20を光軸L方向に移動させる。
対物レンズ部30のフォーカス位置は、測定対象物Wの表面の所定位置に設定されている。
ここで、図2において、ハーフミラー140から参照ミラー120までの距離をd1、ハーフミラー140からフォーカス位置までの距離をd2とすると、d1=d2の位置において光路長差0となる。
従って、駆動機構部50は、測定に際しては、光路長差0(d1=d2)となるように、光学ヘッド部20を光軸L方向に移動させることでd2の距離を調整する。
なお、上記では光学ヘッド部20を移動させる場合を例示して説明したが、ステージSを移動させることでd2の距離を調整する構成としても良い。
また、ハーフミラー140から参照ミラー120までの距離d1を可変とする構成としても良い。
このように、駆動機構部50は、光路長可変手段として、参照光路又は測定光路の何れか一方の光路長を変化させる。
【0028】
表示部60は、例えば、パーソナルコンピュータなどの搭載されるモニタ等であり、制御部70に取り込まれ、所定の画像処理が施された干渉画像の画像データなどを表示する。
【0029】
制御部70は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、記憶部73、等を備えている。
【0030】
CPU71は、例えば、記憶部73に記憶されている各種処理プログラムに従って、各種の制御処理を行う。
【0031】
RAM72は、CPU71により演算処理されたデータを格納するワークメモリエリアを形成している。
【0032】
記憶部73は、例えば、CPU71によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU71によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部73に記憶されている。
【0033】
具体的には、記憶部73には、例えば、撮像データ記憶部731、ピーク位置検出プログラム732等が記憶されている。
【0034】
撮像データ記憶部731は、撮像部40により撮像された干渉画像の画像データを複数枚のフレームとして記憶するものである。
なお、撮像データ記憶部731に記憶された画像データは、例えば撮像部40の感度特性等の影響を排除するため、予め作成された補正テーブル等により、干渉強度値などを適正に補正されて、記憶される。
【0035】
ピーク位置検出プログラム732は、例えば、CPU71に、撮像部40により撮像された干渉画像に基づいて、光路差ゼロの位置において発生した干渉縞のピーク位置を検出する機能を実現させるプログラムである。
具体的に、CPU71は、干渉縞が発生した場合、その干渉縞の強度変化から最大強度を示す位置を光路差ゼロの位置として検出する。
CPU71は、かかるピーク位置検出プログラム732を実行することで、ピーク位置検出手段として機能する。
【0036】
次に、作用について説明する。
本実施形態の形状測定装置1及びこの形状測定装置1に備えられた対物レンズ部30は、上述したように、その先端部に、干渉縞を得るための干渉光学系100が備えられている。
このため、従来のミロー型の対物レンズのように、対物レンズ部30と測定対象物Wとの間に参照ミラーやハーフミラーを配する必要がなく、対物レンズ部30の先端面から測定対象物Wまでの距離を全て作動距離とできることとなる。
【0037】
以上のように、本実施形態の対物レンズ部30及び当該対物レンズ部30を備えた形状測定装置1によれば、対物レンズ部30の先端部には、干渉光を得るための干渉光学系100が設けられ、この干渉光学系100は、光出射部10から出力された光を、測定対象物Wに対して収束させるレンズ群130と、レンズ群130よりも光出射部10側の光軸L上に配される参照ミラー120と、レンズ群130の光軸L方向の中央に配され、光出射部10から出力された光を、参照光路と測定光路とに分岐させると共に、参照ミラー120からの反射光と測定対象物Wからの反射光とを干渉光として出力させるハーフミラー140と、を備え、レンズ群130は、ハーフミラー140に対して光軸L方向の一方と他方とが対称となるように構成されている。
これにより、対物レンズ部30の先端面から測定対象物Wまでの距離を全て作動距離とできることとなるため、従来のミロー型と比較して、作動距離を長く確保することができる。
このため、測定・観察の可能な測定対象物の選択範囲を増加させ、作業性を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態の対物レンズ部30及び当該対物レンズ部30を備えた形状測定装置1によれば、レンズ群130は、平面を有する同一な2枚のレンズ(平凸レンズ131a,131b)の平面同士を当接させてなるレンズ体131を備え、レンズ体131における平凸レンズ131a,131bの当接面にハーフミラー140が備えられている。
このため、ガラス基板上に膜状を形成したハーフミラーと比較して、ガラス基板が必要ないため安価に製造することができる。
【0039】
(変形例1)
次に、図4を用いて、変形例1の対物レンズ部30Aの構成について説明する。
対物レンズ部30Aの先端部には、干渉光学系200が備えられている。
干渉光学系200は、ガラスプレート210の下面に設けられる参照ミラー220と、参照ミラー220の下方に配設されるレンズ群230と、レンズ群230の光軸L方向の中央に配されるハーフミラー240と、等から構成される。
【0040】
変形例1のレンズ群230は、平面を有する同一な2枚のレンズ(平凹レンズ231a,231b)の平面同士を当接させてなるレンズ体231と、レンズ体231の上方及び下方にそれぞれ設けられる2つの凸レンズ232、233と、からなる。
【0041】
2枚の平凹レンズ231a,231bは、形状、曲率半径、厚み、材質、などが同一なものが用いられる。また、2つの凸レンズ232、233も、形状、曲率半径、厚み、材質、などが同一なものが用いられる。
また、平凹レンズ231aと凸レンズ232との距離、及び平凹レンズ231bと凸レンズ233との距離は、同一である。
そして、このレンズ体231における2枚の平凹レンズ231a,231bの当接面にハーフミラー240が蒸着されて形成されている。
このため、ハーフミラー240を透過して測定対象物W上に集光する光と、ハーフミラー240で反射して参照ミラー220に集光する光が同じ光路長となり、干渉縞が観察できるようになっている。
【0042】
なお、上記変形例1で例示した構成以外にも、レンズ群230に適宜光学部材を設けることが可能であるのは勿論である。
また、変形例1においても、参照ミラー220を備えたガラスプレート210より上方(先端部より上方)の構成に関しては如何なるものであっても良い。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における対物レンズ部について、第1実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の対物レンズ部80は、図5に示すように、その先端部に、干渉光学系300を備えている。
【0044】
干渉光学系300は、ガラスプレート(第1の透明板)310の上面に設けられる参照ミラー320と、参照ミラー320の下方に配設されるレンズ群330と、レンズ群330の光軸L方向の中央に、ガラスプレート(第2の透明板)341の上面に設けられたハーフミラー340と、等から構成される。
【0045】
参照ミラー320は、レンズ群330よりも上方(光源側)の光軸L上に配され、下方に位置するハーフミラー340により反射されて上方に進んだ参照光を反射させて、ハーフミラー340の方向に進ませる。
【0046】
レンズ群330は、その上下方向(光軸L方向)の中央にハーフミラー340を備え、このハーフミラー340に対して上方と下方とが対称となるように構成されている。
具体的に、本実施形態のレンズ群330は、所定の間隙を備えて配置される同一な2つのレンズ体331、332を備えており、レンズ体331、332の間隙に、ハーフミラー340付きガラスプレート341が配置されている。
【0047】
より具体的には、レンズ体331は、凹曲面と平面を有する第1のレンズ331aと、当該第1のレンズ331aの平面側に当接する平凸レンズ331bとからなる。
また、レンズ体332は、凹曲面と平面を有する第2のレンズ332aと、当該第2のレンズ332aの平面側に当接する平凸レンズ332bとからなる。
ここで、第1のレンズ331aと第2のレンズ332a、及び平凸レンズ331bと平凸レンズ332bは、互いに形状、曲率半径、厚み、材質、などが同一なものが用いられる。
2つのレンズ体331、332は、互いの凹曲面が対向するように間隙を備えて配置され、2つのレンズ体331、332の間隙には、ハーフミラー340付きガラスプレート341が配置されている。
また、レンズ体331の上方には、平凸レンズ333が、平面側が下側にくるように配置され、レンズ体332の下方には、平凸レンズ334が、平面側が上側にくるように配置されている。
なお、平凸レンズ333及び平凸レンズ334も、互いに形状、曲率半径、厚み、材質、などが同一なものが用いられる。また、レンズ体331と平凸レンズ333との距離、及びレンズ体332と平凸レンズ334との距離は、同一である。
【0048】
このように、レンズ群330は、ハーフミラー340に対して上下の構成(即ち、光軸L方向の一方と他方の構成)が対称となっており、ハーフミラー340を透過して測定対象物W上に集光する光と、ハーフミラー340で反射して参照ミラー320に集光する光が同じ光路長となり、干渉縞が観察できるようになっている。
なお、本実施形態においては、参照ミラー320は、ガラスプレート310の上面に設けられ、ハーフミラー340は、ガラスプレート341の上面に設けられることとして説明しているが、両者とも下面に設けることとしても良い。
【0049】
以上のように、本実施形態の対物レンズ部80及び当該対物レンズ部80を備えた形状測定装置(図示省略)によれば、レンズ群330は、所定の間隙を備えて配置される同一な2つのレンズ体331、332を備え、2つのレンズ体331、332の間隙には、ハーフミラー340を備えたガラスプレート341が配置されている。
これにより、対物レンズ部80の先端面から測定対象物Wまでの距離を全て作動距離とできることとなるため、従来のミロー型と比較して、作動距離を長く確保することができる。
このため、測定・観察の可能な測定対象物の選択範囲を増加させ、作業性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の対物レンズ部80及び当該対物レンズ部80を備えた形状測定装置(図示省略)によれば、参照ミラー320は、ガラスプレート310の一面に備えられ、
ハーフミラー340及び参照ミラー320は、ガラスプレート341及びガラスプレート310のそれぞれに対して光軸方向の同一側の一面に配されている。
これにより、参照光路と測定光路の光路長を等しく構成することができる。
【0051】
また、上記第2実施形態で例示した構成以外にも、レンズ群330に適宜光学部材を設けることが可能であるのは勿論である。
また、第2実施形態においても、参照ミラー320を備えたガラスプレート310より上方の構成に関しては如何なるものであっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 形状測定装置(光干渉測定装置)
10 光出射部(光源)
20 光学ヘッド部
30、30A、80 対物レンズ部(干渉対物レンズ)
100 干渉光学系
110 ガラスプレート
120 参照ミラー
130 レンズ群
131 レンズ体
131a,131b 平凸レンズ
140 ハーフミラー膜
200 干渉光学系
210 ガラスプレート
220 参照ミラー
230 レンズ群
231 レンズ体
231a,231b 平凹レンズ
232、233 凸レンズ
240 ハーフミラー膜
300 干渉光学系
310 ガラスプレート(第1の透明体)
320 参照ミラー
330 レンズ群
331 レンズ体
331a 第1のレンズ
331b平凸レンズ
332 レンズ体
332a 第2のレンズ
332b平凸レンズ
333、334 平凸レンズ
340 ハーフミラー膜
341 ガラスプレート(第2の透明体)
40 撮像部(撮像手段)
50 駆動機構部(光路長可変手段)
60 表示部
70 制御部
L 光軸
S ステージ
W 測定対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された光を測定対象物に照射する干渉対物レンズにおいて、
前記干渉対物レンズの前記測定対象物と対向する先端部には、干渉光を得るための干渉光学系が設けられ、
前記干渉光学系は、
前記光源から出力された光を、前記測定対象物に対して収束させるレンズ群と、
前記レンズ群よりも前記光源側に配される参照ミラーと、
前記レンズ群の光軸方向の中央に配され、前記光源から出力された光を、前記参照ミラーを有する参照光路と前記測定対象物を配置した測定光路とに分岐させると共に、前記参照ミラーからの反射光と前記測定対象物からの反射光とを前記干渉光として出力させるハーフミラーと、を備え、
前記レンズ群は、前記ハーフミラーに対して光軸方向の一方と他方とが対称となるように構成されていることを特徴とする干渉対物レンズ。
【請求項2】
前記レンズ群は、平面を有する同一な2枚のレンズの平面同士を当接させてなるレンズ体を備え、
前記レンズ体における前記2枚のレンズの当接面に前記ハーフミラーが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の干渉対物レンズ。
【請求項3】
前記レンズ群は、所定の間隙を備えて配置される同一な2つのレンズ体を備え、
前記2つのレンズ体の間隙に、前記ハーフミラーが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の干渉対物レンズ。
【請求項4】
前記参照ミラーは、第1の透明板の一面に備えられ、
前記ハーフミラーは、第2の透明板の一面に備えられ、
前記参照ミラー及び前記ハーフミラーは、前記第1の透明板及び前記第2の透明板のそれぞれに対して光軸方向の同一側の一面に配されていることを特徴とする請求項3に記載の干渉対物レンズ。
【請求項5】
前記請求項1〜4の何れか一項に記載の干渉対物レンズと、
前記干渉対物レンズに対して光を出力する光源と、
前記参照光路又は前記測定光路の何れか一方の光路長を変化させる光路長可変手段と、
前記干渉対物レンズから出力された前記干渉光により干渉画像を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とする光干渉測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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