説明

建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法

【課題】蓄電装置における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能な建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法を提供する。
【解決手段】建物用電力供給システムにおいて、少なくとも2つ以上の蓄電装置と、蓄電装置からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力するインバータと、蓄電装置別に設けられ、インバータと蓄電装置との間に配置された回路と、回路の開閉状態を回路毎に切り替える制御部と、を備えている。また、制御部は、建物内で発生する負荷に電力が供給される期間中、常に、蓄電装置別に設けられた回路のうち、いずれかの回路を閉状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内で発生する負荷に電力を供給する建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法に係り、特に、少なくとも2個以上の蓄電装置を用いた建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内で発生する負荷に電力を供給する建物用電力供給システムは、既に知られており、建物用電力供給システムの中には、蓄電池等の蓄電装置に電力を蓄電し、負荷の状況に応じて適宜放電するシステム(以下、蓄電池システムともいう)が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された蓄電池システムによれば、商用電源からの電力(以下、系統電力という)の使用単価が安くなる時間帯(例えば、深夜)中に、系統電力を蓄電装置に蓄電し、使用単価が高くなる時間帯(例えば、昼間)中に放電することによって経済的恩恵を享受することが可能になる。
【0004】
また、蓄電池システムの中には、太陽光発電設備を併せ持つものも存在し、かかるシステムにおいて、発電可能な時間帯(すなわち、昼間)中に発電電力を蓄電装置に蓄電し、発電不可能な時間帯(すなわち、夜間)中に蓄電した電力を放電すれば、電力使用のピーク時間をシフトすることが可能になる。さらに、上記のシステムにおいて、発電電力が負荷における消費電力量を上回った場合、余剰電力を商用電源に逆潮流すること(所謂、売電)も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−50131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓄電装置に蓄電される電力は、通常、直流電力であるため、蓄電装置から放電される電力を建物内の負荷に供給する際には、当該放電電力を直流電力から交流電力に変換する必要がある。このため、システム内には変換装置としてのインバータが設けられることになる。ここで、従来の蓄電池システムでは、例えば、蓄電装置に電力を蓄電している間(換言すると、放電をしていない間)、インバータが不可避的に停止し、一定量の電力量が蓄電された後に蓄電装置から電力を放電する際には、インバータを起動することとしていた。この場合、インバータを停止状態から起動すると、インバータのウォームアップに時間を要するため、タイムラグを生じ、スムーズに蓄電/放電の切り替えを行うことが困難となる。
【0007】
特に、負荷への電力の供給源として、商用電源と蓄電装置の双方を併用するシステム(いわゆる系統連系システム)では、インバータを停止状態から起動する際には、資源エネルギー庁公表の『電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン』に則り、系統連系のために系統電力と蓄電装置からの放電電力とを同期させる時間として所定時間(具体的には約5分間)を確保する必要があり、その時間中は、インバータからの出力が不能となる。したがって、系統連系システムでは、インバータを停止状態から起動する場合に生じるタイムラグが顕著になり、蓄電装置における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことがより一層困難となる。また、上記のタイムラグが生じる結果、その間系統電力を消費することになり、その分、電力使用料金が増加してしまうことになる。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電装置における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能な建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の建物用電力供給システムによれば、少なくとも2つ以上の蓄電装置と、該蓄電装置からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力するインバータと、前記蓄電装置別に設けられ、前記インバータと前記蓄電装置との間に配置された、前記放電電流が流れる回路と、前記蓄電装置別に設けられた前記回路の開閉状態を、前記回路毎に切り替える制御部と、を備えた建物用電力供給システムであって、前記制御部は、前記建物用電力供給システムにより建物内で発生する負荷に電力が供給される期間中、常に、前記蓄電装置別に設けられた前記回路のうち、いずれかの前記回路を閉状態とすることにより解決される。
上記の構成であれば、建物用電力供給システムにより建物内の負荷に向けて電力が供給される期間中(すなわち、システム稼働期間中)、インバータには常に電圧が印加されるので、インバータが常時、非停止状態(運転状態又は待機状態)に維持されるので、インバータを停止状態から起動する際に不可避的に発生するタイムラグを回避することが可能になる。この結果、蓄電装置における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能となる。
【0010】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、少なくとも2つ以上の蓄電装置は、前記負荷に電力を供給するために蓄電した電力を放電する第1蓄電池と、該第1蓄電池よりも安価な第2蓄電池とを含み、前記回路は、前記第1蓄電池と前記インバータとの間に配置された第1回路と、前記第2蓄電池と前記インバータとの間に配置された第2回路と、を含み、前記制御部は、前記建物用電力供給システムにより建物内で発生する負荷に電力が供給される期間のうち、前記インバータに前記第1蓄電池からの前記放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力させる間は前記第1回路を閉状態とし、前記第1回路を開状態としている間は前記第2回路を閉状態とすると、好適である。第2蓄電池は、第1蓄電池の予備であり、第1蓄電池と同等の性能を備えている必要はなく、より安価な蓄電装置を利用すれば、システム構築のコストを削減することが可能である。
【0011】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記第1蓄電池の状態を放電状態から蓄電状態に変更する場合、前記制御部は、前記第2回路を開状態から閉状態に切り替えた後に、前記第1蓄電池における電力の蓄電量が所定の量まで下がるまで、前記第1回路及び前記第2回路の双方を閉状態で維持し、前記蓄電量が前記所定の量まで下がった時点で前記第1回路のみを閉状態から開状態に切り替えると、より好適である。かかる構成であれば、第1蓄電池に蓄電された電力を利用してから、第1蓄電池の状態を蓄電状態へ切り替えるので、合理的な電力供給が実現されることになる。
【0012】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、自然エネルギーを利用して発電する発電部をさらに備え、前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池は、前記発電部から供給される電力を蓄電することが可能であると、さらに好適である。かかる構成では、発電部からの電力の供給量が変動することに起因して、蓄電池(特に第1蓄電池)における蓄電/放電の切り替えが頻繁に行われるので、蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能になるという本発明の効果がより有意義なものとなる。
【0013】
また、前述した課題は、本発明の建物用電力供給方法によれば、少なくとも2つ以上の蓄電装置と、該蓄電装置からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力するインバータと、前記蓄電装置別に設けられ、前記インバータと前記蓄電装置との間に配置された前記放電電流が流れる回路と、を用いて建物内で発生した負荷に電力を供給する電力供給方法であって、前記蓄電装置別に設けられた前記回路の開閉状態を前記回路毎に開閉状態を切り替える切り替え工程を有し、該切り替え工程は、建物内の負荷に向けて電力を供給される期間中、常に、前記蓄電装置別に設けられた前記回路のうち、いずれかの前記回路が閉状態となっているように実行されることにより解決される。かかる方法であれば、前述したように、インバータに常に電圧が印加されて、インバータが常時、非停止状態(運転状態又は待機状態)に維持されるので、インバータを停止状態から起動する際に不可避的に発生するタイムラグを回避することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の建物用電力供給システムでは、建物内の負荷に向けて電力が供給される期間中(すなわち、システム稼働期間中)、インバータには常に電圧が印加されるので、インバータが常時、非停止状態(運転状態又は待機状態)に維持されるので、インバータを停止状態から起動する際に不可避的に発生するタイムラグを回避することが可能になる。これにより、蓄電装置における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る建物用電力供給システムの全体構成図である。
【図2】建物用電力供給システムにおける制御系統を示すブロック図である。
【図3】システムサーバの構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その1)。
【図5】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その2)。
【図6】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その3)。
【図7】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その4)。
【図8】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その5)。
【図9】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その6)。
【図10】本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である(その7)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<本実施形態に係る建物用電力供給システムの概要>>
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る建物用電力供給システムについて、図1乃至10を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る建物用電力供給システムの全体構成図である。図2は、建物用電力供給システムにおける制御系統を示すブロック図である。図3は、後述のシステムサーバ11の構成を示す図である。図4から図10は、本実施形態に係る建物用電力供給システムの運転形態の一例を示す図である。なお、図4から図10の各図において、図示された回路中、電流が流れている部分(通電部分)を太線にて示している。
【0017】
先ず、本実施形態に係る建物用電力供給システム(以下、本システムSとも言う)について概説する。
本システムSは、建物内で発生する負荷Lに対して電力を供給するシステムであり、具体的には、建物内で使用される電力消費機器(家電製品、照明、空調設備、給湯設備等)に対して電力を供給する。なお、以降の説明では、建物の一例して住宅Hを挙げ、住宅H内における負荷Lに対して電力を供給するシステムについて説明する。ただし、住宅Hは建物の一例に過ぎず、その内空間にて負荷Lが発生するものである限り、例えば、オフィスビル、工場内の建屋、店舗等であってもよい。
【0018】
本システムSは、図1に示すように、蓄電装置としての蓄電池2に電力を蓄電し、蓄電された電力を放電して負荷Lに供給する。また、本システムSは、商用電源CPからの電力(いわゆる系統電力)を受電して負荷Lに供給することも可能である。すなわち、本システムSは、系統連系しており、負荷Lへの電力の供給源として、商用電源CPと蓄電池2の双方を併用する。
【0019】
また、本システムSでは、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電し、発電した電力(発電電力)を負荷Lに供給することも可能である。つまり、本システムSは、発電電力、系統電力、及び、蓄電池2に蓄電された電力を負荷Lに対して供給することが可能である。なお、本システムSでは、発電電力の一部又は全部を商用電源CPに逆潮流させることが可能である。このため、本システムSのユーザ、すなわち、住宅Hの居住者は、発電電力の余剰分を電気事業者(商用電源CPの保有者)に販売すること(いわゆる売電)が可能である。
【0020】
次に、本システムSの構成について説明する。本システムSは、図1及び2に示すように、発電部としての発電ユニット1と、複数の蓄電池2と、複数の変換装置(具体的には、パワーコンディショナ3、充電器4及びインバータ5)と、システム内の電力供給回路を構成する回路ユニット6と、本システムS各部を制御する制御ユニット7と、を主たる構成要素として有する。
【0021】
発電ユニット1は、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電するものであり、具体的には、住宅Hに取り付けられた太陽電池モジュール1aにより構成されている。ここで、発電ユニット1が発電する電力は、直流電力であり、負荷Lに供給する際や余剰分を商用電源CPに逆潮流する際には、パワーコンディショナ3によって交流電力に変換される。こうした電力変換により、発電ユニット1は、商用電源CP系統と連系することが可能になる。
【0022】
蓄電池2は、発電ユニット1が発電した発電電力(つまり、発電ユニット1から供給される電力)や系統電力を蓄電し、必要に応じて蓄電した電力を適宜放電する。ここで、蓄電池2に蓄電される電力は、直流電力に限られるため、パワーコンディショナ3にて交流電力に変換された発電電力や系統電力は、蓄電池2に蓄電されるにあたり、充電器4によって交流電力から直流電力に変換されることになる。一方、蓄電池2から放電される電力は、直流電力となるので、負荷Lに供給する際には、インバータ5によって交流電力に変換されることになる。こうした電力変換により、蓄電池2は、商用電源CP系統と連系することが可能になる。
【0023】
そして、本実施形態では、少なくとも2つ以上の蓄電池2が並列状態で設けられている。このように2つ以上の蓄電池2が並列状態で設けられていれば、一部の蓄電池2に蓄電された電力を放電している間に、残りの蓄電池2に電力を蓄電することが可能になる。すなわち、本システムSでは、蓄電池2への電力の蓄電と蓄電池2からの電力の放電とを同時に実施することが可能である。この結果、一部の蓄電池2の状態を蓄電状態から放電状態に切り替えている最中に負荷Lへ電力を供給することになったとしても、系統電力を用いる必要がなく、その分、系統電力の使用量(いわゆる買電量)を削減することができる。
【0024】
さらに、2つ以上の蓄電池2が並列状態で設けられていることにより、蓄電池2にて蓄電/放電の切り替えが頻繁に繰り返される現象(いわゆるチャタリング)を回避し、これに伴って、チャタリング防止のために要するタイムラグを解消することが可能となる。
【0025】
具体的に説明すると、蓄電池2が1つのみ設けられているシステムでは、蓄電池2が放電状態にある状況から、発電電力の余剰分を蓄電するために蓄電状態へ切り替わろうとすると、システムの構成上、チャタリングが発生してしまう。このチャタリングを防止するために、約1分間、蓄電池2への蓄電を保留しておくことがあり、この結果、タイムラグが生じてしまう。これに対して、2つ以上の蓄電池2が設けられていれば、発電電力の余剰分を蓄電するために一方の蓄電池2を放電状態から蓄電状態に切り替える際、他方の蓄電池2を蓄電状態から放電状態に切り替えれば、チャタリングの発生を回避することができ、上記タイムラグを解消することが可能になる。
【0026】
なお、以降の説明では、図1に示すケース、すなわち、蓄電池2が2個設けられるケースを具体例に挙げて説明する。ただし、これに限定するものではなく、少なくとも2個以上であれば、蓄電池2の個数については任意に設定することが可能である。
【0027】
図1中に図示された複数の蓄電池2のうち、一方の蓄電池2は、負荷Lへの電力供給源として蓄電した電力を放電するメインの蓄電池2であり、本発明の第1蓄電池に相当し、具体的にはリチウムイオン電池2aである。換言すると、蓄電池2から負荷Lへ供給される電力の大部分は、リチウムイオン電池2a由来の電力となる。他方の蓄電池2は、上記のリチウムイオン電池2a(第1蓄電池)よりも安価な蓄電池であり、本発明の第2蓄電池に相当し、具体的には鉛蓄電池2bである。この鉛蓄電池2bは、例えば、リチウムイオン電池2aの状態を蓄電状態から放電状態に切り替える最中に一時的に電力を放電する等の目的で用いられ、予備的(補助的)な蓄電池2として設けられている。
【0028】
なお、蓄電池2の種類については、上記の種類(リチウムイオン電池2aや鉛蓄電池2b)に限定されるものではなく、例えば、NaS電池、ニッケル水素電池であってもよく、また、上述した第2蓄電池としてはキャパシタ等も利用可能である。また、上述したように、蓄電池2の個数については任意に設定することが可能であり、例えば、リチウムイオン電池2aを2個以上備えた構成であってもよい。
【0029】
変換装置としてのパワーコンディショナ3、充電器4、インバータ5は、前述したように、電力の供給先に応じて電力を適宜な種類の電力に変換するものであり、具体的には、これらの変換装置に入力される電流の種類を変換して出力する。例えば、インバータ5は、蓄電池2からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力する。
【0030】
なお、インバータ5の状態は、停止状態と非停止状態との間で切り替え可能であり、非停止状態にある場合には、さらに、運転状態と待機状態との間で切り替え可能である。
【0031】
ここで、停止状態とは、インバータ5各部(例えば、インバータ5のCPUやメモリ)への給電が停止された状態を意味する。一方、運転状態とは、通常稼働状態(アクティブ状態)を意味し、運転状態にあるインバータ5は、負荷Lに向けて変換後の放電電流を出力することが可能である。待機状態とは、インバータ5各部のうち、一部の機器への給電が停止された状態(スリープ状態)を意味し、待機状態にあるインバータ5は、回路的(電気的)に負荷Lと接続されていないことになる。
【0032】
なお、待機状態にあれば、運転状態への復帰(リブート)が迅速に行われることになる。そして、インバータ5に電圧が印加されている場合、インバータ5は、運転状態及び待機状態のうち、いずれかの状態にあることになる。他方、インバータ5に電圧が印加されていない場合には、インバータ5は、自動的に停止状態となる。
【0033】
また、本実施形態では、蓄電池2の状態の切り替えに連動して、インバータ5の状態が切り替わるようになっている。すなわち、蓄電池2において蓄電/放電が切り替わると、インバータ5用の駆動回路(不図示)の通電状態が変化し、結果として、インバータ5の状態が切り替わるようになる。インバータ5の状態の切り替えについては、後に詳述する。
【0034】
回路ユニット6は、発電ユニット1からの電流が流れる回路、商用電源CP(厳密には、住宅H内に設けられた不図示の受電設備)からの電流が流れる回路、及び、各蓄電池2からの電流が流れる回路と、によって構成される。本実施形態では、図1に示すように、発電ユニット1から敷設された回路が、パワーコンディショナ3を経由した後に、商用電源CP(厳密には、上記の受電設備)から敷設された回路と合流する。そして、合流地点の下流側で、負荷Lに向かう回路と、蓄電池2に向かう回路とに分岐する。負荷Lに向かう回路は、さらに、重要負荷L1への回路と、非重要負荷L2への回路に分岐する。
【0035】
ここで、重要負荷L1とは、住宅H内の負荷Lのうち、電力を優先的に供給すべき重要な負荷L(具体的には、医療機器や冷蔵庫など、常時運転状態で保持すべき機器)のことである。このように、電力供給の優先度に応じて電力供給回路を分けておくことにより、例えば、商用電源CPが異常状態となり系統電力を受電できなくなった時(例えば、停電時)には、重要負荷L1にのみ電力を供給し、非重要負荷L2への電力供給を遮断することも可能になる。
【0036】
一方、蓄電池2に向かう回路は、図1に示すように、蓄電池2別に分岐する。分岐した各回路中には、上述の充電器4が配設されている。蓄電池2別に分岐した各回路は、蓄電池2に電力を蓄電するための回路(蓄電回路)に相当する。つまり、本システムSでは、蓄電回路が蓄電池2毎に設けられていることになる。また、各蓄電回路には、その開閉状態を切り替えるための開閉スイッチ(以下、蓄電回路側スイッチSW1、SW2)が設けられており、蓄電回路毎に開閉状態を切り替えることが可能である。なお、本実施形態の蓄電回路側スイッチSW1、SW2は、不図示のリレー装置により構成されている。
【0037】
各蓄電池2の陽極側には、蓄電池2からの放電電流が流れる回路が接続されている。かかる回路は、蓄電池2から電力を放電するための回路(放電回路)に相当し、各蓄電池2から敷設されており、上述したインバータ5の手前で合流してからインバータ5に接続されている。つまり、本システムSでは、インバータ5と蓄電池2との間に配置された放電電流用の回路(放電回路)が蓄電池2毎に設けられている。なお、リチウムイオン電池2a側の放電回路(リチウムイオン電池2aとインバータ5との間に配置された放電回路)は、本発明の第1回路に該当し、鉛蓄電池2b側の放電回路(鉛蓄電池2bとインバータ5との間に配置された放電回路)は、本発明の第2回路に該当する。
【0038】
また、各放電回路には、その開閉状態を切り替えるための開閉スイッチ(以下、放電回路側スイッチSW3、SW4)が設けられており、放電回路毎に開閉状態を切り替えることが可能である。なお、本実施形態の放電回路側スイッチSW3、SW4は、不図示のリレー装置により構成されている。
【0039】
そして、インバータ5からは、交流電力に変換した放電電力を負荷Lに向けて供給する回路が敷設されており、当該回路は、図1に示すように、発電電力や系統電力を負荷Lに向けて供給する回路に繋ぎ込まれている。
【0040】
制御ユニット7は、本システムSにおける電力供給状況を管理し、負荷Lへ供給される電力の供給源の切り替えや各蓄電池2における蓄電/放電の切り替え等を行うために、本システムS各部を制御する。こうした機能を具備する制御ユニット7は、図2に示すように、システムサーバ11と、CTセンサ12と、バッテリーマネジメントシステム(以下、BMU)13と、によって構成される。
【0041】
システムサーバ11は、CPU11a、ROMやRAM等のメモリ11b、通信用インターフェース11cを主たる構成要素として有し、メモリ11bには、本システムSを制御するためのプログラム(以下、制御プログラム)が予めインストールされている。なお、本実施形態に係るシステムサーバ11は、住宅H内に設置されているホームサーバである。ただし、これに限定されるものではなく、システムサーバ11が、住宅H外(例えば、住宅Hの管理会社)に設置されたものであってもよい。
【0042】
システムサーバ11は、図3に示すように、受信部21、配信部22、発電ユニット制御部23、買電制御部24、スイッチ制御部25、接続制御部26を備えており、これら各部は、上述したシステムサーバ11の構成要素たるCPU11a、メモリ11b、通信用インターフェース11c、及び、制御プログラムによって構成されている。以下、システムサーバ11各部(受信部21、配信部22、発電ユニット制御部23、買電制御部24、スイッチ制御部25、接続制御部26)について説明する。
【0043】
受信部21は、宅内ネットワークTNを介してシステムサーバ11と通信可能に接続された機器から配信される情報やデータを受信するものである。システムサーバ11と通信可能な機器としては、CTセンサ12やBMU13、及び、ユーザの操作を受け付けるユーザ端末UTが挙げられる。
【0044】
ユーザ端末UTは、電力供給モードに対するユーザの選択操作を受け付けて、当該選択結果を示す情報をシステムサーバ11に向けて配信する情報端末である。ここで、本システムSにて選択可能な電力供給モードとしては、売電優先モードと、買電回避モードとが挙げられる。売電優先モードとは、蓄電池2に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するとともに、発電ユニット1が発電した電力(発電電力)を商用電源CPへ逆潮流させるモードである。他方、買電回避モードとは、発電電力、系統電力、及び蓄電池2に蓄電された電力のうち、系統電力以外の電力を優先的に負荷Lに供給するモードである。
【0045】
ユーザは、売電優先モード及び買電回避モードのうち、本システムSにおいて実践したいと考える電力供給モードを選択すると、ユーザ端末UTを通じて、当該選択結果を示すデータをシステムサーバ11に向けて伝送することができる。なお、ユーザ端末UTとしては、PDA(タブレット型携帯情報端末)、携帯電話、パソコン、宅内に設置された操作パネル等、ユーザの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた情報をシステムサーバ11に向けて出力するものであれば、制限なく利用することが可能である。
【0046】
配信部22は、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2の蓄電量に関する情報を生成し、上述のユーザ端末UTに向けて当該情報を配信するものである。当該情報を受信したユーザ端末UT側では、不図示の表示画面に、上記情報を示す内容(すなわち、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2の蓄電量)が表示され、ユーザは、ユーザ端末UTの表示画面を通じて、住宅H内における電力需給バランスの状況を視認することができる。
【0047】
発電ユニット制御部23は、宅内ネットワークTNを介して発電ユニット1及びパワーコンディショナ3を制御するものであり、発電可能な時間帯に合わせて、発電ユニット1による発電電力の供給(あるいは逆潮流)を行う。なお、本実施形態では、発電可能な時間帯が昼間(具体的には10時から17時までの間)に設定されているが、かかる時間帯は任意に設定可能であり、例えば、季節に応じて変更することとしてもよい。
【0048】
買電制御部24は、宅内ネットワークTNを介して、住宅Hに設けられた系統電力の受電設備(不図示)を制御するものであり、ユーザが選択した電力供給モード及び電力需給バランスの状況に応じて、系統電力の受電(すなわち、買電)の実行/中断を切り替える。なお、本実施形態において、深夜(具体的には23時から7時までの間)は、系統電力の使用単価が最も安くなる時間帯であり、かかる時間帯には、系統電力を受電し、受電した電力の一部又は全部を蓄電池2に系統電力を蓄電することとしている。また、深夜以外の時間帯、例えば、発電電力及び蓄電池2からの放電電力だけでは負荷Lへの電力供給量を賄えない時間帯には、系統電力を受電するものとする。また、当然ながら、上記以外の時間帯に系統電力を受電することとしてもよい。
【0049】
スイッチ制御部25は、蓄電池2別に設けられた蓄電回路及び放電回路の開閉状態を回路毎に切り替えるものであり、本発明の制御部に相当する。より具体的に説明すると、スイッチ制御部25は、宅内ネットワークTNを介して、上述の蓄電回路側スイッチSW1、SW2及び放電回路側スイッチSW3、SW4に向けて駆動信号を出力する。各スイッチSW1、SW2、SW3、SW4は、宅内ネットワークTNを通じて駆動信号を受信すると、当該駆動信号に従って動作(入切)するようになる。
【0050】
なお、本実施形態に係るスイッチ制御部25は、住宅H内での電力需給バランス(具体的には、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2の蓄電量)に基づいて、各スイッチSW1、SW2、SW3、SW4の入切を自動的に制御する。一方、ユーザは、ユーザ端末UTを通じて、各スイッチSW1、SW2、SW3、SW4の入切を強制的に切り替えることを要求するための操作を行うことができる。かかる操作が行われた場合、その操作の内容を示す信号(切り替え要求信号)がシステムサーバ11に向けて配信されるようになる。そして、スイッチ制御部25は、宅内ネットワークTNを通じて切り替え要求信号を受信すると、当該信号に従って各スイッチSW1、SW2、SW3、SW4の入切を切り替える。
【0051】
接続制御部26は、インバータ5と負荷Lとの間の接続状態を電気的に制御するものであり、蓄電池2からの放電電力を負荷Lに供給する際には、インバータ5と負荷Lとの間を接続状態とし、蓄電池2からの放電電力を負荷Lに供給しなくなると非接続状態とする。なお、本実施形態に係る接続制御部26は、住宅H内での電力需給バランス(具体的には、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2の蓄電量)に基づいて、インバータ5と負荷Lとの間の接続状態を自動的に制御する。一方、ユーザがユーザ端末UTを通じて上記接続状態を強制的に切り替えることを要求するための操作を行うと、ユーザ端末UTから切り替え要求信号がシステムサーバ11に向けて配信され、かかる信号が受信されると、スイッチ制御部25は、当該信号に従って、インバータ5と負荷Lとの間の接続状態を切り替える。
【0052】
そして、本実施形態では、スイッチ制御部25による制御、及び、接続制御部26による制御は、最終的に蓄電池2の状態に反映される。つまり、蓄電池2の状態は、上述した蓄電回路及び放電回路の開閉状態、及び、インバータ5と負荷Lとの間の接続状態によって決定されることになる。具体的に説明すると、蓄電回路が閉状態となった蓄電池2の状態は、蓄電状態となる。つまり、リチウムイオン電池2a用の蓄電回路側スイッチSW1が入になっている場合、リチウムイオン電池2aの状態は蓄電状態となり、鉛蓄電池2b用の蓄電回路側スイッチSW2が入りになっている場合、鉛蓄電池2bの状態は蓄電状態となる。
【0053】
一方、放電回路が閉状態となっており、その時点でインバータ5と負荷Lとの間が接続状態となっていれば、蓄電池2の状態は、放電状態となる。つまり、リチウムイオン電池2a用の放電回路側スイッチSW3が入状態で、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態となっていれば、リチウムイオン電池2aの状態は、放電状態となる。同様に、鉛蓄電池2b用の放電回路側スイッチSW4が入状態で、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態となっていれば、鉛蓄電池2bの状態は、放電状態となる。
【0054】
なお、放電回路が閉状態となっており、その時点でインバータ5と負荷Lとの間が非接続状態となっていれば、蓄電池2の状態は、保留状態(次の放電に備えた状態)となる。
【0055】
CTセンサ12は、電流センサであり、その計測結果は、随時、宅内ネットワークTNを介してシステムサーバ11に送信される。本実施形態では、負荷Lにおける消費電力を計測するためにCTセンサ12が設置されているとともに、さらに、発電ユニット1による発電電力を計測するために、別途、CTセンサ12が設置されている。この発電電力計測用のCTセンサ12は、例えばパワーコンディショナ3の下流側に設定されている。
【0056】
なお、負荷Lにおける消費電力計測用のCTセンサ12は、例えば分電盤に設置されており、住宅H全体での総消費電力を一括して計測する。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、住宅H内に存在する電力消費機器毎にCTセンサ12が設けられている構成であってもよい。
【0057】
BMU13は、各蓄電池2が上限電圧を超えて蓄電(過充電)したり下限電圧を超えて放電(過放電)したりするのを防止するものであり、蓄電池2毎に、蓄電された電力の電圧を監視する。また、BMU13は、監視電圧に基づいて、各蓄電池2の蓄電量(蓄電残量)を算定することが可能であり、その結果は、宅内ネットワークTNを介して、システムサーバ11に送信される。
【0058】
以上のような構成の制御ユニット7によれば、システムサーバ11各部(受信部21、配信部22、発電ユニット制御部23、買電制御部24、スイッチ制御部25、接続制御部26)の協働により、CTセンサ12、BMU13及びユーザ端末UTから送信されるデータに基づき、所定の電力供給モードに基づいて負荷Lに電力が供給されるようになる。
【0059】
具体的に説明すると、システムサーバ11の受信部21が、ユーザ端末UTからの情報(電力供給モードに関するユーザの選択結果を示す情報)、及び、CTセンサ12やBMU13からの電力データを受信すると、配信部22が、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2(特に、リチウムイオン電池2a)の蓄電量に関する情報を生成して、ユーザ端末UTに向けて配信する。かかる情報を受信したユーザ端末UT側では、発電量、消費電力量及び蓄電量を示す数値やグラフ等が表示画面に表示されるようになる。
【0060】
一方、発電ユニット制御部23が、発電可能な時間に合わせて発電ユニット1及びパワーコンディショナ3を制御するとともに、買電制御部24が、ユーザが選択した電力供給モード及び電力需給バランスの状況に応じて、不図示の受電設備による系統電力の受電(買電)の実行/中断を切り替える。
【0061】
また、電力需給バランスの状況に応じて、スイッチ制御部25が蓄電回路側スイッチSW1、SW2及び放電回路側スイッチSW3、SW4を、接続制御部26がインバータ5と負荷Lとの間の接続状態を、それぞれ制御する。これにより、蓄電池2別に設けられた蓄電回路及び放電回路の開閉状態が回路毎に切り替わり、さらに、各蓄電池2の状態が切り替わるようになる。
【0062】
以上までに説明してきた各機器を構成要素として備える本システムSは、ユーザが選択した電力供給モードに応じて電力を負荷Lに供給する一方で、電力需給バランスをモニタリングし、その状況変化に合わせて、適宜、各蓄電池2における蓄電/放電の切り替えを行う。このように、本システムSは、いわゆるホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)であり、環境負荷としての住宅H内における電力消費量を削減すべく、宅内ネットワークTNを通じたデータの送受信により、電力需給バランスに応じて最適な電力供給を達成することが可能なシステムである。
【0063】
他方、本システムSのユーザは、本システムSによる電力供給モードとして、経済的メリットを重視した売電優先モード、及び、環境負荷の削減を重視した買電回避モードの中から、自己の価値観やライフスタイルに基づいて最適な電力供給モードを選択することが可能となる。
【0064】
<<インバータの状態の切り替えについて>>
次に、本システムSにおけるインバータ5の状態の切り替えについて説明する。
前述したように、本実施形態では、蓄電池2の状態が切り替わることに連動して、インバータ5の状態が切り替わる。一方、蓄電池2の状態は、回路、特に放電回路の開閉状態(換言すると、放電回路側スイッチSW3、SW4の入切)、及び、インバータ5と負荷Lとの間の接続状態に応じて切り替わる。したがって、インバータ5の状態は、蓄電池2別に設けられた放電回路の各々の開閉状態、及び、インバータ5と負荷Lとの接続状態に応じて切り替わることになる。
【0065】
より具体的に説明すると、リチウムイオン電池2a用及び鉛蓄電池2b用の双方の放電回路が開状態であるとき(換言すると、放電回路側スイッチSW3、SW4がともに切状態にあるとき)、インバータ5は、蓄電池2から電圧が印加されていない状態にあり、自動的に停止状態となる。
【0066】
これに対し、リチウムイオン電池2a用及び鉛蓄電池2b用の双方のうち、いずれかの放電回路が閉状態であるとき(換言すると、放電回路側スイッチSW3、SW4のうち、少なくとも一方が入状態にあるとき)、インバータ5は、蓄電池2から電圧が印加された状態にあり、非停止状態となる。
【0067】
より具体的に説明すると、リチウムイオン電池2a用の放電回路が閉状態(すなわち、放電回路側スイッチSW3が入状態)で、かつ、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態にあるとき、インバータ5は、運転状態となる。同様に、リチウムイオン電池2a用及び鉛蓄電池2b用の双方の放電回路が閉状態(すなわち、放電回路側スイッチSW3、SW4がともに入状態)で、かつ、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態にあるとき、インバータ5は、運転状態となる。換言すると、スイッチ制御部25は、インバータ5にリチウムイオン電池2aからの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力させる期間には、リチウムイオン電池2a側の放電回路(第1回路)を閉状態とする。
【0068】
一方、本実施形態では、インバータ5にリチウムイオン電池2aからの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力させる期間以外の期間中、鉛蓄電池2b側の放電回路(第2回路)のみを閉状態とする。つまり、本実施形態では、リチウムイオン電池2aに蓄電された電力を放電して負荷Lに供給する期間に該当しない間は、本システムSが稼働していない場合を除き、リチウムイオン電池2a側の放電回路を開状態とし、鉛蓄電池2b側の放電回路を閉状態とする。
【0069】
ここで、鉛蓄電池2b側の放電回路のみを閉状態とする期間としては、例えば、鉛蓄電池2bのみが放電状態となっている期間が該当する。つまり、鉛蓄電池2b用の放電回路のみが閉状態で、かつ、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態にある期間である。そして、当該期間中でのインバータ5の状態は、運転状態となる。
【0070】
鉛蓄電池2b側の放電回路のみを閉状態とする他の期間としては、リチウムイオン電池2a及び鉛蓄電池2bの双方が蓄電状態となる期間が該当する。つまり、鉛蓄電池2b用の放電回路のみが閉状態で、かつ、インバータ5と負荷Lとの間が非接続状態にある期間である。そして、当該期間中でのインバータ5の状態は、待機状態となる。
【0071】
以上のように、本実施形態において、スイッチ制御部25は、システム稼働期間(本システムSにより住宅H内で発生する負荷Lに電力が供給される期間)のうち、インバータ5にリチウムイオン電池2aからの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力させる間は、リチウムイオン電池2a側の放電回路(第1回路)を閉状態とする。他方、システム稼働中、リチウムイオン電池2a側の放電回路を開状態とする間は、鉛蓄電池2b側の放電回路(第2回路)を閉状態とする。
【0072】
つまり、本実施形態に係るスイッチ制御部25は、システム稼働期間中、常に、蓄電池2別に設けられた放電回路のうち、いずれかの放電回路を閉状態とする。これにより、システム稼働期間中は、常に、蓄電池2からの電圧がインバータ5に印加されることになり、インバータ5の状態は、システム稼働期間中は常時、非停止状態で維持されることになる。
【0073】
<<本実施形態に係る建物用電力供給システムの動作例>>
次に、本システムSの動作例について図4〜図10を参照しながら説明する。なお、本システムSの動作により、本発明の建物用電力供給方法が実現されるので、本システムSの動作例に関する以降の説明では、本発明の建物用電力供給方法についても併せて説明することになる。
【0074】
本システムSは、前述したように、売電優先モードと買電回避モードとのうち、ユーザがユーザ端末UTを通じて選択したモードにて負荷Lに電力を供給する。また、電力需給バランスに応じて、発電電力、系統電力、及び、蓄電池2からの放電電力のうち、いずれの電力を負荷Lに供給するかを決定する。
【0075】
ここで、例えば、発電電力のみで負荷Lへの電力供給を賄うことができる場合には、図4に示すように、本システムSは、発電電力のみを負荷Lに供給し、系統電力の受電、及び、蓄電池2からの放電については行われない。かかる状況では、鉛蓄電池2b用の放電回路側スイッチSW4のみが入状態になっており、インバータ5と負荷Lとの間は非接続状態となっている。そして、以上の状況におけるインバータ5の状態は、待機状態となる。
【0076】
上記の状態(図4に示す状態)から、負荷Lでの消費電力量が増加することにより、負荷Lへ供給する電力として、蓄電池2からの放電電力を追加する必要が生じた場合には、図5に示すように、蓄電池2から電力を放電させることになる。つまり、放電回路側スイッチSW3が入状態となってリチウムイオン電池2a用の放電回路が閉状態へ切り替わるとともに、インバータ5と負荷Lとの間が接続された状態となる。この結果、インバータ5の状態が運転状態となり、インバータ5からは交流電流に変換された放電電流が出力され、当該放電電流は負荷Lに向かって回路内を流れるようになる。この時点では、リチウムイオン電池2a及び鉛蓄電池2bの双方から負荷Lに電力が供給される。
【0077】
そして、リチウムイオン電池2aの電力放電がBMU13によって確認されると、鉛蓄電池2b用の放電回路側スイッチSW4が切状態になり、リチウムイオン電池2aからの放電電力のみが負荷Lに対して供給されるようになる。以後、負荷Lへの電力供給は、発電電力、及び、リチウムイオン電池2aからの放電電力で賄うようになる。
【0078】
また、上記の状態(図5に示す状態)から、負荷Lでの消費電力量が減少して、発電電力のみで負荷Lへの電力供給を賄うことができるようになり、かつ、発電電力に余剰が生じた場合には、放電状態にある蓄電池2(具体的には、リチウムイオン電池2a)の状態を切り替えて、余剰分の発電電力を蓄電させることになる。
かかる切り替えの手順について説明すると、先ず、図5に示す状態(発電電力とリチウムイオン電池2aからの放電電力を負荷Lに供給している状態)から、図6に示すように、鉛蓄電池2b用のスイッチSW2、SW4を入状態に切り替える。これにより、発電電力の一部を鉛蓄電池2bに蓄電しつつ、リチウムイオン電池2a及び鉛蓄電池2bの双方から電力を放電するようになる。一方、余剰電力の一部については、一時的に商用電源CPに逆潮流する。
【0079】
上記の状態(図6に示す状態)は、リチウムイオン電池2aの蓄電量が所定の量まで下がるまで維持され、本実施形態では、リチウムイオン電池2aからの放電電力の出力が0になるまで維持される。そして、リチウムイオン電池2aの蓄電量が所定の量まで下がった時点で、図7に示すように、放電回路側スイッチSW3が切状態となって、リチウムイオン電池2a用の放電回路が開状態となる。さらに、それまで接続状態にあったインバータ5と負荷Lとの間が非接続状態となる。これにより、インバータ5の状態が待機状態へ切り替わり、結果として、リチウムイオン電池2aからの電力の放電が中断される。
【0080】
その後、図8に示すように、蓄電回路側スイッチSW1を入状態にしてリチウムイオン電池2a用の蓄電回路を閉状態にしてから、鉛蓄電池2b用の蓄電回路側スイッチSW2を切状態にする。これにより、発電電力の余剰分が蓄電される蓄電池2が、鉛蓄電池2bからリチウムイオン電池2aに転じるようになる。この結果、蓄電池2のうち、負荷Lに電力を供給する主たる蓄電池2たるリチウムイオン電池2aに電力が蓄電されるようになり、次回の放電に備えて、リチウムイオン電池2aの蓄電量を十分に確保しておくことが可能になる。
【0081】
なお、発電電力の余剰分が蓄電される蓄電池2が、鉛蓄電池2bからリチウムイオン電池2aに転換した時点で、鉛蓄電池2b用の放電回路は閉状態であり、以後、リチウムイオン電池2aの状態が蓄電状態に維持される間、上記のスイッチSW4は入状態のまま保持される。一方、インバータ5と負荷Lとの間は、非接続状態で保持される。この結果、インバータ5の状態は、リチウムイオン電池2aへの蓄電が継続される間、待機状態で保持されることになる。
【0082】
そして、リチウムイオン電池2aへ電力が蓄電されている状態(図8に示す状態)において、例えば、発電ユニット1による発電電力量が変動し、負荷Lへ供給する電力として、蓄電池2からの放電電力を追加する必要が生じた場合には、リチウムイオン電池2aの状態を蓄電状態から放電状態に切り替えることになる。この場合、先ず、図9に示すように、放電回路側スイッチSW4が入状態となって鉛蓄電池2b用の放電回路が閉状態となり、インバータ5と負荷Lとの間が接続状態となる。これにより、鉛蓄電池2bが放電状態となる一方で、インバータ5の状態が運転状態へ切り替わる。この結果、鉛蓄電池2bからの放電電力が、インバータ5で変換された後に、負荷Lへ供給されることになる。
【0083】
これと同時に、蓄電回路側スイッチSW1が切状態とされてリチウムイオン電池2a用の蓄電回路が開状態に切り替わり、これにより、リチウムイオン電池2aへの発電電力の蓄電が中止する。その後、放電回路側スイッチSW3が入状態とされてリチウムイオン電池2a用の放電回路が閉状態に切り替わり、これにより、リチウムイオン電池2aからの電力の放電が開始される。リチウムイオン電池2aからの放電電力は、鉛蓄電池2bからの放電電力とともにインバータ5で変換され、最終的に負荷Lへ供給されることになる。
【0084】
そして、リチウムイオン電池2aからの電力放電がBMU13によって確認されると、図10に示すように、鉛蓄電池2b用の放電回路側スイッチSW4が切状態になり、リチウムイオン電池2aからの放電電力のみが負荷Lに対して供給されるようになる。以後、負荷Lへの電力供給は、発電電力、及び、リチウムイオン電池2aからの放電電力で賄うようになる。
【0085】
<<本実施形態の有効性について>>
以上までに説明してきたように、本システムSでは、スイッチ制御部25がシステム稼働期間中、常に、蓄電池2別に設けられた放電回路のうち、いずれかの回路を閉状態とする。換言すると、本システムSの動作により実現される建物用電力供給方法は、蓄電池2別に設けられた放電回路の開閉状態を放電回路毎に開閉状態を切り替える切り替え工程を有し、この切り替え工程は、システム稼働期間中、常に、蓄電池2別に設けられた放電回路のうち、いずれかの放電回路が閉状態となっているように実行される。
【0086】
以上の構成により、本システムS、及び、本システムSの動作により実行される建物用電力供給方法では、システム稼働期間中、インバータ5には常に蓄電池2の電圧が印加されるようになる。このため、インバータ5は、システム稼働期間中、常時、非停止状態(運転状態又は待機状態)に維持されることになる。つまり、本システムSでは、システム稼働期間中はインバータ5が停止状態になることがなく、従来のシステムにおいてインバータ5を停止状態から起動する際に不可避的に発生していたタイムラグを、回避することが可能になる。この結果、本システムSでは、蓄電池2における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能となる。
【0087】
特に、系統電力と蓄電池2からの放電電力とを併用するシステム(いわゆる系統連系システム)では、上記の効果は、より有意義なものとなる。すなわち、発明が解決する課題の項で説明したように、従来の系統連系システムでは、インバータ5を停止状態から起動(再起動)する際には、資源エネルギー庁公表の『電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン』に則り、系統連系のために系統電力と蓄電装置からの放電電力とを同期させる時間として所定時間(具体的には5分間)を確保する必要があり、その時間中は、インバータ5からの出力が不能となっていた。したがって、従来の系統連系システムでは、インバータ5を停止状態から起動する場合に生じるタイムラグが顕著になり、蓄電池2における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことがより一層困難となっていた。さらに、上記のタイムラグが生じる結果、その間系統電力を余計に消費することになり、その分、電力使用料金が増加することになる。
【0088】
これに対して、本システムS、及び、本システムSの動作により実行される建物用電力供給方法であれば、システム稼働期間中、インバータ5が非停止状態に維持されるので、例えば、蓄電状態の蓄電池2を放電状態へ移行するにあたり、インバータ5の状態を運転状態とする際には、待機状態から運転状態に切り替えることになり、即座に運転状態へ移行することができる。この結果、上記のタイムラグを発生させることもなく、また、当該タイムラグにより電力使用料金が増加することも回避することができる。したがって、本システムSのユーザは、蓄電池2の蓄電/放電をスムーズに切り替えることが可能になることで、より大きな経済的メリットを享受しつつ、環境負荷のより一層の削減を図ることが可能になる。
【0089】
また、本実施形態では、太陽光エネルギーを利用して発電する発電ユニット1を備え、各蓄電池2は、発電ユニット1から供給される発電電力を蓄電することが可能であることとした。これにより、蓄電池2における蓄電/放電をスムーズに切り替えることができるという構成が、より一層有意義なものとなる。つまり、上記の構成では、発電ユニット1からの電力の供給量が気象等の影響により変動することに起因して、蓄電池2(特にリチウムイオン電池2a)における蓄電/放電の切り替えが頻繁に行われる可能性がある。かかる状況において、蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能になるという効果は、より有意義なものとなる。
【0090】
さらに、本実施形態では、リチウムイオン電池2aの状態を放電状態から蓄電状態へ移行する場合、スイッチ制御部25は、先ず、鉛蓄電池2b用の放電回路を開状態から閉状態に切り替える。その後、リチウムイオン電池2aにおける電力の蓄電量が所定の量まで下がるまで、リチウムイオン電池2a用の放電回路と鉛蓄電池2b用の放電回路の双方を閉状態で維持する。そして、リチウムイオン電池2aの蓄電量が所定の量まで下がった時点で、リチウムイオン電池2a用の放電回路のみを閉状態から開状態に切り替える。かかる構成であれば、リチウムイオン電池2aに蓄電された電力を利用(放電)してから、リチウムイオン電池2aの状態を蓄電状態へ切り替えるので、合理的な電力供給が実現されることになる。
【0091】
上記の効果について、より詳しく説明すると、蓄電池2の放電については、極力持続させた方が効率の面では望ましい。このため、本実施形態では、放電状態にある蓄電池2に電力を蓄電する必要が生じた場合、即座に蓄電状態へ切り替えるのではなく、蓄電量が所定の量まで下がるまで放電してから切り替えることとしている。なお、上記の切り替えを実現するためには、蓄電量が所定の量まで下がるまでの間、一時的に電力を蓄電させておく予備の蓄電池2が必要となり、かかる意味で、複数の蓄電池2を備える本システムSの構成は好適なものであると言える。ただし、これに限定されるものではなく、放電状態にある蓄電池2に電力を蓄電する必要が生じた場合(例えば、放電から蓄電への切り替え要求があった場合)、放電状態を維持せずに直ちに蓄電状態へ切り替えることとしてもよい。
【0092】
さらに、本実施形態では、少なくとも2つ以上の蓄電池2の中には、負荷Lに電力を供給するために蓄電した電力を放電する第1蓄電池(本実施形態では、リチウムイオン電池2a)と、予備としての第2蓄電池(本実施形態では、鉛蓄電池2b)とが含まれることとした。第2蓄電池は、第1蓄電池の予備であるので、第1蓄電池と同等の性能を備えている必要はなく、より安価な蓄電池2を第2蓄電池として利用することにより、システム構築のコストを削減することが可能となる。
【0093】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の建物用電力供給システム及び建物用電力供給方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0094】
また、上記の実施形態では、発電ユニット1が自然エネルギーとして太陽光エネルギーを利用して発電することとしたが、これに限定されるものではなく、太陽光エネルギー以外の自然エネルギー、例えば、風力や水力、地熱等を利用して発電する設備が設けられている構成であってもよい。
【0095】
また、自然エネルギーを利用して発電する発電部自体が設けられていない構成であってもよい。すなわち、負荷Lに対して供給する電力が、系統電力及び蓄電池2の放電電力のみであってもよい。ただし、上述したように、発電部が設けられていることにより、蓄電/放電をスムーズに切り替えることが可能になるという本発明の効果がより有意義なものになる点では、上記の実施形態の方が望ましい。
【0096】
また、上記の実施形態では、少なくとも2つ以上の蓄電池2の中には、負荷Lに電力を供給するために蓄電した電力を放電する第1蓄電池と、予備としての第2蓄電池とが含まれ、第2蓄電池については、より安価な蓄電池であることとした。しかし、これに限定されるものではなく、システム内に設けられる蓄電池2が同種の蓄電池であることとしてもよい。ただし、上述したように、予備としての第2蓄電池は、第1蓄電池と同等の性能を備えている必要はなく、より安価なものを用いることでシステム構築のコストを削減することが可能となる。かかる点においては、上記の実施形態の方が望ましい。
【0097】
また、上記の実施形態では、電力需給バランスに基づいて、蓄電池2における蓄電/放電の切り替えを行うこととした。すなわち、上記の実施形態に係るシステムは、いわゆるホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)であって、宅内ネットワークTNを介して、発電ユニット1による発電量、負荷Lでの消費電力量、及び、蓄電池2の蓄電量に関するデータを収集する。そして、これらのデータから電力需給バランスを特定し、当該電力需給バランスと、ユーザが選択した電力供給モードとに基づいて、最適な電力供給が行われるようにシステム各部(例えば、蓄電回路側スイッチSW1、SW2、放電回路側スイッチSW3、SW4など)を制御することとした。ただし、これに限定されるものではなく、配電盤などに設置された電圧センサ等からの出力(電圧変化)に基づいて、蓄電回路側スイッチSW1、SW2や放電回路側スイッチSW3、SW4の入切を自動的に切り替えることとしてもよい。
【0098】
また、上記の実施形態では、本発明の適用例として、系統電力のみを負荷に対して供給している期間(換言すると、負荷への供給電力として蓄電池2からの放電電力を用いない期間)にインバータ5を非停止状態(待機状態)に維持する例を説明した。このように、蓄電池2の状態が放電状態でない期間中、インバータ5を非停止状態に維持すれば、インバータ5を停止状態から起動する際に発生するタイムラグを回避し、蓄電池2における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことが可能となる。ただし、本発明が適用できるケースは、上記のケースに限らず、例えば、深夜時間帯に負荷への電力供給をせず系統電力を受電して蓄電池2に蓄電し、深夜時間帯が終了して負荷への電力供給を再開するために蓄電池2の状態を蓄電状態から切り替える場合も考えられる。すなわち、深夜時間帯中、インバータ5を非停止状態に維持しておくことにより、深夜時間帯が終了して蓄電池2の蓄電電力を放電して負荷に供給する際、蓄電池2における蓄電/放電の切り替えをスムーズに行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0099】
1 発電ユニット、1a 太陽電池モジュール、2 蓄電池、
2a リチウムイオン電池、2b 鉛蓄電池、3 パワーコンディショナ、
4 充電器、5 インバータ、6 回路ユニット、7 制御ユニット、
11 システムサーバ、11a CPU、11b メモリ、
11c 通信用インターフェース、12 CTセンサ、13 BMU、
21 受信部、22 配信部、23 発電ユニット制御部、
24 買電制御部、25 スイッチ制御部、26 接続制御部、
CP 商用電源、H 住宅、L 負荷、
L1 重要負荷、L2 非重要負荷、S 本システム、
SW1、SW2 蓄電回路側スイッチ、
SW3、SW4 放電回路側スイッチ、
TN 宅内ネットワーク、UT ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の蓄電装置と、
該蓄電装置からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力するインバータと、
前記蓄電装置別に設けられ、前記インバータと前記蓄電装置との間に配置された、前記放電電流が流れる回路と、
前記蓄電装置別に設けられた前記回路の開閉状態を、前記回路毎に切り替える制御部と、を備えた建物用電力供給システムであって、
前記制御部は、前記建物用電力供給システムにより建物内で発生する負荷に電力が供給される期間中、常に、前記蓄電装置別に設けられた前記回路のうち、いずれかの前記回路を閉状態とすることを特徴とする建物用電力供給システム。
【請求項2】
少なくとも2つ以上の蓄電装置は、前記負荷に電力を供給するために蓄電した電力を放電する第1蓄電池と、該第1蓄電池よりも安価な第2蓄電池とを含み、
前記回路は、前記第1蓄電池と前記インバータとの間に配置された第1回路と、前記第2蓄電池と前記インバータとの間に配置された第2回路と、を含み、
前記制御部は、前記建物用電力供給システムにより建物内で発生する負荷に電力が供給される期間のうち、前記インバータに前記第1蓄電池からの前記放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力させる間は前記第1回路を閉状態とし、前記第1回路を開状態としている間は前記第2回路を閉状態とすることを特徴とする請求項1に記載の建物用電力供給システム。
【請求項3】
前記第1蓄電池の状態を放電状態から蓄電状態に変更する場合、前記制御部は、前記第2回路を開状態から閉状態に切り替えた後に、前記第1蓄電池における電力の蓄電量が所定の量まで下がるまで、前記第1回路及び前記第2回路の双方を閉状態で維持し、前記蓄電量が前記所定の量まで下がった時点で前記第1回路のみを閉状態から開状態に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の建物用電力供給システム。
【請求項4】
自然エネルギーを利用して発電する発電部をさらに備え、
前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池は、前記発電部から供給される電力を蓄電することが可能であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の建物用電力供給システム。
【請求項5】
少なくとも2つ以上の蓄電装置と、該蓄電装置からの放電電流を直流電流から交流電流に変換して出力するインバータと、前記蓄電装置別に設けられ、前記インバータと前記蓄電装置との間に配置された前記放電電流が流れる回路と、を用いて建物内で発生した負荷に電力を供給する建物用電力供給方法であって、
前記蓄電装置別に設けられた前記回路の開閉状態を前記回路毎に開閉状態を切り替える切り替え工程を有し、
該切り替え工程は、建物内の負荷に向けて電力を供給される期間中、常に、前記蓄電装置別に設けられた前記回路のうち、いずれかの前記回路が閉状態となっているように実行されることを特徴とする建物用電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−31321(P2013−31321A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166684(P2011−166684)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】