振動板、スピーカユニットおよび携帯情報端末
【課題】最低共振周波数を低減するとともにエッジ部の突っ張りを抑制できる振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末を提供する。
【解決手段】エッジ部12cは、中央部120と、中央部120とボイスコイル取付部12bとの間に位置する一方端部121と、中央部120とフレーム取付部12dとの間に位置する他方端部122とを備えている。振動板12の径方向D1の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2以上の大きさである。
【解決手段】エッジ部12cは、中央部120と、中央部120とボイスコイル取付部12bとの間に位置する一方端部121と、中央部120とフレーム取付部12dとの間に位置する他方端部122とを備えている。振動板12の径方向D1の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2以上の大きさである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板、スピーカユニットおよび携帯情報端末に関し、特に、エッジ部を有する振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末にスピーカユニットが搭載されている。スピーカユニットは振動板を備えている。なお、スピーカユニットは、いわゆるスピーカとレシーバーとを含んでいる。
【0003】
スピーカユニットの性能向上のために最低共振周波数の低減が求められている。最低共振周波数を低減する方法として、たとえば以下の3つの方法がある。第1の方法は、振動板を薄くする方法である。第2の方法は、エッジ部の曲率半径を大きくする方法である。第3の方法は、振動板とボイスコイルの合計質量である振動系質量を重くする方法である。
【0004】
さらに、その他の最低共振周波数を低減する方法として、たとえば特開2006−229657号公報(特許文献1)には、振動板の中央部とエッジ部とを異なる部材で構成することが開示されている。この公報では、ダイヤフラム(振動板)の中央振動部と環状振動部(エッジ部)とを異なる部材で構成することで中央振動部の剛性を高め、環状振動部の剛性を低く抑えることにより、中央振動部に異常振動を生じさせることなく環状振動部の振動限界に余裕を持たせて最低共振周波数の上昇を抑えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−229657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の第1の方法では、振動板を薄くすると振動板の強度が弱くなる。そのため、歪が増大し異常音が発生することがある。よって、スピーカユニットの基本音質を維持するためには振動板の薄さに限界がある。したがって、振動板を薄くする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0007】
上記の第2の方法では、スピーカユニットは小型化が要求されるため振動板の外径には制約がある。このサイズの制約の中で振動板の曲率半径を大きくすると、振動板の径方向の形状は直線に近づくため振動板の径方向の線長が短くなる。振動板の径方向の線長が短くなることにより、振動板が上下に振動した時に、振動板の突っ張りが発生しやすくなる。振動板の突っ張りが発生すると異常音が発生することがある。よって、スピーカユニットの基本音質を維持するためには振動板の曲率半径に限界がある。したがって、エッジ部の曲率を大きくする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0008】
上記の第3の方法では、振動系質量を重くすると音圧が下がるのでスピーカユニットの性能を維持するためには振動系質量の重さに限界がある。したがって、振動系質量を重くする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0009】
上記の公報では、エッジ部の剛性が低く抑えられているため、上記の第1の方法と同様に歪が増大し異常音が発生する問題がある。したがって、上記の公報では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、最低共振周波数を低減するとともにエッジ部の突っ張りを抑制できる振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の振動板は、ボイスコイル取付部と、フレーム取付部と、ボイスコイル取付部およびフレーム取付部の間に位置しかつボイスコイル取付部およびフレーム取付部の双方に対して一方側に突き出した形状を有するエッジ部とを有している。エッジ部は、中央部と、中央部とボイスコイル取付部との間に位置する一方端部と、中央部とフレーム取付部との間に位置する他方端部とを備えている。振動板の径方向の断面視において、中央部、一方端部および他方端部の各々はエッジ部が突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部の円弧の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである。
【0012】
本発明の振動板によれば、振動板の径方向の断面視において、中央部、一方端部および他方端部の各々はエッジ部が突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部の円弧の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである。そのため、中央部の円弧の曲率半径を大きくすることにより最低共振周波数を低減することができる。また、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径を小さくすることによりエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。これにより、エッジ部の突っ張りを抑制することができる。そのため、突っ張りによる異常音の発生を抑制することができる。
【0013】
上記の振動板において好ましくは、中央部の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の曲率半径より大きいため、中央部の円弧の曲率半径を大きくしつつエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。中央部の円弧の曲率半径を大きくすることでエッジ部の高さを抑え、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径を小さくすることでエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。
【0014】
上記の振動板において好ましくは、中央部の曲率半径が無限大であるため、中央部の断面形状が直線状になり最低共振周波数をさらに低減することができる。
【0015】
上記の振動板において好ましくは、中央部、一方端部および他方端部の各々の曲率半径は全て無限大である。これにより、同じエッジ部の高さの場合に振動板の径方向の線長を最大化することができる。そのため、エッジ部の突っ張りをさらに抑制することができる。
【0016】
本発明のスピーカユニットは、上記のいずれかの振動板と、ボイスコイル取付部に取り付けられたボイスコイルと、ボイスコイルと対向するように配置されたマグネットと、マグネットを支持し、かつフレーム取付部に取り付けられたフレームとを備えている。本発明のスピーカユニットによれば、上記のいずれかの振動板を備えているため、共振周波数を低減するとともに突っ張り音の発生を抑制することができる。また、中央部の円弧の曲率半径を大きくすることによりエッジ部の高さを抑制することができるためスピーカユニットを小型化することができる。
【0017】
本発明の携帯情報端末は上記のスピーカユニットを備えている。本発明の携帯情報端末によれば、上記のスピーカユニットを備えているため、スピーカユニットを小型化することにより携帯情報端末を小型化することができる。また、設計の自由度を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の振動板、スピーカユニットおよび携帯情報端末によれば、最低共振周波数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるスピーカユニットを概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における振動板を概略的に示す断面図である。
【図4】図3のP部を示す拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1における変形例1のスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における変形例2のスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における変形例3のスピーカユニットを概略的に示す平面図である。
【図8】比較例の振動板を概略的に示す断面図であって、図3のP部に対応する位置の拡大図である。
【図9】本発明の実施の形態2における携帯情報端末を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における携帯情報端末の折りたたまれた状態を概略的に示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例1における実施例Aの振動板を概略的に示す断面図である。
【図12】本発明の実施例1における比較例Aの振動板を概略的に示す断面図である。
【図13】本発明の実施例2における比較例Bの振動板を概略的に示す断面図である。
【図14】本発明の実施例2における比較例Cの振動板を概略的に示す断面図である。
【図15】本発明の実施例2における実施例Bの振動板を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の実施例2における実施例Cの振動板を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の実施例2における実施例Dの振動板を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施例2における実施例Eの振動板を概略的に示す断面図である。
【図19】本発明の実施例2における実施例Fの振動板を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1のスピーカユニットの構成について説明する。
【0021】
図1および図2を参照して、スピーカユニット10は、フレーム11と、振動板12と、フレームカバー13と、ボイスコイル14と、マグネット15と、プレート16と、ヨーク17とを主に有している。なお、図2においては見やすくするためフレームカバー13は図示されていない。
【0022】
フレーム11は、支持部11aと、内周部11bと、上端部11cとを主に有している。フレーム11は、支持部11aの上面に振動板12のフレーム取付部12dが支持されることにより、振動板12が振動可能に支持されるように構成されている。支持部11aと内周部11bとの間には段差が設けられていてもよい。また、フレーム11は、内周部11bにおいてヨーク17を支持するように構成されている。上端部11cは、支持部11aの外周側に連続して形成されている。フレーム11は、たとえば平面視において円形状に形成されている。フレーム11は、たとえば樹脂で形成されていてもよく、また金属で形成されていてもよい。
【0023】
振動板12は、上下方向(図1中矢印A方向)に振動可能なように薄板によって構成されている。振動板12は、中央振動部12aと、ボイスコイル取付部12bと、エッジ部12cと、フレーム取付部12dとを有している。中央振動部12aは、振動板12の中央に設けられている。中央振動部12aは、振動板12の径方向D1の断面視において上側に凸となるような円弧状に形成されている。
【0024】
ボイスコイル取付部12bは、中央振動部12aの外周側に設けられている。ボイスコイル取付部12bは中央振動部12aとエッジ部12cとの間に設けられている。ボイスコイル取付部12bは中央振動部12aを取り囲むように環状に設けられている。ボイスコイル取付部12bは、ボイスコイル14を取り付けるためのものである。ボイスコイル取付部12bは、振動板12の径方向D1の断面視において平坦となるように形成されている。ボイスコイル取付部12bには中央振動部12aと連続する部分において段差が設けられている。
【0025】
エッジ部12cは、ボイスコイル取付部12bの外周側に設けられている。エッジ部12cの詳細については後述するが、エッジ部12cでは中央部120と、一方端部121と、他方端部122とが連続的に設けられている。
【0026】
フレーム取付部12dは、エッジ部12cの外周側に設けられている。フレーム取付部12dは、フレーム11を取り付けるためのものである。フレーム取付部12dはエッジ部12cを取り囲むように環状に設けられている。フレーム取付部12dは、振動板12の径方向D1の断面視において平坦となるように形成されている。
【0027】
振動板12は、たとえば平面視において円形状に形成されている。振動板12は、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)などで形成されている。
【0028】
フレームカバー13は、振動板12を覆うように形成されている。フレームカバー13は、中央振動部12aおよびエッジ部12cの双方の一部を覆うように配置されていてもよい。フレームカバー13は、振動板12を介してフレーム11の支持部11aに支持されている。フレームカバー13には孔13aが形成されている。フレームカバー13は、たとえば平面視において円形状に形成されている。
【0029】
ボイスコイル14は、ボイスコイル14の上面が振動板12のボイスコイル取付部12bの下面に固定されることにより、振動板12に固定されている。ボイスコイル14は、たとえば円環状に形成されている。マグネット15は、ボイスコイル14の内周面と間隔をあけてボイスコイル14の内周側に配置されている(内磁型)。ヨーク17は、ボイスコイル14の外周面と間隔をあけてボイスコイル14の外周側に配置された部分(外周側部分)とボイスコイル14およびマグネット15の下側に配置された部分(下側部分)とを有している。
【0030】
ヨーク17は、外周側部分の外周面でフレーム11の内周部11bと嵌合することにより固定されている。ヨーク17の下側部分は、ボイスコイル14の下面と間隔をあけて配置されている。ヨーク17の下側部分の中央部にはマグネット15が配置されている。マグネット15の上面にはプレート16が配置されている。これらのマグネット15、プレート16およびヨーク17により磁気回路が構成されている。
【0031】
続いて、振動板のエッジ部の構成について詳述する。
図3および図4を参照して、エッジ部12cは、中央部120と、一方端部121と、他方端部122とを有している。中央部120は振動板12の径方向D1(図2)の断面視においてエッジ部12cの中央に設けられている。中央部120は曲率半径R0で形成されている。
【0032】
一方端部121は、中央部120とボイスコイル取付部12bとの間に位置するように設けられている。一方端部121は曲率半径R1で形成されている。一方端部121はボイスコイル取付部12bの外周端と中央部120の内周端とを繋ぐように連続して形成されている。中央部120と一方端部121とが接する位置において、中央部120は接線L0を有し、一方端部121は接線L1を有している。
【0033】
他方端部122は、中央部120とフレーム取付部12dとの間に位置するように設けられている。他方端部122は曲率半径R2で形成されている。他方端部122はフレーム取付部12dの内周端と中央部120の外周端とを繋ぐように連続して形成されている。中央部120と他方端部122とが接する位置において、中央部120は接線L0を有し、他方端部122は接線L2を有している。
【0034】
振動板12の径方向D1(図2)の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなっている。このため、接線L0、接線L1および接線L2は、エッジ部12cが突き出した形状の内側に向かって伸びることはない。つまり、接線L0、接線L1および接線L2はエッジ部12cの内側に入らない。
【0035】
すなわち、中央部120は、曲率半径R0の曲率中心が、ボイスコイル取付部12bおよびフレーム取付部12dの双方に対してエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となる一方側と反対側の他方側に位置する円弧からなっている。一方端部121は、一方端部121の曲率半径R1の曲率中心が一方端部121より他方端部122側に位置する円弧からなっている。他方端部122は、他方端部122の曲率半径R2の曲率中心が他方端部122より一方端部121側に位置する円弧からなっている。
【0036】
一方端部121の円弧の曲率半径R1と他方端部122の円弧の曲率半径R2とは同じ大きさでもよく、また違う大きさでもよい。一方端部121の円弧の曲率半径R1と他方端部122の円弧の曲率半径R2とが違う大きさの場合、一方端部121の円弧の曲率半径R1が他方端部122の円弧の曲率半径R2より大きくてもよく、また他方端部122の円弧の曲率半径R2が一方端部121の円弧の曲率半径R1より大きくてもよい。
【0037】
中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121の円弧の曲率半径R1および他方端部122の円弧の曲率半径R2の各々以上の大きさである。このため、振動板12の径方向D1(図2)に対する接線L0の傾きは、接線L1および接線L2の双方の傾き以下の大きさとなる。
【0038】
また、中央部120の曲率半径R0は、一方端部121の曲率半径R1および他方端部122の曲率半径R2の各々より大きくてもよい。この場合も、接線L0、接線L1および接線L2は、エッジ部12cが突き出した形状の内側に向かって伸びることはない。また振動板12の径方向D1(図2)に対する接線L0の傾きは、接線L1および接線L2の双方の傾きの大きさより小さくなる。
【0039】
また、中央部120の曲率半径R1は、無限大であってもよい。この場合、中央部120の断面形状は直線となる。
【0040】
また、中央部120の曲率半径R0、一方端部121の曲率半径R1および他方端部122の曲率半径R2の各々は全て無限大であってもよい。この場合、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々の断面形状は直線となる。また、中央部120と一方端部121とがなす角度および中央部120と他方端部122とがなす角度の各々は直角となる。
【0041】
次に、本実施の形態のスピーカユニットの動作について説明する。
上記の構成により、マグネット15から発生する磁束がプレート16およびヨーク17によって導かれて、ボイスコイル14の配置されている空隙に収束されて磁界が発生する。そして、ボイスコイル14に交番電流が流れると、ボイスコイル14を流れる交番電流とマグネット15から発生する磁界とによってフレミングの左手の法則に基づいて、ボイスコイル14が上下に振動する。したがって、ボイスコイル14に取り付けられた振動板12が振動する。これにより、電気信号(交番電流)が音響(振動)に変換される。
【0042】
上記では、内磁型のスピーカユニットについて説明したが、本実施の形態は、外磁型のスピーカユニットにも適用され得る。以下、外磁型のスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例1として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0043】
図5を参照して、本実施の形態の変形例1では、マグネット15は、ボイスコイル14の外周面と間隔をあけてボイスコイル14の外周側に配置されている(外磁型)。ヨーク17は、ボイスコイル14の内周面と間隔をあけてボイスコイル14の内周側に配置された部分(内周側部分)と、ボイスコイル14およびマグネット15の下側に配置された部分(下側部分)とを有している。ヨーク17の下側部分は、ボイスコイル14の下面と間隔をあけて配置されている。ヨーク17の下側部分にはマグネット15が載置されている。またマグネット15の上面にはプレート16が配置されている。
【0044】
また、本実施の形態は、水平型のスピーカユニットにも適用され得る。以下、水平型のスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例2として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0045】
図6を参照して、本実施の形態の変形例2では、ボイスコイル14は、厚み方向より幅方向の積層数が多い形状に形成されている(水平型)。ボイスコイル14は、マグネット15の上面上に間隔をあけて配置されている。ボイスコイル14は、マグネット15によって生じる磁束がボイスコイル14を横切るように配置されている。
【0046】
マグネット15は、厚み方向に磁性化されている。マグネット15は、一対の直方体状のアウターマグネット15aと、直方体状のインナーマグネット15bとを含んでいる。一対のアウターマグネット15aとインナーマグネット15bとは、逆向きに磁性化されている。つまり、たとえば一対のアウターマグネット15aの下面がN極となるように磁性化され、インナーマグネット15bの上面がN極となるように磁性化されている。なお、一対のアウターマグネット15aとインナーマグネット15bとは、逆向きに磁性化されていればよい。
【0047】
マグネット15は、アウターマグネット15aの外周面がフレーム11の内周面と嵌合することにより固定されている。ヨーク17は、マグネット15の下側に配置されている。ヨーク17は、ヨーク17の側面がフレーム11の内周面と嵌合することにより固定されている。フレーム11は、内周面においてマグネット15およびヨーク17を支持している。
【0048】
なお、上記ではスピーカユニットは、平面視において円形状に構成されている場合について説明したが、平面視においてトラック状に構成されていてもよい。以下、平面視において円形状に構成されたスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例3として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0049】
図7を参照して、本実施の形態の変形例3では、フレーム11と振動板12とが重なる方向から見て、フレーム11および振動板12の双方がトラック状に形成されている。ここでトラック状とは、2本の直線の両端を円弧で繋ぐようにして形成された形状である。振動板12は長手方向の径方向D1と短手方向の径方向D2とを有している。
【0050】
なお、本実施の形態の変形例3としてスピーカユニットが平面視においてトラック状に構成されている場合について説明したが、スピーカユニットは平面視において楕円状に構成されていてもよい。
【0051】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
まず、エッジ部の曲率半径と最低共振周波数との関係について説明する。振動板は板ばねとして考えることができるため、以下のように説明することができる。
【0052】
最低共振周波数f0は、ばね定数k、振動系質量M(g)として、次の式(1)で求められる。
【0053】
【数1】
【0054】
式(1)のうち振動板の形状に影響するばね定数kは、荷重P(N)、たわみ量σ(mm)として、次の式(2)で求められる。
【0055】
【数2】
【0056】
式(2)のうち円弧状の板ばねのたわみ量σは、円弧角度c(°)、円弧半径(曲率半径)r(mm)、ヤング率E、曲げモーメントIとして、次の式(3)で求められる。
【0057】
【数3】
【0058】
式(3)を式(2)に代入して次の式(4)が得られる。
【0059】
【数4】
【0060】
式(4)のEIを定数として、円弧角度c(°)と円弧半径(曲率半径)r(mm)とによってばね定数kの値が変化する。式(4)を式(1)に代入することで最低共振周波数f0が求められる。式(1)および式(4)により、円弧半径(曲率半径)rが大きいとばね定数kが小さくなり最低共振周波数f0が下がり、逆に円弧半径(曲率半径)rが小さいとばね定数kが大きくなり最低共振周波数f0が上がる。すなわち、曲率半径rが大きい方が最低共振周波数f0が下がる。
【0061】
また、円弧角度cが大きいとばね定数kが小さくなり最低共振周波数f0が下がり、逆に円弧角度cが小さいとばね定数kが大きくなり最低共振周波数f0が上がる。すなわち、曲率半径rが同じでも円弧角度cが大きい方が最低共振周波数f0が下がる。
【0062】
たわみ量(振幅量)σについては、式(3)より、ある一定の荷重P(ローレンツ力)を加えたときの振幅量σは曲率半径rが大きい方が大きくなる。なお、このときの振幅量σはローレンツ力が一定と仮定した場合での比較値であり、ローレンツ力が大きくなったときの許容振幅量(すなわち突っ張りが起こる最大振幅量)ではない。
【0063】
以上より、一般的にエッジ部の曲率半径rが大きい方がボイスコイルから一定の力を受けたときの振幅量σが大きくなり最低共振周波数f0を低くすることができる。
【0064】
続いて、本実施の形態の作用効果について比較例と比較して説明する。
図3および図8を参照して、比較例の振動板12ではエッジ部12cは、1つの曲率半径RCを有している。スピーカユニット10(図1)は小型化が要求されるためエッジ部12cの幅Wには制約がある。最低共振周波数を低くするためにはエッジ部12cの曲率半径RCを大きくすることが有効である。しかし、エッジ部12cの幅Wの制約の中でエッジ部12cの曲率半径RCを大きくすると、振動板12の径方向D1(図2)の形状は直線に近づくためエッジ部12cの高さHが低くなりエッジ部12cの径方向の線長が短くなる。エッジ部12cの径方向の線長が短くなることにより、振動板12が上下に振動した時に、突っ張りが発生しやすくなる。この突っ張りにより異常音が発生する。異常音が発生するとスピーカユニット10の基本音質を維持することができない。したがって、1つの曲率半径RCで構成されるエッジ部12cでは、スピーカユニット10の基本音質を維持しつつ共振周波数を低くすることは困難である。
【0065】
それに対して、本実施の形態の振動板12によれば、振動板12の径方向D1の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2以上の大きさである。
【0066】
そのため、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることにより最低共振周波数を低減することができる。また、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2を小さくすることによりエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。具体的には、図4に示すように、一方端部121の一方端P1と他方端P2の位置を固定した場合に一方端部121の円弧の曲率半径R1を小さくすることで一方端部121の径方向の線長を長くすることができる。また、他方端部122の一方端P1と他方端P2の位置を固定した場合に他方端部122の円弧の曲率半径R2を小さくすることで他方端部122の径方向の線長を長くすることができる。このようにして、エッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。これにより、エッジ部12cの突っ張りを抑制することができる。そのため、突っ張りによる異常音の発生を抑制することができる。
【0067】
また、一方端部121および他方端部122の立ち上がり角度を上げることができるため、振動板12の振動方向(上下方向)に対する強度が向上する。したがって、振動板12の剛性が向上するので歪を低減することができる。よって、歪の発生を抑制することにより高音質を実現することができる。
【0068】
また、振動板12が過振幅した際に一方端部121および他方端部122が緩衝材として働くため突っ張り音の発生を抑制することができる。
【0069】
また、ボイスコイル14のリードはボイスコイル取付部12bの近傍から中央部120の下方を通ってフレーム取付部12d近傍のフレーム11に延ばされて固定されている。一方端部121および他方端部122によってエッジ部12cとボイスコイル14のリードとのクリアランス(隙間)を大きくすることができるため、エッジ部12cとボイスコイル14との接触(ビリつき不良)の発生を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の曲率半径R1,R2より大きいため、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくしつつエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることでエッジ部12cの高さHを抑え、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2を小さくすることでエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。
【0071】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120の曲率半径R0が無限大であるため、中央部120の断面形状が直線状になり最低共振周波数をさらに低減することができる。
【0072】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々の曲率半径R1,R2は全て無限大である。これにより、同じエッジ部12cの高さHの場合にエッジ部12cの径方向の線長を最大化することができる。そのため、エッジ部12cの突っ張りをさらに抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態のスピーカユニット10によれば、上記のいずれかの振動板12と、ボイスコイル取付部12bに取り付けられたボイスコイル14と、ボイスコイル14と対向するように配置されたマグネット15と、マグネット15を支持し、かつフレーム取付部12dに取り付けられたフレーム11とを備えている。
【0074】
本実施の形態のスピーカユニット10によれば、上記のいずれかの振動板12を備えているため、共振周波数を低減するとともに突っ張り音の発生を抑制することができる。また、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることによりエッジ部12cの高さHを抑制することができるためスピーカユニット10を小型化することができる。
【0075】
(実施の形態2)
最初に本実施の形態における携帯情報端末の構成について説明する。本実施の形態では実施の形態1のスピーカユニットを備えた携帯情報端末について説明する。
【0076】
図9および図10を参照して、本実施の形態における携帯情報端末100は、携帯電話機であって、上部筐体101、表示部102、放音孔103、ヒンジ部104、下部筐体105、操作ボタン106、数字ボタン107、表示部111、放音孔112と、図示しない実施の形態1のスピーカユニットを主に備えている。
【0077】
図9を参照して、上部筐体101の表面には表示部102が設けられている。上部筐体101の表面の一方端部側には放音孔103が形成されている。上部筐体101の他方端部側にはヒンジ部104が形成されている。下部筐体105の一方端部側にはヒンジ部104が形成されている。ヒンジ部104によって上部筐体101と下部筐体105とは開閉可能に連結されている。下部筐体105の表面のヒンジ部104側には操作ボタン106が形成されている。操作ボタン106からヒンジ部104と反対側に向かって数字ボタン107が形成されている。
【0078】
図10を参照して、上部筐体101の裏面には表示部111が設けられている。表示部111の横に放音孔112が形成されている。
【0079】
図示しない実施の形態1に記載のスピーカユニットは、上部筐体101の内側に設けられている。そのスピーカユニットより主に放音孔103および112を通じて携帯情報端末100の外に音が発せられる。
【0080】
次に本実施の形態における携帯情報端末の作用効果について説明する。
本実施の形態における携帯情報端末100によれば、上記の実施の形態1に記載のスピーカユニットを備えているので、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0081】
また、上記の実施の形態1に記載のスピーカユニットを備えているので、スピーカユニット10を小型化することにより携帯情報端末100を小型化することができる。また、設計の自由度を向上することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、携帯情報端末は、携帯電話機を例として説明したが、これに限定されず、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、PDAなどであってもよい。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、上記と同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0084】
(実施例1)
実施例Aとして図11に示す寸法を有する振動板12を作成した。図11を参照して、振動板12の外径は直径14.5mmである。中央振動部12aの直径は8.25mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は9.0mmである。エッジ部12cの直径は13.7mmである。フレーム取付部12dの直径は14.5mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cでは、中央部120は曲率半径R7.934mmであり、一方端部121は曲率半径R0.30mmであり、他方端部122は曲率半径R0.35mmである。エッジ部12cの高さは0.30mmである。
【0085】
比較例Aとして図12に示す寸法を有する振動板12を作成した。図12を参照して、振動板12の外径、中央振動部12aの直径、ボイスコイル取付部12bの直径、エッジ部12cの直径、フレーム取付部12dの直径およびエッジ部12cの高さは実施例Aと同じ寸法である。エッジ部12cは曲率半径R2.144mmである。
【0086】
実施例Aおよび比較例Aのそれぞれについて同じ試験条件で最低共振周波数f0を測定した。測定結果を表1に示す。表1を参照して、比較例Aの最低共振周波数f0は1000Hzとなったのに対して、実施例Aの最低共振周波数f0は800Hzとなった。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例Aと比較例Aとを比較すると、実施例Aはエッジ部12cにおいて中央部120、一方端部121、他方端部122のそれぞれにおいて3つの曲率半径を有しているのに対して、比較例Aは1つの曲率半径を有している点で相違している。この相違点により実施例Aは比較例Aに対して最低共振周波数f0が低減されることがわかった。つまり、エッジ部12cにおいて曲率半径を3つ有している実施例Aの方が曲率半径を1つ有している比較例Aより最低共振周波数f0が低減されることがわかった。
【0089】
(実施例2)
有限要素法により様々な形状のエッジ部を有する振動板について最低共振周波数を解析した。応力解析ソフトにより以下に説明する比較例B,Cおよび実施例B〜Fの図13〜19に示す寸法をそれぞれ用いて最低共振周波数を解析した。
【0090】
まず、曲率半径を1つ有する振動板について、エッジ部曲率半径が同じ場合にエッジ部幅と最低共振周波数との関係について解析した。
【0091】
比較例Bは図13に示す寸法を有する。図13を参照して、振動板12の外径は直径12.0mmである。中央振動部12aの直径は6.80mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は8.20mmである。ボイスコイル取付部12bの両端にはテーパが形成されている。エッジ部12cの直径は11.0mmである。フレーム取付部12dの直径は12.00mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cは曲率半径R2.00mmである。エッジ部12cは円弧角度40.97°である。
【0092】
比較例Cは図14に示す寸法を有する。図14を参照して、振動板12の外径は直径15.0mmである。中央振動部12aの直径は6.80mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は8.20mmである。ボイスコイル取付部12bの両端にはテーパが形成されている。エッジ部12cの直径は14.0mmである。フレーム取付部12dの直径は15.00mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cは曲率半径R2.00mmである。エッジ部12cは円弧角度92.94°である。
【0093】
比較例Cは、比較例Bと比較してエッジ部12cの直径が3.0mm大きくなるよう設定されている。つまり、比較例Cは、比較例Bと比較してエッジ部12cの幅が1.5mm大きくなるように設定されている。
【0094】
比較例Bおよび比較例Cのそれぞれについて主な寸法と最低共振周波数f0の解析結果とを表2に示す。表2を参照して、比較例Bの最低共振周波数f0は573Hzとなったのに対して、比較例Cの最低共振周波数f0は550Hzとなった。
【0095】
【表2】
【0096】
比較例Bと比較例Cとを比較すると、エッジ部曲率半径R2.00mmは同じあるが、エッジ部幅は比較例Bの1.4mmに対して比較例Cの2.9mmの方が大きく設定されている。このため、円弧角度は比較例Bの40.97°に対して比較例Cの92.94°の方が大きく設定されている。これにより、エッジ部曲率半径が同じ場合、エッジ部幅が大きい方が最低共振周波数f0が低くなることがわかった。円弧角度が最低共振周波数f0に影響することがわかった。
【0097】
続いて、振動板外径、エッジ部幅およびエッジ部高さを同じに設定して、エッジ部中央部曲率半径とエッジ部端部(一方端部および他方端部)曲率半径とを変化させた場合の最低共振周波数を解析した。なお、一方端部および他方端部の曲率半径はそれぞれ同じに設定した。解析結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
実施例B〜実施例Fでは、図15〜図19に示すように振動板12の外径、中央振動部12aの直径、ボイスコイル取付部12bの直径、エッジ部12cの直径、フレーム取付部12dの直径のそれぞれは比較例Cと同じ寸法に設定されている。エッジ部12cの高さは0.62mmに設定されている。実施例B〜実施例Fは、エッジ部12cにおいて3つの曲率半径を有している。
【0100】
実施例Bは図15に示す寸法を有する。図15を参照して、実施例Bは、エッジ部中央部曲率半径R2.51mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.30mmである。実施例Cは図16に示す寸法を有する。図16を参照して、実施例Cは、エッジ部中央部曲率半径R2.99mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.40mmである。実施例Dは図17に示す寸法を有する。図17を参照して、実施例Dは、エッジ部中央部曲率半径R4.24mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.50mmである。実施例Eは図18に示す寸法を有する。図18を参照して、実施例Eは、エッジ部中央部曲率半径R∞(無限大)mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.62mmである。実施例Fは図19に示す寸法を有する。図19を参照して、実施例Fは、エッジ部中央部曲率半径R∞(無限大)mmであり、エッジ部端部曲率半径R∞(無限大)mmである。
【0101】
表3を参照して、実施例B〜実施例Fは、比較例Cより最低共振周波数f0が低くなることがわかった。つまり、エッジ部12cが3つの曲率半径を有する実施例B〜実施例Fは、1つの曲率半径を有する比較例Cより最低共振周波数f0が低くなることがわかった。
【0102】
また、実施例B〜実施例Fでは、エッジ部中央部曲率半径が大きいほど最低共振周波数f0が低くなることがわかった。また、実施例B〜実施例Fでは、エッジ部端部曲率半径が大きいほど最低共振周波数f0が低くなることがわかった。
【0103】
また、実施例Eよりエッジ部中央部曲率半径R∞の場合に最低共振周波数f0がさらに低くなることがわかった。また実施例Fよりエッジ部中央部曲率半径R∞であり、エッジ部端部曲率半径R∞の場合、最低共振周波数f0が最も低くなることがわかった。
【0104】
また、実施例B〜実施例Fでは比較例Cと比較してエッジ部線長が長くなることがわかった。実施例Fよりエッジ部中央部曲率半径R∞であり、エッジ部端部曲率半径R∞の場合、エッジ部線長が最も長くなることがわかった。
【0105】
なお、上記の各実施の形態は、適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、エッジ部を有する振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
10 スピーカユニット、11 フレーム、11a 支持部、11b 内周部、11c 上端部、12 振動板、12a 中央振動部、12b ボイスコイル取付部、12c エッジ部、12d フレーム取付部、13 フレームカバー、14 ボイスコイル、15 マグネット、16 プレート、17 ヨーク、100 携帯情報端末、101 上部筐体、102 表示部、103 放音孔、104 ヒンジ部、105 下部筐体、106 操作ボタン、107 数字ボタン、111 表示部、112 放音孔、120 中央部、121 一方端部、122 他方端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板、スピーカユニットおよび携帯情報端末に関し、特に、エッジ部を有する振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末にスピーカユニットが搭載されている。スピーカユニットは振動板を備えている。なお、スピーカユニットは、いわゆるスピーカとレシーバーとを含んでいる。
【0003】
スピーカユニットの性能向上のために最低共振周波数の低減が求められている。最低共振周波数を低減する方法として、たとえば以下の3つの方法がある。第1の方法は、振動板を薄くする方法である。第2の方法は、エッジ部の曲率半径を大きくする方法である。第3の方法は、振動板とボイスコイルの合計質量である振動系質量を重くする方法である。
【0004】
さらに、その他の最低共振周波数を低減する方法として、たとえば特開2006−229657号公報(特許文献1)には、振動板の中央部とエッジ部とを異なる部材で構成することが開示されている。この公報では、ダイヤフラム(振動板)の中央振動部と環状振動部(エッジ部)とを異なる部材で構成することで中央振動部の剛性を高め、環状振動部の剛性を低く抑えることにより、中央振動部に異常振動を生じさせることなく環状振動部の振動限界に余裕を持たせて最低共振周波数の上昇を抑えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−229657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の第1の方法では、振動板を薄くすると振動板の強度が弱くなる。そのため、歪が増大し異常音が発生することがある。よって、スピーカユニットの基本音質を維持するためには振動板の薄さに限界がある。したがって、振動板を薄くする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0007】
上記の第2の方法では、スピーカユニットは小型化が要求されるため振動板の外径には制約がある。このサイズの制約の中で振動板の曲率半径を大きくすると、振動板の径方向の形状は直線に近づくため振動板の径方向の線長が短くなる。振動板の径方向の線長が短くなることにより、振動板が上下に振動した時に、振動板の突っ張りが発生しやすくなる。振動板の突っ張りが発生すると異常音が発生することがある。よって、スピーカユニットの基本音質を維持するためには振動板の曲率半径に限界がある。したがって、エッジ部の曲率を大きくする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0008】
上記の第3の方法では、振動系質量を重くすると音圧が下がるのでスピーカユニットの性能を維持するためには振動系質量の重さに限界がある。したがって、振動系質量を重くする方法では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0009】
上記の公報では、エッジ部の剛性が低く抑えられているため、上記の第1の方法と同様に歪が増大し異常音が発生する問題がある。したがって、上記の公報では、一定レベル以下に最低共振周波数を低減することはできない。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、最低共振周波数を低減するとともにエッジ部の突っ張りを抑制できる振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の振動板は、ボイスコイル取付部と、フレーム取付部と、ボイスコイル取付部およびフレーム取付部の間に位置しかつボイスコイル取付部およびフレーム取付部の双方に対して一方側に突き出した形状を有するエッジ部とを有している。エッジ部は、中央部と、中央部とボイスコイル取付部との間に位置する一方端部と、中央部とフレーム取付部との間に位置する他方端部とを備えている。振動板の径方向の断面視において、中央部、一方端部および他方端部の各々はエッジ部が突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部の円弧の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである。
【0012】
本発明の振動板によれば、振動板の径方向の断面視において、中央部、一方端部および他方端部の各々はエッジ部が突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部の円弧の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである。そのため、中央部の円弧の曲率半径を大きくすることにより最低共振周波数を低減することができる。また、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径を小さくすることによりエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。これにより、エッジ部の突っ張りを抑制することができる。そのため、突っ張りによる異常音の発生を抑制することができる。
【0013】
上記の振動板において好ましくは、中央部の曲率半径は、一方端部および他方端部の各々の曲率半径より大きいため、中央部の円弧の曲率半径を大きくしつつエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。中央部の円弧の曲率半径を大きくすることでエッジ部の高さを抑え、一方端部および他方端部の各々の円弧の曲率半径を小さくすることでエッジ部の径方向の線長を長くすることができる。
【0014】
上記の振動板において好ましくは、中央部の曲率半径が無限大であるため、中央部の断面形状が直線状になり最低共振周波数をさらに低減することができる。
【0015】
上記の振動板において好ましくは、中央部、一方端部および他方端部の各々の曲率半径は全て無限大である。これにより、同じエッジ部の高さの場合に振動板の径方向の線長を最大化することができる。そのため、エッジ部の突っ張りをさらに抑制することができる。
【0016】
本発明のスピーカユニットは、上記のいずれかの振動板と、ボイスコイル取付部に取り付けられたボイスコイルと、ボイスコイルと対向するように配置されたマグネットと、マグネットを支持し、かつフレーム取付部に取り付けられたフレームとを備えている。本発明のスピーカユニットによれば、上記のいずれかの振動板を備えているため、共振周波数を低減するとともに突っ張り音の発生を抑制することができる。また、中央部の円弧の曲率半径を大きくすることによりエッジ部の高さを抑制することができるためスピーカユニットを小型化することができる。
【0017】
本発明の携帯情報端末は上記のスピーカユニットを備えている。本発明の携帯情報端末によれば、上記のスピーカユニットを備えているため、スピーカユニットを小型化することにより携帯情報端末を小型化することができる。また、設計の自由度を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の振動板、スピーカユニットおよび携帯情報端末によれば、最低共振周波数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるスピーカユニットを概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における振動板を概略的に示す断面図である。
【図4】図3のP部を示す拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1における変形例1のスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における変形例2のスピーカユニットを概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における変形例3のスピーカユニットを概略的に示す平面図である。
【図8】比較例の振動板を概略的に示す断面図であって、図3のP部に対応する位置の拡大図である。
【図9】本発明の実施の形態2における携帯情報端末を概略的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における携帯情報端末の折りたたまれた状態を概略的に示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例1における実施例Aの振動板を概略的に示す断面図である。
【図12】本発明の実施例1における比較例Aの振動板を概略的に示す断面図である。
【図13】本発明の実施例2における比較例Bの振動板を概略的に示す断面図である。
【図14】本発明の実施例2における比較例Cの振動板を概略的に示す断面図である。
【図15】本発明の実施例2における実施例Bの振動板を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の実施例2における実施例Cの振動板を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の実施例2における実施例Dの振動板を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施例2における実施例Eの振動板を概略的に示す断面図である。
【図19】本発明の実施例2における実施例Fの振動板を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1のスピーカユニットの構成について説明する。
【0021】
図1および図2を参照して、スピーカユニット10は、フレーム11と、振動板12と、フレームカバー13と、ボイスコイル14と、マグネット15と、プレート16と、ヨーク17とを主に有している。なお、図2においては見やすくするためフレームカバー13は図示されていない。
【0022】
フレーム11は、支持部11aと、内周部11bと、上端部11cとを主に有している。フレーム11は、支持部11aの上面に振動板12のフレーム取付部12dが支持されることにより、振動板12が振動可能に支持されるように構成されている。支持部11aと内周部11bとの間には段差が設けられていてもよい。また、フレーム11は、内周部11bにおいてヨーク17を支持するように構成されている。上端部11cは、支持部11aの外周側に連続して形成されている。フレーム11は、たとえば平面視において円形状に形成されている。フレーム11は、たとえば樹脂で形成されていてもよく、また金属で形成されていてもよい。
【0023】
振動板12は、上下方向(図1中矢印A方向)に振動可能なように薄板によって構成されている。振動板12は、中央振動部12aと、ボイスコイル取付部12bと、エッジ部12cと、フレーム取付部12dとを有している。中央振動部12aは、振動板12の中央に設けられている。中央振動部12aは、振動板12の径方向D1の断面視において上側に凸となるような円弧状に形成されている。
【0024】
ボイスコイル取付部12bは、中央振動部12aの外周側に設けられている。ボイスコイル取付部12bは中央振動部12aとエッジ部12cとの間に設けられている。ボイスコイル取付部12bは中央振動部12aを取り囲むように環状に設けられている。ボイスコイル取付部12bは、ボイスコイル14を取り付けるためのものである。ボイスコイル取付部12bは、振動板12の径方向D1の断面視において平坦となるように形成されている。ボイスコイル取付部12bには中央振動部12aと連続する部分において段差が設けられている。
【0025】
エッジ部12cは、ボイスコイル取付部12bの外周側に設けられている。エッジ部12cの詳細については後述するが、エッジ部12cでは中央部120と、一方端部121と、他方端部122とが連続的に設けられている。
【0026】
フレーム取付部12dは、エッジ部12cの外周側に設けられている。フレーム取付部12dは、フレーム11を取り付けるためのものである。フレーム取付部12dはエッジ部12cを取り囲むように環状に設けられている。フレーム取付部12dは、振動板12の径方向D1の断面視において平坦となるように形成されている。
【0027】
振動板12は、たとえば平面視において円形状に形成されている。振動板12は、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)などで形成されている。
【0028】
フレームカバー13は、振動板12を覆うように形成されている。フレームカバー13は、中央振動部12aおよびエッジ部12cの双方の一部を覆うように配置されていてもよい。フレームカバー13は、振動板12を介してフレーム11の支持部11aに支持されている。フレームカバー13には孔13aが形成されている。フレームカバー13は、たとえば平面視において円形状に形成されている。
【0029】
ボイスコイル14は、ボイスコイル14の上面が振動板12のボイスコイル取付部12bの下面に固定されることにより、振動板12に固定されている。ボイスコイル14は、たとえば円環状に形成されている。マグネット15は、ボイスコイル14の内周面と間隔をあけてボイスコイル14の内周側に配置されている(内磁型)。ヨーク17は、ボイスコイル14の外周面と間隔をあけてボイスコイル14の外周側に配置された部分(外周側部分)とボイスコイル14およびマグネット15の下側に配置された部分(下側部分)とを有している。
【0030】
ヨーク17は、外周側部分の外周面でフレーム11の内周部11bと嵌合することにより固定されている。ヨーク17の下側部分は、ボイスコイル14の下面と間隔をあけて配置されている。ヨーク17の下側部分の中央部にはマグネット15が配置されている。マグネット15の上面にはプレート16が配置されている。これらのマグネット15、プレート16およびヨーク17により磁気回路が構成されている。
【0031】
続いて、振動板のエッジ部の構成について詳述する。
図3および図4を参照して、エッジ部12cは、中央部120と、一方端部121と、他方端部122とを有している。中央部120は振動板12の径方向D1(図2)の断面視においてエッジ部12cの中央に設けられている。中央部120は曲率半径R0で形成されている。
【0032】
一方端部121は、中央部120とボイスコイル取付部12bとの間に位置するように設けられている。一方端部121は曲率半径R1で形成されている。一方端部121はボイスコイル取付部12bの外周端と中央部120の内周端とを繋ぐように連続して形成されている。中央部120と一方端部121とが接する位置において、中央部120は接線L0を有し、一方端部121は接線L1を有している。
【0033】
他方端部122は、中央部120とフレーム取付部12dとの間に位置するように設けられている。他方端部122は曲率半径R2で形成されている。他方端部122はフレーム取付部12dの内周端と中央部120の外周端とを繋ぐように連続して形成されている。中央部120と他方端部122とが接する位置において、中央部120は接線L0を有し、他方端部122は接線L2を有している。
【0034】
振動板12の径方向D1(図2)の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなっている。このため、接線L0、接線L1および接線L2は、エッジ部12cが突き出した形状の内側に向かって伸びることはない。つまり、接線L0、接線L1および接線L2はエッジ部12cの内側に入らない。
【0035】
すなわち、中央部120は、曲率半径R0の曲率中心が、ボイスコイル取付部12bおよびフレーム取付部12dの双方に対してエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となる一方側と反対側の他方側に位置する円弧からなっている。一方端部121は、一方端部121の曲率半径R1の曲率中心が一方端部121より他方端部122側に位置する円弧からなっている。他方端部122は、他方端部122の曲率半径R2の曲率中心が他方端部122より一方端部121側に位置する円弧からなっている。
【0036】
一方端部121の円弧の曲率半径R1と他方端部122の円弧の曲率半径R2とは同じ大きさでもよく、また違う大きさでもよい。一方端部121の円弧の曲率半径R1と他方端部122の円弧の曲率半径R2とが違う大きさの場合、一方端部121の円弧の曲率半径R1が他方端部122の円弧の曲率半径R2より大きくてもよく、また他方端部122の円弧の曲率半径R2が一方端部121の円弧の曲率半径R1より大きくてもよい。
【0037】
中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121の円弧の曲率半径R1および他方端部122の円弧の曲率半径R2の各々以上の大きさである。このため、振動板12の径方向D1(図2)に対する接線L0の傾きは、接線L1および接線L2の双方の傾き以下の大きさとなる。
【0038】
また、中央部120の曲率半径R0は、一方端部121の曲率半径R1および他方端部122の曲率半径R2の各々より大きくてもよい。この場合も、接線L0、接線L1および接線L2は、エッジ部12cが突き出した形状の内側に向かって伸びることはない。また振動板12の径方向D1(図2)に対する接線L0の傾きは、接線L1および接線L2の双方の傾きの大きさより小さくなる。
【0039】
また、中央部120の曲率半径R1は、無限大であってもよい。この場合、中央部120の断面形状は直線となる。
【0040】
また、中央部120の曲率半径R0、一方端部121の曲率半径R1および他方端部122の曲率半径R2の各々は全て無限大であってもよい。この場合、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々の断面形状は直線となる。また、中央部120と一方端部121とがなす角度および中央部120と他方端部122とがなす角度の各々は直角となる。
【0041】
次に、本実施の形態のスピーカユニットの動作について説明する。
上記の構成により、マグネット15から発生する磁束がプレート16およびヨーク17によって導かれて、ボイスコイル14の配置されている空隙に収束されて磁界が発生する。そして、ボイスコイル14に交番電流が流れると、ボイスコイル14を流れる交番電流とマグネット15から発生する磁界とによってフレミングの左手の法則に基づいて、ボイスコイル14が上下に振動する。したがって、ボイスコイル14に取り付けられた振動板12が振動する。これにより、電気信号(交番電流)が音響(振動)に変換される。
【0042】
上記では、内磁型のスピーカユニットについて説明したが、本実施の形態は、外磁型のスピーカユニットにも適用され得る。以下、外磁型のスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例1として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0043】
図5を参照して、本実施の形態の変形例1では、マグネット15は、ボイスコイル14の外周面と間隔をあけてボイスコイル14の外周側に配置されている(外磁型)。ヨーク17は、ボイスコイル14の内周面と間隔をあけてボイスコイル14の内周側に配置された部分(内周側部分)と、ボイスコイル14およびマグネット15の下側に配置された部分(下側部分)とを有している。ヨーク17の下側部分は、ボイスコイル14の下面と間隔をあけて配置されている。ヨーク17の下側部分にはマグネット15が載置されている。またマグネット15の上面にはプレート16が配置されている。
【0044】
また、本実施の形態は、水平型のスピーカユニットにも適用され得る。以下、水平型のスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例2として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0045】
図6を参照して、本実施の形態の変形例2では、ボイスコイル14は、厚み方向より幅方向の積層数が多い形状に形成されている(水平型)。ボイスコイル14は、マグネット15の上面上に間隔をあけて配置されている。ボイスコイル14は、マグネット15によって生じる磁束がボイスコイル14を横切るように配置されている。
【0046】
マグネット15は、厚み方向に磁性化されている。マグネット15は、一対の直方体状のアウターマグネット15aと、直方体状のインナーマグネット15bとを含んでいる。一対のアウターマグネット15aとインナーマグネット15bとは、逆向きに磁性化されている。つまり、たとえば一対のアウターマグネット15aの下面がN極となるように磁性化され、インナーマグネット15bの上面がN極となるように磁性化されている。なお、一対のアウターマグネット15aとインナーマグネット15bとは、逆向きに磁性化されていればよい。
【0047】
マグネット15は、アウターマグネット15aの外周面がフレーム11の内周面と嵌合することにより固定されている。ヨーク17は、マグネット15の下側に配置されている。ヨーク17は、ヨーク17の側面がフレーム11の内周面と嵌合することにより固定されている。フレーム11は、内周面においてマグネット15およびヨーク17を支持している。
【0048】
なお、上記ではスピーカユニットは、平面視において円形状に構成されている場合について説明したが、平面視においてトラック状に構成されていてもよい。以下、平面視において円形状に構成されたスピーカユニットの構成の一例について本実施の形態の変形例3として説明する。この構成は、特に言及しない限り、上記した内磁型のスピーカユニットと同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0049】
図7を参照して、本実施の形態の変形例3では、フレーム11と振動板12とが重なる方向から見て、フレーム11および振動板12の双方がトラック状に形成されている。ここでトラック状とは、2本の直線の両端を円弧で繋ぐようにして形成された形状である。振動板12は長手方向の径方向D1と短手方向の径方向D2とを有している。
【0050】
なお、本実施の形態の変形例3としてスピーカユニットが平面視においてトラック状に構成されている場合について説明したが、スピーカユニットは平面視において楕円状に構成されていてもよい。
【0051】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
まず、エッジ部の曲率半径と最低共振周波数との関係について説明する。振動板は板ばねとして考えることができるため、以下のように説明することができる。
【0052】
最低共振周波数f0は、ばね定数k、振動系質量M(g)として、次の式(1)で求められる。
【0053】
【数1】
【0054】
式(1)のうち振動板の形状に影響するばね定数kは、荷重P(N)、たわみ量σ(mm)として、次の式(2)で求められる。
【0055】
【数2】
【0056】
式(2)のうち円弧状の板ばねのたわみ量σは、円弧角度c(°)、円弧半径(曲率半径)r(mm)、ヤング率E、曲げモーメントIとして、次の式(3)で求められる。
【0057】
【数3】
【0058】
式(3)を式(2)に代入して次の式(4)が得られる。
【0059】
【数4】
【0060】
式(4)のEIを定数として、円弧角度c(°)と円弧半径(曲率半径)r(mm)とによってばね定数kの値が変化する。式(4)を式(1)に代入することで最低共振周波数f0が求められる。式(1)および式(4)により、円弧半径(曲率半径)rが大きいとばね定数kが小さくなり最低共振周波数f0が下がり、逆に円弧半径(曲率半径)rが小さいとばね定数kが大きくなり最低共振周波数f0が上がる。すなわち、曲率半径rが大きい方が最低共振周波数f0が下がる。
【0061】
また、円弧角度cが大きいとばね定数kが小さくなり最低共振周波数f0が下がり、逆に円弧角度cが小さいとばね定数kが大きくなり最低共振周波数f0が上がる。すなわち、曲率半径rが同じでも円弧角度cが大きい方が最低共振周波数f0が下がる。
【0062】
たわみ量(振幅量)σについては、式(3)より、ある一定の荷重P(ローレンツ力)を加えたときの振幅量σは曲率半径rが大きい方が大きくなる。なお、このときの振幅量σはローレンツ力が一定と仮定した場合での比較値であり、ローレンツ力が大きくなったときの許容振幅量(すなわち突っ張りが起こる最大振幅量)ではない。
【0063】
以上より、一般的にエッジ部の曲率半径rが大きい方がボイスコイルから一定の力を受けたときの振幅量σが大きくなり最低共振周波数f0を低くすることができる。
【0064】
続いて、本実施の形態の作用効果について比較例と比較して説明する。
図3および図8を参照して、比較例の振動板12ではエッジ部12cは、1つの曲率半径RCを有している。スピーカユニット10(図1)は小型化が要求されるためエッジ部12cの幅Wには制約がある。最低共振周波数を低くするためにはエッジ部12cの曲率半径RCを大きくすることが有効である。しかし、エッジ部12cの幅Wの制約の中でエッジ部12cの曲率半径RCを大きくすると、振動板12の径方向D1(図2)の形状は直線に近づくためエッジ部12cの高さHが低くなりエッジ部12cの径方向の線長が短くなる。エッジ部12cの径方向の線長が短くなることにより、振動板12が上下に振動した時に、突っ張りが発生しやすくなる。この突っ張りにより異常音が発生する。異常音が発生するとスピーカユニット10の基本音質を維持することができない。したがって、1つの曲率半径RCで構成されるエッジ部12cでは、スピーカユニット10の基本音質を維持しつつ共振周波数を低くすることは困難である。
【0065】
それに対して、本実施の形態の振動板12によれば、振動板12の径方向D1の断面視において、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々はエッジ部12cが突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、中央部120の円弧の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2以上の大きさである。
【0066】
そのため、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることにより最低共振周波数を低減することができる。また、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2を小さくすることによりエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。具体的には、図4に示すように、一方端部121の一方端P1と他方端P2の位置を固定した場合に一方端部121の円弧の曲率半径R1を小さくすることで一方端部121の径方向の線長を長くすることができる。また、他方端部122の一方端P1と他方端P2の位置を固定した場合に他方端部122の円弧の曲率半径R2を小さくすることで他方端部122の径方向の線長を長くすることができる。このようにして、エッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。これにより、エッジ部12cの突っ張りを抑制することができる。そのため、突っ張りによる異常音の発生を抑制することができる。
【0067】
また、一方端部121および他方端部122の立ち上がり角度を上げることができるため、振動板12の振動方向(上下方向)に対する強度が向上する。したがって、振動板12の剛性が向上するので歪を低減することができる。よって、歪の発生を抑制することにより高音質を実現することができる。
【0068】
また、振動板12が過振幅した際に一方端部121および他方端部122が緩衝材として働くため突っ張り音の発生を抑制することができる。
【0069】
また、ボイスコイル14のリードはボイスコイル取付部12bの近傍から中央部120の下方を通ってフレーム取付部12d近傍のフレーム11に延ばされて固定されている。一方端部121および他方端部122によってエッジ部12cとボイスコイル14のリードとのクリアランス(隙間)を大きくすることができるため、エッジ部12cとボイスコイル14との接触(ビリつき不良)の発生を抑制することができる。
【0070】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120の曲率半径R0は、一方端部121および他方端部122の各々の曲率半径R1,R2より大きいため、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくしつつエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることでエッジ部12cの高さHを抑え、一方端部121および他方端部122の各々の円弧の曲率半径R1,R2を小さくすることでエッジ部12cの径方向の線長を長くすることができる。
【0071】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120の曲率半径R0が無限大であるため、中央部120の断面形状が直線状になり最低共振周波数をさらに低減することができる。
【0072】
また、本実施の形態の振動板12によれば、中央部120、一方端部121および他方端部122の各々の曲率半径R1,R2は全て無限大である。これにより、同じエッジ部12cの高さHの場合にエッジ部12cの径方向の線長を最大化することができる。そのため、エッジ部12cの突っ張りをさらに抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態のスピーカユニット10によれば、上記のいずれかの振動板12と、ボイスコイル取付部12bに取り付けられたボイスコイル14と、ボイスコイル14と対向するように配置されたマグネット15と、マグネット15を支持し、かつフレーム取付部12dに取り付けられたフレーム11とを備えている。
【0074】
本実施の形態のスピーカユニット10によれば、上記のいずれかの振動板12を備えているため、共振周波数を低減するとともに突っ張り音の発生を抑制することができる。また、中央部120の円弧の曲率半径R0を大きくすることによりエッジ部12cの高さHを抑制することができるためスピーカユニット10を小型化することができる。
【0075】
(実施の形態2)
最初に本実施の形態における携帯情報端末の構成について説明する。本実施の形態では実施の形態1のスピーカユニットを備えた携帯情報端末について説明する。
【0076】
図9および図10を参照して、本実施の形態における携帯情報端末100は、携帯電話機であって、上部筐体101、表示部102、放音孔103、ヒンジ部104、下部筐体105、操作ボタン106、数字ボタン107、表示部111、放音孔112と、図示しない実施の形態1のスピーカユニットを主に備えている。
【0077】
図9を参照して、上部筐体101の表面には表示部102が設けられている。上部筐体101の表面の一方端部側には放音孔103が形成されている。上部筐体101の他方端部側にはヒンジ部104が形成されている。下部筐体105の一方端部側にはヒンジ部104が形成されている。ヒンジ部104によって上部筐体101と下部筐体105とは開閉可能に連結されている。下部筐体105の表面のヒンジ部104側には操作ボタン106が形成されている。操作ボタン106からヒンジ部104と反対側に向かって数字ボタン107が形成されている。
【0078】
図10を参照して、上部筐体101の裏面には表示部111が設けられている。表示部111の横に放音孔112が形成されている。
【0079】
図示しない実施の形態1に記載のスピーカユニットは、上部筐体101の内側に設けられている。そのスピーカユニットより主に放音孔103および112を通じて携帯情報端末100の外に音が発せられる。
【0080】
次に本実施の形態における携帯情報端末の作用効果について説明する。
本実施の形態における携帯情報端末100によれば、上記の実施の形態1に記載のスピーカユニットを備えているので、実施の形態1と同様の作用効果を有する。
【0081】
また、上記の実施の形態1に記載のスピーカユニットを備えているので、スピーカユニット10を小型化することにより携帯情報端末100を小型化することができる。また、設計の自由度を向上することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、携帯情報端末は、携帯電話機を例として説明したが、これに限定されず、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、PDAなどであってもよい。
【実施例】
【0083】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、上記と同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0084】
(実施例1)
実施例Aとして図11に示す寸法を有する振動板12を作成した。図11を参照して、振動板12の外径は直径14.5mmである。中央振動部12aの直径は8.25mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は9.0mmである。エッジ部12cの直径は13.7mmである。フレーム取付部12dの直径は14.5mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cでは、中央部120は曲率半径R7.934mmであり、一方端部121は曲率半径R0.30mmであり、他方端部122は曲率半径R0.35mmである。エッジ部12cの高さは0.30mmである。
【0085】
比較例Aとして図12に示す寸法を有する振動板12を作成した。図12を参照して、振動板12の外径、中央振動部12aの直径、ボイスコイル取付部12bの直径、エッジ部12cの直径、フレーム取付部12dの直径およびエッジ部12cの高さは実施例Aと同じ寸法である。エッジ部12cは曲率半径R2.144mmである。
【0086】
実施例Aおよび比較例Aのそれぞれについて同じ試験条件で最低共振周波数f0を測定した。測定結果を表1に示す。表1を参照して、比較例Aの最低共振周波数f0は1000Hzとなったのに対して、実施例Aの最低共振周波数f0は800Hzとなった。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例Aと比較例Aとを比較すると、実施例Aはエッジ部12cにおいて中央部120、一方端部121、他方端部122のそれぞれにおいて3つの曲率半径を有しているのに対して、比較例Aは1つの曲率半径を有している点で相違している。この相違点により実施例Aは比較例Aに対して最低共振周波数f0が低減されることがわかった。つまり、エッジ部12cにおいて曲率半径を3つ有している実施例Aの方が曲率半径を1つ有している比較例Aより最低共振周波数f0が低減されることがわかった。
【0089】
(実施例2)
有限要素法により様々な形状のエッジ部を有する振動板について最低共振周波数を解析した。応力解析ソフトにより以下に説明する比較例B,Cおよび実施例B〜Fの図13〜19に示す寸法をそれぞれ用いて最低共振周波数を解析した。
【0090】
まず、曲率半径を1つ有する振動板について、エッジ部曲率半径が同じ場合にエッジ部幅と最低共振周波数との関係について解析した。
【0091】
比較例Bは図13に示す寸法を有する。図13を参照して、振動板12の外径は直径12.0mmである。中央振動部12aの直径は6.80mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は8.20mmである。ボイスコイル取付部12bの両端にはテーパが形成されている。エッジ部12cの直径は11.0mmである。フレーム取付部12dの直径は12.00mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cは曲率半径R2.00mmである。エッジ部12cは円弧角度40.97°である。
【0092】
比較例Cは図14に示す寸法を有する。図14を参照して、振動板12の外径は直径15.0mmである。中央振動部12aの直径は6.80mmである。ボイスコイル取付部12bの直径は8.20mmである。ボイスコイル取付部12bの両端にはテーパが形成されている。エッジ部12cの直径は14.0mmである。フレーム取付部12dの直径は15.00mmである。フレーム取付部12dの直径が振動板12の直径となる。エッジ部12cは曲率半径R2.00mmである。エッジ部12cは円弧角度92.94°である。
【0093】
比較例Cは、比較例Bと比較してエッジ部12cの直径が3.0mm大きくなるよう設定されている。つまり、比較例Cは、比較例Bと比較してエッジ部12cの幅が1.5mm大きくなるように設定されている。
【0094】
比較例Bおよび比較例Cのそれぞれについて主な寸法と最低共振周波数f0の解析結果とを表2に示す。表2を参照して、比較例Bの最低共振周波数f0は573Hzとなったのに対して、比較例Cの最低共振周波数f0は550Hzとなった。
【0095】
【表2】
【0096】
比較例Bと比較例Cとを比較すると、エッジ部曲率半径R2.00mmは同じあるが、エッジ部幅は比較例Bの1.4mmに対して比較例Cの2.9mmの方が大きく設定されている。このため、円弧角度は比較例Bの40.97°に対して比較例Cの92.94°の方が大きく設定されている。これにより、エッジ部曲率半径が同じ場合、エッジ部幅が大きい方が最低共振周波数f0が低くなることがわかった。円弧角度が最低共振周波数f0に影響することがわかった。
【0097】
続いて、振動板外径、エッジ部幅およびエッジ部高さを同じに設定して、エッジ部中央部曲率半径とエッジ部端部(一方端部および他方端部)曲率半径とを変化させた場合の最低共振周波数を解析した。なお、一方端部および他方端部の曲率半径はそれぞれ同じに設定した。解析結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
実施例B〜実施例Fでは、図15〜図19に示すように振動板12の外径、中央振動部12aの直径、ボイスコイル取付部12bの直径、エッジ部12cの直径、フレーム取付部12dの直径のそれぞれは比較例Cと同じ寸法に設定されている。エッジ部12cの高さは0.62mmに設定されている。実施例B〜実施例Fは、エッジ部12cにおいて3つの曲率半径を有している。
【0100】
実施例Bは図15に示す寸法を有する。図15を参照して、実施例Bは、エッジ部中央部曲率半径R2.51mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.30mmである。実施例Cは図16に示す寸法を有する。図16を参照して、実施例Cは、エッジ部中央部曲率半径R2.99mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.40mmである。実施例Dは図17に示す寸法を有する。図17を参照して、実施例Dは、エッジ部中央部曲率半径R4.24mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.50mmである。実施例Eは図18に示す寸法を有する。図18を参照して、実施例Eは、エッジ部中央部曲率半径R∞(無限大)mmであり、エッジ部端部曲率半径R0.62mmである。実施例Fは図19に示す寸法を有する。図19を参照して、実施例Fは、エッジ部中央部曲率半径R∞(無限大)mmであり、エッジ部端部曲率半径R∞(無限大)mmである。
【0101】
表3を参照して、実施例B〜実施例Fは、比較例Cより最低共振周波数f0が低くなることがわかった。つまり、エッジ部12cが3つの曲率半径を有する実施例B〜実施例Fは、1つの曲率半径を有する比較例Cより最低共振周波数f0が低くなることがわかった。
【0102】
また、実施例B〜実施例Fでは、エッジ部中央部曲率半径が大きいほど最低共振周波数f0が低くなることがわかった。また、実施例B〜実施例Fでは、エッジ部端部曲率半径が大きいほど最低共振周波数f0が低くなることがわかった。
【0103】
また、実施例Eよりエッジ部中央部曲率半径R∞の場合に最低共振周波数f0がさらに低くなることがわかった。また実施例Fよりエッジ部中央部曲率半径R∞であり、エッジ部端部曲率半径R∞の場合、最低共振周波数f0が最も低くなることがわかった。
【0104】
また、実施例B〜実施例Fでは比較例Cと比較してエッジ部線長が長くなることがわかった。実施例Fよりエッジ部中央部曲率半径R∞であり、エッジ部端部曲率半径R∞の場合、エッジ部線長が最も長くなることがわかった。
【0105】
なお、上記の各実施の形態は、適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、エッジ部を有する振動板ならびにそれを備えたスピーカユニットおよび携帯情報端末に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0107】
10 スピーカユニット、11 フレーム、11a 支持部、11b 内周部、11c 上端部、12 振動板、12a 中央振動部、12b ボイスコイル取付部、12c エッジ部、12d フレーム取付部、13 フレームカバー、14 ボイスコイル、15 マグネット、16 プレート、17 ヨーク、100 携帯情報端末、101 上部筐体、102 表示部、103 放音孔、104 ヒンジ部、105 下部筐体、106 操作ボタン、107 数字ボタン、111 表示部、112 放音孔、120 中央部、121 一方端部、122 他方端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイル取付部と、フレーム取付部と、前記ボイスコイル取付部および前記フレーム取付部の間に位置しかつ前記ボイスコイル取付部および前記フレーム取付部の双方に対して一方側に突き出した形状を有するエッジ部とを有する振動板であって、
前記エッジ部は、
中央部と、
前記中央部と前記ボイスコイル取付部との間に位置する一方端部と、
前記中央部と前記フレーム取付部との間に位置する他方端部とを備え、
前記振動板の径方向の断面視において、前記中央部、前記一方端部および前記他方端部の各々は前記エッジ部が前記突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、
前記中央部の円弧の曲率半径は、前記一方端部および前記他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである、振動板。
【請求項2】
前記中央部の曲率半径は、前記一方端部および前記他方端部の各々の曲率半径より大きい、請求項1に記載の振動板。
【請求項3】
前記中央部の曲率半径は、無限大である、請求項1または2に記載の振動板。
【請求項4】
前記中央部、前記一方端部および前記他方端部の各々の曲率半径は全て無限大である、請求項1に記載の振動板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の振動板と、
前記ボイスコイル取付部に取り付けられたボイスコイルと、
前記ボイスコイルと対向するように配置されたマグネットと、
前記マグネットを支持し、かつ前記フレーム取付部に取り付けられたフレームとを備えた、スピーカユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のスピーカユニットを備えた、携帯情報端末。
【請求項1】
ボイスコイル取付部と、フレーム取付部と、前記ボイスコイル取付部および前記フレーム取付部の間に位置しかつ前記ボイスコイル取付部および前記フレーム取付部の双方に対して一方側に突き出した形状を有するエッジ部とを有する振動板であって、
前記エッジ部は、
中央部と、
前記中央部と前記ボイスコイル取付部との間に位置する一方端部と、
前記中央部と前記フレーム取付部との間に位置する他方端部とを備え、
前記振動板の径方向の断面視において、前記中央部、前記一方端部および前記他方端部の各々は前記エッジ部が前記突き出した形状の外側に向かって凸となるような別個の円弧からなり、
前記中央部の円弧の曲率半径は、前記一方端部および前記他方端部の各々の円弧の曲率半径以上の大きさである、振動板。
【請求項2】
前記中央部の曲率半径は、前記一方端部および前記他方端部の各々の曲率半径より大きい、請求項1に記載の振動板。
【請求項3】
前記中央部の曲率半径は、無限大である、請求項1または2に記載の振動板。
【請求項4】
前記中央部、前記一方端部および前記他方端部の各々の曲率半径は全て無限大である、請求項1に記載の振動板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の振動板と、
前記ボイスコイル取付部に取り付けられたボイスコイルと、
前記ボイスコイルと対向するように配置されたマグネットと、
前記マグネットを支持し、かつ前記フレーム取付部に取り付けられたフレームとを備えた、スピーカユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のスピーカユニットを備えた、携帯情報端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−80209(P2012−80209A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221443(P2010−221443)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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