説明

排気浄化装置の再生装置

【課題】排気浄化手段の過度な温度上昇を確実に防止するとともに、精度の良い排気浄化手段の温度制御を可能として、再生時間を短縮可能とする。
【解決手段】ポスト噴射により、エンジン1の排気通路20に設けられたDPF21に流入する排気の温度を上昇させ、DPF21を再生する排気浄化装置の再生装置であって、DPF21の再生時においてポスト噴射を停止させてDPF21に流入する排気の温度を低下させる第1の温度低下機能と、DPF21の上流側の排気通路20に並列にバイパス路52を接続し、当該バイパス路52に熱交換手段53を備え、バイパス路52を通過する排気の流量を制御して、DPF21に流入する排気の温度を低下させる第2の温度低下機能とを備え、再生時にDPF21の温度状態に基づいて、第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能を選択または併用して作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気通路に設けられた排気浄化装置の再生時における温度制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気を浄化する排気浄化装置として、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)が知られている。DPFは、排気通路に設けられ、排気中の微粒子状物質(パティキュレートマター、以下、PMという)を捕集するものである。また、DPFを昇温させて、DPFに捕集されたPMを燃焼・除去し、DPFを再生させる技術が知られている。
【0003】
DPFに堆積しているPMは、炭素を主成分とするすすが多く含まれており、再生時における燃焼によって発熱し、DPFが排気温度より上昇する場合がある。特に、PMが多量に堆積している場合には、PMが一度に燃焼するとDPFの温度が大幅に上昇し、DPFを焼損させる虞がある。
そこで、排気通路に排気冷却装置を備え、排気の温度が過度に高い場合に、排気冷却装置によって排気浄化手段に流入する排気を冷却し、排気浄化手段の過度な温度上昇を防止する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−321640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、排気制御弁により排気通路を切換えることで、排気冷却装置を排気が通過するか否かを制御する構成となっている。ここで、燃費及び排気浄化性能を確保するために再生時間を短縮しようとすると、排気浄化手段の温度を極力高い温度に設定することが望ましいが、排気浄化手段が過昇温となるリスクが高まってしまう。そこで、特許文献1においては、大容量の排気冷却装置を採用することで過昇温となるリスクを低減させることが可能であるものの、コストや設置スペースの増加を招くとともに、大容量の排気冷却装置では細かい温度制御が困難となる虞がある。
【0006】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、再生時において、排気浄化手段の過度な温度上昇を確実に防止するとともに、精度の良い排気浄化手段の温度制御を可能とし、再生時間を短縮可能な排気浄化装置の再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の排気浄化装置の再生装置は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化手段に流入する排気の温度を上昇させ、排気浄化手段を再生する排気浄化装置の再生装置であって、該排気浄化手段に流入する排気への燃料添加量を制御して、排気への供給熱量を制御する第1の温度制御手段と、排気浄化手段の上流側の排気通路に熱交換手段を備え、熱交換手段を通過する排気の流量を制御して、排気浄化手段に流入する排気からの回収熱量を制御する第2の温度制御手段と、排気浄化手段の温度状態を検出する温度状態検出手段と、温度状態検出手段により検出された排気浄化手段の温度状態に基づいて、第1の温度制御手段及び第2の温度制御手段を選択または併用して作動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の排気浄化装置の再生装置は、請求項1において、第1の温度制御手段は、排気浄化手段の再生時において燃料添加量を減少させて、排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させる第1の温度低下手段を含んでなり、第2の温度制御手段は、排気浄化手段の上流側の排気通路に並列にバイパス路を接続し、当該バイパス路に熱交換手段を備え、排気浄化手段の再生時においてバイパス路を通過する排気の流量を制御して、排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させる第2の温度低下手段を含んでなることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の排気浄化装置の再生装置は、請求項1または2において、制御手段は、温度検出手段により検出された排気浄化手段の温度状態に基づいて、前記排気浄化手段の過昇温の可能性を判定し、当該過昇温の可能性に基づいて前記第1の温度低下手段よりも前記第2の温度低下手段を優先して作動させることを特徴とする。
また、請求項4の排気浄化装置の再生装置は、請求項2または3において、制御手段は、排気浄化手段の温度と排気浄化手段の温度上昇率とに基づいて、排気浄化手段の温度状態を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、第1の温度制御手段は、燃料添加量を増減させて排気浄化手段に流入する排気の温度を制御するので、排気浄化手段の温度を大きく変化させることができる。
また、第2の温度制御手段は、熱交換手段に排気を通過させて排気の温度を制御するので、排気温度を迅速に変化させることが可能となり、排気浄化手段の温度をタイミング良く変化させて排気浄化手段の温度制御を精度良く行うことができる。
【0011】
そして、排気浄化手段の温度状態に基づいて、第1の温度制御手段及び第2の温度制御手段を選択または併用して作動させており、このように特性の異なる2つの温度制御手段を排気浄化手段の温度状態に基づいて適宜用いることで、排気浄化手段の温度を精度良く制御することが可能となる。
請求項2の発明によれば、第1の温度低下手段は、内燃機関における燃料噴射量を減少させて排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させるので、再生時において排気浄化手段の温度を大きく低下させることができる。
【0012】
また、第2の温度低下手段は、熱交換手段に排気を通過させて排気の温度を低下させるので、排気温度を迅速に低下させることが可能となり、再生時に排気浄化手段の温度をタイミング良く低下させて排気浄化手段の温度制御を精度良く行うことができる。
そして、排気浄化手段の再生時において、排気浄化手段の温度状態に基づいて、第1の温度低下手段及び第2の温度低下手段を選択または併用して作動させており、このように特性の異なる2つの温度低下手段を排気浄化手段の温度状態に基づいて適宜用いることで、排気浄化手段の過度な温度上昇を確実に防止できるとともに、排気浄化手段の温度を精度良く制御することが可能となる。よって、再生時における排気浄化手段の目標温度を高く設定することが可能となり、再生時間の短縮化を図ることができる。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、排気浄化手段の温度状態に基づいて、排気浄化手段の過昇温の可能性を判定し、当該過昇温の可能性に基づいて第1の温度低下手段よりも第2の温度低下手段を優先して作動させるので、第1の温度低下手段よりも第2の温度低下手段の作動機会を増やして、排気浄化手段の温度制御をより精度良く行うことができる。
また、請求項4の発明によれば、排気浄化手段の温度だけでなく、排気浄化手段の温度上昇率も合わせて排気浄化手段の温度状態が判定されるので、排気浄化手段が過昇温になるリスクをより正確に判定することができる。よって、この排気浄化手段の温度状態に基づいて排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させることで、排気浄化手段の過昇温をより確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態の排気浄化装置の再生装置が適用されたディーゼルエンジンの吸排気系の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における排気熱回収装置の構造図である。
【図3】温度低下機能の選択用マップである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の排気浄化装置の再生装置が適用されたディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)の吸排気系の構成を示している。
エンジン1は、例えば車両に搭載されたコモンレール式直列多気筒のディーゼルエンジンである。エンジン1のシリンダヘッド2には、燃焼室3内に燃料を噴射する電磁式の燃料噴射弁4が気筒毎に設けられている。各燃料噴射弁4は図示しないコモンレールに接続されており、コモンレールから、高圧の燃料が供給される。
【0016】
エンジン1の吸気通路10には、吸入空気量を調節する電磁式の吸気絞り弁11と、その上流側に吸気流量を検出するエアフローセンサ12が設けられている。
エンジン1の排気通路20には、排気中の微粒子状物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF21:排気浄化手段)が備えられている。DPF21は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖し、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
【0017】
また、DPF21の上流側の排気通路20には、酸化触媒(以下、DOC22という)が設けられている。DOC22は、例えば、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されており、排気中のCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに変換させるとともに、排気中のNOを酸化させてNO2を生成する機能を有する。
【0018】
また、酸化触媒22の下流側には、酸化触媒22を通過した直後の排気温度を検出する排気温度センサ30が備えられている。DPF21の下流側には、DPF21通過直後の排気温度を検出する排気温度センサ31が設けられている。更に、DPF21の上流側と下流側との差圧を検出する差圧センサ32が設けられている。
電子コントロールユニット(以下、ECU40という)(制御手段)は、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
【0019】
ECU40の入力側には、上述したエアフローセンサ12、排気温度センサ30,31及び差圧センサ32の他に、クランク角を検出するクランク角センサ33、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ34、及び車速を検出する車速センサ35等が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、ECU40の出力側には、燃料噴射弁4、吸気絞り弁11等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づきECU40において演算された燃料噴射量、燃料噴射時期等がそれぞれ出力され、これにより、適正なタイミングで吸気絞り弁11及び燃料噴射弁4等の制御が実施される。
【0020】
上記のようにDPF21の上流にDOC22が配置されていると、通常のエンジン運転時には、DOC22において生成されたNO2がDPF21に流入し、DPF21に捕集され堆積しているPM中の炭素成分である煤と反応してこれを酸化させる。酸化した煤はCO2となり、DPF21から除去され、これによりDPF21が連続的に再生される連続再生が行われる。
【0021】
一方、エンジン1の運転状況によっては、上記連続再生だけではDPF21の再生が十分に行われない場合がある。そこで、ECU40は、エンジン1の運転を制御してDPF21を強制再生させる機能(再生装置)を有している。
詳しくは、ECU40は、差圧センサ32にて検出される差圧よりDPF21におけるPMの堆積量を算出する。算出された堆積量が予め実験にて設定された許容堆積量以上となると、排気温度センサ31により検出したDPF21通過後の排気温度、即ちDPF21の温度が、強制再生温度の目標値である目標再生温度となるように強制再生温度を昇温させる。
【0022】
当該強制再生は、エンジン1の運転時における燃料の主噴射の後の例えば膨張行程以降に強制再生温度となるように燃料のポスト噴射(副噴射)を行い、未燃燃料(HC、CO等)を含んだ排気を排気通路20に排出させることによって行われる。排気中に混入された未燃燃料は、DOC22に流入して酸化され、酸化の反応熱によって排気温度を上昇させる。これにより、高温の排気が排気下流側のDPF21に流入して当該DPF21に堆積したPMを加熱し燃焼させ、DPF21を強制的に再生させることが可能である。
【0023】
更に、本実施形態では、排気熱を回収するための排気熱回収装置50を備えている。
排気熱回収装置50は、DOC22とDPF21との間の排気通路20の一部である主排気通路51に対して並列に設けられたバイパス路52と、バイパス路52に設けられた熱交換器53(熱交換手段)と、主排気通路51とバイパス路52との分岐部に設けられた開閉弁54とにより構成されている。
【0024】
熱交換器53は、エンジン1の冷却水が導入されており、バイパス路52を通過する排気と冷却水との間で熱交換を行う機能を有する。
開閉弁34は、ECU40により作動制御され、主排気通路51を開閉する機能を有し、主排気通路51を全開とする全開状態と主排気通路51を全閉とする全閉状態との間で切り換え可能である。バイパス通路52は主排気通路51より流路断面積が小さく、また熱交換器53が備えられているため、流路抵抗が大きいので、開閉弁54が全開状態では酸化触媒22から排出された排気の多くが主排気通路51を通過する。一方、開閉弁54が全閉状態では、酸化触媒22から排出された排気は全てバイパス通路52を通過する。したがって、開閉弁54は、酸化触媒22から排出された排気がバイパス路52、及び主排気通路51のいずれかを通過するように流路を切換える機能と同等の機能を有する。
【0025】
そして、ECU40がバイパス路52を排気が通過するように開閉弁54を作動制御することで、熱交換器53によって、バイパス路52を通過する排気と冷却水との間で熱交換が行われ、排気熱を回収することができる。
ECU40は、エンジン1の冷態始動時(例えば、冷却水温度が所定温度以下である場合)において、バイパス路52を排気が通過するように開閉弁34を閉作動制御する。これにより、エンジン1の冷却水が暖められるので、エンジン1の冷態始動時において、排気熱を利用して暖機を促し、暖機運転時間を短縮させることができる。
【0026】
更に、本実施形態のエンジン1には、上記強制再生時において、DPF21の過剰な温度上昇を防止すべく、DPF21に流入する排気温度を低下させる温度低下機能が2つ備えられている。
2つの温度低下機能のうちの第1の温度低下機能(第1の温度低下手段、第1の温度制御手段)では、ECU40は、強制再生時におけるポスト噴射を停止するように燃料噴射弁4を作動制御する。これにより、DOC22への未燃燃料の供給が停止され、DOC22での酸化が抑えられて、DPF21に流入する排気の温度が低下する。
【0027】
また、2つの温度低下機能のうちの第2の温度低下機能(第2の温度低下手段、第2の温度制御手段)では、ECU40は、バイパス路52を排気が通過するように開閉弁54を作動制御する。これにより、バイパス路52を通過する排気が熱交換器53において冷却水と熱交換して排気温度が低下する。
ECU40は、強制再生時において、DPF21の温度状態に基づいて、上記第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能を選択、あるいは併用して実行させる。
【0028】
図3は、温度低下機能の選択用マップである。
詳しくは、ECU40は、強制再生時において、排気温度センサ31から排気温度をDPF温度として逐次入力し、当該DPF温度と単位時間あたりのDPF温度の上昇量であるDPF温度上昇率とに基づいて、図3を用いて、DPF21が過昇温となるリスクをゾーン1〜3の3段階に判定する。
【0029】
図3に示すように、DPF温度が低温、及びDPF温度上昇率が低上昇率である場合には、過昇温のリスクが低いゾーン1に、高温及び高上昇率では過昇温のリスクが高いゾーン3に、更にゾーン1とゾーン2の間に過昇温のリスクが中程度であるゾーン2に判定するよう設定されている。
そして、ECU40は、ゾーン1では、上記第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能のいずれも実行させず、強制再生をそのまま実施させる。
【0030】
ゾーン2では、上記2つの温度低下機能のうち第2の温度低下機能のみ実行させる。
ゾーン3では、上記第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能のいずれも実行させる。
以上のように制御することで、本実施形態では、強制再生時において、第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能を選択または併用して、DPF21の温度上昇を規制するようにしている。詳しくは、DPF21の温度状態が、過昇温のリスクが低い場合には第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能のいずれも作動させず、過昇温のリスクが中程度の場合には、第2の温度低下機能のみ実行させる。更に、過昇温のリスクが高い場合には、第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能の両方を実行させる。
【0031】
第1の温度低下機能は、ポスト噴射を停止するように燃料噴射弁4を作動制御するので、DPF温度を大幅に低下させることが可能である。また、ポスト噴射を停止させるので、無駄な燃料消費を抑えることができる。
第2の温度低下機能は、熱交換器53に排気を通過させることで瞬時に排気を冷却させることが可能である。よって、DPF21の温度を応答性良く適切なタイミングで低下させることが可能であり、DPF21の温度調整を精度良く行うことが可能である。
【0032】
このように、本実施形態では、2つの特性の異なる温度低下機能を備えており、過昇温のリスクの程度に応じてこれらの温度低下機能を選択及び併用するので、DPF21の過度な温度上昇を確実に防止することができるとともに、DPF21の温度を迅速にタイミング良く低下させることが可能となる。よって、再生時においてDPF21の温度を極力高く設定することが可能となり、再生時間の短縮化を図ることができる。
【0033】
更に、本実施形態では、過昇温のリスクが中程度のゾーン2では第2の温度低下機能を実施し、過昇温のリスクが高いゾーン3では第2の温度低下機能と第1の温度低下機能を実施するので、第1の温度低下機能よりも第2の温度低下機能を優先して実施されることとなる。したがって、第1の温度低下機能よりも第2の温度低下機能の実施機会が増加し、DPF21の温度を迅速にタイミング良く低下させることが可能となり、DPF21の温度制御をより精度良く行うことが可能となっている。
【0034】
また、ECU40は、DPF21の温度状態として、DPF21の温度だけでなくDPF21の温度上昇率も合わせて、過昇温のリスクを判定するので、DPF21が過昇温になる危険性をより正確に判定することができ、DPF21の過昇温をより確実に回避することが可能となる。
また、再生時以外においても、第1の温度低下機能及び第2の温度低下機能を適宜選択または併用して実施することで、DPFの温度制御を精度良く行うことが可能である。
【0035】
なお、本願発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。
例えば、ゾーン2においてDPF21の温度状態を細分化し、この細分化した温度状態に基づく過昇温のリスクに応じて開閉弁54の開度を複数の段階あるいは連続的に変更可能としてもよい。このようにすれば、更にDPF21の温度制御を正確に行うことができる。
【0036】
また、第1の温度低下機能において、ポスト噴射量を停止するのではなく、減少させるように制御してもよい。
また、本発明は、DPFの再生だけでなく、その他のフィルタや触媒等の各種排気浄化装置の温度制御に対して適用可能である。しかしながら、本発明は、DPFのように、堆積している堆積物が再生時に燃焼して過昇温となり易い排気浄化装置に対して特に有効である。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
4 燃料噴射弁
20 排気通路
21 DPF
22 DOC
31 温度センサ
40 ECU
50 排気熱回収装置
52 バイパス路
53 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化手段に流入する排気の温度を上昇させ、前記排気浄化手段を再生する排気浄化装置の再生装置であって、
該排気浄化手段に流入する排気への燃料添加量を制御して、前記排気への供給熱量を制御する第1の温度制御手段と、
前記排気浄化手段の上流側の排気通路に熱交換手段を備え、前記熱交換手段を通過する排気の流量を制御して、前記排気浄化手段に流入する排気からの回収熱量を制御する第2の温度制御手段と、
前記排気浄化手段の温度状態を検出する温度状態検出手段と、
前記温度状態検出手段により検出された前記排気浄化手段の温度状態に基づいて、前記第1の温度制御手段及び第2の温度制御手段を選択または併用して作動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする排気浄化装置の再生装置。
【請求項2】
前記第1の温度制御手段は、前記排気浄化手段の再生時において前記燃料添加量を減少させて、前記排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させる第1の温度低下手段を含んでなり、
前記第2の温度制御手段は、前記排気浄化手段の上流側の排気通路に並列にバイパス路を接続し、当該バイパス路に前記熱交換手段を備え、前記排気浄化手段の再生時において前記バイパス路を通過する排気の流量を制御して、前記排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させる第2の温度低下手段を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置の再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記温度状態検出手段により検出された前記排気浄化手段の温度状態に基づいて、前記排気浄化手段の過昇温の可能性を判定し、当該過昇温の可能性に基づいて前記第1の温度低下手段よりも前記第2の温度低下手段を優先して作動させることを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置の再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記排気浄化手段の温度と前記排気浄化手段の温度上昇率とに基づいて、前記排気浄化手段の温度状態を判定することを特徴とする請求項2または3に記載の排気浄化装置の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−104380(P2013−104380A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249797(P2011−249797)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】