説明

排水装置及び排水システム

【課題】汚水吸引時の騒音、配管の振動を抑制できる排水装置及び排水システムを提供する。
【解決手段】吸引管31に接続される汚水Wの流入口と、流出口とを作動負圧Pの変化によって連通、遮断する第一弁装置15と、上記流出口に接続され負圧状態に保持された負圧排水管32と、作動負圧Pを変化させる作動負圧制御部16とを備え、作動負圧制御部16は負圧排水管32に接続されて汚水Wが流入不能とされた作動負圧管44と、作動負圧管44と第一弁装置15との間を連通、遮断することによって第一弁装置15の作動負圧Pを変化させる第二弁装置41と、第二弁装置41に対し作動負圧管44と第一弁装置15との間の連通を指示する便器タンクスイッチ23と、第二弁装置41に対し便器本体21の汚水Wの液面が吸引管31の端部よりも上方にある際に作動負圧管44と第一弁装置15との間の遮断を指示するタイマー42とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に設置され、汚水等の排水を行なう排水装置、及び排水システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
排水システムとしては、汚水の重力による自然流下を利用して排水を行なう重力式の排水システムに加え、真空ポンプを用いて配管内を負圧状態に保つことで大気圧との圧力差により汚水を吸引し排水する真空式の排水システムが一般に知られている。
そして、例えば、鉄道駅舎等の建築物においては、トイレ、洗面台や飲食店の厨房設備等の様々な場所から発生する排水に対応すべく、排水システムの検査及び修繕の容易化や駅舎のレイアウト変更に応じた排水システムの設置位置変更等を考慮し、これらに優れた真空式の排水システムが用いられている。
【0003】
上記真空式排水システムの一例は、特許文献1に開示されている。具体的には、真空ポンプによって排水管内を略真空の負圧状態に保持し、この状態で弁を開放することで負圧を汚水に及ぼし、圧力差を利用してこの汚水を吸引して排水を行なうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4445139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の真空式の排水システムでは、汚水を吸引する際に排水と共に空気等の気体を吸引してしまい、このため、排水吸引時の騒音や配管の振動が発生してしまうという懸念があった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、汚水吸引時の騒音、配管の振動の抑制を図ることのできる排水装置及び排水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る排水装置は、貯水部に貯留した液体を、前記貯水部内で一端が下方に向けて開口する吸引管によって排水する排水装置であって、前記吸引管の他端に接続されて前記液体が流入する流入口と、前記液体が流出する流出口とを有し、作動負圧の変化によって前記流入口と前記流出口とを連通、遮断する第一弁装置と、前記流出口に一端が接続され、内部が負圧状態に保持された負圧排水管と、前記第一弁装置への前記作動負圧を変化させる作動負圧制御部とを備え、前記作動負圧制御部は、前記負圧排水管に接続されて前記液体が流入不能とされた作動負圧管と、前記作動負圧管と前記第一弁装置との間に設けられ、該作動負圧管と該第一弁装置との間を連通、遮断することによって前記第一弁装置への前記作動負圧を変化させる第二弁装置と、前記第二弁装置に対し、前記作動負圧管と前記第一弁装置との間の連通を指示する開指令入力手段と、前記貯水部に貯留した前記液体の液面が前記吸引管の一端よりも上方にある際に、前記第二弁装置に対して前記作動負圧管と前記第一弁装置との間の遮断を指示する閉指令入力手段とを有することを特徴とする。
【0008】
このような排水装置においては、開指令入力手段が第二弁装置へ開放の指示を行なうと、作動負圧管と第一弁装置との間が連通される。そして、負圧排水管に接続されていることによって作動負圧管は負圧に保持されているため、作動負圧管から第一弁装置に作動負圧が及ぼされ、この第一弁装置が開放される。この結果、流入口と流出口との間が連通され、負圧排水管における負圧によって液体を吸引し排水することができる。
その後、閉指令入力手段が第二弁装置へ遮断の指示を行ない、作動負圧管と第一弁装置との間が遮断される。従って、作動負圧管から第一弁装置に作動負圧が及ぼされなくなり、第一弁装置が流入口と流出口との間を遮断し、液体の排水を停止することができる。
このとき、貯水部に貯留した液体の液面は吸引管の一端よりも高い位置にある状態で、当該液体の排水が停止されるため、貯水部内の空気等の気体を吸い込むことがなく、液体のみを吸引し排水することができる。
【0009】
また、前記閉指令入力手段は、前記負圧管と前記第一弁装置との間が連通された後、一定時間経過後に遮断するタイマーであってもよい。
【0010】
このようなタイマーによって、事前に設定したタイミングで排水を停止することが可能となる。即ち、排水の際、貯水部内の空気等の気体を吸い込まないように、貯水部に貯留した液体の液面が吸引管の一端よりも高い位置にある状態で、第二弁装置を閉鎖し、排水停止するようにタイマーを設定することができ、確実に液体のみを吸引し排水することが可能となる。この結果、液体と共に気体を吸引する際に発生する騒音及び配管の振動を抑えることができる。
【0011】
さらに、前記開指令入力手段は、外部から触れられることで前記負圧管と前記第一弁装置との間を連通する手動スイッチであってもよい。
【0012】
このような手動スイッチによって、第二弁装置の開放を行なうことによって、任意のタイミングで負圧管と第一弁装置との間を連通し、排水を開始することができる。
【0013】
また、前記開指令入力手段は、前記貯水部の前記液体の水位を検知し、前記負圧管と前記第一弁装置との間を連通する水位センサであってもよい。
【0014】
このような水位センサを用いることによって、貯水部の水位が所定値に達した時点で自動的に負圧管と第一弁装置との間を連通し、排水を開始することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る排水システムは、上記の排水装置と、前記負圧排水管の他端に接続され、前記液体を収集する集水部と、前記集水部及び前記負圧排水管を負圧に保持する負圧源とを備えることを特徴とする。
【0016】
このような排水システムにおいては、上記液体が負圧排水管へ吸引、排水され、集水部へ収集される。ここで、この集水部は密閉され、負圧源によって負圧状態に保持されているため、この集水部に接続される負圧排水管と共に負圧状態に保持され、集水部及び負圧排水管内に空気等の気体が混入することがない。従って、排水時に上記液体のみを吸引することができ、騒音及び配管の振動を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の排水装置及び排水システムによれば、負圧状態に保持された負圧排水管によって液体のみを吸引、排水することができ、騒音及び配管の振動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る排水システムの全体図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る排水システムにおける第一弁装置の概要を示す図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る排水システムの全体図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る排水システムにおける排水検知枡(貯水部)、水位センサ、吸引管の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1及び図2を参照して、本発明の第一実施形態に係る排水システム1Aについて説明する。
排水システム1Aは、例えば鉄道駅舎等の建築物に設置され、トイレ、洗面台や飲食店の厨房設備等より発生する汚水(液体)Wを吸引した後に図示しない公共下水道へ向けて排水するものである。
なお、汚水Wは液体に限定されず、流動性のあるものであればよく、固形物が混入していてもよい。
そして、排水システム1Aの設置場所は鉄道駅舎に限られず、マンション、オフィスビル等であってもよい。
【0020】
この排水システム1Aは、汚水Wの発生源となる便器部11と、汚水Wを貯留する集水部12と、集水部12を負圧状態に保持する真空ポンプ(負圧源)13と、便器部11と集水部12との間を接続する接続配管群14と、接続配管群14の中途に配置される第一弁装置15と、第一弁装置15に対し開閉指示を行なう作動負圧制御部16とを備える。
【0021】
便器部11は、汚水Wが一時的に滞留する便器本体(貯水部)21と、この滞留した汚水Wを排水する際に使用する水を貯留する便器タンク22とを有しており、この便器タンク22の側面には便器タンクスイッチ(開指令入力手段)23が設けられている。そして、この便器タンクスイッチ23は、便器タンク22内の水を便器本体21に流入させ、便器本体21に滞留した汚水Wの排水を開始させるスイッチである。
【0022】
集水部12は、内部が空洞に形成された金属製等の容器であり、接続配管群14を介して便器部11から汚水Wを収集し、一時的に貯留する。また、外界からの空気等の気体がこの集水部12の内部に侵入しないように外部と遮断されるように密閉されている。
【0023】
さらに、この集水部12は、図示しない排水弁を介して接続され、公共下水道等へ向けて汚水Wを排出する排出管17と、この排水弁に連動する図示しない大気開放弁とを備えている。そして、排水の際にはこれら排水弁と大気開放弁とを開放することによって、集水部12が大気圧下の状況となるため、一般の重力排水に接続することで排水可能となる。
【0024】
真空ポンプ13は、集水部12に負圧管18を介して接続され、電動モータによって内部に備えるロータ及びピストン等を駆動し、集水部12の内部の空気を吸引、排気することによって、集水部12の内部に真空に近い負圧状態を作り出すものである。
また集水部12には、図示しない圧力スイッチが設けられており、この圧力スイッチによって、集水部12の内部圧力が調整可能とされている。
【0025】
接続配管群14は、合成樹脂等からなる管状部材である吸引管31と負圧排水管32とによって構成されている。吸引管31は、一端が便器部11に接続されると共に他端が第一弁装置15に接続されており、また、負圧排水管32は一端が第一弁装置15に接続されると共に他端が集水部12に接続されている。
【0026】
第一弁装置15は、上述のように吸引管31と負圧排水管32との間に配置されており、吸引管31の他端に接続される流入口55と、負圧排水管32の一端に接続される流出口56とを有している。
【0027】
また、この第一弁装置15は、内部が中空に形成された筐体51の内部に、往復動可能に配置されるピストン52と、ピストン52と一体に往復動可能に設けられた開閉弁53と、外部からピストン52に空気の圧力変化を及ぼし、ピストン52を往復動させるための空気流入出孔としての孔部54とを有している。
そして、ピストン52及び開閉弁53は、往復動することによって流入口55と流出口56との間を連通、遮断するように設けられている。
【0028】
作動負圧制御部16は、一端が第一弁装置15の孔部54に接続される接続管43と、この接続管43の他端に接続される第二弁装置41と、一端が第二弁装置41に接続され他端が負圧排水管32に接続され、負圧状態に保持される作動負圧管44とを有している。そして、この作動負圧制御部16は、上記第一弁装置15におけるピストン52及び開閉弁53を往復動させるものである。
また、負圧排水管32と作動負圧管44との間は、気体のみが流出入することができるように接続されている。
【0029】
第二弁装置41は、上記便器タンクスイッチ23に接続され、この便器タンクスイッチ23の操作に連動して弁を開放する電磁弁となっている。
そして、この第二弁装置には、上記弁の開放後から一定時間経過後にこの弁の閉鎖を行なうタイマー(閉指令入力手段)42が設けられている。
【0030】
そして、このタイマー42は、便器本体21に滞留した汚水Wの排水を開始した後に、この汚水Wの液面が吸引管31の一端よりも高い位置にある状態で第二弁装置41の閉鎖を行なうように時間が設定される。即ち、時間は汚水Wの液量と負圧の大きさとによって決定される。
【0031】
このような排水システム1Aにおいては、便器タンクスイッチ23を操作することによって作動負圧制御部16が連動し作動され、第二弁装置41を開放し、作動負圧管44と接続管43とが連通される。そして、作動負圧管44は他端が負圧排水管32に接続されていることによって、内部が負圧に保持されているため、第二弁装置41を開放した際には、接続管43が負圧状態となり、第一弁装置15までこの負圧が到達する。従って、この負圧、即ち、作動負圧Pが第一弁装置に及ぼされ、第一弁装置15におけるピストン52及び開閉弁53を作動させ、開閉弁53が流出口56を開放することによって、流入口55と流出口56とを連通する。
【0032】
ここで、流入口55と流出口56とが連通されることによって、負圧排水管32と吸引管31とが連通されるので、負圧排水管32における負圧が吸引管31を介して汚水Wに作用する。従って、この負圧の作用によって汚水Wが吸引管31へ吸引され、負圧排水管32を通じて集水部12へ向かって排水が開始される。
【0033】
そして、タイマー42が事前に設定されたタイミングにおいて、第二弁装置41の閉鎖を指示することによって、作動負圧管44と接続管43との間が遮断される。従って、接続管43は内部が負圧に保持された負圧排水管32から遮断されるため、接続管43が負圧状態から脱出する。この結果、作動負圧Pが変化し、第一弁装置15におけるピストン52及び開閉弁53を作動させ、開閉弁53が流出口56を閉塞して、流入口55と流出口56との間を遮断する。
【0034】
このように、流入口55と流出口56との間が遮断されることによって、負圧排水管32と吸引管31との間が遮断されるので、負圧排水管32における負圧が吸引管31に及ばなくなり、汚水Wの排水が停止される。
【0035】
ここで、本実施形態においては、汚水Wの液面が吸引管31の一端よりも高い位置でタイマー42が作動される。即ち、便器本体21からの排水量に応じて吸引時間を調節しており、これによって汚水Wのみを吸引し排水することができる。この結果、空気等の気体を吸引する際に発生する騒音や配管の振動を抑制することが可能となる。
【0036】
本実施形態に係る排水システム1Aによれば、便器本体21の汚水Wの液面高さが吸引管31の一端よりも高い位置にある状態で汚水Wの排水を停止することができる。このため、排水時の空気等の気体の吸引を回避でき、騒音や配管の振動を抑制できる。
【0037】
また、排水システム1Aは騒音や配管の振動を抑制できると同時に、真空ポンプ13のみへの電力供給で作動し、排水勾配等も必要とせず圧力差を利用して汚水Wを吸引、排水することが可能であるため、設置場所の選択肢が広がる。例えば、これまで設置が困難であった山中や、介護用ベッドの間近等への設置も可能である。
【0038】
さらに、排水システム1Aで使用する動力機器は、真空ポンプ13のみであるため、
メンテナンス容易化やコストダウン等も達成できる。
【0039】
そして、負圧排水管32は完全に密閉され負圧状態に保持されるため、汚水Wや汚水Wから発生する臭気が外部へ漏洩するおそれがなく、衛生的である。
【0040】
また、排水システム1Aでは、真空ポンプの間欠運転によって負圧状態を保持していることや、集水部12の図示しない上記圧力スイッチを調節することによって、必要に応じて汚水Wの吸引揚程圧を容易に設定変更できるため、省エネを達成できる。
【0041】
次に、図3及び図4を参照して、第二実施形態に係る排水システム1Bについて説明する。なお、第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細説明を省略する。
排水システム1Bは、汚水Wの発生源が、流し台61と、流し台61からの汚水Wを排水管62を介して一時貯留する排水検知枡(貯水部)63と、この排水検知枡63において水位を検知する水位センサ(開指令入力手段)64とを有している点で、第一実施形態の排水システム1Aと異なっている。
【0042】
流し台61は、上部に開口を有する金属製等の容器である。
そして、この流し台61の下部には排水管62の一端が接続されている
【0043】
排水検知枡63は、金属製等の容器となっており、また、排水管62の他端に接続され、流し台61において発生した汚水Wを受け、この汚水Wを一定量貯留するものである。そして、この排水検知枡63には吸引管31の一端が接続されている。
【0044】
水位センサ64は、水位を検知するセンサ棒65を有する水位計測器であり、このセンサ棒65の一端部66が排水検知枡63の上方から挿入されると共に、他端部67が第二弁装置41へ接続されている。
【0045】
このような排水システム1Bにおいては、流し台61からの汚水Wが排水検知枡63へ流入して一定量まで貯留される。そして、汚水Wの液面がセンサ棒65の一端部66に接触した際、このセンサ棒65と汚水Wとの間に電気が通電したことを水位センサ64が検知し、第二弁装置41を開放するように指示する。
【0046】
第二弁装置41が開放されることによって作動負圧管44と接続管43とが連通され、作動負圧Pが第一弁装置15へ及ぼされる。そして、第一弁装置15の開閉弁53が流出口56を開放して、流入口55と流出口56とを連通し、排水検知枡63に貯留された汚水W、負圧排水管32における負圧が吸引管31を介して作用する。この結果、汚水Wが吸引管31へ吸引され、負圧排水管32を通じて集水部12へ向かって排水が開始される。
【0047】
その後、第一実施形態と同様に、タイマー42が事前に設定されたタイミングで第二弁装置41の閉鎖を指示することによって、作動負圧管44と接続管43との間が遮断され、第一弁装置15において開閉弁53が流出口56を閉塞して、流入口55と流出口56との間を遮断し排水を停止する。
【0048】
この時、排水検知枡63の汚水Wの液面高さは吸引管31の一端よりも高い位置にある状態で、タイマー42が第二弁装置41を閉鎖するため、吸引管31が空気等の気体を吸引することなく、汚水Wのみを排水することができる。従って、空気等の気体を吸引する際に発生する騒音や配管の振動を抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る排水Wシステム1Bによれば、排水検知枡63の汚水Wの液面高さが吸引管31の一端よりも高い位置にある状態で汚水Wの排水を停止することができる。このため、汚水Wの排水時の空気等の気体の吸引を回避でき、騒音や配管の振動を抑制できる。
【0050】
また、騒音や配管の振動を抑制すると同時に、第一実施形態と同様に、排水システム1Bは真空ポンプ13のみへの電力供給で作動することができるため、設置場所の選択肢が広がる。さらに、動力機器が真空ポンプ13のみであるため、メンテナンス容易化やコストダウン等も達成できる。
【0051】
さらに、排水システム1Bにおいても排水システム1Aと同様に、真空ポンプの間欠運転による負圧状態の保持や、集水部12の上記圧力スイッチの調節により、必要に応じて汚水Wの吸引揚程圧を容易に設定変更できるため、省エネを達成できる。
そして、負圧排水管32は完全に密閉され負圧状態に保持されるため、汚水Wや汚水Wから発生する臭気が外部へ漏洩するおそれがないため、衛生的である。
【0052】
以上、本発明の実施形態についての詳細説明を行なったが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、多少の設計変更も可能である。
例えば、水位センサ64は、上述のものに限定されず、センサ棒65の周囲を覆うカバーを設けたものを用いてもよい。この場合、排水検知枡63において液面が波打つ等によって一時的に液面が変動した場合にも、誤検知によって第二弁装置41を開放しないようにすることができる。
【0053】
また、水位センサ64以外の他の水位計測器を用いて排水検知枡63の水位の計測を行うことができる。例えば、フロートが液面の変化に応じて上下することによって検知信号を発信し水位を計測するフロート式や、超音波を発信し液面で反射させ反射波の受信までの時間を検知することによって水位を計測する超音波式や、貯留された汚水Wの圧力から水位を計測する圧力式等を用いることができる。
【0054】
さらに、複数の第一実施形態に係る排水システム1Aと複数の第二実施形態に係る排水システム1Bとを併設することも可能である。
【0055】
また、集水部12に設置された図示しない圧力スイッチによって汚水Wの吸引力を調節し、排水量を設定することで、設置場所や形態に応じて様々な排水システムに適用できる。このとき、汚水Wの排水量や集水部12内の圧力に応じてタイマー42の作動時間を設定することで、汚水Wの排水時の空気等の気体の吸引を回避することができる。
【0056】
また、集水部12から公共下水道へ汚水Wを排水している際には、集水部12が負圧状態ではなくなるため、公共下水道への排水が停止するまでは負圧排水管32及び作動負圧管44の内部に負圧状態を作り出すことができない。このため、排水システム1A、1Bを作動させることができないが、この場合、複数の集水部12を並列に備えることによって、常時、排水システム1A、1Bを作動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1A…排水システム、1B…排水システム、11…便器部(貯水部)、12…集水部、13…真空ポンプ(負圧源)、14…接続配管群、15…第一弁装置、16…作動負圧制御部、17…排出管、18…負圧管、21…便器本体、22…便器タンク、23…便器タンクスイッチ、31…吸引管、32…負圧排水管、41…第二弁装置、42…タイマー、43…接続管、44…作動負圧管、51…筐体、52…ピストン、53…開閉弁、54…孔部、55…流入口、56…流出口、61…流し台、62…排水管、63…排水検知枡(貯水部)、64…水位センサ、65…センサ棒、66…一端部、67…他端部、W…排水(液体)、P…作動負圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水部に貯留した液体を、前記貯水部内で一端が下方に向けて開口する吸引管によって排水する排水装置であって、
前記吸引管の他端に接続されて前記液体が流入する流入口と、前記液体が流出する流出口とを有し、作動負圧の変化によって前記流入口と前記流出口とを連通、遮断する第一弁装置と、
前記流出口に一端が接続され、内部が負圧状態に保持された負圧排水管と、
前記第一弁装置への前記作動負圧を変化させる作動負圧制御部とを備え、
前記作動負圧制御部は、
前記負圧排水管に接続されて前記液体が流入不能とされた作動負圧管と、
前記作動負圧管と前記第一弁装置との間に設けられ、該作動負圧管と該第一弁装置との間を連通、遮断することによって前記第一弁装置への前記作動負圧を変化させる第二弁装置と、
前記第二弁装置に対し、前記作動負圧管と前記第一弁装置との間の連通を指示する開指令入力手段と、
前記貯水部に貯留した前記液体の液面が前記吸引管の一端よりも上方にある際に、前記第二弁装置に対して前記作動負圧管と前記第一弁装置との間の遮断を指示する閉指令入力手段とを有することを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記閉指令入力手段は、前記負圧管と前記第一弁装置との間が連通された後、一定時間経過後に遮断するタイマーであることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記開指令入力手段は、外部から触れられることで前記負圧管と前記第一弁装置との間を連通する手動スイッチであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水装置。
【請求項4】
前記開指令入力手段は、前記貯水部の前記液体の水位を検知し、前記負圧管と前記第一弁装置との間を連通する水位センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の排水装置と、
前記負圧排水管の他端に接続され、前記液体を収集する集水部と、
前記集水部及び前記負圧排水管を負圧に保持する負圧源とを備えることを特徴とする排水システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−7211(P2013−7211A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140600(P2011−140600)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(511155534)芝工業株式会社 (1)
【出願人】(500045936)日本管材センター株式会社 (1)
【Fターム(参考)】