説明

携帯スロープ

【課題】 携帯スロープにおいては、過重に対する剛性、強度は必須条件であり、技術課題は軽量化と携帯性であると言える。また、家庭への発展を考慮すると、外観の維持などは今後の機能と合わせて重要となる。軽くて、持ち運びがし易く、傷や変形しにくい携帯スロープを提供することが本発明の目的である。
【解決手段】 左右スロープ板1,2には裏面に偏平形の丸管6、7,がリベット10a、10bで一体固定し剛性を成し、左右スロープ板1.2の合わせ部分には、折り曲げた縁22を有し、実施形態においては、縁22外側面が隙間なく対面する如く連結し、伸縮型取っ手25を縁22の外面より内側に縮む構造とし、折り畳みを可能にした。また、実用金属の中で最も軽い金属のマグネシウム合金を使い、実用金属においては、最軽量化を達成し、更に、衝撃による変形、傷などが付きにくく、走行、歩行面の安定した平面維持を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子等が段差を安全に通行できるようにした携帯スロープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯スロープの技術動向としては、コンパクトな折り畳みと軽量化による運搬性の向上が追求されている。例えば、特開2003−230597号公報に開示されている技術は、左右2枚のスロープ板からなり、左右スロープ板を連結するヒンジによって折り畳むことができる構造になっており、スロープ板にはスロープ幅方向外方側端部に形成された車椅子の脱輪を防止するフランジ部とヒンジ部材を嵌合可能な嵌合溝と中空部を一体形成されたアルミニウム合金押出形材からなることを特徴としている。上記技術では、連結ヒンジは左右スロープの中央部に左右異なる隙間を設け、フランジ部が折り重なるようにし、折り畳み時の厚みが小さくなる工夫がされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来技術においての問題点は、スロープ板がアルミニウム合金押出型で製造されていることである。一つの押出型で、スロープ幅、スロープ長の変化及び軽量化と剛性の関係において両立しないために、軽量化、剛性を同時に達成するためには、専用押出型が必要となり、経済性には問題が大きい。即ち、スロープ幅、スロープ長の大きさにおいて押出型には自由度が少ない。また、アルミニウム合金材はスロープ面に掛った集中荷重による撓み変形、衝撃による凹みなど永久変形が発生し、走行に支障が出易いと言う欠点がある。また、左右スロープ板を連結するヒンジ構造は、左右スロープ板の合せ部に隙間を設けることが条件となっており、この隙間は車椅子の通行には支障はないが、補助者が後ろから補助するときは、補助者の歩行通路に隙間があることになり、歩行には大きな問題がある。
【0004】
本発明は、係る従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、軽量かつ高剛性と隙間のない安全、安心な携帯スロープを実現することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は携帯スロープであって、幅方向の片側が折り曲げれた縁を有する短冊状のマグネシウム合金製の板と、前記板の折り曲げられた内側面に前記縁と並行に固定されたマグネシウム合金製の丸管とからなる同形状のスロープ板2枚を、前記縁の端部で連結し、折り畳みが可能であることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の携帯スロープであって、折り畳んで持ち運ぶ時には前記縁の端部から引き出すことができ、使用時には前記縁の端部より内側に縮む構造を有し、前記丸管に固定されたマグネシウム合金製の伸縮型取っ手を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
携帯スロープにおいては、軽量化と折り畳み式で持運びし易く、剛性があることが必要条件となる。上記第1の課題解決手段によると、板と管と言う一般的な形状材の組み合わせで、スロープの大きさに対応しながら軽量化、剛性が図れること。特に本発明では、実用金属の中で、最軽量であるマグネシウム合金(比重はアルミニウムの3分の2)から成り、実用金属からなる携帯スロープにおいては、最軽量化製品の提供が可能である。
【0008】
さらに、マグネシウム合金はアルミニウム合金に対して、衝撃性に優れるので、実用時の予想外の集中荷重や衝撃に対して変形、撓み、凹み、傷などの永久変形を軽減、解消が出来ることで、実用性とともに外観上の商品価値が提供できる。
【0009】
上記第2の課題解決手段では、伸縮型取っ手が使用時には前記縁の外面より内側に縮む構造になっているため、対面する縁と縁の間には隙間が出ない構造となり走行、歩行時の安全が確保される。伸縮型取っ手はマグネシウム合金製であり、携帯スロープ全体の軽量化にも寄与している。
【0010】
また、請求項1,2記載の発明によれば、高剛性、軽量化と走行、歩行面に隙間をなくすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明による携帯スロープについて、図面を用いて詳細に説明する。図1は携帯スロープの斜視図を示し、スロープ板1、2が中央部で隙間がないように対面し、外側側面には車椅子等の脱輪防止のための縁11が構成されている。図2は、段差部において実施形態を示す外観である。図3はスロープ板の単体外観を示し、前記縁11と反対方向に曲げられた、本発明の縁22がスロープ板の合わせ側に構成されている。図4はスロープ板の裏面を示し、縁22と並行に配置された丸管8が固定されている。図5は、折り畳んだ外観図を示し、縁22の切り欠き部22a部に伸縮型取っ手25が構成され、スロープ板は蝶番35で連結されている。なお、連結の手段としては、ゴム、布などを用いても良い。
【0012】
図6は、図1の断面A−Bを示し、短冊状板と丸管6,7がリベット10a,10bにより固定され、伸縮型取っ手25は、前記縁22外側面合わせの内側の位置で、丸管8に固定さている。ただし、丸管8は板との接合面を広くするためには偏平形にすることも良いし、固定の手段は溶接によっても可能である。
【0013】
図7は、伸縮型取っ手25の断面図を示し、スプリング27a,27b、スプリングを保護する、ガイド26a,26b、伸縮型取っ手25の支持と丸管8との固定を成すストッパ28a,28bより構成され、伸縮型取っ手25の両端にはスプリング27a,27bが取り付けられていて、伸縮型取っ手25を引き出すと取っ手になるが放すと取っ手が収納され周囲との干渉を排除して、持ち運び、折り畳み、実施形態の展開の扱いがやり易くなっており、伸縮型取っ手25の大きさによっては、縁22の切り欠き22aを設けてつまみやすくすることも可能である。ただし、伸縮型の構造は上記に制限されるものではない。
【実施例】
【0014】
図3は、本発明に係る携帯スロープの一実施形態を示す斜視図で、スロープ面には長穴50が設けられおり、当該長穴は、泥、汚れ付着防止、洗い流しのし易さ、滑り止めなどの効果と軽量化にもなる。また、長穴の大きさは補助者などが歩行するときに靴のかかとなど引っ掛からない大きさを選択し、安全性も図れる。穴は長穴に限らず丸穴でも良い。また、滑り止めとしては、シートを表面に敷いたり、表面塗装を施したりしても良い。
【0015】
また、図2において、スロープ板の厚さは2〜3mmが一般的であるが、丸管との組み合わせによる剛性を考慮すると、板厚をさらに薄くすることも可能である。このときは長手方向両端の傾斜面17,18部を2重の構造にして、トータルの剛性と軽量化を達成することも出来る。また、傾斜面の裏に滑り止めシート19,20、の貼り付けも可能である。
【0016】
本発明による携帯スロープの例を表1に示す。大きさは長さ(mm)、幅(mm)で区別されるており、耐荷重と板厚(mm)の関係が表示されている。
【表1】

【0017】
使用されているマグネシウム合金は、JIS分類のAZ31相当であり、製品の生産性などを考慮すると、板の厚さは1mmから5mm程度、丸管の径は20mmから50mm程度、管厚は1mmから5mm程度が望ましい。また、板、管の曲げやつぶしの温
【産業上の利用可能性】
【0018】
車椅子を利用する環境は多く、病院、列車、自動車など多くの場所で、スロープは要求されているし、使われて来ている。中でも携帯スロープは一般家庭においても活用されて来ており、軽量化が最大の技術課題となっている。高齢者、介護者、などの要求は軽量化が最大の問題となっている、例えばアルミニウム合金の3kgに対応する製品はマグネシウム合金では2kgに軽量化され、携帯性は一段と改善され今後の発展は大いに期待できる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明に係る携帯スロープの一実施例を示す斜視図である。
【図2】 段差部での使用状態を示す側面図である。
【図3】 実施例のスロープ単体外観を示す。
【図4】 板と丸管が一体化された裏面外観を示す。
【図5】 折り畳み後の外観図側面を示す。
【図6】 本発明の断面図を示す。
【図7】 伸縮型取っ手の断面図を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 左スロープ板
2 右スロープ板
6、7,8 丸管
10a,10b リベット
11 縁
22 縁
22a 切り欠き部
17,18 傾斜面
19,20 滑り止めシート
25 伸縮型取っ手
26a,26b スプリングガイド
27a,26b スプリング
28a,28b ストッパ
35 蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の片側が折り曲げられた縁を有する短冊状のマグネシウム合金製の板と、前記板の折り曲げられた内側面に前記縁と並行に固定されたマグネシウム合金製の丸管とからなる同形状のスロープ板2枚を、前記縁の端部で連結し、折り畳みが可能であることを特徴とする携帯スロープ。
【請求項2】
折り畳んで持ち運ぶ時には前記縁の端部から引き出すことができ、使用時には前記縁の端部より内側に縮む構造を有し、前記丸管に固定されたマグネシウム合金製の伸縮型取っ手を備えることを特徴とする請求項1記載の携帯スロープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−255763(P2008−255763A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121944(P2007−121944)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(598143217)株式会社小峰製作所 (1)
【Fターム(参考)】