撮像装置
【課題】撮像装置を投げ上げ、最高高さあるいは所望の設定高さで自動的に撮影可能とする。
【解決手段】撮像装置に加速度センサを内蔵する。加速度センサを用いて撮像装置が放り投げられる過程の加速度を検出し、該加速度から撮像装置の初速度と放出角度を算出し、該初速度と放出角度から該撮像装置が最高点あるいは設定高さに達する時間を算出し、該算出した時間のタイミングで撮影を行うようにする。
【解決手段】撮像装置に加速度センサを内蔵する。加速度センサを用いて撮像装置が放り投げられる過程の加速度を検出し、該加速度から撮像装置の初速度と放出角度を算出し、該初速度と放出角度から該撮像装置が最高点あるいは設定高さに達する時間を算出し、該算出した時間のタイミングで撮影を行うようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投げ上げて撮影を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全天周や全方位の静止画や動画を撮影するために、広角レンズを装着した撮像装置や、鏡などを用いた特殊なレンズを装着して水平360°のパノラマ写真を撮影する撮像装置は既に知られている。
【0003】
しかし、従来の撮像装置は、一般に手に持ったり三脚に設置して撮影するというものであり、手や腕あるいは三脚が画面に大きく写り込むという問題があった。さらに、手に持って全天周撮影を行う場合、天面や水平面に比べて下面とはどうしても距離が近くなってしまうため、下面との距離のあるワイドな撮影をすることは簡単でなかった。
【0004】
このため、例えば特許文献1には、機械で撮像装置(カメラユニット)を発射するなどして、飛翔中のカメラユニットが頂点などに達した時点で撮影する撮像システムが開示されている。しかしながら、特許文献1では加速度の状態で撮影タイミングを決めており、例えばカメラユニットを手で投げ上げる場合、カメラユニットが手から離れることにより自由落下となり、加速度は0になるため、所望の到達点での撮影はできないという問題がある。また、カメラユニットとは別にコントロールユニットを備えて、該コントロールユニットがカメラユニットの動作を全て制御しており、撮影環境が大掛かりになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、撮像装置を投げ上げて撮影を行う場合、撮像装置自体で、投げ上げられた最高点高さ(最高到達点)あるいは所望の高さで撮影できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が最高点あるいは設定高さに達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部とを有することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置が投げ上げられる過程での加速度から、投げ上げ時の初速と角度を算出し、該初速度と角度から最高到達時間や設定高さ到達時間を計算するので、最高点高さ(最高到達点)あるいは所望の高さで撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の撮像装置の一実施形態に係る全体構成図である。
【図2】撮像装置が最高到達点で撮影する概念図である。
【図3】速度のX−Y成分の分解図である。
【図4】加速度センサが傾く場合の加速度の分解図である。
【図5】撮像装置が最高到達点での撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図6】撮像装置が設定高さでの撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図7】本発明の撮像装置の別の実施形態に係る全体構成図である。
【図8】撮像装置が最高到達点近くで所望の方向を向いたときに撮影する概念図である。
【図9】撮像装置が最高到達点近くで設定角度での撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図10】本発明の撮像装置の更に別の実施形態に係る全体構成図である。
【図11】図5の処理フローチャートについて静電センサスイッチを用いた場合の変更例を示す図である。
【図12】空気抵抗を考慮した場合の時間補正を実施する処理フローチャートの一例である。
【図13】本発明の撮像装置の更に別の実施形態に係る全体構成図である。
【図14】本発明の撮像装置の外部形状の一例を示す図である。
【図15】図14の内部構成の一例を示す図である。
【図16】本発明の撮像装置の外部形状の別の例を示す図である。
【図17】図16の内部構成の一例を示す図である。
【図18】本発明の撮像装置の外部形状の別の例を示す図である。
【図19】図18の内部構成の一例を示す図である。
【図20】図17の内部構成における撮像レンズの撮影画角を説明する図である。
【図21】本発明の撮像装置の外部形状の更に別の例を示す図である。
【図22】本発明の撮像装置の外部形状の更に別の例を示す図である。
【図23】静電センサスイッチを配置した場合の撮像装置の外部形状の一例を示す図である。
【図24】図23の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例は、耐衝撃性を持たせた撮像装置を手または機械で投げ上げ、最高点に達した時点で撮影を行うものである。
【0011】
高さを直接測る方法として、圧力センサを使い大気圧から測る方法もあるが、一般的に気圧センサでは十分な精度を得ることは難しいうえに気圧は天気などによっても変化する。また超音波やレーザーを使い音波や光の往復の時間から距離を求める方法も考えられるが、センサを地面に向ける必要があり現実的ではない。
【0012】
そこで、本実施例では、加速度センサを撮像装置に内蔵して、該加速度センサを用いて、撮像装置の投げ上げ時の加速度を検出して、該加速度から初速と角度を求め、該初速と角度から最高点に到達する時間を求める。
【0013】
図1に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。本撮像装置は、加速度センサ11、撮像部12、不揮発メモリ13、CPU14、ROM15、RAM16などを具備している。ここで、CPU14とROM15とRAM16が制御部として機能する。これは、後述の実施例でも同様である。また、撮像装置の好ましい外部形状については後述する。
【0014】
加速度センサ11は、当該撮像装置の投げ上げ時の加速度を検出する。撮像部12は広角のレンズ(魚眼レンズ)と画像センサからなり、広い範囲の被写体を撮影する。一般に画像センサにはCCDやCMOSセンサが用いられる。不揮発メモリ13は、撮像部12で撮影された画像データやその他、撮影に関係する情報などを記憶する。なお、不揮発メモリ13は挿抜可能として、例えば、SDカード等を利用できるようにする。
【0015】
CPU14は、当該撮像装置の全体の動作を制御するとともに、後述するように、加速度センサ11からの加速度情報を基に、当該撮像装置の投げ上げ時の初速と角度、最高点到達時間の算出、該算出した時間での撮像部12の駆動などを実行する。ROM15は、CPU14を動作させるためのプログラムや、その他、初期設定データなどを記憶する。RAM16は、CPU14での処理途中のデータなどが記憶される。
【0016】
初めに、本実施例の概要について説明する。ここでは説明を簡単にするため、X−Yの平面でY軸が上下方向として、加速度センサ11も2軸で説明を行う。実際にはX−Y−Zの三次元であり、加速度センサ11も3軸であるが考え方は同じである。
【0017】
図2に示すように、初速度v、角度θで、撮像装置を投げ上げた場合を考える。tは時間で、t0で投げ上げ、t1で最高点に到達し、t2で着地するものとする。t0からt2までの間は自由落下となり、空気抵抗などを無視すれば加速度は0になる。このため自由落下中の加速度から最高点を求めることはできない。
【0018】
ここでは、最高点到達時間を初速度と投射角度から求める。加速度センサ11では直接速度を知ることは出来ないため、加速度センサ11で検出した加速度から速度を求める。
等加速と仮定するなら、加速度aと速度vの関係は、初速v0、加速時間tとすると、
v=v0+at (1)
で表わされる。
初期状態で撮像装置は停止していると考えるので、v0=0であり、
v=at (2)
になる。このように、加速が一定の場合は、加速度と加速時間tで速度が求まる。
【0019】
機械での打ち上げなら等加速とみなしてもいいかもしれないが、人が投げ上げる場合は等加速でなく加速度が変化している可能性が高い。この場合、次式のように、加速度の積分したものが速度になる。
【0020】
【数1】
【0021】
加速度の積算は具体的には次のように行う。加速度aと速度vの関係は、初速v0,加速時間tとすると、先の式(1)で表わされる。加速度センサ11のサンプリング間隔をt、初期状態では停止(v0=0)していると考えると、サンプリングごとに加速度センサ11で検出した加速度aとサンプリング間隔tを掛け合わせたものを積算することで速度を得ることができる。
なお、簡単化のために実際には加速は一定ではないかもしれないが、加速度の最大値の何%などとしても良い。
【0022】
次に、垂直方向の速度を計算する。図1に示すように、初速度v、角度θで撮像装置を投げた時、垂直方向の速度vyは、図3より、
vy=v*sinθ (4)
で表わされる。
【0023】
撮像装置が投げ上げ時に初期状態から回転しないと仮定すると、加速度センサ11の水平垂直が座標系と合ってる場合、図3のように速度をX−Y成分の分解をするまでもなく、垂直方向の速度vyは、垂直方向の加速度センサの積算で良い。センサの水平垂直が座標系と合っていない場合は、初期状態に重力加速度の9.8m/s2の加速度がかかっている方向を上下方向と認識し、水平垂直の加速度センサの値から計算で求める。
【0024】
図4の(a)が加速度センサ11の座標で見た場合で、図4の(b)が9.8m/s2の加速度がかかっている方向を下方向と認識して、回転させたものである。
【0025】
初期状態ではある一定時間加速度センサ11の値が変化せず、各センサの値を合成した加速度が9.8m/s2の場合に初期状態にあると判断する。このとき、各センサの値から加速度センサ11を含んだ撮像装置全体がどれだけ傾いているか知ることができる。また、式(3),(4)より、この初期状態の傾きと加速度から垂直方向の速度が求まる。
【0026】
次に、最高点に達する時間を計算する。最高点では垂直方向の速度が0になるので、先の式(1)から、最高点に達する時間をt1、重力加速度を9.8m/s2とすると、
0=vy−9.8*t1 (5)
vy=9.8*t1 (6)
t1=vy/9.8 (7)
となり、最高点に達する時間を求めることができる。
【0027】
図5に、本実施例の全体の処理フローチャートを示す。これは、CPU14がROM15に格納されたプログラムを実行することで機能する。
まず、初期状態を検出する(ステップ101)。先に述べたように、加速度センサ11の各センサの値を合成した加速度が9.8m/s2の場合に初期状態にあると判断する。この時、加速度センサ11の各センサの値から、該加速度センサ11を含んだ撮像装置全体の傾き(角度θ)を求める。
【0028】
引き続いて、加速が開始されたか判断する(ステップ102)。これは、加速度センサ11の出力値が増加することで判断する。加速開始は撮像装置の放り投げ動作開始を意味する。加速が開始されたなら、加速度の積算を開始する(ステップ103)。先に述べたように、加速度の積算は、一定時間間隔で加速度センサ11の加速度を検出し、該検出した加速度とサンプリング間隔を掛け合わせたものを積算することである。この加速度の積算は、加速が終了したなら終了とする(ステップ104)。これは、加速度センサ11の出力値が0となったことで判断する。
【0029】
加速終了は、撮像装置の放り投げ動作終了を意味する。すなわち、撮像装置が自由落下となり、加速度ゼロが検出される。この時点が図2におけるt0である。この加速終了時の加速度積算値が撮像装置の初速度vである。
【0030】
この初速度vと先にステップ101で求めた撮像装置の角度θとから、撮像装置の垂直方向の初速度vyを計算する(ステップ105)。すなわち、式(4)を計算する。次に、この撮像装置の垂直方向の初速度vyから、撮像装置が最高点に到達する時間t1を計算する(ステップ106)。すなわち、式(7)を計算する。そして、この最高点到達時間tをレジスタ等に設定する。
【0031】
その後、タイマをスタートさせて(ステップ107)、該タイマの値が設定時間t1に達するか判定する(ステップ108)。すなわち、撮像装置が最高点に達するか判定する。最高点に達したなら、撮像部12を駆動して撮影を行う(ステップ109)。撮像部12で撮影された画像は直接あるいはRAM16を介して不揮発メモリ13に格納される。
【実施例2】
【0032】
本実施例は、基本的な考え方は実施例1と同様であるが、撮像装置があらかじめ設定した高さに達した時点で撮像を行うものである。
【0033】
広角のレンズで撮影する場合、距離が離れると被写体が小さく写ってしまうので、最高点の撮影では被写体が小さくなりすぎる可能性がある。そのため、本実施例では、あらかじめ設定した高さに達したところで撮影を行うようにする。
【0034】
高さy、撮像装置の垂直方向の初速vy、時間tの関係は、
y=vy*t−g*t2/2 (8)
で表わされる。式(8)において、g=9.8m/s2、yに求める高さを代入してtについて解くことで、求める高さに達する時間を求めることができる。
【0035】
図6に、本実施例の全体的な処理フローチャートを示す。撮像装置の処理系の全体的な構成は、図1と同じであるので省略する。
【0036】
図6において、まず、ステップ200で撮影する高さを設定する。これは、例えば外部装置から有線あるいは無線で行う。有線の場合は、設定後、ケーブルを外すようにする。なお、撮像装置本体に操作表示部を持ち、該撮像装置本体で設定するようにしてもよい。ステップ101〜105は図5と同じである。ステップ106’では、式(8)により、撮影高さ到達時間を計算してレジスタ等に設定する。そして、ステップ107でタイマをスタートさせ、ステップ108で、タイマの値が撮影高さ到達時間に達するか判定し、達したなら、ステップ109で撮像部12を駆動して撮影を行う。
【実施例3】
【0037】
基本的考えは実施例1や2と同様であるが、本実施例は、撮像装置が加速度センサに加えてジャイロセンサを内蔵し、ジャイロセンサで撮像装置の回転を検出して、最高点または指定の高さの近くで所望の角度になったなら撮像を行うものである。
【0038】
図7に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違はジャイロセンサ17が付加されている点であり、それ以外は図1と同様である。ジャイロセンサ17は、当該撮像装置の回転を検出する。
【0039】
撮影した所望の角度の例としては、高いところから地面と水平方向に撮影したい、地面と垂直に見下ろして撮影したい、等が考えられる。図8は、最高点近くで下向きを指定した例を示したものである。
【0040】
図9は、本実施例を実施例1に適用して、最高点近くで所望の角度で撮影する場合の全体的な処理フローチャートを示したものである。
図9において、ステップ300で撮影したい角度(水平垂直の回転角度)を設定する。ここでも、設定は、例えば外部装置から有線あるいは無線で行う。有線の場合は、設定後、ケーブルを外すようにする。また、撮像装置本体に操作表示部を持ち、該撮像装置本体で設定するようにしてもよい。ステップ101〜107は図5と同じである。ステップ108’では、撮像装置の回転が設定した角度か判定する。撮像装置の回転が設定した角度の場合、ステップ108”にて、最高点到達時間までに撮像装置をもう1回転させるか判定する。例えば、タイマの値を最高点到達時間と比較して、両者の差がある閾値以上の場合には、撮像装置は、まだ最高点近くに到達していないとして、撮像装置をもう1回転させる。こうして、撮像装置の回転が設定した角度であり、最高点到達時間とタイマの値との差が閾値以下になったなら(撮像装置が最高点近くに到達)、ステップ109にて、撮像部102を駆動して撮影を行う。
【0041】
ここでは、実施例1に適用する場合について説明したが、同様に実施例2に適用し、指定した高さの近くで所望の角度で撮影するも可能である。
【実施例4】
【0042】
利用者が撮像装置を投げ上げて撮影を行う場合、撮像装置を放り出す直前に、何らかの理由で放り出しを中止して、やり直すことが考えられる。この場合、装置の状態を初期化する必要がある。
【0043】
本実施例は、撮像装置が静電センサスイッチを備えて、確実に利用者が意識的に手から撮像装置を放り出したことを検出するようにしたものである。
【0044】
図10に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違は静電センサスイッチ18が付加されている点であり、それ以外は図1と同様である。なお、静電センサスイッチ18は、図7の構成に付加することでもよい。当該撮像装置を手で保持している時、手が静電センサスイッチ18に振れるようにする。撮像装置が投げ上げられると、静電センサスイッチ18から手が離れる。したがって、静電センサスイッチ18の出力の変化を監視することで、利用者が意識的に撮像装置を放り出したことを検出することができる。
【0045】
図11に、本実施例を実施例1に適用した場合の処理フローチャートの一例を示す。図11において、ステップ101〜106までは図5と同じである。ただし、ステップ104の加速終了判定は、加速度がゼロあるいは9.8m/s2とする。ステップ400において、静電センサスイッチ18の出力に基づいて利用者が撮像装置を放り出したかどうか判定する。そして、利用者が撮像装置を放り出したことが確認されたならば、ステップ107に進んでタイマをスタートする。一方、撮像装置を放り出す直前に、何らかの理由で放り出しを中止して、撮像装置が利用者の手に握られたままの場合には、ステップ101に戻る。
【実施例5】
【0046】
これまでは空気抵抗を考慮していなかった。しかし、実際には撮像装置の形状で変化するが、速度に応じた空気抵抗がかかり、計算した速度や到達高さに影響が出る。また、加速度センサのサンプリング間隔に比べて加速度の変化が大きい場合は、初速の計算に誤差が出る可能性もある。
【0047】
これらに対応するために、本実施例では、撮影時に自由落下の開始t0から着地t2までの時間を測定し、あらかじめ計算で求めておいた着地までの時間と比較して、次回撮影時に、算出された最高点到達時間や設定高さ到達時間を補正するようにするものである。例えば計算上は着地まで3秒かかるのに、実際には2秒で着地した場合、補正値を2/3とし、次回の撮影時に、計算された到達時間に補正値を掛けて補正を行うようにする。
【0048】
図12に、本実施例に係る処理フローチャートを示す。図12において、ステップ500は、実施例1や実施例2で説明したようにして最高点到達時間や指定高さ到達時間を計算して撮影を行うことを意味している。この撮影時に、自由落下の開始から着地までの時間を測定し、あらかじめ計算で求めておいた着地までの時間と比較して補正値を計算する(ステップ501)。次回の撮影時、この補正値で、計算で求めた最高点到達時間や指定高さ到達時間を補正して、該補正した時間を設定し(ステップ502)、タイマをスタートして(ステップ503)、設定時間になったら撮影を行う(ステップ504,505)。
【0049】
なお、ここでは単純に前回の計算値と実際の時間の差で補正するとしたが、明らかに異常な補正値は無視したり、何回かの撮影の補正値の平均としても良い。
【実施例6】
【0050】
本実施例は、撮像装置が複数の撮像部を備えて、複数の撮像を合成することで全天周等の画像を取得するようにしたものである。
【0051】
図13に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違は2個の撮像部12−1,12−2を有している点であり、それ以外は図1と同様である。撮像部12−1,12−2は、それぞれ例えば180°以上の画角のレンズ(魚眼レンズ)を備えている。これら撮像部12−1,12−2で撮影された2枚の魚眼画像を合成することにより全天周画像を得ることができる。また、全天周を撮影することができるので、撮像装置の回転および方位に撮影タイミングが影響されずに、最高点や所望の高さでの撮影が行えるようになる。
【0052】
なお、図13では、2個の撮像部を用いる例を示したが、撮像部は2個に限る必要はない。また、画像の合成は、該撮像装置内でCPU14がプログラムを実行することで行ってもよいし、外部装置(パソコン等)が行ってもよい。
【実施例7】
【0053】
本発明の撮像装置は、撮像装置自体を投げ上げて撮影を行うものである。このように、投げ上げて撮影を行う撮像装置の外部形状の好ましい実施形態について、以下に説明する。
図14に、撮像装置の外部形状の基本的構成例として、撮像部が1つの場合の例を示す。図14において、撮像装置の本体外装(筐体)1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、一つの撮像レンズ1001を備えており、撮像装置全体が真円球の形状を構成している。すなわち、撮影レンズ1001の表面が、本体外装(筐体)1000の撮像レンズ近傍の表面と同一の球曲面になっている。撮像レンズ1001は魚眼レンズであり、広い範囲を撮影することができる。
【0054】
撮像装置の本体外装1000には、撮像レンズ1001以外にも、撮像装置全体が球状であることを逸脱しない範囲であれば、任意の構成要素を加えても良い。例えば、SDカード等の挿抜可能な記録媒体(不揮発メモリ)を装着するスロットを用意すれば、撮像装置が記録した全天球画像等のデータを、SDカード経由で取り出すことができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0055】
撮像装置本体外装1000に、ネジ穴やスロットを用意する場合には、ゴミや水分の浸入を防ぐために、撮像装置全体の球形状に沿った形状のカバーを装備することが望ましい。さらに、撮像レンズ1001、ならびに例示したネジ穴やスロットおよびカバーも含めて、撮像装置全体が耐衝撃性で、防水・防滴構造であることが望ましい。
【0056】
撮像装置の本体外装が球形状なので、通常の撮像装置とは異なり、空中に投げ上げての撮影が容易に可能である。しかも球形状から期待される通りの高範囲の画像を撮影できるので、空中に投げ上げての撮影が非常に容易になる。
【0057】
図14の撮像装置の具体的な内部構造の一例を図15に示す。先に述べたように、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、一つの撮像レンズ1001が配置されている。撮像レンズ1001は、一枚のレンズのみでは無く、図15に示すように、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズ1001が、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。
【0058】
これまでの実施例で説明した構成要素の大部分は、全て本体外装1000の内部に配置される。撮像装置全体を球状に構成するにあたり、最も配置が重要な構成要素は撮像レンズ部分なので、図15には撮像レンズの配置のみを図示してある。加速度センサやジャイロセンサ、その他の電子部品等、これまで説明した構成要素の内部配置については割愛する。これは、以降の例でも同様とする。
【0059】
図16に、撮像装置の外部形状の構成例を示す。これは、図14と同様に、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であるが、撮像部は2つ備えるとして、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ1001a,1001bを対称に配置したものである。すなわち、これは先の実施例6を想定したものである。
【0060】
図17に、図16の撮像装置の具体的な内部構造の一例を示す。撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bが配置されている。2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズ1001aおよび1001bが、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。ここで、各撮像レンズ1001aおよび1001bの表面の球曲面の中心点は、本体外装(筐体)1000の撮影レンズ近傍の球曲面の中心点と一致している。
【0061】
図18に、図17の構成を更に発展させ、撮像部は4つ備えるとして、本体外装1000の表面上に、4個の撮像レンズを配置した場合の具体的な内部構造の一例を示す。すなわち、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、略90°間隔で、4個の撮像レンズが配置されている。各撮像レンズ1001a〜1001dは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズが、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。ここでも、各撮像レンズ1001a〜1001dの表面の球曲面の中心点は、本体外装1000の撮影レンズ近傍の球曲面の中心点と一致している。
【0062】
撮像装置に搭載する撮像レンズおよび撮像センサの個数を増やせば、全天球画像の画像品質をより向上させることが可能になる。しかし、撮像装置の本体外装1000の内部空間が撮像レンズに占められてしまい、他の構成要素を配置するためには、本体の球半径を大きくする必要がある。球半径を大きくすると、その分だけ本体の重量が重くなることが予想される。本体の大きさや重量は、利用者の使い勝手や撮影時の安全性に直結する。したがって、撮像装置のレンズ数を増やして画質を向上させる度合いと、本体の大きさや重量の増分とは、トレードオフ関係にある。
【0063】
撮像装置の本体外装の大きさは、例えば、球状の直径が5cmから30cmの範囲であることが好ましい。あまり小型化すると幼児が誤飲する可能性もある。5cmから30cmの範囲の大きさであれば、幼児から大人まで、片手あるいは両手で容易かつ安全に取り扱うことが可能である。
【0064】
5cmから30cmの球状の外装に、配置するレンズ数として、2眼、4眼、6眼、12眼、20眼などが考えられるが、レンズの重量や、電気回路規模などの点で、なるべくレンズ数は少ないのが望ましい。無理なく収められるレンズ数としては、2眼から6眼までの範囲が好適である。
【0065】
図19に、撮像装置の具体的な内部構造の、さらに別の一例を示す。撮像装置の本体外装1000は、真円球状であるが、当該球表面から一段窪んだ位置の表面上に、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bが配置されている。2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。
【0066】
図19に示すように撮像レンズ1001aおよび1001bを撮像装置の本体外装1000から少し内側にずらす構造とすることにより、撮像レンズの外側に、強化プラスチックなどの弾性素材を使ったカバーや、画質を調整するための各種光学フィルターなどを、装着することが可能な形状を実現できる。
【0067】
図19に示すような構造にした場合においても、撮像装置の本体外装1000の球面の中心と、撮像レンズ1001aおよび1001bの球面の中心とが一致しているので、撮像装置全体としての球体感は損なわれることは無い。
【0068】
図20は、図17で説明した撮像装置の具体的な内部構造の2つの撮像レンズ1001aおよび1001bの、撮影画角を説明する図である。撮像装置は2つの撮像レンズで全天球画像を撮影する。したがって、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、180度を超える画角を持つ必要がある。従来の広角撮影用の撮像装置や撮影機材では、撮影した画像の中に、撮像装置自体や撮影機材自体が写り込んでしまう場合があった。
【0069】
図20に示した通り、本発明を適用した撮像装置では、撮像レンズの画角が180度を超えても、撮像装置本体外装1000が撮影画像に写り込まない。さらに、搭載する撮像レンズ数を増やした設計の場合でも、各撮像レンズの画角を、撮像装置本体外装1000が撮影画像に写り込まず、かつ全天球画像を作成するために必要な十分な画角に設計することが可能である。
【0070】
本発明を適用した撮像装置の外形は、真円球でなくとも良い。図21は、撮像装置本体外装1000がラグビーボール状の楕円球に構成されている撮像装置の、撮影画角を説明する図である。図21においても、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bで全天球画像を撮影するが、撮像装置本体外装1000が楕円球状に構成されており、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、楕円球の尖った極の両端に配置されている。
【0071】
撮像装置本体外装1000を楕円球とすることで、単純な真円球形状よりも持ちやすくなる。また、真円球形状の場合よりも、もっと広い画角のレンズを搭載しても、撮像装置本体外装1000が写り込まない。
【0072】
図22は、さらに撮像装置本体外装1000が算盤玉状の楕円球に構成されている撮像装置の、撮影画角を説明する図である。図22においても、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bで全天球画像を撮影するが、撮像装置本体外装1000が楕円球状に構成されており、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、楕円球の平坦な極の両端に配置されている。2つの撮像レンズで全天球画像を撮影する場合、そもそも180度を超える画角の内側には、算盤玉状の撮影死角部分が生じてしまうため、この実施形態のような撮像装置本体外装1000の形状でも、撮影画増に撮像装置本体外装1000が写り込まない設計にすることが可能である。
【0073】
この実施形態では、単純な真円球形状よりも、撮像装置本体外装1000に占める撮像レンズの面積を広く出来る。したがって、より大口径の撮像レンズを搭載して暗い場所でも明るく撮影できるような設計にすることが可能になる。また、単純な真円球形状よりも、撮像装置本体外装1000内部の容積を大きく出来るので、例えば内蔵する動作用電池を大容量にすることが可能である。
【0074】
図23は、実施例4で説明した静電センサスイッチを有する場合の撮像装置の外部形状の一例を示した図である。ここでは撮像部は2つ備えるとして、撮像装置の本体外装1000は真円球状(球状筐体)とし、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ(魚眼レンズ)1001aおよび1001bと、2つの静電センサスイッチ1002aおよび1002bを備えており、撮像装置全体が真円球の形状を構成している。
【0075】
なお、図21や図22に示したように、本体外装1000は段円球形状としてもよい。撮像レンズも、図14に示したように1個、あるいは、図18に示したように4個としてもよい。同様に、静電センサスイッチも、手で撮像装置を保持していることが確実に検知できればよく、2個である必要はない。
【0076】
図24は、静電センサスイッチを有する場合の撮像装置の外部形状の別の例を示した図である。これは、本体外装1000の表面に、あらかじめ窪みのような造形1003を作り、そこに静電センサスイッチ1002を配置するようにしたものである。利用者は撮像装置を保持する際に窪みに手を掛けることにより、撮像装置を保持していることがより確実に検知できる。
【符号の説明】
【0077】
11 加速度センサ
12 撮像部
13 不揮発メモリ
14 CPU
15 ROM
16 RAM
17 ジャイロセンサ
18,1002 静電センサスイッチ
1000 筐体
1001 撮像レンズ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2007−104252号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、投げ上げて撮影を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全天周や全方位の静止画や動画を撮影するために、広角レンズを装着した撮像装置や、鏡などを用いた特殊なレンズを装着して水平360°のパノラマ写真を撮影する撮像装置は既に知られている。
【0003】
しかし、従来の撮像装置は、一般に手に持ったり三脚に設置して撮影するというものであり、手や腕あるいは三脚が画面に大きく写り込むという問題があった。さらに、手に持って全天周撮影を行う場合、天面や水平面に比べて下面とはどうしても距離が近くなってしまうため、下面との距離のあるワイドな撮影をすることは簡単でなかった。
【0004】
このため、例えば特許文献1には、機械で撮像装置(カメラユニット)を発射するなどして、飛翔中のカメラユニットが頂点などに達した時点で撮影する撮像システムが開示されている。しかしながら、特許文献1では加速度の状態で撮影タイミングを決めており、例えばカメラユニットを手で投げ上げる場合、カメラユニットが手から離れることにより自由落下となり、加速度は0になるため、所望の到達点での撮影はできないという問題がある。また、カメラユニットとは別にコントロールユニットを備えて、該コントロールユニットがカメラユニットの動作を全て制御しており、撮影環境が大掛かりになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、撮像装置を投げ上げて撮影を行う場合、撮像装置自体で、投げ上げられた最高点高さ(最高到達点)あるいは所望の高さで撮影できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が最高点あるいは設定高さに達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部とを有することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置が投げ上げられる過程での加速度から、投げ上げ時の初速と角度を算出し、該初速度と角度から最高到達時間や設定高さ到達時間を計算するので、最高点高さ(最高到達点)あるいは所望の高さで撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の撮像装置の一実施形態に係る全体構成図である。
【図2】撮像装置が最高到達点で撮影する概念図である。
【図3】速度のX−Y成分の分解図である。
【図4】加速度センサが傾く場合の加速度の分解図である。
【図5】撮像装置が最高到達点での撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図6】撮像装置が設定高さでの撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図7】本発明の撮像装置の別の実施形態に係る全体構成図である。
【図8】撮像装置が最高到達点近くで所望の方向を向いたときに撮影する概念図である。
【図9】撮像装置が最高到達点近くで設定角度での撮影を実現する全体的処理フローチャートである。
【図10】本発明の撮像装置の更に別の実施形態に係る全体構成図である。
【図11】図5の処理フローチャートについて静電センサスイッチを用いた場合の変更例を示す図である。
【図12】空気抵抗を考慮した場合の時間補正を実施する処理フローチャートの一例である。
【図13】本発明の撮像装置の更に別の実施形態に係る全体構成図である。
【図14】本発明の撮像装置の外部形状の一例を示す図である。
【図15】図14の内部構成の一例を示す図である。
【図16】本発明の撮像装置の外部形状の別の例を示す図である。
【図17】図16の内部構成の一例を示す図である。
【図18】本発明の撮像装置の外部形状の別の例を示す図である。
【図19】図18の内部構成の一例を示す図である。
【図20】図17の内部構成における撮像レンズの撮影画角を説明する図である。
【図21】本発明の撮像装置の外部形状の更に別の例を示す図である。
【図22】本発明の撮像装置の外部形状の更に別の例を示す図である。
【図23】静電センサスイッチを配置した場合の撮像装置の外部形状の一例を示す図である。
【図24】図23の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施例は、耐衝撃性を持たせた撮像装置を手または機械で投げ上げ、最高点に達した時点で撮影を行うものである。
【0011】
高さを直接測る方法として、圧力センサを使い大気圧から測る方法もあるが、一般的に気圧センサでは十分な精度を得ることは難しいうえに気圧は天気などによっても変化する。また超音波やレーザーを使い音波や光の往復の時間から距離を求める方法も考えられるが、センサを地面に向ける必要があり現実的ではない。
【0012】
そこで、本実施例では、加速度センサを撮像装置に内蔵して、該加速度センサを用いて、撮像装置の投げ上げ時の加速度を検出して、該加速度から初速と角度を求め、該初速と角度から最高点に到達する時間を求める。
【0013】
図1に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。本撮像装置は、加速度センサ11、撮像部12、不揮発メモリ13、CPU14、ROM15、RAM16などを具備している。ここで、CPU14とROM15とRAM16が制御部として機能する。これは、後述の実施例でも同様である。また、撮像装置の好ましい外部形状については後述する。
【0014】
加速度センサ11は、当該撮像装置の投げ上げ時の加速度を検出する。撮像部12は広角のレンズ(魚眼レンズ)と画像センサからなり、広い範囲の被写体を撮影する。一般に画像センサにはCCDやCMOSセンサが用いられる。不揮発メモリ13は、撮像部12で撮影された画像データやその他、撮影に関係する情報などを記憶する。なお、不揮発メモリ13は挿抜可能として、例えば、SDカード等を利用できるようにする。
【0015】
CPU14は、当該撮像装置の全体の動作を制御するとともに、後述するように、加速度センサ11からの加速度情報を基に、当該撮像装置の投げ上げ時の初速と角度、最高点到達時間の算出、該算出した時間での撮像部12の駆動などを実行する。ROM15は、CPU14を動作させるためのプログラムや、その他、初期設定データなどを記憶する。RAM16は、CPU14での処理途中のデータなどが記憶される。
【0016】
初めに、本実施例の概要について説明する。ここでは説明を簡単にするため、X−Yの平面でY軸が上下方向として、加速度センサ11も2軸で説明を行う。実際にはX−Y−Zの三次元であり、加速度センサ11も3軸であるが考え方は同じである。
【0017】
図2に示すように、初速度v、角度θで、撮像装置を投げ上げた場合を考える。tは時間で、t0で投げ上げ、t1で最高点に到達し、t2で着地するものとする。t0からt2までの間は自由落下となり、空気抵抗などを無視すれば加速度は0になる。このため自由落下中の加速度から最高点を求めることはできない。
【0018】
ここでは、最高点到達時間を初速度と投射角度から求める。加速度センサ11では直接速度を知ることは出来ないため、加速度センサ11で検出した加速度から速度を求める。
等加速と仮定するなら、加速度aと速度vの関係は、初速v0、加速時間tとすると、
v=v0+at (1)
で表わされる。
初期状態で撮像装置は停止していると考えるので、v0=0であり、
v=at (2)
になる。このように、加速が一定の場合は、加速度と加速時間tで速度が求まる。
【0019】
機械での打ち上げなら等加速とみなしてもいいかもしれないが、人が投げ上げる場合は等加速でなく加速度が変化している可能性が高い。この場合、次式のように、加速度の積分したものが速度になる。
【0020】
【数1】
【0021】
加速度の積算は具体的には次のように行う。加速度aと速度vの関係は、初速v0,加速時間tとすると、先の式(1)で表わされる。加速度センサ11のサンプリング間隔をt、初期状態では停止(v0=0)していると考えると、サンプリングごとに加速度センサ11で検出した加速度aとサンプリング間隔tを掛け合わせたものを積算することで速度を得ることができる。
なお、簡単化のために実際には加速は一定ではないかもしれないが、加速度の最大値の何%などとしても良い。
【0022】
次に、垂直方向の速度を計算する。図1に示すように、初速度v、角度θで撮像装置を投げた時、垂直方向の速度vyは、図3より、
vy=v*sinθ (4)
で表わされる。
【0023】
撮像装置が投げ上げ時に初期状態から回転しないと仮定すると、加速度センサ11の水平垂直が座標系と合ってる場合、図3のように速度をX−Y成分の分解をするまでもなく、垂直方向の速度vyは、垂直方向の加速度センサの積算で良い。センサの水平垂直が座標系と合っていない場合は、初期状態に重力加速度の9.8m/s2の加速度がかかっている方向を上下方向と認識し、水平垂直の加速度センサの値から計算で求める。
【0024】
図4の(a)が加速度センサ11の座標で見た場合で、図4の(b)が9.8m/s2の加速度がかかっている方向を下方向と認識して、回転させたものである。
【0025】
初期状態ではある一定時間加速度センサ11の値が変化せず、各センサの値を合成した加速度が9.8m/s2の場合に初期状態にあると判断する。このとき、各センサの値から加速度センサ11を含んだ撮像装置全体がどれだけ傾いているか知ることができる。また、式(3),(4)より、この初期状態の傾きと加速度から垂直方向の速度が求まる。
【0026】
次に、最高点に達する時間を計算する。最高点では垂直方向の速度が0になるので、先の式(1)から、最高点に達する時間をt1、重力加速度を9.8m/s2とすると、
0=vy−9.8*t1 (5)
vy=9.8*t1 (6)
t1=vy/9.8 (7)
となり、最高点に達する時間を求めることができる。
【0027】
図5に、本実施例の全体の処理フローチャートを示す。これは、CPU14がROM15に格納されたプログラムを実行することで機能する。
まず、初期状態を検出する(ステップ101)。先に述べたように、加速度センサ11の各センサの値を合成した加速度が9.8m/s2の場合に初期状態にあると判断する。この時、加速度センサ11の各センサの値から、該加速度センサ11を含んだ撮像装置全体の傾き(角度θ)を求める。
【0028】
引き続いて、加速が開始されたか判断する(ステップ102)。これは、加速度センサ11の出力値が増加することで判断する。加速開始は撮像装置の放り投げ動作開始を意味する。加速が開始されたなら、加速度の積算を開始する(ステップ103)。先に述べたように、加速度の積算は、一定時間間隔で加速度センサ11の加速度を検出し、該検出した加速度とサンプリング間隔を掛け合わせたものを積算することである。この加速度の積算は、加速が終了したなら終了とする(ステップ104)。これは、加速度センサ11の出力値が0となったことで判断する。
【0029】
加速終了は、撮像装置の放り投げ動作終了を意味する。すなわち、撮像装置が自由落下となり、加速度ゼロが検出される。この時点が図2におけるt0である。この加速終了時の加速度積算値が撮像装置の初速度vである。
【0030】
この初速度vと先にステップ101で求めた撮像装置の角度θとから、撮像装置の垂直方向の初速度vyを計算する(ステップ105)。すなわち、式(4)を計算する。次に、この撮像装置の垂直方向の初速度vyから、撮像装置が最高点に到達する時間t1を計算する(ステップ106)。すなわち、式(7)を計算する。そして、この最高点到達時間tをレジスタ等に設定する。
【0031】
その後、タイマをスタートさせて(ステップ107)、該タイマの値が設定時間t1に達するか判定する(ステップ108)。すなわち、撮像装置が最高点に達するか判定する。最高点に達したなら、撮像部12を駆動して撮影を行う(ステップ109)。撮像部12で撮影された画像は直接あるいはRAM16を介して不揮発メモリ13に格納される。
【実施例2】
【0032】
本実施例は、基本的な考え方は実施例1と同様であるが、撮像装置があらかじめ設定した高さに達した時点で撮像を行うものである。
【0033】
広角のレンズで撮影する場合、距離が離れると被写体が小さく写ってしまうので、最高点の撮影では被写体が小さくなりすぎる可能性がある。そのため、本実施例では、あらかじめ設定した高さに達したところで撮影を行うようにする。
【0034】
高さy、撮像装置の垂直方向の初速vy、時間tの関係は、
y=vy*t−g*t2/2 (8)
で表わされる。式(8)において、g=9.8m/s2、yに求める高さを代入してtについて解くことで、求める高さに達する時間を求めることができる。
【0035】
図6に、本実施例の全体的な処理フローチャートを示す。撮像装置の処理系の全体的な構成は、図1と同じであるので省略する。
【0036】
図6において、まず、ステップ200で撮影する高さを設定する。これは、例えば外部装置から有線あるいは無線で行う。有線の場合は、設定後、ケーブルを外すようにする。なお、撮像装置本体に操作表示部を持ち、該撮像装置本体で設定するようにしてもよい。ステップ101〜105は図5と同じである。ステップ106’では、式(8)により、撮影高さ到達時間を計算してレジスタ等に設定する。そして、ステップ107でタイマをスタートさせ、ステップ108で、タイマの値が撮影高さ到達時間に達するか判定し、達したなら、ステップ109で撮像部12を駆動して撮影を行う。
【実施例3】
【0037】
基本的考えは実施例1や2と同様であるが、本実施例は、撮像装置が加速度センサに加えてジャイロセンサを内蔵し、ジャイロセンサで撮像装置の回転を検出して、最高点または指定の高さの近くで所望の角度になったなら撮像を行うものである。
【0038】
図7に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違はジャイロセンサ17が付加されている点であり、それ以外は図1と同様である。ジャイロセンサ17は、当該撮像装置の回転を検出する。
【0039】
撮影した所望の角度の例としては、高いところから地面と水平方向に撮影したい、地面と垂直に見下ろして撮影したい、等が考えられる。図8は、最高点近くで下向きを指定した例を示したものである。
【0040】
図9は、本実施例を実施例1に適用して、最高点近くで所望の角度で撮影する場合の全体的な処理フローチャートを示したものである。
図9において、ステップ300で撮影したい角度(水平垂直の回転角度)を設定する。ここでも、設定は、例えば外部装置から有線あるいは無線で行う。有線の場合は、設定後、ケーブルを外すようにする。また、撮像装置本体に操作表示部を持ち、該撮像装置本体で設定するようにしてもよい。ステップ101〜107は図5と同じである。ステップ108’では、撮像装置の回転が設定した角度か判定する。撮像装置の回転が設定した角度の場合、ステップ108”にて、最高点到達時間までに撮像装置をもう1回転させるか判定する。例えば、タイマの値を最高点到達時間と比較して、両者の差がある閾値以上の場合には、撮像装置は、まだ最高点近くに到達していないとして、撮像装置をもう1回転させる。こうして、撮像装置の回転が設定した角度であり、最高点到達時間とタイマの値との差が閾値以下になったなら(撮像装置が最高点近くに到達)、ステップ109にて、撮像部102を駆動して撮影を行う。
【0041】
ここでは、実施例1に適用する場合について説明したが、同様に実施例2に適用し、指定した高さの近くで所望の角度で撮影するも可能である。
【実施例4】
【0042】
利用者が撮像装置を投げ上げて撮影を行う場合、撮像装置を放り出す直前に、何らかの理由で放り出しを中止して、やり直すことが考えられる。この場合、装置の状態を初期化する必要がある。
【0043】
本実施例は、撮像装置が静電センサスイッチを備えて、確実に利用者が意識的に手から撮像装置を放り出したことを検出するようにしたものである。
【0044】
図10に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違は静電センサスイッチ18が付加されている点であり、それ以外は図1と同様である。なお、静電センサスイッチ18は、図7の構成に付加することでもよい。当該撮像装置を手で保持している時、手が静電センサスイッチ18に振れるようにする。撮像装置が投げ上げられると、静電センサスイッチ18から手が離れる。したがって、静電センサスイッチ18の出力の変化を監視することで、利用者が意識的に撮像装置を放り出したことを検出することができる。
【0045】
図11に、本実施例を実施例1に適用した場合の処理フローチャートの一例を示す。図11において、ステップ101〜106までは図5と同じである。ただし、ステップ104の加速終了判定は、加速度がゼロあるいは9.8m/s2とする。ステップ400において、静電センサスイッチ18の出力に基づいて利用者が撮像装置を放り出したかどうか判定する。そして、利用者が撮像装置を放り出したことが確認されたならば、ステップ107に進んでタイマをスタートする。一方、撮像装置を放り出す直前に、何らかの理由で放り出しを中止して、撮像装置が利用者の手に握られたままの場合には、ステップ101に戻る。
【実施例5】
【0046】
これまでは空気抵抗を考慮していなかった。しかし、実際には撮像装置の形状で変化するが、速度に応じた空気抵抗がかかり、計算した速度や到達高さに影響が出る。また、加速度センサのサンプリング間隔に比べて加速度の変化が大きい場合は、初速の計算に誤差が出る可能性もある。
【0047】
これらに対応するために、本実施例では、撮影時に自由落下の開始t0から着地t2までの時間を測定し、あらかじめ計算で求めておいた着地までの時間と比較して、次回撮影時に、算出された最高点到達時間や設定高さ到達時間を補正するようにするものである。例えば計算上は着地まで3秒かかるのに、実際には2秒で着地した場合、補正値を2/3とし、次回の撮影時に、計算された到達時間に補正値を掛けて補正を行うようにする。
【0048】
図12に、本実施例に係る処理フローチャートを示す。図12において、ステップ500は、実施例1や実施例2で説明したようにして最高点到達時間や指定高さ到達時間を計算して撮影を行うことを意味している。この撮影時に、自由落下の開始から着地までの時間を測定し、あらかじめ計算で求めておいた着地までの時間と比較して補正値を計算する(ステップ501)。次回の撮影時、この補正値で、計算で求めた最高点到達時間や指定高さ到達時間を補正して、該補正した時間を設定し(ステップ502)、タイマをスタートして(ステップ503)、設定時間になったら撮影を行う(ステップ504,505)。
【0049】
なお、ここでは単純に前回の計算値と実際の時間の差で補正するとしたが、明らかに異常な補正値は無視したり、何回かの撮影の補正値の平均としても良い。
【実施例6】
【0050】
本実施例は、撮像装置が複数の撮像部を備えて、複数の撮像を合成することで全天周等の画像を取得するようにしたものである。
【0051】
図13に、本実施例に係る撮像装置の処理系の全体的構成例を示す。図1との相違は2個の撮像部12−1,12−2を有している点であり、それ以外は図1と同様である。撮像部12−1,12−2は、それぞれ例えば180°以上の画角のレンズ(魚眼レンズ)を備えている。これら撮像部12−1,12−2で撮影された2枚の魚眼画像を合成することにより全天周画像を得ることができる。また、全天周を撮影することができるので、撮像装置の回転および方位に撮影タイミングが影響されずに、最高点や所望の高さでの撮影が行えるようになる。
【0052】
なお、図13では、2個の撮像部を用いる例を示したが、撮像部は2個に限る必要はない。また、画像の合成は、該撮像装置内でCPU14がプログラムを実行することで行ってもよいし、外部装置(パソコン等)が行ってもよい。
【実施例7】
【0053】
本発明の撮像装置は、撮像装置自体を投げ上げて撮影を行うものである。このように、投げ上げて撮影を行う撮像装置の外部形状の好ましい実施形態について、以下に説明する。
図14に、撮像装置の外部形状の基本的構成例として、撮像部が1つの場合の例を示す。図14において、撮像装置の本体外装(筐体)1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、一つの撮像レンズ1001を備えており、撮像装置全体が真円球の形状を構成している。すなわち、撮影レンズ1001の表面が、本体外装(筐体)1000の撮像レンズ近傍の表面と同一の球曲面になっている。撮像レンズ1001は魚眼レンズであり、広い範囲を撮影することができる。
【0054】
撮像装置の本体外装1000には、撮像レンズ1001以外にも、撮像装置全体が球状であることを逸脱しない範囲であれば、任意の構成要素を加えても良い。例えば、SDカード等の挿抜可能な記録媒体(不揮発メモリ)を装着するスロットを用意すれば、撮像装置が記録した全天球画像等のデータを、SDカード経由で取り出すことができるので、ユーザの利便性が向上する。
【0055】
撮像装置本体外装1000に、ネジ穴やスロットを用意する場合には、ゴミや水分の浸入を防ぐために、撮像装置全体の球形状に沿った形状のカバーを装備することが望ましい。さらに、撮像レンズ1001、ならびに例示したネジ穴やスロットおよびカバーも含めて、撮像装置全体が耐衝撃性で、防水・防滴構造であることが望ましい。
【0056】
撮像装置の本体外装が球形状なので、通常の撮像装置とは異なり、空中に投げ上げての撮影が容易に可能である。しかも球形状から期待される通りの高範囲の画像を撮影できるので、空中に投げ上げての撮影が非常に容易になる。
【0057】
図14の撮像装置の具体的な内部構造の一例を図15に示す。先に述べたように、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、一つの撮像レンズ1001が配置されている。撮像レンズ1001は、一枚のレンズのみでは無く、図15に示すように、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズ1001が、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。
【0058】
これまでの実施例で説明した構成要素の大部分は、全て本体外装1000の内部に配置される。撮像装置全体を球状に構成するにあたり、最も配置が重要な構成要素は撮像レンズ部分なので、図15には撮像レンズの配置のみを図示してある。加速度センサやジャイロセンサ、その他の電子部品等、これまで説明した構成要素の内部配置については割愛する。これは、以降の例でも同様とする。
【0059】
図16に、撮像装置の外部形状の構成例を示す。これは、図14と同様に、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であるが、撮像部は2つ備えるとして、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ1001a,1001bを対称に配置したものである。すなわち、これは先の実施例6を想定したものである。
【0060】
図17に、図16の撮像装置の具体的な内部構造の一例を示す。撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bが配置されている。2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズ1001aおよび1001bが、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。ここで、各撮像レンズ1001aおよび1001bの表面の球曲面の中心点は、本体外装(筐体)1000の撮影レンズ近傍の球曲面の中心点と一致している。
【0061】
図18に、図17の構成を更に発展させ、撮像部は4つ備えるとして、本体外装1000の表面上に、4個の撮像レンズを配置した場合の具体的な内部構造の一例を示す。すなわち、撮像装置の本体外装1000は、真円球状であり、当該球表面と同一の表面上に、略90°間隔で、4個の撮像レンズが配置されている。各撮像レンズ1001a〜1001dは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。最も外側の撮像レンズが、撮像装置の本体外装1000と同一の表面を成している。ここでも、各撮像レンズ1001a〜1001dの表面の球曲面の中心点は、本体外装1000の撮影レンズ近傍の球曲面の中心点と一致している。
【0062】
撮像装置に搭載する撮像レンズおよび撮像センサの個数を増やせば、全天球画像の画像品質をより向上させることが可能になる。しかし、撮像装置の本体外装1000の内部空間が撮像レンズに占められてしまい、他の構成要素を配置するためには、本体の球半径を大きくする必要がある。球半径を大きくすると、その分だけ本体の重量が重くなることが予想される。本体の大きさや重量は、利用者の使い勝手や撮影時の安全性に直結する。したがって、撮像装置のレンズ数を増やして画質を向上させる度合いと、本体の大きさや重量の増分とは、トレードオフ関係にある。
【0063】
撮像装置の本体外装の大きさは、例えば、球状の直径が5cmから30cmの範囲であることが好ましい。あまり小型化すると幼児が誤飲する可能性もある。5cmから30cmの範囲の大きさであれば、幼児から大人まで、片手あるいは両手で容易かつ安全に取り扱うことが可能である。
【0064】
5cmから30cmの球状の外装に、配置するレンズ数として、2眼、4眼、6眼、12眼、20眼などが考えられるが、レンズの重量や、電気回路規模などの点で、なるべくレンズ数は少ないのが望ましい。無理なく収められるレンズ数としては、2眼から6眼までの範囲が好適である。
【0065】
図19に、撮像装置の具体的な内部構造の、さらに別の一例を示す。撮像装置の本体外装1000は、真円球状であるが、当該球表面から一段窪んだ位置の表面上に、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bが配置されている。2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、一枚のレンズのみでは無く、内部は複数枚のレンズで構成されている。
【0066】
図19に示すように撮像レンズ1001aおよび1001bを撮像装置の本体外装1000から少し内側にずらす構造とすることにより、撮像レンズの外側に、強化プラスチックなどの弾性素材を使ったカバーや、画質を調整するための各種光学フィルターなどを、装着することが可能な形状を実現できる。
【0067】
図19に示すような構造にした場合においても、撮像装置の本体外装1000の球面の中心と、撮像レンズ1001aおよび1001bの球面の中心とが一致しているので、撮像装置全体としての球体感は損なわれることは無い。
【0068】
図20は、図17で説明した撮像装置の具体的な内部構造の2つの撮像レンズ1001aおよび1001bの、撮影画角を説明する図である。撮像装置は2つの撮像レンズで全天球画像を撮影する。したがって、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、180度を超える画角を持つ必要がある。従来の広角撮影用の撮像装置や撮影機材では、撮影した画像の中に、撮像装置自体や撮影機材自体が写り込んでしまう場合があった。
【0069】
図20に示した通り、本発明を適用した撮像装置では、撮像レンズの画角が180度を超えても、撮像装置本体外装1000が撮影画像に写り込まない。さらに、搭載する撮像レンズ数を増やした設計の場合でも、各撮像レンズの画角を、撮像装置本体外装1000が撮影画像に写り込まず、かつ全天球画像を作成するために必要な十分な画角に設計することが可能である。
【0070】
本発明を適用した撮像装置の外形は、真円球でなくとも良い。図21は、撮像装置本体外装1000がラグビーボール状の楕円球に構成されている撮像装置の、撮影画角を説明する図である。図21においても、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bで全天球画像を撮影するが、撮像装置本体外装1000が楕円球状に構成されており、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、楕円球の尖った極の両端に配置されている。
【0071】
撮像装置本体外装1000を楕円球とすることで、単純な真円球形状よりも持ちやすくなる。また、真円球形状の場合よりも、もっと広い画角のレンズを搭載しても、撮像装置本体外装1000が写り込まない。
【0072】
図22は、さらに撮像装置本体外装1000が算盤玉状の楕円球に構成されている撮像装置の、撮影画角を説明する図である。図22においても、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bで全天球画像を撮影するが、撮像装置本体外装1000が楕円球状に構成されており、2つの撮像レンズ1001aおよび1001bは、楕円球の平坦な極の両端に配置されている。2つの撮像レンズで全天球画像を撮影する場合、そもそも180度を超える画角の内側には、算盤玉状の撮影死角部分が生じてしまうため、この実施形態のような撮像装置本体外装1000の形状でも、撮影画増に撮像装置本体外装1000が写り込まない設計にすることが可能である。
【0073】
この実施形態では、単純な真円球形状よりも、撮像装置本体外装1000に占める撮像レンズの面積を広く出来る。したがって、より大口径の撮像レンズを搭載して暗い場所でも明るく撮影できるような設計にすることが可能になる。また、単純な真円球形状よりも、撮像装置本体外装1000内部の容積を大きく出来るので、例えば内蔵する動作用電池を大容量にすることが可能である。
【0074】
図23は、実施例4で説明した静電センサスイッチを有する場合の撮像装置の外部形状の一例を示した図である。ここでは撮像部は2つ備えるとして、撮像装置の本体外装1000は真円球状(球状筐体)とし、当該球表面と同一の表面上に、2つの撮像レンズ(魚眼レンズ)1001aおよび1001bと、2つの静電センサスイッチ1002aおよび1002bを備えており、撮像装置全体が真円球の形状を構成している。
【0075】
なお、図21や図22に示したように、本体外装1000は段円球形状としてもよい。撮像レンズも、図14に示したように1個、あるいは、図18に示したように4個としてもよい。同様に、静電センサスイッチも、手で撮像装置を保持していることが確実に検知できればよく、2個である必要はない。
【0076】
図24は、静電センサスイッチを有する場合の撮像装置の外部形状の別の例を示した図である。これは、本体外装1000の表面に、あらかじめ窪みのような造形1003を作り、そこに静電センサスイッチ1002を配置するようにしたものである。利用者は撮像装置を保持する際に窪みに手を掛けることにより、撮像装置を保持していることがより確実に検知できる。
【符号の説明】
【0077】
11 加速度センサ
12 撮像部
13 不揮発メモリ
14 CPU
15 ROM
16 RAM
17 ジャイロセンサ
18,1002 静電センサスイッチ
1000 筐体
1001 撮像レンズ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2007−104252号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投げ上げて撮影を行う撮像装置であって、
加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が最高点に達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
投げ上げて撮影を行う撮像装置であって、
加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が設定された高さに達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
回転を検出するジャイロセンサを更に有し、
前記制御部は、前記ジャイロセンサで検出された撮像装置の回転をもとに、該撮像装置が最高点または設定された高さの近くで設定された回転角度になったタイミングで撮影を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
撮像装置の保持状態を検知する静電センサスイッチを更に有し、
前記制御部は、前記静電センサスイッチの出力より撮像装置が放出されたことを確認するタイマをスタートすることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
制御部は、撮像装置の着地の時間を測定し、その測定値と予め計算された着地の時間との差に応じて、次回の撮影時に、算出された撮影装置の最高点に達する時間あるいは設定された高さに達する時間を補正することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1、2、4または5に記載の撮像装置において、
複数の撮像部を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置において、
球形状筐体で覆われて撮像装置全体が球形状に形成され、筐体表面に撮像レンズが配置され、
前記撮像レンズの表面が、前記筐体の撮像レンズ近傍の表面と同一の球曲面になっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1、2、4または5に記載の撮像装置において、
複数の撮像部を有し、
球形状筐体で覆われて撮像装置全体が球形状に形成され、筐体表面に複数の撮像レンズが配置され、
各撮像レンズの表面の球曲面の中心点が、前記筐体の撮像レンズ近傍の球曲面の中心点と一致していることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の撮像装置において、
撮像レンズの画角が筐体の撮像レンズ近傍の表面が写り込まない射影画角になっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
投げ上げて撮影を行う撮像装置であって、
加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が最高点に達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
投げ上げて撮影を行う撮像装置であって、
加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサで検出された、撮像装置投げ上げ時の加速度から、該撮像装置の初速度と放出角度を算出し、前記初速度と放出角度から該撮像装置が設定された高さに達する時間を算出し、前記算出した時間のタイミングで撮影を行う制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
回転を検出するジャイロセンサを更に有し、
前記制御部は、前記ジャイロセンサで検出された撮像装置の回転をもとに、該撮像装置が最高点または設定された高さの近くで設定された回転角度になったタイミングで撮影を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
撮像装置の保持状態を検知する静電センサスイッチを更に有し、
前記制御部は、前記静電センサスイッチの出力より撮像装置が放出されたことを確認するタイマをスタートすることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
制御部は、撮像装置の着地の時間を測定し、その測定値と予め計算された着地の時間との差に応じて、次回の撮影時に、算出された撮影装置の最高点に達する時間あるいは設定された高さに達する時間を補正することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1、2、4または5に記載の撮像装置において、
複数の撮像部を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置において、
球形状筐体で覆われて撮像装置全体が球形状に形成され、筐体表面に撮像レンズが配置され、
前記撮像レンズの表面が、前記筐体の撮像レンズ近傍の表面と同一の球曲面になっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1、2、4または5に記載の撮像装置において、
複数の撮像部を有し、
球形状筐体で覆われて撮像装置全体が球形状に形成され、筐体表面に複数の撮像レンズが配置され、
各撮像レンズの表面の球曲面の中心点が、前記筐体の撮像レンズ近傍の球曲面の中心点と一致していることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の撮像装置において、
撮像レンズの画角が筐体の撮像レンズ近傍の表面が写り込まない射影画角になっていることを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−66086(P2013−66086A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203976(P2011−203976)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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