説明

撮影装置、その制御方法及びそのプログラム

【課題】撮影の指示が与えられたあとに測距を実行するものに比して、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる。
【解決手段】デジタルカメラ10は、三角測量方法を用いて被写体から撮像素子20までの距離を測定可能な測距センサ56と、デジタルカメラ10の縦方向の動き及び横方向の動きを検出可能な角速度センサにより構成された手ぶれセンサ58とを備えている。このデジタルカメラ10では、撮像素子20のぶれを手ぶれセンサ58により検出し、この検出された出力値が、シャッタボタン32の押下により撮影指示を取得するのに先んじて測距センサ56に測距させるよう設定された閾値以下となったときに測距センサ56により測距を実行し、その後シャッタボタン32が押下されたときには被写体の撮像処理を行う。こうして、ユーザの撮影意志などを反映した撮像素子20のぶれ状態に基づいて測距を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置、その制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置としては、シャッタボタンの押下によりフォーカスレンズの合焦処理と三角測距方法を用いた測距処理とを実行し、先に検出結果が得られた方を用いてフォーカスレンズの焦点調節を行うことにより、できるだけシャッタボタンの押下から撮影処理の実行までのタイムラグを低減するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−3693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載された撮影装置では、シャッタボタンの押下のあとに合焦処理と測距処理とを実行することにより処理の時間がかかるため、依然としてシャッタボタンの押下から撮影までのタイムラグが生じていた。撮影装置では、被写体が移動する場合などもあるため、できるだけシャッタボタンの押下から撮影開始までのタイムラグを短くすることが望まれている。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる撮影装置、その制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の撮影装置は、
被写体を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段のぶれに関する情報を検出可能なぶれ検出手段と、
前記被写体と前記撮像手段との距離を測距可能な測距手段と、
前記ぶれ検出手段によって検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させ、その後前記撮像手段に前記被写体の撮像を行わせる制御手段と、
を備えたものである。
【0007】
この撮影装置では、撮像手段のぶれに関する情報を検出し、この検出された出力値に基づいて測距を実行し、その後被写体の撮像を行う。ここで、ユーザは、撮影指示を入力する前に撮影装置を構えることが通常であることから、撮像手段のぶれの状態は、ユーザが撮影する意志があるか否かを反映している。このように、ユーザの撮影する意志を反映した撮像手段のぶれの状態に基づいて測距を実行するのである。したがって、撮影の指示が与えられたあとに測距を実行するものに比して、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる。
【0008】
本発明の撮影装置において、前記制御手段は、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させるに際して、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値が所定の安定範囲内となったときに前記測距手段に測距させてもよい。このとき、本発明の撮影装置は、ユーザからの撮影指示を取得可能な指示取得手段、を備え、前記制御手段は、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値が前記指示取得手段が撮影指示を取得するのに先んじて前記測距手段に測距させるよう前記安定範囲内に設定されていてもよい。こうすれば、より確実に撮影の指示から撮影処理の開始までの時間を短縮することができる。
【0009】
本発明の撮影装置において、前記撮像手段は、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷転送素子に順次転送することにより画像信号を読み出して前記被写体を撮像してもよい。こうすれば、光電変換素子や電荷転送素子を利用して被写体の撮像を行うことができる。
【0010】
本発明の撮影装置において、前記ぶれ検出手段は、前記撮像手段の手ぶれ補正に用いられるものとしてもよい。こうすれば、手ぶれ補正を検出する手段が測距の開始を検出する手段を兼ねているため、新たな検出手段を設ける必要がない。
【0011】
本発明の撮影装置において、前記測距手段は、三角測量方法を用いて前記被写体と前記撮像手段との距離を測定してもよい。一般に、例えば、コントラストを用いて測距するものは測距時にレンズの駆動を伴い電力消費が大きいことから、コントラストを用いて測距するものに比して低い消費電力で測距を実行することができる。
【0012】
本発明の撮影装置制御方法は、
被写体を撮像可能な撮像手段と、前記被写体と前記撮像手段との距離を測定可能な測距手段と、を備えた撮影装置の制御方法であって、
(a)前記撮像手段のぶれに関する情報を検出するステップと、
(b)前記ステップ(a)で検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させ、その後前記撮像手段に前記被写体の撮像を行わせるステップと、
を含むものである。
【0013】
この撮影装置制御方法では、撮像手段のぶれに関する情報を検出し、この検出された出力値に基づいて測距を実行し、その後被写体の撮像を行う。ここで、ユーザは、撮影指示を入力する前に撮影装置を構えることが通常であることから、撮像手段のぶれの状態は、ユーザが撮影する意志があるか否かを反映している。このように、ユーザの撮影する意志を反映した撮像手段のぶれの状態に基づいて測距を実行するのである。したがって、撮影の指示が与えられたあとに測距を実行するものに比して、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる。なお、この撮影装置制御方法において、上述した撮影装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した撮影装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0014】
本発明のプログラムは、上述したいずれかの撮影装置制御方法を、1又は2以上のコンピュータに実行させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した撮影装置制御方法が実行されるため、上述した制御方法と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図である。
【0016】
本実施形態のデジタルカメラ10は、レンズ12と、光を光電変換によって電気信号に変換する撮像素子20と、レンズ12と撮像素子20との間に配置されたメカニカルシャッタ14と、撮像素子20の種々の動作の開始タイミングをドライバ回路28を介して撮像素子20に出力するタイミングジェネレータ(TG)16と、撮像素子20から出力された電気信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE)18と、ユーザが半押しや全押しが可能なシャッタボタン32と、充放電可能なバッテリ34と、被写体からの距離を測距可能な測距センサ56と、デジタルカメラ10のぶれを検出可能な手ぶれセンサ58と、各種制御を実行するコントローラ40とを備えている。
【0017】
レンズ12は、収差を抑えるために凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成されている。このレンズ12は、図示しないがオートフォーカス機構を備えている。
【0018】
撮像素子20は、マトリックス状に配置された複数のフォトダイオード22と、各フォトダイオード22ごとに形成されフォトダイオード22から受け取った電荷を垂直方向に転送可能な垂直転送用CCD24と、垂直方向の終端に位置する垂直転送用CCD24から受け取った電荷を水平方向に転送可能な水平転送用CCD26とを備えている。また、この撮像素子20は、アクチュエータ21により保持されており、基板上で縦方向と横方向に移動可能となっている。フォトダイオード22は、画素に対応する光電変換素子であり、露光されたときの光を電荷に変換して蓄積する。このフォトダイオード22は、電子シャッタ機能を有しており、この電子シャッタ機能により電荷を図示しない基板へ逃がすことができるようになっている。垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26は、電荷転送素子であり、露光中は動作しないが露光する直前のタイミングや露光したあと電荷をフォトダイオード22から受け取る前のタイミングでCCD24,26に貯まったノイズとなる不要な電荷を掃き出し、露光後の電荷をフォトダイオード22から受け取り順次転送することにより画像信号を読み出すようになっている。撮像素子20に含まれるフォトダイオード22や垂直転送用CCD24、水平転送用CCD26は、ドライバ回路28によって駆動される。
【0019】
メカニカルシャッタ14は、撮像素子20への光の照射を物理的に遮るものであり、本実施形態ではレンズ12から離れ撮像素子20のすぐ近くに装備されている。
【0020】
TG16は、垂直転送用CCD24の駆動速度を決定する垂直ラインシフトパルスや水平転送用CCD26の駆動速度を決定する水平ラインシフトパルスの出力タイミングのほか、各種デバイスの動作の同期をとるための同期信号VDの出力タイミングなどをドライバ回路28に出力するものである。ここでは、出力タイミングはレジスタにセットされた値によって設定される。
【0021】
AFE18は、撮像素子20においてフォトダイオード22から読み出された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して出力する。このAFE18から出力されたデジタル信号は、画素補間処理やホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などの周知の画像処理が施されたあとJPEGファイルとしてメモリカード30に格納される。
【0022】
シャッタボタン32は、ユーザの操作によって半押しや全押しが可能であり、半押し状態後に全押しすることによりレンズを通じて撮像素子20上に結像した画像を取り込むタイミングをコントローラ40へ出力する。
【0023】
バッテリ34は、充放電可能なリチウムイオン電池やニッケル水素電池などに代表される二次電池であり、累積使用時間が長くなるにしたがって満充電状態からの電圧降下の割合が大きくなる性質を持つものである。このバッテリ34には、電源ユニット36が接続されている。この電源ユニット36はコントローラ40からの指令によって適宜必要な電圧レベルに変換した電圧を各種回路やデバイスに供給する。また、バッテリ34には、電圧センサ38が取り付けられている。この電圧センサ38はバッテリ34の端子間電圧を検出しコントローラ40へ出力する。
【0024】
測距センサ56は、赤外光を発光可能な発光ダイオードと、この発光ダイオードから離れた位置に設けられこの発光ダイオードから照射され被写体で反射した光を検出可能なフォトダイオードアレイとにより構成され、三角測量方法を用いて被写体から撮像素子20までの距離を測定可能なセンサである。この測距センサ56は被写体から撮像素子20までの距離を検出しコントローラ40へ出力する。
【0025】
手ぶれセンサ58は、デジタルカメラ10の縦方向の動きを検出可能な角速度センサとデジタルカメラ10の横方向の動きを検出可能な角速度センサの2つのセンサにより構成され、それぞれ縦方向又は横方向の角速度に応じた信号を出力する。デジタルカメラ10では、この手ぶれセンサ58が出力したデジタルカメラ10のぶれに関する信号を用いて、撮像素子20に設けられたアクチュエータ21を駆動することにより手ぶれ補正を実行する。なお、レンズ12と撮像素子20との間にぶれ補正光学系を配置しこのぶれ補正光学系を駆動することにより手ぶれ補正を実行するものとしてもよい。
【0026】
コントローラ40は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU42の他に処理プログラムを記憶するROM44と、データを一時的に記憶するRAM46と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備えている。コントローラ40には、シャッタボタン32の半押し信号や全押し信号、電圧センサ38からの検出信号、AFE18からのデジタル信号、メモリカード30から読み出した各種データ、測距センサ56からの信号、手ぶれセンサ58からの信号などが入力される。また、コントローラ40からは、メカニカルシャッタ14へのシャッタ駆動信号、TG16への信号、電源ユニット36への制御信号、メモリカード30への各種データの要求信号などが出力される。
【0027】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ10の動作、特に被写体を撮影する際の動作について説明する。図2は撮影処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、ROM44に記憶され、デジタルカメラ10の電源がオンされたあとCPU42により繰り返し実行される。このルーチンが開始されると、コントローラ40のCPU42は、まず、手ぶれセンサ58から検出信号を入力し、入力した信号を解析する(ステップS100)。入力した信号の解析は、例えば入力した信号をフーリエ変換などにより周波数成分として抽出し、抽出した周波数のうち最大の強度を示す周波数を出力値として算出する。次に、CPU42は、解析した出力値が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS110)。この閾値は、ユーザがデジタルカメラ10を構えるなど、デジタルカメラ10の揺れが収まりこれからユーザが撮影を行う可能性が高い状態を判定可能な周波数の値を経験的に求め、この求めた周波数の値に定められている。解析した出力値が閾値以上であると判定されたときには、ユーザがデジタルカメラ10を構えていないものと推定し、ステップS100の処理を実行する。
【0028】
一方、ステップS110で出力値が閾値未満であると判定されたときには、ユーザが撮影指示を行う可能性が高いものと推定し、測距処理を実行すると共に(ステップS120)、撮影設定処理を実行する(ステップS130)。測距処理では、測距センサ56に赤外線を被写体へ照射させると共に被写体で反射した反射光を検出させ、得られた信号を入力する処理を行う。また、撮影設定処理では、自動露光を行い、自動露光に基づいてシャッタスピードや絞り値を設定すると共に測距結果に基づいて図示しないオートフォーカス機構を作動して自動的に焦点合わせを行う。このように、デジタルカメラ10のぶれを利用してユーザがデジタルカメラ10を構えたものと推定し、ユーザがシャッタボタン32の押下による撮影の意志を示すのに先んじて被写体と撮像素子20との距離を測距すると共に、撮影を行う際に必要な設定処理を行うのである。このため、ユーザがシャッタボタン32を押下したあとには、測距処理や撮影設定処理を実行する時間を必要としない。
【0029】
続いて、CPU42は、シャッタボタン32が半押し状態であるか否かをシャッタボタン32からの半押し信号に基づいて判定し(ステップS140)、シャッタボタン32が半押し状態でないと判定されたときには、ユーザに撮影の意志がないものとみなし、ステップS100以降の処理を実行する。一方、シャッタボタン32が半押し状態であると判定されたときには、CPU42は、シャッタボタン32が全押し状態であるか否かをシャッタボタン32からの全押し信号に基づいて判定し(ステップS150)、シャッタボタン32が全押し状態でないと判定されたときには、ステップS140以降の処理を実行し、シャッタボタン32が全押し状態であると判定されたときには、CPU42は、撮像処理を実行する(ステップS160)。ここで、撮像処理について説明する。撮像処理では、垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26に蓄積されたノイズを除去する高速吐き出し処理を実行し、メカニカルシャッタ14を作動させ、フォトダイオード22に電荷を貯める露光処理を実行し、更に高速吐き出し処理を実行して垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26に蓄積されたノイズを除去し、フォトダイオード22に露光された電荷を垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26に順次転送する読み出し処理を実行する。なお、露光処理中に手ぶれセンサ58からの出力値に基づいてアクチュエータ21を駆動することにより、被写体の像のぶれを補正する。このように、ノイズの混入を抑制しながら撮像素子20から画像信号となる電荷をAFE18に出力させて撮像を行う。ステップS160で撮像処理を実行したあと、CPU42は、得られた画像信号をメモリカード30に保存し(ステップS170)、本ルーチンを終了する。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の撮像素子20が本発明の撮像手段に相当し、このうちフォトダイオード22が光電変換素子に相当し、垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26が電荷転送素子に相当する。また、測距センサ56が測距手段に相当し、手ぶれセンサ58がぶれ検出手段に相当し、コントローラ40が指示取得手段及び制御手段に相当する。なお、本実施形態ではデジタルカメラ10の構成、作用及び効果の説明をすることにより、本発明の撮影装置を説明すると同時に、撮影装置の制御方法や撮影処理プログラムについても併せて説明した。
【0031】
以上詳述した本実施形態のデジタルカメラ10によれば、撮像素子20のぶれを手ぶれセンサ58によって検出し、この検出された出力値が閾値未満となったときに測距センサ56により測距を実行し、その後シャッタボタン32が押下されたときには被写体の撮像処理を行う。ここで、ユーザは、撮影指示を入力する前にデジタルカメラ10を構えることが通常であることから、撮像素子20の揺れは、ユーザが撮影する意志があるか否かを反映している。このように、ユーザの撮影する意志を反映した撮像素子20のぶれの状態に基づいて測距を実行するのである。したがって、撮影の指示が与えられたあとに測距を実行するものに比して、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる。また、撮像素子20のぶれの状態に基づいて撮影設定処理をも実行するため、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより一層短縮することができる。
【0032】
また、手ぶれセンサ58によって検出された出力値を判定する閾値が、シャッタボタン32の押下により撮影指示を取得するのに先んじて測距センサ56に測距させるよう設定されているため、より確実に撮影の指示から撮影処理の開始までの時間を短縮することができる。更に、撮像素子20は、フォトダイオード22に蓄積された電荷を垂直転送用CCD24及び水平転送用CCD26に順次転送することにより画像信号を読み出して被写体を撮像することができる。更にまた、手ぶれセンサ58は、撮像素子20の手ぶれ補正用のセンサが測距センサ56による測距の実行の可否を判定するセンサを兼ねているため、新たなセンサを設ける必要がない。そして、測距センサ56は、三角測量方法を用いて被写体と撮像素子20との距離を測定するため、測距時にレンズの駆動を伴い電力消費が大きい、コントラスト方法を用いて測距するものに比して低い消費電力で測距を実行することができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、ステップS110で出力値が閾値を下回ったあと、つまり、デジタルカメラ10の揺れが収まったあとに、測距処理を実行すると共に撮影設定処理を実行するものとしたが、ステップS140でシャッタボタン32が半押し状態になったあと撮影設定処理を実行するものとしてもよい。こうすれば、撮影を行う指示が入力され確実に撮影を行うというときだけ撮影設定処理を実行することができる。
【0035】
上述した実施形態では、ステップS110で出力値が閾値以上であるとき、つまり、デジタルカメラ10の揺れが収まっていないときにはシャッタボタン32の状態を判定しないものとしたが、ステップS110で出力値が閾値以上であるときにもシャッタボタン32が押下されたか否かを判定し、シャッタボタン32が押下されたと判定されたときには、測距処理、撮影設定処理及び撮像処理を実行してもよい。こうすれば、デジタルカメラ10がぶれている状態であっても撮影したいというユーザの要求を満たすことができる。
【0036】
上述した実施形態では、手ぶれセンサ58からの信号に基づいて求めた周波数の出力値と所定の閾値とによってデジタルカメラ10の揺れが収まりユーザが撮影を行う可能性が高い状態を判定するものとしたが、これに加えてまたはこれに代えて周波数のピーク強度に基づいてデジタルカメラ10の揺れが収まりユーザが撮影を行う可能性が高い状態を判定するものとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、三角測量方法を用いた測距センサ56によって被写体と撮像素子20との間の距離を測距するものとしたが、コントラスト方法を用いて被写体と撮像素子20との間の距離を測距するものとしてもよい。こうすれば、撮像素子20及びコントローラ40が測距センサ56の代わりとなり測距可能となるため、構成を簡略化することができる。
【0038】
上述した実施形態では、手ぶれセンサ58は、撮像素子20の手ぶれ補正と測距センサ56による測距の実行の可否を判定するセンサとを兼用するものとしたが、手ぶれ補正センサと測距の開始判断用センサとを別々に設けても構わない。
【0039】
上述した実施形態では、撮像素子20により被写体を撮影するデジタルカメラ10として説明したが、フイルムに被写体を撮影するフィルムカメラとしてもよい。こうしても、撮影の指示から撮影処理の開始までの時間をより短縮することができる。
【0040】
上述した実施形態では、撮影装置の一例としてデジタルカメラ10を取り上げたが、被写体に対して距離を測定する撮影装置であれば本発明を適用可能である。そのような撮影装置としては、デジタルカメラのほかに、デジタルビデオ、カメラ付き携帯電話などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態のデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】撮影処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
10…デジタルカメラ、 12…レンズ、 14…メカニカルシャッタ、 16…タイミングジェネレータ(TG)、 18…アナログフロントエンド(AFE)、20…撮像素子、 21…アクチュエータ、 22…フォトダイオード、 24…垂直転送用CCD、 26…水平転送用CCD、 28…ドライバ回路、 30…メモリカード、 32…シャッタボタン、 34…バッテリ、 36…電源ユニット、 38…電圧センサ、 40…コントローラ、 42…CPU、 44…ROM、 46…RAM、 56…測距センサ、 58…手ぶれセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段のぶれに関する情報を検出可能なぶれ検出手段と、
前記被写体と前記撮像手段との距離を測距可能な測距手段と、
前記ぶれ検出手段によって検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させ、その後前記撮像手段に前記被写体の撮像を行わせる制御手段と、
を備えた撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させるに際して、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値が所定の安定範囲内となったときに前記測距手段に測距させる、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮影装置であって、
ユーザからの撮影指示を取得可能な指示取得手段、を備え、
前記制御手段は、前記ぶれ検出手段によって検出された出力値が前記指示取得手段が撮影指示を取得するのに先んじて前記測距手段に測距させるよう前記安定範囲内に設定されている、
撮影装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、光電変換素子に蓄積された電荷を電荷転送素子に順次転送することにより画像信号を読み出して前記被写体を撮像する、請求項1〜3のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項5】
前記ぶれ検出手段は、前記撮像手段の手ぶれ補正に用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項6】
前記測距手段は、三角測量方法を用いて前記被写体と前記撮像手段との距離を測定する、請求項1〜5のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項7】
被写体を撮像可能な撮像手段と、前記被写体と前記撮像手段との距離を測定可能な測距手段と、を備えた撮影装置の制御方法であって、
(a)前記撮像手段のぶれに関する情報を検出するステップと、
(b)前記ステップ(a)で検出された出力値に基づいて前記測距手段に測距させ、その後前記撮像手段に前記被写体の撮像を行わせるステップと、
を含む撮影装置制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の撮影装置制御方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−256480(P2007−256480A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79001(P2006−79001)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】