横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置、及び水田除草機
【課題】
横方向に動力取出軸を有する動力車に連結された作業機に、前記動力取出軸の動力を伝達させることである。
【解決手段】
歩行型動力車Aの機体1に、苗条Pどうしの条間及び株間の各除草を行うための除草装置U1,U2 が配設された水田除草機Bを、平行リンク機構及び水平支持軸21を介して相対的に昇降及び回動可能に装着し、前記水田除草機Bは、歩行型動力車Aの機体1の幅方向(横方向)に沿って取付けられた動力取出軸6から取出される動力が、前記動力取出軸6にほぼ沿って取付けられた軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJを介して、水田除草機Bを構成する条間及び株間の各除草装置U1,U2 に伝達されるように構成して、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bの相対昇降及び相対回動に伴うずれを、前記ユニバーサルジョイントJに吸収させることにより、各除草装置U1,U2 の下端部の水田F1 への侵入量を常に一定に保持させる。
横方向に動力取出軸を有する動力車に連結された作業機に、前記動力取出軸の動力を伝達させることである。
【解決手段】
歩行型動力車Aの機体1に、苗条Pどうしの条間及び株間の各除草を行うための除草装置U1,U2 が配設された水田除草機Bを、平行リンク機構及び水平支持軸21を介して相対的に昇降及び回動可能に装着し、前記水田除草機Bは、歩行型動力車Aの機体1の幅方向(横方向)に沿って取付けられた動力取出軸6から取出される動力が、前記動力取出軸6にほぼ沿って取付けられた軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJを介して、水田除草機Bを構成する条間及び株間の各除草装置U1,U2 に伝達されるように構成して、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bの相対昇降及び相対回動に伴うずれを、前記ユニバーサルジョイントJに吸収させることにより、各除草装置U1,U2 の下端部の水田F1 への侵入量を常に一定に保持させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置、及び水田除草機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書では、水田除草機の場合について説明する。田植え後の水田において、苗条の間、その株間及び株元に生えている雑草を除去するための水田除草機としては、乗用型動力車の後部に油圧により上下動可能に連結して使用するものは種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。乗用型動力車に装着して使用される水田除草機は、接地センサによって水田面に対する水田除草機の位置を検出して、水田除草機を油圧装置によって常に正規の除草位置に配置させる構成であって、区画面積が比較的大きな水田において使用されることが多い。
【0003】
ところが、わが国の水田事情においては、小区画の水田も多く存在し、小区画水田を保有する農家においては、生産コストの面からも、乗用型動力車に装着して使用される水田除草機を購入できないという事情もある。そこで、小区画水田に対応できて、比較的購入コストの低い歩行型動力車に装着して使用される水田除草機の開発が望まれている。この歩行型動力車に水田除草機を装着して使用可能にするには、歩行型動力車の一対の車輪の沈降量とは無関係に水田面に対して水田除草機が一定位置に位置すること(第1設計条件)と、左右の車輪の沈降量が異なっても水田除草機は水平を維持し得ること(第2設計条件)が必要不可欠となり、歩行型動力車には、乗用型動力車と異なって油圧装置を備えていないため、上記した構成を機械的な構成のみで実現することが不可欠となる。
【0004】
また、歩行型動力車は、乗用型動力車と異なって、その動力取出軸は、機体の進行方向と直交する横方向に沿って配置され、苗条の株間及び株元に生えている雑草を除去する株間除草装置は、前記動力取出軸から出力された動力によって駆動される構成となる。ここで、歩行型動力車の機体側から該機体に対して移動を伴う水田除草機の側に動力を伝達する必要があるので、株間除草装置に動力を伝達する機構の工夫も不可欠となる。
【特許文献1】特開2002−45002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機であっても、動力車の動力が作業機に伝達されて、前記作業機による作業が支障なく行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0007】
動力車の動力取出軸から出力された動力は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達されて、その作業部が連続回転、往復移動等の所定の運動を繰り返して行って、圃場に対して所定の作業を行う。ここで、動力車の進行方向に沿って動力車と作業機の各位置における圃場の耕盤に高さの差があったり、或いは圃場が水田の場合で作業機の左右一対の車輪が沈降したりした場合には、作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結されているために、機体に対して作業機が上下動したり、或いは作業機はその位置のままで、動力車が作業機に対して上下動する(動力車に対して作業機が相対的に上下動する)ことにより、作業機による所定の作業を支障なく行える。
【0008】
前記動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に上下動すると、作業機の動力取出軸から作業機の作業部に至る間の全体としての動力伝達機構を構成する部材のうち、動力車の機体側と作業機との間に跨がった状態で横方向に配置されている「動力伝達部材」は、その一端に対して他端が上下動することとなる。請求項1の発明においては、動力車の機体に対する作業機の直接的、或いは相対的な上下動に伴って、一端に対して他端が上下動する前記「動力伝達部材」として、「軸長が変化し得るユニバーサルジョイント」を選択しているので、作業機の上下動に伴って、「ユニバーサルジョイント」は、その軸長が変化しながら、動力車の機体側に支持された一端に対して作業機の側に支持された他端が上下動するために、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力伝達が可能となって、動力を必要とする作業機を支障なく駆動できる。また、前記ユニバーサルジョイントをほぼ横方向に配置することにより、作業機における動力伝達部分の長さが短くて済む。
【0009】
請求項2の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明においては、圃場の耕盤の傾斜が動力車と作業機の部分で異なっている場合や、圃場が水田であって動力車の左右一対の車輪の沈降量が異なる場合には、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されているために、前記機体に対して前記作業機が直接的に、或いは相対的に回動して、機体に対して作業機が直接的に、或いは相対的に横方向に傾斜しても前記作業機は所定の姿勢を保ち、所定の作業を支障なく行える。また、動力車の機体に対して作業機の全体がいずれかの方向に直接的に、或いは相対的に回動して、前記機体に対して作業機が直接的に、或いは相対的に傾斜した場合においても、動力車の機体側と作業機との間に跨がった状態で横方向に配置されている動力伝達部材は、その一端に対して他端が上下動することとなるが、請求項2の発明では、前記動力伝達部材として、「軸長が変化し得るユニバーサルジョイント」を選択しているので、上記した理由により動力車の機体側から作業機の側に動力を支障なく伝達できる。この結果、動力を必要とする作業機を支障なく駆動できて、所定の作業を支障なく行える。
【0011】
請求項3の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して前記作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明の特徴的要件の一つである「作業機は、動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結されている構成」と、請求項2の発明の特徴的要件の一つである「作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されている構成」との双方を備えているので、請求項1及び同2の各発明の作用効果が同時に奏される。この結果、機械的な構成のみによって、動力車の機体に対して作業機を直接的に、或いは相対的に上下動させること、及び回動させることの双方を同時に実現できて、圃場面に対して作業機を常に正しい作業位置に位置させた状態で、所定の作業を行える。
【0013】
請求項4の発明は、田植え機により植え付けられた苗条の条数に対応する数の除草ロータを有する条間除草装置と、横方向の動力取出軸を有する動力車に連結されて、前記動力取出軸から伝達された動力により、前記苗条とほぼ直交する横方向に配置された多数の除草タインが横方向に往復移動して、前記条数の苗条の株間及び株元の除草を行う株間除草装置とを備えた水田除草機であって、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されていて、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して伝達される構成であることを特徴としている。
【0014】
除草作業中に、動力車の左右一対の車輪の沈降量が水田の耕盤の凹凸によって変化しても、水田除草機は、水田面に対する上下方向の位置を維持したまま、動力車の機体に対して相対的に上下動する。よって、作業中に一対の車輪の沈降量が変化しても、水田面に対して動力車の機体のみが上下動して、水田除草機を構成する条間及び株間の各除草装置は、水田面に対して設定された除草位置を保持しているために、上記した2種類の異なる除草作業を支障なく行える。また、水田除草機の作業中において、異なる条間に配置されている動力車の左右一対の車輪の沈降量が異なった状態になると、動力車の機体に対して水田除草機が相対的に回動して、機体が横方向に傾斜しても、水田除草機は、そのままほぼ水平の水田面に沿った除草姿勢を維持する。この結果、左右一対の車輪の沈降量の差異によって動力車の機体が横方向に傾斜しても、条間及び株間の双方の除草を支障なく行える。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4の発明を前提として、前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームと、前記リンク機構の影響を受けない補助フレームと、該補助フレームを貫通した状態で前記フレームと一体に上下動するばねロッドと、該ばねロッドに外嵌されて、自身の弾性復元力により前記フレームに装着された条間及び株間の各除草装置の接地圧を軽減させる圧縮ばねとを備えていることを特徴としている。
【0016】
圧縮ばねの復元力によって水田除草機の接地圧を軽減できるため、特に株間除草装置を構成する除草タインの土中への侵入量を少なくできる。即ち、水田除草機は、これを構成する条間除草機の各除草ロータのフロートが水田面に接地することにより、水田面に対する条間及び株間の各除草装置の侵入量を定めている。この結果、水田除草機の接地圧が大きくなると、各除草装置の土中への侵入量も大きくなって、除草タインの往復横移動時において、深く侵入した除草タインによって、苗条の根部までもが抉られて、苗条が大きく損傷されたり、甚だしい場合には、苗条が雑草と同様に除去されていわゆる「浮苗」となるのを効果的に防止して、株間除草を適正に行える。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明を前提として、前記フレームと補助フレームとの間に装着されて、動力車の機体に対するフレームの下降端位置を調整するための調整ロッドを備えていることを特徴としている。請求項6の発明では、動力車の一対の車輪の沈降量は、個々の水田の耕盤の状態によって異なるため、個々の水田に対応した水田除草機の最適な上下動範囲を選択できる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項4の発明を前提として、条間及び株間の各除草装置のフレームが、動力車の機体に対して回動して横方向に傾斜した傾斜姿勢から正規の水平姿勢への復帰を助ける復帰ばねを備えていることを特徴としている。請求項7の発明では、横方向に傾斜した水田除草機が水田面に倣うことにより水平姿勢(正規の除草姿勢)になるのに比較して、復帰ばねによって強制的に水田除草機を水平姿勢に復帰させるので、水平姿勢となるまでの復帰時間が少なくなる。この結果、未除草部が残る割合を少なくできて、除草効果が高められる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。このため、動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に上下動すると、「動力伝達部材」は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して上下動されるため、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力が伝達され、作業機を支障なく駆動できる。
【0020】
請求項2の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。このため、動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に回動すると、「動力伝達部材」は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して回動されるため、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力が伝達され、作業機を支障なく駆動できる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1の特徴要件と請求項2の特徴要件の双方を備えているため、請求項1及び2の発明の両方の作用効果が奏される。
【0022】
請求項4の発明では、動力車の機体に対して水田除草機が上下動、及び回動可能であるため、水田における除草作業を支障なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は歩行型動力車Aに装着された水田除草機Bの斜視図、図2は同じく正面図、図3は同じく側面図、図4は同じく平面図、図5は水田除草機Bの駆動系統図、図6は上下動装置Cの斜視図、図7は同じく平面図、図8は図7のX−X線断面図、図9は歩行型動力車Aの機体1と上下動装置Cとを分離させた状態を示す図、図10はロック装置Lの平面図、図11は図7のY−Y線断面図である。
【0024】
最初に、歩行型動力車Aについて説明する。図1ないし図4に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の後部には、エンジン2が搭載されていて、同じく底面部には、車軸支持部3が設けられている。前記車軸支持部3には、機体1の幅方向(横方向)に沿って断面六角形状の車軸4が貫通状態で支承されていて、該車軸4の両端部に、一対の主輪5が回り止め状態で装着されている。当然のことながら、一対の主輪5は、水田に植え付けられた苗条P(図2参照)を踏み付けないように、苗条Pどうしの間(条間)に配置されている。前記車軸4には、図示しない伝達機構を介してエンジン2の動力が伝達され、一対の主輪5が駆動回転される。また、前記エンジン2の動力は、図示しない伝達機構を介して機体1の前部に内装された動力取出軸6にも伝達される。本実施例の歩行型動力車Aの場合、前記動力取出軸6は、機体1の幅方向に沿って取付けられている。動力取出軸6の先端部は、機体1の側面部から突出されていて、当該突出部分に駆動プーリ7が装着されている。前記機体1の上面部にはハンドル支持部8が設けられていて、該ハンドル支持部8から一対の運転ハンドル9が、機体1の後方斜め上方に向かって、しかも両者の間隔を徐々に広げながら延設されている。一対の運転ハンドル9における屈曲部分には、機体1の幅方向に沿ってバー材9aが橋渡し状態で取付けられており、該バー材9aにより、一対の運転ハンドルの強度が確保されている。
【0025】
本実施例の歩行型動力車Aの機体1の後部には、一対の補助輪11が配設されている。即ち、前記機体1の背面部には、側面視において略L字状の補助輪フレーム12が後方に張出し状態で固着されていて、該補助輪フレーム12の上端部には、機体1の幅方向に沿って補助輪支持バー13が取付けられていて、その両端部には、一対の補助輪支柱14が高さ方向に沿って取付けられている。各補助輪支柱14の下端部に取付けられた補助輪ブラケット14aに、一対の補助輪11が回転自在に支承されている。本実施例の場合、一対の補助輪11の外径は、一対の主輪5の外径よりも小さく、機体1の前後方向に沿って各主輪5の直後方に配置されている。本実施例の歩行型動力車Aでは、一対の主輪5だけでなく一対の補助輪11をも備えているため、除草作業中における機体1の走行が安定するという利点がある。また、各補助輪ブラケット14aは、図示しない手段により、補助輪支持バー13に対して垂直面内で回動可能である。このため、水田F1 の端部等で歩行型動力車Aを旋回させる際に、一対の補助輪ブラケット14aを回動させて、各補助輪11を持ち上げることにより、前記歩行型動力車Aは一対の主輪5のみで支持され、旋回作業が容易になる。なお、図1において、15は、各補助輪11が水平面内で一定角度以上に回動することを抑止するための規制ばねである。
【0026】
次に、水田除草機Bについて説明する。図1ないし図4に示されるように、本実施例の水田除草機Bは、角筒状の除草機フレーム16に取付けられ、田植え機により植え付けられた苗条Pの条数に対応する数(本実施例の場合、5条で6個)の各除草ロータR1,R2,R3 が取付けられた条間除草装置U1 と、同じく前記苗条Pの苗条列とほぼ直交する横方向(歩行型動力車Aの機体1の進行方向と直交する方向で、機体1の幅方向に沿った方向)に、多数本の除草タイン17を往復移動させて、各苗条Pの株間及び株元の除草を行う株間除草装置U2 と、前記除草機フレーム16に取付けられた条間及び株間の各除草装置U1,U2 を上下動させるための上下動装置Cとを備えている。前記上下動装置Cは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動可能に連結されている。図5に示されるように、機体1に取付けられたエンジン2の動力は、上下動装置Cに横方向に沿って取付けられたユニバーサルジョイントJを介して株間除草装置U2 に伝達され、株間除草装置U2 を構成する多数本の除草タイン17が連続して往復横移動される。ここで、図4に示されるように、田植え機によって植え付けられた各苗条Pどうしの横方向の間隔(条間距離)をW1 と記載し、同じく縦方向(田植え機の進行方向)の間隔(株間距離)をW2 と記載する。通常の田植え機の場合、条間距離W1 は30cm又は33cmであり、株間距離W2 は10〜20cmである。また、苗条Pの植付け深さは、3cm前後である。
【0027】
上下動装置Cについて説明する。図6ないし図9に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の正面部には機体ブラケット18が固着されていて、該機体ブラケット18に、第1プーリブラケット19が着脱可能に装着される。即ち、図9に示されるように、機体ブラケット18の上下端部には、高さ方向及び水平方向に沿って各ピン嵌着溝18a,18b が設けられている。そして、第1プーリブラケット19の上下端部で、前記機体ブラケット18の各ピン嵌着溝18a,18b と対応する部分には、それぞれ連結ピン19a,19b が取付けられている。第1プーリブラケット19は、上側の連結ピン19aが機体ブラケット18の上側のピン嵌着溝18aに嵌着された後、下側の連結ピン19aが下側のピン嵌着溝18bに嵌着されることによって連結される。続いて、図示しないロック手段によって、機体ブラケット18と第1プーリブラケット19とが分離不能にロックされる。前記ロック手段を解除することにより、歩行型動力車Aの機体1から水田除草機Bを分離させることができる。このため、本実施例の水田除草機Bを、既存の歩行型動力車Aの機体1に装着させることもできる。また、水田除草機Bの保守・点検も容易である。前記第1プーリブラケット19の前面部には、段付き形状の水平支持軸21が前後方向に沿って突設されている。また、第1プーリブラケット19における幅方向の一端部の上端部には、第1プーリ支持部19bが前方に張出し状態で取付けられていて、第1プーリ22が回転自在に支承されている。そして、第1プーリ22と機体1の動力取出軸6に装着された駆動プーリ7に、駆動ベルト23が掛装されている。エンジン2を作動させると、動力取出軸6から駆動プーリ7及び駆動ベルト23を介して動力が伝達され、第1プーリ22が回転される。なお、図1において24は、テンションプーリである。
【0028】
図9に示されるように、水平支持軸21に回動外軸25が装着される。該回動外軸25は円筒状であり、軸方向の両端部に水平支持軸21の外径に対応する内径を有する各軸受25aが内装されている。回動外軸25は、2個の軸受25aにより、水平支持軸21に対してその軸心CLを中心に相対的に回動可能に支承されている。水平支持軸21と回動外軸25は、固定ボルト26と押え板27とにより一体に連結される。
【0029】
図6ないし図8に示されるように、回動外軸25の前面部には、平面視において略コの字状の固定側リンクブラケット28が固着されていて、同じく周面後部には、側面視において略L字状の上下動支持フレーム29が固着されている。固定側リンクブラケット28における幅方向の両側の上下端部には二対(片側に2本ずつで計4本)のリンク板31が、それらの後端部を回動可能にして取付けられている。各リンク板31の前端部は、前記固定リンクブラケット28とほぼ同一形状で、固定側リンクブラケット28と相対向して反対向きに配置された可動側リンクブラケット32に回動可能にして取付けられている。この結果、固定側と可動側の各リンクブラケット28,32と二対のリンク板31とにより、平行リンク機構が形成されていて、各リンク板31を回動させることにより、可動側リンクブラケット32は、固定側リンクブラケット28に対して平行に上下動される。前記可動側リンクブラケット32の前面部のほぼ中央部には、断面が方形角筒状の連結ブラケット33が、機体1の前後方向に沿って固着されている。連結ブラケット33の軸心は、各リンク板31がほぼ水平に配置された状態で、水平支持軸21の軸心CLとほぼ同一直線上に配置される。前記連結ブラケット33の先端部は、除草機フレーム16のほぼ中央部の上面に固着されている。
【0030】
図6ないし図8に示されるように、除草機フレーム16の上面で、連結ブラケット33の両側には一対の支柱34,35が立設されていて、各支柱34,35から後方に支持板部34a,35a が延設されている。一方側(水田除草機Bの正面視における左側)の支持板部34aの長さは長く、第1プーリ22と相対向する位置まで設けられているのに対し、他方側(同じく右側)の支持板部35aの長さは短く、一方側の支持板部34aの約半分である。そして、一方側の支持板部34aの後部(奥側)で、第1プーリ22と相対向する部分には、第2プーリ36が回転自在に支承されていると共に、前部(手前側)には、第3プーリ37が回転自在に支承されている。第2プーリ36と第3プーリ37には、伝動ベルト38が掛装されている。なお、図6において、39は、各プーリ22,36,37の支承軸22a,36a,37a を回転自在に支持するための軸受である。
【0031】
図7に示されるように、第1プーリ22と第2プーリ36とは、軸長を変化し得るユニバーサルジョイントJによって連結されている。本実施例の水田除草機Bの場合、ユニバーサルジョイントが、ほぼ横方向に配置されているため、水田除草機Bにおける動力伝達部分の長さが短くなるという利点がある。ユニバーサルジョイントJについて説明する。本実施例のユニバーサルジョイントJは、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a に取付けられた一対の自在継手部41が、可変ロッド部を介して連結された構成である。可変ロッド部は、第1プーリ22の側の自在継手部41に連結されたロッド受け部42と、第2プーリ36の側の自在継手部41に連結された断面六角形状のロッド43とから成る。自在継手部41とロッド受け部42、及び自在継手部41とロッド43は、それぞれ十字状のクロス連結部材41aによって連結されている。これにより、自在継手部41とロッド受け部42とは、前記クロス連結部材41aの中心部分41b(交差部分)を中心とする球面内で回動自在である。なお、図7においては、クロス連結部材41aの平面視における中心部分41bの位置を示している。第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a は、一対の自在継手部41の作用により、双方の軸心を合致させた状態だけでなく、それらをずらした状態であっても回転自在である。また、前記ロッド受け部42には、ロッド43の外形状に対応するロッド挿入孔42aが軸方向に設けられていて、前記ロッド43がロッド挿入孔42aに摺動自在にして挿入されている。このため、ロッド受け部42とロッド43の軸心は常に同一直線上に配置されていて、ロッド受け部42のロッド挿入孔42aに挿入されるロッド43の挿入長が変化することにより、可変ロッド部の全長が変化する。
【0032】
図6及び図8に示されるように、第1及び第2の各プーリ22,36は、二対のリンク板31をほぼ水平に配置させた状態(水平配置状態)で相対向する位置に配置される。このとき、各プーリ22,36の支承軸22a,36a 及び可変ロッド部は同一直線上に配置され、ユニバーサルジョイントJの全長は最も短くなる。換言すれば、ロッド43が、ロッド受け部42のロッド挿入孔42aに最も深く挿入される。図8に示されるように、二対のリンク板31が、それらの後端部(固定側リンクブラケット28との接続部分)を中心にして回動されると、可動側リンクブラケット32が固定側リンクブラケット28との平行を維持したまま上下動する。図8において、可動側リンクブラケット32が下降した状態を二点鎖線で示す。また、図6において、水田除草機Bに対して歩行型動力車Aの機体1が回動される場合における二対のリンク板31の最大回動角度をθ1 で示す。これに伴い、除草機フレーム16と一方側の支持板部34aも下降し、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれる(図14参照)。しかし、各支承軸22a,36a は対応する自在継手部41を介して連結されていて、しかも、各支承軸22a,36a の軸心のずれに伴って、ロッド受け部42に対するロッド43の挿入長さが変化するため、第1プーリ22に伝達されたエンジン2の動力を、ユニバーサルジョイントJを介してそのまま第2プーリ36に伝達させることができる。そして、第2プーリ36に伝達された動力が、伝動ベルト38を介して第3プーリ37に伝達される。
【0033】
図7及び図8に示されるように、一対の支柱34,35の上端部には、バー材44が橋渡し状態で取付けられている。そして、該バー材44の軸方向のほぼ中央部には、上方に向けてばねロッド45が回動可能にして装着されている。ばねロッド45の下端部には、後方(奥側)に向かってベース板45aが延設されていて、該ベース板45aの後端部にねじ棒46が、前記ばねロッド45と平行に立設されている。また、回動外軸25に固着された上下動支持フレーム29の前端部は、平面視において前記ベース板45aの直上部分まで延設されていて、前記ばねロッド45及びねじ棒46と対応する部分には、それぞれ機体1の前後方向に沿って長孔29a,29b が設けられている。前記ばねロッド45及び前記ねじ棒46は、対応する長孔29a,29b の部分を通って、上下動支持フレーム29から上方に突出されている。そして、ばねロッド45において上下動支持フレーム29の前端部から突出した部分に、圧縮ばね47が弾装状態で外嵌されている。圧縮ばね47の圧縮量は、ばねロッド45に取付けられた押え板48の取付位置を移動させることにより、調整可能である。また、ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの上方突出部分には、2個のナット体49が螺合されている。下側のナット体49にはフランジ部49aが設けられていて、該フランジ部49aの外径は、上下動支持フレーム29の前端部の幅よりも大きい(図10参照)。
【0034】
ここで、二対のリンク板31の水平配置状態(図8参照)で、前記ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの突出長(上下動支持フレーム29の前端部から下側のナット体49のフランジ部49aまでの高さ)をH1 とする。条間及び株間の各除草装置U1,U2 の自重により、除草機フレーム16が下降しようとする。それに伴い、可動側リンクブラケット32も下降される。ここで、固定側及び可動側の各リンクブラケット28,32は、二対のリンク板31から成る平行リンク機構を介して連結されているため、前記可動側リンクブラケット28は、垂直姿勢(高さ方向に沿った姿勢)を維持したまま下降され、前記二対のリンク板31は、それらの前端部を下傾させた状態に配置される。除草機フレーム16の下降に伴い、ばねロッド45及びねじ棒46も下降される。前記ばねロッド45に弾装された圧縮ばね47が更に圧縮されると共に、前記ねじ棒46に螺合された下側のナット体49のフランジ部49aが上下動支持フレーム29の前端部上面に当接する。上下動支持フレーム29は、固定側リンクブラケット28の側に配置された回動外軸25に取付けられていて、二対のリンク板31の回動(平行リンク機構)の影響を受けないため、除草機フレーム16は、下側のナット体49が上下動支持フレーム29に当接するまで下降される。換言すれば、除草機フレーム16の最大下降量(後述する一対の主輪5の最大沈降量D")は、二対のリンク板31の水平配置状態におけるねじ棒46の突出長H1 に等しい。即ち、前記突出長H1 を調整すること(ねじ棒46における2個のナット体49の螺合位置を調整すること)により、一対の主輪5の最大沈降量D”を調整することができる。
【0035】
図3に示されるように、除草中の水田除草機Bは、除草機フレーム16に配設された条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部が水田F1 の上面(水田面F0 )に接地した状態に配置される。前記除草機フレーム16の下降に伴い、前記圧縮ばね47が更に圧縮されようとする。前記圧縮ばね47の弾性復元力は、上下動支持フレーム29と押え板48との間で作用するが、前記上下動支持フレーム29は平行リンク機構の影響を受けないため、圧縮ばね47の弾性復元力は、上方向(即ち、除草機フレーム16の下降を妨げる方向)にのみ作用する。これは、圧縮ばね47の圧縮量を調整することにより、除草機フレーム16に配設された条間及び株間の各除草装置U1,U2 の水田面F0 への接地圧が調整可能であることを示している。即ち、前記圧縮ばね47の圧縮量を調整することにより、各除草装置U1,U2 の水田面F0 へ接地圧が軽減される。前記接地圧が大きくなると、各除草装置U1,U2 の土中への侵入量も大きくなって、水田F1 に深く侵入した除草タイン17が往復横移動(後述)される際に、苗条Pの根部までもが抉られて該苗条Pが大きく損傷されたり、甚だしい場合には苗条Pが雑草Qと同時に除去されて、いわゆる「浮苗」となるおそれがある。しかし、本実施例の水田除草機Bでは、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の水田面F0 への接地圧を軽減させることができるため、上記した不具合は生じない。
【0036】
前記除草機フレーム16を、平行リンク機構により下降させることができるだけでなく、上昇させることもできる。除草機フレーム16を上昇させるためには、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部を水田面F0 に押し付けて、水平支持軸21近傍の部分を中心にして、機体1を持ち上げるように回動させる。圧縮ばね47の弾性復元力に抗して除草機フレーム16が持ち上げられることにより、ねじ棒46の突出長H1 が大きくなる。本実施例の水田除草機Bには、除草機フレーム16を持ち上げた状態で保持するためのロック装置Lが配設されている。
【0037】
ロック装置Lについて説明する。図8及び図10に示されるように、上下動支持フレーム29の水平部分で、ねじ棒46よりも奥側には支柱51が立設されていて、該支柱51の上端部に水平板部51aが設けられている。前記水平板部51aの端部に立設された支点ピン52に、ストッパ板53が、水平面内で回動可能に支承されている。該ストッパ板53と水平板部51aとの間には、引張りばね54が取付けられていると共に、前記ストッパ板53の後端部には紐体55が取付けられている。通常の状態(水田除草機Bの使用状態)で、ストッパ板53は、ナット体49のフランジ部49aの直上に配置されていて、前記ストッパ板53は、作業者が紐体55を引っ張ることによって回動される。該紐体55は、一対の運転ハンドル9のバー材9aに取付けられたブロック体56に抜け止めが図られた状態で挿通され、前記バー材9aから垂れ下がっている(図1参照)。このため、作業者が、除草作業中であっても、ストッパ板53を容易に回動させることができる。
【0038】
ロック装置Lを作動させて、除草機フレーム16を持上げ状態で保持させるためには、次のように行う。作業者は、予め紐体55を引っ張ってストッパ板53を回動させ、ストッパ板53の先端部をナット体49のフランジ部49aの直上から退避させておく。その状態を、図10において二点鎖線で示す。前述したようにして、除草機フレーム16を上昇させてねじ棒46の突出長H1 を大きくし、前記フランジ部49aの底面部をストッパ板53よりも上方に配置させる。この状態で、作業者が紐体55の引張り力を解放すると、引張りばね54の引張り力によってストッパ板53が引き戻され、該ストッパ板53の先端部がフランジ部49aの下方に入り込む。除草機フレーム16を下降させると、フランジ部49aがストッパ板53に当接するため、前記除草機フレーム16はそれ以上の下降が不能となる。即ち、除草機フレーム16が、持上げ状態で保持される(ロックされる)。これにより、例えば畦端等で歩行型動力車Aを旋回させる作業が容易になる。
【0039】
本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に上下動可能であるばかりでなく、相対的に回動可能である。即ち、図6ないし図8に示されるように、上下動装置Cを構成する回動外軸25は、歩行型動力車Aの機体1に連結される第1プーリブラケット19の水平支持軸21に対して回動可能に支承されているため、上下動装置Cは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動可能である。しかも、第1プーリ22と第2プーリ36とは、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJを介して連結されている。この結果、上下動装置Cにおける二対のリンク板31の配置に関係なく、除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動自在である(図16参照)。図6において、歩行型動力車Aの機体1に対する除草機フレーム16の最大回動角度をθ2 で表す。
【0040】
そして、図8に示されるように、上下動支持フレーム29の後端部には、機体1の幅方向(横方向)に沿ってばね受け板57が取付けられている。ばね受け板57の両端部には、一対の復帰ばね58が取付けられている。各復帰ばね58の端部は、第1プーリブラケット19の上端面に取付けられている。歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bが、水平支持軸21の軸心CLを中心としていずれかの方向に相対的に回動したとき、回動方向と反対側の復帰ばね58が引っ張られる。前記復帰ばね58の弾性復元力が、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bの相対回動方向と逆方向に作用することにより、両者は迅速にして正規の除草状態(両者共に水平となった状態)に復帰される。
【0041】
次に、条間除草装置U1 について説明する。図1ないし図4に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の幅方向(横方向)に沿って設けられた除草機フレーム16は、前記機体1の両側方に大きく張り出していて、前記除草機フレーム16の前部に、複数条用(本実施例の場合、5条用)の条間除草装置U1 が配設されている。条間除草装置U1 は複数基の除草ロータR1,R2,R3 から成り、本実施例の場合、第1ないし第3の各除草ロータR1,R2,R3 が、田植え機で植えられた苗条Pの条間距離W1 に対応する一定の取付ピッチSをおいて、それぞれ2基ずつ(計6基)取付けられている。各除草ロータR1,R2,R3 の構成は略同一であるため、ここでは、第1除草ロータR1 の構成についてのみ詳細に説明し、第2及び第3の各除草ロータR2,R3 については、第1除草ロータR1 と異なる部分についてのみ説明する。図2ないし図4に示されるように、除草機フレーム16における長手方向の中央部近傍には2基の第1除草ロータR1 が取付けられていて、各除草ロータR1 を構成するロータ本体59は、正面視において略台形状の支持枠体61に対して回転自在に支承されている。ロータ本体59の周面部には、所定の角度をおいて複数枚(本実施例の場合、5枚)のロータ爪59aが、ロータ本体59の接線方向に沿って取付けられている。各ロータ爪59aは、条間の全体に亘って除草できるように、軸方向に位置をずらして取付けられている。また、前記支持枠体61におけるロータ本体59の支承部分から前方で、かつ斜め上方に向かって、平面視において略台形状の分草板62が取付けられている。
【0042】
前記支持枠体61には高さ調整ロッド63が立設されていて、除草機フレーム16に対する高さ調整ロッド63の取付け位置を調整することにより、各除草ロータR1 の高さ位置が調整される。即ち、除草機フレーム16の所定位置に嵌着された嵌着体64の前面部にはブラケット64aが固着されていて、該ブラケット64aに押圧ボルト64bが螺合されている。第1除草ロータR1 は、ブラケット64aに挿通させた高さ調整ロッド63に押圧ボルト64bを押圧させることにより、所定の高さ位置で保持される。前記ブラケット64aにおける高さ調整ロッド63の取付け位置を調整することにより、第1除草ロータR1 の高さ位置を調整できる。
【0043】
図2及び図4に示されるように、除草機フレーム16において2基の第1除草ロータR1 の外側には、苗条Pの条間距離W1 に対応する取付ピッチSをおいて、2基の第2除草ロータR2 が取付けられている。各第2除草ロータR2 の構成は、第1除草ロータR1 を構成する分草板62から複数本(本実施例の場合、3本)の支持部材62aが垂下されていて、各支持部材62aの下端部にフロート65が取付けられていることを除いて、第1除草ロータR1 の構成と同一である。同様に、各第2除草ロータR2 の外側には、2基の第3除草ロータR3 が取付けられている。各第3除草ロータR3 は、ロータ本体59’の長さが、前述した第1除草ロータR1 のロータ本体59の長さよりも短くなっていることを除いて、第1除草ロータR1 の構成と同一である。各除草ロータR1,R2,R3 を取付けるために除草機フレーム16に嵌着された各嵌着体64は、除草機フレーム16の長手方向に沿って移動可能である。これにより、田植え機によって植え付けられた苗条Pの条間距離W1 に対応して各除草ロータR1,R2,R3 の取付け位置を変更させることができる。また、除草機フレーム16を長手方向に延設させることにより、該除草機フレーム16に取付けられる各除草ロータR1,R2,R3 の個数を多くすることも可能である。
【0044】
次に、株間除草装置U2 について説明する。図1ないし図4に示されるように、除草機フレーム16の背面部には、苗条Pの株間及び株元の除草を行うための株間除草装置U2 が配設されている。図7及び図11に示されるように、除草機フレーム16における長手方向のほぼ中央部に立設された一対の支柱34,35には、それぞれ支持板部34a,35a が取付けられている。前述したように、一方側の支持板部34aの前部には軸受39が取付けられていて、他方側の支持板部35aにおいて前記軸受39と対応する部分にも軸受66が取付けられていて、一対の軸受39,66により、クランク軸67が回転自在に支承されている。クランク軸67には、機体1の幅方向(横方向)に所定の間隔をおいて2本の軸受ロッド68が装着されている。また、除草機フレーム16の背面部で、一対の支柱34,35と対応する部分には、後方に向かって一対の支点ピン69が突設されていて、各支点ピン69にベルクランクレバー71が背面視において対称形状に取付けられている。各ベルクランクレバー71は、対応する支点ピン69に対して回動自在である。
【0045】
前述した各軸受ロッド68と前記各ベルクランクレバー71の横側レバー部71aが、各軸受ロッド68の下端部から延設されたねじロッド72によって連結されている。各ベルクランクレバー71の下側レバー部71bは、除草機フレーム16の下方に、該除草機フレーム16とほぼ平行にして取付けられた連結バー73と回動可能に連結されている。また、図2に示されるように、除草機フレーム16と前記連結バー73とは、前記除草機フレーム16の両端部の近傍に取付けられた各連結ロッド74によっても連結されている。各連結ロッド74も、除草機フレーム16の背面部で、後方に突設された一対の支点ピン75により回動可能に連結されている。そして、前記連結バー73の下方には、一対の取付板76により連結バー73と平行にして可動ブラケット77が固着されている。
【0046】
図5の(イ),(ロ)に示されるように、歩行型動力車Aのエンジン2の動力が、動力取出軸6から第1ないし第3の各プーリ22,36,37を介してクランク軸67に伝達されると、該クランク軸67が回転される。これにより、クランク軸67の偏心量の2倍分だけ一対の軸受ロッド68が周回運動をしながら上下動される。それに伴い、一対のベルクランクレバー71及び一対の連結ロッド74も対応する支点ピン69,75の軸心を中心に往復回動される。このとき、図12に示されるように、一対の軸受ロッド68は、機体1の幅方向及び前後方向に対して斜めに配置されるが、前記クランク軸67は、各軸受ロッド68の球面軸受部68aに挿通されているため、支障はない。この結果、一対の可動ブラケット77が、水平を維持したまま、内側斜め上方に向かって連続して往復横移動される。
【0047】
図3に示されるように、前記一対の可動ブラケット77の正面部及び背面部には、それらの長手方向に所定間隔をおいて多数本の除草タイン17が取付けられている。各除草タイン17の下部は、後方に向かって約45°の角度で屈曲されていて、それらの先端部に波状の除草作用部17aが形成されている。本実施例の株間除草装置U2 は、所定の深さだけ水田F1 に入り込んだ各除草タイン17の除草作用部17aが、可動ブラケット77と一体になって往復横移動されることによって、苗条Pの株間及び株元の雑草Qを除去する。そして、本実施例の水田除草機Bでは、可動ブラケット77のほぼ全長に亘って除草タイン17が取付けられている。換言すれば、各除草ロータR1,R2,R3 の直後の部分にも除草タイン17が取付けられている。苗条Pの条間に生えている雑草Qは、各除草ロータR1,R2,R3 の作用によって除去されるため、各除草ロータR1,R2,R3 の直後に除草タイン17を取付けることは本来は必要の少ないことである。しかし、本実施例の水田除草機Bでは、上記した構成になっていることにより、苗条Pの条間に対応して各除草ロータR1,R2,R3 の取付ピッチSを変更する場合であっても、各除草タイン17の取付位置を変更しなくて済むという利点がある。
【0048】
本発明に係る水田除草機Bの作用について説明する。図13に示されるように、条間除草装置U1 は、一対の第2除草ロータR2 に取付けられたフロート65の下端部が、上下動装置Cを構成する二対のリンク板31の水平配置状態で水田面F0 に接地されるように調整されている。各フロート65により、水田面F0 に対する各除草ロータR1 〜R3 の侵入量が定められる。また、前記フロート65が、正面視におけるほぼ対称位置に設けられていることにより、除草作業中における水田除草機Bのバランスが維持される。また、株間除草装置U2 は、多数本の除草タイン17の除草作用部17aが、水田面F0 から所定の深さ(本実施例の場合、3cm程度)だけ土中に入り込むように調整されている。歩行型動力車Aのエンジン2が作動され、一対の主輪5が駆動回転されて水田除草機Bが走行される。本実施例の歩行型動力車Aには、一対の主輪5と共に一対の補助輪11が設けられているため、歩行型動力車Aがより安定して走行される。前記フロート65に対して、一対の主輪5及び一対の補助輪11は、歩行型動力車Aの自重により水田F1 内で沈降し、水田面F0 から所定深さ位置に存する耕盤F2 を走行する。ここで、水田F1 の土質によって一対の主輪5の沈降量Dが変化したり、前記耕盤F2 において機体1の走行方向に凹凸があっても、前記機体1と水田除草機Bとは、二対のリンク板31より成る平行リンク機構によって連結されているため、前記沈降量Dの変化、或いは耕盤F2 の凹凸に伴う機体1の相対上下動は前記平行リンク機構によって吸収される。この結果、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部は、水田面F0 から一定の深さ位置に保持される。この結果、水田F1 の土質に関係なく、条間及び株間の異なる2種類の除草作業を支障なく行うことができる。なお、現実の水田F1 には全面に亘って水が張られているが、図示を容易にするため水面を省略してある。
【0049】
上記した作用を、更に詳細に説明する。図13に示されるように、一対の主輪5が、水田面F0 から所定深さ(沈降量D)の耕盤F2 に配置された状態で、二対のリンク板31がほぼ水平に配置されるものとする。また、説明を簡単にするため、水田面F0 に対する条間及び株間の各除草装置U1,U2 の高さ位置は一定であり、水田F1 の土質に対応して歩行型動力車Aの機体1の高さ位置が変化するものとする。水田F1 の土質が硬い場合、一対の主輪5の沈降量Dは小さくなり、前記一対の主輪5は耕盤F2'に配置される。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも上方に配置され、平行リンク機構を構成する二対のリンク板31は、それらの後端部を斜め上方に傾斜させた状態に配置される。その状態を、図13において一点鎖線で示す。水田除草機Bの除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に下降されるため、第1プーリ22の支承軸22aと第2プーリ36の支承軸36aとの軸心が高さ方向にずれる(図14参照)。しかし、双方の支承軸22a,36a はユニバーサルジョイントJによって連結されていて、該ユニバーサルジョイントJの各自在継手部41の取付角度が変化し、かつ、可変ロッド部が伸縮する(この場合、長くなる)ことによって各支承軸22a,36a の高さ位置のずれが吸収される。この結果、第1プーリ22の回転力はそのまま第2プーリ36に伝達され、株間除草装置U2 の作動に支障をきたすことはない。
【0050】
上記したように、硬質の水田F1 における歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも上方に配置されるため、上下動支持フレーム29も、圧縮ばね47の弾性復元力に抗して上昇される。前記上下動支持フレーム29の最大上昇量は、ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの突出長H1 に等しい。即ち、本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの一対の主輪5が、通常の土質の耕盤F2 よりもねじ棒46の突出長H1 だけ高い位置に存する耕盤F2'を走行する場合であっても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 による除草作業に支障をきたすことはない。換言すれば、本実施例の水田除草機Bの場合、歩行型動力車Aの一対の主輪5の最小沈降量D’は、(D’=D−H1 )で表される。そして、前記ねじ棒46の突出長H1 は、ねじ棒46に対するナット体49の螺合位置が調整されることによって調整可能である。
【0051】
そして、水田F1 の土質が軟らかい場合、一対の主輪5の沈降量Dは大きくなり、前記一対の主輪5は耕盤F2"に配置される。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも下方に配置され、平行リンク機構を構成する二対のリンク板31は、それらの後端部を斜め下方に傾斜させた状態に配置される。その状態を、図13において二点鎖線で示す。水田除草機Bの除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に上昇されるため、前述した場合と同様に、第1プーリ22の支承軸22aと第2プーリ36の支承軸36aとの軸心が高さ方向にずれるが、ユニバーサルジョイントJの作用によって各支承軸22a,36a の高さ位置のずれが吸収され、株間除草装置U2 の作動に支障をきたすことはない。
【0052】
上記したように、軟質の水田F1 における歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも下方に配置されるため、上下動支持フレーム29も下降される。前記上下動支持フレーム29の最大下降量は、ねじ棒46におけるベース板45aから上下動支持フレーム29の下面までの高さH2 に等しい(図13参照)。即ち、本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの一対の主輪5が、通常の土質の耕盤F2 よりも高さH2 だけ低い位置の耕盤F2"を走行する場合であっても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 による除草作業に支障をきたすことはない。換言すれば、本実施例の水田除草機Bの場合、歩行型動力車Aの一対の主輪5の最大沈降量D”は、(D”=D+H2 )で表される。
【0053】
上記したように、水田F1 の土質によって一対の主輪5の沈降量Dは異なる。しかし、本実施例の水田除草機Bを構成する条間及び株間の各除草装置U1,U2 は、歩行型動力車Aの機体1に対して平行リンク機構を介して連結されていて、前記機体1は前記各除草装置U1,U2 に対して、ねじ棒46の突出長H1 及び高さH2 の範囲内で相対的に上下動可能である。即ち、図16の(ロ)に示されるように、機体1が上下動されることにより、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれて、機体1の側の自在継手部41とロッド受け部42とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bが垂直に上昇される。そのときの中心部分41bの軌跡78を一点鎖線で示す。しかし、ロッド43がロッド受け部42に入り込むことにより、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化して、前記各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心のずれが吸収されるため、水田除草機Bの側の自在継手部41とロッド43とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bの位置は不変である。即ち、上下動されるクロス連結部材41aの中心部分41bの高さ位置がずれることによって各クロス連結部材41aの中心部分41bどうしの距離が変化しても、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化することによって、駆動力を伝達可能である。これは、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bとが相対的に上下動しても、水田除草機Bの水平が維持されることを意味している。即ち、歩行型動力車Aの機体1が相対的に上下動しても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の高さ位置は不変であるため、各除草装置U1,U2 の作業に支障をきたすことはない。この結果、水田F1 の土質に関係なく、苗条Pの条間、株間及び株元の各除草を支障なく行うことができる。
【0054】
上記した作用は、通常の土質の耕盤F2 に凹凸がある場合であっても、前記耕盤F2 に対する最大盛上り量が突出長H1 以下であり、同じく最大へこみ量が高さH2 以下であれば、全く同様に適用される。また、上記の説明は、水田面F0 が水平であって、耕盤F2 が凹凸を有する場合であるが、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bは相対的に上下動されるため、耕盤F2 が水平であって水田面F0 が凹凸を有する場合、或いは、水田面F0 と耕盤F2 の双方が凹凸を有する場合であっても同様である。
【0055】
次に、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bが相対的に回動される場合の作用について説明する。図15に示されるように、条間除草装置U1 を構成する各第2除草ロータR2 のフロート65の下端部は水田面F0 に接地されていると共に、株間除草装置U2 を構成する各除草タイン17の除草作用部17aは、水田面F0 から所定深さだけ土中に入り込んでいる。歩行型動力車Aを構成する一対の主輪5は、水田面F0 から沈降量Dの深さ位置に存する耕盤F2 上に配置されている。
【0056】
ここで、水田面F0 は水平なままで、耕盤F2 が傾斜している場合を考える。この場合、正面視における歩行型動力車Aの機体が傾斜するが、水田除草機Bは、水平な水田面F0 に倣って、正面視における水平状態を維持する。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、水平支持軸21の軸心CLを中心に回動される。図15において、符号79の方向に回動した状態の機体1を一点鎖線で示す。そして、一対の復帰ばね58のうち、機体1の回動方向79と反対側の復帰ばね58が引っ張られ、回動方向79と同じ側の復帰ばね58が圧縮される。図16の(ロ)に示されるように、機体1が回動されることにより、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれて、機体1の側の自在継手部41とロッド受け部42とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bが、軸心CLを中心にして円弧状に回動される。そのときの軌跡81を、一点鎖線で示す。しかし、ロッド43がロッド受け部42に入り込むことにより、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化して、前記各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心のずれが吸収されるため、水田除草機Bの側の自在継手部41とロッド43とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bの位置は不変である。即ち、回動されるクロス連結部材41aの中心部分41bの位置が円弧状にずれることによって各クロス連結部材41aの中心部分41bどうしの距離が変化しても、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化することによって、駆動力を伝達可能である。これは、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bとが相対的に回動しても、水田除草機Bの水平が維持されることを意味している。この結果、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の除草作業に支障は生じない。
【0057】
耕盤F2 の傾斜が消滅すると、歩行型動力車Aの機体1も水平姿勢に復帰される。前記機体1は、前記一対の復帰ばね58のうち、引っ張られた側の復帰ばね58の弾性復元力により強制的に逆方向に回動されるため、水平姿勢となるまでの復帰時間が短くて済む。この結果、傾斜地であっても未除草部が残る割合が少なくなり、除草効果が高められる。
【0058】
上記した説明は、水田除草機Bに対して歩行型動力車Aの機体1が回動される場合であるが、両者の回動は相対的なものである。このため、耕盤F2 が水平であって水田面F0 が傾斜していて、歩行型動力車Aの機体1に対して水田除草機Bが回動される場合、或いは双方が同時に反対方向に回動される場合であっても構わない。
【0059】
特許文献1に開示された技術では、動力取出軸6が機体1の前後方向に沿って取付けられていて、この構成で機体1と水田除草機Bの相対的上下動及び相対的回動の双方を可能とするためには、複雑な機構や油圧装置を設けなければならない。これに対して、本発明に係る水田除草機Bでは、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJと平行リンク機構との併用による簡単な機械的な機構のみによって、機体1と水田除草機Bの相対的上下動及び相対的回動の双方を可能としている。この結果、水田除草機Bが安価となり、小規模な農家においても導入し易くなる。
【0060】
本実施例の水田除草機Bは5条用である。この条数は、先行して使用される田植え機の条数に対応して、田植え機と同数のものが使用される。このため、田植え機の条数に応じて、5条以外の条数、或いは、それ以外の条数であっても構わない。
【0061】
上記した実施例では、作業機が、歩行型動力車Aの機体1の前部に取付けられた水田除草機Bである場合について説明したが、作業機が、歩行型動力車Aの機体1の後部に取付けられた多連の中耕ロータ(図示せず)等であっても構わない。例えば、傾斜地において中耕作業を行う場合、傾斜地を走行する歩行型動力車Aの重心が低い側に寄る。このため、当該低い側の車輪への荷重が大きくなり、該車輪の土中への沈降量が大きくなる。また、復路においては、その逆の状況(往路と反対側の車輪の沈降量が大きくなる)が発生する。しかし、本発明により、歩行型動力車Aの機体1と多連の中耕ロータとは相対的に回動されるので、該多連の中耕ロータは常に正常な姿勢(水平姿勢)を保持する。この結果、傾斜地であっても中耕作業を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】歩行型動力車Aに装着された水田除草機Bの斜視図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】(イ)は水田除草機Bの駆動系統を示す平面図、(ロ)は同じく正面図である。
【図6】上下動装置Cの斜視図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】図7のX−X線断面図である。
【図9】歩行型動力車Aの機体1と上下動装置Cとを分離させた状態を示す図である。
【図10】ロック装置Lの平面図である。
【図11】図7のY−Y線断面図である。
【図12】株間除草装置U2 の作動状態を示す作用説明図である。
【図13】水田除草機Bに対して機体1が上下動する状態の作用説明図である。
【図14】(イ),(ロ)は、除草機フレーム16に対して機体1が上下動するときのユニバーサルジョイントJの作用説明図である。
【図15】水田除草機Bに対して機体1が回動する状態の作用説明図である。
【図16】(イ),(ロ)は、除草機フレーム16に対して機体1が回動するときのユニバーサルジョイントJの作用説明図である。
【符号の説明】
【0063】
A:歩行型動力車(動力車)
B:水田除草機(作業機)
C:上下動装置
J:ユニバーサルジョイント
P:苗条
R1,R2,R3 :除草ロータ
U1 :条間除草装置
U2 :株間除草装置
1:機体
6:動力取出軸
16:除草機フレーム(フレーム)
17:除草タイン
21:水平支持軸
29:上下動支持フレーム(補助フレーム)
31:リンク板(平行リンク機構)
45:ばねロッド
46:ねじ棒(調整ロッド)
47:圧縮ばね
58:復帰ばね
【技術分野】
【0001】
本発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置、及び水田除草機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書では、水田除草機の場合について説明する。田植え後の水田において、苗条の間、その株間及び株元に生えている雑草を除去するための水田除草機としては、乗用型動力車の後部に油圧により上下動可能に連結して使用するものは種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。乗用型動力車に装着して使用される水田除草機は、接地センサによって水田面に対する水田除草機の位置を検出して、水田除草機を油圧装置によって常に正規の除草位置に配置させる構成であって、区画面積が比較的大きな水田において使用されることが多い。
【0003】
ところが、わが国の水田事情においては、小区画の水田も多く存在し、小区画水田を保有する農家においては、生産コストの面からも、乗用型動力車に装着して使用される水田除草機を購入できないという事情もある。そこで、小区画水田に対応できて、比較的購入コストの低い歩行型動力車に装着して使用される水田除草機の開発が望まれている。この歩行型動力車に水田除草機を装着して使用可能にするには、歩行型動力車の一対の車輪の沈降量とは無関係に水田面に対して水田除草機が一定位置に位置すること(第1設計条件)と、左右の車輪の沈降量が異なっても水田除草機は水平を維持し得ること(第2設計条件)が必要不可欠となり、歩行型動力車には、乗用型動力車と異なって油圧装置を備えていないため、上記した構成を機械的な構成のみで実現することが不可欠となる。
【0004】
また、歩行型動力車は、乗用型動力車と異なって、その動力取出軸は、機体の進行方向と直交する横方向に沿って配置され、苗条の株間及び株元に生えている雑草を除去する株間除草装置は、前記動力取出軸から出力された動力によって駆動される構成となる。ここで、歩行型動力車の機体側から該機体に対して移動を伴う水田除草機の側に動力を伝達する必要があるので、株間除草装置に動力を伝達する機構の工夫も不可欠となる。
【特許文献1】特開2002−45002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機であっても、動力車の動力が作業機に伝達されて、前記作業機による作業が支障なく行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0007】
動力車の動力取出軸から出力された動力は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達されて、その作業部が連続回転、往復移動等の所定の運動を繰り返して行って、圃場に対して所定の作業を行う。ここで、動力車の進行方向に沿って動力車と作業機の各位置における圃場の耕盤に高さの差があったり、或いは圃場が水田の場合で作業機の左右一対の車輪が沈降したりした場合には、作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結されているために、機体に対して作業機が上下動したり、或いは作業機はその位置のままで、動力車が作業機に対して上下動する(動力車に対して作業機が相対的に上下動する)ことにより、作業機による所定の作業を支障なく行える。
【0008】
前記動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に上下動すると、作業機の動力取出軸から作業機の作業部に至る間の全体としての動力伝達機構を構成する部材のうち、動力車の機体側と作業機との間に跨がった状態で横方向に配置されている「動力伝達部材」は、その一端に対して他端が上下動することとなる。請求項1の発明においては、動力車の機体に対する作業機の直接的、或いは相対的な上下動に伴って、一端に対して他端が上下動する前記「動力伝達部材」として、「軸長が変化し得るユニバーサルジョイント」を選択しているので、作業機の上下動に伴って、「ユニバーサルジョイント」は、その軸長が変化しながら、動力車の機体側に支持された一端に対して作業機の側に支持された他端が上下動するために、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力伝達が可能となって、動力を必要とする作業機を支障なく駆動できる。また、前記ユニバーサルジョイントをほぼ横方向に配置することにより、作業機における動力伝達部分の長さが短くて済む。
【0009】
請求項2の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明においては、圃場の耕盤の傾斜が動力車と作業機の部分で異なっている場合や、圃場が水田であって動力車の左右一対の車輪の沈降量が異なる場合には、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されているために、前記機体に対して前記作業機が直接的に、或いは相対的に回動して、機体に対して作業機が直接的に、或いは相対的に横方向に傾斜しても前記作業機は所定の姿勢を保ち、所定の作業を支障なく行える。また、動力車の機体に対して作業機の全体がいずれかの方向に直接的に、或いは相対的に回動して、前記機体に対して作業機が直接的に、或いは相対的に傾斜した場合においても、動力車の機体側と作業機との間に跨がった状態で横方向に配置されている動力伝達部材は、その一端に対して他端が上下動することとなるが、請求項2の発明では、前記動力伝達部材として、「軸長が変化し得るユニバーサルジョイント」を選択しているので、上記した理由により動力車の機体側から作業機の側に動力を支障なく伝達できる。この結果、動力を必要とする作業機を支障なく駆動できて、所定の作業を支障なく行える。
【0011】
請求項3の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して前記作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明の特徴的要件の一つである「作業機は、動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結されている構成」と、請求項2の発明の特徴的要件の一つである「作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されている構成」との双方を備えているので、請求項1及び同2の各発明の作用効果が同時に奏される。この結果、機械的な構成のみによって、動力車の機体に対して作業機を直接的に、或いは相対的に上下動させること、及び回動させることの双方を同時に実現できて、圃場面に対して作業機を常に正しい作業位置に位置させた状態で、所定の作業を行える。
【0013】
請求項4の発明は、田植え機により植え付けられた苗条の条数に対応する数の除草ロータを有する条間除草装置と、横方向の動力取出軸を有する動力車に連結されて、前記動力取出軸から伝達された動力により、前記苗条とほぼ直交する横方向に配置された多数の除草タインが横方向に往復移動して、前記条数の苗条の株間及び株元の除草を行う株間除草装置とを備えた水田除草機であって、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されていて、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して伝達される構成であることを特徴としている。
【0014】
除草作業中に、動力車の左右一対の車輪の沈降量が水田の耕盤の凹凸によって変化しても、水田除草機は、水田面に対する上下方向の位置を維持したまま、動力車の機体に対して相対的に上下動する。よって、作業中に一対の車輪の沈降量が変化しても、水田面に対して動力車の機体のみが上下動して、水田除草機を構成する条間及び株間の各除草装置は、水田面に対して設定された除草位置を保持しているために、上記した2種類の異なる除草作業を支障なく行える。また、水田除草機の作業中において、異なる条間に配置されている動力車の左右一対の車輪の沈降量が異なった状態になると、動力車の機体に対して水田除草機が相対的に回動して、機体が横方向に傾斜しても、水田除草機は、そのままほぼ水平の水田面に沿った除草姿勢を維持する。この結果、左右一対の車輪の沈降量の差異によって動力車の機体が横方向に傾斜しても、条間及び株間の双方の除草を支障なく行える。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4の発明を前提として、前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームと、前記リンク機構の影響を受けない補助フレームと、該補助フレームを貫通した状態で前記フレームと一体に上下動するばねロッドと、該ばねロッドに外嵌されて、自身の弾性復元力により前記フレームに装着された条間及び株間の各除草装置の接地圧を軽減させる圧縮ばねとを備えていることを特徴としている。
【0016】
圧縮ばねの復元力によって水田除草機の接地圧を軽減できるため、特に株間除草装置を構成する除草タインの土中への侵入量を少なくできる。即ち、水田除草機は、これを構成する条間除草機の各除草ロータのフロートが水田面に接地することにより、水田面に対する条間及び株間の各除草装置の侵入量を定めている。この結果、水田除草機の接地圧が大きくなると、各除草装置の土中への侵入量も大きくなって、除草タインの往復横移動時において、深く侵入した除草タインによって、苗条の根部までもが抉られて、苗条が大きく損傷されたり、甚だしい場合には、苗条が雑草と同様に除去されていわゆる「浮苗」となるのを効果的に防止して、株間除草を適正に行える。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明を前提として、前記フレームと補助フレームとの間に装着されて、動力車の機体に対するフレームの下降端位置を調整するための調整ロッドを備えていることを特徴としている。請求項6の発明では、動力車の一対の車輪の沈降量は、個々の水田の耕盤の状態によって異なるため、個々の水田に対応した水田除草機の最適な上下動範囲を選択できる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項4の発明を前提として、条間及び株間の各除草装置のフレームが、動力車の機体に対して回動して横方向に傾斜した傾斜姿勢から正規の水平姿勢への復帰を助ける復帰ばねを備えていることを特徴としている。請求項7の発明では、横方向に傾斜した水田除草機が水田面に倣うことにより水平姿勢(正規の除草姿勢)になるのに比較して、復帰ばねによって強制的に水田除草機を水平姿勢に復帰させるので、水平姿勢となるまでの復帰時間が少なくなる。この結果、未除草部が残る割合を少なくできて、除草効果が高められる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。このため、動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に上下動すると、「動力伝達部材」は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して上下動されるため、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力が伝達され、作業機を支障なく駆動できる。
【0020】
請求項2の発明は、横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴としている。このため、動力車に対して作業機が直接に、或いは相対的に回動すると、「動力伝達部材」は、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して回動されるため、動力車に対する作業機の直接的な、或いは相対的な上下動とは無関係に動力が伝達され、作業機を支障なく駆動できる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1の特徴要件と請求項2の特徴要件の双方を備えているため、請求項1及び2の発明の両方の作用効果が奏される。
【0022】
請求項4の発明では、動力車の機体に対して水田除草機が上下動、及び回動可能であるため、水田における除草作業を支障なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。図1は歩行型動力車Aに装着された水田除草機Bの斜視図、図2は同じく正面図、図3は同じく側面図、図4は同じく平面図、図5は水田除草機Bの駆動系統図、図6は上下動装置Cの斜視図、図7は同じく平面図、図8は図7のX−X線断面図、図9は歩行型動力車Aの機体1と上下動装置Cとを分離させた状態を示す図、図10はロック装置Lの平面図、図11は図7のY−Y線断面図である。
【0024】
最初に、歩行型動力車Aについて説明する。図1ないし図4に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の後部には、エンジン2が搭載されていて、同じく底面部には、車軸支持部3が設けられている。前記車軸支持部3には、機体1の幅方向(横方向)に沿って断面六角形状の車軸4が貫通状態で支承されていて、該車軸4の両端部に、一対の主輪5が回り止め状態で装着されている。当然のことながら、一対の主輪5は、水田に植え付けられた苗条P(図2参照)を踏み付けないように、苗条Pどうしの間(条間)に配置されている。前記車軸4には、図示しない伝達機構を介してエンジン2の動力が伝達され、一対の主輪5が駆動回転される。また、前記エンジン2の動力は、図示しない伝達機構を介して機体1の前部に内装された動力取出軸6にも伝達される。本実施例の歩行型動力車Aの場合、前記動力取出軸6は、機体1の幅方向に沿って取付けられている。動力取出軸6の先端部は、機体1の側面部から突出されていて、当該突出部分に駆動プーリ7が装着されている。前記機体1の上面部にはハンドル支持部8が設けられていて、該ハンドル支持部8から一対の運転ハンドル9が、機体1の後方斜め上方に向かって、しかも両者の間隔を徐々に広げながら延設されている。一対の運転ハンドル9における屈曲部分には、機体1の幅方向に沿ってバー材9aが橋渡し状態で取付けられており、該バー材9aにより、一対の運転ハンドルの強度が確保されている。
【0025】
本実施例の歩行型動力車Aの機体1の後部には、一対の補助輪11が配設されている。即ち、前記機体1の背面部には、側面視において略L字状の補助輪フレーム12が後方に張出し状態で固着されていて、該補助輪フレーム12の上端部には、機体1の幅方向に沿って補助輪支持バー13が取付けられていて、その両端部には、一対の補助輪支柱14が高さ方向に沿って取付けられている。各補助輪支柱14の下端部に取付けられた補助輪ブラケット14aに、一対の補助輪11が回転自在に支承されている。本実施例の場合、一対の補助輪11の外径は、一対の主輪5の外径よりも小さく、機体1の前後方向に沿って各主輪5の直後方に配置されている。本実施例の歩行型動力車Aでは、一対の主輪5だけでなく一対の補助輪11をも備えているため、除草作業中における機体1の走行が安定するという利点がある。また、各補助輪ブラケット14aは、図示しない手段により、補助輪支持バー13に対して垂直面内で回動可能である。このため、水田F1 の端部等で歩行型動力車Aを旋回させる際に、一対の補助輪ブラケット14aを回動させて、各補助輪11を持ち上げることにより、前記歩行型動力車Aは一対の主輪5のみで支持され、旋回作業が容易になる。なお、図1において、15は、各補助輪11が水平面内で一定角度以上に回動することを抑止するための規制ばねである。
【0026】
次に、水田除草機Bについて説明する。図1ないし図4に示されるように、本実施例の水田除草機Bは、角筒状の除草機フレーム16に取付けられ、田植え機により植え付けられた苗条Pの条数に対応する数(本実施例の場合、5条で6個)の各除草ロータR1,R2,R3 が取付けられた条間除草装置U1 と、同じく前記苗条Pの苗条列とほぼ直交する横方向(歩行型動力車Aの機体1の進行方向と直交する方向で、機体1の幅方向に沿った方向)に、多数本の除草タイン17を往復移動させて、各苗条Pの株間及び株元の除草を行う株間除草装置U2 と、前記除草機フレーム16に取付けられた条間及び株間の各除草装置U1,U2 を上下動させるための上下動装置Cとを備えている。前記上下動装置Cは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動可能に連結されている。図5に示されるように、機体1に取付けられたエンジン2の動力は、上下動装置Cに横方向に沿って取付けられたユニバーサルジョイントJを介して株間除草装置U2 に伝達され、株間除草装置U2 を構成する多数本の除草タイン17が連続して往復横移動される。ここで、図4に示されるように、田植え機によって植え付けられた各苗条Pどうしの横方向の間隔(条間距離)をW1 と記載し、同じく縦方向(田植え機の進行方向)の間隔(株間距離)をW2 と記載する。通常の田植え機の場合、条間距離W1 は30cm又は33cmであり、株間距離W2 は10〜20cmである。また、苗条Pの植付け深さは、3cm前後である。
【0027】
上下動装置Cについて説明する。図6ないし図9に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の正面部には機体ブラケット18が固着されていて、該機体ブラケット18に、第1プーリブラケット19が着脱可能に装着される。即ち、図9に示されるように、機体ブラケット18の上下端部には、高さ方向及び水平方向に沿って各ピン嵌着溝18a,18b が設けられている。そして、第1プーリブラケット19の上下端部で、前記機体ブラケット18の各ピン嵌着溝18a,18b と対応する部分には、それぞれ連結ピン19a,19b が取付けられている。第1プーリブラケット19は、上側の連結ピン19aが機体ブラケット18の上側のピン嵌着溝18aに嵌着された後、下側の連結ピン19aが下側のピン嵌着溝18bに嵌着されることによって連結される。続いて、図示しないロック手段によって、機体ブラケット18と第1プーリブラケット19とが分離不能にロックされる。前記ロック手段を解除することにより、歩行型動力車Aの機体1から水田除草機Bを分離させることができる。このため、本実施例の水田除草機Bを、既存の歩行型動力車Aの機体1に装着させることもできる。また、水田除草機Bの保守・点検も容易である。前記第1プーリブラケット19の前面部には、段付き形状の水平支持軸21が前後方向に沿って突設されている。また、第1プーリブラケット19における幅方向の一端部の上端部には、第1プーリ支持部19bが前方に張出し状態で取付けられていて、第1プーリ22が回転自在に支承されている。そして、第1プーリ22と機体1の動力取出軸6に装着された駆動プーリ7に、駆動ベルト23が掛装されている。エンジン2を作動させると、動力取出軸6から駆動プーリ7及び駆動ベルト23を介して動力が伝達され、第1プーリ22が回転される。なお、図1において24は、テンションプーリである。
【0028】
図9に示されるように、水平支持軸21に回動外軸25が装着される。該回動外軸25は円筒状であり、軸方向の両端部に水平支持軸21の外径に対応する内径を有する各軸受25aが内装されている。回動外軸25は、2個の軸受25aにより、水平支持軸21に対してその軸心CLを中心に相対的に回動可能に支承されている。水平支持軸21と回動外軸25は、固定ボルト26と押え板27とにより一体に連結される。
【0029】
図6ないし図8に示されるように、回動外軸25の前面部には、平面視において略コの字状の固定側リンクブラケット28が固着されていて、同じく周面後部には、側面視において略L字状の上下動支持フレーム29が固着されている。固定側リンクブラケット28における幅方向の両側の上下端部には二対(片側に2本ずつで計4本)のリンク板31が、それらの後端部を回動可能にして取付けられている。各リンク板31の前端部は、前記固定リンクブラケット28とほぼ同一形状で、固定側リンクブラケット28と相対向して反対向きに配置された可動側リンクブラケット32に回動可能にして取付けられている。この結果、固定側と可動側の各リンクブラケット28,32と二対のリンク板31とにより、平行リンク機構が形成されていて、各リンク板31を回動させることにより、可動側リンクブラケット32は、固定側リンクブラケット28に対して平行に上下動される。前記可動側リンクブラケット32の前面部のほぼ中央部には、断面が方形角筒状の連結ブラケット33が、機体1の前後方向に沿って固着されている。連結ブラケット33の軸心は、各リンク板31がほぼ水平に配置された状態で、水平支持軸21の軸心CLとほぼ同一直線上に配置される。前記連結ブラケット33の先端部は、除草機フレーム16のほぼ中央部の上面に固着されている。
【0030】
図6ないし図8に示されるように、除草機フレーム16の上面で、連結ブラケット33の両側には一対の支柱34,35が立設されていて、各支柱34,35から後方に支持板部34a,35a が延設されている。一方側(水田除草機Bの正面視における左側)の支持板部34aの長さは長く、第1プーリ22と相対向する位置まで設けられているのに対し、他方側(同じく右側)の支持板部35aの長さは短く、一方側の支持板部34aの約半分である。そして、一方側の支持板部34aの後部(奥側)で、第1プーリ22と相対向する部分には、第2プーリ36が回転自在に支承されていると共に、前部(手前側)には、第3プーリ37が回転自在に支承されている。第2プーリ36と第3プーリ37には、伝動ベルト38が掛装されている。なお、図6において、39は、各プーリ22,36,37の支承軸22a,36a,37a を回転自在に支持するための軸受である。
【0031】
図7に示されるように、第1プーリ22と第2プーリ36とは、軸長を変化し得るユニバーサルジョイントJによって連結されている。本実施例の水田除草機Bの場合、ユニバーサルジョイントが、ほぼ横方向に配置されているため、水田除草機Bにおける動力伝達部分の長さが短くなるという利点がある。ユニバーサルジョイントJについて説明する。本実施例のユニバーサルジョイントJは、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a に取付けられた一対の自在継手部41が、可変ロッド部を介して連結された構成である。可変ロッド部は、第1プーリ22の側の自在継手部41に連結されたロッド受け部42と、第2プーリ36の側の自在継手部41に連結された断面六角形状のロッド43とから成る。自在継手部41とロッド受け部42、及び自在継手部41とロッド43は、それぞれ十字状のクロス連結部材41aによって連結されている。これにより、自在継手部41とロッド受け部42とは、前記クロス連結部材41aの中心部分41b(交差部分)を中心とする球面内で回動自在である。なお、図7においては、クロス連結部材41aの平面視における中心部分41bの位置を示している。第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a は、一対の自在継手部41の作用により、双方の軸心を合致させた状態だけでなく、それらをずらした状態であっても回転自在である。また、前記ロッド受け部42には、ロッド43の外形状に対応するロッド挿入孔42aが軸方向に設けられていて、前記ロッド43がロッド挿入孔42aに摺動自在にして挿入されている。このため、ロッド受け部42とロッド43の軸心は常に同一直線上に配置されていて、ロッド受け部42のロッド挿入孔42aに挿入されるロッド43の挿入長が変化することにより、可変ロッド部の全長が変化する。
【0032】
図6及び図8に示されるように、第1及び第2の各プーリ22,36は、二対のリンク板31をほぼ水平に配置させた状態(水平配置状態)で相対向する位置に配置される。このとき、各プーリ22,36の支承軸22a,36a 及び可変ロッド部は同一直線上に配置され、ユニバーサルジョイントJの全長は最も短くなる。換言すれば、ロッド43が、ロッド受け部42のロッド挿入孔42aに最も深く挿入される。図8に示されるように、二対のリンク板31が、それらの後端部(固定側リンクブラケット28との接続部分)を中心にして回動されると、可動側リンクブラケット32が固定側リンクブラケット28との平行を維持したまま上下動する。図8において、可動側リンクブラケット32が下降した状態を二点鎖線で示す。また、図6において、水田除草機Bに対して歩行型動力車Aの機体1が回動される場合における二対のリンク板31の最大回動角度をθ1 で示す。これに伴い、除草機フレーム16と一方側の支持板部34aも下降し、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれる(図14参照)。しかし、各支承軸22a,36a は対応する自在継手部41を介して連結されていて、しかも、各支承軸22a,36a の軸心のずれに伴って、ロッド受け部42に対するロッド43の挿入長さが変化するため、第1プーリ22に伝達されたエンジン2の動力を、ユニバーサルジョイントJを介してそのまま第2プーリ36に伝達させることができる。そして、第2プーリ36に伝達された動力が、伝動ベルト38を介して第3プーリ37に伝達される。
【0033】
図7及び図8に示されるように、一対の支柱34,35の上端部には、バー材44が橋渡し状態で取付けられている。そして、該バー材44の軸方向のほぼ中央部には、上方に向けてばねロッド45が回動可能にして装着されている。ばねロッド45の下端部には、後方(奥側)に向かってベース板45aが延設されていて、該ベース板45aの後端部にねじ棒46が、前記ばねロッド45と平行に立設されている。また、回動外軸25に固着された上下動支持フレーム29の前端部は、平面視において前記ベース板45aの直上部分まで延設されていて、前記ばねロッド45及びねじ棒46と対応する部分には、それぞれ機体1の前後方向に沿って長孔29a,29b が設けられている。前記ばねロッド45及び前記ねじ棒46は、対応する長孔29a,29b の部分を通って、上下動支持フレーム29から上方に突出されている。そして、ばねロッド45において上下動支持フレーム29の前端部から突出した部分に、圧縮ばね47が弾装状態で外嵌されている。圧縮ばね47の圧縮量は、ばねロッド45に取付けられた押え板48の取付位置を移動させることにより、調整可能である。また、ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの上方突出部分には、2個のナット体49が螺合されている。下側のナット体49にはフランジ部49aが設けられていて、該フランジ部49aの外径は、上下動支持フレーム29の前端部の幅よりも大きい(図10参照)。
【0034】
ここで、二対のリンク板31の水平配置状態(図8参照)で、前記ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの突出長(上下動支持フレーム29の前端部から下側のナット体49のフランジ部49aまでの高さ)をH1 とする。条間及び株間の各除草装置U1,U2 の自重により、除草機フレーム16が下降しようとする。それに伴い、可動側リンクブラケット32も下降される。ここで、固定側及び可動側の各リンクブラケット28,32は、二対のリンク板31から成る平行リンク機構を介して連結されているため、前記可動側リンクブラケット28は、垂直姿勢(高さ方向に沿った姿勢)を維持したまま下降され、前記二対のリンク板31は、それらの前端部を下傾させた状態に配置される。除草機フレーム16の下降に伴い、ばねロッド45及びねじ棒46も下降される。前記ばねロッド45に弾装された圧縮ばね47が更に圧縮されると共に、前記ねじ棒46に螺合された下側のナット体49のフランジ部49aが上下動支持フレーム29の前端部上面に当接する。上下動支持フレーム29は、固定側リンクブラケット28の側に配置された回動外軸25に取付けられていて、二対のリンク板31の回動(平行リンク機構)の影響を受けないため、除草機フレーム16は、下側のナット体49が上下動支持フレーム29に当接するまで下降される。換言すれば、除草機フレーム16の最大下降量(後述する一対の主輪5の最大沈降量D")は、二対のリンク板31の水平配置状態におけるねじ棒46の突出長H1 に等しい。即ち、前記突出長H1 を調整すること(ねじ棒46における2個のナット体49の螺合位置を調整すること)により、一対の主輪5の最大沈降量D”を調整することができる。
【0035】
図3に示されるように、除草中の水田除草機Bは、除草機フレーム16に配設された条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部が水田F1 の上面(水田面F0 )に接地した状態に配置される。前記除草機フレーム16の下降に伴い、前記圧縮ばね47が更に圧縮されようとする。前記圧縮ばね47の弾性復元力は、上下動支持フレーム29と押え板48との間で作用するが、前記上下動支持フレーム29は平行リンク機構の影響を受けないため、圧縮ばね47の弾性復元力は、上方向(即ち、除草機フレーム16の下降を妨げる方向)にのみ作用する。これは、圧縮ばね47の圧縮量を調整することにより、除草機フレーム16に配設された条間及び株間の各除草装置U1,U2 の水田面F0 への接地圧が調整可能であることを示している。即ち、前記圧縮ばね47の圧縮量を調整することにより、各除草装置U1,U2 の水田面F0 へ接地圧が軽減される。前記接地圧が大きくなると、各除草装置U1,U2 の土中への侵入量も大きくなって、水田F1 に深く侵入した除草タイン17が往復横移動(後述)される際に、苗条Pの根部までもが抉られて該苗条Pが大きく損傷されたり、甚だしい場合には苗条Pが雑草Qと同時に除去されて、いわゆる「浮苗」となるおそれがある。しかし、本実施例の水田除草機Bでは、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の水田面F0 への接地圧を軽減させることができるため、上記した不具合は生じない。
【0036】
前記除草機フレーム16を、平行リンク機構により下降させることができるだけでなく、上昇させることもできる。除草機フレーム16を上昇させるためには、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部を水田面F0 に押し付けて、水平支持軸21近傍の部分を中心にして、機体1を持ち上げるように回動させる。圧縮ばね47の弾性復元力に抗して除草機フレーム16が持ち上げられることにより、ねじ棒46の突出長H1 が大きくなる。本実施例の水田除草機Bには、除草機フレーム16を持ち上げた状態で保持するためのロック装置Lが配設されている。
【0037】
ロック装置Lについて説明する。図8及び図10に示されるように、上下動支持フレーム29の水平部分で、ねじ棒46よりも奥側には支柱51が立設されていて、該支柱51の上端部に水平板部51aが設けられている。前記水平板部51aの端部に立設された支点ピン52に、ストッパ板53が、水平面内で回動可能に支承されている。該ストッパ板53と水平板部51aとの間には、引張りばね54が取付けられていると共に、前記ストッパ板53の後端部には紐体55が取付けられている。通常の状態(水田除草機Bの使用状態)で、ストッパ板53は、ナット体49のフランジ部49aの直上に配置されていて、前記ストッパ板53は、作業者が紐体55を引っ張ることによって回動される。該紐体55は、一対の運転ハンドル9のバー材9aに取付けられたブロック体56に抜け止めが図られた状態で挿通され、前記バー材9aから垂れ下がっている(図1参照)。このため、作業者が、除草作業中であっても、ストッパ板53を容易に回動させることができる。
【0038】
ロック装置Lを作動させて、除草機フレーム16を持上げ状態で保持させるためには、次のように行う。作業者は、予め紐体55を引っ張ってストッパ板53を回動させ、ストッパ板53の先端部をナット体49のフランジ部49aの直上から退避させておく。その状態を、図10において二点鎖線で示す。前述したようにして、除草機フレーム16を上昇させてねじ棒46の突出長H1 を大きくし、前記フランジ部49aの底面部をストッパ板53よりも上方に配置させる。この状態で、作業者が紐体55の引張り力を解放すると、引張りばね54の引張り力によってストッパ板53が引き戻され、該ストッパ板53の先端部がフランジ部49aの下方に入り込む。除草機フレーム16を下降させると、フランジ部49aがストッパ板53に当接するため、前記除草機フレーム16はそれ以上の下降が不能となる。即ち、除草機フレーム16が、持上げ状態で保持される(ロックされる)。これにより、例えば畦端等で歩行型動力車Aを旋回させる作業が容易になる。
【0039】
本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に上下動可能であるばかりでなく、相対的に回動可能である。即ち、図6ないし図8に示されるように、上下動装置Cを構成する回動外軸25は、歩行型動力車Aの機体1に連結される第1プーリブラケット19の水平支持軸21に対して回動可能に支承されているため、上下動装置Cは、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動可能である。しかも、第1プーリ22と第2プーリ36とは、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJを介して連結されている。この結果、上下動装置Cにおける二対のリンク板31の配置に関係なく、除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に回動自在である(図16参照)。図6において、歩行型動力車Aの機体1に対する除草機フレーム16の最大回動角度をθ2 で表す。
【0040】
そして、図8に示されるように、上下動支持フレーム29の後端部には、機体1の幅方向(横方向)に沿ってばね受け板57が取付けられている。ばね受け板57の両端部には、一対の復帰ばね58が取付けられている。各復帰ばね58の端部は、第1プーリブラケット19の上端面に取付けられている。歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bが、水平支持軸21の軸心CLを中心としていずれかの方向に相対的に回動したとき、回動方向と反対側の復帰ばね58が引っ張られる。前記復帰ばね58の弾性復元力が、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bの相対回動方向と逆方向に作用することにより、両者は迅速にして正規の除草状態(両者共に水平となった状態)に復帰される。
【0041】
次に、条間除草装置U1 について説明する。図1ないし図4に示されるように、歩行型動力車Aの機体1の幅方向(横方向)に沿って設けられた除草機フレーム16は、前記機体1の両側方に大きく張り出していて、前記除草機フレーム16の前部に、複数条用(本実施例の場合、5条用)の条間除草装置U1 が配設されている。条間除草装置U1 は複数基の除草ロータR1,R2,R3 から成り、本実施例の場合、第1ないし第3の各除草ロータR1,R2,R3 が、田植え機で植えられた苗条Pの条間距離W1 に対応する一定の取付ピッチSをおいて、それぞれ2基ずつ(計6基)取付けられている。各除草ロータR1,R2,R3 の構成は略同一であるため、ここでは、第1除草ロータR1 の構成についてのみ詳細に説明し、第2及び第3の各除草ロータR2,R3 については、第1除草ロータR1 と異なる部分についてのみ説明する。図2ないし図4に示されるように、除草機フレーム16における長手方向の中央部近傍には2基の第1除草ロータR1 が取付けられていて、各除草ロータR1 を構成するロータ本体59は、正面視において略台形状の支持枠体61に対して回転自在に支承されている。ロータ本体59の周面部には、所定の角度をおいて複数枚(本実施例の場合、5枚)のロータ爪59aが、ロータ本体59の接線方向に沿って取付けられている。各ロータ爪59aは、条間の全体に亘って除草できるように、軸方向に位置をずらして取付けられている。また、前記支持枠体61におけるロータ本体59の支承部分から前方で、かつ斜め上方に向かって、平面視において略台形状の分草板62が取付けられている。
【0042】
前記支持枠体61には高さ調整ロッド63が立設されていて、除草機フレーム16に対する高さ調整ロッド63の取付け位置を調整することにより、各除草ロータR1 の高さ位置が調整される。即ち、除草機フレーム16の所定位置に嵌着された嵌着体64の前面部にはブラケット64aが固着されていて、該ブラケット64aに押圧ボルト64bが螺合されている。第1除草ロータR1 は、ブラケット64aに挿通させた高さ調整ロッド63に押圧ボルト64bを押圧させることにより、所定の高さ位置で保持される。前記ブラケット64aにおける高さ調整ロッド63の取付け位置を調整することにより、第1除草ロータR1 の高さ位置を調整できる。
【0043】
図2及び図4に示されるように、除草機フレーム16において2基の第1除草ロータR1 の外側には、苗条Pの条間距離W1 に対応する取付ピッチSをおいて、2基の第2除草ロータR2 が取付けられている。各第2除草ロータR2 の構成は、第1除草ロータR1 を構成する分草板62から複数本(本実施例の場合、3本)の支持部材62aが垂下されていて、各支持部材62aの下端部にフロート65が取付けられていることを除いて、第1除草ロータR1 の構成と同一である。同様に、各第2除草ロータR2 の外側には、2基の第3除草ロータR3 が取付けられている。各第3除草ロータR3 は、ロータ本体59’の長さが、前述した第1除草ロータR1 のロータ本体59の長さよりも短くなっていることを除いて、第1除草ロータR1 の構成と同一である。各除草ロータR1,R2,R3 を取付けるために除草機フレーム16に嵌着された各嵌着体64は、除草機フレーム16の長手方向に沿って移動可能である。これにより、田植え機によって植え付けられた苗条Pの条間距離W1 に対応して各除草ロータR1,R2,R3 の取付け位置を変更させることができる。また、除草機フレーム16を長手方向に延設させることにより、該除草機フレーム16に取付けられる各除草ロータR1,R2,R3 の個数を多くすることも可能である。
【0044】
次に、株間除草装置U2 について説明する。図1ないし図4に示されるように、除草機フレーム16の背面部には、苗条Pの株間及び株元の除草を行うための株間除草装置U2 が配設されている。図7及び図11に示されるように、除草機フレーム16における長手方向のほぼ中央部に立設された一対の支柱34,35には、それぞれ支持板部34a,35a が取付けられている。前述したように、一方側の支持板部34aの前部には軸受39が取付けられていて、他方側の支持板部35aにおいて前記軸受39と対応する部分にも軸受66が取付けられていて、一対の軸受39,66により、クランク軸67が回転自在に支承されている。クランク軸67には、機体1の幅方向(横方向)に所定の間隔をおいて2本の軸受ロッド68が装着されている。また、除草機フレーム16の背面部で、一対の支柱34,35と対応する部分には、後方に向かって一対の支点ピン69が突設されていて、各支点ピン69にベルクランクレバー71が背面視において対称形状に取付けられている。各ベルクランクレバー71は、対応する支点ピン69に対して回動自在である。
【0045】
前述した各軸受ロッド68と前記各ベルクランクレバー71の横側レバー部71aが、各軸受ロッド68の下端部から延設されたねじロッド72によって連結されている。各ベルクランクレバー71の下側レバー部71bは、除草機フレーム16の下方に、該除草機フレーム16とほぼ平行にして取付けられた連結バー73と回動可能に連結されている。また、図2に示されるように、除草機フレーム16と前記連結バー73とは、前記除草機フレーム16の両端部の近傍に取付けられた各連結ロッド74によっても連結されている。各連結ロッド74も、除草機フレーム16の背面部で、後方に突設された一対の支点ピン75により回動可能に連結されている。そして、前記連結バー73の下方には、一対の取付板76により連結バー73と平行にして可動ブラケット77が固着されている。
【0046】
図5の(イ),(ロ)に示されるように、歩行型動力車Aのエンジン2の動力が、動力取出軸6から第1ないし第3の各プーリ22,36,37を介してクランク軸67に伝達されると、該クランク軸67が回転される。これにより、クランク軸67の偏心量の2倍分だけ一対の軸受ロッド68が周回運動をしながら上下動される。それに伴い、一対のベルクランクレバー71及び一対の連結ロッド74も対応する支点ピン69,75の軸心を中心に往復回動される。このとき、図12に示されるように、一対の軸受ロッド68は、機体1の幅方向及び前後方向に対して斜めに配置されるが、前記クランク軸67は、各軸受ロッド68の球面軸受部68aに挿通されているため、支障はない。この結果、一対の可動ブラケット77が、水平を維持したまま、内側斜め上方に向かって連続して往復横移動される。
【0047】
図3に示されるように、前記一対の可動ブラケット77の正面部及び背面部には、それらの長手方向に所定間隔をおいて多数本の除草タイン17が取付けられている。各除草タイン17の下部は、後方に向かって約45°の角度で屈曲されていて、それらの先端部に波状の除草作用部17aが形成されている。本実施例の株間除草装置U2 は、所定の深さだけ水田F1 に入り込んだ各除草タイン17の除草作用部17aが、可動ブラケット77と一体になって往復横移動されることによって、苗条Pの株間及び株元の雑草Qを除去する。そして、本実施例の水田除草機Bでは、可動ブラケット77のほぼ全長に亘って除草タイン17が取付けられている。換言すれば、各除草ロータR1,R2,R3 の直後の部分にも除草タイン17が取付けられている。苗条Pの条間に生えている雑草Qは、各除草ロータR1,R2,R3 の作用によって除去されるため、各除草ロータR1,R2,R3 の直後に除草タイン17を取付けることは本来は必要の少ないことである。しかし、本実施例の水田除草機Bでは、上記した構成になっていることにより、苗条Pの条間に対応して各除草ロータR1,R2,R3 の取付ピッチSを変更する場合であっても、各除草タイン17の取付位置を変更しなくて済むという利点がある。
【0048】
本発明に係る水田除草機Bの作用について説明する。図13に示されるように、条間除草装置U1 は、一対の第2除草ロータR2 に取付けられたフロート65の下端部が、上下動装置Cを構成する二対のリンク板31の水平配置状態で水田面F0 に接地されるように調整されている。各フロート65により、水田面F0 に対する各除草ロータR1 〜R3 の侵入量が定められる。また、前記フロート65が、正面視におけるほぼ対称位置に設けられていることにより、除草作業中における水田除草機Bのバランスが維持される。また、株間除草装置U2 は、多数本の除草タイン17の除草作用部17aが、水田面F0 から所定の深さ(本実施例の場合、3cm程度)だけ土中に入り込むように調整されている。歩行型動力車Aのエンジン2が作動され、一対の主輪5が駆動回転されて水田除草機Bが走行される。本実施例の歩行型動力車Aには、一対の主輪5と共に一対の補助輪11が設けられているため、歩行型動力車Aがより安定して走行される。前記フロート65に対して、一対の主輪5及び一対の補助輪11は、歩行型動力車Aの自重により水田F1 内で沈降し、水田面F0 から所定深さ位置に存する耕盤F2 を走行する。ここで、水田F1 の土質によって一対の主輪5の沈降量Dが変化したり、前記耕盤F2 において機体1の走行方向に凹凸があっても、前記機体1と水田除草機Bとは、二対のリンク板31より成る平行リンク機構によって連結されているため、前記沈降量Dの変化、或いは耕盤F2 の凹凸に伴う機体1の相対上下動は前記平行リンク機構によって吸収される。この結果、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の下端部は、水田面F0 から一定の深さ位置に保持される。この結果、水田F1 の土質に関係なく、条間及び株間の異なる2種類の除草作業を支障なく行うことができる。なお、現実の水田F1 には全面に亘って水が張られているが、図示を容易にするため水面を省略してある。
【0049】
上記した作用を、更に詳細に説明する。図13に示されるように、一対の主輪5が、水田面F0 から所定深さ(沈降量D)の耕盤F2 に配置された状態で、二対のリンク板31がほぼ水平に配置されるものとする。また、説明を簡単にするため、水田面F0 に対する条間及び株間の各除草装置U1,U2 の高さ位置は一定であり、水田F1 の土質に対応して歩行型動力車Aの機体1の高さ位置が変化するものとする。水田F1 の土質が硬い場合、一対の主輪5の沈降量Dは小さくなり、前記一対の主輪5は耕盤F2'に配置される。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも上方に配置され、平行リンク機構を構成する二対のリンク板31は、それらの後端部を斜め上方に傾斜させた状態に配置される。その状態を、図13において一点鎖線で示す。水田除草機Bの除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に下降されるため、第1プーリ22の支承軸22aと第2プーリ36の支承軸36aとの軸心が高さ方向にずれる(図14参照)。しかし、双方の支承軸22a,36a はユニバーサルジョイントJによって連結されていて、該ユニバーサルジョイントJの各自在継手部41の取付角度が変化し、かつ、可変ロッド部が伸縮する(この場合、長くなる)ことによって各支承軸22a,36a の高さ位置のずれが吸収される。この結果、第1プーリ22の回転力はそのまま第2プーリ36に伝達され、株間除草装置U2 の作動に支障をきたすことはない。
【0050】
上記したように、硬質の水田F1 における歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも上方に配置されるため、上下動支持フレーム29も、圧縮ばね47の弾性復元力に抗して上昇される。前記上下動支持フレーム29の最大上昇量は、ねじ棒46における上下動支持フレーム29からの突出長H1 に等しい。即ち、本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの一対の主輪5が、通常の土質の耕盤F2 よりもねじ棒46の突出長H1 だけ高い位置に存する耕盤F2'を走行する場合であっても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 による除草作業に支障をきたすことはない。換言すれば、本実施例の水田除草機Bの場合、歩行型動力車Aの一対の主輪5の最小沈降量D’は、(D’=D−H1 )で表される。そして、前記ねじ棒46の突出長H1 は、ねじ棒46に対するナット体49の螺合位置が調整されることによって調整可能である。
【0051】
そして、水田F1 の土質が軟らかい場合、一対の主輪5の沈降量Dは大きくなり、前記一対の主輪5は耕盤F2"に配置される。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも下方に配置され、平行リンク機構を構成する二対のリンク板31は、それらの後端部を斜め下方に傾斜させた状態に配置される。その状態を、図13において二点鎖線で示す。水田除草機Bの除草機フレーム16は、歩行型動力車Aの機体1に対して相対的に上昇されるため、前述した場合と同様に、第1プーリ22の支承軸22aと第2プーリ36の支承軸36aとの軸心が高さ方向にずれるが、ユニバーサルジョイントJの作用によって各支承軸22a,36a の高さ位置のずれが吸収され、株間除草装置U2 の作動に支障をきたすことはない。
【0052】
上記したように、軟質の水田F1 における歩行型動力車Aの機体1は、通常の土質の耕盤F2 における機体1よりも下方に配置されるため、上下動支持フレーム29も下降される。前記上下動支持フレーム29の最大下降量は、ねじ棒46におけるベース板45aから上下動支持フレーム29の下面までの高さH2 に等しい(図13参照)。即ち、本実施例の水田除草機Bは、歩行型動力車Aの一対の主輪5が、通常の土質の耕盤F2 よりも高さH2 だけ低い位置の耕盤F2"を走行する場合であっても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 による除草作業に支障をきたすことはない。換言すれば、本実施例の水田除草機Bの場合、歩行型動力車Aの一対の主輪5の最大沈降量D”は、(D”=D+H2 )で表される。
【0053】
上記したように、水田F1 の土質によって一対の主輪5の沈降量Dは異なる。しかし、本実施例の水田除草機Bを構成する条間及び株間の各除草装置U1,U2 は、歩行型動力車Aの機体1に対して平行リンク機構を介して連結されていて、前記機体1は前記各除草装置U1,U2 に対して、ねじ棒46の突出長H1 及び高さH2 の範囲内で相対的に上下動可能である。即ち、図16の(ロ)に示されるように、機体1が上下動されることにより、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれて、機体1の側の自在継手部41とロッド受け部42とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bが垂直に上昇される。そのときの中心部分41bの軌跡78を一点鎖線で示す。しかし、ロッド43がロッド受け部42に入り込むことにより、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化して、前記各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心のずれが吸収されるため、水田除草機Bの側の自在継手部41とロッド43とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bの位置は不変である。即ち、上下動されるクロス連結部材41aの中心部分41bの高さ位置がずれることによって各クロス連結部材41aの中心部分41bどうしの距離が変化しても、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化することによって、駆動力を伝達可能である。これは、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bとが相対的に上下動しても、水田除草機Bの水平が維持されることを意味している。即ち、歩行型動力車Aの機体1が相対的に上下動しても、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の高さ位置は不変であるため、各除草装置U1,U2 の作業に支障をきたすことはない。この結果、水田F1 の土質に関係なく、苗条Pの条間、株間及び株元の各除草を支障なく行うことができる。
【0054】
上記した作用は、通常の土質の耕盤F2 に凹凸がある場合であっても、前記耕盤F2 に対する最大盛上り量が突出長H1 以下であり、同じく最大へこみ量が高さH2 以下であれば、全く同様に適用される。また、上記の説明は、水田面F0 が水平であって、耕盤F2 が凹凸を有する場合であるが、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bは相対的に上下動されるため、耕盤F2 が水平であって水田面F0 が凹凸を有する場合、或いは、水田面F0 と耕盤F2 の双方が凹凸を有する場合であっても同様である。
【0055】
次に、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bが相対的に回動される場合の作用について説明する。図15に示されるように、条間除草装置U1 を構成する各第2除草ロータR2 のフロート65の下端部は水田面F0 に接地されていると共に、株間除草装置U2 を構成する各除草タイン17の除草作用部17aは、水田面F0 から所定深さだけ土中に入り込んでいる。歩行型動力車Aを構成する一対の主輪5は、水田面F0 から沈降量Dの深さ位置に存する耕盤F2 上に配置されている。
【0056】
ここで、水田面F0 は水平なままで、耕盤F2 が傾斜している場合を考える。この場合、正面視における歩行型動力車Aの機体が傾斜するが、水田除草機Bは、水平な水田面F0 に倣って、正面視における水平状態を維持する。このとき、歩行型動力車Aの機体1は、水平支持軸21の軸心CLを中心に回動される。図15において、符号79の方向に回動した状態の機体1を一点鎖線で示す。そして、一対の復帰ばね58のうち、機体1の回動方向79と反対側の復帰ばね58が引っ張られ、回動方向79と同じ側の復帰ばね58が圧縮される。図16の(ロ)に示されるように、機体1が回動されることにより、第1及び第2の各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心がずれて、機体1の側の自在継手部41とロッド受け部42とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bが、軸心CLを中心にして円弧状に回動される。そのときの軌跡81を、一点鎖線で示す。しかし、ロッド43がロッド受け部42に入り込むことにより、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化して、前記各プーリ22,36の支承軸22a,36a の軸心のずれが吸収されるため、水田除草機Bの側の自在継手部41とロッド43とを連結するクロス連結部材41aの中心部分41bの位置は不変である。即ち、回動されるクロス連結部材41aの中心部分41bの位置が円弧状にずれることによって各クロス連結部材41aの中心部分41bどうしの距離が変化しても、ユニバーサルジョイントJの軸長が変化することによって、駆動力を伝達可能である。これは、歩行型動力車Aの機体1と水田除草機Bとが相対的に回動しても、水田除草機Bの水平が維持されることを意味している。この結果、条間及び株間の各除草装置U1,U2 の除草作業に支障は生じない。
【0057】
耕盤F2 の傾斜が消滅すると、歩行型動力車Aの機体1も水平姿勢に復帰される。前記機体1は、前記一対の復帰ばね58のうち、引っ張られた側の復帰ばね58の弾性復元力により強制的に逆方向に回動されるため、水平姿勢となるまでの復帰時間が短くて済む。この結果、傾斜地であっても未除草部が残る割合が少なくなり、除草効果が高められる。
【0058】
上記した説明は、水田除草機Bに対して歩行型動力車Aの機体1が回動される場合であるが、両者の回動は相対的なものである。このため、耕盤F2 が水平であって水田面F0 が傾斜していて、歩行型動力車Aの機体1に対して水田除草機Bが回動される場合、或いは双方が同時に反対方向に回動される場合であっても構わない。
【0059】
特許文献1に開示された技術では、動力取出軸6が機体1の前後方向に沿って取付けられていて、この構成で機体1と水田除草機Bの相対的上下動及び相対的回動の双方を可能とするためには、複雑な機構や油圧装置を設けなければならない。これに対して、本発明に係る水田除草機Bでは、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントJと平行リンク機構との併用による簡単な機械的な機構のみによって、機体1と水田除草機Bの相対的上下動及び相対的回動の双方を可能としている。この結果、水田除草機Bが安価となり、小規模な農家においても導入し易くなる。
【0060】
本実施例の水田除草機Bは5条用である。この条数は、先行して使用される田植え機の条数に対応して、田植え機と同数のものが使用される。このため、田植え機の条数に応じて、5条以外の条数、或いは、それ以外の条数であっても構わない。
【0061】
上記した実施例では、作業機が、歩行型動力車Aの機体1の前部に取付けられた水田除草機Bである場合について説明したが、作業機が、歩行型動力車Aの機体1の後部に取付けられた多連の中耕ロータ(図示せず)等であっても構わない。例えば、傾斜地において中耕作業を行う場合、傾斜地を走行する歩行型動力車Aの重心が低い側に寄る。このため、当該低い側の車輪への荷重が大きくなり、該車輪の土中への沈降量が大きくなる。また、復路においては、その逆の状況(往路と反対側の車輪の沈降量が大きくなる)が発生する。しかし、本発明により、歩行型動力車Aの機体1と多連の中耕ロータとは相対的に回動されるので、該多連の中耕ロータは常に正常な姿勢(水平姿勢)を保持する。この結果、傾斜地であっても中耕作業を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】歩行型動力車Aに装着された水田除草機Bの斜視図である。
【図2】同じく正面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】同じく平面図である。
【図5】(イ)は水田除草機Bの駆動系統を示す平面図、(ロ)は同じく正面図である。
【図6】上下動装置Cの斜視図である。
【図7】同じく平面図である。
【図8】図7のX−X線断面図である。
【図9】歩行型動力車Aの機体1と上下動装置Cとを分離させた状態を示す図である。
【図10】ロック装置Lの平面図である。
【図11】図7のY−Y線断面図である。
【図12】株間除草装置U2 の作動状態を示す作用説明図である。
【図13】水田除草機Bに対して機体1が上下動する状態の作用説明図である。
【図14】(イ),(ロ)は、除草機フレーム16に対して機体1が上下動するときのユニバーサルジョイントJの作用説明図である。
【図15】水田除草機Bに対して機体1が回動する状態の作用説明図である。
【図16】(イ),(ロ)は、除草機フレーム16に対して機体1が回動するときのユニバーサルジョイントJの作用説明図である。
【符号の説明】
【0063】
A:歩行型動力車(動力車)
B:水田除草機(作業機)
C:上下動装置
J:ユニバーサルジョイント
P:苗条
R1,R2,R3 :除草ロータ
U1 :条間除草装置
U2 :株間除草装置
1:機体
6:動力取出軸
16:除草機フレーム(フレーム)
17:除草タイン
21:水平支持軸
29:上下動支持フレーム(補助フレーム)
31:リンク板(平行リンク機構)
45:ばねロッド
46:ねじ棒(調整ロッド)
47:圧縮ばね
58:復帰ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項2】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項3】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して前記作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項4】
田植え機により植え付けられた苗条の条数に対応する数の除草ロータを有する条間除草装置と、
横方向の動力取出軸を有する動力車に連結されて、前記動力取出軸から伝達された動力により、前記苗条とほぼ直交する横方向に配置された多数の除草タインが横方向に往復移動して、前記条数の苗条の株間及び株元の除草を行う株間除草装置とを備えた水田除草機であって、
前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されていて、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して伝達される構成であることを特徴とする水田除草機。
【請求項5】
前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームと、前記リンク機構の影響を受けない補助フレームと、該補助フレームを貫通した状態で前記フレームと一体に上下動するばねロッドと、該ばねロッドに外嵌されて、自身の弾性復元力により前記フレームに装着された条間及び株間の各除草装置の接地圧を軽減させる圧縮ばねとを備えていることを特徴とする請求項4に記載の水田除草機。
【請求項6】
前記フレームと補助フレームとの間に装着されて、動力車の機体に対するフレームの下降端位置を調整するための調整ロッドを備えていることを特徴とする請求項5に記載の水田除草機。
【請求項7】
前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームが、動力車の機体に対して回動して横方向に傾斜した傾斜姿勢から正規の水平姿勢への復帰を助ける復帰ばねを備えていることを特徴とする請求項4に記載の水田除草機。
【請求項1】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に平行リンク機構を介して上下動可能に連結され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項2】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項3】
横方向の動力取出軸を有する動力車に作業機が連結されて、前記動力取出軸から作業機に動力を伝達させる装置であって、
前記作業機は、前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持され、
前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して前記作業機の動力伝達機構に伝達される構成であることを特徴とする横方向の動力取出軸を有する動力車と作業機との間の動力伝達装置。
【請求項4】
田植え機により植え付けられた苗条の条数に対応する数の除草ロータを有する条間除草装置と、
横方向の動力取出軸を有する動力車に連結されて、前記動力取出軸から伝達された動力により、前記苗条とほぼ直交する横方向に配置された多数の除草タインが横方向に往復移動して、前記条数の苗条の株間及び株元の除草を行う株間除草装置とを備えた水田除草機であって、
前記動力車の機体に、平行リンク機構を介して上下動可能であって、しかも前記機体の前後方向に沿った水平支持軸を介して回動可能に支持されていて、前記動力車の動力取出軸から出力された動力は、ほぼ横方向に配置されて、軸長が変化し得るユニバーサルジョイントを介して伝達される構成であることを特徴とする水田除草機。
【請求項5】
前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームと、前記リンク機構の影響を受けない補助フレームと、該補助フレームを貫通した状態で前記フレームと一体に上下動するばねロッドと、該ばねロッドに外嵌されて、自身の弾性復元力により前記フレームに装着された条間及び株間の各除草装置の接地圧を軽減させる圧縮ばねとを備えていることを特徴とする請求項4に記載の水田除草機。
【請求項6】
前記フレームと補助フレームとの間に装着されて、動力車の機体に対するフレームの下降端位置を調整するための調整ロッドを備えていることを特徴とする請求項5に記載の水田除草機。
【請求項7】
前記条間及び株間の各除草装置を支持するフレームが、動力車の機体に対して回動して横方向に傾斜した傾斜姿勢から正規の水平姿勢への復帰を助ける復帰ばねを備えていることを特徴とする請求項4に記載の水田除草機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−174718(P2006−174718A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368745(P2004−368745)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000183967)鋤柄農機株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(000183967)鋤柄農機株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]