説明

機械制御プログラム作成装置

【課題】機械制御プログラムを容易に作成または編集することができる機械制御プログラム作成装置を提供する。
【解決手段】プログラム中には、パラメータ数値、並びに、当該パラメータ数値に対応付けられたパラメータ記号およびパラメータ名称を含む。ダイアログボックス情報作成処理部43がプログラムに含まれるパラメータ記号とパラメータ名称とによりパラメータ項目として認識し、認識したパラメータ記号およびパラメータ名称とこれらに対応付けられているパラメータ数値とをダイアログボックス情報として作成する。作成されたダイアログボックス情報のうちパラメータ数値は、ダイアログボックス表示画面31にて編集可能である。パラメータ数値が更新された場合には、プログラムにおける対応するパラメータ数値を更新されたパラメータ数値に変更する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械や加工用ロボットなどを制御するための加工用プログラムを作成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械や加工用ロボットなどを制御するための加工用プログラムは、例えば、GコードMコードなどの特殊な記号の他、指令座標値、主軸回転数などの動作数値などの多数の数値が含まれている。加工用プログラムを作成するためには、特殊な記号の意味、数値を正確に把握する必要があった。そのため、従来は、熟練者でなければ加工用プログラムを作成することができなかった。そこで、容易に加工用プログラムを作成するために研究がされている。例えば、特開2003-186511号公報(特許文献1)には、NCプログラムの作成支援として、ガイダンス表示を行い、NCプログラムの作成を容易にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-186511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加工用プログラムを一度作成した後において、設計変更などにより加工用プログラム中の数値を編集することがある。このような場合には、加工用プログラム中の該当する数値全てについて編集しなければならない。しかし、編集すべき箇所が複数ある場合には、加工用プログラムの内容を把握していなければ編集ミスを起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、機械制御プログラムを容易に作成または編集することができる機械制御プログラム作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本発明の機械制御プログラム作成装置は、機械を動作させるための機械制御プログラムであり、プログラム中にパラメータ数値、並びに、当該パラメータ数値に対応付けられたパラメータ記号およびパラメータ名称を含む前記機械制御プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムに含まれる前記パラメータ記号と前記パラメータ名称とによりパラメータ項目として認識し、認識した前記パラメータ記号および前記パラメータ名称とこれらに対応付けられている前記パラメータ数値とをダイアログボックス情報として作成するダイアログボックス情報作成処理手段と、前記ダイアログボックス情報作成処理手段により作成された前記ダイアログボックス情報を記憶するダイアログボックス情報記憶手段と、前記パラメータ数値の入力画面としてのダイアログボックス表示画面であり、少なくとも前記パラメータ名称および編集可能な前記パラメータ数値を表示する前記ダイアログボックス表示画面と、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報としての前記パラメータ名称および前記パラメータ数値を、前記ダイアログボックス表示画面に表示させるダイアログボックス表示処理手段と、前記ダイアログボックス表示画面において前記パラメータ数値を編集可能であり、編集した場合に前記ダイアログボックス情報作成処理手段により前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記パラメータ数値を更新させる外部入力手段と、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報のうちの前記パラメータ数値が更新された場合に、前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムにおける対応する前記パラメータ数値を更新された前記パラメータ数値に変更する処理を行うプログラム作成処理手段とを備える。
【0007】
(請求項2)また、前記外部入力手段は、前記ダイアログボックス表示画面において前記パラメータ名称を編集可能であり、編集した場合に前記ダイアログボックス情報作成処理手段により前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記パラメータ名称を更新させ、前記プログラム作成処理手段は、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報のうちの前記パラメータ名称が更新された場合に、前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムにおける対応する前記パラメータ名称を更新された前記パラメータ名称に変更する処理を行うようにしてもよい。
【0008】
(請求項3)また、前記機械制御プログラム作成装置は、複数の動作種別のそれぞれに対応する前記機械制御プログラムのテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、複数の前記テンプレートの中から1または複数の前記テンプレートを選択するテンプレート選択処理手段とを備え、前記ダイアログボックス情報作成処理手段は、前記テンプレート選択処理手段により選択された1または複数の前記テンプレートに基づいて、前記ダイアログボックス情報を作成し、前記プログラム作成処理手段は、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報に基づいて前記機械制御プログラムを作成するようにしてもよい。
【0009】
(請求項4)また、前記機械制御プログラム作成装置は、前記機械制御プログラムを複数の動作サイクルに分割した場合に、それぞれの前記動作サイクルをシーケンシャルファンクションチャートのステップとして作成するSFC作成処理手段と、前記SFC作成処理手段により作成された前記シーケンシャルファンクションチャートを記憶するSFC記憶手段と、SFC表示画面と、前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートを前記SFC表示画面に表示させるSFC表示処理手段と、を備え、前記ダイアログボックス情報作成処理手段は、前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応付けた前記ダイアログボックス情報を作成し、前記プログラム作成処理手段は、前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートと前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報とに基づいて前記機械制御プログラムを作成し、前記SFC作成処理手段は、前記機械制御プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムのステップ開始記号およびステップ終了記号に基づいて前記シーケンシャルファンクションチャートを作成するようにしてもよい。
【0010】
(請求項5)また、前記機械制御プログラム作成装置は、機械の制御手順を示す工程表であり、複数の工程の順序を示す前記工程表を入力する工程表入力手段を備え、前記SFC作成処理手段は、前記工程表入力手段により入力された前記工程表のそれぞれの前記制御手順を前記機械制御プログラムのそれぞれの前記動作サイクルと認識し、前記制御手順毎に前記ステップを作成するようにしてもよい。
【0011】
(請求項6)また、前記SFC記憶手段は、前記シーケンシャルファンクションチャートに加えて、前記ステップ毎にステップ名称を記憶し、前記SFC表示処理手段は、前記シーケンシャルファンクションチャートに加えて、前記ステップ毎にステップ名称を、前記SFC表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0012】
(請求項7)また、前記ダイアログボックス情報は、動作種別を示す図面を含み、前記ダイアログボックス表示画面には、前記動作種別を示す図面が表示されるようにしてもよい。
【0013】
(請求項8)また、前記テンプレート記憶手段は、前記機械制御プログラムのテンプレート、および、当該テンプレートに対応した動作種別を示すテンプレート図を記憶し、前記ダイアログボックス情報は、前記テンプレート図を含み、前記ダイアログボックス表示画面には、前記テンプレート図が表示されるようにしてもよい。
(請求項9)また、前記機械制御プログラムは、被加工物を加工する加工機を制御するための加工用プログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1)本発明によれば、ダイアログボックス表示画面の内容が、機械制御プログラムに記述されているパラメータ数値およびパラメータ名称に対応した内容となっている。つまり、機械制御プログラムにパラメータ記号およびパラメータ名称を記述することで、当該パラメータ名称をダイアログボックス表示画面の項目とすることができる。従って、機械制御プログラムに記述される数値を、自由にパラメータ化することができる。さらに、パラメータ化するための手段は、単に、機械制御プログラムに、パラメータ数値、パラメータ記号およびパラメータ名称を記述することで足りる。従って、非常に容易にパラメータ化できる。このように自由にパラメータ化できることで、機械制御プログラムにおいて、複数回記述する必要のある数値を容易にパラメータ化でき、パラメータ数値の編集作業も容易となる。その結果、機械制御プログラムにおける数値の入力ミスや設定ミスを軽減することができる。特に、設計変更により一部数値の変更を行う場合などに、機械制御プログラムの変更に要する時間を短縮できる。さらに、一度機械制御プログラムが作成されていれば、特殊なGコードなどを把握していなくても、機械制御プログラムの編集ができる。
【0015】
(請求項2)これにより、パラメータ名称の編集をダイアログボックス表示画面にて行うことができる。そして、ダイアログボックス表示画面におけるパラメータ名称の変更が、機械制御プログラムに反映される。従って、パラメータ名称をより分かりやすい名称に変更したい場合などにおいて、機械制御プログラムを直接編集することなく、ダイアログボックス表示画面にて編集が可能となる。これにより、作業者による編集自由度をより高めることができる。
【0016】
(請求項3)テンプレートから機械制御プログラムを作成することで、機械制御プログラムの標準化を図ることができる。例えば、1のテンプレートにより、または、複数のテンプレートをつなげることにより、機械制御プログラムを作成し、当該機械制御プログラムに含まれるパラメータ数値の入力は上述したように、ダイアログボックス表示画面にて行うことができる。そして、テンプレート自身は、予め誤りなどが少なく完成度の高い状態とすることができる。そのため、テンプレートを用いて作成された機械制御プログラムのデバッグ時間を短縮できる。さらに、テンプレートから機械制御プログラムを作成できるため、NCプログラムなどに含まれる特殊なGコードなどを把握していなくても、機械制御プログラムを作成することができる。
【0017】
(請求項4)これにより、機械制御プログラムをSFCとして表示でき、当該SFCにより機械制御プログラムを作成できる。機械制御プログラムは、非常に難解なコードを用いて作成されているため、機械制御プログラムを見ただけでは熟練者でなければ容易に把握できない。しかし、機械制御プログラムをシーケンシャルファンクションチャートとして表示することとしたことにより、機械制御プログラムの手順を視覚的に把握することができる。さらに、機械制御プログラムがSFCに基づいて作成されると共に、機械制御プログラムのステップ開始記号およびステップ終了記号に基づいてSFCが作成されている。つまり、SFCと機械制御プログラムとが対応付けられている。従って、機械制御プログラムの作成および編集を視覚的にできる。さらに、ダイアログボックス情報がSFCのステップに対応付けられている。従って、SFCを作成してダイアログボックス表示画面のパラメータ数値を入力することにより、機械制御プログラムを作成できる。つまり、機械制御プログラムに含まれる特殊なGコードなどを把握していなくても、複数の動作サイクルからなる機械制御プログラムを容易に作成することができる。
【0018】
(請求項5)工程表を予め作成していれば、この工程表によりSFCを作成することができる。従って、より機械制御プログラムの作成が容易になる。
(請求項6)SFCのステップ名称をSFC表示画面に表示できることで、SFCの各ステップが行う処理を容易に把握できる。その結果、SFCを用いて、機械制御プログラムの作成が容易になる。
【0019】
(請求項7)ダイアログボックス表示画面に動作種別を示す図面が表示されていることで、現在表示されているダイアログボックス表示画面が何を編集することができる画面であるかを視覚的に把握することができる。これにより、容易に、機械制御プログラムを作成することができる。
【0020】
(請求項8)ダイアログボックス表示画面に表示する図面は、テンプレートに対応した図面であって、テンプレート記憶手段に記憶されている。従って、図面を個別に入力する必要はなく、かつ、テンプレートに対応づけられているため、表示する図面の設定ミスを防止することができる。
【0021】
(請求項9)これまで、工作機械や加工用ロボットなどのプログラムの作成は熟練者による知識が必要であった。このような高度な知識が必要であった加工用プログラムの作成に、本発明の機械制御プログラム作成装置を適用することで、容易に加工用プログラムを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】工作機械の構成図である。
【図2】図1の工作機械のNCプログラムを作成するためのプログラム作成装置の機能ブロック概要図である。
【図3】図2のSFC表示画面の表示内容である。
【図4】図2の第一ダイアログボックス表示画面である。
【図5】図2の第二ダイアログボックス表示画面である。
【図6】図2のプログラム表示画面の表示内容である。
【図7】図8のテンプレート記憶部に記憶されているテンプレートである。
【図8】図2のプログラム作成装置の機能ブロック図の詳細図である。
【図9】図8のSFC作成処理部による処理のフローチャートである。
【図10】図8の工程表入力部にて入力される工程表である。
【図11】図8のテンプレート選択処理部による処理のフローチャートである。
【図12】図8のダイアログボックス情報作成処理部による処理のフローチャートである。
【図13】図6のダイアログボックス表示処理部による処理のフローチャートである。
【図14】作業者によりプログラムを新規作成する処理のフローチャートである。
【図15】作業者によりプログラムを新規作成する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態の機械制御プログラム作成装置について、図面を参照して説明する。ここで、作成する機械制御プログラムとして、工作機械や加工用ロボットに用いるNCプログラムを例にあげる。特に、以下の説明においては、工作機械のうち横型マシニングセンタを例にあげる。ただし、マシニングセンタ以外の工作機械はもちろん、シリアルアーム型やパラレルアーム型の加工用ロボット、計測装置などの位置決めロボットについても適用可能である。
【0024】
(1.対象機械の構成)
NCプログラムにより制御される対象の工作機械である横型マシニングセンタについて、図1を参照して説明する。図1に示すように、当該工作機械は、ベッド1と、ベッド1上にてX軸方向に移動可能なコラム2と、コラム2の前面(図1の左面)にてY軸方向に移動可能なサドル3と、サドル3に回転可能に支持され工具5を保持する回転主軸4と、ベッド1上にてZ軸方向に移動可能であり被加工物Wを載置するテーブル6とを備える。なお、図示しないが、当該工作機械は、コラム2、サドル3およびテーブル6を移動するためのモータや、クーラントを供給するクーラントノズル、クーラントポンプなどを備える。
【0025】
(2.プログラム作成装置の概略構成)
上述した工作機械を制御するためのNCプログラムを作成するプログラム作成装置について、概略構成を示す図2の機能ブロック図を参照して説明する。また、プログラム作成装置を構成するSFC表示画面10を図3に示し、ダイアログボックス表示画面31,32を図4および図5に示し、プログラム表示画面50を図6に示す。また、テンプレートを示す図7も参照する。
【0026】
図2に示すように、プログラム作成装置は、SFC表示画面10と、SFC処理部20と、ダイアログボックス表示画面31,32と、ダイアログボックス処理部40と、プログラム表示画面50と、プログラム処理部60とを備える。
【0027】
SFC表示画面10は、図3に示すように、NCプログラムをシーケンシャル・ファンクション・チャート(SFC)として表示する画面である。SFC処理部20は、NCプログラムをSFCとして認識し、かつ、SFC表示画面10に表示する処理を行う。ここで、SFCは、一般にプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)などに用いられている。ただし、本実施形態におけるSFCとは、PLCなどに用いられるSFCとは異なり、NCプログラムに対して用いるものである。ここで、NCプログラムは、複数の動作を順次行うようにされたプログラムである。例えば、面削り加工を行い、続いて工具交換を行い、穴明け加工を行い、別の箇所の穴明け加工を行う場合には、NCプログラムは当該順序に従って作成されている。そこで、まとめることができる動作をSFCのステップSTとして対応付けることで、NCプログラムをSFCとして認識するようにしている。つまり、NCプログラムを複数の動作サイクル(加工サイクルおよび非加工サイクルを含む)に分割した場合に、SFC処理部20は、各動作サイクルに対応するステップSTを記憶しておき、SFC表示画面10にNCプログラムをSFCとして表示させる。
【0028】
ダイアログボックス表示画面31,32は、図4および図5に示すとおりである。このダイアログボックス表示画面31,32は、ダイアログボックス処理部40によって表示処理がされる。ダイアログボックス処理部40は、SFC処理部20に記憶されているSFCのステップST毎にダイアログボックス情報を記憶し、図4に示すように、第一ダイアログボックス表示画面31にダイアログボックス情報を表示させる。第一ダイアログボックス表示画面31においては、当該ステップSTに対応するNCプログラムの部分に関するパラメータ情報(パラメータ名称およびパラメータ数値)が表示されている。そして、第一ダイアログボックス表示画面31においては、作業者は、パラメータ数値のみならず、パラメータ名称を編集することができる。
【0029】
さらに、ダイアログボックス処理部40は、SFCのステップSTに対応するダイアログボックス情報を新規に作成する場合には、予め作成された動作サイクルの種別毎にテンプレートの中から該当するテンプレートを選択することができ、選択したテンプレートに基づいてダイアログボックス情報を作成する。テンプレートを選択する際の第二ダイアログボックス表示画面32は、図5に示す。また、テンプレートは、図7に示す。ここで、図7に示すように、テンプレートに含まれているパラメータ数値は初期値が設定されているため、テンプレートから得られたダイアログボックス情報に含まれるパラメータ数値も初期値となる。そのため、作業者は、第一ダイアログボックス表示画面31にてパラメータ数値を編集する必要がある。
【0030】
プログラム表示画面50は、図6に示すとおりである。このプログラム表示画面50は、プログラム処理部60によって表示処理がされる。プログラム処理部60は、SFC処理部20にて作成されたSFCと、ダイアログボックス処理部40にて作成されたダイアログボックス情報とに基づいて、NCプログラムを作成する。さらに、プログラム処理部60は、作成したNCプログラムをプログラム表示画面50に表示する処理を行う。図6において、例えば、「154(*$C110*穴 X*)」と記載されている箇所がある。この記載において、「154」がパラメータ数値を示し、「C110」がパラメータ記号を示し、「穴 X」がパラメータ名称を示す。ここで、図4に示す右枠欄において、「穴 X 154」と記載された箇所が、当該NCプログラムの当該箇所に対応する部分である。このように、NCプログラムには、パラメータ数値、パラメータ名称およびパラメータ記号が対応付けて記述されている。そして、NCプログラム中のパラメータ数値およびパラメータ名称が、ダイアログボックス情報と対応付けられている。
【0031】
また、プログラム表示画面50において、作業者は、NCプログラムを直接編集することもできる。この場合、NCプログラムの編集結果に応じて、SFC処理部20に記憶されているSFC情報を変更すると共に、ダイアログボックス処理部40に記憶されているダイアログボックス情報を変更する。
【0032】
このように、プログラム作成装置は、NCプログラムをSFCとして表示可能とし、SFCの各ステップSTに対応付けたダイアログボックス情報をダイアログボックス表示画面に表示する。そして、ダイアログボックス表示画面においては、NCプログラムに含まれるパラメータ数値を編集することができる。さらに、ダイアログボックス表示画面においては、パラメータ名称がNCプログラムと対応付けられて表示されており、当該パラメータ名称の編集も可能である。逆に、NCプログラム中のパラメータ名称に関する記載を編集すると、ダイアログボックス表示画面のパラメータ名称が変更される。そこで、パラメータとして認識できるように記述されたNCプログラムのテンプレートを予め準備しておく。特に、テンプレートは、SFCの各ステップSTに対応付けることができるようにする。このように、プログラム作成装置は、NCプログラムをSFC化し、かつ、SFCのステップSTの内容を容易に作成、編集することができるようにし、さらに、NCプログラム中の数値を自由にパラメータ化することができるようにしている。
【0033】
(3.プログラム作成装置の詳細構成)
次に、プログラム作成装置の詳細構成について、図8の機能ブロック図を参照して説明する。また、プログラム作成装置を構成する各処理部の動作について、図9,図11〜図13のフローチャートを参照して説明する。また、SFC処理部20を構成する工程表入力部21にて入力される工程表については、図10を参照する。さらに、プログラム作成装置を構成する各表示画面10,31,32,50については、図2〜図6を適宜参照し、テンプレートを示す図7も参照する。
【0034】
プログラム作成装置は、図2を参照して上述したように、SFC表示画面10と、SFC処理部20と、ダイアログボックス表示画面31,32と、ダイアログボックス処理部40と、プログラム表示画面50と、プログラム処理部60と、外部入力部70とを備える。ここで、図8には、SFC処理部20、ダイアログボックス処理部40およびプログラム処理部60をより詳細に区分した機能ブロックを記載している。
【0035】
(3−1.SFC)
SFC表示画面10は、図3に示すように、シンボル番号欄11、シンボル表示欄12、ステップ名称欄13がある。シンボル番号欄11は、行数を表している。シンボル表示欄12は、各シンボル番号に一つずつSFCのシンボルを表示する欄である。SFCのシンボルとは、矩形枠形状で表すステップST、トランジションTr、ジャンプなどである。図3においては、第一行、第三行、第五行、第七行に、ステップST0001〜ST0004を表示し、第二行、第四行、第六行に、トランジションTr0001〜Tr0003を表示している。ステップ名称欄13には、シンボル表示欄12のシンボルがステップSTの場合に、ステップST毎にステップ名称を表示する欄である。図3においては、ステップST0001のステップ名称を「取付面荒削り(φ・・)」と表示している。このステップ名称は、例えば、SFCのステップSTによる加工部位や、穴明け、面削り、荒加工、仕上加工などの加工種別や、工具径などを記載することで、当該ステップSTが何をするステップ(動作サイクル)であるかを把握するための文字列とする。また、SFC表示画面10は、右端に上下スクロールバー14を表示しており、上下スクロールができるようにしている。
【0036】
SFC処理部20は、図8に示すように、工程表入力部21と、SFC作成処理部22と、SFC記憶部23と、SFC表示処理部24とを備える。工程表入力部21は、工作機械の制御手順を示す工程表を入力(取得)する。作業者がキーボード、ポインティングデバイスなどの外部入力部70を操作することにより、工程表のデータを入力する。この工程表は、複数の工程の順序を示すものであり、例えば図10に示すような表形式データである。図10に示す工程表には、工程順序、工程名称、工程情報が含まれている。工程名称は、上述したSFCのステップ名称として用いられるような名称である。例えば、取付面荒削り(φ・・)などが記載される。また、工程情報には、例えば、使用工具種類、工具径、工具長などの工具情報、主軸回転数、加工送り速度、切込量などの加工条件が含まれる。
【0037】
SFC作成処理部22は、NCプログラムを複数の動作サイクルに分割した場合に、それぞれの動作サイクルをSFCのステップSTとして作成する。さらに、SFC作成処理部22は、ステップST間にトランジションTrを介在するSFCを作成することもできるし、トランジションTrを介在せずにステップSTを直接接続するSFCを作成することもできる。図3のSFC表示画面には、全てのステップST間にトランジションTrを介在する場合を示している。
【0038】
さらに、SFCは、後述するプログラム記憶部62に記憶されているNCプログラムと対応付けられている。例えば、図6に示すNCプログラムにおいて、ステップ開始記号「(*$CYC0001*通常*)」(上から2行目)からステップ終了記号「(*$CYCEND*)」(最下行)までの間の部分が、SFCの1つのステップSTとなる。つまり、SFC作成処理部22は、NCプログラムのステップ開始記号とステップ終了記号に基づいて、SFCのステップSTを作成する。
【0039】
また、SFC作成処理部22は、作業者が外部入力部70を用いて、直接に、新規のステップSTなどのシンボルを入力することで、SFCを作成することができる。この他に、SFC作成処理部22は、工程表入力部21により入力された工程表(図10に示す)を自動的に取得することで、SFCを作成することもできる。この場合、SFC作成処理部22は、図10に示す工程表における制御手順を示す工程名称を動作サイクルと認識して、工程毎にSFCのステップSTを作成する。例えば、SFC作成処理部22が、図10に示す工程表を自動取得した場合には、図3に示すようなSFCとなる。この場合、SFC作成処理部22は、図10に示す工程表における工程名称を、図3におけるステップ名称として認識する。
【0040】
SFC記憶部23は、SFC作成処理部22により作成されたSFCを記憶する。SFC記憶部23に記憶されるSFCとは、図3に示す程度の情報である。すなわち、SFC記憶部23には、シンボル番号に対応するシンボルの種別およびシンボル記号、すなわちシンボルの順序と、ステップST毎に対応するステップ名称とが記憶されている。
【0041】
SFC表示処理部24は、SFC記憶部23に記憶されているSFCおよびステップ名称をSFC表示画面10に表示させる処理を行う。従って、SFC記憶部23に記憶されているSFCが変更された場合には、変更に伴いSFC表示画面10に表示される内容も変更される。
【0042】
ここで、上述したSFC作成処理部22の処理について、図9を参照して説明する。図9に示すように、SFC作成処理部22は、作業者により工程表の入力があるか否かを判定し(S1)、工程表の入力があれば工程表に基づくSFCを作成し、SFC記憶部23に記憶する(S2)。工程表の入力がない場合には、続いて作業者によりシンボルの新規入力があるか否かを判定し(S3)、シンボルの新規入力があれば、入力されたシンボルに基づいてSFCを作成する(S4)。
【0043】
続いて、シンボルの新規入力がない場合には、既に作成されたシンボルが作業者により移動されたか否かを判定し(S5)、シンボルが移動された場合にはシンボルの移動処理、すなわち移動したシンボルの順序に応じたSFCをSFC記憶部23に記憶する(S6)。続いて、シンボルの移動処理がない場合には、既に作成されたシンボルが作業者により削除されたか否かを判定し(S7)、シンボルが削除された場合には、当該シンボルを削除して残りのシンボルの順序を変更したSFCをSFC記憶部23に記憶する(S8)。
【0044】
続いて、シンボルの削除がない場合には、既に作成されたステップSTが作業者により選択されたか否かを判定し(S9)、ステップSTが選択された場合には後述するダイアログボックス表示処理部45に対して、当該ステップSTに対応づけられたダイアログボックス情報を第一ダイアログボックス表示画面31に表示するように指示する(S10)。そして、S2,S4,S6,S8,S10の処理の後、および、S9においてNoの場合には、処理をリターンする。
【0045】
(3−2.ダイアログボックス)
第一ダイアログボックス表示画面31は、NCプログラムにおけるパラメータ数値およびパラメータ名称の設定および編集を行うことができる入力画面である。図4に示すように、この第一ダイアログボックス表示画面31には、SFCのステップ番号の表示領域31a、ステップ名称の表示領域31b、動作サイクル名の表示領域31c、動作サイクル選択ボタンの表示領域31d、パラメータの表示領域31e、図面の表示領域31f、NCプログラム表示ボタン31gがある。第一ダイアログボックス表示画面31には、SFC作成処理部22にて選択されたステップSTに含まれるダイアログボックス情報が表示される。
【0046】
ここで、ダイアログボックス情報には、上記の各領域に関する情報が含まれている。ただし、パラメータの表示領域に表示される情報としては、パラメータ名称およびパラメータ数値であるが、ダイアログボックス情報としては、パラメータ数値、パラメータ名称の他に、パラメータ記号が含まれている。なお、第一ダイアログボックス表示画面31のパラメータの表示領域にパラメータ記号を表示していないが、表示するようにしてもよい。
【0047】
そして、図4は、図3のSFCのステップST0001のダイアログボックス情報が表示されている例を示している。図4において、表示領域31aのステップ番号および表示領域31bのステップ名称は、SFC作成処理部22にて選択されたステップSTおよびそのステップ名称である。表示領域31cに表示される動作サイクル名は、後述する複数のテンプレートに登録されている名称である。
【0048】
表示領域31dの動作サイクル選択ボタンは、後述するテンプレート選択処理部42に連動しており、当該ステップSTにおける動作サイクルの種別のテンプレート(図7に示す)を選択する際に用いる。つまり、当該動作サイクル選択ボタンが選択されると、テンプレート選択処理部42が第二ダイアログボックス表示画面32を表示する処理を行う。
【0049】
表示領域31eのパラメータは、上述したように、NCプログラム(図6に示す)に含まれるパラメータ数値およびパラメータ名称である。表示領域31fの図面は、加工種別(動作種別)を示す図面であり、ここでは後述するテンプレート記憶部41に予め記憶されているテンプレート図を表示している。このテンプレート図は、テンプレート選択処理部42により選択されたテンプレートに対応付けられた図である。ここで、表示領域31fの図面は、別途作業者が準備した被加工物Wの図面とすることもでき、例えば寸法を含む図面を表示領域31fに表示させておくと、パラメータ数値の入力の際に参考にすることができる。NCプログラム表示ボタン31gは、図6に示すNCプログラム表示画面50を表示する場合に用いる。
【0050】
第二ダイアログボックス表示画面32は、作業者が外部入力部70を操作することによって、第一ダイアログボックス表示画面31の表示領域31dの動作サイクル選択ボタンを選択した場合に、動作サイクルのテンプレートを選択するために用いる。この第二ダイアログボックス表示画面32には、図5に示すように、加工種別(動作種別)を複数の大きなグループに分けたグループ名を表示するグループ領域32aと、各グループに含まれる動作サイクルを表示する動作サイクル領域32bとがある。例えば、図5において、グループ領域32aには、共通、穴明け、面削りなどが表示されており、動作サイクル領域32bには、共通グループを表示しており、工程開始、工程完了、原点戻し、ATC(工具交換)などが表示されている。つまり、動作サイクルを選択する際には、第二ダイアログボックス表示画面32のグループ領域32aの中から1つを選択した後に、動作サイクル領域32bの中から1つを選択する。
【0051】
ダイアログボックス処理部40は、図8に示すように、テンプレート記憶部41と、テンプレート選択処理部42と、ダイアログボックス情報作成処理部43と、ダイアログボックス情報記憶部44と、ダイアログボックス表示処理部45とを備える。
【0052】
テンプレート記憶部41は、複数の動作種別のそれぞれに対応するNCプログラムのテンプレートを記憶する。例えば、図7には、1箇所の穴明け加工についてのテンプレートを示す。なお、「通常」と記載されているのは、1箇所の加工であることを意味し、複数箇所の加工を区別するための用語である。そして、図7に示すテンプレートにおいて、「数値(*$パラメータ記号*パラメータ名称*)」と記載されている部分は、後述するダイアログボックス情報作成処理部43において当該数値がパラメータ数値であることを認識するための記述方法である。
【0053】
例えば、「6000(*$C003*主軸回転数*)」と記載されている部分は、主軸回転数をパラメータ化するための記述であり、テンプレートにおいて6000回転/minと規定されている。また、「1200(*$C004*送り速度*)」と記載されている部分は、送り速度をパラメータ化するための記述であり、1200m/minと規定されている。ここで、主軸回転数および送り速度は、テンプレートにおいて標準値に規定しているが、パラメータ化されているため第一ダイアログボックス表示画面31において編集可能である。また、「穴 X」「穴深さ(座標) Z」などは、テンプレートにおいて「0」に規定されているが、パラメータ化されているため第一ダイアログボックス表示画面31において編集可能である。
【0054】
テンプレート選択処理部42は、テンプレート記憶部41に記憶されている複数のテンプレートの中から、現在作成しているステップSTの動作サイクルに該当するテンプレートを選択する。テンプレート選択処理部42は、作業者が外部入力部70を操作することによって、図5に示す第二ダイアログボックス表示画面32にて選択される。このテンプレート選択処理部42による処理について、図11を参照して説明する。
【0055】
図11に示すように、テンプレート選択処理部42は、作業者が外部入力部70を操作することにより、第一ダイアログボックス表示画面31において表示領域31dの動作サイクル選択ボタンが押されたか否かを判定する(S11)。ボタンが押された場合には、第二ダイアログボックス表示画面32を表示するように、後述するダイアログボックス表示処理部45に対して指示する(S12)。従って、図5に示す第二ダイアログボックス表示画面32が表示される。
【0056】
続いて、第二ダイアログボックス表示画面32において、作業者が外部入力部70を操作することにより、動作サイクルの選択が完了したか否かを判定する(S13)。この判定は、作業者により動作サイクルの選択が完了するまで継続される。第二ダイアログボックス表示画面32において動作サイクルの選択が完了すると、テンプレート記憶部41に記憶されている複数のテンプレートの中から、当該動作サイクルに対応付けられたテンプレートを取得する(S14)。そして、処理をリターンする。なお、ダイアログボックス情報作成処理部43が、当該取得したテンプレートに基づいてダイアログボックス情報の新規作成を行う。
【0057】
ダイアログボックス情報作成処理部43は、テンプレート選択処理部42により選択されたテンプレートに基づいてダイアログボックス情報を作成する。つまり、ダイアログボックス情報作成処理部43は、図11のS14にて取得したテンプレートに含まれているパラメータに関する情報、および、テンプレートに対応付けられたテンプレート図などをダイアログボックス情報として、後述するダイアログボックス情報記憶部44に記憶する。
【0058】
また、ダイアログボックス情報作成処理部43は、SFC記憶部23に記憶されているSFCのステップSTに対応付けたダイアログボックス情報を作成する。ここで、テンプレート選択処理部42により選択されたテンプレートは、第一ダイアログボックス表示画面31に表示されているSFCのステップSTに関するテンプレートである。例えば、図7に示すテンプレートに基づき作成されるダイアログボックス情報には、ステップ番号として「ST0001」が含まれている。
【0059】
また、ダイアログボックス情報作成処理部43は、後述するプログラム記憶部62にNCプログラムが既に記憶されている場合、もしくは、NCプログラムを直接作成した場合などにおいては、当該NCプログラムに基づいてダイアログボックス情報を作成する。つまり、ダイアログボックス情報作成処理部43は、NCプログラムに含まれる「数値(*$パラメータ記号*パラメータ名称*)」との記載によりパラメータ項目として認識し、認識したパラメータ記号およびパラメータ名称とこれらに対応付けられているパラメータ数値とをダイアログボックス情報として作成する。
【0060】
このダイアログボックス情報作成処理部43の処理について、図12を参照して説明する。図12に示すように、ダイアログボックス情報作成処理部43は、図5に示す第二ダイアログボックス表示画面32にてテンプレートの選択処理中であるか否かを判定する(S21)。選択処理中の場合には、テンプレート選択処理(図11のS14)で取得したテンプレートに含まれているパラメータに関する情報、および、テンプレートに対応付けられたテンプレート図などをダイアログボックス情報として新規作成する。そして、この情報をダイアログボックス情報記憶部44に記憶する(S22)。
【0061】
S21で選択処理中でない場合には、作業者が外部入力部70を操作することにより、図4に示す第一ダイアログボックス表示画面31のパラメータの表示領域31eにおけるパラメータ数値またはパラメータ名称の編集が行われたか否かを判定する(S23)。編集されていれば、パラメータ編集に伴って、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶しているダイアログボックス情報を変更する。(S24)。
【0062】
S23でパラメータが編集されていなければ、作業者が外部入力部70を操作することにより、図4に示す第一ダイアログボックス表示画面31の表示領域31bにおけるステップ名称の編集が行われたか否かを判定する(S25)。編集されていれば、ステップ名称の編集に伴って、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶しているダイアログボックス情報を変更する。(S26)。
【0063】
S25でステップ名称が編集されていなければ、プログラム記憶部62に記憶されているNCプログラムに変更があるか否かを判定する(S27)。変更があれば、NCプログラムの変更に伴い、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶しているダイアログボックス情報を変更する(S28)。例えば、図6に示すNCプログラムにおけるパラメータ数値、パラメータ名称、パラメータ記号などが変更された場合、パラメータ化されていない箇所がパラメータ化された場合、逆にパラメータ化されている箇所が非パラメータ化された場合などには、該当するパラメータ数値、パラメータ名称、パラメータ記号に関するダイアログボックス情報を変更する。
【0064】
S27でNCプログラムが変更されていなければ、SFC記憶部23に記憶されているSFCに変更があるか否かを判定する(S29)。変更があれば、SFCの変更に伴い、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶しているダイアログボックス情報を変更する(S30)。例えば、図3に示すSFCのステップSTが追加、移動、削除された場合などには、該当するステップSTに関するダイアログボックス情報を変更する。そして、S22,S24,S26,S28,S30の処理の後、および、S29においてNoの場合には、処理をリターンする。
【0065】
ダイアログボックス情報記憶部44は、ダイアログボックス情報作成処理部43により作成されたダイアログボックス情報を記憶する。つまり、ダイアログボックス情報記憶部44には、図4に示す各領域に関する情報に加えて、NCプログラムに含まれるパラメータ記号が含まれている。
【0066】
ダイアログボックス表示処理部45は、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶されているダイアログボックス情報のうち図4に表示される情報を、第一ダイアログボックス表示画面31に表示する処理を行う。このダイアログボックス表示処理部45による処理について、図13を参照して説明する。
【0067】
図13に示すように、ダイアログボックス表示処理部45は、第一ダイアログボックス表示画面31を表示中であるか否かを判定する(S31)。表示されていなければ、SFC表示画面10において作業者が外部入力部70を操作することにより、SFC作成処理部22がステップSTを選択したか否かを判定する(S32)。選択された場合には、当該ステップSTについての第一ダイアログボックス表示画面31を表示する(S33)。
【0068】
また、S31で第一ダイアログボックス表示画面31が表示中の場合には、ダイアログボックス情報の変更があったか否かを判定する(S34)。変更があれば、当該変更内容を第一ダイアログボックス表示画面31に反映させる(S35)。例えば、テンプレート選択完了に伴うダイアログボックス情報の変更、SFC作成処理部22によるSFC記憶部23におけるSFCの変更、および、NCプログラムのパラメータ数値、記号、名称の変更などにより、ダイアログボックス情報が変更された場合には、上記の処理を行う。一方、S34でダイアログボックス情報の変更がない場合には、S35の処理を行わない。
【0069】
続いて、テンプレート選択処理により第二ダイアログボックス表示画面32の表示指示があるか否かを判定する(S36)。すなわち、作業者が外部入力部70を操作することにより、第一ダイアログボックス表示画面31の表示領域31dの動作サイクル選択ボタンが押されたか否かを判定する。表示指示がある場合には、第二ダイアログボックス表示画面32を表示する処理を行う(S37)。一方、S36で表示指示がない場合、S32でステップSTの選択がない場合には、処理をリターンする。
【0070】
(3−3.NCプログラム)
プログラム表示画面50は、図6に示すように、NCプログラムを表示する画面である。プログラム表示画面50には、NCプログラム全体を表示することもできるし、NCプログラムの動作サイクル毎に表示することもできる。このNCプログラムは、図6に示すように、ステップ開始記号「(*$CYC0001*通常*)」、ステップ終了記号「(*$CYCEND*)」、パラメータ化表示「数値(*$パラメータ記号*パラメータ名称*)」を含んでいる。パラメータ化表示は、12種ある(図4の表示領域31eに記載の12項目)。また、一度パラメータ化したパラメータ記号は、「数値(*$パラメータ記号*)」と記載しており、パラメータ名称の記載を省略できる。例えば、下から5行目における「250(*$C112*)」がそれに該当する。
【0071】
プログラム処理部60は、図8に示すように、プログラム作成処理部61と、プログラム記憶部62と、プログラム表示処理部63とを備える。プログラム作成処理部61は、SFC記憶部23に記憶されているSFCとダイアログボックス情報記憶部44に記憶されているダイアログボックス情報とに基づいてNCプログラムを自動的に作成する。つまり、新規作成時のNCプログラムは、SFCのそれぞれにステップSTに対応づけられた動作サイクルのテンプレートを、ステップSTの順につなげ合わせたプログラムである。
【0072】
さらに、プログラム作成処理部61は、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶されているダイアログボックス情報のうちのパラメータ数値が更新された場合に、プログラム記憶部62に記憶されているNCプログラムにおける対応するパラメータ数値を更新されたパラメータ数値に変更する処理を行う。また、ダイアログボックス情報のうちパラメータ名称が更新された場合にも同様である。つまり、当初テンプレートそのものとして作成されたNCプログラムは、第一ダイアログボックス表示画面31においてパラメータ数値およびパラメータ名称が編集されることで、編集された情報が反映されたNCプログラムとなる。
【0073】
プログラム記憶部62は、プログラム作成処理部61により作成されたNCプログラムを記憶する。プログラム表示処理部63は、プログラム記憶部62に記憶されているNCプログラムをプログラム表示画面50に表示させる処理を行う。従って、プログラム記憶部62に記憶されているNCプログラムが変更された場合には、変更に伴いプログラム表示画面50に表示される内容も変更される。
【0074】
(4.作業者によるNCプログラムの新規作成処理)
以上説明したプログラム作成装置を用いて、NCプログラムの新規作成処理について説明する。以下に、2種類の作成処理を示す。第一の作成処理について、図14を参照して説明する。図14に示す処理は、作業者が外部入力部70を操作することにより行う処理である。
【0075】
まず、作業者は、SFC表示画面10において新規ステップSTを作成する(S41)。この処理は、SFC作成処理部22が行う。続いて、作業者は、SFC表示画面10において、新規作成したステップSTを選択する(S42)。そうすると、図9のS9,S10および図13のS32,S33より、図4に示す第一ダイアログボックス表示画面31が表示される。
【0076】
続いて、作業者は、第一ダイアログボックス表示画面31において、表示領域31dの動作サイクル選択ボタンを押す(S43)。そうすると、図11のS11,S12および図36,S37より、図5に示す第二ダイアログボックス表示画面32が表示される。続いて、作業者は、第二ダイアログボックス表示画面32において、動作サイクルを選択する(S44)。そうすると、図12のS21,S22よりダイアログボックス情報が作成され、図13のS36,S37より第一ダイアログボックス表示画面31に反映される。このとき第一ダイアログボックス表示画面31に表示されるパラメータ数値は、テンプレートに記述されている初期値である。さらに、プログラム作成処理部61により、テンプレートそのものを用いたNCプログラムが作成される。
【0077】
続いて、作業者は、第一ダイアログボックス表示画面31において、パラメータ数値を編集する(S45)。そうすると、図12のS23,S24よりダイアログボックス情報が変更され、図13のS34,S35より第一ダイアログボックス表示画面31の表示に反映される。さらに、プログラム作成処理部61により、NCプログラムのパラメータ数値が編集されたパラメータ数値に変更される。つまり、図6に示すような、編集されたパラメータ数値が記述されたNCプログラムが作成される。続いて、SFC表示画面10において、新たなステップSTを追加する場合には、再びS41に戻り処理を繰り返す(S46)。一方、新たなステップSTの追加がない場合には、NCプログラムの作成処理が終了する。
【0078】
次に、第二のNCプログラムの新規作成処理について、図15を参照して説明する。図15に示す処理は、作業者が外部入力部70を操作することにより行う処理である。ここで、図15において、図14と同じ記号は、同一処理を示し、詳細な説明を省略する。
【0079】
まず、作業者は、図15に示すように、SFC表示画面10において、工程表を入力する(S51)。この処理は、図8の工程表入力部21により行われる。そうすると、図9のS1,S2より工程表に基づくSFCが自動作成される。続いて、S42→S43→S44→S45→S46の処理が行われる。そして、S46にて、SFC表示画面10において、新たなステップSTを追加する場合には、再びS51に戻り処理を繰り返す(S46)。
【0080】
(5.効果)
第一ダイアログボックス表示画面31の内容が、NCプログラムに記述されているパラメータ数値およびパラメータ名称に対応した内容となっている。つまり、NCプログラムにパラメータ記号およびパラメータ名称を記述することで、当該パラメータ名称を第一ダイアログボックス表示画面31の編集可能な項目とすることができる。従って、NCプログラムに記述される数値を、自由にパラメータ化することができる。
【0081】
さらに、パラメータ化するための手段は、単に、NCプログラムに「数値(*$パラメータ記号*パラメータ名称*)」を記述することで足りる。従って、非常に容易にパラメータ化できる。このように自由にパラメータ化できることで、NCプログラムにおいて、複数回記述する必要のある数値を容易にパラメータ化でき、パラメータ数値の編集作業も容易となる。その結果、NCプログラムにおける数値の入力ミスや設定ミスを軽減することができる。特に、設計変更により一部数値の変更を行う場合などに、NCプログラムの変更に要する時間を短縮できる。さらに、一度NCプログラムが作成されていれば、特殊なGコードなどを把握していなくても、NCプログラムの編集ができる。
【0082】
また、第一ダイアログボックス表示画面31では、パラメータ数値のみならず、パラメータ名称の編集が可能である。そして、第一ダイアログボックス表示画面31におけるパラメータ名称の変更が、NCプログラムに反映される。従って、パラメータ名称をより分かりやすい名称に変更したい場合などにおいて、NCプログラムを直接編集することなく、第一ダイアログボックス表示画面31にて編集が可能となる。これにより、作業者による編集自由度をより高めることができる。
【0083】
また、予めテンプレート記憶部41に記憶されたテンプレートからNCプログラムを作成することができる。従って、NCプログラムの標準化を図ることができる。例えば、1のテンプレートにより、または、複数のテンプレートをつなげることにより、NCプログラムを作成し、当該NCプログラムに含まれるパラメータ数値の入力は上述したように、第一ダイアログボックス表示画面31にて行うことができる。ここで、テンプレート自身は、予め誤りなどが少なく完成度の高い状態とすることができる。そのため、テンプレートを用いて作成されたNCプログラムのデバッグ時間を短縮できる。さらに、テンプレートからNCプログラムを作成できるため、NCプログラムなどに含まれる特殊なGコードなどを把握していなくても、NCプログラムを作成することができる。
【0084】
さらに、NCプログラムをSFCとして認識することとしている。これにより、NCプログラムをSFCとして表示でき、当該SFCによりNCプログラムを作成できる。一般に、NCプログラムは、非常に難解なコードを用いて作成されているため、NCプログラムを見ただけでは熟練者でなければ容易に把握できない。しかし、NCプログラムをSFCとして表示することとしたことにより、NCプログラムの手順を視覚的に把握することができる。さらに、NCプログラムがSFCに基づいて作成されると共に、NCプログラムのステップ開始記号「(*$CYC0001*通常*)」およびステップ終了記号「(*$CYCEND*)」に基づいてSFCが作成されている。つまり、SFCとNCプログラムとが対応付けられている。従って、NCプログラムの作成および編集を視覚的にできる。
【0085】
さらに、ダイアログボックス情報記憶部44に記憶されているダイアログボックス情報がSFCのステップSTに対応付けられている。従って、SFCを作成して第一ダイアログボックス表示画面31のパラメータ数値を入力することにより、NCプログラムを作成できる。つまり、NCプログラムに含まれる特殊なGコードなどを把握していなくても、複数の動作サイクルからなるNCプログラムを容易に作成することができる。
【0086】
また、工程表を予め作成していれば、この工程表によりSFCを作成することができる。従って、NCプログラムの作成がより容易になる。さらに、SFCのステップ名称をSFC表示画面10に表示できることで、SFCの各ステップSTが行う処理を容易に把握できる。その結果、SFCを用いて、NCプログラムの作成が容易になる。
【0087】
また、第一ダイアログボックス表示画面31に動作種別を示す図面(例えば、テンプレート図、被加工物の図など)が表示されていることで、現在表示されている第一ダイアログボックス表示画面31が何を編集することができる画面であるかを視覚的に把握することができる。これにより、容易に、NCプログラムを作成することができる。そして、第一ダイアログボックス表示画面31に表示する図面は、テンプレート図とすることができる。従って、図面を個別に入力する必要はなく、かつ、当該図がテンプレートに対応づけられているため、表示する図面の設定ミスを防止することができる。
【0088】
また、上記実施形態においては、工作機械のNCプログラムの作成を例に挙げたが、この他に、他の加工用ロボット、計測装置など、構成する移動体を位置決めする装置において、制御するプログラムに適用できる。特に、工作機械のNCプログラムや加工用ロボットのプログラムは、特に熟練者による知識が必要であったため、これらに本装置を適用することが非常に有用である。
【符号の説明】
【0089】
10:SFC表示画面、 31:第一ダイアログボックス表示画面
31e:パラメータの表示領域、 32:第二ダイアログボックス表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械を動作させるための機械制御プログラムであり、プログラム中にパラメータ数値、並びに、当該パラメータ数値に対応付けられたパラメータ記号およびパラメータ名称を含む前記機械制御プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムに含まれる前記パラメータ記号と前記パラメータ名称とによりパラメータ項目として認識し、認識した前記パラメータ記号および前記パラメータ名称とこれらに対応付けられている前記パラメータ数値とをダイアログボックス情報として作成するダイアログボックス情報作成処理手段と、
前記ダイアログボックス情報作成処理手段により作成された前記ダイアログボックス情報を記憶するダイアログボックス情報記憶手段と、
前記パラメータ数値の入力画面としてのダイアログボックス表示画面であり、少なくとも前記パラメータ名称および編集可能な前記パラメータ数値を表示する前記ダイアログボックス表示画面と、
前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報としての前記パラメータ名称および前記パラメータ数値を、前記ダイアログボックス表示画面に表示させるダイアログボックス表示処理手段と、
前記ダイアログボックス表示画面において前記パラメータ数値を編集可能であり、編集した場合に前記ダイアログボックス情報作成処理手段により前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記パラメータ数値を更新させる外部入力手段と、
前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報のうちの前記パラメータ数値が更新された場合に、前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムにおける対応する前記パラメータ数値を更新された前記パラメータ数値に変更する処理を行うプログラム作成処理手段と、
を備える機械制御プログラム作成装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記外部入力手段は、前記ダイアログボックス表示画面において前記パラメータ名称を編集可能であり、編集した場合に前記ダイアログボックス情報作成処理手段により前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記パラメータ名称を更新させ、
前記プログラム作成処理手段は、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報のうちの前記パラメータ名称が更新された場合に、前記プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムにおける対応する前記パラメータ名称を更新された前記パラメータ名称に変更する処理を行う機械制御プログラム作成装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記機械制御プログラム作成装置は、
複数の動作種別のそれぞれに対応する前記機械制御プログラムのテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、
複数の前記テンプレートの中から1または複数の前記テンプレートを選択するテンプレート選択処理手段と、
を備え、
前記ダイアログボックス情報作成処理手段は、前記テンプレート選択処理手段により選択された1または複数の前記テンプレートに基づいて、前記ダイアログボックス情報を作成し、
前記プログラム作成処理手段は、前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報に基づいて前記機械制御プログラムを作成する機械制御プログラム作成装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記機械制御プログラム作成装置は、
前記機械制御プログラムを複数の動作サイクルに分割した場合に、それぞれの前記動作サイクルをシーケンシャルファンクションチャートのステップとして作成するSFC作成処理手段と、
前記SFC作成処理手段により作成された前記シーケンシャルファンクションチャートを記憶するSFC記憶手段と、
SFC表示画面と、
前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートを前記SFC表示画面に表示させるSFC表示処理手段と、
を備え、
前記ダイアログボックス情報作成処理手段は、前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートの前記ステップに対応付けた前記ダイアログボックス情報を作成し、
前記プログラム作成処理手段は、前記SFC記憶手段に記憶されている前記シーケンシャルファンクションチャートと前記ダイアログボックス情報記憶手段に記憶されている前記ダイアログボックス情報とに基づいて前記機械制御プログラムを作成し、
前記SFC作成処理手段は、前記機械制御プログラム記憶手段に記憶されている前記機械制御プログラムのステップ開始記号およびステップ終了記号に基づいて前記シーケンシャルファンクションチャートを作成する機械制御プログラム作成装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記機械制御プログラム作成装置は、機械の制御手順を示す工程表であり、複数の工程の順序を示す前記工程表を入力する工程表入力手段を備え、
前記SFC作成処理手段は、前記工程表入力手段により入力された前記工程表のそれぞれの前記制御手順を前記機械制御プログラムのそれぞれの前記動作サイクルと認識し、前記制御手順毎に前記ステップを作成する機械制御プログラム作成装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記SFC記憶手段は、前記シーケンシャルファンクションチャートに加えて、前記ステップ毎にステップ名称を記憶し、
前記SFC表示処理手段は、前記シーケンシャルファンクションチャートに加えて、前記ステップ毎にステップ名称を、前記SFC表示画面に表示させる機械制御プログラム作成装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、
前記ダイアログボックス情報は、動作種別を示す図面を含み、
前記ダイアログボックス表示画面には、前記動作種別を示す図面が表示される機械制御プログラム作成装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記テンプレート記憶手段は、前記機械制御プログラムのテンプレート、および、当該テンプレートに対応した動作種別を示すテンプレート図を記憶し、
前記ダイアログボックス情報は、前記テンプレート図を含み、
前記ダイアログボックス表示画面には、前記テンプレート図が表示される機械制御プログラム作成装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項において、
前記機械制御プログラムは、被加工物を加工する加工機を制御するための加工用プログラムである機械制御プログラム作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−12051(P2013−12051A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144524(P2011−144524)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】