説明

気化式燃焼装置

【課題】給油後の燃焼再開までの待ち時間を短縮した気化式燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃油を気化させる加熱ヒーター8を備えた気化部9と、燃油切れによる自動消火後に燃油の補給意思を検知する意思検知手段24と、前記加熱ヒーター8を燃焼前に通電して気化部9を予熱する制御装置3を備えたもので、前記意思検知手段24が燃油補給の意思を検知することで、制御装置3に加熱ヒーター8を所定時間通電させて気化部9を予熱するので、給油の意思があることを検知して、給油中に気化部を予熱しておくことにより、燃油の補給が終了して運転スイッチを入れることで、直ぐに燃焼が開始されるものであり、給油後に予熱をして燃焼が開始されるまで待つ必要がなく、極めて便利であり、特に忙しい朝や帰宅直後では直ぐに暖が得られて使用勝手が良いものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃油を気化して燃焼させる気化式の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ところで従来よりこの種の燃焼装置では、燃油量が所定量以下に低下すると、警報を発すると共に、燃焼部の燃焼を自動的に停止させて、電磁ポンプの空打ちや燃油経路へのエアーがみを防止しようとするものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】実用新案登録第2588169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来のものでは、燃油補給後に燃焼を再開させても直ぐには再着火されず、気化部が気化可能温度まで加熱されるまで待たなければならず、忙しい朝や帰宅直後では特に煩わしいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、この発明は上記欠点を解決するため、特にその構成を、燃油を気化させる加熱ヒーターを備えた気化部と、燃油切れによる自動消火後に燃油の補給意思を検知する意思検知手段と、前記加熱ヒーターを燃焼前に通電して気化部を予熱する制御装置を備えたものに於いて、前記意思検知手段が燃油補給の意思を検知することで、制御装置に加熱ヒーターを所定時間通電させて気化部を予熱するようにしたものである。
【0005】
また、前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の給油タンクの抜き取りを検知する事としたものである。
【0006】
また、前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後のタンク室蓋の開成を検知する事としたものである。
【0007】
前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の固定タンクの給油キャップの取り外しを検知する事としたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、この発明によれば、給油の意思があることを検知して、給油中に気化部を予熱しておくことにより、燃油の補給が終了して運転スイッチを入れることで、直ぐに燃焼が開始されるものであり、給油後に予熱をして燃焼が開始されるまで待つ必要がなく、極めて便利であり、特に忙しい朝や帰宅直後では直ぐに暖が得られて使用勝手が良いものである。
【0009】
更に、前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の給油タンクの抜き取りを検知する事にすれば、より的確に給油補給の意思を検知出来、予熱しておくことで直ぐに燃焼が可能で使用勝手が良いものである。
【0010】
更に、前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後のタンク室蓋の開成を検知する事にすれば、燃油の補給の為に、タンク室蓋を開けることを給油の意思として捉えれば、確実な給油の意思が判断出来、無駄な予熱をする心配が無く安心して使用出来るものである。
【0011】
更に、前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の固定タンクの給油キャップの取り外しを検知する事にすれば、固定タンク方式の燃焼装置でも利用することが出来、利用範囲の拡大が図れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は屋内に設置される気化式燃焼装置を構成するファンヒータ本体で、本体1内部に燃焼用の気化バーナ2と、このファンヒータ本体1の作動を制御するマイコンを主体として構成された制御装置3と、本体1背面開口部の対流用送風機4と、本体1前面の温風吹出口5と、本体1前面側上部の操作部6とを備えているもので、気化バーナ2での燃焼排気ガスを対流用送風機4により温風吹出口5から室内に吹き出すことで暖房を行うものである。
【0013】
前記気化バーナ2は、複数の炎孔を有したバーナヘッド7の下部に加熱ヒーター8を有した気化部9を備えて構成され、加熱ヒーター8によって加熱された気化部9内に油受け皿10から容積型の電磁ポンプ11の駆動で送油ノズル12を通じて液体燃料を供給し、この液体燃料が気化した気化ガスと燃焼用送風機13から送風路14を通じて供給される燃焼用空気との混合ガスを前記バーナヘッド7の炎孔で燃焼させ、また燃焼中は前記気化部9の上端に複数の炎孔に対向する如く備えた環状の熱回収リング15によって炎から熱回収を行い加熱ヒーター8の通電を低減しているもので、ターンダウン比が広く静かな気化燃焼を行うものである。
【0014】
前記操作部6には、運転の開始/停止を指令するための運転スイッチ16と、室温上昇スイッチ17と室温下降スイッチ18とにより構成され所望の室温を設定する室温設定手段19と、タイマースイッチや延長スイッチなどの各種の操作スイッチと、時刻や設定室温を表示する表示部20が設けられている。
【0015】
21は前記加熱ヒーター8で加熱される気化部9の温度を検知する気化温度センサで、前記制御装置3はこの気化温度センサ21の検知温度が所定の上限温度になると前記加熱ヒーター8をオフし、また所定の下限温度になると前記加熱ヒーター8をオンして気化部9の温度を液体燃料を良好に気化できる温度範囲内に保持する。
【0016】
又前記制御装置3は、運転スイッチ16の運転指令により、前記気化温度センサ21の検知温度を監視して前記気化部9を液体燃料を気化可能な温度まで加熱ヒーター8により加熱し、気化部9の温度を燃焼に適する温度まで上昇させると前記電磁ポンプ11及び燃焼用送風機13を駆動開始し、点火装置22により混合ガスに点火して燃焼を開始させて、本体1背面の対流用送風機4の近傍に設けられた室温センサ23の検知室温と前記室温設定手段19で設定された設定室温との偏差に応じて、前記電磁ポンプ11及び燃焼用送風機13を制御して燃焼火力を可変して前記室温設定手段19で設定された室温になるように制御する。
【0017】
24は燃油切れによる自動消火後に燃油の補給意思を検知する意思検知手段で、ここでは給油タンク25の底部に当接して閉成し、該給油タンク25の抜き取りで開成する開閉スイッチで構成されるものであり、給油タンク25からの燃油を一旦貯留する油受け皿10内の燃油が所定量以下になったことを、フロートスイッチ26が検知して燃焼を自動消火させるもので、意思検知手段24はこの自動消火後に燃油を補給するために、給油タンク25を本体1から抜き取ることにより、給油の意思を確認して制御装置3を通し加熱ヒーター8の通電を制御しての気化部9の予熱に入るものである。
【0018】
27は上記の予熱開始と同時にカウントを開始し、所定時間以内ここでは30分以内に燃焼が開始されない場合には、予熱を停止させる安全タイマーで、意思検知手段24が間違った意思を検知しても長時間予熱が継続して、無駄に電力を消費することを防止するものである。
【0019】
次にこの一実施形態の作動について図5に示すフローチャートに従って説明すれば、今気化バーナ2で燃焼中に給油タンク25が空の状態で、且つ油受け皿10内の燃油量が燃焼に伴って減少し、フロートスイッチ26が所定量以下を検知して(ステップ28)、ステップ29に進み気化バーナ2の燃焼が消火され、又は運転スイッチ16の指示で運転が停止していることを条件にYESで、次のステップ30に進みここで給油タンク25が給油のために抜き取られたことを、意思検知手段24が検知しYESでステップ31に進み、安全タイマー27のカウントを開始すると共に、加熱ヒーター8を通電させて気化部9の予熱を開始するものである。
【0020】
更にステップ32に進んで、運転スイッチ16がONされたかを判断し、YESでステップ33に進んで、先ず安全タイマー27のカウントをリセットして停止すると共に、制御装置3による通常の燃焼開始制御で燃焼が開始されるものであるが、この燃焼開始までの時間は、意思検知手段24によりすでに予熱が開始されているので短縮され、又は給油に手間取っていたとすれば、待つことなく直ぐに燃焼が開始されるものであり、無駄な時間がなく極めて使用勝手が良いものである。
【0021】
一方ステップ32でNOの場合は、ステップ34に進んで安全タイマー27が30分のカウントを終了したかを判断し、YES即ち予熱開始してから30分経過しても運転スイッチ16がONされず燃焼が開始されない場合は、ステップ35に進んで気化部9の予熱を終了させて、無駄な電力消費の防止と安全性の向上を図るものである。
【0022】
また、給油タンク25を取り出すために開成するタンク室蓋36の開成を検知するスイッチを意思検知手段24としても良く、また、固定タンク方式のものでは、給油キャップの取り外しを検知するスイッチを意思検知手段24としても良く、いずれも的確に給油の意思を検知出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例を付した気化式燃焼装置を示す斜視図。
【図2】同要部断面図。
【図3】同要部構成図。
【図4】同制御回路のブロック図。
【図5】同フローチャート
【符号の説明】
【0024】
2 気化バーナ
3 制御装置
8 加熱ヒーター
9 気化部
24 意思検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を気化させる加熱ヒーターを備えた気化部と、燃油切れによる自動消火後に燃油の補給意思を検知する意思検知手段と、前記加熱ヒーターを燃焼前に通電して気化部を予熱する制御装置を備えたものに於いて、前記意思検知手段が燃油補給の意思を検知することで、制御装置に加熱ヒーターを所定時間通電させて気化部を予熱する事を特徴とする気化式燃焼装置。
【請求項2】
前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の給油タンクの抜き取りを検知する事を特徴とする請求項1記載の気化式燃焼装置。
【請求項3】
前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後のタンク室蓋の開成を検知する事を特徴とする請求項1記載の気化式燃焼装置。
【請求項4】
前記意思検知手段は、燃油切れによる自動消火後の固定タンクの給油キャップの取り外しを検知する事を特徴とする請求項1記載の気化式燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−241222(P2008−241222A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86391(P2007−86391)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】