説明

水田作業機

【課題】繰出し機構からの搬送管と作溝器を連通させる連通パイプを備えた粉粒体供給部の複数を備える水田作業機を、連通パイプの必要種類を少なく済ませる状態で、かつ連通パイプの適切な組み付けを行い易い状態で得る。
【解決手段】複数本の連通パイプ24を、両端部間に屈曲部83を備えるように、かつ同一の屈曲部形態を備えるように形成してある。複数本の連通パイプ24それぞれを複数の搬送管27及び複数の作溝器19のいずれの連通にも適用可能なように、複数本の連通パイプ24の搬送管側に連結するための連結部81,82及び作溝器側に連結するための連結部81,82の連結用仕様を同一に設定してある。複数本の連通パイプ24に、複数の搬送管27及び複数の作溝器19それぞれの連通に適用する場合の取付け姿勢を表示する指標91〜94を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場面に粉粒体供給する溝を機体横方向での複数箇所で形成する複数の作溝器、及び前記複数の作溝器を粉粒体繰出し部から延出する複数の搬送管に各別に連通させる複数本の機体上下向きの連通パイプを有した作業部が備えられた水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された田植機があった。この田植機では、ホッパから肥料を繰り出す繰出装置を備えるとともに、この繰出装置をフレキシブルホース、固定ホース及びブーツを介して施肥口に連通させて、圃場に施肥するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−170831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉粒体繰出し部から延出する搬送管と作溝器とを連通させるのに、機体上下向きの連通パイプを採用すれば、搬送管からの粉粒体が作溝器に流れ落ち易く、作溝器に対する粉粒体の供給をスムーズに行わせることができる。
連通パイプを採用する場合、連通させようとする連通管と作溝器の間に作業部の部材や装置などの障害物が存在することになれば、連通パイプと障害物の干渉を回避する屈曲部を連通パイプに備えさせる必要が生じる。障害物の位置や形状が異なっても障害物との干渉を回避できるように、位置や形状が異なる障害物それぞれに対応する屈曲部を備えた専用の連通パイプを準備した場合、屈曲部の形態が異なる複数種類の連通パイプを製作せねばならず、コスト高になる。
【0005】
本発明の目的は、作溝器と搬送管を連通パイプによって連通させるものでありながら、搬送管と作溝器の間の障害物の存在にかかわらずコスト面でも組み立て作業面でも有利に得ることができる水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、圃場面に粉粒体供給する溝を機体横方向での複数箇所で形成する複数の作溝器、及び前記複数の作溝器を粉粒体繰出し部から延出する複数の搬送管に各別に連通させる複数本の機体上下向きの連通パイプを有した作業部が備えられた水田作業機において、
前記複数本の連通パイプを、両端部間に屈曲部を備えるように、かつ同一の屈曲部形態を備えるように形成し、
前記複数本の連通パイプそれぞれを前記複数の搬送管及び前記複数の作溝器のいずれの連通にも適用可能なように、前記複数本の連通パイプの前記搬送管側に連結するための連結部及び前記作溝器側に連結するための連結部の連結用仕様を同一に設定し、
前記複数本の連通パイプに、前記複数の搬送管及び前記複数の作溝器それぞれの連通に適用する場合の取付け姿勢を表示する指標を設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、一種類の連通パイプを準備するだけで、連通パイプと障害物との干渉を回避しながら、複数の作溝器を複数の搬送管のうちの対応する所定の搬送管に連通パイプによって連通させることができ、かつ連通パイプの適切な取付け姿勢での取付けを作業容易にできる。
すなわち、作溝器と搬送管の間に存在する障害物と連通パイプとの干渉を連通パイプの屈曲部によって回避することができる。
搬送管と作溝器の間に存在する障害物の位置や形状が同一であるかあまり相違しない作溝器の場合、連通パイプの屈曲部の障害物に対する位置を同じにすればよく、この作溝器ための連通パイプの取付け姿勢は、作溝器の相違にかかわらず同じにすることになる。搬送管と作溝器の間に位置する障害物の位置や形状が異なる場合、連通パイプの屈曲部の障害物に対する位置を変化させねばならず、この作溝器のための連通パイプの取付け姿勢は、作溝器によって相違させることになる。複数本の連通パイプの搬送管側に連結するための連結部及び作溝器側に連結するための連結部の連結用仕様を同一に設定して、各搬送管側及び各作溝器側に同一種類の連通パイプを取付け姿勢の変更にかかわらず連結できるようにしてあるから、複数の作溝器を複数の搬送管に各別に連通させるのに、障害物の位置や形状の相違があっても、障害物に対する屈曲部の位置が変化するように取付け姿勢を変更させて同一種類の連通パイプによって連通させることができる。
連通パイプの取り付け姿勢を指標によって容易に認識しながら連通パイプの取り付けを行ない、連通パイプを障害物の相違にかかわらず所定の取付け姿勢に精度よく容易に取り付けることができる。
【0008】
従って、搬送管と作溝器を連通パイプによって連通させて作溝器への粉粒体供給をスムーズに行なうことができるものでありながら、搬送管と作溝器の間の障害物の存在にかかわらず一種類の連通パイプを準備するだけで済むとともに連通パイプの所定の取付け姿勢での精度よい取付けを容易に行なえて、安価にかつ組み立て作業容易に得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記連通パイプを、連通させるべき前記搬送管及び前記作溝器が異なる場合、上下向きを入れ換えて取り付けるよう構成してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、連通パイプの上下向きを入れ換えることにより、屈曲部の連通パイプでの位置を上下方向に変更できて障害物と連通パイプの干渉を回避できる。
【0011】
従って、位置が上下方向に異なる障害物と連通パイプとの干渉を回避しながら複数の作溝器を一種類の連通パイプで連通管に連通させることができる。
【0012】
本第3発明では、前記連通パイプを、連通させるべき前記搬送管及び前記作溝器が異なる場合、前後向きを入れ換えて取り付けるよう構成してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、連通パイプの前後向きを入れ換えることにより、屈曲部の連通パイプでの位置を前後方向に変更できて障害物と連通パイプの干渉を回避できる。
【0014】
従って、位置が前後方向に異なる障害物と連通パイプとの干渉を回避しながら複数の作溝器を一種類の連通パイプで連通管に連通させることができる。
【0015】
本第4発明では、前記連通パイプに、機体側の機体横向きの支持杆に対して係脱自在な連結フックを設け、前記連通パイプの前記支持杆に対する機体横方向での位置決めを行なうように前記連通パイプと前記支持杆とにわたって装着される係止ピンを設けてある。
【0016】
本第4発明の構成によると、支持杆に対する連結フックの係合によって連通パイプの支持杆に対する支持杆に直交する方向でのずれ止め行なわせることができ、係止ピンによる位置決めによって連通パイプの支持杆に対する支持杆に沿う方向でのずれ止めを行なわせることができる。
【0017】
従って、連結フックを支持杆に係合させるとともに係止ピンを連通パイプと支持杆とにわたって装着するだけで操作簡単に連通パイプを所定の取付け姿勢で保持されるように支持杆に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】水田作業機の全体を示す側面図である。
【図2】水田作業機の全体を示す平面図である。
【図3】作業部を示す側面図である。
【図4】粉粒体供給部を示す正面図である。
【図5】作溝器と連通パイプが連通する部位を示す縦断側面図である。
【図6】作溝器と連通パイプが連通する部位を示す正面図である。
【図7】排気口の配設部を示す縦断側面図である。
【図8】作溝器と連通パイプが連通する部位を示す横断平面図である。
【図9】(a)は、連通パイプの固定状態を示す正面図、(b)は、連通パイプの固定状態を示す側面図である。
【図10】(a)は、連通パイプを示す前面図、(b)は、連通パイプを示す右側面図、(c)は、連通パイプを示す後面図である。
【図11】連通パイプの取り付け要領を示す正面図である。
【図12】第2の実施形態を備える水田作業機における粉粒体供給部を示す正面図である。
【図13】第3の実施形態を備える水田作業機における粉粒体供給部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係る水田作業機の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る水田作業機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪10,10と左右一対の駆動自在な後輪11,11とによって自走する乗用型の走行機体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して作業部4を連結して、かつ走行機体1の運転座席13の後側に設けられたタンク21を備えた粉粒体供給装置5を設けて構成されている。
【0020】
走行機体1について説明する。
図1及び図2に示すように、走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、ベルト式伝動装置7及び静油圧式無段変速装置8を介してギヤ式伝動装置9に伝達し、そのギヤ式伝動装置9からの走行用動力を左右の前輪10及び後輪11に伝達する四輪駆動形式に構成されている。走行機体1の後部側には、左右の前輪10を操向操作するステアリングホイール12や運転座席13などを備えた搭乗形の運転部14が形成されている。
【0021】
作業部4について説明する。
図3は、作業部4を示す側面図である。この図及び図1,2に示すように、作業部4は、リンク機構3を構成するアッパーリンク3a及びロワーリンク3bの後端部に連結フレーム3cを介して作業部機体横方向での中間部が連結された作業部機体横方向に長い連結部材28を備えて構成された作業部機体フレーム30を備えている。連結部材28は、縦断面形状が矩形に形成された中空の鉄鋼材によって構成されている。作業部機体フレーム30は、前記連結部材28を備える他、この連結部材28の長手方向での3箇所から作業部機体後方向きに延出され、前端側が連結部材28によって連結された状態で作業部機体横方向に所定間隔を隔てて並ぶ作業部機体前後向きの3つの植付駆動ケース29を備えて構成されている。
【0022】
作業部4は、各植付駆動ケース29の後端部の両横側に1つずつ駆動自在に設けられた6つの苗植付機構18、作業部機体フレーム30の前端側の上方に下端側ほど作業部機体後方側に位置する傾斜姿勢で設けられた苗載せ台17、各植付駆動ケース29の下方に一つずつ位置する配置で作業部機体横方向に並べて作業部機体フレーム30の下方に設けられた3つの接地フロート15を備えている。各苗植付機構18は、植付駆動ケース29に駆動回転自在に支持される回転ロータ18aを備え、この回転ロータ18aが回転駆動されることにより、回転ロータ18aの両端部に分散させて設けてある一対の植付アーム18b,18bによって交互に苗載せ台17の下端部から苗を取り出し、取り出した苗を圃場面に植え付けるように苗植え運動を行なうようにロータリ式に構成されている。
【0023】
図3,4に示すように、作業部4は、走行機体1のギヤ式伝動装置9からの作業用動力が入力されるフィードケース16を連結部材28によって支持される状態で備え、作業用動力をフィードケース16から伝動ケース31に収容の伝動軸31aを介して各苗植駆動ケース29に伝達して6つの苗付機構18を駆動する。作業部4は、フィードケース16に一端側が駆動回転自在に支持された苗横送り軸41を有した苗横送り機構40を備え、この苗横送り機構40によって苗載せ台17を苗植付機構18の苗植え運動に連動させて作業部機体横方向に往復移送する。これにより、苗載せ台17は、各苗植付機構18が苗載せ台17に載置されたマット状苗の下端部の横一端側から他端側に向けて順次に苗を取り出していくように、6つの苗載置部に載置されたマット状苗を苗植付機構18に対して横方向に往復移送する。作業部4は、フィードケース16に一端側が駆動回転自在に支持された苗縦送り軸46を有した苗縦送り機構45を備え、往復移送される苗載せ台17が左右のストロークエンドに到達すると、苗載せ台17の6つの苗載置部に設けてある苗縦送りベルト47を苗縦送り機構45によって所定ストロークだけ回転駆動し、苗載せ台17に載置されているマット状苗を苗植付機構18による取り出し苗の縦方向での大きさに相当する量だけ苗植付機構18に向けて縦送りする。
【0024】
作業部4は、油圧シリンダ2によるリンク機構3の昇降操作によって各接地フロート15が圃場面に下降して接地した下降作業状態と、各接地フロート15が圃場面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。下降作業状態に下降された作業部4は、走行機体1の走行に伴い、走行機体1からフィードケース16に伝達される作業用動力によって各苗植付機構18、苗横送り機構40及び苗縦送り機構45を駆動し、6つの苗植付機構18によって6条の苗植え付けを行なう。各苗植付機構18は、接地フロート15の滑走によって前もって整地された圃場面に苗植え付けする。
【0025】
粉粒体供給装置5について説明する。
図1,2に示すように、粉粒体供給装置5は、ホッパ形に形成されたタンク21と、このタンク21の底部に設けた粉粒体繰出し部Aと、運転座席13の下方に走行機体1の機体フレームに支持される状態で設けたブロワ22と、作業部4に作業部機体横方向に並べて設けた6つの粉粒体供給部Kとを備えて構成してある。
【0026】
粉粒体繰出し部Aは、タンク21の底部に走行機体横方向に並べて設けた4つの繰出し機構20を備えて構成してある。4つの繰出し機構20は、作業部4に作業用動力を伝達する伝動系からの動力で回転駆動される繰出しロール(図示せず)が内装された繰り出しケース(図示せず)を備え、タンク21に貯留された粉粒状の肥料を繰出しロールによって繰出しケースの下部に設けられた左右一対の送出部20a,20aに繰出すよう構成されている。
【0027】
ブロワ22は、電動モータによって駆動され、エンジン6の排気マフラ36の放熱や排気マフラ36の排気によって温度上昇している排気マフラ付近の空気を吸気ダクト35を介して吸引して常温よりも高温の搬送風を発生させ、発生させた搬送風を送風ダクト37を介して4つの繰出し機構20の各送出部20aに供給する。
【0028】
4つの繰出し機構20それぞれが備える左右一対の送出部20a,20aの一方あるいは両方から搬送管27を走行機体後方向きに延出し、4つの繰出し機構20から延出する計6本の搬送管27の延出端部を6つの粉粒体供給部Kに各別に接続してある。搬送管27は、作業部4の昇降を撓みによって可能にするように可撓性を有したホースによって構成してある。
【0029】
図3,5に示すように、6つの粉粒体供給部Kは、各粉粒体供給部Kを構成する作溝器19が1つの苗植付機構18の前方近くに位置する配置で作業部機体横方向に並んでいる。6つの粉粒体供給部Kそれぞれは、接地フロート15に支持される作溝器19と、この作溝器19を6本の搬送管27のうちの所定の1本の搬送管27に連通させる連通パイプ24とを備えて構成してある。
【0030】
図3,4,5に示すように、各作溝器19は、機体上下方向視での形状が機体後方向きに開口する溝形になるように成形された折曲げ板金で成る供給部19aと、この供給部19aの下部の前側から前方に延出する作溝部19bとを備えて構成してある。各作溝器19は、作溝部19bを接地フロート15の底部に連結ボルト19dで連結することによって接地フロート15に支持させてある。
【0031】
連通パイプ24は、苗載せ台17の裏側に作業部機体上下向き姿勢で配置してある。連通パイプ24は、作業部側面視において上端側での苗載せ台17の裏面との間隔が下端側での苗載せ台摺動ガイドレール17bとの間隔より大になる姿勢で配備してある。連通パイプ24は、上端側が搬送管27側の連結部33aに連結され、下端側が作溝器側の連結部25Dに連結されていることにより、搬送管27と作溝器19の供給部19aとを連通させている。搬送管側の連結部33aは、搬送管27の延出端部に取り付けたジョイント33の端部によって構成してある。作溝器側の連結部25Dは、作溝器19の供給部19aに下端側が挿入された筒体25の上端部によって構成してある。
【0032】
従って、粉粒体供給装置5は、作業部4によって6条植えの苗植え作業が行なわれるに伴い、6条の植付け苗それぞれの横側近くに肥料供給する施肥作業を行なう。
すなわち、粉粒体繰出し部Aがタンク21に貯留された肥料を4つの繰出し機構20によってそれぞれの送出部20aに繰出し、6つの搬送管27それぞれが、送出部20aに繰り出された肥料をブロワ22から送出部20aを介して搬送管27に供給される搬送風によって粉粒体供給部Kの連通パイプ24に供給する。6つの粉粒体供給部Kそれぞれは、搬送管27から連通パイプ24に供給された肥料をブロワ22からの搬送風によって連通パイプ24に沿わせて作溝器19の供給部19aに供給する。6つの作溝器18により、圃場面の機体横方向での6箇所に溝を形成し、形成した溝に供給部19aによって連通パイプ24からの肥料を供給していく。各作溝器18は、苗植付機構18による苗植付け箇所より機体前方側において、溝を形成して肥料供給する。作溝器19による肥料供給を行なった後の溝は、作溝器19の後方に配置して接地フロート15に設けられた埋戻し板39による泥土の押し寄せによって埋められる。
【0033】
6つの粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、6つの粉粒体供給部Kに共通の1種類の連通パイプによって構成してある。図10(a)は、6つの粉粒体供給部Kに共通の連通パイプ24を示す前面図である。図10(b)は、6つの粉粒体供給部Kに共通の連通パイプ24を示す右側面図である。図10(c)は、6つの粉粒体供給部Kに共通の連通パイプ24を示す後面図である。これらの図に示すように、6つの粉粒体供給部Kに共通の連通パイプ24は、非可撓性を備える素材によって構成してある。具体的には、連通パイプ24は、半透明の合成樹脂材で形成してある。連通パイプ24の両端部に、切り欠き形の位置決め凹部80を備えた連結部81,82を設けてある。連通パイプ24の一端側の連結部81によっても他端側の連結部82によっても連通パイプ24を搬送管27側の連結部33a及び作溝器側の連結部25Dに連結できるように、一端側の連結部81の連結用仕様と他端側の連結部82の連結用仕様とを同一に設定してある。具体的には、一端側及び他端側の連結部81,82は、搬送管側及び作溝器側の連結部33a,25Dに外嵌し、搬送管側及び作溝器側の連結部33a,25Dの外周面に設けられた環状の突部B(図5参照)に環状の凹部で係合して抜け止めされるように構成してある。連通パイプ24の両端部間に屈曲部83を設けてある。屈曲部83は、連通パイプ24の一端側の開口の近くに位置する2つの屈曲箇所84a,84b及び他端側の開口の近くに位置する2つの屈曲箇所85a,85bで連通パイプ24を屈曲させるよう形成されている。屈曲部83は、連通パイプ24の前後方向視において一端側の連結部81の軸芯81aと他端側の連結部82の軸芯82aとが互いに偏倚し、連通パイプ24の側面視において一端側の連結部81の軸芯81aと他端側の連結部82の軸芯82aとが同一軸芯になるように形成されている。一端側の連結部81の軸芯81aと他端側の連結部82の軸芯82aとは、平行又はほぼ平行になっている。
【0034】
図10(a),(b),(c)に示すように、連通パイプ24の一端側における後面側周部に第1の指標91〔図11(a)参照〕を設け、連通パイプ24の他端側における後側周部に、第2の指標92〔図11(b)参照〕を設け、連通パイプ24の他端側における前側周部に、第3の指標93を〔図11(c)参照〕を設け、連通パイプ24の一端側における前側周部に第4の指標94〔図11(d)参照〕を設けてある。第1〜第4の指標91〜94としては、連通パイプ24の周方向に長い突条95を設けてある。突条95は、樹脂素材で連通パイプ24に一体形成してある。第1〜第4の指標91〜94の相違の表示は、突条95の本数の相違によって行なってある。
【0035】
図4及び図11(a)に示すように、第1の指標91は、6つの粉粒体供給部Kのうちの左端から4番目の粉粒体供給部K(第4粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24に備えさせるべき取付け姿勢を表示するものである。
【0036】
つまり、図4及び図11(a)に示すように、第4粉粒体供給部Kの組み立てを行なう場合、連通パイプ24を、第1の指標91が作溝器側の連結部25Dが位置する側に作業部機体前方向きに向いて位置する第1の取付け姿勢にする。すると、連通パイプ24は、後面側が作業部前方向きになり、一端側の連結部81で作溝器側の連結部25Dに連結し、他端側の連結部82で搬送管側の連結部33aに連結する取付け姿勢になり、苗載せ台17の裏側に位置するレバーガイド75をその横側方に迂回して、かつ連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。この場合、連通パイプ24の一端側の連結部81に設けてある切り欠きで成る位置決め凹部80と作溝器側の連結部25Dに設けてある位置決め突部25tとが係合する。レバーガイド75は、植付深さ変更レバー76及び苗取り量変更レバー77に対する操作ガイドを行なうものである。植付深さ変更レバー76は、接地フロート15の作業部機体フレーム30に対する連結高さを変更調節して苗植付機構18による苗植え深さを変更するものである。苗取り量変更レバー77は、苗載せ台17を苗縦送り方向に移動調節して苗植付機構18による苗縦方向での苗取り量を変更するものである。
【0037】
図4及び図11(b)に示すように、第2の指標92は、6つの粉粒体供給部Kのうちの左端から6番目の粉粒体供給部K(第6粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24に備えさせるべき取付け姿勢を表示するものである。
【0038】
つまり、図4及び図11(b)に示すように、第6粉粒体供給部Kの組み立てを行なう場合、連通パイプ24を、第2の指標92が作溝器側の連結部25Dが位置する側に作業部機体前方向きに向いて位置する第2の取付け姿勢にする。すると、連通パイプ24は、後面側が第4粉粒体供給部Kを構成する場合と同様に作業部前方向きになり、上下向きが第4粉粒体供給部Kを構成する場合と入れ換わった上下向きになって、他端側の連結部82で作溝器側の連結部25Dに連結し、一端側の連結部81で搬送管側の連結部33aに連結する取付け姿勢になり、苗載せ台17の右端部の裏側に位置するマーカ操作装置78を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。この場合、連通パイプ24の他端側の連結部82に設けてある切り欠きで成る位置決め凹部80と作溝器側の連結部25Dに設けてある位置決め突部25tとが係合する。マーカ操作装置78は、電動モータを備え、この電動モータによってマーカ係止フック78aを操作して右側のマーカ42を昇降操作するものである。
【0039】
図4及び図11(c)に示すように、第3の指標93は、6つの粉粒体供給部Kのうちの左端の粉粒体供給部K(第1粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24に備えさせるべき取付け姿勢を表示するものである。
【0040】
つまり、図4及び図11(c)に示すように、第1粉粒体供給部Kの組み立てを行なう場合、連通パイプ24を、第3の指標93が作溝器側の連結部25Dが位置する側に作業部機体前方向きに向いて位置する第3の取付け姿勢にする。すると、連通パイプ24は、前面側が第4及び第6粉粒体供給部Kを構成する場合の後面側と入れ換わって作業部前方向きになり、上下向きが第6粉粒体供給部Kを構成する場合と同じであって、第4粉粒体供給部Kを構成する場合と入れ換わった上下向きになって他端側の連結部82で作溝器側の連結部25Dに連結し、一端側の連結部81で搬送管側の連結部33aに連結する取付け姿勢になり、苗載せ台17の左端部の裏側に位置するマーカ操作装置79を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。この場合、連通パイプ24の他端側の連結部82に設けてある切り欠きで成る位置決め凹部80と作溝器側の連結部25Dに設けてある位置決め突部25tとが係合する。マーカ操作装置79は、電動モータを備え、この電動モータによってマーカ係止フック79aを操作して左側のマーカ42を昇降操作するものである。
【0041】
図4、図11(d)に示すように、第4の指標94は、6つの粉粒体供給部Kのうちの左端から2,3,5番目の粉粒体供給部K(第2,3,5粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24に備えさせるべき取付け姿勢を表示するものである。
【0042】
つまり、図4及び図11(d)に示すように、第2,3,5粉粒体供給部Kの組み立てを行なう場合、連通パイプ24を、第4の指標94が作溝器側の連結部25Dが位置する側に作業部機体前方向きに向いて位置する第4の取り付け姿勢にする。すると、連通パイプ24は、前面側が第1粉粒体供給部Kを構成する場合と同様であって、第4及び第6粉粒体供給部Kを構成する場合と入れ換わって作業部前方向きになり、上下向きが第4粉粒体供給部Kを構成する場合と同じであって、第1及び第6粉粒体供給部Kを構成する場合と入れ換わった上下向きになって一端側の連結部81で作溝器側の連結部25Dに連結し、他端側の連結部82で連通管側の連結部33aに連結する取付け姿勢になる。
【0043】
第2及び第3粉粒体供給部Kを構成する場合の連通パイプ24は、苗載せ台17の裏側に位置する苗横送り軸41及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。
【0044】
第5粉粒体供給部Kを構成する場合の連通パイプ24は、苗載せ台17の裏側に位置する苗縦送り軸46及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。これらの場合、連通パイプ24の一端側の連結部81に設けてある切り欠きで成る位置決め凹部80と作溝器側の連結部25Dに設けてある位置決め突部25tとが係合する。
【0045】
図10に示すように、連通パイプ24の一端側に、前側周部と後側周部とに振り分け配置した一対の連結フック50,50を備え、連通パイプ24の他端側に、前側周部と後側周部とに振り分け配置した一対の連結フック51,51を備え、第1〜第6粉粒体供給部Kに組み付けた連通パイプ24を、作業部機体側に設けられた上下一対の支持杆53,54に連結フック50,51、及び連通パイプ24と上側の支持杆53とにわたって装着される係止ピン52によって固定するよう構成してある。各連結フック50,51は、合成樹脂材で連通パイプ24に一体形成してある。
【0046】
すなわち、作業部機体側の上下一対の支持杆53,54は、作業部機体横向きの姿勢で設けられている。上側の支持杆53は、作業部機体フレーム30を構成する連結部材28から作業部機体上方向きに立設されて苗載せ台17の上端側を摺動自在に支持する左右一対の支柱26,26に架設してある。下側の支持杆54は、作業部機体フレーム30を構成する植付駆動ケース29に架設してある。下側の支持杆54は、作業部機体フレーム30によって上下揺動自在に支持される苗取り量調節アーム17aの支軸によって構成してある。苗取り量調節アーム17aは、苗取り量変更レバー77が揺動操作されることによって苗載せ台17を苗縦送り方向に摺動調節する。
【0047】
第2,3,4,5粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24にあっては、連通パイプ24の他端側に位置する一対の連結フック51,51のうち、連通パイプ24から後方向きに突出することになる方の連結フック51を上側の支持杆53に下方から係合させ、連通パイプ24の一端側に位置する一対の連結フック50,50のうち、連通パイプ24から後方向き突出することになる方の連結フック50を下側の支持杆54に上方から係合させる。
【0048】
第1,6粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24にあっては、連通パイプ24の一端側に位置する一対の連結フック50,50のうち、連通パイプ24から後方向きに突出することになる方の連結フック50を上側の支持杆53に下方から係合させ、連通パイプ24の他端側に位置する一対の連結フック51,51のうち、連通パイプ24から後方向きに突出することになる方の連結フック51を下側の支持杆54に上方から係合させる。
【0049】
第1〜第6粉粒体供給部Kのいずれを構成する連通パイプ24においても、係止ピン52の一端側に設けてあるループ形の係止部52aを連通パイプ24の連結部81,82に巻き付けて係止させ、係止ピン52の他端側に設けてある作業部機体上下向きのピン形の係止部52bを上側の支持杆53に設けたピン孔に係入させることにより、係止ピン52は連通パイプ24と支持杆53とにわたって装着される。
【0050】
図9(a)は、連通パイプ24を一端側の連結部81で搬送管27に連結する場合での連結パイプ24の固定状態を示す正面図である。図9(b)は、連通パイプ24を一端側の連結部81で搬送管27に連結する場合での連結パイプ24の固定状態を示す側面図である。図9(a)、(b)に示す符号(51)及び(82)は、連通パイプ24を他端側の連結部82で搬送官27に連結する場合、連通パイプ24を一端側の連結部81で搬送管27に連結する場合の連結部81が位置する箇所に連結部81に替わって連結部82が位置すること、連通パイプ24を一端側の連結部81で搬送管27に連結する場合の連結フック50に替わって連結フック51が支持体53に係合することを示している。
つまり、上下一対の支持杆53,54に対する連結フック50,51の係合により、支持杆53,54に直交する方向での支持杆53,54に対する連通パイプ24の位置決めを行なわせて、連通パイプ24及び支持杆53に対する係止ピン52の係止により、支持杆53に沿う方向での支持杆53に対する連通パイプ24の位置決めを行なわせて、連通パイプ24を固定するように構成してある。
【0051】
図5,6,8に示すように、作溝器19の供給部19aの上端部内に詰まりセンサSを設けてある。詰まりセンサSは、間隔を隔てて位置する一対の電極を備え、一対の電極にわたって肥料が付着し、両電極間の導通状態が良くなって抵抗値が小さくなることにより、肥料詰まりが発生したと検出作動する。詰まりセンサSは、検出作動した場合、検出情報を制御手段に出力することにより、運転部14に設けられた警報装置(図示せず)を作動させる。詰まりセンサSは、電線56によって制御手段に連係されている。電線56は、作溝器19における供給部19aの上部に設けた切り欠きでなる開口19cを通るように配備されている。
【0052】
筒体25のうちの作溝器19の供給部19aに挿入された先端部25A部を詰まりセンサSの側に位置する領域25Bが最も長くなるように形成してある。具体的には、先端部25Aの形状を、筒体25の軸芯25aに対して詰まりセンサSが位置する側に位置する領域25Bでの下端T1が、筒体25の軸芯25aに対して詰まりセンサSが位置する側とは反対側に位置する領域25Cでの下端T2より低い配置高さに位置するように先細り形状にしてある。つまり、先端部25Aに切り欠き部を設けて、先端部25Aの形状を段付き形状にしてある。切り欠き部は、筒体25の軸芯25aに沿う方向での切断と、筒体25の軸芯25aに直交する方向での切断とによって形成されている。
【0053】
従って、連通パイプ24からの肥料が筒体25の先端部25Aの先細り形状によって詰まりセンサSから離れる側に拡散しながら作溝器19の供給部19aの内部に流下し、肥料が詰まりセンサSが位置する側に流れて開口19cから供給部19aの外側に漏れ出ない構成になっている。
【0054】
図5は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と連通パイプ24とが連通する部位を示す縦断側面図である。図6は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と連通パイプ24とが連通する部位を示す正面図である。図8は、6つの作溝器19それぞれにおける作溝器19と連通パイプ24とが連通する部位を示す横断平面図である。これらの図に示すように、筒体25に第1及び第2のエア抜き風路61,62を連通させ、ブロワ22からの搬送風の一部が作溝器19の供給部19aの下端部に至るまでに第1及び第2のエア抜き風路61,62によって抜け出ることを可能にし、筒体25から作溝器19の供給部19aに流入して供給部19aから肥料供給用の溝内や圃場面に吹き出る搬送風量をブロワ22によって供給される搬送風量に比して少量にできるように構成してある。
【0055】
第1及び第2エア抜き風路61,62は、作溝器19の上方に設けたカバー63によって形成してある。
【0056】
すなわち、カバー63は、作溝器19の供給部19aの上端部の外周側をその上端部に対して所定間隔を隔てて覆うように、かつ作溝器19の供給部19aの上端部に連通する筒体25の上端部の外周側をその上端部に対して所定間隔を隔てて覆うように、さらに作溝器19の供給部19aの上端部の外周側の箇所であって、カバー63の上部に設けた排気口64aより低い配置高さに位置する箇所でカバー63の内部を下向きに開放する下向き開口66を備えるように形成してある。具体的には、カバー63は、筒体25の上部箇所25Uから下方向きに延出し、延出端63bが作溝器19の供給部19aにおける上端部箇所の外側に位置し、延出端63bで下向きに開口するよう容器形状に形成してある。カバー63は、弾性材の一例としてのゴム材によって構成してある。カバー63と筒体25とは、ゴム材によって一体形成してある。
【0057】
作溝器19の供給部19aとこの供給部19aの上端部に挿入された筒体25の先端部25Aとの間に、作溝器19が接地フロート15と共に植付け機体フレーム30に対して昇降することを許容する隙間Cを設けてある。カバー63の上端部に排気口64aを苗植付け機体の上方及び前方向きに備えた排気筒部64を設け、筒体25の終端開口から出た搬送風が供給部19aの内壁面に沿って上方向きに流動して供給部19aと筒体25の隙間Cから供給部19aの外側に流出し、供給部19aの外側をさらに上方向きに流動した搬送風が排気筒部64に流入して排気口64aからカバー63の外部に抜け出るように第1のエア抜き風路61を形成してある。
【0058】
筒体25の終端開口から出た搬送風が供給部19aの内壁面に沿って上方向きに流動して供給部19aと筒体25の隙間Cから供給部19aの外側に流出し、供給部19aの外側に出てからカバー63の内面に沿って下方向きに流動した搬送風がカバー63の下向き開口66からカバー63の外部に抜け出るように第2のエア抜き風路62を形成してある。
【0059】
図3に示すように、第1のエア抜き風路61の排気口64aは、植付け機体フレーム30を構成する連結部材28の上端28aより低い配置高さに位置するように配置してあり、第1のエア抜き風路61から搬送風と共に肥料粉末が出ても、第1のエア抜き風路61から出た肥料粉末が植付け機体フレーム30の上に落下する事態が発生しない。
【0060】
図3,6に示すように、第1のエア抜き風路61の排気口64aは、筒体25の前方に筒体25と機体前後方向に重なって位置するよう配置し、苗植え運動する苗植付機構18による泥土の跳ね上げが発生しても、連通パイプ24や筒体25が遮蔽機能を発揮し、跳ね上げられた泥土が排気口64aに付着しない構成になっている。
【0061】
第1のエア抜き風路61の排気口64aに蓋体70を設けてある。この蓋体70は、カバー63に一体形成して設けた支持部71に枢支されており、軸芯Pまわりに上下揺動して開閉するように、かつ排気口64aから抜け出る搬送風の風圧を受けると、この風圧によって開き操作されるように、さらに開き操作が解除されると、蓋体70に作用する重力による下降操作によって閉じ操作されるように支持されている。
【0062】
蓋体70に対するストッパ72を支持部71に一体形成して設けある。図5に二点鎖線で示す蓋体70は、全開き姿勢での蓋体を示している。図5,7に示すように、蓋体70は、上昇揺動して開き角度が増大していき、蓋体70の基端側部分がストッパ72に当接してこのストッパ72による揺動規制を受けた状態になると、開き限界である全開き姿勢になる。この全開き姿勢は、重力が閉じ方向外力として作用するよう上死点を超えない開き姿勢に設定してある。従って、蓋体70は、全開き姿勢まで開き操作された場合でも、開き操作が解除されると、重力による閉じ操作によって確実に下降して閉じ姿勢に戻る。
【0063】
図6,7に示すように、カバー63の左右の横側壁部63aの内面側に突部73を設けてある。突部73は、作溝器19の供給部19a及び筒体25に沿う方向の突条によって構成してある。この突部73は、カバー63に一体形成してある。
【0064】
突部73は、カバー63の横側壁部63aが泥水の押し寄せを受けるなどによって内側に向かって弾性変形した場合、筒体25や供給部19aに当接して横側壁部63aのそれ以上の内側への弾性変形を規制するストッパとなり、横側壁部63aと筒体25及び供給部19aとの間に隙間を確保し、横側壁部63aの弾性変形によって第1及び第2のエア抜き風路61,62が狭くなることを抑制する。
【0065】
〔別実施形態〕
図12は、第2の実施形態を備える水田作業機における粉粒体供給部Kを示す正面図である。第2の実施形態を備える水田作業機では、5条植えの苗植え作業を及び5条の植付け苗に対する施肥作業を行なうよう構成してある。
【0066】
第2の実施形態を備える水田作業機における5つの粉粒体供給部Kは、第1の実施形態を備える水田作業機における6つの粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ構成を備えた連通パイプ24を備えて構成してある。
【0067】
第2の実施形態を備える水田作業機では、左端から1,2,4番目の粉粒体供給部K(第1,2,4粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第1粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第3の取付け姿勢で取付けられている。
【0068】
第1粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ操作装置79を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ操作装置79は、マーカ係止フック79aを操作して左側のマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え操作する。第2粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、苗横送り軸41及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。第4粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、苗縦送り軸46及びレバーガイド75を作業部機体後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19を連通させる。
【0069】
左端から3番目の粉粒体供給部K(第3粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第2,3,5粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第4の取付け姿勢で取付けられている。第3粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、苗横送り軸41及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。
【0070】
左端から5番目の粉粒体供給部K(第5粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第6粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第2の取付け姿勢で取付けられている。第5粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ操作装置78を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ操作装置78は、マーカ係止フック78aを操作して右側のマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え操作する。
【0071】
図13は、第3の実施形態を備える水田作業機における粉粒体供給部Kを示す正面図である。第3の実施形態を備える水田作業機では、8条植えの苗植え作業を及び8条の植付け苗に対する施肥作業を行なうよう構成してある。
【0072】
第3の実施形態を備える水田作業機における8つの粉粒体供給部Kは、第1の実施形態を備える水田作業機における6つの粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ構成を備えた連通パイプ24を備えて構成してある。
【0073】
第3の実施形態を備える水田作業機では、左端から1,5番目の粉粒体供給部K(第1,5粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第4粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第1の取付け姿勢で取付けられている。
【0074】
第1粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ支持部79bを作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ支持部79bは、左側の線引きマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する。第5粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、レバーガイド75を横側に迂回して、かつ苗縦送り軸46及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。
【0075】
左端から3,4,8番目の粉粒体供給部K(第3,4,8粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第2,3,4粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第4の取付け姿勢で取付けられている。第3,4粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、苗横送り軸41及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。第8粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ支持部78bを作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ支持部78bは、右側の線引きマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに揺動昇降自在に支持する。
【0076】
左端から2,6番目の粉粒体供給部K(第2,6粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第1粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第3の取付け姿勢で取付けられている。第2粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ操作装置79及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ操作装置79は、左側のマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え操作する。第6粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、苗縦送り軸46及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。
【0077】
左端から7番目の粉粒体供給部K(第7粉粒体供給部K)を構成する連通パイプ24は、第1の実施形態における第6粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24と同じ第2の取付け姿勢で取付けられている。第7粉粒体供給部Kを構成する連通パイプ24は、マーカ操作装置78及び連結部材28を作業部後方側に迂回して苗載せ台17の裏側を作業部機体上下方向に通って搬送管27と作溝器19とを連通させる。マーカ操作装置78は、右側のマーカ42を下降使用姿勢と上昇格納姿勢とに切り換え操作する。
【0078】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、粉粒体供給部Kによっては連通パイプ24の上下向き及び前後向きを入れ換えて取り付ける例を示したが、上下向きの入れ換えを行なわないで前後向きの入れ換えだけを行なって、あるいは、前後向きの入れ換えを行なわないで上下向きの入れ換えだけを行なって取り付ける構成を採用して実施してもよい。
【0079】
(2)上記した実施例では、連通パイプ24を前後向きに入れ換えて取り付けるのに、180度での向き変更によって2通りの前後向き姿勢に入れ換える例を示したが、120度ずつの向き変更回転によって3通りの前後向き変更に入れ換える構成を採用して実施してもよい。
【0080】
(3)上記した実施例では、指標91〜94として突条95を採用した例を示したが、文字や図柄など各種の手段を採用して実施してもよい。
【0081】
(4)上記した実施例では合成樹脂材で形成した連通パイプ24を採用した例を示したが、金属製の連通パイプを採用して実施してもよい。
【0082】
(4)上記した実施例では、連結フック50,51及び係止ピン52によって連通パイプ24の固定を行なうよう構成した例を示したが、固縛バンドや連結ボルトなど各種の連結手段によって固定するよう構成して実施してもよい。
【0083】
(5)上記した実施例では、粉粒体供給装置5によって施肥を行なうよう構成した例を示したが、薬剤や種子の供給を行なうよう構成して実施してもよい。
【0084】
(6)上記した実施例では、連通パイプ24と作溝器19とを筒体25によって連通させる例を示したが、ゴム性の蛇腹状のブーツによって連通させる構成を採用して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、乗用型の水田作業機の他、歩行型の水田作業機にも利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
4 作業部
19 作溝器
20 繰り出し機構
24 連通パイプ
25D 作溝器側の接続部
27 搬送管
50,51 連結フック
52 係止ピン
53,54 支持杆
81,82 連結部
83 屈曲部
91,92,93,94 指標
A 粉粒体繰出し部
K 粉粒体供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場面に粉粒体供給する溝を機体横方向での複数箇所で形成する複数の作溝器、及び前記複数の作溝器を粉粒体繰出し部から延出する複数の搬送管に各別に連通させる複数本の機体上下向きの連通パイプを有した作業部が備えられた水田作業機であって、
前記複数本の連通パイプを、両端部間に屈曲部を備えるように、かつ同一の屈曲部形態を備えるように形成し、
前記複数本の連通パイプそれぞれを前記複数の搬送管及び前記複数の作溝器のいずれの連通にも適用可能なように、前記複数本の連通パイプの前記搬送管側に連結するための連結部及び前記作溝器側に連結するための連結部の連結用仕様を同一に設定し、
前記複数本の連通パイプに、前記複数の搬送管及び前記複数の作溝器それぞれの連通に適用する場合の取付け姿勢を表示する指標を設けてある水田作業機。
【請求項2】
前記連通パイプを、連通させるべき前記搬送管及び前記作溝器が異なる場合、上下向きを入れ換えて取り付けるよう構成してある請求項1記載の水田作業機。
【請求項3】
前記連通パイプを、連通させるべき前記搬送管及び前記作溝器が異なる場合、前後向きを入れ換えて取り付けるよう構成してある請求項1又は2記載の水田作業機。
【請求項4】
前記連通パイプに、機体側の機体横向きの支持杆に対して係脱自在な連結フックを設け、
前記連通パイプの前記支持杆に対する機体横方向での位置決めを行なうように前記連通パイプと前記支持杆とにわたって装着される係止ピンを設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の水田作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−55896(P2013−55896A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195321(P2011−195321)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】