説明

汚染制御装置のための低剪断取付けマット

【課題】排気ガス処理装置(10)のための取付けマット(20)を提供する。
【解決手段】取付けマット(20)は、アルミナおよび/または高温耐熱生体溶解性無機繊維を含有する高温耐熱セラミック繊維と、結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤と、コロイド無機酸化物とを含み、さらに必要により膨張性材料を含んでもよい。排気ガス処理装置(10)は、ハウジング(12)と、ハウジング(12)内に弾性的に取り付けられる触媒担持脆弱構造体(18)と、ハウジング(12)と触媒担持脆弱構造体(18)との間のギャップ内に配置される取付けマット(20)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
排気ガスの処理のための装置、例えば、触媒コンバータまたはディーゼルパティキュレートトラップ。該装置は、ハウジングと脆弱構造体との間のギャップに配置される取付けマットによってハウジング内に取り付けられる脆弱構造体を含む。
【背景技術】
【0002】
エンジン排出ガスからの大気汚染を削減するために排気ガス処理装置が自動車に用いられている。広く用いられている排気ガス処理装置の例としては、触媒コンバータ、ディーゼルパティキュレートトラップ、他の汚染制御装置が挙げられる。
自動車エンジンの排気ガスを処理するための触媒コンバータは、ハウジングと、一酸化炭素と炭化水素の酸化および窒素の酸化物の還元を行うために用いられる触媒を保持するための触媒担持脆弱構造体と、ハウジング内に触媒担持脆弱構造体を弾性的に保持するために触媒担持脆弱構造体の外面とハウジングの内面との間に配置される取付けマットとを含む。
ディーゼルエンジンによって生成される汚染を防止するためのディーゼルパティキュレートトラップは、一般的には、ハウジングと、ディーゼルエンジン排出ガスからの微粒子を集めるためのパティキュレート脆弱フィルターまたはトラップと、ハウジング内に脆弱フィルターまたはトラップを弾性的に保持するためにフィルターまたはトラップの外面とハウジングの内面との間に配置される取付けマットとを含む。
脆弱構造体は、一般的には、金属の脆弱材料または脆性セラミック材料、例えば、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ジルコニア、コージライト、炭化ケイ素等から製造されるモノリシック構造体からなる。これらの材料によって、複数のガス流路を有するスケルトンタイプの構造体が得られる。これらのモノリシック構造体は、脆弱である場合があり、そのために、小さい衝撃荷重または応力でさえ亀裂が入るかまたは粉砕するのにしばしば充分である。上記の熱的および機械的な衝撃および他の応力から脆弱構造体を保護するだけでなく、断熱およびガスシールを与えるために、脆弱構造体とハウジングとの間のギャップ内に取付けマットが位置決めされる。
使われる取付けマット材料は、脆弱構造体製造業者または排気ガス処理装置製造業者によって示される多くの設計または物理的要求のいずれかを満たすことができなければならない。例えば、排気ガス処理装置が広い温度変動を受けた場合でさえ、取付けマット材料は脆弱構造体に対して有効な残留保持圧を加えることができなければならず、それによって脆弱構造体に関して金属ハウジングの著しい伸縮が生じ、ある期間にわたって取付けマットに著しい圧縮開放サイクルが生じる。
【0003】
排気ガス処理装置に用いられるセラミック基質と金属基質は、多くの場合、無機繊維ベースの取付けマットにより金属ハウジング内に取り付けられる。この取付けマット材料は、無機繊維のみを含有することになる。しかしながら、取付けマット材料は、他のタイプの繊維、有機結合剤、無機充填剤および/または膨張性材料を含有してもよい。
取付けマットは、広範囲の作動温度全体に機能して、基質を適切な所に効果的に保持しなければならない。基質は、振動のために基質に作用する軸方向の力を受ける。取付けマットは、また、金属ハウジングが基質自体より多少膨張するという事実を補償する。種々の排気ガス処理装置は、約20℃〜約1200℃の周囲条件の温度範囲全体に作動させる。それ故、取付けマットは、この広い温度範囲全体に強い保持圧力性能を与えなければならない。
低温用途がより効率的なエンジン設計またはディーゼル動力車の人気の増加からより普及するにつれて、低温と高温の双方で良く行う低コスト取付けマットに対する要求が増加してきた。
低温用途、例えばターボ付き直接噴射(TDI)ディーゼル動力車において、排気温度は、典型的には約150℃であり、300℃を超えることができない。現場では、典型的な膨張性マットと組み立てられるこのような車両に用いられる排気ガス処理装置が予想外に高い頻度で故障することが見出されている。
理論によって制限されるものではないが、これらの故障の1つの理由は、排気温度が低くすぎて、周囲温度から約350℃までの温度範囲内で少なくとも部分的に液化し得る、有機結合剤を急速に消失させることであり得る。「少なくとも部分的に液化する」とは、有機結合剤が少なくとも部分的に流動性になるように、有機結合剤が、粘度の低下に特徴を有する、より軟質になることを意味する。有機結合剤が液化し始めるのにつれて、取付けマット内の繊維が相互にすべり始めて取付けマットの圧縮を生じ、結果として負の膨張および取付けマットの剪断強さと保持力の消失を生じる。室温から約200℃まで保持力の消失は漸進的である。しかしながら、保持力の喪失は、約200℃から250℃まで急速である。引き続き低温用途に用いられる場合、マットは脆弱構造体に対する圧力が充分でなくなり、取付けマットが用いられている排気ガス処理装置は故障することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
350℃より高い温度で、典型的には取付けマット内に存在する膨張性粒子が脆弱構造体に対するマットの保持力を膨張させかつ増加させる。しかしながら、取付けマットが350℃より高い温度を決して受けない上記のような用途において、膨張性材料はそれを膨張させるのに充分な温度にさらされず、取付けマットは膨張により生じる保持力増加から恩恵を受けない。
以前の試みは、排気ガス処理装置のための取付けマット材料の低温性能を改善する点で行われてきた。このような一つの試みは、有機結合剤が負の影響を有する温度範囲全体に膨張する(すなわち、体積が増加する)取付けマット内に膨張粒子を含むことを必要とする。残念なことに、このような膨張粒子は、有機結合剤がマット性能に対して負の影響を示す温度より充分高い温度で膨張し続けるので、より高い温度で望ましくない膨張を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マットの厚さおよび対応する剪断強さと保持圧力が著しく低下することなく、容易に据え付けることができかつ広範囲の入口ガス温度全体に機能することができる排気ガス処理装置のための可撓性取付けマットが工業界において求められている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本取付けマットを含む例示的排気ガス処理装置を示す部分図である。
【図2】従来の技術の取付けマットと比較して本取付けマットを試験するために用いられる装置の簡略化した概略図である。
【図3】加熱面温度(℃)の関数として本取付けマットと従来の技術の取付けマットの剪断強度低下%を比較しているグラフである。
【図4】加熱面温度(℃)の関数として本取付けマットと従来の技術の取付けマットの剪断強度低下%を比較しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
排気ガス処理装置用途のための取付けマットが提供される。取付けマットは、耐熱性無機繊維と、有機結合剤と、コロイド無機酸化物とから構成される少なくとも1つのプライまたはシートを含む。ある実施態様によれば、取付けマットは、必要により膨張性材料を含んでもよい。予想外に、取付けマット中にコロイド無機酸化物、例えば、コロイドアルミナ、コロイドシリカ、またはコロイドジルコニアを含むことにより350℃以下の温度を受けたマットの剪断ひずみが低下することが分かった。取付けマットは、保持性能を比較的低コストで広い温度範囲全体に改善させる。
排気ガスを処理するための装置もまた提供される。装置は、外側の金属ハウジングと、ハウジングの内面と脆弱構造体の外面との間に配置される取付けマットがハウジング内に取り付けられる少なくとも1つの脆弱構造体とを含む。用語「脆弱構造体」は、本質的に脆弱性または破砕性であり得る金属またはセラミックモノリスのような構造体を意味しかつ含むものであり、本明細書に記載されるような取付けマットから恩恵を受けることになる。
触媒コンバータ触媒構造体は、一般的には、ハウジング内に熱的耐性材料によって取り付けられる1つ以上の多孔質管状またはハニカム状構造体を含む。各構造体は、排気ガス処理装置のタイプによって、1平方インチ当たり約200から約900以上のチャネルまたはセルを含むことができる。ディーゼルパティキュレートトラップは、パティキュレートトラップ内の各チャネルまたはセルの一端が閉じられている触媒コンバータ構造体と異なる。パティキュレートは、多孔質構造体における排気ガスから高温バーンアウトプロセスによって再生されるまで集められる。取付けマットの自動車以外の用途には、化学工業用排出(排気)煙突のための触媒コンバータが含まれ得る。
【0008】
排気ガスを処理するための装置の1つの説明的形態が、図1において符号10によって示されている。取付けマットが図1に示される装置に用いられるのに限定されるものでないことは理解すべきであり、したがって、形状は説明的実施態様としてのみ示されている。実際に、取付けマットは、排気ガスを処理するのに適している脆弱構造体、例えば、ディーゼル触媒構造体、ディーゼルパティキュレートトラップ等を取り付けるかまたは支持するために使用し得る。
触媒コンバータ10は、フランジ16によって一緒に保持された、2つの金属片、例えば、高温耐熱鋼から形成された通常は管状のハウジング12を含み得る。あるいは、ハウジングは、脆弱構造体を包んだ取付けマットが挿入されている予備成形キャニスタを含み得る。ハウジング12は、一方に入口14とその反対側に出口(図示せず)とを含む。入口14と出口は、最適には、外側の端部に形成され、これによって内燃機関の排気系統におけるコンジットに固定することができる。装置10は、脆弱構造体、例えば破砕性セラミックモノリス18を含有し、これが取付けマット20によってハウジング12内に支持されかつ拘束される。モノリス18は、一方の入口からその反対側の出口まで軸方向に伸長する複数のガス透過性通路を含んでいる。モノリス18は、適切な耐火金属材料またはセラミック材料から既知の方法および配置で構成され得る。モノリスは、典型的には、断面の形状が長円形または円形であるが、他の形状も可能である。
モノリスは間隔またはギャップによってハウジングの内面から隔置されており、これは用いられる装置のタイプや設計、例えば、触媒コンバータ、ディーゼル触媒構造体、またはディーゼルパティキュレートトラップによって異なる。このギャップに取付けマット20を充填して、セラミックモノリス18に弾性支持体を与える。弾性取付けマット20は、外部環境に対する断熱と脆弱構造体に対する機械的支持を与え、それによって、広範囲の排気ガス処理装置作動温度全体に機械的衝撃から脆弱構造体を保護する。
【0009】
一般に、取付けマットは、アルミナおよび/または高温耐熱生体溶解性無機繊維からなる高温耐熱セラミック繊維と、結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤と、コロイド無機酸化物とを含み、更に必要により少なくとも1つのタイプの膨張性材料を含んでもよい。取付けマット20は、広い温度範囲全体に排気ガス処理装置10のハウジング12内に触媒支持脆弱構造体18を弾性的に保持するのに充分な保持圧力を得ることができる。
本取付けマットに用いられる高温耐熱無機繊維は、取付けマット形成プロセスに耐えることができ、排気ガス処理装置の作動温度に耐えることができ、かつ作動温度の排気ガス処理装置ハウジング内に脆弱構造体を保持する最小限の保持圧力性能を与えることができる。限定されるものではないが、取付けマットと排気ガス処理装置を作製するために用いることができる適切な無機繊維としては、高アルミナ多結晶繊維; ムライト繊維; 耐火性セラミック繊維、例えば、アルミノ−ケイ酸塩繊維またはカオリン繊維; アルミナ−ジルコニア−シリカ繊維; アルミナ−マグネシア−シリカ繊維、例えば、Sガラス繊維またはS2-ガラス繊維; Eガラス繊維、生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維、例えば、カルシア−マグネシア−シリカ繊維またはマグネシア−シリカ繊維、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
ある実施態様によれば、取付けマットを作製するために用いられる高温耐熱無機繊維は、アルミナを含むセラミック繊維を含む。限定されるものではないが、適切なセラミック繊維としては、アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミノ−ケイ酸塩繊維、アルミナ−ジルコニア−シリカ繊維、および類似の繊維が挙げられる。高アルミナ多結晶繊維は、約72〜約100質量パーセントのアルミナと約0〜約28質量パーセントのシリカの繊維化生成物からなり得る。適切なアルミノケイ酸塩セラミック繊維は、登録商標FIBERFRAXとしてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク)から市販されている。FIBERFRAX(登録商標)セラミック繊維は、約45〜約75質量パーセントのアルミナと約25〜約55質量パーセントのシリカからなる溶融物の繊維化生成物を含む。FIBERFRAX(登録商標)繊維は、作動温度が最高約1540℃、融点が最高約1870℃である。FIBERFRAX(登録商標)繊維は、高温耐熱のシートや紙に容易に形成され得る。
【0010】
ある実施態様において、アルミノ−ケイ酸塩繊維は、約40質量パーセントから約60質量パーセントまでのAl23と約60質量パーセントから約40質量パーセントまでのSiO2を含み得る。アルミナ/シリカ/マグネシアガラス繊維は、典型的には、約64質量パーセント〜約66質量パーセントのSiO2と、約24質量パーセント〜約25質量パーセントのAl23と、約9質量パーセント〜約11質量パーセントのMgOを含む。
Eガラス繊維は、典型的には、約52質量パーセント〜約56質量パーセントのSiO2と、約16質量パーセント〜約25質量パーセントのCaOと、約12質量パーセント〜約16質量パーセントのAl23と、約5質量パーセント〜約10質量パーセントのB23と、約5質量パーセントまでのMgOと、約2質量パーセントまでの酸化ナトリウムと酸化カリウムと、微量の酸化鉄とフッ化物を含み、典型的な組成は、約55質量パーセントのSiO2と、約15質量パーセントのAl23と、約7質量パーセントのB23と、約3質量パーセントのMgOと、約19質量パーセントのCaOと、約0.3質量パーセントまでの微量のその他の上述した材料である。
限定されるものではないが、排気ガス処理装置のための取付けマットを作製するために使用し得る生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維の適切な例としては、米国特許第6,953,757号明細書、同第6,030,910号明細書、同第6,025,288号明細書、同第5,874,375号明細書、同第5,585,312号明細書、同第5,332,699号明細書、同第5,714,421号明細書、同第7,259,118号明細書、同第7,153,796号明細書、同第6,861,381号明細書、同第5,955,389号明細書、同第5,928,075号明細書、同第5,821,183号明細書、同第5,811,360号明細書に開示された繊維が挙げられ、これらの明細書の開示内容は、引用により本願明細書に組み込まれる。
【0011】
ある実施態様によれば、生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、マグネシウムの酸化物とシリカの混合物の繊維化生成物からなり得る。これらの繊維は、一般にマグネシウム・ケイ酸塩繊維と呼ばれる。マグネシウム・ケイ酸塩繊維は、一般的には、約60〜約90質量パーセントのシリカと、0より多く約35質量パーセントまでのマグネシアと、約5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。ある実施態様によれば、アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、約65〜約86質量パーセントのシリカと、約14〜約35質量パーセントのマグネシアと、約5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。他の実施態様によれば、アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、約70〜約86質量パーセントのシリカと、約14〜約30質量パーセントのマグネシアと、約5質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。適切なマグネシウム・ケイ酸塩繊維は、登録商標ISOFRAXとしてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク)から市販されている。市販のISOFRAX(登録商標)繊維は、一般的には、約70〜約80質量パーセントのシリカと、約18〜約27質量パーセントのマグネシアと、約4質量パーセント以下の不純物の繊維化生成物を含む。
ある実施態様によれば、生体溶解性アルカリ土類ケイ酸塩繊維は、カルシウム、マグネシウムおよびシリカの酸化物の混合物の繊維化生成物からなり得る。これらの繊維は、一般にカルシア−マグネシア−シリカ繊維と呼ばれる。ある実施態様によれば、カルシア−マグネシア−ケイ酸塩繊維は、約45〜約90質量パーセントのシリカと、0より多く約45質量パーセントのカルシアと、0より多く約35質量パーセントのマグネシアと、10質量パーセント以下の不純物との繊維化生成物を含む。有効なカルシア−マグネシア−ケイ酸塩繊維は、登録商標INSULFRAXとしてUnifrax I LLC(ナイアガラフォールズ、ニューヨーク)から市販されている。INSULFRAX(登録商標)繊維は、一般的には、約61〜約67質量パーセントのシリカと、約27〜約33質量パーセントのカルシアと、約2〜約7質量パーセントのマグネシアとの繊維化生成物を含む。他の適切なカルシア−マグネシア−ケイ酸塩繊維は、商標SUPERWOOL 607、SUPERWOOL 607 MAXおよびSUPERWOOL HTとしてThermal Ceramics( オーガスタ、ジョージア州)から市販されている。SUPERWOOL(登録商標)607繊維は、約60〜約70質量パーセントのシリカと、約25〜約35質量パーセントのカルシアと、約4〜約7質量パーセントのマグネシアと、微量のアルミナを含む。SUPERWOOL(登録商標) 607 MAX繊維は、約60〜約70質量パーセントのシリカと、約16〜約22質量パーセントのカルシアと、約12〜約19質量パーセントのマグネシアと、微量のアルミナを含む。SUPERWOOL(登録商標) HT繊維は、約74質量パーセントのシリカと、約24質量パーセントのカルシアと、微量のマグネシア、アルミナおよび酸化鉄を含む。
【0012】
必要により取付けマットに組み込まれてもよい膨張性材料としては、非発泡バーミキュライト、イオン交換バーミキュライト、熱処理バーミキュライト、発泡性グラファイト、ハイドロバイオタイト、防水性テトラ硅質フッ素マイカ、アルカリ金属ケイ酸塩、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。取付けマットは、1つのタイプを超える膨張性材料の混合物を含み得る。膨張性材料は、米国特許第5,384,188号明細書に記載されるように、非発泡バーミキュライトと発泡性グラファイトの混合物を約9:1から約1:2までのバーミキュライト:グラファイトの相対量で含み得る。
取付けマットは、また、1つ以上の有機結合剤を含む。有機結合剤は、固体、液体、溶液、分散液、ラテックス、エマルジョン、または同じような形として供給し得る。有機結合剤は、熱可塑性結合剤または熱硬化性結合剤からなる場合があり、これは、硬化後、据え付けられた取付けマットからバーンアウトされ得る可撓性材料である。適切な有機結合剤の例としては、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、スチレンとブタジエン、ビニルピリジン、アクリルニトリルの共重合体、アクリルニトリルとスチレン、塩化ビニルの共重合体、ポリウレタン、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、ポリアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。他の樹脂としては、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリビニルエステルのような低温可撓性熱硬化性樹脂が挙げられる。
有機結合剤は、取付けマットの全量に基づいて、0より多く約20質量パーセンまで、ある実施態様においては約0.5〜約15質量パーセント、他の実施態様においては約1〜約10質量パーセント、一部の実施態様においては約2〜約8質量パーセントの量で取付けマット中に含まれ得る。
【0013】
取付けマットは、樹脂結合剤または液体結合剤の代わりに、またはそれに加えて高分子結合剤繊維を含み得る。これらの高分子結合剤繊維を、取付けマットの全量に基づいて、0より多く約20質量パーセンまで、ある実施態様においては約1〜約15質量パーセント、他の実施態様においては約2〜約10質量パーセントの範囲にある量で用いて、耐熱無機繊維を一緒に結合することを援助することができる。結合剤繊維の適切な例としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリオレフィン繊維、例えばポリエチレンやポリプロピレン、アクリル繊維、ポリエステル繊維、エチルビニルアセテート繊維、ナイロン繊維およびそれらの組み合わせが挙げられる。
典型的には、有機結合剤は、最初に繊維を一緒に結合するのに使われる犠牲結合剤である。「犠牲」とは、有機結合剤が取付けマットから最終的にバーンアウトされ、金属ハウジング内で脆弱構造体を支持する取付けマットの成分として実質的に無機繊維、後述される無機酸化物、さらに必要により膨張性材料だけが残ることを意味する。この有機結合剤バーンアウトプロセスは、取付けマットが例えば約350℃より低い温度にさらされる高温のより低い範囲で取付けマットに対する剪断損傷が生じると理論づけられる。取付けマットからバーンアウトする前に、および/またはその代わりに、有機結合剤が少なくとも部分的に液化し、繊維を相互にすべらせるので、剪断強さが低下すると考えられる。
この課題を解決するために、取付けマットは、また、コロイド無機酸化物、例えば、コロイドアルミナ、コロイドシリカ、コロイドジルコニア、またはこれらの混合物を含む。このようなコロイド無機酸化物を添加するとこれらのより低い温度で剪断損傷に対する取付けマットの抵抗が増大することが分かった。コロイド無機酸化物は、取付けマットの全量に基づいて、約0.1質量パーセントから約10質量パーセントまでの量で取付けマットに添加され得る。
【0014】
理論によって縛られるものではないが、コロイド無機酸化物が取付けマット内で低温における剪断損傷に対する抵抗を増大させることができる2つのメカニズムがある: (1)コロイド無機酸化物は、350℃より低い温度で少なくとも部分的に液化した有機結合剤の存在によって生じる取付けマット内の繊維間の剪断または内部ずれを防止する摩擦抵抗を与えることができる; および/または(2)高表面積のコロイド無機酸化物は、液化有機結合剤をそれが形成するにつれて吸着するように作用し、液化有機結合剤が取付けマット内の繊維間で剪断または内部ずれを生じることを防止することができる。これらのメカニズムの一方または双方が、本明細書に記載されている本取付けマットにおいて働き得る。
取付けマットは、シート状材料を形成する当該技術において既知のいかなる方法でも製造し得る。例えば、従来の製紙プロセス、ハンドレイドまたは機械レイドを用いて、シート材料を作製してもよい。ハンドシート型、長網抄紙機、またはロトフォーマー抄紙機を使って、シート材料を製造することができる。
例えば、製紙プロセスを用いて、無機繊維、有機結合剤、コロイド無機酸化物および場合により膨張性材料を一緒に混合して、混合物またはスラリーを形成することができる。スラリーに凝集剤を添加することによってスラリーの成分を凝結させることができる。凝結した混合物またはスラリーを製紙機上に配置して、繊維含有紙のプライまたはシートに形成される。シートは、空気乾燥またはオーブン乾燥によって乾燥させる。使われる標準製紙技術のより詳細な説明については、米国特許第3,458,329号明細書を参照のこと。この明細書の開示内容は引用により本願明細書に組み込まれる。
【0015】
あるいは、プライまたはシートは、スラリーを減圧注型することによって形成され得る。この方法によれば、スラリーの成分が浸透性ウェブ上に湿式加撚される。ウェブに減圧を加えて、スラリーから大部分の湿気を抽出し、それによって、湿式シートが形成される。次に、湿式プライまたはシートを、典型的には炉内で乾燥させる。シートを一組のローラーに通過させて、シートを圧縮させた後に乾燥させることができる。
他の実施態様において、繊維は、乾燥空気撚糸のような慣用の手段によって取付けマットに加工され得る。この段階のマットは、非常に小さな構造統合性を有し、従来の触媒コンバータやディーゼルパティキュレートトラップの取付けマットに比較して非常に厚い。それ故、得られたマットを、当該技術において一般に知られているように、ドライニードル加工して、マットの密度を高めるとともにその強度が増大する。
乾燥空気撚糸技術が用いられる場合には、結合剤を含浸によってマットに添加して、不連続な繊維複合物を形成することによってマットが加工され得る。この技術において、結合剤は、従来の製紙技術に関して前述のようにマットプレプレグを形成するよりもむしろマットの形成後に添加される。マットを作製するこの方法は、破損を減少させることによって繊維長を維持するのを援助する。
マットを結合剤で含浸する方法は、マットを液体結合剤系に完全に水浸させるか、あるいはマットに噴霧することを含む。連続手順において、ロール形で運搬し得る繊維マットを、例えば、コンベアまたはスクリム上で巻き戻し、スプレーノズルを通過させ、結合剤をマットに適用する。あるいは、マットを重力送りによりスプレーノズルを通過させてもよい。次に、マット/結合剤プレプレグをプレスロールの間に通過させ、余分な液体を除去するとともにプレプレグの密度をほぼ所望厚さに高める。次に、高密度化プレプレグを炉に通過させて、残存する溶媒を除去するとともに、必要な場合には結合剤を部分的に硬化して、複合体を形成することができる。乾燥および硬化温度は、主に、用いられる結合剤や溶媒(あるとすれば)に左右される。次に、複合体を貯蔵または運搬のために切断または円筒状に巻き取ることができる。
【0016】
マットの切片を液体結合剤に浸漬し、プレプレグを取り出し、押圧して、余分な液体を除去し、乾燥した後に複合体を形成し、貯蔵するか寸法に切断することにより、バッチ方式で取付けマットを製造することができる。
取付けマットがある用途に容易に用いるのに密度が低すぎてもよいことに留意されたい。それ故、より高い密度を与える当該技術において既知の方法によって更に高密度化を受けることができる。このような1つの高密度化方法は、撚り合わせるとともに絡み合わせるようにニードルパンチを加えることである。さらに、またはあるいは、ハイドロエンタングリング法を用いることができる。他の変法は、プレスローラによって圧延することによって繊維をマットの形に押圧することである。マットのこれらの高密度化方法のいずれかまたはこれらの方法の組み合わせは、正しく所望の形の取付けマットを得るために容易に使用し得る。
上記の技術のどれが使われるかに関係なく、例えばダイスタンプ法によって、複合体を切断して、再現性許容量を有する正確な形状とサイズの取付けマットを形成することができる。取付けマット20は、ニードリング等によるように高密度化の際に適切な取扱適性を示し、このことは、容易に処理することができかつ多くの他の繊維毛布またはマットのような自分の手で砕けるほど脆くないことを意味する。これは、脆弱構造体18の周りにまたは亀裂しない脆弱構造体のように容易にかつ柔軟に適合させるかまたは巻き付け、触媒コンバータハウジング12内に配置させることができる。一般に、取付けマットが巻かれた脆弱構造体をハウジングに挿入するか、あるいは取付けマットが巻かれた脆弱構造体の周りにハウジングを構築または作製することもできる。
【0017】
以下の実施例は、取付けマットと排気ガス処理装置をさらに具体的に説明するだけのために示すものである。説明的実施例は、取付けマット、取付けマットを組み込んでいる排気ガス処理装置、または取付けマットまたは排気ガス処理装置をいかなる方法でも作成する方法を限定するものとして解釈されてはならない。
【実施例】
【0018】
取付けマットは、アルミノケイ酸塩耐火セラミック繊維と、ポリオレフィン有機結合剤と、取付けマットの全量に基づいて0〜5質量パーセントのコロイドアルミナ(Nyacol(登録商標) Nano Technologies社、アシュランド、マサチューセッツ州から入手可能なNyacol(登録商標) AL20)から製造した。マットを、1750rpmで1分間撹拌されるミキサーを備えかつ約7.7Lの水と、8.5gの結合剤繊維と、123.5gのFIBERFRAX(登録商標)繊維を含有する20Lのビーカーに添加することによって製造し、引き続き、65gの0.5%固形分凝集剤溶液を添加し、スラリーの凝集が生じた。それによって体積が13.6Lに増加した。次に、スラリーを30センチメートル (12インチ)×30センチメートル (12インチ)のスクリーン面積を有するハンドシート型へ移し、減圧によって水を実質的に除去し、それによってマット構造体が形成した。マットは熱硬化性であり、最終的なマット試料が得られた。繊維マットから2つの5センチメートル (2インチ)×5センチメートル (2インチ)試料を切断し、以下に記載される剪断試験に用いた。実施例1の取付けマットは、1%のコロイドアルミナを含有し、実施例2は、3%のコロイドアルミナを含有し、実施例3は、5%のコロイドアルミナを含有し、比較実施例4は、コロイドアルミナを含有しなかった。実施例5と比較実施例6は、ポリオレフィン有機結合剤の代わりに、8.5gのアクリルラテックス有機結合剤を添加した以外は、実施例1-4と同様に行った。実施例5は、5%のコロイドアルミナを含有し、比較実施例6は、コロイドアルミナを含有しなかった。以下に記載されかつ図3と図4に示されるデータを得るために3枚のマットの各実施例を試験した。図3と図4の説明文の各実施例に関連した数字は、各実施例について500℃の低温面温度における剪断ひずみ%である。
【0019】
剪断試験
図2を参照すると、実施例1〜4の取付けマット102を、順に、試験装置100に配置した。モノリスの周りに取付けマット102を巻き付けることをシミュレートするために、取付けマット102を石英ヒータブロック104の両側に配置した。ヒータブロック104と反対側の取付けマット102上に冷却ブロック106を配置した。冷却ブロック106の1つの一方の側に、可動ジョー108を配置した。プレッシャープレート110、半径方向力ロードセル112、固定ジョー114を、もう一方の冷却ブロック106のもう一方の側に配置した。
半径方向力の約500kPaを、半径方向力ロードセル112とプレッシャープレート110を介して試験装置100に加えた。垂直力の60Nを、石英ヒータブロック104に5分間加えた。5分間保持した後、60Nの垂直力を維持しつつ10分間でヒータブロック内の温度を室温から約500℃に上げた。60Nの垂直力を維持するのに必要な石英ブロック104の変化を記録した。取付けマットの剪断ひずみは、2で除算した(システム内に2つのマット試料があるので)ギャップで除算したマットたわみ(石英ブロック運動)として算出した。この試験の結果を図3と図4に示し、これらはコロイド無機酸化物を含む本取付けマットがコロイド無機酸化物を欠いている従来の技術の取付けマットより良好に行われたことを示している。
詳しくは、図3において、1%のコロイドアルミナを含有する実施例1(30)は、1.95%の剪断ひずみを、3%のコロイドアルミナを含有する実施例2(32)は、1.71%の剪断ひずみを、5%のコロイドアルミナを含有する実施例3(34)は、1.66%の剪断ひずみを、6.46%の剪断ひずみを有するコロイドアルミナを含有しない実施例4(36)と比較して有した。また、図4において、5%のアルミナを含有する実施例5(40)は、1.07%の剪断ひずみを有し、コロイドアルミナを含有しない実施例6(42)は、15.7%の剪断ひずみを有した。
【0020】
これらのマットは、触媒コンバータやディーゼルパティキュレートトラップ工業に有利である。取付けマットはダイカットすることができ、所望される場合には亀裂することなく、触媒担持構造体全体を巻き付けることができるように、取扱いが容易である薄いプロファイルで、また、可撓性の形態での弾性支持体として作用可能である。あるいは、取付けマットは、触媒支持構造体の周囲全体または少なくとも一部の周辺部を一体的に巻き付けることもできる。取付けマットは、また、部分的に巻かれることもでき、所望される場合にはガスバイパスを防止するために、現在いくつかの慣用のコンバータ装置で用いられているように端部シールを含む。
上記の取付けマットは、また、種々の用途、例えば、特に、オートバイや他の小型エンジンマシンのための慣用の自動車用触媒コンバータ、自動車用プレコンバータだけでなく、高温スペーサ、ガスケット、および次世代自動車用アンダボディ触媒コンバータシステムに有効である。一般に、これらは、マットまたはガスケットを必要としているいかなる用途にも、室温で保持圧力を加えるために、さらに重要なことには、熱サイクルの間を含む、高温で保持圧力を維持する能力を得るために使用し得る。
上記の本取付けマット材料は、排気ガス処理装置における端部コーン断熱体として用いることができる。ある実施態様によれば、排気ガス処理装置のための端部コーンが提供される。端部コーンは、一般に、外側の金属コーンと、内側の金属コーンと、外側の金属コーンと内側の金属コーンとの間のギャップまたは空間内に配置される端部コーン断熱体を備えている。
他の実施態様によれば、端部コーンは、外側の金属コーンと、外側の金属コーンの内面に隣接して位置決めされる少なくとも1つのコーン断熱体層を備えることができる。これらの実施態様によれば、端部コーン組立て体は、内側の金属コーンを備えていない。むしろ、コーン断熱体の剛性をある方法で高めて、装置に流し込む高温ガスに耐性である自立性コーン構造体を得る。
【0021】
少なくとも1つの端部コーンを含む排気ガス処理装置が提供される。排気ガス処理装置は、ハウジングと、ハウジング内に位置決めされる脆弱構造体と、入口と排気管をハウジングに取り付けるための出口端部コーンアセンブリとを備え、各端部コーン組立て体は、内側の端部コーンハウジングと外側の端部コーンハウジングとを備え; 内側と外側のコーンハウジングの間に位置決めされた、端部コーン断熱体は、アルミナからなる高温耐熱セラミック繊維および/または高温耐熱生体溶解性無機繊維、結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤、コロイド無機酸化物を含み、さらに場合により膨張性材料を含んでもよい。
また、外側の金属コーンと; 上記の取付けマットのいずれかを備えるコーン断熱体とを備えている排気ガス処理装置のための端部コーンであって: (i)端部コーンが内側の金属コーンを備え、コーン断熱体は外側の金属コーンと内側の金属コーンとの間に配置されているか; または(ii)コーン断熱体が、自立性であり、外側の金属コーンの内面に隣接して配置されているかの少なくとも1つである、前記端部コーンも提供される。
上記の取付けマットは、また、保護して取り付けられることを必要とする脆弱性ハニカム型構造を含有するものを含む、排気または排出煙突内に位置する化学工業に使われる触媒コンバータに使用し得る。
また、アルミナおよび/または高温耐熱生体溶解性無機繊維からなる高温耐熱セラミック繊維と; 結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤と; コロイド無機酸化物とを含み; さらに必要により膨張性材料を含んでもよい取付けマットの最初の使用の間に受けた低温剪断損傷を低減する方法であって; 取付けマットの製造の間、低温剪断損傷を低減するのに効果的な量の少なくとも1つのコロイド無機酸化物を取付けマットに添加することを含む、前記方法が提供される。
【0022】
第1の説明的実施態様において、アルミナおよび/または高温耐熱生体溶解性無機繊維高温耐熱セラミック繊維と; 結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤と; コロイド無機酸化物とを含み; さらに必要により膨張性材料を含んでもよい排気ガス処理装置のための取付けマットが提供される。
第2の説明的実施態様において、第1の説明的実施態様の取付けマットであって、セラミック繊維が、高アルミナ多結晶繊維、耐火性セラミック繊維、ムライト繊維、アルミナ・ジルコニア・シリカ繊維、アルミナ・マグネシア・シリカ繊維、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含んでいる、前記取付けマットが提供される。
さらに、高アルミナ多結晶繊維が約72から約100質量パーセントのアルミナと約0から約28質量パーセントのシリカの繊維化生成物からなる第2の説明的実施態様の取付けマットも含まれ得る。
さらに、耐火性セラミック繊維が約45から約75質量パーセントのアルミナと約25から約55質量パーセントのシリカの繊維化生成物からなるアルミノケイ酸塩繊維を含む第2の説明的実施態様の取付けマットも含まれ得る。
さらに、高温耐熱生体内無機繊維が約65から約86質量パーセントのシリカと約14から約35質量パーセントのマグネシアの繊維化生成物からなるマグネシア・ケイ酸塩繊維を含む上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
さらに、高温耐熱生体溶解性無機繊維が約45から約90質量パーセントのシリカと、0より多く約45質量パーセントまでのカルシアと、0より多く約35質量パーセントまでのマグネシアの繊維化生成物からなるカルシア・マグネシア・ケイ酸塩繊維を含む上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
【0023】
さらに、有機結合剤がアクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、スチレンとブタジエン、ビニルピリジン、アクリルニトリルの共重合体、アクリルニトリルとスチレン、塩化ビニルの共重合体、ポリウレタン、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、ポリアミド、シリコーン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂およびポリビニルエステル、またはこれらの混合物の少なくとも1つを含む上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
さらに、有機結合剤がポリビニルアルコール繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、エチルビニルアセテート繊維、ナイロン繊維、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
さらに、膨張性材料が非発泡バーミキュライト、イオン交換バーミキュライト、熱処理バーミキュライト、発泡性グラファイト、ハイドロバイオタイト、防水性テトラ硅質フッ素マイカ、アルカリ金属ケイ酸塩、またはこれらの混合物の少なくとも1つである上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
さらに、コロイド無機酸化物がコロイドシリカ、コロイドアルミナ、コロイドジルコニア、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つからなる上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
さらに、セラミック繊維がアルミノケイ酸塩繊維からなり、かつコロイド無機酸化物がコロイドアルミナからなる上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
取付けマットが、約0.1から約10質量パーセントまでの少なくとも1つのコロイド無機酸化物を含む上記の説明的実施態様のいずれかの取付けマットも含まれ得る。
【0024】
第3の説明的実施態様において、ハウジングと; ハウジング内に弾性的に取り付けられる脆弱構造体と; ハウジングと脆弱構造体との間のギャップ内に配置される上記実施態様のいずれかの取付けマットとを備える排気ガス処理装置が提供される。
第4の説明的実施態様において、上記実施態様のいずれかの取付けマットの最初の使用の間に受けた低温剪断損傷を低減する方法であって; 取付けマットの製造の間、低温剪断損傷を低減するのに効果的な量の少なくとも1つのコロイド無機酸化物を取付けマットに添加することを含む前記方法が提供される。
第5の説明的実施態様において、外側の金属コーンと; 上記実施態様のいずれかの取付けマットを備えるコーン断熱体とを備えている排気ガス処理装置のための端部コーンであって: (i)端部コーンが内側の金属コーンを備え、コーン断熱体が外側の金属コーンと内側の金属コーンとの間に配置されるか; または(ii)コーン断熱体が自立性でありかつ外側の金属コーンの内面に隣接して配置されているかの少なくとも1つである、前記端部コーンが提供される。
取付けマットおよび排気ガス処理装置をさまざまな説明的実施態様に関連して記載してきたが、他の類似の実施態様を用いることもでき、本明細書に開示される同一の機能をそこから逸脱することなく行うために記載された実施態様に変更や追加をなし得ることも理解すべきである。種々の実施態様を組み合わせて所望の特徴を得ることができるので、上記の実施態様は必ずしも変形例ではない。それ故、取付けマットおよび排気ガス処理装置は、単一の実施態様に限定すべきでなく、むしろ添付の特許請求の範囲の説明に従う幅および領域において解釈されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス処理装置のための取付けマットであって、アルミナおよび/または高温耐熱生体溶解性無機繊維を含む高温耐熱セラミック繊維、結合剤バーンアウトの前に高温で少なくとも部分的に液化する有機結合剤、コロイド無機酸化物、及び任意に膨張性材料を含むことを特徴とする取付けマット。
【請求項2】
セラミック繊維が、高アルミナ多結晶繊維、耐火性セラミック繊維、ムライト繊維、アルミナ−ジルコニア−シリカ繊維、アルミナ−マグネシア−シリカ繊維、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項3】
高アルミナ多結晶繊維が、約72〜約100質量パーセントのアルミナと約0〜約28質量パーセントのシリカの繊維化生成物を含む、請求項2に記載の取付けマット。
【請求項4】
耐火性セラミック繊維が、約45〜約75質量パーセントのアルミナと約25〜約55重量パーセントのシリカの繊維化生成物を含むアルミノ−ケイ酸塩繊維を含む、請求項2に記載の取付けマット。
【請求項5】
高温耐熱生体溶解性無機繊維が、約65〜約86質量パーセントのシリカと、約14〜約35質量パーセントのマグネシアの繊維化生成物を含むマグネシア−ケイ酸塩繊維を含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項6】
高温耐熱生体溶解性無機繊維が、約45〜約90質量パーセントのシリカ、0より多く約45質量パーセントまでのカルシア、及び0より多く約35質量パーセントまでのマグネシアの繊維化生成物を含むカルシア−マグネシア−ケイ酸塩繊維を含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項7】
有機結合剤が、アクリルラテックス、(メタ)アクリルラテックス、スチレンとブタジエン、ビニルピリジン、アクリルニトリルの共重合体、アクリルニトリルとスチレン、塩化ビニルの共重合体、ポリウレタン、酢酸ビニルとエチレンの共重合体、ポリアミド、シリコーン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリビニルエステル、またはこれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項8】
有機質結合剤が、ポリビニルアルコール繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、エチルビニルアセテート繊維、ナイロン繊維、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項9】
膨張性材料が、非発泡バーミキュライト、イオン交換バーミキュライト、熱処理バーミキュライト、発泡性グラファイト、ハイドロバイオタイト、防水性テトラ硅質フッ素マイカ、アルカリ金属ケイ酸塩、またはこれらの混合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項10】
コロイド無機酸化物が、コロイドシリカ、コロイドアルミナ、コロイドジルコニア、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項11】
セラミック繊維が、アルミノケイ酸塩繊維を含み、コロイド無機酸化物が、コロイドアルミナを含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項12】
取付けマットが、約0.1〜約10質量パーセントの少なくとも1つのコロイド無機酸化物を含む、請求項1に記載の取付けマット。
【請求項13】
排気ガス処理装置であって、
ハウジング、
ハウジング内に弾性的に取り付けられた脆弱構造体、及び
ハウジングと脆弱構造体との間のギャップに配置される請求項1-12のいずれかに記載の取付けマット、
を含むことを特徴とする排気ガス処理装置。
【請求項14】
請求項1-12のいずれかに記載の取付けマットの最初の使用の間に受けた低温剪断損傷を低減する方法であって、
取付けマットの製造の間、低温剪断損傷を低減するのに効果的な量の少なくとも1つのコロイド無機酸化物を取付けマットに添加することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
排気ガス処理装置のための端部コーンであって、
外側の金属コーン、及び
請求項1-12のいずれかに記載の取付けマットを含むコーン断熱体、
を含む端部コーンであって、
(i)端部コーンが、さらに、内側の金属コーンを含み、かつコーン断熱体が外側の金属のコーンと内側の金属コーンとの間に配置されている、又は
(ii)コーン断熱体が、自立性であり、かつ外側の金属コーンの内面に隣接して配置されている、
の少なくとも1つであることを特徴とする端部コーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−505400(P2013−505400A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530860(P2012−530860)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/002584
【国際公開番号】WO2011/037617
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500421462)ユニフラックス ワン リミテッド ライアビリティ カンパニー (19)
【Fターム(参考)】