説明

汚泥の炭化処理設備

【課題】汚泥の炭化処理に際して外部から加える熱エネルギーを可及的に少なくし得る炭化処理設備を提供する。
【解決手段】脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機54と、乾燥汚泥を炭化処理する炭化炉10と、炭化炉排ガスを乾燥用の熱源として乾燥機54に熱風として供給する炭化炉排ガス供給路30と、系外に排出される排ガスを脱臭処理する脱臭装置98とを備えて成る炭化処理設備において、脱臭装置98として排ガスに脱臭用の液を接触させて臭気成分を除去し、脱臭する湿式脱臭装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は有機物含有汚泥を炭化処理する汚泥の炭化処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭等から排出される有機物含有の排水は、一般に下水処理設備で活性汚泥法等により排水処理される。
この排水処理に伴って余剰の有機物含有の下水汚泥が発生するが、排水処理量の増加とともに下水汚泥の発生量も年々増加し、その処理処分が大きな問題となっている。
下水汚泥を処分するに際し、その下水汚泥には多量の水が含有されていてそのままでは処分できず、そこで減量化のために濃縮及び脱水処理したり、或いは更に焼却したり、溶融したりするなど様々な処理が施されている。
【0003】
しかしながら下水汚泥を焼却或いは溶融処理すると多量のエネルギーを消費し、処理コストが高いものとなる。
そこでエネルギー消費の少ない下水汚泥の処理の方法の一つとして、下水汚泥を乾留処理により炭化することが提案されている。
この炭化処理は、下水汚泥が基質中に炭素分を45質量%程度含んでいることから、焼却,溶融処理のように汚泥中の炭素分を消費してしまうのでなく、汚泥を無酸素或いは低酸素状態で熱分解(炭化)することにより炭素分を残留させ、新しい組成を持つ炭化物(炭化製品)として生成させるものである。
【0004】
従来にあって、この炭化処理は下水処理場で発生した余剰の下水汚泥を高分子凝集剤の添加等により凝集させ、続いてこれを脱水機にかけて脱水し、含水率70〜85%程度(通常は80%程度)の脱水汚泥とする。
その後この脱水汚泥を乾燥機内部に投入して、そこで含水率25〜45%程度(通常は40%程度)まで乾燥する。
そしてこのようにして得た乾燥汚泥を炭化炉内に投入し、これを炭化炉内で乾留処理して汚泥を炭化製品とし、炭化炉から排出する。
【0005】
図4はこの炭化処理を行うための従来の炭化処理設備の具体的構成を示している。
図中200は熱風発生炉で、脱水汚泥を乾燥するための熱源となる熱風がここで発生せしめられる。
201は受入ホッパであり、含水率80%程度まで脱水された脱水汚泥が、この受入ホッパ201に先ず受け入れられる。
ここに受け入れられた脱水汚泥は、中継ホッパ202を経て定量供給装置204,搬送装置205により造粒機を兼ねた乾燥機206へと送られ、ここで所定の含水率、具体的には40%程度の含水率まで乾燥処理されるとともに、粒径10mm程度の団子状の粒に造粒される。
【0006】
乾燥機206は、図5に示しているように回転ドラム208の内部に撹拌軸210を有している。ここで撹拌軸210は、回転ドラム208の中心から偏心した位置に設けられている。
この撹拌軸210からは複数の撹拌羽根212が放射状に延び出している。
一方、回転ドラム208の内周面には、周方向に所定間隔で複数の板状のリフター214が回転ドラム208と一体回転する状態で設けられている。
その結果として、回転ドラム208内部の汚泥(脱水汚泥)は回転ドラム208の回転に伴って、リフター214により底部から上方に持ち上げられ、そしてその頂部近くで自重により落下する。
落下した汚泥は、その下側に位置する撹拌羽根212の高速回転により細かく砕かれ、回転ドラム208の底部側へと落下する。
【0007】
回転ドラム208内部の汚泥はこのような撹拌作用を受けながら、図4の熱風発生炉200から乾燥機206の内部に導かれた熱風に曝されて乾燥処理され、次第に水分が減少していく。
そしてこの回転ドラム208の傾斜勾配により、更には撹拌羽根212による破砕及びその際の飛散作用によって、汚泥が回転ドラム208内部を適正な粒度に造粒されながら軸方向に漸次送られて行く。
このようにして乾燥機206で乾燥及び造粒処理された後の乾燥汚泥は、続いて搬送装置216,220により中継ホッパ218を経て炭化炉222へと搬送され、そこで10mm程度の適正な粒度に造粒された含水率40%程度の団子状の乾燥汚泥が乾留処理により炭化される。
【0008】
この炭化炉222は外熱式ロータリーキルン型の噴出管付きの自燃式のもので、この炭化炉222には、図6にも示しているように炉体224の内部に回転ドラムからなる乾留容器としての円筒形状のレトルト226が設けられており、前段の乾燥機206で乾燥及び造粒処理された乾燥汚泥が、図示を省略するスクリューフィーダにてレトルト226内部に投入される。
【0009】
投入された乾燥汚泥は、先ず炉体224内部に配設された助燃バーナ(外熱室用バーナ)228による外熱室230内部の雰囲気加熱によって加熱される。
すると乾燥汚泥中に含まれていた可燃ガスが、レトルト226に設けられた噴出管232を通じて外熱室230の雰囲気中に噴出され、そしてこの可燃ガスが着火して以後はその可燃ガスの燃焼によりレトルト226内部の汚泥の加熱が行われる。
この段階で助燃バーナ228は燃焼停止される。
【0010】
図6に示しているように、炉体224の内部には外熱室230と仕切られた排ガス処理室234が設けられており、外熱室230からの排ガスはここに導かれる。
この排ガス処理室234には排ガス処理室用バーナ236が設けられており、排ガス処理室234内に導かれた排ガス中の未燃ガスが、この排ガス処理室用バーナ236にて2次燃焼される。
【0011】
レトルト226内部の汚泥は、図中左端からレトルト226の回転とともに図中右方向に移って行き(レトルト226には若干の勾配が設けてある)、そして最終的に乾留残渣(炭化製品)がレトルト226の図中右端の出口238、つまり炭化炉222から排出される。
一方炭化炉222から排出された排ガスは、図4に示しているように熱交換器を経て煙突から大気に放出される。
この種の汚泥の炭化処理設備は、例えば下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
【0012】
しかしながら図4に示す従来の汚泥の炭化処理設備の場合、乾燥機206での乾燥用の熱風を発生させるための熱風発生炉200を設置しておくことが必要で、その設置のための費用が高くなり、また熱風発生炉200の設置によって設備が必然的に大型化してしまい、更に熱風発生炉200における熱風の発生により設備のランニングコストが高くなる問題が生じていた。
【0013】
そこで従来、このような問題点の解決を狙いとしたものが提案されている。
例えば下記特許文献3には、熱風発生炉を設置するのに代えて、炭化炉からの排ガスを図5の乾燥機に導いて、乾燥機での乾燥用の熱源として用いる点が開示されている。
この特許文献3に開示のものによれば、熱風発生炉の設置を不要化でき、従って熱風発生炉に要する設備コストを削減することができるとともに、熱風発生炉の省略によって設備全体を小型化でき、併せて熱風発生炉での熱風発生によるランニングコストを低減することが可能となる。
【0014】
炭化炉からの排ガスを乾燥機に導いて乾燥機での乾燥用の熱源として用いる点については、下記特許文献4にも開示されている。
この特許文献4に開示のものでは乾燥機として気流式乾燥機、詳しくは脱水汚泥の一部に脱水汚泥の乾燥粉を加えた混合物を破砕して、その破砕物に熱風を吹き付け、熱風の気流により破砕物を搬送するとともにこれを乾燥して乾燥粉となし、気流とともに排出する気流式乾燥機を用いている。
【0015】
特許文献3で用いられている図5の乾燥機の場合、含水率80%程度の高含水の汚泥を全量そこに投入して乾燥するものであり、脱水汚泥と熱風との接触面積が小さいことと相俟って、乾燥に長時間(約30分程度)を要し、このために熱効率が悪く、熱エネルギーを多く消費する問題があり、このことが設備のランニングコストを高める要因となる。
【0016】
しかるに上記気流式乾燥機の場合、乾燥のための所要時間は秒単位で、ほぼ一瞬の極めて短時間で乾燥処理を行うことが可能であって乾燥効率が非常に高く、従ってまた乾燥処理のための熱エネルギーも少なくて済む。
【0017】
ところで、汚泥の炭化処理に際しては外部から加える熱エネルギーをできるだけ少なくできることが望ましく、この点で、炭化炉からの高温の排ガスの熱風を乾燥機での乾燥用の熱源として利用する上記特許文献3,特許文献4に開示のものは、外部から加えるべき熱エネルギーを少なくし得て望ましいものである。
【0018】
しかしながら、特許文献3,特許文献4に開示のものを含む従来の汚泥の炭化処理設備では、系外に排出される排ガスを脱臭装置にて脱臭処理するに際し、外部から熱エネルギーを加える必要があり、このことが炭化処理設備に対する外部からの熱エネルギーの供給を更に少なくする上で支障となっていた。
【0019】
従来において、通常用いられている脱臭装置は排ガス中の臭気成分を燃焼させて脱臭する燃焼脱臭式のものであり、必然的に脱臭処理のために外部から熱エネルギーを加える必要がある。
尤も特許文献4に開示のものでは脱臭装置として触媒反応で脱臭する触媒脱臭式のものを用いているが、この触媒脱臭式のものにおいても、触媒反応を有効に行わせるために外部から熱を加えて一定温度、例えば300℃程度まで温度上昇させ触媒反応させる必要があり、脱臭処理のために外部から熱エネルギーを加えることが不可避である。
【0020】
炭化炉からの高温の排ガスを乾燥機に供給して乾燥処理する炭化処理設備においては、その他の問題として、脱水汚泥の性状が変動することに起因して、炭化炉からの排ガスを乾燥用熱源として利用するに際し以下のような困難を生じていた。
【0021】
即ち、脱水汚泥の含水率は下水処理場のそれぞれで一定しているわけではなく、下水処理場ごとに脱水汚泥の含水率は様々に異なっている。
一方炭化炉についてはこれを自燃式の炭化炉、即ち汚泥から発生した可燃ガスを着火燃焼させ、その熱により汚泥を炭化する形式の炉を用いることが望ましいが、この場合、炭化炉において発生する熱量もまた脱水汚泥の性状によって、具体的には下水処理場ごとに汚泥に含まれている可燃分の量が変動することによって様々に変化する。
【0022】
而して上記のように脱水汚泥の含水率が高くなれば乾燥のために必要な熱量は多くなり、また含水率が低くなれば乾燥に必要な熱量は少なくて済む。
また自燃式の炭化炉で発生する排ガスの熱量は、可燃分が多くなれば多くなり、また可燃分が少なければ発生する排ガスの熱量は少なくなる。
従って単純に炭化炉で発生した排ガスを乾燥機に導いて乾燥用の熱源として利用するということだけでは、乾燥機での乾燥を良好に行うことが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平11−37644号公報
【特許文献2】特開平11−33599号公報
【特許文献3】特開平11−37645号公報
【特許文献4】特開2008−238129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は以上のような事情を背景とし、汚泥の炭化処理に際して外部から加える熱エネルギーを可及的に少なくし得る汚泥の炭化処理設備を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、脱水汚泥の性状の変動にも拘らず、炭化炉排ガスを用いて乾燥機で良好に乾燥処理を行うことのできる汚泥の炭化処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
而して請求項1のものは、(A)有機物含有汚泥を脱水処理した後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機と、(B)乾燥汚泥を乾留処理して炭化し、炭化製品とする炭化炉と、(C)該炭化炉から延出して前記乾燥機に接続され、炭化炉排ガスを乾燥用の熱源として該乾燥機に熱風として供給する炭化炉排ガス供給路と、(D)系外に排出される排ガスを脱臭処理する脱臭装置と、を備えて成る汚泥の炭化処理設備において、前記脱臭装置として、前記系外に排出される排ガスに対し脱臭用の液を接触作用させて該排ガス中の臭気成分を除去し、脱臭する湿式脱臭装置を用いたことを特徴とする。
【0026】
請求項2のものは、請求項1において、前記乾燥機として、前記脱水汚泥の一部に該脱水汚泥の乾燥粉を加えた混合物を破砕して破砕物に前記熱風を吹き付け、該熱風の気流により該破砕物を搬送するとともに乾燥して前記乾燥粉となし、気流とともに排出する気流式乾燥機を用いていることを特徴とする。
【0027】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、(a)前記炭化炉排ガス供給路から分岐して前記乾燥機をバイパスし、該乾燥機の下流側の排ガス流路に接続されたバイパス路と、(b)該バイパス路に設けられ、該バイパス路の開度を制御するバイパス路弁と、(c)前記排ガス流路における前記湿式脱臭装置の下流側から延出して、前記炭化炉排ガス供給路における前記バイパス路の分岐部よりも下流側に接続され、該湿式脱臭装置から流出した排ガスの一部を該炭化炉排ガス供給路に戻して前記乾燥機に供給する排ガス循環路と、(d)該排ガス循環路に設けられ、該排ガス循環路の開度を制御する循環路弁と、を更に備えていることを特徴とする。
【0028】
請求項4のものは、請求項3において、前記乾燥機の出側の排ガスの温度,流量をそれぞれ検出する温度検出器,流量検出器と、前記バイパス路弁及び循環路弁の開度制御を行うコントローラとを備えており、該コントローラは、前記温度検出器による検出温度が設定温度よりも高いときには前記バイパス路弁の開度を大として該バイパス路側に流れる炭化炉排ガスの流量を多くし、前記流量検出器による検出流量が設定流量よりも少ないときには前記循環路弁の開度を大として前記乾燥機に供給する循環排ガスの流量を多くするものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0029】
以上のように本発明は、炭化炉排ガスを乾燥機での乾燥用の熱源として利用するように炭化処理設備を構成するとともに、脱臭装置として系外に排出される排ガスに対して脱臭用の液を接触作用させて排ガス中の臭気成分を除去し、脱臭する湿式脱臭装置を用いたものである。
【0030】
本発明では、脱臭装置による脱臭のために外部から熱エネルギーを加える必要がなく、従来脱臭のために要していた外部からの熱エネルギーの供給を不要となすことができる。
これにより、乾燥機での乾燥用の熱源として炭化炉排ガスを利用することと相俟って、汚泥の炭化処理に際して外部から加える熱エネルギーを従来に増して一層少なくすることができる。
【0031】
ここで湿式脱臭装置としては、容器内に排ガスを導き、そして容器内に脱臭用の液をノズルから噴霧して排ガスと接触させ、臭気成分を排ガスから除去する形式のものを好適に用いることができる。
また湿式脱臭装置には活性炭層を併せて備えておき、上記液の作用では十分に除去しきれない臭気成分を活性炭層による吸着作用で除去するようになしておくことができる。
【0032】
本発明では、乾燥機として図5に示した回転ドラム式の乾燥機その他の乾燥機を用いるといったことも可能であるが、かかる乾燥機として、脱水汚泥の一部に脱水汚泥の乾燥粉を加えた混合物を破砕して破砕物に熱風を吹き付け、熱風の気流により破砕物を搬送するとともに乾燥して乾燥粉となし、気流とともに排出する気流式乾燥機を用いることが望ましい(請求項2)。
この気流式乾燥機は乾燥効率が非常に高く、乾燥のための所要の熱エネルギーが少なくて済む。
従ってこのような気流式乾燥機を用いることで、炭化処理に際して外部から加える熱エネルギーをより少なくすることができる。
【0033】
この気流式乾燥機を用いる場合において、炭化処理設備には、(イ)脱水汚泥の一部と乾燥粉とを混合し、乾燥機への供給用の混合物を生成する第1混合手段と、(ロ)乾燥機から排出された乾燥粉を気流から分離する分離機と、(ハ)分離機からの乾燥粉の一部を乾燥機への供給用に、残りの一部を炭化炉への供給用に分ける分配手段と、(ニ)炭化炉への供給用に分けられた乾燥粉の残りの一部に脱水汚泥の残りの一部を加えて混合し、炭化炉への供給用の乾燥汚泥となす第2混合手段と、を備えておき、第2混合手段による混合後の乾燥汚泥を炭化炉に通して炭化処理するようになしておくことができる。
【0034】
次に請求項3は、炭化炉から乾燥機に排ガス供給する炭化炉排ガス供給路から分岐して乾燥機をバイパスし、乾燥機の下流側の排ガス流路に接続されたバイパス路と、そのバイパス路に設けられてその開度を制御するバイパス路弁と、湿式脱臭装置の下流側から排ガスの一部を取り出して上記の炭化炉排ガス供給路に、且つバイパス路の分岐部よりも下流側に戻して乾燥機に供給する排ガス循環路と、排ガス循環路に設けられてその開度を制御する循環路弁とを備えて炭化処理設備を構成しておくことができる(請求項3)。
【0035】
このようにすれば、炭化炉排ガスを乾燥機での乾燥用の熱源として用いるに際し、脱水汚泥の性状の変動に応じて炭化炉排ガスの有する熱量を乾燥用として適正且つ効率高く利用することができる。
【0036】
具体的には、脱水汚泥の含水率が高く乾燥のために必要な熱量を多く必要とするときには、バイパス路弁を閉じ若しくは開度小として、乾燥機に供給する炭化炉排ガス量を多く(炭化炉排ガスの全量を供給する場合を含む)することができる。
【0037】
逆に脱水汚泥の含水率が少ない場合にはバイパス路弁を開き若しくは開度大として、炭化炉排ガスの一部をバイパス路側へと分岐させ、乾燥機側に供給する炭化炉排ガス量即ち熱量が過多となるのを回避することができる。
そしてこのようにすることで乾燥機で必要とするだけの熱量を適正に供給することができる。
【0038】
また、炭化炉排ガスの一部をバイパス路側に分岐させる等により乾燥機での乾燥のための風量が不足した場合には、循環路弁を開き若しくは開度大とすることで、系外に排出されるべき排ガスの一部を炭化炉排ガス供給路に戻して乾燥機へと供給することで、乾燥機での乾燥用の風量の不足を防ぐことができる。
特に上記の気流式乾燥機の場合には、熱風の気流で破砕物を搬送し乾燥することから、気流搬送及び乾燥を適正に行うためには一定の風量を必要とする。
請求項3に従って、排ガス循環路及び循環路弁を設けておくことは、乾燥機としてこのような気流式乾燥機を用いる場合において得に有用である。
【0039】
逆に炭化炉排ガス供給路を通じて乾燥機に送られる風量が十分である場合には、循環路弁を閉じ若しくは開度小とすることで、乾燥機側に排ガスが過多に供給されてしまうのを防ぐことができる。
即ち請求項3によれば排ガス循環路及び循環弁によって、乾燥機での乾燥のための風量を適正に確保することが可能となる。
【0040】
この場合において上記排ガス循環路には、湿式脱臭装置で冷却されて十分に温度降下した後の排ガスが取り出されるため、排ガス循環路からの循環排ガスを乾燥機に供給したときに乾燥機に余分の熱量が加えられてしまうのを回避することができる。
即ちこの排ガス循環路からの排ガスを乾燥機に供給するようになすことで、乾燥機側の熱量が変動してしまうのを回避することができる。
【0041】
尚、本発明では炭化炉として汚泥から発する可燃ガスを燃焼させて、その燃焼の熱で汚泥を炭化する自燃式の炭化炉を用いることが望ましいが、このような自燃式の炭化炉を用いた場合、炭化炉で発生する熱量即ち炭化炉排ガスの有する熱量は脱水汚泥の性状によって、具体的には脱水汚泥に含まれる可燃分の量の多少によって変動してしまうが、請求項3によればそのような変動にも拘らず上記のバイパス路,バイパス路弁,排ガス循環路,循環路弁によって、乾燥機に供給される炭化炉排ガス熱量を適正に制御することができる。
そして炭化炉としてこのような自燃式の炭化炉を用いることで、炭化炉自身に加えるべき外部からの熱エネルギーを可及的に少なくすることが可能で、場合により外部から加える熱エネルギーを殆どゼロとするも可能となる。
【0042】
而して本発明では脱臭装置に要する外部からの熱エネルギーも不要となすことができるため、本発明の炭化炉設備では外部からの熱エネルギーを加えることなく、汚泥に内在する可燃分の熱エネルギー自体によって炭化処理に必要な熱エネルギー全体を賄うことも場合により可能となる。
【0043】
請求項3においては、乾燥機の出側の排ガスの温度,流量をそれぞれ検出する温度検出器,流量検出器と、バイパス路弁及び循環路弁の開度制御を行うコントローラとを備えておき、温度検出器による検出温度が設定温度よりも高いときには、コントローラによりバイパス路弁の開度を大としてバイパス路側に流れる炭化炉排ガスの流量を多くし、流量検出器による検出流量が設定流量よりも少ないときには、コントローラにより循環路弁の開度を大として乾燥機に供給する循環排ガスの流量を多くするように炭化処理設備を構成しておくことができる(請求項4)。
【0044】
尚上記自燃式の炭化炉としては、噴出管付きの外熱式ロータリーキルン型の炭化炉、詳しくは、回転ドラムから成るレトルトに噴出管が設けられ、レトルト内の汚泥から出た可燃ガスを噴出管を通じて外熱室に噴き出させ、これを外熱室で着火燃焼させてその熱でレトルトを加熱し、内部の汚泥を炭化する形式の炭化炉を好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の汚泥の炭化処理設備を示した図である。
【図2】図1における乾燥機とその周辺部の拡大図及び図1における混合機の要部の拡大図である。
【図3】図1の炭化処理設備における排ガスの排出経路を示した図である。
【図4】従来の汚泥の炭化処理設備の一例を示した図である。
【図5】図4における乾燥機の構成を示した図である。
【図6】図4における炭化炉を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は外熱式ロータリーキルン型且つ噴出管付きの炭化炉で、その構造及び働きは図6に示したものと同様である(尚図1では炭化炉からの排ガスを系外に排出するまでの後述の排ガスラインについては省略してある)。
即ちこの炭化炉10は、炉体12の内部に回転ドラムからなる乾留容器としての円筒形状のレトルト14を有しており、このレトルト14の図中左端側の内部に、含水率が40%程度に調節された乾燥汚泥が投入される。
投入された乾燥汚泥は、先ず炉体12内部に配設された助燃バーナ16による外熱室18内部の雰囲気加熱によって加熱される。
すると乾燥汚泥中に含まれていた可燃ガスが、レトルト14に設けられた噴出管20を通じて外熱室18の雰囲気中に噴出され、そしてこの可燃ガスが着火して以後はその可燃ガスの燃焼によりレトルト14内部の汚泥の加熱が行われる。
この段階で助燃バーナ16は燃焼停止される。
【0047】
炉体12の内部には、外熱室18と仕切られた排ガス処理室24が設けられており、外熱室18からの排ガスがここに導かれる。
排ガス処理室24には排ガス処理室用バーナ26が設けられており、排ガス処理室24内に導かれた排ガス中の未燃ガスが、この排ガス処理室用バーナ26にて2次燃焼される。
【0048】
排ガス処理室24内の排ガスは、続いて排気口28から排出される。
この実施形態では、排気口28から排出された炭化炉10からの排ガスが、炭化炉排ガス供給路30を通じて後述の乾燥機54に、乾燥用の熱源(熱風)として供給される。
【0049】
一方レトルト14内部の汚泥は、図中左端からレトルト14の回転とともに図中右方向に移って行き(レトルト14には若干の勾配が設けてある)、そして最終的に乾留残渣(炭化製品)がレトルト14の図中右端の出口、つまり炭化炉10から排出される。
【0050】
32は受入ホッパであり、含水率80%程度まで脱水された脱水汚泥がこの受入ホッパ32に先ず受け入れられる。
ここに受け入れられた脱水汚泥は、その一部(ここでは全体の85%程度)が中継ホッパ34を経て定量供給装置36,搬送装置38により混合機(第1混合手段)40に送られる。
【0051】
この混合機40にはまた、予め脱水汚泥を乾燥して成る乾燥粉が、後述のサイクロン分離機72から供給される。
そして混合機40に供給された脱水汚泥の一部と、サイクロン分離機72から供給された乾燥粉の一部とがこの混合機40で互いに混合される。
【0052】
混合機40はパドルミキサーから成るものであって、ケーシング42の内部に一対の回転軸44,46(図2(B)参照)が設けられていて、それぞれにミキシング羽根48,50が放射状に固設されており、それら回転軸44,46が互いに逆向きに回転することで、脱水汚泥と乾燥粉とをミキシング羽根48,50の重なり部分でこねるようにして混合し、更に回転軸44,46に対しそれぞれ傾斜形状をなすミキシング羽根48,50の送り作用で軸方向に送り、その過程で脱水汚泥と乾燥粉との混合を進めていく。
【0053】
ここで回転軸44と46とは不等速で回転する。従ってミキシング羽根48と50との間には周速に差があり、その周速の差に基づいて脱水汚泥と乾燥粉とを高効率でこね合せ混合作用する。
そして軸方向端部の出口から、十分に混合した脱水汚泥と乾燥粉との混合物を排出する。排出された混合物はフィーダ52にて乾燥機54内部に供給される。
【0054】
乾燥機54は気流式乾燥機であって、上下に縦長の円筒形状をなすケーシング56を有している。
このケーシング56の内部且つ下部には、図2(A)に示しているように破砕部58が設けられている。
破砕部58は一対の回転軸60,62と、それぞれ放射状に固設された破砕羽根64,66を有しており、それらが高速回転することによって、フィーダ52にて乾燥機54のケーシング56内部に供給された上記の混合物、即ち脱水汚泥と乾燥粉との混合物を細かく破砕する。
【0055】
ケーシング56にはまた吹込口68が設けられており、上記炭化炉12からの排ガスが、この吹込口68からケーシング56内部に熱風として吹き込まれる。
吹き込まれた熱風は、脱水汚泥と乾燥粉との混合物の破砕物に対し勢い良く吹き付けられ、かかる破砕物が熱風の上向きの気流によりケーシング56内部を上方に搬送され、そしてその過程で混合物に対する乾燥が行われる。
【0056】
ケーシング56内部を熱風の気流とともに搬送される混合物の破砕粒子はその上昇端で乾燥粉となり、排出口70から気流とともに外部に排出されて、サイクロン分離機72へと供給される。
【0057】
本実施形態において、この乾燥機54による乾燥のための所要時間は約1秒程度である。
また乾燥粉の粒度は75〜590μmの範囲で、その平均粒度は350μmである。但しこれは篩にかけた後の粒度であって、その篩の目開きは最小75μm,最大590μmである。
【0058】
この乾燥機54では、熱風量20m/分(乾燥機54の排出口70における流速3.5m/秒に相当)のとき、800μmまでの大きさの粉体粒子の輸送が可能である(但しその比重を1と仮定した場合)。
【0059】
サイクロン式分離機72は、乾燥粉を気流とともに内部に流入させ、そして回転に基づく遠心力で乾燥粉を気流から分離する。
そして分離された乾燥粉が図中下向きに落下せしめられて、その一部が再び混合機40へと供給される。
【0060】
この乾燥粉は、脱水汚泥の含水率が80%程度であるのに対し、含水率が15%程度ないしそれ以下の低含水率のものであり、脱水汚泥に対しかかる乾燥粉が混合されることで、混合物の含水率が乾燥機54での乾燥に適した低含水率とされる。
このときの混合物における含水率の調節は、脱水汚泥と乾燥粉との混合の比率によって簡単に調節することができる。
【0061】
この実施形態では、サイクロン分離機72で分離された乾燥粉のうちの一部だけが乾燥機54へと供給され、残りの一部が炭化炉10による炭化処理用として混合機(第2混合手段)78へと供給される。
即ちサイクロン分離機72からの乾燥粉が乾燥機54側と炭化炉10側とに分配される。
【0062】
その分配は乾燥粉の供給路上に設けられた分配ダンパ75にて行われる。
従ってここでは分配ダンパ75が、サイクロン分離機72からの乾燥粉を乾燥機54側と炭化炉10側とに分配する分配手段を構成している。
尚74,76は乾燥粉排出用のロータリーバルブである。
【0063】
この混合機78にはまた、受入ホッパ32内の脱水汚泥の残りの一部(ここでは全体の15%程度)が、搬送装置79により乾燥機54をバイパスして供給される。
この混合機78もまたパドルミキサーから成るものであって、その構造は基本的に混合機40と同様であり、一対の回転軸44,46と、それらに固設されたミキシング羽根48,50を有しており、それらの回転によって乾燥粉と搬送装置79にて搬送されてきた脱水汚泥とを混合する。
【0064】
この混合機78は次のような意味を有する。
即ち乾燥機54で乾燥された後の乾燥粉は、そのままでは炭化炉10における炭化処理用として適したものではなく、直接にこれを炭化炉10へと供給することは望ましくない。
【0065】
そこで混合機78において、乾燥粉に含水率80%程度の脱水汚泥を加えてそれらを混合し、含水率40%程度且つ大きさが10mm程度の団子状の粒から成る乾燥汚泥をそこで形成する。そして造粒後の乾燥汚泥を中継ホッパ80を経て搬送装置82により炭化炉10へと供給する。
その後の乾燥汚泥の炭化処理については先に述べた通りである。
【0066】
図3は、図1に示す汚泥の炭化処理設備において、炭化炉10からの排ガスが系外に排出されるまでの経路(排ガスライン)を中心として示した図である。
図において、30は炭化炉10から延出して乾燥機54に接続された炭化炉排ガス供給路で、炭化炉10からの排ガスは乾燥用の熱源として、この炭化炉排ガス供給路30を通じ乾燥機54に熱風として供給される。
【0067】
90は、乾燥機54からの排ガスを系外に排出するための排ガス流路で、この排ガス流路90に集塵機92,炉圧調整ダンパ94,排ガスファン96,脱臭装置(湿式脱臭装置)98がそれぞれ設けられている。
ここで炉圧調整ダンパ94は、排ガス流路90の開度を調節して、排ガス流路90を通じ排出される排ガスの流量を制御し、以て炭化炉10の内部の炉圧を調整するものである。
【0068】
乾燥機54から流出した排ガスは排ガス流路90に沿って流れ、その過程で集塵機92を通って集塵され、そして脱臭装置98において排ガス中に含まれる臭気成分の除去即ち脱臭が行われた上で、煙突100から系外に排出される。
【0069】
脱臭装置98は、容器101内に排ガスを導いて、そこにノズル102から硫酸等の薬剤を含有させた脱臭用の水(液)104を噴霧し、そして噴霧した水104を排ガスに接触させて排ガス中に含まれる臭気成分を水104にて除去し、脱臭する。
尚この脱臭装置98には、第2の脱臭部として活性炭層108が、湿式脱臭部106に続いて設けてある。
従って湿式脱臭部106を通過した排ガスは、この活性炭層108を通過する過程で、湿式脱臭部106では十分に除去し得なかった臭気成分が活性炭層により吸着除去される。
尚、湿式脱臭部106で臭気成分が十分に除去できる場合は、この活性炭層108を設けなくてもよい。
【0070】
図3において、110は炭化炉排ガス供給路30から分岐し、乾燥機54をバイパスして排ガス流路90、詳しくはサイクロン分離機72の下流部に接続されたバイパス路で、このバイパス路110にこれを開閉するバイパス路弁112と熱交換器114とが設けられている。
尚バイパス路弁112は、バイパス路110の開閉のみならずその開度を変化させるものであっても良い。
【0071】
116は、排ガス流路90における上記脱臭装置98の下流部から分岐し、炭化炉排ガス供給路30におけるバイパス路110の分岐部位よりも下流側に接続された排ガス循環路で、脱臭装置98から流出した排ガスの一部が、この排ガス循環路116通じて炭化炉排ガス供給路30へと戻され、上記乾燥機54へと供給可能となしてある。
【0072】
この排ガス循環路116には、これを開閉する循環路弁118が設けられている。
尚この循環路弁118もまた、排ガス循環路116の開閉弁のみならずその開度を大小変化させるものであっても良い。
【0073】
上記排ガス流路90における乾燥機54の出側、具体的には乾燥機54とサイクロン分離機72との間の部位に、温度検出器120と流量検出器122とが設けられ、乾燥機54から出た排ガスの温度,流量がそれぞれ検出されるようになっている。
これら温度検出器120,流量検出器122による検出結果はコントローラ124へと入力される。
コントローラ124は、これらの入力に基づいてバイパス路弁112,循環路弁118を開閉制御する。
【0074】
尚この実施形態において、炭化炉排ガス供給路30の排ガスの温度は、炭化炉10の出側で850〜900℃,乾燥機54の入側で300〜450℃程度である。
また乾燥機54の出側において排ガスの温度は100℃前後であり、更に脱臭装置98の出側において排ガス温度は40℃程度の低温度である。
従って排ガス循環路116にて取り出される排ガスの温度は40℃程度の低温度であり、その低温度の排ガスが炭化炉排ガス供給路30に戻されて、炭化炉排ガスとともに乾燥機54へと供給される。
【0075】
この実施形態では、炭化炉10において汚泥中の可燃ガスの燃焼による熱によって汚泥が炭化処理される。
そして炭化炉10で汚泥の燃焼により発生した排ガスが、炭化炉排ガス供給路30を通じ乾燥用の熱源として乾燥機54に熱風として供給される。
乾燥機54では基本的にその熱風により乾燥を行う。
【0076】
炭化炉10から排出される排ガスの熱量は、乾燥機54で乾燥のために必要とされる熱量よりも上回ることがあり、この場合にはバイパス路弁112が開動作してバイパス路110を開き、炭化炉排ガス供給路30を通じて送られる排ガスの一部をバイパス路110へと取り出し、熱交換器114にて余熱を回収した上で、これを乾燥機54をバイパスして排ガス流路90へと導く。
【0077】
バイパス路110上の熱交換器114には、脱臭装置98で脱臭用に用いた水が導かれるようになしてあり、バイパス路110に取り出された排ガスの余熱にて水が温水化される。
尚、このようにして炭化炉排ガス供給路30の排ガスの一部がバイパス路110に取り出されることによって、乾燥機54に供給される排ガスの流量が不足する場合が生ずる。
【0078】
気流式の乾燥機54は、熱風による気流搬送によって乾燥を行うものであることから、供給される排ガス流量が不足すると乾燥のための風量が不足し、乾燥を適正に行えない。
【0079】
そこで本実施形態では、排ガス循環路116の循環路弁118を開動作せしめられ、排ガス流路90から排ガスの一部が排ガス循環路116を通じて炭化炉排ガス供給路30に戻され、乾燥機54へと供給される。
即ちこの実施形態では、炭化炉排ガス供給路30を通じて乾燥機54に送られる排ガスの流量が少なくなった場合であっても、乾燥機54に対し確実に必要な流量で排ガス供給することができる。
【0080】
ここで排ガス循環路116に取り出される排ガスの温度は40℃程度の低温度のものであり、従って排ガス循環路116を通じて乾燥機54に排ガス供給した場合においても、そのことによって乾燥機54への供給熱量が過大となることはない。
【0081】
尚本実施形態では、温度検出器120による検出温度が設定温度よりも高いときには、自動的にコントローラ124がバイパス路弁112を開動作させ、また流量検出器122による検出流量が設定流量に対し不足したときには、自動的にコントローラ124が循環路弁118を開動作させて、排ガス循環路116を通じ乾燥機54へと排ガスを供給せしめる。
【0082】
脱水汚泥に含まれる可燃分が多かったり、脱水汚泥の含水率が低かったりすると、炭化炉10からの排ガスの熱量が乾燥機54での乾燥に必要な熱量よりも多くなることがあり、この場合温度検出器120による検出温度が設定温度よりも高くなる。このような場合にはバイパス路弁112を自動的に開動作させる。
一方温度検出器120による検出温度が設定温度であるとき若しくはこれよりも低いときには、バイパス路弁112を自動的に閉弁させて、炭化炉10からの排ガスの全量を乾燥機54へと流入させる。
尚、炭化炉10からの排ガスの全量を乾燥機54に流入させた場合においてもなお熱量が不足するときには、炭化炉10の排ガス出口若しくは炭化炉排ガス流路30に備えたバーナを燃焼させることで、不足した熱量を補うようになすことができる。
【0083】
以上のようにして本実施形態では、コントローラ124により乾燥機54への排ガスの供給を自動的に適正化して、乾燥条件を適正に維持する。
【0084】
かかる本実施形態によれば、汚泥の炭化処理に際して外部から加える熱エネルギーを可及的に少なくすることができる。
【0085】
以上発明の実施形態を詳述したが、これはあくまで一例示である。
例えば本発明では乾燥機として上記のような気流式乾燥機を用いるのが望ましいが、汚泥の含水率が低くて乾燥のための熱量が少なくて良い場合等において図5に示した回転ドラム式の乾燥機を用いることも可能であり、更に湿式脱臭装置として上例以外の他の湿式脱臭装置を用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 炭化炉
14 レトルト
18 外熱室
20 噴出管
30 炭化炉排ガス供給路
40 混合機(第1混合手段)
54 乾燥機
72 サイクロン分離機
78 混合機(第2混合手段)
90 排ガス流路
98 脱臭装置(湿式脱臭装置)
110 バイパス路
112 バイパス路弁
116 排ガス循環路
118 循環路弁
120 温度検出器
122 流量検出器
124 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機物含有汚泥を脱水処理した後の脱水汚泥を乾燥処理する乾燥機と、(B)乾燥汚泥を乾留処理して炭化し、炭化製品とする炭化炉と、(C)該炭化炉から延出して前記乾燥機に接続され、炭化炉排ガスを乾燥用の熱源として該乾燥機に熱風として供給する炭化炉排ガス供給路と、(D)系外に排出される排ガスを脱臭処理する脱臭装置と、を備えて成る汚泥の炭化処理設備において
前記脱臭装置として、前記系外に排出される排ガスに対し脱臭用の液を接触作用させて該排ガス中の臭気成分を除去し、脱臭する湿式脱臭装置を用いたことを特徴とする汚泥の炭化処理設備。
【請求項2】
請求項1において、前記乾燥機として、前記脱水汚泥の一部に該脱水汚泥の乾燥粉を加えた混合物を破砕して破砕物に前記熱風を吹き付け、該熱風の気流により該破砕物を搬送するとともに乾燥して前記乾燥粉となし、気流とともに排出する気流式乾燥機を用いていることを特徴とする汚泥の炭化処理設備。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、(a)前記炭化炉排ガス供給路から分岐して前記乾燥機をバイパスし、該乾燥機の下流側の排ガス流路に接続されたバイパス路と、(b)該バイパス路に設けられ、該バイパス路の開度を制御するバイパス路弁と、(c)前記排ガス流路における前記湿式脱臭装置の下流側から延出して、前記炭化炉排ガス供給路における前記バイパス路の分岐部よりも下流側に接続され、該湿式脱臭装置から流出した排ガスの一部を該炭化炉排ガス供給路に戻して前記乾燥機に供給する排ガス循環路と、(d)該排ガス循環路に設けられ、該排ガス循環路の開度を制御する循環路弁と、を更に備えていることを特徴とする汚泥の炭化処理設備。
【請求項4】
請求項3において、前記乾燥機の出側の排ガスの温度,流量をそれぞれ検出する温度検出器,流量検出器と、前記バイパス路弁及び循環路弁の開度制御を行うコントローラとを備えており、
該コントローラは、前記温度検出器による検出温度が設定温度よりも高いときには前記バイパス路弁の開度を大として該バイパス路側に流れる炭化炉排ガスの流量を多くし、
前記流量検出器による検出流量が設定流量よりも少ないときには前記循環路弁の開度を大として前記乾燥機に供給する循環排ガスの流量を多くするものとなしてあることを特徴とする汚泥の炭化処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−167649(P2011−167649A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35336(P2010−35336)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】