説明

泥落とし装置及び農業機械

【課題】泥掻体36の位置調整をすることなく、車輪に付着した泥42が確実に掻き落とされうる泥落とし装置10及び田植機2の提供。
【解決手段】田植機2は、機体4と、車輪と、泥落とし装置10とを備えている。この泥落とし装置10は、車輪に付着した泥42を掻き落とす泥掻体36を有する排泥部材28と、この排泥部材28を支持する支持部材26とを備えている。この機体4は、路面の凹凸に応じて揺動するフロート24を備えている。この支持部材26は、このフロート24に連結されている。この泥掻体36は、この車輪に沿って配置されている。この泥掻体36の路面に対する位置は、一定に保持されうるように構成されている。好ましくは、この田植機2では、上記排泥部材28は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥落とし装置及び農業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
田植機では、水田等の軟弱な地盤において安定した推進性が確保されるために、弾性輪体を備えた車輪が用いられる。この弾性輪体は、環状のリムにゴム材料のような弾性材料が被覆されて形成される。この弾性輪体の外周面及び側面には、車輪の周方向に一定間隔でラグが配置される。このような車輪は、ラグを備えることにより、前進又は後進に必要とされる牽引力及び浮力を発生するように構成されている。
【0003】
ラグには、車輪の側方に大きく突出する羽根ラグ、側方への突出量が羽根ラグに比べて抑えられた三角ラグ、車輪赤道面に配列される台形ラグ等がある。
【0004】
田植機が軟弱な地盤を走行すると、その車輪の側面に、泥が付着してしまう。特に、羽根ラグは、泥が付着しやすい傾向にある。車輪は回転しているので、この車輪に付着した状態で泥は上方に持ち上げられる。上方に持ち上げられた泥は、その自重により落下する場合がある。落下した泥によって、植え付けられたばかりの苗に、泥かぶり、折れ及び倒れが生じてしまう。車輪に泥が付着した状態で田植機が舗装道路を走行すると、道路が汚されてしまう場合もある。車輪に付着した状態で泥が乾燥すると、洗車時にこの泥を除去することが困難になる場合もある。田植機以外の農業機械においても、同様の問題がある。
【0005】
車輪に付着した泥を確実に除去しうる農作業用車輪の泥払い装置が、特開2005−212528公報に開示されている。この泥払い装置は、田植機に連結したアームの先端に泥払い板を備えている。この泥払い板は、羽根板(羽根ラグ)の回転方向先行面に接触するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−212528公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
泥落とし装置は、農業機械の機体に固定される。泥を掻き落とす泥掻体の位置は、泥が効果的に掻き落とされるように調整される。この調整は、作業者によって行われる。この泥掻体の位置調整は、作業前に実施される。起伏及び泥の質というような圃場の状態は、変化に富んでいる。圃場の状態が変わる度に、作業者はこの泥掻体の位置を調整しなければならないという問題がある。
【0007】
その泥が多くの水分を含んでいる湿田及び軟弱地では、車輪は泥に沈み込む。機体は沈下する。泥落とし装置は、この機体に固定されている。車輪の泥への沈み込み量が大きくなると、泥掻体が泥に埋没する場合がある。この場合、この泥掻体は車輪に付着した泥を掻き落とすことができなくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、泥掻体の位置調整をすることなく、車輪に付着した泥が確実に掻き落とされうる泥落とし装置及び田植機の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る泥落とし装置は、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材と、路面の凹凸に応じて揺動するフロートとを備えている。この支持部材は、このフロートに連結されている。この泥掻体は、車輪に沿って配置されている。この泥掻体の路面に対する位置は、一定に保持されうるように構成されている。
【0010】
好ましくは、この泥落とし装置では、上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている。好ましくは、この泥落とし装置では、上記泥掻体は、上記弾性体である。好ましくは、この泥落とし装置では、上記弾性体は、コイルスプリングからなる。
【0011】
本発明に係る田植機は、機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えている。この泥落とし装置は、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備えている。この機体は、路面の凹凸に応じて揺動するフロートを備えている。この支持部材は、このフロートに連結されている。この泥掻体は、この車輪に沿って配置されている。この泥掻体の路面に対する位置は、一定に保持されうるように構成されている。
【0012】
好ましくは、この田植機では、上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている。好ましくは、この田植機では、上記泥掻体は、上記弾性体である。好ましくは、この田植機では、上記弾性体は、コイルスプリングからなる。
【発明の効果】
【0013】
この田植機では、路面の凹凸に応じて揺動するフロートに支持部材が連結されているので、泥掻体の路面に対する位置は一定に保持されうる。機体が沈下しても、この泥掻体の路面からの高さは変わらない。この田植機では、泥掻体の位置調整は必要ではない。この田植機では、圃場の状態に関わらずこの泥掻体が泥を確実に掻き落とす。車輪に泥が堆積されることはない。植え付けられたばかりの苗に、泥かぶり、折れ及び倒れが生じることもない。この田植機が舗装道路を走行しても、道路が汚されることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る田植機2が示された側面図である。この図1において、左右方向は、この田植機2の長さ方向を表している。この紙面の左側は、この田植機2の前方側である。この田植機2は、機体4と、前方側に位置している車輪としての前輪6と、後方側に位置している車輪としての後輪8と、泥落とし装置10とを備えている。この田植機2は、四輪タイプの田植機である。この田植機2では、前輪6及び後輪8にこの泥落とし装置10が設置されている。
【0016】
前輪6は、その外周面に台形ラグ12及び三角ラグ14を備えている。この台形ラグ12は、この前輪6の赤道面に配置されている。三角ラグ14は、この台形ラグ12の両側に回転方向において左右交互に配置されている。
【0017】
後輪8は、その外周面に台形ラグ16及び羽根ラグ18を備えている。この台形ラグ16と羽根ラグ18とは、回転方向に交互に配置されている。この羽根ラグ18は、側方に大きく突出している。
【0018】
機体4は、植え付け部20を備えている。この植え付け部20は、この田植機2の後方側にある。この植え付け部20は、本体22と、フロート24とを備えている。この本体22には、苗を植え付けるための装備が搭載されている。
【0019】
フロート24は、植え付け部20の底部に位置している。このフロート24は、路面に浮く。このフロート24は、路面の凹凸に応じて揺動する。この植え付け部20も、路面の凹凸に応じて揺動する。この田植機2では、路面から植え付けられた苗の根本までの深さは、一定に保持される。
【0020】
図2は、図1の田植機2の後輪8に設置されている泥落とし装置10の一部が示された平面図である。この図2において、上下方向は後輪8の軸方向である。左右方向は、この田植機2の長さ方向である。図1に示されているように、この田植機2の前輪6においても、この後輪8と同じ泥落とし装置10が設置されている。この前輪6に設置される泥落とし装置10は、この後輪8に設置される泥落とし装置10と異なる構成とされてもよい。
【0021】
泥落とし装置10は、支持部材26と排泥部材28とを備えている。この支持部材26は、アーム部30と、このアーム部30に固定される保持部32とを備えている。排泥部材28は、長さ方向に延在する弾性体としてのコイルスプリング34と、このコイルスプリング34に取り付けられており長さ方向に延在する泥掻体36とを備えている。
【0022】
アーム部30は、ロッド38とリング40とからなる。このロッド38はリング40をスライドし、所定位置で固定されうる。これにより、泥掻体36の軸方向及び長さ方向の位置が調整されうる。この泥落とし装置10には、スライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。
【0023】
コイルスプリング34は、保持部32に取り付けられる。このコイルスプリング34は、力が付与されると撓み力が除かれると復元する。このコイルスプリング34の材質としては、強度の観点から、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。
【0024】
泥掻体36は、後輪8の側面に沿って配置される。この泥掻体36は、プレートからなる。この泥掻体36の前方側は、折り曲げられて鉤状とされている。この泥掻体36は、車輪に付着した泥42を掻き落とす。なお、この泥掻体36の形状は、ラグの形状、大きさ等が考慮されて適宜決められる。
【0025】
泥掻体36の材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。合成高分子材料としては、プラスチック材料及びゴム材料が例示される。強度及び汎用性の観点から、プラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール及びナイロンが例示される。
【0026】
前述したように、泥掻体36はコイルスプリング34に取り付けられている。この田植機2では、この泥掻体36の先端44が側方に大きく突出する羽根ラグ18の回転方向先行面46と接触すると、この接触状態が維持されつつ、後輪8は回転する。この先端44がこの回転方向先行面46から外れるとコイルスプリング34は復元するので、泥掻体36は後輪8の側面に再び位置する。このコイルスプリング34は、後輪8の回転に伴い、撓みと形状復元とを繰り返す。この泥掻体36は、後輪8の側面に付着した泥42を掻き落としつつ、羽根ラグ18の回転方向先行面46に付着した泥42も掻き落とす。この泥掻体36の先端44は丸めとされているので、泥掻体36の先端44とこの回転方向先行面46との接触における抵抗が抑えられている。この泥掻体36は、この回転方向先行面46を滑らかに動きうる。
【0027】
この田植機2では、泥落とし装置10が位置決め調整機構を備えているので、圃場の状態、車輪の径、車輪の幅、泥42の付着状態等に応じて、この泥掻体36の位置は調整されうる。この田植機2では、泥掻体36が路面から低い位置に配置されうるので、掻き落とされる泥42の位置も低い。この田植機2では、路面に落下する泥42の勢いは抑えられる。この田植機2では、落下した泥42による苗等の損傷が防止されうる。
【0028】
この田植機2では、泥落とし装置10のアーム部30は本体22に固定されている。換言すれば、支持部材26は本体22を介してフロート24に連結されている。この植え付け部20は路面の凹凸に応じて揺動するので、この泥落とし装置10も路面の凹凸に応じて揺動する。機体4が沈下しても、路面から泥掻体36までの高さは一定に保持されうる。この田植機2では、圃場の状態が変化しても、泥掻体36の位置を再調整する必要はない。この田植機2では、圃場の状態に関わらず、この泥掻体36は泥42を確実に掻き落とす。車輪に泥42は堆積しない。植え付けられたばかりの苗に、泥42かぶり、折れ及び倒れが生じることもない。この田植機2が舗装道路を走行しても、道路が汚されることもない。なお、この田植機2では、前輪6に設置される泥落とし装置10は、機体4に固定されている。この前輪6においても、路面の凹凸に応じて揺動するフロート24を備えた泥落とし装置10が設置されてもよい。
【0029】
図3は、本発明の他の実施形態に係る田植機48が示された側面図である。この図3において、左右方向は、この田植機48の長さ方向を表している。この紙面の左側は、この田植機48の前方側である。この田植機48は、機体50と、前輪52と、後輪54と、泥落とし装置56とを備えている。この機体50は、植え付け部58を備えている。この植え付け部58は、本体60と、フロート62とを備えている。この本体60には、苗を植え付けるための装備が搭載されている。このフロート62は、路面の凹凸に応じて揺動する。この田植機48は、四輪タイプの田植機である。この田植機48の後輪54及び泥落とし装置56以外は、図1の田植機2と同じ構成とされている。この田植機48では、前輪52及び後輪54にこの泥落とし装置56が設置されている。
【0030】
後輪54は、その外周面に台形ラグ64及び三角ラグ66を備えている。この台形ラグ64は、この後輪54の赤道面に配置されている。三角ラグ66は、この台形ラグ64の両側に回転方向において左右交互に配置されている。この田植機48では、この後輪54に、側方へ大きく突出する羽根ラグが備えられていない。
【0031】
図4は、図3の田植機48の後輪54に設置されている泥落とし装置56の一部が示された平面図である。この図4において、上下方向は後輪54の軸方向である。左右方向は、この田植機48の長さ方向である。図3に示されているように、この田植機48の前輪52においても、この後輪54と同じ泥落とし装置56が設置されている。
【0032】
泥落とし装置56は、支持部材68と排泥部材70とを備えている。この支持部材68は、アーム部72と、このアーム部72に固定される保持部74とを備えている。排泥部材70は、この保持部74に取り付けられており長さ方向に延在する泥掻体76とを備えている。
【0033】
アーム部72は、ロッド78とリング80とからなる。このロッド78はリング80をスライドし、所定位置で固定されうる。これにより、泥掻体76の軸方向及び長さ方向の位置が調整されうる。この泥落とし装置56には、スライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。
【0034】
泥掻体76は、後輪54の側面に沿って配置される。この泥掻体76は、プレートからなる。この泥掻体76の前方側は、折り曲げられて鉤状とされている。この泥掻体76は、後輪54の側面に付着した泥42を掻き落とす。この田植機48では、後輪54に泥42は堆積しない。なお、この泥掻体76の形状は、ラグの形状、大きさ等が考慮されて適宜決められる。
【0035】
この田植機48では、泥落とし装置56が位置決め調整機構を備えているので、圃場の状態、車輪の径、車輪の幅、泥42の付着状態等に応じて、この泥掻体76の位置は調整されうる。この田植機48では、泥掻体76が路面から低い位置に配置されうるので、掻き落とされる泥42の位置も低い。この田植機48では、路面に落下する泥42の勢いは抑えられる。この田植機48では、落下した泥42による苗等の損傷が防止されうる。
【0036】
この田植機48では、泥落とし装置56のアーム部72は本体60に固定されている。換言すれば、支持部材68は本体60を介してフロート62に連結されている。この植え付け部58は路面の凹凸に応じて揺動するので、この泥落とし装置56も路面の凹凸に応じて揺動する。機体50が沈下しても、路面から泥掻体76までの高さは一定に保持されうる。この田植機48では、圃場の状態が変化しても、泥掻体76の位置を再調整する必要はない。この田植機48では、圃場の状態に関わらず、この泥掻体76は泥42を確実に掻き落とす。車輪に泥42は堆積しない。植え付けられたばかりの苗に、泥42かぶり、折れ及び倒れが生じることもない。この田植機48が舗装道路を走行しても、道路が汚されることもない。なお、この田植機48では、前輪52に設置される泥落とし装置56は、機体50に固定されている。この前輪52に、路面の凹凸に応じて揺動するフロート62を備えた泥落とし装置56が設置されてもよい。
【0037】
図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る田植機82が示された側面図である。この図5において、左右方向は、この田植機82の長さ方向を表している。この紙面の左側は、この田植機82の前方側である。この田植機82は、機体84と、前輪86と、後輪88と、泥落とし装置90とを備えている。この機体84は、植え付け部92を備えている。この植え付け部92は、本体94と、フロート96とを備えている。この本体94には、苗を植え付けるための装備が搭載されている。このフロート96は、路面の凹凸に応じて揺動する。この田植機82は、四輪タイプの田植機である。この田植機82の泥落とし装置90以外は、図1の田植機2と同じ構成とされている。この田植機82では、前輪86及び後輪88にこの泥落とし装置90が設置されている。
【0038】
図6は、図5の田植機82の泥落とし装置90の一部が後輪88の一部とともに示された平面図である。この図6において、上下方向は後輪88の軸方向である。左右方向は、この田植機82の長さ方向である。一点鎖線CLは、この後輪88の赤道面を表している。図5に示されているように、この田植機82の前輪86においても、この後輪88と同じ泥落とし装置90が設置されている。
【0039】
泥落とし装置90は、支持部材98と、排泥部材100とを備えている。この支持部材98は、ロッド102とリング104とからなる。排泥部材100は、支持部材98に取り付けられる把捉体106と、この把捉体106から赤道面に向かって軸方向に延びる泥掻体108とを備えている。この泥落とし装置90は、2の泥掻体108を備えており、左右の泥掻体108の先端110は赤道面の近傍に位置している。このロッド102はリング104をスライドし、所定位置で固定されうる。これにより、泥掻体108の軸方向及び長さ方向の位置が調整されうる。この泥落とし装置90には、スライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。
【0040】
泥掻体108は、力が付与されると撓み力が除かれると復元する弾性体である。この田植機82では、この泥掻体108はこの弾性体としてのコイルスプリング112である。このコイルスプリング112の材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。強度の観点から、このコイルスプリング112の材質としては、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。なお、この泥掻体108が、ゴム材料からなる棒材で構成されてもよい。この場合、ゴム材料としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムが例示される。汎用性の観点から、天然ゴムが好ましい。
【0041】
この田植機82では、後輪88が回転すると、この後輪88のスポーク114と弾性輪体116との間に位置する被覆部118は泥掻体108に近接していく。この被覆部118がこの泥掻体108に当接すると、この泥掻体108に力が付与される。この泥掻体108は撓む。この被覆部118は、この泥掻体108を撓ませつつ、この左右の泥掻体108の間を通過していく。被覆部118がこの左右の泥掻体108の間を通過すると、泥掻体108に付与されていた力が除かれる。この泥掻体108は復元する。この田植機82では、後輪88の回転に伴いこのような泥掻体108の撓みと形状復元とが繰り返されている。
【0042】
この田植機82では、被覆部118が泥掻体108に当接することにより、この被覆部118に付着された泥42が掻き落とされる。この被覆部118は左右の泥掻体108の間を通過するので、後輪88の側面よりも軸方向内側に付着された泥42が確実に掻き落とされうる。掻き取られた泥42が付着堆積することがないので、泥42の塊は形成されない。
【0043】
この田植機82では、泥落とし装置90が位置決め調整機構を備えているので、圃場の状態、車輪の径、車輪の幅、泥42の付着状態等に応じて、この泥掻体108の位置は調整されうる。この田植機82では、泥掻体108が路面から低い位置に配置されうるので、掻き落とされる泥42の位置も低い。この田植機82では、路面に落下する泥42の勢いは抑えられる。この田植機82では、落下した泥42による苗等の損傷が防止されうる。
【0044】
この田植機82では、泥落とし装置90の支持部材98は本体94に固定されている。換言すれば、支持部材98は本体94を介してフロート96に連結されている。この植え付け部92は路面の凹凸に応じて揺動するので、この泥落とし装置90も路面の凹凸に応じて揺動する。機体84が沈下しても、路面から泥掻体108までの高さは一定に保持されうる。この田植機82では、圃場の状態が変化しても、泥掻体108の位置を再調整する必要はない。この田植機82では、圃場の状態に関わらず、この泥掻体108は泥42を確実に掻き落とす。車輪に泥42は堆積しない。植え付けられたばかりの苗に、泥42かぶり、折れ及び倒れが生じることもない。この田植機82が舗装道路を走行しても、道路が汚されることもない。この田植機82では、泥掻体108がコイルスプリング112からなるので、この泥掻体108がこの田植機82の走行を阻害することもない。なお、この田植機82では、前輪86に設置される泥落とし装置90は、機体84に固定されている。この前輪86においても、路面の凹凸に応じて揺動するフロート96を備えた泥落とし装置90が設置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る田植機に備えられる泥落とし装置は、種々の農業機械に装着されうる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る田植機が示された側面図である。
【図2】図2は、図1の田植機の後輪に設置されている泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施形態に係る田植機が示された側面図である。
【図4】図4は、図3の田植機の後輪に設置されている泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図5】図5は、本発明のさらに他の実施形態に係る田植機が示された側面図である。
【図6】図6は、図5の田植機の泥落とし装置の一部が後輪の一部とともに示された平面図である。
【符号の説明】
【0047】
2、48、82・・・田植機
4、50、84・・・機体
6、52、86・・・前輪
8、54、88・・・後輪
10、56、90・・・泥落とし装置
12、16、64・・・台形ラグ
14、66・・・三角ラグ
18・・・羽根ラグ
20、58、92・・・植え付け部
22、60、94・・・本体
24、62、96・・・フロート
26、68、98・・・支持部材
28、70、100・・・排泥部材
30、72・・・アーム部
32、74・・・保持部
34、112・・・コイルスプリング
36、76、108・・・泥掻体
38、78、102・・・ロッド
40、80、104・・・リング
42・・・泥
44、110・・・先端
46・・・先行面
106・・・把捉体
114・・・スポーク
116・・・弾性輪体
118・・・被覆部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材と、路面の凹凸に応じて揺動するフロートとを備えており、
この支持部材が、このフロートに連結されており、
この泥掻体が、車輪に沿って配置されており、
この泥掻体の路面に対する位置が、一定に保持されうるように構成されている泥落とし装置。
【請求項2】
上記排泥部材が、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている請求項1に記載の泥落とし装置。
【請求項3】
上記泥掻体が、上記弾性体である請求項2に記載の泥落とし装置。
【請求項4】
上記弾性体が、コイルスプリングからなる請求項2又は3に記載の泥落とし装置。
【請求項5】
機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えており、
この泥落とし装置が、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備えており、
この機体が、路面の凹凸に応じて揺動するフロートを備えており、
この支持部材が、このフロートに連結されており、
この泥掻体が、この車輪に沿って配置されており、
この泥掻体の路面に対する位置が、一定に保持されうるように構成されている田植機。
【請求項6】
上記排泥部材が、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている請求項5に記載の田植機。
【請求項7】
上記泥掻体が、上記弾性体である請求項6に記載の田植機。
【請求項8】
上記弾性体が、コイルスプリングからなる請求項6又は7に記載の田植機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−168733(P2007−168733A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372696(P2005−372696)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】