説明

測光装置およびカメラ

【課題】測光部からの不要な測光信号の読み出しにかかる処理時間や処理負荷を低減すること。
【解決手段】測光装置は、被写体光を撮像素子17に導く第1の状態と、被写体光をファインダ部に導く第2の状態とを切り替える光学部材5が第2の状態に切り替えている場合に、被写体光を蓄積型の光電変換素子を用いて測光する測光部13と、測光部13から測光信号を読み出す読出部と、測光部13による測光を中断する場合に、中断の状況に応じて、読出部による測光部13からの測光信号の読み出しを許可するか禁止するかを切り替える制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測光装置およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
光学ファインダへ導かれた光を、ファインダ光軸から外れた位置に配した測光センサで測光する一眼レフ電子カメラが知られている(特許文献1参照)。この電子カメラでは、ミラーアップすると測光センサに光が導かれなくなるため、測光を中断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、測光センサによる測光を中断する場合にも測光センサから測光信号を読み出しており、該読み出しにかかる処理時間や処理負荷が問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による測光装置は、被写体光を撮像素子に導く第1の状態と、被写体光をファインダ部に導く第2の状態とを切り替える光学部材が第2の状態に切り替えている場合に、被写体光を蓄積型の光電変換素子を用いて測光する測光部と、測光部から測光信号を読み出す読出部と、測光部による測光を中断する場合に、中断の状況に応じて、読出部による測光部からの測光信号の読み出しを許可するか禁止するかを切り替える制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、測光部からの不要な測光信号の読み出しにかかる処理時間や処理負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による測光装置を搭載した一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。
【図2】図1の電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。
【図3】(a)は読み出し無しモードを説明する図であり、(b)は読み出し有りモードを説明する図である。
【図4】第1の実施の形態においてレリーズシーケンス動作の開始に応じて測光を中断する場合を説明する図である。
【図5】第1の実施の形態において連写撮影に応じて測光を中断する場合を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態においてTTL調光を伴うレリーズシーケンス動作の開始に応じて測光を中断する場合を説明する図である。
【図7】第2の実施の形態における読み出しモードの切替え制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による測光装置を搭載した一眼レフ電子カメラの構成を説明する図である。図1において、カメラ本体4に対して着脱可能な交換レンズ1が装着されている。
【0009】
被写体からの光は、撮像レンズ2および絞り3を介してカメラ本体4へ入射される。カメラ本体4に入射した被写体光は、シャッタレリーズ前は図1に例示したミラーダウン状態にある一部半透過のクイックリターンミラー(以下メインミラーと呼ぶ)5で上方のファインダ部へ向けて折り曲げられ、ファインダスクリーン6へ向けて進行する。また、メインミラー5を透過した一部の被写体光は、サブミラー14によって下方へ折り曲げられ、焦点検出センサ15へ導かれる。
【0010】
ファインダスクリーン6へ入射された被写体光束は、撮像レンズ2によって拡散面6aに結像する。ファインダスクリーン6で拡散された光束はさらに、ファインダ光学系の光軸22に沿ってペンタプリズム8へ入射される。ペンタプリズム8は、拡散された被写体光を接眼レンズ9へ導く。撮影者は、接眼部10から接眼レンズ9を通してファインダによる被写体像を観察する。
【0011】
また、ファインダスクリーン6で拡散された光束の一部は、ファインダ光学系の光軸22から傾いた測光光学系光軸23の方向へ進み、三角プリズム11の反射面11aで上方へ折り曲げられる。この光束は測光レンズ12を介して測光センサ13の受光面に再結像する。
【0012】
シャッタレリーズ後は、メインミラー5が上方へ回動し、全ての被写体光は開駆動されるメカニカルシャッター16を介して撮像素子17へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。このとき、撮像レンズ2を通過した光束の接眼レンズ9および測光センサ13までの光路は遮断される。撮像素子17は、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。撮像が終了するとメカニカルシャッター16が閉駆動され、メインミラー5がミラーダウン状態へ戻る。
【0013】
上述した電子カメラにおいて、測光センサ13は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCMOSイメージセンサなどによって構成される。光電変換素子は、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する。
【0014】
図2は、電子カメラの要部構成を説明するブロック図である。測光センサ13は、制御部31の指示に応じて、光の強さに応じた信号電荷を蓄積する蓄積動作を行う。測光センサ13は、蓄積動作により得られた測光信号を制御部31へ出力する。制御部31は、測光センサ13から読み出した測光信号に基づいて、測光演算の他、TTL(through the lens)調光演算、顔検出処理、および被写体追尾処理などを行う。
【0015】
また制御部31は、測光センサ13から読み出した測光信号に基づいて、次回測光時における予定蓄積時間を算出する。制御部31は、算出した予定蓄積時間の蓄積動作が行われるように測光センサ13を制御する。一般に、予定蓄積時間は、被写界が明るいほど短くなる。
【0016】
露出制御部32は、制御部31による測光演算結果に基づいて撮像時に絞り3およびメカニカルシャッター16を制御する。照明装置33は、被写体に撮影補助光を照射するための照明である。照明制御部34は、制御部31によるTTL調光演算結果に基づいて照明装置33の発光量を制御する。
【0017】
LED35は、選択されたフォーカスエリアを点灯表示するためのスーパーインポーズ用LEDである。LED35から出力された光は、フォーカスエリアを示す表示としてファインダスクリーン6(図1)上で被写体像に重畳されて観察される。制御部31は、たとえばフォーカスエリアが切り替わる際などに、フォーカスエリアに合わせてLED35の点灯制御を行う。シャッタレリーズ時には、点灯されたフォーカスエリアにおける焦点検出結果に基づいて撮像レンズ2のフォーカスレンズが駆動され、合焦動作が行われる。
【0018】
制御部31には、レリーズボタン36が半押し操作または全押し操作されたことを示すレリーズ操作信号などが入力される。レリーズボタン36が半押し操作されると、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号に基づく測光演算とを繰り返し行う。
【0019】
レリーズボタン36が全押し操作されると、メインミラー5がアップされて光路から退避するため、測光センサ13に光が導かれなくなり、測光不能となる。また、TTL調光時には、照明装置33から公知の予備発光を行って、測光センサ13で被写体からの反射光を測光しなければならないため、早急に測光センサ13をリセットする必要がある。さらに、LED35の点灯が行われる場合には、LED35からの光束の一部が測光センサ13に到達するため、測光演算用の測光が正確に行えなくなる。
【0020】
このように測光演算用の測光が不能または不適となる場合には、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。この場合の測光センサ13は、予定蓄積時間よりも短い蓄積となる。このとき、本実施形態の制御部31は、測光センサ13から測光信号を読み出さない(すなわち読み出しを禁止する)モード(読み出し無しモード)と、測光センサ13から測光信号を読み出す(すなわち読み出しを許可する)モード(読み出し有りモード)のうちいずれかのモードで動作する。
【0021】
図3(a)は、読み出し無しモードを説明する図である。制御部31は、たとえば測光センサ13に出力する測光制御信号をLow(L)レベルにすることにより、測光センサ13に蓄積動作を行わせる。時刻(T)において測光中断要因(たとえばレリーズボタン36の全押し操作など)が発生すると、読み出し無しモードの場合の制御部31は、測光センサ13に出力するリセット信号をLレベルにすることにより、測光センサ13に蓄積電荷を排出するリセット動作を行わせる。その後、制御部31は、測光センサ13に出力する測光制御信号をHigh(H)レベルにすることにより、測光センサ13の蓄積動作を終了させる。このとき、測光センサ13から蓄積電荷が既に排出されているため、制御部31は測光信号の読み出しを行わない。この場合の制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を終了させるとすぐに、その後の処理(たとえばレリーズシーケンス動作など)を開始する。
【0022】
図3(b)は、読み出し有りモードを説明する図である。時刻(T)において測光中断要因(たとえばレリーズボタン36の全押し操作など)が発生すると、制御部31は、測光センサ13に出力する測光制御信号をHレベルにすることにより、測光センサ13の蓄積動作を終了させる。読み出し有りモードの場合の制御部31は、測光センサ13に出力するリセット信号をHレベルのままとし、蓄積電荷を排出するリセット動作を測光センサ13に行わせない。この場合の制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を終了させると、測光センサ13から測光信号を読み出す。制御部31は、測光センサ13からの測光信号の読み出しが終了すると、その後の処理(たとえばレリーズシーケンス動作など)を開始する。
【0023】
このように、読み出し無しモードは、読み出し有りモードと比較して、測光センサ13からの測光信号の読み出しを省略する分、蓄積中断後の処理(たとえばレリーズシーケンス動作など)を早く開始することができ、処理時間や処理負荷の低減を行うことができるように構成されている。
【0024】
制御部31は、測光センサ13の蓄積中断時、該中断の状況に応じて、上記読み出し無しモードまたは読み出し有りモードを切り替える。以下、この切替え制御について詳しく説明する。
【0025】
図4は、レリーズシーケンス動作の開始に応じて測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合の処理を説明するタイムチャートである。時刻(t1)においてレリーズボタン36が半押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。
【0026】
その後、時刻(t2)においてレリーズボタン36が全押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。このとき制御部31は、読み出し無しモードとなり、測光センサ13からの測光信号の読み出しを行わずにレリーズシーケンス動作を開始する。レリーズシーケンス動作では、メインミラー5のアップ動作、メカニカルシャッター16の開閉駆動などを行い、撮像素子17に被写体像を撮像させる。露出制御部32は、時刻(t2)前の測光演算結果に基づいて露出制御を行う。
【0027】
このように制御部31は、測光センサ13からの測光信号の読み出しを省略することで、レリーズボタン36の全押し操作からレリーズシーケンス動作開始までの時間を短縮でき、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0028】
図5は、連写撮影に応じて測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合の処理を説明するタイムチャートである。本実施形態では、連写撮影中、メインミラー5のアップとダウンが繰り返され、メインミラー5のアップ中に撮影が行われ、メインミラー5のダウン中に測光センサ13による測光が行われるよう構成されている。メインミラー5がダウンする時間、すなわち測光可能時間Xは、連写速度に応じて決定される。
【0029】
連写撮影において、時刻(t3)にレリーズボタン36が半押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。その後、時刻(t4)においてレリーズボタン36が全押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。このとき制御部31は、読み出し無しモードとなり、測光センサ13からの測光信号を読み出さずに連写撮影制御を開始し、メインミラー5をアップして連写1コマ目の撮影を行う。なお、露出制御部32は、時刻(t4)前の測光演算結果に基づいて露出制御を行う。
【0030】
制御部31は、連写1コマ目の撮影が終了するとメインミラー5のダウン動作を開始させ、メインミラー5のダウンが完了した時刻(t5)において測光センサ13の蓄積動作を再開させる。制御部31は、時刻(t4)前に算出した蓄積時間を予定蓄積時間として、測光センサ13の1回目の蓄積動作を行わせる。該蓄積動作が完了すると、制御部31は、測光センサ13から測光信号を読み出し、該測光信号に基づく測光演算、次回の予定蓄積時間の算出を行う。その後、制御部31は、該予定蓄積時間を用いて測光センサ13の2回目の蓄積動作を行わせる。制御部31は、時刻(t5)から測光可能時間Xが経過するまで、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。
【0031】
制御部31は、時刻(t5)から測光可能時間Xが経過した時刻(t6)において、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。図6は、時刻(t6)において測光センサ13の2回目の蓄積動作を中断させる場合を示す。この場合の制御部31は、読み出し無しモードとなり、測光センサ13から測光信号を読み出さずに、メインミラー5をアップさせ、連写2コマ目の撮影を開始する。なお、露出制御部32は、1回目の蓄積結果に基づく測光演算結果に基づいて露出制御を行う。
【0032】
制御部31は、連写2コマ目の撮影が終了するとメインミラー5のダウン動作を開始させ、メインミラー5のダウンが完了した時刻(t7)において測光センサ13の蓄積動作を再開させる。制御部31は、前回のメインミラー5のダウン時における1回目の蓄積結果に基づいて算出した蓄積時間を予定蓄積時間として測光センサ13の蓄積動作を行わせる。
【0033】
制御部31は、時刻(t7)から測光可能時間Xが経過した時刻(t8)において、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。図6は、時刻(t8)において測光センサ13の1回目の蓄積動作を中断させる場合を示す。この場合の制御部31は、読み出し有りモードとなり、測光センサ13からの測光信号を読み出し、該測光信号に基づく測光演算、次回の予定蓄積時間の算出を行う。その後、制御部31は、メインミラー5をアップさせ、連写3コマ目の撮像を開始する。なお、露出制御部32は、該測光演算の結果に基づいて露出制御を行う。
【0034】
このようにして制御部31は、連写撮影中、各コマの撮影が終了するごとに測光センサ13による測光を繰り返し行う。また制御部31は、メインミラー5のダウン時、測光可能時間Xが経過するまで、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。
【0035】
そして制御部31は、メインミラー5のダウン中における1回目の測光センサ13の蓄積動作を中断する場合は、読み出し有りモードとなり、測光センサ13から測光信号を読み出して該測光信号に基づく測光演算および次回の予定蓄積時間の算出を行う。これにより、次のコマの撮影の際に、該測光演算結果に基づいて露出制御を行うことができる。
【0036】
一方、制御部31は、メインミラー5のダウン中における2回目以降の測光センサ13の蓄積動作を中断する場合は読み出し無しモードとなり、測光センサ13からの測光信号の読み出しを省略する。これにより、次のコマの撮影開始までの時間を短縮することができる。なお、次のコマの撮影時の露出制御は、1回目の蓄積結果に基づく測光演算結果に基づいて行う。
【0037】
図6は、TTL調光を伴うレリーズシーケンス動作の開始に応じて測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合の処理を説明するタイムチャートである。照明装置33の発光を伴う撮像において、時刻(t9)にレリーズボタン36が半押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。
【0038】
その後、時刻(t10)においてレリーズボタン36が全押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。このとき制御部31は、読み出し無しモードとなり、測光センサ13からの測光信号の読み出しを行わずにTTL調光を伴うレリーズシーケンス動作を開始する。
【0039】
TTL調光を伴うレリーズシーケンス動作では、制御部31は、照明装置33からの予備発光に合わせて、該予備発光時の被写体からの反射光を測光するように測光センサ13の蓄積動作を制御する。制御部31は、測光センサ13から読み出した測光信号に基づいて照明装置33の本発光量を演算する。その後、制御部31は、メインミラー5のアップ動作、メカニカルシャッター16の開閉駆動、照明装置33の本発光などを行い、撮像素子17に被写体像を撮像させる。
【0040】
このように制御部31は、測光センサ13からの測光信号の読み出しを省略することで、レリーズボタン36の全押し操作から照明装置33の予備発光および該予備発光時の測光センサ13の蓄積動作開始までの時間を短縮でき、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0041】
また、制御部31は、スーパーインポーズ用のLED35の点灯が指示された場合、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。このとき制御部31は、読み出し無しモードとなり、測光センサ13からの測光信号の読み出しを行わず、フォーカスエリアがスーパーインポーズ表示されるようLED35を点灯制御する。
【0042】
以上説明した第1の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラの測光装置は、被写体光を撮像素子17に導く第1の状態(ミラーアップ状態)と、被写体光をファインダ部に導く第2の状態(ミラーダウン状態)とを切り替えるメインミラー5が第2の状態(ミラーダウン状態)に切り替えている場合に、被写体光を蓄積型の光電変換素子を用いて測光する測光センサ13と、測光センサ13から測光信号を読み出す制御部31と、測光センサ13による測光(蓄積)を中断する場合に、測光センサ13からの測光信号の読み出しを許可するか禁止するかを切り替える制御部31と、を備えるので、測光センサ13からの不要な測光信号の読み出しにかかる処理時間や処理負荷を低減できる。
【0043】
(2)上記(1)の測光装置において、メインミラー5は、連写撮影において、各コマの撮影時に第1の状態(ミラーアップ状態)となり、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間第2の状態(ミラーダウン状態)となり、測光センサ13は、メインミラー5が第2の状態(ミラーダウン状態)である場合に被写体光の測光を繰り返し、メインミラー5が第1の状態(ミラーアップ状態)に切替えられる場合に測光を中断し、制御部31は、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間における測光センサ13による1回目の測光を中断する場合には、測光信号の読み出しを許可し、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間における測光センサ13による2回目以降の測光を中断する場合には、測光信号の読み出しを禁止するように構成したので、測光信号に基づいて各コマの露出制御を行えると共に不要な測光信号の読み出しにかかる処理時間や処理負荷を低減できる。
【0044】
(3)上記(1)の測光装置において、制御部31は、メインミラー5を第1の状態(ミラーアップ状態)に切り替えるレリーズシーケンス動作の開始に応じて測光センサ13による測光を中断する場合に、測光センサ13からの測光信号の読み出しを禁止するように構成したので、レリーズボタン36の全押し操作からレリーズシーケンス動作開始までの時間を短縮でき、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0045】
(4)上記(1)の測光装置において、制御部31は、調光動作(TTL調光)の開始に応じて測光センサ13による測光を中断する場合に、測光信号の読み出しを禁止するように構成したので、レリーズボタン36の全押し操作から照明装置33の予備発光および該予備発光時の測光センサ13の蓄積動作開始までの時間を短縮でき、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、測光センサ13の蓄積動作を中断する場合の上記読み出し無しモードおよび上記読み出し有りモードの切替え制御が異なっているため、相違点を中心に詳しく説明する。なお、該切替え制御以外については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0047】
図7は、上記切替え制御を説明するタイムチャートである。時刻(t11)においてレリーズボタン36が半押し操作されると、制御部31は、測光センサ13の蓄積動作と、測光信号の読み出しおよび測光信号に基づく測光演算と、次回の予定蓄積時間の算出とを繰り返し行う。その後、制御部31は、時刻(t12)において測光中断要因(メインミラー5のアップ動作、TTL調光動作、またはスーパーインポーズ用のLED35の点灯などの開始指示)が発生すると、測光センサ13の蓄積動作を中断させる。
【0048】
このとき制御部31は、該中断までの蓄積時間Yが予定蓄積時間Zに対して所定の割合(たとえば3割)以上か否かを判定する。該中断までの蓄積時間Yが予定蓄積時間Zに対して所定の割合未満であることは、測光センサ13から出力される測光信号が測光演算に適さないレベルである可能性が高い。
【0049】
そこで制御部31は、該中断までの蓄積時間Yが予定蓄積時間Zに対して所定の割合未満であると判定すると読み出し無しモードとなり、図7(a)に示すように、測光センサ13からの測光信号の読み出しを行わず、その後の処理(メインミラー5のアップ動作、TTL調光動作、またはスーパーインポーズ用のLED35の点灯など)を開始する。
【0050】
一方、制御部31は、該中断までの蓄積時間Yが予定蓄積時間Zに対して所定の割合以上であると判定すると、読み出し有りモードとなり、図7(b)に示すように、測光センサ13から測光信号を読み出して該測光信号に基づく測光演算および次回の予定蓄積時間の算出を行う。そして制御部31は、その後の処理(メインミラー5のアップ動作、TTL調光動作、またはスーパーインポーズ用のLED35の点灯など)を開始する。
【0051】
このように制御部31は、蓄積時間Yが予定蓄積時間Zに対して所定の割合未満である場合には、測光センサ13からの測光信号の読み出しを行わないようにすることで、測光演算に適さないレベルの測光信号の読み出しを省略できる分その後の処理を早く開始でき、処理時間や処理負荷を低減できる。
【0052】
以上説明した第2の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラの測光装置は、被写体光を撮像素子17に導く第1の状態(ミラーアップ状態)と、被写体光をファインダ部に導く第2の状態(ミラーダウン状態)とを切り替えるメインミラー5が第2の状態(ミラーダウン状態)に切り替えている場合に、被写体光を蓄積型の光電変換素子を用いて測光する測光センサ13と、測光センサ13から測光信号を読み出す制御部31と、測光センサ13による測光(蓄積)を中断する場合に、中断の状況に応じて、測光センサ13からの測光信号の読み出しを許可するか禁止するかを切り替える制御部31と、を備えるので、測光センサ13からの不要な測光信号の読み出しにかかる処理時間や処理負荷を低減できる。
【0053】
(2)上記(1)の測光装置において、制御部31は、測光センサ13における測光中断時までの測光時間が予定測光時間に対して所定の割合以上であった場合には、測光センサ13からの測光信号の読み出しを許可し、測光センサ13における測光中断時までの測光時間が予定測光時間に対して所定の割合未満であった場合には、測光センサ13からの測光信号の読み出しを禁止するように構成したので、測光演算に適さないレベルの測光信号の読み出しを省略できる分その後の処理を早く開始でき、処理時間や処理負荷を低減できる。
【0054】
(変形例1)
制御部31は、たとえば、被写体が暗い場合に焦点検出を行うためのAF補助光の発光に応じて測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合に、上記読み出し無しモードで動作するようにしてもよい。
【0055】
(変形例2)
制御部31は、たとえば、スーパーインポーズ用のLED35やAF補助光の点灯に応じて測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合には、上記第2の実施の形態における読み出しモードの切替え制御を行うようにし、連写撮影時において測光センサ13の蓄積動作を中断させる場合には、上記第1の実施の形態における読み出しモードの切替え制御を行うようにしてもよい。
【0056】
(変形例3)
制御部31は、連写撮影時のメインミラー5ダウン中における1回目の蓄積動作を中断させる場合には、中断までの蓄積時間によらず読み出し有りモードで動作し、連写撮影時のメインミラー5ダウン中における2回目以降の蓄積動作を中断させる場合には、中断までの蓄積時間が予定蓄積時間に対して所定の割合以上である際に読み出し有りモードで動作し、所定の割合未満である際に読み出し無しモードで動作するようにしてもよい。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
2…撮像レンズ
3…絞り
5…メインミラー
6…ファインダスクリーン
8…ペンタプリズム
9…接眼レンズ
13…測光センサ
17…撮像素子
31…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を撮像素子に導く第1の状態と、前記被写体光をファインダ部に導く第2の状態とを切り替える光学部材が前記第2の状態に切り替えている場合に、前記被写体光を蓄積型の光電変換素子を用いて測光する測光部と、
前記測光部から測光信号を読み出す読出部と、
前記測光部による測光を中断する場合に、前記中断の状況に応じて、前記読出部による前記測光部からの測光信号の読み出しを許可するか禁止するかを切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする測光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測光装置において、
前記光学部材は、連写撮影において、各コマの撮影時に前記第1の状態となり、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間前記第2の状態となり、
前記測光部は、前記光学部材が前記第2の状態である場合に前記被写体光の測光を繰り返し、前記光学部材が前記第1の状態に切替えられる場合に測光を中断し、
前記制御部は、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間における前記測光部による1回目の測光を中断する場合には、前記測光信号の読み出しを許可し、各コマの撮影終了後から次のコマの撮影開始までの間における前記測光部による2回目以降の測光を中断する場合には、前記測光信号の読み出しを禁止することを特徴とする測光装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測光装置において、
前記制御部は、前記光学部材を前記第1の状態に切り替えるレリーズシーケンス動作の開始に応じて前記測光部による測光を中断する場合に、前記測光信号の読み出しを禁止することを特徴とする測光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の測光装置において、
前記制御部は、調光動作の開始に応じて前記測光部による測光を中断する場合に、前記測光信号の読み出しを禁止することを特徴とする測光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の測光装置において、
前記制御部は、前記測光部における測光中断時までの測光時間が予定測光時間に対して所定の割合以上であった場合には、前記測光信号の読み出しを許可し、前記測光部における測光中断時までの測光時間が予定測光時間に対して所定の割合未満であった場合には、前記測光信号の読み出しを禁止することを特徴とする測光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の測光装置を備えることを特徴とするカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−41039(P2013−41039A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176981(P2011−176981)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】