説明

炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体及びその製造方法

【課題】本発明は、昇華再結晶法による単結晶成長において、高くかつ安定した昇華速度を示す炭化ケイ素粉体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒径が100℃以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下である炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体。粒子径が5μm以上200μm以下の一次粒子が焼結した粒子形態であることが好ましい。平均粒径が20μm以下の炭化ケイ素粉体を、温度1900℃以上2400℃以下、圧力70MPa以下、非酸化性雰囲気下の条件で加圧焼結させ、密度1.29g/cm以上の焼結体を得る工程、得られた焼結体の粉砕による粒度調整工程、酸処理による不純物除去工程、を含む炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化ケイ素単結晶の製造方法としては、2000℃以上の高温条件下で原料である炭化ケイ素粉体を昇華させ、炭化ケイ素種結晶上に単結晶成長させる昇華再結晶法(改良レーリー法)が知られている(非特許文献1)。
【0003】
また、不純物が多く含まれている炭化ケイ素粉体を昇華再結晶法に用いた場合、単結晶中に不純物が混入することにより結晶欠陥が多く発生することが知られている。
【0004】
炭化ケイ素粉体の製造方法としては、アチソン法、化学気相成長法が知られている。しかしながら、アチソン法で得られた炭化ケイ素粉体は不純物の問題があり、化学気相成長法では高純度の炭化ケイ素は得られるが生産性が低いという問題がある。
【0005】
その他、液状のケイ素化合物と加熱により炭素を生成する有機化合物との混合物を加熱、反応させ各不純物元素の含有量が0.5ppm以下の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法が開示されている(特許文献1)。
【0006】
また、炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体は、単結晶成長条件下で、安定した昇華速度を維持するためある程度の大きさの平均粒径を必要とする。例えば、特許文献1では、平均粒径が10〜500μmと開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−48605号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Yu.M. Tairov and V.F. Tsvetkov, Journalof Crystal Growth vol.52 (1981) pp.146-150
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、昇華再結晶法による単結晶成長において、高くかつ安定した昇華速度を示す炭化ケイ素粉体、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)平均粒径が100以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下であることを特徴とする炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体。
(2)粒子径が5μm以上200μm以下の一次粒子が焼結した粒子形態であることを特徴とする前記(1)に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体。
(3)平均粒径が20μm以下の炭化ケイ素粉体を、温度1900℃以上2400℃以下、圧力70MPa以下、非酸化性雰囲気下の条件で加圧焼結させ、密度1.29g/cm(相対密度40%)以上の焼結体を得る工程、得られた焼結体の粉砕による粒度調整工程、酸処理による不純物除去工程、を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
(4)ケイ素源、炭素源及び平均粒径が20μm以上の炭化ケイ素粉体を5質量%以上50質量%以下用いた原料混合物を温度1800℃以上2300℃以下、非酸化性雰囲気下で加熱焼成して炭化ケイ素粉体を得ることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
(5)平均粒径が100μm以上700μm以下の金属ケイ素と炭素源を温度1300℃以上1400℃以下、非酸化性雰囲気下で加熱焼成する炭化ケイ素粉体生成工程と、得られた炭化ケイ素粉体を非酸化雰囲気下で温度1800℃以上2300℃以下で加熱する後処理工程、を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
(6)炭素源が有機化合物であり、炭化ケイ素粉体生成工程の加熱焼成前に、500℃以上1000℃以下の非酸化性雰囲気下で有機化合物を加熱炭化処理することを特徴とする前記(5)に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体は、単結晶成長において、高くかつ安定した昇華速度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る炭化ケイ素粉体の特性を示す図である。
【図2】本発明の一実施形例に係る炭化ケイ素粉体の特性を示すである。
【図3】本発明の一実施形例に係る炭化ケイ素粉体の特性を示す図である。
【図4】本発明の一実施形例に係る炭化ケイ単結晶の長さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
炭化ケイ素単結晶用炭化ケイ素粉体の特性として、高くかつ安定した昇華速度を有していることが求められている。上記理由により、本発明の炭化ケイ素粉体は、平均粒径が100μm以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下である。平均粒径が100μm未満、または比表面積が0.30m/gを超える場合、炭化ケイ素単結晶製造工程における昇華温度(2000℃以上2500℃以下)において、昇華初期の段階では昇華速度は高いが、徐々に炭化ケイ素粉体の焼結が進行し比表面積が小さくなり、昇華速度が低下する。一方、平均粒径が700μmを超える、または比表面積が0.05m/g未満である場合、炭化ケイ素自身の比表面積が小さいため、これも昇華速度が遅くなり好ましくない。
【0014】
また、本発明の炭化ケイ素粉体は、粒子径が5μm以上200μmの一次粒子同士が焼結した粒子形態である。炭化ケイ素粉体の一次粒子径が5μm未満、または200μmを超えると、炭化ケイ素粉体の強度が低くなるため、ハンドリング時に粒子形態が維持できないため好ましくない。
【0015】
さらに、本発明の炭化ケイ素粉体は各不純物の含有量が1ppm以下であるため、結晶欠陥が少なく、かつ導電性の制御に優れた炭化ケイ素単結晶の原料として用いることができる。ここで、不純物元素とは、1989年IUPACの無機化学命法改訂版の周期律表における1族から16族に属し、かつ原子番号3以上の元素であり、原子番号6〜8、14を除く元素である。本発明では、Li、B、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Pd、Cd、Sb、Ba及びWの含有量を測定している。
【0016】
本発明の炭化ケイ素粉体の製造方法をいくつか例示する。
(焼結体粉砕法)
本発明の炭化ケイ素粉体の第一の製造方法として、炭化ケイ素粉体を焼結させて炭化ケイ素焼結体を製造して、得られた焼結体を粉砕することにより粒度調整を行い、粉砕工程で混入した不純物を酸処理により除去する製造方法が挙げられる。以下にその詳細を記載する。
【0017】
焼結体作製工程で用いる炭化ケイ素粉体としては、α型炭化ケイ素またはβ型炭化ケイ素のいずれでも良い。純度は、高純度の炭化ケイ素粉体を用いれば高純度化がし易く、各不純物の含有量を数ppm以下に抑えることが好ましい。粒径は平均粒径が20μm以下であり、焼結性を考慮すると10μm以下が好ましい。20μmを超えると隣接する粉体との接触面積が小さくなり、焼結が不十分になる。また、粒径が小さいと表面酸素量が多くなり焼結性が悪くなるため、粒径の下限値は平均粒径0.1μm以上が好ましく、0.4μm以上がさらに好ましい。
【0018】
また、従来の製造方法では、炭化ケイ素の焼結には、緻密化させる目的で金属助剤を添加する。しかし、本発明においては、不純物を低減する観点より、金属助剤を用いずに炭化ケイ素を焼結させることが好ましい。
【0019】
上述のような炭化ケイ素粉末を金型に充填して成形体を作製する。ここで使用する成形金型は、得られる焼結体の純度を考慮して、成形体と金型の金属部が接触しないように、一部または全部に黒鉛等を使用した金型を用いることが好ましい。得られた成形体を非酸化性雰囲気下、加圧焼結を行い、焼結体を作製する。加圧焼結の方法は、例えばホットプレス焼結法がある。
【0020】
ホットプレス焼結法においては、焼結温度は1900℃以上2400℃以下であり、好ましくは2000℃以上2200℃以下である。焼結温度が1900℃未満であると、焼結体の密度が不十分になり、また、焼結温度が2400℃を超えると、原料の炭化ケイ素が昇華し始めるので好ましくない。印加圧力は70MPa以下である。圧力を加えない場合や印加圧力が低い場合は、得られる焼結体の密度が低くなるため、印加圧力は10MPa以上にするのが好ましい。また、印加圧力が70MPaを超える場合、ホットプレス治具、例えば、ダイス、パンチ等の破損の原因となり、製造効率から好ましくない。
【0021】
焼結工程における加熱時間は、充填する炭化ケイ素粉末の種類や得られる焼結体の密度により時間範囲が選択されるが、最高温度で1時間以上5時間以下保持することが好ましい範囲である。
【0022】
得られた炭化ケイ素焼結体を粉砕機、例えばハンマーミル、バンタムミル、ジョークラッシャー等で粉砕し、篩等で分級することにより、平均粒径100μm以上700μm以下の炭化ケイ素粉体を得る。粉砕時に混入した不純物は、酸洗浄、例えば、塩酸やフッ酸またはフッ酸と硝酸の混酸を用いることで除去することができる。
【0023】
炭化ケイ素焼結の密度は1.29g/cm(相対密度40%)以上である。ここで相対密度とは、理論密度3.22g/cmを100%として計算し求めた値である。相対密度が40%未満であると、焼結体の機械的強度が低くなり、後の粉砕工程において微粉末の発生率が高くなり、生産性が低くなるので好ましくない。また、緻密化した焼結体も用いることもできるが、密度の低い多孔質焼結体(相対密度40%以上)を粉砕した場合、より比表面積が高い粉体を得ることができる。そのような観点から、本発明の焼結体の密度は、相対密度で60%以上80%以下が好ましい。
【0024】
(核添加法)
本発明の炭化ケイ素粉体の第二の製造方法として、ケイ素源、炭素源と原料として用いる炭化ケイ素粉体の原料混合物を、加熱焼成する製造方法が挙げられる。以下にその詳細を記載する。
【0025】
炭化ケイ素粉体を製造するための原料として、ケイ素源としては、金属ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、液状ケイ素化合物(例えば、テトラアルコキシシランやその重合体)、炭素源としては、黒鉛粉末、カーボンブラック、加熱により炭素を残留する有機化合物(例えば、フェノール樹脂やフラン樹脂)などがある。原料の組合せとしては、ハンドリング性や加熱焼成後の炭化ケイ素粉体の純度を考慮すると、金属ケイ素/カーボンブラック、窒化ケイ素/カーボンブラックが好ましい。
【0026】
金属ケイ素/カーボンブラックや窒化ケイ素/カーボンブラックを用いる場合、ケイ素と炭素の原素のモル比(C/Siの比)は0.8以上1.5以下が好ましく、更には0.9以上1.1以下が好ましい。C/Siの比が0.8未満であると、未反応のSiが残留する場合が多くなり、1.5を超えると、未反応のCが残留する場合が多くなり、除去工程が必要となる。
【0027】
原料として用いる炭化ケイ素粉体は、平均粒径が20μm以上の炭化ケイ素粉体を用いることが好ましい。また、原料混合物の炭化ケイ素粉体を5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。原料混合物は、非酸化性雰囲気下で加熱焼成する。
【0028】
原料として用いた炭化ケイ素粉体は、加熱焼成の際に、選択的に粒形成の起点となり、焼結が促進され、粗大な二次粒子を形成する。添加する炭化ケイ素の平均粒径が20μm未満の場合、焼成して得られる炭化ケイ素粉体の粒径が小さくなるので好ましくない。添加する炭化ケイ素の平均粒径の上限は特に制限されないが、粒径が大きすぎると粒子の粒成長、焼結による粗大化の効果を顕著に示さないので、200μm以下にするのが好ましい。
【0029】
原料として用いる炭化ケイ素粉体には、α型炭化ケイ素またはβ型炭化ケイ素が使用できるが、本発明の製造方法ではβ型炭化ケイ素が生成するので、β型炭化ケイ素粉体を用いるのが好ましい。更に、炭化ケイ素粉体を製造するために使用したケイ素源、炭素源と同じ原料から製造したβ型炭化ケイ素粉体を用いるのがより好ましい。
【0030】
原料混合物中の原料として用いる炭化ケイ素粉体は5質量%以上50質量%以下が好ましい。炭化ケイ素粉体が5質量%未満の場合、炭化ケイ素粉体以外の部分で、新たに炭化ケイ素粒子の形成及び粒成長、焼結が進行し、二次粒子が十分な粒径にならず、また、50質量%を超えると、粒成長の起点が多くなり、粒成長の効果が小さくなるので好ましくない。
【0031】
本発明において、炭化ケイ素粉体を添加した原料混合物を温度1800℃以上2300℃以下、好ましくは1900以上2100℃以下で加熱焼成する。加熱温度が1800℃未満であると、粒成長および粒子同士の焼結が不十分となり、2300℃を超えると生成した炭化ケイ素が昇華し始めるので好ましくない。
【0032】
また、加熱焼成における加熱時間については、未反応物が存在しないよう、かつ粒成長・粒子同士の焼結が十分に促進される時間範囲が選択されるが、最高温度で1〜10時間程度保持することが好ましい範囲である。
【0033】
上記方法で得られた炭化ケイ素粉体を篩等で分級処理することにより、平均粒径100μm以上700μm以下の炭化ケイ素粉体を得る。さらに、得られた炭化ケイ素粉体を用いて、上記工程をさらに1回以上繰り返すことで、より粗大な炭化ケイ素粉体を得ることができる。
【0034】
(固相反応法)
本発明の炭化ケイ素粉体の第三の製造方法として、ケイ素源である金属ケイ素に、炭素源となる加熱により炭素を残留する有機化合物を均一に被覆させ、これを非酸化性雰囲気下、金属ケイ素の融点(1410℃)以下の温度で加熱焼成して炭化ケイ素粉体を得て、得られた炭化ケイ素粉体を非酸化性雰囲気下で、上記加熱温度より高い温度で加熱処理をする製造方法が挙げられる。以下にその詳細を記載する。
【0035】
ケイ素源として用いる金属ケイ素は、加熱焼成後の炭化ケイ素粉体の純度を考慮して高純度のものが好ましく、各不純物の含有量は数ppm以下に抑えることが好ましい。また、加熱焼成により生成する炭化ケイ素粉体の粒径を考慮すると、金属ケイ素の粒子径は100μm以上700μm以下が好ましい。また、粒子径が700μmを超える金属ケイ素を用いる場合、焼成反応が効率的に進行せず、未反応の金属ケイ素が残留し、反応速度が低下する。粒子径が100μm未満であると、平均粒径が100μm以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下の炭化ケイ素粉体を得ることができないので、好ましくない。
【0036】
炭素源として用いられる物質は、加熱により炭素を残留する有機化合物があるが、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂などの樹脂が用いることができる。これらは、金属ケイ素に被覆させるという目的から、常温で液状なもの、熱可塑性あるいは熱融解性のように加熱により軟化あるいは液化するものが主に用いられるが、なかでも、レゾール型フェノール樹脂が好適である。
【0037】
金属ケイ素と炭素源を均一に混合する際には、金属ケイ素と炭素源の混合物を硬化させて固体物とすることが好ましい。例えば、液状の炭素源を用いた場合は、金属ケイ素と炭素源の混合物を硬化して、その後炭化ケイ素焼成を行う。硬化方法としては、加熱により架橋する方法、効果触媒により硬化する方法が挙げられる。硬化触媒としては、炭素源がフェノール樹脂の場合は、トルエンスルホン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、塩酸などの酸類が用いることができる。
【0038】
本発明の製造方法では、金属ケイ素と炭素源の混合物を、予め非酸化性雰囲気下で加熱を行う炭化処理工程を加えることが好ましい。加熱炭化処理を行う場合は、加熱温度は、炭素源の有機化合物の種類により選択できるが、500℃以上1000℃以下が好ましい。また、加熱時間は30分間以上2時間以下が好ましい。加熱時間が30分間未満である場合、炭化処理としては不十分であり、2時間を超えて加熱を行っても効果の向上は見られない。また、非酸化性雰囲気においては、窒素あるいは、アルゴンなどを用いることができる。
【0039】
本発明の製造方法では、金属ケイ素と炭素源の原料混合物のケイ素と炭素の原素のモル比(C/Si)は、原料混合物を炭化して得られる炭化物中間体より定義され、その値は0.8以上1.5以下が好ましく、更には0.9以上1.1以下が好ましい。C/Siが0.8未満であると、未反応のSiが残留するうえ、反応速度が遅くなり、1.5を超えると、未反応のCが大量に残留し除去工程が必要になり好ましくない。
【0040】
炭化処理により得られた原料混合物を加熱焼成することにより、炭化ケイ素粉体が生成する。焼成過程では、原料混合物中の金属ケイ素の形態が維持される温度、つまり、金属ケイ素の融点(1410℃)以下で焼成を行う。これにより、原料の金属ケイ素の粒径を維持した粒径をもつ炭化ケイ素粉体を得ることができる。加熱温度は、1300℃以上1400℃以下が好ましい。また、加熱温度が1300℃未満である場合、未反応の金属シリコンが残留しやすくなるため好ましくない。
【0041】
本発明の製造方法における炭化ケイ素粉体は、固相−固相反応による炭化ケイ素反応を経て得られるので、反応速度が遅く、加熱時間については、未反応物が存在しないよう、最高温度で4時間以上30時間以下保持することが好ましい範囲である。
【0042】
得られる炭化ケイ素粉体は、ナノ〜サブミクロンサイズの一次粒子が焼結した粉体で、二次粒子形態は原料である金属ケイ素の粒子形態を維持した粉体となる。すなわち、原料の金属ケイ素の粒径により得られる炭化ケイ素粉体の粒径を制御することができる。
【0043】
得られた炭化ケイ素粉体の一次粒子を粒成長させるために、後処理工程として、炭化ケイ素生成温度より高温で加熱し、その温度で保持する。加熱温度は、1800℃以上2300℃以下が好ましく、さらには1900℃以上2100℃以下が好ましい。加熱温度が1800℃未満であると、粒成長不十分となり、2300℃を超えると生成した炭化ケイ素が昇華し始めるので好ましくない。
【0044】
後処理工程における加熱時間については、得られた炭化ケイ素粉体の一次粒子が十分に粒成長する時間範囲が好ましく、最高温度で1時間以上10時間以下保持することが好ましい範囲である。
【0045】
本発明の製造方法においては、上記の加熱条件を満たすのであれば、特に製造装置および連続製造など方法に制限はない。すなわち、炭化ケイ素生成工程における加熱焼成と、後処理工程における加熱処理は、1つの加熱炉内で、加熱条件を制御しながら連続的に行ってもよい。
【0046】
得られた炭化ケイ素粉体を篩等で分級処理することにより、平均粒径100μm以上700μm以下の炭化ケイ素粉体を得る。
【0047】
本発明の炭化ケイ素粉体は、改良レーリー法を用いることで、炭化ケイ素単結晶を得ることができる。改良レーリー法では、黒鉛容器上蓋の部分に種結晶を設置し、この黒鉛容器中に本発明の炭化ケイ素粉体を充填し、昇華再結晶法により単結晶を成長させる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明について、実施例を挙げて説明する。また、本実施例では本発明の炭化ケイ素粉体の効果を確認するために、改良レーリー法を用いて炭化ケイ素単結晶の製造を試みた。
【0049】
炭化ケイ素粉体の作製
(焼結体粉砕法)
<実施例1>
原料である炭化ケイ素粉体は以下のように合成したものを用いた。金属シリコン(東芝LSI社製、シリコンスラッジ、平均粒径1.0μm、純度5N)とアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック、平均粒径0.04μm)をケイ素と炭素の原素のモル比(C/Si)が1.0になるよう秤量し、エチルアルコール中で乳鉢を用いて混合した後に乾燥して原料粉末を調整した。原料粉末を黒鉛製坩堝に入れ、カーボンヒーター炉でアルゴン雰囲気下、温度1900℃で2時間保持して原料である炭化ケイ素粉体を得た。得られた炭化ケイ素粉体をX線回折装置(マックサイエンス社製、MXP−3型)を用いて結晶相分析したところ、β型(3C相)の炭化ケイ素であった。
【0050】
また、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、LS−230型)を用い、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定を行った。この粒子径分布測定用試料の調整は、原則JIS R 1629−1997解説付表1の窒化ケイ素の測定条件に従い、屈折率は2.6とした。その結果、平均粒径は6.0μmであった。
【0051】
次に、得られた炭化ケイ素粉体を内径50mmの黒鉛型に充填し、予備成型後、高周波誘誘導加熱式ホットプレス装置を用いて、アルゴン雰囲気下、温度2200℃、圧力20MPaで2時間保持して炭化ケイ素焼結体を作製した。得られた焼結体について、寸法・質量測定法を用いて密度を測定したところ、2.02g/cm(相対密度62.7%)であった。
【0052】
作製した炭化ケイ素焼結体を、マイクロバンタムミル(ホソカワミクロン社製、AP−B型)により回転速度2400rpmで粉砕した。粉砕して得た粉体を目開き300μmと500μmの篩を用いて分級処理を行った。分級を行った結果、300μm以上500μm以下の粉体の収率は82%であった。さらに、分級処理を行った粉体をふっ酸と硝酸と蒸留水の体積比1:1:1の混酸中、60℃で加熱処理を行った。
【0053】
得られた粉体を、硝酸、ふっ酸、硫酸の混酸で加熱分解した後、ICP発光分析装置(SPECTRO社製、CIROS−120型)を用いて不純物分析を行ったところ、各不純物量(Li、B、Na、Mg、Al、P、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Pd、Cd、Sb、Ba、W)の含有量は1ppm以下であった。
【0054】
粒度分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法による粒子径分布測定を行ったところ、平均粒径が449.7μmであった。
【0055】
次に、この粉体について、走査型電子顕微鏡(SEM 日本電子社製、JSM−6390型)を用いてSEM像観察を行ったところ、SEM像から判定した一次粒子の粒径は20μm以上180μm以下であった。
【0056】
比表面積は比表面積測定装置(シスメックス社製、NOVA3000e型)を用いて、定容量式ガス吸着法により測定し、BET多点法により算出した。なお、測定試料はあらかじめ、大気圧Nフロー中、200℃で3時間の脱気処理を行った。このようにして得られた実施例の炭化ケイ素粉体の比表面積は、0.15m/gであった。これら粉体特性は図1に示す。
【0057】
<実施例2>
炭化ケイ素粉末(大平洋ランダム社製、15H2 平均粒径0.5μm)を内径50mmの黒鉛型に充填し、予備成型後、高周波誘誘導加熱式ホットプレス装置を用いて、アルゴン雰囲気下、温度2000℃、圧力30MPaで2時間保持して炭化ケイ素焼結体を作製した。得られた焼結体について、寸法・質量測定法を用いて密度を測定したところ、1.95g/cm(相対密度60.5%)であった。作製した炭化ケイ素焼結体を実施例1と同様の処理を行い、炭化ケイ素粉体を得た。得られた粉体特性は実施例1と同様に図1に示す。
【0058】
<実施例3>
炭化ケイ素粉末(住友大阪セメント社製、T−1 平均粒径0.03μm)を内径50mmの黒鉛型に充填し、予備成型後、高周波誘誘導加熱式ホットプレス装置を用いて、アルゴン雰囲気下、温度2200℃、圧力20MPaで2時間保持して炭化ケイ素焼結体を作製した。得られた焼結体について、寸法・質量測定法を用いて密度を測定したところ、1.37g/cm(相対密度42.4%)であった。作製した炭化ケイ素焼結体を実施例1と同様の処理を行い、炭化ケイ素粉体を得た。得られた粉体特性は実施例1と同様に図1に示す。
【0059】
<実施例4、比較例1〜3>
実施例1と同様の方法で実施例4、比較例1〜3を実施した。その時の原料の種々の条件、焼結条件、焼結特性、および粉体特性を図1に実施例1と同様に示す。
【0060】
<比較例4>
焼結助剤として炭化ホウ素(H.C.シュタルク社製、HD20 平均粒径0.5μm)0.5質量%を添加したこと以外は、実施例2と同様に処理を行った。結果を実施例1と同様に図1に示す。このとき粉砕後の炭化ケイ素粉体の比表面積は、測定下限以下であった。(測定下限0.01m/g)また、ICP発光分析装置を用いて不純物分析を行ったところ、ホウ素が3400ppm含まれていた。
【0061】
図1に明らかのように、本発明の方法により得られた実施例1〜4の炭化ケイ素粉体は、十分な平均粒径、比表面積を有しており、不純物の含有量も少ない。しかし、実施例3、4の条件で作製した焼結体は強度が弱く、得られた炭化ケイ素粉体の収率は低いものとなった。一方、比較例1〜3では焼結体が作製できず、比較例4では不純物が含有してしまうことがわかった。
【0062】
(核添加法)
<実施例5>
1.原料炭化ケイ素の合成
金属シリコンとアセチレンブラックをケイ素と炭素の原素のモル比(C/Si)が1.0になるよう秤量し、エチルアルコール中で乳鉢を用いて混合した後に乾燥して原料粉末(原料粉末Aとする)を調整した。原料粉末Aを黒鉛製坩堝に入れ、カーボンヒーター炉でアルゴン雰囲気下、温度2000℃で2時間保持して原料炭化ケイ素粉体aを得た。得られた原料炭化ケイ素粉体aの平均粒径は17.5μmであった。さらに、原料粉末Aに得られた原料炭化ケイ素粉体aを10質量%添加し、上記工程で加熱焼成を行い、原料炭化ケイ素bを得た。得られた原料炭化ケイ素bの平均粒径は44.8μmであった。
【0063】
2.炭化ケイ素粉体の合成
次に、C/Si比1.0の原料粉末Aに対して、原料炭化ケイ素bを10質量%添加し、エチルアルコール中で乳鉢を用いて混合した後に乾燥して原料粉末(原料粉末Bとする)を調製した。原料粉末Bを黒鉛製坩堝に入れ、カーボンヒーター炉でアルゴン雰囲気下、温度2000℃で8時間保持して炭化ケイ素粉体を得た。
【0064】
得られた炭化ケイ素粉体を目開き125μmの篩に通過させ分級処理を行った。125μm以上の収率は88%であった。
【0065】
得られた炭化ケイ素粉体の平均粒径は、163.2μm、比表面積は0.26m/gであった。また、SEM観察を行ったところ、SEM像から判定した一次粒子の粒径は10μm以上40μm以下であった。さらに、結晶相分析したところ、全てβ型(3C相)の炭化ケイ素であり、ICP発光分析装置を用いて不純物分析を行ったところ、各不純物量の含有量は1ppm以下であった。
【0066】
<実施例6〜8、比較例5〜8>
1.原料炭化ケイ素の合成
実施例5と同様な方法で複数回工程を繰り返すことで、実施例6〜8、比較例5〜8の添加する原料炭化ケイ素粉体を作製した。その時の加熱温度、工程の繰り返し回数および原料炭化ケイ素粉体の特性を図2に示す。
【0067】
2.炭化ケイ素粉体の合成
添加する原料炭化ケイ素粉体の平均粒径、添加量を図2に示すようにしたこと以外は実施例5と同様な方法で作製した。その時の加熱温度、および、得られた炭化ケイ素粉体の特性を図2に示す。
【0068】
図2に明らかのように、本発明の方法により得られた実施例5〜8の炭化ケイ素粉体は、十分な平均粒径、比表面積を有している。しかし、実施例8では、添加した原料炭化ケイ素粉体と比較して、その粉体特性に大きな効果がみられないことがわかった。一方、比較例5〜8の炭化ケイ素粉体は粒径が小さいものとなった。
【0069】
(固相反応法)
<実施例9>
平均粒径308.2μmの金属シリコン(高純度化学社製、純度5N)45質量%とレゾール型フェノール樹脂(DIC社製、J−325)55質量%をエチルアルコール中で混合し溶媒除去後、130℃で加熱硬化させ原料混合物を得た。これをアルゴン雰囲気下で1000℃、1時間加熱して炭化した。得られた炭化原料混合物を、燃焼−IR法(LECO社製、IR−412型)と脱水重量ICP発光分析併用法(SPECTRO社製、CIROS−120型、JIS 1616に準拠)を用いて元素分析を行ったところ、C/Siは1.12であった。
【0070】
得られた炭化原料混合物を黒鉛製坩堝に入れ、アルゴン雰囲気下で、1400℃で10時間保持して炭化ケイ素粉体を得た。得られた炭化ケイ素を結晶相分析したところ、未反応のシリコンやカーボンは無くβ型(3C相)の炭化ケイ素のみであった。また、平均粒径は289.4μmであった。
【0071】
さらに、得られた炭化ケイ素粉体を黒鉛製坩堝に入れ、カーボンヒーター炉でアルゴン雰囲気下、温度2000℃で2時間保持して加熱処理を行った。加熱処理を行った粉体の平均粒径は284.1μm、比表面積は0.21m/gであった。また、SEM観察を行ったところ、SEM像から判定した一次粒子の粒径は8μm以上50μm以下であった。さらに、ICP発光分析装置を用いて不純物分析を行ったところ、各不純物量の含有量は1ppm以下であった。
【0072】
<実施例10、比較例9〜13>
実施例9と同様の方法で実施例10、比較例9〜13を実施した。その時の炭化ケイ素焼成工程の原料の種々の条件、焼成条件、および、後処理工程の焼成条件、得られた炭化ケイ素粉体の特性を図3に示す。
【0073】
<比較例14>
炭素源をカーボンブラックとしたこと以外は実施例9と同様にして作製した。得られた炭化ケイ素粉体の特性を図3に示す。
【0074】
図3に明らかのように、本発明の方法により得られた実施例9、10の炭化ケイ素粉体は、十分な平均粒径、比表面積を有している。一方、比較例9、12、14では、炭化ケイ素焼成工程後の炭化ケイ素粉体の平均粒径は小さく、後処理工程後でも粒径は十分な大きさではなかった。また、比較例13では、一次粒子径が小さく粒子同士の焼結が弱く、崩れやすい粉体となることがわかった。比較例10では、未反応のシリコンが残留しており、比較例11では、炭化ケイ素は生成しないことがわかった。
【0075】
炭化ケイ素単結晶の作製
<実施例11>
前記実施例1で作製した炭化ケイ素粉体を内径1inchの黒鉛坩堝に5g充填した。次に、上蓋部分に種結晶として4H−SiC(0001)の単結晶板を設置した。この黒鉛坩堝を高周波誘導加熱炉に入れ十分アルゴン置換を行った後、雰囲気圧力を10Torr、坩堝容器の底面温度を2000℃として、単結晶の育成を行った。成長時間2時間後と20時間後の昇華速度と成長時間20時間後の単結晶成長の長さを図4に示す。ここで、昇華速度とは加熱後の原料炭化ケイ素粉体の減少量(昇華量)を成長時間で割った値である。
【0076】
<比較例15>
市販の高純度炭化ケイ素粉末(大平洋ランダム社製、GMF−CVD)を用いて、実施例11と同様な方法で単結晶成長させた。原料炭化ケイ素の平均粒径は682.9μm、比表面積は測定下限以下であった。(0.01m/g以下)結果を実施例11と同様に図4に示す。
【0077】
<比較例16>
市販の研磨用炭化ケイ素粉末(大平洋ランダム社製、NC−F8)を用いて、実施例11と同様な方法で単結晶成長させた。原料炭化ケイ素の平均粒径は2350μm、比表面積は測定下限以下であった。(0.01m/g以下)結果を実施例11と同様に図4に示す。
【0078】
<比較例17>
高純度炭化ケイ素微粉末(大平洋ランダム社製、15H2)を用いて、実施例11と同様な方法で単結晶成長させた。原料炭化ケイ素の平均粒径は0.5μm、比表面積は16.1m/gであった。結果を実施例11と同様に図4に示す。
【0079】
<実施例12〜16、比較例18〜20>
前記実施例2、5、6、9、10および、比較例5、6、9で作製した炭化ケイ素粉体を用いて、実施例11と同様な方法で単結晶成長させた。原料粉体特性と単結晶成長後の結果を実施例11と同様に図4に示す。
【0080】
図4に明らかのように、本発明の方法により得られた実施例1、2、5、6、9、10の炭化ケイ素粉体を用いた実施例11〜16では、成長時間2時間の昇華速度と比べて20時間での昇華速度は減少することなく、安定した速度で原料炭化ケイ素が昇華して単結晶成長している。一方、比較例15では、安定した速度で原料炭化ケイ素が昇華しているが、原料昇華量が本発明の方法で作製した炭化ケイ素粉体より少ない。また、粒径の大きい原料炭化ケイ素を用いた比較例16では、昇華量が少なくなり、単結晶長が1mm以下であった。粒径が小さい原料炭化ケイ素を用いた比較例17、および比較例5、6、9の炭化ケイ素粉体を用いた比較例18〜20では、結晶成長20時間後では昇華速度が減少することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の炭化ケイ素粉体は、昇華再結晶法において、高く、安定な昇華速度を示し、炭化ケイ素単結晶用原料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が100μm以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下であることを特徴とする炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体。
【請求項2】
粒子径が5μm以上200μm以下の一次粒子が焼結した粒子形態であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体。
【請求項3】
平均粒径が20μm以下の炭化ケイ素粉体を、温度1900℃以上2400℃以下、圧力70MPa以下、非酸化性雰囲気下の条件で加圧焼結させ、密度1.29g/cm以上の焼結体を得る工程、前記焼結体を粉砕する粒度調整工程、粉砕した前記焼結体を酸処理する不純物除去工程、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
【請求項4】
ケイ素源、炭素源及び平均粒径が20μm以上の炭化ケイ素粉体を5質量%以上50質量%以下用いた原料混合物を温度1800℃以上2300℃以下、非酸化性雰囲気下で加熱焼成して炭化ケイ素粉体を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
【請求項5】
平均粒径が100μm以上700μm以下の金属ケイ素と炭素源を温度1300℃以上1400℃以下、非酸化性雰囲気下で加熱焼成する炭化ケイ素粉体生成工程と、前記炭化ケイ素粉体を非酸化雰囲気下で、温度1800℃以上2300℃以下で加熱する後処理工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。
【請求項6】
前記炭素源が有機化合物であり、前記炭化ケイ素粉体生成工程の加熱焼成前に、500℃以上1000℃以下の非酸化性雰囲気下で前記有機化合物を加熱炭化処理することを特徴とする請求項5に記載の炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−101996(P2012−101996A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254378(P2010−254378)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】