説明

無線電子医療装置のチャンネル切換え方法

【課題】医療実務で運用する伝送は、伝送間違いや判断間違いすることを許せない。
【解決手段】一種の無線電子医療装置に使用するチャンネル切換え方法、無線電子医療装置およびその伝送信号のチャンネル切換え方法に関わるもので、主に組み合わせた無線電子医療装置の受発信器を無線方式により、人間体の生体信号の受発信を行い、異なるペアの医療装置が同じチャンネルの信号を使用しているとき、同じペアのチャンネル切換え指令を発信し、チャンネル切換えモジュールにより、チャンネルを同時に切換えさせ、スペアチャンネルを利用し、受発信を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法、特に人間体の生体信号の受発信およびチャンネル切換え方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
医療機器の聴診器は電子聴診器が開発されるまで、従来の聴診器は中空状の長い管により、生物の音を医師の耳に伝えている。その欠点として、共振の歪み、および音の長距離伝送による音声強度の歪みなどがある。電子聴診器が開発された後、信号拡大技術に革新されたため、信号の弱さおよび伝送損失の欠点が改善されている。
【0003】
現在、市販中の無線式電子聴診器は、接触式マイクを用いて人間体から出す音を集め、音声信号をデジタル信号に置き換えて、発信回路より送信して、無線受信機によって受信する仕組みとなっている。人間体の生体信号を聞き取る聴診器に無線伝送技術と組み合わせて、人間体から出す各種のアナログ信号をデジタル信号に置き換えてから発信し、無線受信装置はこれを受信して、電子イヤホンまたは耳管を介して、音声を拡大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の公知技術の無線電子聴診器はデジタルデータと一般の無線伝送機能を示すものは図5である。無線伝送に関するチャンネル干渉課題の対策がない。一例として、診療室において、複数の医療実務者は同時に無線伝送機能の電子医療装置(無線式電子聴診器など)を使って、患者を診察するときに、チャンネル干渉が起きた場合、医療実務者は他の患者の心音、肺音などの生体信号を聞き取ってしまい、病状の誤判断になり兼ねない。
【0005】
無線ネットワークの機動性と利便性は有線ネットワークの及ばないところである。また、赤外線、無線電波など無線ネットワークの伝送を媒介するものは、一種の電磁輻射エネルギーである。
【0006】
現時点の無線伝送技術において、長距離無線区域ネットワークの伝送規格で開放された産業・科学・医学チャンネル(Industrial Scientific Medical bands, ISM)は902〜928MHz、2.4〜2.483GHz、と5.725〜5.875GHzと三つのチャンネルがある。ISMチャンネルを使用する通信製品が多くなり、各種製品を順調に交信させるため、IEEE 802.11無線区域ネットワーク(wireless LAN)の規格が規定された。
【0007】
アメリカ電気・電子学会(IEEE)が規定したIEEE 802.11無線区域ネットワーク規格により、この規格を満足した各種無線区域ネットワーク装置が2.4GHzバンドを利用し無線信号の伝送を行い、情報交換の目的を果たせる。なお、IEEE 802.11規格で使用する2.4GHzバンドは共通バンドまたは自由バンドを言う。利用者が使用するとき、申請手続きを必要としない。その伝送速度は当初の1秒あたり2Mbitsから現在の11Mbitsに向上され、将来にはより高速化し、より豊富なマルチメディア・ネットワークに対応できるになった。
【0008】
しかし、IEEE802.11規格によると、802.11aの稼動バンドは5.18〜5.805GHzの間である。一方802.11bと802.11gとも2.402〜2.483GHzで運用される電波バンド(すなわち、Industrial, Scientific and Medical, ISMバンド)である。現時点、台湾は11のチャンネルを無線基地局に提供している。802.11bを例として、三つの干渉しないチャンネル(1、6、11チャンネル)しか提供できない。つまり、四つ目の基地局を加わると、どのチャンネルを選択しても、他の無線基地局の干渉を受ける。
【0009】
一方、ブルートゥース技術(BlueTooth(登録商標))は短距離通信の無線区域ネットワークの伝送規格である。ブルートゥースは携帯電話とその周辺装置の接続通信利便性を図るため、Ericsson社、IBM社、Intel社、Nokia社、東芝の5社が中心となって提唱している携帯情報機器向けの無線通信技術規格である。
【0010】
ブルートゥース技術は赤外線伝送技術(IrDA)と似ている。両者とも短距離の無線通信規格である。しかし、赤外線伝送装置はデータ伝送のとき、二つの伝送装置を互いに向かい合わせる必要がある。しかし、赤外線は壁やその他物体によって遮られ易いため、ほとんどの無線ネットワーク製品は、無線電波を媒介物として使用する。そのうち、ブルートゥース技術は「ピヤー」単位の伝送技術であり、伝送するとき、データは発信場所から、球状に放射して伝送する。
【0011】
ブルートゥース技術が提供する放射状の伝送は、一般のネットワークにおいて、複数の受信端が一つの発信端を共用できる。しかし、医療実務で運用する伝送は、伝送間違いや判断間違いことを許せない。一方、公知技術の無線聴診器は無線方式の伝送の提供にとどまり、干渉現象が対策されていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するため、本発明の主な目的は、一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を提供する。
【0013】
前記の目的を実現するため、本発明は一種の無線電子医療装置に適用するチャンネル切換え方法を提供し、主に生体計測装置を設け、この装置に人体と接触する電子チェスピース(chest piece)または電子血圧計のパルスセンサーを設ける。計測装置にマイクロ・コントローラーと無線発信回路を備えた第1受発信単元(手段)を設け、人間器官の情報を処理した上、発信し伝送する。無線受信装置を設け、この装置に無線受信装置を備えた第2受発信単元(手段)を設ける。第1受発信単元より伝送情報を受信する。この生体計測装置により、心音、肺音、脈拍など人間の生体信号は有線・無線受信回路の第2受発信単元によって受信し、医療実務者の正確判断および監視制御を提供する。
【0014】
生体計測装置と無線受信装置は、工場より出荷のとき、一組のシリアル番号のほか、複数のスペアチャンネルが組み込まれる。使用するとき、異なるペアの生体計測装置が使用され、かつ、同じチャンネルが使用されているとき、チャンネル同時切換えの指令を発信し、チャンネル切換えモジュールにより、チャンネル切換えを一斉に切り換えて、新たに同じスペアチャンネルを使用して、受発信する。
【0015】
すなわち、本願の第1発明は、無線電子医療装置に少なくとも第1受発信単元および第2受発信単元が存在するとき、発信単元に設ける第1受発信単元が同じシリアル番号の無線受信単元に設ける第2受発信単元に、同じシリアル番号の無線受信単元をスペアチャンネルへの切換え方法を通知し、その方法は以下の手順を含むことを特徴とする一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
(a)第1受発信単元または第2受発信単元が同じチャンネルを使用する同種の第1受発信単元または第2受発信単元を検出し、
(b)第1受発信単元または第2受発信単元よりチャンネル同時切換え信号を発信して同じチャンネルの第2受発信単元または第1受発信単元に通知し、共に他のスペアチャンネルへ切り換えて、異なるシリアル番号の受発信単元が相手側のデータ受信を避ける。
また、本願の第2発明は、その発信機は電子聴診器の耳管構造であることを特徴とする本願の第1発明に記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
また、本願の第3発明は、その発信機は無線電子血圧センサー構造であることを特徴とする本願の第1発明に記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
また、本願の第4発明は、その受信単元は電子イヤホン構造であることを特徴とする本願の第1発明に記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
また、本願の第5発明は、その受信単元はコンピュータ構造であることを特徴とする本願の第1発明に記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
また、本願の第6発明は、第1受発信単元または第2受発信単元はさらに、リモコンの押しボタン信号を受信することにより、他のスペアチャンネルに切り換える構造であることを特徴とする本願の第1発明に記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法を要旨としている。
【発明の効果】
【0016】
この生体計測装置により、心音、肺音、脈拍など人間の生体信号は有線・無線受信回路の第2受発信単元によって受信し、医療実務者の正確判断および監視制御を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の目的、構造、特長および機能のさらなるご理解を図るため、実施例と図式を合わせて、以下のとおり詳細説明する。
【実施例】
【0018】
図1に示すものは、本発明の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法である。発信単元10より人体器官情報14を送信するとき、第1受発信単元15により、他のペアの無線電子医療装置が同じチャンネルを使用しているかを検出するほか、シリアル番号が一致しているか否かを検出する。発信信号に同じチャンネルが存在しないとき、その人体情報14を同じシリアル番号の受信単元20に伝送する。
もし、同じチャンネルの発信信号が検出されたとき、発信信号10の第1受発信単元15より、チャンネル同時切換え信号16を同じシリアル番号の受信単元20の第2受発信単元25に送信し、発信単元10と受信単元20を他のスペアチャンネル60へ同時に切り換えさせる。
【0019】
すなわち、本発明の方法は、無線電子医療装置に少なくとも第1受発信単元15および第2受発信単元25を設け、発信単元10に備える第1受発信単元15が、同じシリアル番号の受信単元20に備える第2受発信単元25にスペアチャンネル60への切換え方法を通知する。その方法は以下の手順を含まれる。
(1)第1受発信単元15または第2受発信単元25および同じチャンネルが検出された信号。
(2)第1受発信単元15または第2受発信単元25よりチャンネル同時切換え信号16を発信し、同じチャンネルの第2受発信単元25または第1受発信単元15に通知し、共に他のスペアチャンネル60へ切り換える。これにより、異なるシリアル番号の受発信単元が相手側のデータ受信を避ける。
【0020】
このほか、本発明の受信単元20に設ける第2受発信単元25および発信単元10の第1受発信単元15は、リモコン500より発信するボタン信号を受信し、このボタン信号に従い、受信または発信チャンネルを切換える。これにより、異なるシリアル番号の生体計測装置同士が人間器官情報の伝送間違いを避ける。
【0021】
図2に示すものは、本発明の無線電子聴診器の実施態様図である。
【0022】
聴診装置100(電子聴診器のチェスピースなど)を設け、聴診装置100に接触式マイク110を設ける。発信制御単元120を設け、発信制御単元120にパワーアンプと発信回路を設ける。第1受発信単元125および第1内蔵式アンテナ126を設け、濾過後の人体器官情報140を生成する。第1チャンネル切換えモジュール150を設け、チャンネル切換えモジュール150は自動的または聴診装置100に設ける選択調節ボタン160の選択に従い、発信チャンネルを切り換える。
【0023】
無線受信単元200(電子聴診器の耳管またはコンピュータなど)を設け、受診制御単元210を設け、受診制御単元210に無線受信回路を設ける。第2受発信単元225および第2内蔵式アンテナ226を設け、人体器官情報140の受発信を行う。第2チャンネル切換えモジュール250を設け、チャンネル切換えモジュール250により、自動的または聴診装置200に設ける選択調節ボタン260の選択に従い、発信チャンネルを切り換える。
【0024】
前記のチャンネル切換えモジュールは、リモコン500を介して、信号を無線受信単元に送信し、チャンネルを切換える。
【0025】
使用するとき、利用者は聴診装置100の接触式マイク110を人体に接触させ、人体器官の心音、肺音、脈拍、内蔵などの音声を拡大および濾過した後、人体器官情報140を生成し、発信制御単元120から発信する。
【0026】
人体器官情報140は無線受信単元200により、受診制御単元210を介して受信する。
【0027】
図3に示すものは、本発明の無線電子聴診器の実施態様図である。無線電子血圧センサー300を設け、無線電子血圧センサー300に圧力センサー310および発信制御単元320を設け、この発信制御単元320に無線発信回路板を設ける。第1受発信単元325および第1内蔵式アンテナ326を設け、濾過後の人体器官情報340(高、低血圧、パルス数)を生成する。第1チャンネル切換えモジュール350を設け、このチャンネル切換えモジュール350は自動的または無線電子血圧センサー300に設ける選択調節ボタン360の選択により発信チャンネルを切り換える。
【0028】
無線受信単元400および受信制御単元410を設け、この受信制御単元410に無線受信回路を設ける。第1受発信単元425および第1内蔵式アンテナ426を設け、拡大処理後の人体器官情報340を受信し表示する。表示単元430を設け、人体器官情報340を表示する。
【0029】
利用者は無線電子血圧センサー300を使用するとき、無線電子血圧センサー300を人体に接触させ、測定した脈拍、血圧などの信号を拡大処理した後、人体器官情報340を生成して、発信制御単元320から発信する。受信単元400に設ける受信制御単元410により、人体器官情報340を受信した上、表示単元430(またはコンピュータ)よりその生体信号を表示する。
【0030】
第2チャンネル切換えモジュール450を設け、この第2チャンネル切換えモジュール450は、自動的または受信単元400に設ける選択調節ボタン460により、発信チャンネルを切り換える。
【0031】
前記のチャンネル切換えモジュールは、リモコン500を介して、信号を無線受信単元に送信し、チャンネルを切換える。
【0032】
図4に示すものは、本発明の無線電子聴診器装置の実施態様図である。この実施例において、無線電子聴診器100は接触式マイク110を人体に接触させ、人体より発生する心音、肺音、脈拍、内臓などの音声信号を集めて、これらの信号を拡大、濾過処理を経て、人体器官情報140を生成し、表示単元170に表示する。さらに、この人体器官情報140を発信制御単元120より発信し、無線受信単元200(電子イヤホンまたはコンピュータ)の受信制御単元210によって、この信号を受信する。
【0033】
この聴診装置100に第1チャンネル切換えモジュール150を設け、自動的または聴診装置100に設ける選択調節ボタン160によって、発信チャンネルを切り換える。受信制御単元210はさらに第2チャンネル切換えモジュール250を設け、自動的または受信単元200に設ける選択調節ボタン260によって、発信チャンネルを切り換える。または前記の第1チャンネル切換えモジュール150と第2チャンネル切換えモジュール250は、リモコン500によって、調節選択ボタン信号を受信単元に伝送し、チャンネル切換えることもできる。
【0034】
以上に説明したものは、本発明の好ましい実施例であり、本発明明細書の内容および図式は本発明の実施範囲に制限を加えるものではない。本発明に基づいた均等変化およびその修飾は、すべて本発明の請求範疇に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を無線電子医療用聴診装置のチャンネル切換え方法に応用した態様図である。
【図2】本発明を無線聴診器に応用した態様図である。
【図3】本発明を無線血圧計に応用した態様図である。
【図4】本発明を無線聴診器への実施態様図である。
【図5】公知技術の装置実施態様概略図である。
【符号の説明】
【0036】
10 発信単元
20、200、400 無線受信単元
100 聴診装置
300 無線電子血圧センサー
110 接触式マイク
310 圧力センサー
120、320 送信制御単元
14、140、340 人体器官情報
150、350 第1チャンネル切換えモジュール
15、125、325 第1受発信器
25、225、425 第2受発信器
126、326 第1内蔵式アンテナ
226、426 第2内蔵式アンテナ
160、260、360、460 選択調節ボタン
210、410 受信制御単元
250、450 第2チャンネル切換えモジュール
500 リモコン
16 チャンネル同時切換え信号
60 スペアチャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電子医療装置に少なくとも第1受発信単元および第2受発信単元が存在するとき、発信単元に設ける第1受発信単元が同じシリアル番号の無線受信単元に設ける第2受発信単元に、同じシリアル番号の無線受信単元をスペアチャンネルへの切換え方法を通知する方法であって、
その方法は以下の手順を含むことを特徴とする一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。
(a)第1受発信単元または第2受発信単元が同じチャンネルを使用する同種の第1受発信単元または第2受発信単元を検出し、
(b)第1受発信単元または第2受発信単元よりチャンネル同時切換え信号を発信して同じチャンネルの第2受発信単元または第1受発信単元に通知し、共に他のスペアチャンネルへ切り換えて、異なるシリアル番号の受発信単元が相手側のデータ受信を避ける。
【請求項2】
その発信機は電子聴診器の耳管構造であることを特徴とする請求項1記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。
【請求項3】
その発信機は無線電子血圧センサー構造であることを特徴とする請求項1記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。
【請求項4】
その受信単元は電子イヤホン構造であることを特徴とする請求項1記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。
【請求項5】
その受信単元はコンピュータ構造であることを特徴とする請求項1記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。
【請求項6】
第1受発信単元または第2受発信単元はさらに、リモコンの押しボタン信号を受信することにより、他のスペアチャンネルに切り換える構造であることを特徴とする請求項1記載の一種の無線電子医療装置のチャンネル切換え方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−255410(P2006−255410A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56480(P2006−56480)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504192070)合世生醫科技股▲分▼有限公司 (11)
【Fターム(参考)】