説明

熱硬化型ダイボンドフィルム

【課題】 熱硬化後においても被着体との密着性に優れた熱硬化型ダイボンドフィルム及びそれを備えたダイシング・ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】 本発明の熱硬化型ダイボンドフィルムは、半導体装置の製造の際に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、15重量%を超えて25重量%以下の熱可塑性樹脂成分と、35重量%以上45重量%未満の熱硬化性樹脂成分とを主成分として含有し、熱硬化前の120℃に於ける溶融粘度が500〜5000Pa・s以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱硬化型ダイボンドフィルム及びそれを備えたダイシング・ダイボンドフィルムに関し、より詳細には、半導体チップ等を基板やリードフレーム等の被着体上にダイボンドする際に用いられる熱硬化型ダイボンドフィルム及びそれを備えたダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造過程に於いてリードフレームや電極部材への半導体チップの固着には、銀ペーストが用いられている。かかる固着処理は、リードフレームのダイパッド等の上にペースト状接着剤を塗工し、それに半導体チップを搭載してペースト状接着剤層を硬化させて行っている。
【0003】
しかしながら、ペースト状接着剤はその粘度挙動や劣化等により塗工量や塗工形状等に大きなバラツキを生じる。その結果、形成されるペースト状接着剤厚は不均一となる為、半導体チップに係わる固着強度の信頼性が乏しい。即ち、ペースト状接着剤の塗工量が不足すると、半導体チップと電極部材との間の固着強度が低くなり、後続のワイヤーボンディング工程で半導体チップが剥離する。一方、ペースト状接着剤の塗工量が多すぎると半導体チップの上までペースト状接着剤が流延して特性不良を生じ、歩留まりや信頼性が低下する。この様な固着処理に於ける問題は、半導体チップの大型化に伴って特に顕著なものとなっている。その為、ペースト状接着剤の塗工量の制御を頻繁に行う必要があり、作業性や生産性に支障をきたしている。
【0004】
このペースト状接着剤の塗工工程に於いて、ペースト状接着剤をリードフレームや形成チップに別途塗布する方法がある。しかし、この方法では、ペースト状接着剤層の均一化が困難であり、またペースト状接着剤の塗布に特殊装置や長時間を必要とする。この為、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが開示されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
このダイシング・ダイボンドフィルムは、支持基材上に粘着剤層及び接着剤層が順次積層されて構成されたものである。即ち、接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングした後、支持基材を延伸してチップ状ワークを接着剤層と共に剥離しこれを個々に回収する。更に、チップ状ワークを、接着剤層を介して、リードフレーム等の被着体に固着させるようにしたものである。
【0006】
一方、半導体チップの固着に用いるダイボンド用接着フィルムとしては、例えば、熱硬化型のものが挙げられる。この熱硬化型ダイボンドフィルムとしては、例えば、溶融粘度の比較的小さい接着フィルムが使用される場合がある。これは、半導体チップをダイボンドする際のダイボンド温度に対し溶融粘度が大きすぎると、被着体に対する密着性が低下するのを防止するためである。
【0007】
しかし、溶融粘度が小さすぎると、ダイボンド後の熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化工程において、当該フィルム中に含まれる水分が揮発して、フィルムと半導体チップ又は被着体との接着面にボイド(気泡)が発生するという問題がある。尚、熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化工程における加熱条件としては、例えば、水の沸点以上である120℃で1時間以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−57642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、熱硬化後においても被着体との密着性に優れた熱硬化型ダイボンドフィルム及びそれを備えたダイシング・ダイボンドフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者等は、前記従来の課題を解決すべく、熱硬化型ダイボンドフィルム及びそれを備えたダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、下記構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明に係る熱硬化型ダイボンドフィルムは、半導体装置の製造の際に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、15重量%を超えて25重量%以下の熱可塑性樹脂成分と、35重量%以上45重量%未満の熱硬化性樹脂成分とを主成分として含有し、熱硬化前の120℃に於ける溶融粘度が500〜5000Pa・s以下であることを特徴とする。
【0012】
前記の構成によれば、熱可塑性樹脂成分の下限を15重量%より大きくし、熱硬化性樹脂成分の上限を45重量%として、熱硬化型ダイボンドフィルム(以下、「ダイボンドフィルム」という場合がある。)の熱硬化前に於ける120℃での溶融粘度を500Pa・s以上にすることにより、被着体に対する密着性及び接着性の向上を可能にする。これにより、熱硬化型ダイボンドフィルムを熱硬化させた際に、フィルム中に存在する水分が揮発して、基板やリードフレーム等の被着体との接着面にボイドが形成されるのを防止することができる。その一方、熱可塑性樹脂成分の上限を25重量%以上、熱硬化性樹脂成分の下限を35重量%未満として、前記溶融粘度を5000Pa・s以下にすることにより、被着体に対する密着性の向上が図れる。
【0013】
前記の構成に於いては、前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化前におけるガラス転移温度が10℃以上であり、前記熱可塑性樹脂成分のガラス転移温度が−30〜30℃の範囲内であることが好ましい。熱硬化前のガラス転移温度を10以上にすることにより、ダイボンドフィルムの粘着力が強くなり過ぎるのを防止し、接着作業性の向上が図れる。また、ダイボンドフィルムを構成する熱可塑性樹脂成分として、ガラス転移温度が−30℃〜30℃の範囲内にあるものを含有させることにより、耐熱性を確保し、粘着力が強くなり過ぎて作業性が低下するのを防止すると共に、はんだリフロー工程の際にダイボンドフィルムと被着体の間に剥離が生じるのを防止することができる。
【0014】
また前記の構成に於いては、前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の250℃における引張貯蔵弾性率が10MPa以上であることが好ましい。これにより、例えば熱硬化型ダイボンドフィルムを介して被着体上に接着された半導体チップに対してワイヤーボンディングを行う際にも、超音波振動や加熱によりダイボンドフィルムと被着体との接着面でずり変形が生じるのを防止することができる。その結果、ワイヤーボンドの成功率を高め、歩留りを一層向上させて半導体装置を製造することが可能になる。
【0015】
更に、前記の構成に於いては、前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の、85℃、85%RHの雰囲気下で168時間放置したときの吸湿率が1重量%以下であることが好ましい。吸湿率を1重量%以下にすることにより、例えば、リフロー工程に於いてパッケージにクラックが発生するのを防止することができる。
【0016】
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の、250℃、1時間加熱後の重量減少量が1重量%以下であることが好ましい。重量減少量を1重量%以下にすることにより、例えば、リフロー工程に於いてパッケージにクラックが発生するのを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、前記の課題を解決する為に、前記に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明の熱硬化型ダイボンドフィルムによれば、熱可塑性樹脂成分15〜25重量%と熱硬化性樹脂成分35〜45重量%とを主成分として含有し、熱硬化前の120℃に於ける溶融粘度を500〜5000Pa・sにすることにより、被着体に対する密着性の向上が図れ、これにより熱硬化型ダイボンドフィルムを熱硬化させた際に、フィルム中に存在する水分が揮発して、被着体との接着面にボイドを形成するのを防止することができる。その一方、熱可塑性樹脂成分の上限を25重量%、熱硬化性樹脂成分の下限を35重量%として、前記溶融粘度を5000Pa・s以下にすることにより、被着体に対する密着性の向上が図れる。即ち、本発明の熱硬化型ダイボンドフィルムであると、信頼性の高い半導体装置を歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の一形態に係るダイボンドフィルムを介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【図2】前記ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図3】前記ダイボンドフィルムを用いて、2つの半導体チップをスペーサを介して3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図4】前記スペーサを用いることなく、2つの半導体チップをダイボンドフィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(熱硬化型ダイボンドフィルム)
本実施の形態に係る熱硬化型ダイボンドフィルム(以下、「ダイボンドフィルム」という。)について、以下に説明する。
【0021】
前記ダイボンドフィルムは、全樹脂成分に対し15重量%を超えて25重量%以下、好ましくは17〜22重量%の熱可塑性樹脂成分と、35重量%以上45重量%未満、好ましくは37〜43重量%の熱硬化性樹脂成分とを主成分として含有する。ここで、熱可塑性樹脂成分と熱硬化性樹脂成分の配合比としては、熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、熱硬化性樹脂の混合量が140〜270重量部が好ましく、200〜250重量部がより好ましい。尚、本発明において「主成分」とは 、それ以外の含まれている構成成分に比べて、相対的に最も大きな割合で含まれる構成成分を意味する。
【0022】
また、本実施の形態に係るダイボンドフィルムの溶融粘度は、熱硬化前の120℃に於いて500〜5000Pa・sであり、好ましくは500〜3000Pa・s、より好ましくは700〜1000Pa・sである。前記熱可塑性樹脂成分の下限を15重量%、熱硬化性樹脂成分の上限を45重量%とすることにより、ダイボンドフィルムの熱硬化前に於ける120℃での溶融粘度を500Pa・s以上にする。ここで、半導体チップを被着体上にダイボンディングする際には、加熱処理によりダイボンドフィルムの熱硬化が行われる。この加熱処理は後述する通り120℃以上の高温で行われるため、ダイボンドフィルム中に存在する水分が蒸発する。これにより、その蒸気圧がダイボンドフィルム中で膨潤し、ある閾値を超えると発泡現象を生じる。その結果、ダイボンドフィルムと半導体チップ又は被着体との接着面でボイド(気泡)や剥離等が発生する。しかしながら、本発明のダイボンドフィルムであると、熱硬化前に於ける120℃での溶融粘度を500Pa・s以上にすることで、半導体チップや被着体に対する密着性及び接着性を良好にするので、ボイド等の発生を防止することができる。その一方、熱可塑性樹脂成分の上限を25重量%、熱硬化性樹脂成分の下限を35重量%とすることにより、前記溶融粘度を5000Pa・s以下にする。これにより、ダイボンドフィルムの被着体に対する密着性の向上が図れる。
【0023】
尚、前記「熱硬化」とは 、熱硬化性樹脂成分の架橋反応等の化学反応を十分に行わせ、かつ、半導体素子と被着体とを接着させることを意味する。従って、本発明の「熱硬化前」とは、ダイボンドフィルムが未硬化の場合や硬化していても一部未硬化の場合を含む意味である。ダイボンドフィルムを熱硬化させるための加熱処理条件については、後述する。また、前記「溶融粘度」とはダイボンドフィルムの流動性に関する指標であって、本発明においてはレオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いて、パラレルプレート法により測定した値である。より詳細には、ダイボンドフィルムから0.1gを採取して試料とし、この試料を予め120℃に熱してあるプレートに仕込み、測定開始から300秒後の溶融粘度の値である。また、プレート間のギャップは0.1mmとしている。
【0024】
前記ダイボンドフィルムの熱硬化前のガラス転移温度は、10℃以上であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましい。熱硬化前のガラス転移温度を10℃以上にすることにより、ダイボンドフィルムの粘着力が強くなり過ぎるのを防止し、接着作業性の向上が図れる。ここで、ガラス転移温度が50℃を超えると、被着体に半導体チップをダイボンドする際の接着性が低下する場合がある。尚、前記ガラス転移温度を10℃以上にする場合、本発明においてはガラス転移温度が0℃の熱可塑性樹脂成分と、約70重量%が常温で固形の熱硬化性樹脂成分を用いることにより可能となる。
【0025】
また、前記ダイボンドフィルムの熱硬化後の250℃における引張貯蔵弾性率は、10MPa以上であることが好ましく、15〜100MPaであることがより好ましい。引張貯蔵弾性率の調整は、例えば、無機フィラーの添加量を調整することにより可能である。
【0026】
前記ダイボンドフィルムの熱硬化後の、85℃、85%RHの雰囲気下で168時間放置したときの吸湿率は1重量%以下であることが好ましい。吸湿率を1重量%以下にすることにより、例えば、リフロー工程に於いてパッケージにクラックが発生するのを防止することができる。吸湿率の調整は、例えば、無機フィラーの添加量を調整することにより可能である。
【0027】
前記加熱による熱硬化後の、250℃、1時間加熱後の重量減少量が1重量%以下であることが好ましい。重量減少量を1重量%以下にすることにより、例えば、リフロー工程に於いてパッケージにクラックが発生するのを防止することができる。重量減少量の調整は、例えば、無機フィラーの添加量を調整することにより可能である。
【0028】
本実施の形態に係るダイボンドフィルムは、例えば接着剤層の単層のみからなる接着シートや、コア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造の接着シート等が挙げられる。ここで、前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。また、ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとの一体型のものも使用することができる。
【0029】
前記熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
【0030】
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
【0031】
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸をいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0032】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜30℃であることが好ましく、−15〜15℃であることがより好ましい。ガラス転移温度を−30℃以上にすることにより、耐熱性を確保すると共に、粘着力が強くなり過ぎて作業性が低下するのを防止することができる。また、ガラス転移温度を30℃以下にすることにより、例えば、半導体ウェハとの接着性の向上を図ることができる。
【0033】
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ないエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
【0034】
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられているものであれば特に限定はなく、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレイン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。このエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
【0035】
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0036】
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
【0037】
尚、本発明に於いては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含むダイボンドフィルムが特に好ましい。これらの樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高いので、半導体素子の信頼性を確保できる。
【0038】
本発明のダイボンドフィルムを予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0039】
前記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、前記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
【0040】
また、ダイボンドフィルムには、その用途に応じて無機充填剤(フィラー)を適宜配合することができる。無機充填剤の配合は、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。前記無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、その他カーボン等からなる種々の無機粉末が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適に用いられる。また、無機充填剤の平均粒径は、0.1〜80μmの範囲内であることが好ましい。
【0041】
前記無機充填剤の配合量は、有機樹脂成分100重量部に対し0重量部を超えて80重量部以下に設定することが好ましい。特に好ましくは0重量部を超えて70重量部以下である。尚、熱硬化後の250℃における引張貯蔵弾性率を10MPa以上にする場合は、無機充填剤の配合量は有機樹脂成分100重量部に対し10重量部以上にすることが好ましく、100MPa以下にする場合は、有機樹脂成分100重量部に対し100重量部以下にすることが好ましい。また、重量減少量を1重量%以下にする場合は、無機充填剤の配合量は有機樹脂成分100重量部に対し0重量部を超えることが好ましい。
【0042】
尚、ダイボンドフィルムには、前記無機充填剤以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。
【0043】
前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0045】
前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0046】
ダイボンドフィルムの厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
【0047】
本実施の形態に係るダイボンドフィルムは、ダイシングフィルム上に積層させることによりダイシング・ダイボンドフィルムとして使用することができる。前記ダイシングフィルムとしては特に限定されず、例えば、基材上に粘着剤層が積層されたものを採用することができる。
【0048】
前記基材は、ダイシング・ダイボンドフィルムの強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0049】
基材の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0050】
粘着剤層の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を用いることができる。前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0051】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。
【0052】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0053】
粘着剤層は従来公知の放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができる。
【0054】
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。
【0055】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態に係るダイボンドフィルムを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図1はダイボンドフィルムを介して半導体素子を実装した例を示す断面模式図である。
【0056】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップ(半導体素子)5を基板又はリードフレーム(被着体)6上にダイボンドフィルム3を介してダイボンドするダイボンド工程と、ダイボンドフィルム3を熱硬化させる熱硬化(加熱)工程と、ワイヤーボンディングをするワイヤーボンディング工程とを有する。さらに、半導体チップ5を封止樹脂8で封止する封止工程と、当該封止樹脂8をアフターキュアする後硬化工程とを有する。
【0057】
前記ダイボンド工程は、図1に示すように、半導体チップ5を、ダイボンドフィルム3を介して被着体6に固着(ダイアタッチ)する工程である。ダイアタッチは圧着により行われる。ダイアタッチの条件としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。具体的には、例えば、ダイボンド温度120〜150℃、ボンディング圧力0.1〜0.2MPa、ボンディング時間0.5〜2秒の範囲内で行うことができる。また、半導体チップ5を被着体6上にダイボンドする方法としては、例えば被着体6上にダイボンドフィルム3を積層した後、ダイボンドフィルム3上に、ワイヤーボンド面が上側となる様にして半導体チップ5を順次積層してダイボンドする方法が挙げられる。また、予めダイボンドフィルム3が固着された半導体チップ5を被着体6にダイボンドして積層してもよい。
【0058】
前記熱硬化(加熱)工程は、ダイボンドフィルム3を加熱処理することにより、熱硬化性樹脂成分の架橋反応等の化学反応を行わせ、半導体チップ5と被着体6とを接着させる工程である。加熱処理条件としては、温度80〜180℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間、好ましくは0.1〜4時間、より好ましくは0.5〜1時間の範囲内であることが好ましい。
【0059】
また本発明においては、ダイボンドフィルム3を熱硬化させず、単に被着体6にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。半導体チップ5を被着体6上に仮固着する方法としては、例えば被着体6上にダイボンドフィルム3を積層した後、ダイボンドフィルム3上に、ワイヤーボンド面が上側となる様にして半導体チップ5を順次積層してダイボンドする方法が挙げられる。また、予めダイボンドフィルム3がダイボンドされた半導体チップ5を被着体6にダイボンドして積層してもよい。
【0060】
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0061】
前記ダイボンドフィルム3としては、ダイボンド時の剪断接着力が、被着体6に対して0.2MPa以上のものを使用し、より好ましくは0.2〜10MPaの範囲内のものを使用する。ダイボンドフィルム3の剪断接着力は、少なくとも0.2MPa以上であるので、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程に於ける超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることがない。即ち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことがなく、これにより、ワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
【0062】
前記ワイヤーボンディング工程は、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。前記仮固着の場合は、加熱工程を経ることなく本工程が実施される。
【0063】
本工程は、ダイボンドフィルム3の熱硬化を行うことなく実行することができる。この場合、ダイボンドフィルム3は熱硬化により接着固定することはない。ここで、ダイボンドフィルム3の剪断接着力は、80〜250℃の温度範囲内であっても、0.2MPa以上であることが必要である。当該温度範囲内で剪断接着力が0.2MPa未満であると、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動き、ワイヤーボンディングを行うことができず、歩留まりが低下するからである。
【0064】
前記封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3が熱硬化されていない場合は当該ダイボンドフィルム3も熱硬化させる。即ち、本発明に於いては、後述する後硬化工程が行われない場合に於いても、本工程に於いてダイボンドフィルム3を熱硬化させて接着させることが可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
【0065】
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程に於いてダイボンドフィルム3が熱硬化されない場合でも、本工程に於いて封止樹脂8の硬化と共にダイボンドフィルム3を熱硬化させて接着固定が可能になる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0066】
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図2に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図2は、ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図2に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3を被着体6上に貼り付けた後、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて貼り付ける。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。その後、ダイボンドフィルム3、13を加熱することにより熱硬化させて接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、前述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0067】
また本発明においては、ダイボンドフィルム3、13を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0068】
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15に於けるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。尚、本工程は、ダイボンドフィルム3、13の加熱工程を経ることなく実施される。
【0069】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。それと共に、熱硬化が行われていない場合は、ダイボンドフィルム3の熱硬化により被着体6と半導体チップ5との間を接着固定する。また、ダイボンドフィルム13の熱硬化により、半導体チップ5と他の半導体チップ15との間も接着固定させる。尚、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
【0070】
半導体チップの3次元実装の場合に於いても、ダイボンドフィルム3、13の加熱による加熱処理を行わないので、製造工程の簡素化及び歩留まりの向上が図れる。また、被着体6に反りが生じたり、半導体チップ5及び他の半導体チップ15にクラックが発生したりすることもないので、半導体素子の一層の薄型化が可能になる。
【0071】
また、図3に示すように、半導体チップ間にダイボンドフィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。図3は、2つの半導体チップをスペーサを介してダイボンドフィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0072】
図3に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3、半導体チップ5及びダイボンドフィルム21を順次積層してダイボンドする。更に、ダイボンドフィルム21上に、スペーサ9、ダイボンドフィルム21、ダイボンドフィルム3及び半導体チップ5を順次積層してダイボンドする。その後、ダイボンドフィルム3、21を加熱することにより熱硬化させて接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、前述と同様、温度80〜200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1〜24時間の範囲内であることが好ましい。
【0073】
また本発明においては、ダイボンドフィルム3、21を熱硬化させず、単にダイボンドさせてもよい。その後、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、更に半導体チップを封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアすることもできる。
【0074】
次に、図3に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。尚、本工程は、ダイボンドフィルム3、21の加熱工程を経ることなく実施される。
【0075】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3、21が未硬化の場合は、これらを熱硬化させることにより、被着体6と半導体チップ5との間、及び半導体チップ5とスペーサ9との間を接着固定させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
【0076】
尚、前記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、前記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス被着体を使用できる。
【0077】
更に、図4に示すように、前記スペーサ9を用いず、ボンディングワイヤーの一部が埋め込まれたダイボンドフィルムを介して複数の半導体チップ5が積層された3次元実装としてもよい(FoW(Film on Wire))。図4は、2つの半導体チップ5をダイボンドフィルム22により3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0078】
図4に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3、及び半導体チップ5を順次積層してダイボンドする。次に、加熱工程を行うことなく、図4に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
【0079】
続いて、前記半導体チップ5上にダイボンドフィルム22を押圧しながら積層する。このとき、ボンディングワイヤー7の一部はダイボンドフィルム22に埋め込まれた構成となる。続いて、ダイボンドフィルム22上に新たな半導体チップ5を積層して仮固着する。更に、前記と同様にして、加熱工程を行うことなくワイヤーボンディング工程を行う。
【0080】
その後、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3、22により被着体6と半導体チップ5との間、及び半導体チップ5同士を固着させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程の条件は前述と同様であり、また当該態様の場合にも、封止工程の後、後硬化工程を行うことが可能である。
【0081】
次に、プリント配線板上に、前記の半導体パッケージを表面実装する。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めハンダを供給した後、温風などにより加熱溶融しハンダ付けを行うリフローハンダ付けが挙げられる。加熱方法としては、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、全体加熱、局部加熱の何れの方式でもよい。加熱温度は240〜265℃、加熱時間は1〜20秒の範囲内であることが好ましい。
【0082】
(その他の事項)
前記被着体上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
【0083】
また、半導体素子の3次元実装の際に、各段で使用されるダイボンドフィルムは同一組成からなるものに限定されるものではなく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
【0084】
また、前記実施の形態に於いては、被着体に複数の半導体素子を積層させた後に、一括してワイヤーボンディング工程を行う態様について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子を被着体の上に積層する度にワイヤーボンディング工程を行うことも可能である。
【実施例】
【0085】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、部とあるのは、重量部を意味する。
【0086】
(実施例1)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM、ガラス転移温度:−15℃)100部(17重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)76部(11.0重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)68部(9.8重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、レミックスXLC−4L)156部(22.2重量%)、平均粒径0.5μmの球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)665部(40.0重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)1部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。
【0087】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmの熱硬化型ダイボンドフィルムAを作製した。
【0088】
(実施例2)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製,パラクロンW−197CM)100部(20重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)144部(10.1重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)130部(9.1重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)293部(20.7重量%)、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)444部(40重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)2部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を得た。
【0089】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmの熱硬化型ダイボンドフィルムBを得た。
【0090】
(実施例3)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製,パラクロンW−197CM)100部(21.9重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)101部(9.7重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)92部(8.8重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)206部(19.6重量%)、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)333部(39.9重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)1.5部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。
【0091】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムCを作製した。
【0092】
(実施例4)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製,パラクロンW−197CM)100部(23.9重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)76部(9.2重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)69部(8.1重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)155部(18.7重量%)、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)267部(40.0重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)1.2部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。
【0093】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムDを作製した。
【0094】
(比較例1)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製,パラクロンW−197CM)100部(10.0重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)482部(12.5重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)436部(11.5重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)983部(25.9重量%)、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)1333部(40.0重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)6部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。
【0095】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムEを作製した。
【0096】
(比較例2)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製,パラクロンW−197CM)100部(29.9重量%)に対して、エポキシ樹脂1(JER(株)製、エピコート1004)59部(7.5重量%)、エポキシ樹脂2(JER(株)製、エピコート827)53部(6.9重量%)、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)121部(15.6重量%)、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)222部(40.0重量%)、硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)1部(0.1重量%)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。
【0097】
この接着剤組成物の溶液を、剥離ライナとしてシリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmのダイボンドフィルムFを作製した。
【0098】
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
各実施例及び比較例の熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化前におけるガラス転移温度は、粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、RSA2)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於けるTan(E”(損失弾性率)/E’(貯蔵弾性率))から測定した。また、各熱硬化型ダイボンドフィルムの構成材料である熱可塑性樹脂成分のガラス転移温度も同様にして測定した。
【0099】
(溶融粘度)
各実施例及び比較例の熱硬化型ダイボンドフィルムA〜Fの熱硬化前の120℃に於ける溶融粘度を測定した。測定にはレオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いて、パラレルプレート法により行った。即ち、各ダイボンドフィルムA〜Fから0.1gを採取して試料とし、この試料を予め120℃に熱してあるプレートに仕込んだ。溶融粘度は測定開始から300秒後の値とした。また、プレート間のギャップは0.1mmとした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0100】
(ボイドの有無及び大きさ)
各実施例及び比較例のダイボンドフィルムA〜Fを、40℃で半導体素子(チップサイズ10mm×10mm)に貼り付け、120℃、9.8N、1秒でスライドガラスにマウントした。このときのボイドの有無や大きさを光学顕微鏡を用いて測定した。結果を下記表1及び表2に示す。
【0101】
(ボイド面積)
各実施例及び比較例のダイボンドフィルムA〜Fを、それぞれ40℃で半導体素子に貼り付け、120℃、9.8N、1秒でBGA基板にマウントした。次に、120℃で、1時間加熱し各ダイボンドフィルムA〜Fを熱硬化させた。
【0102】
更に、封止樹脂(日東電工(株)社製、GE−100)でパッケージングし、半導体装置を製造した(TFBGAパッケージ16x16x0.7mm、チップサイズ10×10mm)。封止後の半導体装置をガラスカッターで切断し、その断面を光学顕微鏡で観察して、各ダイボンドフィルムA〜FとBGA基板の貼り合わせ面に於けるボイド面積を測定した。結果を下記表1及び表2に示す。
【0103】
(吸水率の測定)
得られたダイボンドフィルムA〜Fについて熱硬化後の吸水率を、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した前後の重量減少率から測定した。測定装置としては微量水分測定装置(三菱化学(株)製、カールフィッシャーCA−07型)を用いた。
【0104】
(重量減少量の測定)
得られたダイボンドフィルムA〜Fについて熱硬化前の250℃における重量減少量を、差動型示差熱天秤(リガク(株)製、TG−DTA)を用いて測定した。
【0105】
(引張貯蔵弾性率)
得られたダイボンドフィルムA〜Fについて熱硬化後の引張貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、Solid Analyzer RSA2)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於いて測定した。
【0106】
(結果)
下記表1及び表2から分かる通り、比較例1のダイボンドフィルムEの様に、溶融粘度が300Pa・sであると、ダイボンドフィルムの熱硬化後にボイドが発生することが確認された。また、比較例2のダイボンドフィルムFの様に、溶融粘度が6000Pa・sであると、パッケージ化後のダイボンドフィルムと基板との間に発生しているボイドの面積が10vol%以上に大きくなっていることが確認された。
【0107】
その一方、実施例1〜4のダイボンドフィルムA〜Dの様に、溶融粘度がそれぞれ600、1500、3000、4000Pa・sであると、基板に対する密着性が良好であり、熱硬化後のボイドの発生を防止し、あるいは発生してもその大きさを100μm以下に抑制することができた。また、パッケージ化後のダイボンドフィルムと基板との間に発生しているボイドの面積を1vol%以下、ないし3vol%以下に低減することができた。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【符号の説明】
【0110】
3 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
5 半導体チップ(半導体素子)
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 スペーサ
13 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
15 半導体チップ(半導体素子)
21、22 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造の際に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、
15重量%を超えて25重量%以下の熱可塑性樹脂成分と、35重量%以上45重量%未満の熱硬化性樹脂成分とを主成分として含有し、
熱硬化前の120℃に於ける溶融粘度が500〜5000Pa・s以下であることを特徴とする熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項2】
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化前におけるガラス転移温度が10℃以上であり、前記熱可塑性樹脂成分のガラス転移温度が−30〜30℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項3】
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の250℃における引張貯蔵弾性率が10MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項4】
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の、85℃、85%RHの雰囲気下で168時間放置したときの吸湿率が1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項5】
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化後の、250℃、1時間加熱後の重量減少量が1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層されていることを特徴とするダイシング・ダイボンドフィルム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−182816(P2010−182816A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24023(P2009−24023)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】