燃焼バーナ
【課題】バーナの燃焼用空気及び液体燃料をバーナの燃焼火炎により高温化し燃焼能力の増大を図る。
【解決手段】燃料を気化する気化部(32、61)と、気化部(32、61)に連通している燃焼部(36、62)を具備するバーナにおいて、バーナ(5)の燃焼火炎の近傍に配置されている燃焼用空気取入筒(34a)から送風ファン(34)に燃焼用空気を取り入れ、バーナ(5)の燃焼火炎の近傍に配置されている燃料パイプ(39a)により燃焼用液体燃料を気化部(32、61)に送るように構成する。
液体燃料と燃焼用空気は共にバーナ(5)の燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化部に供給されるので、燃焼用空気及び液体燃料の予熱効果により、同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【解決手段】燃料を気化する気化部(32、61)と、気化部(32、61)に連通している燃焼部(36、62)を具備するバーナにおいて、バーナ(5)の燃焼火炎の近傍に配置されている燃焼用空気取入筒(34a)から送風ファン(34)に燃焼用空気を取り入れ、バーナ(5)の燃焼火炎の近傍に配置されている燃料パイプ(39a)により燃焼用液体燃料を気化部(32、61)に送るように構成する。
液体燃料と燃焼用空気は共にバーナ(5)の燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化部に供給されるので、燃焼用空気及び液体燃料の予熱効果により、同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料燃焼装置において、燃料を気化する気化室と、この気化室に連通したバーナと、前記気化室に先端を臨ませた燃料ノズルと、この燃料ノズルに燃料を供給する燃料ポンプと、電気ヒータで気化室へ流入する空気を加熱する空気加熱室と、バーナの燃焼熱で空気を加熱し且つ加熱空気を気化室へ送る熱交換器と、熱交換器へ空気を供給する送風機を備えたものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−129611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特開平6−129611号公報のものは、液体燃料を安定して気化燃焼するために、バーナで予熱した燃焼用空気をヒータにより更に予熱する構成であるが、供給液体燃料の高出力化と共に、予熱ヒータが高出力化しコンパクトで安価な液体燃焼装置を構成できないという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明は、バーナの燃焼用空気及び液体燃料を高温にしてバーナに供給することで、バーナの燃焼能力の増大を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、液体燃料を気化させる気化部(32、61)と、該気化部(32、61)に連通して燃焼火炎tを発生させる燃焼部(36、62)と、気化部(32、61)に燃焼用空気を供給する送風ファン(34)と、前記燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取り入れ口(32b)と、燃料が通過する燃料パイプ(39a)とを設け、燃焼用空気取り入れ口(32b)と燃料パイプ(39a)とを前記燃焼火炎t位置近傍に配置したことを特徴とする燃焼バーナとする。
【0006】
前記構成によると、燃焼用空気は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている燃焼用空気取入口(34b)から燃焼火炎tにより高温の燃焼用空気を送風ファン(34)に取り入れられ、また、燃焼用液体燃料は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている燃料パイプ(39a)を経て温度が上昇して気化部(32、61)に送られ気化される。
【0007】
請求項2の発明は、前記燃焼用空気取入筒(34a)及び前記燃料パイプ(39a)を燃焼部(36、62)の燃焼火炎t位置の側方に配置したことを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナとする。
【0008】
前記構成によると、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの燃焼位置の左右側方に配置されている燃焼用空気取入口(34b)から燃焼火炎tにより高温の燃焼用空気を送風ファン(34)に取り入れられ、また、燃焼用液体燃料は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの側方に配置されている燃料パイプ(39a)を経て温度が上昇して気化部(32、61)に送られ気化される。
【0009】
請求項3の発明は、前記燃料パイプ(39a)を、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている第一燃料パイプ(39b)と、この第一燃料パイプ(39b)の配置位置よりも燃焼火炎tから遠い位置に配置している第二燃料パイプ(39c)と、第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)側に切り替える切替弁(65)とを備え、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油することを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナとする。
【0010】
前記構成によると、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、液体燃料と燃焼用空気は共にバーナ(5)の燃焼熱により周囲の温度よりも高温の状態で気化部(32、61)に供給されるので、予熱効果により同じサイズの燃焼部(36、62)でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【0012】
請求項2の発明は、液体燃料と燃焼用空気は共に燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの左右側方を経て燃焼火炎tにより周囲の温度よりも高温にされて気化部(32、61)に供給されるので、液体燃料と燃焼用空気は燃焼火炎tの燃焼熱に確実に晒されることができ、予熱効果により同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【0013】
請求項3の発明は、液体燃料の粘性情報に基づき、液体燃料は第一燃料パイプ39bあるいは第二燃料パイプ39cを経て気化部(32、61)に送られ、気化部(32、61)での気化作用を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まず、図1及び図2に基づきこの発明を実施する循環式穀物乾燥機の全体構成について説明する。
【0015】
1は穀物乾燥機の機枠で、この機枠1内には貯溜室2、乾燥室3及び集穀室4を上方から下方に順次配設している。乾燥室3には左右穀物流下通路9,9を形成し、左右穀物流下通路9,9の内側にはバーナ5側のバーナ風胴に通じる熱風室6を配設し、穀物流下通路9,9の左右外側には吸引排気ファン7側のファン胴に通じる左右排風室8,8を配設し、各穀物流下通路9,9の下端合流部に繰出バルブ10を設け、この繰出バルブ10の往復回転により、穀物を所定量づつ繰り出しながら流下させ、穀物に熱風を浴びせて乾燥するように構成している。
【0016】
前記機枠1の外側には集穀室4の前後一側に集めた穀物を貯溜室2に揚穀還元する昇降機11を立設している。この昇降機11内には上下に軸架した駆動プーリ12a及び従動プーリ(図示省略)にバケットベルト13を巻き掛け、集穀室4の底部に設ける下部搬送装置14により乾燥穀物を前後一側に移送し、昇降機11により揚穀するように構成している。この昇降機11で揚穀された穀物は、昇降機11の揚穀投げ口11aから上部搬送装置16の始端側に供給し、更に上部搬送装置16により横送して貯溜室2の上部中央部に配設する回転拡散板18に送り、貯溜室2内に拡散落下させるように構成している。
【0017】
前記昇降機11、下部搬送装置14、上部搬送装置16から構成されている穀物循環系は、昇降機11の機枠上部に配設している昇降機モータ(図示省略)により駆動される。また、昇降機11における上下中途部の壁面には、バケットベルト13の上昇行程と下降行程の間隔部に取込み口(図示省略)を設けて、この取込み口(図示省略)の下方部位に水分計26を着脱自在に配設している。この水分計26は、例えば一対の電極ロール間でサンプル粒を1粒づつ圧縮粉砕し、その抵抗値を電気的に処理して穀粒の水分値に換算する公知のものである。
【0018】
次に、穀物乾燥機の作用について説明する。
張込ホッパ(図示省略)から昇降機11を利用して貯溜室2に所定量の穀物を張り込む。次いで、穀物種類、乾燥仕上水分値等を設定し乾燥作業を開始する。貯溜室2内の穀物は乾燥室3を流下し熱風を浴びながら集穀室4に流下する。熱風により乾燥された穀類は下部搬送装置14で一側に移送され、次いで昇降機11により揚穀され、上部搬送装置16に引き継がれ再び貯溜室2に循環移送され、暫くの間調質作用を受ける。このような行程を繰り返しながら仕上水分値に到達すると、乾燥作業は終了する。
【0019】
次に、図3〜図5に基づきバーナ5について説明する。
バーナ5はこの実施形態ではロータリ気化型バーナに構成されていて、多数のスリット状の外気取り入れ口kを形成したバーナ風胴25内に配設されている。ケーシング27の正面側に燃焼筒28を設け、ケーシング27内にはバーナ気化筒モータM6を設け、バーナ気化筒モータM6の前方に突出するモータ軸30に逆円錐形状の拡散体31を取り付け、この拡散体31の周囲を覆うように気化筒32を取り付ける。
【0020】
また、気化筒32の内周部には固定状態の送風筒35を設け、バーナ風胴25内下方には燃焼用空気送風用の送風ファン34を配設し、送風ファン34から送風案内筒35aを介して送風筒35に向けて燃焼用空気を送るように構成している。燃焼筒28の中心部前面には燃焼盤36を嵌合装着し、この燃焼盤36には複数のガス噴出孔36a,…を設けている。また、燃焼筒28には正面視において外周側へ膨出する膨出部28aを形成し、この膨出部28aに一対の電極部からなる点火手段としてのイグナイタ38を設け、ノズル39から供給される灯油の微粒化燃料にイグナイタ38により着火する構成としている。40は燃焼炎の有無を検出するフレームロッドで、燃焼中の炎電流を検出し制御部に出力する。
【0021】
前記送風案内筒35aの上方に電磁ポンプ46を設け、電磁ポンプ46の駆動によりノズル39を介して燃料の灯油を拡散体31に供給し、イグナイタ38の通電により点火し着火燃焼するように構成している。
【0022】
乾燥作業にあたり、バーナ5は電磁ポンプ46からの供給燃料にイグナイタ38に通電し点火することにより燃焼を開始する。即ち、バーナ気化筒モータM6の回転により気化筒32が回転し、燃焼空気供給用のファンモータM5の回転により送風ファン34が回転し送風筒35に燃焼用空気が導入される。また、ノズル39からの燃料は高速回転している拡散体31に衝突しながら微粒化され、気化筒32の内周面に沿って拡散流動しながら点火燃料飛散間隙からガイド体33に流れ更に外周側に案内され、イグナイタ38により点火される。次いで、燃焼火炎tによる輻射熱で気化筒32の内周面を移行する微粒化燃料はガス化されて燃焼盤36の裏面に導かれ、ガス噴出孔36a,…を通って表面側に噴出し青火で燃焼する。
【0023】
次に、図6に基づき制御ブロック構成について説明する。
バーナ風胴25の上方にコントロールボックス45を設け、コントロールボックス45内には制御部49を設けている。制御部49の入力側には、各種スイッチ、センサを設けている。即ち制御部49の入力には、入力回路を介して穀粒種類切換スイッチSW1、張込スイッチSW2、乾燥スイッチSW3、排出スイッチSW4、停止スイッチSW5、使用する燃料の燃焼難易度を設定する使用燃料特性切替手段SW6、気化筒清掃入力スイッチSW7、気化筒清掃時間設定スイッチSW8を接続し、また、A/D変換部を介して、外気温度センサSE1、張込量検出センサSE2、熱風温度センサSE3、穀物温度センサSE4、バーナ風胴25の外気空気量を検出する外気空気量検出手段SE5、水分計26、フレームロッドSE6、使用燃料温度特性検出手段SE7、使用燃料粘性検出手段SE8を接続している。
【0024】
また、制御部49の出力側には、可変手段を介してバルブモータM1、出力回路を介して昇降機モータM2、送風機モータM3、水分計モータM4を接続し、また、可変手段を介して燃焼用空気供給用のファンモータM5、バーナ気化筒モータM6を接続し、また、出力回路を介して燃料供給用の電磁ポンプ46、燃料バルブ47、イグナイタ38を接続し、また、出力回路を介して表示部48を接続している。
【0025】
制御部49のバーナ駆動信号は燃料ポンプ46のON/OFF信号及び大小供給信号、バーナ気化筒モータM6の回転数指令信号、ファンモータM5の回転数指令信号、イグナイタ38の通電信号等があり、燃料供給量、燃焼空気供給量及び気化筒回転数を同調制御し液体燃料を気化燃焼させる。
【0026】
また、乾燥作業中には、予め設定記憶されている熱風設定温度と熱風温度センサSE3の検出熱風温度を比較し、その差が小になるように周期的にオンされる燃料供給用の燃料ポンプ46のオンタイム信号を長短に変更制御しながら乾燥作業をし、穀物水分が仕上げ水分値になると乾燥作業を停止する。
【0027】
次に、図5について説明する。
ロータリ気化型のバーナ5において、燃焼用空気送風用の送風ファン34の燃焼用空気取入筒34aの先端部を、バーナ風胴25内の燃焼盤36から発生する燃焼火炎t位置の側方に配置し、且つ、バーナ風胴25の送風方向下手側に向けて開口部34bを開口し、周囲の空気よりも高温の空気を送風ファン34に取り込むように構成している。また、燃料パイプ39aからノズル39に液体燃料の灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aを燃焼盤36よりも燃焼方向下手側、すなわちバーナの燃焼火炎tの燃焼位置の側方を経由し、燃焼火炎tの燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化筒32に供給するように構成している。
【0028】
そして、この実施形態では、燃焼用液体燃料の温度を、図7に示すように燃焼開始からある程度の時間を越えると燃焼用空気の温度よりも高温にするようにしている。なお、図7は燃焼用液体燃料の温度と燃焼用空気の温度の上昇状態を示すグラフである。
【0029】
前記構成によると、気化筒32に供給する液体燃料と燃焼用空気を共にバーナ5の燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化筒32に供給するので、燃焼部各部の燃焼用空気による冷却を低減し、また、供給液体燃料の予熱効果により、同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図ることができる。また、供給液体燃料の増加に伴い高温の液体燃料及び燃焼用空気を供給することができ、コンパクトな構成でありながら極めて安定した燃焼状態を維持することができる。
【0030】
また、図8の実施形態は、別のタイプ型のバーナ5を示すもので、燃焼用空気送風用の送風ファン34の燃焼用空気取入筒34aの先端開口部34bを、燃焼盤36より燃焼方向下手側、すなわち燃焼火炎tの燃焼位置側方に配置し、且つ、バーナ風胴25の送風方向下手側に向けて開口部34bを開口し、周囲の空気よりも高温の空気を送風ファン34に送り込むようにしている。また、燃料パイプ39aからノズル39に燃料灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aの中途部を燃焼盤36の燃焼火炎tの側方を迂回する構成とし、燃焼火炎tにより灯油を周囲の温度よりも高温にして気化室61に送りノズル39から噴射し、高温の燃料と高温の空気を混合し、燃焼筒28の燃焼体62で燃焼させるように構成している。
【0031】
次に、図9について説明する。
前記ロータリ気化型バーナ5(図5に示す)あるいは図8に示すバーナ5において、送風ファン34に燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取入筒34aの先端開口部34bを、標準状態でバーナ風胴25内の燃焼盤36の燃焼火炎tの側方に配置し、この空気取入筒34aの開口部34bに調節取入筒63を取り付けている。
【0032】
この調節取入筒63は、長筒部63aと短筒部63bを対向配置した構成としている。しかして、図9(A)に示すように、空気取入筒34aの先端の調節取入筒63の長筒部63aを、燃焼火炎tに近づけるようにして取り付けると、通常の外気温度に近い空気を多く取り込むことができ、また、図9(B)に示すように、調節取入筒60の短筒部60bを燃焼火炎tに近づけるようにして取り付けると、温度の高い空気を多く取り込むことができ、異なる温度の燃焼用空気を取り込むことができるように構成している。
【0033】
また、図9(C)に示すように、空気取入筒34aの屈曲部に大小に調節できる空気調節孔35cを設けて、先端開口部34bから取り入れる燃焼ガスの取入量と、空気調節孔35cから取り入れるバーナ風胴25の周辺部の空気取入量を変更調節して、異なる温度の燃焼用空気を取り入れるよう構成してもよい。
【0034】
また、燃料パイプ39aからノズル39に灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aの中途部を燃焼盤36の燃焼火炎tの方向に長短に調節して、燃焼火炎tによる温度上昇を調節し、気化筒32あるいは気化室61に送り込むように構成している。
【0035】
また、図10に示すように構成してもよい。空気取入筒34aの開口部34bには、ガイド板64を軸支し、ガイド板調節モータM7(例えばステッピングモータ)によりガイド板64の先端部をバーナの火炎に対して遠近方向に調節し、火炎の燃焼ガスの吸入量とバーナ風胴25の周辺空気の吸入量の流入比率を変更調節し、燃焼用空気の温度の上昇量を調節するように構成している。
【0036】
しかして、例えば、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が高い場合には、火炎の燃焼ガスの吸入量を減少側に調節しバーナ風胴25の周辺空気の吸入量を増加調節し、また、検出外気温度が低い場合には、火炎の燃焼ガスの吸入量を増加調節しバーナ風胴25の周辺空気の吸入量を減少調節する。従って、外気温度の高低にかかわらず気化筒32での液体燃料の気化作用を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【0037】
なお、液体燃料の粘性の大小を制御部49に入力し、この検出粘性情報によりガイド板64の回動角度を調節するようにしてもよい。
次に、図11について説明する。
【0038】
この実施形態は、燃料パイプ39aからノズル39により灯油を気化室61に送るにあたり、燃料パイプ39aをバーナ5の燃焼火炎tの側方を迂回するように燃焼方向下手側に伸び次いで燃焼方向上手側に向かって伸びる第一燃料パイプ39bと、この第一燃料パイプ29bにおける燃焼火炎tの根元部に対向する位置を接続する第二燃料パイプ39cとで構成し、第二燃料パイプ39cに設けた切替弁65を切替作動し、第一燃料パイプ39bを経由、あるいは、第二燃料パイプ39cを経由して送るように構成している。
【0039】
前記構成によると、例えば、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が設定温度より高い場合には、切替弁65を開放して第二燃料パイプ39cを経由して気化室61に液体燃料を送り、また、検出外気温度が設定温度より低い場合には、切替弁65を閉鎖して第一燃料パイプ39bを経由して気化室61に液体燃料を送る。従って、外気温度の高低に応じて液体燃料の温度を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【0040】
また、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少し、また、検出外気温度が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加するように制御してもよい。前記構成によると、外気温度の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0041】
また、制御部49に使用燃料の粘性情報を入力する使用燃料特性設定手段SW6を設け、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。例えば軽油のように使用燃料の粘性が比較的高い場合には、使用燃料特性設定手段SW6により使用燃料の粘性を高く設定し、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加調節する。また、灯油のように使用燃料の粘性が比較的低い場合には、使用燃料の粘性を低く設定し、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少制御する。前記構成によると、使用燃料の粘性の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0042】
また、制御部49の入力側に使用燃料の粘性情報を検出する使用燃料粘性検出手段SE8を設け、この使用燃料粘性検出手段SE8を、例えば、使用液体燃料供給手段である燃料ポンプ46の燃料供給量制御信号に応じた電気的負荷情報により粘性の高低を検出し、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。
【0043】
前記構成によると、使用燃料粘性検出手段SE8による使用燃料の検出粘性情報が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加調節し、また、使用燃料の検出粘性情報が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少するように制御する。しかして、使用燃料の粘性の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0044】
また、図12及び図13に示すように構成してもよい。気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6を、コンデンサ始動またはコンデンサ誘導の単相モータとし、毎分3600回転以上で運転するモータ回転数制御手段71を設ける構成としてもよい。なお、単相モータのバーナ気化筒モータM6は、図12に示すように、電気回路に主巻線M6a、副巻線M6b、コンデンサM6c、回転子M6dを配設した構成である。
【0045】
モータ回転数制御手段71は、図13に示すように、ロータリ気化型バーナ5のバーナ気化筒モータM6を毎分3600回転以上で回転させ、気化筒32を毎分3600回転以上で回転するようにしている。このモータ回転数制御手段71として、インバータによるパルス幅変調方式、あるいは、パルス振幅変調方式を採用している。
【0046】
穀物乾燥機に利用しているロータリ気化型バーナは、その燃焼形式から比較的高出力の熱源が得られることから、屋外のような温度変化の大きい環境下で長期に使用されている。市場ではロータリ気化型バーナについてコンパクトながら高出力が求められ、同一気化筒寸法で燃焼量の増大化が望まれている。
【0047】
この実施形態には、図13(A)に示すように、パルス幅変調方式でモータを制御駆動している。即ち、商用電源(60ヘルツのAC電源)を整流回路71aにより直流に変換してインバータIC71bに印加し、交流モータ駆動周波数70で駆動し、バーナ気化筒モータM6の回転数を毎分4100回転とし気化筒32を回転させる。
【0048】
また、図13(B)に示すように、パルス振幅変調方式でモータを制御駆動してもよい。商用電源(60ヘルツのAC電源)を整流回路71aにより直流に変換し、スイッチング回路71cを経由してインバータIC71bに印加し、交流モータ駆動周波数70ヘルツで駆動し、バーナ気化筒モータM6の回転数を毎分4100回転とし気化筒32を回転させる。
【0049】
このように高速回転させることで、気化筒32の内壁を流動する液体燃料(例えば白灯油)の膜厚を薄くし、また、気化筒32の外壁に接する燃焼ガスの撹拌作用向上に基づく熱伝達作用の促進により気化能力が増大し、同一寸法のバーナにより高出力化を実現することができる。また、高速回転により気化燃料と燃焼空気との混合が促進され、理論空気量での燃焼でも赤火燃焼を起こすようなこともなく、青色燃焼させることができる。
【0050】
また、図14に示すように構成してもよい。モータ回転数制御手段71により、液体燃料供給量に応じて気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6の回転数を調節するにあたり、燃焼用空気供給量の同調制御よりも軽微な変更比率で変更するように構成してもよい。なお、図14は、気化筒回転数とインバータICの出力周波数の関係を示す制御特性線であり、図21は、燃料供給量、インバータICの出力周波数、気化筒回転数の関係を示すものである。
【0051】
前記構成によると、燃料供給量の増大による気化筒32の内壁を回転しながら流動移動する液体燃料の膜厚や流動速度を軽減することができ、従来装置の3倍乃至5倍の燃焼量制御に対して、6倍乃至8倍の燃焼量制御を実現することができる。
【0052】
また、図15に示すように構成してもよい。モータ回転数制御手段71により、液体燃料供給量に応じて気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6の回転数を調節するにあたり、バーナ気化筒モータM6の低い回転数領域では、高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとする。なお、図15は、バーナ気化筒モータM6の回転数と燃料供給量制御信号の関係を示す制御特性線である。
【0053】
前記構成によると、バーナ気化筒モータM6の低い回転数領域では高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとすることにより、広い範囲で燃料の気化を適正化し適正燃焼を維持することができる。即ち、気化筒32を高速回転にすることにより、混合ガスの温度上昇と回転撹拌効果の上昇により気化必要空気量が低減し、高出力燃焼では省力運転となり、バーナ気化筒モータM6の駆動力を低減しながら適正燃焼を図ることができる。
【0054】
また、前記図15に示すように、バーナ気化筒モータM6の回転数の低い回転数領域では高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとすると共に、気化筒32の内周面に、液体燃料の流動を阻止する流下阻止手段(金網あるいはプレスによる粗面加工)74を設けように構成してもよい。気化筒32の内周面に流下阻止手段74を施すことにより、液体燃料の液膜の流動速度を減速し十分に気化することができ、高速回転領域での青火燃焼が可能となる。
【0055】
次に、図17及び図18に基づきバーナ5の燃焼制御の他の実施形態について説明する。
この実施形態は、気化筒32内壁の清掃をする気化筒清掃入力手段(スイッチ)SW7を制御部49の入力側に接続し、この気化筒清掃入力手段SW7のON信号により、バーナ5は通常の燃焼運転を開始し、その後液体燃料供給量を燃焼用空気供給量に同調制御しつつ漸減調節し、所定の液体燃料漸減量で所定時間にわたり燃料供給量制御信号を固定して燃焼を継続し、所定時間が終了するとバーナ5の燃焼を停止するものである。
【0056】
ロータリガス化型のバーナ5の使用時間が長くなると、気化筒32の内周面に液体燃料の変成成分であるタールが固着し、気化能力の低下や、変成成分の固着部分から液体燃料が飛散し、気化が十分に行われず適正に燃焼しないという不具合が発生する。
【0057】
しかし、前記のように、通常燃焼運転に比較して液体燃料の所定漸減状態で所定時間継続して燃焼することにより、気化筒内壁の変成成分であるタールが溶解除去され、気化筒32の内壁を清掃することができる。
【0058】
図17に示すように、通常の燃焼運転では燃料供給手段である電磁ポンプ46等の制御信号はS1〜S3の範囲で供給制御されるが、気化筒内壁の清掃運転モードでは、更に液体燃料の供給量が低減し、供給燃料の気化は気化筒32の始端側部分で終了する。そして、図18に示すように、気化筒内壁の温度は上昇し500度Cを超えるまで上昇する。例えば、燃料供給量をS0に固定し液体燃料を0.5リットル/時間にすれば、550度Cぐらいまで上昇し、例えば、1時間程度の清掃運転を継続することにより、変成成分のタールを溶解除去することができる。従って、定期的に気化筒内壁の清掃運転モードを実行することにより、長期にわたり適正燃焼を維持することができる。
【0059】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードを実行するにあたり、図19に示すように、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度の高低に応じて液体燃料の供給量を変更するように構成し、また、検出外気温度が所定値以上に高くなったときには、燃料供給制御信号を固定し所定量の燃料供給量を所定時間継続しながら燃焼するように構成してもよい。
【0060】
例えば、燃料供給量制御信号で0.1リットル/時間の燃料供給量で燃焼して気化筒内壁の清掃をした場合に、外気温度の低下と共に気化筒内壁の温度が低下し、変成成分であるタールの溶解効果が薄れてくる。そこで、更に燃料供給量を低減することにより、適正燃焼を維持するための燃焼用空気供給量の低下によるバーナ5の燃焼部冷却作用の低減、供給燃料の減少による気化潜熱の減少等により気化筒内壁の温度の低下を抑制し、冬季のような低気温時にも十分な変成成分の溶解をすることができる。
【0061】
なお、図19に示すように、外気温度0度C程度以下では、燃料供給量制御信号をS0に固定しこれ以上減少しないようにしたのは、燃焼維持限界での燃焼運転であり、これ以下の燃料供給量では失火する怖れがあるためである。
【0062】
一方、外気温度が上昇しても、燃料供給量制御信号をS0に固定して燃焼を継続した場合には、変成成分の除去はできるが、バーナ5の燃焼部の温度上昇が過剰となり、逆火による気化筒32内での燃焼発生や燃焼部の赤熱による異常な過熱状態となる。そこで、燃料供給量を少し増加し、適正燃焼維持のための燃焼用空気供給量を増加することにより、バーナ燃焼部の冷却作用の増大、供給燃料の増加による気化潜熱の増加等により、気化筒内壁の異常な温度上昇を抑制することができる。
【0063】
しかし、更に外気温度の上昇に応じて燃料の供給量を増加していくと、燃料の気化は気化筒32の始端側部分まで移行し気化筒内壁の温度は燃料の気化潜熱により熱量を取られ急激に低下するので、変成成分の溶解が進まなくなる。従って、外気温度が例えば27度C付近で燃料供給量制御信号を頭打ちとして一定に保持することで、気化筒内壁の自動清掃メンテナンスをすることができる。
【0064】
また、更に外気温度が30度Cを超えるような場合には、気化筒内壁清掃モードの運転時間を短縮すれば、外気温度の広い範囲で適正な気化筒内壁の清掃作用を自動動で行なうことができる。
【0065】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードを実行するにあたり、気化筒内壁清掃運転時間を増減変更する清掃時間設定スイッチSW8を制御部49の入力側に接続し、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度が高くなると清掃時間を短くし、また、検出外気温度が低くなると清掃時間を長くするように構成してもよい。このように構成することにより、気化筒内壁の清掃精度の向上を図ることができる。なお、図20は気化筒内壁の清掃時間と外気温度との関係を示す制御特性線である。
【0066】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードにおいて、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度が所定値以下になると、気化筒内壁の清掃運転を作動不能にするように構成してもよい。前記構成によると、冬季のメンテナンス時には、外気温度が低くなり過ぎ所望の気化筒内壁温度に到達しない場合がある。このような場合に、気化筒内壁の清掃運転を停止することで、信頼性の高い気化筒内壁の清掃メンテナンスができる。
【0067】
制御部49に使用燃料の温度情報を検出する使用燃料温度特性検出手段SE7を制御部49の入力側に接続し、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。即ち、使用燃料温度特性検出手段SE7による使用燃料の検出温度が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少調節し、また、使用燃料の検出温度が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加制御するようにしてもよい。前記構成によると、使用燃料の温度の高低にかかわらず、液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】穀物乾燥機の一部切断した正面図
【図2】穀物乾燥機の切断側面図
【図3】バーナの斜視図
【図4】バーナの切断側面図
【図5】バーナの切断側面図
【図6】制御ブロック図
【図7】燃焼用液体燃料の温度と燃焼用空気温度との関係を示すグラフ
【図8】バーナの切断側面図
【図9】送風ファンの燃焼用空気取入筒の切断側面図
【図10】送風ファンの燃焼用空気取入筒の切断側面図
【図11】バーナの切断側面図
【図12】バーナ気化筒モータの電気回路図
【図13】モータ回転数制御手段のブロック図
【図14】気化筒回転数とインバータICの出力周波数との関係の制御特性線を示す。
【図15】バーナ気化筒モータの回転数と燃料供給量制御信号の関係の制御特性線を示す。
【図16】気化筒の切断側面図
【図17】燃料供給量と燃焼供給量制御信号との関係の制御特性線を示す。
【図18】気化筒内壁温度と燃料供給量との関係の制御特性線を示す。
【図19】目標燃料供給量制御信号と外気温度との関係の制御特性線を示す。
【図20】気化筒内壁の清掃時間と外気温度との関係の制御特性線を示す。
【図21】燃料供給量、インバータICの出力周波数、気化筒回転数の関係の制御特性を示す。
【符号の説明】
【0069】
5 バーナ
32 気化筒(気化部)
34 送風ファン
34a 燃焼用空気取入筒
36 燃焼部(燃焼盤)
39a 燃料パイプ
39b 第一燃料パイプ
39c 第二燃料パイプ
61 気化部
64 温度上昇手段(ガイド板)
【技術分野】
【0001】
この発明は燃焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料燃焼装置において、燃料を気化する気化室と、この気化室に連通したバーナと、前記気化室に先端を臨ませた燃料ノズルと、この燃料ノズルに燃料を供給する燃料ポンプと、電気ヒータで気化室へ流入する空気を加熱する空気加熱室と、バーナの燃焼熱で空気を加熱し且つ加熱空気を気化室へ送る熱交換器と、熱交換器へ空気を供給する送風機を備えたものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−129611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特開平6−129611号公報のものは、液体燃料を安定して気化燃焼するために、バーナで予熱した燃焼用空気をヒータにより更に予熱する構成であるが、供給液体燃料の高出力化と共に、予熱ヒータが高出力化しコンパクトで安価な液体燃焼装置を構成できないという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明は、バーナの燃焼用空気及び液体燃料を高温にしてバーナに供給することで、バーナの燃焼能力の増大を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、液体燃料を気化させる気化部(32、61)と、該気化部(32、61)に連通して燃焼火炎tを発生させる燃焼部(36、62)と、気化部(32、61)に燃焼用空気を供給する送風ファン(34)と、前記燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取り入れ口(32b)と、燃料が通過する燃料パイプ(39a)とを設け、燃焼用空気取り入れ口(32b)と燃料パイプ(39a)とを前記燃焼火炎t位置近傍に配置したことを特徴とする燃焼バーナとする。
【0006】
前記構成によると、燃焼用空気は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている燃焼用空気取入口(34b)から燃焼火炎tにより高温の燃焼用空気を送風ファン(34)に取り入れられ、また、燃焼用液体燃料は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている燃料パイプ(39a)を経て温度が上昇して気化部(32、61)に送られ気化される。
【0007】
請求項2の発明は、前記燃焼用空気取入筒(34a)及び前記燃料パイプ(39a)を燃焼部(36、62)の燃焼火炎t位置の側方に配置したことを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナとする。
【0008】
前記構成によると、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの燃焼位置の左右側方に配置されている燃焼用空気取入口(34b)から燃焼火炎tにより高温の燃焼用空気を送風ファン(34)に取り入れられ、また、燃焼用液体燃料は燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの側方に配置されている燃料パイプ(39a)を経て温度が上昇して気化部(32、61)に送られ気化される。
【0009】
請求項3の発明は、前記燃料パイプ(39a)を、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている第一燃料パイプ(39b)と、この第一燃料パイプ(39b)の配置位置よりも燃焼火炎tから遠い位置に配置している第二燃料パイプ(39c)と、第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)側に切り替える切替弁(65)とを備え、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油することを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナとする。
【0010】
前記構成によると、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、液体燃料と燃焼用空気は共にバーナ(5)の燃焼熱により周囲の温度よりも高温の状態で気化部(32、61)に供給されるので、予熱効果により同じサイズの燃焼部(36、62)でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【0012】
請求項2の発明は、液体燃料と燃焼用空気は共に燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの左右側方を経て燃焼火炎tにより周囲の温度よりも高温にされて気化部(32、61)に供給されるので、液体燃料と燃焼用空気は燃焼火炎tの燃焼熱に確実に晒されることができ、予熱効果により同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図り、燃焼効率を高めることができる。
【0013】
請求項3の発明は、液体燃料の粘性情報に基づき、液体燃料は第一燃料パイプ39bあるいは第二燃料パイプ39cを経て気化部(32、61)に送られ、気化部(32、61)での気化作用を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まず、図1及び図2に基づきこの発明を実施する循環式穀物乾燥機の全体構成について説明する。
【0015】
1は穀物乾燥機の機枠で、この機枠1内には貯溜室2、乾燥室3及び集穀室4を上方から下方に順次配設している。乾燥室3には左右穀物流下通路9,9を形成し、左右穀物流下通路9,9の内側にはバーナ5側のバーナ風胴に通じる熱風室6を配設し、穀物流下通路9,9の左右外側には吸引排気ファン7側のファン胴に通じる左右排風室8,8を配設し、各穀物流下通路9,9の下端合流部に繰出バルブ10を設け、この繰出バルブ10の往復回転により、穀物を所定量づつ繰り出しながら流下させ、穀物に熱風を浴びせて乾燥するように構成している。
【0016】
前記機枠1の外側には集穀室4の前後一側に集めた穀物を貯溜室2に揚穀還元する昇降機11を立設している。この昇降機11内には上下に軸架した駆動プーリ12a及び従動プーリ(図示省略)にバケットベルト13を巻き掛け、集穀室4の底部に設ける下部搬送装置14により乾燥穀物を前後一側に移送し、昇降機11により揚穀するように構成している。この昇降機11で揚穀された穀物は、昇降機11の揚穀投げ口11aから上部搬送装置16の始端側に供給し、更に上部搬送装置16により横送して貯溜室2の上部中央部に配設する回転拡散板18に送り、貯溜室2内に拡散落下させるように構成している。
【0017】
前記昇降機11、下部搬送装置14、上部搬送装置16から構成されている穀物循環系は、昇降機11の機枠上部に配設している昇降機モータ(図示省略)により駆動される。また、昇降機11における上下中途部の壁面には、バケットベルト13の上昇行程と下降行程の間隔部に取込み口(図示省略)を設けて、この取込み口(図示省略)の下方部位に水分計26を着脱自在に配設している。この水分計26は、例えば一対の電極ロール間でサンプル粒を1粒づつ圧縮粉砕し、その抵抗値を電気的に処理して穀粒の水分値に換算する公知のものである。
【0018】
次に、穀物乾燥機の作用について説明する。
張込ホッパ(図示省略)から昇降機11を利用して貯溜室2に所定量の穀物を張り込む。次いで、穀物種類、乾燥仕上水分値等を設定し乾燥作業を開始する。貯溜室2内の穀物は乾燥室3を流下し熱風を浴びながら集穀室4に流下する。熱風により乾燥された穀類は下部搬送装置14で一側に移送され、次いで昇降機11により揚穀され、上部搬送装置16に引き継がれ再び貯溜室2に循環移送され、暫くの間調質作用を受ける。このような行程を繰り返しながら仕上水分値に到達すると、乾燥作業は終了する。
【0019】
次に、図3〜図5に基づきバーナ5について説明する。
バーナ5はこの実施形態ではロータリ気化型バーナに構成されていて、多数のスリット状の外気取り入れ口kを形成したバーナ風胴25内に配設されている。ケーシング27の正面側に燃焼筒28を設け、ケーシング27内にはバーナ気化筒モータM6を設け、バーナ気化筒モータM6の前方に突出するモータ軸30に逆円錐形状の拡散体31を取り付け、この拡散体31の周囲を覆うように気化筒32を取り付ける。
【0020】
また、気化筒32の内周部には固定状態の送風筒35を設け、バーナ風胴25内下方には燃焼用空気送風用の送風ファン34を配設し、送風ファン34から送風案内筒35aを介して送風筒35に向けて燃焼用空気を送るように構成している。燃焼筒28の中心部前面には燃焼盤36を嵌合装着し、この燃焼盤36には複数のガス噴出孔36a,…を設けている。また、燃焼筒28には正面視において外周側へ膨出する膨出部28aを形成し、この膨出部28aに一対の電極部からなる点火手段としてのイグナイタ38を設け、ノズル39から供給される灯油の微粒化燃料にイグナイタ38により着火する構成としている。40は燃焼炎の有無を検出するフレームロッドで、燃焼中の炎電流を検出し制御部に出力する。
【0021】
前記送風案内筒35aの上方に電磁ポンプ46を設け、電磁ポンプ46の駆動によりノズル39を介して燃料の灯油を拡散体31に供給し、イグナイタ38の通電により点火し着火燃焼するように構成している。
【0022】
乾燥作業にあたり、バーナ5は電磁ポンプ46からの供給燃料にイグナイタ38に通電し点火することにより燃焼を開始する。即ち、バーナ気化筒モータM6の回転により気化筒32が回転し、燃焼空気供給用のファンモータM5の回転により送風ファン34が回転し送風筒35に燃焼用空気が導入される。また、ノズル39からの燃料は高速回転している拡散体31に衝突しながら微粒化され、気化筒32の内周面に沿って拡散流動しながら点火燃料飛散間隙からガイド体33に流れ更に外周側に案内され、イグナイタ38により点火される。次いで、燃焼火炎tによる輻射熱で気化筒32の内周面を移行する微粒化燃料はガス化されて燃焼盤36の裏面に導かれ、ガス噴出孔36a,…を通って表面側に噴出し青火で燃焼する。
【0023】
次に、図6に基づき制御ブロック構成について説明する。
バーナ風胴25の上方にコントロールボックス45を設け、コントロールボックス45内には制御部49を設けている。制御部49の入力側には、各種スイッチ、センサを設けている。即ち制御部49の入力には、入力回路を介して穀粒種類切換スイッチSW1、張込スイッチSW2、乾燥スイッチSW3、排出スイッチSW4、停止スイッチSW5、使用する燃料の燃焼難易度を設定する使用燃料特性切替手段SW6、気化筒清掃入力スイッチSW7、気化筒清掃時間設定スイッチSW8を接続し、また、A/D変換部を介して、外気温度センサSE1、張込量検出センサSE2、熱風温度センサSE3、穀物温度センサSE4、バーナ風胴25の外気空気量を検出する外気空気量検出手段SE5、水分計26、フレームロッドSE6、使用燃料温度特性検出手段SE7、使用燃料粘性検出手段SE8を接続している。
【0024】
また、制御部49の出力側には、可変手段を介してバルブモータM1、出力回路を介して昇降機モータM2、送風機モータM3、水分計モータM4を接続し、また、可変手段を介して燃焼用空気供給用のファンモータM5、バーナ気化筒モータM6を接続し、また、出力回路を介して燃料供給用の電磁ポンプ46、燃料バルブ47、イグナイタ38を接続し、また、出力回路を介して表示部48を接続している。
【0025】
制御部49のバーナ駆動信号は燃料ポンプ46のON/OFF信号及び大小供給信号、バーナ気化筒モータM6の回転数指令信号、ファンモータM5の回転数指令信号、イグナイタ38の通電信号等があり、燃料供給量、燃焼空気供給量及び気化筒回転数を同調制御し液体燃料を気化燃焼させる。
【0026】
また、乾燥作業中には、予め設定記憶されている熱風設定温度と熱風温度センサSE3の検出熱風温度を比較し、その差が小になるように周期的にオンされる燃料供給用の燃料ポンプ46のオンタイム信号を長短に変更制御しながら乾燥作業をし、穀物水分が仕上げ水分値になると乾燥作業を停止する。
【0027】
次に、図5について説明する。
ロータリ気化型のバーナ5において、燃焼用空気送風用の送風ファン34の燃焼用空気取入筒34aの先端部を、バーナ風胴25内の燃焼盤36から発生する燃焼火炎t位置の側方に配置し、且つ、バーナ風胴25の送風方向下手側に向けて開口部34bを開口し、周囲の空気よりも高温の空気を送風ファン34に取り込むように構成している。また、燃料パイプ39aからノズル39に液体燃料の灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aを燃焼盤36よりも燃焼方向下手側、すなわちバーナの燃焼火炎tの燃焼位置の側方を経由し、燃焼火炎tの燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化筒32に供給するように構成している。
【0028】
そして、この実施形態では、燃焼用液体燃料の温度を、図7に示すように燃焼開始からある程度の時間を越えると燃焼用空気の温度よりも高温にするようにしている。なお、図7は燃焼用液体燃料の温度と燃焼用空気の温度の上昇状態を示すグラフである。
【0029】
前記構成によると、気化筒32に供給する液体燃料と燃焼用空気を共にバーナ5の燃焼熱により周囲の温度よりも高温にして気化筒32に供給するので、燃焼部各部の燃焼用空気による冷却を低減し、また、供給液体燃料の予熱効果により、同じサイズの燃焼部でも従来装置に比較して格段の気化能力のアップを図ることができる。また、供給液体燃料の増加に伴い高温の液体燃料及び燃焼用空気を供給することができ、コンパクトな構成でありながら極めて安定した燃焼状態を維持することができる。
【0030】
また、図8の実施形態は、別のタイプ型のバーナ5を示すもので、燃焼用空気送風用の送風ファン34の燃焼用空気取入筒34aの先端開口部34bを、燃焼盤36より燃焼方向下手側、すなわち燃焼火炎tの燃焼位置側方に配置し、且つ、バーナ風胴25の送風方向下手側に向けて開口部34bを開口し、周囲の空気よりも高温の空気を送風ファン34に送り込むようにしている。また、燃料パイプ39aからノズル39に燃料灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aの中途部を燃焼盤36の燃焼火炎tの側方を迂回する構成とし、燃焼火炎tにより灯油を周囲の温度よりも高温にして気化室61に送りノズル39から噴射し、高温の燃料と高温の空気を混合し、燃焼筒28の燃焼体62で燃焼させるように構成している。
【0031】
次に、図9について説明する。
前記ロータリ気化型バーナ5(図5に示す)あるいは図8に示すバーナ5において、送風ファン34に燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取入筒34aの先端開口部34bを、標準状態でバーナ風胴25内の燃焼盤36の燃焼火炎tの側方に配置し、この空気取入筒34aの開口部34bに調節取入筒63を取り付けている。
【0032】
この調節取入筒63は、長筒部63aと短筒部63bを対向配置した構成としている。しかして、図9(A)に示すように、空気取入筒34aの先端の調節取入筒63の長筒部63aを、燃焼火炎tに近づけるようにして取り付けると、通常の外気温度に近い空気を多く取り込むことができ、また、図9(B)に示すように、調節取入筒60の短筒部60bを燃焼火炎tに近づけるようにして取り付けると、温度の高い空気を多く取り込むことができ、異なる温度の燃焼用空気を取り込むことができるように構成している。
【0033】
また、図9(C)に示すように、空気取入筒34aの屈曲部に大小に調節できる空気調節孔35cを設けて、先端開口部34bから取り入れる燃焼ガスの取入量と、空気調節孔35cから取り入れるバーナ風胴25の周辺部の空気取入量を変更調節して、異なる温度の燃焼用空気を取り入れるよう構成してもよい。
【0034】
また、燃料パイプ39aからノズル39に灯油を送るにあたり、燃料パイプ39aの中途部を燃焼盤36の燃焼火炎tの方向に長短に調節して、燃焼火炎tによる温度上昇を調節し、気化筒32あるいは気化室61に送り込むように構成している。
【0035】
また、図10に示すように構成してもよい。空気取入筒34aの開口部34bには、ガイド板64を軸支し、ガイド板調節モータM7(例えばステッピングモータ)によりガイド板64の先端部をバーナの火炎に対して遠近方向に調節し、火炎の燃焼ガスの吸入量とバーナ風胴25の周辺空気の吸入量の流入比率を変更調節し、燃焼用空気の温度の上昇量を調節するように構成している。
【0036】
しかして、例えば、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が高い場合には、火炎の燃焼ガスの吸入量を減少側に調節しバーナ風胴25の周辺空気の吸入量を増加調節し、また、検出外気温度が低い場合には、火炎の燃焼ガスの吸入量を増加調節しバーナ風胴25の周辺空気の吸入量を減少調節する。従って、外気温度の高低にかかわらず気化筒32での液体燃料の気化作用を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【0037】
なお、液体燃料の粘性の大小を制御部49に入力し、この検出粘性情報によりガイド板64の回動角度を調節するようにしてもよい。
次に、図11について説明する。
【0038】
この実施形態は、燃料パイプ39aからノズル39により灯油を気化室61に送るにあたり、燃料パイプ39aをバーナ5の燃焼火炎tの側方を迂回するように燃焼方向下手側に伸び次いで燃焼方向上手側に向かって伸びる第一燃料パイプ39bと、この第一燃料パイプ29bにおける燃焼火炎tの根元部に対向する位置を接続する第二燃料パイプ39cとで構成し、第二燃料パイプ39cに設けた切替弁65を切替作動し、第一燃料パイプ39bを経由、あるいは、第二燃料パイプ39cを経由して送るように構成している。
【0039】
前記構成によると、例えば、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が設定温度より高い場合には、切替弁65を開放して第二燃料パイプ39cを経由して気化室61に液体燃料を送り、また、検出外気温度が設定温度より低い場合には、切替弁65を閉鎖して第一燃料パイプ39bを経由して気化室61に液体燃料を送る。従って、外気温度の高低に応じて液体燃料の温度を適正化し燃焼効率を高めることができる。
【0040】
また、外気温度センサSE1で外気温度(あるいは液体燃料の温度)を検出し、検出外気温度が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少し、また、検出外気温度が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加するように制御してもよい。前記構成によると、外気温度の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0041】
また、制御部49に使用燃料の粘性情報を入力する使用燃料特性設定手段SW6を設け、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。例えば軽油のように使用燃料の粘性が比較的高い場合には、使用燃料特性設定手段SW6により使用燃料の粘性を高く設定し、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加調節する。また、灯油のように使用燃料の粘性が比較的低い場合には、使用燃料の粘性を低く設定し、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少制御する。前記構成によると、使用燃料の粘性の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0042】
また、制御部49の入力側に使用燃料の粘性情報を検出する使用燃料粘性検出手段SE8を設け、この使用燃料粘性検出手段SE8を、例えば、使用液体燃料供給手段である燃料ポンプ46の燃料供給量制御信号に応じた電気的負荷情報により粘性の高低を検出し、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。
【0043】
前記構成によると、使用燃料粘性検出手段SE8による使用燃料の検出粘性情報が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加調節し、また、使用燃料の検出粘性情報が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少するように制御する。しかして、使用燃料の粘性の高低にかかわらず液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【0044】
また、図12及び図13に示すように構成してもよい。気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6を、コンデンサ始動またはコンデンサ誘導の単相モータとし、毎分3600回転以上で運転するモータ回転数制御手段71を設ける構成としてもよい。なお、単相モータのバーナ気化筒モータM6は、図12に示すように、電気回路に主巻線M6a、副巻線M6b、コンデンサM6c、回転子M6dを配設した構成である。
【0045】
モータ回転数制御手段71は、図13に示すように、ロータリ気化型バーナ5のバーナ気化筒モータM6を毎分3600回転以上で回転させ、気化筒32を毎分3600回転以上で回転するようにしている。このモータ回転数制御手段71として、インバータによるパルス幅変調方式、あるいは、パルス振幅変調方式を採用している。
【0046】
穀物乾燥機に利用しているロータリ気化型バーナは、その燃焼形式から比較的高出力の熱源が得られることから、屋外のような温度変化の大きい環境下で長期に使用されている。市場ではロータリ気化型バーナについてコンパクトながら高出力が求められ、同一気化筒寸法で燃焼量の増大化が望まれている。
【0047】
この実施形態には、図13(A)に示すように、パルス幅変調方式でモータを制御駆動している。即ち、商用電源(60ヘルツのAC電源)を整流回路71aにより直流に変換してインバータIC71bに印加し、交流モータ駆動周波数70で駆動し、バーナ気化筒モータM6の回転数を毎分4100回転とし気化筒32を回転させる。
【0048】
また、図13(B)に示すように、パルス振幅変調方式でモータを制御駆動してもよい。商用電源(60ヘルツのAC電源)を整流回路71aにより直流に変換し、スイッチング回路71cを経由してインバータIC71bに印加し、交流モータ駆動周波数70ヘルツで駆動し、バーナ気化筒モータM6の回転数を毎分4100回転とし気化筒32を回転させる。
【0049】
このように高速回転させることで、気化筒32の内壁を流動する液体燃料(例えば白灯油)の膜厚を薄くし、また、気化筒32の外壁に接する燃焼ガスの撹拌作用向上に基づく熱伝達作用の促進により気化能力が増大し、同一寸法のバーナにより高出力化を実現することができる。また、高速回転により気化燃料と燃焼空気との混合が促進され、理論空気量での燃焼でも赤火燃焼を起こすようなこともなく、青色燃焼させることができる。
【0050】
また、図14に示すように構成してもよい。モータ回転数制御手段71により、液体燃料供給量に応じて気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6の回転数を調節するにあたり、燃焼用空気供給量の同調制御よりも軽微な変更比率で変更するように構成してもよい。なお、図14は、気化筒回転数とインバータICの出力周波数の関係を示す制御特性線であり、図21は、燃料供給量、インバータICの出力周波数、気化筒回転数の関係を示すものである。
【0051】
前記構成によると、燃料供給量の増大による気化筒32の内壁を回転しながら流動移動する液体燃料の膜厚や流動速度を軽減することができ、従来装置の3倍乃至5倍の燃焼量制御に対して、6倍乃至8倍の燃焼量制御を実現することができる。
【0052】
また、図15に示すように構成してもよい。モータ回転数制御手段71により、液体燃料供給量に応じて気化筒32回転用のバーナ気化筒モータM6の回転数を調節するにあたり、バーナ気化筒モータM6の低い回転数領域では、高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとする。なお、図15は、バーナ気化筒モータM6の回転数と燃料供給量制御信号の関係を示す制御特性線である。
【0053】
前記構成によると、バーナ気化筒モータM6の低い回転数領域では高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとすることにより、広い範囲で燃料の気化を適正化し適正燃焼を維持することができる。即ち、気化筒32を高速回転にすることにより、混合ガスの温度上昇と回転撹拌効果の上昇により気化必要空気量が低減し、高出力燃焼では省力運転となり、バーナ気化筒モータM6の駆動力を低減しながら適正燃焼を図ることができる。
【0054】
また、前記図15に示すように、バーナ気化筒モータM6の回転数の低い回転数領域では高い比率の制御特性線73aとし、高い回転数領域では低い比率の制御特性線73bとすると共に、気化筒32の内周面に、液体燃料の流動を阻止する流下阻止手段(金網あるいはプレスによる粗面加工)74を設けように構成してもよい。気化筒32の内周面に流下阻止手段74を施すことにより、液体燃料の液膜の流動速度を減速し十分に気化することができ、高速回転領域での青火燃焼が可能となる。
【0055】
次に、図17及び図18に基づきバーナ5の燃焼制御の他の実施形態について説明する。
この実施形態は、気化筒32内壁の清掃をする気化筒清掃入力手段(スイッチ)SW7を制御部49の入力側に接続し、この気化筒清掃入力手段SW7のON信号により、バーナ5は通常の燃焼運転を開始し、その後液体燃料供給量を燃焼用空気供給量に同調制御しつつ漸減調節し、所定の液体燃料漸減量で所定時間にわたり燃料供給量制御信号を固定して燃焼を継続し、所定時間が終了するとバーナ5の燃焼を停止するものである。
【0056】
ロータリガス化型のバーナ5の使用時間が長くなると、気化筒32の内周面に液体燃料の変成成分であるタールが固着し、気化能力の低下や、変成成分の固着部分から液体燃料が飛散し、気化が十分に行われず適正に燃焼しないという不具合が発生する。
【0057】
しかし、前記のように、通常燃焼運転に比較して液体燃料の所定漸減状態で所定時間継続して燃焼することにより、気化筒内壁の変成成分であるタールが溶解除去され、気化筒32の内壁を清掃することができる。
【0058】
図17に示すように、通常の燃焼運転では燃料供給手段である電磁ポンプ46等の制御信号はS1〜S3の範囲で供給制御されるが、気化筒内壁の清掃運転モードでは、更に液体燃料の供給量が低減し、供給燃料の気化は気化筒32の始端側部分で終了する。そして、図18に示すように、気化筒内壁の温度は上昇し500度Cを超えるまで上昇する。例えば、燃料供給量をS0に固定し液体燃料を0.5リットル/時間にすれば、550度Cぐらいまで上昇し、例えば、1時間程度の清掃運転を継続することにより、変成成分のタールを溶解除去することができる。従って、定期的に気化筒内壁の清掃運転モードを実行することにより、長期にわたり適正燃焼を維持することができる。
【0059】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードを実行するにあたり、図19に示すように、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度の高低に応じて液体燃料の供給量を変更するように構成し、また、検出外気温度が所定値以上に高くなったときには、燃料供給制御信号を固定し所定量の燃料供給量を所定時間継続しながら燃焼するように構成してもよい。
【0060】
例えば、燃料供給量制御信号で0.1リットル/時間の燃料供給量で燃焼して気化筒内壁の清掃をした場合に、外気温度の低下と共に気化筒内壁の温度が低下し、変成成分であるタールの溶解効果が薄れてくる。そこで、更に燃料供給量を低減することにより、適正燃焼を維持するための燃焼用空気供給量の低下によるバーナ5の燃焼部冷却作用の低減、供給燃料の減少による気化潜熱の減少等により気化筒内壁の温度の低下を抑制し、冬季のような低気温時にも十分な変成成分の溶解をすることができる。
【0061】
なお、図19に示すように、外気温度0度C程度以下では、燃料供給量制御信号をS0に固定しこれ以上減少しないようにしたのは、燃焼維持限界での燃焼運転であり、これ以下の燃料供給量では失火する怖れがあるためである。
【0062】
一方、外気温度が上昇しても、燃料供給量制御信号をS0に固定して燃焼を継続した場合には、変成成分の除去はできるが、バーナ5の燃焼部の温度上昇が過剰となり、逆火による気化筒32内での燃焼発生や燃焼部の赤熱による異常な過熱状態となる。そこで、燃料供給量を少し増加し、適正燃焼維持のための燃焼用空気供給量を増加することにより、バーナ燃焼部の冷却作用の増大、供給燃料の増加による気化潜熱の増加等により、気化筒内壁の異常な温度上昇を抑制することができる。
【0063】
しかし、更に外気温度の上昇に応じて燃料の供給量を増加していくと、燃料の気化は気化筒32の始端側部分まで移行し気化筒内壁の温度は燃料の気化潜熱により熱量を取られ急激に低下するので、変成成分の溶解が進まなくなる。従って、外気温度が例えば27度C付近で燃料供給量制御信号を頭打ちとして一定に保持することで、気化筒内壁の自動清掃メンテナンスをすることができる。
【0064】
また、更に外気温度が30度Cを超えるような場合には、気化筒内壁清掃モードの運転時間を短縮すれば、外気温度の広い範囲で適正な気化筒内壁の清掃作用を自動動で行なうことができる。
【0065】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードを実行するにあたり、気化筒内壁清掃運転時間を増減変更する清掃時間設定スイッチSW8を制御部49の入力側に接続し、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度が高くなると清掃時間を短くし、また、検出外気温度が低くなると清掃時間を長くするように構成してもよい。このように構成することにより、気化筒内壁の清掃精度の向上を図ることができる。なお、図20は気化筒内壁の清掃時間と外気温度との関係を示す制御特性線である。
【0066】
また、前記気化筒内壁の清掃運転モードにおいて、バーナ5の周囲温度を例えば外気温度センサSE1により検出し、検出外気温度が所定値以下になると、気化筒内壁の清掃運転を作動不能にするように構成してもよい。前記構成によると、冬季のメンテナンス時には、外気温度が低くなり過ぎ所望の気化筒内壁温度に到達しない場合がある。このような場合に、気化筒内壁の清掃運転を停止することで、信頼性の高い気化筒内壁の清掃メンテナンスができる。
【0067】
制御部49に使用燃料の温度情報を検出する使用燃料温度特性検出手段SE7を制御部49の入力側に接続し、この入力情報によりバーナ気化筒モータM6の回転数を制御するように構成してもよい。即ち、使用燃料温度特性検出手段SE7による使用燃料の検出温度が高い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を減少して気化筒32の回転数を減少調節し、また、使用燃料の検出温度が低い場合には、バーナ気化筒モータM6の回転数を増加して気化筒32の回転数を増加制御するようにしてもよい。前記構成によると、使用燃料の温度の高低にかかわらず、液体燃料の気化を適正化し、燃焼効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】穀物乾燥機の一部切断した正面図
【図2】穀物乾燥機の切断側面図
【図3】バーナの斜視図
【図4】バーナの切断側面図
【図5】バーナの切断側面図
【図6】制御ブロック図
【図7】燃焼用液体燃料の温度と燃焼用空気温度との関係を示すグラフ
【図8】バーナの切断側面図
【図9】送風ファンの燃焼用空気取入筒の切断側面図
【図10】送風ファンの燃焼用空気取入筒の切断側面図
【図11】バーナの切断側面図
【図12】バーナ気化筒モータの電気回路図
【図13】モータ回転数制御手段のブロック図
【図14】気化筒回転数とインバータICの出力周波数との関係の制御特性線を示す。
【図15】バーナ気化筒モータの回転数と燃料供給量制御信号の関係の制御特性線を示す。
【図16】気化筒の切断側面図
【図17】燃料供給量と燃焼供給量制御信号との関係の制御特性線を示す。
【図18】気化筒内壁温度と燃料供給量との関係の制御特性線を示す。
【図19】目標燃料供給量制御信号と外気温度との関係の制御特性線を示す。
【図20】気化筒内壁の清掃時間と外気温度との関係の制御特性線を示す。
【図21】燃料供給量、インバータICの出力周波数、気化筒回転数の関係の制御特性を示す。
【符号の説明】
【0069】
5 バーナ
32 気化筒(気化部)
34 送風ファン
34a 燃焼用空気取入筒
36 燃焼部(燃焼盤)
39a 燃料パイプ
39b 第一燃料パイプ
39c 第二燃料パイプ
61 気化部
64 温度上昇手段(ガイド板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料を気化させる気化部(32、61)と、該気化部(32、61)に連通して燃焼火炎tを発生させる燃焼部(36、62)と、気化部(32、61)に燃焼用空気を供給する送風ファン(34)と、前記燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取り入れ口(32b)と、燃料が通過する燃料パイプ(39a)とを設け、燃焼用空気取り入れ口(32b)と燃料パイプ(39a)とを前記燃焼火炎t位置近傍に配置したことを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項2】
前記燃焼用空気取入筒(34a)及び前記燃料パイプ(39a)を燃焼部(36、62)の燃焼火炎t位置の側方に配置したことを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナ。
【請求項3】
前記燃料パイプ(39a)を、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている第一燃料パイプ(39b)と、この第一燃料パイプ(39b)の配置位置よりも燃焼火炎tから遠い位置に配置している第二燃料パイプ(39c)と、第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)側に切り替える切替弁(65)とを備え、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油することを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナ。
【請求項1】
液体燃料を気化させる気化部(32、61)と、該気化部(32、61)に連通して燃焼火炎tを発生させる燃焼部(36、62)と、気化部(32、61)に燃焼用空気を供給する送風ファン(34)と、前記燃焼用空気を取り入れる燃焼用空気取り入れ口(32b)と、燃料が通過する燃料パイプ(39a)とを設け、燃焼用空気取り入れ口(32b)と燃料パイプ(39a)とを前記燃焼火炎t位置近傍に配置したことを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項2】
前記燃焼用空気取入筒(34a)及び前記燃料パイプ(39a)を燃焼部(36、62)の燃焼火炎t位置の側方に配置したことを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナ。
【請求項3】
前記燃料パイプ(39a)を、燃焼部(36、62)の燃焼火炎tの近傍に配置されている第一燃料パイプ(39b)と、この第一燃料パイプ(39b)の配置位置よりも燃焼火炎tから遠い位置に配置している第二燃料パイプ(39c)と、第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)側に切り替える切替弁(65)とを備え、液体燃料の粘性情報に基づき切替弁(65)を切り替えて第一燃料パイプ(39b)あるいは第二燃料パイプ(39c)に送油することを特徴とする請求項1記載の燃焼バーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−190823(P2008−190823A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28226(P2007−28226)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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