説明

画像形成装置、制御プログラムおよびコンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】カラーの現像剤の消費量を抑えて画像形成を行なうことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】カラー複写機1は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒信号生成部15と、入力色信号から黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成部14とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なうものであって、入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値判定部11と、黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定部10を有し、現像剤セーブモードが選択されると、最小値判定部11は最小値を特定し、カラー信号生成部14は入力色信号の各色成分値から最小値を減算してカラー信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を印刷することができる画像形成装置に関するものであり、より詳細には、カラーの現像剤の使用量を通常時よりも少なくして画像形成する現像剤セーブモードが選択できる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
色成分データに基づいて各色の現像材を用いてカラー画像を形成する画像形成装置は、例えば、カラープリンタ、カラーファクシミリ、カラー複写機等に利用されている。このような画像形成装置では、一般に、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色の現像材(トナーまたはインク)を使用してカラー画像を形成する。この4色の現像材は、通常、カートリッジ等の容器に収容され、消費されると新たなカートリッジと交換する方式により供給される。
【0003】
そして、上記画像形成装置では、例えば、4色中のC、M、Yが一体になったカートリッジや、C、M、Yのそれぞれが独立しているカートリッジ等が使用される。
【0004】
ところで、画像形成装置に用いられる4色の各現像材の消費量は、作成する画像により異なる。従って、上記一体になったカートリッジを使用した場合には、C,M,Yのいずれか一つの色がなくなってしまっただけで、カートリッジ全体が使用不可になってしまい、残っている他の色を無駄にしていた。また、C、M、Y、Kがそれぞれ独立したカートリッジを用いた場合であっても、購入の手間などの関係で4色の現像材を一括で購入する場合が多く、特定の色の現像材が余ってしまうという問題が生じている。
【0005】
また、上記のようなカラー画像を形成する画像形成装置の場合、C、M、Yの現像剤の価格は、Kの現像剤と比べて高く、C、M、Yの現像剤の使用量を少なくすることが求められている。
【0006】
このような問題点に対して、例えば、特許文献1、2に開示の技術が提案されている。
【0007】
具体的には、上記特許文献1、2では、各色の現像剤の残量を検出し、各色の現像剤の残量が均一になるようにC、M、Yの現像剤の混色比を変更することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−20759号公報(公開日;2004年1月22日)
【特許文献2】特開平8−108548号公報(公開日;1996年4月30日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、各色の現像剤の消費量を均一にすることはできるが、カラーの現像剤の使用量を低減させることはできないという問題を生じる。
【0009】
すなわち、上記特許文献1、2の構成では、各色の現像剤の残量を検出し、この残量に応じて、残量が多い現像剤を多く使用することで現像剤の使用量を均一にしている。しかしながら、上記特許文献1、2は、現像剤の消費量を抑えるものではないため、混色比率を変えて画像形成を行なったとしても、カラーの現像剤であるC、M、Yの現像剤の使用量を少なくすることはできない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラーの現像剤の消費量を抑えて画像形成を行なうことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、通常印刷モードに対して上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段を有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、カラー信号生成手段は通常印刷モードで用いられる値と比べて高い値である1以下の所定の値を上記最小値に乗じた値を、上記入力色信号の各色成分値から減算してカラー信号を生成するものであることを特徴としている。
【0012】
上記の構成では、現像剤セーブモードが選択可能になっており、当該現像剤セーブモードが選択されると、入力色信号のうちの最も色成分値が小さい色成分の現像剤を極力使用しないようにカラー信号を生成している。これにより、通常の画像形成処理と比べて、最も色成分値の少ない色成分に対応した現像剤を使用することがなく、かつ、入力色信号の各色成分から最も色成分値の少ない色成分に近い値を減算しているので、黒色以外の現像剤の使用量を低減させることができる。
【0013】
また、入力信号から最も色成分値の少ない色成分の色成分値に近い値をそれぞれ減算することでカラー信号を生成しているので、色相の変化を抑制したままで、現像剤の使用量を低減させることができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、上記の課題を解決するために、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、通常印刷モードに対して、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段とを有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、上記黒色信号生成手段は上記最小値特定手段にて特定された最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値を減算した後、さらに残りの色成分のうちの最小色成分の色成分値から所定の色成分値だけ減算することで、上記カラー信号を生成することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、上記現像剤セーブモードが選択されると、最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成するとともに、入力色信号から最小値を減算した後の、最も色成分値が少ない色成分、すなわち、色成分値が2番目に少ない色成分の色成分値も減算してカラー信号を生成している。これにより、黒色以外の現像剤の使用量をより一層低減させることができる。また、最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成することで、画像を明瞭化させることができる。これにより、上記構成とすることで、現像剤の使用量を低減させるとともに、画像の明瞭化を図ることができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置において、上記入力色信号は、CMY形式の色信号である構成であってもよい。
【0017】
上記の構成とすることで、黒色以外の色の現像剤の使用量が低減されるように、CMY形式の色信号からCMYK形式の色信号を生成することができる。
【0018】
本発明に係る画像形成装置において、上記モード判定手段は、現像剤の使用量を抑制しないで画像形成を行なう通常印刷モードが選択されたか否かを判定するものであり、上記通常印刷モードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、上記黒色信号生成手段は上記現像剤セーブモードにて生成される黒色信号の色成分値よりも小さな色成分値となるように、上記最小値以下の色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記黒色信号の色成分値を減算してカラー信号を生成するものである構成であってもよい。
【0019】
上記通常印刷モードは、上記現像剤セーブモードに比べて、現像剤の使用量を抑制しないで画像形成を行なう印刷モードである。この通常印刷モードでは、上記入力色信号の各色成分値から、現像剤セーブモードと異なる上記最小値以下の色成分値を有する黒色信号の色成分値を減算することでカラー信号を生成している。
【0020】
上記の構成によれば、現像剤セーブモードと通常印刷モードとのいずれかが選択されたかを判定でき、この判定結果に基づいてカラー信号の生成処理を変える。つまり、用途に応じて、現像剤の使用量を低減させることができる現像剤セーブモードと画質が劣化することなく画像形成を行なえる通常印刷モードとを選択できる。
【0021】
また、通常印刷モードでは、上記黒色信号生成手段は上記現像剤セーブモードにて生成される黒色信号の色成分値よりも小さな色成分値となるように、上記最小値以下の色成分値を有する黒色信号を生成しているため、最終的に得られる画像の粒状感が増加することを防止でき、画質の低減を抑制することができる。また、彩度の低下を防止できる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置において、上記入力色信号から、最も割合の多い色成分の色成分値である最大値を特定するとともに、上記画像データと隣接する隣接画像データの入力色信号である隣接入力色信号から、上記最大色成分と同じ色成分の色成分値である隣接色成分値とを特定する最大値特定手段と、上記最大値と隣接色成分値とを比較する比較手段とを備え、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記カラー信号生成手段は、上記比較結果に基づいて、上記最大値と隣接色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成する構成であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、入力色信号のうち最も色成分値が多い色成分の色成分値と、隣接する画像データにおける同色の色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成する。これにより、隣接する画像データとの間を明瞭化することができる。
【0024】
本発明に係る画像形成装置において、外部から入力された画像データを、テキストおよび線分を少なくとも1つ示すテキスト画像領域とそれ以外の画像領域とに領域分離する領域分離手段を備え、上記テキスト画像領域に分離された画像領域に含まれるテキストの幅および線分の幅の少なくとも1つが狭くなるように上記画像データを補正する画像データ補正手段を備える構成であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、テキストの幅および/または線分の幅が狭くなるように画像データを補正している。これにより、テキストおよび線分を画像形成するための現像剤の使用量を低減することができる。
【0026】
本発明に係る画像形成装置において、上記画像データに基づいて画像形成する際に飛び越し走査により画像形成された画像が得られるように、上記画像データを補正する画像データ補正手段を備える構成であってもよい。
【0027】
上記の構成では、上記画像データ補正手段は、飛び越し走査するように画像データを補正している、換言すると、元の画像データに基づいて画像形成を行なう際に飛び越し走査を行なって画像形成するための画像データを補正している。つまり、上記画像データ補正手段は、元の画像データに対して間引き処理を行なうことで、当該画像データの補正を行っている。これにより、画像データに基づく画像形成を行なう際に必要な現像剤の使用量をより一層低減させることができる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置において、上記画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なうことで上記画像データを補正する画像データ補正手段を備える構成であってもよい。
【0029】
上記の構成では、元の画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なっている。これにより、画像データに基づく画像形成を行なう際に必要な現像剤の使用量をより一層低減させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る画像形成装置は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段を有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値に1以下の所定の値を乗じた値を減算してカラー信号を生成するものである構成である。
【0031】
また、本発明に係る画像形成装置は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、通常印刷モードに対して、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段とを有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、上記黒色信号生成手段は上記最小値特定手段にて特定された最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値を減算した後、さらに残りの色成分のうちの最小色成分の色成分値から所定の色成分値だけ減算することで、上記カラー信号を生成する構成である。
【0032】
それゆえ、通常の画像形成処理と比べて、最も色成分値の少ない色成分に対応した現像剤を使用することがなく、かつ、上記入力色信号の各色成分から最も色成分値の少ない色成分を減算しているので、黒色以外の現像剤の使用量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。本発明にかかる画像形成装置は、通常の画像形成時よりも、カラーの現像剤の使用量を抑えて画像形成できる現像剤セーブモードを選択できる画像形成装置であって、上記現像剤セーブモードが選択された場合には、黒色以外の複数色の現像剤のうち、画像データを構成している複数色の色信号のうち最も割合の少ない色成分に対応した色の現像剤を極力使用しないで画像を形成する構成である。なお、上記画像データとは、画像を構成している複数の画素のうちの1画素に相当するものである。そして、上記画像形成装置は、上記複数の画像データに基づいて画像形成を行うことで、最終的な画像を形成している。
【0034】
まず、本実施の形態にかかる画像形成装置について説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるデジタルカラー複写機(以下、カラー複写機と称する)1の構成を示す断面図である。このカラー複写機1は印刷モードを設定する機能を有し、利用者により設定された印刷モード或いは自動的に設定された印刷モードに応じた印字出力が実行される。
【0036】
上記印刷モードとしては、予め設定された、つまり、デフォルト状態の通常印刷モード、および、使用する現像剤のうち、黒色以外の現像剤の使用量を抑えて画像形成を行なう現像剤セーブモードがある。また、上記現像剤セーブモードには、形成される画像と、オリジナルの画像との色相を変化させないで現像剤の使用量を低減させるセーブモード1、および、上記色相を変化させて現像剤の使用量を上記セーブモード1よりもさらに低減させたセーブモード2等が含まれていてもよい。なお、上記セーブモード1およびセーブモード2については後述する。
【0037】
また、上記カラー複写機1は、上記印刷モードの他に、例えば、原稿画像の種類(テキスト画像、写真画像、テキストと写真の混在画像、G3等のFAX画像)に応じた階調処理を実行して印字出力するモード等を備えていてもよい。そして、これら原稿画像の種類に応じた階調処理を実行して印字出力する印刷モードとしては、具体的には、上記原稿画像の種類に応じて、テキストモード、写真モード、テキスト/写真混在モード、FAXモード等がある。
【0038】
なお、上記カラー複写機1は画像形成装置の単なる一例であって、他の例として、例えばモノクロ複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置、或いはこれらの各機能を有する複合機が該当する。
【0039】
図2に示すように、カラー複写機1の上面には、原稿台111及び後述する操作パネルが設けられている。また、カラー複写機1の内部には、原稿読取部40および画像形成部42が設けられている。
【0040】
原稿台111の上面には、当該原稿台111に対して開閉可能な状態で支持され、かつ、原稿台111面に対して所定の位置に原稿を搬送する両面自動原稿送り装置(RADF;Reversing Automatic Document Feeder)112が装着されている。
【0041】
この両面自動原稿送り装置112は、まず、原稿の一方の面が原稿台111の所定位置(原稿読取部40と対向する位置)にくるように当該原稿を搬送し、この原稿の一方の面の画像読み取りが終了した後に、他方の面が原稿台111の所定位置(原稿読取部40と対向する位置)にくるように原稿を反転させて搬送する。そして、両面自動原稿送り装置112は、1枚の原稿について両面の画像読み取りが終了した後でこの原稿を排出し、次の原稿についての両面搬送動作を実行する。なお、両面自動原稿送り装置112における原稿の搬送および表裏反転の動作は、複写機全体の動作に関連して制御されるものである。
【0042】
原稿読取部40は、原稿に形成されている画像を読み取るものである。そして、原稿読取部40は、両面自動原稿送り装置112によって原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像を読み取るために、原稿台111の下方に配置されている。そして、原稿読取部40は、当該原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体113、114と、光学レンズ115と、光電変換素子であるカラーCCD40aとを有している。
【0043】
この原稿走査体113、114は、第1の走査ユニット113と第2の走査ユニット114とから構成されている。第1の走査ユニット113は原稿画像表面を露光する露光ランプと、原稿からの反射光像を所定の方向に向かって偏向する第1ミラーとを有し、原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動するものである。また、第2の走査ユニット114は、第1の走査ユニット113の第1ミラーにより偏向された原稿からの反射光像をさらに所定の方向に向かって偏向する第2および第3ミラーとを有し、第1の走査ユニット113と一定の速度関係を保って平行に往復移動するものである。
【0044】
光学レンズ115は、第2の走査ユニットの第3ミラーにより偏向された原稿からの反射光像をカラーCCD40a上の所定位置に結像させるものである。
【0045】
カラーCCD40aは、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。カラーCCD40aは、白黒画像あるいはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDである。このカラーCCD40aにより電気信号に変換された原稿画像情報は、さらに、後述する画像処理部に転送されて所定の画像データ処理が施される。
【0046】
次に、画像形成部42の構成、および画像形成部42に係わる各部の構成について説明する。
【0047】
画像形成部42の下方には、用紙トレイ内に積載収容されている用紙(記録媒体)Pを1枚ずつ分離して画像形成部42に向かって供給する給紙機構211が設けられている。そして1枚ずつ分離供給された用紙Pは、画像形成部42の手前に配置された一対のレジストローラ212によりタイミングが制御されて画像形成部42に搬送される。さらに、片面に画像が形成された用紙Pは、画像形成部42の画像形成にタイミングを合わせて画像形成部42に再供給搬送される。
【0048】
画像形成部42の下方には、転写搬送ベルト機構213が配置されている。転写搬送ベルト機構213は、駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Pを静電吸着させて搬送する構成となっている。そして、転写搬送ベルト216の下側に近接して、パターン画像検出ユニットが設けられている。
【0049】
さらに、用紙搬送路における転写搬送ベルト機構213の下流側には、用紙P上に転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させるための定着装置217が配置されている。この定着装置217の一対の定着ローラ間のニップを通過した用紙Pは、搬送方向切り換えゲート218を経て、排出ローラ219によりカラー複写機1の本体の外壁に取り付けられている排紙トレイ220上に排出される。
【0050】
切り換えゲート218は、定着後の用紙Pの搬送経路を、カラー複写機1の本体へ用紙Pを排出する経路と、画像形成部42に向かって用紙Pを再供給する経路との間で選択的に切り換えるものである。切り換えゲート218により再び画像形成部42に向かって搬送方向が切り換えられた用紙Pは、スイッチバック搬送経路221を介して表裏反転された後、画像形成部42へと再度供給される。
【0051】
また、画像形成部42における転写搬送ベルト216の上方には、転写搬送ベルト216に近接して、第1の画像形成ステーションPa、第2の画像形成ステーションPb、第3の画像形成ステーションPc、および第4の画像形成ステーションPdが、用紙搬送経路上流側から順に並設されている。
【0052】
転写搬送ベルト216は駆動ローラ214によって、図2において矢印Zで示す方向に摩擦駆動され、前述したように給紙機構211を通じて給送される用紙Pを担持し、用紙Pを画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
【0053】
各画像ステーションPa〜Pdは、実質的に同一の構成を有している。各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、図2に示す矢印F方向に回転駆動される感光体ドラム222a、222b、222c、および222dをそれぞれ含んでいる。
【0054】
各感光体ドラム222a〜222dの周辺には、感光体ドラム222a〜222dをそれぞれ一様に帯電する帯電器223a、223b、223c、223dと、感光体ドラム222a〜222d上に形成された静電潜像をそれぞれ現像する現像装置224a、224b、224c、224dと、現像された感光体ドラム222a〜222d上のトナー像を用紙Pへ転写する転写用放電器225a、225b、225c、225dと、感光体ドラム222a〜222d上に残留するトナーを除去するクリーニング装置226a、226b、226c、226dとが感光体ドラム222a〜222dの回転方向に沿って順次配置されている。
【0055】
また、各感光体ドラム222a〜222dの上方には、レーザービームスキャナユニット(以下、LSUと称する)227a、227b、227c、227dがそれぞれ設けられている。LSU227a〜227dは、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子(図示せず)、半導体レーザ素子からのレーザービームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー(偏向装置)240と、ポリゴンミラー240により偏向されたレーザービームを感光体ドラム222a〜222d表面に結像させるためのfθレンズ241やミラー242、243などから構成されている。
【0056】
LSU227aにはカラー原稿画像の黒色成分像に対応する画素信号が、LSU227bにはカラー原稿画像のシアン色成分像に対応する画素信号が、LSU227cにはカラー原稿画像のマゼンタ色成分像に対応する画素信号が、そして、LSU227dにはカラー原稿画像のイエロー色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力される。
【0057】
これにより色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体ドラム222a〜222d上に形成される。そして、現像装置224aには黒(K)色のトナーが、現像装置224bにはシアン(C)色のトナーが、現像装置224cにはマゼンタ(M)色のトナーが、現像装置224dにはイエロー(Y)色のトナーがそれぞれ収容されており、感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は、これら各色のトナーにより現像される。これにより、画像形成部42にて色変換された原稿画像情報が各色のトナー像として再現される。
【0058】
また、第1の画像形成ステーションPaと給紙機構211との間には用紙吸着用帯電器228が設けられている。そして、この吸着用帯電器228は、転写搬送ベルト216の表面を帯電させる。そして、給紙機構211から供給された用紙Pは、転写搬送ベルト216上に確実に吸着させた状態で第1の画像形成ステーションPaから第4の画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送される。
【0059】
一方、第4の画像ステーションPdと定着装置217との間で駆動ローラ214のほぼ真上部には除電器229が設けられている。この除電器229には搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Pを転写搬送ベルト216から分離するための交流電流が印加されている。
【0060】
上記構成のカラー複写機1においては、用紙Pとしてシート状の紙が使用される。この用紙Pは、給紙カセットから送り出されて給紙機構211の給紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサ(図示せず)にて検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ212により一旦停止される。
【0061】
そして、用紙Pは、各画像ステーションPa〜Pdとタイミングをとって、図2の矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト216上に送られる。このとき転写搬送ベルト216には前述したように吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので、用紙Pは、各画像ステーションPa〜Pdを通過する間、安定して搬送供給される。
【0062】
次に、各画像ステーションPa〜Pdにおいて各色のトナー像がそれぞれ形成され、転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で重ね合わされる。第4の画像ステーションPdによる画像(トナー像)の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次、除電用放電器により転写搬送ベルト216上から剥離され、定着装置217へと導かれる。最後に、トナー画像が定着された用紙Pは、用紙排出口(図示せず)から排紙トレイ220上へと排出される。
【0063】
なお、上述の説明ではLSU227a〜227dによって、レーザービームを走査して露光することにより、感光体への光書き込みを行なう例について説明している。しかし、例えば、LSUの代わりに、発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなる書き込み光学系(LEDヘッド)を用いても良い。LEDヘッドはLSUに比べ、サイズも小さく、また可動部分がなく無音である。よって、複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のカラー複写機などの画像形成装置では好適に用いることができる。
【0064】
図3は、カラー複写機1における制御を説明するためのブロック図である。以下、図3を参照して、上記カラー複写機1における制御の概要について説明する。
【0065】
図3に示すように、上記カラー複写機1は、原稿読取部40と、画像処理部41と、画像データ記憶部43と、外部画像データ入力部47と、濃度センサ信号入力部46と、画像編集部45と、外部インターフェース(外部I/F)48と、画像形成部42と、データ記憶部43と、CPU(中央演算処理装置)44とを備え、これらの各構成要素がデータバスにデータ通信可能に接続されて構成されている。
【0066】
上記原稿読取部40は、原稿の画像を読み取るものである。上記外部画像データ入力部47は、外部装置から転送された画像データを入力するものである。
【0067】
上記CPU44は、上記各構成要素を所定のシーケンスプログラムに基づいて統括的に制御するものである。
【0068】
上記原稿読取部40は、3ラインのカラーCCD40aと、シェーディング補正部(シェーディング補正回路)40bと、ラインバッファなどのライン合わせ部40cと、センサ色補正部(センサ色補正回路)40dと、MTF補正部(MTF補正回路)40eと、γ補正部(γ補正回路)40fとを備えて構成される。
【0069】
上記3ラインのカラーCCD40aは、白黒原稿またはカラー原稿の画像を読み取ってRGBの色成分に色分解したラインデータを出力するものである。上記シェーディング補正部40bは、上記カラーCCD40aにより読み取られた原稿画像におけるRGB各色のラインデータのライン画像レベルを補正するものである。上記ライン合わせ部40cは、上記各色のラインデータのずれを補正するものである。上記センサ色補正部40dは、上記各色のラインデータの各色相(色データ)を補正するものである。上記MTF補正部(MTF補正回路)40eは、各画素の信号の変化にめりはりを持たせるよう補正するものである。上記γ補正部40fは、画像の明暗を補正して視感度補正を行うものである。
【0070】
また、上記画像処理部41は、モノクロデータ生成部41aと、入力処理部41bと、領域分離部41cと、黒生成部41dと、色補正部(色補正回路)41eと、ズーム処理部(ズーム処理回路)41fと、空間フィルタ41gと、中間調処理部41hと、上記各構成要素における各処理を実行するDSP等の半導体プロセッサ(不図示)とを少なくとも有する。また、外部装置からCMYK形式の画像データを受け取る構成とする場合には、上記画像処理部41は、空間フィルタ41gにおける処理と中間調処理部41hにおける処理との間に、CMYK形式の画像データを入力するためのプリントデータ入力部41iが設けられている。
【0071】
上記モノクロデータ生成部41aは、モノクロコピーモード時に原稿読取部40から入力されるカラー画像信号であるRGB信号からモノクロデータを生成するものである。上記入力処理部41bは、フルカラーコピーモード時に入力されたRGB信号を前記画像形成部42が備えるYMC(イエロー、マゼンタ、シアン)の各色に対応するプロセスユニットに適用し得るYMC信号に変換すると共に、クロック変換するものである。
【0072】
上記領域分離部41cは、入力処理部41bまたはモノクロデータ生成部41aによって生成されたYMC信号またはモノクロデータを、領域分離するものである。具体的には、上記領域分離部41cは、画像データに含まれる画像の種類(例えば、文字、網点写真、画紙写真等)を判断し、上記画像データを文字領域(テキスト領域)、網点写真領域、印画紙写真領域等の画像の種類毎の領域に分離する。また、上記領域分離部41cは領域分離した画像データを補正してもよい。なお、上記領域分離部41cについては後述する。
【0073】
上記黒生成部41dは、領域分離部41cによって領域分離されたCMY信号に基づいてYMCK(Kはブラックを示している)信号を生成するものである。この黒生成部41dにおける処理については後述する。
【0074】
以下に、フルカラーコピーモード時に上記画像処理部41で行われる画像処理手順について簡単に説明する。
【0075】
上記入力処理部41bにおいてRGB信号からYMC信号に変換された画像データは、その後、領域分離部41cに転送される。この領域分離部41cでは、上記画像データに含まれる画像の種類(例えば、文字、網点写真、画紙写真等)が判断された後に、上記画像データが文字領域(テキスト領域)、網点写真領域、印画紙写真領域等の画像の種類毎の領域に分離される。続いて、上記各領域に分離された画像データは、上記黒生成部41dで当該画像データのYMC信号に基づいてYMCK信号が生成される(黒生成処理)。
【0076】
このようにして生成されたYMCK各色の画像データは、後段に設けられた色補正部(色補正回路)41eに転送される。この色補正部41eでは、印刷モード毎に用意された濃度補正データに基づいて、印字濃度を上記原稿読取部40や外部画像データ入力部47或いは外部インターフェース48から入力された入力画像の濃度に合わせるよう補正する処理(濃度補正処理)が行われる。上記濃度補正処理は、YMCK各色毎に行われる。そのため、一つの印刷モードの濃度補正データには、該印刷モードで印字される画像のYMCK各色に対応する色別濃度補正データが含まれている。そして濃度補正データは、上記色補正部41e内の図示しない濃度補正データ記憶部に記憶されている。
【0077】
上記濃度補正データ記憶部に格納された上記濃度補正データは、所定のタイミングで更正(修正)される。即ち、新たな濃度補正データを生成して上記濃度補正データ記憶部に格納された上記濃度補正データを、新たに生成された濃度補正データに更新する処理が行われる。これは、前記画像形成部42の感光体ドラム101(図2参照)の感光特性の経時的変化、或いは環境温度の変化等の種々の要因により、上記濃度補正処理後の画像データに基づいて印字された印字画像の濃度が入力画像(例えば原稿の画像)の濃度に適合しなくなるという問題に対処するために行われる。
【0078】
上記色補正部41eで濃度補正処理がなされた画像データは、その後、後段のズーム処理部(ズーム処理回路)41fで利用者により予め設定された倍率に応じた倍率変換処理がなされ、その後、空間フィルタ41gによるフィルタ処理がなされた後に、中間調処理部41hにおいて多値誤差拡散処理や多値ディザ処理等の階調性を表現するための中間調処理が行われる。
【0079】
上記画像処理部41において上述の各構成部により各種処理がなされた画像データは、画像データ記憶部43に格納される。上記画像データ記憶部43は、上記画像処理部41からシリアル出力されるYMCK各色8ビット(合計32ビット)の画像データを順次受け取り、図示しないバッファに一時的に記憶する。上記バッファに一次記憶された32ビットの画像データは、記憶された順に読み出されて、8ビット4色の画像データに変換された後に各色毎に設けられた4基のハードディスク(回転記憶媒体)43a、43b、43c、43dそれぞれに記憶される。
【0080】
上記ハードディスク43a〜43dに格納された8ビット4色の画像データが後述の画像形成部42のLSU227に出力されるタイミングになると、上記各色の画像データは、バッファメモリ43e(半導体メモリ)に一旦記憶され、それぞれ出力タイミングがずらされた後にYMCK各色に対応するLSU227(227a〜227d)に出力される。これにより、各画像プロセスユニットの配設位置が異なることによる出力タイミングのズレが補正され、中間転写ベルト上に順次転写される画像のズレが防止される。
【0081】
上記外部インターフェース(外部I/F)48は、カラー複写機1と接続して通信携帯端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の画像入力処理装置から画像データを受け入れるための通信インターフェース手段である。なお、この外部I/F48から入力される画像データも、一旦画像処理部41に入力されて前記した濃度補正処理や中間調処理等が行われることで、カラー複写機1のプロセスユニットにおいて画像形成され得るデータレベルに変換される。
【0082】
上記外部画像データ入力部47はカラー複写機1とネットワーク等を介して外部接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置またはファクシミリ装置において作成された画像データを入力するプリンタインタフェースまたはFAXインターフェースである。この外部画像データ入力部47から入力される画像データは、前記した濃度補正処理、倍率変換処理、フィルタ処理等がなされたYMCK信号に既に変換されているため、前記中間調処理部41hのみを経た後に画像データ記憶部43のハードディスク43a、43b、43c、43dに記憶管理されることになる。
【0083】
上記画像編集部45は、上記外部画像データ入力部47、上記画像処理部41または上記外部I/F48を経て上記画像データ記憶部43に転送(或いは入力)されて上記各ハードディスク43a〜dに格納された画像データに対して所定の画像編集処理を行うものである。この画像編集処理は、図示しない画像合成用メモリ上の仮想描画領域で行われる。なお、画像データ記憶部43のバッファメモリ43eを画像合成用メモリとして用いてもかまわない。
【0084】
図1は、本実施の形態にかかる領域分離部(領域分離手段)41cおよび黒生成部41dの構成を示すブロック図である。ここで、本実施の形態にかかる画像処理部41が備える領域分離部41cおよび黒生成部41dの詳細について説明する。
【0085】
上記領域分離部41cは、画像データ補正部20を備えている。また、上記黒生成部41dは、モード判定部(モード判定手段)10、最小値判定部(最小値特定手段)11、印刷データ作成部12および記憶部13を備えている。また、上記印刷データ作成部12は、黒信号生成部(黒色信号生成手段)15とカラー信号生成部(カラー信号生成手段)14とを備えており、カラー信号生成部14は、最大値特定部(最大値特定手段)16と明瞭化処理部(比較手段)17とを備えている。なお、上記構成のうち、画像データ補正部20、最大値特定部16および明瞭化処理部17は、必要に応じて設けられていればよい。
【0086】
上記画像データ補正部(画像データ補正手段)20は、上記領域分離部41cにおいて、領域分離された画像データを補正するものである。具体的には、上記画像データ補正部20は、領域分離部41cによって、画像データがテキストおよび線分を示すテキスト画像領域とそれ以外の画像領域とに領域分離され、その中でテキスト画像領域と判断された画像領域に含まれるテキストの幅および線分の幅が狭くなるように上記画像データを補正するものである。
【0087】
また、上記画像データ補正部20は、上記補正の代わりに、領域分離部41に入力された画像データに対して間引き処理を行なうことで画像データを補正するものであってもよい。
【0088】
さらに、上記画像データ補正部20は、上記補正の代わりに、領域分離部41に入力された画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なうことで上記画像データを補正するものであってもよい。
【0089】
より詳細には、上記画像データ補正部20は、ピクセルデータの段階で1ラインごとのマスク、または、千鳥格子のマスクをかけて、画像データの間引き処理を行なうものであってもよい。
【0090】
上記モード判定部10は、画像データの印刷を行なう際にどの印刷モードで印刷を行なうか否かを判定するものである。この印刷モードは、例えば、ユーザが図示しない操作部を操作することで決定されたり、画像形成部42に備えられている現像剤の残量に応じて制御部により決定されたりする。つまり、上記モード判定部10は、上記操作部または制御部から送信された印刷モードを受信して、この印刷モードの種類を判定するものである。
【0091】
上記最小値判定部11は、領域分離部41cから入力されたCMY信号(カラー信号)の各色成分信号から、最も色成分値が少ない色信号および当該色信号の色成分値(以下、最小値として説明する)を求めるものである。
【0092】
上記印刷データ作成部12は、上記モード判定部10による判定結果、および、最小値判定部11における結果に基づいて、上記モード判定部10によって判定された印刷モードに最適な印刷データを作成するものである。より具体的には、上記印刷データ作成部12は、領域分離部41cから入力されたCMY信号から、最小値判定部11により特定された最小値を用いて、上記モード判定部10によって判定された印刷データに適したCMYK信号を生成するものである。
【0093】
そして、上記印刷データ作成部12は、カラー信号生成部14と黒信号生成部15とを有している。
【0094】
この黒信号生成部15は、記憶部13に記憶されているテーブルとモード判定部10により判定された印刷モードと最小値判定部11における結果とを参照して、上記領域分離部41cから入力されたCMY信号からK信号を生成するものである。
【0095】
上記カラー信号生成部14は、領域分離部41cから入力されたCMY信号から、CMYK信号のうちのCMY信号を生成するものである。なお、以下の説明では、説明の便宜上、カラー信号生成部14によって生成されたCMY信号をC´M´Y´信号として説明する。
【0096】
より詳細には、上記カラー信号生成部14は、上記セーブモード1およびセーブモード2におけるC´M´Y´信号を生成する場合には、上記モード判定部10によって判定された判定結果および最小値判定部11における結果に基づいてC´M´Y´信号を生成する。また、上記カラー信号生成部14は、上記通常印刷モードにおけるC´M´Y´信号を生成する場合には、上記モード判定部10によって判定された判定結果および黒信号生成部15によって生成された黒色信号(K信号)の色成分値に基づいてC´M´Y´信号を生成する。このC´M´Y´信号およびK信号の生成については後述する。
【0097】
また、上記カラー信号生成部14は、最大値特定部16と明瞭化処理部17とを備えており、セーブモード2におけるC´M´Y´信号を生成する場合には、この最大値特定部16と明瞭化処理部17を動作させて、C´M´Y´信号を生成する。
【0098】
上記最大値特定部16は、領域分離部41cから入力されたCMY信号(カラー信号)の各色成分信号から、最も色成分値が多い色信号および当該色信号の色成分値(以下、最大値として説明する)を求めるものである。
【0099】
また、上記最大値特定部16は、上記画像データに隣接する隣接画像データの入力色信号である隣接入力色信号から、上記最大色成分と同じ色成分の色成分値である隣接色成分値を求めるものでもある。
【0100】
上記明瞭化処理部17は、上記最大値特定部16の判定結果から、上記最大値と隣接色成分値とを比較し、両者の色成分値の差が所定値よりも小さい場合には、いずれか一方の色成分値を変更することで、明瞭化処理を行なうものである。
【0101】
上記記憶部13には、最小値判定部11における結果とK信号の生成量とが対応付けられたテーブルを記憶している。そして、このテーブルは、モード判定部10により判定される印刷モードに対応している。なお、以下の説明では、印刷モードとして、通常印刷モード、セーブモード1およびセーブモード2がある例について説明する。
【0102】
そして、上記記憶部13には、通常印刷モードに対応したテーブル(以下、TBL Nとして説明する)、セーブモード1に対応したテーブル(以下、TBL S1)、およびセーブモード2に対応したテーブル(以下、TBL S2)が記憶されている。
【0103】
ここで、本実施の形態における通常印刷モードと現像剤セーブモード(セーブモード1およびセーブモード2)とにおいて、カラー信号であるC´M´Y´信号および黒色信号であるK信号の生成方法の違いについて説明する。なお、上述のように、K信号は、黒信号生成部15によって生成され、C´M´Y´信号はカラー信号生成部14によって生成される。また、上記C´M´Y´信号およびK信号を併せて印刷データとする。
【0104】
図4は、通常印刷モードにおける印刷データを作成する方法を説明する図面である。図5は、セーブモード1における印刷データを作成する方法を説明する図面である。図6は、セーブモード2における印刷データを作成する方法を説明する図面である。なお、以下の説明では、領域分離部41cから8ビット256階調(0〜255)のCMY信号が入力されるものとする。また、上記3つの印刷モードにおいて、Y信号が100、M信号が70、C信号が50である画像データが上記領域分離部41cから入力された場合について説明する。
【0105】
(通常印刷モードの場合)
まず、外部(操作部または制御部)より、モード判定部10に、入力された画像データの出力形態である印刷モードが入力される。そして、モード判定部10は、上記画像データを通常印刷モードで印刷すると判定した場合、当該モード判定部10は、最小値判定部11に対して、最小値を特定する旨の指示を出す。
【0106】
そして、上記旨を受信した最小値判定部11は、領域分離部41cから、CMY(50・70・100)信号が入力されると、上記CMY信号の各色成分値が最も小さい色信号およびこの色信号の色成分値(すなわち、最小値)を求める。そして、この場合、上記最小値判定部11は、最小値がC信号(50)であると判定する。そして、この結果を印刷データ作成部12に通知する。
【0107】
上記最小値を受け取った印刷データ作成部12は、この最小値を黒信号生成部15に通知する。そして、上記黒信号作成部は、上記最小値を参照してK信号を生成する。具体的には、黒信号生成部15は、最小値であるC信号の色成分値50に所定の割合をかけることによりK信号を生成する。ここでは、最小値の60%をK信号とする。従って、黒信号生成部15は、上記最小値に基づいて、K信号(30)を生成する。そして、黒信号生成部15は、上記K信号(30)を外部とカラー信号生成部14とに通知する。
【0108】
上記カラー信号生成部14は、上記K信号(30)を用いて、領域分離部41cから入力されたCMY(50・70・100)信号からC´M´Y´信号を生成する。具体的には、上記カラー信号生成部14は、CMY(50・70・100)信号の各色成分値(階調値)からK信号の色成分値30を減算することで、C´M´Y´信号を生成する。つまり、上記カラー信号生成部14は、C´M´Y´(20・40・70)信号を生成する。そして、カラー信号生成部14は、このC´M´Y´(20・40・70)信号を外部に出力する。
【0109】
つまり、通常印刷モードにおいては、上記印刷データ作成部12は、図4に示すように、CMY(50・70・100)信号からC´M´Y´K(20・40・70・30)を生成する。
【0110】
(セーブモード1の場合)
まず、外部(操作部または制御部)より、モード判定部10に、入力された画像データの出力形態である印刷モードが入力される。そして、モード判定部10は、上記画像データをセーブモード1で印刷すると判定した場合、当該モード判定部10は、最小値判定部11に対して、最小値を特定する旨の指示を出す。
【0111】
そして、上記旨を受信した最小値判定部11は、領域分離部41cから、CMY(50・70・100)信号が入力されると、上記CMY信号の各色成分値が最も小さい色信号およびこの色信号の色成分値(すなわち、最小値)を求める。そして、この場合、上記最小値判定部11は、最小値がC信号(50)であると判定する。そして、この結果を印刷データ作成部12に通知する。
【0112】
上記最小値を受け取った印刷データ作成部12は、この最小値を黒信号生成部15とカラー信号生成部14とに通知する。そして、上記黒信号作成部は、上記最小値を参照してK信号を生成する。具体的には、黒信号生成部15は、最小値であるC信号の色成分値50に所定の割合をかけることによりK信号を生成する。ここでは、最小値の80%をK信号とする。従って、黒信号生成部15は、上記最小値に基づいて、K信号(40)を生成する。そして、黒信号生成部15は、上記K信号(40)を外部に出力する。
【0113】
上記カラー信号生成部14は、上記最小値を用いて、領域分離部41cから入力されたCMY(50・70・100)信号からC´M´Y´信号を生成する。具体的には、上記カラー信号生成部14は、CMY(50・70・100)信号の各色成分値(階調値)から最小値であるC信号の色成分値50を減算することで、C´M´Y´信号を生成する。つまり、上記カラー信号生成部14は、C´M´Y´(0・20・50)信号を生成する。そして、カラー信号生成部14は、このC´M´Y´(0・20・50)信号を外部に出力する。
【0114】
つまり、セーブモード1においては、上記印刷データ作成部12は、図5に示すように、CMY(50・70・100)信号からC´M´Y´K(0・20・50・40)を生成する。
【0115】
なお、上記の説明において、このセーブモード1では、CMY信号から最小値をそれぞれ減算することでC´M´Y´信号を生成しているが、例えば、CMY信号から、最小値に1以下の所定の値(通常印刷モード時に使用される係数(値)よりも大きな値)を乗じた値を減算することでC´M´Y´信号を生成してもよい。
【0116】
(セーブモード2の場合)
このセーブモード2は、セーブモード1と比べて、CMY信号の色相を操作するものである。
【0117】
まず、外部(操作部または制御部)より、モード判定部10に、入力された画像データの出力形態である印刷モードが入力される。そして、モード判定部10は、上記画像データをセーブモード2で印刷すると判定した場合、当該モード判定部10は、最小値判定部11に対して、最小値を特定する旨の指示を出す。
【0118】
そして、上記旨を受信した最小値判定部11は、領域分離部41cから、CMY(50・70・100)信号が入力されると、上記CMY信号の各色成分値が最も小さい色信号およびこの色信号の色成分値(すなわち、最小値)を求める。そして、この場合、上記最小値判定部11は、最小値がC信号(50)であると判定する。そして、この結果を印刷データ作成部12に通知する。
【0119】
上記最小値を受け取った印刷データ作成部12は、この最小値を黒信号生成部15とカラー信号生成部14とに通知する。そして、上記黒信号作成部は、上記最小値を参照してK信号を生成する。具体的には、黒信号生成部15は、最小値であるC信号の色成分値50と同じ色成分値を有するK信号を生成する。つまり、黒信号生成部15は、上記最小値に基づいて、K信号(50)を生成する。そして、黒信号生成部15は、上記K信号(50)を外部に出力する。
【0120】
上記カラー信号生成部14は、上記最小値を用いて、領域分離部41cから入力されたCMY(50・70・100)信号からC´M´Y´信号を生成する。具体的には、上記カラー信号生成部14は、CMY(50・70・100)信号の各色成分値(階調値)から最小値であるC信号の色成分値50を減算する。
【0121】
さらに、カラー信号生成部14は、減算したCMY(0・20・50)信号のうち、2番目に色成分値が小さかったM信号(20)を小さくすることにより、CMY信号を1次色の色信号に近づける。具体的には、カラー信号生成部14は、上記M(20)信号の色成分値を半分にしたC´M´Y´信号を生成する。つまり、上記カラー信号生成部14は、C´M´Y´(0・10・50)信号を生成する。そして、カラー信号生成部14は、このC´M´Y´(0・10・50)信号を外部に出力する。
【0122】
つまり、セーブモード1においては、上記印刷データ作成部12は、図6に示すように、CMY(50・70・100)信号からC´M´Y´K(0・10・50・40)を生成する。
【0123】
なお、上記の説明では、セーブモード2において、カラー信号生成部14は、2番目に色成分値が少ない色信号を少なくして、C´M´Y´信号を生成しているが、上記に限定されるものではなく、例えば、2番目に色成分が少ない色信号の色成分値を0にして、C´M´Y´信号を生成してもよい。また、上記の説明では、2番目に少ない色成分値を半分にした例を説明しているが、減らす割合としては、適宜設定すればよく、また、割合ではなく所定値だけ減算することで、C´M´Y´信号を生成してもよい。
【0124】
また、上記の説明では、通常印刷モードでは最小値の60%、セーブモード1では最小値の80%、セーブモード2では最小値の100%の色成分値を有するK信号を生成しているが、この割合については、上記に限定されるものではなく、セーブモード(セーブモード1およびセーブモード2)のほうが通常印刷モードと比べて高い割合となるようにK信号を生成すれば、適宜設定すればよい。
【0125】
このとき、黒成分の信号であるK信号を最小値の100%に置き換えて生成すると、粒状感が増加し、ざらついた画質になる、色がくすみ彩度が低下するなどの弊害があるため、K信号を、最小値に対して100%置換(フルブラック)せず、所定の割合に置換(スケルトンブラック)することが好ましい。
【0126】
そして、本実施の形態では、セーブモード2では、現像剤の消費量を最も抑えるために、フルブラック(つまり100%)置換を行なっている。一方、通常印刷モードでは、良好な画質を得るためにα%置換を行なっている。そして、セーブモード1では、置換率を、セーブモード2と通常印刷モードとの置換率との中間の値であるβ%(α<β<100)としている。
【0127】
これにより、セーブモード2では、現像剤の消費量の低減を最も少なくし、セーブモード1では、トナーセーブと画質劣化防止の両立を図り、通常印刷モードでは画質の向上を図っている。
【0128】
また、セーブモード2においては、通常印刷モードまたはセーブモード1と同じ置換率としても良い。
【0129】
なお、上記置換率は、印刷モードによって変化するだけではなく、最小値の値によっても変化する。具体的には、最小値が最大色成分値(最大階調値)と比べて相対的に小さい場合には、上記置換率は小さくなる。一方、最小値が最大色成分値と比べて相対的に大きい場合には、上記置換率は大きくなる。つまり、上記置換率の大きさは最小値の大きさによって変動する。
【0130】
また、上記の説明では、所定の割合をかけることでK信号を生成しているが、上記に限定されるものではなく、最小値から所定値だけ減算することによりK信号を生成してもよい。なお、所定値だけ減算することでK信号を生成する場合においても、上記「所定値」とは常に一定の値ではなく、最小値によって変化する値である。つまり、上記所定値は最小値の値と対応付けられており、最小値の値によって所定値は変動する。
【0131】
ここで、最小値とK信号との関係について説明する。図7は、記憶部13に記憶されているテーブルを説明するためのグラフである。
【0132】
本実施の形態において、上記通常印刷モードとセーブモード1とセーブモード2とでは、領域分離部41cから入力されるCMY信号のうちの最小値に対する黒色信号の生成度合いがそれぞれ異なっている。
【0133】
具体的には、通常印刷モードでは、図7に示すように、最小値が小さければ黒色信号は生成されない。また、セーブモード2では、最小値とK信号の色成分値とは比例関係になっている。そして、セーブモード1では、上記通常印刷モードにおける曲線と、セーブモード2における直線との間となるように、上記最長値とK信号との関係を示す曲線が形成されている。
【0134】
そして、上記記憶部13には、上記各印刷モードにおける、最小値とK信号との関係を示すテーブルが記憶されている。具体的には、上記記憶部13には、上記TBL NとTBL S1とTBL S2との3つのテーブルが記憶されている。そして、黒信号生成部15は、上記モード判定部10の判定結果に基づいて、記憶部13に記憶されているテーブルを選択し、このテーブルと最小値判定部11より入力される最小値とに基づいてK信号を生成している。
【0135】
ここで、印刷モードの違いによって黒色信号およびカラー信号の生成の違いについて説明する。
【0136】
図8は、黒生成部41dによって行なわれる印刷モードに応じた、カラー信号および黒色信号の生成処理を説明するフローチャートである。
【0137】
まず、黒生成部41dのモード判定部10は、外部(操作部または制御部)より入力された印刷モードの種類(通常印刷モード、S1モード、S2モード)を判定する(S10)。具体的には、上記モード判定部10は、印刷モードが通常モード(通常印刷モード)であるか否かを判定する(S11)。
【0138】
そして、上記ステップS11にて、通常モードであると判定すると(S11にてYES)、上記モード判定部10は、通常モードである旨を印刷データ作成部12に通知する。また、上記モード判定部10は、最小値判定部11に対して、領域分離部41cより入力されるCMY信号の最小値を求めるように指示を出す。
【0139】
次に、通常モードである旨を受信した印刷データ作成部12の黒信号生成部15は、通常モードにおける黒色信号を生成するために、記憶部13に記憶されているテーブル(TBL N)を選択する(S12)。
【0140】
上記最小値判定部11は、上記領域分離部41cより入力されたCMY信号から最小値を求める(S13)。そして、上記最小値判定部11は、求めた最小値を印刷データ作成部12に通知する。
【0141】
次に、黒信号生成部15は、選択したTBL Nおよび上記最小値を用いて、黒色信号を生成する(S14)。具体的には、黒信号生成部15は、TBL Nにおける最小値に該当する信号値を黒色信号として生成する(黒色信号生成処理)そして、黒信号生成部15は、生成した黒色信号を、外部およびカラー信号生成部14に通知する。
【0142】
次に、カラー信号生成部14は、上記黒色信号を用いてカラー信号を生成する(S15)。具体的には、カラー信号生成部14は、領域分離部41cより入力されたCMY信号の各色成分値から黒色信号の信号値をそれぞれ減算することでカラー信号を生成する(カラー信号生成処理(A))。そして、上記カラー信号生成部14は、生成したカラー信号を外部に出力する。
【0143】
一方、上記ステップS11にて、印刷モードが通常モードではない(S11にてNO)と判断すると、モード判定部10は、印刷モードがS1モードであるか否かを判定する(S20)。
【0144】
そして、上記ステップS20にて、上記印刷モードがS1モードであると判定すると(S20にてYES)、上記モード判定部10は、S1モードである旨を印刷データ作成部12に通知する。また、上記モード判定部10は、最小値判定部11に対して、領域分離部41cより入力されるCMY信号の最小値を求めるように指示を出す。
【0145】
次に、S1モードである旨を受信した印刷データ作成部12の黒信号生成部15は、S1モードにおける黒色信号を生成するために、記憶部13に記憶されているテーブル(TBL S1)を選択する(S21)。
【0146】
上記最小値判定部11は、上記領域分離部41cより入力されたCMY信号から最小値を求める(S13)。そして、上記最小値判定部11は、求めた最小値を印刷データ作成部12に通知する。
【0147】
次に、黒信号生成部15は、選択したTBL S1および上記最小値を用いて、黒色信号を生成する(S14)。具体的には、黒信号生成部15は、TBL S1における最小値に該当する信号値を黒色信号として生成する(黒色信号生成処理)。そして、黒信号生成部15は、生成した黒色信号を外部に出力する。
【0148】
次に、カラー信号生成部14は、上記最小値を用いてカラー信号を生成する(S22)。具体的には、カラー信号生成部14は、領域分離部41cより入力されたCMY信号の各色成分値から上記最小値をそれぞれ減算することでカラー信号(C´M´Y´信号)を生成する(カラー信号生成処理(B))。つまり、上記カラー信号は、上記CMYのうちの最も色成分の少ない色信号の色成分値が0であるカラー信号を生成する。そして、上記カラー信号生成部14は、生成したカラー信号を外部に出力する。
【0149】
一方、上記ステップS20にて、上記印刷モードがS2モードでないと判定すると(S20にてYES)、上記モード判定部10は、印刷モードはS2モードであると判定し、この旨を印刷データ作成部12に通知する。また、上記モード判定部10は、最小値判定部11に対して、領域分離部41cより入力されるCMY信号の最小値を求めるように指示を出す。
【0150】
次に、S2モードである旨を受信した印刷データ作成部12の黒信号生成部15は、S2モードにおける黒色信号を生成するために、記憶部13に記憶されているテーブル(TBL S2)を選択する(S25)。
【0151】
上記最小値判定部11は、上記領域分離部41cより入力されたCMY信号から最小値を求める(S13)。そして、上記最小値判定部11は、求めた最小値を印刷データ作成部12に通知する。
【0152】
次に、黒信号生成部15は、選択したTBL S2および上記最小値を用いて、黒色信号を生成する(S14)。具体的には、黒信号生成部15は、TBL S2における最小値に該当する信号値を黒色信号として生成する(黒色信号生成処理)。そして、黒信号生成部15は、生成した黒色信号を外部に出力する。
【0153】
次に、カラー信号生成部14は、上記最小値を用いてカラー信号を生成する(S22)。具体的には、カラー信号生成部14は、領域分離部41cより入力されたCMY信号の各色成分値から上記最小値をそれぞれ減算することで中間カラー信号を生成する(カラー信号生成処理(B))。その後、カラー信号生成部14は、カラー信号生成処理(B)によって生成された中間カラー信号に対して一次色化処理を行なう(S26)。具体的には、カラー信号生成部14は、上記中間カラー信号のうちの、2番目に色成分が少ない色信号の色成分値から所定値(例えば、色成分値の半値)だけ減算することで、新たなカラー信号を生成する。
【0154】
次に、カラー信号生成部14は、隣接画素におけるCMY信号を取得する(S27)。そして、上記カラー信号生成部14は、最大値特定部16および明瞭化処理部17を動作させて、明瞭化処理を行なう(S28)。なお、上記明瞭化処理については後述する。そして、カラー信号生成部14は、明瞭化処理を行なった後のカラー信号(C´M´Y´信号)を外部に出力する。
【0155】
このようにして、上記黒生成部41dでは、印刷モードに応じて生成するカラー信号および黒色信号の方法を変えている。すなわち、黒生成部41dは、各印刷モードに適したカラー信号および黒色信号、つまり、領域分離部41cより入力されたCMY信号から各印刷モードに適したC´M´Y´K信号を生成している。
【0156】
ここで、上記明瞭化処理について説明する。この明瞭化処理とは、カラー信号生成処理(B)を行なった画像(画像データ)におけるC´M´Y´信号と、当該画像に隣接している隣接画像(隣接画像データ)におけるカラー信号生成処理(B)を行なった後の、C´M´Y´信号とを用いて、隣接する画像同士の間を明瞭にする処理である。これについて以下に説明する。
【0157】
図9は、明瞭化処理を説明するフローチャートである。なお、以下の説明では、8ビット256階調で色成分値が構成されている場合について説明する。
【0158】
まず、最大値特定部16は、注目画素(画像データ)における最大色の色成分値(X1)を取得する(S30)。
【0159】
次に、最大値特定部16は、上記注目画像に隣接している隣接画像(隣接画像データ)における上記最大色と同じ色成分の色成分値(X2)を取得する(S31)。
【0160】
つまり、上記最大値特定部16は、注目画像と隣接画像とで同じ色成分の色成分値(X1と同じ色成分)を取得する。
【0161】
次に、明瞭化処理部17は、X2とX1との差分である△Xを算出する。具体的には、明瞭化処理部17は、△X=X2−X1を算出する(S32)。
【0162】
次に、明瞭化処理部17は、ステップS32にて算出した△Xの絶対値が64以上であるか否かを判定する(S33)。
【0163】
そして、上記ステップS33にて、△Xの絶対値が64以上である場合(S33にてYES)には、処理を終了する。
【0164】
一方、上記ステップS33にて、△Xの絶対値が64よりも小さい場合(S33にてNO)である場合には、明瞭化処理部17は、DX=64−|△X|を算出する(S34)。
【0165】
次に、明瞭化処理部17は、△Xが0よりも大きいか否かを判断する(S35)。そして、上記ステップS35にて△Xが0よりも大きいと判断した場合(S35にてYES)には明瞭化処理部17は、X1がDX以上であるか否かを判断する(S36)。そして、上記ステップS36にて、X1がDX以上である(S36にてYES)であると判断すると、明瞭化処理部17は、上記最大値と隣接色成分値とを所定値以上離すために、上記X1からDXを引いた値を新たなX1とする(S37)。
【0166】
一方、上記上記ステップS36にて、X1がDXよりも小さいと(S36にてNO)判断すると、ステップS40にて、1次色化処理を中止して、処理を終了する。
【0167】
また、上記上記ステップS35にて△Xが0以下であると判断した場合(S35にてNO)には、明瞭化処理部17は、X2がDX以下であるか否かを判断する(S38)。そして、上記ステップS38にて、X2がDX以下である(S38にてYES)であると判断すると、明瞭化処理部17は、上記最大値と隣接色成分値とを所定値以上離すために、上記X2からDXを引いた値を新たなX2とする(S39)。
【0168】
一方、上記上記ステップS38にて、X2がDXよりも小さいと(S38にてNO)判断すると、ステップS40にて、1次色化処理を中止して、処理を終了する。
【0169】
このようにして、明瞭化処理部17は、最大値と隣接色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成する。
【0170】
なお、上記の説明では、セーブモード2(S2)の場合に、明瞭化処理を行なう構成について説明しているが、例えば、セーブモード1(S1)の場合にも上記明瞭化処理を行ってもよい。
【0171】
なお、上記の説明では1次色化された画像データY’、M ’、C ’より最大色成分値(X1)と隣接画像の最大色成分値と同じ色成分値(X2)との差を所定の値以上とする、即ち、識別性が確保される色相の差とする処理をしているが、1次色化された画像データY’、M ’、C ’、Kより色相の差、もしくは、明度の差(または彩度の差)を確保する処理としても良い。
【0172】
また、上記の説明では、通常印刷モード、S1モードおよびS2モードとの3つの印刷モードを有する構成の場合について説明しているが、例えば、通常印刷モードとS1モードおよびS2モードの少なくとも1つの2つの印刷モードを切り換え可能である構成としてもよい。
【0173】
また、上記説明において、S2モードでは黒信号生成部15が最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成する構成について説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、上記黒信号生成部15が上記通常印刷モードと同様に黒色信号を生成する構成としてもよい。
【0174】
ところで、上記の説明では、モード判定部10の判定結果に応じて黒色信号およびカラー信号の生成方法を変化させることについて説明したが、例えば、上記モード判定部10の判定結果に応じて、領域分離部41cにおいて画像データの補正処理をおこなってもよい。これについて以下に説明する。
【0175】
上記領域分離部41cには、上記モード判定部10の判定結果に応じて画像データの補正を行う画像データ補正部20を備えている。ここで、領域分離部41cに備えられた画像データ補正部20について説明する。
【0176】
上記画像データ補正部20は、領域分離部41cによって領域分離された画像データに対して補正を施すものである。
【0177】
具体的には、上記画像データ補正部20は、テキスト画像領域に分離された画像領域に含まれるテキストの幅および線分の幅の少なくとも1つが狭くなるように上記画像データを補正する。
【0178】
また、上記画像データ補正部20は、上記補正方法以外にも、例えば、画像データに基づいて画像形成する際に飛び越し走査により画像形成された画像が得られるように、上記画像データを補正してもよい。
【0179】
また、上記画像データ補正部20は、上記補正方法以外にも、例えば、上記画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なうことで上記画像データを補正してもよい。
【0180】
なお、上記画像データ補正部20における画像データの補正部は、上記モード判定部10による判定結果に基づいて行なえばよい。すなわち、上記画像データ補正部20は、上記モード判定部10によって現像剤セーブモードであると判断された場合に、上記画像データを補正すればよい。
【0181】
なお、上記の説明では、CMYKの現像剤を用い、CMY信号からCMYK信号を生成する場合について説明している。しかしながら、上記に限定されるものでなく、本発明は、黒色以外の現像剤の色に対応した色信号を、黒色を含む色信号を生成する場合に使用する現像剤の色と対応した色信号を生成する構成に適用できる。
【0182】
また、上記の説明では、黒生成部41dがモード判定部10を備える構成について説明しているが、上記に限定されるものではなく、上記モード判定部10は、画像処理部41に備えられていればよい。
【0183】
以上のように、本実施の形態に係るカラー複写機1は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒信号生成部15と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成部14とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なうカラー複写機1であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値判定部11と、通常印刷モードに対して上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定部10を有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値判定部11は上記最小値を特定し、カラー信号生成部14は通常印刷モードで用いられる値と比べて高い値である1以下の所定の値を上記最小値に乗じた値を、上記入力色信号の各色成分値から減算してカラー信号を生成するカラー信号を生成するものである構成である。
【0184】
上記の構成では、現像剤セーブモードが選択可能になっており、当該現像剤セーブモードが選択されると、入力色信号のうちの最も色成分値が小さい色成分の現像剤を使用しないようにカラー信号を生成している。これにより、通常の画像形成処理と比べて、最も色成分値の少ない色成分に対応した現像剤を使用することがなく、かつ、上記入力色信号の各色成分から最も色成分値の少ない色成分に近い値を減算しているので、黒色以外の現像剤の使用量を低減させることができる。
【0185】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、上記入力色信号は、CMY形式の色信号である構成であってもよい。
【0186】
上記の構成とすることで、黒色以外の色の現像剤の使用量が低減されるように、CMY形式の色信号からCMYK形式の色信号を生成することができる。
【0187】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、上記モード判定部10は、現像剤の使用量を抑制しないで画像形成を行なう通常印刷モードが選択されたか否かを判定するものであり、上記通常印刷モードが選択されると、上記最小値判定部11は上記最小値を特定し、上記黒信号生成部15は上記現像剤セーブモードにて生成される黒色信号の色成分値よりも小さな色成分値となるように、上記最小値以下の色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成部14は上記入力色信号の各色成分値から上記黒色信号の色成分値を減算してカラー信号を生成するものである構成であってもよい。
【0188】
上記通常印刷モードでは、上記入力色信号の各色成分値から最小値を減算することなく、黒色信号の色成分値を減算している。
【0189】
上記の構成によれば、現像剤セーブモードと通常印刷モードとのいずれかが選択されたかを判定でき、この判定結果に基づいてカラー信号の生成処理を変える。つまり、用途に応じて、現像剤の使用量を低減させることができる現像剤セーブモードと画質が劣化することなく画像形成を行なえる通常印刷モードとを選択できる。
【0190】
本実施の形態に係るカラー複写機1は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒信号生成部15と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成部14とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なうカラー複写機1であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値判定部11と、通常印刷モードに対して上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行うセーブモード2が選択されたか否かを判定するモード判定部10を有し、上記モード判定部10は、上記セーブモード2が選択されると、上記最小値判定部11は上記最小値を特定し、上記黒信号生成部15は最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成部14は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値を減算した後、さらに残りの色成分のうちの最小色成分の色成分値から所定の色成分値だけ減算することで、上記カラー信号を生成するものである構成であってもよい。
【0191】
上記の構成によれば、セーブモード2が選択されると、最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成するとともに、入力色信号のうち、色成分値が2番目に少ない色成分の色成分値も減算してカラー信号を生成している。これにより、黒色以外の現像剤の使用量をより一層低減させることができる。また、最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成することで、画像を明瞭化させることができる。これにより、上記構成とすることで、現像剤の使用量を低減させるとともに、画像の明瞭化を図ることができる。
【0192】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、上記入力色信号から、最も割合の多い色成分の色成分値である最大値を特定するとともに、上記画像データと隣接する隣接画像データの入力色信号である隣接入力色信号から、上記最大色成分と同じ色成分の色成分値である隣接色成分値とを特定する最大値特定部16と、上記最大値と隣接色成分値とを比較する明瞭化処理部17とを備え、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記カラー信号生成部14は、上記比較結果に基づいて、上記最大値と隣接色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成する構成であってもよい。
【0193】
上記の構成によれば、入力色信号のうち最も色成分値が多い色成分の色成分値と、隣接する画像データにおける同色の色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成する。これにより、隣接する画像データとの間を明瞭化することができる。
【0194】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、外部から入力された画像データを、テキストおよび線分を少なくとも1つ示すテキスト画像領域とそれ以外の画像領域とに領域分離する領域分離部41cを備え、上記テキスト画像領域に分離された画像領域に含まれるテキストの幅および線分の幅の少なくとも1つが狭くなるように上記画像データを補正する画像データ補正部20を備える構成であってもよい。
【0195】
上記の構成によれば、テキストの幅および/または線分の幅が狭くなるように画像データを補正している。これにより、テキストおよび線分を画像形成するための現像剤の使用量を低減することができる。
【0196】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、上記画像データに基づいて画像形成する際に飛び越し走査により画像形成された画像が得られるように、上記画像データを補正する画像データ補正部20を備える構成であってもよい。
【0197】
上記の構成では、上記画像データ補正部20は、飛び越し走査するように画像データを補正している、換言すると、元の画像データに基づいて画像形成を行なう際に飛び越し走査を行なって画像形成するための画像データを補正している。つまり、上記画像データ補正部20は、元の画像データに対して間引き処理を行なうことで、当該画像データの補正を行っている。これにより、画像データに基づく画像形成を行なう際に必要な現像剤の使用量をより一層低減させることができる。
【0198】
本実施の形態に係るカラー複写機1において、上記画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なうことで上記画像データを補正する画像データ補正部20を備える構成であってもよい。
【0199】
上記の構成では、元の画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なっている。これにより、画像データに基づく画像形成を行なう際に必要な現像剤の使用量をより一層低減させることができる。
【0200】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、黒色の現像剤と、当該黒色の現像剤以外の複数色の現像剤とを用いて、画像形成すべき印刷データに基づいて画像形成を行なうカラー複写機1であって、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択可能であり、上記現像剤セーブモードでは、外部より入力された画素データを構成している複数の色成分のうちの最も少ない割合の色成分である最小色成分を黒色成分に置き換えるとともに、上記複数の色成分のうち、上記最小色成分を除いた残色成分と黒色成分とからなる上記印刷データを生成する構成であってもよい。
【0201】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、Y(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)の3色の色信号から、Y・M・C・K(ブラック)の4色の色信号を生成する黒信号生成部15およびカラー信号生成部14を有し、この4色の色信号に基づく画像形成を、黒色の現像剤と、黒色以外の上記3色にそれぞれ対応する色の現像剤とを用いて行なうカラー複写機1であって、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択可能であり、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記黒信号生成部15は、上記Y・M・Cの3色の色信号値のうちの最小値である最小色信号値を抽出して、この最小色信号値よりも所定の割合だけ小さい色信号値を有するKの色信号を生成し、上記カラー信号生成部14は、上記Y・M・Cの各色信号値から上記最小色信号値を減算したY・M・Cの各色信号を生成する構成であってもよい。
【0202】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒信号生成部15と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成部14とを有し、黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なうカラー複写機1であって、上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値判定部11と、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定部10を有し、上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値判定部11は上記最小値を特定し、(A)上記黒信号生成部15は上記最小値と同じ色成分値を有する黒色成分信号を生成した後、当該黒色成分信号から所定の色成分値を減じた黒色信号を生成し、(B)カラー信号生成部14は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値を減算してカラー信号を生成する構成であってもよい。
【0203】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、中間色を1次色に近づけるように黒色信号およびカラー信号を生成する構成であってもよい。また、上記カラー複写機1は、2次色の純色軸に近づけるように色相移動することで黒色信号およびカラー信号を生成する構成であってもよい。
【0204】
上記構成とすることで、グラフィックなどで色相の再現性よりも消費量低減が優先される時に、消費の総量を低減できる。
【0205】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、隣接する画像との色相の差が所定の値となるように移動すること黒色信号およびカラー信号を生成する構成であってもよい。これにより、グラフィックなどで色相の差が重要視される時にも、消費低減できる。
【0206】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、テキスト・ライン部は上記色の補正を行わず、輪郭を小さくする画像補正を行う構成であってもよい。これにより、文字・線を細くすることにより色再現性良い消費低減ができる。
【0207】
また、本実施の形態にかかるカラー複写機1は、テキスト・ライン領域以外では飛び越し走査、あるいはハーフトーンによる間引きを行う構成としてもよい。これにより、トナー消費総量を低減できる。
【0208】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0209】
最後に、カラー複写機1の各ブロック、特に黒生成部41dは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0210】
すなわち、カラー複写機1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるカラー複写機1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記カラー複写機1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0211】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0212】
また、カラー複写機1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明にかかる画像形成装置は、トナーやインク等の現像剤の使用量を低減させて画像形成を行なう用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本実施の形態にかかる領域分離部および黒生成部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例であるデジタルカラー複写機の構成を示す断面図である。
【図3】カラー複写機における制御を説明するためのブロック図である。
【図4】通常印刷モードにおける印刷データを作成する方法を説明する図面である。
【図5】セーブモード1における印刷データを作成する方法を説明する図面である。
【図6】セーブモード2における印刷データを作成する方法を説明する図面である。
【図7】記憶部に記憶されているテーブルを説明するためのグラフである。
【図8】黒生成部によって行なわれる印刷モードに応じた、カラー信号および黒色信号の生成処理を説明するフローチャートである。
【図9】明瞭化処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0215】
1 カラー複写機
10 モード判定部(モード判定手段)
11 最小値判定部(最小値特定手段)
12 印刷データ作成部
13 記憶部
14 カラー信号生成部(カラー信号生成手段)
15 黒信号生成部(黒色信号生成手段)
16 最大値特定部(最大値特定手段)
17 明瞭化処理部(比較手段)
20 画像データ補正部(画像データ補正手段)
40 原稿読取部
40b シェーディング補正部
40d センサ色補正部
40e MTF補正部
40f 補正部
41 画像処理部
41 領域分離部(領域分離手段)
41a モノクロデータ生成部
41b 入力処理部
41c 領域分離部
41d 黒生成部
41e 色補正部
41f ズーム処理部
41g 空間フィルタ
41h 中間調処理部
41i プリントデータ入力部
42 画像形成部
43 データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、
黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、
上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、
通常印刷モードに対して、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段とを有し、
上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は、上記最小値を特定し、カラー信号生成手段は、通常印刷モードで用いられる値と比べて高い値である1以下の所定の値を上記最小値に乗じた値を、上記入力色信号の各色成分値から減算してカラー信号を生成するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像データを構成している、黒色成分以外の複数の色成分である入力色信号から黒色信号を生成する黒色信号生成手段と、上記入力色信号から上記黒色信号以外のカラー信号を生成するカラー信号生成手段とを有し、
黒色の現像剤と、黒色以外の複数色の現像剤とを用いて、上記黒色信号およびカラー信号からなる印刷データに基づく画像形成を行なう画像形成装置であって、
上記入力色信号から最も割合の少ない最小色成分の色成分値である最小値を特定する最小値特定手段と、
通常印刷モードに対して、上記黒色以外の色の現像剤の使用量を抑制して画像形成を行う現像剤セーブモードが選択されたか否かを判定するモード判定手段とを有し、
上記現像剤セーブモードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、上記黒色信号生成手段は上記最小値特定手段にて特定された最小値と同じ色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記最小値を減算した後、さらに残りの色成分のうちの最小色成分の色成分値から所定の色成分値だけ減算することで、上記カラー信号を生成するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
上記入力色信号は、CMY形式の色信号であることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記モード判定手段は、現像剤の使用量を抑制しないで画像形成を行なう通常印刷モードが選択されたか否かを判定するものであり、
上記通常印刷モードが選択されると、上記最小値特定手段は上記最小値を特定し、上記黒色信号生成手段は上記現像剤セーブモードにて生成される黒色信号の色成分値よりも小さな色成分値となるように、上記最小値以下の色成分値を有する黒色信号を生成し、上記カラー信号生成手段は上記入力色信号の各色成分値から上記黒色信号の色成分値を減算してカラー信号を生成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記入力色信号から、最も割合の多い色成分の色成分値である最大値を特定するとともに、上記画像データと隣接する隣接画像データの入力色信号である隣接入力色信号から、上記最大色成分と同じ色成分の色成分値である隣接色成分値とを特定する最大値特定手段と、
上記最大値と隣接色成分値とを比較する比較手段とを備え、
上記現像剤セーブモードが選択されると、上記カラー信号生成手段は、上記比較結果に基づいて、上記最大値と隣接色成分値とが所定値以上離れるようにカラー信号を生成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
外部から入力された画像データを、テキストおよび線分を少なくとも1つ示すテキスト画像領域とそれ以外の画像領域とに領域分離する領域分離手段と、
上記テキスト画像領域に分離された画像領域に含まれるテキストの幅および線分の幅の少なくとも1つが狭くなるように上記画像データを補正する画像データ補正手段とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記画像データに基づいて画像形成する際に飛び越し走査により画像形成された画像が得られるように、上記画像データを補正する画像データ補正手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記画像データに対してハーフトーンによる間引き処理を行なうことで上記画像データを補正する画像データ補正手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置を動作させる画像形成装置の制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−98771(P2007−98771A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291540(P2005−291540)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】