説明

画像投射装置、色補正方法およびプログラム

【課題】予め設定された条件が満たされると色補正の補正値のキャリブレーションと色補正を自動的に実行することが可能な画像投射装置および色補正方法を提供すること
【解決手段】入力画像に対応する画像をスクリーン110に投射する画像投射装置は、キャリブレーション用画像の信号レベルとスクリーン110においてそれが存在する領域を記憶する記憶手段126と、前記入力画像に前記キャリブレーション用画像が含まれることを条件として3D−LUT103と1D−LUT104の補正値のキャリブレーションと色補正を自動的に実行させる制御手段118と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射画像の色補正を行う画像投射装置、色補正方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ(画像投射装置)は様々な照明環境下で使用されるが、実際の壁色や照明光の影響を考慮して、入力画像を色補正するための補正値のキャリブレーションを行う必要がある。従来は、使用者は実行ボタンを押すなどしてキャリブレーションを手動で開始していた。
【0003】
例えば、特許文献1では、入力画像の色情報と投影面上の投影画像の色情報を一致させる色変換テーブルを生成し、それに基づいて入力画像の色を色変換し、プロジェクタへ出力する補正色を得るプロジェクタの色補正方法を開示している。
【0004】
また、特許文献2は、投射画像がない場合にキャリブレーション画像を投射して、その(CIEの規格に基づく)XYZ値またはRGB値を測定し、測定データに基づいて投影面の色補正用テーブルと輝度補正用テーブルを更新する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−323610号公報
【特許文献2】特許3755593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の色補正方法では、色補正とキャリブレーションの双方を同時に実現する色変換テーブルを生成するためには、キャリブレーション用画像を投射しなければならない。投射中に照明光が変わった場合には色変換テーブルを生成し直す必要があり、使用者がプレゼンテーション中の場合には中断してキャリブレーション用画像を投射しなければならない。
【0007】
また、特許文献2の方法では、色補正用テーブル生成ステップと輝度補正用テーブル生成ステップの間に投射画像がない状態が必要であり、両ステップの処理を行うにはプレゼンテーションを中断して補正するなどの多大な時間を要する。
【0008】
本発明は、予め設定された条件が満たされると色補正の補正値のキャリブレーションと色補正を自動的に実行することが可能な画像投射装置、色補正方法および色補正プログラムを提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像投射装置は、画像を投射面に投射する画像投射装置であって、色補正用テーブルを使用して入力画像の色を補正し、輝度補正用テーブルを使用して前記入力画像の輝度を補正する色補正手段と、前記入力画像の色情報と前記投射面に投射された画像の反射光の色情報が一致するように前記色補正用テーブルと前記輝度補正用テーブルが保持するそれぞれの補正値のキャリブレーションを行うキャリブレーション手段と、前記キャリブレーションを行うためのキャリブレーション用画像の信号レベルと前記キャリブレーション用画像が前記投射面において存在する領域を記憶する記憶手段と、前記入力画像に前記キャリブレーション用画像が含まれることを条件として前記キャリブレーション手段によるキャリブレーションと前記色補正手段による色補正を自動的に実行させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予め設定された条件が満たされると色補正の補正値のキャリブレーションと色補正を自動的に実行することが可能な画像投射装置、色補正方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の画像投射装置のブロック図である。
【図2】図1に示す制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2に示すS3の詳細を示す図である。
【図4】図2に示すS6の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図2に示すS9の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本実施形態の画像投射装置のブロック図である。画像投射装置は、画像を投射面であるスクリーン110に投射する液晶プロジェクタ等から構成される。
【0013】
画像投射装置は、不図示のパーソナルコンピュータ(PC)、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置からの入力映像信号(入力信号)を入力信号処理101が受信する。入力信号がアナログ信号の場合は、入力信号処理101内部のアナログ/ディジタル変換器でディジタル信号に変換される。入力信号がディジタル信号の場合は、ディジタル信号として切替器125を経由し、メニューなどを画面に表示するオンスクリーンディスプレイ(OSD)124から記憶部102、及び画像検出部122に送られる。
【0014】
記憶部102は、三次元ルックアップテーブル(3D−LUT)103と一次元ルックアップテーブル(1D−LUT)104を格納している。3D−LUT103は、色補正に使用される、色域補正テーブルや色温度補正テーブルなどの色補正用テーブルである。1D−LUT104は、輝度補正に使用される、ガンマテーブルやカラーバランステーブルなどの輝度補正用テーブルである。
【0015】
液晶表示素子駆動回路105は、入力画像に対応する画像を表示する液晶表示素子107の駆動に必要な倍速変換、VTガンマ補正等を行い、液晶表示素子駆動信号を生成する。
【0016】
液晶表示素子107は、高圧水銀ランプを含む照明光学系106から発せられた光によって照明され、液晶表示素子駆動回路105からの液晶表示素子駆動信号による制御に基づいて、入射光を変調する。液晶表示素子107を出射した光束は、投射レンズ108に向かう。投射レンズ108では、ズームレンズなどでズーム動作を行い、液晶表示素子107からの光束を投射光として投射面としてのスクリーン110に投射する。
【0017】
会議室などのスクリーン110は、投射光と共に外光照明109や窓などから入射する太陽光などの外光の影響を受ける。これにより、投射面の反射光の色や輝度は変化する。また、スクリーン110そのものも、理想的な白に対して多少の色の幅を有し、理想的な白でない場合や黒板、淡い青やピンク、黄色などのカラーパーティションなどの場合もある。
【0018】
カラーセンサ111は、例えば、CCDカメラのような2次元のRGB色センサからなり、スクリーン110の投射画像の反射光の互いに異なる波長領域を投射領域全体に亘って検出する。画像領域指定手段120は、スクリーン110において投射画像が存在する領域を指定(検出)する。
【0019】
カラーセンサ111の検出結果は、画像比較演算部123の比較演算手段116に送られる。検出結果は、XYZ値を示すデータ、XYZ値から導かれるデータ(例えば、所定の色空間内の座標値、xy色度値等)、XYZ値を導くデータ(例えば、RGB値)などで送られる。画像領域指定手段120による領域情報も、画像比較演算部123の比較演算手段116に送られる。
【0020】
XYZ値は、国際照明委員会(CIE)による色の規格の一種でXYZ値をRGB値に変換可能である。Y値は輝度を示す。即ち、基準となる画像をスクリーン上に投射し、そのスクリーン上の投射画像のXYZ値をカラーセンサ111により検出することで、画像の色と輝度を求めることができる。
【0021】
画像比較演算部123は、補正更新判定手段114、補正値記憶手段115、比較演算手段116、センサ基準値記憶手段121を有し、記憶部102のテーブルにおいてキャリブレーションされるべき補正値を演算する。
【0022】
一方、PCなどからの入力信号は、入力信号処理101から切替器125を経由し、画像検出部122に送られる。画像検出部122は、制御手段118の指示に従って入力信号からキャリブレーションに必要な(信号レベルと領域が既知である)基準画像を検出する。
【0023】
画像検出部122は、領域指定部113と画像レベル指定部117を有する。画像検出部122は、入力信号に基づく入力画像にキャリブレーションに使用可能なキャリブレーション用画像または基準画像が含まれているかどうかを検出する。キャリブレーション用画像または基準画像は、記憶手段126に格納されている。基準画像はキャリブレーションに適した画像であるからキャリブレーション用画像として把握されてもよい。
【0024】
この結果、画像比較演算部123は、入力画像に記憶手段126に記憶されたキャリブレーション用画像が含まれている場合、記憶部102のテーブルを用いてキャリブレーションされるべき補正値を演算する。
【0025】
制御手段118は、不図示の解像度変換部で、入力信号(映像信号)を赤色用、緑色用、青色用の液晶表示素子107に適した解像度に変換する。そして、変換された映像信号に対して色の補正と輝度の補正を行う。制御手段118は、マイクロコンピュータから構成されている。
【0026】
制御手段118は、色補正用テーブルである3D−LUT103を使用して入力画像の色を補正し、輝度補正用テーブルである1D−LUT104を使用して入力画像の輝度を補正する色補正手段として機能する。
【0027】
また、制御手段118は、入力画像の色情報と投射面に投射された画像の反射光の色情報が一致するように3D−LUT103と1D−LUT104が保持するそれぞれの補正値を補正するキャリブレーション手段としても機能する。
【0028】
制御手段118には、色補正に適するキャリブレーション用画像の信号レベルと領域を記憶する記憶手段126が接続されている。記憶部102と記憶部126が別体である必要はなく、1つの記憶部の中に、それぞれの情報が格納されていてもよい。また、制御手段118と記憶手段126が物理的に接続されていなくても、通信可能であればよい。
【0029】
また、信号レベルとは、例えば、黒信号や白信号の値やそれに対応する情報である。領域とは、画像のスクリーン110における場所(画面の全体でもよいが画面の右下や左上など)を表している。例えば、記憶手段126は、画面の右下の一定領域にある黒画像や画面の左上の一定領域にある白画像などを格納している。
【0030】
制御手段118は、入力画像にキャリブレーション用画像が含まれること(上述したように、これは基準画像が出力されたことを含む)を条件として、テーブルの補正値のキャリブレーションと色補正を自動的に実行する。このように、使用者による操作(ボタンを押すなど)を伴わずに、ある条件が満たされると色補正が自動的に実行される。
【0031】
画像検出部122の画像レベル指定部117と領域指定部113は、図3の点線に示すように、入力信号の信号レベルと領域を指定(検出)し、記憶手段126に記憶されたキャリブレーションに適した画像を自動的に検出する。そして、画像検出部122は検出結果を画像比較演算部123の比較演算手段116に送信する。画像検出部122は、予め記憶手段126に記憶された信号レベルと領域を設定してもよいし、ユーザの設定により更新され、記憶手段126に記憶された信号レベルと領域を設定してもよい。
【0032】
図3では、xy座標で左上頂点の座標(0,0)と右下頂点の座標(1024,768)を有する矩形領域の全画面において左上頂点の座標(300,200)と右下頂点の座標(680,576)と設定することによって点線で示す対象領域を設定している。入力信号レベル設定ではRGB各色は256ビットとして設定されている。黒信号検出は(0,0,0)+3以下、グレイ50%検出は(128,128,128)±3、白信号検出は(255,255,255)−3以上である。
【0033】
センサ基準値記憶手段121には、キャリブレーションに適した入力信号の条件と、基準スクリーン、及び定められた外光条件によって、工場調整などで調整されたカラーセンサ111の基準となるデータが記憶されている。
【0034】
センサ基準値記憶手段121は、投射画像が理想的な白表示のときの基準値を記憶している。例えば、入力信号が、キャリブレーション用画像の白100%の画像であった場合には、それに対応する白100%表示時の基準値を記憶している。白100%入力時に、センサ基準記憶手段121に記憶された基準値になるように、1D−LUT104または3D−LUT103の値を補正することで投射画面の輝度や色が適当になるように調整される。
【0035】
比較演算手段116は、入力信号が画像検出部122により検出されたキャリブレーションに適した画像を含む場合に、センサ基準値記憶手段121に記憶された基準値と、カラーセンサ111により検出された実際のスクリーン上の色情報とを比較する。そして、比較演算手段116は、記憶部102に記憶された各種テーブルの色や輝度の補正値を演算する。そして、比較演算手段116は、1D−LUT104と3D−LUT103の値を補正値記憶手段115に書き込む。書き込まれた補正値は、補正更新判定手段114に送られ、制御手段118の指示するタイミングで1D−LUT104または3D−LUT103の値を最適値(補正値記憶手段115が記憶している補正値)に補正する。
【0036】
この結果、入力信号に含まれるキャリブレーション用画像をスクリーン投射した状態で、且つ、外光照明やスクリーンの色の影響も加算された状態においても、投射画面の輝度や色が最適値になるように自動調整が行われる。
【0037】
以上は、入力信号の中からキャリブレーション用画像を自動検出して補正を行う場合について説明したが、キャリブレーション用画像がなければ補正は実行されない。
【0038】
そこで、制御手段118は、基準画像出力手段112から、例えば、白100%、黒0%等の信号レベルとそれが存在する領域が既知のキャリブレーションに適した基準画像を出力する。基準画像は、次いで、切替器125に出力され、これに基づいて、記憶部102でキャリブレーション補正を行うことができる。
【0039】
例えば、画像投射装置の状態によって、強制的に内部信号のキャリブレーション用画像を出力してカラーセンサ111の検出値と比較することで1D−LUT104または3D−LUT103の値を最適値に補正することができる。
【0040】
キャリブレーションは、強制的にキャリブレーション用画像を出力しても使用者に不都合のない状態を確保した状態、例えば、入力信号が無信号の場合に行われる。その他、例えば、入力信号が切り替わった時、メニュー表示切替時、照明光学系106のランプが消灯した時、ランプの輝度が切り替わった時、ランプが点灯した直後の初期画面において基準画像が出力されてもよい。あるいは、プロジェクタの動作を設定するメニューの表示が切り替えられた時に基準画像が出力されてもよい。あるいは、プレゼンテーションモード、スタンダードモード、シネマモードなどの映画やスポーツなど入力画像の種類に応じて設定された画質を有するイメージモードが切り替えられた時に基準画像が出力されてもよい。これらの条件は、後述する表1の条件に対応する。
【0041】
図2は、制御手段118が実行する自動色補正方法のフローチャートである。図2に示す自動色補正方法(後述する図4及び図5に示すフローを含む)において、「S」はステップ(工程)の略である。本補正方法はコンピュータが実行可能なプログラムとして具現化可能であり、この場合、かかるプログラムはコンピュータに以下のステップを行う手段として機能させる。
【0042】
まず、画像投射装置のランプ点灯し、通常使用状態を表す(S1)。次に、リモコンなどの操作部による操作などで自動色補正機能の設定をメニュー操作などで実行する(S2)。
【0043】
自動色補正設定が選択された場合には(S2のY)、図3に示すように、入力画像の自動色調整を実行するための条件設定をし、入力画像信号から色調整に適した画像の信号レベルや領域を予め設定する(S3)。
【0044】
次に、入力画像信号が色調整に適さない場合に、強制的に基準画像を出力するための条件設定をする(S4)。S4では、表1に示すように、条件1から5のいずれか又は全部を選択し設定する。なお、キャリブレーション用画像は白100%、50%、黒0%信号に限定されず、時間的な制約が少ない場合には、R(赤)、G(緑)、B(青)、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(黄)や各階調も必要により増やすことができる。
【0045】
【表1】

【0046】
自動色補正設定が選択されない場合(S2のN)またはS4の後で、制御手段118は、S3の条件に一致するかどうかを判断する(S5)。S3の条件に一致する場合には(S5のY)、制御手段118は、センサ基準値とカラーセンサ値とを比較し、補正値を演算および記憶し、記憶部102のテーブルの補正値のキャリブレーションを行う(S6)。
【0047】
図4は、S6の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、制御手段118は、入力画像が静止画かどうかを判断し(S61)、静止画でなければ(S61のN)処理を終了する。静止画であれば(S61のY)、制御手段118は、画像検出部122を介して入力画像領域とレベルを比較演算手段116に通知する(S62)。次に、制御手段118は、カラーセンサ111に領域と検出信号を比較演算手段116に通知させる(S63)。
【0049】
次に、制御手段118は、比較演算手段116を介してセンサ基準値とカラーセンサ値を、プロジェクタの色空間で一致させる補正値を演算する(S64)。色補正値は3D−LUT103に使用され、輝度補正値は1D−LUT104に使用される。
【0050】
次に、制御手段118は、補正値が所定の範囲内であるかどうかを判断し(S65)、所定の範囲内でなければ(S65のN)、処理を終了する。一方、補正値が所定の範囲内であれば(S65のY)、制御手段118は補正値を補正値記憶手段115に記憶し(S66)、補正更新判定手段114を介して補正値を更新すべきかどうかを判定する(S67)。
【0051】
補正更新判定手段114が補正値を更新すべきではないと判定すると(S67のN)、処理を終了する。一方、補正更新判定手段114が補正値を更新すべきであると判定すると(S67のY)、制御手段118は、記憶部102の3D−LUT103と1D−LUT104の値を更新し(S68)、処理を終了する。これにより、入力画像の自動色補正を行う。
【0052】
S3の条件に一致しない場合(S5のN)またはS6の後で、制御手段118はS4の条件が一致するかどうかを判断する(S7)。S4の条件が一致しない場合(S7のN)、S1に戻る。
【0053】
一方、S4の条件が一致する場合は(S7のY)、制御手段118は、基準画像出力手段112からの自動色補正用の基準画像を切替器125を経由して強制的に出力して投射する(S8)。
【0054】
また、制御手段118は、基準投射画像とセンサ値を比較し補正値を演算および記憶し記憶部102のテーブルを更新する(S9)。図5は、S9の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0055】
まず、制御手段118は、カラーセンサ111の検出結果と画像領域指定手段120が指定した画像領域と検出信号を比較演算手段116に通知させる(S91)。次に、制御手段118は、センサ基準値とカラーセンサ値を、プロジェクタの色空間で一致させる補正値を演算する(S92)。
【0056】
次に、制御手段118は、基準画像を変更するかどうかを判定し(S93)、基準画像を変更する場合には(S93のY)、基準画像を変更して投射し(S94)、S91に戻る。一方、基準画像を変更しない場合には(S93のN)、補正値が所定の範囲内であるかどうかを判断し(S95)、補正値が所定の範囲内でなければ(S95のN)、処理を終了する。
【0057】
一方、補正値が所定の範囲内であれば(S95のY)、制御手段118は補正値を補正値記憶手段115に記憶し(S96)、記憶部102の3D−LUT103と1D−LUT104の値を更新し(S98)、処理を終了する。これにより、基準画像の自動色補正を行う。
【0058】
画像比較演算部123と記憶部102を利用して実行される色再現動作は以下の通りである。即ち、制御手段118は、カラーセンサ111から取り込まれたスクリーン110上の色情報RGB又はXYZ値に基づいた画像投射装置の色空間と入力画像の色情報に基づいた入力信号側の色空間(例えば、sRGB色空間)を利用する。そして、制御手段118は、壁色、スクリーン110の色、照明光の影響下で入力信号と同じ色になるように記憶部102のテーブル補正値を生成する。
【0059】
本実施形態によれば、入力画像から色補正に適する画像の信号レベルと領域を登録し、入力画像の条件を検出することにより自動色補正を逐次実行し、色補正に適する画像が検出できない場合でも条件に従って基準画像を出力して自動色補正を実行することができる。このため、初期設定だけで使用者の特別な操作なしにスクリーンが着色している場合や照明光が変化しても3D−LUT103と1D−LUT104の補正値を演算・更新して自動色補正をすることができる。また、キャリブレーションに適した入力信号条件と、基準スクリーン、及び定められた外光条件によって工場調整などで調整されたカラーセンサ基準値を用いることで自動色補正機能が実現できる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本実施形態の画像投射装置は液晶プロジェクタ等の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
118…制御手段(色補正手段、キャリブレーション手段)、126…記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射面に投射する画像投射装置であって、
色補正用テーブルを使用して入力画像の色を補正し、輝度補正用テーブルを使用して前記入力画像の輝度を補正する色補正手段と、
前記入力画像の色情報と前記投射面に投射された画像の反射光の色情報が一致するように前記色補正用テーブルと前記輝度補正用テーブルが保持するそれぞれの補正値のキャリブレーションを行うキャリブレーション手段と、
前記キャリブレーションを行うためのキャリブレーション用画像の信号レベルと前記キャリブレーション用画像が前記投射面において存在する領域を記憶する記憶手段と、
前記入力画像に前記キャリブレーション用画像が含まれることを条件として前記キャリブレーション手段によるキャリブレーションと前記色補正手段による色補正を実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
前記キャリブレーション用画像を出力する出力手段と、
前記出力手段が前記キャリブレーション用画像を出力すると前記制御手段は前記キャリブレーション手段によるキャリブレーションと前記色補正手段による色補正を実行させることを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記入力画像が切り替わった時に前記キャリブレーション用画像を出力することを特徴とする請求項2に記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記入力画像に対応する画像を表示する表示素子を照明する照明光学系を更に有し、
前記出力手段は、前記照明光学系のランプが消灯したとき、前記ランプの輝度が切り替わったとき、または、前記ランプが点灯した直後の初期画面が投射されたときのいずれかにおいて、前記キャリブレーション用画像を出力することを特徴とする請求項3に記載の画像投射装置。
【請求項5】
前記入力画像の種類に応じて設定された画質を有するイメージモードを更に有し、
前記出力手段は、前記イメージモードが切り換えられた時に前記キャリブレーション用画像を出力することを特徴とする請求項3に記載の画像投射装置。
【請求項6】
前記画像投射装置の動作を設定するメニューを更に有し、
前記出力手段は、前記メニューの表示が切り替えられた時に前記キャリブレーション用画像を出力することを特徴とする請求項3に記載の画像投射装置。
【請求項7】
前記入力画像が静止画であることを更に条件として前記制御手段は前記キャリブレーション手段によるキャリブレーションと前記色補正手段による色補正を実行させることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の画像投射装置。
【請求項8】
画像を投射面に投射する画像投射装置に使用され、色補正用テーブルを使用して入力画像の色を補正し、輝度補正用テーブルを使用して前記入力画像の輝度を補正する色補正方法であって、
前記入力画像の色情報と前記投射面に投射された画像の反射光の色情報が一致するように前記色補正用テーブルと前記輝度補正用テーブルが保持するそれぞれの補正値のキャリブレーションを行うステップと、
前記キャリブレーションを行うためのキャリブレーション用画像の信号レベルと前記キャリブレーション用画像が前記投射面において存在する領域を記憶するステップと、
前記入力画像に前記キャリブレーション用画像が含まれることを条件としてキャリブレーションと色補正を自動的に実行させるステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【請求項9】
画像を投射面に投射する画像投射装置に使用され、前記画像投射装置のコンピュータに、色補正用テーブルを使用して入力画像の色を補正し、輝度補正用テーブルを使用して前記入力画像の輝度を補正する色補正方法を実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記入力画像の色情報と前記投射面に投射された画像の反射光の色情報が一致するように前記色補正用テーブルと前記輝度補正用テーブルが保持するそれぞれの補正値のキャリブレーションを行う手段、
前記キャリブレーションを行うためのキャリブレーション用画像の信号レベルと前記キャリブレーション用画像が前記投射面において存在する領域を記憶する手段、
前記入力画像に前記キャリブレーション用画像が含まれることを条件としてキャリブレーションと色補正を自動的に実行させる手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−20093(P2013−20093A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153274(P2011−153274)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】