畝立施肥装置
【課題】深層施肥と側条施肥とを同時作業するものにおいて、施肥効果を良好に維持しようとする。
【解決手段】トラクター1の後部に、土を耕起する耕耘部20と耕耘部20後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー23と畝立器25とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部20の前部には該耕耘部20の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置61を設け、前記耕耘部20の後部には畝立成形された畝面に播種する播種器42と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置62を設ける。
【解決手段】トラクター1の後部に、土を耕起する耕耘部20と耕耘部20後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー23と畝立器25とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部20の前部には該耕耘部20の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置61を設け、前記耕耘部20の後部には畝立成形された畝面に播種する播種器42と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置62を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、畝立施肥装置に関し、特に大豆等の播種床成形及び播種、施肥処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置の後方に畝を形成する畝立装置を装着し、成形畝の所定深さに施肥する施肥装置を設け、該施肥吐出口よりも深い位置に薬剤を吐出する薬剤注入装置を設けた畝立施肥装置の構成がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−209415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の畝立施肥装置は、所謂深層施肥と側条施肥とを同時作業でき、水田転作等による地力低下を改善する方法として有効に利用されている。
ところが、上記の畝立施肥装置では、薬剤注入用吐出管から畝立直前で飛散中の耕耘土壌中に噴出するものであり、かつ、この薬剤注入位置よりも浅い位置で施肥装置の施肥管によって吐出される肥料も飛散中の耕耘土壌中に散布されるものである。
【0004】
したがって、攪拌土壌中に吐出される薬剤や肥料は拡散して所期の施肥効果を得られないものとなっている。
また、ロータリ耕耘装置の後部カバーで平らにした畝面に播種する作溝器を進行させると播種床部が窪んで雨水が溜まって種子が発芽不良、根腐れなどの水湿害を受け易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記に鑑み次のような技術的手段を講じた。即ち、
請求項1に記載の発明は、牽引車両1の後部に、土を耕起する耕耘部20と耕耘部20後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー23と畝立器25とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部20の前部には該耕耘部20の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置61を設け、前記耕耘部20の後部には畝立成形された畝面に播種する播種機42と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置62を設けてなる畝立施肥装置の構成とする。
【0006】
上記のように構成すると、牽引車両1の前進と共に耕耘部20は所定の耕耘深さで土壌を耕耘する。この耕耘部20の前側においては、第1施肥装置によって未耕耘で上記耕耘深さよりも深い箇所に施肥される。また耕耘部20の後側においては、耕耘後の畝立成形された畝面に播種器によって播種されかつ播種位置の側部所定間隔の位置には第2施肥装置によって施肥される。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、第1施肥装置は左右一対のディスク63,63を耕耘部20の前側に配置し、これらディスク63,63の間に肥料導入管66の出口をのぞませる構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記畝立器25によって成形する畝の上面を凸条に成形する成形手段Tを設け、該凸条に播種する構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記成形手段Tは、前記後部カバー23に前記耕耘部20によって後方へ放てきされた土を一時的に受け入れてこれを順次地表面に放出する土溜まり部32によって構成した請求項3に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0010】
耕耘部20を構成する耕耘爪30によって耕起された土は後方へ放てきされ畝立器25によって畝が形成されながら成形手段Tによって畝面に凸条が形成される。例えば、耕耘土壌が後部カバー23の内面に衝突し、該後部カバー23には耕耘爪30により後方へ放てきされた土を受け入れてこれを順次放出する土溜まり部32が設けられているから、牽引車両1の進行と共にこの土溜まり部32の土が畝の表面に放出されてその部分が隆起する形となり他の部分に比べて播種床部分だけが高い平畝又は丸畝が形成される。そして、この隆起部(凸条部)に播種される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項2に記載の発明によると、第1施肥装置61によって未耕耘で上記耕耘深さよりも深い箇所に施肥されるため、後続する耕耘部20による土壌拡散の影響を受け難く、作物の根部への施肥効果を長期に維持でき、また施肥深さを根粒菌に対して影響のない深さに設定できる。
【0012】
請求項3又は請求項4に記載の発明によると、上記の効果に加え、畝立成形後の畝上面は凸状に形成するから播種跡において溝部が形成されないため、雨水の浸入による発芽不良や根腐れなどの湿害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1において符号1は牽引車両としてのトラクターで、機体の前後部に夫々前輪2、2と後輪3、3を備え、ボンネット4内のエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置により適宜減速して前輪2、2と後輪3、3とに伝えるように構成している。
【0014】
ミッションケース6の後上部には油圧シリンダケース7を固着して設けている。油圧シリンダケース内には単動式の油圧シリンダ8を設け、また、この油圧シリンダケース7の左右両側にはリフトアーム9、9を回動自由に枢支している。また、トップリンク10、ロワーリンク11、11からなる3点リンク機構12の後端部には、作業機をワンタッチで装着できるクイックヒッチ13が設けられ、このクイックヒッチ13を介して耕耘装置としてのロータリ耕耘装置14が着脱自在に連結されている。15,15はリフトアーム9、9とロワーリンク11、11との間に介装されたリフトロッドである。
【0015】
ロータリ耕耘装置14は、耕耘部20と、耕耘部20の上方を覆う主ロータリカバー22と、主ロータリカバー22の後部に回動自在に枢着された後部カバー23とを備え、また、後部カバー23の横幅方向には背面から見て逆V字状の切欠部24(この実施例では4箇所)が設けられ、この切欠部24に畝立器25の先端が入り込むようにして装着されている。4個の畝立器25は左右横方向に延設されたヒッチ27上を左右方向にスライド調節できるものであり、畝幅に応じて、あるいは前記切欠部の中心に合わせて畝立器25の取付位置の変更調節が行なえるように構成されている。
【0016】
耕耘部20は耕耘軸29とこの耕耘軸29上に取付けられた複数個の耕耘爪30…とからなり、トラクター1側のPTO軸16から自在継手17を介してロータリ耕耘装置14の入力軸18に動力が伝達され、この回転動力により耕耘軸29が回転する。耕耘軸29が回転すると耕耘爪30…によって土壌が耕起され、耕起された土は後方へ放てきされ、後部カバー23に当たって砕土される。
【0017】
また、隣り合う畝立器25、25同士の間に位置する後部カバー23の幅方向には耕起された土を受け入れて一時的に土を貯留する土溜まり部32が設けられ、畝面に凸条部を形成する形成手段Tとしている。この実施例では3個の土溜まり部32が設けられているが、3個の土溜まり部32…はいずれも構成が同じであるから中央1個の土溜まり部32について構成を説明する。土溜まり部32が設けられる後部カバー23部分は背面から見て矩形状に切り欠かれ、この部分には後方に突出させて天板33と左右の側板34とが後部カバー23と一体的に設けられている。
【0018】
左右一対の側板34、34はそれらの後端部が夫々内向きに折り曲げられ、天板33は凸部が上向きとなるように彎曲させている。35は土溜まり部32の後方にあって左右の側板34,34の折曲部34a,34aに当接した状態で上下方向に移動するスライド調節板である。折曲部34a,34aの上面にはネジ部を有するピン37,37が上向きに突設され、このピン37,37に長孔38,38を有するスライド調節板35が上から取付けられている。
【0019】
長孔38,38の範囲でスライド調節板35を上下方向に移動させることができる。スライド調節板35を上側にずらすと土溜まり部32の開口量aが大きくなり、反対にこのスライド調節板35を下方にずらすと開口量aが小さくなるようにしている。符号36,36は蝶ねじである。
【0020】
また、図4、図5に示すように左右の側板34,34間には丸棒状のロッド39が架設され、このロッド39に中間部を載せる形で可撓性のゴム板40が取付けられている。即ち、ゴム板40の上端部は後部カバー23に固着されると共に、このゴム板40の中間部がロッド39の上を跨ぐようにして支持されゴム板40の下端部は自由に前後方向に揺動できるように構成されている。このようにこの実施例ではゴム板40の下端部を固定しないで前後に揺動できる構成としたので土の付着が少なくなる。なお、土溜まり部32は後部カバー23に横移動不能な状態で固定する構成としても良いが、図4に示すように土溜まり部32単体が左右方向に移動できるように構成しても良い。図4において、符号41,41は土溜まり部32の側板34,34と一体のプレートであり、このプレート41,41には複数個の取付孔41a,41aが穿設されており、この取付孔41a,41aの1個と後部カバー23側の取付孔(図示省略)とを対応合致させた後、ボルト・ナット等の締付手段47により後部カバー23側に固定する。このように移動調整可能な構成にすると条間距離が変わったときの播種位置の変更に迅速に対応できるメリットがある。
【0021】
次に、施肥装置について説明する。施肥装置は、耕耘部20の前部に施肥する第1施肥装置61と、畝立器25の後部に配置される第2施肥装置62とからなる。このうち、第1施肥装置61は、成形畝の条数(図例では3条)に一致させて左右に配設される構成であり、各ユニットは、一対のディスク63,63を備え、このディスク63,63の間に肥料ホッパー64の繰出部65部に接続した肥料導入管66の下端供給口を位置させた構成としている。
【0022】
耕耘ロータリーの主ロータリカバー22の前側にブラケット67を介して左右に断面矩形の固定バー68を設け、この固定バー68の前面に垂直姿勢の支持筒体69を該固定バー68の長手方向に沿って取付位置調整自在に設け、後面にやや傾斜させた支持筒体70を同じく固定バー68の長手方向に沿って取付位置調整自在に設けている。
【0023】
上記の支持筒体のうち前側支持筒体69には下端に前記一対のディスク63,63を横軸周りに回転自在に支持した垂直杆71を挿通しその上下調整自在に締付保持し、後側支持筒体70には前記供給管66の下端側を挿通して保持する構成である。なお一対のディスク63,63は進行方向前側が閉じ後側ほど開くよう平面視でV型の構成であり、後側の拡開部において供給管66の下端をのぞませる。一対のディスク63,63の進行によってディスク63下端に亘り土壌拡開による溝状が形成されるが、その下端FLは耕耘部20によって土壌耕耘される深さRLよりも深い状態に例えば上記前側支持筒69に対して上下調整の上設置される。
【0024】
なお、繰出部65の回転駆動は第2施肥装置62の繰出部と同期して回転すべくチェン 72によって連動させている。
次いで耕耘部20の後方、図例では畝立器25,25…の後方に配設される第2施肥装置62、及び播種機42について説明する。先ず播種機42について、ロータリ耕耘装置14と一体のヒッチ27には3個の播種機42が横方向に移動調節可能に取付けられており、各播種機42は前記土溜まり部32の略真後ろとなる位置にくるようにセットされ、ボルト等の適宜の締め付け手段により横移動不能な状態でヒッチ27に固定される。
【0025】
図中符号44は畝上面の播種床部分を転動する鎮圧輪で、チェンスプロケット機構45を介して種子ホッパー46の繰出部を駆動する。符号52は成形された播種床部分を作溝する作溝器、53は播種された後に土をかける覆土輪である。
【0026】
一方、第2施肥装置62について、上記成形畝毎に配置される播種機42,42…の横側に配置された一対のディスク73,73を備え、このディスク73,73で形成する溝条に肥料ホッパー74の繰出部75に接続した肥料導入管76の供給口をのぞませて施肥する構成であり、ディスク73,73及び供給管76の支持は前記ヒッチ27によるほか、基本形態は第1施肥装置61と同様である。なお上記繰出部75の駆動は、畝の上面若しくは畝溝を走行する駆動輪48の回転によりチェンスプロケット機構50を介して行われる。この実施例では駆動輪48は畝の上面を走行する方式を採用したが、畝溝を走行するようにすると畝に溝が出来にくく、雨水等も溜まり難くなる。
【0027】
上例において、畝立施肥及び播種作業を行なう場合には、トラクター1の機体後部にロータリ耕耘装置14と畝立器25と播種機42と第1・第2施肥装置61,62を装着し、トラクター1のPTO軸16を駆動させてロータリ耕耘装置14の耕耘爪30を回転させながら機体を前進させて行く。
【0028】
耕耘・畝立作業について説明すると、PTO軸16の回転により、耕耘軸29は回転させられて高速回転する耕耘爪30…により土壌は耕起され後方に放てきされる。このとき、一部の土は後部カバー23に当たって細かく砕土され、後部カバー23の下縁部で押圧される。耕耘爪30によって後方へ放てきされた土の一部は土溜まり部32内に受け止められて一時的に貯留される状態となり、ゴム板40で押さえられながら後部開口aから畝の上面に放出される。この場合、開口量aが大きいほど土の盛り上がりが大きく開口量aが小さいほど盛り上がりは小さくなる。特にこの実施例では土溜まり部32を天板33と左右の側板34,34とでボックス状に形成してこのボックス状空間部に放てきされた土を溜める構成としたので、開口部を介して畝の上面に放出される土の形状が略一定となり、後の播種作業を容易に行なうことができる。また、土の勢いがこのボックス状の空間部で弱められ、この弱められた状態で土溜まり部32の土が開口部aから後方に放出されると共に、土溜まり部32に取付けたゴム板40の下面で畝上面の盛上った部分を押圧する構成としたので土がゴム板40に付着せず、土溜まり部32内の土離れが良く畝立成形後の畝上面の仕上がりが美麗となる。
【0029】
次いで、施肥・播種作業について説明すると、第1施肥装置61は、ロータリ耕耘装置14の前側に配置されていて、進行と共にディスク63,63が溝条を形成するが、ディスク63,63の下端は耕耘深さよりも深い位置にあって、所謂深層施肥が行われる。この深層に施肥された肥料は上記耕耘作業によっても攪拌されず肥料が拡散しない。
【0030】
そして、畝立後の盛上った部分Aの上を作溝器52が通過して播種溝を形成し、鎮圧輪44の回転駆動力を受けて回転する繰出部により種子ホッパー46内の種子が下方に繰出され、覆土輪53により種子は左右から覆土され、その上を鎮圧輪49が転動して播種された部分を押圧する。
【0031】
一方、播種位置の側方近傍には第2施肥装置62のディスク73,73の通過によって溝条が形成され、肥料ホッパー74から繰出される肥料が播種された種子の側方に施肥される。なお、播種後処理と同時に覆土輪53による覆土、鎮圧輪49による押圧がなされる。
【0032】
図9は畝と播種・施肥状況を示す畝断面図であり、鎮圧の前(イ)、後(ロ)を示す。深層には、大豆の例では、該大豆種子Sの播種位置から10〜20cm下層に、第1施肥装置61の肥料ホッパー64に収容した肥料F1、例えばLPSが散布されるが、後続のロータリ耕耘装置14の耕深よりも深い位置にディスク63,63下端を配置するから施肥は該耕深よりも深くなり、後続して土壌が耕耘されるが施肥後に拡散されることがなく長期に渡り所期の施肥効果を維持でき、かつ根の根粒菌に対して影響のない深さを確保する。側条には、同じく大豆の例では大豆種子からD1(例えば7cm程度)離し、深さD2(例えば20cm程度)深くなるよう、第2施肥装置62の肥料ホッパー74の肥料F2、例えば大豆1号を散布する。
【0033】
上記のように構成した大豆の栽培経過によると、全層に大豆1号を散布する慣行施肥区に対し、本発明による深層・側条施肥試験区とでは、主茎長、本葉枚数などの生長結果で明らかに試験区が慣行施肥区に勝った数値を示して葉色が濃く生育旺盛の結果を得ている。そして根粒菌数の測定結果では開花期・最繁期共に試験区が慣用施肥区の2倍以上の値を呈して生長の旺盛さを裏付けるものとなった。これらの結果として、実収量も試験区の方が多い結果となった。
【0034】
なお、第1施肥装置61の後方に位置する耕耘爪は取り外しておくこともできる。このようにすると、耕耘土壌の拡散が抑制され、比較的浅い位置でも所期の目的を達成できる。
【0035】
また、畝面の凸条部幅を広げておくことにより、播種および第2施肥装置62による施肥を共に該凸条に作用させることにより、溝条を少なく出来、湿害を効果的に防止できる。なお、上記実施例では、ディスクによって溝条を形成する構成としたが、この構成に限定されるものではなく、例えばサブソイラ型溝切手段と施肥導入管による組み合わせでもよい。
【0036】
図10(イ)(ロ)において、前記のクイックヒッチ13の改良構成を示す参考図である。ヒッチフレーム80に一体の左右支持ピン81,81、及び上部フック82を設け、作業機側に夫々形成する係合フック、係合ピン(いずれも図示せず)に係合あるいは離脱させる構成とするが、左右の支持ピン81,81と作業機側係合フックとの係合を維持させるためのフックプレート83をばね(図示せず)で付勢して設けるが、作業機を離脱する際、このフックプレート83は解除姿勢に回動させる必要がある。このため従来からフックプレート83L,83R自体あるいは左右フックプレート83L,83Rを接続する接続部材に解除用レバー84を設けるが、図10においては、この解除レバー84はフックプレート83L,83Rにレバー84基端部を挿抜自在に固定するパイプ材85L,85Rを左右のフックプレート構成するもので、必要に応じて解除レバー84は右又は左のフックプレートのパイプ材85L又は85Rを選択的に利用できる。したがって、左右一方側で他物に干渉の恐れがあるときは、他方に付け替えて用いることができる。
【0037】
また、図11に示すものは、上記解除レバー84の途中部を折り曲げ自在に接続し、解除時は延長接続状態で長くして用い、不用時は握り部84aを折り曲げ収容状態(図11(ロ))としておくものである。これによって作業中等の他物との接触を防止できる。
【0038】
図12は前記後部カバー23部の改良構成を示す参考図である。後部カバー23をメンテナンスするに際して、これを主ロータリカバー22に対して上昇させておくが、後部カバー23の内側には耕耘土壌の付着物が堆積し、重量が重くなって、上記上昇のための持ち上げは容易でない。そこで、図12に示す構成においては、主ロータリカバー22の後部中央に別途準備の引き上げロッド86先端を係合できる係合凹部87を備え横軸周りに回転する受け具88を取付け、一方後部カバー23の中央部には長尺のフック部材89の基端部を係止する構成である。したがって別途準備する引き上げロッド86の途中に長手方向にずれない状態にして前記フック部材89を係止して引き上げロッド86の先端(後端)を上昇させると梃子の原理で容易に持ち上げできる。また、図13に示す構成は、後部カバー23の後端にスタンド90を挿通して保持できる保持パイプ91を着脱自在に装着している。92は固定ピン。耕耘ロータリー作業機を上昇し、スタンド90を装着しておきゆっくりと降下させる。スタンド90接地状態で、即ち後部カバー23の後方を大きく開く状態で保持できる。符号93はスタンド90に巻装したバネで上記固定ピン92を取り外した状態で耕耘ロータリー作業機をゆっくり下ろすとスタンド90接地の際に、緩衝させることができ各部の破損を防止できる。
【0039】
図14〜16は後部カバー23にレベラ95を装着した状態を示す図である。従来ツース付きレベラ95´は、後部カバーの下端に後方向けて延長された状態に組付けられる構成であった(図15(ロ))ため、前後に長い構成を余儀なくされ、運搬等に際してこれを取り外すなど不便であった。そこで、図15(イ)に示す構成では、ツース付きレベラ95を左右に長いフレーム部96に植毛状に設けるツース97を前方、即ち後部カバー23の直下部に侵入してツース97を構成することにより、前後長さを短縮化できる上、後部カバー23の荷重を十分に受けたツース97が田面に作用し得て良好な代掻き等の仕上がりを期待できる。98は後部カバー23の下部に設ける取付片、99はレベラ95の取付片であり、両者を重合して固定することによって、ツース付きレベラ95の装着が完了する。
【0040】
また前記図16は、主ロータリカバー22の前部において泥土飛散防止のため、フロントカバーを延長する構成に関する。フロントカバーは主ロータリカバー22の前端に形成したヒンジ101に上下回動自在に第1フロントカバー102を設け、この第1フロントカバー102の先端に第2ヒンジ103を構成し、その第2ヒンジ103には、ゴム製の第2フロントカバー104を設けている。したがって、第1・第2のフロントカバー102、104を折畳み姿勢(図16中実線)から延長状姿勢(同図中仮想線)に設けるから上下方向に遮蔽範囲を拡大でき泥土飛散を効果的に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】トラクターに畝立器を装着した状態の側面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】要部の拡大側面図である。
【図4】要部の拡大背面図である。
【図5】一部を破断した要部の側面図である。
【図6】ロータリ耕耘装置に播種機を装着した状態の側面図である。
【図7】第1施肥装置の一部拡大側面図である。
【図8】同上の平面図である。
【図9】(イ)(ロ)作用説明図である。
【図10】ヒッチフレームの別例を示す側面図(イ)、およびレバー部展開図(ロ)である。
【図11】ヒッチフレームの更に他例を示す側面図(イ)、およびレバー部作用説明図(ロ)である。
【図12】耕耘ロータリーの別例を示す側面図である。
【図13】耕耘ロータリーの更に他の例を示す側面図である。
【図14】後部カバー部の別例を示す斜視図である。
【図15】ツース付きレベラの参考側面図(イ)、従来例を示す側面図(ロ)である。
【図16】耕耘ロータリーの更に他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 トラクター(牽引車両)
14 ロータリ耕耘装置
20 耕耘部
24 後部カバー
25 畝立器
32 土溜まり部
42 播種機
61 第1施肥装置
63 ディスク
66 肥料導入管
【技術分野】
【0001】
この発明は、畝立施肥装置に関し、特に大豆等の播種床成形及び播種、施肥処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置の後方に畝を形成する畝立装置を装着し、成形畝の所定深さに施肥する施肥装置を設け、該施肥吐出口よりも深い位置に薬剤を吐出する薬剤注入装置を設けた畝立施肥装置の構成がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−209415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の畝立施肥装置は、所謂深層施肥と側条施肥とを同時作業でき、水田転作等による地力低下を改善する方法として有効に利用されている。
ところが、上記の畝立施肥装置では、薬剤注入用吐出管から畝立直前で飛散中の耕耘土壌中に噴出するものであり、かつ、この薬剤注入位置よりも浅い位置で施肥装置の施肥管によって吐出される肥料も飛散中の耕耘土壌中に散布されるものである。
【0004】
したがって、攪拌土壌中に吐出される薬剤や肥料は拡散して所期の施肥効果を得られないものとなっている。
また、ロータリ耕耘装置の後部カバーで平らにした畝面に播種する作溝器を進行させると播種床部が窪んで雨水が溜まって種子が発芽不良、根腐れなどの水湿害を受け易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記に鑑み次のような技術的手段を講じた。即ち、
請求項1に記載の発明は、牽引車両1の後部に、土を耕起する耕耘部20と耕耘部20後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー23と畝立器25とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部20の前部には該耕耘部20の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置61を設け、前記耕耘部20の後部には畝立成形された畝面に播種する播種機42と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置62を設けてなる畝立施肥装置の構成とする。
【0006】
上記のように構成すると、牽引車両1の前進と共に耕耘部20は所定の耕耘深さで土壌を耕耘する。この耕耘部20の前側においては、第1施肥装置によって未耕耘で上記耕耘深さよりも深い箇所に施肥される。また耕耘部20の後側においては、耕耘後の畝立成形された畝面に播種器によって播種されかつ播種位置の側部所定間隔の位置には第2施肥装置によって施肥される。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、第1施肥装置は左右一対のディスク63,63を耕耘部20の前側に配置し、これらディスク63,63の間に肥料導入管66の出口をのぞませる構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記畝立器25によって成形する畝の上面を凸条に成形する成形手段Tを設け、該凸条に播種する構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記成形手段Tは、前記後部カバー23に前記耕耘部20によって後方へ放てきされた土を一時的に受け入れてこれを順次地表面に放出する土溜まり部32によって構成した請求項3に記載の畝立施肥装置の構成とする。
【0010】
耕耘部20を構成する耕耘爪30によって耕起された土は後方へ放てきされ畝立器25によって畝が形成されながら成形手段Tによって畝面に凸条が形成される。例えば、耕耘土壌が後部カバー23の内面に衝突し、該後部カバー23には耕耘爪30により後方へ放てきされた土を受け入れてこれを順次放出する土溜まり部32が設けられているから、牽引車両1の進行と共にこの土溜まり部32の土が畝の表面に放出されてその部分が隆起する形となり他の部分に比べて播種床部分だけが高い平畝又は丸畝が形成される。そして、この隆起部(凸条部)に播種される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項2に記載の発明によると、第1施肥装置61によって未耕耘で上記耕耘深さよりも深い箇所に施肥されるため、後続する耕耘部20による土壌拡散の影響を受け難く、作物の根部への施肥効果を長期に維持でき、また施肥深さを根粒菌に対して影響のない深さに設定できる。
【0012】
請求項3又は請求項4に記載の発明によると、上記の効果に加え、畝立成形後の畝上面は凸状に形成するから播種跡において溝部が形成されないため、雨水の浸入による発芽不良や根腐れなどの湿害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1において符号1は牽引車両としてのトラクターで、機体の前後部に夫々前輪2、2と後輪3、3を備え、ボンネット4内のエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置により適宜減速して前輪2、2と後輪3、3とに伝えるように構成している。
【0014】
ミッションケース6の後上部には油圧シリンダケース7を固着して設けている。油圧シリンダケース内には単動式の油圧シリンダ8を設け、また、この油圧シリンダケース7の左右両側にはリフトアーム9、9を回動自由に枢支している。また、トップリンク10、ロワーリンク11、11からなる3点リンク機構12の後端部には、作業機をワンタッチで装着できるクイックヒッチ13が設けられ、このクイックヒッチ13を介して耕耘装置としてのロータリ耕耘装置14が着脱自在に連結されている。15,15はリフトアーム9、9とロワーリンク11、11との間に介装されたリフトロッドである。
【0015】
ロータリ耕耘装置14は、耕耘部20と、耕耘部20の上方を覆う主ロータリカバー22と、主ロータリカバー22の後部に回動自在に枢着された後部カバー23とを備え、また、後部カバー23の横幅方向には背面から見て逆V字状の切欠部24(この実施例では4箇所)が設けられ、この切欠部24に畝立器25の先端が入り込むようにして装着されている。4個の畝立器25は左右横方向に延設されたヒッチ27上を左右方向にスライド調節できるものであり、畝幅に応じて、あるいは前記切欠部の中心に合わせて畝立器25の取付位置の変更調節が行なえるように構成されている。
【0016】
耕耘部20は耕耘軸29とこの耕耘軸29上に取付けられた複数個の耕耘爪30…とからなり、トラクター1側のPTO軸16から自在継手17を介してロータリ耕耘装置14の入力軸18に動力が伝達され、この回転動力により耕耘軸29が回転する。耕耘軸29が回転すると耕耘爪30…によって土壌が耕起され、耕起された土は後方へ放てきされ、後部カバー23に当たって砕土される。
【0017】
また、隣り合う畝立器25、25同士の間に位置する後部カバー23の幅方向には耕起された土を受け入れて一時的に土を貯留する土溜まり部32が設けられ、畝面に凸条部を形成する形成手段Tとしている。この実施例では3個の土溜まり部32が設けられているが、3個の土溜まり部32…はいずれも構成が同じであるから中央1個の土溜まり部32について構成を説明する。土溜まり部32が設けられる後部カバー23部分は背面から見て矩形状に切り欠かれ、この部分には後方に突出させて天板33と左右の側板34とが後部カバー23と一体的に設けられている。
【0018】
左右一対の側板34、34はそれらの後端部が夫々内向きに折り曲げられ、天板33は凸部が上向きとなるように彎曲させている。35は土溜まり部32の後方にあって左右の側板34,34の折曲部34a,34aに当接した状態で上下方向に移動するスライド調節板である。折曲部34a,34aの上面にはネジ部を有するピン37,37が上向きに突設され、このピン37,37に長孔38,38を有するスライド調節板35が上から取付けられている。
【0019】
長孔38,38の範囲でスライド調節板35を上下方向に移動させることができる。スライド調節板35を上側にずらすと土溜まり部32の開口量aが大きくなり、反対にこのスライド調節板35を下方にずらすと開口量aが小さくなるようにしている。符号36,36は蝶ねじである。
【0020】
また、図4、図5に示すように左右の側板34,34間には丸棒状のロッド39が架設され、このロッド39に中間部を載せる形で可撓性のゴム板40が取付けられている。即ち、ゴム板40の上端部は後部カバー23に固着されると共に、このゴム板40の中間部がロッド39の上を跨ぐようにして支持されゴム板40の下端部は自由に前後方向に揺動できるように構成されている。このようにこの実施例ではゴム板40の下端部を固定しないで前後に揺動できる構成としたので土の付着が少なくなる。なお、土溜まり部32は後部カバー23に横移動不能な状態で固定する構成としても良いが、図4に示すように土溜まり部32単体が左右方向に移動できるように構成しても良い。図4において、符号41,41は土溜まり部32の側板34,34と一体のプレートであり、このプレート41,41には複数個の取付孔41a,41aが穿設されており、この取付孔41a,41aの1個と後部カバー23側の取付孔(図示省略)とを対応合致させた後、ボルト・ナット等の締付手段47により後部カバー23側に固定する。このように移動調整可能な構成にすると条間距離が変わったときの播種位置の変更に迅速に対応できるメリットがある。
【0021】
次に、施肥装置について説明する。施肥装置は、耕耘部20の前部に施肥する第1施肥装置61と、畝立器25の後部に配置される第2施肥装置62とからなる。このうち、第1施肥装置61は、成形畝の条数(図例では3条)に一致させて左右に配設される構成であり、各ユニットは、一対のディスク63,63を備え、このディスク63,63の間に肥料ホッパー64の繰出部65部に接続した肥料導入管66の下端供給口を位置させた構成としている。
【0022】
耕耘ロータリーの主ロータリカバー22の前側にブラケット67を介して左右に断面矩形の固定バー68を設け、この固定バー68の前面に垂直姿勢の支持筒体69を該固定バー68の長手方向に沿って取付位置調整自在に設け、後面にやや傾斜させた支持筒体70を同じく固定バー68の長手方向に沿って取付位置調整自在に設けている。
【0023】
上記の支持筒体のうち前側支持筒体69には下端に前記一対のディスク63,63を横軸周りに回転自在に支持した垂直杆71を挿通しその上下調整自在に締付保持し、後側支持筒体70には前記供給管66の下端側を挿通して保持する構成である。なお一対のディスク63,63は進行方向前側が閉じ後側ほど開くよう平面視でV型の構成であり、後側の拡開部において供給管66の下端をのぞませる。一対のディスク63,63の進行によってディスク63下端に亘り土壌拡開による溝状が形成されるが、その下端FLは耕耘部20によって土壌耕耘される深さRLよりも深い状態に例えば上記前側支持筒69に対して上下調整の上設置される。
【0024】
なお、繰出部65の回転駆動は第2施肥装置62の繰出部と同期して回転すべくチェン 72によって連動させている。
次いで耕耘部20の後方、図例では畝立器25,25…の後方に配設される第2施肥装置62、及び播種機42について説明する。先ず播種機42について、ロータリ耕耘装置14と一体のヒッチ27には3個の播種機42が横方向に移動調節可能に取付けられており、各播種機42は前記土溜まり部32の略真後ろとなる位置にくるようにセットされ、ボルト等の適宜の締め付け手段により横移動不能な状態でヒッチ27に固定される。
【0025】
図中符号44は畝上面の播種床部分を転動する鎮圧輪で、チェンスプロケット機構45を介して種子ホッパー46の繰出部を駆動する。符号52は成形された播種床部分を作溝する作溝器、53は播種された後に土をかける覆土輪である。
【0026】
一方、第2施肥装置62について、上記成形畝毎に配置される播種機42,42…の横側に配置された一対のディスク73,73を備え、このディスク73,73で形成する溝条に肥料ホッパー74の繰出部75に接続した肥料導入管76の供給口をのぞませて施肥する構成であり、ディスク73,73及び供給管76の支持は前記ヒッチ27によるほか、基本形態は第1施肥装置61と同様である。なお上記繰出部75の駆動は、畝の上面若しくは畝溝を走行する駆動輪48の回転によりチェンスプロケット機構50を介して行われる。この実施例では駆動輪48は畝の上面を走行する方式を採用したが、畝溝を走行するようにすると畝に溝が出来にくく、雨水等も溜まり難くなる。
【0027】
上例において、畝立施肥及び播種作業を行なう場合には、トラクター1の機体後部にロータリ耕耘装置14と畝立器25と播種機42と第1・第2施肥装置61,62を装着し、トラクター1のPTO軸16を駆動させてロータリ耕耘装置14の耕耘爪30を回転させながら機体を前進させて行く。
【0028】
耕耘・畝立作業について説明すると、PTO軸16の回転により、耕耘軸29は回転させられて高速回転する耕耘爪30…により土壌は耕起され後方に放てきされる。このとき、一部の土は後部カバー23に当たって細かく砕土され、後部カバー23の下縁部で押圧される。耕耘爪30によって後方へ放てきされた土の一部は土溜まり部32内に受け止められて一時的に貯留される状態となり、ゴム板40で押さえられながら後部開口aから畝の上面に放出される。この場合、開口量aが大きいほど土の盛り上がりが大きく開口量aが小さいほど盛り上がりは小さくなる。特にこの実施例では土溜まり部32を天板33と左右の側板34,34とでボックス状に形成してこのボックス状空間部に放てきされた土を溜める構成としたので、開口部を介して畝の上面に放出される土の形状が略一定となり、後の播種作業を容易に行なうことができる。また、土の勢いがこのボックス状の空間部で弱められ、この弱められた状態で土溜まり部32の土が開口部aから後方に放出されると共に、土溜まり部32に取付けたゴム板40の下面で畝上面の盛上った部分を押圧する構成としたので土がゴム板40に付着せず、土溜まり部32内の土離れが良く畝立成形後の畝上面の仕上がりが美麗となる。
【0029】
次いで、施肥・播種作業について説明すると、第1施肥装置61は、ロータリ耕耘装置14の前側に配置されていて、進行と共にディスク63,63が溝条を形成するが、ディスク63,63の下端は耕耘深さよりも深い位置にあって、所謂深層施肥が行われる。この深層に施肥された肥料は上記耕耘作業によっても攪拌されず肥料が拡散しない。
【0030】
そして、畝立後の盛上った部分Aの上を作溝器52が通過して播種溝を形成し、鎮圧輪44の回転駆動力を受けて回転する繰出部により種子ホッパー46内の種子が下方に繰出され、覆土輪53により種子は左右から覆土され、その上を鎮圧輪49が転動して播種された部分を押圧する。
【0031】
一方、播種位置の側方近傍には第2施肥装置62のディスク73,73の通過によって溝条が形成され、肥料ホッパー74から繰出される肥料が播種された種子の側方に施肥される。なお、播種後処理と同時に覆土輪53による覆土、鎮圧輪49による押圧がなされる。
【0032】
図9は畝と播種・施肥状況を示す畝断面図であり、鎮圧の前(イ)、後(ロ)を示す。深層には、大豆の例では、該大豆種子Sの播種位置から10〜20cm下層に、第1施肥装置61の肥料ホッパー64に収容した肥料F1、例えばLPSが散布されるが、後続のロータリ耕耘装置14の耕深よりも深い位置にディスク63,63下端を配置するから施肥は該耕深よりも深くなり、後続して土壌が耕耘されるが施肥後に拡散されることがなく長期に渡り所期の施肥効果を維持でき、かつ根の根粒菌に対して影響のない深さを確保する。側条には、同じく大豆の例では大豆種子からD1(例えば7cm程度)離し、深さD2(例えば20cm程度)深くなるよう、第2施肥装置62の肥料ホッパー74の肥料F2、例えば大豆1号を散布する。
【0033】
上記のように構成した大豆の栽培経過によると、全層に大豆1号を散布する慣行施肥区に対し、本発明による深層・側条施肥試験区とでは、主茎長、本葉枚数などの生長結果で明らかに試験区が慣行施肥区に勝った数値を示して葉色が濃く生育旺盛の結果を得ている。そして根粒菌数の測定結果では開花期・最繁期共に試験区が慣用施肥区の2倍以上の値を呈して生長の旺盛さを裏付けるものとなった。これらの結果として、実収量も試験区の方が多い結果となった。
【0034】
なお、第1施肥装置61の後方に位置する耕耘爪は取り外しておくこともできる。このようにすると、耕耘土壌の拡散が抑制され、比較的浅い位置でも所期の目的を達成できる。
【0035】
また、畝面の凸条部幅を広げておくことにより、播種および第2施肥装置62による施肥を共に該凸条に作用させることにより、溝条を少なく出来、湿害を効果的に防止できる。なお、上記実施例では、ディスクによって溝条を形成する構成としたが、この構成に限定されるものではなく、例えばサブソイラ型溝切手段と施肥導入管による組み合わせでもよい。
【0036】
図10(イ)(ロ)において、前記のクイックヒッチ13の改良構成を示す参考図である。ヒッチフレーム80に一体の左右支持ピン81,81、及び上部フック82を設け、作業機側に夫々形成する係合フック、係合ピン(いずれも図示せず)に係合あるいは離脱させる構成とするが、左右の支持ピン81,81と作業機側係合フックとの係合を維持させるためのフックプレート83をばね(図示せず)で付勢して設けるが、作業機を離脱する際、このフックプレート83は解除姿勢に回動させる必要がある。このため従来からフックプレート83L,83R自体あるいは左右フックプレート83L,83Rを接続する接続部材に解除用レバー84を設けるが、図10においては、この解除レバー84はフックプレート83L,83Rにレバー84基端部を挿抜自在に固定するパイプ材85L,85Rを左右のフックプレート構成するもので、必要に応じて解除レバー84は右又は左のフックプレートのパイプ材85L又は85Rを選択的に利用できる。したがって、左右一方側で他物に干渉の恐れがあるときは、他方に付け替えて用いることができる。
【0037】
また、図11に示すものは、上記解除レバー84の途中部を折り曲げ自在に接続し、解除時は延長接続状態で長くして用い、不用時は握り部84aを折り曲げ収容状態(図11(ロ))としておくものである。これによって作業中等の他物との接触を防止できる。
【0038】
図12は前記後部カバー23部の改良構成を示す参考図である。後部カバー23をメンテナンスするに際して、これを主ロータリカバー22に対して上昇させておくが、後部カバー23の内側には耕耘土壌の付着物が堆積し、重量が重くなって、上記上昇のための持ち上げは容易でない。そこで、図12に示す構成においては、主ロータリカバー22の後部中央に別途準備の引き上げロッド86先端を係合できる係合凹部87を備え横軸周りに回転する受け具88を取付け、一方後部カバー23の中央部には長尺のフック部材89の基端部を係止する構成である。したがって別途準備する引き上げロッド86の途中に長手方向にずれない状態にして前記フック部材89を係止して引き上げロッド86の先端(後端)を上昇させると梃子の原理で容易に持ち上げできる。また、図13に示す構成は、後部カバー23の後端にスタンド90を挿通して保持できる保持パイプ91を着脱自在に装着している。92は固定ピン。耕耘ロータリー作業機を上昇し、スタンド90を装着しておきゆっくりと降下させる。スタンド90接地状態で、即ち後部カバー23の後方を大きく開く状態で保持できる。符号93はスタンド90に巻装したバネで上記固定ピン92を取り外した状態で耕耘ロータリー作業機をゆっくり下ろすとスタンド90接地の際に、緩衝させることができ各部の破損を防止できる。
【0039】
図14〜16は後部カバー23にレベラ95を装着した状態を示す図である。従来ツース付きレベラ95´は、後部カバーの下端に後方向けて延長された状態に組付けられる構成であった(図15(ロ))ため、前後に長い構成を余儀なくされ、運搬等に際してこれを取り外すなど不便であった。そこで、図15(イ)に示す構成では、ツース付きレベラ95を左右に長いフレーム部96に植毛状に設けるツース97を前方、即ち後部カバー23の直下部に侵入してツース97を構成することにより、前後長さを短縮化できる上、後部カバー23の荷重を十分に受けたツース97が田面に作用し得て良好な代掻き等の仕上がりを期待できる。98は後部カバー23の下部に設ける取付片、99はレベラ95の取付片であり、両者を重合して固定することによって、ツース付きレベラ95の装着が完了する。
【0040】
また前記図16は、主ロータリカバー22の前部において泥土飛散防止のため、フロントカバーを延長する構成に関する。フロントカバーは主ロータリカバー22の前端に形成したヒンジ101に上下回動自在に第1フロントカバー102を設け、この第1フロントカバー102の先端に第2ヒンジ103を構成し、その第2ヒンジ103には、ゴム製の第2フロントカバー104を設けている。したがって、第1・第2のフロントカバー102、104を折畳み姿勢(図16中実線)から延長状姿勢(同図中仮想線)に設けるから上下方向に遮蔽範囲を拡大でき泥土飛散を効果的に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】トラクターに畝立器を装着した状態の側面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】要部の拡大側面図である。
【図4】要部の拡大背面図である。
【図5】一部を破断した要部の側面図である。
【図6】ロータリ耕耘装置に播種機を装着した状態の側面図である。
【図7】第1施肥装置の一部拡大側面図である。
【図8】同上の平面図である。
【図9】(イ)(ロ)作用説明図である。
【図10】ヒッチフレームの別例を示す側面図(イ)、およびレバー部展開図(ロ)である。
【図11】ヒッチフレームの更に他例を示す側面図(イ)、およびレバー部作用説明図(ロ)である。
【図12】耕耘ロータリーの別例を示す側面図である。
【図13】耕耘ロータリーの更に他の例を示す側面図である。
【図14】後部カバー部の別例を示す斜視図である。
【図15】ツース付きレベラの参考側面図(イ)、従来例を示す側面図(ロ)である。
【図16】耕耘ロータリーの更に他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 トラクター(牽引車両)
14 ロータリ耕耘装置
20 耕耘部
24 後部カバー
25 畝立器
32 土溜まり部
42 播種機
61 第1施肥装置
63 ディスク
66 肥料導入管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引車両(1)の後部に、土を耕起する耕耘部(20)と耕耘部(20)後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー(23)と畝立器(25)とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部(20)の前部には該耕耘部(20)の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置(61)を設け、前記耕耘部(20)の後部には畝立成形された畝面に播種する播種機(42)と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置(62)を設けてなる畝立施肥装置。
【請求項2】
前記第1施肥装置(61)は左右一対のディスク(63,63)を耕耘部(20)の前側に配置し、これらディスク(63,63)の間に肥料導入管(66)の出口をのぞませる構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置。
【請求項3】
前記畝立器(25)によって成形する畝の上面を凸条に成形する成形手段(T)を設け、該凸条に播種する構成とした請求項1又は請求項2に記載の畝立施肥装置。
【請求項4】
前記成形手段(T)は、前記後部カバー(23)に前記耕耘部(20)によって後方へ放てきされた土を一時的に受け入れてこれを順次地表面に放出する土溜まり部(32)によって構成した請求項3に記載の畝立施肥装置。
【請求項1】
牽引車両(1)の後部に、土を耕起する耕耘部(20)と耕耘部(20)後方を覆いながら土の上面を押圧する後部カバー(23)と畝立器(25)とからなる畝立成形装置を設け、前記耕耘部(20)の前部には該耕耘部(20)の耕耘深さよりも深い位置に施肥する第1施肥装置(61)を設け、前記耕耘部(20)の後部には畝立成形された畝面に播種する播種機(42)と、播種された種子の側部に所定間隔で施肥する第2施肥装置(62)を設けてなる畝立施肥装置。
【請求項2】
前記第1施肥装置(61)は左右一対のディスク(63,63)を耕耘部(20)の前側に配置し、これらディスク(63,63)の間に肥料導入管(66)の出口をのぞませる構成とした請求項1に記載の畝立施肥装置。
【請求項3】
前記畝立器(25)によって成形する畝の上面を凸条に成形する成形手段(T)を設け、該凸条に播種する構成とした請求項1又は請求項2に記載の畝立施肥装置。
【請求項4】
前記成形手段(T)は、前記後部カバー(23)に前記耕耘部(20)によって後方へ放てきされた土を一時的に受け入れてこれを順次地表面に放出する土溜まり部(32)によって構成した請求項3に記載の畝立施肥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−11162(P2009−11162A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172925(P2007−172925)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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