説明

発光ダイオード

【課題】 絶縁性の平板状の基板上に発光素子を実装した構成でありながら、一対の電極パターンを介してバランスよく効果的に発光素子から発せられる熱を外部に放出することのできると共に、発光特性にも優れた発光ダイオードを提供することである。
【解決手段】 基板12と、この基板12の表面に形成される一対の表面電極13a,14aと、この一対の表面電極13a,14a上に実装される発光素子15とを備える発光ダイオード11において、前記一対の表面電極13a,14aが、前記基板12の表面の略中央部に設けられる絶縁領域20を除いて略全面に形成され、前記発光素子15は、発光素子15の略中央部を前記絶縁領域20に一致させた状態で前記一対の表面電極13a,14a上に実装した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電極パターンが形成された基板上に発光素子を実装して構成される発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な発光ダイオードは、絶縁性の基板と、この基板の両端側に設けられるアノード及びカソードからなる一対の電極パターンと、前記基板の略中央部に実装される発光素子と、この発光素子を封止する透光性の樹脂体とを有して形成されている。前記発光素子は一対の素子電極を有し、この一対の素子電極と、対応する前記一対の電極パターンとを一対のボンディングワイヤによって電気的に接続されている。
【0003】
これに対して、特許文献1に開示されている発光ダイオードは、絶縁材料を挟んで一対の柱状の電極体を貼り合わせ、この貼り合わせた上面に発光素子を実装し、それぞれの電極体とボンディングワイヤで電気的に接続して形成されている。この発光ダイオードでは、発光素子を実装する平面の小型化を図るため、平板状の樹脂基板を用いず、貼り合わせた一対の電極体上が発光素子による発光面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−289924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の一般的な発光ダイオードは、一対の電極パターンがスルーホールを含む基板の端部に形成され、発光素子が実装される部分は樹脂面となっているものが多い。また、ダイボンド実装型の発光ダイオードにあっては、一方の電極パターンが基板の中央部まで延び、この電極パターン上に発光素子を実装することで一方の電気的接続が図られ、他方の電極パターンとはボンディングワイヤによって電気的接続が図られる。このように、発光素子と電極パターンとは直接接していないか、いずれか一方の電極パターンに接するだけであった。
【0006】
前記電極パターンは金属材料で形成されているため、熱伝導性にも優れているが、発光素子との接触がない場合や、一方の電極パターンだけに接触している場合だけでは放熱性が十分でなく、また、放熱のバランスが悪くなる場合があった。このように、従来の発光ダイオードにあっては、一対の電極パターンが発光素子との電気的接続を図るための導電性を重要視しているため、熱伝導性を活かした構造とはなっていなかった。
【0007】
これに対して、特許文献1に記載の発明にあっては、放熱性を主目的としたものではないが、表面積の大きな柱状の一対の電極体を貼り合わせた構造となっているため、熱伝導性に関しては一定の効果を得ることができる。しかしながら、前記一対の電極体を貼り合わせた上面が発光面となっているため、発光範囲が狭く、反射効果も十分なものとはいえない。この発光面を広くするには、電極体そのものを大きく形成しなければならず、製造及び製品コストが高くなるといった問題がある。また、この発光ダイオードは、外表面が電極体の露出面となっているため、マザーボード等に実装する際や他の電子部品と混在して実装する場合は、絶縁材で被覆するか、隣接する電子部品との間に一定の距離を隔てて配置する必要があり、表面実装には適していない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、絶縁性の平板状の基板上に発光素子を実装した構成でありながら、一対の電極パターンを介してバランスよく効果的に発光素子から発せられる熱を外部に放出することのできると共に、発光特性にも優れた発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の発光ダイオードは、基板と、この基板の表面に形成される一対の電極パターンと、この一対の電極パターン上に実装される発光素子とを備える発光ダイオードにおいて、前記一対の電極パターンが、前記基板の表面の略中央部に設けられる絶縁領域を除いて基板の表面の略全面に形成され、前記発光素子は、発光素子の略中央部を前記絶縁領域に一致させた状態で、前記一対の電極パターン上に実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る発光ダイオードによれば、一対の電極パターンが基板の表面の略中央部に設けられる絶縁領域を除いて形成され、この絶縁領域に発光素子の略中央部を一致させた状態で実装することで、前記発光素子から発せられる熱を一対の電極パターンそれぞれに直接的に放熱させることができる。これによって、放熱を確実に且つバランスよく行うことができる。
【0011】
また、前記発光素子が載置される面積が、一方の電極パターンと他方の電極パターンとで略同一にすることで、発光素子から放出される熱を左右対称となるように拡散させることができる。これによって、基板上における発熱の偏りをなくし、基板の劣化や発光特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の発光ダイオードの斜視図である。
【図2】上記発光ダイオードの断面図である。
【図3】上記発光ダイオードの平面図である。
【図4】第2実施形態の発光ダイオードの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る発光ダイオードの実施形態を詳細に説明する。図1乃至図3は、本発明の第1実施形態の発光ダイオード11の構成を示したものである。この発光ダイオード11は、表面に一対の電極パターン(表面電極)13a,14bが形成された基板12と、この基板12の略中央部に実装される発光素子15と、この発光素子15を封止する透光性の樹脂体16とを有して構成されている。
【0014】
前記基板12は、エポキシ樹脂やBTレジン等の絶縁材料によって四角形状に形成され、絶縁領域20を挟んだ表面側に表面電極13a,14aがパターン形成される。また、図2に示したように、前記基板12の裏面側には、この基板12の内部に設けられる一対の導電部17a,17bを介して前記表面電極13a,14aと導通する一対の裏面電極13b,14bが形成されている。前記一対の導電部17a,17bは、スルーホールによって形成される。
【0015】
前記一対の表面電極13a,14aは、導電性及び熱伝導性に優れた銅やアルミニウム等の金属面となっており、前記基板12の長手方向を略二分するように帯状に延びる絶縁領域20を除いた基板12の表面の略全面に形成される。この一対の表面電極13a,14aは、例えば次のような工程で形成される。先ず、前記基板12の表面全体にメッキや蒸着等によって薄い金属膜を均一に形成し、次いで前記絶縁領域20となる部分を除いてマスクを施す。そして、このマスクした上からエッチング処理を行うことで、前記絶縁領域20となる部分の金属膜が除去される。最後に残っているマスクを除去することによって、前記絶縁領域20を挟んで対向する表面電極13a,14aが形成される。なお、一対の裏面電極13b,14bも前記基板12の表面側と同様に基板12の裏面側を所定パターンにマスクし、エッチング処理を経て形成される。
【0016】
前記絶縁領域20は、一対の表面電極13a,14aの間を電気的に離間させる目的で設けられるため、短絡等を防止するのに最低限必要な幅が確保できればよい。このように、前記絶縁領域20を最小幅で形成することで、前記一対の表面電極13a,14aの有効面積を広くすることができ、導電性及び熱伝導性を高めることができる。
【0017】
前記発光素子15は、下面15b側がサファイアガラスからなるサブストレートになっており、このサブストレートの上にn型半導体、p型半導体を拡散成長させた拡散層が形成されている(図示せず)。前記n型半導体及びp型半導体はそれぞれn型電極,p型電極を備えており、このn型電極,p型電極が発光素子15の上面15aに露出する一対の素子電極21,22となっている。この発光素子15の下面15bは、一方の表面電極13aに載置される面積と、他方の表面電極14aに載置される面積とが略同一となるように配置される。また、前記一方の素子電極21は一方の表面電極13a上に、他方の素子電極22は他方の表面電極14a上に位置するようにバランスよく配置される。これによって、発光素子15から発せられる熱を一対の表面電極13a,14aに対して均等に分散させて放熱することができる。そして、一対の素子電極21,22は、それぞれボンディングワイヤ23a,23bによって対応する表面電極13a,14aと電気的に接続される。このボンディングワイヤ23a,23bを介した熱も一対の表面電極13a,14aにそれぞれ放熱させることができる。
【0018】
前記一対の表面電極13a,14aは、一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、一対の裏面電極13b,14bを介してマザーボードの所定端子パターン上にハンダ接合される。そして、前記裏面電極13b,14bを通してマザーボード側から所定の電流を流すことによって、前記発光素子15が発光する。
【0019】
図3に示したように、前記発光素子15は、一対の素子電極21,22が一対の表面電極13a,14aのそれぞれの上方に位置するようにして、下面15bの略中央部を前記絶縁領域20に一致させた状態で接着剤24を介して接合固定される。そして、それぞれの表面電極13a,14aの上方に位置している素子電極21,22とをボンディングワイヤ23a,23bによって接続する。
【0020】
このように、前記絶縁領域20を隔て、発光素子15の下面15bを略二分するように表面電極13a,14a上に載置することで、発光素子15から生じる熱が表面電極13a,14aのいずれか一方に偏ることなく、それぞれの表面電極13a,14aに分散させて放熱することができる。また、前記一対のボンディングワイヤ23a,23bからも熱が放出される。これによって、前記発生した熱を発光素子15の下面15b側と上面15a側の両方からバランスよく分散させて放出することができるので、熱が一部に集中することによる基板15や樹脂体16の劣化を防止することができる。
【0021】
また、前記発光素子15が実装されている基板12の表面が絶縁領域20を除いて略全面が電極パターンによる金属面となっているので、発光素子15から発せられる光を上方に向けて広範囲に反射させることができる。前記絶縁領域20は、基板12の樹脂面となっているが、図2に示したように、露出した樹脂面上を白色系の反射部材25で被覆することによって、発光素子15の下面15b側からの光を吸収させることなく、上方に反射させることができる。前記反射部材25は、白色樹脂や白色塗料等による絶縁膜によって形成される。このような、白色系の絶縁膜で前記絶縁領域20を被覆することによって、発光素子15の下面15bからの反射光と、発光素子の周囲に広がる一対の表面電極13a,14aからの反射光とで基板12の表面の略全面を有効な発光面とすることができる。これによって、前記発光面に面した周囲をより明るく且つ広範囲に照らすことができる。また、基板12の表面に樹脂面が露出していないので、発光に伴う基板12の劣化も防止することができる。
【0022】
図4は第2実施形態の発光ダイオード31の平面構成を示したものである。この実施形態は、上記第1実施形態における発光素子15の向きを90度回転させた状態で実装したものである。この配置によれば、発光素子15の一対の素子電極21,22が絶縁領域20の上方に並んだ状態となり、前記一対の素子電極21,22を結ぶ中心線を基準とした左右の下面15bがそれぞれの表面電極13a,14a上に接することとなる。また、前記下面15bは、第1実施形態と同様に、一方の表面電極13aに載置される面積と、他方の表面電極14aに載置される面積とが略同一となるように配置される。これによって、発光素子15で生じた熱が、下面15bからそれぞれの表面電極13a,14aを介してバランスよく放熱させることができる。なお、上下に位置している素子電極21,22からは、左右の対応する表面電極13a,14aに向けて延びるボンディングワイヤ23a,23bによって電気的接続が図られる。
【0023】
前記発光素子15の一対の素子電極21,22を中心とする箇所は、元々発光には寄与しない部分であり、他の部分に比べて発熱量も少ない。このため、図4に示したように、一対の素子電極21,22が絶縁領域20の上方に並ぶような向きで発光素子15を配置することで、発光量及び発熱量の多い部分の下面15bをより多く一対の表面電極13a,14aと接触させることができる。また、前記絶縁領域20は、白色系の反射部材で被覆したとしても、表面電極13a,14aに比べて光反射率の向上効果は少ない。このため、絶縁領域20上に発光素子15の一対の素子電極21,22が並ぶように配置しても全体の発光量に関しては影響がなく、その分、光を多く放出する他の部分が一対の表面電極13a,14a上に配置されることで、反射率のアップを図ることができる。
【0024】
以上、説明したように、本発明の発光ダイオードは、基板上に設けられる一対の電極パターンの有効面積を可能な限り広くして形成し、発光素子の下面が前記一対の電極パターンとバランスよく接するようにして載置した。これによって、発光素子から生じる熱が、この発光素子を中心とした範囲に広く、且つ、均一に分散するように放熱させることが可能となり、安定した状態で発光駆動させることができるようになった。また、発光特性も前記放熱性に比例して高めることができ、明るく且つ発光範囲が均一な発光ダイオードを得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
11 発光ダイオード
12 基板
13a,14a 表面電極
13b,14b 裏面電極
15 発光素子
15a 上面
15b 下面
16 樹脂体
17a,17b 導電部
20 絶縁領域
21,22 素子電極
23a,23b ボンディングワイヤ
24 接着剤
25 反射部材
31 発光ダイオード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板の表面に形成される一対の電極パターンと、この一対の電極パターン上に実装される発光素子とを備える発光ダイオードにおいて、
前記一対の電極パターンが、前記基板の表面の略中央部に設けられる絶縁領域を除いて基板の表面の略全面に形成され、
前記発光素子は、発光素子の略中央部を前記絶縁領域に一致させた状態で、前記一対の電極パターン上に実装されることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項2】
前記発光素子は、前記一対の電極パターンの一方の電極パターンに載置される面積と、他方の電極パターンに載置される面積とが略同一である請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記発光素子は、その上面に一対の素子電極を有し、それぞれの素子電極が対応する前記一対の電極パターンにボンディングワイヤによって電気的に接続される請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記一対の素子電極は、前記発光素子を一対の電極パターン上に実装した時に、一対の電極パターンのそれぞれの上方に位置するように、又は前記絶縁領域の上方に位置するように形成されている請求項3に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記絶縁領域は、白色系の反射部材によって形成される請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記発光素子は、一対の電極パターン上に接着剤を介して実装されている請求項1に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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