説明

監視方法

【目的】監視対象となる人や物が異常な動きをした時に、その人や物の移動速度や移動範囲によらずに、その異常を判定して監視者に知らせることができる監視方法を、提供する。
【解決手段】監視サーバ2は、発信者端末が連続的に移動する時間が事前に登録された継続移動時間を超えたときに、受信者端末3へアラーム信号を送信する。また、監視サーバ2は、発信者端末が移動した距離が事前に登録されたTotal移動距離を超えたときに、受信者端末3へアラーム信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象となる人や物が異常な動きをした時に、その異常を監視者に知らせることができる監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供の誘拐,迷子や高齢者(監視対象人物)の徘徊を監視するために、GPS(
Global Positioning System)機能を有する携帯端末を子供や高齢者に持たせて、この携帯端末から子供や高齢者の位置情報,及び移動速度情報を無線により送信させる方法が行われている。
【0003】
この携帯端末から送信される各情報は、監視サーバで受信され、予め登録されている予想行動範囲や移動速度と比較される。そして、携帯端末から送信された情報が示す内容が、予め登録されている予想行動範囲や移動速度から逸脱した場合(例えば、子供が通学路から大きく離れた場合,高齢者が夜中に時速60kmで移動している場合等)には、この監視サーバから子供や高齢者の保護者に警告(例えば、監視サーバからの異常を知らせる電話等)が通知される(特許文献1,2参照)。
【0004】
この場合には、監視対象人物の異常な行動を素早く把握できるため、誘拐,迷子や徘徊などの事態に素早く対応することができる。
【特許文献1】特開2004−297356号公報
【特許文献2】特開2002−027528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では、監視対象人物が異常な行動をしたとしても、予め登録されている予想行動範囲内であって、移動速度が極端に早くない場合には、監視サーバから保護者に警告が通知されることがなかった。例えば、老人が近所(予め登録されている予想行動範囲)を歩いて(予め登録されている予想速度以下)長時間徘徊し続けた場合には警告が発せられることがなかった。
【0006】
また、上記の方法では、実際には観察対象人物が異常な行動をしていないのに、監視センターから保護者に警告が通知されてしまう場合もあった。例えば、子供が友人の家に遊びに行くために通学路(予め登録されている予想行動範囲)から外れた場合には、誘拐や迷子ではないのに保護者に警告が通知されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を鑑みて案出されたものであり、その課題は、監視対象となる人や物が異常な動きをした時に、その人や物の移動速度や移動範囲によらずに、その異常を判定して監視者に知らせることができる監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために案出された本発明による監視方法の第1の態様は、発信者端末の位置を示す位置情報に基づいて送信されるアラーム情報を受信者端末で受信し、このアラーム情報に基づいて当該受信者端末が警告を出力する監視方法であって、発信者端末の所定の期間中における移動の状態を規定する規定条件を記憶手段に登録する登録ステップと、一定時間毎に前記発信者端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記位置情報を取得したときの日時を示す日時情報を取得する日時情報取得ステップと、前記位置情報が示す位置を前記日時情報による日時の順番に比較して、前記発信者端末の移動の状態を確認する確認ステップと、前記確認ステップにおいて確認された前記発信者端末の所定の期間中における移動の状態と前記記憶手段に登録された前記規定条件とを比較し、前者が後者の条件を満たした場合に、受信者端末へアラーム情報を送信するアラーム通知ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
このように構成された監視方法によると、受信者端末を所持する監視者は、登録ステップにおいて、発信者端末を所持する被監視者の行動パターンに合わせて規定条件を登録することができる。例えば、被監視者が老人である場合には、通常であれば長時間連続して移動し続けることが少ないと考えられるため、監視者は、規定条件として「所定の期間移動し続けた場合」等を登録し得る。また、被監視者が子供である場合には、通常であれば一定期間中に極端に長い距離を移動することはないと考えられるため、監視者は、規定条件として「所定の期間中に長い距離を移動した場合」等を登録し得る。
【0010】
そして、本発明による監視方法によると、発信者端末の移動の状況が上記のように登録された規定条件を満たした場合には、受信者端末による警告の出力が行われることになる。そのため、受信者端末を所持する監視者は、発信者端末を所持する被監視者の異常な行動(規定条件を満たす行動)を素早く把握することができるようになる。
【0011】
なお、前記規定条件には、前記発信者端末が前記所定の期間中に移動し続ける場合が規定されていてもよいし、前記アラーム通知ステップは、前記所定の期間中における移動の状態から前記発信者端末が移動し続けているか否かを判定して、前記所定の期間中において前記発信者端末が移動し続けていると判定した場合に、前記アラーム情報を前記受信者端末へ送信するステップであってもよい。
【0012】
また、前記規定条件には、前記発信者端末が前記所定の期間中に移動する距離が規定されていてもよいし、前記アラーム通知ステップは、前記所定の期間中における移動の状態から前記発信者端末が移動した距離を算出し、この算出した距離と前記規定条件に規定された距離とを比較して、前者が後者を超えた場合に、前記アラーム情報を前記受信者端末へ送信するステップであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、監視対象となる人や物が異常な動きをした時に、その人や物の移動速度や移動範囲によらずに、その異常を判定して監視者に知らせることができる監視方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明による実施の形態を、説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例による監視システムのネットワーク構成を示す模式図である。この図1に示されるように、第1の実施例による監視システムは、監視サーバ2と、移動電話網及びインターネットを含むネットワークNを介して監視サーバ2と接続可能な多数(図1には一つのみ図示)の発信者端末1と、ネットワークNを介して監視サーバ2と接続可能な多数(図1には一つのみ図示)の受信者端末3と、GPS(Global Positioning System)信号を送信する複数のGPS衛星4(図1には一つのみ図示)とから、構成されている。
【0016】
発信者端末1は、被監視者や被監視物に所持させるための端末であり、自端末の位置情報や時刻情報を自動的に取得するとともに、これらの情報を自動的に監視サーバ2へ送るための端末である。そのため、発信者端末1は、コンパクトな形状に設計することができる。例えば、発信者端末1は、図1に示されるように、携帯電話を兼ねたものとすることができる。なお、発信者端末1は入力装置や表示装置を必要としないので、必ずしも携帯電話を兼ねる必要はない。例えば、被監視物がペットである場合には発信者端末1をペットの首輪に取り付けてもよい。また、被監視者が子供や老人である場合には、被監視者の衣服に縫い付けてもよい。以下、この発信者端末1の内部構成について、図2を参照して説明する。
【0017】
図2は、第1の実施例における発信者端末1の内部構成を示すブロック図である。この図2に示されるように、発信者端末1は、GPS信号を受信するための受信アンテナ11,受信したGPS信号に基づいて自端末の位置情報を取得する位置情報取得部12,発信者端末1の全体の制御を行う制御部13,自端末の位置情報と時刻情報とを含む取得情報を作成する送信部14,取得情報を無線で送信するための送信アンテナ15,及び、各部に給電を行うバッテリー16を、有している。なお、発信者端末1の制御部13には、各発信者端末1毎に独立した機種番号が登録されており、送信データが作成されるときには、この機種番号を示す情報も組み込まれる。また、発信者端末1の具体的な動作は、後で説明する。
【0018】
監視サーバ2は、ネットワークNに接続する機能を有するコンピュータであり、監視サービスを行う警備会社によって管理運営されている。以下、図1を参照して、その内部構成を説明する。
【0019】
図1に示されるように、監視サーバ2は、その内部に、制御装置としてのCPU21,このCPU21に実行されるプログラムを記憶したディスク装置22(記憶手段に相当する)等のハードウェアを、備えている。
【0020】
ディスク装置22が記憶するプログラムには、発信者端末1から送信された取得情報から位置情報及び時刻情報を取得する処理を行わせる情報取得プログラム221,取得した位置情報及び時刻情報に基づいて受信者端末3にアラーム情報を送信するか否かを判定する処理を行わせるアラーム判定プログラム222,アラームを受信者端末3へ発信する処理を行わせるアラーム発信プログラム223が、含まれている。各プログラム221,222,223の動作は、後で説明する。
【0021】
また、ディスク装置22には、データベース224が格納されている。このデータベース224には、図示されていないが、発信者端末1の機種番号毎の位置情報が登録される位置情報テーブル2241,発信者端末1の機種番号毎におけるアラーム発信の条件が登録されるアラーム発信情報テーブル2242(規定条件に相当する),及び、各発信者端末1の機種番号毎にONかOFFかのフラグを設定可能なアラーム発信フラグ情報(詳細は後述する)が、含まれている。なお、アラーム発信フラグ情報に設定されるフラグは、初期値はOFFに設定されている。
【0022】
図3は、データベース224の位置情報テーブル2241のデータ構造を示す図面である。この図3に示されるように、位置情報テーブル2241には、多数のフィールドからなるレコードが多数登録されている。この位置情報テーブル2241のレコードを構成するフィールドには、図3に示されるように、発信者端末1の機種番号が登録される「機種番号」フィールド,発信者端末1の位置情報が登録される「位置情報」フィールド,位置情報を取得した日時が登録される「取得時間」フィールドが、含まれる。
【0023】
図4は、データベース224のアラーム発信情報テーブル2242のデータ構造を示す図面である。この図4に示されるように、アラーム発信情報テーブル2242には、機種番号,アラーム発信条件,発信先等の項目が設定されている。また、アラーム発信条件の詳細項目として、継続移動時間,Total移動距離の項目が設定されている。また、継続移動時間,Total移動距離の夫々の項目には、付加項目として、監視時刻,監視月日,監視曜日の各項目が設定されている。そして、これらの各項目について具体値を登録するためのレコードが、各機種番号に対応して多数形成されている。
【0024】
具体的には、アラーム発信情報テーブル2242の各レコードには、発信者端末1の機種番号が登録される「機種番号」フィールド,その発信者端末1が連続的に移動し続けた場合(以下、発信者端末1が連続的に移動し続ける時間のことを継続移動時間という)に異常であると判定するために参照される基準時間が登録される「継続移動時間」フィールド,継続移動時間の監視を行う時刻が登録される「継続移動時間の監視時刻」フィールド,継続移動時間の監視を行う月日が登録される「継続移動時間の監視月日」フィールド,継続移動時間の監視を行う曜日が登録される「継続移動時間の監視曜日」フィールド,発信者端末1が所定の単位期間中に移動する距離が異常であると判定するために参照される基準距離及びその単位期間が登録される「Total移動距離」フィールド,Total移動距離の監視を行う時刻が登録される「Total移動距離の監視時刻」フィールド,Total移動距離の監視を行う月日が登録される「Total移動距離の監視月日」フィールド,Total移動距離の監視を行う曜日が登録される「Total移動距離の監視曜日」フィールド,監視者が保持する受信者端末3の連絡先が登録される「発信先」フィールドが、含まれる。
【0025】
受信者端末3は、ネットワークNに接続する機能を有し、監視サーバ2から送信されてくるアラーム情報を受信可能な端末である。この受信者端末3は、表示装置と入力装置とを備えており、監視サーバ2から送信されてくるアラーム情報に応じた画面を表示装置上に表示することができる(図15参照)。
【0026】
(監視サービスへの登録)
次に、本実施例による監視サービスへの登録の流れを説明する。
【0027】
監視者は、監視サーバ2による監視サービスを提供している警備会社に対して、被監視者の監視を依頼する。このとき、監視者は、被監視者の行動パターンに応じて、継続移動時間やTotal移動距離等の具体的な内容,及び、監視者が有する受信者端末3への連絡先を指定する(図4,11参照)。
【0028】
監視者からの依頼を受けた警備会社は、被監視者に所持させるための発信者端末1を用意し、その発信者端末1の機種番号に対応したアラーム発信情報テーブル2242のレコードへ、依頼された内容を登録する(例えば、警備会社のオペレータが、監視サーバ2の図示せぬ入力装置を操作して、上記依頼された内容をアラーム発信情報テーブル2242のレコードへ登録する)。そして、警備会社は、この発信者端末1を監視者へ提供する(アラーム発信情報テーブル2242のレコードへ依頼された内容を登録する手順が、登録ステップに相当する)。
【0029】
発信者端末1を受取った監視者は、この発信者端末1を被監視者に所持させる。
【0030】
このようにして、監視者は、被監視者を監視する監視サービスを受けることができるようになる。なお、発信者端末1は、警備会社から監視者へ貸し出すようにしてもよいし、監視者が警備会社から購入するようにしてもよい。また、受信者端末3は、監視者が個人的に所有している携帯電話,コンピュータ等であってもよいし、警備会社から貸し出される端末であってもよい。
【0031】
以下、図5〜図10を参照して、発信者端末1,監視サーバ2,受信者端末3の動作を説明する。なお、図5には、発信者端末1,監視サーバ2,受信者端末3の一連の動作を示す説明図が記載されている。また、図6には発信者端末1の動作を示すフローチャートが記載されており、図7〜図9には監視サーバ2の動作を示すフローチャートが記載されており、図10には受信者端末3の動作を示すフローチャートが記載されている。
【0032】
(発信者端末1の動作)
まず、図6のフローチャートを参照して、発信者端末1の動作を説明する。
【0033】
最初のS001では、発信者端末1の位置情報取得部12は、一定時間毎(例えば、10分毎)に、GPS衛星4から送信されるGPS信号に基づいて、発信者端末1の現在位置を示す位置情報を取得する(S001が位置情報取得ステップに相当する)。
【0034】
次のS002では、発信者端末1は、上記GPS信号から日時を読み出し、その位置情報取得日時を示す時刻情報を取得する。また、発信者端末1は、制御部13から発信者端末1の機種番号を読み出し、自らの機種番号を特定する。そして、発信者端末1の送信部14は、取得した位置情報,時刻情報,及び、機種番号を含む取得情報を作成し、この取得情報をアンテナ15から無線で監視サーバ2に送信して、このフローチャートによる処理を終了する(S002が日時情報取得ステップに相当する)。
【0035】
(監視サーバ2の情報取得プログラム221による処理)
監視サーバ2は、発信者端末1から取得情報を受信したときには、情報取得プログラム221に従った処理を開始する。以下、図7のフローチャートを参照して、監視サーバ2の情報取得プログラム221による処理を説明する。
【0036】
監視サーバ2は、発信者端末1から取得情報を受信したときには、その取得情報から発信者端末1の機種番号,位置情報,及び、時刻情報を取り出し、これらの情報を、位置情報テーブル2241の新規のレコードにおける機種番号フィールド,位置情報フィールド,取得時間フィールドに登録し、このフローチャートによる処理を終了する。
【0037】
(監視サーバ2のアラーム判定処理プログラム222による処理)
続いて、監視サーバ2は、アラーム判定プログラム222による処理を開始する。以下、図8のフローチャートを参照して、監視サーバ2のアラーム判定プログラム222に従った処理を説明する。
【0038】
S201では、監視サーバ2は、受信した取得情報に対応した発信者端末1の機種番号に基づいて、アラーム発信情報テーブル2242から対応した機種番号のレコードにおける継続移動時間の監視時刻フィールド,継続移動時間の監視月日フィールド,継続移動時間の監視曜日フィールドに登録された条件を読み出す。そして、各フィールドに登録された条件と現在の日時とを比較して、現在の日時が各フィールドに登録された条件を満たしていると判定した場合には、位置情報テーブル2241におけるその機種番号に対応したレコードを、最新のレコードから継続移動時間フィールドに登録された時間分遡って抽出する。また、監視サーバ2は、継続移動時間の監視時刻フィールド,継続移動時間の監視月日フィールド,継続移動時間の監視曜日フィールドに何も条件が登録されていない場合にも、位置情報テーブル2241におけるその機種番号に対応したレコードを、最新のレコードから継続移動時間フィールドに登録された時間分遡って抽出する。
【0039】
そして、監視サーバ2は、抽出した各レコードの位置情報フィールドに登録された位置情報同士を比較して位置情報の変化を確認し(位置情報の変化を確認することが確認ステップに相当する)、発信者端末1の継続移動時間が継続移動時間フィールドに登録された基準時間を超えているか否かを判定する。このとき、監視サーバ2は、発信者端末1の継続移動時間が継続移動時間フィールドに登録された基準時間を超えていると判定した場合には処理をS202へ進め、継続移動時間が継続移動時間フィールドに登録された基準時間を超えていないと判定した場合には処理をS203へ進める。
【0040】
また、監視サーバ2は、現在の日時が継続移動時間の監視時刻フィールド,継続移動時間の監視月日フィールド,継続移動時間の監視曜日フィールドに登録された条件を何れかひとつでも満たしていないと判定した場合には、処理をS203へ進める。
【0041】
S202では、監視サーバ2は、その発信者端末1に対応した機種番号に対するアラーム発信フラグ情報をONに設定し、処理をS203へ進める。
【0042】
S203では、監視サーバ2は、発信者端末1から取得情報を受信したときに取得した発信者端末1の機種番号に基づいて、アラーム発信情報テーブル2242の対応した機種番号のレコードにおけるTotal移動距離の監視時刻フィールド,Total移動距離の監視月日フィールド,Total移動距離の監視曜日フィールドを読み出して、各フィールドに登録された条件と現在の日時と比較して、現在の日時が各フィールドに登録された条件を満たしていると判定した場合には、位置情報テーブル2241におけるその機種番号に対応したレコードを、最新のレコードからTotal移動距離フィールドに登録された単位時間分遡って抽出する。また、監視サーバ2は、Total移動距離の監視時刻フィールド,Total移動距離の監視月日フィールド,Total移動距離の監視曜日フィールドに何も条件が登録されていない場合にも、位置情報テーブル2241から、その発信者端末1の機種番号に対応したレコードを、最新のレコードからTotal移動距離フィールドに登録された単位時間分遡って抽出する。
【0043】
そして、監視サーバ2は、抽出した位置情報テーブル2241のレコードの位置情報フィールド及び取得時間フィールドを読み出して、先に登録されたレコードの位置情報フィールドにおける位置情報とその次に登録されたレコードの位置情報フィールドにおける位置情報とを順番に比較していき、先の位置情報が取得されてから次の位置情報が取得されるまでの各期間における該発信者端末1の移動距離を、夫々算出する。そして、監視サーバ2は、このようにして算出された各移動距離を足し合わせて、移動距離の合計値を算出する。
【0044】
監視サーバ2は、このようにして算出された移動距離の合計値と、アラーム発信情報テーブル2242の対応した機種番号のレコードにおけるTotal移動距離フィールドに登録された移動距離の条件とを比較して、前者が後者の条件を満たしていると判定した場合には処理をS204へ進め、前者が後者の条件を満たしていないと判定した場合にはこのフローチャートによる処理を終了する。
【0045】
また、監視サーバ2は、取得情報を受信した日時がTotal移動距離の監視時刻フィールド,Total移動距離の監視月日フィールド,Total移動距離の監視曜日フィールドに登録された条件を何れかひとつでも満たしていないと判定した場合には、このフローチャートによる処理を終了する。
【0046】
S204では、監視サーバ2は、その発信者端末1に対応した機種番号に対するアラーム発信フラグ情報をONに設定し、このフローチャートによる処理を終了する。
【0047】
(監視サーバ2のアラーム発信プログラム223による処理)
監視サーバ2は、アラーム判定処理プログラム222による処理が終了した時点で、アラーム発信プログラム223による処理に従って、図9のフローチャートに示す処理を開始する。
【0048】
監視サーバ2は、S301にて、発信者端末1の機種番号に対応したアラーム発信フラグ情報がONになっているか否かをチェックする。
【0049】
そして、監視サーバ2は、アラーム発信フラグ情報がONになっていると判定した場合には、アラーム発信情報テーブル2242の対応した機種番号のレコードにおける発信先フィールドに登録されている発信先に対して、アラーム発信フラグがONになった理由(継続移動時間を超えて移動し続けていることを示すメッセージ,Total移動距離が登録された条件を超えていることを示すメッセージ等)と発信元端末1の最新の位置情報とを含むアラーム信号を送信し(S302)、このフローチャートによる処理を終了する(S201〜S204,S301〜S302がアラーム通知ステップに相当する)。
【0050】
また、監視サーバ2は、アラーム発信フラグがOFFになっていると判定した場合には、このフローチャートによる処理を終了する。
【0051】
(受信者端末3の動作)
以下、図10のフローチャート参照して、受信者端末3が監視サーバ2から送信されたアラーム信号を受信したときの動作について、説明する。
【0052】
受信者端末3は、アラーム信号を受信したときには(S401)、自らの表示装置上にアラーム信号に含まれる内容に応じた画面を表示する(S402)。例えば、図15の画面イメージに示されるように、アラーム信号に含まれるアラーム発信フラグがONになった理由と、発信者端末1の最新の位置情報とが、受信者端末3の表示装置上に表示される。なお、図15の画面イメージに示されるように、監視サーバ2から受信者端末3に送信される情報には、発信者端末1の最新の位置の周辺の地図情報が含まれていてもよいし、その地図情報上に発信者端末1の位置情報(最新の位置情報及び過去の位置情報)をマッピングしたものが含まれていてもよいし、発信者端末1の位置情報及び取得時間の履歴が含まれていてもよい。
【0053】
(アラーム発信条件毎の具体例)
以下、図11を参照して、監視サーバ2の本実施例によるアラーム発信情報テーブル2242に具体的なアラーム発信条件を登録したときの動作例について、説明する。
【0054】
例えば、図11のアラーム発信情報テーブル2242の機種番号0001のレコードにおける継続移動時間フィールドには「30分以上」が登録されており、継続移動時間の監視時刻フィールドには「0:00〜5:00」が登録されている。この場合には、機種番号0001の発信者端末1を所持している被監視者が、深夜(0:00〜5:00)に30分以上移動し続けた場合には、監視サーバ2から監視者の受信者端末3へアラーム信号が送信される。そのため、機種番号0001の発信者端末1を高齢者に所持させれば、この高齢者の深夜の徘徊等を素早く確認することができる。
【0055】
また、図11のアラーム発信情報テーブル2242の機種番号0002のレコードにおける継続移動時間フィールドには「2時間以上」が登録されており、継続移動時間の監視曜日フィールドには「土日」が登録されている。この場合には、機種番号0002の発信者端末1を所持している被監視者が、土日に2時間以上移動し続けた場合には、監視サーバ2から監視者の受信者端末3へアラーム信号が送信される。そのため、機種番号0002の発信者端末1をクラブ活動を行う子供に所持させれば、この子供がクラブ活動で過度の練習(2時間以上のランニング)を行っているかを確認することができる。
【0056】
また、図11のアラーム発信情報テーブル2242の機種番号0003のレコードにおける継続移動時間フィールドには「24時間以上停止」が登録されている。この場合には、機種番号0003の発信者端末1を所持している被監視者が、24時間以上動かなかった場合には、監視サーバ2から監視者の受信者端末3へアラーム信号が送信される。そのため、機種番号0003の発信者端末1を子供に所持させておけば、この子供が誘拐され監禁状態で24時間以上動けない場合や失神状態で24時間以上動かない場合等を早期に発見できる。
【0057】
また、図11のアラーム発信情報テーブル2242の機種番号0004のレコードのTotal移動距離フィールドには「10km以上/5h」が登録されている。この場合には、機種番号0004の発信者端末1を所持している被監視者が、5時間以内に通算で10km以上移動した場合には、監視サーバ2から監視者の受信者端末3へアラーム信号が送信される。そのため、機種番号0004の発信者端末1をペットに所持させれば、このペットが車などで連れ去れた場合等を早期に発見できる。
【0058】
また、図11のアラーム発信情報テーブル2242の機種番号0005のレコードのTotal移動距離フィールドには「1km以下/24h」が登録されている。この場合には、機種番号0005の発信者端末1を所持している被監視者が、24時間以内に通算で1km以下しか移動していない場合には、監視サーバ2から監視者の受信者端末3へアラーム信号が送信される。そのため、機種番号0005の発信者端末1を子供に所持させれば、子供が監禁されている場合等を早期に発見できる。なお、この場合に、監視者が子供の所在を把握しているのにアラーム信号が送信された場合には、この子供が1日に極端に動いていないことがわかるため、子供が運動不足であることがわかることになる。
【0059】
以上のように、本実施例によると、監視サーバ2は、発信者端末1の継続移動時間とTotal移動距離とに応じて受信者端末3にアラーム信号を送信することができるため、被監視者の移動速度や行動範囲によらずに、監視者に異常を通知することができる。
【実施例2】
【0060】
本発明における第2の実施例では、第1の実施例と比較して、継続移動時間,Total移動距離を算出可能な発信者端末100を発信者端末1の代わりに用いる点と、この発信者端末100から受信者端末3へアラーム信号が直接送信される点と、監視サーバ2がない点とが、相違する。以下、本実施例における発信者端末100について、図12を参照して説明する。
【0061】
図12には、第2の実施例における発信者端末100の内部構成を示すブロック図が示されている。この図12に示されるように、発信者端末100は、GPS信号を受信する受信アンテナ111,受信したGPS信号に基づいて単位時間毎に位置情報を取得する位置情報取得部112,発信者端末100の全体の制御を行う制御部113,受信者端末3へ送信するためのアラーム信号を作成するアラーム送信部114,アラーム信号を無線で送信するための送信アンテナ115,及び、発信者端末100の各部に給電を行うためのバッテリー116,発信者端末100の動き(加速度)を検出可能なモーション情報取得部117,及び、アラーム信号を送信するか否かを判定するアラーム判定部118を、有している。
【0062】
モーション情報取得部117は、3軸加速度センサを有しており、発信者端末100の動きに伴う加速度を、直交する3軸方向の夫々で別々に検出することができる。なお、この3軸加速度センサによって検出された加速度を積分すれば移動速度が算出でき、さらにもう一度積分すれば移動距離が算出できる。そのため、仮に、発信者端末100がGPS信号を受信できない場合(例えば、トンネルの中等)であっても、この3軸加速度センサによって検出される加速度を利用すれば、GPS信号を最後に受信した位置からの移動距離を3軸方向の夫々に算出できるため、その時点での実際の位置に対応した位置情報を算出することができる。
【0063】
アラーム判定部118は、第1の実施例における監視サーバ2のデータベース224と同様なデータ構造のデータベース324を有している。なお、この実施例では、データベース324のアラーム発信情報テーブル3242のレコードに予め登録される情報(継続移動時間及びTotal移動距離等の条件)は、例えば、受信者端末3から無線などでアップロードすることが可能となっている。また、アラーム判定部118は、位置情報取得部112によって取得される位置情報とGPS信号から取得される取得時間とに従って、データベース324の位置情報テーブル3241の位置情報フィールド,及び取得時間フィールドへ発信者端末100の位置情報及び取得時間の登録を行う機能を有している。なお、アラーム判定部118は、発信者端末100がGPS信号を受信できないときには、上述のようにモーション情報取得部117によって取得できる位置情報をデータベース324の位置情報テーブル3241の位置情報フィールド,及び取得時間フィールドへ登録するように構成されていてもよい。
【0064】
また、アラーム判定部118は、第1の実施例の監視サーバ2におけるアラーム判定プログラム222による処理と同様な処理を行い、データベース324のアラーム発信情報テーブル3242のレコードに予め登録されている継続移動時間及びTotal移動距離の条件等を発信者端末100が満たしているか否かを判定する機能を有している。
【0065】
そして、継続移動時間及びTotal移動距離等の条件を発信者端末100が満たしたとアラーム判定部118が判定した場合には、第1の実施例におけるアラーム信号と同様なアラーム信号がアラーム送信部114で作成され、アンテナ115から無線で監視者の受信者端末3へ直接送信される。
【0066】
そのため、本実施例によると、監視者は、監視システムに監視サーバ2が含まれていなくても、発信者端末100から発信されるアラーム信号を受信者端末3によって受信できるため、被監視者の異常な移動や動きを知ることができるようになる。
【0067】
なお、本実施例では、モーション情報取得部117によって発信者端末100の動きを検出することができるため、被監視者の動作の状態の確認を行うことができる(例えば、被監視者が監禁や失神のため全く動くことができない場合には、発信者端末100の加速度が全く変化しない状態が長時間続く。また、被監視者が激しい運動をしている場合には、発信者端末100の加速度が頻繁に変わる)。そのため、アラーム信号を送信するための判定の条件として、モーション情報取得部117によって取得される情報を用いるようにしてもよい。
【実施例3】
【0068】
本発明における第3の実施例では、人気のある商品は陳列棚から何度も手にとられて動かされることが多いことに着目して、陳列される商品60に発信者端末1と同様の機能を有するRFID(Radio Frequency Identification)70(以下、RFタグ70という)を取り付けたことを特徴としている。また、この第3の実施例では、第1の実施例と比較して、GPS衛星4からのGPS信号による位置測定の方法に代えて、多数のアンテナ50から発信される電波の電界強度を比較して3点測量の原理によって位置を特定する方法を採用している。また、受信者端末3は、商品60を販売する店舗の販売店員が、所持することになる。
【0069】
図13は、第3の実施例での位置測定の原理を示す説明図である。この図13に示されるように、複数の商品60(図13では1つのみ例示)に、RFタグ70が取り付けられており、該商品60の上方には電波を発信するアンテナ50が複数設けられている。
【0070】
このアンテナ50は、夫々別々の識別番号を有しており、夫々のアンテナ50からその識別番号の情報を含む電波が発信されている。そのため、RFタグ70は、各アンテナ50から発信される電波を区別することができるため、少なくとも3箇所のアンテナ50から発信された電波の受信強度を比較することによって、3点測量の原理によって自らの位置を特定することができる。そのため、第3の実施例でも第1の実施例と同様に、RFタグ70の移動の状況に応じて、監視サーバ2から受信者端末3へアラーム信号を送信することができる。
【0071】
図14は、第3の実施例におけるアラーム発信情報テーブル2243のデータ構成を示している。この図14に示されるように、アラーム発信情報テーブル2243の機種番号0001のレコードのTotal移動距離フィールドには、「100m以上/24h」が登録されている。この場合には、商品60が1日のうちに何度も手に取られて、トータルで100m以上動かされた場合に、アラーム信号が受信者端末3へ通知される。よって、この場合には、販売店舗の店員は、機種番号0001のRFタグ70が取り付けられた商品60が頻繁に動かされていることが分かるため、販売棚から商品60が品切れしないように早めに補充することができる。また、販売店舗の店員は、アラーム信号が通知された場合にはその商品の注目度が高いことがわかるため、次回の商品の発注時にアラーム信号が通知された商品を多めに発注することができる。
【0072】
なお、上記の第1の実施例や第2の実施例では、GPS信号に基づいて位置情報を取得していたが、位置情報を取得する方法はこれに限られる必要はない。例えば、位置情報を取得する方法として、PHSの基地局から発信される電波に基づいて位置情報を取得する方法を採用してもよい。
【0073】
また、第3の実施例では、RFタグ70自体が位置情報を算出していたが、RFタグ70から発せられる電波の電界強度をアンテナ50によって測定して、サーバ装置2側でRFタグ70の位置を特定するようにしてもよい。具体的には、少なくとも3箇所のアンテナ50によってRFタグ70から発せられる電波を受信し、そのとき受信した電波の電界強度を各アンテナ50毎に測定して、その電界強度に従って3点測量の原理に基づいて監視サーバ2側で位置情報を算出するようにしてもよい。この場合には、RFタグ70に位置測定を行うための構成を設ける必要がなくなるため、RFタグ70の構成を簡略化できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施例としての監視システムのネットワーク構成を示す模式図
【図2】第1の実施例による発信者端末のブロック図
【図3】位置情報テーブルのデータ構造を示す説明図
【図4】アラーム発信情報テーブルのデータ構造を示す説明図
【図5】第1の実施例における一連の動作を示す説明図
【図6】発信者端末の動作を示すフローチャート
【図7】情報取得プログラムによる動作を示すフローチャート
【図8】アラーム判定処理プログラムによる動作を示すフローチャート
【図9】アラーム発信処理プログラムによる動作を示すフローチャート
【図10】受信者端末の動作を示すフローチャート
【図11】アラーム発信情報テーブルの登録内容の例を示す説明図
【図12】第2の実施例による発信者端末のブロック図
【図13】第3の実施例のシステム構成を示す
【図14】第3の実施例での位置測定の原理を示す説明図
【図15】受信者端末の表示装置に示される画面イメージの説明図
【符号の説明】
【0075】
1 発信者端末
2 監視サーバ
3 受信者端末
4 GPS衛星
12,112 位置情報取得部
13,113 制御部
14 送信部
21 CPU
22 ディスク装置
221 情報取得プログラム
222 アラーム判定プログラム
223 アラーム発信プログラム
224 データベース
2241 位置情報テーブル
2242 アラーム発信情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信者端末の位置を示す位置情報に基づいて送信されるアラーム情報を受信者端末で受信し、このアラーム情報に基づいて当該受信者端末が警告を出力する監視方法であって、
発信者端末の所定の期間中における移動の状態を規定する規定条件を記憶手段に登録する登録ステップと、
一定時間毎に前記発信者端末の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報を取得したときの日時を示す日時情報を取得する日時情報取得ステップと、
前記位置情報が示す位置を前記日時情報による日時の順番に比較して、前記発信者端末の移動の状態を確認する確認ステップと、
前記確認ステップにおいて確認された前記発信者端末の所定の期間中における移動の状態と前記記憶手段に登録された前記規定条件とを比較し、前者が後者の条件を満たした場合に、受信者端末へアラーム情報を送信するアラーム通知ステップとを含む
ことを特徴とする監視方法。
【請求項2】
前記規定条件には、前記発信者端末が前記所定の期間中に移動し続ける場合が規定されており、
前記アラーム通知ステップは、
前記所定の期間中における移動の状態から前記発信者端末が移動し続けているか否かを判定して、前記所定の期間中において前記発信者端末が移動し続けていると判定した場合に、前記アラーム情報を前記受信者端末へ送信するステップである
ことを特徴とする請求項1に記載の監視方法。
【請求項3】
前記規定条件には、前記発信者端末が前記所定の期間中に移動する距離が規定されており、
前記アラーム通知ステップは、
前記所定の期間中における移動の状態から前記発信者端末が移動した距離を算出し、この算出した距離と前記規定条件に規定された距離とを比較して、前者が後者を超えた場合に、前記アラーム情報を前記受信者端末へ送信するステップである
ことを特徴とする請求項1に記載の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−265279(P2007−265279A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92377(P2006−92377)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】