説明

真空処理装置及び真空処理装置の運転方法

【課題】半導体ウエハ等の試料の処理の歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】ロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニットを連結するバイパス路を構成するバイパス室とを備え、前記複数の真空搬送室の容器は、前記ロック室から前記複数の処理ユニットのいずれかに向けて搬送される前記ウエハまたは前記複数の処理ユニットの何れかで処理された後に前記バイパス室を通り別の処理ユニットで処理されて前記ロック室へ向けて搬送される前記ウエハのいずれかのみが搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧された内部を半導体ウエハ等の処理対象の基板状の試料が搬送される複数の真空搬送容器に真空容器内部の処理室内で試料を処理する複数の処理容器が連結された真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する工程の中には、腐食性のガスを用いて基板状の試料である半導体ウエハ(以下、ウエハ)を処理するエッチング工程や高温度で処理を必要とする成膜工程、エッチング工程に用いられたマスクを灰化処理して除去するアッシング工程などがある。これらの工程の中には、腐食性のガスや高温度(約800℃〜100℃)で処理されたウエハに対して、当該処理後の特定の処理を行うことを要するものがある。
【0003】
例えば、アッシング処理を行う際に上記高温度で処理が施された場合、処理直後のウエハは高温度のままなので、これをそのまま処理室外に搬送した場合には、温度の急激な変化のためにウエハが損傷したり、高温のウエハの周囲に滞留している処理中に生じた生成物や処理用ガスの残りの粒子が当該ウエハ周囲の材料、部材に悪影響を与える場合があるからである。つまり、このような処理直後のウエハが処理前の場合と同じ搬送経路を通り搬送されると、ウエハに付着した腐食性ガスやウエハの持ち込む熱で過度に加熱されたことによりアウトガスが発生し、ウエハへ付着したり、搬送ロボットや搬送室を汚染させてしまうという問題が生じる虞がある。
【0004】
このように、所定の処理の後で後処理前のウエハにおいて、未処理のウエハと同じ搬送経路を通ることで、未処理ウエハや搬送経路を構成する搬送室やその内部のロボット等の部材が汚染されてしまう原因となっている。
【0005】
このような問題点に対して、搬送室にゲートバルブを介して処理室を容易に増設または減設でき、処理室のレイアウトをそれぞれ任意に行える例(例えば、特許文献1参照)や処理されたウエハを保持する複数のピックを区別して用いることで、クロスコンタミネーションの発生を抑制することが可能な搬送を行う例(例えば、特許文献2参照)や複数の処理ユニットの搬送室同士間に載置台を有し真空引き可能になされた中間パス室を設け、中間パス室のゲート弁を適宜開閉することにより、両搬送室間が直接連通することなく搬送することができ、金属汚染の発生を抑制する例(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−349931号公報
【特許文献2】特開2004−119635号公報
【特許文献3】特開2000−150618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体デバイスの高密度化、高集積化に伴い、異物や金属汚染などの要求値も厳しくなっている。半導体デバイスの製造装置においては、前記した背景から積層膜構造の半導体デバイスや少量多品種の半導体デバイスなどの要求もあり、処理プロセスも複雑化し、エッチングガスや処理装置においても多種・多様化している。
【0008】
これまでの半導体デバイスの製造装置に一般に使用されている複数の処理容器が連結された一つの共通な真空搬送室を備えて、この共通な真空搬送室内に配置された搬送ロボット等の搬送手段を用いて未処理及び処理済のウエハを搬送する構成では、これらのウエハが同じ搬送経路を通り搬送されることになり、処理済のウエハから放出されるアウトガスの影響によって搬送機構や搬送室内が汚染されたり、また搬送経路が同一であるために搬送室内で次の処理のために待機している処理前ウエハへクロスコンタミネーションが生じる恐れがあり、半導体デバイスの歩留まりを低下させる要因となっている。
【0009】
本発明の目的は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、半導体ウエハ等の試料の処理の歩留まりの低下を抑制する真空処理装置または真空処理装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、大気搬送室の後方に配置されたロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット同士の間に配置されこれらを連結するバイパス路を構成するものであって内部に前記ウエハを搬送するロボットを備えたバイパス室とを備えて、前記複数の真空搬送室の容器は、前記ロック室から前記複数の処理ユニットのいずれかに向けて搬送される前記ウエハまたは前記複数の処理ユニットの何れかで処理された後に前記バイパス室を通り別の処理ユニットで処理されて前記ロック室へ向けて搬送される前記ウエハのいずれかのみが搬送される真空処理容器及び真空処理装置の運転方法により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施例に係る真空処理装置の概略を示す上面図である。
【図2】本発明の別の実施例に係る真空処理装置の概略を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1を図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る真空処理装置の構成の概略を説明する上面図である。本実施例では、内部の減圧された室内に基板状の試料である半導体ウエハ(以下、ウエハ)を搬送するための搬送ロボットを備えた複数の真空搬送容器に複数の真空容器内で灰化処理(アッシング処理)を行う処理ユニットが連結されて配置された真空処理装置、所謂アッシング装置について説明する。
【0015】
図1において、本実施例に係る真空処理装置100は、大きく前後に2つのブロックに分けられる。図上下方側の真空処理装置100の前部には、大気圧またはこれに近似した圧力の下で処理対象のウエハが搬送され取り扱われる大気側ブロック101が配置されている。図上上方側の真空処理装置100の後部には、高い真空度または低い圧力でウエハが搬送または処理、格納される真空側ブロック102が配置されている。
【0016】
大気側ブロック101は、大気圧または十分これに近い圧力で大気圧と見なせる程度の圧力にされた空間内で未処理または処理済のウエハが搬送される大気搬送室を内部に備え、略直方体形状を備えた大気搬送容器103と、この大気搬送容器の前面(図上下方側面)に並列に配置されその上面にウエハWが複数収納されるカセットが載せられて保持される複数のカセット台104を備えている。
【0017】
また、大気搬送容器103の図上左側(前方側から後方を見て水平方向の左側)の端部の側面には、処理前のウエハWの中心または外周縁の一部に形成された切り欠き部或いはノッチの中心に対する角度、方向位置を調節する位置合わせを行うアライナ105が配置されている。大気搬送容器103の背面の後方には、真空側ブロックが連結されており、内部が大気圧にされている大気搬送容器103と真空圧にされる真空側ブロック102との間で、大気圧と真空圧との間で内部の圧力を可変に調節できる空間を内部に備えたロック室106が配置されている。
【0018】
大気搬送容器103の内部の大気搬送室内には、カセット或いはアライナとロック室106との間でウエハWを搬送する手段であって、複数の梁状の腕とこれらを連結してこれら腕を回転させる関節部を複数備えて伸縮動作するアームの先端部にウエハWを載せて保持するハンド部を有したロボットである大気搬送ロボットが配置されている。大気搬送室内には図示しない図上左右方向(前方から見て水平方向)に大気搬送室の左右の端部近傍まで延在したレールが配置されており、このレール上をこれに沿って大気搬送ロボットが移動することで、複数のカセット台104各々に載せられた複数のカセットとアライナ105と大気搬送容器103の背面に配置されたロック室106とをウエハWを搬送する上でアームの伸縮によるハンドの到達の範囲に配置している。
【0019】
なお、ロック室106は図1上は一つの容器のみが示されているが、複数配置されていても良い。さらに、複数のロック室106は図上左右方向(水平方向)に併設されていても良く、上下方向に重ねて配置されていても良い。
【0020】
さらに、上記の通りロック室106は、その内部は大気圧と所定の真空度の減圧された圧力(低圧または真空圧)値との間で圧力を可変に調節可能な構成であり、内部の空間にウエハWを収納した状態で当該空間内を排気して大気圧から真空圧まで減圧する機能とともに内部にガスを導入して真空圧から大気圧まで昇圧させる機能を備えている。前者は未処理のウエハWを収納用の空間に収納した状態で実施する所謂ロードロック室としての機能であり、後者は処理済のWを収納空間に収納した状態で実施する所謂アンロードロック室としての機能である。
【0021】
本実施例では、ロック室106は図上1つのみが示されているが、2つの容器を備えて各々の内部で必要に応じてロードロック機能及びアンロードロック機能の両方を行うことができるように構成されている。また、ロック室106の2つの容器の各々の前側には、大気搬送容器103内の大気搬送室に対してウエハWが出し入れされる開口が配置されており、これらの開口を開放及び閉塞して気密に封止する2つのバルブがロック室106と大気搬送容器103との間に配置されている。
【0022】
以下、ロック室106の大気側の開口を開閉する2つのバルブは、単にゲートバルブ107と呼ぶ。また、大気側と同様に、ロック室106の後方側には真空側との間でウエハWを出し入れする開口が配置されており、これを開閉する2つのバルブが配置されている。これらのバルブも単にゲートバルブ108と呼ぶ。
【0023】
真空側ブロック102は、ロック室106の後方にこれと連結して配置された複数の処理用の真空容器と内部の空間をウエハWが搬送される搬送用の容器とが連結されて構成されている。これらの真空容器内の処理室と搬送用の容器の内部の搬送室とは連通されており、各々は図示しない真空ポンプ等の排気手段と連結されて内部が排気され予め定められた圧力まで減圧されて維持される構成を備えている。
【0024】
特に、本実施例の真空側ブロック102は、ロック室106の後方に平面形が矩形状の真空容器であって所定の低圧まで減圧された内部の搬送室内をウエハWが搬送される複数の真空搬送容器109,110,111が奥行き方向に直線状に連結されている。複数の真空搬送容器109,110,111各々の図上左右方向の側壁には複数の真空容器が各々連結されており、各真空容器の内部にはウエハWが載置されて特定の処理が施される空間である処理室が配置されている。このように、真空側ブロック102はウエハWが減圧された状態で処理、搬送、或いは保持等取扱いされる空間となっている。
【0025】
以後、真空搬送容器109,110,111の各々を適宜第一の真空搬送容器109、第二の真空搬送容器110、第三の真空搬送容器111と呼ぶ。これらの真空搬送容器109,110,111の間には、これらを連結して内部の中間室にウエハWが収納されて配置される収納部を備えた容器である中間室容器112,113が配置されている。
【0026】
以下、本実施例の2つの中間室容器112,113は便宜に応じて第一の中間室容器112、第二の中間室容器113と呼ぶ。第一の中間室容器112は第一の真空搬送容器109と第二の真空搬送容器110との間でこれらを連結する。また第二の中間室容器113は第二の真空搬送容器110と第三の真空搬送容器111との間でこれらを連結する。
【0027】
本実施例のこれら真空搬送容器109,110,111及び中間室容器112,113は上方から見た平面形が矩形或いはおよそこれと見なせる程度の線の組み合わせで構成された略立方体の形状を備えた真空容器である。これらは図上上下方向(真空処理装置100の前後あるいは奥行き方向)に相互に連結されて直線状に配置されている。さらに、真空搬送容器109,110,111の各々の図上左右方向(水平方向)の辺に相当する側壁には、各々真空容器を備えた処理ユニットが連結されている。
【0028】
つまり、図上真空搬送容器109,110,111及び中間室容器112,113のライン状の並びの左右には、各真空搬送容器109,110,111と連結されて配置された処理ユニットの並びが配置されている。左側の並びとして、第一の真空搬送容器109の左側壁と連結されたアッシング処理ユニット114、真空搬送容器110の左側壁と連結され内部でアッシング処理されたウエハWを冷却するクーリングユニット115、真空搬送容器111の左側壁に連結されたアッシング処理ユニット116とを備えている。さらに、右側の並びとして、第一の真空搬送容器109の右側壁と連結されたアッシング処理ユニット117、真空搬送容器110の右側壁と連結され内部でアッシング処理されたウエハWを冷却するクーリングユニット118、真空搬送容器111の右側壁に連結されたアッシング処理ユニット119とを備えている。
【0029】
真空搬送容器109内部の搬送室とアッシング処理ユニット114,117の内部の処理室との間、及び真空搬送容器110内部の搬送室とクーリングユニット115,118内部の処理室との間、並びに真空搬送容器111内部の搬送室とアッシング処理ユニット116,119内部の処理室との間の各々は、その内部をウエハWが通って搬送される開口であるゲートを介して連通されている。これらのゲートは、各真空搬送容器109,110,111内部に配置されてこのゲートを開放及び気密に封止して閉塞するゲートバルブ120,121,122,123,124,125により開閉される。
【0030】
真空搬送容器109,110,111の各々の内部に配置された真空搬送室内には、ウエハWを保持して搬送室内とこれらに連結されたアッシング処理ユニット114,116,117,119またはクーリングユニット115,118との間で搬送する真空搬送ロボット134,135,136が配置されている。真空搬送ロボット134,135,136は、大気搬送ロボットと同様に、複数の梁状の腕とこれらを連結してこれら腕を回転させる関節部を複数備えて伸縮動作するアームの先端部にウエハWを載せて保持するハンド部を有したロボットである。
【0031】
真空搬送ロボット134,135,136は、真空搬送室の中央部で図上面に垂直な方向(上下方向)の軸周りに回転可能に配置されており、回転軸周りに回転することで真空搬送容器109,110,111の各々に複数備えられたゲートにアームの伸張方向を対向させることができる。また、本実施例の真空搬送ロボット134,135は、このようなアームを2本備えて各々にウエハWを保持した状態で回転、伸縮が可能に構成されている。このような構成は、収縮させた一方のアームのハンド上に処理前の(未処理の)ウエハWを保持したまま他方のアームを特定の処理室内に伸張させてハンド上に処理済のウエハWを載せて受け取った後収縮させ、回転して特定の処理室に一方のアームを向けて伸張させてウエハWを当該処理室内に搬入するという入れ換えの動作を短時間で行わせる上で好都合となる。
【0032】
なお、真空搬送ロボット136は、後述のように真空搬送容器111で処理済のウエハWのみを搬送するので、2つのアームを備える必要はない。このため、本実施例では、真空搬送ロボット136は上記アーム1つのみを備えている構成となっているが、他の真空搬送ロボットと同様に複数のアームを備えていてもよい。
【0033】
さらに、左側の処理ユニットの並びにおいて、アッシング処理ユニット114とクーリングユニット115との間、及びアッシング処理ユニット116とクーリングユニット115との間には、これらの間を連結して内部の空間をウエハWが搬送されるバイパス容器126,127が配置されている。本実施例のアッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115を構成する真空容器は上方から見た平面形は多角形(六角形)を有しており、これらの容器の辺に相当する側壁同士の間に挟まれてこれら側壁を連結して平面形が多角形(六角形)のバイパス容器126,127が配置されている。
【0034】
各バイパス容器126,127は、内部にウエハWが搬送される空間を有し、各々ウエハWを保持して搬送するロボットアーム128,129が当該空間内に配置されている。また、各バイパス容器126,127の上記空間とアッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115の内部の処理室との間は、その内部をウエハWが通って搬送される開口であるゲートを介して連通されている。
【0035】
つまり、バイパス容器126とアッシング処理ユニット114及びクーリングユニット115の各々との間の各々は開口である各ゲートで連通されており、バイパス容器127とアッシング処理ユニット116及びクーリングユニット115の各々との間の各々は開口である各ゲートで連通されている。これらのゲートの各々には上記開口を開放及び閉塞して気密に封止するゲートバルブ130,131,132,133が配置されている。
【0036】
これらゲートバルブ130〜133は、アッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115内部でウエハWが載置されて処理が行われている間は閉塞して当該内部を気密に封止しており、ウエハWを当該内部から搬出するまたは内部にウエハWを搬入する際に図示しない駆動装置により駆動されてゲートを開放する。このことにより、ロボットアーム128,129がそのアームを収縮させてウエハWをハンド上に保持した状態で、バイパス容器126,127とこれらに連結されたアッシング処理ユニット114,116またはクーリングユニット115の何れかとの間でウエハWを搬送する。
【0037】
搬送が終了してロボットアーム128,129がアッシング処理ユニット114,116またはクーリングユニット115の何れか内部の処理室から退室すると、ゲートバルブ130〜133の内対応する処理室を閉塞するものが閉塞して内側が気密に区画される。なお、本実施例において、以下説明するゲートバルブは何れも同じ構成を備えており図上面に垂直方向(上下方向)にバルブの弁体が移動させる駆動手段を備えている。開口を閉塞する場合には、開口の周囲の壁面に弁体の一面をOリング等シール部材を挟んで当接することでシール部材のシール機能を発揮させて開口の内部とシール部材の外側との間を気密に封止することができ、ゲートの開口を開放する場合には閉塞する際と逆の方向に移動して開口の周囲の壁面からシール部材毎弁体を離間させることで開放を行う。
【0038】
各ゲートバルブ130〜133は、アッシング処理ユニット114、クーリングユニット115、アッシング処理ユニット116、バイパス容器126,127との間でこれらの内部同士の連通を開閉するものである。さらに本実施例では、その開放の動作は各ゲートバルブが開放するゲートに連通した2つの処理ユニットの処理室に連通した他のゲートが閉塞されている状態で行われる。
【0039】
例えば、バイパス容器126はアッシング処理ユニット114及びクーリングユニット115との間に挟まれて連結され、これら各々の内部の処理室とバイパス容器126内部の搬送用の空間とが2つのゲートで連通されており、それらゲートはゲートバルブ130,131により開閉される。このように、本実施例の各処理ユニットの真空容器及びバイパス容器は2つ以上のゲートを備えて別の容器と内部同士が連通されて連結されている。
【0040】
一例としてのゲートバルブ130は、これが閉塞して区画しているバイパス容器126内部の空間及びアッシング処理ユニット内の処理室の間のゲート以外のゲートが開放されていない状態(バイパス容器126内部の空間及びアッシング処理ユニット内の処理室が他のゲートバルブにより開放されていない状態)である場合にのみ開放される。つまり、ゲートバルブ130は、これが閉塞して区画する2つの容器の内部が開放されていない状態でのみ開放される排他的動作を行い、ゲートバルブ130が開放している状態では上記2つの容器(バイパス容器126及びアッシング処理ユニット114の真空容器)内部に連通するゲートを開閉する他のゲートバルブ(ゲートバルブ131及び120)は開放動作を行わない。
【0041】
このようにすることで、開閉動作を行おうとするバルブが区画する2つの容器内部の空間がこれら以外の他の容器内部と連通してしまい、意図せずに汚染が拡散してしまうことが抑制される。例えば、アッシング処理を行った直後のアッシング処理ユニット114の真空容器内部の処理室と第二の真空搬送容器110内の搬送室とが連通してしまい、冷却されておらず周囲の異物の原因となる粒子が低下していない状態のウエハWの上記粒子が第二の真空搬送容器110内の搬送室内に侵入してその内部を汚染してしまうという、所謂クロスコンタミネーションが抑制される。
【0042】
本図に示すように、本実施例のアッシング処理ユニット114,116は上方から見た平面形が多角形(六角形)を有した真空容器を備えている。その内部に配置された処理室内は、減圧された空間内に配置された円筒形状を有する載置台114′,116′が配置されており、この上にウエハWが搬送されて載置され真空容器に連結された図示しないガス供給経路を通して処理室内の前記空間に処理用のガスが供給されて所定の真空度にされた状態で、処理室内に予め定められた周波数の電界が供給されてプラズマが形成される。
【0043】
このプラズマを用いて載置台114′または116′上に保持されたウエハWの表面に配置されたマスク等の処理対象の膜がアッシング処理される。なお、本実施例では、上記灰化(アッシング)処理の際の処理室内の圧力(真空度)は500Paとなるように設定されている。
【0044】
アッシング処理ユニット114,116において、予め定められた時間の灰化の処理が終了したことが図示しない真空処理装置100の制御部に検出されると、電界及び処理用ガスの供給が停止され処理室内のプラズマが消失する。この後、処理室内には不活性ガス(例えば窒素ガス)が供給されるとともに処理用ガスが処理室内から排気されて、処理室内部はガスの置換が行われウエハWの処理室外への搬出に用いられる圧力に設定される。
【0045】
本実施例の載置台114′,116′上では、処理を受けていない状態でウエハWは3本のピンによりその処理対象の面である表面が水平かこれと見なせる程度の角度で、載置台114′,116′上面の載置面の上方に所定のすき間を開けて持ち上げられた状態で保持される。特に、本実施例ではウエハWがこれらのピンに載せられた状態でウエハWのほぼ円形の外周縁の均等な角度位置がピンの先端部と当接してこれらに保持される位置にピンが配置されており、処理対象の膜が存在しているウエハWの面方向の内側部分でのピンの接触部から熱が伝導して生じた局所的な低温部において他の箇所とは異なる処理の結果となることを抑制している。
【0046】
処理室内が搬送に適した圧力(例えば、100Pa)になったことが検出されると、アッシング処理ユニット114,116とこれらに連結されたバイパス容器126,127との間を気密に区画しているゲートバルブ130,133が開放されてて、アッシング処理ユニット114,116とバイパス容器126,127との間が連通される。バイパス容器126,127各々の内部に配置されたロボットアーム128,129は、アームを伸張、或いは移動させてゲートを通して連通されたアッシング処理ユニット114,116内部の処理室内の載置台114′,116′上面とその上にピンで持ち上げられたウエハWとの間に進入させウエハWをアーム上に受け取って、アームを収縮または移動させてアッシング処理後で高温にされたウエハWをバイパス容器126,127内部の収納部内に収納する。
【0047】
バイパス容器126,127は、アッシング処理ユニット114,116とクーリングユニット115とを連結して配置されている。内部の収納部は、アッシング処理ユニット114,116内の処理室とゲートを介して連通している。バイパス容器126,127の収納部内には、アッシング処理ユニット114,116内でウエハWをアーム上に載せて受け取り、クーリングユニット115内部の処理室内にウエハWを搬入して載置台115′に受け渡す動作を行う、ロボットアーム128,129が配置されている。
【0048】
本実施例のバイパス容器126,127は、上方から見た平面形が多角形状(六角形状)を有した真空容器であり、六角形の2つの辺に相当する側面の各々は、アッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115の側壁との間に挟まれる位置でこれらと対向して連結されている。バイパス容器126,127内部の収納部とクーリングユニット115内の処理室との間は、上記の通り内部をアームに載せられたウエハWが通って搬送される断面がウエハWに合わせて横長の長方形または角が丸くされた長方形を有したゲートにより連結されており、これらゲートを開放、気密に閉塞するゲートバルブ131,132が配置されている。
【0049】
バイパス容器126,127の収納部内に配置されたロボットアーム128,129は、収納部内のほぼ中央部で図上面に垂直な方向(上下方向)の軸周りに回転可能に配置されている。ロボットアーム128,129はそのアームを収縮させた状態で上記回転軸周りに回転して、ゲートバルブ130,131またはゲートバルブ132,133で区画されたゲートにアームの伸張させる方向を向けることができる。
【0050】
例えば、ロボットアーム128は、回転軸周りに回転してアームの伸張方向をゲートに対向させた後、ゲートバルブ130により開放されたゲートを通してアッシング処理ユニット114内の処理室にアームを伸張または移動させて、載置台114′上方でピン上に保持されたウエハWの下方にアームを進入させてこれを保持する。この後にピンが下方に降下することでウエハWがアーム上に載せられて受け渡された後、アームを収縮または移動させてアッシング処理ユニット114内の処理室からウエハWを載せて退出する、つまりウエハWを搬出する。
【0051】
アームを収縮または移動させてアーム及びウエハWをバイパス容器126内の収納部に収納させたことが検出されると、上記制御部からの指令を受けてゲートバルブ130が閉塞されて、ロボットアーム128はウエハWを保持した状態で回転軸周りに回転し、アームの伸張、移動の方向をバイパス容器126とクーリングユニット115との間のゲートに対向する位置に移動させて回転を停止する。
【0052】
クーリングユニット115とバイパス容器126との間を区画するゲートバルブ131が制御部からの指令信号により動作してゲートを開放すると、ロボットアーム128は同制御部からの指令信号に応じて、アームを移動させてクーリングユニット115内にウエハWを載置台115′上方に移動させてピン上に受け渡す、つまりウエハWを搬入する。
【0053】
ウエハWを載置台115′上に受け渡したロボットアーム128がアームを移動させてクーリングユニット115及びゲートから退出すると、ゲートバルブ131が閉じられてクーリングユニット115の処理室内が気密に封止される。ゲートの閉塞が検出されると制御部からの指令信号に応じて、クーリングユニット115内でのウエハWの冷却が行われる。
【0054】
クーリングユニット115では、ウエハWを所定の温度に調節された載置台115′上面の上方で空間を開けてその外周縁を3つのピン先端部上に保持した状態で、内部に熱伝導性ガス、例えばHeガスを通流させつつ載置台115′及びガスとの間で熱交換させることでウエハWの温度を下げて冷却する。本実施例では処理室内を排気しつつ熱伝導ガスを供給した状態でクーリングユニット115内部の処理室内圧力は1000Paに設定される。
【0055】
ロボットアーム128,129は、複数の梁状の腕部とその端部同士を連結して回転させる関節部を複数備えた多関節アームを備えており、また連結された腕部のうち終端の腕の先端部には、凹まされた部分の内部にウエハWを保持することのできるハンドが配置されている。ロボットアーム128,129は、制御部からの指令信号に応じて、関節部を回転駆動させることでアームを伸張させてハンドを移動させる、ウエハWを載せた場合にはウエハWを移動させることができる。
【0056】
本実施例では、アームを伸張させた状態でウエハWを載置台114′,116′からハンド上に受け取り、また載置台115′にハンド上から受け渡す。
【0057】
つまり、ロボットアーム128,129はハンドにウエハWが載せられアームを最大限伸張させた状態で、ウエハWの中心(またはハンドのウエハ保持部のウエハW中心と合致させるように設定された位置)は、載置台114′,115′,116′の中心と合致するか、これを超えて行き過ぎた位置に移動させることができる。
【0058】
本実施例の載置台114′,115′,116′は、ウエハWをその外周縁と接して先端で保持する3本のピンを備えている。これらのピンはこれら載置台の載置面である上面に配置された開口に連通した貫通孔の内部に配置されて貫通孔の軸の方向(上下方向)に上下して移動するように、図示しない駆動手段により駆動される。また、3つの貫通孔は上記軸が実質的に円形の載置面の中心からウエハWの同じ形の円周上で等角度、つまり120度毎に配置されている。
【0059】
それぞれの3本のピンのうちの2つは、各載置台114′,115′,116′が収納された処理室と連通する複数のゲートに対して等距離に配置されている。このことにより、ロボットアーム128,129または真空搬送ロボット134〜136のアームが伸張してこれらのピン同士の間に進入した際のアームとピンとの間のすき間を大きくするように構成されている。
【0060】
さらに、本実施例では、上方から見た状態でその平面での配置は、載置台114′の載置面の中心とロボットアーム128の回転中心軸との間を結ぶ線と、ロボットアーム128の回転軸と載置台115′の載置面の中心とを結ぶ線とは120度またはこれと見なせる程度のこれに近い角度をなしている。同様に、載置台115′の載置面の中心とロボットアーム129の回転中心軸との間を結ぶ線と、ロボットアーム129の回転軸と載置台116′の載置面の中心とを結ぶ線とは120度またはこれと見なせる程度のこれに近い角度をなしている。
【0061】
そして、バイパス容器126,127は、アッシング処理ユニット114,116の真空容器の側壁とクーリングユニット115の側壁との間でこれらと対向する側壁が60度の角度をなして構成されている。このことにより、本実施例では、これらアッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115はその中心が前方から後方に向かって奥行き方向にジグザグに連結されている。
【0062】
本実施例のアッシング処理ユニット114,116の真空容器内部の処理室の中心部に配置された載置台114′,116′の載置面の中心は、六角形の真空容器の中心と同軸に配置されている。さらに、載置台114′の中心と真空搬送容器109内の真空搬送ロボット134及びバイパス容器126内のロボットアーム128の回転軸とを結ぶ線は、各々真空搬送ロボット134及びロボットアーム128のアームの収縮する動作の際のアームの移動方向に沿ったものであり、載置台114′のピンのうちの2本はこの線から等距離に配置されている。
【0063】
また、ゲートバルブ120,130が開閉する横長のゲートの断面形状の高さ方向及び水平方向の中心はこれらの線と一致するように配置されている。つまり、搬送手段である真空搬送ロボット134及びロボットアーム128の移動する軸上に合致させて各ゲートが配置されている。このような構成は、クーリングユニット115、アッシング処理ユニット116と真空搬送容器110,111との間、及びクーリングユニット115、アッシング処理ユニット116とバイパス容器127との間の相対的な位置についても同様に配置されている。
【0064】
このように上記実施例においては、真空搬送ロボット134〜136、ロボットアーム128,129は各アームの伸縮または移動を上記の線に沿って直線的に行う。
【0065】
真空搬送容器109〜111とこれらの間に配置された中間室容器112,113は前後方向に連結されて、連結された各々の間は開口を備えたウエハWの通路であるゲートにより連通されている。これらのゲートは図上上下方向(前後方向)に並んで配置されており、それらの水平方向及び高さ方向の中心同士は直線上に位置しており、またその直線は上方から見て真空搬送ロボット134,135,136の回転軸を結ぶ線と一致している。つまり、真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113に連通したゲート及びその開口は真空搬送ロボット134〜136のアームの伸縮または移動の方向と合致して配置されている。
【0066】
このような配置の位置は、各真空搬送容器109,110,111に連結されたアッシング処理ユニット114,116及びクーリングユニット115との間のゲートについても同様であり、これら同士の間を連通して連結するゲート及びその開口はその高さ方向及び水平方向の中心位置の高さは合致して配置されている。
【0067】
また、同様にアッシング処理ユニット114、クーリングユニット115とこれらの間に挟まれて配置されてこれらを連結するバイパス容器126およびアッシング処理ユニット116、クーリングユニット115とこれらの間に挟まれて配置されてこれらを連結するバイパス容器127との間のゲートについても中心の高さ位置は同一に配置されている。このことにより、ロボットアーム128,129はそれらのアームの伸縮、移動の動作に際して上下方向に移動することが抑制され、動作時間の短縮あるいは製品のコストの低減ができる。
【0068】
本実施例においては、アッシング処理ユニット114,116内の真空容器とクーリングユニット115との間でバイパス容器126,127を介してアッシング処理済の高温のウエハWの搬送が行われる。このため、これらの容器の内部同士はゲートを介して連通される同一の空間にされることになり、同一または搬送の動作に支障が生じない程度に同等の圧力にされる。
【0069】
このために、上記容器同士の間のゲートを開閉するゲートバルブ130〜133の開放の前に、これらの容器内の圧力を同一または搬送の動作あるいはウエハWへの汚染、異物の生起に問題が生じない程度に同等の圧力にするかこのような圧力に近づけることが必要になる。本実施例では、アッシング処理ユニット114の真空容器の内部を排気する経路とバイパス容器126の内部を排気する経路とを合流させて共通の排気経路137を備えている。
【0070】
排気経路137はロータリーポンプ等の粗引きポンプに連結されている。各々の排気経路上にはその経路を開閉するバルブが配置されており、その開閉の度合を調節することにより各々の容器内の圧力を独立して調節できる。一方、両方のバルブを開放状態にすることで、2つの容器の間のゲートバルブ133が閉塞された状態でこれら内部の圧力を近づけることができる。
【0071】
このような構成は、アッシング処理ユニット116とバイパス容器127とについても同様に、共用の排気経路139及びこれに連結された各々の容器からの排気経路上に配置された経路の開閉を行うバルブが備えられている。一方、クーリングユニット115は、単独の排気経路138とその経路上に配置されたバルブとが備えられている。
【0072】
なお、本実施例での各処理ユニット内の処理室、およびバイパス容器、真空搬送容器内の圧力は、次のように設定されている。アッシング処理ユニット114,116の処理室内での処理の際の圧力は500Paにされて、これに連通されたゲートが開放されてウエハWが搬送される際には圧力は100Paに設定される。また、クーリングユニット115内の処理室では、クーリング処理を行う際の処理室内の圧力は1000PaにされウエハWが搬入、搬送される際の圧力は100Paに設定される。
【0073】
また、バイパス容器126,127及び真空搬送容器109〜111ならびに中間室容器112,113の内部の圧力は100Paにされている。バイパス容器126,127及び真空搬送容器109〜111ならびに中間室容器112,113の内部は、ウエハWが搬送されるのみの空間であるので、本実施例では真空処理装置100の運転時には内部の圧力は100Paに維持されている。
【0074】
本実施例の真空処理装置100の真空搬送容器109〜111の奥行き方向の並びの図1上右側には、前方からアッシング処理ユニット117、クーリングユニット118、アッシング処理ユニット119がこれら同士の間にゲートバルブ140,141を挟んで相互に連結されて配置されている。真空搬送容器109〜111の奥行き方向の並びの左側の処理室の並びと異なり、各ユニット同士の間にはバイパス容器は配置されていない。
【0075】
つまり、クーリングユニット118の真空容器の側壁がアッシング処理ユニット117,119の真空容器の側壁に対向してこれらと連結されている。なお、アッシング処理ユニット117,119及びクーリングユニット118の真空容器は上方からの平面形は矩形あるいはこれと見なせる程度の線分の組み合わせによる形状を有しており、各々の内部の処理室の中央部に載置台117′,118′,119′が配置されている。クーリングユニット118の載置台118′はクーリングユニット115と同様にその内部に高温にされるウエハWより低い所定の温度にされた冷媒が通流する通路を有して当該温度に調節される構成を備えている。
【0076】
クーリングユニット118の内部の処理室には、図上上下方向(前後方向)にロボットアーム142,143が配置されており、これらに挟まれて載置台118′が備えられている。ロボットアーム142,143はクーリングユニット118の前後に配置されたアッシング処理ユニット117,119において灰化処理された後の高温のウエハWをアッシング処理ユニット117,119内の載置台117′,119′上から搬出して載置台118′上に搬送し載置するものであり、載置台118′では載置台115′と同様に、その上面からすき間を開けてウエハWが保持されつつ処理室内部に導入されて通流する熱伝導性ガス(例えばHeガス)の作用によりウエハWと載置台118′及びガスとを熱交換させてウエハWの冷却が行われる。
【0077】
ロボットアーム142,143のウエハWをその上に載せて保持するアームは、図上上下方向(前後方向)に移動する構成を備えている。つまり、ロボットアーム142は下方に移動してアッシング処理ユニット117内部でウエハWを受け取って、上方に移動して内部から退出し、さらに上方に移動して載置台118′上方までウエハWを移送してこれにウエハWを受け渡す。ロボットアーム143はロボットアーム142とは逆の方向に移動してウエハWを授受する。
【0078】
本実施例でのロボットアーム142,143のアームの移動は上下方向のみ可能であり、その方向は上方から見て載置台117′,119′の載置面の中心同士を結ぶ線に沿っている。その線分はゲートバルブ140,141が開閉するアッシング処理ユニット117,119とクーリングユニット118の各容器の内部同士を連通するゲートおよびその開口の高さ方向、水平方向の中心位置と合致しており、これらのゲートとロボットアーム142,143の移動方向及び上記線とが合致して配置されている。
【0079】
この構成において、ロボットアーム142のアームは上記の線に沿った方向にスライドして移動し、その移動距離の端部においてアームがウエハWの下方に進入してその受け取りまたは渡しを行う。このようにロボットアーム128,129と異なり回転動作を行わないので、これらと比較して移動の動作に要する時間が短くなる。
【0080】
ロボットアーム142,143のアームの長さ或いは移動の距離はその移動の両端部においてアームの上部に配置されウエハWを保持するハンドの上にウエハWが載せられる位置となるように決められる。
【0081】
すなわち、アームが上方または下方に移動してその移動範囲の端に到達した状態で、ハンドの上に載せられたウエハWの中心位置(または、この中心位置に相当するハンド上での特定の位置)は載置台117′または118′または119′の載置面の中心と上方から見て合致するか、これよりも移動方向に行き過ぎた位置となる。
【0082】
アッシング処理ユニット117,119の真空容器各々は、上方から見て平面形が矩形(四角形)またはこれと見なせる形状を有しており、その内部の処理室に円筒形状の載置台117′,119′を備えている。この処理室は上記の通り、各々真空搬送容器109,111とゲートバルブ123,125を挟んで連結されて連通されており、真空搬送容器109または111内から処理前のウエハWが搬入される。
【0083】
載置台117′,119′は、載置台114′,116′と同様にそれらの載置面に複数の貫通孔が配置され、これらの貫通孔内に収納された複数のピンが上下方向に移動可能に備えられている。各ピンは上方に移動してその上端部がウエハWがこれらに載せられた状態でその外周縁と当接してウエハWを保持することができる。
【0084】
載置台114′,116′等と異なり、載置台117′,119′のピン及び貫通孔は4本であり、対応する載置面の中心からウエハWの同じ径の円周上に均等に、つまり等角度間隔で配置されている。この構成で、ピンがその先端が載置面から上昇した位置でウエハWの外周縁が4本のピンの先端部で保持される。
【0085】
アッシング処理ユニット117,119の処理室では他のアッシング処理ユニットと同様に、処理ガスと電界とが導入されてプラズマが形成され、ウエハWのアッシング処理が行われる。この際のアッシング処理ユニット117,119の処理室内の圧力は、同様に500Paである。
【0086】
アッシング処理ユニット117,119内でのアッシング処理が終了すると、処理室に不活性ガス(例えば、窒素ガス)が供給されクーリングユニット118との間に配置されたゲートバルブ140または141が開放されて、ロボットアーム142または143が処理後の高温のウエハWをクーリングユニット118内の処理室内に搬送する。
【0087】
ゲートバルブ140,141はアッシング処理ユニット117,119とクーリングユニット118との間でこれらを連通するゲートを開閉する。これらが開放されるのは、ロボットアーム142または143のアームが載置台117′,119′上のウエハWを搬送するために処理室内に進入及び退出する際のみであり、閉じられた状態ではアッシング処理ユニット117,119内の処理室は閉塞された状態で維持される。
【0088】
本実施例のゲートバルブ123〜125及び140,141は、左側の処理室の並びにおけるゲートバルブ120〜122,130〜133と同様に、排他的に開放の動作がされる。例えば、アッシング処理ユニット117の処理室とクーリングユニット118の処理室との間を連通するゲートを開閉しこれらの内部を気密に区画するゲートバルブ140は、2つの処理室に連通する他のゲートを開閉する他のゲートバルブ123,124,141の何れもが閉塞状態である場合にのみ開放の動作を行う。
【0089】
このような排他的な開放の動作は、他のゲートバルブ124,125,140,141においても同様に行われ、これらの動作を指令する制御部によって動作の開始、停止が調節される。このような構成により、開閉動作を行おうとするバルブが区画する2つの容器内部の空間がこれら以外の他の容器内部と連通してしまい、意図せずに汚染が拡散してしまうことが抑制され、周囲の異物の原因となる粒子が低下していない状態のウエハWのゲートが開放される2つの室以外の室内に侵入してその内部を汚染してしまうという、所謂クロスコンタミネーションが抑制される。
【0090】
上記の通り、載置台117′,118′,119は上方から見て前後方向の直線上に位置しており、この線上にゲートが配置されている。
【0091】
また、載置台118′の載置面の中心と真空搬送容器110の真空搬送室内の真空搬送ロボット135の回転動作の中心軸とを結ぶ線は、真空搬送容器110内の真空搬送室とクーリングユニット118の内部の処理室との間を連通するゲートの中心の位置と高さが合致して配置されており、真空搬送ロボット135は、当該中心を通る線に沿ってゲートを通るようにそのアームの伸張の動作が制御部からの指令により調節される。
【0092】
そして、載置台118′の載置面の中心は上方から見て載置台117′と載置台119′の載置面の中心を結ぶ線上に配置されている。また、真空搬送ロボット135の回転軸と載置台118′の載置面の中心とを結ぶ線は、載置台117′と載置台119′の載置面の中心を結ぶ線に対して同じ上方から見て直角の角度をなしている。
【0093】
さらに、載置台117′と載置台119′及び載置台118′とを結ぶ線は、上方から見て、真空搬送ロボット134〜136各々の回転軸を結ぶ線と平行に配置されている。
【0094】
また、真空搬送ロボット134〜136の回転軸を結ぶ線は、中間室容器112,113の内部の収納部の水平方向の中心及びロック室106内のウエハWの載置台の中心を通るように配置されている。
【0095】
上記の通り、載置台117′,118′,119′には載置台上面に対して上下する4本のピンが配置され、各々の載置台の4本のピンのうちの2本はこれら載置台が配置された処理室を連通するゲートに対して等距離に配置されている。これらゲートから等距離にされた2本のピン同士の間には、真空搬送ロボット134,135,136のアームまたはロボットアーム142,143のアームが進入しウエハをピンとの間で受け渡しする。
【0096】
上記の通り、ゲートバルブ140或いは141が開放されてアッシング処理ユニット117,119からこれらの内部で処理されて高温になったウエハWがクーリングユニット118内に搬送されて載置される。この際に、2つのユニットの処理室内の圧力は、左側の処理ユニットの並びと同様に、搬送の支障や汚染の問題が生じない程度に近接させるか同一にされる。
【0097】
本実施例では、アッシング処理ユニット117,119及びクーリングユニット118の処理室は、各々内部のガスが排気される排気経路144,145,146と連結されており、これらは粗引きポンプと連結されている。また、これらの排気経路上にはその開閉を行うバルブが配置されている。これらのバルブの開閉の度合の調節により、これら処理室内の圧力が独立して調節される。
【0098】
ウエハWの搬送に際しては、アッシング処理ユニット117,119の処理室内とクーリングユニット118の処理室の各々の圧力は搬送に用いられる値100Paに設定される。両者がこれらの値にされたことが検出されるとウエハWの搬送に用いられるゲートに対応するゲートバルブ140,141の何れか一方が開放される。
【0099】
また、アッシング処理ユニット117,119内の処理室内の圧力は、アッシング処理時には、左側の場合と同様、500PaにされウエハWの搬送の際には100Paに設定される。クーリングユニット118内の処理室の内部の圧力もまた、左側の場合と同様に、1000Paにされ、ウエハの搬送の際には100Paに設定される。この100Paの圧力の値は、真空搬送容器109〜111の内部の室内の圧力と同値である。
【0100】
なお、本実施例では、各処理ユニット及び搬送容器、ロック室の間各々には、ゲートが配置されてこれを開閉するゲートバルブが備えられているが、真空搬送容器109,110,111とこれらの間に配置されて連結された中間室容器112,113との並びにおいて、これらの内部の室間を連通するゲートを開閉するゲートバルブは備えられていない。すなわち、真空搬送容器109〜111及びこれらの間に配置された中間室容器112,113を連通するゲートは開放されており、これらの容器の内部は、一体の空間として連通された状態で維持されており、同じ圧力100Paに設定されている。
【0101】
上記のような実施例に係る真空処理装置100では、次のようにウエハWが処理される。カセット台104上に載せられたカセット内に収納されている任意のウエハWは、大気搬送ロボットによって当該カセットから取り出されて搬送されて、アライナ105で位置合わせされた後、ロック室106から真空側ブロック102に導入される。
【0102】
真空側ブロック102においてウエハWは、真空搬送ロボット134または真空搬送ロボット136によりアッシング処理ユニット114或いは117に搬送されて灰化処理された後、バイパス容器126または127を経てクーリングユニット115に搬送されて冷却処理される。或いは、真空側ブロック102においてウエハWは、真空搬送ロボット134または真空搬送ロボット136によりアッシング処理ユニット117或いは119に搬送されて灰化処理された後、クーリングユニット118に搬送されて冷却処理される。
【0103】
その後、真空搬送ロボット135により真空搬送容器110内に搬出され、ロック室106に搬送され、大気側ブロック101に戻されて、元のカセットの元の位置に戻される。上記の例では、真空側ブロック102に導入されたウエハWは、最初の処理を受けるアッシング処理ユニット114,116,117,119の何れかに搬送される。
【0104】
ウエハWの搬送先のアッシング処理ユニットは、ロック室106内部に当該ウエハWが格納された状態で内部の排気が終了しゲートバルブ108が開放されるまでに選択されて、制御部が真空搬送ロボット134に当該選択に応じて搬送先への動作を行わせる。このような選択は、真空処理装置100が設置された建屋での半導体デバイスの製造ラインの動作を調節するホストコンピュータが行った結果を制御部に通信手段を介して発信しても良いし、このようなホストコンピュータの情報、データを受けてこれに基づいて制御部が選択しても良い。また、真空処理装置100の運転前に予め使用者が指定しても良い。
【0105】
上記の通り、本実施例のゲートバルブ108,120〜125,130〜133,140,141の各々は、排他的にゲートの開放の動作を行う。任意のゲートを開閉するゲートバルブは、これを挟んで連結される二室に配置された他のゲートを開閉するゲートバルブが全て閉塞された状態でのみ当該任意のゲートを開放することにより、汚染の拡大を抑制する。
【0106】
カセット台104上のカセット内に収納された任意のウエハWは、図示しないホストコンピュータ等からの指令に応じて動作する大気搬送ロボットによって、当該カセットから取り出され、真空搬送容器103の図上左端の側壁に配置されたアライナ105に搬送されてこのアライナ105で位置合わせがされる。アライナ105はウエハWが載せられて回転する台とウエハWを水平面の二軸の方向に移動可能な構成を備えて、ウエハWの中心及びこれに対するウエハWの外周縁に予め配置された切り欠き、溝或いはノッチ等の特定の形状を有した部分の角度位置を調節するものである。
【0107】
本実施例の大気搬送ロボットは、真空搬送ロボット134〜136と同様に、多関節を有するアームを複数備えている。そこで、一方のアームのハンド上にカセットから取り出したウエハWを保持した状態でアライナ105まで搬送し、既にアライナ105に搬送されて位置合わせが済んだ別のウエハWをアライナ105の台上から他方のアームのハンド上に移して載せ、一方のアームのハンド上に保持された位置合わせ前のウエハWをアライナ105の台上に載せる、という入れ換え動作を行ってもよい。
【0108】
大気搬送ロボットは大気搬送容器103内部でレールに沿って水平方向に移動する。このレールは大気搬送容器103の前面側に配置された複数のカセット台104のうちの左端のものから右端のものまで延在して配置されている。また、複数のアームの動作によるウエハWの入れ換えの動作は、アライナ105においてのみでなく、カセット及びロック室106においても同様に行ってもよい。
【0109】
例えば、本実施例のロック室106は真空容器が上下に2つ重ねられて、大気搬送容器103の背面後方でこれと連結されており、2つの容器は各々ロードロック機能とアンロードロック機能との両者を行うことができることから、ゲートバルブ107が開放された状態で一方の容器内に収納された処理済のウエハWを、ウエハが搭載されていないアームのハンド上に載せて容器から取り出した後、他方のアームのハンド上に載せられた位置合わせ済で未処理の別のウエハWを同じ容器内に当該アームを伸張させて搬入しても良い。当該ロック室106の容器は、未処理のウエハWが内部の載置台上に載せられてアームが退室するとゲートバルブ107を閉じて、その容器の内部が排気されて搬送に適した所定の真空度の圧力まで減圧される。
【0110】
一方、処理済のウエハWをハンド上に受け取った大気搬送ロボットは、当該ウエハWが収納されていた元のカセットの元の位置にこのウエハWを搬送して戻す。さらに、ホストコンピュータまたは制御部、或いは使用者の指令に応じて、別の処理対象のウエハWがカセット内にあれば、これをカセットから取り出してアライナ105に搬送する。
【0111】
大気搬送ロボットにより搬入された未処理のウエハWが内部に収納された状態でロック室106の所定の圧力までの減圧が終了すると、ゲートバルブ108が開放される。この開放は、ゲートバルブ120〜125が閉塞された状態で行われる。
【0112】
真空搬送ロボット134が、ロック室106内に進入して内部の載置台上のウエハWをその一方のアームのハンド上に載せて保持してロック室106内から搬出する。この際、当該ウエハWを搬送するアッシング処理ユニット114,116,117,119の何れかが、ホストコンピュータまたは制御部或いは使用者からの指令信号に応じて選択されている。
【0113】
真空搬送ロボット134が他方のアームのハンド上に処理済のウエハWを保持していた場合には、このアームを伸張させてロック室106内にハンドを進入させ空いた載置台に処理済のウエハWを載せてアームを収縮させて退出する、入れ換え動作が行われる。処理済のウエハWが収納された後、ゲートバルブ108が閉塞されてロック室106内が気密に封止され内部に窒素ガス等不活性ガスが導入されて内部の収納室内の圧力が大気圧またはそれに少しだけ高い圧力まで上昇させられる。
【0114】
以下は、ウエハWをアッシング処理ユニット114または116に搬送する場合の例を説明する。
【0115】
真空搬送ロボット134は、その一方のアームを伸張させてその上に保持した未処理のウエハWをアッシング処理ユニット114の処理室内に搬入する。搬入に際して、当該処理室内の圧力と真空搬送容器109内の真空搬送室内の圧力とが同じか支障を生じない程度に同等と見なされるまで近いことが検出されると、当該処理室と真空搬送室との間を開閉するゲートバルブ120が、制御部からの指令信号に応じて他のゲートバルブ121〜125,130が閉塞された状態が維持された状態で開放される。
【0116】
アームの伸張の動作によりハンドがアッシング処理ユニット114内の載置台114′の上方まで移動した後上記の通りピン上にウエハWが受け渡される。アームの収縮によりハンドが処理室から退室するとゲートバルブ120が閉塞される。
【0117】
なお、ゲートバルブ120の開放前に同一にまたは接近させられる処理室および真空搬送室内の圧力は100Paである。アッシング処理ユニット114内の処理室でのアッシング処理の圧力は500Paであるので、当該処理室の圧力はゲートバルブ120の開放前に100Paまたはこれに近い値まで減圧される。
【0118】
ゲートバルブ120が閉塞されると、ウエハWは載置台114′上に保持され、アッシング処理ユニットの処理室内が気密に封止され、処理用のガスが処理室内に導入されると共に処理で設定される圧力(500Pa)まで昇圧される。圧力が処理に適した値になったことが検出されると、処理室内に電界が供給されて処理用ガスが励起されて、載置台114′上方の空間内にプラズマが形成される。このプラズマを用いて載置台114′上のウエハWがアッシング処理される。
【0119】
予め定められた時間が経過した後で処理が終了したと制御部において判定されると、電界の供給と処理ガスの導入とが停止されてプラズマが消失する。このことで処理が終了される。
【0120】
次に、アッシング処理がされたウエハWをアッシング処理ユニット114内の処理室から搬出する。処理ガスに替わり不活性ガス(窒素ガス)が処理室内に導入されると共に処理室内の排気が行われ、処理室内部の圧力が搬送が行われる100Paまで低下させられる。また、処理室内のガスを不活性ガスで置換する。また、制御部からの指令に応じてピンが上昇してウエハWを載置台114′上方に持ち上げて保持する。
【0121】
圧力が100Paまたはこれに近い圧力まで低下したことが検出されると、ゲートバルブ130が開放されて、アッシング処理ユニット114の処理室とバイパス容器126内の空間とがゲートにより連通される。この開放の動作は、ゲートバルブ120及び131が閉塞している状態を維持して行われる。
【0122】
ロボットアーム128がそのアームを伸張させて処理室内に進入し、ハンドを2本のピンの間に移動させる。ピンが下降することでハンド上にアッシング処理済のウエハWが載せられて受け渡されると、アームが収縮することでウエハWがハンド上に保持されたまま処理室から搬出される。ウエハWが搬出されるとゲートバルブ130が再度閉じられてアッシング処理ユニット114の処理室内が気密に封止される。なお、アッシング処理ユニット114の処理室は次に未処理のウエハWが搬入されるまで不活性ガスが供給されて圧力は搬送に適した100Paに維持されている。
【0123】
アームがゲートバルブ回転軸の近傍の所定の位置までウエハWが到達するまで収縮すると、回転軸周りに回転してウエハを回転移動させ、ゲートバルブ131が配置されたクーリングユニット115に連通するゲートに対向する位置まで移動させる。この状態で、ウエハWを保持したアームの伸張方向はゲートに対向している。
【0124】
ゲートバルブ132,121が閉塞した状態でゲートバルブ131が開放されて、バイパス容器126内部とクーリングユニット115内部の処理室とが連通する。ロボットアーム128のアームが伸張してウエハWがクーリングユニット115内部の処理室内に搬入され載置台115′上に受け渡されて載せられる。但し、ウエハWは載置台115′上でその上面との間で所定のすき間を空けて3つのピンの先端で外周縁を保持されている。
【0125】
クーリングユニット115の処理室はゲートバルブ131が開放される前に、内部にバイパス容器126内部と同じ不活性ガスが導入されバイパス容器126内部の圧力100Paに同じか同等であることが検出される。この後にゲートバルブ131が開放される。
【0126】
ロボットアーム128は収縮してクーリングユニット115の処理室内から退出すると、ゲートバルブ131が閉塞してクーリングユニット115の処理室が気密に封止される。
【0127】
この後、当該処理室内に冷却用の熱伝導ガス(Heガス)が導入されて処理室内の不活性ガスが置換されるとともに、内部の圧力が冷却に適した値である500Paまで上昇させられる。載置台115′内部にはウエハWの温度より低い温度の冷媒が通流する冷媒の流路が配置されており、この冷媒の通流により載置台115′は所定の温度にされるとともに、その上方に保持されたウエハWとの間に熱伝導ガスが通流されて載置台115′とウエハWの間の熱伝達を促進するとともに、ウエハWの周囲を流れるガスとウエハWとが熱交換することでウエハの冷却が行われる。
【0128】
Heガスの通流が所定時間行われたことが検出されると、Heの供給が停止されて冷却が実質的に終了する。この後、処理室内に窒素ガスが導入されると共に処理室内のガスが排気され、Heガスと窒素ガスとが置換される。
【0129】
ウエハWの冷却が終了後で処理室内の圧力が搬送に適した100Paになったことが検出されると、ゲートバルブ121が開放される。真空搬送ロボット135のウエハWを保持していない一方のアームが処理室内に進入しピン同士の間を通ってウエハWの下方までハンドを移動させる。
【0130】
ピンが降下することでウエハWがハンド上に受け渡されると、一方のアームが収縮されてハンド及びウエハWが処理室から退室し搬出される。アームが退室するとゲートバルブ121が閉塞して、処理室内が再度気密に封止される。なお、クーリングユニット115の処理室内は、次に冷却対象のウエハWが搬送されるまで、不活性ガスが導入されて内部の圧力が100Paに維持される。
【0131】
真空搬送容器110内に搬入された処理済のウエハWは、真空搬送ロボット135の動作により中間室容器112に搬送されその収納部に載置される。その際、未処理のウエハWが中間室容器112内に収納されている場合には、これと入れ換え動作を行っても良い。
【0132】
中間室容器112内に収納された処理済ウエハWは、真空搬送ロボット134によりその内部の収納部から一方のアーム上に載せられて取り出されて真空搬送容器109内の真空搬送室内に導入される。この際、真空搬送ロボット134の他方のアーム上に未処理のウエハWが保持されている場合には、これと入れ換え動作を行っても良い。
【0133】
なお、真空搬送ロボット135は、クーリングユニット115内から搬出した処理済のウエハWを中間室容器112内の収納部に配置された複数段のラックの下段に搬入して載せ換える。上記ラックは上下方向に複数の段を有して各々の段の内部にウエハWを各々上下に空間を空けて載置、収納可能に構成されている。
【0134】
真空搬送ロボット135のアームが収納部から退出後に、処理部からの指令の信号に応じて真空搬送ロボット134がアームを伸張させて中間室容器112内に進入させる。この際、アームは当該ハンドを収納部の上記ラックの下段に収納されたウエハWの下方に進入させた後上方に移動させてウエハWをハンド上に載せて持ち上げて保持する。これによりラックからハンドにウエハWが受け渡される。
【0135】
受け渡しが完了すると、アームが収縮してウエハWが真空搬送容器109内に搬入される。なお、本実施例の中間室容器112,113は上面から見た図1では1つのみが示されているが、ロック室106と同様に、上下方向に2つが重ねられて各々が真空搬送容器109,110及び真空搬送容器110,111との間でこれらと連結されて配置されている。さらに、これらの各々の内部には上記の複数段のラックが配置されており、中間室容器112,113は各々で4枚以上のウエハWを内部に収納、保持できるように構成されている。
【0136】
さらに、真空搬送ロボット134は、その一方のアーム上に保持した処理済ウエハWをロック室106のうち内部にウエハWが収納されていないか或いは未処理のウエハWが収納されて開放されている室に搬送する。この際、当該ロック室106の室内に未処理のウエハWが収納されていた場合には、これと入れ換え動作を行っても良い。
【0137】
次に、未処理ウエハWを真空搬送容器111に搬送してアッシング処理ユニット117に搬送する場合を説明する。ロック室106内に未処理ウエハWが収納されてゲートバルブ108が開放された状態で、アッシング処理ユニット114において処理が実行中である場合には、真空搬送容器111までウエハWを搬送して、アッシング処理ユニット116で未処理ウエハWの処理を行う。
【0138】
この際、真空搬送ロボット134は制御部からの指令に応じて、真空搬送ロボット134は未処理ウエハWをロック室106内部から一方の中間室容器112内部の収納部内のラックの上段に収納する。真空搬送ロボット134は未処理のウエハWを中間室容器112内に搬送後アームを収縮させてこれから退出する。この際、中間室容器112内に処理済のウエハWが収納されていた場合は、真空搬送ロボット134は入れ換え動作を行ってもよい。
【0139】
次に、上記ラックの上段に収納された未処理のウエハWは真空搬送ロボット135により、真空搬送ロボット134と同様の動作によって、その一方のアーム上に載せられて中間室容器112から搬出して真空搬送容器110内に搬入する。この際、真空搬送ロボット135は他方のアーム上に処理済のウエハWを保持していた場合には、中間室容器112内の未処理ウエハWとの入れ換え動作を行ってもよい。
【0140】
さらに、真空搬送ロボット135は、一方のアーム上に保持した未処理のウエハWを一方の中間室容器113内に収納してその内部のラックの上段に収納する。この際、中間室容器113内に処理済のウエハWが収納されていた場合には、これと入れ換え動作を行ってもよい。
【0141】
この後、真空搬送ロボット136は、1つのアーム上にウエハWを載せて中間室容器113内の収納部のラックから取り出して真空搬送容器111内の真空搬送室内に搬入する。真空搬送ロボット136のアーム上に保持された未処理のウエハWは、ゲートバルブ122が開放されて、アッシング処理ユニット116の処理室内部と真空搬送容器111の真空搬送室内とを連通するゲートが開放された状態で、真空搬送ロボット136のアームがゲート内を通り伸張して、ハンド上の未処理のウエハWをアッシング処理ユニット116の処理室内の載置台116′上方にまで移動させ、載置台116′の載置面の上方まで先端を突出させている3本のピンの先端にウエハWを移し替えて、ウエハWを当該処理室内に搬入する。なお、アッシング処理ユニット116の処理室は、ゲートバルブ122が開放される前に、その内部に窒素ガスが導入されて処理ガスと置換され、さらに内部の圧力が搬送に適した100Paに設定されている。
【0142】
アッシング処理ユニット116の処理室内では、ゲートバルブ122が再度閉塞して処理室内が気密に閉塞され、ウエハWが載置台116′上面の載置面上に保持されると、処理室から窒素ガスが排気されると共に内に処理ガスが導入される。さらに、処理室内の圧力を処理の条件に適合する500Paに上昇させられて保持される。
【0143】
この状態で、処理室内に電界が供給されて処理ガスを用いて処理室内の載置台116′上方の空間にプラズマが形成され、これを用いてウエハW上面に配置された灰化処理の対象の膜をアッシング処理する。処理が開始されて所定の時間が経過すると処理が終了したことが検出される。
【0144】
この後、アッシング処理ユニット114でウエハWの処理がされた場合と同様にして、ウエハWがバイパス容器127を通りクーリングユニット115内の処理室内に搬入されて載置台115′上に載置される。この後、アッシング処理ユニット114でのウエハWの処理の場合と同様に冷却処理が行われた後、真空搬送容器110内に搬入される。真空搬送容器110内に搬入された処理済のウエハWは、アッシング処理ユニット114でのウエハWの処理の場合と同様に、真空搬送容器109を通りロック室106に戻され、さらに大気側ブロック101において元のカセットの元の位置に戻される。
【0145】
上記の処理において、未処理のウエハWは、ロック室106に収納されて、真空搬送容器109を通ってアッシング処理ユニット114に搬入された後は、クーリングユニット115まで搬送されて冷却処理が施されて、真空搬送容器110内に搬入されるまで、真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間の内部に搬入されない。つまり、この空間を通過しない。また、真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113内を通って搬送されアッシング処理ユニット116に搬入された未処理ウエハWは、クーリングユニット115で冷却処理された後真空搬送容器110内に搬入されるまで、真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間を通過しない。
【0146】
つまり、左側の処理ユニットの並びに未処理のウエハWが搬送された場合には、ロック室106から真空搬送容器109を通りアッシング処理ユニット114に搬送され、アッシング処理ユニット114からバイパス容器126を介してクーリングユニット115に搬送され、その後クーリングユニット115から真空搬送容器110に搬送された後に真空搬送容器109〜111で構成される空間からロック室106に搬入されるという、搬送経路を通る。或いは、ロック室106から真空搬送容器109を通りアッシング処理ユニット116に搬送され、アッシング処理ユニット116からバイパス容器127を介してクーリングユニット115に搬送され、その後クーリングユニット115から真空搬送容器110に搬送された後に真空搬送容器109〜111で構成される空間からロック室106に搬入されるという、搬送経路を通る。
【0147】
これらの搬送経路は、アッシング処理ユニット114(または116)からバイパス容器126(または127)を介してクーリングユニット115に搬送されて順次処理ユニットで処理を施される処理の経路と、ロック室106から真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間を通ってアッシング処理ユニット114(またはアッシング処理ユニット116)に向けて搬送される経路とクーリングユニット115から真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間に導入された後当該空間をロック室106に搬送される経路であってウエハWが冷却されたか或いは処理前で高温になっていない冷間の経路とに分けられ、これらの間に重複はないものとなっている。なお、処理の経路では、ウエハWはプラズマが形成されて処理を受ける、あるいは高温にされている状態である。
【0148】
次に、図1の図上真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間の右側の処理ユニットの並びにおいてウエハWが処理される場合について、搬送を説明する。
【0149】
真空搬送ロボット134は、その一方のアームを伸張させてその上に保持した未処理のウエハWをアッシング処理ユニット117の処理室内に搬入する。搬入に際して、当該処理室内の圧力と真空搬送容器109内の真空搬送室内の圧力とが同じか支障を生じない程度に同等と見なされるまで近いことが検出されると、当該処理室と真空搬送室との間を開閉するゲートバルブ123が、制御部からの指令信号に応じて他のゲートバルブ120〜122、及び124,125,140が閉塞された状態が維持された状態で開放される。アームの伸張の動作によりハンドがアッシング処理ユニット117内の載置台117′の上方まで移動した後上記の通りピン上にウエハWが受け渡された後ハンドが処理室から退室するとゲートバルブ123が閉塞される。
【0150】
左側の処理ユニットの並びでの動作と同様に、右側の処理ユニットの並びでの動作でも、ゲートバルブ123の開放前にアッシング処理ユニット117の処理室内と真空搬送容器109内の圧力が同じか近接した値であることが検出される。また、アッシング処理ユニット117内でのアッシング処理の際の圧力は500Paに設定され、ウエハWの搬送の際には100Paに設定される点も、左側での処理の動作と同様である。
【0151】
アッシング処理ユニット117の処理室がゲートバルブ123が閉塞されて気密に封止されると、窒素ガスと処理ガスとの置換が行われ処理室内の圧力がアッシング処理に適した500Paに上昇させられる。その後、処理室内にプラズマが形成されてウエハWがアッシング処理される。
【0152】
その後、処理室に窒素ガスが導入されて処理室内の処理ガスとの置換が行われると共に、処理室内の圧力を搬送に適した100Paに減少させられる。この後、ゲートバルブ140を開放して処理済のウエハWをロボットアーム142によりクーリングユニット118内に搬入する。
【0153】
ウエハWがクーリングユニット118内に搬入されると、ゲートバルブ140が閉塞されてクーリングユニット118の処理室内が気密に封止される。さらに、ロボットアーム142が図上上方に移動してウエハWを載置台118′上方まで移動させた後、ウエハWが載置台118′の上方で4本のピンの先端に保持されて受け渡される。
【0154】
この後、ロボットアーム142は図上下方に移動してウエハWの下方からハンドを移動させ、ピンの先端にウエハWが保持された状態でウエハWと載置台118′の載置面との間に所定のすき間が維持されてのウエハWの載置が行われる。この後、処理室内に冷却用の熱伝導性ガス(Heガス)が導入されて処理室内が100Paまで昇圧させられた後、載置台118′とウエハWとの間の熱伝導及びHeガスとの間の熱交換によりウエハWの冷却が行われる。
【0155】
なお、本実施例では、ロボットアーム142,143は図上上下方向(前後方向)のスライドによる移動のみでウエハWを載置台117′,119′と載置台118′との間で搬送することができるように、スライドによる移動の距離やアームの長さが設定されている。但し、これらのアームがウエハWをハンド上に載せて保持した状態で両端側のゲートバルブ140,141を閉じて封止した状態で、ロボットアーム142,143を上下方向の回転軸周りに180度回転させてアームの伸張方向を180度反対の方向に変えてウエハWを載置台の間で搬送するようにしても良い。
【0156】
クーリングユニット118の載置台118′上で冷却が書定時間経過して終了したと判定されると、クーリングユニット118の処理室内部のガスが窒素ガスに置換されるとともに圧力が搬送に適した100Paまで減圧させられる。真空搬送容器110の真空搬送室内の圧力とクーリングユニット118内の処理室の圧力とが同一か近接した値であることが検出されると、ゲートバルブ124が排他的に開放される。
【0157】
この後、クーリングユニット115の場合と同様に、真空搬送ロボット135がアームを伸張させて載置台118′上に載せられているウエハWを受け取った後アームを収縮させてウエハWを搬出した後、ゲートバルブ124が閉塞されてクーリングユニット118の処理室が気密に封止される。
【0158】
この後、左側の処理ユニットの並びでの処理の場合と同様に、真空搬送容器110に搬入された処理済のウエハWは、ロック室106を介して、元のカセットの元の位置まで戻される。
【0159】
未処理のウエハWがロック室106内に収納されゲートバルブ108が開放された状態で、アッシング処理ユニット117が使用中でゲートバルブ123を開放できない場合には、左側の処理の並びの場合と同様にウエハWを真空搬送容器111まで搬送してアッシング処理ユニット119に搬入する。
【0160】
この場合、左側の処理ユニットの並びでの処理の場合と同様にして、未処理ウエハWは真空搬送容器111まで搬送される。
【0161】
真空搬送容器111内の真空搬送室内に未処理ウエハWが搬送されると、アッシング処理ユニット119の処理室内と真空搬送室内との圧力が同一または近接した値であることが検出されて、ゲートバルブ125が排他的に開放され、真空搬送ロボット136によりウエハWがアッシング処理ユニット119の処理室内に搬入されて載置台119′上に載せられる。この後、真空搬送ロボット136が処理室から退出し、ゲートバルブ125が閉塞される。
【0162】
アッシング処理ユニット117と同様にして、処理室内のガスの置換と圧力の上昇がされた後、ウエハWの処理が開始されこれが停止された後、ウエハWはクーリングユニット118内に搬入されて載置台118′上でその冷却処理がされる。この冷却の後、真空搬送容器110に搬送してロック室106を介して元のカセットの元の位置に戻されるまでの搬送は、アッシング処理ユニット117での処理の場合と同様である。
【0163】
左側の処理ユニットの並びと同様に、右側の処理ユニットでの処理の流れにおいても、未処理ウエハWがアッシング処理ユニット117,119に搬入されて以降、アッシング処理及び冷却処理が終了してクーリングユニット118から搬出されるまで、真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113により構成される空間(冷間室)内に搬入される、或いは通過することはない。
【0164】
すなわち、左側の処理ユニットの並びでの処理における未処理ウエハWが搬送される経路は、処理経路であるアッシング処理ユニット117,119から相互の容器間を連通するゲートを通りクーリングユニット118に搬入され真空搬送容器110に搬出されるまでクーリングユニット118内の真空容器内で待機している経路と、ロック室106から真空搬送容器109を通りアッシング処理ユニット117に搬入されまで及びロック室106から真空搬送容器109から111まで冷間室を搬送されてアッシング処理ユニット119に搬入されるまで並びにクーリングユニット118から真空搬送容器110に冷却済のウエハWが搬入されて冷間室をロック室106まで搬送される冷間経路とはその経路を構成する処理室、真空搬送室、中間室は重複することが無い。
【0165】
上記の構成によれば、アッシング処理前、冷却処理後の低温で周囲に異物を生起する粒子が少なくされたウエハWを搬送する搬送の経路と、アッシング処理を行う処理室から冷却を行う処理室に搬送する搬送の経路とを分けて構成することにより、処理の前後でのウエハWが同じ室内を通ることを抑制しウエハWまたはこれが搬送される室内の部材が汚染されたり、異なる室間で汚染が生じるクロスコンタミネーションの発生を抑制、回避することができる。
【0166】
一方、本実施例の真空搬送容器109〜111及び中間室容器112,113で構成される空間は、これらの容器の内部の室同士はゲートにより連通されており、さらに、これらのゲートを開閉して気密に封止するゲートバルブは配置されておらず、実質的に一体の室となっている。この室空間には、上記の通り未処理或いは灰化処理された後クーリングユニット115,118により冷却されたウエハWのみが搬送される空間(冷間室)となっている。この空間は、その水平方向の周囲をゲートバルブ120〜125によって処理ユニットとの間を気密に封止されている。
【0167】
つまり、本実施例は、この冷間室がロック室106に連結されており、処理の開始前、処理の終了後のウエハWは冷間室を通って大気側ブロック101との間で搬送される構成を備えている。冷間室を通るウエハWは温度が低くまたその周囲は異物を生起する粒子が低減されているので、ウエハW及び冷間室を構成する各室の内部に配置された部材の表面への汚染が生起することが抑制されている。このため、複数の容器から構成された冷間室の各容器間を連通するゲートを封止するゲートバルブを配置していない。
【0168】
上記の実施例に関わらず、使用者の要求、仕様に応じてこのようなゲートバルブを備えてもよい。またゲートバルブを備えてもウエハWの搬送の際に開放状態を維持することで冷間室を一体の空間とすることはできる。
【実施例2】
【0169】
次に、図2を用いて本発明の別の実施例に係る真空処理装置を説明する。図2は、本発明の真空処理装置に係る別の実施例を示す上面図である。
【0170】
本実施例の真空処理容器200は、図1に示す実施例と同様に、前方側に配置された大気側ブロック201とその後方に連結されて配置されて、減圧された内部の空間でウエハWが搬送、処理、取扱いをされる真空側ブロック202を備えている。本実施例において、大気側ブロック201を構成する、大気搬送容器203、カセット台204、アライナ205は大気側ブロック101と同一でありその動作も同じものにされている。
【0171】
さらに、真空側ブロック201では、大気搬送容器203の背面に連結されたロック室206及び大気搬送容器209,210,211が中間室容器212,213により相互に連結されて、これらの容器の内部の室空間は内部をウエハWが搬送されて通過するゲートにより連通されている構成も、図1の実施例の構成と同じである。
【0172】
本実施例の真空側ブロック202において、ロック室206、ゲートバルブ207,208、真空搬送容器209,210,211、中間室容器212,213、ゲートバルブ220〜225,230〜233,239〜242、は実施例1と同じ構成を備えている。また、これらゲートバルブにより開閉されるゲートも同様である。
【0173】
さらに、アッシング処理ユニット215,218は実施例1のアッシング処理ユニット114または117と同一の構成を備えており、クーリングユニット216は図1のクーリングユニット115と同一の構成を備えている。さらに、バイパス容器226,227,243,244は、図1に示す実施例のバイパス容器126または127と同一の構成を備えている。
【0174】
また、真空搬送ロボット234,235,236、ロボットアーム228,229の各々は、図1に示す真空搬送ロボット134,135,136と同一の構成を備えている。本実施例では、バイパス容器243,244内部にロボットアームが示されていないが、バイパス容器226,227と同様に、図1に示す実施例のロボットアーム128,129と同一の構成のものが配置されており、バイパス容器226,227を間に挟んで連結している2つの容器内の処理室間でウエハWをゲートを通して搬送する構成を備えている。
【0175】
本実施例と図1の実施例との差異は、本実施例がウエハWをエッチング処理する処理ユニットを備えている点であり、このエッチング処理を行う処理室での当該エッチング処理の条件である処理室内の圧力は20〜0.05Paの範囲の所定の値である。また、アッシング処理ユニット215でのアッシング処理の条件としての処理室内の圧力は80〜120Paの範囲の所定の値にされる。また、クーリングユニット216,218での冷却の条件としての処理室内の圧力は1000Paに設定される。バイパス容器226,227,243,244及び真空搬送容器209〜211並びに中間室容器212,213内部の圧力は50〜20Paの範囲の所定の値に設定される。
【0176】
本実施例において、真空搬送容器209〜211及び中間室容器212,213が前後方向に連結された搬送容器の並びの図上左側には、3つの処理ユニットがこれらの間に配置されてこれらを連結する搬送用の容器に連結された処理ユニットの並びが配置されている。各処理ユニットの真空容器は、それぞれ真空搬送容器209,210,211に連結されている。
【0177】
また、処理ユニットを構成する容器と搬送用の容器との間及び各処理ユニットの容器と真空搬送容器との間にはゲートバルブが配置されており、各容器内の処理室、搬送室を気密に封止することができる。また、アッシング処理ユニット215、クーリングユニット216は、図1の実施例と同様に同一の構成の載置台215′,216を備えている。また、バイパス容器226、バイパス容器227内部のロボットアーム228,229の上下方向の回転軸と載置台215′,216′の中心の位置は上方から見て、真空処理装置200の前後方向の向きに対して左右方向にジグザグに配置されている。
【0178】
左側の処理ユニットの並びにおいて、真空搬送容器209の左側の側壁には、真空容器の内部の処理室内でウエハWのエッチング処理を行うエッチング処理ユニット214が連結されている。このエッチング処理ユニット214の真空容器は上方から見てその平面形は円形を備えた円筒形状を有している。さらに、この真空容器はその側壁が六角形の平面形を有するバイパス容器226の辺に相当する側壁に間にゲートバルブ230を挟んで連結されて、2つの容器間はゲートにより連通されている。
【0179】
一方、真空搬送容器209〜211の並びの右側に配置された、複数の処理ユニットの並びでは、前方からエッチング処理ユニット217及びアッシング処理ユニット218、エッチング処理ユニット219がこれらの間にバイパス容器243,244を挟んで連結されて配置されている。エッチング処理ユニット217及びエッチング処理ユニット219は、エッチング処理ユニット214と同一の構成を備えており、各々が真空搬送容器209,211の右側側壁に連結されて配置されている。
【0180】
エッチング処理ユニット217とバイパス容器243との連結は、エッチング処理ユニット214とバイパス容器226との連結の構成と同様の構成を備えている。エッチング処理ユニット219とバイパス容器244との連結についても同様である。
【0181】
このような構成において、本実施例では未処理ウエハWは、エッチング処理ユニット214内に搬送されてからクーリングユニット216に搬送されて受ける冷却処理が終了するまで、真空搬送容器209〜211及び中間室容器212,213で構成される空間の内部を通過することはない。同様に、未処理ウエハWは、エッチング処理ユニットに217または219に搬送されてからアッシング処理ユニット218で灰化処理されてこれが終了するまで、真空搬送容器209〜211及び中間室容器212,213で構成される空間の内部を通過することはない。
【0182】
本実施例においても、真空搬送容器209〜211及び中間室容器212,213で構成される空間は連通されて一体の空間にされており、上記の各真空搬送容器209〜211の左右の側壁に連結された処理ユニットとの間に配置されたゲートバルブ220〜225により、これら処理ユニットとの間で気密に封止されている。この封止された空間は処理前あるいは処理後のウエハWのみが搬送されるものであって複数の処理ユニット同士の間での処理の間、複数の処理の間に一つの処理が終了後のウエハWが搬送される、通過することはない。
【0183】
つまり、上記の空間を搬送されるウエハWは、処理前またはアッシング処理後あるいは冷却処理後でウエハWの周囲に滞留して汚染を生起する粒子が低減されたウエハWが搬送される室となっている。
【0184】
なお、本実施例においても、ゲートバルブ220〜225,230〜233,239〜242は排他的に開放の動作を行う。すなわち、任意のゲートバルブが配置されたゲートにより連結された2つの容器、処理室に連通するゲートを開閉する他のゲートバルブが全て閉塞状態が維持された状態で、当該任意のゲートバルブが開放される。
【0185】
また、本実施例において、エッチング処理ユニット214内の処理室でエッチング処理された後のウエハWはエッチング処理ユニット214の処理室からアッシング処理ユニット215の処理室内部までバイパス容器226内の搬送室を通して搬送される。さらに、アッシング処理ユニット215でアッシング処理されたウエハWはアッシング処理ユニット215からクーリングユニット216までバイパス容器227を通して搬送される。
【0186】
これらの搬送の際には、1つのゲートバルブを挟んで配置された2つの容器間でその内部の室内の圧力を同一にする或いは近接した値にすることが行われてから、当該ゲートバルブを開放してウエハWが一方から他方の容器内の室へ搬送され、搬送後当該ゲートバルブの閉塞が行われる。3つ以上の容器間を搬送する場合には、順次2つの容器間で上記圧力の同等化とゲートバルブの開放が行われて搬送される。
【0187】
上記のように、異なる処理ユニットまたは容器同士の間での搬送の際に、ゲートバルブを閉じた状態で各々の容器内部の室内で圧力の調節が行われる。
【0188】
本実施例では、左側の処理ユニットの並びにおいては、アッシング処理ユニット215内の処理室とバイパス容器226内の収納空間との間、及びクーリングユニット216内の処理室とバイパス容器227内の収納空間との間の各々で排気の経路を共用して、各々の対の共通の排気経路237,238を備えている。これらの共通の排気経路237,238は、実施例1と同様にロータリーポンプ等の粗引きポンプに連結されており、また、各々の共通の排気経路237,238は、粗引きポンプと各処理ユニット或いはバイパス容器との間で分岐して各処理室、収納空間に連結されて、分岐箇所と各処理室、収納空間との間に経路の開閉を調節するバルブが配置されている。
【0189】
一方、エッチング処理ユニット214,217,219の処理室の排気経路は、各々独立して処理室と連結されて配置されており、これらはターボ分子ポンプ等の高真空度を達成できる真空ポンプに連結されている。図上は、エッチング処理ユニット219の排気経路246のみが開示されている。
【0190】
また、右側の処理ユニットの並びは2つのエッチング用の処理ユニットとアッシング用の処理ユニットが前後に並んで配置されており、2つのエッチング用の処理ユニットは各々独立した排気経路を備えていることから、アッシング処理ユニット218内の処理室とバイパス容器243,244内の収納空間とを排気する共通の排気経路245が配置されている。この排気経路245も、左側の並びと同様に、粗引きポンプに連結されており、アッシング処理ユニット218内の処理室とバイパス容器243,244内の収納空間との間でこれらに各々分岐して連結され、各分岐した経路上に経路の開閉を調節するバルブが配置されている。
【0191】
このような構成において、カセットから取り出されてロック室206に搬送されたウエハWが真空側ブロック202において真空搬送容器209内に搬入されるまでの搬送の動作の流れは、図1に示す実施例と同じである。
【0192】
真空搬送容器209内部の真空搬送室内に搬入された未処理のウエハWは、ゲートバルブ220が開放されるとエッチング処理ユニット214内に真空搬送ロボット234により搬入される。この後、ウエハWはエッチング処理が施された後バイパス容器226を通してアッシング処理ユニット215内の処理室内に搬入されてアッシング処理を施される。
【0193】
さらに、アッシング処理が終了したウエハWは、真空搬送容器内に搬出されずに、バイパス容器227を通してクーリングユニット216内の処理室に搬送されて冷却処理される。ウエハWの所定の時間の冷却が終了したことが検出されるとゲートバルブ222が開放されてウエハWがクーリングユニット216から搬出されて真空搬送容器211内に搬入された後、中間室容器213、真空搬送容器210、中間室容器212、真空搬送容器209を通りロック室206へ搬送され、大気側ブロック201において元のカセットの元の位置に戻される。
【0194】
左側の処理ユニットの並びにおいて、ウエハWがエッチング処理ユニット214内へ搬送された後クーリングユニット216での冷却が終了後、真空搬送容器211に搬入されるまでの経路と、ロック室206から真空搬送容器209内に搬入されてエッチング処理ユニット214内に搬入されるまで及び真空搬送容器211からロック室206に搬入されるまでの搬送の経路とはその経路、あるいは容器内の空間は重複または連通しない。
【0195】
上記左側の並びでのウエハWの処理では、真空搬送容器210とアッシング処理ユニット215との間のゲートバルブ221は開閉されない。アッシング処理ユニット215での処理の終了後ウエハWの温度が搬送に支障を生じない或いは大きな汚染を生じさせない程度に十分に低い場合には、アッシング処理ユニット215においてウエハWの処理が終了した後、バイパス容器227を通してクーリングユニット216まで搬送せずに、圧力の調節後にゲートバルブ221を開放して真空搬送容器210にアッシング処理後のウエハWを搬入しても良い。
【0196】
このような例は、右側の処理ユニットの並びでの処理に相当する。この場合、真空搬送容器211内の真空搬送室は、未処理のウエハWのみが搬送される。
【0197】
この場合、ゲートバルブ221が閉塞されると、アッシング処理ユニット215の処理室と真空搬送容器210の真空搬送室とは気密に封止されて区画される。アッシング処理ユニット215の処理室内は搬送に適した圧力である50〜20Paの範囲の所定の値に維持され、処理後のウエハWは気密に区画された真空搬送容器209〜211により構成される一体の空間をロック室206まで搬送される。
【0198】
右側の処理ユニットの並びでは、未処理のウエハWはロック室206から2つの経路で搬送されて処理を受けてロック室206に戻される。エッチング処理ユニット217に搬入された未処理のウエハWは、エッチング処理を施された後にバイパス容器243を通してアッシング処理ユニット218内の処理室内に搬送されてアッシング処理が施され、アッシング処理の終了後真空搬送容器210に搬入されてロック室まで戻される。
【0199】
また、ロック室206から真空側ブロック202に導入された時点でエッチング処理ユニット217がウエハWを処理中或いはゲートバルブ223が開放できない状態である場合には、中間室容器212、真空搬送容器210、中間室容器213、真空搬送容器211を通り、エッチング処理ユニット219に搬入される。エッチング処理ユニット219に搬入された未処理のウエハWは、エッチング処理を施された後にバイパス容器244を通してアッシング処理ユニット218内の処理室内に搬送されてアッシング処理が施され、アッシング処理の終了後真空搬送容器210に搬入されてロック室まで戻される。
【0200】
上記のように、右側の処理ユニットの並びでのウエハWの処理の流れにおいても、ウエハWが真空搬送容器209からエッチング処理ユニット217に導入されバイパス容器243を通して搬送されたアッシング処理ユニット215でアッシング処理を施された後アッシング処理ユニット218から真空搬送容器210に搬出されるまで、或いはウエハWが真空搬送容器209から真空搬送容器211まで搬送されてエッチング処理ユニット219に導入されバイパス容器244を通して搬送されたアッシング処理ユニット215でアッシング処理を施された後アッシング処理ユニット218から真空搬送容器210に搬出されるまでの処理の経路と、ロック室206と真空搬送容器209〜211及び中間室容器212,213から構成される空間を未処理のウエハWまたはアッシング処理ユニット218でのアッシング処理が終了したウエハWのみが搬送される搬送の経路とは重複しない。
【0201】
すなわち、真空処理装置において、ウエハに一連の処理が施される経路と一連の処理が未だ実施されていないか実施された後のウエハWが搬送される経路とは、気密に区画されている。このような構成により、ウエハWまたは経路を構成する空間、室の内部の表面の部材の汚染やクロスコンタミネーションの発生を抑制することができ、ウエハWの処理の歩留まりや装置の保守、点検の作業の時間、或いは作業の間隔を低減して、処理の全体的内効率を向上させることができる。
【0202】
処理前のウエハおよび処理後のウエハを搬送する第一の経路と処理室間をバイパス室経由で搬送する第二の経路とを重複させないことにより、処理前ウエハおよび搬送経路内へのクロスコンタミネーションの抑制、回避が可能となる。
【符号の説明】
【0203】
100 真空処理装置
101 大気側ブロック
102 真空側ブロック
103 大気搬送容器
104 カセット台
105 アライナ
106 ロック室
107,108,120,121,122,123,124,125,130,131,132,133,140,141 ゲートバルブ
109,110,111 真空搬送容器
112,113 中間室容器
114,116,117,119 アッシング処理ユニット
115,118 クーリングユニット
126,127 バイパス容器
128,129,142,143 ロボットアーム
134,135,136 真空搬送ロボット
137,138,139,144,145,146 排気経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象のウエハが収納されたカセットが載せられる複数のカセット台が前面側に配置され内部で前記ウエハが搬送される大気搬送室の容器と、この大気搬送室の後方に配置されたロック室と、このロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット同士の間に配置されこれらを連結するバイパス路を構成するものであって内部に前記ウエハを搬送するロボットを備えたバイパス室とを備えた真空処理装置であって、
前記複数の真空搬送室の容器は、前記ロック室から前記複数の処理ユニットのいずれかに向けて搬送される前記ウエハまたは前記複数の処理ユニットの何れかで処理された後に前記バイパス室を通り別の処理ユニットで処理されて前記ロック室へ向けて搬送される前記ウエハのいずれかのみが搬送される真空処理装置。
【請求項2】
処理対象のウエハが収納されたカセットが載せられる複数のカセット台が前面側に配置され内部で前記ウエハが搬送される大気搬送室の容器と、この大気搬送室の後方に配置されたロック室と、このロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット同士の間に配置されこれらを連結するバイパス路を構成するものであって内部に前記ウエハを搬送するロボットを備えたバイパス室とを備えた真空処理装置であって、
前記複数の処理ユニット及びこれらの間を連結する前記バイパス室から構成される第一の空間と前記複数の真空搬送室及びこれらを連結する前記中間室から構成される第二の空間とが気密に区画され、処理前の前記ウエハが前記ロック室から前記第二の空間に搬入されて前記複数の処理ユニットの一つに搬入された後前記第一の空間を通り前記複数の処理ユニットにおいて異なる処理が施された後、前記第二の空間に搬出されて前記ロック室に戻される真空処理装置。
【請求項3】
処理対象のウエハが収納されたカセットが載せられる複数のカセット台が前面側に配置され内部で前記ウエハが搬送される大気搬送室の容器と、この大気搬送室の後方に配置されたロック室と、このロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット同士の間に配置されこれらを連結するバイパス路を構成するものであって内部に前記ウエハを搬送するロボットを備えたバイパス室とを備えた真空処理装置の運転方法であって、
前記複数の真空搬送室の容器は、前記ロック室から前記複数の処理ユニットのいずれかに向けて搬送される前記ウエハまたは前記複数の処理ユニットの何れかで処理された後に前記バイパス室を通り別の処理ユニットで処理されて前記ロック室へ向けて搬送される前記ウエハのいずれかのみが搬送される真空処理装置の運転方法。
【請求項4】
処理対象のウエハが収納されたカセットが載せられる複数のカセット台が前面側に配置され内部で前記ウエハが搬送される大気搬送室の容器と、この大気搬送室の後方に配置されたロック室と、このロック室の後方に相互に連結され減圧された内部を前記ウエハが搬送される真空搬送室の容器の並びと、前記真空搬送室の容器の間に配置され前記ウエハが内部に載せられて収納される中間室と、前記真空搬送室の容器の各々の左右方向のいずれかの側の側壁に連結され内部で前記ウエハが処理される処理容器を含む複数の処理ユニットと、これらの処理ユニット同士の間に配置されこれらを連結するバイパス路を構成するものであって内部に前記ウエハを搬送するロボットを備えたバイパス室とを備えた真空処理装置の運転方法であって、
前記複数の処理ユニット及びこれらの間を連結する前記バイパス室から構成される第一の空間と前記複数の真空搬送室及びこれらを連結する前記中間室から構成される第二の空間とを気密に区画し、処理前の前記ウエハを前記ロック室から前記第二の空間に搬入されて前記複数の処理ユニットの一つに搬入した後前記第一の空間を通り前記複数の処理ユニットにおいて異なる処理を施した後、前記第二の空間に搬出して前記ロック室に戻す真空処理装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−115393(P2013−115393A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263193(P2011−263193)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】