説明

研磨パッドの製造方法

【課題】高温にさらされても硬度低下を抑制することができる研磨パッドの製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッドは、乾式成型されたポリウレタンシートを備えている。研磨パッドは、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、ジオール化合物に水を分散希釈させた分散液、ジアミン化合物をそれぞれ準備する準備工程、各成分を混合して混合液を調製する混合工程、混合液を注型する注型工程、芳香族ジイソシアネート化合物を主として反応させ、発泡を形成させて発泡体を形成する発泡体形成工程、発泡体をシート状にスライスするスライス工程、得られたシートを加熱し、脂肪族ジイソシアネート化合物を主として反応させる架橋硬化工程、ポリウレタンシートと両面テープとを貼り合わせるラミネート工程を経て製造される。スライスされた後、架橋硬化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨パッドの製造方法に係り、特に、被研磨物を研磨加工するためのポリウレタンシートを備えた研磨パッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、表面の平坦性が求められるため、研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。半導体デバイスでは、半導体回路の集積度が急激に増大するにつれて高密度化を目的とした微細化や多層配線化が進み、表面を一層高度に平坦化する技術が重要となっている。一方、液晶ディスプレイ用ガラス基板では、液晶ディスプレイの大型化に伴い、表面のより高度な平坦性が要求されている。
【0003】
半導体デバイスやガラス基板の表面を平坦化する方法としては、一般的に化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、CMPと略記する。)法が用いられている。CMP法では、被研磨物の表面(被研磨面)が研磨パッドの表面(研磨面)に押し付けられた状態で、被研磨面と研磨面とを相対的に摺動させることで研磨加工される。研磨加工時には、通常、研磨粒子をアルカリ溶液に分散させたスラリが供給される、いわゆる遊離砥粒方式が採用される。すなわち、スラリ中の研磨粒子による機械的作用と、アルカリ溶液による化学的作用とで研磨加工される。被研磨面に要求される平坦性の高度化に伴い、CMP法に求められる研磨精度、換言すれば、研磨パッドに要求される性能も高まっている。
【0004】
CMP法では、発泡構造を有する硬質のポリウレタンシートを備えた研磨パッドが広く使用されている。このようなポリウレタンシートの製造では、通常、イソシアネート基含有化合物を含むプレポリマと、活性水素化合物を含む硬化剤とが反応により硬化されて発泡体が成型される。得られた発泡体のスライスにより形成されたポリウレタンシートを用いて研磨パッドが製造される。発泡体のスライスにより形成されたポリウレタンシートの表面には、研磨加工時にスラリを保持することができる開孔が形成される。
【0005】
このような研磨パッドを用いた研磨加工では、大きな平坦化効率を得るために、研磨速度を上げること、および、被研磨面のうねりや凸部を効率的に除去できるようにすることの2点が重要である。前者に対しては、研磨加工時における被研磨物および研磨パッド間の相対速度の増大または研磨圧力の上昇によりクリアすることができる。一方、後者に対しては、研磨パッドの硬度を高くすることでクリアすることが可能となる。
【0006】
ところが、上述したように硬化成型された発泡体では、発泡体の硬度を高くするほどスライスに用いる治具(スライス刃)に対する負荷が大きくなる。このため、得られるポリウレタンシートでは、表面、すなわち、研磨面にスライス痕等の外観上の欠陥が生じやすく、厚みバラツキも生じるため、表面の平坦性を向上させることが難しくなる。この点に関し、硬化により高硬度の発泡体を成形した後、加熱により硬度を低下させてスライスする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、スライス時には加熱により発泡体の硬度が低下するため、容易にポリウレタンシートを形成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−169578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、発泡体を80〜130℃に加熱することで硬度がD硬度からA硬度へと大きく低下する。このため、スライスを容易にすることができるものの、研磨加工時に発生する摩擦熱により研磨パッドが経時的に軟化してしまう、という問題がある。この結果、初期の高硬度を長期間維持することができず、被研磨物の平坦化効率が徐々に低下してしまう。また、特許文献1の技術に限らず、通常の研磨パッドにおいても、平坦化効率を向上させるために研磨速度や研磨圧力を高めた高速/高負荷条件で研磨加工を行うと、発生する摩擦熱が大きくなり研磨パッド(ポリウレタンシート)の軟化を招くこととなる。
【0009】
本発明は上記事案に鑑み、高温にさらされても硬度低下を抑制することができる研磨パッドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、被研磨物を研磨加工するためのポリウレタンシートを備えた研磨パッドの製造方法であって、第1のジイソシアネート化合物と、予めジオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ジアミン化合物と、前記分散液およびジアミン化合物に対して前記第1のジイソシアネート化合物より低反応性の第2のジイソシアネート化合物とをそれぞれ準備する準備ステップと、前記ジアミン化合物および前記分散液と、前記第1および第2のジイソシアネート化合物のうちの第1のジイソシアネート化合物とを主として反応させ発泡体を形成する発泡体形成ステップと、前記発泡体をスライスして複数枚のポリウレタンシートを形成するシート形成ステップと、前記ポリウレタンシートを加熱し、前記第1および第2のジイソシアネート化合物のうちの第2のジイソシアネート化合物を主として反応させて架橋硬化させる架橋硬化ステップと、を含む。
【0011】
本発明では、発泡体形成ステップでジアミン化合物および分散液と第1のジイソシアネート化合物とを主として反応させることで発泡体が形成されるため、シート形成ステップでの発泡体のスライスにより表面の平坦性を損なうことなく複数枚のポリウレタンシートを形成することができ、架橋硬化ステップでの加熱により第2のジイソシアネート化合物を主として反応させることでポリウレタンシートが架橋硬化されるため、研磨加工時の発熱により高温にさらされても硬度低下を抑制し研磨性能を確保することができる。
【0012】
この場合において、第1のジイソシアネート化合物を芳香族ジイソシアネート化合物とし、第2のジイソシアネート化合物を脂肪族ジイソシアネート化合物とすることが好ましい。また、発泡体形成ステップにおいて、第1のジイソシアネート化合物と第2のジイソシアネート化合物とを重量比4:1〜4:3の割合で混合することができる。準備ステップで分散液中に分散希釈させる水の量を、第1および第2のジイソシアネート化合物の合計の重量1kgに対して1g〜6gの割合としてもよい。このとき、ジオール化合物をポリプロピレングリコールとすることができる。また、シート形成ステップで形成されたポリウレタンシートでは、それぞれの表面に形成された開孔の平均孔径をいずれも30μm〜200μmの範囲とすることができる。硬化ステップで硬化されたポリウレタンシートでは、いずれも温度20℃の水に一定時間浸漬したときの硬度に対する、温度70℃の水に一定時間浸漬したときの硬度の割合を80%以上とすることができる。また、発泡体形成ステップで第1のジイソシアネート化合物、第2のジイソシアネート化合物、分散液およびジアミン化合物を混合した後、発泡体を形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発泡体形成ステップでジアミン化合物および分散液と第1のジイソシアネート化合物とを主として反応させることで発泡体が形成されるため、シート形成ステップでの発泡体のスライスにより表面の平坦性を損なうことなく複数枚のポリウレタンシートを形成することができ、架橋硬化ステップでの加熱により第2のジイソシアネート化合物を主として反応させることでポリウレタンシートが架橋硬化されるため、研磨加工時の発熱により高温にさらされても硬度低下を抑制し研磨性能を確保することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施形態の研磨パッドを模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態の研磨パッドの製造方法の要部を示す工程図である。
【図3】実施形態の研磨パッドの製造に用いた混合機および型枠の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を適用した研磨パッドの実施の形態について説明する。
【0016】
(構成)
図1に示すように、研磨パッド10は、硬質発泡タイプのポリウレタンシート2を備えている。ポリウレタンシート2は、研磨加工時に被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。この研磨面Pは、研磨加工時に、被研磨物の加工面にスラリを介して当接する。ポリウレタンシート2は、乾式成型で形成された発泡体をスライスした後に架橋硬化させることで形成されている。
【0017】
ポリウレタンシート2の内部には、乾式成型時に添加された水により、断面円形状の発泡3が略均等に分散した状態で形成されている。ポリウレタンシート2が発泡体のスライスで形成されているため、研磨面Pでは発泡3の一部が開口しており、開孔4が形成されている。研磨面Pに形成された開孔4は、平均孔径が30〜200μmの範囲に調整されている。ポリウレタンシート2の厚さは、1.3〜2.5mmの範囲に設定されている。
【0018】
ポリウレタンシート2では、ショアD硬度が50度以上に調整されている。このポリウレタンシート2は、温度20℃の水に一定時間浸漬したときの硬度に対する、温度70℃の水(熱湯)に同じ一定時間浸漬したときの硬度の割合で定義される湿潤硬度保持率が80%以上に設定されている。ポリウレタンシート2の厚み精度R(厚みの最大値と最小値との差)は、50μm以下に調整されている。
【0019】
また、研磨パッド10は、ポリウレタンシート2の研磨面Pと反対の面側に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面テープ7の一面側が貼り合わされている。両面テープ7は、図示を省略した基材を有している。基材には、可撓性を有するフィルムや不織布等を使用することができるが、本例では、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムが使用されている。基材の両面には、粘着剤が塗着された粘着剤層を有している。両面テープ7は、一面側の粘着剤層でポリウレタンシート2と貼り合わされており、他面側(図1の最下面側)に剥離紙8が貼り合わされている。
【0020】
(製造)
研磨パッド10は、図2に示す各工程を経て製造される。すなわち、芳香族ジイソシアネート化合物(第1のジイソシアネート化合物)、脂肪族ジイソシアネート化合物(第2のジイソシアネート化合物)、予めジオール化合物に水を分散希釈させた分散液、および、ジアミン化合物をそれぞれ準備する準備工程(準備ステップ)、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、分散液、ジアミン化合物を混合して混合液を調製する混合工程、混合液を型枠に注型する注型工程、型枠内でジアミン化合物および分散液と芳香族ジイソシアネート化合物とを主として反応させ、発泡を形成させて発泡体を形成する発泡体形成工程(発泡体形成ステップ)、発泡体をスライスして複数枚のシートを形成するスライス工程(シート形成ステップ)、得られたシートを加熱し、脂肪族ジイソシアネート化合物を主として反応させて架橋硬化させる架橋硬化工程(架橋硬化ステップ)、ポリウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせるラミネート工程を経て研磨パッド10が製造される。以下、工程順に説明する。
【0021】
(準備工程)
準備工程では、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、予めジオール化合物に水を分散希釈させた分散液、および、ジアミン化合物をそれぞれ準備する。
【0022】
芳香族ジイソシアネート化合物としては、分子内に2つの末端イソシアネート基を有する芳香族性のウレタンプレポリマ(以下、プレポリマAと略記する。)が用いられている。プレポリマAは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じて得られる発泡体に形成される発泡3の大きさにバラツキが生じる。反対に粘度が低すぎると混合液中で気泡が移動してしまい、得られる発泡体に略均等に分散した発泡3を形成することが難しくなる。このため、プレポリマAは、温度50〜80℃における粘度を500〜4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。このことは、例えば、プレポリマAの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマAは、50〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
【0023】
プレポリマAの具体例としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート等を挙げることができる。また、これらのジイソシアネート化合物の2種以上を併用してもよい。
【0024】
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、分子内に2つの末端イソシアネート基を有する脂肪族性のウレタンプレポリマ(以下、プレポリマBと略記する。)が用いられている。プレポリマBは、プレポリマAと同様に、温度50〜80℃における粘度を500〜4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。このことは、例えば、プレポリマBの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマBは、50〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
【0025】
プレポリマBの具体例としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。また、これらのジイソシアネート化合物の2種以上を併用してもよい。
【0026】
プレポリマAでは、芳香環が電子供与性を有するため、脂肪族性のプレポリマBと比較すると、水酸基やアミノ基等の活性水素を有する官能基に対する末端イソシアネート基の反応性が高められる。換言すれば、プレポリマBは、分散液およびジアミン化合物に対してプレポリマAより低反応性である。このようなプレポリマAとプレポリマBとの配合比は、重量比で4:1〜4:3の範囲に調整することが好ましい。プレポリマAの割合が大きくなりすぎると、発泡体形成時に得られる発泡体の硬度が高くなりすぎるため、スライス工程でのスライスがしにくくなる。反対に、プレポリマAの割合が少なすぎると、発泡体の形成が不十分となり形成される発泡3の分散状態に偏りが生じるおそれがある。
【0027】
また、分散液の調製に用いられるジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のジオール化合物、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の高分子量のジオール化合物のいずれも使用することができる。プレポリマA、プレポリマBやジアミン化合物の溶液の粘度と同程度にすることで混合工程において水を均一に分散させやすくなるため、数平均分子量500〜2000のジオール化合物を用いることが好ましく、特に、数平均分子量1000〜2000のポリプロピレングリコールが分散性や得られるウレタンシートの耐熱性の面からより好ましい。本例では、数平均分子量約2000のポリプロピレングリコールを使用し、これに水を1〜6重量%の割合で分散希釈させて分散液を調製する。分散液の調製時には、一般的な攪拌装置を使用して攪拌混合すればよく、水が略均等に分散希釈されていればよい。使用する水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水を使用することが好ましい。また、分散液の量は、次工程の混合工程で混合するプレポリマAおよびプレポリマBの合計の重量1kgに対して水の量が1〜6gの割合となるように準備することが好ましい。水の量が少なすぎると得られる発泡体に形成される発泡の大きさが小さすぎることとなり、反対に多すぎると極端に大きな発泡が形成されることとなる。例えば、プレポリマAおよびプレポリマBの合計の重量を1kgとした場合、分散液を100gとすれば、この分散液に含まれる水の量は1〜6gとなる。
【0028】
ジアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のジアミン化合物を使用することができるが、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)を使用することが好ましい。MOCAは、約120℃に加熱し溶融させた状態で用いられる。
【0029】
(混合工程、注型工程、発泡体形成工程)
図2に示すように、混合工程では、準備工程で準備したプレポリマA、プレポリマB、分散液およびジアミン化合物を混合し混合液を調製する。注型工程では混合工程で調製された混合液を型枠に注型し、発泡体形成工程では型枠内でジアミン化合物および分散液とプレポリマAとを主として反応させ、発泡を形成させて発泡体を成型する。本例では、混合工程、注型工程、発泡体形成工程を連続して行う。
【0030】
図3に示すように、混合工程では混合機20で混合液が調製され、注型工程では調製された混合液が混合機20から連続して型枠25に注型され、発泡体形成工程で発泡体が成型される。混合機20は、攪拌翼14が内蔵された混合槽12を備えている。混合槽12の上流側には、第1成分としてプレポリマA、第2成分としてプレポリマB、第3成分としてジアミン化合物、第4成分として分散液をそれぞれ収容した供給槽が配置されている。各供給槽からの供給口は混合槽12の上流端部に接続されている。攪拌翼14は混合槽12内の略中央部で上流側から下流側までにわたって配置された回転軸に固定されている。回転軸の回転に伴い攪拌翼14が回転し、第1成分、第2成分、第3成分および第4成分を剪断するようにして混合する。得られた混合液は混合槽12の下流端部に配置された排出口から型枠25に注型される。型枠25の大きさは、本例では、1050mm(長さ)×1050mm(幅)×50mm(厚さ)に設定されている。
【0031】
第1成分のプレポリマA、第2成分のプレポリマB、第3成分のMOCAに代表されるジアミン化合物の多くがいずれも常温で固体または流動しにくい状態のため、それぞれの供給槽は各成分が流動可能となるように加温されている。攪拌翼14の回転により、水を分散希釈させた分散液を混合液中で略均等に分散させる。
【0032】
第1成分、第2成分、第3成分および第4成分が混合槽12に供給され、攪拌翼14の剪断速度、剪断回数を調整することで、各成分が略均等に混合され混合液が調製される。攪拌翼14の剪断速度が小さすぎると、得られる発泡体に形成される発泡3の大きさが大きくなりすぎる。反対に剪断速度が大きすぎると、攪拌翼14および混合液間の摩擦による発熱で温度が上昇し粘度が低下するため、混合液中の気泡が(成型中に)移動してしまい、得られる発泡体に形成される発泡3の分散状態にバラツキが生じやすくなる。一方、剪断回数が少なすぎると生じる気泡の大きさにムラ(バラツキ)が生じやすく、反対に多すぎると温度上昇で粘度が低下し、発泡3が略均等に形成されなくなる。このため、混合工程では、剪断速度を9,000〜41,000/秒の範囲、剪断回数を300〜10,000回の範囲に設定し、混合する。混合機20での混合時間(滞留時間)は、混合液の流量(最大1リットル/sec)にもよるが、およそ1秒程度である。すなわち、例えば、注液工程で100kg程度の型枠25に混合液を注液するのに要する時間はおよそ1〜2分程度となる。なお、剪断速度、剪断回数は次式により求めることができる。すなわち、剪断速度(/秒)=攪拌翼14の翼先端の直径(mm)×円周率×攪拌翼14の回転数(rpm)÷60÷攪拌翼14の翼先端と混合槽12の内壁とのクリアランス(mm)、剪断回数(回)=攪拌翼14の回転数(rpm)÷60×混合槽12中での混合液の滞留時間(秒)×攪拌翼14の翼の数、により求めることができる。
【0033】
注液工程で、型枠25に混合液を注液するときは、混合機20からの混合液を混合槽12の排出口から排出し、例えばフレキシブルパイプを通じて、型枠25の対向する2辺間(例えば、図3の左右間)を往復移動する断面三角状の図示しない注液口に導液する。注液口を往復移動させながら、排出口の端部(フレキシブルパイプの端部)を注液口の移動方向と交差する方向に往復移動させる。混合液は、型枠25に略均等に注液される。
【0034】
発泡体形成工程では、型枠25内で、混合液中のジアミン化合物および分散液と、プレポリマAおよびプレポリマBのうちのプレポリマAとを主として反応させ発泡体を形成させる。このとき、プレポリマAとジアミン化合物や分散液中のジオール化合物との鎖伸長反応により高分子化が進行する。また、混合液中にプレポリマBが共存しているが、プレポリマBでは分散液、ジアミン化合物に対する反応性がプレポリマAより低いため、プレポリマAの反応が優先的に進行する。プレポリマAのイソシアネート基は、ジアミン化合物のアミノ基と反応することによりウレア結合を形成し、ジオール化合物の水酸基と反応することによりウレタン結合を形成する。この高分子化の進行と同時に、プレポリマAと分散液に分散希釈された水とが反応することで、二酸化炭素が発生する。高分子化が進行しているため、発生した二酸化炭素が外部に抜け出すことなく、発泡3を形成する。発泡3は、断面形状が、円形状、楕円形状等の種々の形状で形成される。また、プレポリマAの一部が未反応で残存する可能性やプレポリマBの一部が反応する可能性もあるが、反応性の違いにより、大部分のプレポリマAが反応し、大部分のプレポリマBが残存する。
【0035】
(スライス工程)
図2に示すように、スライス工程では、発泡体形成工程で得られた発泡体をスライスして複数枚のシートを形成する。スライスには、一般的なスライス機を使用することができる。スライス時には発泡体の下層部分を保持し、上層部から順に所定厚さにスライスされる。スライスする厚さは、本例では、1.3〜2.5mmの範囲に設定されている。また、本例で用いた厚さが50mmの型枠25で成型した発泡体では、例えば、発泡体の上層部および下層部の約10mm分をキズ等の関係から使用せず、中央部の約30mm分から10〜25枚のシートが形成される。発泡体形成工程で内部に発泡3が略均等に形成された発泡体が得られるため、スライス工程で形成される複数枚のシートでは、表面に形成された開孔4の平均孔径がいずれも30〜200μmの範囲となる。また、各シートでは、開孔4の平均孔径の差が±3%の範囲内となる。開孔4の平均孔径が30μmを下回ると、研磨加工時に研磨剤が目詰まりしやすくなるため、研磨パッドの寿命低下を招きやすく、反対に200μmを上回ると、略均一な孔径の制御が難しくなる。平均孔径は、50〜180μmの範囲がより好ましく、特に、ガラス基板の研磨加工においては、100〜170μmの範囲が更に好ましい。
【0036】
(架橋硬化工程)
スライスして形成されたシートを加熱することにより、プレポリマAおよびプレポリマBのうちのプレポリマBを主として反応させ架橋硬化させる。発泡体形成工程でプレポリマAの一部が未反応で残されていても、この段階で反応することとなる。加熱は、100℃以上の温度で18時間以上処理することが好ましい。プレポリマBを完全に反応させることを考慮すれば、110〜120℃で20〜25時間処理することがより好ましい。架橋硬化により得られたポリウレタンシート2では、湿潤硬度保持率が80%以上を示す。
【0037】
ここで、プレポリマBの反応について説明する。発泡体形成工程でプレポリマAを主として反応させたことで、スライス工程で得られたシートでは、ポリウレタンポリマの主鎖にウレア結合とウレタン結合とが形成されている。プレポリマBのイソシアネート基の反応では、ウレア結合との反応によりビュレット結合が形成され、ウレタン結合との反応によりアロファネート結合が形成される。また、一部のプレポリマBが三量化するイソシアヌレート結合も形成される。従って、2官能性のプレポリマBの反応により、ポリウレタンポリマ間に架橋結合が形成され、シートが硬化されることとなる。
【0038】
(ラミネート工程)
ラミネート工程では、架橋硬化工程で架橋硬化されたポリウレタンシート2と両面テープ7とが貼り合わされる。円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い研磨パッド10を完成させる。
【0039】
被研磨物の研磨加工を行うときは、研磨機の研磨定盤に研磨パッド10を装着する。研磨定盤に研磨パッド10を装着するときは、剥離紙8を取り除き、露出した粘着剤層で研磨定盤に貼着する。被研磨物を加圧し、スラリを供給しながら研磨定盤を回転させることで、被研磨物の加工面(被研磨面)が研磨加工される。
【0040】
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド10および研磨パッド10の製造方法の作用等について説明する。
【0041】
本実施形態の製造方法では、発泡体形成工程でジアミン化合物および分散液とプレポリマAとが主として反応され、発泡体が形成されることとなる。このため、得られた発泡体では、プレポリマBの大部分が残された分で硬度上昇が抑制される。また、水による発泡形成が生じるため、高硬度化が抑制される。従って、スライス工程では、この状態の発泡体をスライスすることで、表面における平坦性を損なうことなく複数枚のシートを形成することができる。
【0042】
また、本実施形態の製造方法では、スライス工程で形成されたシートが架橋硬化工程で加熱により架橋硬化される。このとき、プレポリマBがプレポリマAにより形成されたポリウレタンポリマ主鎖のウレア結合やウレタン結合と反応することでポリウレタンポリマ分子間に架橋結合が形成される。このため、スライス後のシートが架橋硬化されるため、架橋硬化されたポリウレタンシート2では、ショアD硬度が50度以上を示す。このような高硬度のポリウレタンシート2を用いた研磨パッド10では、研磨加工時の摩擦により生じた摩擦熱で高温下にさらされても、ポリウレタンシート2の軟化が抑制されるので、被研磨物の表面(加工面)の平坦化精度を向上させることができる。従って、研磨パッド10では、半導体デバイスや大型のガラス基板等の高度な平坦化精度の要求される研磨加工に好適に使用することができる。
【0043】
更に、本実施形態の製造方法では、プレポリマAと、分散液およびジアミン化合物に対してプレポリマAより低反応性のプレポリマBとが用いられる。このため、発泡体形成工程では、プレポリマBの反応を抑制して効率よくプレポリマAを反応させることができ、スライス工程後の架橋硬化工程ではプレポリマBを主として反応させることで架橋硬化反応を生じさせることができる。これにより、繁雑な工程を要することなく、高精度の研磨加工に要求される高硬度のポリウレタンシート2を得ることができる。
【0044】
また更に、本実施形態の製造方法では、水がジオール化合物に分散希釈された状態で混合液に混合される。このため、混合液中の水の分散状態が均等化されるので、水とプレポリマAとの反応で形成される発泡3の分散状態を均等化することができる。また、分散液中に分散希釈させる水の量がプレポリマAおよびプレポリマBの合計の重量1kgに対して1g〜6gの割合に調整されている。このため、形成される発泡3の大きさが適正化され、30〜200μmの範囲の大きさに形成される。
【0045】
更にまた、本実施形態の製造方法では、プレポリマAとプレポリマBとが重量比4:1〜4:3の割合で混合されている。このため、発泡体形成時に主として反応して高分子化するプレポリマAの量と、架橋硬化時に主として反応して架橋結合を形成するプレポリマBの量とがバランスされるので、発泡体形成を確実にし、架橋硬化前の発泡体のスライスを容易にすることができるとともに、架橋結合を効率よく形成して高硬度化を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態の研磨パッド10では、研磨面Pにおける開孔4の平均孔径が30〜200μmの範囲に調整されている。このため、研磨加工時に供給されるスラリ(研磨砥粒を含む。)が開孔4を介して発泡3内に保持され、放出される。これにより、スラリが研磨パッド10および被研磨物間で略均等に分散して供給され、研磨効率を向上させることができる。
【0047】
更に、本実施形態の研磨パッド10では、ポリウレタンシート2がスライス後に架橋硬化されているため、湿潤硬度保持率が80%以上を示す。このため、研磨加工時に、スラリが供給された湿潤状態で、摩擦熱による温度上昇が生じても硬度変化を抑制することができる。これにより、安定した硬度の研磨面Pで研磨加工を継続することができるので、研磨性能の安定化を図ることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、プレポリマAとして芳香族ジイソシアネート化合物、プレポリマBとして脂肪族ジイソシアネート化合物をそれぞれ例示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、分散液およびジアミン化合物に対してプレポリマBがプレポリマAより低反応性であればよい。また、本実施形態では、ジオール化合物に水を分散希釈した分散液を調製する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分散液がジオール化合物および水以外に、例えば、硬化成型に際し必要な添加剤(フィラー)等の成分を含むようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、特に言及していないが、スラリの供給や研磨屑の排出を考慮して研磨パッド10の研磨面P側に溝加工を施すようにしてもよい。溝の形状については、放射状、格子状、螺旋状等のいずれでもよく、断面形状についても矩形状、U字状、V字状、半円状のいずれでもよい。溝のピッチ、幅、深さについては、研磨屑の排出やスラリの移動が可能であればよく、特に制限されるものではない。研磨パッドに溝加工を施した場合、例えば、研磨パッドの表面に孔径の大きな開孔が形成されていると、開孔と溝とが重なり突起状の角が形成されるため、研磨加工時に被研磨物にキズが発生することとなる。本実施形態では、研磨パッド10の開孔4は平均孔径が30〜200μmの範囲で略均一なため、溝加工を施しても被研磨物に対するキズの発生を抑制することができる。
【0050】
更に、本実施形態では、混合工程で混合機20、スライス工程でスライス機を使用する例を示したが、混合機やスライス機には特に制限はなく、通常使用される混合機、スライス機を使用することができる。また、本実施形態では、直方体状の型枠25を例示したが、本発明は型枠の形状や大きさに制限されるものではない。例えば、円柱状等の型枠を使用してもよく、混合液の粘性を考慮すれば、型枠を使用せずに発泡体を形成するようにしてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッドの実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例についても併記する。
【0052】
(実施例1)
実施例1では、第1成分のプレポリマAとして2,4−TDI(三菱樹脂株式会社製、PTMGプレポリマ)、第2成分のプレポリマBとしてイソシアヌレート化HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製)をそれぞれ用いた。第3成分のMOCAは120℃で溶解させ、減圧下で脱泡した。第4成分の分散液は、数平均分子量約2000のポリプロピレングリコールの50部に、水の2部、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)の1部、シリコン系界面活性剤(SH−193、ダウコーニング社製)の5部をそれぞれ添加し攪拌混合した後、減圧下で脱泡した。第1成分:第2成分:第3成分:第4成分を重量比で70部:30部:22.8部:5.3部の割合で混合槽12に供給した。混合工程では、攪拌条件を剪断回数1689回、剪断速度9425/秒に設定した。得られた混合液を型枠25に注型し反応させた後、形成された発泡体を型枠25から抜き出した。この発泡体を、厚さ1.3mmにスライスした後、115℃で20時間の加熱処理を施した。得られたポリウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせることで研磨パッド10を製造した。
【0053】
(比較例1、比較例2)
比較例1では、プレポリマBを用いない以外は実施例1と同様にしてポリウレタンシートを作製し、両面テープ7と貼り合わせることで研磨パッドを製造した。比較例2では、実施例1と同様にして作製した混合液を型枠25内で完全に反応硬化させた。このとき、110℃に加熱して20時間反応させた。形成された発泡体をスライスして得られたポリウレタンシートを両面テープ7と貼り合わせることで研磨パッドを製造した。
【0054】
(評価)
実施例および比較例のポリウレタンシートについて、研磨面Pにおける平均孔径および厚み精度Rを測定した。平均孔径は、マイクロスコープ(KEYENCE製、VH−6300)で約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し算出した。厚み精度Rの測定では、1000mm×1000mmの大きさに切り出したポリウレタンシートを100mm×100mmの大きさに分割し、測定サンプル数を100とした。デジタル式厚さ測定機(株式会社マイズ試験機製)を使用し、測定圧力480g/cmで、測定サンプルの4隅および中心の5点の厚みを測定し、最大値と最小値との差を厚み精度Rとして求めた。このとき、厚さ測定器では、圧子の直径(φ)10mm、面積78.5mmとした。また、湿潤(WET)硬度および硬度保持率を測定した。湿潤硬度は、ポリウレタンシートを温度20℃の水に30分間浸漬した後、硬度として、日本工業規格(JIS K 7311)に準じてショアD硬度を測定した。同じポリウレタンシートを温度70℃の熱湯に30分間浸漬した後、ショアD硬度を同様に測定し、20℃のときの硬度に対する70℃のときの硬度の割合を百分率で求めた。また、スライス工程でのスライスのしやすさをスライス性として評価した。評価は、○:厚み精度Rが50μm以下の均一なスライスができるもの、×:厚み精度Rが50μmを超え均一なスライスができないもの、の2段階とした。平均孔径および厚み精度Rの測定結果を下表1に示し、湿潤硬度、硬度保持率およびスライス性の評価結果を下表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、プレポリマAが反応するときに発泡が形成される実施例1、比較例1のポリウレタンシートでは、平均孔径がそれぞれ70μm、82μmを示した。これに対して、プレポリマA、プレポリマBの両者が反応するときに発泡が形成される比較例2では、平均孔径が52μmと小さくなった。これは、プレポリマA、Bの反応による架橋硬化が比較的速く進行するため、発泡が小さく形成されたことが考えられる。また、厚み精度Rの測定結果では、実施例1、比較例1と比べて、比較例2の数値が大きくなっている。これは、プレポリマA、Bがともに反応することで硬度が上昇したため、スライスによるシート作製がし難くなり、厚み精度を低下させたことが考えられる。
【0057】
【表2】

【0058】
表2に示すように、プレポリマAのみを用いた比較例1では、湿潤硬度が温度70℃で大きく低下しており、硬度保持率が50%であった。これに対して、実施例1では、硬度保持率が80%以上である91%を示している。このことから、実施例1のポリウレタンシート2を用いた研磨パッド10では、研磨加工中に生じる硬度変化が抑制されるため、研磨性能のバラツキを抑制することが期待できる。比較例2についても、実施例1と同様に硬度保持率は80%以上を維持することができた。ところが、比較例2では、発泡体の段階で硬度が高くなるため、スライス工程でのスライスが難しくなり、厚み精度を損なう結果となった。
【0059】
以上の結果から、プレポリマAを主として反応させることで得られた発泡体をシート状にスライスした後、プレポリマBを主として反応させることで架橋硬化させたポリウレタンシート2では、発泡体がプレポリマBの反応前にスライスされるため、厚み精度Rを50μm以下に抑えることができ、スライス後に架橋硬化されるため、高温下でも高硬度を保持することができる研磨パッド10を得ることができることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は高温にさらされても硬度低下を抑制することができる研磨パッドの製造方法を提供するため、研磨パッドの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0061】
2 ポリウレタンシート
3 発泡
4 開孔
10 研磨パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物を研磨加工するためのポリウレタンシートを備えた研磨パッドの製造方法であって、
第1のジイソシアネート化合物と、予めジオール化合物に水を分散希釈させた分散液と、ジアミン化合物と、前記分散液およびジアミン化合物に対して前記第1のジイソシアネート化合物より低反応性の第2のジイソシアネート化合物とをそれぞれ準備する準備ステップと、
前記ジアミン化合物および前記分散液と、前記第1および第2のジイソシアネート化合物のうちの第1のジイソシアネート化合物とを主として反応させ発泡体を形成する発泡体形成ステップと、
前記発泡体をスライスして複数枚のポリウレタンシートを形成するシート形成ステップと、
前記ポリウレタンシートを加熱し、前記第1および第2のジイソシアネート化合物のうちの第2のジイソシアネート化合物を主として反応させて架橋硬化させる架橋硬化ステップと、
を含む製造方法。
【請求項2】
前記第1のジイソシアネート化合物は芳香族ジイソシアネート化合物であり、前記第2のジイソシアネート化合物は脂肪族ジイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記発泡体形成ステップで、前記第1のジイソシアネート化合物と第2のジイソシアネート化合物とを重量比4:1〜4:3の割合で混合することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記準備ステップで前記分散液中に分散希釈させる水の量は、前記第1および第2のジイソシアネート化合物の合計の重量1kgに対して1g〜6gの割合であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ジオール化合物は、ポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記シート形成ステップで形成されたポリウレタンシートは、それぞれの表面に形成された開孔の平均孔径がいずれも30μm〜200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記架橋硬化ステップで架橋硬化されたポリウレタンシートは、いずれも温度20℃の水に一定時間浸漬したときの硬度に対する、温度70℃の水に前記一定時間浸漬したときの硬度の割合が80%以上であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記発泡体形成ステップで前記第1のジイソシアネート化合物、第2のジイソシアネート化合物、分散液およびジアミン化合物を混合した後、前記発泡体を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−51045(P2011−51045A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200640(P2009−200640)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005359)富士紡ホールディングス株式会社 (180)
【Fターム(参考)】