移植機
【課題】整地作業機の高さ調節に関し、オペレータの操作負担を軽減すると共に、整地作業機の高さを適正化して整地作業精度を向上させる。
【解決手段】走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21とを備える乗用田植機において、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節する。
【解決手段】走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21とを備える乗用田植機において、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
植付作業機の前方で圃場面を整地する整地作業機を備えた移植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような移植機では、植付けと同時に整地ができるので、植付精度や作業効率の向上を図ることができ、特に、機体旋回によって圃場面が荒れやすい枕地では、整地作業機による整地効果が顕著であり、植付精度を大幅に改善することができる。
【0003】
また、特許文献1に示される移植機は、整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段とを備えており、オペレータは、整地作業機の高さを任意に調節することが可能である。
【特許文献1】特開2007−267614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、オペレータが状況を見て整地作業機の高さを手動調節していたため、オペレータの操作負担が増大するという問題があった。また、オペレータが整地作業機の高さ調節を怠った場合には、整地が適正に行われなかったり、水押し現象によって既植え苗が倒れるなどの不都合が発生する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行機体に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機と、植付作業機の前部に昇降自在に連結され、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機と、整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段とを備える移植機において、前記整地作業機高さ制御手段は、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することを特徴とする。このようにすると、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作を行うことにより、整地作業機の高さが所定方向に微調節されるので、オペレータが状況を見て整地作業機の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
また、前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地設定操作具であり、該枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置の制御状態も変更されることを特徴とする。このようにすると、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置(油圧昇降制御装置、マーカ振り出し制御装置など)の制御状態も変更されるので、整地作業機及び植付作業機に係る制御装置の制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
また、前記整地作業機高さ制御手段は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を所定量だけ微上げ制御することを特徴とする。このようにすると、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を微上げ制御することにより、高速植付時における整地作業機の水押し現象を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は乗用田植機(移植機)の走行機体であって、該走行機体1は、前輪2及び後輪3により支持されており、前輪前方部分のボンネット4内には、エンジン(図示せず)が搭載されると共に、走行機体1の前後方向の中間部には、座席シート5を有する運転部6が構成されている。この運転部6には、ステアリングホイール7等の操作具が配設されており、また、運転部6の床面上には、メインクラッチと走行用ブレーキを操作するペダル8が突出している。
【0007】
ここで、まず、乗用田植機の各部概略について、図1〜図9を参照して説明する。
【0008】
図1に示すように、走行機体1の後部には、アッパリンク9aとロアリンク9bを有する昇降リンク機構9を介して植付作業機10が昇降自在に連結されている。植付作業機10には、複数の植付爪11、フロート12、苗載せ台13、植付伝動ケース14などが備えられている。フロート12は、その中間部が、植付伝動ケース14の下部に設けられた支軸15を中心として回動可能に支持され、また、前端部が、感知プレート16に連結されている。
【0009】
植付作業機10の前方には、圃場面を整地する整地作業機17が配設されている。整地作業機17は、植付作業機10に対して昇降自在に連結されており、植付作業時には、整地作業機17の高さを作業高さに保持することにより、植付作業機10の前方で圃場面の整地が行われる。
【0010】
植付作業機10の左右両端部には、マーカ18(R,L)が取付けられている。この左右マーカ18は、植付作業機10の昇降に伴い、植付作業機10の外側方に振り出される作業位置と、植付作業機10の左右端部に収納される非作業位置とに自動的かつ交互に切換え可能となっており、作業位置にあっては、次行程の走行基準線となる細溝を圃場面に引くことが可能になる。
【0011】
昇降リンク機構9には、油圧シリンダ19が連結されている。この油圧シリンダ19は、後述する作業機操作レバー20の操作に応じて、制御部21が油圧コントロールバルブ22を制御することにより伸縮され、それに伴って植付作業機10が昇降される。なお、植付作業機10の昇降高さは、リフタ角ポテンショメータ23により検出される。
【0012】
座席シート7の下方には、油圧コントロールバルブ22と共に作動体24が配置され、この作動体24によって油圧コントロールバルブ22が操作される。作動体24は、油圧コントロールバルブ22の近傍に配置されたリフタカムモータ25と、リフタカムモータ25のモータ軸と一体的に回転する小ギヤ26と、該小ギヤ26に噛合するリフタカム27とを有している。リフタカム27の支点軸には、該支点軸の回転角を検出するリフタカムポテンショメータ28が取り付けられている。
【0013】
油圧コントロールバルブ22は、操作軸に設けられるバルブ操作板29を上昇、固定、下降(自動)、植付けの4位置に状態変化させることで操作される。そして、リフト機能である上記上昇により、植付作業機10を上昇させ、該植付作業機10が最上昇位置に達した際には、自動的に固定の状態となる。該固定状態では、油圧シリンダ19への作動油の流入が止まるため、植付作業機10は一定の高さで保持されることとなる。また、リフト機能である上記下降、又は植付けにより、植付作業機10を下降させ、フロート12が田面に接地した際には、自動制御に設定される。該自動制御においては、バルブ操作板29が、フロート12に連結されるリンクによって直接的に動かされることから、圃場面の凹凸をフロート12によって感知し、植付作業機10を自動的に上下動させるものとなっている。尚、油圧コントロールバルブ22とフロート12と感知プレート16とにより、油圧昇降制御装置30が構成される。
【0014】
一方、運転部6におけるステアリングホイール7の下部には、スイッチボックス31が設けられ、該スイッチボックス31には、上下及び前後方向に操作可能な作業機操作レバー20が設けられている。また、ステアリングホイール7やスイッチボックス31を囲むように配設されたフロントパネル32の手前側には、枕地スイッチ33(枕地設定操作具)が配設されると共に、マーカ自動スイッチ34、作業スイッチ35、油圧感度調節ダイヤル36及び警報停止スイッチ37が配設されている。また、フロントパネル32のパネル面には、植付モニタ38、水平自動モニタ39、対地作業機モニタ40等の各種モニタが配設されている。
【0015】
次に、植付作業機10の昇降制御について、図4を参照して説明する。
【0016】
作業機操作レバー20が操作された際、その操作内容はスイッチボックス31内に配置された切換スイッチ(図示せず)によって判別されると共に、該切換スイッチからの信号が制御部21へと送られる。制御部21は、上記切換スイッチからの信号に応じてリフタカムモータ25を駆動制御する。その結果、リフタカム27が回動して油圧コントロールバルブ22が切り換えられると共に、該バルブ切り換えに応じて油圧シリンダ19が伸縮し、植付作業機10が昇降制御される。
【0017】
そして、作業機操作レバー20は、フロントパネル32の作業スイッチ35と連係しており、作業スイッチ35がオン状態の際には、該作業機操作レバー20によって「植付クラッチの入切」、「植付作業機10の昇降」、「マーカ18の操作」を行うことができる。尚、作業スイッチ35がオフ状態の際には、作業機操作レバー20によって「植付作業機10の昇降」のみ行うことができる。
【0018】
ここで、作業スイッチ35が上記したオン・オフの各状態の場合における作業機操作レバー20の具体的な操作について説明する。
【0019】
作業スイッチ35がオン状態の際には、作業機操作レバー20は、中央の基準位置にある状態から、上下前後方向にそれぞれ操作自在となる。上下方向の操作は、植付作業機10の制御に関するもので、前後方向の操作は、マーカ18に関するものである。
【0020】
例えば、植付作業機10が接地して植付クラッチが入っている状態から作業機操作レバー20が、上方向に1回操作されると「植付クラッチ切」となり、再度上方に操作されると「植付クラッチ切」の状態から更に「植付作業機上昇」となる。逆に、植付作業機10が上昇して停止している状態から下方向に1回操作されると「植付作業機下降」となり、再度下方に操作されると「植付作業機下降」の状態から更に「植付クラッチ入」となる。尚、上記「植付作業機上昇」中に停止させたい場合には下方向に1回の操作を行い、上記「植付作業機下降」中に停止させたい場合には上方向に1回の操作を行う。
【0021】
また、上記「植付作業機上昇」にて植付作業機10が最上位置にあり、かつフロントパネル32におけるマーカ自動スイッチ34がオン状態にある際には、作業機操作レバー20が、前方向に操作されると「マーカ左のセット」となり、後方向に操作されると、「マーカ右のセット」となる。また、「マーカ左のセット」又は「マーカ右のセット」がされた状態にあって、上記「植付作業機下降」により植付作業機10を降下操作した後、例えば7秒以内に、当該マーカセットと反対側へ作業機操作レバー20を操作すると、マーカ18が左右側にセットされる「マーカ両落ち」となる。更に、エンジン始動後にマーカ自動スイッチ34をオフ状態とすると、マーカ18がセットされない「マーカOFF」の状態となる。
【0022】
そして、作業スイッチ35がオフ状態の際には、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から、上下の各方向に操作することによって植付作業機10の昇降操作のみが可能となる。
【0023】
作業機操作レバー20が、上方向に1回の操作がなされると「植付作業機上昇」となり、逆に、下方向に1回の操作がなされると「植付作業機下降」となる。尚、「植付作業機上昇」を途中で停止させたい場合には下方向に1回の操作を行い、「植付作業機下降」を途中で停止させたい場合には上方向に1回の操作を行う。また、作業スイッチ35がオフ状態の際には、マーカ18に関する操作をすることはできない。
【0024】
尚、本実施形態の乗用田植機は、不図示の主変速レバーを後進に入れた際には、後進シフト検出スイッチ41がオン状態とされ、リフタカム27をリフタカムモータ25で回動させて植付クラッチを切り、植付作業機10を所定高さまで上昇させる機能を有している。
【0025】
次に、植付作業機10における油圧自動感知について説明する。
【0026】
油圧自動感知に係る機構は、田面の「軟硬」によって浮き沈みするフロート12の動きを油圧コントロールバルブ22に伝え、植付作業機10を適正な位置に保つ一種の自動制御装置である。この自動制御装置は、エンジン回転、作業速度、機体姿勢の変化に応じて油圧感度を変更制御し、自動的に圃場にあった油圧感度にて植付を行わせるものである。
【0027】
上記エンジン回転による制御を行う場合には、パルスユニットであるエンジン回転パルス42(エンジン回転センサ)でエンジン回転をダイレクトに検出し、制御部21の演算処理によって感知ワイヤ43を進退させてフロート12の基本の姿勢を補正する。これにより、エンジンの回転変動に油圧感知が追従し、高速で良好な植付が可能となる。しかし、エンジンドロップした場合には油圧ポンプも低回転となり、油圧シリンダ19に送られる油量が低下し、植付深さが深くなる傾向が見受けられる。従って、エンジン回転をダイレクトに検出し、感知ワイヤ43の進退によってフロート12の基本の姿勢を変更して油圧感度を敏感に補正することによって植付深さを所定深さに保つようにするものである。
【0028】
また、上記作業速度による制御について詳述すると、植付速度が高速になると、水の抵抗が増し、田面でなく水面を感知して植付深さが浅くなることがあるため、不図示の主変速レバーを増速側に操作した際、該主変速レバーと油圧コントロールバルブ22のリンク部とをつないだHST連動ワイヤ44を引くことによって、フロート12の感知荷重を重くし、油圧感度を鈍感側に補正する。これにより、フロート12の浮き上がりを防止し、植付深さを所定深さに保つことが可能になる。
【0029】
また、上記機体姿勢による制御を行う場合には、機体センサで走行機体1の前後方向の傾きを検出し、制御部21の演算処理によって感知ワイヤ43を進退させる。これにより、走行機体1の前後姿勢の変化による植付深さのばらつきを防止することができる。例えば、走行機体1がヘッドアップすると、機体と相対的にフロート12の前部が下がることとなり、油圧コントロールバルブ22が下げ側に操作され、フロート12が沈み気味になって泥を押すことがあり、植付深さが深くなる状況が生じる。このような走行機体1の前後姿勢の変化を検出し、走行機体1に対するフロート12の姿勢を補正して植付深さを所定深さに保つようにする。
【0030】
ところで、上記した油圧自動感度は、圃場の条件(田面の柔らかさ)によって不足したり過剰となったりすることがあり、そのような場合にはフロート12が沈下したり浮いたりする状況が生じ得る。このような際には、油圧感度調節ダイヤル45によってフロート12の基準姿勢を補正する。油圧感度調節ダイヤル45は、標準感度となる基準位置から操作を開始し、やわらかい圃場、又は硬い圃場に適応する位置まで該ダイヤル45を回転させることで、フロート12の基準姿勢を調節する。
【0031】
そして、やわらかい圃場にあっては、フロート12の前部が沈みがちとなり、フロート12の前部側が土圧を受け易いため、感知プレート16から続く油圧リンクを介して油圧コントロールバルブ22が上昇する方向に作用する。また、硬い圃場にあっては、フロート12の前部が浮き上がり気味となり、フロート12の後部側が土圧を受け易いため、油圧コントロールバルブ22が下降する方向に作用する。
【0032】
次に、整地作業機17について、図6を参照して説明する。
【0033】
整地作業機17は、田面に接地して整地するかご型の整地ロータ46と、該整地ロータ46に後輪動力で伝動する動力伝動軸47と、整地ロータ46を植付作業機10の前部に対して昇降自在に連結させる平行リンク機構48と、平行リンク機構48を構成する上側アーム49の支軸50に一体的に設けられる扇形ギヤ51と、該扇形ギヤ51と噛み合う小ギヤ(図示せず)を有し、該小ギヤの駆動により平行リンク機構48を介して整地ロータ46を昇降させるロータ昇降モータ52(アクチュエータ)と、整地ロータ46の高さを検出するロータ高さ検出ポテンショメータ53とを有している。
【0034】
運転部6には、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54(整地作業機高さ操作具)が設けられている。このロータ高さ設定ダイヤル54を操作すると、制御部21(整地作業機高さ制御手段)がロータ昇降モータ52を駆動制御し、整地ロータ46をロータ高さ設定ダイヤル54の設定高さまで昇降させる。これにより、オペレータは、作業状況に応じて整地ロータ46の高さを任意に調節することが可能になる。
【0035】
次に、マーカ18の自動制御について、図7及び図8を参照して説明する。
【0036】
マーカ18は、植付作業機10から左右それぞれの側方に突出して上下に回動するマーカアーム55と、該マーカアーム55の先端に設けられる回転体マーカ56とを備えて構成されている。そして、マーカアーム55には、マーカモータ57とロータリスイッチ58とが連繋されており、その駆動に基づいてマーカ18の姿勢が制御される。
【0037】
マーカ18の自動制御は、作業スイッチ35がオン状態で、かつマーカ自動スイッチ34がオン状態の際に、植付作業機10が最上位置に上昇制御されると開始される。マーカ18の自動制御が作動すると、植付作業中は植付作業機10の上下動作ごとに左右交互に振り出しが行われる。尚、作業スイッチ35がオフ状態の際には、マーカ18の振り出しは行われない。
【0038】
ここで、作業スイッチ35及びマーカ自動スイッチ34がともにオン状態の場合におけるマーカ18の振り出しに係る作業機操作レバー20の具体的な操作について説明する。
【0039】
すなわち、作業スイッチ35及びマーカ自動スイッチ34がともにオン状態の際、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から手前側に操作すると右側のマーカ18がセットされる。逆に、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から前方側に操作すると左側のマーカ18がセットされる。
【0040】
また、植付作業機10が最上位置に位置しているとき、マーカ自動スイッチ34が押下されると、ランプが消灯してマーカ18の自動制御を停止させることができる(マーカ切替)。この設定は、マーカ自動スイッチ34を再び押下するか、作業機操作レバー20を手前又は前方に操作することにより元の自動制御状態に戻すことができる。
【0041】
また、植付作業機10を下降させ、その時点で振り出されているマーカ18と反対方向に作業機操作レバー20を操作すると、該反対方向のマーカ18も振り出され、両落ちの状態にすることができる(マーカ両落ち)。
【0042】
次に、本実施形態における制御系を図9に沿って説明する。
【0043】
制御部21には、植付作業機10の制御に係る信号、マーカ18の制御に係る信号、枕地制御や油圧自動感知の制御に係る信号、整地作業機17の制御に係る信号が入力される。
【0044】
植付作業機10の制御にあっては、作業機操作レバー20、作業スイッチ35、後進シフト検出スイッチ41、リフタカムポテンショメータ28、及びリフタ角ポテンショメータ23からそれぞれ信号が入力される。また、マーカ18の制御にあっては、マーカ自動スイッチ34、作業機操作レバー20、及びマーカスイッチ58からそれぞれ信号が入力される。また、枕地制御や油圧自動感知の制御にあっては、警報停止スイッチ37、枕地スイッチ33、油圧感度調節ダイヤル36、エンジン回転パルス42、ピッチングセンサ59、感知ワイヤポテンショメータ60、及び車速センサ61からそれぞれ信号が入力される。また、整地作業機17の制御にあっては、ロータ高さ検出ポテンショメータ53、及びロータ高さ設定ダイヤル54からそれぞれ信号が入力される。
【0045】
また、制御部21からは、植付作業機10の制御に係る信号、マーカ18の制御に係る信号、枕地制御及び油圧自動感知の制御に係る信号、整地作業機17に係る信号が出力される。
【0046】
植付作業機10の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、制御部21を介して、植付モニタ38、水平自動モニタ39、警報ブザー62、及びリフタカムモータ25が制御される。また、マーカ18の制御にあっては、マーカ自動モニタ63、マーカモニタ64、及びマーカモータ57が制御される。また、枕地制御及び油圧自動感知の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、制御部21を介して感知ワイヤモータ65が制御される。また、整地作業機17の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、ロータ昇降モータ52が制御される。
【0047】
次に、制御部21が行う枕地制御設定について、図10及び図14を参照して説明する。
【0048】
図14は、圃場内における乗用田植機の走行例を示す説明図である。この図に示すような矩形の圃場100にて、乗用田植機における植付作業を行う場合は、例えば、乗用田植機は矢印INに示すように圃場100へと進入し、そのまま圃場100内に示されたコース線に沿って所謂一筆書きのようにして作業を進め、終了後には矢印OUTから退場する。
【0049】
この圃場100内に示されたコースのうち、左右幅方向に示された実線101は、このような矩形の圃場における植付走行位置を示しており、1点鎖線102で示した部分は、次の植付行程に移動するための移動走行位置(機体旋回位置など)を示すものである。
【0050】
上記した左右幅方向の実線101で示した主な植付走行軌跡にあっては、オペレータが、植付作業機10を下降させると共に、マーカ18を適宜に振り出させて走行基準線を引きつつ植付作業を行う。その際、フロート12による油圧自動感知を行わせる。
【0051】
また、1点鎖線102で示した移動走行位置、例えば、畦際の機体旋回位置(枕地)にあっては、オペレータが、植付作業を停止させるとともに植付作業機10を上昇させて乗用田植機を旋回させる。このとき、植付作業機10を上昇させた際には、整地作業機17が植付作業機10と共に上昇し、マーカ18は非作業位置に格納される。
【0052】
一方、圃場100には、その左右端部の範囲Mに示すような枕地という領域が畦際に生じる。この枕地には、機体旋回時の車輪跡が大きく残り、圃場100内方の植付位置に比して田面が荒れた状態となり易いため、制御部21は、枕地スイッチ33などの操作状態にもとづいて枕地であるか否かを判断し、植付作業機10に係る制御状態や整地作業機17に係る制御状態を変更するようになっている。以下、制御部21が行う枕地制御設定の具体的な制御処理手順について説明する。
【0053】
図10に示す枕地制御設定では、まず、作業スイッチ35のON/OFFを判断し(S101)、該判断結果がOFFである場合は、そのまま上位ルーチンへ戻る。一方、作業スイッチ35がONである場合は、植付作業機10の高さが最上昇位置にあるか否かを判定する(S102)。ここで、植付作業機10が最上昇位置にある場合は、そのまま上位ルーチンに戻るが、植付作業機10が最上昇位置より低い位置にある場合は、枕地スイッチ33が操作されたか否かを判断する(S103)。この判断結果が操作無しである場合には、そのまま上位ルーチンに戻るが、枕地スイッチ33が操作有りの場合には、さらに枕地スイッチ33が長押しされたか否かを判定する(S104)。
【0054】
枕地スイッチ33の操作が長押しでない場合は、枕地モードがOFF状態であるか否かを判断し(S105)、該判断結果がOFF以外である場合は、枕地モードをOFF状態にセットして上位ルーチンへ戻る(S106)。一方、枕地モードがOFF状態である場合は、枕地モードをON状態にセットすると共に(S107)、枕地制御設定値を初期化して上位ルーチンへ戻る(S108)。
【0055】
また、枕地スイッチ33が長押しされた場合は、マーカ自動スイッチ34が操作されたか否かを判断する(S109)。ここで、マーカ自動スイッチ34が操作有りと判断した場合は、続いて枕地モードにおいてマーカの切替有が設定されているか切替無が設定されているかを判断する(S110)。そして、枕地モードに切替有が設定されている場合には切替無に設定し(S111)、切替無が設定されている場合には切替有に設定する(S112)。つまり、枕地モードにおけるマーカ18の制御状態を、枕地での植付作業中に、マーカ18の振り出しに係る自動制御を継続して、植付作業機10の昇降に伴ってマーカの振り出し方向を左右交互に切替える「切替有」の設定と、上記マーカ18の振り出しに係る自動制御を停止して、植付作業機10の昇降に伴って次回の振り出し方向を切替えない「切替無」の状態とに任意に設定することが可能となる。
【0056】
また、制御部21は、マーカ自動スイッチ34の操作の有無にかかわらず油圧感度調節ダイヤル36が操作有りであるか否かを判断する(S113)。ここで、油圧感度調節ダイヤル36が操作無しである場合には、上位ルーチンへ戻るが、操作有りの場合には、枕地制御設定値に「油圧感度ダイヤル位置×α」をセットして上位ルーチンに戻る(S114)。
【0057】
次に、制御部21が行う油圧感知制御(油圧感知目標値設定を含む)について、図11(a)、(b)を参照して説明する。
【0058】
図11(a)に示す油圧感知制御では、まず油圧感知目標値の設定を行う(S201)。油圧感知目標値の設定は、図11(b)に示すように、エンジン回転数パルス42からのエンジン回転数Epと、ピッチングセンサ59からのピッチングセンサ値Psと、油圧感度調節ダイヤル36からの油圧感度調節ダイヤル値Ydと、枕地制御設定値Mとをそれぞれ取得する(ステップS211)。
【0059】
次に、枕地制御フラグのON/OFFを判断し(S212)、該判断結果がONである場合には、油圧感知目標値を「Yd+Ps×α+Ep×β+M」に設定し(S213)、枕地制御フラグがOFFである場合には、油圧感知目標値を「Yd+Ps×α+Ep×β」に設定する(S214)。
【0060】
また、油圧感知目標値を設定した後は、リフタカム27の位置が上げ状態であるか否かを判断する(S215)。ここで、リフタカム27の位置が上げ状態である場合には、感知規制タイマに所定値をセットする(S216)。次に、感知規制タイマの値が0であるか否かを判断し(S217)、該判断結果が0以外であった場合には、感知規制位置を油圧感知目標値に設定し(S218)、感知規制タイマの値が0以外であった場合には、当該処理を終了し、上位ルーチンへ戻る。
【0061】
図11(b)に示した処理にて油圧感知目標値が設定されたら、感知ワイヤポテンショメータ60の値から油圧感知目標値を減算し、その絶対値をとることで偏差を求める(S202)。次に、その偏差が不感帯外か不感帯内であるかを判断する(S203)。偏差が不感帯内である場合には、感知ワイヤ43の長さを変える感知ワイヤモータ65の動作を停止して処理を終了する(S204)。
【0062】
一方、偏差が不感帯外である場合には、感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値以下であるか否かを判断する(S205)。感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値以下である場合には、感知ワイヤモータ65を油圧感知感度が鈍くなる方向に作動させ(S206)、処理を終了する。また、感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値を超える場合には、感知ワイヤモータ65を油圧感知感度が鋭くなる方向に作動させ(S207)、処理を終了する。
【0063】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。
【0064】
本発明の実施形態に係る乗用田植機は、走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52(アクチュエータ)と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54(整地作業機高さ操作具)と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21(整地作業機高さ制御手段)とを備える。ここで、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節するように構成される。つまり、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作を行うことにより、整地作業機17の高さが所定方向に微調節されるので、オペレータが状況を見て整地作業機17の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機17の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
【0065】
前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地スイッチ33(枕地設定操作具)とし、該枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御装置の制御状態も変更されることが好ましい。このようにすると、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機17の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御(油圧昇降制御、マーカ振り出し制御など)の制御状態も変更されるので、整地作業機17及び植付作業機10に係る制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
【0066】
また、制御部21は、枕地スイッチ33が枕地以外に設定されている場合、整地作業機17をロータ高さ設定ダイヤル54の設定高さよりも所定量だけ微上げ制御し、また、微上げ状態において走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合、整地作業機17を更に所定量だけ微上げ制御することが好ましい。このようにすると、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを微上げ制御することにより、通常植付時における水押し現象を抑えることができ、また、微上げ状態において走行速度が所定速度以上になった場合、整地作業機17を更に微上げ制御することにより、高速植付時における水押し量の増加を抑えることができる。
【0067】
次に、本発明の特徴的な構成について、図12及び図13を参照して具体的に説明する。
【0068】
図12は、制御部21が行うロータ高さ制御のフローチャートであって、該制御では、まず、植付作業機10の高さが所定高さ以上であるか否かを判断し(S301)、該判断結果がNOである場合は、ロータ高さ変数に格納高さをセットし(S302)、整地作業機17を格納高さまで上昇させる。
【0069】
一方、植付作業機10の高さが所定高さ以上でない場合は、車速センサ61の検出値を走行速度Vにセットすると共に、ロータ高さ設定ダイヤル54の設定値をロータ操作具位置A1にセットし、さらに、予め決められた値をロータ高さ補正値M1、M2にセットする(S303)。
【0070】
次に、ロータ操作具位置A1を判断し(S304)、これが格納位置である場合、ステップS302を実行して、整地作業機17を格納高さまで上昇させる。一方、ロータ操作具位置A1が格納位置以外である場合は、枕地スイッチ33の操作にもとづいて切り換えられる枕地モードのON/OFFを判断する(S305)。ここで、枕地モードがONである場合は、ロータ高さ変数に枕地用高さとしてA1をセットし(S306)、整地作業機17の高さを枕地用高さに制御する。
【0071】
一方、枕地モードがOFFである場合は、走行速度Vが所定速度以上であるか否かを判断し(S307)、該判断結果がNOである場合は、ロータ高さ変数に通常植付用高さA2として(A1+M1)をセットし(S308)、整地作業機17の高さを微上げ制御する。また、走行速度Vが所定速度以上である場合は、ロータ高さ変数に高速植付用高さA3として(A1+M1+M2)をセットし(S309)、整地作業機17の高さを更に微上げ制御する。
【0072】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21とを備える乗用田植機において、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節するので、オペレータが状況を見て整地作業機17の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機17の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
【0073】
また、前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地スイッチ33であり、該枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御装置の制御状態も変更されるので、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機17の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御(油圧昇降制御、マーカ振り出し制御など)の制御状態も変更されるので、整地作業機17及び植付作業機10に係る制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
【0074】
また、制御部21は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機17を所定量だけ微上げ制御するので、高速植付時における整地作業機17の水押し現象を抑制することができる。
【0075】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、特許請求の範囲を逸脱しない限り、任意の変更を加えることができる。例えば、前記実施形態では、所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節するにあたり、所定の操作具を枕地スイッチとしているが、別途に専用スイッチを設け、該専用スイッチの操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節するようにしてもよい。具体的には、図12に示すステップS305において専用スイッチのON/OFFを判断し、整地作業機の微上げ制御や微下げ制御を行うようにする。このようにすると、枕地であるか否かとは無関係に、圃場条件(水量等)に応じて微上げ制御や微下げ制御の有無を選択できるという利点がある。特に、走行速度に応じて整地作業機の高さを比例的に微昇降する複雑な制御を行うことなく、走行速度が所定速度を超えた場合に整地作業機の高さを所定量だけ微上げ制御する簡略構成のものでは、整地作業機の高さをより最適化させる上で、専用スイッチによる微上げ制御や微下げ制御が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】乗用田植機の側面図である。
【図2】フロントパネル、ステアリングホイール及び作業機操作レバーの概略斜視図である。
【図3】フロントパネルの概略正面図である。
【図4】リフタカム及びその周辺を示す側面図である。
【図5】フロート及び感知プレート周辺を示す側面図である。
【図6】整地作業機及びその周辺を示す側面図である。
【図7】マーカ及びその周辺を示す平面図である。
【図8】(A)及び(B)は、マーカスイッチ及びその周辺を示す側面図である。
【図9】制御部の入出力を示すブロック図である。
【図10】枕地制御設定を示すフローチャートである。
【図11】(A)は油圧感知制御を示すフローチャート、(B)は油圧感知目標値設定を示すフローチャートである。
【図12】ロータ高さ制御を示すフローチャートである。
【図13】ロータ高さ制御の作用説明図である。
【図14】圃場内における乗用田植機の走行例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0077】
1 走行機体
10 植付作業機
17 整地作業機
21 制御部
33 枕地スイッチ
46 整地ロータ
48 平行リンク機構
51 扇形ギヤ
52 ロータ昇降モータ
54 ロータ高さ設定ダイヤル
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
植付作業機の前方で圃場面を整地する整地作業機を備えた移植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような移植機では、植付けと同時に整地ができるので、植付精度や作業効率の向上を図ることができ、特に、機体旋回によって圃場面が荒れやすい枕地では、整地作業機による整地効果が顕著であり、植付精度を大幅に改善することができる。
【0003】
また、特許文献1に示される移植機は、整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段とを備えており、オペレータは、整地作業機の高さを任意に調節することが可能である。
【特許文献1】特開2007−267614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、オペレータが状況を見て整地作業機の高さを手動調節していたため、オペレータの操作負担が増大するという問題があった。また、オペレータが整地作業機の高さ調節を怠った場合には、整地が適正に行われなかったり、水押し現象によって既植え苗が倒れるなどの不都合が発生する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行機体に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機と、植付作業機の前部に昇降自在に連結され、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機と、整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段とを備える移植機において、前記整地作業機高さ制御手段は、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することを特徴とする。このようにすると、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作を行うことにより、整地作業機の高さが所定方向に微調節されるので、オペレータが状況を見て整地作業機の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
また、前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地設定操作具であり、該枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置の制御状態も変更されることを特徴とする。このようにすると、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置(油圧昇降制御装置、マーカ振り出し制御装置など)の制御状態も変更されるので、整地作業機及び植付作業機に係る制御装置の制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
また、前記整地作業機高さ制御手段は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を所定量だけ微上げ制御することを特徴とする。このようにすると、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を微上げ制御することにより、高速植付時における整地作業機の水押し現象を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は乗用田植機(移植機)の走行機体であって、該走行機体1は、前輪2及び後輪3により支持されており、前輪前方部分のボンネット4内には、エンジン(図示せず)が搭載されると共に、走行機体1の前後方向の中間部には、座席シート5を有する運転部6が構成されている。この運転部6には、ステアリングホイール7等の操作具が配設されており、また、運転部6の床面上には、メインクラッチと走行用ブレーキを操作するペダル8が突出している。
【0007】
ここで、まず、乗用田植機の各部概略について、図1〜図9を参照して説明する。
【0008】
図1に示すように、走行機体1の後部には、アッパリンク9aとロアリンク9bを有する昇降リンク機構9を介して植付作業機10が昇降自在に連結されている。植付作業機10には、複数の植付爪11、フロート12、苗載せ台13、植付伝動ケース14などが備えられている。フロート12は、その中間部が、植付伝動ケース14の下部に設けられた支軸15を中心として回動可能に支持され、また、前端部が、感知プレート16に連結されている。
【0009】
植付作業機10の前方には、圃場面を整地する整地作業機17が配設されている。整地作業機17は、植付作業機10に対して昇降自在に連結されており、植付作業時には、整地作業機17の高さを作業高さに保持することにより、植付作業機10の前方で圃場面の整地が行われる。
【0010】
植付作業機10の左右両端部には、マーカ18(R,L)が取付けられている。この左右マーカ18は、植付作業機10の昇降に伴い、植付作業機10の外側方に振り出される作業位置と、植付作業機10の左右端部に収納される非作業位置とに自動的かつ交互に切換え可能となっており、作業位置にあっては、次行程の走行基準線となる細溝を圃場面に引くことが可能になる。
【0011】
昇降リンク機構9には、油圧シリンダ19が連結されている。この油圧シリンダ19は、後述する作業機操作レバー20の操作に応じて、制御部21が油圧コントロールバルブ22を制御することにより伸縮され、それに伴って植付作業機10が昇降される。なお、植付作業機10の昇降高さは、リフタ角ポテンショメータ23により検出される。
【0012】
座席シート7の下方には、油圧コントロールバルブ22と共に作動体24が配置され、この作動体24によって油圧コントロールバルブ22が操作される。作動体24は、油圧コントロールバルブ22の近傍に配置されたリフタカムモータ25と、リフタカムモータ25のモータ軸と一体的に回転する小ギヤ26と、該小ギヤ26に噛合するリフタカム27とを有している。リフタカム27の支点軸には、該支点軸の回転角を検出するリフタカムポテンショメータ28が取り付けられている。
【0013】
油圧コントロールバルブ22は、操作軸に設けられるバルブ操作板29を上昇、固定、下降(自動)、植付けの4位置に状態変化させることで操作される。そして、リフト機能である上記上昇により、植付作業機10を上昇させ、該植付作業機10が最上昇位置に達した際には、自動的に固定の状態となる。該固定状態では、油圧シリンダ19への作動油の流入が止まるため、植付作業機10は一定の高さで保持されることとなる。また、リフト機能である上記下降、又は植付けにより、植付作業機10を下降させ、フロート12が田面に接地した際には、自動制御に設定される。該自動制御においては、バルブ操作板29が、フロート12に連結されるリンクによって直接的に動かされることから、圃場面の凹凸をフロート12によって感知し、植付作業機10を自動的に上下動させるものとなっている。尚、油圧コントロールバルブ22とフロート12と感知プレート16とにより、油圧昇降制御装置30が構成される。
【0014】
一方、運転部6におけるステアリングホイール7の下部には、スイッチボックス31が設けられ、該スイッチボックス31には、上下及び前後方向に操作可能な作業機操作レバー20が設けられている。また、ステアリングホイール7やスイッチボックス31を囲むように配設されたフロントパネル32の手前側には、枕地スイッチ33(枕地設定操作具)が配設されると共に、マーカ自動スイッチ34、作業スイッチ35、油圧感度調節ダイヤル36及び警報停止スイッチ37が配設されている。また、フロントパネル32のパネル面には、植付モニタ38、水平自動モニタ39、対地作業機モニタ40等の各種モニタが配設されている。
【0015】
次に、植付作業機10の昇降制御について、図4を参照して説明する。
【0016】
作業機操作レバー20が操作された際、その操作内容はスイッチボックス31内に配置された切換スイッチ(図示せず)によって判別されると共に、該切換スイッチからの信号が制御部21へと送られる。制御部21は、上記切換スイッチからの信号に応じてリフタカムモータ25を駆動制御する。その結果、リフタカム27が回動して油圧コントロールバルブ22が切り換えられると共に、該バルブ切り換えに応じて油圧シリンダ19が伸縮し、植付作業機10が昇降制御される。
【0017】
そして、作業機操作レバー20は、フロントパネル32の作業スイッチ35と連係しており、作業スイッチ35がオン状態の際には、該作業機操作レバー20によって「植付クラッチの入切」、「植付作業機10の昇降」、「マーカ18の操作」を行うことができる。尚、作業スイッチ35がオフ状態の際には、作業機操作レバー20によって「植付作業機10の昇降」のみ行うことができる。
【0018】
ここで、作業スイッチ35が上記したオン・オフの各状態の場合における作業機操作レバー20の具体的な操作について説明する。
【0019】
作業スイッチ35がオン状態の際には、作業機操作レバー20は、中央の基準位置にある状態から、上下前後方向にそれぞれ操作自在となる。上下方向の操作は、植付作業機10の制御に関するもので、前後方向の操作は、マーカ18に関するものである。
【0020】
例えば、植付作業機10が接地して植付クラッチが入っている状態から作業機操作レバー20が、上方向に1回操作されると「植付クラッチ切」となり、再度上方に操作されると「植付クラッチ切」の状態から更に「植付作業機上昇」となる。逆に、植付作業機10が上昇して停止している状態から下方向に1回操作されると「植付作業機下降」となり、再度下方に操作されると「植付作業機下降」の状態から更に「植付クラッチ入」となる。尚、上記「植付作業機上昇」中に停止させたい場合には下方向に1回の操作を行い、上記「植付作業機下降」中に停止させたい場合には上方向に1回の操作を行う。
【0021】
また、上記「植付作業機上昇」にて植付作業機10が最上位置にあり、かつフロントパネル32におけるマーカ自動スイッチ34がオン状態にある際には、作業機操作レバー20が、前方向に操作されると「マーカ左のセット」となり、後方向に操作されると、「マーカ右のセット」となる。また、「マーカ左のセット」又は「マーカ右のセット」がされた状態にあって、上記「植付作業機下降」により植付作業機10を降下操作した後、例えば7秒以内に、当該マーカセットと反対側へ作業機操作レバー20を操作すると、マーカ18が左右側にセットされる「マーカ両落ち」となる。更に、エンジン始動後にマーカ自動スイッチ34をオフ状態とすると、マーカ18がセットされない「マーカOFF」の状態となる。
【0022】
そして、作業スイッチ35がオフ状態の際には、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から、上下の各方向に操作することによって植付作業機10の昇降操作のみが可能となる。
【0023】
作業機操作レバー20が、上方向に1回の操作がなされると「植付作業機上昇」となり、逆に、下方向に1回の操作がなされると「植付作業機下降」となる。尚、「植付作業機上昇」を途中で停止させたい場合には下方向に1回の操作を行い、「植付作業機下降」を途中で停止させたい場合には上方向に1回の操作を行う。また、作業スイッチ35がオフ状態の際には、マーカ18に関する操作をすることはできない。
【0024】
尚、本実施形態の乗用田植機は、不図示の主変速レバーを後進に入れた際には、後進シフト検出スイッチ41がオン状態とされ、リフタカム27をリフタカムモータ25で回動させて植付クラッチを切り、植付作業機10を所定高さまで上昇させる機能を有している。
【0025】
次に、植付作業機10における油圧自動感知について説明する。
【0026】
油圧自動感知に係る機構は、田面の「軟硬」によって浮き沈みするフロート12の動きを油圧コントロールバルブ22に伝え、植付作業機10を適正な位置に保つ一種の自動制御装置である。この自動制御装置は、エンジン回転、作業速度、機体姿勢の変化に応じて油圧感度を変更制御し、自動的に圃場にあった油圧感度にて植付を行わせるものである。
【0027】
上記エンジン回転による制御を行う場合には、パルスユニットであるエンジン回転パルス42(エンジン回転センサ)でエンジン回転をダイレクトに検出し、制御部21の演算処理によって感知ワイヤ43を進退させてフロート12の基本の姿勢を補正する。これにより、エンジンの回転変動に油圧感知が追従し、高速で良好な植付が可能となる。しかし、エンジンドロップした場合には油圧ポンプも低回転となり、油圧シリンダ19に送られる油量が低下し、植付深さが深くなる傾向が見受けられる。従って、エンジン回転をダイレクトに検出し、感知ワイヤ43の進退によってフロート12の基本の姿勢を変更して油圧感度を敏感に補正することによって植付深さを所定深さに保つようにするものである。
【0028】
また、上記作業速度による制御について詳述すると、植付速度が高速になると、水の抵抗が増し、田面でなく水面を感知して植付深さが浅くなることがあるため、不図示の主変速レバーを増速側に操作した際、該主変速レバーと油圧コントロールバルブ22のリンク部とをつないだHST連動ワイヤ44を引くことによって、フロート12の感知荷重を重くし、油圧感度を鈍感側に補正する。これにより、フロート12の浮き上がりを防止し、植付深さを所定深さに保つことが可能になる。
【0029】
また、上記機体姿勢による制御を行う場合には、機体センサで走行機体1の前後方向の傾きを検出し、制御部21の演算処理によって感知ワイヤ43を進退させる。これにより、走行機体1の前後姿勢の変化による植付深さのばらつきを防止することができる。例えば、走行機体1がヘッドアップすると、機体と相対的にフロート12の前部が下がることとなり、油圧コントロールバルブ22が下げ側に操作され、フロート12が沈み気味になって泥を押すことがあり、植付深さが深くなる状況が生じる。このような走行機体1の前後姿勢の変化を検出し、走行機体1に対するフロート12の姿勢を補正して植付深さを所定深さに保つようにする。
【0030】
ところで、上記した油圧自動感度は、圃場の条件(田面の柔らかさ)によって不足したり過剰となったりすることがあり、そのような場合にはフロート12が沈下したり浮いたりする状況が生じ得る。このような際には、油圧感度調節ダイヤル45によってフロート12の基準姿勢を補正する。油圧感度調節ダイヤル45は、標準感度となる基準位置から操作を開始し、やわらかい圃場、又は硬い圃場に適応する位置まで該ダイヤル45を回転させることで、フロート12の基準姿勢を調節する。
【0031】
そして、やわらかい圃場にあっては、フロート12の前部が沈みがちとなり、フロート12の前部側が土圧を受け易いため、感知プレート16から続く油圧リンクを介して油圧コントロールバルブ22が上昇する方向に作用する。また、硬い圃場にあっては、フロート12の前部が浮き上がり気味となり、フロート12の後部側が土圧を受け易いため、油圧コントロールバルブ22が下降する方向に作用する。
【0032】
次に、整地作業機17について、図6を参照して説明する。
【0033】
整地作業機17は、田面に接地して整地するかご型の整地ロータ46と、該整地ロータ46に後輪動力で伝動する動力伝動軸47と、整地ロータ46を植付作業機10の前部に対して昇降自在に連結させる平行リンク機構48と、平行リンク機構48を構成する上側アーム49の支軸50に一体的に設けられる扇形ギヤ51と、該扇形ギヤ51と噛み合う小ギヤ(図示せず)を有し、該小ギヤの駆動により平行リンク機構48を介して整地ロータ46を昇降させるロータ昇降モータ52(アクチュエータ)と、整地ロータ46の高さを検出するロータ高さ検出ポテンショメータ53とを有している。
【0034】
運転部6には、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54(整地作業機高さ操作具)が設けられている。このロータ高さ設定ダイヤル54を操作すると、制御部21(整地作業機高さ制御手段)がロータ昇降モータ52を駆動制御し、整地ロータ46をロータ高さ設定ダイヤル54の設定高さまで昇降させる。これにより、オペレータは、作業状況に応じて整地ロータ46の高さを任意に調節することが可能になる。
【0035】
次に、マーカ18の自動制御について、図7及び図8を参照して説明する。
【0036】
マーカ18は、植付作業機10から左右それぞれの側方に突出して上下に回動するマーカアーム55と、該マーカアーム55の先端に設けられる回転体マーカ56とを備えて構成されている。そして、マーカアーム55には、マーカモータ57とロータリスイッチ58とが連繋されており、その駆動に基づいてマーカ18の姿勢が制御される。
【0037】
マーカ18の自動制御は、作業スイッチ35がオン状態で、かつマーカ自動スイッチ34がオン状態の際に、植付作業機10が最上位置に上昇制御されると開始される。マーカ18の自動制御が作動すると、植付作業中は植付作業機10の上下動作ごとに左右交互に振り出しが行われる。尚、作業スイッチ35がオフ状態の際には、マーカ18の振り出しは行われない。
【0038】
ここで、作業スイッチ35及びマーカ自動スイッチ34がともにオン状態の場合におけるマーカ18の振り出しに係る作業機操作レバー20の具体的な操作について説明する。
【0039】
すなわち、作業スイッチ35及びマーカ自動スイッチ34がともにオン状態の際、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から手前側に操作すると右側のマーカ18がセットされる。逆に、作業機操作レバー20を中央の基準位置にある状態から前方側に操作すると左側のマーカ18がセットされる。
【0040】
また、植付作業機10が最上位置に位置しているとき、マーカ自動スイッチ34が押下されると、ランプが消灯してマーカ18の自動制御を停止させることができる(マーカ切替)。この設定は、マーカ自動スイッチ34を再び押下するか、作業機操作レバー20を手前又は前方に操作することにより元の自動制御状態に戻すことができる。
【0041】
また、植付作業機10を下降させ、その時点で振り出されているマーカ18と反対方向に作業機操作レバー20を操作すると、該反対方向のマーカ18も振り出され、両落ちの状態にすることができる(マーカ両落ち)。
【0042】
次に、本実施形態における制御系を図9に沿って説明する。
【0043】
制御部21には、植付作業機10の制御に係る信号、マーカ18の制御に係る信号、枕地制御や油圧自動感知の制御に係る信号、整地作業機17の制御に係る信号が入力される。
【0044】
植付作業機10の制御にあっては、作業機操作レバー20、作業スイッチ35、後進シフト検出スイッチ41、リフタカムポテンショメータ28、及びリフタ角ポテンショメータ23からそれぞれ信号が入力される。また、マーカ18の制御にあっては、マーカ自動スイッチ34、作業機操作レバー20、及びマーカスイッチ58からそれぞれ信号が入力される。また、枕地制御や油圧自動感知の制御にあっては、警報停止スイッチ37、枕地スイッチ33、油圧感度調節ダイヤル36、エンジン回転パルス42、ピッチングセンサ59、感知ワイヤポテンショメータ60、及び車速センサ61からそれぞれ信号が入力される。また、整地作業機17の制御にあっては、ロータ高さ検出ポテンショメータ53、及びロータ高さ設定ダイヤル54からそれぞれ信号が入力される。
【0045】
また、制御部21からは、植付作業機10の制御に係る信号、マーカ18の制御に係る信号、枕地制御及び油圧自動感知の制御に係る信号、整地作業機17に係る信号が出力される。
【0046】
植付作業機10の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、制御部21を介して、植付モニタ38、水平自動モニタ39、警報ブザー62、及びリフタカムモータ25が制御される。また、マーカ18の制御にあっては、マーカ自動モニタ63、マーカモニタ64、及びマーカモータ57が制御される。また、枕地制御及び油圧自動感知の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、制御部21を介して感知ワイヤモータ65が制御される。また、整地作業機17の制御にあっては、上述した入力信号に基づき、ロータ昇降モータ52が制御される。
【0047】
次に、制御部21が行う枕地制御設定について、図10及び図14を参照して説明する。
【0048】
図14は、圃場内における乗用田植機の走行例を示す説明図である。この図に示すような矩形の圃場100にて、乗用田植機における植付作業を行う場合は、例えば、乗用田植機は矢印INに示すように圃場100へと進入し、そのまま圃場100内に示されたコース線に沿って所謂一筆書きのようにして作業を進め、終了後には矢印OUTから退場する。
【0049】
この圃場100内に示されたコースのうち、左右幅方向に示された実線101は、このような矩形の圃場における植付走行位置を示しており、1点鎖線102で示した部分は、次の植付行程に移動するための移動走行位置(機体旋回位置など)を示すものである。
【0050】
上記した左右幅方向の実線101で示した主な植付走行軌跡にあっては、オペレータが、植付作業機10を下降させると共に、マーカ18を適宜に振り出させて走行基準線を引きつつ植付作業を行う。その際、フロート12による油圧自動感知を行わせる。
【0051】
また、1点鎖線102で示した移動走行位置、例えば、畦際の機体旋回位置(枕地)にあっては、オペレータが、植付作業を停止させるとともに植付作業機10を上昇させて乗用田植機を旋回させる。このとき、植付作業機10を上昇させた際には、整地作業機17が植付作業機10と共に上昇し、マーカ18は非作業位置に格納される。
【0052】
一方、圃場100には、その左右端部の範囲Mに示すような枕地という領域が畦際に生じる。この枕地には、機体旋回時の車輪跡が大きく残り、圃場100内方の植付位置に比して田面が荒れた状態となり易いため、制御部21は、枕地スイッチ33などの操作状態にもとづいて枕地であるか否かを判断し、植付作業機10に係る制御状態や整地作業機17に係る制御状態を変更するようになっている。以下、制御部21が行う枕地制御設定の具体的な制御処理手順について説明する。
【0053】
図10に示す枕地制御設定では、まず、作業スイッチ35のON/OFFを判断し(S101)、該判断結果がOFFである場合は、そのまま上位ルーチンへ戻る。一方、作業スイッチ35がONである場合は、植付作業機10の高さが最上昇位置にあるか否かを判定する(S102)。ここで、植付作業機10が最上昇位置にある場合は、そのまま上位ルーチンに戻るが、植付作業機10が最上昇位置より低い位置にある場合は、枕地スイッチ33が操作されたか否かを判断する(S103)。この判断結果が操作無しである場合には、そのまま上位ルーチンに戻るが、枕地スイッチ33が操作有りの場合には、さらに枕地スイッチ33が長押しされたか否かを判定する(S104)。
【0054】
枕地スイッチ33の操作が長押しでない場合は、枕地モードがOFF状態であるか否かを判断し(S105)、該判断結果がOFF以外である場合は、枕地モードをOFF状態にセットして上位ルーチンへ戻る(S106)。一方、枕地モードがOFF状態である場合は、枕地モードをON状態にセットすると共に(S107)、枕地制御設定値を初期化して上位ルーチンへ戻る(S108)。
【0055】
また、枕地スイッチ33が長押しされた場合は、マーカ自動スイッチ34が操作されたか否かを判断する(S109)。ここで、マーカ自動スイッチ34が操作有りと判断した場合は、続いて枕地モードにおいてマーカの切替有が設定されているか切替無が設定されているかを判断する(S110)。そして、枕地モードに切替有が設定されている場合には切替無に設定し(S111)、切替無が設定されている場合には切替有に設定する(S112)。つまり、枕地モードにおけるマーカ18の制御状態を、枕地での植付作業中に、マーカ18の振り出しに係る自動制御を継続して、植付作業機10の昇降に伴ってマーカの振り出し方向を左右交互に切替える「切替有」の設定と、上記マーカ18の振り出しに係る自動制御を停止して、植付作業機10の昇降に伴って次回の振り出し方向を切替えない「切替無」の状態とに任意に設定することが可能となる。
【0056】
また、制御部21は、マーカ自動スイッチ34の操作の有無にかかわらず油圧感度調節ダイヤル36が操作有りであるか否かを判断する(S113)。ここで、油圧感度調節ダイヤル36が操作無しである場合には、上位ルーチンへ戻るが、操作有りの場合には、枕地制御設定値に「油圧感度ダイヤル位置×α」をセットして上位ルーチンに戻る(S114)。
【0057】
次に、制御部21が行う油圧感知制御(油圧感知目標値設定を含む)について、図11(a)、(b)を参照して説明する。
【0058】
図11(a)に示す油圧感知制御では、まず油圧感知目標値の設定を行う(S201)。油圧感知目標値の設定は、図11(b)に示すように、エンジン回転数パルス42からのエンジン回転数Epと、ピッチングセンサ59からのピッチングセンサ値Psと、油圧感度調節ダイヤル36からの油圧感度調節ダイヤル値Ydと、枕地制御設定値Mとをそれぞれ取得する(ステップS211)。
【0059】
次に、枕地制御フラグのON/OFFを判断し(S212)、該判断結果がONである場合には、油圧感知目標値を「Yd+Ps×α+Ep×β+M」に設定し(S213)、枕地制御フラグがOFFである場合には、油圧感知目標値を「Yd+Ps×α+Ep×β」に設定する(S214)。
【0060】
また、油圧感知目標値を設定した後は、リフタカム27の位置が上げ状態であるか否かを判断する(S215)。ここで、リフタカム27の位置が上げ状態である場合には、感知規制タイマに所定値をセットする(S216)。次に、感知規制タイマの値が0であるか否かを判断し(S217)、該判断結果が0以外であった場合には、感知規制位置を油圧感知目標値に設定し(S218)、感知規制タイマの値が0以外であった場合には、当該処理を終了し、上位ルーチンへ戻る。
【0061】
図11(b)に示した処理にて油圧感知目標値が設定されたら、感知ワイヤポテンショメータ60の値から油圧感知目標値を減算し、その絶対値をとることで偏差を求める(S202)。次に、その偏差が不感帯外か不感帯内であるかを判断する(S203)。偏差が不感帯内である場合には、感知ワイヤ43の長さを変える感知ワイヤモータ65の動作を停止して処理を終了する(S204)。
【0062】
一方、偏差が不感帯外である場合には、感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値以下であるか否かを判断する(S205)。感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値以下である場合には、感知ワイヤモータ65を油圧感知感度が鈍くなる方向に作動させ(S206)、処理を終了する。また、感知ワイヤポテンショメータ60の値が、油圧感知目標値を超える場合には、感知ワイヤモータ65を油圧感知感度が鋭くなる方向に作動させ(S207)、処理を終了する。
【0063】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。
【0064】
本発明の実施形態に係る乗用田植機は、走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52(アクチュエータ)と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54(整地作業機高さ操作具)と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21(整地作業機高さ制御手段)とを備える。ここで、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節するように構成される。つまり、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作を行うことにより、整地作業機17の高さが所定方向に微調節されるので、オペレータが状況を見て整地作業機17の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機17の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
【0065】
前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地スイッチ33(枕地設定操作具)とし、該枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御装置の制御状態も変更されることが好ましい。このようにすると、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機17の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御(油圧昇降制御、マーカ振り出し制御など)の制御状態も変更されるので、整地作業機17及び植付作業機10に係る制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
【0066】
また、制御部21は、枕地スイッチ33が枕地以外に設定されている場合、整地作業機17をロータ高さ設定ダイヤル54の設定高さよりも所定量だけ微上げ制御し、また、微上げ状態において走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合、整地作業機17を更に所定量だけ微上げ制御することが好ましい。このようにすると、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを微上げ制御することにより、通常植付時における水押し現象を抑えることができ、また、微上げ状態において走行速度が所定速度以上になった場合、整地作業機17を更に微上げ制御することにより、高速植付時における水押し量の増加を抑えることができる。
【0067】
次に、本発明の特徴的な構成について、図12及び図13を参照して具体的に説明する。
【0068】
図12は、制御部21が行うロータ高さ制御のフローチャートであって、該制御では、まず、植付作業機10の高さが所定高さ以上であるか否かを判断し(S301)、該判断結果がNOである場合は、ロータ高さ変数に格納高さをセットし(S302)、整地作業機17を格納高さまで上昇させる。
【0069】
一方、植付作業機10の高さが所定高さ以上でない場合は、車速センサ61の検出値を走行速度Vにセットすると共に、ロータ高さ設定ダイヤル54の設定値をロータ操作具位置A1にセットし、さらに、予め決められた値をロータ高さ補正値M1、M2にセットする(S303)。
【0070】
次に、ロータ操作具位置A1を判断し(S304)、これが格納位置である場合、ステップS302を実行して、整地作業機17を格納高さまで上昇させる。一方、ロータ操作具位置A1が格納位置以外である場合は、枕地スイッチ33の操作にもとづいて切り換えられる枕地モードのON/OFFを判断する(S305)。ここで、枕地モードがONである場合は、ロータ高さ変数に枕地用高さとしてA1をセットし(S306)、整地作業機17の高さを枕地用高さに制御する。
【0071】
一方、枕地モードがOFFである場合は、走行速度Vが所定速度以上であるか否かを判断し(S307)、該判断結果がNOである場合は、ロータ高さ変数に通常植付用高さA2として(A1+M1)をセットし(S308)、整地作業機17の高さを微上げ制御する。また、走行速度Vが所定速度以上である場合は、ロータ高さ変数に高速植付用高さA3として(A1+M1+M2)をセットし(S309)、整地作業機17の高さを更に微上げ制御する。
【0072】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、走行機体1に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機10と、植付作業機10の前部に昇降自在に連結され、植付作業機10の前方で整地を行う整地作業機17と、整地作業機17を植付作業機10に対して昇降させるロータ昇降モータ52と、整地作業機17の高さを設定操作するロータ高さ設定ダイヤル54と、ロータ高さ設定ダイヤル54の操作に応じたロータ昇降モータ52の駆動制御にもとづいて整地作業機17の高さを制御する制御部21とを備える乗用田植機において、制御部21は、ロータ高さ設定ダイヤル54とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節するので、オペレータが状況を見て整地作業機17の高さを微調節する場合に比べ、オペレータの操作負担を軽減できるだけでなく、整地作業機17の高さを適正化して整地作業精度を向上させることができる。
【0073】
また、前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地スイッチ33であり、該枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御装置の制御状態も変更されるので、枕地であるか否かにもとづいて、整地作業機17の高さを所定方向に微調節することができる。例えば、枕地である場合は、整地作業機17の高さを下降方向に微調節することにより大きな整地効果が得られ、また、枕地以外の場合は、整地作業機17の高さを上昇方向に微調節することにより水押し現象を抑えることができる。しかも、枕地スイッチ33の設定操作にもとづいて、植付作業機10に係る制御(油圧昇降制御、マーカ振り出し制御など)の制御状態も変更されるので、整地作業機17及び植付作業機10に係る制御状態を統括的に適正化し、作業精度をさらに向上させることができる。
【0074】
また、制御部21は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機17を所定量だけ微上げ制御するので、高速植付時における整地作業機17の水押し現象を抑制することができる。
【0075】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、特許請求の範囲を逸脱しない限り、任意の変更を加えることができる。例えば、前記実施形態では、所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節するにあたり、所定の操作具を枕地スイッチとしているが、別途に専用スイッチを設け、該専用スイッチの操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節するようにしてもよい。具体的には、図12に示すステップS305において専用スイッチのON/OFFを判断し、整地作業機の微上げ制御や微下げ制御を行うようにする。このようにすると、枕地であるか否かとは無関係に、圃場条件(水量等)に応じて微上げ制御や微下げ制御の有無を選択できるという利点がある。特に、走行速度に応じて整地作業機の高さを比例的に微昇降する複雑な制御を行うことなく、走行速度が所定速度を超えた場合に整地作業機の高さを所定量だけ微上げ制御する簡略構成のものでは、整地作業機の高さをより最適化させる上で、専用スイッチによる微上げ制御や微下げ制御が有効である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】乗用田植機の側面図である。
【図2】フロントパネル、ステアリングホイール及び作業機操作レバーの概略斜視図である。
【図3】フロントパネルの概略正面図である。
【図4】リフタカム及びその周辺を示す側面図である。
【図5】フロート及び感知プレート周辺を示す側面図である。
【図6】整地作業機及びその周辺を示す側面図である。
【図7】マーカ及びその周辺を示す平面図である。
【図8】(A)及び(B)は、マーカスイッチ及びその周辺を示す側面図である。
【図9】制御部の入出力を示すブロック図である。
【図10】枕地制御設定を示すフローチャートである。
【図11】(A)は油圧感知制御を示すフローチャート、(B)は油圧感知目標値設定を示すフローチャートである。
【図12】ロータ高さ制御を示すフローチャートである。
【図13】ロータ高さ制御の作用説明図である。
【図14】圃場内における乗用田植機の走行例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0077】
1 走行機体
10 植付作業機
17 整地作業機
21 制御部
33 枕地スイッチ
46 整地ロータ
48 平行リンク機構
51 扇形ギヤ
52 ロータ昇降モータ
54 ロータ高さ設定ダイヤル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機と、
植付作業機の前部に昇降自在に連結され、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機と、
整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、
整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、
整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段と
を備える移植機において、
前記整地作業機高さ制御手段は、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地設定操作具であり、該枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置の制御状態も変更されることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
前記整地作業機高さ制御手段は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を所定量だけ微上げ制御することを特徴とする請求項1又は2記載の移植機。
【請求項1】
走行機体に昇降自在に連結され、苗の植付けを行う植付作業機と、
植付作業機の前部に昇降自在に連結され、植付作業機の前方で整地を行う整地作業機と、
整地作業機を植付作業機に対して昇降させるアクチュエータと、
整地作業機の高さを設定操作する整地作業機高さ操作具と、
整地作業機高さ操作具の操作に応じたアクチュエータの駆動制御にもとづいて整地作業機の高さを制御する整地作業機高さ制御手段と
を備える移植機において、
前記整地作業機高さ制御手段は、整地作業機高さ操作具とは異なる所定の操作具操作に応じて、整地作業機の高さを所定方向に微調節することを特徴とする移植機。
【請求項2】
前記所定の操作具は、枕地であるか否かを選択的に設定操作する枕地設定操作具であり、該枕地設定操作具の設定操作にもとづいて、植付作業機に係る制御装置の制御状態も変更されることを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
前記整地作業機高さ制御手段は、走行速度が所定速度に達するか、所定速度を超えた場合に、整地作業機を所定量だけ微上げ制御することを特徴とする請求項1又は2記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−46007(P2010−46007A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212452(P2008−212452)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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