説明

積層体

【課題】燃料バリア性に優れたゴム層とフッ素樹脂層が強固に接着されている積層体の提供。
【解決手段】ゴム層(A)は未加硫ゴム(a1)、ジアザビシクロウンデセン7塩等の加硫特性改善剤(a2)、ジチオカルバミン酸銅塩等の接着強度改善剤(a3)、酸化マグネシウム(a4)、並びに、シリカ(a5)からなる加硫用ゴム組成物からなり、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層であり、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有することを特徴とする積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昨今の環境意識の高まりから、燃料揮発を防止するための法整備が進み、特に自動車業界では米国を中心に燃料揮発抑制の傾向が著しく、燃料バリア性に優れた材料へのニーズが大きくなりつつある。
【0003】
特に、燃料輸送ゴムホースにおいて、低燃料透過性を良好にするためにフッ素樹脂をバリア層とした積層ホース(バリア層以外はゴム)が使用されているが、昨今の環境負荷低減の強い要求により、バリア層により一層の低燃料透過性が必要とされる。その手段として、バリア層の厚みを増加させるか、あるいは低透過に最も優れるパーハロゲン系のフッ素樹脂を使用するという手段で低透過性を確保することが試みられている。しかし、バリア層(フッ素樹脂)の厚みを増加させることは、ホース重量の増加になり、また省エネルギーの観点からも不利であり、さらにホース自身の曲げ性(柔軟性)が損なわれ、取扱い性(組付け性)の観点からも不利である。
【0004】
また、パーハロゲン系のフッ素樹脂をバリア層として使用する場合は、相手材である外内層のゴムとの接着が困難であり、接着性を改善するための樹脂の表面処理や、フィルムやテープを巻きつける手法などの工程が必要になり、作業工程の複雑化が生じて生産性が著しく低下し、また大幅なコスト高となるなどの実用上に不具合がある。
【0005】
フッ素樹脂層とゴム層との接着の向上のために、たとえば特許文献1のように、ゴム層に用いられるゴムとして、エポキシ化ゴムまたはエポキシ化ゴムとゴムのブレンド物を使用することが知られている。また、特許文献2におけるように、フッ素樹脂にゴムを直接接着させるため、フッ素樹脂としてカルボニル基などの反応性官能基を有する熱可塑性フッ素樹脂を用い、さらにこの熱可塑性フッ素樹脂とゴム層の少なくとも一方にトリアリルイソシアヌレートのような多官能性化合物を配合することも知られている。
【0006】
特許文献3のように、NBR等のジエン系ゴムに、DBU塩等とともに、硫黄系加硫剤、カルバミン酸金属塩およびチアゾール系金属塩の少なくとも一方、酸化マグネシウムを添加してなるジエン系ゴム層と、フッ化ビニリデン系共重合体(THV)層とが隣接した層構造を備える燃料ホースも知られている。
【0007】
特許文献4及び5のように、水素原子を複数含むモノマーが少なくとも1種存在するフルオロポリマ又はフッ化ビニリデンを必須とするフルオロポリマを使用し、脱弗化水素組成物を混合することによりフルオロポリマ層に対する硬化性エラストマー化合物の接着性を改良することも知られている。
【0008】
特許文献6には、ゴム層(A)と、ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、
加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、並びに、シリカ(a4)を含有し、化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下であり、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層であり、フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有することを特徴とする積層体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−266501号公報
【特許文献2】特開2005−22403号公報
【特許文献3】特開2007−261079号公報
【特許文献4】特表2001−527104号公報
【特許文献5】特表2001−526921号公報
【特許文献6】国際公開第2011/001756号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、接着剤を使用せず、またゴム層とフッ素樹脂層の各層に表面処理を施すこともなく、ゴム層とフッ素樹脂層が強固に接着されている積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ゴム層(A)と、ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、加硫用ゴム組成物は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素化物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、並びに、アクリル系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種である未加硫ゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、ジチオカルバミン酸銅塩、アルデヒド−アミン系化合物、及び、金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a3)、酸化マグネシウム(a4)、並びに、シリカ(a5)を含有し、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層であり、フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有することを特徴とする積層体に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の積層体は、フッ素樹脂層とゴム層を積層するにあたり、特に複雑な工程を組まずに、ゴム加硫時に化学的に強固な接着が得られるため、接着に特別の工程が不要であり、低コストでの成形が可能であり、成形も容易である。また、押出成形のような普通の方法で成形することができるため、薄膜化も可能である。また、コストが高いフッ素樹脂の使用量を抑える事ができ、柔軟性の高い積層体が成形できる点でも改善される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の積層体は、ゴム層(A)と、ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
以下、各層について説明する。
【0015】
(A)ゴム層
ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層である。
【0016】
加硫用ゴム組成物は、必須成分として未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、ジチオカルバミン酸銅塩、アルデヒド−アミン系化合物、及び、金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a3)、酸化マグネシウム(a4)、並びに、シリカ(a5)を含む。加硫用ゴム組成物が金属化合物(a3)を含有することによって、化合物(a2)の含有量が少量であっても、層(A)と層(B)との接着強度を優れたものとすることができる。
【0017】
加硫用ゴム組成物は、更に、任意成分として加硫剤(a6)及びチアゾール系金属塩(a7)の少なくともいずれかを含んでもよい。特に、加硫用ゴム組成物が未加硫ゴム(a1)及び化合物(a2)に加えて、加硫剤(a6)及びチアゾール系金属塩(a7)を含むものであると、層(A)と層(B)とをより大きな接着強度で接着できる。
【0018】
未加硫ゴム(a1)としては、耐寒性が良好な点や、コスト面で優れていることから、非フッ素ゴムを用いる。
【0019】
非フッ素ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びその水素化物(HNBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、並びに、アクリル系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種の未加硫ゴムである。
エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴムのターモノマーとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴムを構成するモノマーが好ましい。
【0020】
未加硫ゴム(a1)としては、耐熱性、耐油性、耐候性、押出成形性が良好な点から、ジエン系のゴムであることが好ましく、NBR若しくはHNBRであることがより好ましい。NBRとHNBRを併用してもよい。
【0021】
加硫用ゴム組成物は、ゴム層(A)に未加硫ゴム(a1)とは別の特性を付与するために、樹脂を含有してもよい。樹脂としては、たとえばPVC、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。たとえば、加硫用ゴム組成物がNBRとPVCとを含有する場合、耐オゾン性を向上させることができる。この場合、PVCの配合量は、NBR100質量部に対し10〜70質量部が好ましい。
【0022】
化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。化合物(a2)を含むことによって、加硫用ゴム組成物の加硫特性を改善できる。
【0023】
DBU塩およびDBN塩としては、DBU又はDBNの炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩などがあげられ、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、ナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0024】
より具体的には、化合物(a2)は、DBU、DBU−B、DBUのナフトエ酸塩、DBUのフェノール塩、DBUのオルトフタル酸塩、及び、DBUのギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0025】
化合物(a2)としては、DBU、DBU−B、DBUのフェノール塩、DBUのオルトフタル酸塩、及び、DBUのギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。更に好ましくは、DBU−B、及び、DBUのギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、特に好ましくは、DBUのギ酸塩である。
【0026】
化合物(a2)は、DBUのギ酸塩を必須とすることも好ましい。DBUのギ酸塩単独で用いてもよいし、DBUのギ酸塩とDBU−Bとの組み合わせ、DBUのギ酸塩とDBUのフェノール塩との組み合わせ、DBUのギ酸塩とDBUのオルトフタル酸塩との組み合わせ、DBUのギ酸塩とDBUの組み合わせ、又は、DBUのギ酸塩とDBUのナフトエ酸塩との組み合わせも好ましい。
【0027】
化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、0.2質量部以上であることがより好ましい。化合物(a2)が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。
また、加硫後の圧縮永久歪みやゴム硬度を低下させず、かつ、ゴムのコストを下げる観点からは、化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましい。コスト低減の観点からは、1.0質量部以下であることも好ましい。
【0028】
化合物(a3)は、ジチオカルバミン酸銅塩、アルデヒド−アミン系化合物、及び、金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。加硫用ゴム組成物が化合物(a3)を含むことにより、化合物(a2)の配合量が0.2質量部という少量であっても、層(A)と層(B)との接着強度を優れたものとすることができる。
【0029】
ジチオカルバミン酸銅塩としては、ジメチルジチオカルバメートの銅塩(CuMDC)、ジエチルジチオカルバメートの銅塩(CuEDC)、等があげられる。これらは単独で、又は、2種以上を併用して用いられる。これらのなかでも、接着性、ゴム物性の点で、CuMDCが好ましい。
【0030】
金属水和物としては、銅、亜鉛、アルミニウム、コバルト、カルシウム、ジルコニウム、ニッケル及びマグネシウムから選ばれる少なくとも1種の金属の水和物が好ましい。具体的には、CuSO・5HO、ZnSO・HO、ZnSO・7HO、AlCl.6HO、ケイ酸アルミニウムn水和物、(Al(NO・9HO)、CoClの1.5水和物、2水和物、4水和物又は6水和物、CaClの2水和物、4水和物又は6水和物、ケイ酸カルシウム水和物、硫酸カルシウム水和物、オキシ塩化ジルコニウム8水和物、オキシ硝酸ジルコニウム2水和物、二酸化ジルコニウム水和物、硫酸ニッケル6水和物、硝酸ニッケル6水和物、塩化ニッケル6水和物、硫酸マグネシウム水和物、フッ化マグネシウム水和物、塩化マグネシウム6水和物、CaSO・0.5HO、CaSO・2HO、酢酸カルシウム1水和物等が挙げられる。金属水和物として好ましくは、CaSO・2HO、及び、酢酸カルシウム1水和物からなる群より選択される少なくとも1種の水和物であり、より好ましくは酢酸カルシウム1水和物である。
【0031】
アルデヒド−アミン系化合物としては、n−ブチルアルデヒドアニリン、アセトアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドアセトアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン、ブチルアルデヒドブチリデンアニリン、ホルムアルデヒドアセトアルデヒドアニリン、及び、アルデヒドアミンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。アルデヒド−アミン系化合物としてより好ましくは、n−ブチルアルデヒドアニリンである。
【0032】
化合物(a3)としては、ジチオカルバミン酸銅塩と金属水和物とアルデヒド−アミン系化合物をそれぞれ単独で使用してもよいし、ジチオカルバミン酸銅塩、金属水和物及びアルデヒド−アミン系化合物のいずれか2種以上を併用してもよい。接着性を高める観点からは、併用することが好ましい。
【0033】
加硫を穏やかに保てるという観点からは、化合物(a3)は、アルデヒド−アミン系化合物、及び、金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、金属水和物であることがより好ましい。
【0034】
加硫を速やかにできるという観点からは、化合物(a3)は、ジチオカルバミン酸銅塩及び金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0035】
また、コストを抑えながら接着性を高める観点からは、化合物(a3)として、ジチオカルバミン酸銅塩及び金属水和物の両方を用いることが好ましい。
【0036】
化合物(a3)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることが更に好ましい。化合物(a3)が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。
また、コストの観点からは、化合物(a3)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して35.0質量部以下であることが好ましく、25.0質量部以下であることがより好ましく、23.0質量部以下であることが更に好ましい。
【0037】
ジチオカルバミン酸銅塩は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることが更に好ましい。ジチオカルバミン酸銅塩が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。
また、コストの観点からは、ジチオカルバミン酸銅塩は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましい。
【0038】
アルデヒド−アミン系化合物は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることが更に好ましい。アルデヒド−アミン系化合物が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。
また、コストの観点からは、アルデヒド−アミン系化合物は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましい。
【0039】
金属水和物は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、1.0質量部以上であることが好ましく、5.0質量部以上であることがより好ましい。金属水和物が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。硬度を高くする観点からは、5.0質量部以上であることが好ましい。
また、コストの観点からは、金属水和物は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して30.0質量部以下であることが好ましく、20.0質量部以下であることがより好ましい。
【0040】
酸化マグネシウム(a4)の配合量は、接着性、ゴム物性の点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜15質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、酸化マグネシウム(a4)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
【0041】
シリカ(a5)としては、塩基性シリカ、酸性シリカを用いることができ、接着性の観点から、塩基性シリカを用いる方が好ましい。塩基性シリカとしては、カープレックス1120(DSLジャパン(株)製)が挙げられる。また、シリカ(a5)の配合量は、接着性、ゴム物性の観点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して10〜40質量部が好ましく、特に好ましくは15〜25質量部である。本発明の特定の構造を有する積層体は、シリカ(a5)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
【0042】
加硫剤(a6)は、加硫用ゴム組成物の加硫系に合わせて、従来公知のものが使用できる。未加硫ゴム(a1)を加硫することにより、得られる加硫ゴム層の引張強度などの機械的強度が向上し、良好な弾性も獲得できる。
【0043】
本発明で用いられ得る加硫系としては、硫黄加硫系、ポリアミン加硫系、ポリオール加硫系、パーオキサイド加硫系、イミダゾール加硫系、トリアジン加硫系、オキサゾール加硫系、チアゾール加硫系のいずれも採用できるが、未加硫ゴムに加硫性基(キュアサイト)が含まれる場合はキュアサイトの種類によって、または加硫された積層体に付与する特性や用途により適宜選択すればよい。
【0044】
加硫剤(a6)としては、加硫系に合わせて硫黄加硫系加硫剤、ポリアミン加硫系加硫剤、ポリオール加硫系加硫剤、パーオキサイド加硫系加硫剤、イミダゾール加硫系加硫剤、トリアジン加硫系加硫剤、オキサゾール加硫系加硫剤、チアゾール加硫系加硫剤のいずれも採用でき、単独で使用または併用してもよい。
【0045】
たとえば、未加硫ゴム(a1)がジエン系の非フッ素ゴム(NBR、SBR、BRなど)の場合は硫黄加硫系およびパーオキサイド加硫系が通常採用されるので、加硫剤としても硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0046】
硫黄加硫系加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物などが例示できる。
【0047】
硫黄加硫系加硫剤の配合量は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、1.0〜10.0質量部が好ましい。少なすぎると接着性が不充分となり、多すぎると硬くなりすぎる傾向にある。
【0048】
パーオキサイド加硫系加硫剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生する有機過酸化物が好ましいものとしてあげられる。
【0049】
有機過酸化物としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに配合量が選ばれる。配合量は通常、未加硫ゴム100質量部に対して0.1〜15.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。
【0050】
加硫剤(a6)としては、硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫黄加硫系加硫剤がより好ましく、その添加量は未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0質量部である。
【0051】
チアゾール系金属塩(a7)としては、メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)が好適に用いられる。
【0052】
チアゾール系金属塩(a7)の配合量は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.01〜3.0質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3質量部である。チアゾール系金属塩(a7)の配合量が少なすぎると加硫ゴム物性が悪くなるおそれがあり、多すぎると未加硫物性が悪くなるおそれがある。
【0053】
加硫用ゴム組成物は、加硫特性を阻害したりゴムの物性を損なったりするため、アミン化合物を含有しないことが好ましい。
【0054】
また本発明においては、目的または必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物に配合する通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤、エポキシ樹脂などの各種添加剤を配合することができる。また、前記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種または2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、本発明の目的であるフッ素樹脂層(B)との接着力を損なわない範囲の量で配合する。
【0055】
充填剤としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤などがあげられる。
【0056】
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤などがあげられる。
【0057】
可塑剤としては、たとえばフタル酸誘導体、セバシン酸誘導体、アジピン酸誘導体などがあげられる。軟化剤としては、たとえば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、たとえばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩などがあげられる。
【0058】
エポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうちビスフェノールA型エポキシ樹脂が耐薬品性、接着性が良好な点から好ましく、さらに式(1):
【0059】
【化1】

【0060】
で表わされるエポキシ樹脂が特に好ましくあげられる。ここで、式(1)において、nは平均値であり、0.1〜3が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。nが0.1未満であると、フッ素樹脂(b)との接着力が低下する傾向がある。一方、nが3をこえると、エポキシ樹脂自体の粘度が高くなり、加硫用ゴム組成物中での均一な分散が困難になる傾向がある。
【0061】
エポキシ樹脂を配合する場合の含有量は、フッ素樹脂(b)との接着力をより向上させる点から、未加硫ゴム100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。ゴム層が硬くなりすぎないようにする点から、未加硫ゴム100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
【0062】
加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、化合物(a3)、酸化マグネシウム(a4)、及び、シリカ(a5)、さらに要すれば加硫剤(a6)、チアゾール系金属塩(a7)並びにその他の添加剤を混練することにより調製される。
【0063】
混練は、たとえば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
【0064】
加硫用ゴム組成物は、最適加硫時間(T90)が18分以下であることが好ましい。より好ましくは15分以下であり、更に好ましくは13分以下であり、特に好ましくは、11分以下である。T90の下限は特に限定されないが、例えば、1分以上である。上記加硫用ゴム組成物は、上記構成であることによって、加硫時間を短くし、生産性を向上させることができる。T90は、160℃にて最大トルク値(M)と最小トルク値(M)を測定することにより得られる値であり、{(M)−(M)}×0.9+Mで求める値である。M及びMは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
【0065】
つぎに、本発明の積層体におけるフッ素樹脂層(B)について説明する。
【0066】
(B)フッ素樹脂層
フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層である。
【0067】
フッ素ポリマー組成物は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有する。
【0068】
フッ素ポリマー(b1)としては、フッ素樹脂であることが好ましく、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及びCTFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0069】
CTFE共重合体としては、CTFEに由来する共重合単位(CTFE単位)と、テトラフルオロエチレン(TFE)、へキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、へキサフルオロイソブテン、式:
CH=CX(CF
(式中、XはHまたはF、XはH、FまたはCl、nは1〜10の整数である)で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位とを含むことが好ましい。
【0070】
CTFE共重合体としては、CTFE単位と、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位とを含むことがより好ましく、実質的にこれらの共重合単位のみからなることが更に好ましい。また、燃料低透過の観点から、エチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のCH結合を有するモノマーを含まないことが好ましい。パーハロポリマーはゴムとの接着が通常困難であるが、本発明の構成によれば、フッ素樹脂層がパーハロポリマーからなる層であっても、フッ素樹脂層とゴム層との層間の接着は強固である。
【0071】
CTFE共重合体は、全単量体単位の10〜90モル%のCTFE単位を有することが好ましい。
【0072】
CTFE共重合体としては、CTFE単位、TFE単位およびこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
【0073】
前記「CTFE単位」および「TFE単位」は、CTFE共重合体の分子構造上、それぞれ、CTFEに由来する部分(−CFCl−CF−)、TFEに由来する部分(−CF−CF−)であり、前記「単量体(α)単位」は、同様に、CTFE系共重合体の分子構造上、単量体(α)が付加してなる部分である。
【0074】
前記単量体(α)としては、CTFEおよびTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、ビニリデンフルオライド(VdF)、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、CX=CX(CF(式中、X、XおよびXは同一もしくは異なって、水素原子またはフッ素原子;Xは、水素原子、フッ素原子または塩素原子;nは、1〜10の整数)で表されるビニル単量体、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体などがあげられ、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体、及び、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0075】
前記アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
【0076】
CTFE共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、CTFE単位が15〜90モル%に対し、TFE単位が85〜10モル%であり、好ましくは、CTFE単位が20〜90モル%であり、TFE単位が80〜10モル%である。また、CTFE単位15〜25モル%と、TFE単位85〜75モル%とから構成されるものがより好ましい。
【0077】
CTFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90〜99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1〜10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性および耐燃料クラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、燃料低透過性、耐熱性、機械特性に劣る傾向にある。
【0078】
フッ素ポリマー(b1)は、PCTFE又はCTFE−TFE−PAVE共重合体であることが最も好ましい。上記CTFE−TFE−PAVE共重合体とは、実質的にCTFE、TFE及びPAVEのみからなる共重合体である。PCTFE及びCTFE−TFE−PAVE共重合体は、主鎖を構成する炭素原子に直接結合した水素原子が存在せず、脱フッ化水素化反応が進行しない。従って、脱弗化水素化反応によってフッ素ポリマー中に形成される不飽和結合を利用した従来の接着性改善方法は適用できない。本発明は、ゴム層(A)が限定された組成を有する加硫用フッ素ゴム組成物から形成される層であるため、フッ素樹脂層(B)がCTFE−TFE−PAVE共重合体であっても、層(A)と層(B)との接着は強固である。
【0079】
前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などがあげられ、なかでもPMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0080】
PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
【0081】
CTFE単位などの構成単位は、19F−NMR分析を行うことにより得られる値である。
【0082】
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端および/または側鎖に、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基、およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を導入したものであってもよい。
【0083】
本明細書において、「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。前記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、たとえばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(−C(=O)O−)、酸無水物結合(−C(=O)O−C(=O)−)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(−C(=O)−NH−C(=O)−)、ウレタン結合(−NH−C(=O)O−)、カルバモイル基(NH−C(=O)−)、カルバモイルオキシ基(NH−C(=O)O−)、ウレイド基(NH−C(=O)−NH−)、オキサモイル基(NH−C(=O)−C(=O)−)など、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものがあげられる。
【0084】
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基などにおいては、その窒素原子に結合する水素原子は、たとえばアルキル基などの炭化水素基で置換されていてもよい。
【0085】
前記反応性官能基は、導入が容易である点、フッ素ポリマー(b1)が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、さらにはアミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましい。
【0086】
なかでも、国際公開第99/45044号パンフレットに記載のカーボネート基および/またはカルボン酸ハライド基を有するものが特に好ましい。
【0087】
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端または側鎖のいずれかに反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端および側鎖の両方に反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に反応性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。前記反応性官能基は、エーテル結合も有する場合、該反応性官能基をさらに主鎖中に有するものであってもよい。
【0088】
フッ素ポリマー(b1)は、主鎖末端に反応性官能基を有する重合体からなるものが、機械特性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、または、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
【0089】
前記反応性官能基の数は、積層するゴム層の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力と隣接する層との接着方法などの違いにより適宜選択すればよい。
【0090】
主鎖末端および/または側鎖末端にある反応性官能基の数としては、主鎖炭素数1×10個あたり3〜800個であることが好ましい。主鎖炭素数1×10個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は15個、さらに好ましい下限は30個、特に好ましい下限は120個である。末端の反応性官能基数の上限は、生産性の観点からたとえば200個とすることがより好ましい。
【0091】
前記末端の反応性官能基の数は、フッ素ポリマー(b1)の粉末をその融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.25〜0.30mmのフィルムシートを、赤外分光光度計を用いて赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して反応性官能基の特性吸収の種類を決定し、各差スペクトルから次式により算出する個数である。
【0092】
末端基の個数(前記主鎖炭素数1×10個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端反応性官能基の補正係数を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
表1の補正係数は、主鎖炭素数1×10個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定された値である。
【0095】
前記反応性官能基を主鎖および/または側鎖の末端に導入する方法としては、反応性官能基含有の単量体(β)を共重合して導入する方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を重合開始剤として用いる方法、反応性官能基を有するまたは生ずる化合物を連鎖移動剤として用いる方法、フッ素ポリマーに高分子反応で反応性官能基を導入する方法、これらの方法を併用する方法などが例示できる。
【0096】
共重合で反応性官能基を導入する場合の反応性官能基含有の単量体(β)としては、フッ素ポリマー(b1)を与える単量体と共重合可能な単量体で上記反応性官能基を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、たとえばつぎのものが例示できる。
【0097】
前記単量体(β)の第1としては、国際公開第2005/100420号パンフレットに記載の脂肪族不飽和カルボン酸類があげられる。脂肪族不飽和カルボン酸類は、重合性の炭素−炭素不飽和結合を1分子中に少なくとも1個有し、かつ、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましい。
【0098】
前記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、たとえば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族モノカルボン酸類があげられる。
【0099】
前記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物またはシトラコン酸無水物などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族ポリカルボン酸類があげられる。
【0100】
前記単量体(β)の第2としては、式:
CX=CY−(Rf−Z
(式中、Zは、前記反応性官能基;XおよびYは、同一または異なって、水素原子もしくはフッ素原子;Rfは、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素オキシアルキレン基;nは、0または1)で表される不飽和化合物があげられる。
【0101】
共重合により導入される反応性官能基含有の単量体(β)単位の含有率は、0.05モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。多すぎると、加熱溶融時にゲル化や加硫反応が発生しやすいため、官能基含有モノマーの上限としては5モル%が好ましく、3モル%がより好ましい。
【0102】
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端または側鎖末端にヘテロ環基またはアミノ基を有するものであってもよい。
【0103】
ヘテロ環基とは、そのヘテロ環部位の環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよい。ヘテロ環基の中では、オキサゾリル基が好ましい。
【0104】
アミノ基とは、アンモニア、第一級または第二級アミンから水素を除去した1価の官能基である。具体的には、例えば、式:
−NR
(式中、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜20の1価の有機基である。)アミノ基の具体例としては、−NH、―NH(CH)、−N(CH、―NH(CHCH)、―N(C、―NH(C)などがあげられる。
【0105】
フッ素ポリマー(b1)は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、従来公知の重合方法により得ることができる。前記重合において、温度、圧力などの各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、フッ素ポリマー(b1)の組成や量に応じて適宜設定することができる。
【0106】
フッ素ポリマー(b1)の融点は特に限定されないが、160〜270℃であることが好ましい。
【0107】
フッ素ポリマー(b1)の融点は、DSC装置(セイコー社製)を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、各温度、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定する。
【0108】
またフッ素ポリマー(b1)の分子量は、得られる成形体が良好な機械特性や燃料低透過性などを発現できるような範囲であることが好ましい。たとえば、メルトフローレート(MFR)を分子量の指標とする場合、フッ素ポリマー一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度におけるMFRは、0.5〜100g/10分であることが好ましい。
【0109】
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。これらのなかでも、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)が好ましい。
【0110】
上記連鎖移動剤としては、反応系内で分散性及び均一性が良好である点で、炭素数1〜4の水溶性アルコール、炭素数1〜4の炭化水素及び炭素数1〜4のフッ化炭化水素、及び過硫酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記連鎖移動剤は、メタン、エタン、n−ブタン、イソブタン、メタノール、n−プロピルアルコール、HFC−134a、HFC−32、DSP、APS及びKPSよりなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましく、n−プロピルアルコール、メタノール及びイソブタンからなる群より選択される少なくとも1つであることが更に好ましい。
【0111】
本発明においてフッ素樹脂層(B)は、これらのフッ素ポリマー(b1)を1種含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
【0112】
本発明の積層体におけるフッ素樹脂層(B)は、積層体を燃料周りの材料として使用する場合、燃料透過係数が10g・mm/m/day以下であることが好ましく、1.0g・mm/m/day以下であることがより好ましく、0.5g・mm/m/day以下であることがさらに好ましい。
【0113】
燃料透過係数は、イソオクタン、トルエンおよびエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した燃料透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを組み入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。
【0114】
本発明において、フッ素ポリマー(b1)が特定の反応性官能基を末端に有するものであると、ゴム層(A)との接着性が向上する。したがって、耐衝撃性や強度に優れた成形品(たとえば燃料用タンクなど)を提供できる。
【0115】
なお、フッ素ポリマー(b1)がパーハロポリマーである場合、耐薬品性および燃料低透過性がより優れたものとなる。パーハロポリマーとは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。
【0116】
フッ素樹脂層(B)は、さらに、目的や用途に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素粉末、炭素繊維、金属酸化物などの種々の充填剤を配合したものであってもよい。
【0117】
たとえば、燃料透過性をさらに低減させるために、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントロナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト系の層状粘度鉱物や、雲母等の高アスペクト比を有する微小層状鉱物を添加してもよい。
【0118】
また、導電性を付与するために、導電性フィラーを添加してもよい。導電性フィラーとしては特に限定されず、たとえば金属、炭素などの導電性単体粉末または導電性単体繊維;酸化亜鉛などの導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末などがあげられる。導電性フィラーを配合する場合、溶融混練して予めペレットを作製することが好ましい。
【0119】
前記導電性単体粉末または導電性単体繊維としては特に限定されず、たとえば銅、ニッケルなどの金属粉末;鉄、ステンレススチールなどの金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維、特開平3−174018号公報等に記載の炭素フィブリルなどがあげられる。
【0120】
前記表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタンなどの非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。
【0121】
表面導電化処理の方法としては特に限定されず、たとえば金属スパッタリング、無電解メッキなどがあげられる。
【0122】
導電性フィラーのなかでもカーボンブラックは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利であるので好適に用いられる。
【0123】
導電性フィラーを配合してなるフッ素ポリマー組成物の体積抵抗率は、1×10〜1×10Ω・cmであることが好ましい。より好ましい下限は、1×10Ω・cmであり、より好ましい上限は、1×10Ω・cmである。
【0124】
また、充填剤以外に、熱安定化剤、補強剤、紫外線吸収剤、顔料、その他任意の添加剤を配合してもよい。
【0125】
本発明の積層体は、ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)を積層することにより製造できる。本発明の積層体は、フッ素樹脂層(B)の両側にゴム層(A)が積層されていてもよいし、ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されていてもよい。
【0126】
ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)の積層は、ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)を別々に成形した後に圧着などの手段で積層する方法、ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)を同時に成形して積層する方法、ゴム層(A)にフッ素樹脂層(B)を塗布する方法のいずれでもよい。
【0127】
ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)を別々に成形した後に圧着などの手段で積層する方法では、フッ素ポリマーの成形方法と加硫用ゴム組成物のそれぞれ単独での成形方法が採用できる。
【0128】
ゴム層(A)の成形は、加硫用ゴム組成物を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、塗装法などにより、シート状、チューブ状などの各種形状の成形体とすることができる。
【0129】
フッ素樹脂層(B)は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)などの方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素ポリマーの成形機、たとえば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置などが使用でき、シート状、チューブ状など、各種形状の積層体を製造することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
【0130】
また、後述するように、フッ素樹脂層(B)に他のポリマー層(C)を積層する場合は、多層押出成形、多層ブロー成形、多層射出成形などの成形方法を適用でき、多層チューブ、多層ホース、多層タンクなどの多層成形品とすることができる。
【0131】
ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)を同時に成形して積層する方法としては、ゴム層(A)を形成する加硫用ゴム組成物およびフッ素樹脂層(B)を形成するフッ素ポリマー(b1)を用いて、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法などの方法により成形と同時に積層する方法があげられる。この方法では、未加硫成形体であるゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを同時に積層できるため、ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)とを密着させる工程が特に必要ではなく、また、後の加硫工程において強固な接着を得るのに好適である。
【0132】
本発明の積層体は、未加硫のゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との積層体であってもよいが、さらにこの未加硫積層体を加硫することにより、強固な層間接着力が得られる。
【0133】
すなわち本発明は、本発明の未加硫積層体を加硫処理して得られる加硫ゴム層(A1)とフッ素樹脂層(B)が加硫接着されている加硫積層体にも関する。
【0134】
加硫処理は、従来公知の加硫用ゴム組成物の加硫方法と条件が採用できる。たとえば、未加硫積層体を長時間加硫する方法、未加硫積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理をし(加硫も生じている)、ついで長時間かけて加硫を行う方法がある。これらのうち、未加硫積層体を比較的単時間で前処理としての熱処理をし、ついで長時間かけて加硫を行う方法が、前処理でゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との密着性が容易に得られ、また、前処理で既にゴム層(A)が加硫しており形状が安定化しているので、その後の加硫における積層体の保持方法をさまざまに選択することができるので好適である。
【0135】
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、130〜260℃で、10分〜80時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160〜230℃で、20分〜80時間かけて行う。
【0136】
前処理の加熱条件も特に制限されないが、100〜170℃で、30秒〜1時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。
【0137】
得られる加硫積層体では加硫ゴム層(A1)とフッ素樹脂層(B)が加硫接着しており、強固な層間接着力が生じている。
【0138】
本発明の積層体(未加硫積層体および加硫積層体)は、ゴム層(A、A1。以下、ゴム層(A)を代表とする)とフッ素樹脂層(B)の2層構造でもよいし、(A)−(B)−(A)または(B)−(A)−(B)といった3層構造でもよい。さらに、ゴム層(A)およびフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)が接着された3層以上の多層構造であってもよい。
【0139】
ポリマー層(C)としては、ゴム層(A)以外のゴム層(C1)、フッ素樹脂層(B)以外の樹脂層(C2)、さらには繊維補強層などでもよい。また、ポリマー層(C)を介して、ゴム層(A)および/またはフッ素樹脂層(B)をさらに積層させてもよい。
【0140】
ゴム層(C1)の材料としては、フッ素樹脂層(B)と直接接着されているゴム層(A)として使用したゴム以外のゴムがあげられ、フッ素ゴムでも非フッ素ゴムでもよい。具体例は、未加硫ゴム(a1)の例としてあげたものが例示できる。
【0141】
なお、ゴム層(C1)を形成する未加硫ゴム組成物中にも、加硫剤(a6)や、その他の配合剤を配合してもよい。
【0142】
樹脂層(C2)の材料としては、フッ素樹脂(フッ素樹脂層(B)を除く)、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、セルロース系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド樹脂などの機械的強度に優れた樹脂や、エチレン/ビニルアルコール共重合体からなる樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド(PPA)などの燃料や気体の透過性が低い樹脂(以下、低透過性樹脂ということもある)があげられる。なかでも成形性、接着性が良好な点からポリアミド樹脂が好ましい。積層体として加硫処理に供される場合は、樹脂の融点が熱処理の温度よりも高いことが望ましい。
【0143】
つぎに本発明の積層体の層構造について説明する。
【0144】
(1)ゴム層(A)−フッ素樹脂層(B)の2層構造
基本構造であり、上述したとおり、従来、フッ素樹脂層(B)とゴム層(A)を積層させるには、層間(フッ素樹脂層−ゴム層)の接着が不充分なため、樹脂側において表面処理を施したり、別途接着剤を層間に塗布したり、テープ状のフィルムを巻き付けて固定したりなどと工程が複雑になりがちであったが、そのような複雑な工程を組まずに、加硫することにより加硫接着が起こり化学的に強固な接着が得られる。
【0145】
(2)ゴム層−フッ素樹脂層(B)−ゴム層の3層構造
(A)−(B)−(A)および(A)−(B)−(C1)がある。シール性が要求される場合、たとえば燃料配管などの接合部は、シール性保持のためにゴム層を両側に配置することが望ましい。内外層のゴム層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
【0146】
また、燃料配管を(A)−(B)−(C1)型構造とし、ゴム層(A)として非フッ素ゴム層を、ゴム層(C1)としてフッ素ゴム層を設け、フッ素ゴム層(C1)を配管の内層にすることにより、耐薬品性、燃料低透過性が向上する。
【0147】
(3)樹脂層−ゴム層(A)−樹脂層の3層構造
(B)−(A)−(B)および(B)−(A)−(C2)がある。
内外層のゴム層は同じ種類であっても、違う種類であっても良い。
【0148】
樹脂層を両側に配置することで形状が安定する。また、耐薬品性が重視される場合に好適である。さらにそれぞれの側に別の機械特性を要求されるような場合は、(B)−(A)−(C2)型であっても良い。
【0149】
(4)樹脂層(C2)−フッ素樹脂層(B)−ゴム層(A)の3層構造
【0150】
(5)フッ素樹脂層(B)−ゴム層(A)−ゴム層(C1)の3層構造
【0151】
(6)4層構造以上
(2)〜(5)の3層構造に加えて、さらに任意のゴム層(A)または(C1)、樹脂層(B)または(C2)を目的に応じて積層してもよい。また、金属箔などの層を設けてもよいし、ゴム層(A)とフッ素樹脂層(B)との層間以外には接着剤層を介在させてもよい。
【0152】
またさらに、ポリマー層(C)と積層してライニング体とすることもできる。
【0153】
なお、各層の厚さ、形状などは、使用目的、使用形態などによって適宜選定すればよい。
【0154】
本発明の積層体、特に加硫積層体は、燃料低透過性に優れるほか、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性に優れており、また、苛酷な条件下での使用に充分耐えうるものであり、各種の用途に使用可能である。
【0155】
たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系など、駆動系のトランスミッション系など、シャーシのステアリング系、ブレーキ系など、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線などとして好適な特性を備えている。
【0156】
具体的には、以下に列記する用途に使用可能である。
【0157】
エンジン本体の、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、O−リング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール、コントロールホースなどのホース、エンジンマウントの防振ゴム、水素貯蔵システム内の高圧弁用シール材など。
【0158】
主運動系の、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなど。
【0159】
動弁系の、エンジンバルブのバルブステムシールなど。
【0160】
潤滑・冷却系の、エンジンオイルクーラーのエンジンオイルクーラーホース、オイルリターンホース、シールガスケットなどや、ラジエータ周辺のウォーターホース、バキュームポンプのバキュームポンプオイルホースなど。
【0161】
燃料系の、燃料ポンプのオイルシール、ダイヤフラム、バルブなど、フィラー(ネック)ホース、燃料供給ホース、燃料リターンホース、ベーパー(エバポ)ホースなどの燃料ホース、燃料タンクのインタンクホース、フィラーシール、タンクパッキン、インタンクフューエルポンプマウントなど、燃料配管チューブのチューブ本体やコネクターO−リングなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターO−リング、プレッシャーレギュレーターダイヤフラム、チェックバルブ類など、キャブレターのニードルバルブ花弁、加速ポンプピストン、フランジガスケット、コントロールホースなど、複合空気制御装置(CAC)のバルブシート、ダイヤフラムなど。
【0162】
吸気・排気系の、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキンなど、EGR(排気際循環)のダイヤフラム、コントロールホース、エミッションコントロールホースなど、BPTのダイヤフラムなど、ABバルブのアフターバーン防止バルブシートなど、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージャーのターボオイルホース(供給)、ターボオイルホース(リターン)、ターボエアホース、インタークーラーホース、タービンシャフトシールなど。
【0163】
トランスミッション系の、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、O−リング、パッキン、トルコンホースなど、ATのミッションオイルホース、ATFホース、O−リング、パッキン類など。
【0164】
ステアリング系の、パワーステアリングオイルホースなど。
【0165】
ブレーキ系の、オイルシール、O−リング、パッキン、ブレーキオイルホースなど、マスターバックの大気弁、真空弁、ダイヤフラムなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類など。
【0166】
基本電装部品の、電線(ハーネス)の絶縁体やシースなど、ハーネス外装部品のチューブなど。
【0167】
制御系電装部品の、各種センサー線の被覆材料など。
【0168】
装備電装部品の、カーエアコンのO−リング、パッキン、クーラーホース、外装品のワイパーブレードなど。
【0169】
また自動車用以外では、たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレードなどへの用途に好適である。たとえば、PTFEダイヤフラムのバックアップゴム材は滑り性が悪いため、使用している間にすり減ったり、破れたりする問題があったが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。
【0170】
また、食品ゴムシール材用途においては、従来ゴムシール材において着香性やゴムの欠片などが食品中に混入するトラブルがあるが、本発明の積層体を用いることにより、この問題を改善でき、好適に使用できる。医薬・ケミカル用途のゴムシール材溶剤を使用する配管のシール材としてゴム材料は溶剤に膨潤する問題があるが、本発明の積層体を用いることにより、樹脂を被覆する事で改善される。一般工業分野では、ゴム材料の強度、すべり性、耐薬品性、透過性を改善する目的において、たとえば、ゴムロール、O−リング、パッキン、シール材等に好適に用いることができる。特に、リチウムイオン電池のパッキン用途には耐薬品性とシールの両方を同時に維持できることから好適に使用できる。その他、低摩擦による摺動性が要求される用途においては、好適に使用できる。
【0171】
これらの中でも、特に本発明の積層体は、耐熱性、燃料低透過性の点で、燃料配管に用いられることが好ましい。すなわち、本発明は、前記積層体からなる燃料配管でもある。
【0172】
本発明の積層体からなる燃料配管は通常の方法によって製造することができ、特に制限されることはない。また、本発明の燃料配管には、コルゲートチューブも含まれる。
【実施例】
【0173】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0174】
以下、実施例および比較例において使用するフッ素樹脂およびその測定方法について記載する。
【0175】
(1)ポリマーの組成
19F−NMR分析により測定した。
【0176】
(2)融点
セイコー型DSC装置を用い、10℃/min.の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点とした。
【0177】
(3)MFR(Melt Flow Rate)
メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、各種温度、5kg加重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定した。
【0178】
(4)単層の燃料透過係数の測定
樹脂ペレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、300℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.15mmのシートを得た。CE10(イソオクタンとトルエンとの容量比50:50の混合物にエタノール10容量%を混合した燃料)を18mL投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の透過係数測定用カップに得られたシートを入れ、60℃における質量変化を1000時間まで測定した。時間あたりの質量変化、接液部のシートの表面積およびシートの厚さから燃料透過係数(g・mm/m/day)を算出した。
【0179】
合成例1(フッ素樹脂(1)の合成)
水174kgを収容できるジャケット付撹拌式重合槽に、脱ミネラルした純水を51.5kg仕込み、内部空間を純窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスを真空で排除した。次いでオクタフルオロシクロブタンを40.6kg、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を1.3kg、テトラフルオロエチレン(TFE)を4.5kg、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を2.8kg圧入した。連鎖移動剤としてn−プロピルアルコール(PrOH)を0.075kg添加して、温度を35℃に調節し、撹拌を開始した。ここへ重合開始剤としてジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)の50質量%メタノール溶液を0.44kg添加して重合を開始した。重合中には、得られる共重合体組成と同じ組成(単量体割合)に調製した混合モノマーを、槽内圧力が0.66MPaを維持するように追加仕込みしながら重合した後、槽内の残存ガスを排気して生成したポリマーを取り出し、脱ミネラルした純水で洗浄し、乾燥させて30.5kgの粒状粉末のCTFE系共重合体を得た。次いでφ50mm短軸押出し機を用いてシリンダー温度290℃で溶融混練を行い、ペレットを得た。次いで得られたペレット状のCTFE系共重合体を205℃で8時間加熱した。得られたポリマーの物性を表2に示す。また、主鎖炭素10個に対する官能基の個数は180個であった。
【0180】
合成例2(フッ素樹脂(2)の合成)
水174kgを収容できるジャケット付撹拌式重合槽に、脱ミネラルした純水を51.5kg仕込み、内部空間を純窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスを真空で排除した。次いでオクタフルオロシクロブタンを40.6kg、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を2.0kg、テトラフルオロエチレン(TFE)を6.6kg、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を4.2kg圧入した。連鎖移動剤としてn−プロピルアルコール(PrOH)を0.098kg添加して、温度を35℃に調節し、撹拌を開始した。ここへ重合開始剤としてジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)の50質量%メタノール溶液を0.13kg添加して重合を開始した。重合中には、得られる共重合体組成と同じ組成(単量体割合)に調製した混合モノマーを、槽内圧力が0.80MPaを維持するように追加仕込みしながら重合した後、槽内の残存ガスを排気して生成したポリマーを取り出し、脱ミネラルした純水で洗浄し、乾燥させて30.5kgの粒状粉末のCTFE系共重合体を得た。次いでφ50mm短軸押出し機を用いてシリンダー温度320℃で溶融混練を行い、ペレットを得た。次いで得られたペレット状のCTFE系共重合体を190℃で12時間加熱した。得られたポリマーの物性を表2に示す。また、主鎖炭素10個に対する官能基の個数は30個であった。
【0181】
以下、実施例および比較例中の各フッ素樹脂は、下記表2に示すものである。
【0182】
【表2】

【0183】
(加硫用ゴム組成物A〜J及びa〜e)
下記表3に示す材料を、8インチオープンロールを用いて混練することにより、約3mmの厚みのシート状の加硫用ゴム組成物A〜J及びa〜eを得た。なお、表3の各数値は質量部を表す。
また、加硫用ゴム組成物A〜J及びa〜eに対して、キュラストメーターII型(型番:JSRキュラストメーター、JSR社製)を用いて、160℃にて最大トルク値(M)と最小トルク値(M)を測定し、誘導時間T10と最適加硫時間T90を求めた。M及びMは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。測定結果を表4に示す。
【0184】
【表3】

【0185】
【表4】

【0186】
(実施例1〜10及び比較例1〜5)
厚さ約3mmの表3に示す加硫用ゴム組成物のシートと、表2に示す厚みのフッ素樹脂シートを重ね合わせ、片方の端部に幅約10〜15mmのフッ素樹脂フィルム(厚さ10μm、ダイキン工業(株)製、商品名:ポリフロンPTFE M731スカイブフィルム)を両シートの間に挟んだ後、得られるシートが厚み2mmになるよう金属製スペーサーを入れた金型に挿入し、160℃で45分間プレスすることにより、シート状の積層体を得た。
得られた積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、フッ素樹脂のシートを剥がして掴みしろとした試験片を作製した。この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS K 6256(架橋ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/minの引張速度で剥離試験を行い、接着強度を測定し、得られたN=3のデータの平均値を算出し、接着強度とした。また、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。得られた結果を表5に示す。
【0187】
(接着評価)
○…積層体の界面で加硫用ゴム組成物あるいはフッ素樹脂が材料破壊し、界面で剥離するのが不可能であった。
×…積層体の界面で比較的容易に剥離した。
【0188】
【表5】

【0189】
(実施例11)
加硫用ゴム組成物、フッ素樹脂を、押出成形機を用いて連続的に押出成形した。内層材料として加硫用ゴム組成物A、中間層材料としてフッ素樹脂(1)、外層材料として加硫用ゴム組成物Aを用いた。また、成形ラインに追従させて通す芯材としては、直径24.4mmのダイテピックマンドレル(三菱電線工業(株)製)を使用した。加硫用ゴム組成物A、フッ素樹脂(1)を押出成形して得られた成形品は、加硫缶を用いて蒸気加硫し、上述の3層構成からなる燃料用ホースを得た。また、CE10を得られた燃料用ホース内部に封入し、60℃における質量変化からその透過係数を測定したところ、0.4g/m・dayであった。
なお、押出成形時の各成形条件、蒸気加硫条件は下記の通りである。
【0190】
1)内層NBR及び外層NBR押出機設定
スクリュー温調:60℃
シリンダー1:70℃
シリンダー2:70℃
ヘッド:80℃
成形品の厚み:内層、外層とも2.4mm
【0191】
2)中間層フッ素樹脂押出機設定
シリンダー1:260℃
シリンダー2:265℃
シリンダー3:270℃
シェルクランプ:270℃
ネック:270℃
ダイ:270℃
ヘッド:270℃
成形品の厚み:0.15mm
【0192】
3)成形品の蒸気加硫条件
160℃×60分
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明の積層体、特に加硫積層体は、燃料低透過性に優れるほか、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性に優れており、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系など、駆動系のトランスミッション系など、シャーシのステアリング系、ブレーキ系など、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線等に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム層(A)と、ゴム層(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)と、を備える積層体であって、
ゴム層(A)は、加硫用ゴム組成物から形成される層であり、
加硫用ゴム組成物は、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素化物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、並びに、アクリル系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種である未加硫ゴム(a1)、
1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、
ジチオカルバミン酸銅塩、アルデヒド−アミン系化合物、及び、金属水和物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a3)、
酸化マグネシウム(a4)、並びに、
シリカ(a5)を含有し、
フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層であり、
フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有する
ことを特徴とする積層体。
【請求項2】
加硫用ゴム組成物は、更に、
硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤(a6)を含有する請求項1記載の積層体。
【請求項3】
加硫用ゴム組成物は、更に、
チアゾール系金属塩(a7)を含有する請求項1又は2記載の積層体。
【請求項4】
未加硫ゴム(a1)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素化物である請求項1、2又は3記載の積層体。
【請求項5】
化合物(a2)は、
1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1、2、3又は4記載の積層体。
【請求項6】
フッ素ポリマー(b1)は、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体である請求項1、2、3、4又は5記載の積層体。
【請求項7】
フッ素樹脂層(B)の両側にゴム層(A)が積層されている請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
【請求項8】
ゴム層(A)の両側にフッ素樹脂層(B)が積層されている請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
【請求項9】
更に、ゴム層(A)上又はフッ素樹脂層(B)上に、ゴム層(A)およびフッ素樹脂層(B)以外のポリマー層(C)を含む請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の積層体。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の積層体を加硫処理して得られ、
加硫ゴム層(A1)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されていることを特徴とする積層体。

【公開番号】特開2013−99935(P2013−99935A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222958(P2012−222958)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】