説明

管理機

【課題】ロータリーカバーに均平板を簡単な構造で取り付けられ、均平作業と畝立て作業とを容易に切り替えられるようにする技術を提供することを課題とする。
【解決手段】前記ロータリーカバー23の後端辺に、左右方向に所定間隔をあけて側面視略U字状のカバー側掛止部23a・23b・23cを設け、均平板51の前端辺に、前記カバー側掛止部23a(23b)(23c)とカバー側掛止部23a(23b)(23c)との間に配置される側面視略逆U字状の均平板側掛止部52b・52c・53cを設け、前記カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cとを支点軸55により着脱可能に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理機の後部に装着したローター耕耘装置の後部に設ける均平板の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圃場における耕耘作業等においては、複数の耕耘爪からなるロータリーを備えたローター耕耘装置を機体後部に装着し、該ローター耕耘装置の後部に均平板を装着した歩行型の管理機が知られている。
前記管理機では、ロータリーの上方を覆うロータリーカバーの後部にヒンジ部品を設け、該ヒンジ部品を介して上下回動自在にリヤカバーを設けたうえで、該リヤカバーに均平板を連設する構造のものが知られており、作業者は耕耘作業に際して、機体を前進させると同時に、均平板によって圃場の表層部を均し、整地する(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2709780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、前記「特許文献1」に示すような管理機の場合、リヤカバーはヒンジ部品を介して取り付けられるものであり、均平板はリヤカバーの後端に固定部材により取り付けられるものであるため、均平作業を行うには別途均平板が必要であり、取付作業が必要となる。また、畝立て作業を行うには均平板を取り外して、畝立て作業機を取り付ける必要がある。また、リヤカバーを取り付けるためにはヒンジ部品が必要であり、工具を用いて取り付けが行われていた。
そこで、本発明においては、ロータリーカバーに均平板を簡単な構造で取り付けられ、均平作業と畝立て作業とを容易に切り替えられるようにする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、走行部の後部にローター耕耘装置を配設し、該ローター耕耘装置のロータリーの上方を覆うロータリーカバーを備える管理機において、前記ロータリーカバーの後端辺に、左右方向に所定間隔をあけて側面視略U字状のカバー側掛止部を設け、均平板の前端辺に、前記カバー側掛止部とカバー側掛止部との間に配置される側面視略逆U字状の均平板側掛止部を設け、前記カバー側掛止部と均平板側掛止部とを支点軸により着脱可能に支持するものである。
【0007】
請求項2においては、前記均平板は、機体左右中央に配設される第一均平板と、前記第一均平板の左右両側に配置され、前記第一均平板に対して回動自在に支持される第二均平板と、により構成し、前記支点軸は軸心方向に摺動自在に配設され、前記第二均平板に設けた均平板側掛止部より前記支点軸を抜脱することで、前記第二均平板は機体後方に回動可能となるものである。
【0008】
請求項3においては、前記ローター耕耘装置の後部において、上下摺動可能に設けた耕深調節バーの下端部に固定部材を設け、該固定部材を前記均平板の後面下端部に固定可能に構成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、別途ヒンジ部材を必要とせず、簡単な構造で容易に均平板をロータリーカバーに取り付けることが可能となり、コスト低減化も図れる。
【0011】
請求項2においては、畝立て作業機を別途用意して取り付ける必要がなく、工具を必要とせず容易に耕耘作業と畝立て作業との切替が可能となる。
【0012】
請求項3においては、工具を必要とせず容易に畝立て作業機の形状に変更できるようになり、耕耘作業と畝立て作業とを容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る管理機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】均平板の全体的な構成を示した背面図。
【図3】均平板の左側部の構成を示した背面図。
【図4】均平板上部の支点軸近傍の断面を示した図であり(a)は図3における矢視A−A’から見た断面側面図、(b)は同じく矢視B−B’から見た断面側面図、(c)は同じく矢視C−C’から見た断面側面図、(d)は同じく矢視D−D’から見た断面側面図、(e)は同じく矢視E−E’から見た断面側面図、(f)は同じく矢視F−F’から見た断面側面図、(g)は同じく矢視G−G’から見た断面側面図。
【図5】同じく支点軸の摺動状態を示した背面図。
【図6】均平板の折曲状態を示した背面図。
【図7】耕耘作業部近傍を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明の実施の形態を説明する。
[管理機1の全体構成]
まず、本実施例に係る管理機1の全体構成について、図1を用いて説明する。
管理機1は前後中央にミッション部2、その前部に原動機部3、その後部にローター耕耘装置5を配設している。ミッション部2は側面視略へ字状に形成され、該ミッション部2の前側下部を走行部4とし、該ミッション部2の前後中央上部からハンドル26が後部上方へ延設されて、該ハンドル26後部を操作部6としている。
【0015】
前記ミッション部2の左側面には入力軸11が突設され、前記ミッション部2内部には変速機構が収納され、原動機部3の駆動力が前記入力軸11に伝えられ、変速機構を介して走行部4やローター耕耘装置5に伝達されるようになっている。
【0016】
前記原動機部3は、ミッション部2の前部に取付けられる原動機載置台12や、該原動機載置台12の上部に載設される原動機13等により構成される。
【0017】
前記走行部4は、ミッション部2の前下部に左右水平方向に支持される車軸16・16や、該車軸16・16の左右両端部に固設される車輪17・17等により構成される。
【0018】
前記ローター耕耘装置5は、ミッション部2の後下部に左右水平方向に支持される耕耘爪軸18や、該耕耘爪軸18上に植設される複数の耕耘爪20・20・・・や、ロータリーカバー23等により構成される。また、該耕耘爪軸18と複数の耕耘爪20・20・・・とによりロータリー21が構成される。
【0019】
前記ロータリーカバー23は耕耘爪20・20・・・の回動軌跡22の上方を覆い、該ロータリーカバー23の後部には、後述する均平板51が支点軸55を介して前後揺動自在に吊設される。
【0020】
前記ミッション部2の後部上からは支持ブラケット24が後上方に向かって延設され、該支持ブラケット24に耕深調節バー25が上下位置調節可能に取り付けられている。該耕深調節バー25は、ローター耕耘装置5により作業を行う時に耕耘深さを調節するためのものであり、また、左右中央部の残耕部分を耕起処理する残耕処理具としての機能をも有している。
【0021】
耕深調節バー25の下端部には、後方に突出する底板19が設けられ、該底板19の後端部には、固定部材56が設けられている。該固定部材56は、均平板51の左右中央の下端部を固定するためのものである。
【0022】
前記操作部6は、平面視略門型状に形成され、前部がミッション部2の前後中央部に固設されるハンドル26と、該ハンドル26の後端部に取り付けられるクラッチレバー27と、ミッション部2の前後中央部より後上方に突出される変速レバー28等を備える。
【0023】
[均平板51]
次に、本発明に係る均平板51の詳細について、図2乃至図4を用いて説明する。なお、図4における矢印Zは前方を示すものであり、以下これに基づいて左右方向を規定する。
【0024】
均平板51は、ロータリーカバー23の後端辺に取り付けられる。即ち、ロータリーカバー23の後端辺には左右方向に所定間隔をあけて側面視略U字状に形成したカバー側掛止部23a・23b・23cが設けられ、均平板51の前端辺には、側面視略逆U字状に形成した均平板側掛止部52b・52c・53cが所定間隔をあけて設けられる。
【0025】
前記カバー側掛止部23a・23b・23cとカバー側掛止部23a・23b・23cとの間には均平板側掛止部52b・52c・53cが配置される。言い換えれば、取り付け状態において、カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cは交互に配置される。
【0026】
こうして前記カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cとを交互に左右方向の軸心を一致させた状態で支点軸55を挿入することにより、ロータリーカバー23の後部に均平板51を前後(上下)回動自在に支持することが可能となる。
【0027】
そして、前記支点軸55を、これらカバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cとから外すことにより、均平板51をロータリーカバー23から取り外すことが可能であり、均平板51をロータリーカバー23より容易に着脱することができるのである。
【0028】
図2に示すように、前記均平板51は、機体左右中央に配設される第一均平板52と、該第一均平板52の左右両側に配設される第二均平板53R・53Lとにより構成される。
まず、第一均平板52について、説明する。
第一均平板52は後面視逆台形状に形成される板部材からなる。該第一均平板52は本実施例では左右に分割され、左右対称に構成されているので、左側の第一均平板52について説明する。
なお、本実施例においては、第一均平板52を左右中央で分割した構成としているが、これに限定されるものではなく、一体として形成してもよい。
【0029】
第一均平板52の機体左右方向外側の側辺(斜辺)の上下中途には、筒状のヒンジ部材(筒状部材)52aが設けられ、該第一均平板52の上側辺には、機体左右中央側に第一均平板側掛止部52bが設けられ、該第一均平板側掛止部52bから所定間隔をあけて第二均平板側掛止部52cが設けられている。
【0030】
図3、図4(a)に示すように、第一均平板側掛止部52bは、第一均平板52の機体左右中央側の上側辺から矩形片を上方に突出して側面視略U字状に折り曲げ形成され、前方が開放する構成とし、その内部空間には後述する支点軸55を収納できる大きさとしている。つまり、第一均平板側掛止部52bの曲率半径は支点軸55の半径よりも若干大きく構成している。
【0031】
また、第二均平板側掛止部52cは、図4(c)に示すように、第一均平板52の機体左右外側の上側辺から矩形片を上方に突出して側面視略L字状に後方に折り曲げ形成されている。この屈曲部の曲率半径は支点軸55の半径よりも若干大きく構成している。
【0032】
このように、第一均平板52の上側辺には、第一均平板側掛止部52bと、第二均平板側掛止部52cとが設けられ、この均平板側掛止部52b・52cの湾曲部(あるいは屈曲部)の湾曲中心は、機体左右水平方向に延出する同一直線上となるように配設されている。
【0033】
次に、第二均平板53R・53Lについて説明する。
第二均平板53R・53Lは板材を略台形状に形成され、機体左右中央側に斜辺を有する構成とし、該斜辺の角度、及び長さは前記第一均平板52の斜辺の角度、及び長さと略一致させて、均平板51全体として長方形となる形状としている。
【0034】
左右両側の第二均平板53R・53Lは、機体中央に対して互いに左右対称となるように形成されるため、以下左側の第二均平板53Lについて詳述し、右側の第二均平板53Rの説明は省略する。
【0035】
前記第二均平板53Lの斜辺の中途には、二個の筒状部材53a・53aが所定間隔をあけて固設される。該筒状部材53a・53aの間隔は前記第一均平板52に設けられる筒状部材52aの両側に位置するように配設されるとともに、該筒状部材53a・53aと筒状部材52aの内径は略同一として同一軸心上に配設して回動軸54を挿入し、第二均平板53Lが第一均平板52に対して回動自在に連結されている。
【0036】
前記回動軸54の両端部(或いは、一方の端部)には、付勢手段としての捻りコイルバネ30・30が、前記回動軸54上に設けられ、該捻りコイルバネ30・30により第二均平板53Lが機体前方に回動するように付勢されている。
【0037】
第二均平板53Lの上側辺の左右中央には、第三均平板側掛止部53cが設けられる。
つまり、前記第三均平板側掛止部53cは、図4(e)に示すように、第二均平板53Lの上側辺の左右中央より矩形片を上方に突出して側面視逆U状に下方が開放するように湾曲して形成され、その折り曲げ部(湾曲部)の曲率半径は、支点軸55の半径よりも僅かに大きくなるように形成される。
【0038】
また、第三均平板側掛止部53cの湾曲部の湾曲中心は、機体左右水平方向となるようにして設けられ、前記均平板側掛止部52b・52cの湾曲中心と略同一直線上となるように配設される。
【0039】
[均平板51の取付構造]
次に、前記均平板51の取付構造の詳細について、図2乃至図6を用いて説明する。
ロータリーカバー23の後下側辺には、機体中央から外方に向けて、第一カバー側掛止部23a・23aと、第二カバー側掛止部23b・23bと、第三カバー側掛止部23c・23cとが各々左右対称に設けられている。
【0040】
第一カバー側掛止部23a・23aは、図4(b)に示すように、ロータリーカバー23の後下側辺の左右中央部において、側面視略U字状に前方が開放するように折り曲げ形成され、この折り曲げ部の曲率半径は支点軸55の半径よりも僅かに大きくなるように形成される。前記第一カバー側掛止部23aは前記第一均平板側掛止部52bと第二均平板側掛止部52cとの間に配置される。
【0041】
また、第三カバー側掛止部23cは、ロータリーカバー23の後下側辺の最外側に配置され、その機体内側に所定間隔をあけて第二カバー側掛止部23bが配置される。つまり、該第二カバー側掛止部23bと第三カバー側掛止部23cの間に第三均平板側掛止部53cが配置される。
【0042】
第二カバー側掛止部23b及び第三カバー側掛止部23cは、図4(d)、及び図4(f)に示すように、ロータリーカバー23の後下辺側部から側面視略U状に上方が開放されるように湾曲して形成され、その湾曲部の曲率半径は、支点軸55の半径よりも僅かに大きくなるように形成される。
【0043】
このように、ロータリーカバー23の後下側辺には、第一カバー側掛止部23a・23aと、第二カバー側掛止部23b・23bと、第三カバー側掛止部23c・23cとが、機体中央に対して左右対称に設けられ、これらカバー側掛止部23a・23a・23b・23b・23c・23cに形成される湾曲部の湾曲中心は、機体左右水平方向に同一直線上に配設される。
【0044】
次に、支点軸55について説明する。
支点軸55は丸棒部材からなり、左右二本の支点軸55が各々カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cの湾曲部の中心を一致させた状態で、その中心部に配設され、ロータリーカバー23の後部に均平板51の上部を枢支する構成としている。
【0045】
前記支点軸55の長手方向中央部には直角方向に突出する把持部55aが形成され、該把持部55aは取り付け状態において、第二均平板側掛止部52cが配設される部分に位置するように構成される。
【0046】
つまり、ロータリーカバー23の後下側辺の左側(或いは、右側)において、第三カバー側掛止部23cと、第二カバー側掛止部23bとの間に、第二均平板53L(53R)に設けられる第三均平板側掛止部53cが配設され、第二カバー側掛止部23bと、第一カバー側掛止部23aとの間に、第二均平板側掛止部52cが配設され、第一カバー側掛止部23aの機体中央側の側方に、第一均平板側掛止部52bが配設される。
【0047】
そして、これらカバー側掛止部23a・23b・23cと、均平板側掛止部52b・52c・53cとが、交互に配置されることで支点軸55によって、均平板51はロータリーカバー23の後下端部に吊設されるのである。
【0048】
つまり、カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cは従来のパイプを溶接したりネジ等で固定するヒンジを用いることなく、ロータリーカバー23の後下端部、及び、均平板51の上端部に左右方向交互に突片を設けて、該突片を互いに反対方向に略U字状に折り曲げ形成してカバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cを形成することで、互いに支点軸55に引っ掛けることとなり、ロータリーカバー23の後下端部に均平板51の上端部を揺動自在に係止できるようになるのである。
【0049】
そして、カバー側掛止部23a・23b・23cに支点軸55を係止した状態で、均平板51をロータリーカバー23の後部に対して略直角の状態で着脱することが可能となる。この状態は作業においては回動しない位置となるので、通常の作業時において均平板51は外れることはないのである。
【0050】
なお、支点軸55の長手方向の寸法は、機体左右中央から均平板51の左右両側部までの距離に比べて短く形成されており、詳しくは、支点軸55の一端部を機体左右中央に位置させた場合に、他端部は、前記第二カバー側掛止部23bの機体外方の側部に位置するように形成されている。
【0051】
そして、支点軸55は把持部55aが第二カバー側掛止部23bと第一カバー側掛止部23aとの間の左右幅の範囲で左右摺動可能となっており、外側(図3において左側)に把持部55aを位置させた(図5上段に示す)状態では、支点軸55はカバー側掛止部23a・23b・23cと、均平板側掛止部52b・52c・53cに係止された状態となっており、第一均平板52と第二均平板53R・53Lは一体的に前後回動する。
【0052】
次に、把持部55aを内側(図3において右側)に把持部55aを位置させた(図5下段に示す)状態では、支点軸55は、第三カバー側掛止部23cと第三均平板側掛止部53cから外れ、カバー側掛止部23a・23bと均平板側掛止部52b・52cに係止された状態となっており、第二均平板53R・53Lは回動軸54・54を中心に後方に回動可能となる。
【0053】
そして、ロータリーカバー23の後下部の後面において、前記第二均平板側掛止部52cの近傍には、支点軸55がカバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cとを係止した位置で前記把持部55aを固定するための固定手段29が設けられている。
【0054】
即ち、図3に示すように、前記固定手段29は、後方に突出する二枚の板部材29a・29aと、ボルトや丸棒部材等からなるロックピン29bと、により構成されており、前記板部材29a・29aには予め機体左右方向に貫通する貫通孔が設けられている。
【0055】
そして、把持部55aを前記板部材29a・29aの間に配設し、該把持部55aの外側の位置でロックピン29bを前記板部材29a・29aに挿入して固定することで、該把持部55aは支点軸55の軸心を中心に回転することができないため固定でき、支点軸55は軸心方向に摺動することができなくなるのである。
【0056】
なお、固定手段29の構成は、本実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、クランプ機構等を設けて把持部55aを上方に延出する姿勢に保持するものであってもよく、また、支点軸55の軸方向への摺動動作を保持する機構であればよい。
【0057】
このように、本発明においては、走行部4の後部にローター耕耘装置5を配設し、該ローター耕耘装置5のロータリー21の上方を覆うロータリーカバー23を備える管理機1において、前記ロータリーカバー23の後端辺に、左右方向に所定間隔をあけて側面視略U字状のカバー側掛止部23a・23b・23cを設け、均平板51の前端辺に、前記カバー側掛止部23a(23b)(23c)とカバー側掛止部23a(23b)(23c)との間に配置される側面視略逆U字状の均平板側掛止部52b・52c・53cを設け、前記カバー側掛止部23a・23b・23cと均平板側掛止部52b・52c・53cとを支点軸55により着脱可能に支持することとしている。
【0058】
このような構成を有することで、従来ではロータリーカバー23の後部に均平板51を設けるには、ヒンジ部品が必要となり、部品点数が増し、コストのかかるものであったが、本発明によれば、ロータリーカバー23と均平板51とに予め形成された複数の掛止部23a・・・52b・・・を介して、ボルト等用いることなく支点軸55のみを用いて均平板51をロータリーカバー23に取付けることができる。従って、少ない部品点数で取付構造を実現でき、組付け工数の低減化が図られ経済的である。
【0059】
また、本発明においては、前記均平板51は機体左右中央に配設される第一均平板52と、前記第一均平板52の左右両側に配置され、前記第一均平板52に対して回動自在に支持される第二均平板53R・53Lと、により構成し、前記支点軸55は軸心方向に摺動自在に配設され、前記第二均平板53R・53Lに設けた第三均平板側掛止部53cより前記支点軸55を抜脱することで、前記第二均平板53R・53Lは機体後方に回動可能となることとしている。
【0060】
このような構成とすることで、畝立て用の部品を別途設けることなく、耕耘時に用いる均平板51によって畝立て作業を行うことが可能となる。その結果、工具を必要とせず容易に耕耘作業と畝立て作業との切換えが可能となる。
【0061】
即ち、工具等を用いてヒンジ部品を着脱する等の作業も必要なく、支点軸55を軸心方向に摺動させて、第三均平板側掛止部53cから該支点軸55を抜脱するだけで、容易に左右両側の第二均平板53R・53Lを各々後方に回動させることが可能となる。その結果、このような状態からなる均平板51によって圃場の表層部を均し、整地することで、土壌に押されて捻りコイルバネ30・30・・・の付勢力に抗して第二均平板53L・53Rが後方へと回動され、均平板51全体の形状は正面視逆台形状となり、機体左右両側に畝立てを形成することができるのである。
【0062】
[均平板51の固定構造]
次に、本発明に係る均平板51による均平作業時に、該均平板51を下方に向けた状態で固定するための固定構造の詳細について、図7を用いて説明する。
均平板51の固定手段は耕深調節バー25の下端部に設けられる。
【0063】
前記耕深調節バー25は上下方向に延出する棒状部材より形成され、支持ブラケット24に、下方から摺動自在に挿通される。耕深調節バー25の前面部には、側面視半円形状の凹部が一定間隔を有して複数設けられており、該凹部の一部が、支持ブラケット24の側面を左右方向に貫設する固定ピン9によって掛止されることで、耕深調節バー25は支持ブラケット24に固定保持される。
【0064】
耕深調節バー25の下端部には、平板状の底板19が、後方に向かって突設される。前記底板19は平面視にて前方に向かって窄む台形状に形成され、側面視にて耕深調節バー25と略直角方向に溶着されている。
【0065】
底板19の後端部の左右中央には、上方に突設する固定部材56が溶着されており(図2、図6を参照)、耕深調節バー25を最下位置から上方に摺動させることで、固定部材56も一体となって上方へと移動し、均平板51の後面下端部、即ち第二均平板53・53の後面下端部に前記固定部材56が掛止され、均平板51が固定保持される。そして、畝立て作業時に土壌に押されて、均平板51が後上方へと浮上らないような構成となっている。
【0066】
このように、本発明においては、前記ローター耕耘装置5の後部において、上下摺動可能に設けた耕深調節バー25の下端部に固定部材56を設け、該固定部材56を前記均平板51の後面下端部に固定可能に構成することとしている。
【0067】
このような構成とすることで、他に別途機構を設けることもなく簡単な構造によって、均平板51を固定保持することができ経済的である。
【符号の説明】
【0068】
1 管理機
4 走行部
5 ローター耕耘装置
21 ロータリー
23 ロータリーカバー
23a 第一カバー側掛止部
23b 第二カバー側掛止部
23c 第三カバー側掛止部
25 耕深調節バー
51 均平板
52 第一均平板
52b 第一均平板側掛止部
52c 第二均平板側掛止部
53c 第三均平板側掛止部
53R 第二均平板
53L 第二均平板
53c 第三均平板側掛止部
55 支点軸
56 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部の後部にローター耕耘装置を配設し、
該ローター耕耘装置のロータリーの上方を覆うロータリーカバーを備える管理機において、
前記ロータリーカバーの後端辺に、左右方向に所定間隔をあけて側面視略U字状のカバー側掛止部を設け、
均平板の前端辺に、前記カバー側掛止部とカバー側掛止部との間に配置される側面視略逆U字状の均平板側掛止部を設け、
前記カバー側掛止部と均平板側掛止部とを支点軸により着脱可能に支持する
ことを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記均平板は、機体左右中央に配設される第一均平板と、
前記第一均平板の左右両側に配置され、前記第一均平板に対して回動自在に支持される第二均平板と、
により構成し、
前記支点軸は軸心方向に摺動自在に配設され、
前記第二均平板に設けた均平板側掛止部より前記支点軸を抜脱することで、前記第二均平板は機体後方に回動可能となる
ことを特徴とする請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記ローター耕耘装置の後部において、
上下摺動可能に設けた耕深調節バーの下端部に固定部材を設け、
該固定部材を前記均平板の後面下端部に固定可能に構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−172220(P2010−172220A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16008(P2009−16008)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】