説明

素材データ管理システム及び素材データファイル化方法

【課題】テープメディアに記録されたジット情報を誤って放送しないように、テープメディアに記録された素材データを管理することが可能な素材データ管理システム及び素材データファイル化方法を提供する。
【解決手段】テープメディア40に記録されている素材データを構成するクレジット情報及び実データを、それぞれ独立したファイルとして記録部113へ記録する。こうすることで、素材データ管理システムは、サーバ11で素材データのクレジット情報ファイルと実データファイルとを別々に管理することが可能となる。また、サーバ11に対してオンエア制御が行われた場合には、実データファイルのみをオンエア出力する。これにより、誤操作によるクレジット情報の送出を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、番組を放送する放送システムに用いられ、収録された素材データをサーバに取り込んで管理する素材データ管理システム及びこのシステムで用いられる素材データファイル化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局において、一日分の送出順序が記載されたプレイリストに従って、放送前にCM素材をビデオテープに記録しておくことをCM一本化という。CM一本化では、テープにCM素材を記録する際、CM素材のスポンサー名、尺長及び素材コード等を示すクレジット情報を数秒間収録した後、CM素材の実データを収録するようにしている。これにより、CM一本化テープには、クレジット情報と実データとが交互に収録されることとなる。
【0003】
また、ビデオテープに番組素材を記録する際には、一つの番組素材を、例えば、本編1及び本編2等の複数の実データに分割する。そして、テープに番組素材の番組名及び著作権等を示すクレジット情報を数秒間収録した後、分割した本編の実データを収録する。これにより、テープには、クレジット情報と分割された本編の実データとが交互に収録されることとなる。
【0004】
上述のように収録されたクレジット情報は、実際に放送されるビデオテープにも実データと連続するように記録されている。そのため、従来の放送システムでは、ビデオテープの再生位置を誤ってしまうと、実データを放送するつもりがクレジット情報まで放送してしまうという問題があった。
【0005】
なお、特許文献1、特許文献2及び特許文献3では、記録するデータをデータの種類毎に管理する記録再生装置についての提案がなされているが、番組を放送するための放送システムについては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−136482号公報
【特許文献2】特開2002−190181号公報
【特許文献3】特開2006−80781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来の放送システムでは、実際に放送されるビデオテープにクレジット情報が実データと連続するように記録されているため、誤操作によりクレジット情報まで放送されてしまうという問題があった。
【0008】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、テープメディアに記録されたジット情報を誤って放送しないように、テープメディアに記録された素材データを管理することが可能な素材データ管理システム及び素材データファイル化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る素材データ管理システムは、クレジット情報の後に実データが収録されて成る素材データが記録されたテープメディアから前記クレジット情報及び前記実データを読み出す読出し部と、前記テープメディアに記録された前記素材データをファイル化する旨の指示を受けると、前記読出し部に前記クレジット情報を読み出させた後、前記実データを読み出させる制御部と、ランダムアクセス可能な記録媒体を備え、前記読出し部から読み出されたクレジット情報及び実データをそれぞれファイル化して前記記録媒体へ記録するサーバとを具備する。
【0010】
また、本発明に係る素材データファイル化方法は、クレジット情報の後に実データが収録されて成る素材データが記録されたテープメディアに対して、前記素材データをファイル化する旨の指示がある場合、前記クレジット情報を読み出した後に、前記実データを読み出し、前記読み出したクレジット情報及び実データをそれぞれファイル化してランダムアクセス可能な記録媒体へ記録することを特徴とする。
【0011】
上記構成による素材データ管理システム及び素材データファイル化方法では、テープメディアに記録されている素材データを構成するクレジット情報及び実データそれぞれを、独立したファイルとしてサーバにおける記録媒体へ記録する。これにより、素材データの再生が指示された場合には、実データのファイルを選択して再生すればよいため、クレジット情報の誤放送を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、テープメディアに記録されたクレジット情報を誤って放送しないように、テープメディアに記録された素材データを管理することが可能な素材データ管理システム及び素材データファイル化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る素材データ管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1の素材データ管理システムが素材データをファイル化する際のシーケンス図を示す図である。
【図3】CM素材が記録されているテープメディアの図である。
【図4】図1の記録部におけるCM素材の管理例を示す図である。
【図5】番組素材が記録されているテープメディアの図である。
【図6】図1の記録部における番組素材の管理例を示す図である。
【図7】番組素材が記録されているテープメディアの図である。
【図8】図1の記録部におけるCM素材の管理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る素材データ管理システム及び素材データファイル化方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る素材データ管理システム10の機能構成を示すブロック図である。図1における素材データ管理システム10は、営業放送システム20及び送出制御部30と接続する。営業放送システム20は、テープメディア40に記録される素材データを指定し、指定した素材データをファイル化させる指示であるファイリング指示を素材データ管理システム10へ送出する。送出制御部30は、素材データ管理システム10のサーバ11に対するオンエア制御を行う。
【0016】
素材データ管理システム10は、読出し部12、制御CPU13、サーバ11及びユーザ端末14を具備する。
【0017】
読出し部12は、テープメディア40を取り込む。テープメディア40には、1又は複数の素材データが記録される。素材データは、この素材データの識別情報等を示すクレジット情報と、素材データの実データとから成る。読出し部12は、制御CPU13からのクレジット収録指示を受け取ると、取り込んだテープメディア40からクレジット情報を1秒程度読み出す。また、読出し部12は、制御CPU13から実データ収録指示を受け取ると、テープメディア40から実データを読み出す。
【0018】
制御CPU13は、営業放送システム20により指定された素材データのファイリング指示を受け取ると、読出し部12に対して、指定された素材データのクレジット情報を収録するようにクレジット収録指示を与えた後、指定された素材データの実データを収録するように実データ収録指示を与える。また、制御CPU13は、営業放送システム20からファイリング指示を受け取ると、サーバ11へファイリング指示を転送する。制御CPU13は、サーバ11における素材データのファイル化が完了すると、ファイリング結果を営業放送システム20へ送出する。
【0019】
また、制御CPU13には、ユーザの操作指示を入力するためのユーザ端末14が接続される。ユーザは、ユーザ端末14からプレビュー指示等を素材データ管理システムに対して入力することが可能である。ここで、プレビュー指示とは、クレジット情報又は実データがサーバ11に正常に記録されたか否かを確認する指示のことである。プレビュー指示には、クレジット情報のプレビューを指示するクレジットプレビュー指示と、実データのプレビューを指示する実データプレビュー指示とが存在する。制御CPU13は、ユーザ端末14にクレジットプレビュー指示が入力されると、このクレジットプレビュー指示をサーバ11へ転送する。また、制御CPU13は、ユーザ端末14に実データプレビュー指示が入力されると、この実データプレビュー指示をサーバ11へ転送する。制御CPU13は、サーバ11における素材データのプレビューが完了すると、プレビュー結果をユーザ端末14へ送出する。
【0020】
サーバ11は、例えばマイクロプロセッサからなるCPU(Central Processing Unit)111を備え、このCPU111にコーデック部112及びランダムアクセス可能な半導体メモリから成る記録部113がバス114を介して接続される。コーデック部112は、データの符号化又は復号化を行う。
【0021】
CPU111は、制御CPU13からファイリング指示を受けると、テープメディア40から読み出される素材データ用のディレクトリを作成する。CPU111は、読出し部12により読み出されたクレジット情報及び実データをコーデック部112でそれぞれファイル化する。このとき、コーデック部112は、クレジット情報を静止画ファイルにファイル化する。そして、CPU111は、ファイル化したクレジット情報ファイル及び実データファイルを素材データ毎のディレクトリに格納して記録部113へ記録する。
【0022】
また、CPU111は、制御CPU13からのクレジットプレビュー指示を受け取ると、記録部113からクレジット情報ファイルを読み出し、コーデック部112で復号して外部へ出力する。CPU111は、制御CPU13からの実データプレビュー指示を受け取ると、記録部113から実データファイルを読み出し、コーデック部112で復号して外部へ出力する。CPU111は、クレジット情報及び実データの外部への出力が終了すると、プレビューが完了したとして、その旨を制御CPU13へ返す。
【0023】
また、CPU111は、送出制御部30からオンエア制御を受けると、記録部113から実データファイルを読み出し、コーデック部112で復号して外部へ出力する。
【0024】
次に、上記構成における動作を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る素材データ管理システム10が素材データをファイル化する際のシーケンス図を示す図である。
【0025】
まず、営業放送システム20により素材データが選択され、その素材データへのファイリング指示が制御CPU13へ与えられる。
【0026】
制御CPU13は、ファイリング指示を受けると、サーバ11へファイリング指示を出力する。そして、制御CPU13は、指定された素材データのクレジット情報を読み出すように、読出し部12へクレジット収録指示を与える。読出し部12は、クレジット収録指示に従って、クレジット情報を1秒程度読み出し、サーバ11へ出力する。サーバ11は、クレジット情報を静止画ファイルにファイル化し、このクレジット情報ファイルを指定された素材データ用のディレクトリに格納して記録部113へ記録する。
【0027】
続いて、制御CPU13は、指定された素材データの実データを読み出すように、読出し部12へ実データ収録指示を与える。読出し部12は、実データ収録指示に従って、実データを読み出し、サーバ11へ出力する。サーバ11は、実データをファイル化し、この実データファイルを指定された素材データ用のディレクトリに格納して記録部113へ記録する。
【0028】
さらに、営業放送システム20から、テープメディア40に記録された他の素材データのファイリング指示が与えられた場合、素材データ管理システム10は上述の処理を再度実行し、ファイリング指示が与えられた素材データのファイリングを行う。これにより、新たに指定された素材データ用のディレクトリに、この素材データのクレジット情報ファイル及び実データファイルが格納されて記録部113へ記録されることとなる。
【0029】
次に、素材データのクレジット情報及び実データがファイル化されて記録部113へ記録される際の具体例を説明する。図3はCM素材が記録されているテープメディア40の模式図であり、図4は記録部113におけるCM素材の管理例を示す模式図である。
【0030】
図3におけるテープメディア40は、CM素材A,B,Cから成り、各CM素材におけるCM実データの先頭にはクレジット情報が数秒程度付加される。クレジット情報は、スポンサー名、尺長及び素材コード等を示す。
【0031】
営業放送システム20からのCM素材Aのファイリング指示が制御CPU13へ与えられると、制御CPU13は読出し部12及びサーバ11を制御し、図4に示すように、CM素材Aのディレクトリにクレジット情報ファイル及びCM実データファイルを格納して記録部113へ記録する。
【0032】
また、営業放送システム20からのCM素材Bのファイリング指示が制御CPU13へ与えられると、制御CPU13は読出し部12及びサーバ11を制御し、図4に示すように、CM素材Bのディレクトリにクレジット情報ファイル及びCM実データファイルを格納して記録部113へ記録する。
【0033】
図5は番組素材が記録されているテープメディア40の模式図であり、図6は記録部113における番組素材の管理例を示す模式図である。
【0034】
図5におけるテープメディア40は、番組が分割された本編素材A,B,Cから成り、各本編素材は各本編実データの先頭にクレジット情報が数秒程度付加されることにより成る。クレジット情報は、番組名及び著作権等を示す。
【0035】
営業放送システム20からの本編素材Aのファイリング指示が制御CPU13へ与えられると、制御CPU13は読出し部12及びサーバ11を制御し、図6に示すように、本編素材Aのディレクトリにクレジット情報ファイル及び本編実データファイルを格納して記録部113へ記録する。
【0036】
営業放送システム20からの本編素材Bのファイリング指示が制御CPU13へ与えられると、制御CPU13は読出し部12及びサーバ11を制御し、図6に示すように、本編素材Bのディレクトリにクレジット情報ファイル及び本編実データファイルを格納して記録部113へ記録する。
【0037】
図7は番組素材が記録されているテープメディア40の模式図であり、図8は記録部113におけるCM素材の管理例を示す模式図である。
【0038】
図5とは異なり、図7におけるテープメディア40に記録される番組素材の番組実データは分割されていない。つまり、テープメディア40には、番組実データの先頭に数秒程度のクレジット情報が付加された番組素材が記録されている。
【0039】
営業放送システム20から番組素材のファイリング指示が制御CPU13へ与えられると、制御CPU13は読出し部12及びサーバ11を制御し、図8に示すように、番組素材のディレクトリにクレジット情報ファイル及び番組実データファイルを格納して記録部113へ記録する。
【0040】
以上のように、上記一実施形態では、テープメディア40に記録されている素材データを構成するクレジット情報及び実データを、それぞれ独立したファイルとして記録部113へ記録する。こうすることで、素材データ管理システムは、サーバ11で素材データのクレジット情報ファイルと実データファイルとを別々に管理することが可能となる。また、サーバ11に対してオンエア制御が行われた場合には、実データファイルのみをオンエア出力するようにしている。これにより、誤操作によるクレジット情報の送出を防ぐことが可能となる。
【0041】
また、上記一実施形態では、クレジット情報ファイル及び実データファイルを素材データ毎のディレクトリに格納して管理するようにしている。これにより、各素材データのクレジット情報ファイル又は実データファイルにアクセスすることが容易になる。
【0042】
また、上記一実施形態では、クレジット情報を静止画ファイルにファイル化することで、実データファイルとは異なるファイル形式にするようにしている。これにより、誤操作によるクレジット情報の放送をより効果的に防ぐことが可能となる。
【0043】
したがって、本発明に係る素材データ管理システムは、テープメディアに記録されたクレジット情報を誤って放送しないように、テープメディアに記録された素材データを管理することができる。
【0044】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…素材データ管理システム
11…サーバ
111…CPU
112…コーデック部
113…記録部
114…バス
12…読出し部
13…制御CPU
14…ユーザ端末
20…営業放送システム
30…送出制御部
40…テープメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジット情報の後に実データが収録されて成る素材データが記録されたテープメディアから前記クレジット情報及び前記実データを読み出す読出し部と、
前記テープメディアに記録された前記素材データをファイル化する旨の指示を受けると、前記読出し部に前記クレジット情報を読み出させた後、前記実データを読み出させる制御部と、
ランダムアクセス可能な記録媒体を備え、前記読出し部から読み出されたクレジット情報及び実データをそれぞれファイル化して前記記録媒体へ記録するサーバと
を具備することを特徴とする素材データ管理システム。
【請求項2】
前記テープメディアに複数の素材データが記録されている場合、
前記サーバは、前記ファイル化されて前記記録媒体へ記録されたクレジット情報及び実データを前記素材データ毎に管理することを特徴とする請求項1記載の素材データ管理システム。
【請求項3】
前記読出し部は、前記クレジット情報を予め設定された秒数だけ読み出し、
前記サーバは、前記読み出されたクレジット情報を静止画ファイルにファイル化して前記記録媒体へ記録することを特徴とする請求項1記載の素材データ管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記記録媒体に記録された素材データを放送する旨の指示があった場合、前記記録媒体に記録された実データのみを出力することを特徴とする請求項1記載の素材データ管理システム。
【請求項5】
操作者からの指示を入力するための操作端末をさらに具備し、
前記サーバは、
前記操作端末から前記クレジット情報が正常に記録されたことを確認する指示があった場合、前記記録媒体に記録されたクレジット情報を出力し、
前記操作端末から前記実データが正常に記録されたことを確認する指示があった場合、前記記録媒体に記録された実データを出力することを特徴とする請求項1記載の素材データ管理システム。
【請求項6】
クレジット情報の後に実データが収録されて成る素材データが記録されたテープメディアに対して、前記素材データをファイル化する旨の指示がある場合、前記クレジット情報を読み出した後に、前記実データを読み出し、
前記読み出したクレジット情報及び実データをそれぞれファイル化してランダムアクセス可能な記録媒体へ記録することを特徴とする素材データファイル化方法。
【請求項7】
前記テープメディアに複数の素材データが記録されている場合、
前記ファイル化されて前記記録媒体へ記録されたクレジット情報及び実データを前記素材データ毎に管理することを特徴とする請求項6記載の素材データファイル化方法。
【請求項8】
前記クレジット情報を予め設定された秒数だけ読み出し、
前記読み出されたクレジット情報を静止画ファイルにファイル化して前記記録媒体へ記録することを特徴とする請求項6記載の素材データファイル化方法。
【請求項9】
前記記録媒体に記録された素材データを放送する旨の指示があった場合、前記記録媒体に記録された実データのみを出力することを特徴とする請求項6記載の素材データファイル化方法。
【請求項10】
前記クレジット情報が正常に記録されたことを確認する指示があった場合、前記記録媒体に記録されたクレジット情報を出力し、
前記実データが正常に記録されたことを確認する指示があった場合、前記記録媒体に記録された実データを出力することを特徴とする請求項6記載の素材データファイル化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−219723(P2010−219723A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62419(P2009−62419)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】