説明

給湯装置

【課題】給水温度の如何に関わらず高熱効率で風呂設定温度となるように湯張り運転が行なえる給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置に備える制御手段5は、最小ガス量で最小燃焼させた時の各バーナユニットの組み合わせ毎における最大熱効率の熱量データが記憶される記憶手段51、風呂設定温度(t1)と給水温度(t2)との温度差(t1-t2)に基づいて最大給水流量のときの熱量となる基準熱量(x0)を求める基準熱量算出手段52、熱量データから基準熱量(x0)以下で且つ基準熱量(x0)に最も近い熱量となる最適熱量(x1)を選択してバーナユニットの組み合わせを決定するバーナユニット決定手段53、最適熱量(x1)と温度差(t1-t2)とに基づいて浴槽11に湯張りするための給水流量(y1)を算出する給水流量算出手段54を備える。各バーナユニットを最小燃焼させ算出された給水流量(y1)で湯張り運転を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高熱効率で浴槽に湯張りすることができる給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置は、浴槽に湯張りする場合には洗面所や台所に給湯する場合より長時間にわたって給湯するため、熱交換器での熱効率が高くなるように運転することが望まれる。一般に、熱交換器を加熱するガスバーナは、開度を全開で燃焼させずに絞った状態で燃焼させる方が熱交換器での熱効率が上がることが知られている。そのため、従来の給湯装置では浴槽に湯張りする際には全ガスバーナの開度を絞って最大熱効率となる燃焼範囲でガスバーナを燃焼させて湯張りを行なうことが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、2系統のガスバーナを備え、2つのガスバーナを燃焼させたり、一方のガスバーナのみを燃焼させたりする給湯装置も提案されている(特許文献2)。特許文献2の給湯装置は、給水温度が5℃以下の低い時は、所定時間内での給湯量を確保するために、両方のガスバーナを最大給湯能力である24号の給湯能力となるように火力調節をして湯張りを行い、給水温度がそれよりも高い時は、給水温度に応じて両方のガスバーナ又は一方のガスバーナを用いたガス燃焼量を設定して給湯能力を変えて湯張りを行なうようにしている。
【0004】
特許文献2の給湯装置では、特許文献2の図2に示されているように、両方のガスバーナを燃焼させる場合の最大熱効率(最小ガス燃焼量)となる給湯能力が6号となっており、給水温度が高くなるほど、給湯能力を低下させるようになっている。そして、給湯能力を6号より小さくするときは、一方のガスバーナのみによる燃焼に切り換えるようになっている。なお、両方のガスバーナを燃焼させる場合と、一方のガスバーナのみを燃焼させる場合とで、ガス燃焼量を調整することにより同じ給湯能力にすることができるが、この場合には、両方のガスバーナを燃焼させる方がガス燃焼量は少なくなり熱効率は良くなる。例えば、6号の給湯能力を出す場合、両方のガスバーナを燃焼させる場合は最小ガス燃焼量で最大熱効率の燃焼を行なうが、一方のガスバーナのみで燃焼させる場合はガス燃焼量が多くなり熱効率は悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−351664号公報
【特許文献2】特開2000−121148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の給湯装置では、最大熱効率の燃焼範囲で湯張り運転を行なう場合、全ガスバーナの開度を絞った状態でのガス燃焼量以下にすることができず、給水温度が高いと、給水管を流れる給水流量を最大流量にして湯張りを行なっても、風呂設定温度を上回る温度の給湯がなされ、確実に風呂設定温度となるような湯張り運転が行なえない。
【0007】
また、特許文献2の給湯装置は、給水温度が5℃以下の低い状態で湯張りを行う場合には、給湯時間が長くならないようにするために、全てのガスバーナを全開にして最大給湯能力となるように燃焼させるようにしているので熱効率が悪くなる。従って、特許文献2の給湯装置は、給水温度に関係なく、常に高い熱効率での湯張りは行なえない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、給水温度の如何にかかわらず、常に高い熱効率で風呂設定温度での湯張り運転が行なえる給湯装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る給湯装置は、
複数のバーナユニットからなるガスバーナと、ガスバーナの燃焼により給水管からの水を加熱する熱交換器と、ガスバーナの燃焼量と給水管を流れる給水流量とを制御して風呂設定温度で浴槽の湯張りを行なう制御手段とを備える給湯装置であって、
前記ガスバーナへの燃料ガスの総供給ガス量を調整するガス量調整手段と、
前記各バーナユニットへの燃料ガスの供給又は遮断を個別に切り換えるバーナユニット切換手段と、
前記給水管を流れる給水流量を制御する給水流量制御手段と、
前記給水管を流れる給水温度を検出する給水温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、
各バーナユニットの組み合わせ毎における最大熱効率の熱量データが記憶される記憶手段と、
風呂設定温度と給水温度との温度差に基づいて最大給水流量のときの熱量となる基準熱量を求める基準熱量算出手段と、
前記熱量データから、前記基準熱量以下で且つ前記基準熱量に最も近い熱量となる最適熱量を選択してバーナユニットの組み合わせを決定するバーナユニット決定手段と、
前記最適熱量と、前記風呂設定温度と前記給水温度との温度差に基づいて浴槽に湯張りするための給水流量を算出する給水流量算出手段とを備え、
前記バーナユニット決定手段で決定されたバーナユニットの組み合わせで燃焼するように前記バーナユニット切換手段を制御すると共に最適熱量となるように前記ガス量調整手段を制御して前記ガスバーナを燃焼させ、前記給水流量算出手段により算出された給水流量となるように前記給水流量制御手段を制御して湯張り運転を行なう構成としている。
【0010】
このような構成により、前記最適熱量となるバーナユニットの組み合わせと共に前記最適熱量と前記温度差とに基づいた給水流量が設定され、前記バーナユニットを最適熱量となるように燃焼させて湯張り運転が行われる。従って、従来では給水温度が高くて風呂設定温度の湯張りができなかった給水温度でも風呂設定温度の湯張りが可能となるのであって、給水温度に応じて常にガスバーナを最大熱効率の燃焼領域で燃焼させて風呂設定温度の湯を供給することができる。
【0011】
前記ガスバーナは、給水管からの水を加熱するための複数のバーナユニットからなる第1ガスバーナと、浴槽に接続される追焚用循環路に流通させて浴槽に溜まった湯を追焚加熱するための複数のバーナユニットからなる第2ガスバーナとを備え、
前記第1ガスバーナの燃焼により加熱された湯を追焚用循環路に送り込む湯張り管を備え、
前記制御手段は、第1ガスバーナの各バーナユニットに第2ガスバーナの各バーナユニットを組み合わせて前記最適熱量を選択してバーナユニットの組み合わせを決定可能とし、第2ガスバーナの燃焼により湯張り管から追焚用循環路に送り込まれた湯がさらに加熱されて浴槽へ湯張りされるパワフル湯張り運転を行なう構成としてもよい。
【0012】
このような構成により、最大熱効率を得るための最小燃焼とする各バーナユニットの組み合わせ数を増やすことができる。その結果、給水温度等に応じてバーナユニット決定手段で決定される各バーナユニットの組み合わせによる熱量をより細かく設定することができるので、さらに高熱効率で湯張りを行うことができる。しかも、給水流量も多くなるように設定されるので、湯張り時間を短くすることができる。
【0013】
前記制御手段は、湯張り終了後、浴槽内の湯の温度が風呂設定温度より低い場合にガスバーナの燃焼により浴槽内の湯を追焚加熱するときは、当該ガスバーナの選択された各バーナユニットが最小燃焼となるように制御して追焚き運転を行なう構成とするのが望ましい。
【0014】
このような構成により、追焚加熱するときも、ガスバーナの選択された各バーナユニットを最小燃焼させることにより最大熱効率にすることができる。これにより、単独で追焚き運転する場合や、湯張り終了時に風呂設定温度まで追焚き運転する場合も、ガスバーナを最大熱効率の燃焼領域で燃焼させることができる。従って、自動湯張りの動作全てにおいても高熱効率の運転が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の給湯装置によれば、バーナユニット決定手段で決定したバーナユニットの組み合わせで各バーナユニットを最小燃焼させると共に給水流量算出手段で求めた給水流量となるように制御して湯張りするので、従来では給水温度が高くて風呂設定温度の湯張りができなかった給水温度でも風呂設定温度の湯張りが可能となるのであって、給水温度に応じて高熱効率となる最も適したガス燃焼量でガスバーナを燃焼させて風呂設定温度の湯張りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の給湯暖房装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の給湯暖房装置におけるコントローラと他の構成部材との関係を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の給湯暖房装置における自動湯張り制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、一実施形態をなす給湯暖房装置について、図面を参照しながら説明する。
図1を参照して、給湯暖房装置1は、第1ガスバーナである給湯ガスバーナ21、給湯用顕熱熱交換器22及び給湯用潜熱熱交換器23を備える給湯手段2と、第2ガスバーナである暖房ガスバーナ31、暖房用顕熱熱交換器32及び暖房用潜熱熱交換器33を備える暖房手段3と、暖房手段3で加熱された温水により浴槽11に溜まった湯水を加熱する追焚用熱交換器41を備える風呂追焚手段4とを備える。給湯手段2、暖房手段3及び風呂追焚手段4は制御手段であるコントローラ5により制御される。
【0018】
給湯手段2の給湯ガスバーナ21、給湯用顕熱熱交換器22及び給湯用潜熱熱交換器23と、暖房手段3の暖房ガスバーナ31、暖房用顕熱熱交換器32及び暖房用潜熱熱交換器33とは一つの缶体6内に配置されている。缶体6内は、下方から給湯ガスバーナ21、給湯用顕熱熱交換器22及び給湯用潜熱熱交換器23の順に配置収容される給湯側室61と、下方から暖房ガスバーナ31、暖房用顕熱熱交換器32及び暖房用潜熱熱交換器33の順に配置収容される暖房側室62とに区画されている。また、缶体6の下部には、缶体6内に給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31の燃焼用空気を強制的に送る燃焼ファン72が設けられている。なお、図1中、24,34はイグナイタ71により駆動される点火プラグであり、25,35は着火検知するフレームロッドである。
【0019】
給湯用潜熱熱交換器23及び暖房用潜熱熱交換器33の下方にはドレン受け皿部73が設置されており、給湯用潜熱熱交換器23及び暖房用潜熱熱交換器33で発生した酸性のドレンがドレン受け皿部73で集められてドレン導出管74を介して中和器75内の中和剤によって中和された後にドレンが排水管76を介して機外に排水される。
【0020】
給湯ガスバーナ21は、バーナ本数8本の給湯第1バーナユニット21a、バーナ本数3本の給湯第2バーナユニット21b及びバーナ本数4本の給湯第3バーナユニット21cを備え、暖房ガスバーナ31は、バーナ本数3本の暖房第1バーナユニット31a及びバーナ本数2本の暖房第2バーナユニット31bを備える。
【0021】
給湯第1バーナユニット21a、給湯第2バーナユニット21b及び給湯第3バーナユニット21cは夫々の燃焼量が異なっており、バーナユニットの組み合わせによって給湯ガスバーナ21全体の燃焼量を調節することができるようになっている。例えば、給湯第1バーナユニット21aのみ使用したり、給湯第1バーナユニット21aと給湯第2バーナユニット21bとを使用したりして、燃焼量の調節を行なう。また、暖房第1バーナユニット31a及び暖房第2バーナユニット31bも夫々の燃焼量が異なっており、双方のバーナユニットを使用したり、何れか一方のバーナユニットを使用したりすることによって暖房ガスバーナ31の燃焼量を調節する。
【0022】
給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31の各バーナユニット21a〜21c,31a,31bには、燃料ガス供給管8を介して燃料ガスが供給され、燃料ガス供給管8は、ガス管に接続される主管が5つに分岐されて各バーナユニット21a〜21c,31a,31bに接続される。燃料ガス供給管8の主管には、上流側から順に元ガス電磁弁81及びガス量調整手段であるガス比例弁82が設けられ、分岐された管のそれぞれにバーナユニット切換手段83を構成する給湯第1ガス電磁弁83a、給湯第2ガス電磁弁83b、給湯第3ガス電磁弁83c、暖房第1ガス電磁弁83d及び暖房第2ガス電磁弁83eが設けられている。
【0023】
元ガス電磁弁81は、給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31への燃料ガスの供給と遮断とを切換える。ガス比例弁82は、給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31への燃料ガスの供給ガス量を調節する。バーナユニット切換手段83の各ガス電磁弁83a〜83eは、給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31の各バーナユニット21a〜21c,31a,31bへ、個別に燃料ガスの供給と遮断とを行なう。これらの弁は、コントローラ5により動作制御される。
【0024】
給湯手段2は、図示しない水道管と接続されて給湯用潜熱熱交換器23及び給湯用顕熱熱交換器22に給水する給水管26、給湯用顕熱熱交換器22で加熱された湯が出湯される出湯管27、出湯管27の下流端が分岐されて形成される給湯管28及び湯張り管29を備える。給湯管28は台所や洗面所のカランに連通し、湯張り管29は後述する追焚用循環路42を介して浴槽11に連通している。また、給水管26と出湯管27とを連通するようにバイパス管20が設けられており、給水管26に給水される水の一部をバイパス管20を介して出湯管27に混入させるようになっている。
【0025】
給水管26には、上流側から順番に、水フィルタと水抜栓とを兼ねる水フィルタ兼水抜栓26aと、給水管26を流れる給水の温度を検出する給水温度センサ26bと、給水管26を流れる給水流量を検出する給水流量センサ26cと、給水管26の開度を調節して流量を制御する給水流量制御弁26dと、バイパス管20の開度を調節して出湯管27への流量を制御するバイパス制御弁26eとが設けられている。給水温度センサ26b及び給水流量センサ26cで検知した結果はコントローラ5に出力され、給水流量制御弁26d及びバイパス制御弁26eはコントローラ5により駆動制御される。
【0026】
出湯管27には、給湯用顕熱熱交換器22から出た直後の湯の温度を検出する出湯温度センサ27aと、出湯管27とバイパス管20との合流点よりも下流の出湯管27中の湯の温度を検出する給湯温度センサ27bとが設けられている。また、出湯管27における給湯温度センサ27bより下流側が給湯管28と湯張り管29とに分岐されている。
【0027】
また、湯張り管29には、出湯管27から追焚用循環路42に向かって順に、湯張り管29の流通を開閉する湯張り電磁弁29aと、出湯管27から湯張り管29を介して追焚用循環路42に向かう流れのみを許容する2つの逆止弁29bと、湯張り管29から追焚用循環路42を介して浴槽11へ湯張りするための給湯流量を検出する湯張り流量センサ29cとが設けられている。湯張り流量センサ29cで検知した結果はコントローラ5に出力され、湯張り電磁弁29aはコントローラ5により駆動制御される。
【0028】
水道管から給水管26に供給される水は、まず、給湯用潜熱熱交換器23で暖められた後に給湯用顕熱熱交換器22において加熱されて湯となり、出湯管27を介して給湯管28または湯張り管29に給湯されるようになっている。
【0029】
次に、暖房手段3は、図示しない低温側暖房機と高温側暖房機とに接続される暖房用循環路36を備えており、この暖房用循環路36の途中に暖房用顕熱熱交換器32及び暖房用潜熱熱交換器33を設けている。暖房用循環路36は、途中で分岐して再度合流するようになっており、低温側暖房機に連通する低温側循環路36aと高温側暖房機に連通する高温側循環路36bとに分岐されている。また、暖房用循環路36には、暖房用循環路36内の抜気等するためのシスターン38及び暖房用循環路36内の湯水を循環させる暖房ポンプ37が設けられている。
【0030】
低温側循環路36aにおける暖房ポンプ37と暖房用顕熱熱交換器32との間には、暖房用潜熱熱交換器33で暖められた温水の温度を検出する低温温度センサ39aが設けられている。また、高温側循環路36bにおける暖房用顕熱熱交換器32の出口近くには、暖房用顕熱熱交換器32で加熱された出湯の温度を検出する高温温度センサ39bが設けられている。この暖房手段3では、暖房ポンプ37の駆動により、暖房用潜熱熱交換器33と暖房用顕熱熱交換器32とで加熱された湯を高温側暖房機で熱交換させたり、暖房用潜熱熱交換器33で加熱された温水を低温側暖房機で熱交換させたりするなど、高温側暖房機及び低温側暖房機で熱交換した湯を再び暖房用潜熱熱交換器33に戻るように循環させる。
【0031】
また、高温側循環路36bにおける暖房用顕熱熱交換器32の下流位置に追焚用熱交換器41を構成する追焚用加熱管41aの一端が接続され、この追焚用加熱管41aの下流端である他端は、暖房戻りの暖房用循環路36に接続されている。追焚用加熱管41aの上流位置には、追焚用加熱管41aを流れる温水の流量を制御する追焚流量制御弁41bが設けられている。そして、追焚用加熱管41aの一部は、後述する風呂追焚手段4の追焚用循環路42内を通る二重管構造により形成されている。低温温度センサ39a及び高温温度センサ39bで検知した結果はコントローラ5に出力され、暖房ポンプ37はコントローラ5により駆動制御される。
【0032】
次に、風呂追焚手段4は、両端が浴槽11に接続されて、浴槽11内に溜まった湯を循環させる追焚用循環路42と、暖房用顕熱熱交換器32から暖房用循環路36を介して追焚用加熱管41aに供給される湯によって追焚用循環路42を流れる湯と液−液熱交換動作を行う追焚用熱交換器41とを備える。
【0033】
さらに、風呂追焚手段4は、浴槽11内の湯を追焚用循環路42を介して循環させる風呂ポンプ43、追焚用熱交換器41で加熱される前の追焚用循環路42内の湯の温度を検出する風呂戻り側温度センサ44a、追焚用熱交換器41で加熱された追焚用循環路42内の湯の温度を検出する風呂往き側温度センサ44b、浴槽11内の水位を検出する浴槽水位センサ45、及び、追焚用循環路42内の流水の有無を検出する風呂水流スイッチ46を備える。風呂戻り側温度センサ44a、風呂往き側温度センサ44b及び浴槽水位センサ45で検知した結果と風呂水流スイッチ46の動作結果はコントローラ5に出力され、追焚流量制御弁41b、風呂ポンプ43はコントローラ5により駆動制御される。
【0034】
また、本実施形態では、湯張り管29を流れる湯は追焚用循環路42に流入した後、追焚用熱交換器41においてさらに加熱された後に浴槽11に注湯する湯張り(パワフル湯張り)を行うこともできる。
【0035】
コントローラ5は、浴室等に設置されたリモコン12との間で各種信号の送受信を行うようになっている。リモコン12には、給湯温度、風呂設定温度、湯張りボタン、追焚きボタン等のスイッチ類(図示しない)と、給湯温度、風呂設定温度等を表示するディスプレイ部(図示しない)とを備えている。また、コントローラ5は、図2のブロック図に示すように、記憶手段51と、基準熱量算出手段52と、バーナユニット決定手段53と、給水流量算出手段54とを備える。
【0036】
記憶手段51は、リモコン12により設定された風呂設定温度(t1)が記憶されると共に、給水温度センサ26b等の各温度センサで検出した温度も記憶される。さらに、記憶手段51には、予め実験で求めた最小ガス量で最小燃焼させた時の給湯ガスバーナ21及び暖房ガスバーナ31の各バーナユニット21a〜21c,31a,31bの最大熱効率となる熱量のデータ及びこれらバーナユニット21a〜21c,31a,31bの組み合わせ毎の熱量のデータが予め記憶されている。
【0037】
基準熱量算出手段52は、自動湯張り制御開始後に、リモコン12で設定した風呂設定温度(t1)と給水温度センサ26bで検出した給水温度(t2)との温度差に基づいて給水管26に流すことができる許容最大給水流量(y0)のときの熱量(基準熱量x0)を求める。
【0038】
バーナユニット決定手段53は、記憶手段51に記憶されている最小ガス量で最小燃焼させたときの各バーナユニット21a〜21c,31a,31bの組み合わせ毎の熱量データから、基準熱量算出手段52で求められた基準熱量(x0)以下で且つ基準熱量(x0)に最も近い最適熱量(x1又はx2)を選択してバーナユニットの組み合わせを決定する。このバーナユニット決定手段53で決定されたバーナユニットの組み合わせで燃焼するように、コントローラ5は、バーナユニット切換手段83の各ガス電磁弁83a〜83eの開閉制御と、最小ガス量となるようにガス比例弁82の開度を制御する。
【0039】
給水流量算出手段54は、バーナユニット決定手段53で決定されたバーナユニットの組み合わせによる熱量(x1又はx2)と、風呂設定温度(t1)と検出給水温度(t2)との温度差とに基づいて浴槽11に湯張りするための給水管26に流す水の給水流量(y1又はy2)を算出する。コントローラ5は、給水流量算出手段54で算出した給水流量(y1又はy2)となるように、給水管26に設ける給水流量制御弁26dの動作を制御する。
【0040】
そして、浴槽11の湯張りを行なう場合には、コントローラ5の制御により、湯張り電磁弁29aが開弁され、給湯ガスバーナ21、必要によっては暖房ガスバーナ31を燃焼させて、湯張り管29を介して風呂設定温度(t1)の湯が浴槽11に供給される。なお、自動湯張り運転制御についての詳しい内容は後述する。
【0041】
なお、本実施形態の給湯暖房装置1は、使用者がリモコン12の操作により、湯張りを行なう場合に、給湯ガスバーナ21のみを使用した湯張り運転を行なう場合と、給湯ガスバーナ21と暖房ガスバーナ31とを使用したパワフル湯張り運転とを選択できるようになっている。このパワフル湯張り運転は、給湯用顕熱熱交換器22で加熱された湯を湯張り管29から追焚用循環路42に送り、暖房ガスバーナ31により加熱された追焚用加熱管41a内の湯により追焚用循環路42を流れる湯を追焚用熱交換器41でさらに液−液熱交換して加熱した後に、浴槽11に注湯することにより行なう。
【0042】
次に、風呂追焚手段4により、浴槽11内に溜められた湯の追焚きを行なう場合には、コントローラ5の制御により、風呂ポンプ43を駆動して浴槽11内の湯を追焚用循環路42に循環させる。また、追焚流量制御弁41bを開弁して暖房ポンプ37を駆動し暖房循環路36の湯水を循環させると共に、暖房ガスバーナ31を燃焼させる。このようにして、浴槽11内の湯を追焚用循環路42を介して循環させることで追焚用熱交換器41の追焚用加熱管41a内を流れる湯と追焚用循環路42内を流れる湯とが熱交換されて追焚きが行なわれ、浴槽11内の湯を昇温させる。
【0043】
そして、コントローラ5は、風呂戻り側温度センサ44aで検出される湯の温度がリモコン12で設定された追焚き目標温度に到達したときに、暖房ガスバーナ31、暖房ポンプ37及び風呂ポンプ43の動作を停止し、追焚流量制御弁41bを閉弁して追焚きを終了する。なお、追焚運転は、湯張り終了後に自動的に連続運転する場合と、使用者がリモコン12を操作して追焚きの作動指示を行って追焚運転をする場合とがある。
【0044】
本実施形態に係る給湯暖房装置1の自動湯張り制御について図3に示すフローチャートに基づいて詳しく説明する。
使用者によるリモコン12の操作によって、湯張りの開始指示及び湯張り温度の設定(t1)がなされると(ステップS1)、基準熱量算出手段52において、風呂設定温度(t1)と検出給水温度(t2)との温度差に基づいて給水管26に流すことができる許容最大給水流量(y0)のときの熱量(基準熱量x0)を求める(ステップS2)。基準熱量(x0)は、風呂設定温度(t1)と検出給水温度(t2)との温度差と、給水管26を流れる給水の許容最大給水流量(y0)(例えば、12L/min)とにより給湯ガスバーナ21と暖房ガスバーナ31の全てのバーナユニット21a〜21c,31a,31bを最小ガス量で最小燃焼させた場合の熱量として求める。
【0045】
次に、給湯ガスバーナ21のみを使用した通常の湯張り運転であるか、給湯ガスバーナ21による給湯加熱と暖房ガスバーナ31を用いた追焚加熱とを行なうパワフル湯張り運転であるかの判定を行なう(ステップS3)。
【0046】
そして、パワフル湯張り運転の場合には(ステップS3でYes)、バーナユニット決定手段53は、各給湯バーナユニット21a〜21cと各暖房バーナユニット31a,31bとの20通りの組み合わせによる熱量データの中から、基準熱量算出手段52で求められた基準熱量(x0)以下で、基準熱量(x0)に最も近い最適熱量(x1)を選択してバーナユニットの組み合わせを決定する(ステップS4)。
【0047】
この場合、各バーナユニットの組み合わせは、給湯ガスバーナ21において、バーナ本数が15本、11本、8本、4本、3本となる5通りの給湯バーナユニット21a〜21cの組み合せに、暖房ガスバーナ31において、バーナ本数が5本、3本、2本、0本となる4通りの暖房バーナユニット31a,31bの組み合わせを組み合わせて合計20通りの組み合わせとしている。
【0048】
バーナユニットの組み合わせが決定されると、給水流量算出手段54は、この決定されたバーナユニットの組み合わせによる熱量(x1)と、風呂設定温度(t1)と検出した給水温度(t2)との温度差とに基づいて浴槽11に湯張りするための給水管26に流す水の必要な給水流量(y1)を算出する(ステップS5)。
【0049】
一方、通常の湯張り運転の場合には(ステップS3でNo)、バーナユニット決定手段53は、各給湯バーナユニット21a〜21cのみによる5通りの組み合わせの熱量データの中から、基準熱量算出手段52で求められた基準熱量(x0)以下で、基準熱量(x0)に最も近い最適熱量(x)を選択してバーナユニットの組み合わせを決定する(ステップS6)。
【0050】
バーナユニットの組み合わせが決定されると、給水流量算出手段54は、この決定されたバーナユニットの組み合わせによる熱量(x)と、風呂設定温度(t1)と検出した給水温度(t2)との温度差とに基づいて浴槽11に湯張りするための給水管26に流す水の給水流量(y)を算出する(ステップS7)。
【0051】
そして、コントローラ5は、算出された給水流量(y1又はy2)となるように、給水管26に設ける給水流量制御弁26dを制御し、最小ガス量となるようにガス比例弁82を開閉制御すると共に、決定されたバーナユニットの組み合わせ(熱量x1又はx)で燃焼するように、各給湯ガス電磁弁83a〜83c及び/又は各暖房ガス電磁弁83e,83dの開閉制御を行なう。さらに、湯張り電磁弁29aを開弁して、湯張り管29に設ける湯張り流量センサ29cによる検出流量から浴槽11への湯の供給量の累積を開始する。これらの動作により湯張りが開始される(ステップS8)。
【0052】
湯張り動作が開始されると、別のカランを用いた給湯使用が行なわれているか否かの判断が行なわれる(ステップS9)。給湯が行なわれているかどうかの判断は、例えば、湯張り管29より下流の給湯管28に所定流量以上の湯が流通したときにONする水流スイッチを設けて、この水流スイッチのON/OFFにより給湯使用されているか否かを判断して行なう。
【0053】
ところで、湯張り運転時に、台所など他のカランからの給湯使用も同時に行なわれた場合、ガスバーナでは高熱効率の湯張り運転を行っているので、給湯管28を流れる給湯量が少なくなり、給湯使用を行なう使用者の使い勝手が悪くなる。そこで、本実施形態の給湯暖房装置1では、湯張り運転時に、給湯管28からの給湯使用も行なわれたときには、湯張り運転を一時停止して給湯使用のみを行い、給湯使用が終了すると湯張り運転を再開させるようにして(ステップS14〜S16)、給湯管28から所望の給湯量の給湯を行って使用者の使い勝手が良くなるようにしている。
【0054】
そして、給湯使用が行なわれていない場合には(ステップS9でNo)、次に湯張りが終了したか否かの判断が行なわれる(ステップS10)。湯張りの終了は、湯張り管29に設ける湯張り流量センサ29cで検出した水量の累積が湯張り量として設定した湯量に一致すると、燃焼させているガスバーナを消火すると共に、各電磁弁及び制御弁を閉弁(パワフル湯張りの場合はさらに暖房ポンプ37を停止)して湯張りを終了する。
【0055】
湯張りが終了すると(ステップS10でYes)、次に、風呂ポンプ43のみを動作させて、浴槽11内の溜められた湯の温度を追焚用循環路42に設けた風呂戻り側温度センサ44aで検出し、お風呂に溜められた湯の温度(t3)が風呂設定温度(t1)であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0056】
風呂の湯の温度(t3)が風呂設定温度(t1)以上である場合には(ステップS11でYes)、風呂ポンプ43を停止して湯張り運転を終了する。風呂の湯の温度(t3)が風呂設定温度(t1)未満の場合には(ステップS11でNo)、暖房ガスバーナ31の全バーナユニット(暖房第1バーナユニット31aと暖房第2バーナユニット31b)を最小ガス量で最小燃焼させ、追焚流量制御弁41bを開弁し、風呂ポンプ43を駆動させて追焚運転を開始する(ステップS12)。そして、風呂の湯の温度(t3)が風呂設定温度(t1)となったら(ステップS12でYes)、暖房ガスバーナ31を消火し、追焚流量制御弁41bを閉弁し、風呂ポンプ43を停止して湯張り運転を終了する。
【0057】
なお、上記追焚運転を行なう場合、暖房第1バーナユニット31aと暖房第2バーナユニット31bとを最小ガス量で最小燃焼させると設定温度よりも高くなってしまう場合には、暖房第1バーナユニット31a又は暖房第2バーナユニット31bの何れかを最小燃焼して追焚を行なうようにしている。
【0058】
また、リモコン12を用いて、このリモコン12に、前述した高熱効率の湯張り運転を行なう「エコスイッチ」を設け、「エコスイッチ」OFFのときは給湯ガスバーナ21の燃焼量を所望の給湯時間及び設定温度等に合せた湯張り運転がなされるようにしてもよい。このようにすることで、使用者が任意に高熱効率の湯張り運転(エコスイッチON時)を選択することができ、「エコスイッチ」OFFで早く湯張りまたは追焚を終えたい場合にも対応できる。
【0059】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様が可能である。例えば、給湯暖房装置に限らず、暖房装置を備えない湯張りと追焚とを行なうものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 給湯暖房装置
2 給湯手段
3 暖房手段
4 風呂追焚手段
5 コントローラ(制御手段)
11 浴槽
21 給湯ガスバーナ
21a 給湯第1バーナユニット
21b 給湯第2バーナユニット
21c 給湯第3バーナユニット
22 給湯用顕熱熱交換器
23 給湯用潜熱熱交換器
26 給水管
26b 給水温度センサ (給水温度検出手段)
26d 給水流量制御弁 (給水流量制御手段)
29 湯張り管
31 暖房ガスバーナ
31a 暖房第1バーナユニット
31b 暖房第2バーナユニット
32 暖房用顕熱熱交換器
33 暖房用潜熱熱交換器
36 暖房用循環路
41 追焚用熱交換器
42 追焚用循環路
51 記憶手段
52 基準熱量算出手段
53 バーナユニット決定手段
54 給水流量算出手段
82 ガス比例弁(ガス量調整手段)
83 バーナユニット切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバーナユニットからなるガスバーナと、ガスバーナの燃焼により給水管からの水を加熱する熱交換器と、ガスバーナの燃焼量と給水管を流れる給水流量とを制御して風呂設定温度で浴槽の湯張りを行なう制御手段とを備える給湯装置であって、
前記ガスバーナへの燃料ガスの総供給ガス量を調整するガス量調整手段と、
前記各バーナユニットへの燃料ガスの供給又は遮断を個別に切り換えるバーナユニット切換手段と、
前記給水管を流れる給水流量を制御する給水流量制御手段と、
前記給水管を流れる給水温度を検出する給水温度検出手段とを備え、
前記制御手段は、
各バーナユニットの組み合わせ毎における最大熱効率の熱量データが記憶される記憶手段と、
風呂設定温度と給水温度との温度差に基づいて最大給水流量のときの熱量となる基準熱量を求める基準熱量算出手段と、
前記熱量データから、前記基準熱量以下で且つ前記基準熱量に最も近い熱量となる最適熱量を選択してバーナユニットの組み合わせを決定するバーナユニット決定手段と、
前記最適熱量と、前記風呂設定温度と前記給水温度との温度差に基づいて浴槽に湯張りするための給水流量を算出する給水流量算出手段とを備え、
前記バーナユニット決定手段で決定されたバーナユニットの組み合わせで燃焼するように前記バーナユニット切換手段を制御すると共に最適熱量となるように前記ガス量調整手段を制御して前記ガスバーナを燃焼させ、前記給水流量算出手段により算出された給水流量となるように前記給水流量制御手段を制御して湯張り運転を行なう構成としている給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記ガスバーナは、給水管からの水を加熱するための複数のバーナユニットからなる第1ガスバーナと、浴槽に接続される追焚用循環路に流通させて浴槽に溜まった湯を追焚加熱するための複数のバーナユニットからなる第2ガスバーナとを備え、
前記第1ガスバーナの燃焼により加熱された湯を追焚用循環路に送り込む湯張り管を備え、
前記制御手段は、第1ガスバーナの各バーナユニットに第2ガスバーナの各バーナユニットを組み合わせて前記最適熱量を選択してバーナユニットの組み合わせを決定可能とし、第2ガスバーナの燃焼により湯張り管から追焚用循環路に送り込まれた湯がさらに加熱されて浴槽へ湯張りされるパワフル湯張り運転を行なう構成としている給湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯装置において、
前記制御手段は、湯張り終了後、浴槽内の湯の温度が風呂設定温度より低い場合にガスバーナの燃焼により浴槽内の湯を追焚加熱するときは、当該ガスバーナの選択された各バーナユニットが最小燃焼となるように制御して追焚き運転を行なう構成としている給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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