説明

緑化と一体化自在の防護柵。

【課題】本発明は、植裁植物の種類を適宜変えて緑化し、植裁緑化を自在に一体化して景観に配慮した道路の車両用の防護柵を提供する。
【解決手段】路肩分離帯,中央分離帯並びに歩車道分離帯等に用いられている緩衝を兼ねた車両用の防護柵(A)に、植物を植裁した植栽籠(B)を着脱自在に一体化することにより、防護柵を緑化して防護柵設置の道路周囲環境の風景に調和させ、景観を損なうことなく周辺景観と近接する他の道路付属物等との景観的調和,人との親和性に配慮したことを特徴とした緑化と一体化自在の防護柵とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植裁植物の種類を適宜変えて緑化し、植裁緑化を自在に一体化して景観に配慮した道路の歩車道用の防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
車両や歩行者の安全確保を目的として道路の路肩や歩道境界及び中央分離帯等に設置する車両用防護柵は、従来は、単に安全機能を重視する余り、その構造や色彩が画一的で見栄えが悪く、周囲の景観環境と人に配慮する取り組みが殆どなされていない現状にある。
【0003】
近年、防護柵を、周囲の景観を壊すことなく、風景を生かして調和させようとする取り組みが考えるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全機能を重視する従来の道路の歩車道用防護柵は、色彩形状が無味乾燥であるため、車両走行の周辺風景には違和感があることが多く、道路環境の景観を損なうと同時に、ドライバーの心に、時にはイライラ感を伴い、運転操作に心理的影響も考えられている。
【0005】
走行中のドライバーに、いやしの心とゆとりを持つ運転を持続させるためには、景観を損なわずに人と道路環境の風景に調和させる配慮がなされた防護柵の提案が期待されるが、それには、柵を周囲の風景に溶け込む植物による植裁緑化する構想が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、植物を植裁緑化することにより人と周囲の景観に配慮した防護柵を提案するもので、路肩分離帯,中央分離帯並びに歩車道分離帯等に用いられている緩衝を兼ねた車両用の防護柵(A)に、植物を植裁した植栽籠(B)を着脱自在に一体化することにより、防護柵を緑化して防護柵設置道路の景観を損なうことなく人と周囲環境の風景に調和させることを特徴とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、道路に於て安全機能を重視する余り、周囲の風景になじまず、逆にドライバーに心理的圧迫感を与えがちな従来の車両防護柵を、緑化した植栽籠を一体化することにより、周囲の景観を壊すことなく風景に調和させる効果があり、又、植栽籠は、着脱自在としたので、予め養生して置いた別の植栽植物を籠のまま取り替え容易で、季節ごと風景ごとのレイアウト作業が短期間能率的に出来る効果と共に、更に、無味乾燥な防護柵に命を与えて、ドライバーに心のゆとりといやしの心を与えて、引いては事故防止に繋がる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、路肩分離帯,中央分離帯並びに歩車道分離帯等に用いられている緩衝を兼ねた車両用の防護柵(A)に、植物を植裁した植栽籠(B)を着脱自在に一体化して、周囲の景観に配慮した防護柵を提案するものである。
【0009】
具体的には、例えば、中央分離帯用としては、両側面に緩衝を兼ねた複数の防護横桿(1)を固定し、夫々コンクリート又は土中埋め込み等の基礎ブロック(2)で支えられた複数個の支柱(3)の二股のY字支持部(4)の頂部に、二列の頂部横桿(5),(5)を横架固定した防護柵(A)の頂部横桿(5),(5)の間に、植裁籠(B)を数個の吊り受け金具(6)で懸吊して着脱自在に一体化することを特徴とし、植裁籠(B)は、水受け(7)を持つ金網箱(8)の内側に土止めシート(9)を内張りし、内部に例えば、パーライト,トップソイル,アクアソイル等の人工土壌(10)を充填して植物(C)を植裁緑化したものとする。土止めシート(9)には、透水通気シート(11)及び耐根シート(12)を積層する。
【0010】
歩道と車道の分離用防護柵の場合は、防護横桿(1’)を固定し、夫々コンクリート等の基礎ブロック(2’)で支えられた支柱(3’)の上部を傾斜支持部(4’)として、頂部に一本の頂部横桿(5’)を横架固定して防護柵(A)とし、歩道側となる傾斜支持部(4’)側に、植裁籠(B)を数個の吊り受け金具(6)で懸吊して着脱自在に一体化する。
【0011】
なお、植裁籠(B)は、一般的に用いられているガードレール,ガードパイプに着脱自在に取り付け一体化することも出来る。
【0012】
植裁植物の給水補水は、雨水を貯留する補水タンクに連通した散水管(D)の散水孔からセンサーによりドリップ式に自動散水して補水する。補水タンクには巡検しながら適宜給水しておく。
【0013】
植裁籠(B)の植裁植物は、季節ごとに適したもの、或は、景観に溶け込む植物に植え替えるものとし、必要に応じて着脱自在としたので、予め養生して置いた別の植栽植物を籠のまま取り替えることも可能で、季節ごと風景ごとのレイアウト作業を容易にし、場所によっては植裁籠(B)を外して防護柵(A)のままとすることも出来る。
【0014】
道路での防護柵は、道路から景色や街並みを見る時、また、道路を外から見る、即ち、一連の景色の中に道路がある時、防護柵は、道路の外部と内部の境界或は境界付近に自然と目に入る施設であるが、一般的には、周囲環境とは必ずしも調和せず、形状色彩等景観に配慮したものとはなっていない現状にある。
【0015】
従って、地域の応じた美しい道路環境を創造していく観点からは、周辺の景色や街並みと道路とを調和させることが大切であり、景観の妨げを減らす配慮が必要となる。
【0016】
課題としては、周辺景観の中で防護柵が目立っており、眺望が阻害されていて、形状色彩の異なるものが隣接設置されて煩雑且つ統一性がなく、歩行者が触れる施設としては配慮に欠けている等が挙げられる。
【0017】
本発明は、美しい自然の風景を生かす美しい防護柵に、更に、植物による緑化を加えるコンセプトの発想であって、一定水準以上の景観を形成しながら、地域固有の風景の良さを引き出し得る自然に配慮した防護柵の提案である。
【0018】
防護柵の安全性という重要な機能を踏まえて、そのデザインとのバランスを考慮しながら、各地の様々な風景に調和する植栽緑化を施行するもので、止まって眺める時は勿論、車の走行景観に運転者のいやしの心をかもし出させる。
【0019】
そのために、防護柵の構造色彩にデザイン性を与え、これに構造的合理性に基づいて植栽緑化を一体的に組み込み、周辺景観との融和を図り、人との親和性に配慮するものである。
【0020】
本発明では、丈夫な金網を外枠基材とし、通気保湿に富んだ繊維シートからなる土止めシート(9)を内張りし、常に新鮮な空気と充分な酸素を取り込んだ人工土壌(10)に植栽した植栽籠(A)の緑化植物が、防護柵にいのちを与えて景観を損なうことなく溶け込ませた特徴を持つものである。
【0021】
植栽植物の水管理には、雨水利用を最大限に生かし、雨水を貯留する補水タンクに連結したソーラーパネル,自動散水ドリップ等自動給水をシステム化し、レイン,ウインド,フリーズ,モイスチャー等の各センサーによる給水コントロールして、上水は必要最小限の補給とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 (a) 本発明防護柵の中央分離帯用の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路肩分離帯,中央分離帯並びに歩車道分離帯等に用いられている緩衝を兼ねた車両用の防護柵(A)に、植物を植裁した植栽籠(B)を着脱自在に一体化することにより、防護柵を緑化して防護柵設置の道路周囲環境の風景に調和させ、景観を損なうことなく周辺景観と近接する他の道路付属物等との景観的調和,人との親相性に配慮したことを特徴とした緑化と一体化自在の防護柵。

【図1】 (b) 本発明防護柵の歩車道分離帯用の斜視図である。
【図2】 本発明に係る植栽籠の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
A 防護柵
B 植栽籠
C 植物
1 防護横桿
2 基礎ブロック
3 支柱
4 Y字支持部
5 頂部横桿
6 吊り受け金具
7 散水管
8 金網箱
9 土止めシート
10 人工土壌
【図1】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−241960(P2006−241960A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106731(P2005−106731)
【出願日】平成17年3月5日(2005.3.5)
【出願人】(302000748)
【Fターム(参考)】