説明

胃腸毒性の低い治療薬としてのインドール酢酸、及びインデン酢酸誘導体

本開示主題は、実質的に減少したシクロオキシゲナーゼ阻害活性により特徴付けられ、また、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、及びγ-セクレターゼの類などの他のポリペプチドと相互作用し、かつその活性を調節する能力を維持する、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の誘導体を提供する。また、病理学的障害を治療する該誘導体の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本特許出願は、2004年4月26日に出願された米国仮出願番号第60/565,489号の利益を主張し、その全内容は、本明細書中に引用により取り込まれている。
(助成金の記述)
本研究は、米国国立衛生研究所の助成金番号CA89450によりサポートされている。従って、米国政府は、本開示主題において特定の権利を有する。
【0002】
(技術分野)
一般的に、本開示主題は、シクロオキシゲナーゼ酵素を阻害する能力を低下するように改質されている、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の誘導体に関するものである。また、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の特異性の変更方法、及び様々な生物活性を調節する該改質された化合物の使用方法を提供する。
【0003】
(略語表)
15d−PGJ2 − 15−デオキシ−12,14−プロスタグランジンJ2
AA − アラキドン酸
AD − アルツハイマー病
APP − アミロイド前駆体タンパク質
ATCC − 米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection)
CCDB − ケンブリッジ結晶学データバンク(Cambridge Crystallographic Data Bank)
CNS − 中枢神経系
COX − シクロオキシゲナーゼ
COX−1 − シクロオキシゲナーゼ−1
COX−2 − シクロオキシゲナーゼ−2
DMAP − ジメチルアミノピリジン
DMEM − ダルベッコの改質イーグル培地
DM−INDO − 2−デス−メチルインドメタシン
DMSO − ジメチルスルホキシド
DTT − ジチオスレイトール
EBA − ブロモ酢酸エチル
ED50 − 細胞生存率を50%に減少する化合物濃度
EDCI − N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
EDTA − エチレンジアミン四酢酸
ESI−MS − エレクトロスプレーイオン化
EtO − ジエチルエーテル
EtOAc − 酢酸エチル
FBS − ウシ胎児血清
GI − 胃腸
HOAc − 酢酸
IC50 − 酵素又は細胞活動を50%に減少する阻害剤濃度
INDO − インドメタシン
mCOX−2 − マウスCOX−2
MODY − 若年者の成人発症型糖尿病
NSAID − 非ステロイド性抗炎症薬
oCOX−1 − ヒツジCOX−1
PG − プロスタグランジン
PMA − リンモリブデン酸
PMTBA − p−メチルチオベンズアルデヒド
PPA − ポリリン酸
PPAR − ペルオキシソーム増殖因子[s]-活性化受容体
ppm − 100万分の1
PTSA − p−トルエンスルホン酸・H
SDS − ドデシル硫酸ナトリウム
SDS−PAGE − ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
S.E. − 標準誤差
TMS − テトラメチルシラン
【背景技術】
【0004】
(背景)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、抗炎症性、及び解熱性のために広く使用され、ヒトの窮迫、及び病気を治療する治療薬類である。典型的なNSAIDには、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、インドメタシン、及びナプロキセンなどがある。
NSAIDの抗炎症活性、及び解熱活性は、該シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素に結合し、かつその作用を阻害する、これらの化合物の能力に由来する。COX活性は、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)、及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2; DeWitt & Smith, 1988; Yokoyama & Tanabe, 1989; Hla & Neilson, 1992を参照されたい。)と呼ばれる2つの異なった、独立に制御される酵素に由来する。COX−1は、構成イソ型であり、主に、胃腸(GI)路の細胞保護的プロスタグランジンの合成に応答し、血小板の凝集を引き起こす(Allisonらの論文, 1992)。一方、COX−2は、誘発性であり、かつ短命である。その発現は、内毒素、サイトカイン、及びマイトジェンに応答して刺激される(Kujubuらの論文, 1991; Leeらの論文, 1992; O'Sullivanらの論文, 1993)。NSAIDは、COX−1、及びCOX−2の選択性の変化を示すが、一般に、多くは、両酵素に対して阻害活性を示す(Meadeらの論文, 1993)。
【0005】
炎症、及び炎症応答は、様々な疾患、及び障害に関連している。例えば、アルツハイマー病患者の脳は、炎症応答の細胞、及び分子マーカーを伴ったアミロイド斑の蓄積により特徴付けられる。ADは、高齢者における痴呆の最も一般的な要因であり、医療的ケア、及び非経済的損失、双方の面から、個人、及び社会にとって莫大な費用が生じる。ヒトが年を取るにつれて、AD、及び関連神経疾患が、医療、及び社会的負担増加となるであろうことは否定できない。次に、必要なことは、年齢関連神経疾患の予防、及び治療に使用することができる新しい適切な治療法である。
【0006】
興味深いことに、疫学的研究は、NSAIDを用いた長期治療が、AD発生に対して防御作用を提供するかもしれないことを示唆している。当初、該防御作用は、NSAIDの抗炎症作用に由来すると考えられていたが、最近、この仮説は疑問視されている。それどころか、最近の幾つかの報告では、該防御作用が、シクロオキシゲナーゼを阻害するNSAIDの能力とは無関係であることを示唆している。従って、NSAIDを用いた治療は、AD、及び関連疾患の発生、及び/又は重症度の低減に有用であるかもしれない。
【0007】
しかし、NSAIDの長期使用に、リスクがないことはない。特に、多くのNSAID、特にCOX−1の阻害剤であるものは、重大なGI毒性と関連している。このように、これらの薬剤の長期使用は、慎重に着手されなければならない。これは、神経疾患に対する潜在的利益のためのNSAIDの使用と、これらの使用に関連するGI毒性との間の慎重なバランスが要求される。より好ましいアプローチは、これらの防御作用を維持するが、衰弱させず、かつ潜在的に致命的な毒性を生じないNSAIDの新しい誘導体を発見するか、又は作り出すことであろう。
【0008】
1つの可能性のあるアプローチは、COX−2に特異的なNSAIDを使用することであろう。前記NSAIDの幾つかは、製造されており、セレコキシブ、バルデコキシブ(ぞれぞれ、CELEBREX(商標)、及びBEXTRA(商標);Pfizer社, ニューヨーク, ニューヨーク州, アメリカ合衆国), ロフェコキシブ、エトリコキシブ(それぞれ、VIOXX(商標)、及びARCOXIA(商標);Merck and Co.社, Whitehouse Station, ニュージャージー, アメリカ合衆国)、及びルミラコキシブ(PREXIGE(登録商標);Novartis Pharmaceuticals Corporation, East Hanover, ニュージャージー, アメリカ合衆国)がある。不運にも、最近の証拠は、これらのCOX−2特異的阻害剤が、AD発生に対して防御作用を全く提供しないことを示した。インビボ、及びインビトロアッセイ、双方において、セレコキシブもロフェコキシブも、アミロイド斑形成に応答すると考えられている該アミロイド前駆体タンパク質(APP)の分解産物であるAβ42タンパク質の産生を阻害できないようであった。従って、単にCOX−2特異的NSAIDの使用が、他の非特異的NSAIDで現在見られた防御作用を提供するわけではないと思われる。
【0009】
さらなる証拠は、イブプロフェン、スリンダクスルフィド、及びインドメタシン(全て非特異的NSAID)などの特定のNSAIDにより得られる該防御作用が、これらのCOX阻害に関わることはなく、中枢神経系(CNS)にある他のポリペプチドと相互作用するNSAIDの能力に関わっているかもしれないことを示唆しているようである。2つの前記ポリペプチドは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、及びγ-セクレターゼの類である。例えば、PPAR、特にPPARγは、アテローム性動脈硬化症、炎症、肥満症、糖尿病、癌、免疫応答、及び老化に関わる様々な病的状態に関連している。Kerstenらの論文, 2000; Celi & Shuldiner, 2002を参照されたい。一方、γ-セクレターゼは、APP由来のAβ42の産生に応答する主要酵素のようであり、従って、ADの病因に重大な役割を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
今後、必要なものは、元のNSAIDよりも毒性が低く、また、例えばPPAR、及び/又はγ-セクレターゼの活性を調節する元の能力を維持した、NSAIDの新しい誘導体である。そのもの、及びその他のものが、本開示主題の組成物、及び方法により取扱われる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
本要旨は、本開示主題の幾つかの実施態様を記載し、多くの場合において、これらの実施態様の変更、及び置換を記載する。本要旨は、単に、多くの例証であり、かつ実施態様は変更される。所定の実施態様の1以上の代表的特徴の言及は、同様に、例証である。前記実施態様は、通常、言及された特徴の有無にかかわらず存在し得る;同様に、これらの特徴は、この要旨に記載されていてもいなくても、本開示主題の他の実施態様に適用され得る。必要以上の反復を避けるために、本要旨には、前記特徴の可能な組合せ全てを記載、又は提示しない。
【0012】
本開示主題は、細胞の増殖阻害方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、該細胞を、化合物の誘導体と接触させることを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。幾つかの実施態様において、該シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、インデン酢酸官能基を含み、かつ該成分は、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該細胞は、対象内に存在するものである。幾つかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である、幾つかの実施態様において、該哺乳動物は、ヒトである。
【0013】
幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である、幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該化合物の誘導体は、アミド、又はエステル誘導体である。
また、本開示主題は、癌、神経変性疾患、及び糖尿病からなる群から選択される、対象の疾患の治療方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、該対象に、化合物の誘導体の治療有効量を投与することを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。幾つかの実施態様において、該シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、インデン酢酸官能基を含み、かつ該成分は、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である、幾つかの実施態様において、該哺乳動物は、ヒトである。
【0014】
幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該化合物の誘導体は、アミド、又はエステル誘導体である。
また、本開示主題は、対象の腫瘍増殖の抑制方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、腫瘍を有する対象に、化合物の誘導体を投与することを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。幾つかの実施態様において、該シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、インデン酢酸官能基を含み、かつ該成分は、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である、幾つかの実施態様において、該哺乳動物は、ヒトである。
【0015】
幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該化合物の誘導体は、アミド、又はエステル誘導体である。
また、本開示主題は、細胞のアポトーシスの誘発方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、該細胞を、化合物の誘導体と接触させることを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。幾つかの実施態様において、該シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、インデン酢酸官能基を含み、かつ該成分は、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該細胞は、培養液中の細胞である。幾つかの実施態様において、該細胞は、癌細胞である。幾つかの実施態様において、該細胞は、対象内に存在するものである。幾つかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である、幾つかの実施態様において、該哺乳動物は、ヒトである。
【0016】
幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該化合物の誘導体は、アミド、又はエステル誘導体である。
また、本開示主題は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)イソ型の活性を調節する方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、該PPARイソ型を、化合物の誘導体と接触させることを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。幾つかの実施態様において、該シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、インデン酢酸官能基を含み、かつ該成分は、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該PPARイソ型は、PPARγである。幾つかの実施態様において、該PPARイソ型は、対象内に存在する。幾つかの実施態様において、該対象は、哺乳動物である、幾つかの実施態様において、該哺乳動物は、ヒトである。
【0017】
幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、該化合物の誘導体は、アミド、又はエステル誘導体である。
また、本開示主題は、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の特異性を変更する方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、(a)2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する化合物を提供すること;及び(b)該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分で置換し、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠く誘導体を作り出すことを含む。幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。幾つかの実施態様において、該非ステロイド性抗炎症薬は、インドメタシン、及びスリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該誘導体は、2−デス−メチルインドメタシン、及びエインデニック酸スルフィド(eindenic acid sulfide)、エインデニック酸スルホキシド(eindenic acid sulfoxide)、及びエインデニック酸スルホン(eindenic acid sulfone)からなる群から選択されたものである。幾つかの実施態様において、該誘導体は、エインデニック酸スルフィドである。幾つかの実施態様において、該方法は、前記化合物上に存在するカルボン酸成分を、エステル、又はアミドに誘導体化することをさらに含む。
【0018】
また、本開示主題は、幾つかの、又は全ての開示された方法と併せて使用することができる組成物を提供する。幾つかの実施態様において、本開示主題は、下記式の化合物を提供する。
【化1】

【0019】
式中、Rは、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;CONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
【0020】
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子;ハロ;CF;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;アリール; 置換アリール; ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;及びSONHからなる群から選択され;
は、水素原子、C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル及び=Oからなる群から選択され;
【0021】
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及び下記構造のものからなる群から選択され:
【化2】

【0022】
(式中、Arは、シクロへキシル、又はフェニルであり;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキルであり;
は、水素原子、ハロ、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、及び置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;アミノ;ニトロ;CF;ブロモアセトアミジル;ベンゾイル;又は2−フェニル−オキシラニルであり;
Xは、O、又はNRであって、ここでRは、水素原子、又はアルキルであり;かつm、n、及びtは、それぞれ独立に0、1、2、3、4、又は5である。);
【0023】
Yは、水素原子、ハロ、CF、及びC〜Cアルキル又は分岐アルキルからなる群から選択され;
Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;
p、及びqは、双方とも独立に0、1、2、3、又は4であり;
に結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合であり;かつ
が結合した6員環は、シクロへキシル、又はフェニルである。
【0024】
幾つかの実施態様において、Rは、ハロ、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、SCH、SOCH、SOCH、及びSONHからなる群から選択され;Rは、水素原子;ハロ;C〜Cアルキル又は分岐アルキル;C〜Cアルコキシ又は分岐アルコキシ;ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;SONH;及びCONHからなる群から選択され;R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、及びハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、及びカルボニルからなる群から選択され;Rは、C〜Cアルキルカルボン酸、及び分岐C〜Cアルキルカルボン酸からなる群から選択され;Yは、水素原子、ハロ、及びC〜Cアルキル又は分岐アルキルからなる群から選択され;Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;かつRに結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合である。幾つかの実施態様において、該誘導体は、2−デス−メチルインドメタシン、及びエインデニック酸スルフィド、エインデニック酸スルホキシド、及びエインデニック酸スルホンからなる群から選択されたものである。また、幾つかの実施態様において、該誘導体は、エインデニック酸スルフィドである。
【0025】
幾つかの実施態様において、該化合物は、下記式を有する。
【化3】

【0026】
幾つかの実施態様において、該化合物は、下記式を有する。
【化4】

【0027】
幾つかの実施態様において、該化合物は、下記式を有する。
【化5】

【0028】
幾つかの実施態様において、該方法は、該化合物上に存在するカルボン酸成分を、アミドに誘導体化することをさらに含む。幾つかの実施態様において、該アミド誘導体は、下記一般式を有する。
【化6】

【0029】
幾つかの実施態様において、R11は、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び環状アルキルからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、R11は、C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、及び環状アルキルカルボン酸からなる群から選択される。幾つかの実施態様において、R11は、C〜Cアリール、及びC〜C置換アリールからなる群から選択される。該置換アリールの幾つかの実施態様において、該置換基は、少なくとも1つの位置にあり、かつ各置換基は、ハロゲン、NH、OCH、CF、OH、C〜Cアルキル、又は分岐アルキル、NO、ベンゾイル、2−フェニル−オキシラン、及びNH−CO−CHBrからなる群から選択される。
【0030】
幾つかの実施態様において、該アミド誘導体は、下記一般式を有する。
【化7】

式中、R12は、フェニル−SOCH、フェニル−SOCH、フェニル、フェニルメチルエステル、フェニル−COOH、フェニル−ハロ、及びC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される。代表的なアミド誘導体を、表1、及び2に示した。
【0031】
幾つかの実施態様において、該方法は、該化合物上に存在するカルボン酸成分を、エステルに誘導体化することをさらに含む。幾つかの実施態様において、該エステル誘導体は、下記一般式を有する。
【化8】

【0032】
式中、Rは、上記のように規定され、R13は、C〜Cアルキル、C〜C分岐アルキル、及びC〜C置換アルキルからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、該エステル誘導体は、下記式を有する。
【化9】

【0033】
従って、本開示主題の目的は、疾患の治療、及び/又は予防に使用するための新しい治療薬を提供することである。本目的は、本開示主題により全体的に、又は部分的に達成される。
本開示主題の目的は上記で規定され、他の目的は、説明が進むにつれて、及び下記で最適なものが記載されるにつれて、明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(詳細な説明)
本主題は、添付の実施例を参照して、本開示主題の代表的な実施態様を示す下文でさらに完全に記載される。しかし、本開示主題は、異なる形態を具体化することができるものであり、かつ本明細書中で説明する実施態様に制限されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が、十分かつ完全になり、かつ本開示主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
本明細書中で言及される全ての公報、特許出願、特許、及び他の引例は、これらの全体において本明細書中に取り込まれている。
本明細書、及び特許請求の範囲を通して、所定の化学式、又は名称は、全ての光学異性体、及び立体異性体、並びに前記異性体、及びラセミ混合物を、そのような異性体、及び混合物が存在する場合、含むであろう。
【0035】
(I.一般的考察)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、とりわけ、炎症抑制、疼痛抑制、熱低下、腫瘍増殖阻害、アルツハイマー病抑制、及び神経変性疾患における認知機能の改善を含む一連の生物活性を発揮する。これらの効果の幾つかは、シクロオキシゲナーゼ酵素(COX−1、及びCOX−2)の阻害により媒介され、他のものは、他の分子標的の調節により媒介される。後者には、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)の活性化、γ−セクレターゼの調節、c−GMPホスホジエステラーゼサブタイプの阻害、及びRho活性化の阻害があるが、これらに限定されない。シクロオキシゲナーゼ関連、及び非シクロオキシゲナーゼ関連応答、双方に活性を示す化合物は、インドメタシン、及びスリンダクスルフィドの2つがある。インドメタシンは、ヒトに投与した後に直接的に活性化し、一方、スリンダクスルフィドは、不活性プロドラッグであるスリンダクとして投与される。スリンダクは、胃腸路で還元され、活性薬剤スリンダクスルフィドに変換される。
【0036】
インドメタシン、及びスリンダクスルフィドは、それぞれ置換インドール酢酸、及びインデン酢酸官能基を含む、構造的に同類の分子である。両分子は、該インドール、又はインデン環の2位にメチル基を含む。分子モデリングは、この2’メチル基が、インドメタシン、及びスリンダクスルフィドの能力の重要な決定基であり、COX酵素に強く結合し、それによって、これらの機能を阻害することを示唆している。この仮説は、COX−2酵素の部位特異的変異誘発、及び本明細書中に記載するように2’メチル基を欠くインドメタシン、及びスリンダクスルフィド誘導体(2−デス−メチル誘導体)の合成により立証されている。これらの誘導体は、もとの薬剤と比較して、両COX酵素の乏しい阻害剤となる。
【0037】
COX酵素を阻害するンドール酢酸、及びインデン酢酸の2−デス−メチル誘導体の不能性は、COX非依存性効果を示す薬剤を開発するための戦略を提供するが、COX酵素阻害は最小であり、従って、低い胃腸毒性という利点により、高い安全性の余地を有する。これは、与えられるこれらの薬剤の高投与量を可能にし、非COX標的の点において、これらの有効性が増加される。これらの化合物は、とりわけ、癌、神経変性疾患、及び糖尿病の予防、治療、又は阻害の能力を示すことが予想されるであろう。
【0038】
(II.定義)
下記用語は、当業者に十分に理解されると考えられるが、下記定義は、本開示主題の説明を容易にするために説明されるものである。
他に規定しない限り、本明細書中に使用される全ての技術及び科学用語は、本開示主題が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載したものと類似又は同等の全ての方法、装置、及び物質を、本開示主題の実施、又は試験に使用することができるが、今回、代表的な方法、装置、及び物質を記載した。
【0039】
他に示さない限り、本明細書中及び特許請求の範囲に使用される、含有量、及び反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合において、用語“約”により緩和されるものとして理解されるべきである。従って、正反対のことを示さない限り、本明細書及び添付された特許請求の範囲中に説明される数値パラメータは、近似値であり、本開示主題により得られることを求められた所望の特性に応じて変更することができる。
長年にわたる特許法の慣習に従って、“a”、“an”、及び“the”の用語は、特許請求の範囲を含む本出願において使用される場合、“1以上”を意味する。従って、例えば、“ベクター(a vector)”の言及は、複数の前記ベクターなどを含む。
【0040】
本明細書中に使用されるように、用語“約”は、質量、重量、時間、体積、濃度、又は割合の値又は量に対して言及される場合、特定された量から±20%、又は±10%、他の例においては±5%、他の例においては±1%、他の例においては±0.5%、また他の例においては±0.1%の変動を含むことを意味する。前記変動は、本開示方法の実施に適切である。
【0041】
本明細書中に使用されるように、用語“アミノ酸”、及び“アミノ酸残基”は、同義的に使用され、20種の天然アミノ酸全てを意味する。アミノ酸は、そのペプチド結合で、ポリペプチドの化学的消化(加水分解)により形成される。幾つかの実施態様において、本明細書中に記載されたアミノ酸残基は、“L”異性体である。しかし、所望の機能特性が、該ポリペプチドにより維持される限り、“D”異性体の残基を、任意のL−アミノ酸残基に対して置換することができる。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を意味する。COOHは、ポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊離カルボキシ基を意味する。標準的ポリペプチド命名法に従って、アミノ酸残基の省略形を、上文にある表形式で示した。
【0042】
式により本明細書中に表した全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシ末端への従来の方向において、左から右への方向を有することに注意する。さらに、句“アミノ酸”、及び“アミノ酸残基”は、広域に規定され、改質及び異常アミノ酸を含む。
さらに、アミノ酸残基配列の開始又は末端でのダッシュ記号は、1以上のアミノ酸残基のさらなる配列へのペプチド結合、或いは、NH又はアセチルなどのアミノ末端基、又はCOOHなどのカルボキシ末端基への共有結合を示す。
【0043】
本明細書中の特定の例において、アミノ酸は、1又は3文字表記、続いて番号により示される(例えば、Val-349)。本明細書中に使用されるように、この番号付与方式は、ヒツジCOX−1中の対応するアミノ酸の位置を意味する。そのアミノ酸配列は、GENBANK(登録商標)アクセッションナンバーP05979で見つけることができる。この慣習の結果として、所定のアミノ酸、及び番号の組合せは、特定のCOX酵素、及び種により、所定のポリペプチド中に見つけられないかもしれない。例えば、“Val-349”は、インドメタシン、又はスリンダクの2'-メチル基に対する結合ポケット部分を形成するバリン残基を意味する。GENBANK(登録商標)アクセッションナンバーP05979を見ると、位置349でバリンを見つけることができる。しかし、マウスCOX−2アミノ酸配列である、GENBANK(登録商標)アクセッションナンバーQ05769を見た場合、対応するバリンが、アミノ酸349でなく、アミノ酸335であることがわかる。同様に、Ala-527、Ser-530、及びLeu-531は、それぞれ、ヒツジCOX−1の位置527、530、及び531のアミノ酸だけでなく、それぞれ、マウスCOX−2中の位置513、516、及び517に見つかるアラニン、セリン、及びロイシン残基も意味する。ヒトCOX−2アミノ酸配列は、GENBANK(登録商標)アクセッションナンバーP35354で見つけることができ、ヒトCOX−2において、また、Val-349、Ala-527、Ser-530、及びLeu-531は、それぞれアミノ酸335、513、516、及び517に存在するバリン、アラニン、セリン、及びロイシンアミノ酸を意味する。
【0044】
本明細書中に使用されるように、用語“細胞”は、特定の対象細胞(例えば、生きている生体細胞)だけでなく、前記細胞の子孫、又は潜在的子孫をも意味する。変異、又は環境影響のために、特定の改質が次の世代に発生するので、実際、前記子孫は、該親細胞と同一でない可能性があるが、本明細書中に使用される該用語の範囲内にさらに含まれる。
本明細書中に使用されるように、用語“酵素活性”は、基質の産物への変換を触媒する酵素の能力を意味する。該酵素の基質は、該酵素の天然基質を含むことができるが、該天然基質の類似体も含むことができる。これらは、該酵素により産物、又は産物の類似体に変換され得る。該酵素の活性は、例えば、特定の反応時間後の産物量を決定することにより、又は特定時間後の反応混合物中に残った基質量を決定することにより測定される。また、該酵素活性は、特定時間後の反応混合物中に残った、該反応の未使用コファクター量を決定することにより、又は特定時間後の反応混合物中の、使用されたコファクター量を決定することにより測定され得る。また、該酵素の活性は、特定時間後の該反応混合物中に残った自由エネルギー、又は高エネルギー分子(例えば、ATP、ホスホエノールピルビン酸、アセチルリン酸、又はホスホクレアチン)の供与体量を決定することにより、又は特定時間後の該反応混合物中の自由エネルギー、又は高エネルギー分子(例えば、ADP、ピルビン酸、酢酸、又はクレアチン)の使用される供与体量を決定することにより測定され得る。
【0045】
本明細書中に使用されるように、用語“阻害剤”は、生合成及び触媒活性などのポリペプチドの生物活性、受容体、シグナル伝達ポリペプチド、構造遺伝子産物、又は輸送ポリペプチドを不活性化、又は減少する化学的基質を意味する。
本明細書中に使用されるように、用語“相互作用する”は、分子間の“結合”相互作用、及び“会合”を含む。例えば、相互作用は、本質的に、タンパク質−タンパク質、タンパク質−小分子、タンパク質−核酸、及び核酸−核酸であり得る。
【0046】
本明細書中に使用されるように、用語“調節する”は、幾つか又は全ての化学的及び生物学的活性、又は生化学的存在物(例えば、野生型、又は変異ポリペプチド)の特性の増加、減少、又は他の変更を意味する。そのようなものとして、該用語“調節する”は、発現、レベル、又は活性が、調節因子の非存在下で観察されるものよりも大きいか、又はそれ未満であるように、遺伝子の発現レベル(又は1以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードしているRNA分子、又はタンパク質等価RNA分子のレベル)、或いは、1以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性の発現レベルの変化を意味し得る。例えば、該用語“調節する”は、“阻害する”又は“抑制する”を意味するが、単語“調節する”の使用は、この規定に制限されない。
【0047】
本明細書中に使用されるように、用語“調節”は、応答の上方制御(活性化、又は刺激)、及び下方制御(阻害、又は抑制)を意味する。従って、該用語“調節”は、機能特性、又は生物活性、又はプロセス(例えば、酵素活性又は受容体結合)に関して使用される場合、上方制御する(例えば、活性化する、又は刺激する)能力、下方制御する(例えば、阻害する、又は抑制する)能力、或いは、前記特性、活性、又はプロセスの性質を他に変化する能力を意味する。特定の例において、前記制御は、シグナル伝達系の活性化などの特定の現象の発生を条件とすることができ、かつ/又は特定の細胞種でのみ表れ得る。
【0048】
用語“調節因子”は、調節を引き起こすことができるポリペプチド、核酸、巨大分子、複合体、分子、小分子、化合物、又は種など(自然発生、または非自然発生)を意味する。調節因子は、機能特性、生物活性、又はプロセス、又はそれらの組合せの(直接的又は間接的)阻害剤又は活性化剤としての潜在的活性に対して、アッセイ中の含有物により評価され得る(例えば、アゴニスト、部分的アンタゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、抗菌薬、抗微生物感染又は増殖の阻害剤など)。前記アッセイにおいて、多くの調節因子を、一度にスクリーニングすることができる。調節因子の活性は、公知、未公知、又は部分的に公知であり得る。
【0049】
調節因子は、選択的、又は非選択的、どちらかであり得る。本明細書中に記載されているように、用語“選択的”は、調節因子(例えば、阻害剤)との関連で使用される場合、該調節因子が、類似しているが同一でない他の分子(同一酵素、又は受容体ファミリーの一員)と対比して、ある分子(例えば、酵素又は受容体)と相互作用することに関して、測定可能であり、又は他の生物学的に適切な相違を意味する。
該相互作用が異なる度合いが正反対であるという要求がないことが理解されるに違いない。言い換えれば、該用語の選択的調節因子は、所定のポリペプチドにのみ結合する分子だけでなく、関連ファミリー群を含む。また、該用語は、対象の及び異なる度合いが小さい関連ファミリー群由来のポリペプチドとの相互作用により特徴付けられる調節因子を含むことが意図される。例えば、選択的調節因子は、その条件が、異なるファミリー群由来のポリペプチドと対比して、該調節因子の対象ポリペプチドへの結合における生物学的に関連した相違を与えること(該調節因子に存在する天然置換基など)を見い出すことを可能にする調節因子を含む。
【0050】
選択的調節因子を同定する場合、該調節因子は、別の分子(例えば、対象のポリペプチドに関連したポリペプチド)に結合するよりも異なる(例えば、より強い)様式で、ある分子(例えば、対象のポリペプチド)に結合するであろう。本明細書中に使用されるように、該調節因子は、十分に強く結合する該分子への“選択的結合”、又は“優先的結合”を示すと言われる。
本明細書中に使用されるように、用語“変異”は、その従来の意味を有し、かつ核酸、又はポリペプチド配列中に、変化、遺伝、自然発生、又は導入されたものを意味し、かつ当業者に一般的に公知の意味として使用される。
【0051】
本明細書中に使用されるように、用語“核酸”、及び“核酸分子”は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により生じた断片、及びライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、及びエキソヌクレアーゼ作用のいずれかにより生じた断片のいずれかを意味する。核酸は、自然発生的ヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド、及びリボヌクレオチドなど)、又は自然発生的ヌクレオチドの類似体(例えば、自然発生的ヌクレオチドのα−エナンチオマー形態)、又は両方の組合せであるモノマーから構成され得る。核酸は、一本鎖、又は二本鎖、どちらかであり得る。
【0052】
本明細書中に使用されるように、用語“ポリペプチド”は、そのサイズ又は機能にかかわらず、20タンパク質アミノ酸、又はアミノ酸類似体のいずれかを含む全てのポリマーを意味する。“タンパク質”は、多くの場合、比較的大きいポリペプチドについて使用されるが、“ペプチド”は、多くの場合、小さいポリペプチドについて使用される。技術的に、これらの用語の使用は、重複し、かつ異なる。本明細書中に使用されるように、用語“ポリペプチド”は、他に注記されない限り、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質を意味する。本明細書中に使用されるように、用語“タンパク質”、“ポリペプチド”、及び“ペプチド”は、同義的に使用される。該用語“ポリペプチド”は、酵素を含む全ての機能のタンパク質を包含する。
【0053】
本明細書中に使用されるように、用語“対象のポリペプチド”、及び“標的ポリペプチド”は、同義的に使用され、本開示主題の組成物、及び方法が、調節することを意図する活性のポリペプチドを意味する。例えば、対象のポリペプチドは、シクロオキシゲナーゼ 酵素、PPAR(例えば、PPARγ)、及びセクレターゼ(例えば、γ−セクレターゼ)を含むが、これらに限定されない。本明細書中に開示される組成物は、これらの酵素を、1以上の他のものと区別をつけて調節することが意図される。例えば、本明細書中に開示されるNSAID誘導体は、シクロオキシゲナーゼ結合活性を低下することが意図されるが、他のポリペプチドに対する、これらの結合活性は、該誘導体化により影響される可能性がある、又はない。作用の特定の理論全てに限定されることを望まないが、COX結合活性の低下は、他のもの、対象の非COXポリペプチドに対して、これらの誘導体の生物学的利用能を向上させることがある。なぜならば、該誘導体は、COX酵素に結合しないか、又はこれらを基礎とする非誘導体化NSAIDよりも低い程度でCOX酵素に結合するためである。
【0054】
本明細書中に使用されるように、用語“有意性”、又は“有意”は、2以上の要素間の無作為でない関連性がある確率の統計分析を意味する。関連性が“有意”であるかないか、又は“有意性”を有するかどうかを決定するために、データの統計学的処理を行い、“p値”として表される確率を計算することができる。ユーザー定義のカットオフポイントを割るp値は、有意と見なされる。一例において0.05以下、別の例において0.01未満、別の例において0.005未満、及びまた別の例において0.001未満のp値は、有意と見なされる。
本明細書中に使用されるように、用語“有意な増加”は、測定技術に固有の誤差範囲よりも大きい活性(例えば、酵素活性)増加、基準活性(例えば、該阻害剤存在下の野生型酵素の活性)の約2倍以上、幾つかの実施態様において5倍以上、また幾つかの実施態様において10倍以上の増加を意味する。
【0055】
1以上のポリペプチド(例えば、PPAR、COX、又はセクレターゼ)に対する1以上の分子(例えば、調節因子)の結合に関して、有意な増加は、また、(a)同一ポリペプチドに対する2以上の関連化合物の結合における、生物学的に関連した相違、及び/又は(b)2つの異なるポリペプチドに対する同一化合物の結合における、生物学的に関連した相違を意味し得る。この態様において、“有意”は、その普通の意味と考えられる。すなわち、重要な2つのもの(すなわち、生物学的、又は医学的関連性)の間の相違である。例として、また、有意な増加は、非COXポリペプチド(例えば、PPARγ、又はγ−セクレターゼ)と相互作用するNSAIDの誘導体(例えば、本開示主題の2−デス−メチル誘導体)の、投与される該誘導体の単位投与量に対する量が、同一の非COXポリペプチドと相互作用する非誘導体化NSAIDの、該非誘導体化NSAIDの単位投与量に対する量と比較して、増加することを意味し得る。この例において、該誘導体は、COX酵素と元のNSAIDよりも強く結合しないために、元のNSAIDよりも多くの該誘導体を、非COXポリペプチドと相互作用するために利用することができるであろう。
【0056】
本明細書中に使用されるように、用語“有意に低い”、及び“有意に低下”は、測定技術に固有の誤差範囲よりも低下し、幾つかの実施態様において、基準活性(例えば、該阻害剤非存在下の野生型酵素の活性)に対して約2倍以上、幾つかの実施態様において5倍以上、また幾つかの実施態様において10倍以上低下する結果(例えば、酵素反応産物量)を意味する。
本明細書中に使用されるように、用語“治療有効量”、“治療的有効量”、及び“治療量”は、同義的に使用され、測定可能な応答(例えば、標的化された対象の生物学的、又は臨床的に関連した応答)を生じるのに十分な治療組成物量を意味する。本開示主題の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の対象に対する所望の治療反応の達成に有効な該活性化合物量を投与するために変更することができる。該選択された投与量レベルは、該治療組成物の活性、投与経路、他の薬剤又は治療との組合せ、治療される状態の重症度、並びに、治療される対象の状態及び前の病歴に依存するであろう。しかし、該化合物の投与は、所望の治療効果を達成するのに要求されるレベルよりも低いレベルで開始され、所望の効果が達成されるまで該投与量が徐々に増加されることは、技術的範囲内である。
【0057】
治療組成物の効力を変更することができ、従って、“治療的有効量”を変更することができる。しかし、当業者は、本開示主題の候補調節因子の効力、及び効果を容易に評価し、かつ適宜に治療法を調整することができる。
本開示主題の本明細書中の開示の検討後に、当業者は、特定の製剤、該組成物に使用される投与方法、及び他の因子を考慮して、個々の対象に対して投与量を調整することができる。さらに、投与量の計算は、対象の身長及び体重、症状の重症度及び段階、並びに、付加的な有害な物理的状態の存在を考慮し得る。このような調整、又は変更、並びに、前記調整又は変更をする場合、及びその仕方は、医学の技術者に周知である。
【0058】
(III. NSAIDの誘導体化)
(III.A 一般的考察)
シクロオキシゲナーゼ(COX)は、非ステロイド性抗炎症薬の治療標的である。インドメタシン(INDO)は、機能的に不可逆な、時間依存性阻害剤として特徴付けられた最初の非ステロイド性抗炎症薬の1つであった。しかし、この影響の根底にある分子的機序は、不確定である。COX−2に結合したINDOの結晶構造において、小さい疎水性ポケットが、INDOの2’メチル基を囲うことが確認された。該ポケットは、残基Ala-527、Val-349、Ser-530、及びLeu-531により形成される。このポケットの阻害への寄与が、Val-349の変異誘発によるその容積の変更により評価された。V349A変異は、該ポケットを拡大し、かつINDOの効力を増加した。一方、V349L変異は、該ポケットのサイズを減少し、かつINDOの効力を低下した。該V349L変異のINDO阻害の可逆性が、特に著しかった。
【0059】
NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(COX−1、及び/又はCOX−2)、PPAR(例えば、PPARγ)、及びセクレターゼ(例えば、γ−セクレターゼ)の活性の調節能力を含む様々な活性を有することが発見された。これらのポリペプチドの活性を、区別をつけて調節するように、NSAIDの異なる誘導体を作り出す能力を開発することができ、異なる疾患、及び障害の治療に使用することができる。
インビボにおけるPPAR、及び/又はセクレターゼを調節するNSAIDの使用は、該NSAIDの高投与量投与により誘発される有意な胃腸毒性の存在を併せ持つ。この効果は、該胃腸(GI)路の細胞保護的プロスタグランジンの産生、及び放出の低下の結果生じる、COX−1の阻害のためであるように見える。GI毒性低下への1つのアプローチは、COX−1、及び/又はCOX−2に結合し、さらに他の標的ポリペプチドを調節する能力を維持する、NSAIDの能力を低下することである。
【0060】
従って、幾つかの実施態様において、本開示主題は、シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の特異性を変更する方法を提供する。幾つかの実施態様において、該方法は、(a)2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する化合物を提供すること;及び(b)該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分で置換し、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠く誘導体を作り出すことを含む。この方法の幾つかの実施態様において、該化合物は、非ステロイド性抗炎症薬である。従って、幾つかの実施態様において、該誘導体は、NSAIDの誘導体であり、かつ2’位に水素原子、又はフッ素原子を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含む。インドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含む代表的なNSAIDは、インドメタシン、及びスリンダク、並びに、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0061】
インドメタシン、及びスリンダクの構造を以下に示した。
【化10】

【0062】
インドール酢酸、及びインデン酢酸官能基に結合した該2’メチル基を示す。これらの2’メチル基は、これらのNSAIDのCOX酵素への結合において重要な役割を担う。従って。2−デス−メチル誘導体を形成するように該2’メチル基を除去して、該2−デス−メチル誘導体のCOX酵素に結合する能力を低下することができる。これは、PPAR、セクレターゼ、及び他の標的ポリペプチドに結合し、かつ/又はそれらと相互作用する該誘導体の能力が、負に作用することはない。従って、幾つかの実施態様において、該誘導体は、2−デス−メチルインドメタシン、エインデニック酸スルフィド、エインデニック酸スルホキシド、及びエインデニック酸スルホンからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、該誘導体は、エインデニック酸スルフィドである。
【0063】
さらに、また、元の化合物中に存在する水素原子の位置に相当する全ての位置を誘導体化することができ、R基(例えば、R、R、Rなど)と表示する。そのようなものとして、幾つかの実施態様における本開示の誘導体の一般構造を式Iに示した。
【化11】

【0064】
式中、Rは、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;CONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
【0065】
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子;ハロ;CF;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;アリール; 置換アリール; ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;及びSONHからなる群から選択され;
は、水素原子、C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル及び=Oからなる群から選択され;
【0066】
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及び下記構造のものからなる群から選択され:
【化12】

【0067】
(式中、Arは、シクロへキシル、又はフェニルであり;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキルであり;
は、水素原子、ハロ、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、及び置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;アミノ;ニトロ;CF;ブロモアセトアミジル;ベンゾイル;又は2−フェニル−オキシラニルであり;
Xは、O、又はNRであって、ここでRは、水素原子、又はアルキルであり;かつm、n、s、及びtは、それぞれ独立に0、1、2、3、4、又は5である。);
【0068】
Yは、水素原子、ハロ、CF、及びC〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキルからなる群から選択され;
Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;
p、及びqは、双方とも独立に0、1、2、3、又は4であり;
に結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合であり;かつ
が結合した6員環は、シクロへキシル、又はフェニルである。)。
【0069】
引き続き式Iに関して、幾つかの実施態様において、Rは、ハロ、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、SCH、SOCH、SOCH、及びSONHからなる群から選択され;Rは、水素原子;ハロ;C〜Cアルキル又は分岐アルキル;C〜Cアルコキシ又は分岐アルコキシ;ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;SONH;及びCONHからなる群から選択され;R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、及びハロからなる群から選択され;Rは、水素原子、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、及びカルボニルからなる群から選択され;Rは、C〜Cアルキルカルボン酸、及び分岐C〜Cアルキルカルボン酸からなる群から選択され;Yは、水素原子、ハロ、及びC〜Cアルキル又は分岐アルキルからなる群から選択され;Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;かつRに結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合である。幾つかの実施態様において、該誘導体は、2−デス−メチルインドメタシン、エインデニック酸スルフィド、エインデニック酸スルホキシド、及びエインデニック酸スルホンからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、該誘導体は、エインデニック酸スルフィドである。
【0070】
該R基の誘導体化において、各R基は、幾つものR基(すなわち、構造内に存在するR基0個から全R基)が誘導体化され得るように独立に選択され得る。該用語“独立に選択される”は、R基、例えばR、R、Rなどが、同一、又は異なり得る(例えば、R、R、及びRが、全て置換アルキルであり得るか、又はR、及びRが、置換アルキルであり得て、かつRが、アリールであり得る。)ことを示すように本明細書中で使用され得る。さらに、“独立に選択される”は、同じ名称のR基の多様性において、各基が互いに同一であるか、又は異なり得る(例えば、あるRがアルキルであり、同じ化合物内の別のR基がアリールであり得る;あるR基がHであり、同じ化合物内の別のR基がアルキルであり得るなど)。
【0071】
名称R基は、その名称を有するR基に相当するものとして、技術的に認識される構造を一般的に有するであろう。説明の目的として、上記で列挙したような代表的R基を本明細書中に規定する。これらの規定は、当業者に公知の規定を排除するものでなく、補充、及び説明を意図するものである。
本明細書中に使用されるように、用語“アルキル”は、C1−10含有(すなわち、炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個を含む炭素鎖、また幾つかの実施態様において、C1−10含有)直鎖、分岐、又は環状、飽和、又は不飽和(すなわち、アルケニル、及びアルキニル)炭化水素鎖を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、及びアレニル基を含む。
【0072】
アルキル基は、同一、又は異なり得る1以上のアルキル置換基で任意に置換され得る。“アルキル置換基”は、アルキル、ハロ、アリール、アリールアミノ、アシル、ヒドロキシ、アリールオキシ、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ, アラルキルオキシ、アラルキルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、オキソ、及びシクロアルキルを含む。この場合において、該アルキルは、“置換アルキル”と呼ばれ得る。代表的な置換アルキルは、例えば、ベンジル、及びトリフルオロメチルなどを含む。任意に、アルキル鎖に沿って、1以上の酸素、硫黄、あるいは置換、又は無置換の窒素原子を挿入することが可能であり、その窒素置換基は、水素原子、アルキル(本明細書において“アルキルアミノアルキル”とも称する)、又はアリールである。従って、該用語“アルキル”は、エステル、及びアミドを含み得る。“分岐”は、メチル、エチル、又はプロピルなどのアルキル基が、直鎖アルキル鎖に結合したアルキル基を意味する。
【0073】
用語“アリール”は、本明細書において、単一の芳香族環、あるいは互いに融合した、共有結合した、又はメチレンもしくはエチレン部位などの共通の基に結合した複数の芳香族環であり得る芳香族置換基を意味するように用いられる。共通の結合基は、ベンゾフェノンにおけるカルボニル、ジフェニルエーテルにおける酸素、又はジフェニルアミンにおける窒素とすることも可能である。特定の実施態様において、該用語“アリール”は、5及び6員環炭化水素、及び複素芳香環を含む、約5〜約10個の炭素原子を含む環状芳香族を意味する。本明細書中に使用されるように、また、用語“アリール”は、“ヘテロアリール”(すなわち、炭素以外の環原子を含むアリール基)を含む。また、用語“アリール”は、基盤アリール基に結び付いたエステル、及びアミドを含み得る。
【0074】
アリール基を、同一、又は異なり得る1以上のアリール置換基で任意に置換することが可能であり、“アリール置換基”は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシル、アリールオキシ、アラルコキシル、カルボキシ、アシル、ハロ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルオキシル、アシルアミノ、アロイルアミノ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールチオ、アルキルチオ、アルキレン、及び−NR’R’’(R’、及びR’’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル、アリール、及びアラルキルであり得る)を含む。この場合において、該アリールは、"置換アリール"と呼ばれ得る。
【0075】
アリール基の具体例としては、シクロペンタジエニル、フェニル、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、ピラジン、及びピリミジン等が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書中に使用される用語“アルコキシ”は、--OZ1ラジカルを意味し。Z1は、本明細書中に記載されるように、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換へテロシクロアルキル、シリル基、及びこれらの組合せからなる群から選択される。適切なアルコキシラジカルは、例えば、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ、t-ブトキシなどを含む。関連用語として“アリールオキシ”があり、Zが、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、及びこれらの組合せからなる群から選択されるものである。適切なアリールオキシラジカルの例を挙げると、フェノキシ、置換フェノキシ、2-ピリジンオキシ、及び8-キナリンオキシなどがある。
【0076】
本明細書中に使用される用語“アミノ”は、--NZ基を意味し、Z、及びZの各々は、独立に、水素原子、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換へテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、シリル、及びそれらの組合せからなる群から選択される。さらに、該アミノ基は、先の規定の適用、及びZがH又はアルキルのどちらかである、Nとして示され得る。
本明細書に用いられているように、用語“アシル”は、カルボキシル基の−OHが他の置換基で置換された有機酸基(すなわち、Rが、本明細書に定められるアルキル、又はアリール基であるRCO−で表される)を意味する。そのように、用語“アシル”は、具体的には、アセチルフラン、及びフェナシル基のようなアリールアシル基を含む。アシル基の具体例としては、アセチル、及びベンゾイルが挙げられる。
【0077】
“アロイル”は、アリール-CO−基を意味し、アリールは、上記で規定したものである。アロイル基の例を挙げると、ベンゾイル、及び1−及び2−ナフトイルがある。
“環状”、及び“シクロアルキル”は、約3〜約10個、例えば3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する非芳香族の単又は多環式環系を意味する。該シクロアルキル基は、任意に部分的不飽和であり得る。また、該シクロアルキル基は、本明細書に定められているアルキル置換基、オキソ、及び/又はアルキレンで任意に置換され得る。該環状アルキル鎖に沿って、1以上の酸素、硫黄、あるいは置換、又は無置換の窒素原子を任意に挿入することが可能であり、その窒素置換基は、水素原子、低級アルキル、又はアリールであり、従って、複素環基が与えられる。代表的な単環シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。多環式シクロアルキル環としては、アダマンチル、オクタヒドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン、及びノルアダマンチルが挙げられる。
【0078】
“アラルキル”は、アリール−アルキル基(式中、アリール、及びアルキルは先述のものである。)を意味する。例示的なアラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、及びナフチルエチルが挙げられる。同様に、用語“アルキルアリール”は、アルキル−アリール基(式中、アリール、及びアルキルは先述のものである。)を意味する。そのような、用語“アラルキル”、及び“アルキルアリール”は、同義的に使用されるが、幾つかの例において、ある用語の他のものに対する使用は、化学構造中の基の左から右に読まれる場合の順序を示すことが意図される。例を通して、“エチルフェニル”置換基は、 “フェニルエチル”置換基と区別されることがあり、前者は、該エチル部位が、該分子の主鎖に結合し、一方、後者は、該フェニル部位が、該分子の主鎖に結合するであろう。
【0079】
“アラルキルオキシル”は、アラルキル−O−基(式中、アラルキル基は先述の通りである)を意味する。例示的なアラルキルオキシル基としては、ベンジルオキシルがある。
“ジアルキルアミノ”は、−NRR’基(式中、R、及びR’の各々は、独立に、先述したアルキル基である)を意味する。例示的なアルキルアミノ基としては、エチルメチルアミノ、ジメチルアミノ、及びジエチルアミノが挙げられる。
“アルコキシカルボニル”は、アルキル−O−CO−基を意味する。例示的なアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、及びt−ブチルオキシカルボニルが挙げられる。
【0080】
“アリールオキシカルボニル”とは、アリール−O−CO−基を意味する。例示的なアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシ−、及びナフトキシ−カルボニルが挙げられる。
“アラルコキシカルボニル”とは、アラルキル−O−CO−基を意味する。例示的なアラルコキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニルがある。
“カルバモイル”とは、HN−CO−基を意味する。
“アルキルカルバモイル”は、R’RN−CO−基(式中、R、及びR’の一方が水素原子であり、R、及びR’の他方が、先述したアルキルである)を意味する。
【0081】
“ジアルキルカルバモイル”は、R’RN−CO−基(式中、R、及びR’の各々が、独立に、先述したアルキルである)を意味する。
“アシルオキシル”とは、アシル−O−基(式中、アシルは先述した通りである)を意味する。
“アシルアミノ”とは、アシル−NH−基(式中、アシルは先述の通りである)を意味する。
“アロイルアミノ”は、アロイル−NH−基(アロイルは先述した通りである)を意味する。
用語“アミノ”は、−NH基を意味する。
【0082】
用語“カルボニル”は、−(C=O)−基を意味する。
用語“カルボキシル”は、−COOH−基を意味する。
本明細書中に使用されるように、用語“ハロ”、“ハライド”、又は“ハロゲン”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨード基を意味する。
用語“ハロメチル”は、少なくとも1つの水素原子をハロゲンで置換したメチル基を意味する。
用語“ヒドロキシル”は、―OH基を意味する。
用語“ヒドロキシアルキル”は、―OH基で置換されたアルキル基を意味する。
【0083】
用語“メルカプト”は、−SH基を意味する。
用語“ニトロ”は、−NO基を意味する。
用語“オキソ”は、炭素原子が酸素原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
用語“チオ”は、炭素、又は酸素原子が硫黄原子で置き換えられた、本明細書で既に述べた化合物を意味する。
用語“スルフェート”は、−SO基を意味する。
【0084】
本明細書中に使用されるように、“ヘテロ原子”は、炭素原子以外の原子である。例示的なヘテロ原子は、N、O、P、S、Si、B、Ge、Sn、及びSeからなる群から選択されるヘテロ原子である。幾つかの実施態様において、ヘテロ原子は、Nである。幾つかの実施態様において、ヘテロ原子は、Oである。幾つかの実施態様において、ヘテロ原子は、Sである。
式Iに示すように、“A”は、炭素原子、又は窒素原子を示す。
【0085】
構造中の結合に示した点線は、該結合が、該構造中に存在、又は非存在のどちらかであり得ることを示す。従って、A原子を、Rが結合する炭素原子に結合させた式Iの点線結合は、この結合が単結合又は二重結合であり得ることを示す。同じことが、式I中のRが結合した6員環内部の点線に当てはまる。該6員環に対して、個々の結合は、全て単結合、二重結合、又はその2つの混合であり得る(例えば、該6員環が、シクロヘキサン環、ベンゼン環、又は単結合及び/又は二重結合の任意の組合せを有する環であり得る。)。
【0086】
本明細書中に使用されるように、用語“エインデニック酸”は、下記構造のものを意味する
【化13】

【0087】
式Vに示したエインデニック酸の一般構造を有する化合物は、スリンダク、スリンダクスルフィドなどの2'-デスメチル化により生じる。本共同発明者らは、作用の特定の理論全てに制限されることを望まないが、彼らは、スリンダクにおいてZ-配置にある、p−置換ベンジリデン部位の二重結合が、スリンダクの2'-メチル基を水素原子又はフッ素原子に変更した場合、E−配置を採択し得ることを観察している。従って、該用語“エインデニック酸”は、幾つかの実施態様において、この二重結合がE−配置である事実を反映して、“E形態のインデン酢酸”を意味する。しかし、上述に示したように、各化学式、又は本明細書中に開示した名称は、全ての光学異性体、及び立体異性体、並びに、前記異性体及び混合物が存在する場合、ラセミ混合物を含む。従って、エインデニック酸は、E−配置、又はZ−配置のどちらかを採択する。幾つかの実施態様において、R、及びYは、上記のように規定され、かつR、及びR10は、それぞれ独立に、C〜Cアルキル、C〜C分岐アルキル、及び置換(例えば、ハロゲン置換)又は非置換アリールからなる群から選択される。
【0088】
該2’メチル位の改質に加えて、幾つかのNSAIDは、改質され得るカルボン酸基を有する。幾つかの実施態様において、インドメタシン、又はスリンダクのカルボン酸成分は、アミドに誘導体化される。幾つかの実施態様において、アミド誘導体は、下記一般式を有する。
【化14】

【0089】
幾つかの実施態様において、R*は、アリール、アルキルアリール、分岐アルキルアリール、及び置換アリールからなる群から選択され、該置換アリールは、ハロ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、ヒドロキシル、CF、ハロアセトアミジル(例えば、ブロモアセトアミジル)、ベンゾイル、及び2-フェニル-オキシラニルからなる群から選択される1以上の置換基を有する。幾つかの実施態様において、該アミド誘導体は、下記一般式を有する。
【化15】

式中、R12は、フェニル-SOCH、フェニル-SOCH、フェニル、フェニルメチルエステル、フェニル-COOH、フェニル-ハロ、及びC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される。代表的なアミド誘導体は、表1に示した。
【0090】
【表1】





【0091】
幾つかの実施態様において、該化合物上のカルボン酸成分は、エステルに誘導体化される。幾つかの実施態様において、該エステル誘導体は、下記一般式を有する。
【化16】

【0092】
式中、Rは、上記で規定したものであり、かつR13は、表2で規定したものである。幾つかの実施態様において、該エステル誘導体は、下記式を有する。
【化17】

【0093】
【表2】

【0094】
インドメタシン、及びスリンダクのこれらの、及び他の代表的な誘導体を表3に示した。
【表3】








【0095】









【0096】
(III.B. PPARの調節)
糖尿病は、対象のグルコース恒常性が不安定になり、かつ全身高血糖状態になる状態である。糖尿病状態には、I型とII型の2つの形態がある。通常、I型糖尿病は、約20歳の個人に発症し、インシュリン依存性となり、ケトアシドーシスを伴い、かつ糖尿病患者の約10%を示す。II型糖尿病は、アメリカの成人の約5パーセントが発症し、糖尿病患者の約90%を示す。通常、II型糖尿病は、肥満症に関連し、一般に、約40歳の個人に発症し、かつ非インシュリン依存性である。II型糖尿病の一部は、若い個人に発症し得る。これは、若年者の成人発症型糖尿病(MODY)と呼ばれる。
【0097】
PPAR、特にPPARγは、脂肪細胞の分化の媒介、及び脂質代謝の調節に関係している。さらに、PPARγは、アテローム性動脈硬化症、炎症、肥満症、糖尿病、免疫応答、及び老化に関わる様々な病的状態に関連している。Kerstenらの論文, 2000; Celi & Shuldiner, 2002を参照されたい。
幾つかの実施態様において、本開示主題は、PPAR(例えば、PPARγ)の活性を調節する方法を提供する。この実施態様において、本開示主題の誘導体の治療有効量を、PPARを有する対象に投与し、それによって、該PPARを調節する。
【0098】
(III.C. 細胞増殖の調節)
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)は、アテローム性動脈硬化症、炎症、肥満症、糖尿病、免疫応答、及び老化に関わる様々な病的状態に関連している。受容体PPARγのこのファミリーのある特定の一員の活性は、特定種の癌細胞において、15−デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ(15d−PGJ)などのシクロペンテノンプロスタグランジン(PG)により、抗増殖、アポトーシス、分化、及び抗炎症応答を引き起こす。
幾つかの実施態様において、本開示主題は、PPAR(例えば、PPARγ)の活性を調節する方法を提供する。この実施態様において、本開示主題の誘導体の治療的有効量を、PPARを有する対象に投与し、それによって、該PPARの活性を調節する。
【0099】
(III.D. セクレターゼの調節)
上記で詳細に論じたように、セクレターゼは、アルツハイマー病の病因と言われているAβ42の発生を含む、Aβペプチドの処理に関与する。幾つかの実施態様において、本開示主題は、セクレターゼ(例えば、γ−セクレターゼ)の活性を調節する方法を提供する。この実施態様において、本開示主題の誘導体の治療有効量を、セクレターゼを有する対象に投与し、それによって、該セクレターゼの活性を調節する。
【0100】
(IV. 治療方法)
(IV.A 対象)
また、本開示主題は、癌、神経変性疾患、及び糖尿病からなる群から選択される、対象の疾患の治療方法を提供し、該方法は、該対象に、化合物の誘導体の治療有効量を投与することを含み、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子、ハロ、及びC〜Cアルキル又は分岐アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである。
【0101】
本明細書中で使用されているように、句“対象の疾患の治療”は、対象の該疾患の原因の症状を改善することを意図した介入(例えば、該疾患処置の開始後)、並びに、該対象の発症由来の疾患を予防することを意図した介入、双方を意味する。別の言い方をすれば、用語“治療”、及びその文法的変形は、疾患の重症どの緩和、及び/又は治癒を言及する意味、並びに、予防を言及する意味を含むように広域に解釈されることが意図される。後者において、“治療”は、“予防”、そうでなければ、該疾患経過に抵抗する、該対象の能力を向上することを意味する。
【0102】
多くの実施態様の本開示主題において治療される対象は、好ましくはヒト対象である。しかし、本開示主題の原理は、本開示主題が、無脊椎動物、及び哺乳動物を含む脊椎動物全てに対して有効であることが理解され、これらは、用語“対象”に含まれることが意図される。さらに、哺乳動物は、疾患の治療又は予防が所望される全ての哺乳動物種、特に農業及び家畜哺乳動物種を含むことが理解される。例えば、本開示主題は、家畜類の治療に適用できる。
【0103】
本開示主題の方法は、温血脊椎動物の治療に特に有用である。従って、本開示主題は、哺乳動物、及び鳥類に関わる。
さらに詳細には、ヒトなどの哺乳動物、並びに絶滅の危機のある重要な哺乳動物(シベリア虎など)、ヒトにとって経済的に重要な動物(ヒトによって消費される農園で飼育される動物)、及び/又は社会的に重要な動物(ペットとして、又は動物園で保護される動物)、例えば、ヒト以外の食肉動物(猫、及び犬など)、豚(豚、雄豚、野豚)、反芻動物(畜牛、雄牛、羊、キリン、鹿、山羊、バイソン、ラクダなど)、及び馬などの治療が本明細書中に提供される。また、本明細書中には、動物園に保護された絶滅の危機のある鳥、ならびに、家禽、さらに詳細には家畜化した家禽、すなわち、七面鳥、鶏、カモ、ガチョウ、ホロホロ鳥(guinea fowl)等の家禽の種類の鳥の治療を含む、鳥の治療が提供され、それらはまた、全てヒトにとって経済的に重要である。従って、本明細書中に記載される方法の実施態様は、家畜化した豚(豚、及び雄豚)、反芻動物、馬、家禽等を含むがこれらに限定されない家畜の治療を含む。
【0104】
(IV.B 製剤)
本開示主題の組成物は、幾つかの実施態様において、キャリア、特にその医薬として許容し得るキャリアを含む組成物である。全ての適切な医薬製剤を使用して、対象への投与用の組成物を調製することができる。
例えば、適切な製剤は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、殺菌性抗生物質、及び所定の受け手の体液で該製剤を等張性にする溶質を含み得る、水性、及び非水性滅菌注射液;及び懸濁化剤、及び増粘剤を含み得る、水性、及び非水性滅菌注射液を含み得る。該製剤は、例えば、密閉アンプル及びバイアルなどの単位投与量、又は複数投与量の容器中に存在することができ、かつ使用直前に、例えば注射用水などの滅菌液体キャリアの添加のみを要求する、凍結、又はフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存することができる。幾つかの例示的成分は、SDSであり、一例においては、0.1〜10mg/mlの範囲、他の例においては、約2.0mg/mlであり;かつ/又はマンニトール又は他の糖であり、例えば、10〜100mg/mlの範囲、他の例においては、約30mg/mlであり;かつ/又はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0105】
特に上記成分に加えて、本開示主題の製剤は、問題となる製剤種に対して技術的に慣例の他の薬剤を含み得ることが理解されるべきである。例えば、パイロジェンフリーの水性、及び非水性溶液を使用することができる。
本開示主題の治療法、及び組成物は、制限されないが、サイトカイン、及び他の免疫調節化合物を含む、他の追加のアジュバント、又は生物反応修飾物質とともに使用することができる。
【0106】
(IV.C. 投与)
本開示主題の組成物の投与を、当業者に公知の全ての方法によって行うことができる。これらは、静脈内投与、滑液嚢内投与、経皮的投与、筋肉内投与、皮下投与、局所投与、直腸投与、膣内投与、腫瘍内投与、経口投与、口腔投与、経鼻投与、非経口投与、吸入、及び吹送投与を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、本開示主題の組成物の適切な投与方法は、制限されないが、静脈注射である。本開示主題の組成物の特定の投与様式は、処置される細胞の分布、及び数、使用される化合物、該化合物の付加的な組織、又は細胞標的特徴、及び代謝機序、又は投与部位からの該化合物の除去を含む、様々な因子に依存する。
【0107】
(IV.D. 投与量)
本開示主題の組成物の有効投与量が、それを必要とする対象に投与される。“治療有効量”、又は“治療量”は、測定可能な応答(例えば、標的化された対象の生物学的、又は臨床的に関連した応答)を生じるのに十分な治療組成物量である。幾つかの実施態様において、アミロイド凝集体形成の阻害活性が測定される。本開示主題の組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の対象に対する所望の治療反応の達成に有効な該活性化合物量を投与するために変更することができる。該選択された投与量レベルは、該治療組成物の活性、投与経路、他の薬剤又は治療との組合せ、治療される状態の重症度、並びに、治療される対象の状態及び前の病歴に依存するであろう。しかし、該化合物の投与は、所望の治療効果を達成するのに要求されるレベルよりも低いレベルで開始され、所望の効果が達成されるまで該投与量が徐々に増加されることは、技術的範囲内である。治療組成物の効力を変更することができ、従って、“治療的有効量”を変更することができる。しかし、当業者は、本開示主題の候補化合物の効力、及び効果を評価し、かつ適宜に治療法を調整することができる。
【0108】
本開示主題の本明細書中の開示の検討後に、当業者は、特定の製剤、該組成物に使用される投与方法、及び他の因子を考慮して、個々の対象に対して投与量を調整することができる。さらに、投与量の計算は、対象の身長及び体重、症状の重症度及び段階、並びに、付加的な有害な物理的状態の存在を考慮し得る。このような調整、又は変更、並びに、前記調整又は変更をする場合、及びその仕方は、医学の技術者に周知である。
【0109】
下記実施例は、例証となる実施態様を提供する。下記実施例の特定の態様は、本実施態様の実施に適切に作用するように、本発明者らにより発見され又は熟考された技術及び手順に関して記載される。本開示、及び当業者の一般的水準の観点から、当業者は、下記実施例が例証的なもののみを意図しており、多くの変化、改質、及び変更を、本開示主題の範囲から外れることなく使用され得ることを認識するであろう。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
(mCOX−2の変異誘発、及び精製)
マウスCOX−2(mCOX−2)核酸、及びペプチドの特定部位の変異誘発、発現、及び精製を、Rowlinsonらの文献, 1999に記載されているように行った。簡潔に言うと、QUIKCHANGE(登録商標)特定部位変異誘発キットを用いて、BLUESCRIPT(登録商標)ベクターに存在する配列をコードしているmCOX−2に対して、PCR−介在の特定部位の変異誘発を行った。野生型mCOX−2の位置335にバリンをコードしているGTGコドン(本明細書中にでは、上述した従来の番号付与に基づきVal-349と呼ぶ。)を、アラニン、ロイシン、又はイソロイシンをコードするように変化させ、mCOX−2ポリペプチドをコードしている3つの変異核酸を作成した。これらは、本明細書中でそれぞれ、mCOX−2V349A又はV349A、mCOX−2V349L又はV339L、及びmCOX−2V349I又はV349Iと呼ぶ。
【0111】
該変異ポリペプチドを発現するため、変異誘発コドンを含む配列は、mCOX−2含有BLUESCRIPT(登録商標)ベクターから除去され、かつmCOX−2をコードしているpVL1393バキュロウイルス発現ベクター(BD Biosciences PharMingen, サンディエゴ, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)内に、mCOX−2含有BLUESCRIPT(登録商標)、及びpVL1393ベクターの双方に存在するBamHI制限酵素認識部位を用いて、サブクローニングされる。さらなる変異が該発現ベクター内に組み込まれることがないように、該サブクローン化領域を完全に配列決定した。
次に、野生型、及び変異タンパク質を、Sf9細胞(EMD Biosciences社 - Novagen, マディソン, ウィスコンシン州, アメリカ合衆国)内にBACULOGOLD(商標)ベクター(BD Biosciences PharMingen)を有するmCOX−2z/pVL1393ベクターの相同的組換えにより発現した。ウイルス増幅後に、Sf9細胞4リットル(95〜100%生存)を、10%ウシ胎児血清(FBS; HyClone, ローガン, ユタ州, アメリカ合衆国)、1% L-グルタミン、及び0.1% (v/v) プルロニックF68を加えたTNM-FH培地で増殖し、次に、新しいウイルスストックで感染させた。生存率が65〜70%になった時に、該4リットル総量を、Sorvall RC-3B遠心分離機内で、2500rpmで遠心分離することにより収集し、かつ該ペレットを、氷温リン酸緩衝食塩水で洗浄し、かう再び遠心分離した。該最終細胞ペレットを、−80℃で保存した。
【0112】
野生型、及び変異mCOX−2ポリペプチドの精製を、Gierseらの文献, 1996に記載されている方法と同様の方法で、4℃で行った。簡潔に言うと、凍結細胞を、80 mM Tris-HCl、2 mM EDTA、0.5 mM フッ化フェニルメチルスルホニル、及び0.1 mM ジエチルジチオカルバミン酸, pH 7.2内で、30×106細胞/mlに再懸濁化した。100,000gで45分間、遠心分離した後に、該ペレットを、最終量72mlになるように、Dounceホモジナイザーで再懸濁化した。11% CHAPS 8mlの滴下添加により、該膜由来のCOXタンパク質の可溶化を行った。1時間撹拌後に、該試料を、上記のように再び遠心分離した。該上清を除去し、次に、20 mM Tris-HCl、0.4% CHAPS、0.1 mM EDTA、及び0.1 mM ジエチルジチオカルバミン酸, pH 8.0 (緩衝液B)により4倍希釈した。次に、該希釈試料を、緩衝液Bで平衡化した25 ml Macro-prep High-Qイオン交換カラムにロードした。KClが0.3 Mに増加する直線勾配(500 ml)、COX酵素を用いて、溶出した。候補COX含有分画の分析7.5% SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、該ゲル濾過手順のプールに対して該画分を測定した。適切なチューブを、最終量が1.5 ml になるように、Amicon濃縮機(Amicon, べバリー, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)で濃縮した。次に、該試料を、20 mM Tris-HCl、0.4% CHAPS、0.15 M NaCl、pH 8.0で予め平衡化したセファクリル−200カラム90mlにロードした。SDS-ポリアクリルアミド ゲル電気泳動分析で測定されたCOX酵素含有画分を、約2mg/mlに濃縮し、−80℃で保存した。野生型、及び変異COX−2タンパク質の純度は、E-C装置モデルEC910スキャンニング デンシトメーター(E-C Apparatus社, ホールブルック, ニューヨーク州, アメリカ合衆国)を用いたクマージー染色化7.5% SDS-ポリアクリルアミドゲルの分析により評価した。全てのタンパク質は、純度80%を超えていた。
【0113】
(実施例2)
(試薬、及び溶媒)
未ラベル化アラキドン酸(AA)を、Nu Chek Prep (Elysian, ミネソタ州, アメリカ合衆国)から購入し、かつ[1-14C]-AAを、PerkinElmer Life Sciences社(ボストン, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)から購入した。雄ヒツジ精嚢を、Oxford Biomedical Research (オックスフォード, ミシガン州, アメリカ合衆国)から購入した。オリゴヌクレオチドを、Qiagen社(Valencia, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)から購入し、かつ全ての分子生物学酵素を、New England Biolabs (べバリー, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)から得た。バキュロウイルス試薬を、BD Biosciences Pharmingen (サンディエゴ, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)から購入した。特に明記しない限り、他の全ての化学物質を、Sigma/Aldrich (セントルイス, ミズーリ州, アメリカ合衆国)から得た。カラムクロマトグラフィーに使用するHPLC等級溶媒を、Fischer Scientific (ピッツバーグ, ペンシルベニア州, アメリカ合衆国)から得た。N,N-ジメチルホルムアミドを、水素化カルシウムから蒸留した。他の全ての化学物質を、さらに精製することなく使用した。薄層クロマトグラフィーを、Analtech (ニューワーク, デラウェア州, アメリカ合衆国; プレコートSilica Gel 60 F254)から得たシリカゲルで行った。該プレートを、UV蛍光(254nm)で読み取るか、又はリンモリブデン酸(PMA)で染色後に加熱して読み取った。カラムクロマトグラフィーを、シリカゲル200-300メッシュ(Fisher Scientific)を用いて行った。
【0114】
(実施例3)
(機器分析)
マススペクトルを、Finnigan TSQ 7000 トリプル四重極分光計(Thermo Electron社, ウォルサム, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)のエレクトロスプレーイオン化(ESI−MS)により得た。H−NMRは、溶媒としてCDCl、又はDMSO−d、内部標準としてテトラメチルシランを用いて、Bruker AC 300 NMR分光計(Bruker BioSpin Corporation, ビルリカ, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)で得た。全ての化学シフトは、TMSからの100万分の1(ppm)低磁場で記録し、かつカップリング定数は、ヘルツで記録した。
【0115】
(実施例4)
(2-デス-メチルインドメタシンの合成)
2-デス-メチルインドメタシンを、図6に概説した段階に従って合成した。これらの段階を、下記にさらに詳細に示す。
(N-エチリデン-N'-(4-メトキシ-フェニル)-ヒドラゾン(図6中の化合物A))
4-メトキシフェニルヒドラジン(10.34 g, 0.075 mol)を、フレーム乾燥丸底フラスコ中のトルエン(76 mL)に溶解した。該フラスコを、アルゴンでパージし、かつ0℃に冷却した。アセトアルデヒド(8.4 mL, 0.15 mol)のトルエン(17 mL)溶液を滴下して加え、室温で30分間撹拌した。該溶液を、ろ紙を通して丸底フラスコに注ぎ、減圧下で濃縮することにより、粗ヒドラゾン(図6中の化合物A)を11.2 g得た。
【0116】
(4-クロロ-安息香酸 N'-エチリデン-N-(4-メトキシ-フェニル)-ヒドラジド(図6中の化合物B))
アルゴン下、該粗ヒドラゾン(図6中の化合物A;0.424 g, 2.58 mmol)のピリジン(2.2 mL)溶液に、0℃で、4-クロロベンゾイルクロライド(0.904 g, 5.17 mmol)を一度に加えた。該反応混合液を、室温で3時間撹拌した。水(25 mL)を加え、該溶液を、CHCl(3 x 20 mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 3:1)で精製し、表題化合物(図6中の化合物B)を橙色固体(0.266 g)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.70 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.01 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 1.89 (d, J = 5.0 Hz, 3H); ESI-CID 325, 327 (M-Na+[35/37Cl]).
【0117】
(4-クロロ-安息香酸 N-(4-メトキシ-フェニル)-ヒドラジド 塩酸塩(図6中の化合物C))
凝縮器を備えた2口フラスコ内で、該ヒドラジド(図6中の化合物A;0.166 g, 0.55 mmol)を、トルエン(6.6 mL)、及びメタノール(0.33 mL)に溶解した。該混合液を0℃に冷却し、HClガスを1.5時間バブリングした。該過剰ガス、及び溶媒を、減圧下で除去した。トルエンで該固体をスワールし、濾過して、白色固体を得た。該固体を、酢酸エチルで洗浄し、該塩酸塩(図6中の化合物C)を、さらに精製することなく得た(0.131 g, 76%)。1H NMR (DMSO-d6) δ 7.41 (m, 4H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8.9 Hz), 3.74 (s, 3H).
【0118】
(2-デス-メチルインドメタシン (図6中の化合物D))
該塩酸塩(図6中の化合物C;0.111 g, 0.35 mmol)、及びコハク酸セミアルデヒド (0.047 g, 0.46 mmol)を、酢酸(AcOH;2 mL)に溶解し、かつ4時間加熱還流した。該反応を一晩室温に冷却させた。水(5 mL)、及びCHCl(5 mL)を加え、該有機相を除去した。該水相を、CHClのさらなる部分で抽出し、かつ該合わせた有機相を水で洗浄し、かつNaHCO(2 x 20 mL)の飽和溶液で抽出した。該合わせた水相を、15% HClで酸性化し、得られた混合液を、CHCl(3 x 20 mL)で抽出した。該合わせた有機相を乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮した。粗生成物を再結晶化(イソプロパノール)し、表題化合物(すなわち、[1-(4-クロロ-ベンゾイル)-5-メトキシ-1H-インドール-3-イル]-酢酸;図6中の化合物D)を、灰色固体として得た(0.058 g, 48%)。1H NMR (DMSO-d6) δ 8.24 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.39 (s, 1H), 7.19 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 2.4, 8.9 Hz, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.73 (s, 2H); ESI-CID 342, 344 (M-H-[35/37Cl]). Anal. 計算値C18H14ClNO4: C, 62.89; H, 4.10; N, 4.07; Cl 10.31. 観測値: C, 62.80; H, 4.11; N, 4.06; Cl, 10.12.
【0119】
(実施例5)
(エインデニック酸スルフィドの合成)
エインデニック酸スルフィドを、図7に概説した段階に従って合成した。これらの段階を、下記にさらに詳細に示す。
(6-フルオロ-インダン-1-オン(図7中の化合物F))
3-(4-フルオロ-フェニル)-プロピオン酸(5 g, 29.7 mmol;図7中の化合物E)を、50℃で、ポリリン酸(PPA; 65.4 g, 0.654 mol)に加えた。該粘性混合液を、2時間90℃で加熱した。該シロップを、氷水に注ぎ、かつ30分間撹拌した。該水相をエーテルで抽出し(3 x 50 mL)、かつ該合わせた有機物を、HO(2 x 50 mL)、及びNaHCOで中和されるまで洗浄した。得られた有機相を、HO(50 mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(7:1 ヘキサン/酢酸エチル(EtOAc))を用いて精製し、該インダノン(図7中の化合物F)を、黄色固体として得た(2.06 g, 46%)。1H NMR (CDCl3) δ 7.45 (ddd, J = 0.5, 4.5, 8.4 Hz, 1H), 7.39 (ddd, J = 0.3, 2.6, 7.8 Hz, 1H), 7.30 (td, J = 2.6, 8.6 Hz, 1H), 3.12 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 2.75 (m, 2H); ESI-CID 151 (M-H+).
【0120】
((6-フルオロ-1-ヒドロキシ-インダン-1-イル)-酢酸エチルエステル(図7中の化合物G))
該インダノン(図7中の化合物F;2.06 g, 13.7 mmol)、及びブロモ酢酸エチル(EBA; 3.44 g, 20.6 mmol)のベンゼン(10 mL)溶液を、ベンゼン(21 mL)、及びエーテル(10 mL)中の活性亜鉛(3.77 g, 57.7 mmol)に、5分間かけて加えた。少量のヨウ素の結晶を加え、該反応を開始し、かつ該皇后液を、還流した。3時間間隔で、二回、亜鉛(1.8 g, 27.5 mmol)、及びブロモ酢酸エチル(EBA; 1.8 g, 10.8 mmol)を加え、かつ該混合液を一晩還流した。該溶液を室温に冷却し、かつエタノール(5 mL)、及び酢酸(23 mL)を加えた。該溶液を、1:1 水 酢酸 (100 mL)に注ぎ、かつ該有機相を分離した。該水相を、ジエチルエーテル (EtO; 2 x 25 mL)で抽出し、かつ該合わせた有機物を、NaHCO、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮して、粗生成物(図7中の化合物G;3.55 g)を得た。
【0121】
((6-フルオロ-3H-インデン-1-イル)-酢酸エチルエステル(図7中の化合物H))
トルエン(66 mL)中の該粗(6-フルオロ-1-ヒドロキシ-インダン-1-イル)-酢酸エチルエステル(図7中の化合物G;3.55 g)、p-トルエンスルホン酸・HO(PTSA;5.67 g, 29.8 mmol)、及びCaCl(4.13 g, 37.2 mmol)を、一晩還流した。該溶液を濾過し、かつ該固体残渣をベンゼンで洗浄した。該合わせた有機物を、水、NaHCO、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(13:1 ヘキサン/EtOAc)を用いた精製により、表題化合物(図7中の化合物H)を、橙色固体として得た(0.703 g)。1H NMR (CDCl3) δ 7.25 (m, 2H), 7.06 (m, 1H), 6.25 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 4.24 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.32 (s, 2H), 3.03 (s, 2H), 1.33 (t, J = 7.1 Hz, 3H); ESI-CID 221 (M-H+).
【0122】
(エインデニック酸スルフィド(図7中の化合物I))
該(6-フルオロ-3H-インデン-1-イル)-酢酸エチルエステル(図7中の化合物H;0.668 g, 3.0 mmol)、及びp-メチルチオベンズアルデヒド(PMTBA;0.508 g, 3.3 mmol)のMeOH(18 mL)溶液に、1N NaOH(9 mL)を加えた。該混合液を、2時間還流して撹拌した。該溶液を冷却し、水で希釈し、かつエーテル(3x)で抽出した。残渣エーテルを、窒素で水相から飛ばし、かつ該水相溶液を、50%酢酸で酸性化した。沈殿生成物を濾過し、かつHOで洗浄した。メタノールからの再結晶により、表題化合物(すなわち、[6-フルオロ-3-(4-メチルスルファニル-ベンジリデン)-3H-インデン-1-イル]-酢酸、すなわち、エインデニック酸スルフィド;図7中の化合物I)を、橙色固体として得た(0.163 g, 17%)。1H NMR (DMSO-d6) δ 7.83 (dd, J = 5.2, 8.4 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.59 (s, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.16 (dd, J = 2.4, 9.6 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.06 (td, J = 2.4, 9.6 Hz, 1H), 3.68 (s, 2H), 2.54 (s, 3H); ESI-CID 325 (M-H-).
【0123】
(実施例6)
(エインデニック酸スルフィドの誘導体の合成)
[6-フルオロ-3-(4-メチルスルファニル-ベンジリデン)-3H-インデン-1-イル]-酢酸(図7中の化合物I;0.02 g, 0.06 mmol))の乾燥CHCl(1.5 mL)溶液に、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド(EDCI;0.014 g, 0.07 mmol)、ジメチルアミノピリジン(DMAP;0.75 mg, 0.006 mmol)、及びベンジルアミン(7.9 mg, 0.07 mmol)を加えた。該反応液を、室温で一晩撹拌した。該混合液を、水で希釈し、かつCHCl(2x)で抽出した。該合わせた有機物を、HOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、かつ減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(5:2 ヘキサン/EtOAc)を用いた精製により、表題化合物(N-ベンジル-2-[6-フルオロ-3-(4-メチルスルファニル-ベンジリデン)-3H-インデン-1-イル]-アセトアミド;図7中の化合物J)を、橙色固体として得た(0.02 g, 79%)。
【0124】
(実施例7)
(シクロオキシゲナーゼ調製、及びアッセイ)
(COX阻害スクリーニングアッセイ)
PCRは、実施例1に概説した、位置349(ヒツジCOX−1 番号付与)のバリンをアラニン、イソロイシン、又はロイシンに変えた、部位特異的変異誘発マウスCOX−2をベースとした。これらの変異遺伝子を使用して、Sf9細胞内の大規模発現のためのバキュロウイルス構築体を作成した。発現COX−2タンパク質の精製は、従来の細胞分別、及び古典的なカラムクロマトグラフィーを介して行った。活性、又は阻害アッセイは、500μM フェノールを含む100 mM Tris−HCl緩衝液中でヘマチン−再構成タンパク質を用いて行った。シクロオキシゲナーゼ活性の定量化は、サーモスタットキュベット中、37℃で、5300酸素モニターとともにポーラログラフ電極を用いて(Yellow Springs Instrument Co. Inc., イエロースプリングス, オハイオ, アメリカ合衆国)、基質(アラキドン酸、又は酸素)消費量をモニタリングすることにより行った。全ての阻害剤、及び基質を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で可溶化した。活性、又は阻害アッセイは、500μM フェノールを含む100 mM Tris−HCl緩衝液中でヘマチン−再構成タンパク質を用いて行った。最大反応速度データを、酸素消費曲線の直線部分から得て、該データを、Prism 4.0 (GraphPad Software, サンディエゴ, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)で非線形回帰により分析した。
【0125】
反応は、再構成タンパク質を用いて、最終濃度が約40%基質消費量になるように調節して行った(ヒツジCOX−1(oCOX−1) = 35 nM, 野生型mCOX−2 = 55 nM, V349A = 250 nM, V349I = 250 nM, 及び V349L = 100 nM)。時間依存性阻害反応は、37℃で30秒間、50μM [1-14C]-AAの添加前に、該阻害剤、及び酵素を25℃で17分間、続いて37℃で3分間、前保温することにより行った。アッセイを終了させ、上記のように薄層クロマトグラフィーにより基質消費量を分析した(Kalgutkarらの文献, 2000a)。50% 酵素活性(IC50)に対する全ての阻害剤濃度を、図表を用いて測定した。該阻害濃度は、少なくとも2回の独立した測定の平均である。
競合的阻害アッセイは、基質、及び阻害剤を、タンパク質添加による反応の開始前に加えることを除き、同様の方法で行った。精製タンパク質のペルオキシダーゼ活性は、Markeyらの文献, 1987に記載されているように、グアヤコール法により測定した。COX活性、及びCOX−2変異体の相対的ペルオキシダーゼ活性に対するK、及びVmaxを、表4に示した。
【0126】
【表4】

【0127】
最大反応速度データを、酸素消費曲線の直線部分から得て、該データを非線形回帰により分析した。瞬間阻害アッセイは、基質、及び阻害剤を、タンパク質添加による反応の開始前に加えて行った。時間依存性スクリーニングアッセイは、37℃で30秒間の50μM [1-14C]-アラキドン酸(AA)の添加前に、該阻害剤、及び酵素を17分間25℃、続いて37℃で30秒間、前保温することにより行った。
アッセイを終了させ、薄層クロマトグラフィーにより基質消費量を分析した。50% 酵素活性 (IC50)に対する全ての阻害剤濃度は、少なくとも2回の独立した測定の平均である。時間依存性COX阻害反応を、様々な阻害剤濃度で、時間長さを変えて(0〜30分)、37℃で前保温した。全ての反応は、[1-14C]-AAを用いて、37℃で30秒間行い、反応を終了させ、かつ上述のように分析した。
【0128】
(実施例8)
(時間依存性COX阻害アッセイ)
実施例1に記載したように、2’メチル基とメチル結合ポケットとの相互作用を調査するために、mCOX−2の位置349で、一連の変異を行い、該ポケットの容積を増加、又は減少させ (Val → Ala, Ile, Leu)、かつINDOによるこれらの酵素の阻害速度を測定した。最初に、時間依存性IC50アッセイを使用し、50μM AAの添加前に、該酵素を阻害剤とともに20分間前保温した。該COX反応を、終了前に30秒間進行させた。該IC50は、INDOの有効性が、該ポケット容積の増加時に増加し(V349A)、該ポケット容積の減少時に低下する(V349I, V349L;表5)。
【0129】
【表5】

【0130】
異なる時間でINDOとともに前保温した後に、AA(50μM)を様々な酵素調製物に加え、INDOによる野生型、及び変異COXの阻害の時間依存を測定した。擬一次条件を維持することを確証するために、該酵素的酸化反応を30秒後に終了させ、基質の多量消費を抑制した。異なるINDO濃度での基質変換の減少を、前保温時間に対してプロットし、平坦を有する一次指数関数的減衰に一致させ、kobsを測定した(図2)。野生型mCOX−2の時間依存性阻害曲線は、残存活性0%に近づく。また、V349Aは、速い阻害速度を示したが、V349A、及びV349Iのグラフは、残存活性0%に近づく。興味深いことは、V349Lが、ほぼ20%の残存活性のゼロでない漸近線に近づくことである。これは、結合の第二段階が、可逆であることを示唆している(図2C)。2段階のINDO濃度におけるkobsの依存性、依存性機序を、式(1)は、式(2)により表される(Timofeevskiらの文献, 2002を参照されたい。)。
【数1】

【0131】
速度定数kは、機能的不可逆阻害に対する限界正方向速度定数(limiting forward rate constant)を表し、かつKは、限界速度の半分に等しい速度を与える阻害剤濃度に対応する。第二段階k−2の可逆速度定数は、y切片に等しく、かつ機能的に不可逆阻害を示す化合物に対しては、ゼロに等しい。野生型mCOX−2、V349A、及びV349I酵素にとって、y切片は、事実上ゼロであり、該阻害が、機能的に不可逆である(図2B)。対照的に、V349Lに対するデータの二次的プロットは、ゼロでないy切片を示し、それは、k−2に等しい。
野生型mCOX−2の速度パラメータ(表6)は、先に報告されたK値(5 μM)、及びk値(0.045 s-1;Gierseらの文献, 1999)とよい一致を示した。oCOX−1の値は、INDOが高い親和性(K = 1.7μM)、及び不活性化の速い速度(k = 0.25 s-1;Kulmacz & Lands, 1985)を示すことを表す。これらの観察は、oCOX−1の方へのINDOの高い有効性により、さらに支持される(表5)。INDOのV349AのKは、ほぼ4倍低下した。これは、結合の高い親和性示唆している。また、この変異は、k2をわずかに増加させた。これは、V349A酵素に対するINDOのIC50の3倍低下と一致する(表5)。表5で注目されるように、V349I変異は、INDOの速度パラメータへの影響はほとんどない。V349Lは、Kの3倍増加、及び測定可能なk−2を有し、阻害に対して最も大きな効果を示した。kのわずかな上昇は、平衡への速い速度を示唆している。これは、k−2の出現に起因する(図2C)。
【0132】
【表6】

【0133】
(実施例9)
(DM−INDOによる時間依存性COX阻害)
実施例7、及び8に記載の実験は、該疎水性ポケット内へのINDOの2’メチル基の挿入が、阻害の時間依存に対して重要な一因であることを示唆している。これをさらに試験するために、DM−INDO(図1C)を、図6に示したスキームに従って合成した。該時間依存性IC50アッセイにおいて、DM−INDOは、野生型mCOX−2、及びV349Iをわずかに阻害した。しかし、V349A、V349L、及び野生型oCOX−1の20%未満の阻害を示した(表5)。野生型酵素、及びV349L変異体の阻害の時間、及び濃度依存は、両酵素に対して30%残存活性の平坦域を示した。これは、測定可能なk−2と一致する(図4)。重要なことには、V349Lは、野生型mCOX−2の阻害レベルと同様のレベルを得るために、ほぼ10倍高いDM−INDO濃度を要求したことである。DM−INDOによる野生型酵素阻害のデータ分析により、KI、k2、及びk-2値に対して、それぞれ26±7μM、0.80±0.03 s-1、及び0.05±0.02 s-1が得られた。従って、オン速度定数(k)は、INDOよりもDM−INDOに対して約14倍速く、一方、オフ速度定数(k−2)は、該オン速度よりも14倍遅い。
DM−INDOによるV349L阻害の速度論は、式(2)を用いた分析のために修正されない。なぜならば、該グラフは、平坦域がないためである。線形回帰分析は、k−2のy切片値0.0025±0.0003 s-1を与えた(Copeland, 2000)。V349Lに対するDM−INDOのKは、第二段階の平衡定数よりもさらに大きくなるに違いない。従って、式(1)の第一段階は、E−IのE−I*への時間依存性異性化を供給しない。
【0134】
(実施例10)
(Cox阻害の可逆性)
(INDOによるCOX阻害の可逆性)
式(1)中の第二段階の可逆性は、基質との長時間保温後に回復する酵素活性量により直接評価することができる。INDO阻害の可逆性を試験するために、野生型mCOX−2、及び3つのVal-349変異体を、時間依存性IC50アッセイに使用される同条件に曝した。50μM AAの添加前に、該酵素を、DMSO、又は10μM INDOとともに20分間前保温した。AAの添加後に、時間長さを変えて、酸素化反応を進行させた。INDO結合が可逆である場合、反応時間が増えるにつれて、阻害程度が低下した。AA酸素化が回復する時間経過は、一次指数関数に一致する(図3A)。予測されるように、INDO阻害の有意な可逆性は、V349L変異体に対して観察されたが、野生型、V349A、又はV349I酵素に対しては観察されなかった。該活性回復アッセイから計算されたk−2値(0.01 s-1)は、INDOに対する時間依存性阻害アッセイから計算されたk−2値(0.008 s-1;表6)と厳密に一致した。この関連性は、時間依存性機序における第二段階の可逆性が、50μM AA存在下のINDOによる阻害の原理決定因子であることを示唆している。
(DM−INDOによるCOX阻害の可逆性)
DM−INDO阻害の可逆性を、活性回復アッセイ(図3)を用いて、INDOと同様に評価した。該実験、及び分析を、上記のように行った。DM−INDOは、野生型mCOX−2、及びV349Iに対して阻害可逆性を示した。これらは、それぞれ、0.023±0.001 s-1、及び0.015±0.005 s-1のk-2値を有する(図3B)。10μM DM−INDOとの前保温によるV349A、及びV349Lのわずかな量の活性損失は、50μM AA添加により迅速に回復した(図3B)。
【0135】
(実施例11)
(COXの本質的な発光の定常状態消光)
INDO、及びDM−INDOを用いた蛍光消光実験は、Houtzagerらの文献, 1996に記載されているように、Spex Fluorolog-3分光蛍光光度計(Jobin Yvon Inc., エディソン, ニュージャージー州, アメリカ合衆国)を用いて行った。励起(280 nm)、及び発光(327 nm)のバンド幅を、それぞれ4 nm、及び6 nmにした。定常状態測定を、蛍光キュベット中で持続的に撹拌しながら37°Cで行った。全てのアポタンパク質を、200 nMに希釈し、かつホロ酵素等量の2%未満の活性を示した。240、又は360秒に渡って、2秒の積分時間でデータを集めた。消光の可逆性は、競合剤として50μM AAを用いて、同じ方法で分析した。該リガンドを、緩衝液中にさらに希釈する前にDMSO中に溶解した。該緩衝液中の有機成分は、0.4%以下であった。
【0136】
(実施例11の議論)
(INDO、及びDM−INDOによる、COXの本質的な蛍光の消光)
Houtzagerらは、該アポタンパク質の蛍光消光により、COX−2に結合する阻害剤をモニターし、かつ該結合速度が、該阻害速度と密接に類似していることを示した(Houtzagerらの文献, 1996)。このアッセイは、INDO、及びDM−INDOのCOXへの結合を直接モニターする方法を提供する。様々な濃度のINDO、及びDM−INDOを、アポタンパク質に加え、かつ蛍光低下の割合を、時間に対してモニターした。該混合物が平衡に達した後、競合剤として50μMのAAを加え、結合の可逆性をモニターした。消光の動的データを、阻害に対する方法と同じ方法で分析した。明確にするために、蛍光消光の第一段階の平衡定数を、Kと呼び、かつ消光の第二段階からのk、及びk−2を、それぞれ、k'、及びk'−2と表した。
【0137】
予想どおり、INDOは、時間依存性様式で結合し、かつV349Lを除く全ての酵素に対して機能的に不可逆であり、後者は、可逆的な時間依存性結合を示した(図4)。阻害速度に一致して、INDOは、野生型mCOX−2よりも該V349A変異体を迅速に消光した。INDOは、野生型mCOX−2、及びV349Iと類似的に結合した。AAの添加は、V349L(図5D)を離して、INDOとのみ競合するであろう。INDO消光由来の速度パラメータは、INDO阻害に対して測定したものと一致している(表6、7)。
【0138】
DM−INDOは、該消光アッセイにおいて4つの酵素全てを用いて、可逆的な時間依存性結合を示した。該V349A変異体は、DM−INDOの結合割合を増加させ、かつ見かけ上の親和性も増加させた(K;表8)。際立って、V349Aに対するk'−2値は、DM−INDOに対して観察された最高値であり、野生型mCOX−2のk'−2よりもほぼ7倍高い(表8)。この速度定数の大きさは、DM−INDOが、この酵素に結合する事実にもかかわらず、阻害がほとんどないか、又は全くないと観察される理由の説明に役立つ。DM−INDOは、野生型mCOX−2よりもV349Iに対して、わずかに小さいオフ速度定数(k'−2)を示し、これは、これらの2つの酵素間で観察された、活性回復アッセイのわずかな違いに一致する(表8、図3B)。INDOと同様に、DM−INDOは、該V349L酵素に可逆的に結合した(図5)。試験した各酵素、及び阻害剤に対して、蛍光減衰により測定され、かつ式(2)から計算されたk'−2値は、AAを用いた阻害時の蛍光回復により測定されたk'−2値に等しかった(表7、及び8)。全体的な蛍光消光速度は、阻害速度によく一致している。
【0139】
【表7】

【0140】
【表8】

【0141】
COX酵素のINDO阻害の特徴は、機能的に不可逆であるように見えることである。INDOの2’メチル基の除去は、COX−2、及びCOX−1の阻害剤としてのその有効性を有意に低下し、機能的に不可逆な阻害剤として機能するその能力を消去する。事実、ヒツジCOX−1は、16μM以下の濃度で、DM−INDOにより阻害されるようには見えない。該2’メチル基が、時間依存性COX阻害への重要な一因であるように見えるが、それは、結合の唯一の決定基ではない。以前の研究は、該インドール-3-酢酸部位のカルボキシル基、及び該p-クロロベンゾイル基も、INDOによるCOX阻害に寄与することを証明している。Rome & Landsの文献, 1975を参照されたい。該カルボキシル基のエステル化、又はアミド化は、該分子を弱い、COX−1の可逆性阻害剤に変換するが、COX−2の時間依存性阻害を消去しない(Rome & Landsの文献, 1975; Kalgutkarらの文献, 2000a)。しかし、INDOエステル、及びアミドの結合様式は、元の酸の様式とは異なるように見える。INDOによるCOX−2の阻害は、Arg-120、又はTyr-355の変異により消去される。一方、INDOエステル、及びアミドによる阻害は、Tyr-355、又はGlu-524の変異により消去されるが、Arg-120の変異では消去されない(Kalgutkarらの文献, 2000a)。強いイオン相互作用の欠如は、該アミド官能基内にかさ高い置換基を含む特定INDOアミドに対して、及びCOX−2の阻害を示すINDOエステル及びアミドの2-デス-メチル誘導体の不能性に対して観察された、遅い阻害可逆性の原因であり得る(Kalgutkarらの文献., 2000b;Timofeevskiらの文献, 2002)。
【0142】
本開示主題は、COX酵素と基質及び阻害剤との相互作用において、Val-349の重要性を示している。以前の研究は、Val-349変異が、基質に対するCOX−1、又はCOX−2の親和性、基質酸素化速度、及び生成物構造の位置化学及び立体化学に影響を与えることを示している(Thuressonらの文献, 2001;Schneiderらの文献, 2002)。本開示主題の様々な変異体を用いて観察された比活性低下は、以前の報告と一致している。該変異体の活性低下は、該阻害アッセイにおいて、得られた類似速度の基質が回転するに等しいタンパク質濃度の調節を必要とした。しかし、一定のタンパク質濃度を、該蛍光消光アッセイに使用した。なぜなら、特定の活性の相違が、アポ酵素の使用のために無関係になるためである。タンパク質濃度の相違、及び該阻害及び蛍光消光アッセイ計画における他の態様にかかわらず、INDO、及びDM−INDOの結合及び阻害速度パラメータのために測定された値は、解離速度定数を除き一致しているが、観察された相違は7倍未満であった。
【0143】
抗炎症活性、鎮痛作用、及び胃腸毒性などのINDOの薬理学的活性は、COX−2、及びCOX−1を阻害するINDOの能力から誘導されると考えられる。しかし、INDOは、細胞系において、さらなる生物学的活性を発揮することが報告され、これらの非COX活性が、そのインビボ薬理学に寄与し得ることが提案されている(Weggenらの文献, 2001)。今回開示した観察は、適切な化学的変更−該2’メチル基を、水素原子、ハロ、及びC〜Cアルキル又は分岐アルキルからなる群から選択される成分に改質すること−が、COX阻害活性を低下させ、COX非依存性標的での薬理学的作用を最適化すると同時にCOX阻害のための望ましくない副作用を最小化する戦略を提供する。
【0144】
(実施例12)
(2-デス-メチル誘導体によるCOX酵素の阻害)
INDOの2-デス-メチル類似体(DM−INDO)を、実施例4に示したように合成し、かつ野生型COX−1、及びCOX−2、並びにVal-349変異体に対して、実施例7に記載したように試験した。DM−INDOは、試験した全ての酵素に結合したが、野生型mCOX−2、及びV349I酵素に対してのみ阻害効力を示した。該活性サイト内にDM−INDOを固着する該2’メチル基がなければ、該化合物は、アラキドン酸(AA)により、該酵素から離れて容易に競合される。阻害速度は、蛍光消光により評価された結合速度に相当する。これらの結果は、COXの時間依存性結合、及びCOX阻害において、INDOの2’メチル基と"メチル−結合ポケット"との間の接触の重要性に関係している。
【0145】
(実施例13)
RKO、及びHCT-116細胞(ヒト結腸直腸癌細胞株)を、5〜8×104細胞、及び化学物質の最終濃度(1-500μM)を含む、100μl培地の最終体積において、マイクロタイタープレート(組織培養等級,96ウェル平板)中で培養した。細胞を、8〜24時間、加湿雰囲気下で保温した。該培養液に、10μlの細胞増殖試薬WST−1(Roche Applied Science, インディアナポリス, インディアナ州, アメリカ合衆国)を加え、かつ1〜2時間、再度保温した。マイクロタイタープレートリーダーを用いて、該試料の吸光度を、バックグラウンド対照に対して405-450 nmの波長で測定した。参照波長は620 nmとした。テトラゾリウム塩WST−1(4-[3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-2H-5-テトラゾリオ]-1,3-ベンゼンジスルホネート)を、"コハク酸テトラゾリウム還元酵素"系によるホルマザンに代謝させた。これは、ミトコンドリア内に存在し、かつ生存細胞にのみ活性を示す。従って、ホルマザンの形成(暗黄色)は、生存細胞数に比例する。この実験結果を、図8に示した。
【0146】
(実施例14)
(誘導体のED50値の測定)
表9中に示した各誘導体を用いて、実施例13に記載した細胞生存率アッセイを使用した。ED50値は、生じたデータ点を使用して、非線形回帰を用いるS字状の用量応答曲線により計算した。評価されたED50は、統計分析プログラムPRISM(登録商標)(GraphPad Software, Inc., サンディエゴ, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)を用いて計算した。
該誘導体のED50値は、表9に示した。また、ED50値は、上述の細胞生存率アッセイを用いて、インドメタシン、及びスリンダクスルフィドに対して計算した。スリンダクスルフィドのED50値は、RKO細胞において98.2±1.4μM、及びHCT-116細胞において109.4±10.0μMであった。インドメタシンのED50値は、RKO細胞において162.2±11.0μM、及びHCT-116細胞において448.7±97.6μMであった。
【0147】
【表9】





【0148】
(実施例15)
(カスパーゼ-3比色分析アッセイ)
様々な時期に、試験化合物で試験されている、RKO、HCT-116(別のヒト結腸直腸癌細胞株)、及びH1299(ヒト非小細胞癌株)細胞を、氷冷PBSで2度洗浄し、かつ氷上で10分間、溶解緩衝液(BioVision)に溶解し、続いて、15,000×gで10分間、遠心分離した。アポトーシス細胞死の開始が決定される目安であるカスパーゼ-3活性は、基質としてp-ニトロアニリドラベル化ペプチドDEVD-pNAを用いる比色分析アッセイキット(BioVision Inc., パロアルト, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)により、該上清中において測定した。カスパーゼ-3活性を、基質からのp-ニトロアニリドの放出により、405 nmでモニターした。カスパーゼ-3活性の倍増加を図9に示し、かつビヒクル試験コントロール、及びスリンダクスルフィド及びその類似体で試験したものからのp-ニトロアニリドの吸光度と比較することにより計算した。
【0149】
(実施例16)
(タンパク質ライセートの調製、及びウェスタンブロット分析)
様々な時期に試験化合物で試験されている細胞を、氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で2度洗浄し、かつ30分間4℃で、キナーゼ溶解緩衝液[50 mM Tris緩衝液(pH 7.5) 150 mM NaCl, 0.1% トリトン X-100, 0.1% ノニデット P-40, 4 mM エチレンジアミン四酢酸 (EDTA), 50 mM NaF, 0.1 mMオルトバナジン酸ナトリウム, 1 mM ジチオスレイトール(DTT)、及びプロテアーゼ阻害剤:アンチパイン、ロイペプチン、ペプスタチンA、及びキモスタチン(5μg/mL)、フッ化フェニルメチルスルホニル(50μg/mL)、及び4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオライド(100μg/mL)]中に溶解した。細胞ライセートを、15,000gで15分間の遠心分離により透明にし、かつ該得られた上清を回収した。細胞タンパク質(30-50μg)を、等量の2X Laemmliサンプル緩衝液[125 mM Tris (pH 6.8)、10% β-メルカプトエタノール、20% グリセロール、4% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及び0.05% ブロモフェノールブルー]で混合し、かつ5分間、煮沸した。該タンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分離し、かつポリビニリデンジフルオライド膜(Millipore Corp., ベッドフォード, マサチューセッツ州, アメリカ合衆国)上に、電気泳動的に移動させた。該膜を、0.1% Tween 20を含むTris緩衝食塩水(50 mM Tris pH 7.5, 150 mM NaCl)中の5%ノンファットミルクでブロックし、次に、抗ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PharMingen, サンディエゴ, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)で1時間、保温した。次に、一次抗体を、ロバ抗ウサギ、又はヤギ抗マウス西洋わさびペルオキシダーゼ接合二次抗体で染色した。増強した化学発光を行い(ECL ウェスタンブロット検出系:Amersham Biosciences, Piscataway, ニュージャージー州, アメリカ合衆国)、かつタンパク質バンドを、オートラジオグラフィーにより検出した。開裂ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼに対応するバンドの検出は、アポトーシス細胞死の開始を示した。
【0150】
(実施例17)
(PPARγレポーターアッセイ)
ヒト胎児腎臓細胞(HEK293細胞)を、American Type Culture Collection (ATCC)から購入し、かつ5% CO2恒湿37°Cインキュベーター中、GIBCO(商標)GLUTAMAX(商標)(Invitrogen Corp., Carlsbad, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)、及び10%熱不活性化FBS (Atlas Biological, Fort Collins, Colorado, アメリカ合衆国)、又は10%チャコール処理FBS(charcoal-stripped FBS)(HyClone, ローガン, ユタ州, アメリカ合衆国)を有する、ダルベッコの改質イーグル培地(DMEM)中で保持した。9x105 HEK293細胞は、チャコール処理FBSを供給したDMEM中で平板培養した。平板培養18時間後に、細胞を、3 mLのDMEM + 10%チャコール処理FBS中の1 μg DNAにつき、8 μLのEffectene Transfection Reagent (Qiagen Inc., バレンシア, カリフォルニア州, アメリカ合衆国)の脂質比を用いて、コントロールRenilla発光酵素発現プラスミド(Promega Corp.のpCMV-renilla発光酵素0.2μg, マディソン, ウィスコンシン州, アメリカ合衆国)、0.4μg PPARγ-GAL4、及び0.4μg UAS-tk-lucでトランスフェクトした。トランスフェクション培地を、DMEM + 対象のリガンド又はビヒクル(0.1% DMSO)を含む10%チャコール処理血清で置き換えるまで、細胞をトランスフェクション混合物中に残存させた。
【0151】
トランスフェクトHEK293細胞は、DMSO中に溶解した様々な濃度のエインデニック酸スルフィド、又はエインデニック酸スルフィドのN-ベンジルアミド誘導体、N-ベンジル-2-[6-フルオロ-3-(4-メチルスルファニル-ベンジリデン)-3H-インデン-1-イル]-アセトアミド、又はビヒクルのみ(0.1% DMSO)を用いて試験した。細胞を、Passive Lysis Buffer(Promega Corp.)中に溶解し、かつDUAL-LUCIFERASE(登録商標)レポーター(DLR(商標))アッセイ系(Promega Corp., カタログナンバーE1910)を用いて、メーカー説明書に従って、ライセートを、ホタル発光酵素、及びRenilla発光酵素に対して評価した。この実験結果を、図10に示した。
【0152】
(実施例17の論考)
培養液中のトランスフェクト細胞において、2-デス-メチルインドメタシン、及びエインデニック酸スルフィド、及び一連の構造類似体を、培養癌細胞のアポトーシスを誘発する能力に対して、及びPPARγ媒介転写を活性化する能力に対して試験した。両化合物が、元の薬剤と同じ活性か、又はそれよりも活性があることを示した。事実、エインデニック酸スルフィドは、両アッセイにおいて、スリンダクスルフィドよりも相当に活性がある。同様の結果が、エインデニック酸スルフィドの類似体を用いて得られた。共同発明者らは、作用の特定の理論全てに限定されることを望まないが、2-デス-メチル類似体の増強された生物活性は、該2’メチル基の除去の結果生じる構造変化のためであろう。
【0153】
(実施例18)
(インビボの2-デス-メチルインドメタシンの毒性)
インドメタシン、及び2-デス-メチルインドメタシンの毒性を、C57/BL6マウスにおいて比較した。これは、インドメタシンにより胃腸毒性に非常に感受性がある。一連の濃度のインドメタシン、及び2-デス-メチルインドメタシンの毎日注射は、2-デス-メチルインドメタシンが、インドメタシンよりも少なくとも25倍毒性が小さいことを示し、高濃度2-デス-メチル類似体を投与できることを立証した。従って、インドメタシン、及びスリンダクスルフィドの2-デス-メチル類似体、並びに任意のプロドラッグ形態(例えば、エインデニック酸スルホキシド)は、一連の疾患を標的とする薬剤の魅力的な候補体であるように見える。
【0154】
(参照文献)
下記に示した引用文献、並びに、本明細書中に引用した全ての引用文献は、本明細書中に引用により組み込まれており、その内容は、本明細書中で使用した方法論、技術、及び/又は組成物を補充、説明、背景提供、又は教示するものである。
【0155】
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Zierler K (1999) 「全身グルコース代謝」 Am J Physiol 276:E409-26.
Zouali H, Hani EH, Philippi A, Vionnet N, Beckmann JS, Demenais F & Froguel P (1997) 「ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ遺伝子に近接した、染色体20qへの早期発症型非インシュリン依存(2型)糖尿病マップの感受性遺伝子座」 Hum Mol Genet 6:1401-8.
【0161】
記載された主題の様々な詳細が、記載された主題の範囲から外れることなく変化し得ることが理解されるであろう。さらに、先の記載は、説明のみを目的とするものであり、制限することを目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1A〜1Cは、COX−2活性サイトに結合したインドメタシン(INDO)の結晶構造を示す。図1A、及び図1Bは、COX−2とともに共結晶化したINDOの立体図を示す(タンパク質データバンクコード4COX;Kurumbailらの論文, 1996)。図1Bは、Val-349、Ala-527、Ser-530、及びLeu-531により形成された疎水性ポケット内に挿入された、INDO(緑)の2’メチル置換基の空間充填モデルである。図1Cは、INDO、及びDM−INDOの化学構造を示す。
【図2】図2A〜2Dは、INDOによるCOX−2変異の時間依存性阻害の速度を示す。実施例7に記載したように、様々な濃度のINDO、又はDM−INDOでアッセイを行った。図2A、及び2Cは、阻害されていないコントロールのパーセント活性として非線形回帰曲線で示した代表的データを示す。図2B、及び図2Dに対して補助プロットとして描かれた該曲線は、それぞれ図2A、及び2C中に示したデータを、本明細書中に開示した式(2)に適合させることにより得た。
【図3】図3A、及び3Bは、INDO、及びDM−INDOによるCOX−2阻害の可逆性における、3つのVal-349変異の効果を示す。実施例7に記載したように、10μMのINDO、又はDM−INDOを用いてアッセイを行った。代表的データを、阻害されていないコントロールのパーセント活性として示す。
【図4】図4A、及び4Bは、DM−INDOによるCOX−2変異の時間依存性阻害の速度を示す。実施例7に記載したようにアッセイを行った。代表的データを、阻害されていないコントロールのパーセント活性として非線形回帰曲線で示す。
【図5】図5A〜5Dは、DM−INDOと比較した、INDOによるアポ−COX−2の蛍光消光、及びアラキドン酸(アミノ酸)による競合を示す。実施例9に記載した条件下でアッセイを行った。アポタンパク質0.2μMを、DMSO(黒)、INDO(灰色の円)、又はDM−INDO(灰色)と240秒間(図5A〜5C)、又は360秒間(図5D)混合し、続いて、50μM AA (矢印)を加え、さらに240秒間(図5A〜5C)、又は360秒間(図5D)モニターした。図は、3回測定の平均のものである。図5Aは、mCOX−2V349Aポリペプチドで得られた結果を示す。図5Bは、野生型mCOX−2ポリペプチドで得られた結果を示す。図5Cは、mCOX−2V349Iポリペプチドで得られた結果を示す。図5Dは、mCOX−2V349Lポリペプチドで得られた結果を示す。使用したINDO、及びDM−INDOの最終濃度は、1μM(図5A)、2μM(図5B)、3μM(図5C)、及び5μM(図5D)である。
【0163】
【図6】図6は、2−デス−メチルインドメタシン(DM−INDO)の合成スキームを示す。
【図7】図7は、エインデニック酸スルフィド(化合物I)、及びエインデニック酸スルフィド誘導体N−ベンジル−2−[6−フルオロ−3−(4−メチルスルファニル−ベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド(化合物J)の合成スキームを示す。
【図8】図8は、様々な濃度のN−ベンジル−2−[6−フルオロ−3−(4−メチルスルファニル−ベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド(化合物J)に曝露したRKO細胞の細胞生存率アッセイの結果を示す。
【図9】図9は、N−ベンジル−2−[6−フルオロ−3−(4−メチルスルファニル−ベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド(化合物J)に曝露した3つの異なる細胞株における、増加したカスパーゼ−3活性の結果を示す。
【図10】図10は、様々な濃度のスリンダクスルフィド(SS)、エインデニック酸スルフィド(化合物I)、又はN−ベンジル−2−[6−フルオロ−3−(4−メチルスルファニル−ベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド(化合物J)に曝露したHEK293細胞のPPARγレポーターアッセイの結果のウェスタンブロット分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を化合物の誘導体と接触させることを含む、細胞の増殖阻害方法であって、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである、前記方法。
【請求項2】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が、対象内に存在するものである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記細胞が、腫瘍細胞である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、哺乳動物である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、スリンダク、及びそれらの医薬として許容し得る塩からなる群から選択されたものである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
対象に化合物の誘導体の治療有効量を投与することを含む、癌、神経変性疾患、及び糖尿病からなる群から選択される対象の疾患の治療方法であって、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである、前記方法。
【請求項10】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、哺乳動物である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病である、請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、及びスリンダク、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記誘導体が、前記化合物よりも実質的に少ない胃腸毒性を生じる、請求項9記載の方法。
【請求項17】
腫瘍を有する対象に化合物の誘導体を投与することを含む、対象の腫瘍増殖の抑制方法であって、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである、前記方法。
【請求項18】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、哺乳動物である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、及びスリンダク、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記誘導体が、前記化合物よりも実質的に少ない胃腸毒性を生じる、請求項17記載の方法。
【請求項24】
細胞を化合物の誘導体と接触させることを含む、細胞のアポトーシスの誘発方法であって、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである、前記方法。
【請求項25】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が、培養液中の細胞である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記細胞が、癌細胞である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が、対象内に存在するものである、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、哺乳動物である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、及びスリンダク、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)イソ型を、化合物の誘導体と接触させることを含む、PPARイソ型の活性を調節する方法であって、該化合物は、2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ該誘導体は、該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分に改質した結果として、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠くものである、前記方法。
【請求項34】
前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)イソ型が、PPARγである、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)イソ型が、対象内に存在するものである、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、哺乳動物である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項33記載の方法。
【請求項40】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、及びスリンダク、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項33記載の方法。
【請求項41】
前記誘導体が、前記化合物よりも実質的に少ない胃腸毒性を生じる、請求項33記載の方法。
【請求項42】
シクロオキシゲナーゼ阻害化合物の特異性を変更する方法であって:
(a)2’メチル基を有するインドール酢酸、又はインデン酢酸官能基を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する化合物を提供すること;及び
(b)該2’メチル基を、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択された成分で置換し、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を実質的に欠く誘導体を作り出すことを含む、前記方法。
【請求項43】
前記化合物が、インデン酢酸官能基を含み、かつ前記成分が、水素原子、及びフッ素原子からなる群から選択されたものである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項42記載の方法。
【請求項45】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、インドメタシン、及びスリンダク、それらの医薬として許容し得る塩、及びそれらの組合せからなる群から選択されたものである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記誘導体が、下記式を有する、請求項1、9、17、24、及び33のいずれか1項記載の方法:
【化1】

(式中、Rは、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;CONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子;ハロ;CF;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;アリール; 置換アリール; ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;及びSONHからなる群から選択され;
は、水素原子、C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル、及び=Oからなる群から選択され;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及び下記構造のものからなる群から選択され:
【化2】

(式中、Arは、シクロへキシル、又はフェニルであり;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキルであり;
は、水素原子、ハロ、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、及び置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;アミノ;ニトロ;CF;ブロモアセトアミジル;ベンゾイル;又は2−フェニル−オキシラニルであり;
Xは、O、又はNRであって、ここでRは、水素原子、又はアルキルであり;かつm、n、及びtは、それぞれ独立に0、1、2、3、4、又は5である。);
Yは、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択され;
Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;
p、及びqは、双方とも独立に0、1、2、3、又は4であり;
に結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合であり;かつ
が結合した6員環は、シクロへキシル、又はフェニルである。)。
【請求項47】
前記誘導体が、2−デス−メチルインドメタシン、エインデニック酸スルフィド、エインデニック酸スルホキシド、及びエインデニック酸スルホンからなる群から選択されたものである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記誘導体が、エインデニック酸スルフィドである、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記化合物上に存在するカルボン酸成分を、エステル、又はアミドに誘導体化することをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記エステル、又はアミドが、表3中に存在する構造を有するものである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
下記式の化合物:
【化3】

(Rは、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
は、水素原子、ハロ、CF;SCH;SOCH;SOCH;SONH;CONH;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及びCHからなる群から選択され;
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子;ハロ;CF;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;アリール; 置換アリール; ベンジルオキシ;SCH;SOCH;SOCH;及びSONHからなる群から選択され;
は、水素原子、C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル、及び=Oからなる群から選択され;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、又は置換アルコキシ;ベンジルオキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;及び下記構造のものからなる群から選択され:
【化4】

(式中、Arは、シクロへキシル、又はフェニルであり;
は、水素原子;C〜Cアルキル、分岐アルキル、又は置換アルキルであり;
は、水素原子、ハロ、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び置換アルキル;C〜Cアルコキシ、分岐アルコキシ、及び置換アルコキシ;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、又は置換アルキルカルボン酸;アミノ;ニトロ;CF;ブロモアセトアミジル;ベンゾイル;又は2−フェニル−オキシラニルであり;
Xは、O、又はNRであって、ここでRは、水素原子、又はアルキルであり;かつm、n、及びtは、それぞれ独立に0、1、2、3、4、又は5である。);
Yは、水素原子;ハロ;メチル基の少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換されたハロメチル;C〜Cアルキル;C〜C分岐アルキル;及びC〜C置換アルキルからなる群から選択され;
Aは、炭素原子、及び窒素原子からなる群から選択され;
p、及びqは、双方とも独立に0、1、2、3、又は4であり;
に結合した炭素原子と該インデン環との間の結合は、単結合、又は二重結合であり;かつ
が結合した6員環は、シクロへキシル、又はフェニルである。)。
【請求項52】
が、C〜Cアルキルカルボン酸、及び分岐C〜Cアルキルカルボン酸からなる群から選択され;
が、ハロ、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、SCH、SOCH、SOCH、及びSONHからなる群から選択され;かつ
〜R、及びR〜R10が、それぞれ独立に、水素原子、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、及びハロからなる群から選択された、請求項51記載の化合物。
【請求項53】
下記式を有する、請求項51記載の化合物:
【化5】


【請求項54】
下記式を有する、請求項51記載の化合物:
【化6】


【請求項55】
下記式を有する、請求項51記載の化合物:
【化7】


【請求項56】
下記一般式を有する、請求項51記載の化合物:
【化8】

(式中、Rは、C〜Cアルキル、分岐アルキル、及び環状アルキル;C〜Cアルキルカルボン酸、分岐アルキルカルボン酸、及び環状アルキルカルボン酸;及びC〜Cアリール、及びC〜C置換アリールからなる群から選択される。)。
【請求項57】
が、単又は多置換アリールであり、各置換基が、ハロゲン、NH、OCH、CF、OH、C〜Cアルキル又は分岐アルキル、NO、ベンゾイル、2−フェニル−オキシラン、及びNH−CO−CHBrからなる群から選択された、請求項56記載の化合物。
【請求項58】
下記一般式を有する、請求項51記載の化合物:
【化9】

(式中、R12は、フェニル、フェニル−CH、フェニル−COOH、フェニル−SCH、フェニル−SOCH、フェニル−SOCH、o−、m−、又はp−ハロ−フェニル及びそれらの組合せ、フェニル−CH、及びC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される。)。
【請求項59】
下記一般式を有する、請求項51記載の化合物:
【化10】

(式中、R11は、表1に記載したR11基からなる群から選択される。)。
【請求項60】
下記構造を有する、請求項51記載の化合物。
【化11】



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−534702(P2007−534702A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509739(P2007−509739)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014328
【国際公開番号】WO2005/112921
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(501271033)バンダービルト・ユニバーシティ (9)
【氏名又は名称原語表記】VANDERBILT UNIVERSITY
【Fターム(参考)】