説明

脱穀機

【課題】排塵口から排出される穀粒量が、排塵口から排出されることが許容される穀粒量を超過することを未然に防ぐ。
【解決手段】扱室10から排塵口33に至る穀粒の通流経路において、排塵口33よりも上流に位置する処理室13の排出口13eに穀粒量検出センサ34を設け、該穀粒量検出センサ34にて検出された検出結果に基づいて、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作を制御し、前記処理室13への稈及び穀粒の送出量及び排出口13eから排出される穀粒量を低減させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は穀稈から分離した穀粒を効率的に回収することができる脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場での収穫作業を行う場合には、穀稈の刈取り及び脱穀並びに穀粒の回収を行う脱穀機(コンバイン)を使用することが多い。コンバインは、クローラの走行中に刈刃にて穀稈を刈取り、刈取った穀稈を扱胴へ搬送して脱穀する。そして扱胴の下方に配置してあるチャフシーブにて、穀稈から分離した稈及び穀粒の選別を行い、選別された穀粒をチャフシーブから漏下させて、スクリューを介して穀粒タンクに回収する。チャフシーブの下方に配置してある唐箕の起風作用によって、チャフシーブから漏下する細かな塵埃はコンバインの後部に設けてある排塵口から排出され、また穀粒の一部も塵埃と共に排塵口から排出される。
【0003】
穀稈の刈取量が増加すると穀稈から分離する穀粒量が増加し、排塵口から排出される穀粒量も増加する。このため穀稈の刈取量が増加した場合には、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させることが望ましい。この要望に応えるべく、穀粒量を検出するグレン損失検出器を排塵口に配置し、該グレン損失検出器にて検出された穀粒量に基づいて、チャフシーブの開閉度合い及び唐箕の風量を調整し、排塵口から排出される穀粒が増加した場合に、穀粒タンクへの穀粒の回収量を増加させるコンバインが以前から提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のコンバインにあっては、チャフシーブ及び唐箕に二つの油圧シリンダをそれぞれ連結してあり、二つの油圧シリンダには、圧油の給排を切り替える二つの電磁弁をそれぞれ連結してある。該コンバインは、グレン検出器の出力と排塵口から排出されることが許容される穀粒量(以下許容ロス量という)とを比較し、排塵口から排出される穀粒量(以下ロス量という)が許容ロス量を超過した場合に前記電磁弁の作動を制御して、ロス量を許容ロス量よりも小さくしていた。
【特許文献1】特開昭61−234714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に記載のコンバインには、チャフシーブの開閉度合い及び唐箕の風量を調整している間は、許容ロス量を超過した量の穀粒が排塵口から排出されるという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、扱室から排塵口に至る穀粒の通流経路において、排塵口よりも上流に位置する処理室の排出口に穀粒量を検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出された検出結果に基づいて、排出量調整手段の動作を制御し、排出口から排出される穀粒量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる脱穀機を提供することにある。
【0007】
また本発明の他の目的とするところは、前記穀粒の通流経路において、前記排塵口よりも上流に配設してある扱室内に稈及び穀粒の送出量を調節する送塵弁を設けて、該送塵弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記送塵弁の動作を制御して、前記処理室への稈及び穀粒の送出量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる脱穀機を提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的とするところは、前記穀粒の通流経路において前記排塵口よりも上流に配設してある処理室内に、稈及び穀粒の送出量を調節する処理胴弁を設けて、該処理胴弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記処理胴弁の動作を制御して、前記排出口から排出される穀粒量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる脱穀機を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、前記扱室から流下した稈及び穀粒の選別を行う複数のシーブ板を配設し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記複数のシーブ板から漏下する穀粒量が低減するように、複数のシーブ板を前記排出量調整手段と共に動作させ、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを確実に防ぐことができる脱穀機を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、前記所定範囲を変更する手段を設けることによって、穀稈の品種及び圃場状態等に応じて、ユーザが前記所定範囲を最適な範囲に変更することができる脱穀機を提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、前記排出量調整手段の作動が不可能である場合に、圃場を走行する走行部、例えばクローラを強制的に減速させて、刈取られる穀稈の量を低減させ、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる脱穀機を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にある場合に、前記排出口から排出される穀粒量が前記所定範囲外にあることを表示する手段を設けて、穀粒量が前記所定範囲外にあり、前記排出量調整手段を自動制御することをユーザに報知することができる脱穀機を提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、前記排出量調整手段の制御を解除する場合に、排出量調整手段を設定された位置まで徐々に戻して、排出量調整手段に急激な負荷が作用することを防ぎ、排出量調整手段の破損を回避することができる脱穀機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る脱穀機は、刈取られた穀稈を脱穀する扱室と、該扱室に連なり、稈及び穀粒を排出する排出口を有し稈及び穀粒から穀粒を分離する処理室とを備える脱穀機において、前記排出口から排出される穀粒量を検出する検出手段と、前記排出口から排出される穀粒量を調整する排出量調整手段と、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段での判定結果に基づいて、前記排出量調整手段の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、扱室から排塵口に至る穀粒の通流経路において、排塵口よりも上流に位置する処理室の排出口に穀粒量を検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出された検出結果に基づいて、排出量調整手段の動作を制御し、排出口から排出される穀粒量を低減させる。
【0016】
本発明に係る脱穀機は、前記扱室には円筒形の扱胴が収容してあり、前記排出量調整手段は、前記扱室内における前記扱胴の周囲に配置してあり、稈及び穀粒の送出量を調節する送塵弁を備え、該送塵弁は、前記扱胴の径方向を軸長方向とした送塵弁軸に枢支してあり、前記送塵弁に動力を供給する第1駆動源を備え、前記制御手段は、前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記送塵弁が前記送塵弁軸を中心にして一方向に回動するように、前記第1駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、前記穀粒の通流経路において、前記排塵口よりも上流に配設してある扱室内に稈及び穀粒の送出量を調節する送塵弁を設けて、該送塵弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にある場合に、前記送塵弁の動作を制御して、前記処理室への稈及び穀粒の送出量を低減させる。
【0018】
本発明に係る脱穀機は、前記処理室には円筒形の処理胴が収容してあり、前記排出量調整手段は、前記処理室内における前記処理胴の周囲に配置してあり、稈及び穀粒の送出量を調節する処理胴弁を備え、前記処理胴弁は、前記処理胴の径方向を軸長方向とした処理胴弁軸に枢支してあり、前記処理胴弁に動力を供給する第2駆動源を備え、前記制御手段は、前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記処理胴弁が前記処理胴弁軸を中心にして一方向に回動するように、前記第2駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、前記穀粒の通流経路において前記排塵口よりも上流に配設してある処理室内に、稈及び穀粒の送出量を調節する処理胴弁を設けて、該処理胴弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にある場合に、前記処理胴弁の動作を制御して、前記排出口から排出される穀粒量を低減させる。
【0020】
本発明に係る脱穀機は、前記扱室の下方にて横並びに設けてあり、互いに対向する複数のシーブ板と、上下方向及び前記複数のシーブ板の並び方向に略直交する方向を軸長方向としており、前記複数のシーブ板にそれぞれ枢着してある複数の支軸と、前記並び方向に沿って配置してあり、前記複数のシーブ板を枢軸を介して連結する連結杆と、該連結杆に動力を供給する第3駆動源とを備え、前記第3駆動源の駆動によって前記連結杆を前記並び方向に移動させて、前記複数のシーブ板を各支軸を中心にして同方向に回動させるようにしてあり、前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記複数のシーブ板が各支軸を中心にして一方向に回動するように、前記第3駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、前記扱室から流下した稈及び穀粒の選別を行う複数のシーブ板を配設し、前記検出手段にて検出された穀粒量が許容値以上である場合に、前記複数のシーブ板から漏下する穀粒量が低減するように、複数のシーブ板を前記排出量調整手段と共に動作させる。
【0022】
本発明に係る脱穀機は、前記所定範囲を変更する手段を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、穀稈の品種及び圃場状態等に応じて、ユーザが前記所定範囲を変更する手段を操作し、前記所定範囲を最適な範囲に変更する。
【0024】
本発明に係る脱穀機は、圃場を走行する走行部と、前記排出量調整手段の作動の可否を判定する手段と、該手段にて前記排出量調整手段の作動が不可能であると判定された場合に、前記走行部を強制的に減速させる手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、前記排出量調整手段の作動が不可能である場合に、走行部を強制的に減速させて、刈取られる穀稈の量を低減させる。
【0026】
本発明に係る脱穀機は、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあることを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明においては、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記所定範囲外にある場合に、前記排出口から排出される穀粒量が前記所定範囲外にあることをユーザに向けて表示する。
【0028】
本発明に係る脱穀機は、前記排出量調整手段の位置を検出する位置検出手段と、前記排出量調整手段の位置を設定する位置設定手段と、前記位置検出手段にて検出された前記排出量調整手段の位置が、前記位置設定手段にて設定された位置から偏倚しているか否かを判定する偏倚判定手段と、該偏倚判定手段にて前記排出量調整手段の位置が前記位置設定手段にて設定された位置から偏倚していると判定された場合であって、前記検出手段にて所定範囲内の穀粒量を検出したときに、前記排出量調整手段を前記位置設定手段にて設定された位置まで段階的に移動させる手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
本発明においては、前記排出量調整手段の制御を解除する場合に、排出量調整手段を設定された位置まで徐々に戻し、排出量調整手段に急激な負荷が作用することを防ぐ。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る脱穀機にあっては、扱室から排塵口に至る穀粒の通流経路において、排塵口よりも上流に位置する処理室の排出口に穀粒量を検出する検出手段を設け、該検出手段にて検出された検出結果に基づいて、排出量調整手段の動作を制御し、排出口から排出される穀粒量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0031】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記穀粒の通流経路において、前記排塵口よりも上流に配設してある扱室内に稈及び穀粒の送出量を調節する送塵弁を設けて、該送塵弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記送塵弁の動作を制御して、前記処理室への稈及び穀粒の送出量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0032】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記穀粒の通流経路において前記排塵口よりも上流に配設してある処理室内に、稈及び穀粒の送出量を調節する処理胴弁を設けて、該処理胴弁を前記排出量調整手段として使用し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記処理胴弁の動作を制御して、前記排出口から排出される穀粒量を低減させて、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0033】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記扱室から流下した稈及び穀粒の選別を行う複数のシーブ板を配設し、前記検出手段にて検出された穀粒量が前記排出口から排出される穀粒量として所定範囲外にある場合に、前記複数のシーブ板から漏下する穀粒量が低減するように、複数のシーブ板を前記排出量調整手段と共に動作させ、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0034】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記所定範囲を変更する手段を設けることによって、穀稈の品種及び圃場状態等に応じて、ユーザが所定範囲を最適な範囲に変更することができる。
【0035】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記排出量調整手段の作動が不可能である場合に、走行部を強制的に減速させて、刈取られる穀稈の量を低減させ、前記排塵口から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0036】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にある場合に、前記排出口から排出される穀粒量が所定範囲外にあることを表示する手段を設けることによって、排出口から排出される穀粒量が所定範囲外にあることをユーザに報知することができる。
【0037】
本発明に係る脱穀機にあっては、前記排出量調整手段の制御を解除する場合に、排出量調整手段を設定された位置まで徐々に戻して、排出量調整手段に急激な負荷が作用することを防ぎ、排出量調整手段の破損を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図である。
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の左側には穀粒を収容する穀粒タンク4を設けてあり、前記脱穀装置2の右部には穀稈を搬送するフィードチェン5を設けてある。該フィードチェン5には穀稈を挟持する挟持部材6が対向している。前記フィードチェン5の始端部付近には縦搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0039】
走行クローラ1の駆動によって機体は走行する。機体の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は縦搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0040】
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12を螺旋状に取り付けてある。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0041】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に沿って並設してあり、該送塵弁は扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0042】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bには多数の扱歯13c、13c、・・・、13cを螺旋状に取り付けてある。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。
【0043】
処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。該排出口13eの下方に、圧電素子を備える穀粒量検出センサ34が配してある。前記排出口13eから、前述した処理を受けた稈及び穀粒が排出され、穀粒量検出センサ34に当接する。このとき穀粒量検出センサ34の圧電素子から電圧信号が出力され、排出口13eから排出される穀粒量が検出される。なお穀粒量検出センサ34は圧電素子を有するセンサに限るものではなく、発光素子及び受光素子を有する光センサを穀粒量検出センサ34として使用し、グレンシーブ20の後端から横溢し、発光素子及び受光素子の間を通過する穀粒量を検出しても良い。また発信器及び受信機を有する超音波センサを穀粒量検出センサ34として使用し、グレンシーブ20の後端から横溢し、発信器及び受信機の間を通過する穀粒量を検出しても良い。
【0044】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0045】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。
該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0046】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、穀粒を前記穀粒タンク4に送給する一番スクリュー23が設けてある。前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリュー23に向けて滑落する。滑落した穀粒は一番スクリュー23によって穀粒タンク4に搬送される。
【0047】
前記一番穀粒板22の後部に、後部が前部よりも下に位置するように傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリュー26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリュー26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリュー26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0048】
前記一番スクリュー23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、後方に向けて送風する唐箕27が設けてある。該唐箕27と前記一番スクリュー23との間に二つの整流板28、28を配設してある。
【0049】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
【0050】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。
【0051】
前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
【0052】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前部が後部よりも下に位置するように傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
【0053】
前述した走行クローラ1の駆動、刈取部3の刈取動作、扱胴11の回動、処理胴13bの回動、揺動選別装置16の揺動及び唐箕27の起風動作はエンジン40の駆動力によって行われる。図3はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【0054】
図3に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。変速回路41aは後述する制御部100(図7参照)からの入力信号に基づいて、前記機構を制御し、走行クローラ1の変速を行うようにしてある。
【0055】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0056】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
【0057】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0058】
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて脱穀された稈及び穀粒から穀粒が分離される。
【0059】
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理胴13bを収容する処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈及び穀粒を唐箕27による起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出する。
【0060】
以上の構成によって、刈取部3にて刈り取られた穀稈は脱穀装置2にて脱穀され、穀稈から分離した穀粒は選別を受けて穀粒タンク4に収容される。穀粒の選別の調整は、前記キャビン8に配設されている穀粒の選別を調整するためのスイッチ群をユーザが操作することによって行われる。
【0061】
図4はキャビン8内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群及びランプ群の略示正面図である。図4に示すように、刈取スイッチ80、送塵弁角度設定スイッチ81、処理胴弁角度設定スイッチ82、許容値設定スイッチ83、自動制御ランプ84及び警告ランプ85がダッシュボードパネルに並設してある。
【0062】
刈取スイッチ80は正面側に突出した円柱形をなしている。刈取スイッチ80は押圧によって押し下げられた状態で固定される。また押し下げられた状態で押圧されることによって、刈取スイッチ80に内蔵してある弾性部材(図示せず)の弾性力により元の位置に復帰する。刈取スイッチ80が押し下げられた場合に前記刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継合し、刈取スイッチ80が復帰した場合に刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44は切断されるようにしてある。
【0063】
送塵弁角度設定スイッチ81は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。送塵弁角度設定スイッチ81の正面には、図4に示すように、三角形の目印を付してある。また送塵弁角度設定スイッチ81の周囲には1〜5の番号を付してある。前記目印を1〜5の番号に合わせて、送塵弁10a、10a、10a、10aの角度を5段階に設定するようにしてある(以下送塵弁角度設定スイッチ81にて設定された角度を設定角度θという)。送塵弁角度設定スイッチ81の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されており、設定角度θに応じた電圧信号を後述する制御部100へ出力するようにしてある。
【0064】
なお処理胴弁角度設定スイッチ82も送塵弁角度設定スイッチ81と同様な構成となっており、処理胴弁角度設定スイッチ82の正面には目印が設けられ、処理胴弁角度設定スイッチ82の周囲には1〜5の番号を付してある。前記目印を1〜5の番号に合わせて、処理胴弁13aの角度を5段階に設定するようにしてある(以下処理胴弁角度設定スイッチ82にて設定された角度を設定角度θという)。また処理胴弁角度設定スイッチ82の内部には、ポテンショメータが内蔵されており、設定角度θに応じた電圧信号を後述する制御部100へ出力するようにしてある。
【0065】
許容値設定スイッチ83は、正面側に突出した軸回りに回動可能な円柱状をなしている。許容値設定スイッチ83の正面には三角形の目印を付してある。また許容値設定スイッチ83の周囲には、一方から他方に向かうに従って縮幅される円弧形の図形を付してある。前記目印を円弧形の図形の任意の位置に合わせて、前記排出口13eから排出されることが許容される穀粒量の値(閾値P)を設定する。許容値設定スイッチ83の内部には、図示しないポテンショメータが内蔵されており、許容値設定スイッチ83を左側に回動させるとポテンショメータの出力電圧が小さくなり、右側に回動させるとポテンショメータの出力電圧が大きくなる。
自動制御ランプ84及び警告ランプ85は、後述する制御部100の出力信号に基づいて、点灯するか又は消灯する。
【0066】
次に前記送塵弁10a、10a、10a、10a及び処理胴弁13a、13a、13a、13aを動作させる伝動機構について説明する。図5は送塵弁10a、10a、10a、10a及び処理胴弁13a、13a、13a、13a並びにこれらの伝動機構を示す略示平面図である。なお処理胴弁13aの伝動機構の構成は送塵弁10aの伝動機構の構成と同様であり、処理胴弁13a及び処理胴弁13aの伝動機構の構成に対応する送塵弁10a及び送塵弁10aの伝動機構の構成に、括弧付きで名称又は符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0067】
前記複数の送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)は扱胴11(処理胴13b)と扱室10(処理室13)の上壁との間に前後方向に沿って並設してあり、互いに対向している。図5に示すように、扱室10(処理室13)の上壁に四つの送塵弁軸65、65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′、65′)が設けてあり、該送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)は円筒形の扱胴11(処理胴13b)の径方向に沿って扱室10(処理室13)の内側に突出している。前記送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)は送塵弁軸65、65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′、65′)にそれぞれ枢着している。
【0068】
各送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の一側部には、図5に示すように、前後方向に延びる杆体64(64′)が、上下方向を軸長方向とした四つの枢軸66、66、66、66(66′、66′、66′、66′)を介して連結してある。
【0069】
また前記送塵弁10a(処理胴弁13a)に略直角な伝動杆63(63′)が送塵弁10a(処理胴弁13a)の送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)付近から延出している。伝動杆63(63′)の延出端にクランクロッド61(61′)の一端部が、上下方向に沿う枢軸62(62′)を介して連結してある。クランクロッド61(61′)の他端部はクランク60(60′)に連結してある。該クランク60(60′)は減速機67(67′)を介してモータM1(M2)に連結している。
【0070】
モータM1(M2)が正回転した場合には、図5中の実線矢印によって示すように、クランク60(60′)が一方向に回動し、クランクロッド61(61′)が一方向に移動する。クランクロッド61(61′)の移動によって伝動杆63(63′)が前記枢軸62(62′)を中心にして一方向に回動し、伝動杆63(63′)を連結してある送塵弁10a(処理胴弁13a)が送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)を中心にして一方向に回動する。該送塵弁10a(処理胴弁13a)の回動によって前記杆体64(64′)が前方に移動し、図5中の実線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a)も連動して、送塵弁軸65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′)を中心にして一方向へ回動する。
【0071】
扱胴11(処理胴13b)の周面に沿って、後方へ向かって螺旋状に移動する稈及び穀粒は、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の一方向への回動によって、図5中の実線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)に当接して前方へ跳ね返り、扱室10(処理室13)における稈及び穀粒の送出量は減少する。
【0072】
モータM1(M2)が逆回転した場合には、図5中の破線矢印によって示すように、クランク60(60′)が他方向に回動し、クランクロッド61(61′)が他方向に移動する。クランクロッド61(61′)の移動によって伝動杆63(63′)が前記枢軸62(62′)を中心にして他方向に回動し、伝動杆63(63′)を連結してある送塵弁10a(処理胴弁13a)が送塵弁軸65(処理胴弁軸65′)を中心にして他方向に回動する。該送塵弁10a(処理胴弁13a)の回動によって前記杆体64(64′)が後方に移動し、図5中の破線矢印によって示すように、他の送塵弁10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a)も連動して、送塵弁軸65、65、65(処理胴弁軸65′、65′、65′)を中心にして他方向へ回動する。
【0073】
送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)の他方向への回動によって、扱胴11(処理胴13b)の周面に沿って螺旋状に移動する稈及び穀粒は、図5中の破線矢印によって示すように、送塵弁10a、10a、10a、10a(処理胴弁13a、13a、13a、13a)に当接して後方へ跳ね返り、扱室10(処理室13)における稈及び穀粒の送出量は増加する。
【0074】
モータM1(M2)にはロータリエンコーダE1(E2)が設けてある。モータM1(M2)は、制御部100から与えられる動作指令に従って駆動され、またモータM1(M2)の回転数及び回転方向がロータリエンコーダE1(E2)によって検出される。制御部100には、前記送塵弁角度設定スイッチ81の電圧信号が入力され、ロータリエンコーダE1(E2)によって検出されたモータM1(M2)の回転数及び回転方向を示す値が入力される。
【0075】
図6は送塵弁10a(処理胴弁13a)の前後方向に対する角度と前記送塵弁角度設定スイッチ81(処理胴弁角度設定スイッチ82)との関係、及び処理胴弁の前後方向に対する角度と処理胴弁角度設定スイッチとの関係を説明する説明図である。図中α〜α(β〜β)は、送塵弁角度設定スイッチ81(処理胴弁角度設定スイッチ82)の1〜5の番号に対応する送塵弁10a(処理胴弁13a)の前後方向に対する角度を示しており、前記設定角度θ(設定角度θ)はα〜α(β〜β)のいずれかに設定される。角度α〜α(β〜β)は、角度α(β)を下限値とし、角度α(β)を上限値としてこの順に大きくなる。送塵弁10a(処理胴弁13a)の前後方向に対する角度が大きくなるに従って、扱室10(処理室13)における稈及び穀粒の送出量は減少する。
制御部100は、送塵弁10a(処理胴弁13a)の前後方向に対する角度を前記送塵弁角度設定スイッチ81にて設定された角度α〜α(β〜β)に一致させるべくモータM1(M2)に動作指令を発し、ロータリエンコーダE1(E2)によるモータM1(M2)の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、モータM1(M2)を駆動制御する。
【0076】
制御部100は、排塵口33から排出される穀粒を低減するための処理を所定条件下において実行する。
図7は制御部100の構成を示すブロック図である。
制御部100は内部バス100iにより相互に接続されたCPU100a、ROM100b、RAM100c、及びEEPROM100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作を制御する。
【0077】
図8は閾値Pと許容値設定スイッチ83の出力電圧との関係を示す関数f、及び閾値Qと許容値設定スイッチ83の出力電圧との関係を示す関数gを示すグラフである。
EEPROM100dには許容値設定スイッチ83の任意の出力電圧Vと閾値Pとの関係を示す関数fと、許容値設定スイッチ83の任意の出力電圧Vと閾値Qとの関係を示す関数gとが記憶してある。図8に示すように、任意の出力電圧Vに対する閾値Qは、任意の出力電圧Vに対する閾値P以下になる。また関数f及び関数gにおいて、前記出力電圧Vの増減に応じて前記閾値P及び閾値Qはそれぞれ減増する。
【0078】
またEEPROM100dにおいては、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をCPU100aにて積算して求めた送塵弁10aの角度を示す値が、変数である送塵弁角度θに格納してあり、ロータリエンコーダE2によるモータM2の回転数及び回転方向を示す値をCPU100aにて積算して求めた処理胴弁13の角度を示す値が、変数である処理胴弁角度θに格納してある。
【0079】
またEEPROM100dには穀稈を刈取ることができる機体の速度の下限値Vminが記憶してある。
【0080】
制御部100は、モータM1に係る送塵弁駆動回路100g及びモータM2に係る処理胴弁駆動回路100hを更に備えており、CPU100aに制御された送塵弁駆動回路100g及び処理胴弁駆動回路100hが駆動指令をモータM1及びモータM2へそれぞれ出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、HST41の変速回路に変速指令を出力し、自動制御ランプ84及び警告ランプ85に点灯又は消灯信号を出力する。また制御部100は刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。
【0081】
刈取スイッチ80、送塵弁角度設定スイッチ81、処理胴弁角度設定スイッチ82、車速センサ、穀粒量検出センサ34、許容値設定スイッチ83、ロータリエンコーダE1、及びロータリエンコーダE2の各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0082】
図9は制御部100が実行する送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0083】
制御部100のCPU100aは、刈取スイッチ80の出力信号を取込み、刈取スイッチ80がオンになっているか否かを判定する(ステップS1)。刈取スイッチ80がオフである場合には(ステップS1:NO)、CPU100aは処理をステップS1に戻す。刈取スイッチ80がオンになっている場合には(ステップS1:YES)、CPU100aは、許容値設定スイッチ83の出力電圧Vを取込み(ステップS2)、関数f及び関数gを参照して、閾値P及び閾値Qを設定する(ステップS3)。そしてCPU100aは、穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS4)、穀粒量検出値Aが閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS5)。穀粒量検出値Aが閾値P未満である場合には(ステップS5:NO)、CPU100aは処理をステップS4に戻す。
【0084】
穀粒量検出値Aが閾値P以上である場合には(ステップS5:YES)、CPU100aは自動制御ランプ84に点灯信号を出力し(ステップS6)、自動制御ランプ84を点灯させる。
次にCPU100aは後述する送塵弁作動処理を実行し(ステップS7)、後述する処理胴弁13a作動処理を実行する(ステップS8)。そしてCPU100aは自動制御ランプ84に消灯信号を出力し(ステップS9)、後述する戻弁処理を実行して(ステップS10)、処理を終了する。
【0085】
次に穀粒量検出センサ34にて閾値P以上の穀粒量が検出された場合に実行される送塵弁作動処理について説明する。図10は送塵弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
CPU100aはEEPROM100dから送塵弁角度θの値を読出し(ステップS71)、送塵弁角度θが角度αであるか否かを判定する(ステップS72)。送塵弁角度θが角度αでない場合(ステップS72:NO)、すなわち送塵弁角度θがα(n=1〜4)である場合には、CPU100aは、送塵弁駆動回路100gに正回転信号を出力し(ステップS73)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、送塵弁角度θがαn+1になるまでモータM1を正回転させる。そしてCPU100aはタイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS74)。該所定時間は、ステップS9での処理によって送塵弁10a、10a、10a、10aの角度を変更した時から、前記排出口13eから排出される排出物が減少する時までの時間に相当する。
【0086】
所定時間が経過した場合には(ステップS74:YES)、CPU100aは、穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS75)、穀粒量検出値Aが閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS76)。穀粒量検出値Aが閾値Q以上である場合には(ステップS76:NO)、ステップS71に処理を戻す。穀粒量検出値Aが閾値Q未満である場合には(ステップS76:YES)、CPU100aは送塵弁作動処理を終了し、ステップS9へ処理を進める。また送塵弁角度θが角度αである場合には(ステップS72:YES)、CPU100aは送塵弁作動処理を終了する。
【0087】
次に穀粒量検出センサ34にて閾値P以上の穀粒量が検出された場合に実行される処理胴弁作動処理について説明する。図11は処理胴弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
CPU100aはEEPROM100dから処理胴弁角度θの値を読出し(ステップS81)、処理胴弁角度θが角度βであるか否かを判定する(ステップS82)。
【0088】
処理胴弁角度θが角度βでない場合(ステップS82:NO)、すなわち処理胴弁角度θがβ(n=1〜4)である場合には、CPU100aは、処理胴弁駆動回路100hに正回転信号を出力し(ステップS83)、ロータリエンコーダE2によるモータM2の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、処理胴弁角度θがβn+1になるまでモータM2を正回転させる。そしてCPU100aは、CPU100aに内蔵してある図示しないタイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS84)。該所定時間は、ステップS83での処理によって処理胴弁13a、13a、13a、13aの角度を変更した時から、前記排出口13eから排出される排出物が減少する時までの時間に相当する。
【0089】
所定時間が経過した場合には(ステップS84:YES)、CPU100aは、穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS85)、穀粒量検出値Aが閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS86)。穀粒量検出値Aが閾値Q以上である場合には(ステップS86:NO)、CPU100aはステップS81に処理を戻す。穀粒量検出値Aが閾値Q未満である場合には(ステップS86:YES)、CPU100aは処理胴弁作動処理を終了する。
【0090】
処理胴弁角度θが角度βである場合には(ステップS82:YES)、CPU100aは後述する車速低減処理を実行し(ステップS87)、処理胴弁作動処理を終了する。
【0091】
次に穀粒量検出センサ34にて閾値P以上の穀粒量が検出された場合に実行される車速低減処理について説明する。図12は車速低減処理の処理手順を示すフローチャートである。
CPU100aは、車速センサ43から車速検出値を取込む(ステップS871)。そしてCPU100aは取込んだ車速検出値とEEPROM100dに記憶してある前記機体の速度の下限値Vminとを比較して、車速検出値がVmin以上であるか否かを判定する(ステップS872)。車速検出値がVmin以上である場合には(ステップS872:YES)、CPU100aは、低速指令を変速回路41aに出力し(ステップS873)、機体の速度を低減させる。そしてCPU100aはタイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS874)。該所定時間は、ステップS873での処理によって車速を低減させた時から、前記排出口13eから排出される排出物が減少する時までの時間に相当する。
【0092】
所定時間が経過した場合には(ステップS874:YES)、CPU100aは穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS875)、穀粒量検出値Aが閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS876)。穀粒量検出値Aが閾値Q以上である場合には(ステップS876:NO)、CPU100aはステップS871に処理を戻す。穀粒量検出値Aが閾値Q未満である場合には(ステップS876:YES)、CPU100aは車速低減処理を終了する。
【0093】
車速検出値がVmin未満である場合には(ステップS872:NO)、CPU100aは、警告ランプ85に点灯信号を出力し(ステップS877)、車速低減処理を終了する。車速検出値がVmin未満である場合であって、穀粒量検出値が閾値Q以上であるときには、グレンシーブ、チャフシーブに稈が詰まる等の異常が発生している可能性があり、警告ランプ85の点灯によって当該可能性をユーザに報知することができる。
【0094】
次に穀粒量検出センサ34にて閾値Q未満の穀粒量が検出された場合に実行される戻弁処理について説明する。図13は戻弁処理の処理手順を示すフローチャートである。
CPU100aは送塵弁角度設定スイッチ81にて設定された設定角度θを取込む(ステップS101)。そしてCPU100aはEEPROM100dにアクセスして送塵弁角度θの値と設定角度θの値とを比較し、送塵弁角度θが設定角度θに等しいか否かを判定する(ステップS102)。送塵弁角度θが設定角度θに等しくない場合には(ステップS102:NO)、CPU100aは送塵弁駆動回路100gに戻弁信号を出力し(ステップS103)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、図6中の破線矢印によって示すように、送塵弁角度θがα(k=2〜5)からαk−1になるまでモータM1を逆回転させる。
【0095】
次にCPU100aは、タイマを使用して所定時間が経過するまで待機する(ステップS104)。所定時間が経過した場合には(ステップS104:YES)、CPU100aは処理をステップS101に戻す。
【0096】
送塵弁角度θの値が設定角度θに等しい場合には(ステップS102:YES)、CPU100aは処理胴弁角度設定スイッチ82にて設定された設定角度θの値を取込む(ステップS105)。そしてCPU100aはEEPROM100dにアクセスして処理胴弁角度θの値と設定角度θの値とを比較し、処理胴弁角度θの値が設定角度θの値に等しいか否かを判定する(ステップS106)。処理胴弁角度θが設定角度θに等しくない場合には(ステップS106:NO)、CPU100aは処理胴弁駆動回路100hに戻弁信号を出力し(ステップS107)、ロータリエンコーダE2によるモータM2の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、図6中の破線矢印によって示すように、処理胴弁角度θがβ(k=2〜5)からβk−1になるまでモータM2を逆回転させる。
【0097】
次にCPU100aは、タイマを使用して所定時間が経過するまで待機する(ステップS108)。所定時間が経過した場合には(ステップS108:YES)、CPU100aは処理をステップS105に戻す。処理胴弁角度θの値が設定角度θに等しい場合には(ステップS106:YES)、CPU100aは戻弁処理を終了する。
【0098】
実施の形態1に係るコンバインにあっては、扱室10から排塵口33に至る穀粒の通流経路において、排塵口33よりも上流に位置する処理室13の排出口13eに穀粒量検出センサ34を設け、該穀粒量検出センサ34にて検出された検出結果に基づいて、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作を制御し、前記処理室13への稈及び穀粒の送出量及び排出口13eから排出される穀粒量を低減させて、前記排塵口33から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
また閾値Pを変更する許容値設定スイッチ83を設けることによって、穀稈の品種及び圃場状態等に応じて、ユーザが閾値Pを最適な値に変更することができる。
【0099】
また送塵弁10a及び処理胴弁13aの角度が上限値になっており、送塵弁10a及び処理胴弁13aの作動が不可能となっている場合に、機体を強制的に減速させて、刈取られる穀稈の量を低減さてせ、前記排塵口33から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
また穀粒量検出センサ34にて検出された穀粒量が閾値P以上になった場合に、自動制御ランプ84を点灯させて、穀粒量が許容値以上であることをユーザに報知することができる。
【0100】
また送塵弁10a及び処理胴弁13aの制御を解除する場合に、送塵弁角度θがαからαk−1になるまでモータM1を逆回転させた後に所定時間待機して、再度モータM1を逆回転させ、処理胴弁角度θがβからβk−1になるまでモータM2を逆回転させた後に所定時間待機して、再度モータM2を逆回転させて、送塵弁10a及び処理胴弁13aを設定された位置まで段階的に戻し(戻弁処理参照)、送塵弁10a及び処理胴弁13aに急激な負荷が作用することを防ぎ、送塵弁10a及び処理胴弁13aの破損を回避することができる。
【0101】
なお実施の形態1に係るコンバインにおいては、穀粒量検出センサ34にて検出された穀粒量が閾値P以上である場合に自動制御ランプ84を点灯させて、穀粒量検出センサ34にて検出された穀粒量が閾値Q未満である場合に自動制御ランプ84を消灯させているが、自動制御ランプ84に代えてキャビン8内に表示パネルを設けて、該表示パネルに穀粒量検出センサ34にて検出された穀粒量が閾値P以上である旨又は閾値Q未満である旨を表示しても良い。またロータリエンコーダE1、E2による検出値に基づいて送塵弁10a及び処理胴弁13aの角度を求めているが、ロータリエンコーダE1、E2に代えて、送塵弁10a及び処理胴弁13aにポテンショメータをそれぞれ設けて、該ポテンショメータの検出値に基づいて送塵弁10a及び処理胴弁13aの角度を求めても良い。
【0102】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図14はチャフシーブの動作機構を示す側面図である。
【0103】
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を図示しないカッタに向けて搬送する排ワラチェン50が設けてある。該排ワラチェン50に対向させて排ワラガイド棒51が設けてあり、該排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を、排ワラチェン50の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0104】
図14に示す如く、前記排ワラガイド棒51の下側にL形の回動レバー52が設けてあり、該回動レバー52は前後方向に長い前後杆52aと、該前後杆52aの前端部から上方に突出した上下杆52bとを備えている。該上下杆52b及び前後杆52aとの角部分に枢軸52cが設けてある。また上下杆52bの突出端部にばね体54の後端部が固定してあり、ばね体54の前端部はコンバインの適所に固定してある。前記排ワラガイド棒51と前記前後杆52aの後端部とが連結棒53を介して連結してある。連結棒53と前後杆52aとは枢結されている。
【0105】
前記排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を移動する排桿が増加するに連れて、前記排ワラガイド棒51は押圧されて下側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして後方に回動する(図14実線矢印参照)。このとき前記ばね体54は伸長する。一方排桿が減少するにつれて、伸長したばね体54の復元力によって前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして前方に回動し、前記排ワラガイド棒51は上側に移動する(図14破線矢印参照)。
【0106】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。前記チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体(図示せず)を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右に配置された二つの枠材の間に、左右方向に延びる多数のシーブ板18a、18a、・・・、18aを前後方向に沿って並設してある。該シーブ板18a、18a、・・・、18aの各上部は枠材に支軸18k、18k、・・・、18kを介して枢支してある。各シーブ板18a、18a、・・・、18aの下部は、前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢軸18l、18l、・・・、18lを介して連結してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してあり、該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。前記回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してあり、該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下杆52bに連結してある。
また前記軸体18iには、軸体18i周りの回動板18cの位置を検出するポテンショメータ型のシーブセンサ18jを設けてある。該シーブセンサ18jの出力に基づいてシーブ角(シーブ板18a、18a、・・・、18aと連結桿18bとのなす角度)θを検出する構成にしてある。
【0107】
また前記軸体18iに、図示しない手動レバーに操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結している。
また前記回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部を連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0108】
前記回動レバー52が後方へ回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動し、前記連結桿18bは後方へ移動し、前記シーブ板18a、18a、・・・、18aは起立してシーブ角θは大きくなり、シーブ板18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(図14実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときには、前記ばね体18fの復元力により、前記回動板18cは時計回りに回動し、前記連結桿18bは前方へ移動し、前記シーブ板18a、18a、・・・、18aは傾倒してシーブ角θは小となり、シーブ板18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(図14破線矢印参照)。
【0109】
排桿の減増に応じて排ワラガイド棒51が上下動し、前記回動レバー52が回動して前記手動板18h及び回動板18cが回動し、シーブ角θが調整される。また前記手動レバーの操作に応じて、前記手動ワイヤ18gが牽引されるか又は弛緩され、前記手動板18h及び回動板18cが回動して、シーブ角θが調整される。なお前記手動レバーは適当な位置で固定することができるようにしてある。
【0110】
前記回動レバー52の下方にモータM3が配設してあり、該モータM3には、モータM3の回転軸を制動する図示しない電磁ブレーキが設けてある。また前記モータM3の回転軸は、図示しない減速ギヤボックスを介して、電磁式のモータクラッチ71の一方に連結してある。該モータクラッチ71の他方は前記枢軸52cに連結してある。またモータM3には、モータM3の回転数及び回転方向を検出するロータリエンコーダE3を設けてある。
【0111】
モータM3は制御部100の動作指令によって駆動する。制御部100はロータリエンコーダE3によるモータM3の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、モータM3を駆動制御する。また前記モータM3の回転開始と同時に電磁ブレーキが解除され、回転終了と同時に電磁ブレーキが作動する。またモータクラッチ71は制御部100の継断信号によって継合又は切断される。
【0112】
制御部100の継合信号に基づいて前記モータクラッチ71が継合し、制御部100の動作指令に基づいて前記モータM3が正回転した場合には前記回動レバー52は後方に回動して、前記排ワラガイド棒51は下側に移動し、前記ばね体54は伸長する(図14実線矢印参照)。そして制御部100の切断信号に基づいて前記モータクラッチ71が切断されたときには、前記ばね体54の復元力と排ワラガイド棒51に作用する排桿の圧力とによって前記回動レバー52は回動し、前記排ワラガイド棒51は排桿量に応じた位置に配される(図14破線矢印参照)。
【0113】
以上の構成により、モータクラッチ71が継合し、モータM3が正回転することによって回動レバー52が後方に回動し、前記手動板18h及び回動板18cが回動して、シーブ角θが調整される。またモータクラッチ71を切断することによって、前記排ワラガイド棒51は排桿量に応じた位置に配され、排桿の増減に応じて前記手動板18h及び回動板18cが回動し、シーブ角θが調整される。
【0114】
図15は制御部100の構成を示すブロック図である。制御部100のEEPROM100dには、シーブ板18aを回動させることができるか否かを判定する基準となる上限角度θmaxの値が記憶してある。
【0115】
制御部100は、モータM3に係るチャフシーブ駆動回路90を備えており、CPU100aに制御されたチャフシーブ駆動回路90が駆動指令をモータM3へ出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、モータクラッチ71に継断信号を出力する。シーブセンサ、及びロータリエンコーダE3の各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0116】
図16は制御部100のCPU100aが実行する送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0117】
制御部100のCPU100aは、刈取スイッチ80の出力信号を取込み、刈取スイッチ80がオンになっているか否かを判定する(ステップS21)。刈取スイッチ80がオフである場合には(ステップS21:NO)、CPU100aは処理をステップS21に戻す。刈取スイッチ80がオンになっている場合には(ステップS21:YES)、CPU100aは許容値設定スイッチ83の出力電圧Vを取込み(ステップS22)、関数f及び関数gを参照して、閾値P及び閾値Qを設定する(ステップS23)。そしてCPU100aは、穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS24)、穀粒量検出値Aが閾値P以上であるか否かを判定する(ステップS25)。穀粒量検出値Aが閾値P未満である場合には(ステップS25:NO)、CPU100aは処理をステップS24に戻す。
【0118】
穀粒量検出値Aが閾値P以上である場合には(ステップS25:YES)、CPU100aは自動制御ランプ84に点灯信号を出力し(ステップS26)、自動制御ランプ84を点灯させる。
【0119】
次にCPU100aは後述する送塵弁及びチャフシーブ作動処理を実行する(ステップS27)。そして自動制御ランプ84に消灯信号を出力し(ステップS28)、自動制御ランプ84を消灯させる。そして戻弁処理を実行し(ステップS29)、処理を終了する。
なおステップS29における戻弁処理は、実施の形態1におけるステップS102にて送塵弁角度θの値が設定角度θの値に等しいと判定された後に、戻弁処理を終了し次のステップに処理を進めること以外は、前記ステップS101〜ステップS104と同じ処理を行うのでその詳細な説明は省略する。
【0120】
次に穀粒量検出センサ34にて閾値P以上の穀粒量が検出された場合に実行される送塵弁及びチャフシーブ作動処理について説明する。図17は送塵弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0121】
制御部100のCPU100aは、モータクラッチ71に継合信号を出力し(ステップS271)、モータクラッチ71を継合する。次にEEPROM100dにアクセスして送塵弁角度θの値を読み出し(ステップS272)、送塵弁角度θが角度αであるか否かを判定する(ステップS273)。送塵弁角度θがα(n=1〜4)である場合には(ステップS273:NO)、CPU100aは、送塵弁駆動回路100gに正回転信号を出力し(ステップS274)、ロータリエンコーダE1によるモータM1の回転数及び回転方向を示す値をフィードバック情報として、送塵弁角度θがαn+1になるまでモータM1を正回転させる。
【0122】
次にCPU100aは、シーブセンサ18jからシーブ角θを取込み(ステップS275)、シーブ角θの値とEEPROM100dに記憶してある上限角度θmaxの値とを比較して、シーブ角θが上限角度θmax以上であるか否かを判定する(ステップS276)。シーブ角θが上限角度θmax以上である場合には(ステップS276:YES)、CPU100aは後述するステップS278に処理を進める。シーブ角θが上限角度θmax未満である場合には(ステップS276:NO)、チャフシーブ駆動回路90に正回転信号を出力し(ステップS277)、モータM3を所定数回転させる。該モータM3の回転によって、シーブ角θは所定角度大きくなる。
【0123】
そしてCPU100aは、タイマを使用して、所定時間が経過するまで待機する(ステップS278)。該所定時間は、ステップS274での処理によって送塵弁10a、10a、10a、10aの角度を変更した時から、前記排出口13eから排出される排出物が減少する時までの時間に相当する。
【0124】
所定時間が経過した場合には(ステップS278:YES)、CPU100aは、穀粒量検出センサ34による穀粒量検出値Aを取込み(ステップS279)、穀粒量検出値Aが閾値Q未満であるか否かを判定する(ステップS280)。穀粒量検出値Aが閾値Q以上である場合には(ステップS280:NO)、ステップS272に処理を戻す。穀粒量検出値Aが閾値Q未満である場合には(ステップS280:YES)、CPU100aはモータクラッチ71に切断信号を出力し(ステップS281)、モータクラッチ71を切断させて、送塵弁及びチャフシーブ作動処理を終了する。
【0125】
送塵弁角度θが角度αである場合には(ステップS273:YES)、CPU100aは、車速低減処理を実行し(ステップS282)、ステップS281に処理を進める。なおステップS282の車速低減処理は実施の形態1における前記ステップS87での処理と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0126】
実施の形態2に係るコンバインにあっては、前記扱室から流下した稈及び穀粒の選別を行う複数のシーブ板を配設し、前記穀粒量検出センサ34にて検出された穀粒量が閾値P以上である場合に、前記複数のシーブ板から漏下する穀粒量が低減するように、複数のシーブ板を送塵弁10a、10a、10a、10aと共に動作させ、前記排塵口33から排出される穀粒量が前記許容ロス量を超過することを未然に防ぐことができる。
【0127】
なお実施の形態2に係るコンバインは、送塵弁10a、10a、10a、10aとチャフシーブとを共に動作させているが処理胴弁13a、13a、13a、13aとチャフシーブとを共に動作させる構成としても良く、送塵弁10a、10a、10a、10a、処理胴弁13a、13a、13a、13a及びチャフシーブを共に動作させる構成としても良い。
【0128】
実施の形態2に係るコンバインの構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施の形態1に係るコンバインの外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るコンバインの脱穀装置の内部構成を略示する側面断面図である。
【図3】実施の形態1に係るコンバインのエンジンの駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
【図4】実施の形態1に係るコンバインのキャビン内のダッシュボードパネルに設けてあるスイッチ群及びランプ群の略示正面図である。
【図5】実施の形態1に係るコンバインの送塵弁及び処理胴弁並びにこれらの伝動機構を示す略示平面図である。
【図6】実施の形態1に係るコンバインの送塵弁の前後方向に対する角度と前記送塵弁角度設定スイッチとの関係、及び処理胴弁の前後方向に対する角度と処理胴弁角度設定スイッチとの関係を説明する説明図である。
【図7】実施の形態1に係るコンバインの制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係るコンバインのEEPROMに記憶してある閾値Pと許容値設定スイッチの出力電圧との関係を示す関数f、及び閾値Qと許容値設定スイッチの出力電圧との関係を示す関数gを示すグラフである。
【図9】実施の形態1に係るコンバインの制御部が実行する送塵弁及び処理胴弁の動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るコンバインの制御部が実行する送塵弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態1に係るコンバインの制御部が実行する処理胴弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1に係るコンバインの制御部が実行する車速低減処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1に係るコンバインの制御部が実行する戻弁処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係るコンバインのチャフシーブの動作機構を示す側面図である。
【図15】実施の形態2に係るコンバインの制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2に係るコンバインの制御部が実行する送塵弁及び処理胴弁の動作制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態2に係るコンバインの制御部が実行する送塵弁作動処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0130】
1 走行クローラ(走行部)
3 刈取部
10 扱室
10a 送塵弁
13 処理室
13a 処理胴弁
13b 処理胴
13e 排出口
18a シーブ板
18b 連結杆
18k 支軸
18l 枢軸
65 送塵弁軸
65′ 処理胴弁軸
M1 モータ(第1駆動源)
M2 モータ(第2駆動源)
M3 モータ(第3駆動源)
E1 ロータリエンコーダ
E2 ロータリエンコーダ
E3 ロータリエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取られた穀稈を脱穀する扱室と、該扱室に連なり、稈及び穀粒を排出する排出口を有し稈及び穀粒から穀粒を分離する処理室とを備える脱穀機において、
前記排出口から排出される穀粒量を検出する検出手段と、
前記排出口から排出される穀粒量を調整する排出量調整手段と、
前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段での判定結果に基づいて、前記排出量調整手段の動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする脱穀機。
【請求項2】
前記扱室には円筒形の扱胴が収容してあり、
前記排出量調整手段は、前記扱室内における前記扱胴の周囲に配置してあり、稈及び穀粒の送出量を調節する送塵弁を備え、
該送塵弁は、前記扱胴の径方向を軸長方向とした送塵弁軸に枢支してあり、
前記送塵弁に動力を供給する第1駆動源を備え、
前記制御手段は、前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記送塵弁が前記送塵弁軸を中心にして一方向に回動するように、前記第1駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の脱穀機。
【請求項3】
前記処理室には円筒形の処理胴が収容してあり、
前記排出量調整手段は、前記処理室内における前記処理胴の周囲に配置してあり、稈及び穀粒の送出量を調節する処理胴弁を備え、
前記処理胴弁は、前記処理胴の径方向を軸長方向とした処理胴弁軸に枢支してあり、
前記処理胴弁に動力を供給する第2駆動源を備え、
前記制御手段は、前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記処理胴弁が前記処理胴弁軸を中心にして一方向に回動するように、前記第2駆動源を駆動させる手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱穀機。
【請求項4】
前記扱室の下方にて横並びに設けてあり、互いに対向する複数のシーブ板と、
上下方向及び前記複数のシーブ板の並び方向に略直交する方向を軸長方向としており、前記複数のシーブ板にそれぞれ枢着してある複数の支軸と、
前記並び方向に沿って配置してあり、前記複数のシーブ板を枢軸を介して連結する連結杆と、
該連結杆に動力を供給する第3駆動源とを備え、
前記第3駆動源の駆動によって前記連結杆を前記並び方向に移動させて、前記複数のシーブ板を各支軸を中心にして同方向に回動させるようにしてあり、
前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記複数のシーブ板が各支軸を中心にして一方向に回動するように、前記第3駆動源を駆動させる手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項5】
前記所定範囲を変更する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項6】
圃場を走行する走行部と、
前記排出量調整手段の作動の可否を判定する手段と、
該手段にて前記排出量調整手段の作動が不可能であると判定された場合に、前記走行部を強制的に減速させる手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項7】
前記判定手段にて、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあると判定された場合に、前記検出手段にて検出された穀粒量が所定範囲外にあることを表示する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の脱穀機。
【請求項8】
前記排出量調整手段の位置を検出する位置検出手段と、
前記排出量調整手段の位置を設定する位置設定手段と、
前記位置検出手段にて検出された前記排出量調整手段の位置が、前記位置設定手段にて設定された位置から偏倚しているか否かを判定する偏倚判定手段と、
該偏倚判定手段にて前記排出量調整手段の位置が前記位置設定手段にて設定された位置から偏倚していると判定された場合であって、前記検出手段にて所定範囲内の穀粒量を検出したときに、前記排出量調整手段を前記位置設定手段にて設定された位置まで段階的に移動させる手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−110251(P2010−110251A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284827(P2008−284827)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】