説明

脱穀装置

【課題】揺動選別棚上の処理物量が変化しても良好な選別状態を維持できる脱穀選別装置を提供する。
【解決手段】唐箕(28)の送風口(37)の上側には、第一風向板(29)の選別風の送風方向上手側の部位を上下回動自在に軸支し、前記送風口(37)の下側には、第二風向板(30)の選別風の送風方向上手側端部よりも下手側の部位を上下回動自在に軸支し、揺動選別棚(21)の上側に設けた層厚センサ(50)が検出する被処理物層厚の検出値に応じて、第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を連動して変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等に搭載する脱穀装置に関し、農業機械の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来よりコンバインの脱穀装置は唐箕の後側に開口した送風口から揺動選別棚及び一番集穀部、二番集穀部へと送風して、風選別を行う。特許文献1には送風口の上下中間部分に傾斜角度変更自在な風向板を設け、揺動選別棚の上側に設けた処理量検出センサの検出量に応じて前記風向板の傾斜姿勢を変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−274696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術は、被処理物量の大小によって、風向板の傾斜姿勢送風方向の上手側支点で下手側を上下回動させて傾斜を変更するのみであり、風向板の上側から送風する上側選別風路と下側から送風する下側選別風路の風量の比率を変化させることができず、被処理物量が少ない場合でも下側風路の風量が変化しないので穀粒の機外飛散を生じ、被処理物量が多い場合には精選別部への風量が不足して目詰まりを起こして穀粒の漏下を妨げる問題があった。
【0005】
また、被処理物量以外の脱穀選別条件が考慮されておらず、被処理物に占める來雑物の割合や、収穫対象物の品種の違い等に対応して選別状態を変化させることができなかった。例えば、収穫対象作物が異なる場合、脱穀処理によって多くの藁屑が発生するため、被処理物量が少ない場合でも下側選別風路の風量を増加して、機外へ排出する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱胴(12)を備えた脱穀部(3a)の下側に選別部(3b)を設け、該選別部(3b)には脱穀部(3a)から漏下した被処理物を揺動移送しながら選別する揺動選別棚(21)を設け、該揺動選別棚(21)の下側に、後側に備えた送風口(37)から選別風を送風する唐箕(28)と、揺動選別棚(21)から漏下する一番物を回収する一番集穀樋(31)と、揺動選別棚(21)から漏下する二番物を回収する二番集穀樋(33)を、揺動選別棚(21)上の被処理物の移送方向上手側から順に設け、
前記送風口(37)には上側の第一風向板(29)と上下方向中間部の第二風向板(30)を設け、該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の選別風送風方向の下手側の部位が上手側の部位よりも高くなる姿勢変更範囲内で該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を連動して変更する構成とし、前記揺動選別棚(21)の前部に、該揺動選別棚(21)上の被処理物の層厚を検出する層厚センサ(50)を設け、
該層厚センサ(50)で検出される層厚が大きくなるほど、前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)を緩傾斜姿勢に姿勢変更させ、前記層厚センサ(50)で検出される層厚が小さくなるほど、前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)を急傾斜姿勢に姿勢変更させ、前記層厚センサ(50)で検出される層厚が、風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの間に設定される範囲から外れた場合には、該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の姿勢を最大傾斜姿勢または最小傾斜姿勢に維持する選別制御装置(90)を備えたことを特徴とする脱穀装置とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記第一風向板(29)の選別風送風方向の上手側の部位を上下回動自在に軸支し、第二風向板(30)の選別風送風方向の中間の部位を上下回動自在に軸支し、該第一風向板(29)と第二風向板(30)を連動して上下回動させる連動機構(59)を設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記二番集穀樋(33)に落下した二番物を揺動選別棚(21)の前部に還元する二番還元装置(89)を設け、前記第二風向板(30)が最大傾斜姿勢となった状態において、該第ニ風向板(30)の選別風送風方向の上手側端部(30b)が前記送風口(37)の底面に当接または接近し、第二風向板(30)よりも下側の風路が狭まる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀装置とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記風向板制御上限値(Th)及び風向板制御下限値(Tl)を変更する第一調整具(84)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の脱穀装置とした。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記風向板制御上限値(Th)と風向板制御下限値(Tl)における前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を第二調整具(85)によって変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置とした。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記唐箕(28)の回転速度を変更自在に構成し、前記層厚センサ(50)の検出値が風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲では唐箕(28)の回転速度を一定に維持し、層厚センサ(50)の検出値が風向板制御上限値(Th)より大きい範囲及び、風向板制御下限値(Tl)より小さい範囲では、前記層圧センサ(50)の検出値が大きくなるほど前記唐箕(28)の回転速度を増速する制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載の脱穀装置とした。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲での唐箕(28)の回転速度を変更する第三調整具(86)を設けたことを特徴とする請求項6記載の脱穀装置とした。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記脱穀部(3a)の一側に穀稈を挟持搬送するフィードチェン(10)を設け、前記層厚センサ(50)の検出値が大きいほどフィードチェン(10)を増速駆動する構成としたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の脱穀装置とした。
【0014】
請求項9記載の発明は、前記一番集穀樋(31)と二番集穀樋(33)の間に第二唐箕(75)を設け、この第二唐箕(75)の選別風送風方向下手位置に角度変更自在な第三風向板(76)を設け、該第三風向板(76)を、前記層厚センサ(50)の検出値が大きいほど揺動選別棚(21)の被処理物移送方向上手側の部位へ送風する急傾斜姿勢に姿勢変更し、前記層厚センサ(50)の検出値が小さくなるほど揺動選別棚(21)の被処理物移送方向下手側の部位へ送風する緩傾斜姿勢に姿勢変更する構成としたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の脱穀装置とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、前記揺動選別棚(21)上の被処理物層厚が増加するに従って第一風向板(29)及び第二風向板(30)の後上がり傾斜姿勢を急傾斜に変更して、選別風の送風方向を揺動選別棚(21)の被処理物移送方向の上手側に変更することで揺動選別棚(21)の選別性能を維持しながら、機外飛散を抑制することができる。
【0016】
揺動選別棚(21)上の被処理物層厚が減少した場合は、第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を緩傾斜として、選別風を揺動選別棚(21)の後方へと送風して來雑物の積極的な機外排出を行い、揺動選別棚(21)の詰まりを防止して選別性能を維持することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、第二風向板(30)を急傾斜姿勢に変更することによって該第二風向板(30)の下側選別風路の開口度合いを小さくし、送風口(37)の底面と第二風向板(30)との間隔を狭めて第二風向板(30)の下側選別風路の風量を減少させ、穀粒の機外飛散を抑制することができ、
第二風向板(30)を緩傾斜姿勢に変更した場合は、第二風向板(30)の上側選別風路の風量を減少させて一番集穀樋(31)への漏下を促進して収量を増大させ、第二風向板(30)の下側選別風路の風量を増加させて、一番集穀樋(31)への來雑物の混入を防ぎ、選別性能を高く維持することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、前記揺動選別棚(21)上の被処理物量が極めて少ない最大傾斜姿勢において、第二風向板(30)の下側選別風路からの送風を停止させることで、本来一番集穀樋(31)で回収すべき穀粒が、二番集穀樋(33)より二番還元装置(89)によって再び揺動選別棚(21)に還元されて穀粒が循環して損傷粒となることを防ぎ、収穫物品質と選別性能を向上させることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加えて、藁屑の多少や、被処理物の含水率によって選別風量を増減調節することができ、脱穀選別の条件適応性が高まる。
【0020】
また、揺動選別棚(21)上の被処理物層厚が薄い状態においては、被処理物が不均一になりやすく、層厚センサ(50)による検出値の変動が大きくなることがあるが、風向板制御下限値(Tl)を層厚が厚い側へと変更することによって、第一風向板(29)及び第二風向板(30)の不適切な傾斜姿勢変更を防ぎ、選別状態の悪化を防ぐことができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の発明の効果に加え、収穫対象作物の種類や、脱穀選別状態に応じて第一風向板(29)及び第二風向板(30)の回動角度範囲を変更することができ、被処理物の状態に即した選別状態を維持することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載の発明の効果に加え、層厚センサ(50)の検出値が風向板制御上限値(Th)よりも大きい範囲では第二風向板(30)の上下風路共に風量を増加して被処理物の増加に対応した選別を行い、風向板制御下限値(Tl)よりも小さい範囲では、極めて被処理物量が少ない状態でも機外飛散によるロスを低減することができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、上記請求項6記載の発明の効果に加えて、風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲での選別風量を作物品種等によって変更し、脱穀装置の条件適応性を向上させることができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、上記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、層厚が厚いほどフィードチェン(10)を増速駆動し、穀稈が脱穀部(3a)を通過する速度が上がるので、脱穀部(3a)より漏下する被処理物量が減少し、層厚が薄いほどフィードチェン(10)を減速駆動するので、穀稈を十分に脱穀処理して、枝梗付着粒や扱残しを低減しながら被処理物量を増加させる。従って、脱穀処理に適した被処理物量を維持することができ、脱穀選別性能が向上する。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、上記請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、層厚センサ(50)の検出値に応じて第二唐箕(75)の選別風送風方向を変更して機外飛散を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀装置の側断面図
【図3】脱穀装置の平断面図
【図4】脱穀装置の側断面図
【図5】脱穀装置の正断面図
【図6】選別部の平断面図
【図7】連動機構の側面図
【図8】選別制御装置のブロック図
【図9】層厚センサの検出値と風向板傾斜角度の関係を表す図
【図10】層厚センサの検出値と風向板傾斜角度及び唐箕回転速度の関係を表す図
【図11】コンバインの伝動機構図
【図12】別実施例を示す脱穀装置の側断面図
【図13】別実施例を示す脱穀装置の側断面図
【図14】選別部の要部拡大した側断面図
【図15】層厚センサの検出値と機体走行速度の関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面を参照し、説明する。
図1及び図2に示すように本発明を実施するコンバインは、機体フレーム1の下側には左右一対のクローラ2、機体の上側に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の右側に貯留装置5とその前側の操作席6を設け、機体前方には刈取装置4を設ける。貯留装置5の後側には、該貯留装置5に一時貯留した穀粒を外部に排出する排出装置7を設けている。
【0028】
クローラ2は、図11に示すように、エンジン53の動力によって静油圧式無段変速装置72とミッション88を介して駆動される構成である。静油圧式無段変速装置72は油圧ポンプと油圧モータを閉油圧回路で接続し、トラニオン軸87を回動させることで入力軸に対する出力軸の回転速度比を変更自在に構成する。
【0029】
前記脱穀装置3は扱室11などを含む上部の脱穀部3aと、下部の揺動選別棚21等から成る選別部3bとで構成される。脱穀装置3の左右一側には穀稈の株元側を狭持して後方へ搬送するフィードチェン10を備えている。
【0030】
図11に示すように、フィードチェン10はフィードチェン駆動軸10aに設けたスプロケット10dに巻き回してあり、前記スプロケット10dと一体のフィードチェン駆動軸をエンジン53からの駆動力によって駆動される。フィードチェン駆動軸10aにはベルトによって駆動力が伝達されるが、割プーリ10bの間隔をフィードチェン変速モータ10cによって調節することで無段階に変速する構成としている。
【0031】
脱穀装置3の上部に扱胴11を軸架した扱室12の前方から前記フィードチェン10により狭持した穀稈の穂先側を挿入して、多数の線状扱歯12aを植設した扱胴11の脱粒作用を受けさせながら搬送する。扱室12の下半周部は扱網12aを張設し脱穀被処理物を下方に漏下させるように構成している。扱室12のフィードチェン10と逆側には前側の二番処理室14と後側の排塵処理室16を併設しており、これら処理室にそれぞれ二番処理胴15と排塵処理胴17を同軸で設けている。
(連通口と刺さり回収室)
排塵処理室16の始端部は扱室11の連通しており、該扱室11の連通部Aの前後内周には仕切金18a,18bを立上げて仕切金18aによっては扱胴11の脱粒作用によって発生した脱穀被処理物の扱網12aからの漏下性を向上させ、仕切金18bによっては藁屑等の排塵処理室16への送塵を促進するように構成している。 連通部Aの下側部分は前後方向の格子19aを備える落下孔19を配している。連通部Aの後方は扱胴12に板状処理歯12bを取付け、下側を解放した空間を形成して扱室11内で穀稈に刺さり込んだ穀粒を梳き落とす刺さり粒回収室Bとしている。刺さり粒回収室Bの後方は下半部を大きく開口して排塵口20としている。
(排塵処理胴)
排塵処理室16は排塵室枠体16aにより包囲し搬送方向終端部近傍の揺動選別棚21側に開口部を設けている、揺動選別棚21側は網体或いは格子状体として排塵処理胴16を内装して構成している。そして内周面に被処理物搬送方向に複数の切断刃16bを設けている。排塵処理胴17の始端部で連通部A近傍部位には螺旋状の送塵螺旋17aを巻き掛け、排塵処理室16の終端部近傍には羽根体17cを備え、これらの間の中間部には平板上処理歯17bを周面に植接し、前記切断刃16bの間に入り込むように配置している。
【0032】
而して扱室11の前方で発生した穀粒を多く含んだ脱粒被処理物は扱網12a仕切金18aの前方より漏下して、扱室11の後方で発生した藁屑を比較的多く含んだものは、連通部Aより側方の排塵処理室16に送り込まれ、長い藁屑を裁断して揺動選別棚21上に落下する。
(二番処理室)
二番処理室14は二番集穀樋(33)に落下した被処理物を揺動選別棚21上に移送する二番還元装置89の穀粒処理装置であり、前後方向に設けた二番処理胴15を供え、二番処理室14の搬送上手となる後端部の上方には、脱穀装置3の側壁外側に縦方向で設けた二番揚穀筒36の上端部より二番物供給口36a望ませている。二番処理室14の上側は開放し、下半部は二番処理樋14aで囲い、二番処理室14の前端部は下方に二番物還元口14bとして開口している。
【0033】
二番物供給口36bより供給された被処理物は、二番処理胴15に向けて落下し、該二番処理胴15によって枝梗除去と枝梗や藁屑の細断が行われた後、二番還元口14bより揺動選別棚21の前方一側に放擲される。
(吸塵ファン)
揺動選別棚21の後部上方には、排塵処理室16との反対側には吸塵ケース40で覆われた吸塵ファン39を設けている。該吸塵ファン39は、脱穀装置3の側壁内側に配備して吸引口40aを内側向きに開口し、脱穀装置3外の排出口40bより塵埃を排出する。
(揺動選別棚)
選別部3bのうち、上部の揺動選別棚21は前方より、平板状或いは移送突起を複数設けた形状の移送板22、傾斜角度固定の第一シーブ23と該第一シーブ23よりも前後間隔を広く設定して、傾斜角度を変更自在な第二シーブ24、左右方向に複数設けた上縁鋸刃状のストローラック25を順に配置し該ストローラックの後方で脱穀装置3の後壁に三番口38を開口している、移送棚22の上側には移送棚上を移動する被処理物の層厚を検出する層厚センサ50を設けている。
【0034】
第一シーブ23と第二シーブ24の下方には精選別網26を設けている。第一シーブ23にはシーブに嵌め込んだシーブ清掃具26を備え、移送棚22の下方に配置した天秤アーム27をワイヤを互い違いに引くことで複数一体的に連結したシーブ清掃具26が左右往復移動するように構成し、揺動選別棚21上の非被処理物均分化と第一シーブ23作用面の付着物除去を可能にしている。
【0035】
以上の構成を備えた揺動選別棚21は選別棚軸21aによって前後に往復揺動し、非被処理物の選別を行う。移送棚22及び第一シーブ23では扱網12aと落下孔19からの主に単粒化された穀粒の多い脱穀被処理物を受け、選別する。第二シーブ24では排塵口20や排塵処理室16からの藁屑等夾雑物の多い脱穀被処理物を受ける。
【0036】
選別部3b下部には前方の唐箕28の後方に選別風路を形成し、選別風路の上手側の送風口37には上側の第一風向板29と下側の第二風向板30を配置し、下手側には一番集穀樋31と一番棚板32、二番集穀樋33と二番棚板34を順に設けて選別風路下面を形成している。一番集穀樋31と一番集穀樋33には夫々一番集穀螺旋31a及び二番集穀螺旋33aなる螺旋式搬送装置を左右方向に枢支して脱穀装置3の一側に被処理物を集めながら搬送する。一番集穀螺旋31aは終端部で一番揚穀筒35に内装する一番揚穀螺旋35aへ引継いで穀粒を貯留装置5の内部へ送り込み、二番集穀螺旋33aは二番揚穀筒36に内装する二番揚穀螺旋36aに引継いで二番処理室14の後端部へ被処理物を揚上する。
(脱穀装置の伝動機構)
図11に基づき、脱穀装置3の伝動機構を説明する。エンジン53のエンジン出力軸54に設けた出力プーリ54aと脱穀入力プーリ55aとに巻きかけたベルト56によって脱穀入力軸55が駆動され、脱穀入力軸55の一端部に設けた選別部駆動プーリ55bに巻きかけたベルト58によって選別部3bの一番集穀螺旋31a,二番集穀螺旋33a,吸塵ファン39等を駆動する構成である。脱穀入力軸55の他端部には脱穀部3aの扱胴12等を駆動するように構成している。なお、57は脱穀装置3を駆動状態と駆動力遮断状態に切替える脱穀クラッチである。
(唐箕変速)
前記唐箕28には、中空状の唐箕駆動軸28aの内周を脱穀入力軸55の外周に回転自在に軸受し、該唐箕駆動軸28aの選別部駆動プーリ55b側に設けた唐箕変速プーリ28bと、一番集穀螺旋軸31bに設けた唐箕入力プーリ31cの間にベルト71を巻き掛けて伝動を入力する。唐箕入力プーリ31cとベルト71はVベルトと割プーリによるベルト式変速機構であり、唐箕28の駆動回転速度を無段階に変更可能に構成している。
(風選別構造)
選別部3bの構成について図4に基づき詳述すると、唐箕28により起風された選別風は上側唐箕枠37aと下側唐箕枠37bとの間に形成した送風口37の間に設けた第一風向板29は平板形状とし、第二風向板30は、第一風向板29と略平行で平坦面の上面部30bと下向き屈曲形状の下面部30cとによって略三角形状を成している。
(第一風向板と第二風向板)
第一風向板29は選別風路上手側の第一支軸29aで枢支し、下手側を上下回動自在に構成し、該第一風向板29の風路下手側先端部は上側唐箕枠37aと近接すべく折曲げ形状としており、上下回動によっても上側唐箕枠37aと第一風向板29との間に隙間を生じず選別風が漏れ出ないようにしている。
【0037】
第二風向板30は上面部30bと下面部30cの間の第二支軸30aで支持し、選別風路上手側及び下手側を上下に回動可能にしている。
(風向板の回動機構)
第一風向板29及び第二風向板30の連動機構59を図7に基づき説明する。
【0038】
第二風向板30の回動軸である第二支軸30aと、該第二支軸30aの端部に取付けた主リンクアーム60が一体的に回動する。主リンクアーム60の先端には副リンクアーム61の一端をピン65で回動自在に接続し、副リンクアーム61の他端は扇形ギア62の円周部に回動自在取付けている。扇形ギア62は回動モータ64により回転駆動されるピニオンギア63と噛合わせている。扇形ギア62の円周部には突起62aが突出していて、この突起62aを回動角度センサ66のセンサアーム66aの長溝部に取り付けている。
【0039】
第二風向板30と第一風向板29は連結杵41で接続されている。
このようにして、回動モータ64を正逆回転駆動することで、第一風向板29と第二風向板30は連動して回動させ、傾斜姿勢を変更するように構成している。
(風向板傾斜変更による選別状態の違い)
第一風向板29及び第二風向板の水平面に対する傾斜角度(以後単に傾斜角ということがある)は下手側が上向きの角度範囲内で回動し、傾斜角最大の状態では図14に示す如く、第二風向板30の上流側が下側唐箕枠37bに接触するように構成すると望ましい。
【0040】
以上の構成により、第一風向板29と第二風向板30の間に上側選別風路51を、第二風向板30と下側唐箕枠37bとの間に下側選別風路52を形成し、上下面が略平行な上側選別風路52からは、揺動選別棚21へ不規則変動の少ない選別風を供給し、下側選別風路52からは、風路を絞り流速を高めて一番棚板32に沿いながらより後方へと選別風を供給する。
【0041】
第一風向板29及び第二風向板30は、後上がり傾斜角を有する範囲で回動するが、この間において、第一風向板29と第二風向板30の上面部30bは略平行関係を維持して回動する。そのため、上側選別風路51の選別風は常に安定した状態を維持することができる。そして、上側選別風路51及び下側選別風路52の風量配分比は概ね、両風路の開口度の比率によって定まる。前記最大傾斜角度においては下側選別風路52は完全に閉塞され、唐箕28により起風した選別風は全量が上側選別風路51より送風される。傾斜角が緩やかになるにつれ上方選別風路51の風量は減少し、下側選別風路52の風量が増加する。
(選別制御装置)
図8は前記層厚センサ50と各装置を連係して制御する選別制御装置90の制御ブロック図であり、該選別制御装置90の入力側には層厚センサ50,走行速度センサ82,回動角度センサ66,唐箕回転速度センサ83,第一調整具84,第二調整具85,第三調整具86を電気的に接続している。出力側には回動モータ64,モータ77a,81a,唐箕変速モータ28c,フィードチェン変速モータ10c,トラニオン軸回動モータ87aを接続している。
(風向板制御概要)
第一風向板29及び第二風向板30は任意の角度で保持するように構成してもよいが、揺動選別棚21上の被処理物量に応じて自動的に変更可能に構成すると好ましく、本実施例では図9のC1で示すように、揺動選別棚21上の被処理物層厚を検出する層厚センサ50の検出する層厚が厚い高流量時ほど緩傾斜に、層厚が薄い低流量時ほど急傾斜に調節するようにしている。
(高流量時)
従って、上側選別風路51及び下側選別風路52の選別風は、層厚が薄くなるほど第二風向板30が急傾斜姿勢となり、揺動選別棚21の前方への風量が増加して、後方への風量が減少する。そして第二風向板30が最大傾斜姿勢においては図14に示すように、第二風向板30の上流側が下側唐箕枠37bに接触するので、下側選別風路52は閉鎖され、選別風の全量が上側選別風路51より送風される。この状態においては、第二風向板30の上面部30bの選別風下流側延長線が吸塵ケース40の吸引口40a近傍を向く姿勢となり、精選別網26及び、第二シーブ24の前半部分への選別風が増加して、藁屑や稈切れ、枝梗付着粒の一番集穀樋31への落下を制限しながら、藁屑を機外へ吸引排出することができる。更に、下側選別風路52からの一番棚板32に沿った選別風が無いので、三番口38からの機外飛散を防ぐことができる。
(低流量時)
加えて、低流量時に一番棚板32に沿った選別風が強い状態であると、本来一番集穀樋31に落下するはずの清粒を吹き飛ばし、二番集穀樋33に落下し、二番処理室14に揚穀される。二番処理胴15の作用によって穀粒の損傷が発生する虞があるが、下側選別風路52の選別風を低減させる為に上記問題を解消できる。
【0042】
揺動選別棚21上の被処理物層厚が厚い高流量となるに従い、第二風向板30を緩傾斜姿勢に変更し、上側選別風路51及び下側選別風路52共に、揺動選別棚21後方へ送風し、上側選別風路51の風量を減少させて下側選別風路52の選別風を増加させる。傾斜角度が最小となると、第二風向板30の上面部30b選別風下流側延長線が一番棚板32の上端部近傍に位置する姿勢となり、一番集穀樋31に落下する被処理物に混入する來雑物を減少しながら、選別部3bから機外への選別風の抜けを促進し、多量の被処理物が流入することによるシーブの詰まりを抑制して選別性能を維持することができる。
(制御上下限値変更)
風向板29,30の傾斜姿勢を変更する層厚の範囲は層厚センサ50の検出値が、風向板制御下限値Tlから風向板制御上限値Thまでの範囲であり、風向板制御下限値Tlよりも低い場合は最大傾斜姿勢で維持し、風向板制御上限値Thよりも高い場合は最小傾斜姿勢で維持する。これら上下限値Th,Tlは操作席6近傍に設けたロータリースイッチ型の第一調整具84によって変更可能である。なお、風向板29,30の傾斜姿勢はモニタに表示しているので、傾斜姿勢と選別状態を見ながら上下限値Th,Tlを容易に調整できる。また、第二調整具85によって層厚センサ50の検出値に対する風向板29,30の傾斜角度の変化量を変更できるようにしており、品種や作業条件に広く対応し、選別性能を向上させることができる。(図9のC1とC2を参照)
(唐箕回転制御)
以上述べた如く、第一風向板29及び第二風向板30の傾斜角度を変更する構成によって選別性能は飛躍的に向上するものであるが、本例では更に唐箕28の回転速度を層厚センサ50の検出結果によって制御することによって一層選別性能を高めている。
【0043】
即ち、図10中のS1で示す如く、層厚センサ50の検出値が上下限値Th,Tlの間にあるときには、唐箕28の回転速度を一定に維持し、風向板制御下限値Tlよりも低い場合は、検出値の減少に伴い、唐箕28の回転速度を減速し、風向板制御上限値Thよりも高い場合は検出値の増加に伴い唐箕28の回転速度を増速する。なお、Cは層厚センサ検出値と風向板29,30の関係を示す。
【0044】
層厚センサ50による検出値が風向板制御下限値Tlより低い領域においては、風向板29,30を最大傾斜姿勢として下側選別風路52の風量を低減し、上側選別風路51の風量を増加させて、機外飛散を防止するが、極めて流量が低い状態においては唐箕28の回転速度を低下させ、選別風量を適正な状態にし、機外飛散や清粒の二番集穀樋33への落下を防ぐことができる。例えば、回り刈り作業など、機体の旋回を伴うような作業状態においては、旋回中は穀稈の供給が無くなる為に、層厚が極めて薄い状態となるが、風向板29,30を最大傾斜させ、唐箕28回転速度を減速させることで、機外飛散によるロスを可及的減少させることが可能となる。
【0045】
また、層厚センサ50による検出値が風向板制御上限値Thよりも高い領域においては、被処理物量に応じた選別風量を供給できることとなり、選別風の抜けが促進されるので選別性能が向上する。
【0046】
また、第三調整具86によって制御特性を変更可能にしている。図10中のS2で示すように風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの間に設定される範囲における唐箕28の回転駆動速度を一定幅増減させた駆動とする制御により、被処理物中の來雑物量の多少や、含水率の違いによる選別状態の変化に対応させることができる。風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲から外れた場合における唐箕28の回転速度は、第三調整具86による調整によって一定幅増減させた特性(図10中のS3)としてもよい。
(フィードチェン駆動速度制御)
また、フィードチェン10も前記層厚センサ50の検出値に応じて変速駆動するように構成しており、層厚センサ50が検出する層厚が厚いほど増速駆動し、層厚が薄いほど減速駆動する。従来のように機体の走行速度に応じてフィードチェン10を増減速駆動する構成であると、穀稈の生育状況の良し悪しによっては、適正な搬送速度で脱穀処理できない問題があったが、本例のように層厚によって増減速駆動する構成であると、被処理物の量に応じて搬送することができ、脱穀選別の効率が向上させることができる。フィードチェン10を増速駆動すると、穀稈が扱室11を通過する時間が短くなり、該扱室11より下方に漏下する被処理物量は減少する。フィードチェン10を減速駆動した場合は、扱室11に停滞する時間が長くなるので、十分な脱穀処理を行うことができ、被処理物量は増加する。従って、機体の走行速度に関わらず、揺動選別棚21上の被処理物量は一定の範囲に収束し、作業状態に関わらず脱穀選別に適した被処理物量を維持することができるのである。
(層厚の正異常判定)
機体の走行速度が増加すると、脱穀機に供給される穀稈の量が増加するため、層厚センサ50が検出する揺動選別棚21上の層厚は、概ね機体の走行速度に比例して増加する。(図15のV)しかし、青葉が多い場合など、藁屑が大量に発生する作業条件においては、揺動選別棚21上で被処理物の選別が悪化し、大半が二番集穀樋33へ落下するか、三番口38から機外へ飛散する。従って、二番還元物が増加し、層厚が異常に厚くなる。つまり、層厚と走行速度の関係は比例関係から大きく外れ、走行速度に対して層厚が厚い状態となるのである。(図15のUo)
このような場合、トラニオン軸回動モータ87aによって静油圧式無段変速装置72のトラニオン軸87を変速操作し、走行速度を減速させ、被処理物量を低減させる。
【0047】
一方湿材など、被処理物中に水分が多く含まれる作業条件においては、シーブ23,24が詰まりやすく、二番還元物が異常に減少し、走行速度に対して、層厚が薄い状態となる。(図15のUs)この場合は、ブザー74等により操縦者に警告を行う。
【0048】
走行速度の減速、警告を行う範囲を対象収穫物の種類などに変更できるようにすると好ましい。
(層厚センサ)
前記層厚センサ50は揺動選別棚21上の被処理物量を検出できれば良いが、本実施例では、揺動選別棚21の前方で、移送棚22の上部に、該移送棚22の前部から第一シーブ23の上方に亘って設けた寄せ板67に隣接して設けている。
【0049】
二番処理室14の二番処理樋14aと、二番処理室14と排塵処理室16を仕切る隔壁68との間に渡したセンサ支持部材69に層厚センサ50を支持し、この層厚センサ50に、寄せ板67と直交する略水平の軸でアクチュエータ70を吊下げ支持し、アクチュエータ70の回動角度を検出する構成である。アクチュエータ70の先端側は揺動選別棚21の移送方向上手側である前側を円弧状曲面としている。
【0050】
移送棚22上には扱室11より漏下した穀粒と、二番還元口14bより放出された二番還元物とが混在するのであるが、特に二番還元物は前記二番還元口14bが移送棚22の一側に偏倚した位置に設けられている為に、二番還元口14b側に偏ったまま後方に移送されやすい傾向があるが、これを左右方向均等に分散させる為に前記寄せ板67を設けており、二番還元物はこの寄せ板67に沿って後方に移動する。このため、アクチュエータ70を寄せ板67の長手方向に沿って回動するように構成することで移送棚上の被処理物量層厚を正確に検出でき、且つ前側を円弧状としたことにより下側を流れる被処理物との接触抵抗を減らして円滑に動作する。
(第二唐箕の風向板回動)
図12は選別部3bの別実施例を示す。前述の実施例とは前後方向一番棚板32と二番集穀樋33の間に第二唐箕75を備え、その送風方向に第三風向板76を備え、前記第一風向板29及び第二風向板30と連携機構77によって接続している点で相違する。
【0051】
連携機構77はモータ77aの回転軸に取付けた天秤アーム77bとその両端に連結したワイヤ77c,77dから成り、第一風向板29及び第二風向板30と、第三風向板76とは、一方が緩傾斜に変更されると他方が急傾斜となるように構成している。
【0052】
層厚センサ50が層厚の薄い状態を検出すると、第三風向板76は緩傾斜姿勢となり、上方のストローラック25の始端部近傍への送風を制限する。
層厚が厚い場合は、第三風向板76を急傾斜姿勢として一番棚板32に沿う姿勢となり、ストローラック25へ選別風を送風する。
【0053】
この構成によって、層厚が薄い場合にはストローラック25の前方への送風量を制限して穀粒の機外飛散を防止し、層厚が厚い場合は、ストローラック25上に乗る藁屑を機外に排出し、二番集穀樋33での穀粒の回収を促進できる。
【0054】
第二唐箕75は変速機構を設けたり、電動モータによって駆動したりして、回転速度を任意に変更できる構成としてもよく、特に、層厚センサ50の検出値の増加に応じて増速する構成とするとよい。それにより作業条件適応性を向上させることができる。
(シーブ傾斜角度変更)
図13は揺動選別棚21に固定して設けた中間シーブ78を挿んで前後の第一シーブ79と第二シーブ80を各々、回動支軸79a,80aを支点に後側を上下回動自在支持し、連係機構81によって第一風向板29及び第二風向板30の傾斜姿勢変更と連動して回動するように構成している。連動機構81はモータ81aによって回動する天秤アーム77bとその両端に連結したワイヤ77c,77dにより、風向板29,30の傾斜角度を大きくするほど第一シーブ79及び第二シーブ80を緩傾斜姿勢とし、略水平の姿勢から後上がり傾斜姿勢の範囲内で回動する。
【0055】
第一シーブ29及び第二シーブ30は後上がり傾斜角度が大きくなるほど、平面視での各シーブ板間隔が大となり、且つシーブ上の被処理物が停滞するので、被処理物の漏下率が上昇する。緩傾斜となるほど、被処理物の後方移送を促進し、揺動選別棚21上の被処理物層厚が均一化される。なお、各シーブ29,30にはシーブ清掃具26を備えている。
【符号の説明】
【0056】
3a 脱穀部
3b 選別部
10 フィードチェン
12 扱胴
21 揺動選別棚
28 唐箕
29 第一風向板
30 第二風向板
30b 風路上手側端部
31 一番集穀樋
33 二番集穀樋
37 送風口
50 層厚センサ
59 連動機構
75 第二唐箕
76 第三風向板
84 第一調整具
85 第二調整具
86 第三調整具
89 二番還元装置
90 選別制御装置
Th 風向板制御上限値
Tl 風向板制御下限値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(12)を備えた脱穀部(3a)の下側に選別部(3b)を設け、該選別部(3b)には脱穀部(3a)から漏下した被処理物を揺動移送しながら選別する揺動選別棚(21)を設け、該揺動選別棚(21)の下側に、後側に備えた送風口(37)から選別風を送風する唐箕(28)と、揺動選別棚(21)から漏下する一番物を回収する一番集穀樋(31)と、揺動選別棚(21)から漏下する二番物を回収する二番集穀樋(33)を、揺動選別棚(21)上の被処理物の移送方向上手側から順に設け、
前記送風口(37)には上側の第一風向板(29)と上下方向中間部の第二風向板(30)を設け、該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の選別風送風方向の下手側の部位が上手側の部位よりも高くなる姿勢変更範囲内で該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を連動して変更する構成とし、
前記揺動選別棚(21)の前部に、該揺動選別棚(21)上の被処理物の層厚を検出する層厚センサ(50)を設け、
該層厚センサ(50)で検出される層厚が大きくなるほど、前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)を緩傾斜姿勢に姿勢変更させ、前記層厚センサ(50)で検出される層厚が小さくなるほど、前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)を急傾斜姿勢に姿勢変更させ、前記層厚センサ(50)で検出される層厚が、風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの間に設定される範囲から外れた場合には、該第一風向板(29)及び第二風向板(30)の姿勢を最大傾斜姿勢または最小傾斜姿勢に維持する選別制御装置(90)を備えたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記第一風向板(29)の選別風送風方向の上手側の部位を上下回動自在に軸支し、第二風向板(30)の選別風送風方向の中間の部位を上下回動自在に軸支し、該第一風向板(29)と第二風向板(30)を連動して上下回動させる連動機構(59)を設けたことを特徴とする請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記二番集穀樋(33)に落下した二番物を揺動選別棚(21)の前部に還元する二番還元装置(89)を設け、前記第二風向板(30)が最大傾斜姿勢となった状態において、該第ニ風向板(30)の選別風送風方向の上手側端部(30b)が前記送風口(37)の底面に当接または接近し、第二風向板(30)よりも下側の風路が狭まる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記風向板制御上限値(Th)及び風向板制御下限値(Tl)を変更する第一調整具(84)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記風向板制御上限値(Th)と風向板制御下限値(Tl)における前記第一風向板(29)及び第二風向板(30)の傾斜姿勢を第二調整具(85)によって変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記唐箕(28)の回転速度を変更自在に構成し、前記層厚センサ(50)の検出値が風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲では唐箕(28)の回転速度を一定に維持し、層厚センサ(50)の検出値が風向板制御上限値(Th)より大きい範囲及び、風向板制御下限値(Tl)より小さい範囲では、前記層圧センサ(50)の検出値が大きくなるほど前記唐箕(28)の回転速度を増速する制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5記載の脱穀装置。
【請求項7】
前記風向板制御上限値(Th)から風向板制御下限値(Tl)までの範囲での唐箕(28)の回転速度を変更する第三調整具(86)を設けたことを特徴とする請求項6記載の脱穀装置。
【請求項8】
前記脱穀部(3a)の一側に穀稈を挟持搬送するフィードチェン(10)を設け、前記層厚センサ(50)の検出値が大きいほどフィードチェン(10)を増速駆動する構成としたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の脱穀装置。
【請求項9】
前記一番集穀樋(31)と二番集穀樋(33)の間に第二唐箕(75)を設け、この第二唐箕(75)の選別風送風方向下手位置に角度変更自在な第三風向板(76)を設け、該第三風向板(76)を、前記層厚センサ(50)の検出値が大きいほど揺動選別棚(21)の被処理物移送方向上手側の部位へ送風する急傾斜姿勢に姿勢変更し、前記層厚センサ(50)の検出値が小さくなるほど揺動選別棚(21)の被処理物移送方向下手側の部位へ送風する緩傾斜姿勢に姿勢変更する構成としたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−34636(P2012−34636A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178232(P2010−178232)
【出願日】平成22年8月7日(2010.8.7)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】