苗移植機
【課題】植付け効率の向上を図ると共に、供給中の苗箱の状態把握がし易く、また苗箱搬送径路のメンテナンス性に優れた苗移植機を提供する。
【解決手段】複数の苗箱Nを載置する苗載台と、該苗載台から供給された苗箱Nをスイッチバックして下方に位置する苗押出装置6まで搬送する苗箱搬送路7を備え、前記苗載台は進行方向の前方側から後方に向けて下方傾斜する一方、前記苗箱搬送路7は前記苗載台の後方に位置すると共に後方側から前方に向けて下方傾斜し、かつ、前記苗載台は少なくとも二段の上段苗載台13と下段苗載台14からなり、下段苗載台14を上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも前記苗箱搬送路7に近接する位置まで延在させている。また、スイッチバック路において苗箱の送り速度を低下させている。
【解決手段】複数の苗箱Nを載置する苗載台と、該苗載台から供給された苗箱Nをスイッチバックして下方に位置する苗押出装置6まで搬送する苗箱搬送路7を備え、前記苗載台は進行方向の前方側から後方に向けて下方傾斜する一方、前記苗箱搬送路7は前記苗載台の後方に位置すると共に後方側から前方に向けて下方傾斜し、かつ、前記苗載台は少なくとも二段の上段苗載台13と下段苗載台14からなり、下段苗載台14を上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも前記苗箱搬送路7に近接する位置まで延在させている。また、スイッチバック路において苗箱の送り速度を低下させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は苗移植機に関し、詳しくは、複数段の苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の苗載台から苗押出装置まで苗箱を供給搬送するようにした苗移植機においては、苗箱の供給搬送径路を長くとることができない為、苗載台に装填される苗箱の枚数にも限度があった。例えば、百間圃場(長手方向が180mの圃場)に株間13cmで植える為には448ポット苗箱が1ユニット(2条)あたり6枚必要であるが、上記のような苗移植機の場合、苗載台に装填される苗箱の枚数は5枚が限度となっている。
その為、1ユニットの途中で苗がなくなってしまうことになるが、苗移植機による田植えは1人作業が基本であるので、作業中苗がなくなると、一旦苗移植機を止めて予備の苗台から苗載台に苗箱を供給装填しなければならない。その為、広い圃場に植付け作業をする場合、何度も苗移植機を止めることになり、作業能率が著しく低下することになる。
【0003】
この種の装置として、従来、特開平8−214629号公報(特許文献1)において、図17に示すような、上下2段の苗載台(苗箱供給部)100A、100Bから供給される苗箱をスイッチバックして苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備えた苗移植機が開示されている。前記下向き傾斜する上下2段の苗箱供給部(苗載台)100A、100Bは湾曲経路部101A、101Bを経て、上向き傾斜する1つのスイッチバック部102へと連続し、このスイッチバック部102から、再度、下向き傾斜する経路103を経て苗取出位置P1の苗押出装置104へ苗箱を搬送する構成とされている。
この苗移植機では、植付け作業の開始時には、苗載台100A、100B、湾曲経路101A、101B、スイッチバック部102、さらに、苗押出装置104の手前部までの経路103に苗箱が事前に装填される。植付け作業が開始されると、苗押出位置P1の手前部に装填された苗箱から順次、苗押出装置に搬送され、上段100Aの苗載台の苗箱がなくなると、下段100Bの苗載台から供給されている。
【0004】
前記構成の苗移植機の場合、植付け作業中は上段の苗載台100Aの苗箱がなくならないと、下段100Bの苗載台からスイッチバック部102に至る湾曲経路部101Bにおける苗箱の状態を運転席等から視認確認することができない。また、上下に重なるように湾曲経路部101A、101Bが存在するため、下段の湾曲経路部101Bや該湾曲経路部の下方に設けられた苗押出装置104のメンテナンスがし難い問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−214629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記特許文献1の問題に解消することを課題とし、供給中の苗箱の状態把握がし易く、また苗箱搬送径路のメンテナンス性に優れた苗移植機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の苗箱を載置する苗載台と、該苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備え、
前記苗載台は、車両進行方向において前方側から後方に向けて下方傾斜させた少なくとも上下二段の上段苗載台と下段苗載台からなり、前記上段苗載台よりも下段苗載台を長尺とし、該下段苗載台の下端より湾曲させて後方側へ上方傾斜した延在部を設け、該延在部の上端と空隙をあけて、上記苗箱搬送路の上方傾斜するスイッチバック部を配置していることを特徴とする苗移植機を提供している。
【0008】
前記構成によれば、下段苗載台を上段苗載台よりも長尺として、上段苗載台よりも前記苗箱搬送路に近接する位置まで延在させ、下段苗載台の苗箱搬送路に近接する位置における延在部の上方には上段苗載台を設けていないため、苗箱の状態を運転席等から視認確認することができる。かつ、この延在部の上方に大きな空隙が設けられているため、下段苗載台の延在部分や下方に設けられた苗押出装置のメンテナンスがし易くなる。
また、複数段の苗載台と、苗載台から供給された苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路とを備えているから、実質的な苗箱の供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
また、前記下段苗載台の上段苗載台よりも前記苗箱搬送路側に突出した延在部を苗箱搬送路側に向けて上方傾斜させているため、上段苗載台の下端をスイッチバック路と分離しても、上段苗載台から供給される苗箱を苗箱搬送路にスムーズに供給搬送し得る。
【0009】
前記苗載台には上流より下流にかけて苗箱検知用の複数のリミットスイッチを備えると共に、前記苗箱搬送路にリミットスイッチを備え、該リミットスイッチの検知により駆動モータを制御して前記下段苗載台上の苗箱を順次前記苗押出装置へ搬送した後に、上段苗載台の苗箱を順次苗押出装置へ搬送させるようにし、かつ、
前記上段苗載台と下段苗載台上の苗箱が、前記下段苗載台の延在部とスイッチバック部との間の空隙を跨ぐ状態で停止しないように制御する構成としている。
このように、リミットスイッチにより苗箱位置を検知して、モータの駆動制御を行うことで、苗箱が前記空隙を跨がないように確実に停止させることができる。
【0010】
また、前記リミットスイッチの検知により駆動モータが駆動開始から設定時間後に隣接する下流側のリミットスイッチによる検知がない時に、駆動モータの回転を停止する構成としていることが好ましい。
具体的には、隣接する上流側のリミットスイッチの検知時からチェックタイマーで時間を計測し、設定時間後に下流側のリミットスイッチの検知が無ければ、先のリミットスイッチの検知で駆動されるモータにより搬送されてくるべき苗箱に異常が発生して搬送停止状態となっているか、あるいはリミットスイッチに異常が発生していることとなる。よって、モータの駆動を停止して、事故の発生を防止している。
【0011】
前記駆動モータは前記苗箱搬送路およびスイッチバック路を構成するフレームの側枠に前記駆動モータを付設すると共に、該駆動モータにより回転駆動されるスプロケット(爪歯車)を設け、該スプロケットの爪を苗箱に設けた穴部に順次係止して苗箱を搬送している。
【0012】
前記スイッチバック部の上端に前記リミットスイッチを備えると共に、該リミットスイッチの下方に正逆回転する前記駆動モータを備え、該駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記リミットスイッチで苗箱を検知後に前記駆動モータを駆動して苗箱を苗取出側の下降させると共に、前記スプロケットの爪が前記苗箱の穴部から離脱する直前に前記駆動モータの回転を停止して減速し、苗箱の下降速度を低減する構成としていることが好ましい。
【0013】
即ち、スイッチバック路で駆動モータにより下方送りされる際に、その速度が早いと下方位置の苗箱に衝突して止まり、その衝撃で苗が飛び出したり、苗箱が破損する恐れがある。これに対して、前記構成とすると、駆動モータでの苗箱の送りを途中で一旦停止して苗箱がスプロケットより離れる時の駆動モータの回転速度を減速するため、苗箱の送り速度が低減され、下方の苗箱に対する落下衝撃を緩和でき、苗の飛び出しや苗箱の損傷発生の防止できる。
【0014】
前記上段苗載台と下段苗載台に夫々付設した駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記スプロケットの主軸部と前記駆動モータの出力軸とを係脱するクラッチを設け、該クラッチの操作片を操作して前記スプロケットの爪が苗箱の穴部から離脱可能とし、前記上段苗載台および下段苗載台から苗箱を取り出せる構成としている。
前記構成とすると、苗箱が位置ずれして、その係止穴にスプロケットの爪が係止していない等の理由で移動しなかった場合、苗箱が破損して移動しなかった場合等において、該苗箱を搬送路から取り出すことができ、苗箱送り作業を円滑に進めることができる。
【0015】
前記苗載台のフレームとして、苗箱の左右両側を摺動自在に嵌合する断面コ字型の左右両側レールと、該左右両側レールと空隙をあけて配置して苗箱底面を摺動自在に保持する平板状の中央レールと、前記左右両側レールと中央レールとを搬送方向に所定の空間をあけて連結する支持バーにより苗箱の搬送支持部を構成していることが好ましい。
前記のように、左右両側レールの間を底板を覆わずに空隙をあけて中央レールを配置し、かつ、両側レールと中央レールとを搬送方向に隙間をあけて支持バーにより連結して、必要最小限のフレームだけを設けて空隙を多くしていることで、該空隙から作業員が手をいれてメンテナンスを行うことができると共に、大幅な軽量化を図ることができ、例えば、側面レール間を完全閉鎖する底板とした場合と比較して30〜70%程度の重量低減を図ることができる。しかも、苗箱の左右両側を断面コ字型の左右両側レールの間に摺動自在に嵌合して搬送するため、搬送途中で苗箱が斜め傾斜する等を防止でき、正規姿勢を保持させて安定した状態で確実に搬送することができる。
前記苗載台から乗り移すスイッチバックの苗箱搬送路は両側に断面L形状の側壁を設け、かつ、該側壁間を連結する底板にも開口を設けて軽量化することが好ましい。
【0016】
また、前記苗載台および前記苗箱搬送路に設ける前記リミットスイッチはレバー型とし、苗箱の左右側面のいずれか一方と接触するように内側に傾斜させて取り付け、苗箱との接触時に外方に傾動する構成としていることが好ましい。
前記構成に対して、リミットスイッチの取り付け位置を苗箱の底面側とすると、リミットスイッチとの接触により苗箱は上方に押されて苗箱の姿勢が不安定となり、かつ、苗箱底面の泥がリミットスイッチに付着し、リミットスイッチが誤作動を起こしやすくなる。 本発明では、前記のように、側面にリミットスイッチを配置すると、リミットスイッチが苗箱と接触するとリミットスイッチが外側に揺動し、苗箱の姿勢に影響を及ぼさず、かつ、リミットスイッチに苗箱の泥がつかず、リミットスイッチの継続的な信頼性を高めることができる。
【0017】
さらに、前記苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備え、この複数列の苗載台は、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持されていることが好ましい。 前記構成によれば、苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備えることにより、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。
また、複数列の苗載台を、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持しているため、複数列の苗載台を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体への組付けが簡易になされる。
さらに、複数列の苗載台を支持バーで連結することにより各苗載台を平行に整列させることができる。
【0018】
前記複数列の苗載台の下端側に夫々設けた植付装置の間には、これら植付装置を連結するフレームに接地用スタンドを回転自在に取り付け、地面側への回転時に該接地用スタンドの下端接地部が植付装置よりも下方へ突出させていることが好ましい。
例えば、圃場での作業を終了した後に、苗移植機を一般路面や車庫等で駐車しておく際に、前記接地用スタンドの下端接地部を接地させると、植付装置の底面を接地面から空間をあけた上方に位置させて、植付装置の保護を図ることができる。
特に、前記接地用スタンドを並列する苗載台の間に配置することで、苗移植機の外形を縮小でき、駐車時に占有スペースを減少でき、狭い車庫内に駐車させることができる。
【0019】
また、前記下段苗載台の下端湾曲部より後方側へ上方傾斜した延在部と、該延在部の上端と空隙をあけて配置する上記スイッチバック部の苗箱搬送路とから構成する苗箱受け渡し部に、受け渡しガイド板を設けていることが好ましい。
前記受け渡し部分では、上段苗載台の下端から下段苗載台の湾曲部へと載り移り、さらに下段苗載台の延在部とスイッチバック部の苗箱搬送路との間の空隙を通して受け渡されるため、苗箱は不安定な姿勢となる。よって、上段苗載台の先端から下段苗載台の延在部に苗箱が乗り移る部分、該延在部先端よりスイッチバック部の苗箱搬送路へ苗箱が載り移る部分には、上方および左右両側から苗箱が外方に飛び出して脱落しないように受け渡しガイド板を設けている。しかしながら、該受け渡しガイド板は左右一対として中央部に上方からの視野確保用およびメンテナンス用の空隙をあけている。
【発明の効果】
【0020】
前述したように、本発明によれば、下段苗載台を上段苗載台よりも長尺として、上段苗載台よりも前記苗箱搬送路に近接する位置まで延在させているから、下段苗載台の苗箱搬送路に近接する位置における延在部分での苗箱の状態を運転席等から視認確認することができ、かつ、この延在部分や下方に設けられた苗押出装置のメンテナンスがし易くなる。 また、複数段の苗載台と、苗載台から供給された苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路とを備えているから、実質的な苗箱の供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、上記のような広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
さらに、下段苗載台の上段苗載台よりも苗箱搬送路側に延在により突出した部位を苗箱搬送路側に向けて上方傾斜させているため、下段苗載台だけでなく上段苗載台から供給される苗箱を苗箱搬送路にスムーズに供給搬送し得ると共に、その後のスイッチバックをさせる為のレイアウトも簡易に構成することができる。
【0021】
また、苗載台及び苗箱搬送路を複数列備えたものとすれば、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。加えて、複数列の苗載台を、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持するようにすれば、複数列の苗載台を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体への組付けが簡易になされる。
【0022】
さらに、苗載台およびスイッチバック部の苗箱搬送路に設けるリミットスイッチの検知時間をチェックすることで搬送途中の苗箱の異常を検出できる。かつ、リミットスイッチを苗箱の側面と接触する位置に配置することで苗箱の姿勢を安定させることができると共にリミットスイッチに泥が付着するのを防止してリミットスイッチの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の苗移植機の一例を示す全体の概略側面図、図2は苗載台の概略的平面図、図3は同苗載台の縦断面図、図4は同苗載台の給送スプロケット部分の縦断面図、図5は同苗載台の給送スプロケット部分の断面側面図、図6及び図7は同苗移植機に採用されるリミットスイッチの概略図である。
【0024】
図1に示す苗移植機1は、乗用型の苗移植機であり、前輪2及び後輪3に支持された機体4の後方に植付装置5を備えている。植付装置5の上方には、苗箱より苗を押し出す押出棒(図示せず)を備えた苗押出装置6を設けると共に、その上方に傾斜した苗箱搬送路7を設けている。また、苗箱搬送路7は、苗押出装置6の設置部分から後方に下向きに湾曲する空箱搬送路8に連なり、この空箱搬送路8は後方に上方傾斜した後、前方に屈曲して、空箱収納部9に連なっている。
機体4の上には、運転席10、操作ハンドル11及び予備苗載台12等が搭載されている。
【0025】
運転席10と苗箱搬送路7との間には、車両方向において後方下向き傾斜する上下2段の苗載台13、14が設置されている。上下の苗載台13、14は、断面コ字型の左右両側の側面レール13a、14aと、平板からなる中央レール13b、14bと搬送方向に所要の空間をあけて配置する支持バー17とにより構成され、枠組みされた苗載台フレーム15に上下関係で対として組付けられユニット化されている。このように苗載台13、14は左右両側の側面レール13a、14aと中央レール13b、14bとの間に空隙S1をあけることにより軽量化すると共に、メンテナンスを容易としている。
前記苗箱搬送路7の左右両側の断面L形状のレール部を設け、該左右のレール部を底板で連続しているが、該底板に開口部を設けている。空箱搬送路8は苗載台13、14と同様の断面コ字型の左右両側の側面レールと、平板からなる中央レールと搬送方向に所要の空間をあけて配置する支持バーとにより構成している。
【0026】
この上下一対の苗載台13、14のユニットが機体4の幅方向に間隔を開けて複数列で設置されている。従って、苗箱搬送路7および空箱搬送路8も、各苗載台13、14のユニットに対応して複数列が機体4の幅方向に間隔を開けて設置されている。図2及び図3は、これらの内の2列分について示しているが、3列以上であっても良い。
【0027】
各苗載台フレーム15は、その下面(下段苗載台14の下面)中央長手方向に沿って配設されたメインパイプフレーム15Aよって支持され、このメインパイプフレーム15Aは、機体4に対し植付装置5の機枠部分(図示せず)を介して立設された支柱16上に機体4の幅方向に横架された前記支持バー17に、ブラケット17aを介しボルトナット17bによって締結支持されている。
【0028】
下段苗載台14は、上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも前記苗箱搬送路7に近接する位置まで湾曲させた後に上方傾斜させた延在部14ー1を設けている。この上段苗載台13よりも苗箱搬送路7側に突出した延在部14ー1の先端は、苗箱搬送路7と連結せずに、下段苗載台14と苗箱搬送路7との間に所要の隙間Cを設けている。
【0029】
苗箱搬送路7は、前下段苗載台14の延在部14ー1の先端と、隙間Cをあけて、上方傾斜するスイッチバックゾーン7a含み、このスイッチバックゾーン7aから前方に向けて下方傾斜して苗押出装置6にまで至っている。スイッチバックゾーン7aの上端部には、後記するリミットスイッチLS4が設置されている。
【0030】
植付装置5、苗押出装置6、苗箱搬送路7、空箱搬送路8、空箱収納部9及び苗載台フレーム15を含む全体部分は、油圧シリンダー18aによって作動する平行リンク機構18により機体4に対して上下動可能にしており、苗の圃場への移植時は、下方に下げて(図1の状態)移植作業を行うようになされている。
【0031】
本苗移植機1で使用する苗箱Nは、図2乃至図4に示すように、樹脂で成形されて可撓性を有する全体が矩形状のものであり、苗収容室となるポット部Naを縦横にマトリクス状に設けており、ポット部Naの底面には、苗押出装置6の押出棒(図示せず)が挿通できるように略Y字状のスリット(図示せず)を設けていると共に、短辺方向の中央では隣接するポット部Naの間に他より大きな隙間Sを形成している。また、給送方向と平行する長辺側の両側の端縁部Nbには、四角形状の多数の穴部Ncを給送方向に沿って等間隔で直線状に設けている。
【0032】
各苗載台13、14及び苗箱搬送路7における苗箱Nの給送機構について、以下に説明する。
上段苗載台13及び下段苗載台14には、それらの左右両側の側面レール13a、14aに苗箱Nの左右両側部を摺動自在に内嵌させ、苗箱Nの底面を中央レール13b、14b上に摺動自在に載置して搬送している。
【0033】
図4及び図5は下段苗載台14での給送機構を示すが、その他の部分でも同様の機構が採用される。
図示のように、下段苗載台14の左右両側の側面レール14aのうち一方側の側面レール14aの外部の駆動モータM1が設置されている。この駆動モータM1の出力軸に連結された駆動軸19は、側面レール14a、14aの下方に下段苗載台14を横断するよう軸回転可能に支持されている。駆動軸19の両端部には、複数の爪20aを周方向に等間隔で備えた給送用スプロケット(爪車)20、20を有している。スプロケット20、20の上半部は、断面コ字型の側面レール14aの下壁に形成された開口14a−1から突出し、上記爪20aが、苗載台14上に載置された苗箱Nの穴部Ncに係入するようになされている。
爪20aのスプロケット20の周方向における形成ピッチは、苗箱Nの穴部Ncの給送方向における形成ピッチと略同じとされ、従って、モータM1の駆動によるスプロケット20の回転に伴い、爪20aが苗箱Nの穴部Ncに順次係入し、これによって苗箱Nに給送力が付与され、苗箱Nが所望の方向に給送されるようになされている。同様の構成が図1のM2〜M4に示す位置に設置されている。
各苗載台13、14、苗箱搬送路7及び空箱搬送路8の要所には、苗箱Nの存在確認用の検出手段(リミットスイッチ)LS1〜LS6が設置されている。
【0034】
前記リミットスイッチLS1〜LS6の内、LS1〜LS3としては図6に示すタイプのものが、LS4〜LS6としては図7に示すタイプのものがそれぞれ採用される。いずれのリミットスイッチLS1〜LS6もレバー型のオン・オフスイッチで、図2に示すように、側面レール14aの側壁14a−2から内側に向けて傾斜させて突出し、図6、図7に矢印で示す方向から苗箱Nの側面が接触すると、外側に揺動して苗箱Nを検出(ON)するように設定している。
【0035】
また、リミットスイッチLS1〜LS6には互いに接続させたチェックタイマーCTを付設し、上流側に隣接するリミットスイッチがオンした後に設定時間経過後に下流側のリミットスイッチがオンしない場合に駆動モータMを停止する設定としている。
【0036】
次に苗箱Nの給送動作について説明する。
図1において、植付け作業開始前では、各苗載台13、14、苗箱搬送路7及び空箱搬送路8にはまだ苗箱Nが存在しないので、全てのリミットスイッチLS1〜LS6はオフの状態で、全てのリミットスイッチのレバーは内側に突出している。
この状態から、下記の詳述する事前準備として、まず、下段苗載台14に順次4枚の苗箱N(N1〜N4)を載置装填して所要位置まで搬送して位置決め保持し、次ぎに、上段苗載台13に2枚の苗箱N(N5,N6)を載置装填して所要位置まで搬送保持して位置決め保持し、図8に示すように、合計6枚の苗箱Nを苗載台13、14、苗箱搬送路7に装填する。
【0037】
前記事前準備は、まず、下段苗載台14に苗箱N(N1)を載置装填し、リミットスイスイッチLS2が苗箱Nの側面に接触してオンになると、モータM1、M2、M4が作動(正回転)し、モータM1、M2、M4に連結された各スプロケット20の作用によって苗箱Nが給送され、リミットスイスイッチLS1がオンとなるとモータM2が停止する。モータM1、M4の回転により苗箱Nの給送が継続されてスイッチバックゾーン7aに至り、苗箱Nが作用してリミットスイッチLS4がオンになると、モータM1が停止すると共にモータM4が逆回転し、スイッチバックゾーン7aに至った苗箱Nはスイッチバックして苗箱搬送路7を下降して、苗押出装置6の上流側近傍のストッパー爪7bに至りリミットスイッチLS5がオンになるとモータM4が停止し、1枚目の苗箱N(N1)はこの位置で保持される。
【0038】
上記の場合、モータM2〜モータM1、モータM1〜モータM4の距離(各モータに連結されたスプロケット20間の距離、以下各モータ位置と各スプロケット位置は同じとして説明する)は、苗箱Nの給送方向両端の穴部Ncに対応位置の各スプロケット20の爪20aが同時に係入噛み合い得る長さである。また、リミットスイッチLS1とモータM2との距離は、苗箱Nの給送方向長さより長くなっていて、苗箱Nが給送されて苗箱Nの先端がリミットスイッチLS1をオンしモータM2が停止したとき、苗箱Nの後端がモータM2のスプロケット20から外れる長さに設定されている。上段苗載台13への装填及びここからの給送については後記するが、リミットスイッチLS1とモータM3との距離も、リミットスイッチLS1とモータM2との位置関係と同様に設定されている。
【0039】
更に、前記延在部14−1の先端位置とリミットスイッチLS4との距離は、苗箱Nの先端がリミットスイッチLS4をオンにした時、苗箱Nの後端が前記延在部14ー1の先端から外れ、下段苗載台14のガイド規制から解放される長さとされている。モータM4、リミットスイッチLS5及びストッパー爪7bの位置関係は、モータM4が逆回転し、苗箱Nが苗箱搬送路7を搬送されてその後端がモータM4を外れた時にストッパー爪7bに当り、そのわずか手前でリミットスイッチLS5がオンとなるように設定されている。
【0040】
次いで、2枚目の苗箱N(N2)を下段苗載台14に載置装填するが、この時、リミットスイッチLS5のみがオンの状態で、苗箱Nの載置装填によりリミットスイッチLS2がオンとされ、これによりモータM2、M1が正回転し、2枚目の苗箱Nが給送される。この苗箱Nの先端の作用によってリミットスイッチLS1がオンとされると、モータM2、M1が停止し、苗箱Nはその先端部分がモータM1のスプロケット20に係止保持され、延在部14ー1上に静止する。この時、2枚目の苗箱Nの先端は、スイッチバックゾーン7aにある先行苗箱Nの自由落下(スイッチバック)を妨げない位置にあり、後端はモータM2のスプロケット20から外れている。
【0041】
更に、3枚目の苗箱N(N3)を下段苗載台14に載置装填するが、この時、リミットスイッチLS1、LS5がオンになっているので、リミットスイッチLS2がオンとなっても、モータM2は作動せず、苗箱Nは下段苗載台14上を自由落下し、モータM2は停止しているからそのスプロケット20に係止保持される。
【0042】
続いて、4枚目の苗箱N(N4)を下段苗載台14に載置装填すると、この4枚目の苗箱Nは下段苗載台14上を自由落下し、3枚目の苗箱Nに後続するよう保持される。
5枚目の苗箱N(N5)は、上段苗載台13に載置装填される。この時、リミットスイッチLS1、LS2、LS5がオンになっているので、リミットスイッチLS3がオンになってもモータM3は作動せず、苗箱Nは上苗載台13上を自由落下し、モータM3が停止しているのでそのスプロケット20に係止保持される。
6枚目の苗箱N(N6)を上苗載台13に載置装填すると、この6枚目の苗箱Nは上段苗載台13を自由落下し、5枚目の苗箱Nに後続するよう保持される。
【0043】
前記いずれの作動時においても、リミットスイッチLS1〜LS6が、搬送経路の上流側のリミットスイッチがオンした時から設定時間経過後にもオンしない場合には、全ての回転駆動しているモータM1〜M4の回転を停止している。
【0044】
この状態では、5枚目、6枚目の苗箱N(N5,N6)は、モータM3より上方の上段苗載台13上に保持されるから、下段苗載台14の延在部14ー1上にある苗箱Nの状態の視認確認が容易になし得る。
特に、苗載台のユニットを複数列並設する場合、その中央部や反対側の延在部14ー1上にある苗箱Nの状態が、苗移植機1の側部からでも視認確認でき、植付けの事前準備が極めて的確になされる。
【0045】
上記のように植付け作業の事前準備がなされた後、オペレータ(作業者)が運転席に着座し、ハンドル11等を操作し、圃場を走行して植付け作業が開始される。
この開始に伴い、ストッパー爪7bが非作用位置に後退して1枚目の苗箱N1が苗箱搬送路7を自由落下すると共に苗押出装置6が作動して、苗箱Nのポット部Naから苗が逐次押出され、押出された苗は植付装置5によって圃場に植付けられてゆく。
空になった苗箱Nの先端がリミットスイッチLS6をオンとすると、これによりモータM5、M6の作動が開始され、苗箱Nの自重によりその先端がモータM5のスプロケット20に係止されると、その搬送力と、その後のモータM6のスプロケット20の係止搬送力により、空になった苗箱Nが空箱搬送路8を搬送される。この空箱搬送路8上の苗箱Nは、後続の苗箱Nの推進力が加わり、やがて空箱収納部9に順次積層収納される。
【0046】
1枚目の苗箱N1の後端がリミットスイッチLS5を通過してリミットスイッチLS5がオフになると、モータM1、M4が作動(正回転)して下段苗載台14の延在部14ー1上に待機していた2枚目の苗箱N2が、1枚目の苗箱N1と同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、リミットスイッチLS1がオフになる(モータM1は停止)と共にリミットスイッチLS4がオンとなる。同時に、モータM4が逆回転し2枚目の苗箱N1はスイッチバックゾーン7aから苗箱搬送路7を搬送され、その先端がリミットスイッチLS5をオンにすると、モータM2、M1が作動し、下段苗載台14上の3枚目の苗箱N3が給送され、その先端がリミットスイッチLS1をオンにすると、モータM2、M1が停止し、3枚目の苗箱N3は延在部14ー1上に保持される。この時、下段苗載台14上の4枚目の苗箱N4は3枚目の苗箱N3に続き自由落下し、モータM2のスプロケット20に保持されて静止する。
【0047】
2枚目の苗箱N2が苗箱搬送路7を搬送されながら、上記と同様に、苗押出装置6によって苗箱Nのポット部Naから苗が逐次押出され、押出された苗は植付装置5によって圃場に植付けられ、2枚目の苗箱N2の後端がリミットスイッチLS5を外れ、これをオフにすると、モータM1、M4が作動して延在部14ー1上に保持されていた3枚目の苗箱N3が上記同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、モータM4の逆回転(この時、リミットスイッチLS1のオフによりモータM1は停止)によって、苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送される。リミットスイッチLS5がオンするとモータM2、M1が作動し、下段苗載台14上の4枚目の苗箱N4が給送され、リミットスイッチLS1がオンになると、モータM2、M1が停止し、4枚目の苗箱N4が延在部14ー1上に保持されると共にリミットスイッチLS2がオフとなる。
【0048】
その後、延在部14ー1上の4枚目の苗箱N4が、スイッチバックゾーン7aに給送され、リッミトスイッチLS4をオンして苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送されるとリミットスイッチLS5をオンになり、モータM3、M1が作動し、上段苗載台13上の5枚目の苗箱N5が給送され、リミットスイッチLS1がオンになると、モータM3、M1が停止して5枚目の苗箱N5が、その前後端部が延在部14ー1の先側部分及び苗載台13の先側部分間に跨るように保持されると共に6枚目の苗箱N6が上段苗載台13上を自由落下し、モータM3のスプロケット20によって静止保持される。
【0049】
4枚目の苗箱N4がリミットスイッチLS5をオンにすると、延在部14ー1上に保持されている5枚目の苗箱N5が上記同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、その後、スイッチバックして苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送され、リミットスイッチLS5をオンにすると、モータM3が作動して、上段苗載台13上の6枚目の苗箱N6が、5枚目の苗箱N5と同様に延在突出部位14a上に一旦保持される。
その後、スイッチバックゾーン7aに給送されてリミットスイッチLS1、LS2、LS3がオフになると、一定時間ブザーを鳴らし、上下の苗載台13、14が空になったことをオペレータに知らせる。
【0050】
6枚目の苗箱N6も苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送され、リミットスイッチLS1〜LS5がオフとなり、リミットスイッチLS6のみが空になった6枚目の苗箱N6によりオンとされている時に、ブザーを鳴らし続け、上下の苗載台13、14及びスイッチバックゾーン7aが全て空であることをオペレータに知らせ、予備の苗載台12から次の6枚の苗箱N6を載台13、14へ載置供給準備をするよう促す。
このような繰り返しによって、圃場への苗の植付けが順次なされてゆく。そして、1ユニット当り苗箱Nを6枚とすることができるから、1サイクルの苗植付け効率が高く、ユニット数を複数とすれば更にこの苗植付け効率を高くすることができる。
【0051】
尚、上記では、下段苗載台14から苗箱Nの給送を行う例について述べたが、上段苗載台13から苗箱Nの給送を行い、4枚目の苗箱Nの給送が完了するまでは、5枚目、6枚目の苗箱Nを下段苗載台14上に保持待機させるようにしても良い。
また、上下の苗載台13、14のユニットを複数列配設したものを例示したが、圃場の規模や需要者の要望によっては、1列のものとすることも可能である。その他、植付装置5及び苗押出装置6の詳細説明は省略したが、従来公知のものがこれらに充当し得ることは言うまでもない。
更に、苗箱Nの存在確認用検出手段として、リミットスイッチを採用しているが、これに限定されず、光学センサ等の各種センサも採用することができる。
【0052】
前記構成によれば、上下の苗載台13、14と、苗載台13、14から供給された苗箱Nをスイッチバックして下方に位置する苗押出装置6まで搬送する苗箱搬送路7とを備えているため、実質的な苗箱Nの供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
また、下段苗載台14を上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも苗箱搬送路7に近接する位置まで延在させているため、下段苗載台14の苗箱搬送路7に近接する位置における延在部14ー1での苗箱Nの状態を運転席等から視認確認することができ、かつ、この延在部14ー1や下方に設けられた苗押出装置6のメンテナンスがし易くなる。
【0053】
また、苗載台13、14及び苗箱搬送路7を複数列備えたものとすれば、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。
【0054】
さらに、複数列の苗載台13、14を、機体4の幅方向に横架された支持バー17上に幅方向に間隔を開けて支持するようにすれば、複数列の苗載台13,14を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体4への組付けが簡易になされる。
【0055】
さらにまた、苗箱Nの搬送に応じて順次オンするリミットスイッチが所定時間経過後にもオンしない場合にはモータを停止させるため事故の発生を未然に防止することができる。かつ、多数の苗箱を搬送載置する苗載台を空隙を有する枠組構造のレールで構成しているため強度を保持しながら軽量化を図ることができると共に、空隙を通してメンテナンスも行うことができる。
【0056】
図9乃至図16は第2実施形態の苗移植機1’を示し、第1実施形態の苗移植機1と同様に苗箱Nを上下二段の苗載台13、14でスイッチバック部を構成する苗箱搬送路7を介して苗押出装置6へと供給する主要な構成は同一としている。
第1実施形態との相違点を以下に説明する。
前記上下苗載台13、14と苗箱搬送路7との空隙Cを設けた受け渡し部では、図10に示すように、上苗載台13の下端から下苗載台14の延在部14−1の先端に達する位置まで左右一対の第1受け渡しガイド板30A、30Bを突設し、上苗載台13の下端から下苗載台14の延在部14−1に落下して載り移る苗箱の上方をガイドして、苗箱が上方に飛び上がる場合には上方から押さえるようにしている。
かつ、下苗載台14の延在部14−1の先端と苗箱搬送路7の左右両側レールとの間にも左右一対の第2受け渡しガイド板31A,31Bを設け、苗箱が左右方向に脱落しないようにしている。
前記第1受け渡しガイド板30A、30Bの間、および第1受け渡しガイド板31A、31Bの間には、図10に示すように、上方から下方を視野できると共にメンテナンス用の空間S4をあけている。
【0057】
さらに、前記下段苗載台14の延在部14−1と苗箱搬送路7の間の空間Cとの間には、苗箱搬送路7の左右両側の側面レールから左右一対の第3受け渡しガイド板32A、32Bを斜め上方に傾斜させて突設し、前記延在部14−1の先端から苗箱搬送路7に載り移る苗箱の左右両側をガイドしている。
【0058】
このように、上段苗載台13から下段苗載台14に載り移る苗箱を第1受け渡しガイド板30A、30Bにより、また、下段苗載台14の延在部14−1からスイッチバックの苗箱搬送路7に載り移る苗箱を第2受け渡しガイド板31A、31Bと第3受け渡しガイド板32A、32Bとでガイドしていることで、苗箱を脱落させることなく且つ安定した姿勢で載り移し、苗箱の安定搬送を達成している。
【0059】
また、苗箱搬送路7のスイッチバックゾーン7aに設けた駆動用のモータM4は、上下苗箱台から搬送されてきた苗箱Nはスイッチバックゾーン7aを上昇させるために、正方向(時計回り)に回転し、スプロケット20を介して苗箱Nを上昇させ、苗箱Nがスイッチバックゾーン7aの上端のリミットスイッチLS4で検知されると、モータ4は逆方向(反時回り)に回転され、苗箱Nを下降させる。本第2実施形態では、該下降時に苗箱Nの速度を低下させて下位置の苗箱Nとの衝撃を緩和している。
【0060】
即ち、モータM4で回転されるスプロケット20の爪が苗箱Nの穴部Ncが外れて苗箱Nが自重落下する直前にモータM4の回転を停止する。この停止時はリミットスイッチLS4が苗箱Nを検知した時間から設定時間経過したことでカウントしてモータM4を停止することで制御している。モータM4を一旦停止した後に、設定時間後に短時間(約0.05〜0.1秒)駆動して、再度停止する。これにより、スプロケット20の爪20aが苗場Nの穴部Ncから離脱するスピードを遅くすることができる。離脱後は苗箱Nは自重落下するが、落下時の直前で低速とされているため、苗箱の落下速度が遅くなり、下位置の苗箱に接触する際の衝撃を緩和でき、苗の飛び出しや苗箱の損傷発生の防止できる。
【0061】
さらに、苗箱Nが破損していたり、あるいは何らかの事情で移動しない場合に、苗箱Nを上下苗載台13、14より取り出せるようにしている。
図11に示すように、苗箱Nの両側縁は断面コ字状の側面レール13a、14aに挟まれた状態で、スプロケット20の爪20aが苗箱Nの穴部Ncに係合しているため、穴部Ncから爪20aを離脱させないと苗箱Nを取り出すことができない。
よって、本実施形態では、スプロケット20の駆動軸19をモータM2、M3の出力軸70との間にクラッチ71をクラッチスプリング72で付勢して接続し、該クラッチ71から突設した解除レバー73をもってクラッチスプリング72を圧縮しながら矢印方向Y1に移動するとクラッチ71の係止部71aがスプロケット20の係止穴20cより外れる。これにより、スプロケット20を手動で回転させて爪20aを穴部Ncより離脱させ、苗箱Nを取り出せるようにしている。
【0062】
さらに、苗箱搬送路7から苗押出装置6に搬送されてきた苗箱Nから苗を押し出し後、該苗を圃場に植え付ける植付装置5では、圃場面に沿って移動させるフロート50の上下高さを、図12に示すリンク機構51により、フロート50を平行を保持しながら移動させる構成としている。
前記リンク機構51は機体4側に連結軸51aと51bを介して前後方向に水平に配置する上段リンク51cの前後両側をリンク51dと51eを介してフロート50の前後両側と連結し、下段のフロート50と上段リンク51cと前後両側のリンク51d、51eとで平行四辺形のリンク機構としている。
該構成とすることで、フロート50の上下高さを調節する機構を簡単かつ軽量化している。
【0063】
また、本第2実施形態の苗移植機は、図13に示すように、植付装置5を4列備えた8条植付装置としており、各左右2台の植付装置5の間には、植付装置5の間を連結するフレーム80に、接地用スタンド81を回転自在に取り付け、地面側への回転時にゴム製の下端接地部81aが植付装置よりも下方へ突出させている。
詳細には図14に示すように、フレーム80に軸受82にL形状の前記接地用スタンド81を回転自在に取り付け、該接地用スタンド81の上端から水平方向へ突出させた横軸81bにコイルスプリング83を取り付け、該コイルスプリング83を一端をフレーム80に係止している。接地用スタンド81はコイルスプリング83で付勢されて、常時は縦軸81cの下端接地面81aが水平方向を向いた位置にあり、所要時に接地用スタンド81を回転させて下端接地面81aを接地させ、この状態で軸受82と縦軸81bcに設けた係止穴にピン85を挿入して、縦軸81cを保持している。
【0064】
前記構成とすると、植付装置5の下端より接地用スタンド81の下端接地部81aを接地させた状態で植付装置5のフロート50が下端位置に位置されていても、該フロート50の下端面より接地スタンド81の下端接地部81aが下方位置に突出して接地する。よって、フロート50の下面が接地してフロート50に損傷が発生することを確実に防止できる。かつ、前記接地用スタンド81は植付装置5の間に設け、外側に位置する植付装置5の外側に突出させて設けていないため、苗移植機の外形幅を増大させず、苗移植機を駐車する際の占有スペースを増大させない。
【0065】
また、基体の前方に搭載する予備苗台12として、機体4に対して左右両側に対称に夫々上下二段の予備苗台12A、12Bを搭載している。これら上下二段の予備苗台では、各予備苗台に苗箱Nを上下複数段で取り出し自在に収容できる仕切板54を設けている。 これら上下二段の予備苗台12A、12Bは機体4の前端位置から左右両側に突出する支持板55に対して支軸56を回転可能に立設して、図15中に一点鎖線で示すように、運転席10の左右両側の機体4に沿って機体4と平行に位置させたり、該位置から90度回転させて、実線で示すように運転席10の左右両側で機体4と直交方向に広げるように位置させたりできるようにしている。
【0066】
更に、前記左右の予備苗台12A、12Bの下部には、図16に示すように、予備苗箱取出台フレーム60を折り畳み自在に取付金具61を介して取り付けている。該取付金具61には円弧溝61aを設け、予備苗箱取出台フレーム60に取り付けたネジ62を円弧溝61aを移動させることにより、実線で示す運転席側に突出した起立位置と、一点鎖線で示す下向きに畳んだ位置とできるようにしている。
さらに、前記予備苗台12A、12Bはフレーム枠を連結して形成しているため、幅方向のフレーム枠を分割してリンク結合し、予備苗台自体を幅方向に折り畳み可能な構成としている。
前記のように、予備苗台に折り畳み可能な構成を加えることで予備苗台を搭載しない場合には、折り畳んで機体全幅に収まるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態の苗移植機を示す全体側面図である。
【図2】苗載台の概略的平面図である。
【図3】苗載台の縦断面図である。
【図4】苗載台の給送スプロケット部分の縦断面図である。
【図5】苗載台の給送スプロケット部分の断面側面図である。
【図6】苗移植機に採用されるリミットスイッチの一例の概略図である。
【図7】苗移植機に採用されるリミットスイッチの別例の概略図である。
【図8】苗載台に装填された苗箱を示す図面である。
【図9】第2実施形態の苗移植機を示す全体側面図である。
【図10】第2実施形態の苗搬送部の受け渡し部を示す平面図である。
【図11】(A)(B)は第2実施形態の上下苗載台に設けたスプロケットの爪と苗箱の穴部との連係構成を示す図面である。
【図12】第2実施形態の植付装置のフロート部の上下調節リンク機構を示す概略図である。
【図13】第2実施形態の苗移植機の後面側下部を示す図面である。
【図14】第2実施形態の接地用スタンドの構成を示す図面である。
【図15】第2実施形態の予備苗台の回転移動位置を示す概略図である。
【図16】前記予備苗台の取出台フレームの折り畳み機構を示す概略図である。
【図17】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0068】
1 苗移植機
4 機体
5 植付装置
6 苗押出装置
7 苗箱搬送路
7a スイッチバックゾーン
13 上段苗載台
14 下段苗載台
14ー1 下段苗載台の延在部
17 支持バー
20 スプロケット
20a 爪
N(N1〜N6) 苗箱
Nc 穴部
M1〜M6 駆動用モータ
LS1〜LS5 リミットスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は苗移植機に関し、詳しくは、複数段の苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の苗載台から苗押出装置まで苗箱を供給搬送するようにした苗移植機においては、苗箱の供給搬送径路を長くとることができない為、苗載台に装填される苗箱の枚数にも限度があった。例えば、百間圃場(長手方向が180mの圃場)に株間13cmで植える為には448ポット苗箱が1ユニット(2条)あたり6枚必要であるが、上記のような苗移植機の場合、苗載台に装填される苗箱の枚数は5枚が限度となっている。
その為、1ユニットの途中で苗がなくなってしまうことになるが、苗移植機による田植えは1人作業が基本であるので、作業中苗がなくなると、一旦苗移植機を止めて予備の苗台から苗載台に苗箱を供給装填しなければならない。その為、広い圃場に植付け作業をする場合、何度も苗移植機を止めることになり、作業能率が著しく低下することになる。
【0003】
この種の装置として、従来、特開平8−214629号公報(特許文献1)において、図17に示すような、上下2段の苗載台(苗箱供給部)100A、100Bから供給される苗箱をスイッチバックして苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備えた苗移植機が開示されている。前記下向き傾斜する上下2段の苗箱供給部(苗載台)100A、100Bは湾曲経路部101A、101Bを経て、上向き傾斜する1つのスイッチバック部102へと連続し、このスイッチバック部102から、再度、下向き傾斜する経路103を経て苗取出位置P1の苗押出装置104へ苗箱を搬送する構成とされている。
この苗移植機では、植付け作業の開始時には、苗載台100A、100B、湾曲経路101A、101B、スイッチバック部102、さらに、苗押出装置104の手前部までの経路103に苗箱が事前に装填される。植付け作業が開始されると、苗押出位置P1の手前部に装填された苗箱から順次、苗押出装置に搬送され、上段100Aの苗載台の苗箱がなくなると、下段100Bの苗載台から供給されている。
【0004】
前記構成の苗移植機の場合、植付け作業中は上段の苗載台100Aの苗箱がなくならないと、下段100Bの苗載台からスイッチバック部102に至る湾曲経路部101Bにおける苗箱の状態を運転席等から視認確認することができない。また、上下に重なるように湾曲経路部101A、101Bが存在するため、下段の湾曲経路部101Bや該湾曲経路部の下方に設けられた苗押出装置104のメンテナンスがし難い問題点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−214629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記特許文献1の問題に解消することを課題とし、供給中の苗箱の状態把握がし易く、また苗箱搬送径路のメンテナンス性に優れた苗移植機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の苗箱を載置する苗載台と、該苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備え、
前記苗載台は、車両進行方向において前方側から後方に向けて下方傾斜させた少なくとも上下二段の上段苗載台と下段苗載台からなり、前記上段苗載台よりも下段苗載台を長尺とし、該下段苗載台の下端より湾曲させて後方側へ上方傾斜した延在部を設け、該延在部の上端と空隙をあけて、上記苗箱搬送路の上方傾斜するスイッチバック部を配置していることを特徴とする苗移植機を提供している。
【0008】
前記構成によれば、下段苗載台を上段苗載台よりも長尺として、上段苗載台よりも前記苗箱搬送路に近接する位置まで延在させ、下段苗載台の苗箱搬送路に近接する位置における延在部の上方には上段苗載台を設けていないため、苗箱の状態を運転席等から視認確認することができる。かつ、この延在部の上方に大きな空隙が設けられているため、下段苗載台の延在部分や下方に設けられた苗押出装置のメンテナンスがし易くなる。
また、複数段の苗載台と、苗載台から供給された苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路とを備えているから、実質的な苗箱の供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
また、前記下段苗載台の上段苗載台よりも前記苗箱搬送路側に突出した延在部を苗箱搬送路側に向けて上方傾斜させているため、上段苗載台の下端をスイッチバック路と分離しても、上段苗載台から供給される苗箱を苗箱搬送路にスムーズに供給搬送し得る。
【0009】
前記苗載台には上流より下流にかけて苗箱検知用の複数のリミットスイッチを備えると共に、前記苗箱搬送路にリミットスイッチを備え、該リミットスイッチの検知により駆動モータを制御して前記下段苗載台上の苗箱を順次前記苗押出装置へ搬送した後に、上段苗載台の苗箱を順次苗押出装置へ搬送させるようにし、かつ、
前記上段苗載台と下段苗載台上の苗箱が、前記下段苗載台の延在部とスイッチバック部との間の空隙を跨ぐ状態で停止しないように制御する構成としている。
このように、リミットスイッチにより苗箱位置を検知して、モータの駆動制御を行うことで、苗箱が前記空隙を跨がないように確実に停止させることができる。
【0010】
また、前記リミットスイッチの検知により駆動モータが駆動開始から設定時間後に隣接する下流側のリミットスイッチによる検知がない時に、駆動モータの回転を停止する構成としていることが好ましい。
具体的には、隣接する上流側のリミットスイッチの検知時からチェックタイマーで時間を計測し、設定時間後に下流側のリミットスイッチの検知が無ければ、先のリミットスイッチの検知で駆動されるモータにより搬送されてくるべき苗箱に異常が発生して搬送停止状態となっているか、あるいはリミットスイッチに異常が発生していることとなる。よって、モータの駆動を停止して、事故の発生を防止している。
【0011】
前記駆動モータは前記苗箱搬送路およびスイッチバック路を構成するフレームの側枠に前記駆動モータを付設すると共に、該駆動モータにより回転駆動されるスプロケット(爪歯車)を設け、該スプロケットの爪を苗箱に設けた穴部に順次係止して苗箱を搬送している。
【0012】
前記スイッチバック部の上端に前記リミットスイッチを備えると共に、該リミットスイッチの下方に正逆回転する前記駆動モータを備え、該駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記リミットスイッチで苗箱を検知後に前記駆動モータを駆動して苗箱を苗取出側の下降させると共に、前記スプロケットの爪が前記苗箱の穴部から離脱する直前に前記駆動モータの回転を停止して減速し、苗箱の下降速度を低減する構成としていることが好ましい。
【0013】
即ち、スイッチバック路で駆動モータにより下方送りされる際に、その速度が早いと下方位置の苗箱に衝突して止まり、その衝撃で苗が飛び出したり、苗箱が破損する恐れがある。これに対して、前記構成とすると、駆動モータでの苗箱の送りを途中で一旦停止して苗箱がスプロケットより離れる時の駆動モータの回転速度を減速するため、苗箱の送り速度が低減され、下方の苗箱に対する落下衝撃を緩和でき、苗の飛び出しや苗箱の損傷発生の防止できる。
【0014】
前記上段苗載台と下段苗載台に夫々付設した駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記スプロケットの主軸部と前記駆動モータの出力軸とを係脱するクラッチを設け、該クラッチの操作片を操作して前記スプロケットの爪が苗箱の穴部から離脱可能とし、前記上段苗載台および下段苗載台から苗箱を取り出せる構成としている。
前記構成とすると、苗箱が位置ずれして、その係止穴にスプロケットの爪が係止していない等の理由で移動しなかった場合、苗箱が破損して移動しなかった場合等において、該苗箱を搬送路から取り出すことができ、苗箱送り作業を円滑に進めることができる。
【0015】
前記苗載台のフレームとして、苗箱の左右両側を摺動自在に嵌合する断面コ字型の左右両側レールと、該左右両側レールと空隙をあけて配置して苗箱底面を摺動自在に保持する平板状の中央レールと、前記左右両側レールと中央レールとを搬送方向に所定の空間をあけて連結する支持バーにより苗箱の搬送支持部を構成していることが好ましい。
前記のように、左右両側レールの間を底板を覆わずに空隙をあけて中央レールを配置し、かつ、両側レールと中央レールとを搬送方向に隙間をあけて支持バーにより連結して、必要最小限のフレームだけを設けて空隙を多くしていることで、該空隙から作業員が手をいれてメンテナンスを行うことができると共に、大幅な軽量化を図ることができ、例えば、側面レール間を完全閉鎖する底板とした場合と比較して30〜70%程度の重量低減を図ることができる。しかも、苗箱の左右両側を断面コ字型の左右両側レールの間に摺動自在に嵌合して搬送するため、搬送途中で苗箱が斜め傾斜する等を防止でき、正規姿勢を保持させて安定した状態で確実に搬送することができる。
前記苗載台から乗り移すスイッチバックの苗箱搬送路は両側に断面L形状の側壁を設け、かつ、該側壁間を連結する底板にも開口を設けて軽量化することが好ましい。
【0016】
また、前記苗載台および前記苗箱搬送路に設ける前記リミットスイッチはレバー型とし、苗箱の左右側面のいずれか一方と接触するように内側に傾斜させて取り付け、苗箱との接触時に外方に傾動する構成としていることが好ましい。
前記構成に対して、リミットスイッチの取り付け位置を苗箱の底面側とすると、リミットスイッチとの接触により苗箱は上方に押されて苗箱の姿勢が不安定となり、かつ、苗箱底面の泥がリミットスイッチに付着し、リミットスイッチが誤作動を起こしやすくなる。 本発明では、前記のように、側面にリミットスイッチを配置すると、リミットスイッチが苗箱と接触するとリミットスイッチが外側に揺動し、苗箱の姿勢に影響を及ぼさず、かつ、リミットスイッチに苗箱の泥がつかず、リミットスイッチの継続的な信頼性を高めることができる。
【0017】
さらに、前記苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備え、この複数列の苗載台は、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持されていることが好ましい。 前記構成によれば、苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備えることにより、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。
また、複数列の苗載台を、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持しているため、複数列の苗載台を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体への組付けが簡易になされる。
さらに、複数列の苗載台を支持バーで連結することにより各苗載台を平行に整列させることができる。
【0018】
前記複数列の苗載台の下端側に夫々設けた植付装置の間には、これら植付装置を連結するフレームに接地用スタンドを回転自在に取り付け、地面側への回転時に該接地用スタンドの下端接地部が植付装置よりも下方へ突出させていることが好ましい。
例えば、圃場での作業を終了した後に、苗移植機を一般路面や車庫等で駐車しておく際に、前記接地用スタンドの下端接地部を接地させると、植付装置の底面を接地面から空間をあけた上方に位置させて、植付装置の保護を図ることができる。
特に、前記接地用スタンドを並列する苗載台の間に配置することで、苗移植機の外形を縮小でき、駐車時に占有スペースを減少でき、狭い車庫内に駐車させることができる。
【0019】
また、前記下段苗載台の下端湾曲部より後方側へ上方傾斜した延在部と、該延在部の上端と空隙をあけて配置する上記スイッチバック部の苗箱搬送路とから構成する苗箱受け渡し部に、受け渡しガイド板を設けていることが好ましい。
前記受け渡し部分では、上段苗載台の下端から下段苗載台の湾曲部へと載り移り、さらに下段苗載台の延在部とスイッチバック部の苗箱搬送路との間の空隙を通して受け渡されるため、苗箱は不安定な姿勢となる。よって、上段苗載台の先端から下段苗載台の延在部に苗箱が乗り移る部分、該延在部先端よりスイッチバック部の苗箱搬送路へ苗箱が載り移る部分には、上方および左右両側から苗箱が外方に飛び出して脱落しないように受け渡しガイド板を設けている。しかしながら、該受け渡しガイド板は左右一対として中央部に上方からの視野確保用およびメンテナンス用の空隙をあけている。
【発明の効果】
【0020】
前述したように、本発明によれば、下段苗載台を上段苗載台よりも長尺として、上段苗載台よりも前記苗箱搬送路に近接する位置まで延在させているから、下段苗載台の苗箱搬送路に近接する位置における延在部分での苗箱の状態を運転席等から視認確認することができ、かつ、この延在部分や下方に設けられた苗押出装置のメンテナンスがし易くなる。 また、複数段の苗載台と、苗載台から供給された苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路とを備えているから、実質的な苗箱の供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、上記のような広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
さらに、下段苗載台の上段苗載台よりも苗箱搬送路側に延在により突出した部位を苗箱搬送路側に向けて上方傾斜させているため、下段苗載台だけでなく上段苗載台から供給される苗箱を苗箱搬送路にスムーズに供給搬送し得ると共に、その後のスイッチバックをさせる為のレイアウトも簡易に構成することができる。
【0021】
また、苗載台及び苗箱搬送路を複数列備えたものとすれば、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。加えて、複数列の苗載台を、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持するようにすれば、複数列の苗載台を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体への組付けが簡易になされる。
【0022】
さらに、苗載台およびスイッチバック部の苗箱搬送路に設けるリミットスイッチの検知時間をチェックすることで搬送途中の苗箱の異常を検出できる。かつ、リミットスイッチを苗箱の側面と接触する位置に配置することで苗箱の姿勢を安定させることができると共にリミットスイッチに泥が付着するのを防止してリミットスイッチの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の苗移植機の一例を示す全体の概略側面図、図2は苗載台の概略的平面図、図3は同苗載台の縦断面図、図4は同苗載台の給送スプロケット部分の縦断面図、図5は同苗載台の給送スプロケット部分の断面側面図、図6及び図7は同苗移植機に採用されるリミットスイッチの概略図である。
【0024】
図1に示す苗移植機1は、乗用型の苗移植機であり、前輪2及び後輪3に支持された機体4の後方に植付装置5を備えている。植付装置5の上方には、苗箱より苗を押し出す押出棒(図示せず)を備えた苗押出装置6を設けると共に、その上方に傾斜した苗箱搬送路7を設けている。また、苗箱搬送路7は、苗押出装置6の設置部分から後方に下向きに湾曲する空箱搬送路8に連なり、この空箱搬送路8は後方に上方傾斜した後、前方に屈曲して、空箱収納部9に連なっている。
機体4の上には、運転席10、操作ハンドル11及び予備苗載台12等が搭載されている。
【0025】
運転席10と苗箱搬送路7との間には、車両方向において後方下向き傾斜する上下2段の苗載台13、14が設置されている。上下の苗載台13、14は、断面コ字型の左右両側の側面レール13a、14aと、平板からなる中央レール13b、14bと搬送方向に所要の空間をあけて配置する支持バー17とにより構成され、枠組みされた苗載台フレーム15に上下関係で対として組付けられユニット化されている。このように苗載台13、14は左右両側の側面レール13a、14aと中央レール13b、14bとの間に空隙S1をあけることにより軽量化すると共に、メンテナンスを容易としている。
前記苗箱搬送路7の左右両側の断面L形状のレール部を設け、該左右のレール部を底板で連続しているが、該底板に開口部を設けている。空箱搬送路8は苗載台13、14と同様の断面コ字型の左右両側の側面レールと、平板からなる中央レールと搬送方向に所要の空間をあけて配置する支持バーとにより構成している。
【0026】
この上下一対の苗載台13、14のユニットが機体4の幅方向に間隔を開けて複数列で設置されている。従って、苗箱搬送路7および空箱搬送路8も、各苗載台13、14のユニットに対応して複数列が機体4の幅方向に間隔を開けて設置されている。図2及び図3は、これらの内の2列分について示しているが、3列以上であっても良い。
【0027】
各苗載台フレーム15は、その下面(下段苗載台14の下面)中央長手方向に沿って配設されたメインパイプフレーム15Aよって支持され、このメインパイプフレーム15Aは、機体4に対し植付装置5の機枠部分(図示せず)を介して立設された支柱16上に機体4の幅方向に横架された前記支持バー17に、ブラケット17aを介しボルトナット17bによって締結支持されている。
【0028】
下段苗載台14は、上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも前記苗箱搬送路7に近接する位置まで湾曲させた後に上方傾斜させた延在部14ー1を設けている。この上段苗載台13よりも苗箱搬送路7側に突出した延在部14ー1の先端は、苗箱搬送路7と連結せずに、下段苗載台14と苗箱搬送路7との間に所要の隙間Cを設けている。
【0029】
苗箱搬送路7は、前下段苗載台14の延在部14ー1の先端と、隙間Cをあけて、上方傾斜するスイッチバックゾーン7a含み、このスイッチバックゾーン7aから前方に向けて下方傾斜して苗押出装置6にまで至っている。スイッチバックゾーン7aの上端部には、後記するリミットスイッチLS4が設置されている。
【0030】
植付装置5、苗押出装置6、苗箱搬送路7、空箱搬送路8、空箱収納部9及び苗載台フレーム15を含む全体部分は、油圧シリンダー18aによって作動する平行リンク機構18により機体4に対して上下動可能にしており、苗の圃場への移植時は、下方に下げて(図1の状態)移植作業を行うようになされている。
【0031】
本苗移植機1で使用する苗箱Nは、図2乃至図4に示すように、樹脂で成形されて可撓性を有する全体が矩形状のものであり、苗収容室となるポット部Naを縦横にマトリクス状に設けており、ポット部Naの底面には、苗押出装置6の押出棒(図示せず)が挿通できるように略Y字状のスリット(図示せず)を設けていると共に、短辺方向の中央では隣接するポット部Naの間に他より大きな隙間Sを形成している。また、給送方向と平行する長辺側の両側の端縁部Nbには、四角形状の多数の穴部Ncを給送方向に沿って等間隔で直線状に設けている。
【0032】
各苗載台13、14及び苗箱搬送路7における苗箱Nの給送機構について、以下に説明する。
上段苗載台13及び下段苗載台14には、それらの左右両側の側面レール13a、14aに苗箱Nの左右両側部を摺動自在に内嵌させ、苗箱Nの底面を中央レール13b、14b上に摺動自在に載置して搬送している。
【0033】
図4及び図5は下段苗載台14での給送機構を示すが、その他の部分でも同様の機構が採用される。
図示のように、下段苗載台14の左右両側の側面レール14aのうち一方側の側面レール14aの外部の駆動モータM1が設置されている。この駆動モータM1の出力軸に連結された駆動軸19は、側面レール14a、14aの下方に下段苗載台14を横断するよう軸回転可能に支持されている。駆動軸19の両端部には、複数の爪20aを周方向に等間隔で備えた給送用スプロケット(爪車)20、20を有している。スプロケット20、20の上半部は、断面コ字型の側面レール14aの下壁に形成された開口14a−1から突出し、上記爪20aが、苗載台14上に載置された苗箱Nの穴部Ncに係入するようになされている。
爪20aのスプロケット20の周方向における形成ピッチは、苗箱Nの穴部Ncの給送方向における形成ピッチと略同じとされ、従って、モータM1の駆動によるスプロケット20の回転に伴い、爪20aが苗箱Nの穴部Ncに順次係入し、これによって苗箱Nに給送力が付与され、苗箱Nが所望の方向に給送されるようになされている。同様の構成が図1のM2〜M4に示す位置に設置されている。
各苗載台13、14、苗箱搬送路7及び空箱搬送路8の要所には、苗箱Nの存在確認用の検出手段(リミットスイッチ)LS1〜LS6が設置されている。
【0034】
前記リミットスイッチLS1〜LS6の内、LS1〜LS3としては図6に示すタイプのものが、LS4〜LS6としては図7に示すタイプのものがそれぞれ採用される。いずれのリミットスイッチLS1〜LS6もレバー型のオン・オフスイッチで、図2に示すように、側面レール14aの側壁14a−2から内側に向けて傾斜させて突出し、図6、図7に矢印で示す方向から苗箱Nの側面が接触すると、外側に揺動して苗箱Nを検出(ON)するように設定している。
【0035】
また、リミットスイッチLS1〜LS6には互いに接続させたチェックタイマーCTを付設し、上流側に隣接するリミットスイッチがオンした後に設定時間経過後に下流側のリミットスイッチがオンしない場合に駆動モータMを停止する設定としている。
【0036】
次に苗箱Nの給送動作について説明する。
図1において、植付け作業開始前では、各苗載台13、14、苗箱搬送路7及び空箱搬送路8にはまだ苗箱Nが存在しないので、全てのリミットスイッチLS1〜LS6はオフの状態で、全てのリミットスイッチのレバーは内側に突出している。
この状態から、下記の詳述する事前準備として、まず、下段苗載台14に順次4枚の苗箱N(N1〜N4)を載置装填して所要位置まで搬送して位置決め保持し、次ぎに、上段苗載台13に2枚の苗箱N(N5,N6)を載置装填して所要位置まで搬送保持して位置決め保持し、図8に示すように、合計6枚の苗箱Nを苗載台13、14、苗箱搬送路7に装填する。
【0037】
前記事前準備は、まず、下段苗載台14に苗箱N(N1)を載置装填し、リミットスイスイッチLS2が苗箱Nの側面に接触してオンになると、モータM1、M2、M4が作動(正回転)し、モータM1、M2、M4に連結された各スプロケット20の作用によって苗箱Nが給送され、リミットスイスイッチLS1がオンとなるとモータM2が停止する。モータM1、M4の回転により苗箱Nの給送が継続されてスイッチバックゾーン7aに至り、苗箱Nが作用してリミットスイッチLS4がオンになると、モータM1が停止すると共にモータM4が逆回転し、スイッチバックゾーン7aに至った苗箱Nはスイッチバックして苗箱搬送路7を下降して、苗押出装置6の上流側近傍のストッパー爪7bに至りリミットスイッチLS5がオンになるとモータM4が停止し、1枚目の苗箱N(N1)はこの位置で保持される。
【0038】
上記の場合、モータM2〜モータM1、モータM1〜モータM4の距離(各モータに連結されたスプロケット20間の距離、以下各モータ位置と各スプロケット位置は同じとして説明する)は、苗箱Nの給送方向両端の穴部Ncに対応位置の各スプロケット20の爪20aが同時に係入噛み合い得る長さである。また、リミットスイッチLS1とモータM2との距離は、苗箱Nの給送方向長さより長くなっていて、苗箱Nが給送されて苗箱Nの先端がリミットスイッチLS1をオンしモータM2が停止したとき、苗箱Nの後端がモータM2のスプロケット20から外れる長さに設定されている。上段苗載台13への装填及びここからの給送については後記するが、リミットスイッチLS1とモータM3との距離も、リミットスイッチLS1とモータM2との位置関係と同様に設定されている。
【0039】
更に、前記延在部14−1の先端位置とリミットスイッチLS4との距離は、苗箱Nの先端がリミットスイッチLS4をオンにした時、苗箱Nの後端が前記延在部14ー1の先端から外れ、下段苗載台14のガイド規制から解放される長さとされている。モータM4、リミットスイッチLS5及びストッパー爪7bの位置関係は、モータM4が逆回転し、苗箱Nが苗箱搬送路7を搬送されてその後端がモータM4を外れた時にストッパー爪7bに当り、そのわずか手前でリミットスイッチLS5がオンとなるように設定されている。
【0040】
次いで、2枚目の苗箱N(N2)を下段苗載台14に載置装填するが、この時、リミットスイッチLS5のみがオンの状態で、苗箱Nの載置装填によりリミットスイッチLS2がオンとされ、これによりモータM2、M1が正回転し、2枚目の苗箱Nが給送される。この苗箱Nの先端の作用によってリミットスイッチLS1がオンとされると、モータM2、M1が停止し、苗箱Nはその先端部分がモータM1のスプロケット20に係止保持され、延在部14ー1上に静止する。この時、2枚目の苗箱Nの先端は、スイッチバックゾーン7aにある先行苗箱Nの自由落下(スイッチバック)を妨げない位置にあり、後端はモータM2のスプロケット20から外れている。
【0041】
更に、3枚目の苗箱N(N3)を下段苗載台14に載置装填するが、この時、リミットスイッチLS1、LS5がオンになっているので、リミットスイッチLS2がオンとなっても、モータM2は作動せず、苗箱Nは下段苗載台14上を自由落下し、モータM2は停止しているからそのスプロケット20に係止保持される。
【0042】
続いて、4枚目の苗箱N(N4)を下段苗載台14に載置装填すると、この4枚目の苗箱Nは下段苗載台14上を自由落下し、3枚目の苗箱Nに後続するよう保持される。
5枚目の苗箱N(N5)は、上段苗載台13に載置装填される。この時、リミットスイッチLS1、LS2、LS5がオンになっているので、リミットスイッチLS3がオンになってもモータM3は作動せず、苗箱Nは上苗載台13上を自由落下し、モータM3が停止しているのでそのスプロケット20に係止保持される。
6枚目の苗箱N(N6)を上苗載台13に載置装填すると、この6枚目の苗箱Nは上段苗載台13を自由落下し、5枚目の苗箱Nに後続するよう保持される。
【0043】
前記いずれの作動時においても、リミットスイッチLS1〜LS6が、搬送経路の上流側のリミットスイッチがオンした時から設定時間経過後にもオンしない場合には、全ての回転駆動しているモータM1〜M4の回転を停止している。
【0044】
この状態では、5枚目、6枚目の苗箱N(N5,N6)は、モータM3より上方の上段苗載台13上に保持されるから、下段苗載台14の延在部14ー1上にある苗箱Nの状態の視認確認が容易になし得る。
特に、苗載台のユニットを複数列並設する場合、その中央部や反対側の延在部14ー1上にある苗箱Nの状態が、苗移植機1の側部からでも視認確認でき、植付けの事前準備が極めて的確になされる。
【0045】
上記のように植付け作業の事前準備がなされた後、オペレータ(作業者)が運転席に着座し、ハンドル11等を操作し、圃場を走行して植付け作業が開始される。
この開始に伴い、ストッパー爪7bが非作用位置に後退して1枚目の苗箱N1が苗箱搬送路7を自由落下すると共に苗押出装置6が作動して、苗箱Nのポット部Naから苗が逐次押出され、押出された苗は植付装置5によって圃場に植付けられてゆく。
空になった苗箱Nの先端がリミットスイッチLS6をオンとすると、これによりモータM5、M6の作動が開始され、苗箱Nの自重によりその先端がモータM5のスプロケット20に係止されると、その搬送力と、その後のモータM6のスプロケット20の係止搬送力により、空になった苗箱Nが空箱搬送路8を搬送される。この空箱搬送路8上の苗箱Nは、後続の苗箱Nの推進力が加わり、やがて空箱収納部9に順次積層収納される。
【0046】
1枚目の苗箱N1の後端がリミットスイッチLS5を通過してリミットスイッチLS5がオフになると、モータM1、M4が作動(正回転)して下段苗載台14の延在部14ー1上に待機していた2枚目の苗箱N2が、1枚目の苗箱N1と同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、リミットスイッチLS1がオフになる(モータM1は停止)と共にリミットスイッチLS4がオンとなる。同時に、モータM4が逆回転し2枚目の苗箱N1はスイッチバックゾーン7aから苗箱搬送路7を搬送され、その先端がリミットスイッチLS5をオンにすると、モータM2、M1が作動し、下段苗載台14上の3枚目の苗箱N3が給送され、その先端がリミットスイッチLS1をオンにすると、モータM2、M1が停止し、3枚目の苗箱N3は延在部14ー1上に保持される。この時、下段苗載台14上の4枚目の苗箱N4は3枚目の苗箱N3に続き自由落下し、モータM2のスプロケット20に保持されて静止する。
【0047】
2枚目の苗箱N2が苗箱搬送路7を搬送されながら、上記と同様に、苗押出装置6によって苗箱Nのポット部Naから苗が逐次押出され、押出された苗は植付装置5によって圃場に植付けられ、2枚目の苗箱N2の後端がリミットスイッチLS5を外れ、これをオフにすると、モータM1、M4が作動して延在部14ー1上に保持されていた3枚目の苗箱N3が上記同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、モータM4の逆回転(この時、リミットスイッチLS1のオフによりモータM1は停止)によって、苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送される。リミットスイッチLS5がオンするとモータM2、M1が作動し、下段苗載台14上の4枚目の苗箱N4が給送され、リミットスイッチLS1がオンになると、モータM2、M1が停止し、4枚目の苗箱N4が延在部14ー1上に保持されると共にリミットスイッチLS2がオフとなる。
【0048】
その後、延在部14ー1上の4枚目の苗箱N4が、スイッチバックゾーン7aに給送され、リッミトスイッチLS4をオンして苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送されるとリミットスイッチLS5をオンになり、モータM3、M1が作動し、上段苗載台13上の5枚目の苗箱N5が給送され、リミットスイッチLS1がオンになると、モータM3、M1が停止して5枚目の苗箱N5が、その前後端部が延在部14ー1の先側部分及び苗載台13の先側部分間に跨るように保持されると共に6枚目の苗箱N6が上段苗載台13上を自由落下し、モータM3のスプロケット20によって静止保持される。
【0049】
4枚目の苗箱N4がリミットスイッチLS5をオンにすると、延在部14ー1上に保持されている5枚目の苗箱N5が上記同様にスイッチバックゾーン7aに給送され、その後、スイッチバックして苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送され、リミットスイッチLS5をオンにすると、モータM3が作動して、上段苗載台13上の6枚目の苗箱N6が、5枚目の苗箱N5と同様に延在突出部位14a上に一旦保持される。
その後、スイッチバックゾーン7aに給送されてリミットスイッチLS1、LS2、LS3がオフになると、一定時間ブザーを鳴らし、上下の苗載台13、14が空になったことをオペレータに知らせる。
【0050】
6枚目の苗箱N6も苗箱搬送路7を苗押出装置6に向け搬送され、リミットスイッチLS1〜LS5がオフとなり、リミットスイッチLS6のみが空になった6枚目の苗箱N6によりオンとされている時に、ブザーを鳴らし続け、上下の苗載台13、14及びスイッチバックゾーン7aが全て空であることをオペレータに知らせ、予備の苗載台12から次の6枚の苗箱N6を載台13、14へ載置供給準備をするよう促す。
このような繰り返しによって、圃場への苗の植付けが順次なされてゆく。そして、1ユニット当り苗箱Nを6枚とすることができるから、1サイクルの苗植付け効率が高く、ユニット数を複数とすれば更にこの苗植付け効率を高くすることができる。
【0051】
尚、上記では、下段苗載台14から苗箱Nの給送を行う例について述べたが、上段苗載台13から苗箱Nの給送を行い、4枚目の苗箱Nの給送が完了するまでは、5枚目、6枚目の苗箱Nを下段苗載台14上に保持待機させるようにしても良い。
また、上下の苗載台13、14のユニットを複数列配設したものを例示したが、圃場の規模や需要者の要望によっては、1列のものとすることも可能である。その他、植付装置5及び苗押出装置6の詳細説明は省略したが、従来公知のものがこれらに充当し得ることは言うまでもない。
更に、苗箱Nの存在確認用検出手段として、リミットスイッチを採用しているが、これに限定されず、光学センサ等の各種センサも採用することができる。
【0052】
前記構成によれば、上下の苗載台13、14と、苗載台13、14から供給された苗箱Nをスイッチバックして下方に位置する苗押出装置6まで搬送する苗箱搬送路7とを備えているため、実質的な苗箱Nの供給搬送径路が長くなり、1回当りの苗箱装填枚数を多くすることができる。従って、広い圃場であっても植付け作業効率が向上する。
また、下段苗載台14を上段苗載台13よりも長尺として、上段苗載台13よりも苗箱搬送路7に近接する位置まで延在させているため、下段苗載台14の苗箱搬送路7に近接する位置における延在部14ー1での苗箱Nの状態を運転席等から視認確認することができ、かつ、この延在部14ー1や下方に設けられた苗押出装置6のメンテナンスがし易くなる。
【0053】
また、苗載台13、14及び苗箱搬送路7を複数列備えたものとすれば、1回当りの苗箱装填枚数がこの列数倍になるから、植付け作業効率が一層向上する。
【0054】
さらに、複数列の苗載台13、14を、機体4の幅方向に横架された支持バー17上に幅方向に間隔を開けて支持するようにすれば、複数列の苗載台13,14を1ユニットとしてモジュール化することにより、機体4への組付けが簡易になされる。
【0055】
さらにまた、苗箱Nの搬送に応じて順次オンするリミットスイッチが所定時間経過後にもオンしない場合にはモータを停止させるため事故の発生を未然に防止することができる。かつ、多数の苗箱を搬送載置する苗載台を空隙を有する枠組構造のレールで構成しているため強度を保持しながら軽量化を図ることができると共に、空隙を通してメンテナンスも行うことができる。
【0056】
図9乃至図16は第2実施形態の苗移植機1’を示し、第1実施形態の苗移植機1と同様に苗箱Nを上下二段の苗載台13、14でスイッチバック部を構成する苗箱搬送路7を介して苗押出装置6へと供給する主要な構成は同一としている。
第1実施形態との相違点を以下に説明する。
前記上下苗載台13、14と苗箱搬送路7との空隙Cを設けた受け渡し部では、図10に示すように、上苗載台13の下端から下苗載台14の延在部14−1の先端に達する位置まで左右一対の第1受け渡しガイド板30A、30Bを突設し、上苗載台13の下端から下苗載台14の延在部14−1に落下して載り移る苗箱の上方をガイドして、苗箱が上方に飛び上がる場合には上方から押さえるようにしている。
かつ、下苗載台14の延在部14−1の先端と苗箱搬送路7の左右両側レールとの間にも左右一対の第2受け渡しガイド板31A,31Bを設け、苗箱が左右方向に脱落しないようにしている。
前記第1受け渡しガイド板30A、30Bの間、および第1受け渡しガイド板31A、31Bの間には、図10に示すように、上方から下方を視野できると共にメンテナンス用の空間S4をあけている。
【0057】
さらに、前記下段苗載台14の延在部14−1と苗箱搬送路7の間の空間Cとの間には、苗箱搬送路7の左右両側の側面レールから左右一対の第3受け渡しガイド板32A、32Bを斜め上方に傾斜させて突設し、前記延在部14−1の先端から苗箱搬送路7に載り移る苗箱の左右両側をガイドしている。
【0058】
このように、上段苗載台13から下段苗載台14に載り移る苗箱を第1受け渡しガイド板30A、30Bにより、また、下段苗載台14の延在部14−1からスイッチバックの苗箱搬送路7に載り移る苗箱を第2受け渡しガイド板31A、31Bと第3受け渡しガイド板32A、32Bとでガイドしていることで、苗箱を脱落させることなく且つ安定した姿勢で載り移し、苗箱の安定搬送を達成している。
【0059】
また、苗箱搬送路7のスイッチバックゾーン7aに設けた駆動用のモータM4は、上下苗箱台から搬送されてきた苗箱Nはスイッチバックゾーン7aを上昇させるために、正方向(時計回り)に回転し、スプロケット20を介して苗箱Nを上昇させ、苗箱Nがスイッチバックゾーン7aの上端のリミットスイッチLS4で検知されると、モータ4は逆方向(反時回り)に回転され、苗箱Nを下降させる。本第2実施形態では、該下降時に苗箱Nの速度を低下させて下位置の苗箱Nとの衝撃を緩和している。
【0060】
即ち、モータM4で回転されるスプロケット20の爪が苗箱Nの穴部Ncが外れて苗箱Nが自重落下する直前にモータM4の回転を停止する。この停止時はリミットスイッチLS4が苗箱Nを検知した時間から設定時間経過したことでカウントしてモータM4を停止することで制御している。モータM4を一旦停止した後に、設定時間後に短時間(約0.05〜0.1秒)駆動して、再度停止する。これにより、スプロケット20の爪20aが苗場Nの穴部Ncから離脱するスピードを遅くすることができる。離脱後は苗箱Nは自重落下するが、落下時の直前で低速とされているため、苗箱の落下速度が遅くなり、下位置の苗箱に接触する際の衝撃を緩和でき、苗の飛び出しや苗箱の損傷発生の防止できる。
【0061】
さらに、苗箱Nが破損していたり、あるいは何らかの事情で移動しない場合に、苗箱Nを上下苗載台13、14より取り出せるようにしている。
図11に示すように、苗箱Nの両側縁は断面コ字状の側面レール13a、14aに挟まれた状態で、スプロケット20の爪20aが苗箱Nの穴部Ncに係合しているため、穴部Ncから爪20aを離脱させないと苗箱Nを取り出すことができない。
よって、本実施形態では、スプロケット20の駆動軸19をモータM2、M3の出力軸70との間にクラッチ71をクラッチスプリング72で付勢して接続し、該クラッチ71から突設した解除レバー73をもってクラッチスプリング72を圧縮しながら矢印方向Y1に移動するとクラッチ71の係止部71aがスプロケット20の係止穴20cより外れる。これにより、スプロケット20を手動で回転させて爪20aを穴部Ncより離脱させ、苗箱Nを取り出せるようにしている。
【0062】
さらに、苗箱搬送路7から苗押出装置6に搬送されてきた苗箱Nから苗を押し出し後、該苗を圃場に植え付ける植付装置5では、圃場面に沿って移動させるフロート50の上下高さを、図12に示すリンク機構51により、フロート50を平行を保持しながら移動させる構成としている。
前記リンク機構51は機体4側に連結軸51aと51bを介して前後方向に水平に配置する上段リンク51cの前後両側をリンク51dと51eを介してフロート50の前後両側と連結し、下段のフロート50と上段リンク51cと前後両側のリンク51d、51eとで平行四辺形のリンク機構としている。
該構成とすることで、フロート50の上下高さを調節する機構を簡単かつ軽量化している。
【0063】
また、本第2実施形態の苗移植機は、図13に示すように、植付装置5を4列備えた8条植付装置としており、各左右2台の植付装置5の間には、植付装置5の間を連結するフレーム80に、接地用スタンド81を回転自在に取り付け、地面側への回転時にゴム製の下端接地部81aが植付装置よりも下方へ突出させている。
詳細には図14に示すように、フレーム80に軸受82にL形状の前記接地用スタンド81を回転自在に取り付け、該接地用スタンド81の上端から水平方向へ突出させた横軸81bにコイルスプリング83を取り付け、該コイルスプリング83を一端をフレーム80に係止している。接地用スタンド81はコイルスプリング83で付勢されて、常時は縦軸81cの下端接地面81aが水平方向を向いた位置にあり、所要時に接地用スタンド81を回転させて下端接地面81aを接地させ、この状態で軸受82と縦軸81bcに設けた係止穴にピン85を挿入して、縦軸81cを保持している。
【0064】
前記構成とすると、植付装置5の下端より接地用スタンド81の下端接地部81aを接地させた状態で植付装置5のフロート50が下端位置に位置されていても、該フロート50の下端面より接地スタンド81の下端接地部81aが下方位置に突出して接地する。よって、フロート50の下面が接地してフロート50に損傷が発生することを確実に防止できる。かつ、前記接地用スタンド81は植付装置5の間に設け、外側に位置する植付装置5の外側に突出させて設けていないため、苗移植機の外形幅を増大させず、苗移植機を駐車する際の占有スペースを増大させない。
【0065】
また、基体の前方に搭載する予備苗台12として、機体4に対して左右両側に対称に夫々上下二段の予備苗台12A、12Bを搭載している。これら上下二段の予備苗台では、各予備苗台に苗箱Nを上下複数段で取り出し自在に収容できる仕切板54を設けている。 これら上下二段の予備苗台12A、12Bは機体4の前端位置から左右両側に突出する支持板55に対して支軸56を回転可能に立設して、図15中に一点鎖線で示すように、運転席10の左右両側の機体4に沿って機体4と平行に位置させたり、該位置から90度回転させて、実線で示すように運転席10の左右両側で機体4と直交方向に広げるように位置させたりできるようにしている。
【0066】
更に、前記左右の予備苗台12A、12Bの下部には、図16に示すように、予備苗箱取出台フレーム60を折り畳み自在に取付金具61を介して取り付けている。該取付金具61には円弧溝61aを設け、予備苗箱取出台フレーム60に取り付けたネジ62を円弧溝61aを移動させることにより、実線で示す運転席側に突出した起立位置と、一点鎖線で示す下向きに畳んだ位置とできるようにしている。
さらに、前記予備苗台12A、12Bはフレーム枠を連結して形成しているため、幅方向のフレーム枠を分割してリンク結合し、予備苗台自体を幅方向に折り畳み可能な構成としている。
前記のように、予備苗台に折り畳み可能な構成を加えることで予備苗台を搭載しない場合には、折り畳んで機体全幅に収まるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態の苗移植機を示す全体側面図である。
【図2】苗載台の概略的平面図である。
【図3】苗載台の縦断面図である。
【図4】苗載台の給送スプロケット部分の縦断面図である。
【図5】苗載台の給送スプロケット部分の断面側面図である。
【図6】苗移植機に採用されるリミットスイッチの一例の概略図である。
【図7】苗移植機に採用されるリミットスイッチの別例の概略図である。
【図8】苗載台に装填された苗箱を示す図面である。
【図9】第2実施形態の苗移植機を示す全体側面図である。
【図10】第2実施形態の苗搬送部の受け渡し部を示す平面図である。
【図11】(A)(B)は第2実施形態の上下苗載台に設けたスプロケットの爪と苗箱の穴部との連係構成を示す図面である。
【図12】第2実施形態の植付装置のフロート部の上下調節リンク機構を示す概略図である。
【図13】第2実施形態の苗移植機の後面側下部を示す図面である。
【図14】第2実施形態の接地用スタンドの構成を示す図面である。
【図15】第2実施形態の予備苗台の回転移動位置を示す概略図である。
【図16】前記予備苗台の取出台フレームの折り畳み機構を示す概略図である。
【図17】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
【0068】
1 苗移植機
4 機体
5 植付装置
6 苗押出装置
7 苗箱搬送路
7a スイッチバックゾーン
13 上段苗載台
14 下段苗載台
14ー1 下段苗載台の延在部
17 支持バー
20 スプロケット
20a 爪
N(N1〜N6) 苗箱
Nc 穴部
M1〜M6 駆動用モータ
LS1〜LS5 リミットスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の苗箱を載置する苗載台と、該苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備え、
前記苗載台は、車両進行方向において前方側から後方に向けて下方傾斜させた少なくとも上下二段の上段苗載台と下段苗載台からなり、前記上段苗載台よりも下段苗載台を長尺とし、該下段苗載台の下端より湾曲させて後方側へ上方傾斜した延在部を設け、該延在部の上端と空隙をあけて、上記苗箱搬送路の上方傾斜するスイッチバック部を配置していることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記苗載台には上流より下流にかけて苗箱検知用の複数のリミットスイッチを備えると共に、前記苗箱搬送路にリミットスイッチを備え、該リミットスイッチの検知により駆動モータを制御して前記下段苗載台上の苗箱を順次前記苗押出装置へ搬送した後に、上段苗載台の苗箱を順次苗押出装置へ搬送させるようにし、かつ、
前記上段苗載台と下段苗載台上の苗箱が、前記下段苗載台の延在部とスイッチバック部との間の空隙を跨ぐ状態で停止しないように制御する構成としている請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記リミットスイッチの検知により駆動モータが駆動開始から設定時間後に隣接する下流側のリミットスイッチによる検知がない時に、駆動モータの回転を停止する構成としている請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記スイッチバック部の上端に前記リミットスイッチを備えると共に、該リミットスイッチの下方に正逆回転する前記駆動モータを備え、該駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記リミットスイッチで苗箱を検知後に前記駆動モータを駆動して苗箱を苗取出側へ下降させると共に、前記スプロケットの爪が前記苗箱の穴部から離脱する直前に前記駆動モータの回転を停止して減速し、苗箱の下降速度を低減する構成としている請求項2または請求項3に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記上段苗載台と下段苗載台に夫々付設した駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記スプロケットの主軸部と前記駆動モータの出力軸とを係脱するクラッチを設け、該クラッチの操作片を操作して前記スプロケットの爪が苗箱の穴部から離脱可能とし、前記上段苗載台および下段苗載台から苗箱を取り出せる構成としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記苗載台は、苗箱の左右両側を摺動自在に嵌合する断面コ字型の左右両側レールと、該左右両側レールと空隙をあけて配置して苗箱底面を摺動自在に保持する平板状の中央レールと、前記左右両側レールと中央レールとを搬送方向に所定の空間をあけて連結する支持バーとで苗箱の搬送支持部を構成している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項7】
前記苗載台および前記苗箱搬送路に設ける前記リミットスイッチはレバー型とし、苗箱の左右側面のいずれか一方と接触するように内側に傾斜させて取り付け、苗箱との接触時に外方に傾動する構成としている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項8】
前記苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備え、この複数列の苗載台は、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持されている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項9】
前記複数列の苗載台の下端側に夫々設けた植付装置の間には、これら植付装置を連結するフレームに接地用スタンドを回転自在に取り付け、地面側への回転時に前記接地用スタンドの下端接地部を植付装置よりも下方へ突出させている請求項8に記載の苗移植機。
【請求項10】
前記下段苗載台の下端湾曲部より後方側へ上方傾斜した延在部と、該延在部の上端と空隙をあけて配置する上記スイッチバック部の苗箱搬送路とから構成する苗箱受け渡し部に、受け渡しガイド板を設けている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項1】
複数の苗箱を載置する苗載台と、該苗載台から供給される苗箱をスイッチバックして下方に位置する苗押出装置まで搬送する苗箱搬送路を備え、
前記苗載台は、車両進行方向において前方側から後方に向けて下方傾斜させた少なくとも上下二段の上段苗載台と下段苗載台からなり、前記上段苗載台よりも下段苗載台を長尺とし、該下段苗載台の下端より湾曲させて後方側へ上方傾斜した延在部を設け、該延在部の上端と空隙をあけて、上記苗箱搬送路の上方傾斜するスイッチバック部を配置していることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記苗載台には上流より下流にかけて苗箱検知用の複数のリミットスイッチを備えると共に、前記苗箱搬送路にリミットスイッチを備え、該リミットスイッチの検知により駆動モータを制御して前記下段苗載台上の苗箱を順次前記苗押出装置へ搬送した後に、上段苗載台の苗箱を順次苗押出装置へ搬送させるようにし、かつ、
前記上段苗載台と下段苗載台上の苗箱が、前記下段苗載台の延在部とスイッチバック部との間の空隙を跨ぐ状態で停止しないように制御する構成としている請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記リミットスイッチの検知により駆動モータが駆動開始から設定時間後に隣接する下流側のリミットスイッチによる検知がない時に、駆動モータの回転を停止する構成としている請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記スイッチバック部の上端に前記リミットスイッチを備えると共に、該リミットスイッチの下方に正逆回転する前記駆動モータを備え、該駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記リミットスイッチで苗箱を検知後に前記駆動モータを駆動して苗箱を苗取出側へ下降させると共に、前記スプロケットの爪が前記苗箱の穴部から離脱する直前に前記駆動モータの回転を停止して減速し、苗箱の下降速度を低減する構成としている請求項2または請求項3に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記上段苗載台と下段苗載台に夫々付設した駆動モータで回転駆動されるスプロケットの爪が前記苗箱の穴部に順次係止して苗箱を搬送しており、
前記スプロケットの主軸部と前記駆動モータの出力軸とを係脱するクラッチを設け、該クラッチの操作片を操作して前記スプロケットの爪が苗箱の穴部から離脱可能とし、前記上段苗載台および下段苗載台から苗箱を取り出せる構成としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記苗載台は、苗箱の左右両側を摺動自在に嵌合する断面コ字型の左右両側レールと、該左右両側レールと空隙をあけて配置して苗箱底面を摺動自在に保持する平板状の中央レールと、前記左右両側レールと中央レールとを搬送方向に所定の空間をあけて連結する支持バーとで苗箱の搬送支持部を構成している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項7】
前記苗載台および前記苗箱搬送路に設ける前記リミットスイッチはレバー型とし、苗箱の左右側面のいずれか一方と接触するように内側に傾斜させて取り付け、苗箱との接触時に外方に傾動する構成としている請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項8】
前記苗載台及び前記苗箱搬送路を複数列備え、この複数列の苗載台は、機体の幅方向に横架された支持バー上に幅方向に間隔を開けて支持されている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の苗移植機。
【請求項9】
前記複数列の苗載台の下端側に夫々設けた植付装置の間には、これら植付装置を連結するフレームに接地用スタンドを回転自在に取り付け、地面側への回転時に前記接地用スタンドの下端接地部を植付装置よりも下方へ突出させている請求項8に記載の苗移植機。
【請求項10】
前記下段苗載台の下端湾曲部より後方側へ上方傾斜した延在部と、該延在部の上端と空隙をあけて配置する上記スイッチバック部の苗箱搬送路とから構成する苗箱受け渡し部に、受け渡しガイド板を設けている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−11849(P2008−11849A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328563(P2006−328563)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】
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