苗移植機
【課題】6輪構成の苗移植機があるが、駆動輪は左右一対の駆動輪のみであって、その駆動推進力には未だ課題があった。また、6輪が連動して上下動する構成ではなく、機体の前後姿勢が左右駆動輪の上下動で変動してしまう課題があった。また、機体旋回時に最後部の車輪を連動させて上昇させるような技術思想もなかった。
【解決手段】左右前輪3と左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設け、左右各々複数個の駆動後輪2aが接地した状態で左右駆動走行装置2を上下移動自在に設けた苗移植機とし、更には、機体側面視で左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aの略中間位置に苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成とし、また、機体後部に操縦ハンドル6を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aを上昇させる構成とした。
【解決手段】左右前輪3と左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設け、左右各々複数個の駆動後輪2aが接地した状態で左右駆動走行装置2を上下移動自在に設けた苗移植機とし、更には、機体側面視で左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aの略中間位置に苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成とし、また、機体後部に操縦ハンドル6を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aを上昇させる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜等の苗を圃場に植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来例としては、機体に6個の車輪を設けた苗移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の苗移植機の車輪は、左右遊転前輪と左右駆動輪と左右遊転後輪とから構成された6輪構成であり、駆動輪は左右駆動輪のみであって、その駆動推進力には未だ課題があった。また、6輪が連動して上下動する構成ではなく、機体の前後姿勢が左右駆動輪の上下動で変動してしまって、適切な苗移植作業には未だ課題があった。また、機体旋回時に車輪を連動させて上昇させるような技術思想もなく、旋回時の操作性においても未だ課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右前輪3と左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設け、左右各々複数個の駆動後輪2aが接地した状態で左右駆動走行装置2を上下移動自在に設けた苗移植機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明は、左右前輪3及び左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、6輪以上の車輪構成の苗移植機となり、然も、左右各々複数個の駆動後輪2aは駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや所定の株間となる適切な苗移植作業が行なえる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、機体側面視で左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aの略中間位置に苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成とした請求項1記載の苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となり、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、機体後部に操縦ハンドル6を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aを上昇させる構成とした請求項1または請求項2記載の苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、機体を旋回させる場合、機体の旋回操作に連繋して左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aが自動的に上昇するので、作業者は操縦ハンドル6を押し下げて、機体後部を下降させて左右前輪3を圃場面から浮かせて前側の駆動後輪2aを接地させて機体を旋回させることができ、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、左右前輪3及び左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、6輪以上の車輪構成の苗移植機となり、然も、左右各々複数個の駆動後輪2aは駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや所定の株間となる適切な苗移植作業が行なえる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となり、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加えて、機体を旋回させる場合、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】野菜移植機の全体側面図である。
【図2】野菜移植機の全体平面図である。
【図3】走行部と植付部の連結部分の斜視図である。
【図4】上下制御用センサ26部の斜視図である。
【図5】苗取装置43部の側面図である。
【図6】苗取装置43部の平面図である。
【図7】苗載台90の平面図である。
【図8】苗トレイ移動装置部の平面断面図である。
【図9】苗載台90の作用説明側面断面図である。
【図10】苗載台90の作用説明平面図である。
【図11】苗載台90の作用説明正面断面図である。
【図12】規制手段116の作用説明斜視図である。
【図13】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す側面断面図である。
【図14】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す平面断面展開図である。
【図15】横移動切換えレバー137部の平面図である。
【図16】機体制御機構Yの作動説明用平面図である。
【図17】苗植付装置5の側面図である。
【図18】苗植付装置5の平面図である。
【図19】他の例を示す野菜移植機の要部側面図である。
【図20】他の例を示す野菜移植機の全体平面図である。
【図21】他の例を示す機体制御機構Y’の作動説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。この野菜移植機1は、左右各々2個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2と左右前輪3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイ内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、畝U間を歩きながら機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作する。以下、各部の構成について説明する。尚、左右駆動走行装置2は、2個の前後駆動後輪2aを装備した例を示すが、3個以上の多輪構成でも良いことは謂うまでもない。
【0016】
走行部1aは、走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0017】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右第1駆動ケース16aの前部が一体に取り付けられ、その第1駆動ケース16aの前端部が固着された左右回動筒部15内に左右駆動軸7aを走行部ミッションケース7の左右に突出して設けている。そして、左右第1駆動ケース16aの後端部には左右第1駆動車軸7bを左右第1駆動ケース16aの左右に各々突出して設け、該左右第1駆動車軸7bに左右第2駆動ケース16bの前部を回動自在に設けている。また、左右第2駆動ケース16bの後端部には、左右第2駆動車軸7cが各々設けられている。そして、左右第1駆動ケース16a内の左右駆動軸7aと左右第1駆動車軸7bとの間に各々伝動チェーンを設け、また、左右第2駆動ケース16b内の左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cとの間に各々伝動チェーンを設け、左右駆動軸7aにて左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cを各々駆動して、左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cに各々軸架した駆動後輪2aを回転駆動する構成となっている。
【0018】
そして、左右回動筒部15に各々基部を固着した左右スイングアーム15aと左右第2駆動ケース16b後部に基部を固着した従動アーム15bとを左右連結体15cで各々連結している。従って、左右第1駆動ケース16aを左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部を上下動させると、前後2個の駆動後輪2aが共に接地した状態で共に同量だけ上下動する。
【0019】
また、左右連結体15cには、各々左右電動シリンダー15dが設けられており、後述の制御装置CPUや手動操作にて左右連結体15cの長さを変更できるようになっており、前後2個の駆動後輪2aが共に接地した状態と前後2個の駆動後輪2aのうちの前側の駆動後輪2aのみが接地した状態とに変更できるように構成されている。即ち、図1の状態から電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さが短くなると、第2駆動ケース16bは第1駆動車軸7bを回転中心にして後部が上昇作動するので、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となる。
【0020】
これは、機体を旋回させる場合には、操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を操作して左右駆動走行装置2の後部を最下動させて機体を上昇させて旋回するが、この機体旋回直前の植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さを短くし、第2駆動ケース16bの後部を上昇作動させ、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態とすれば、作業者は操縦ハンドル6を押し下げて、機体後部を下降させて左右前輪3を圃場面から浮かせて前側の駆動後輪2aのみを接地させて機体を旋回させることができ、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0021】
走行部1aには機体に対し左右駆動走行装置2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Yが設けられている。この機体制御機構Yは、走行部ミッションケース7後方のメインフレーム14に基部を溶接固定した支持柱20の上部に設けた左右電動モータ21、左右電動モータ21にて各々駆動される左右駆動歯車22、左右回動筒部15の外周に各々固着された左右従動歯車23、左右駆動歯車22と左右従動歯車23の間に各々設けられた左右伝動チェーン24、機体の左右傾斜を検出する振り子式センサ25、畝上面を検出する上下制御用センサ26、及び振り子式センサ25の機体左右傾斜検出又は上下制御用センサ26の畝上面位置検出にて左右電動モータ21を制御作動させる制御装置CPUにて構成されている。
【0022】
ここで機体制御機構Yの作動について説明すると、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、その上回動を上動センサUSが検出し、下回動を下動センサDSが検出する。即ち、畝が高くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させて左右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左右伝動チェーン24を介して左右従動歯車23もイ方向に回転し、左右第1駆動ケース16aが左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。逆に、畝が低くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させて左右駆動歯車22を図1でロ方向に回転させる。すると、左右伝動チェーン24を介して左右従動歯車23もロ方向に回転し、左右第1駆動ケース16aが左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部が上動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ上動する。この前後2個の駆動後輪2aの上動は、上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。このようにして、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、上下制御用センサ26の角度が元に戻る方向に制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0023】
尚、上記上下制御用センサ26はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、上下制御用センサ26は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0024】
また、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾くと、機体の左右傾斜により振り子式センサ25が左右に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出し、右揺動を右傾斜センサRSが検出する。即ち、機体の左側が低くなるように左傾斜すると振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左電動モータ21を作動させて左駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左伝動チェーン24を介して左従動歯車23もイ方向に回転し、左第1駆動ケース16aが左回動筒部15と共に左駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。逆に、機体の右側が低くなるように右傾斜すると振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが右電動モータ21を作動させて右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、右伝動チェーン24を介して右従動歯車23もイ方向に回転し、右第1駆動ケース16aが右回動筒部15と共に右駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。このようにして、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾いて振り子式センサ25が左右に揺動すると、振り子式センサ25が元に戻る方向に制御装置CPUが左又は右電動モータ21を作動させる。これにより、機体を水平状態に維持するように制御し、常に適切な苗の植付けが行われるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0025】
操縦ハンドル6は、両端が後方に延び、その最端部が機体内方に折れ曲がった形状にして、その折れ曲がった最端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
【0026】
左右グリップ6aの前下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。そして、左右サイドクラッチレバー201を握り操作すると、握った側の駆動走行装置2への駆動が切れて、握った側の方向へ機体を操向操作することができる。この時、左右サイドクラッチレバー201の各々の基部には、サイドクラッチレバー201を握ってサイドクラッチを切り操作したことを検出するサイドクラッチ操作検出スイッチSSWが設けられており、該サイドクラッチ操作検出スイッチSSWがサイドクラッチレバー201を握ってサイドクラッチを切り操作したことを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力されて、該制御装置CPUにてサイドクラッチレバー201を握った側の電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さを短くし、第2駆動ケース16bの後部を上昇作動させ、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となり、即ち、サイドクラッチレバー201を握った側の駆動走行装置2の前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となり、旋回内側の駆動後輪2aが1個のみ接地した状態で駆動が切れて遊転輪状態となるので、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0027】
また、左右グリップ6aの各々内方端部には、左傾斜スイッチLSWと右傾斜スイッチRSWを設けており、作業者が左グリップ6aの内方端部に設けた左傾斜スイッチLSWを左手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが左電動モータ21を作動させて左駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左伝動チェーン24を介して左従動歯車23もイ方向に回転し、左第1駆動ケース16aが左回動筒部15と共に左駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。逆に、作業者が右グリップ6aの内方端部に設けた右傾斜スイッチRSWを右手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが右電動モータ21を作動させて右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、右伝動チェーン24を介して右従動歯車23もイ方向に回転し、右第1駆動ケース16aが右回動筒部15と共に右駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。
【0028】
従って、例えば、山間地で圃場が山の傾斜面にあり、畝の左右で左右駆動走行装置2の接地高さが異なるような場合、どうしても機体は斜面の低い側に進行しようとするが、この時、上記の左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを操作して斜面の低い側の駆動走行装置2を下動させて機体の左右傾斜を山側に傾斜させると、機体は斜面の低い側に進もうとすることが防止されて、機体は畝に沿って走行することができ、良好な苗移植作業が行なえる。このように、圃場条件に合わせて機体の左右傾斜角度を自由に設定できて、良好な苗移植作業が行なえ且つ作業性が向上する。
【0029】
また、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた後に、再び、同じ傾斜スイッチLSW(又は、RSW)を押し操作すると、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になる。
【0030】
なお、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた状態で作業をしている時に、下記の植付昇降レバー203にて植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をすると(植付昇降レバー203が植付クラッチ切操作位置になったことをスイッチが検出した時や植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことをスイッチUSWが検出した時)、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、機体旋回時には必ず植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をするので、機体旋回時に自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて旋回時の機体操向操作が容易に行えて作業効率が良い。また、主変速装置が路上走行速に変速操作された時も、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、路上走行時には必ず自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて路上走行時の機体操作が容易に行えて機体操作性が良い。
【0031】
また、エンジン9の下側に機体左右方向に設けた左右前輪支持軸17を各々独立して回転自在に設け、該左右前輪支持軸17の各左右両端部に各々左右前輪支持アーム17aを前方に向けて延設し、該左右前輪支持アーム17aの下端部に各々左右前輪3が遊転自在に枢支されている。そして、左右前輪支持軸17には、各々左右連係アーム17bが後方に向けて延設されており、該左右連係アーム17bの後端部と左右回動筒部15に基部を固着し前方に向けて延設した左右前輪スイングアーム17cの前端部とを連結アーム17dにて連繋した構成となっている。従って、左右駆動走行装置2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Yが作動して左右駆動走行装置2が上下動すると、その左右駆動走行装置2の上下動に連動して同方向に同量だけ左右前輪3が上下動する構成となっている。よって、機体制御機構Yにより、左右駆動走行装置2の左右前後駆動後輪2a及び左右前輪3の6輪が上下に同期して上下動する。
【0032】
上記のように左右前輪3及び左右各々2個の前後駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、車輪が6輪構成の移植機となり、然も、左右前後駆動後輪2aの4輪は駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや株間が一定となる適切な移植作業が行なえる。
【0033】
また、機体側面視で前後駆動後輪2aの略中間位置に下記苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成としているので、前後駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置(前後駆動後輪2aが圃場面を確りと捉えて、スリップや機体の蛇行を防止し、機体を直進させている位置)で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となっており、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0034】
一方、図1・図2等の実線で示す図例では、左右第1駆動ケース16aの機体内側に各々左右第2駆動ケース16bを装着し、左右第2駆動ケース16bの機体内側に各々左右前後駆動後輪2aを装着した例を示したが、左右第1駆動ケース16aの機体外側に設けた左右第1駆動車軸7bに各々左右第2駆動ケース16bを装着(左右第1駆動ケース16aの機体外側に各々左右第2駆動ケース16bを装着)し、左右第2駆動ケース16bの機体外側に各々左右前後駆動後輪2aを装着しても良い(図2に仮想線で示す)。このように構成すれば、左右前後駆動後輪2aの左右間隔が広く構成でき(トレッドが広く構成でき)て、傾斜地での機体横ずれが更に防止され走行性能が更に良くなり、更に良好な苗移植作業が行える。また、トラック等への機体の積み込みや機体降ろし作業が安定して容易に行える。
【0035】
尚、左右駆動走行装置2の各後側の後駆動後輪2aをクラッチ装置を介して駆動する構成とし、該クラッチ装置を切り操作した時には、左右駆動走行装置2の各前側の前駆動後輪2aのみが駆動される2輪駆動状態となり、該クラッチ装置を入り操作した時には、左右駆動走行装置2の各前後駆動後輪2aが駆動される4輪駆動状態となるように構成すれば、圃場条件に応じて駆動走行形態を自由に変更できて、圃場適応性が向上する。例えば、マルチフィルムを張った圃場では、2輪駆動状態とした方がマルチフィルムを車輪で破ることが少なくて良好な苗移植作業が行える(前後駆動後輪2aを共に駆動した場合には、前後駆動後輪2aのスリップ率の差異によりマルチフィルムを引張るような作用が生じて破ってしまうことがある)。
【0036】
植付部1bは、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が連結されており、この第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32にて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1が構成されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。
【0037】
また、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した機体側面視でT字状の左右フレーム34に、機体の左右に苗トレイTを各々3個ずつ段状に載せられる三段の左右予備苗載台36が取り付けられている。そして、左右予備苗載台36は、左右駆動走行装置2の上方近くに配置され、三段の内の最下段の予備苗載台36が後述の植付部1bの苗載台90下端及び左右方向に配置された苗載台90の下案内レール91bよりも低い位置に配置され、三段の内の最上段の予備苗載台36が前後傾斜して設けた苗載台90の下端部と同じ高さになるように配置されており、従って、左右予備苗載台36は左右駆動走行装置2の上方近くで機体の低い位置に配置された構成となっている。また、左右予備苗載台36は機体の前後方向で機体の中央部に配置された構成となっている。
【0038】
従って、左右予備苗載台36は、機体の前後方向で機体の中央部に配置され、然も、左右駆動走行装置2の上方近くで機体の低い位置に配置された構成となっているので、機体の重心が低くなり、走行性能及び機体の取り扱いが容易となって、適切な苗移植作業が効率よく行なえる。また、左右予備苗載台36は機体の前後方向で機体の中央部に配置されて、機体前部に配置された燃料タンク11の燃料タンクキャップ(蓋)11aよりも機体後方に配置された構成となっているので、作業者が燃料タンクキャップ(蓋)11aを開けて燃料タンク11に燃料を入れる際に、左右予備苗載台36が邪魔にならず容易に燃料供給作業が行なえて、作業性及び作業効率が良い。また、左右予備苗載台36が左右駆動走行装置2の上方近くに配置された構成となっているので、該左右予備苗載台36が左右駆動走行装置2の左右前後駆動後輪2aのカバーを兼用した作用をなし、特別な車輪カバーを省略した廉価な構成とすることができる。尚、上例では、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した機体側面視でT字状の左右フレーム34で左右予備苗載台36を支持した例を示したが、左右第2駆動ケース16b上部に各々左右フレームを設けて、左右予備苗載台36を支持する構成にしても良い。
【0039】
また、三段の内の最下段の予備苗載台36が後述の植付部1bの苗載台90下端及び左右方向に配置された苗載台90の下案内レール91bよりも低い位置に配置されているので、操縦ハンドル6を握って機体を操作する機体後部に居る作業が、予備苗載台36から苗トレイTを容易に取出して苗載台90に載置することができ、また、苗載台90の移植作業を終えて空になった苗トレイTを予備苗載台36に載置する作業も容易に行なえて、苗移植作業が容易に且つ効率良く行なえる。
【0040】
また、左右予備苗載台36は、機体平面視で苗載台90の上下一対の案内レール91a・91bの左右外端を連結する左右縱フレーム95よりも機体内方に配置した構成(左右縱フレーム95の左右幅から左右予備苗載台36が機体左右方向に突出しない構成)としている。従って、機体走行時や機体を納屋等に収納する場合に、左右予備苗載台36が左右縱フレーム95の左右幅から機体左右方向に突出していないので、左右予備苗載台36が機体走行時の邪魔にならず走行操作が容易であり、また、機体収納場所も狭くて良い。
【0041】
また、左右予備苗載台36の苗トレイTを載置する載置面を正面視で外側が高く内側が低くなるようにした場合(左右予備苗載台36の苗トレイTを載置する載置面が、機体左右外側が高く、機体中央側が低くなるようにした構成した場合)には、左右予備苗載台36の左右外側が高い位置となるので、作業者が機体の外方に立って左右予備苗載台36から苗トレイTを取出したり入れたりする作業が容易に行なえて作業効率が良い。また、左右予備苗載台36に載置された苗トレイTは機体内方に向いて傾斜した姿勢となるので、苗トレイTの荷重が機体内方の機体左右中心側に向いて作用し、機体の左右バランスが良くなり、機体の走行性能が向上し、良好な苗移植作業が行なえる。また、左右予備苗載台36に載置された苗トレイTが機体左右外方に落ちることを防止できる。
【0042】
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該ケースの下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35…によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35…を外し、PTO取出部7aから入力軸30aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行なえる。
【0043】
側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0044】
苗供給装置4は、メイフレーム14の上方後方側に配置されており複数個のソイルブロック苗Sを縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを後側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の前方側に配置されていて苗取出爪41によって前記苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
【0045】
尚、苗トレイTは、薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、ソイルブロック苗Sが育成されている。
【0046】
苗取装置43は、前記苗取出爪41を具備すると共に、この苗取出爪41を駆動させる爪駆動機構44を有する。苗取出爪41は左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。爪駆動機構44は、苗取出爪41を苗トレイTと苗植付具42との間で苗取出爪41を姿勢変更しながら往復駆動させるもので、一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備している。
【0047】
この爪駆動機構44は、メインフレーム14と植付部ミッションケース30との間に両端が固定された連結フレーム48に下端が溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50に取付支持されている。この伝動ケース50は、左右両側に突出する入力軸51と右側に突出する出力軸52とを備えており、入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と前記植付部ミッションケース30の右側に突出する駆動軸54の先端に設けた駆動スプロケット55との間に駆動チェーン56を設けて、エンジン9からの動力が伝達される。この入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と植付部ミッションケース30の駆動軸54の駆動スプロケット55と両スプロケット53・55の間に設けた駆動チェーン56にて、苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2が構成されている。そして、前記出力軸52は、歯車伝動機構を介して入力軸51に連動連結されており、この出力軸52によって苗トレイ移動装置40が駆動される。
【0048】
前記入力軸51の伝動ケース50の左側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
【0049】
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、パイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内の苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
【0050】
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65にピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計方向の回転により案内板69をピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
【0051】
爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
【0052】
支持具47の下端部には、押出リンク77がピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けたピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45・基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
【0053】
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
【0054】
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出して苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
【0055】
尚、苗取出爪41が突出して苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
【0056】
この状態から、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
【0057】
その後、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
【0058】
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されている苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
【0059】
その後は、入力軸51の、図5の反時計方向の回転によって、図5に示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a・91bに左右方向移動自在に支持されている。この上案内レール91aは、メインフレーム14の後端に固着された横フレーム92と左右上連結体93にて連結支持されており、下案内レール91bは、第二植付伝動ケース32と支持体49と各々左右連結体94にて連結支持されている。そして、上下一対の案内レール91a・91bは、その左右端を左右縱フレーム95にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
【0060】
また、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
【0061】
左右側板97間下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に矢示Aで示す方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。尚、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
【0062】
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイTが装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
【0063】
苗載台90の載置板96の上端部には、樹脂材にてスノコ状に形成した平板よりなる延長苗載部300が回動自在に設けられている。即ち、載置板96の上端部に設けた回動支点軸301に延長苗載部300の基部が回動自在に装着されており、載置板96の苗トレイTを載置する載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1と載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2とに姿勢変更自在に設けられている。そして、この延長苗載部300に一体に設けたアーム302と後述の(苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする)植付昇降レバー203とを操作ワイヤ303にて連結し、機体旋回の為に植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように連係している。
【0064】
304は苗載台90の載置板96の上端部の左右両側に各々設けた左右トレイ受け具であって、載置板96の上端部の左右両側位置で各々上方に延びて内側に折れ曲がった形状をしており、この内側に折れ曲がった部分で苗トレイTの左右両側の苗が無い側部上面を支持できる構成となっている。即ち、延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更した時に、左右トレイ受け具304が苗トレイTの左右両側部を支えて、苗トレイTが前方に倒れたり折れ曲がったりして苗が損傷することを防止する。
【0065】
305は延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を規制する調節ボルトであって、該調節ボルト305の先端が延長苗載部300に一体に設けたアーム302と接当することによって、延長苗載部300の前方傾斜状態Z2の角度を規制する。即ち、調節ボルト305をアーム302側に突出させるほど、延長苗載部300の前方傾斜状態Z2に姿勢変更した時に調節ボルト305の先端がアーム302に接当するのが早くなり、前方傾斜状態の角度が小さくなる。柔らかい素材で形成された苗トレイTの場合は、延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を大きくすると、苗トレイTが前方に折れ曲がってしまい苗を傷めるので、調節ボルト305を調節して、延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を小さくする。
【0066】
上記のように機体の旋回時に植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するから、操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をする作業者の方に向かって延びている延長苗載部300が前方に向けて自動的に姿勢変更する為、作業者は延長苗載部300が邪魔にならず作業性良く旋回作業が行なえる。
【0067】
尚、上記実施例では、植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように連係した例を示したが、操縦ハンドル6の基部に歪センサを設けて、機体旋回時に作業者が操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をすると、該歪センサがこの機体後部を押し下げて機体の旋回操作を行なうことにより歪を検出し、該検出に基づいて電動モータにて延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように構成しても良い。
【0068】
ここで前記苗トレイTの横移動機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
【0069】
前記横移動軸105には、出力軸52から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aを経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。この伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aにて苗載台駆動系D3が構成されている。
【0070】
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によって苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に1ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている。尚、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
【0071】
次に、苗トレイTの縦移動機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
【0072】
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
【0073】
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
【0074】
310は横移動軸105を駆動回転して苗載台90を左右移動させる電動モータで、操作パネル202に設けて苗供給スイッチ311を押すと、作動して横移動軸105を駆動回転して苗載台90を左右一側端(例えば、機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の位置)に向けて、案内レール91aに設けた苗載台移動端検出センサ312により苗載台90が左右一側端にまで移動したことを検出するまで移動させる。
【0075】
従って、苗載台90に苗トレイTを載せて苗移植作業を開始する際に、該苗供給スイッチ311を押すと、苗載台90は左右一側端(例えば、機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の位置)まで移動して停止するので、苗移植作業開始時に必ず苗トレイTの端の苗から苗取装置43が苗を取出すことができ、苗を無駄にすることなく、且つ、作業性良く苗移植作業が行なえる。尚、縦移動従動軸99を駆動する電動モータ313を設けており、苗供給スイッチ311を押すと電動モータ313が作動して、苗載台90に載せた苗トレイTを苗取装置43が苗を取出す位置まで下方に送るように構成している。
【0076】
また、機体旋回時に(植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると)電動モータ310を作動させて、苗載台90を機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の端位置まで移動させ、旋回が終了すると(植付昇降レバー203にて植付クラッチの入操作又は機体の下降操作をすると)電動モータ310が作動した分だけ逆作動して苗載台90を元の位置に戻すように構成すると、機体の旋回時に操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をする作業者の方に向かって延びている延長苗載部300が操縦ハンドル6と左右方向で機体の反対側に移動するので、操縦ハンドル6前方に苗載台90がなくなり、作業者は延長苗載部300が邪魔にならず作業性良く旋回作業が行なえる。
【0077】
更に、傾斜地での旋回時において、機体左右傾斜検出用の振り子25にて検出した圃場面の高い側に電動モータ310を作動させて苗載台90を移動する構成にすると、バランス良く機体の旋回が行なえて、旋回作業が容易に行なえる。
【0078】
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
【0079】
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向後方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
【0080】
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9乃至図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
【0081】
前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
【0082】
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向後方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
【0083】
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向後方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
【0084】
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
【0085】
尚、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向後方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
【0086】
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段117によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
【0087】
尚、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
【0088】
ここで、入力軸51からの動力伝達機構及び苗トレイTの横移動機構の横移動量の切換え機構について説明する。図13乃至図15に示すように、入力軸51には欠歯歯車125がスプライン嵌合され、また、伝動ケース50内には、入力軸51及び出力軸52と平行に配置されて軸心廻りに回転自在に支持された中間軸126が設けられ、この中間軸126には、前記欠歯歯車125に噛合する伝動歯車127がスプライン嵌合されていて、入力軸51から中間軸126に間欠的に動力が伝達され、該中間軸126が間欠回転する。
【0089】
また、中間軸126には、軸心方向に間隔をおいて配置された第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129とが中間軸の軸心廻りに相対回転自在に外嵌され、一方、出力軸52には、第1横移動駆動歯車128に噛合する第1横移動従動歯車130と、第2横移動駆動歯車129に噛合する第2横移動従動歯車131とが一体回転自在に外嵌されている。
【0090】
また、中間軸126には、これら第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129との間にスプライン嵌合されていて、中間軸126と一体回転自在で且つ軸心方向移動自在とされたシフタ132が設けられている。このシフタ132には、第1横移動駆動歯車128に形成された第1噛合歯133に噛合する第1係合歯134が設けられると共に、第2横移動駆動歯車129に形成された第2噛合歯135に噛合する第2係合歯136が設けられている。
【0091】
従って、シフタ132を軸心方向に移動させて第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させると、第1横移動駆動歯車128、シフタ132、第1横移動従動歯車130を介して動力が伝達され、また、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させると、第2横移動駆動歯車129、シフタ132、第2横移動従動歯車131を介して動力が伝達されて、出力軸52が間欠回転され、前述したように、この出力軸52から横移動軸105に動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転される。
【0092】
そして、第1横移動駆動歯車128と第1横移動従動歯車130との回転比は、第2横移動駆動歯車129と第2横移動従動歯車131との回転比よりも大きくて、ポット部Pのピッチの異なる2種類の苗トレイTに対応して、該苗トレイTの横移動量が2段階に切換えられるようになっている。前記伝動ケース50の上面には、横送切換レバー137が配置されると共に、伝動ケース50には、該ケース50の上壁に形成された挿通孔138に上下軸廻りに回動自在に挿通された回動軸139が設けられ、この回動軸139の下端部には、シフタ132の周溝132aに挿入されるシフトピン140が固着されており、回動軸139の軸心廻りの回動動作によってシフトピン140が回動軸139の軸心廻りに揺動してシフタ132を中間軸126の軸心方向に移動させことができるようになっている。
【0093】
回動軸139の上部は挿通孔138から突出され、その突出部分の下部側に連動プレート141の一端側が一体回動するように嵌合され、この連動プレート141の他端側には係合ピン142が固定されている。回動軸139の突出部分の中間部には、カラー143が相対回動自在に外嵌され、回動軸139の突出部分の上部はネジ軸部144とされ、そのネジ軸部144に当板145及びワッシャ146が外嵌されると共に、ナット147が螺合されている。
【0094】
カラー143には前記横移動切換えレバー137が相対回動自在に外嵌され、この横移動切換えレバー137には、バネ受け部148が一体形成されている。また、カラー143の、横移動切換えレバー137と、連動プレート141及び当板145との間には、それぞれねじりコイルバネ149が外嵌されており、これらバネ149は互いに逆方向に捩じられていると共に該バネ149の一端部は係合ピン142に、他端部は横移動切換えレバー137のバネ受け部148に掛止されている。
【0095】
従って、横移動切換えレバー137を回動軸139の軸心廻りに回動操作するとバネ149を介して連動プレート141が同行回動し、回動軸139が回動され、シフタ132が中間軸126の軸心方向に移動されることとなり、横移動切換えレバー137を図15に実線で示す位置から仮想線で示す位置に、又は仮想線で示す位置から実線で示す位置に回動操作することで、苗トレイTの横移動量の切換えがなされるように構成されている。
【0096】
また、この苗トレイTの横移動量の切換え時において、第1係合歯134が第1噛合歯133に、又は第2係合歯136が第2噛合歯135に噛み合わないと、一方のバネ149がねじられて、回動軸139及び連動レバー125等が回動しなくても横移動切換えレバー137の回動操作が許容されるようになっており、この状態において、第1又は第2噛合歯133,135が第1又は第2係合歯134,136に噛み合う位置になると、前記ねじられた一方のバネ149の付勢力によって、回動軸139及び連動レバー125等が回動し、苗トレイTの横移動量の切換えが完了する。
【0097】
従って、苗トレイTの横移動量の切換え時にあっては、横移動切換えレバー137を操作するのに、第1又は第2係合歯134,136と第1又は第2噛合歯133,135とが噛み合うように各部のタイミングを合わせる必要がなく、横移動切換えレバー137を操作するだけで、バネチャージ機能により、切換えタイミングの合った位置で自動的に切換わるように構成され、苗トレイTの横移動量の切換えの容易化が図れている。
【0098】
伝動ケース50の上部には、ネジ孔150が形成されると共に、該ネジ孔150に螺合されるノブボルト151を備えており、横送切換レバー137には、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態と、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態とにおいて、前記ネジ孔150に一致する一対の挿通孔152が貫通形成されており、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態又は第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態で、ネジ孔150にノブボルト151を螺合させることによって、横送切換レバー137を固定できるようになっている。苗植付装置5は、下端が尖ったカップ状の苗植付具42を備えている。この苗植付具42は、前側部材42aと後側部材42bとからなっており、苗植付具42の後方に位置する前側部材回動軸161Aに回動自在に支持された左右前側部材取付アーム162Aに前側部材42aが一体に取り付けられ、苗植付具42の前方に位置する後側部材回動軸161Bに回動自在に支持された左右後側部材取付アーム162Bに後側部材42bが一体に取り付けられている。よって、回動軸161A・161Bを支点にして両部材42a・42bが回動すると、苗植付具42の下部が開閉する。前側部材取付アーム162Aと後側部材取付アーム162Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン163によって、前側部材42aと後側部材42bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム162Aの脚部162aAと後側部材取付アーム162Bの脚部162aBとの間に、前側部材42a及び後側部材42bを閉じる側に付勢するスプリング164が張設されている。この苗植付具42は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。
【0099】
第二植付伝動ケース32から上方に突出する支持部33aに後リンク支持アーム167Aが回動自在に取り付けられ、その支持アーム167Aに基部が枢着された後リンク168Aの後端に前側部材回動軸161Aが連結されている。後リンク168Aの中間部には、第二植付伝動ケース32の後端部に設けた後リンク駆動アーム169Aが連結されている。また、植付部ミッションケース30に前リンク支持アーム167Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク168Bの後端に後側部材回動軸161Bが連結されている。前リンク168Bの中間部には、第一植付伝動ケース31の後端部に設けた前リンク駆動アーム169Bが連結されている。両駆動アーム169A・169Bが駆動回転すると、後リンク168A及び前リンク168Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具42が一定姿勢のまま上下動する。
【0100】
後リンク168Aの基部には開閉アーム171が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム171の先端部と前側部材取付アーム162Aとが開閉ロッド172で連結されている。また、後リンク168Aの中間部には後リンク駆動アーム169Aと一体に回転する開閉カム173が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ174が開閉アーム171に設けられている。苗植付具42が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム173がローラ174に係合するようになっている。開閉カム173がローラ174に係合すると、開閉ロッド172が引かれ、前側部材42aと後側部材42bが互いに連動して回動し、苗植付具42が開く。開閉カム173がローラ174に係合しない時は、スプリング164の張力によって苗植付具42が閉じている。
【0101】
苗植付具42が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸161Aと後側部材回動軸161Bに取り付けられている筒状の苗案内176を通って苗植付具内に導かれる。苗を保持した苗植付具42が下降し、下死点では苗植付具42の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具42が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に開放する。そのまま苗植付具42が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具42が閉じる。
【0102】
尚、苗植付具42の苗植付性能を維持する為に、苗植付具42が圃場に苗を植付けて上昇する過程で苗植付具42の外周面及び内周面にゴム材等よりなるスクレパーを摺接させて、苗植付具42に付着した泥土を落とす構成が知られている。この苗植付具42の内周面に摺接するスクレーパは、苗植付具42が開いて上昇している過程で苗植付具42内にスクレーパが入り苗植付具42の上昇により苗植付具42の内周面の泥土を落とす構成であるが、苗植付具42内にスクレーパが入った直後に苗植付具42を少し閉じる構成にするとスクレーパーの苗植付具42内周面に摺接する抵抗が大きくなって良く泥土を落とすことができる。
【0103】
177は筒状の固定苗案内であって、前記下案内レール91bの前側に固定アーム178にて前に傾斜した姿勢で固定されており、前記苗取出爪41が苗トレイTから取出し苗Sを苗植付具42に上方から落下投入する際に、該苗Sを苗植付具42の苗案内176まで案内する為に設けられている。この固定苗案内177の前に傾斜した姿勢は、苗取出爪41から苗Sを爪案内体46が突出して押し出し離脱させる方向と同じ方向に傾斜してあり、苗取出爪41下方にある苗植付具42に上方から確実に苗を落下投入することができると共に、苗取出爪41から押し出されて離脱した苗Sの姿勢もこの前に傾斜した姿勢の固定苗案内177にて安定した状態で苗植付具42に落下投入され、苗の植付姿勢がとても良い。また、固定苗案内177は苗載台90を左右移動自在に支持する下案内レール91bに固定されているので、苗載台90上の苗トレイTと固定苗案内177との位置関係は、常に一定であり、苗取出爪41にて苗トレイTから取出し苗Sは確実に固定苗案内177内に安定して落下投入され、更に、苗の植付姿勢が安定する。
【0104】
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、191はヘアピンであって、ロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
【0105】
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0106】
また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネル202に、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204等が設けられている。図中の符号205は苗の植付間隔を調節する株間調節レバーである。
【0107】
一方、左グリップ6aの内方端部に苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作する植付昇降スイッチSAを設け、右グリップ6aの内方端部にメインクラッチの入・切操作をするメインクラッチスイッチSMを設ければ、作業者は左右グリップ6aを握って機体の操向操作を行いながら、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作やメインクラッチの入・切操作を該植付昇降スイッチSAやメインクラッチスイッチSMを操作して行なうことができて操作性が良い。更に、左右グリップ6aの内方端部に各々左右サイドクラッチを操作する左右サイドクラッチスイッチSCを設ければ更に、作業性が良い。
【0108】
360は作業者や苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bに対する日除けや雨避けになるルーフであって、ルーフ体360aの後部を操縦ハンドル6に基部を着脱自在に設けた後部フレーム361で支持し、ルーフ体360aの前部を左右予備苗載台36に基部を着脱自在に設けた前部フレーム362で支持して構成し、ルーフ体360aは機体側面視で前部が低くなった傾斜状に設けている。従って、該ルーフ360にて作業者や植付部1bの苗を強い陽射しや雨から守って作業性良く適切な苗移植作業が行える。また、納屋等に機体を収納する時などルーフ360が邪魔になる場合には、後部フレーム361及び前部フレーム362を各々操縦ハンドル6及び左右予備苗載台36から外して、ルーフ360を機体から取り外すことが容易に行える。また、後部フレーム361上端部とルーフ体360aとの結合部には位置調節部材363が設けられており、作業者の身長に応じてルーフ角度を変更して、後部作業者が位置するルーフ体360aの高さを調節することができる構成となっている。更に、ルーフ体360aの後部で作業者の左右側方に位置する部位には、ビニールより構成された左右フード364が設けられており、作業者に対する側方からの雨や風を防ぐことができるようになっており、作業環境を良好なものとすることができて作業性が良い。
【0109】
更に、前部フレーム362の下端部362aは、苗植付具42の上部近くに配置された構成となっており、雨の日の作業で圃場の土が泥状になって苗植付具42に付着し苗の移植作業を阻害するような事態になることを、ルーフ360が受けた雨を前部フレーム362を伝わせて下端部362aから苗植付具42にかかるようにして、雨によって苗植付具42の外側に付着した泥を洗い流して防止できるようになっている。従って、雨の日でも良好な苗移植作業が行える。
【0110】
上記の野菜移植機1にて野菜の苗を圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90に野菜苗が育苗された苗トレイTを装填する。そして、作業者は機体の後部で操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って右駆動走行装置2の後方の畝溝を歩きながら、メインクラッチレバー204(または、メインクラッチスイッチSM)を入操作して左右前輪3と左右駆動走行装置2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203(または、植付昇降スイッチSA)を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから苗取出爪41が苗を一つずつ取出して苗植付具42へ落下投入する。そして、苗植付具42が畝に苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0111】
そして、特に、上下方向に往復動して圃場に苗を植付ける苗植付装置5と苗載台90から苗を取出して下方に位置する苗植付装置5に移送する苗取装置43とを装備した苗移植機において、苗植付装置5への植付駆動伝動系D1を機体の左側方に配置すると共に、苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を機体の右側方に配置した苗移植機としたので、植付駆動伝動系D1と苗取出し駆動伝動系D2とが機体の左右両側に振り分けて配設され、苗植付装置5と苗取装置43との駆動伝動系が合理的で簡潔な構成となり、小型でコンパクトな構成となって、機械の操縦及び操作性(機体の取扱い性)が非常に良くて、能率の良い良好な苗の移植作業が行なえる。また、小型の機体構成であるから、その収納保管場所も狭くて良く優れている。
【0112】
また、側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられているので、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースを確保することができ、機体の前後長を短くした非常にコンパクトで簡潔な構成となっている。
【0113】
更に、植付部ミッションケース30の左側方に機体前後方向に配置した第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32とにて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1を構成すると共に、植付部ミッションケース30の右側方に苗取装置43の伝動ケース50へ動力を伝動する伝動部を配置して苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を構成したので、植付部ミッションケース30から苗植付装置5と苗取装置43との駆動伝動構成を植付部ミッションケース30を母体にして簡潔に構成できる。
【0114】
更に、苗載台90から苗を取出す苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を機体の右側方に配置すると共に、該苗取出し駆動伝動系D2から苗載台90を左右動する苗載台駆動系D3を設け、該苗載台駆動系D3を苗取出し駆動伝動系D2と同じ右側に配置した苗移植機としたので、関連のある苗取装置43の駆動伝動系と苗載台90を左右動する駆動伝動系が直列状となり、苗取装置43と苗載台90との駆動伝動が簡潔で安定したものとなり、苗載台90から苗取装置43が確実に苗を取出すことができ、苗の植付性能が良い。
【0115】
370は灌水装置であって、エンジン9後方のメインフレーム14上に基部を溶接固定した水タンク支持枠371に樹脂製の水タンク372を載置し、植付部ミッションケース30の上部前側に植付部ミッションケース30からの動力で駆動される灌水用ポンプ373を設けている。そして、該灌水用ポンプ373は、水タンク372から給水パイプ374にて水を吸い上げて、送水パイプ375にて苗植付装置5の苗植付具42内に水を供給する構成となっている。また、苗植付具42が畝に突入して開いて苗を開放した直後に、灌水用ポンプ373が苗植付具42内に水を供給する構成となっており、畝に植付けた苗に対して適切に灌水できると共に、植付後の苗植付具42内に付着している泥土を洗い流す作用もある。
【0116】
そして、水タンク372は、エンジン9後方の比較的に低い位置で機体の前後方向の中央部(機体の重心位置近傍)に載置された構成となっているので、水タンク37内の水の量が変動しても、機体の前後バランスや左右バランスに影響を及ぼすことが少なくて、走行性能が安定し、良好な苗移植作業が行える。
【0117】
また、畝上面を検出する上下制御用センサ26の畝に接当する底面に水分センサを設けて、該水分センサの畝水分量の検出に応じて、制御装置CPUにて灌水用ポンプ373の駆動を制御して、畝水分が多い場合は上記の灌水装置370の作動を停止し、畝水分が少ない場合は上記の灌水装置370を作動するように構成すれば、圃場に適した灌水作業と苗移植作業が効率よく且つ適切に行える。また、該水分センサの畝水分量の検出に応じて、制御装置CPUにて灌水用ポンプ373の駆動を制御して、畝水分が適切になるように灌水用ポンプ373の灌水量を制御する構成としても良い。
【0118】
一方、送水パイプ375の先端を苗植付具42から外して、灌水用ポンプ373を連続駆動に切替えて、送水パイプ375にて水を散水できる構成すれば、該送水パイプ375にて作業後に車輪3・2a等を洗うことができ、圃場外に圃場の泥土をまき散らすことを防止できて周囲の環境を保全することができる。尚、灌水用ポンプ373に装着した別の長い散水パイプを機体に装備しておき、灌水用ポンプ373の送水を該散水パイプ側に切替えて、該散水パイプにて車輪2・3a等を洗う構成としても良い。
【0119】
次に、図19及び図20に示す他の例について、説明する。
左右駆動ケース381の前部を走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右筒部380に各々固定し、左右駆動ケース381の後部をメインフレーム14に固定し、該左右駆動ケース381の前部と後部に左右前車輪駆動ケース382Fと左右後車輪駆動ケース382Rを各々設けた構成とし、走行部ミッションケース7から左右筒部380を介して左右前車輪駆動ケース382F内に駆動軸にて駆動力を伝達し、更に、左右前車輪駆動ケース382F部から左右駆動ケース381内の駆動伝動チェーンにて左右後車輪駆動ケース382Rに駆動力を伝達する構成としている。
【0120】
そして、左右前車輪駆動ケース382Fから下方に向けて上下方向に上下方向に進出及び退入自在に左右前伸縮駆動軸383Fを各々突出して設け、左右前可動ケース384F内に左右前伸縮駆動軸383Fにて各々動力を伝達する構成とし、該左右前可動ケース384Fは上端が左右駆動ケース381に各々固着された左右前電動シリンダー385Fから下方に向けて左右前伸縮駆動軸383Fと各々平行に設けた左右前ピストン386F(左右前ピストン386Fは、左右前電動シリンダー385Fにて上下方向に進出及び退入する)の下端と固着している。そして、左右前可動ケース384Fに各々左右駆動前輪3を軸架して駆動する構成となっている。従って、左右前電動シリンダー385Fを各々作動させて左右前ピストン386Fを上下方向に進出及び退入させることによって、左右駆動前輪3を各々上下動することができる構成となっている。
【0121】
また、左右後車輪駆動ケース382Rから下方に向けて上下方向に上下方向に進出及び退入自在に左右後伸縮駆動軸383Rを各々突出して設け、左右後可動ケース384R内に左右後伸縮駆動軸383Rにて各々動力を伝達する構成とし、該左右後可動ケース384Rは上端が左右駆動ケース381に各々固着された左右後電動シリンダー385Rから下方に向けて左右後伸縮駆動軸383Rと各々平行に設けた左右後ピストン386R(左右後ピストン386Rは、左右後電動シリンダー385Rにて上下方向に進出及び退入する)の下端と固着している。そして、左右後可動ケース384Rに各々左右駆動後輪2を軸架して駆動する構成となっている。従って、左右後電動シリンダー385Rを各々作動させて左右後ピストン386Rを上下方向に進出及び退入させることによって、左右駆動後輪2を各々上下動することができる構成となっている。
【0122】
そして、左右駆動前輪3は走行部ミッションケース7の左右側方位置で接地し、左右駆動後輪2は苗供給装置4の左右側方位置で接地するように配置されているので、機体の前後バランスが最適な状態で走行することができて良好な苗移植作業が行える。
【0123】
走行部1aには機体に対し左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2を各々上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Y’が設けられている。この機体制御機構Y’は、上記左右前電動シリンダー385F、左右後電動シリンダー385R、機体の左右傾斜を検出する振り子式センサ25、畝上面を検出する上下制御用センサ26、及び振り子式センサ25の機体左右傾斜検出又は上下制御用センサ26の畝上面位置検出にて左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを制御作動させる制御装置CPUにて構成されている。
【0124】
ここで機体制御機構Y’の作動について説明すると、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、その上回動を上動センサUSが検出し、下回動を下動センサDSが検出する。即ち、畝が高くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを全て作動させて左右前ピストン386F及び左右後ピストン386Rが全て同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2が全て同量だけ下動する。この全車輪2・3の下動は、上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。逆に、畝が低くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを全て作動させて左右前ピストン386F及び左右後ピストン386Rが全て同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2が全て同量だけ上動する。この全車輪2・3の上動は、上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。このようにして、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、上下制御用センサ26の角度が元に戻る方向に制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0125】
尚、上記上下制御用センサ26はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、上下制御用センサ26は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0126】
また、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾くと、機体の左右傾斜により振り子式センサ25が左右に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出し、右揺動を右傾斜センサRSが検出する。即ち、機体の左側が低くなるように左傾斜すると振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左前電動シリンダー385F及び左後電動シリンダー385Rを共に作動させて左前ピストン386F及び左後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左駆動前輪3及び左駆動後輪2が同量だけ下動する。この左駆動前輪3及び左駆動後輪2の下動は、振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。逆に、機体の右側が低くなるように右傾斜すると振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが右前電動シリンダー385F及び右後電動シリンダー385Rを共に作動させて右前ピストン386F及び右後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、右駆動前輪3及び右駆動後輪2が同量だけ下動する。この右駆動前輪3及び右駆動後輪2の下動は、振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。このようにして、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾いて振り子式センサ25が左右に揺動すると、振り子式センサ25が元に戻る方向に制御装置CPUが左又は右前電動シリンダー385F及び後電動シリンダー385Rを作動させる。これにより、機体を水平状態に維持するように制御し、常に適切な苗の植付けが行われるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0127】
左右グリップ6aの前下側には各々2段階に握り操作できる左右サイドクラッチレバー201が設けられている。左右サイドクラッチレバー201を1段握り操作すると、握った側の駆動前輪3のみの駆動が切れて(握った側の駆動後輪2は駆動された状態のままである)、握った側の方向へ機体を微調節での操向操作が行える。圃場での苗移植作業時の畝に沿った機体操向操作では、この左右サイドクラッチレバー201の1段だけの握り操作で機体を微調節で畝に沿うように操向操作できるので、苗移植作業が容易に行えて作業性が良い。そして、左右サイドクラッチレバー201を2段握り操作すると、握った側の駆動前輪3及び駆動後輪2の駆動が共に切れて、握った側の方向へ大きく操向操作することができる。圃場での苗移植作業時に、圃場端(畝端)で機体を旋回操作する際には、この左右サイドクラッチレバー201の2段握り操作で機体を大きく操向操作できるので、機体の旋回が容易に行えて作業性が良い。
【0128】
また、左右グリップ6aの各々内方端部には、左傾斜スイッチLSWと右傾斜スイッチRSWを設けており、作業者が左グリップ6aの内方端部に設けた左傾斜スイッチLSWを左手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが左前電動シリンダー385F及び左後電動シリンダー385Rを共に作動させて左前ピストン386F及び左後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左駆動前輪3及び左駆動後輪2が同量だけ下動する。逆に、作業者が右グリップ6aの内方端部に設けた右傾斜スイッチRSWを右手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが右前電動シリンダー385F及び右後電動シリンダー385Rを共に作動させて右前ピストン386F及び右後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、右駆動前輪3及び右駆動後輪2が同量だけ下動する。
【0129】
従って、例えば、山間地で圃場が山の傾斜面にあり、畝の左右で左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2の接地高さが異なるような場合、どうしても機体は斜面の低い側に進行しようとするが、この時、上記の左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを操作して斜面の低い側の駆動前輪3及び駆動後輪2を下動させて機体の左右傾斜を山側に傾斜させると、機体は斜面の低い側に進もうとすることが防止されて、機体は畝に沿って走行することができ、良好な苗移植作業が行なえる。このように、圃場条件に合わせて機体の左右傾斜角度を自由に設定できて、良好な苗移植作業が行なえ且つ作業性が向上する。
【0130】
また、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた後に、再び、同じ傾斜スイッチLSW(又は、RSW)を押し操作すると、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になる。
【0131】
なお、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた状態で作業をしている時に、下記の植付昇降レバー203にて植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をすると(植付昇降レバー203が植付クラッチ切操作位置になったことをスイッチが検出した時や植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことをスイッチが検出した時)、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、機体旋回時には必ず植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をするので、機体旋回時に自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて旋回時の機体操向操作が容易に行えて作業効率が良い。また、主変速装置が路上走行速に変速操作された時も、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、路上走行時には必ず自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて路上走行時の機体操作が容易に行えて機体操作性が良い。
【0132】
一方、機体を旋回させる場合に、何らかの旋回操作をすると、具体的には操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を機体上昇位置に操作すると、植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて左右前電動シリンダー385Fを作動させて左右前ピストン386Fが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左右駆動前輪3が最大下降位置まで下動し、同時に、左右後電動シリンダー385Rを作動させて左右後ピストン386Rが同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動後輪2が最大上昇位置まで上動するように制御する構成にすると、機体旋回時に作業者は容易に操縦ハンドル6を引き上げて機体後部を上昇させて左右駆動後輪2を上昇させて左右駆動前輪3のみを接地させて、機体の旋回操作を行える。よって、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0133】
また、機体を旋回させる場合に、何らかの旋回操作をすると、具体的には操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を機体上昇位置に操作すると、植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて左右前電動シリンダー385Fを作動させて左右前ピストン386Fが同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動前輪3が最大上昇位置まで上動するように制御する構成にすると、機体旋回時に作業者は左右駆動前輪3のみを接地させて、機体の旋回操作を容易に行える。この旋回時に、左右駆動前輪3は上昇しているので、畝に左右駆動前輪3が接当して旋回の邪魔になるようなことがなく、容易な旋回操作が行える。また、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0134】
尚、上記実施例においては、畝に移植する作業例を示したが、平らな圃場に苗を移植する場合も同様である。また、野菜苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、い草や花等の如何なる苗でも良い。
【符号の説明】
【0135】
2 左右駆動走行装置
2a 駆動後輪
3 左右前輪
5 苗植付装置
6 操縦ハンドル
42 苗植付具
【技術分野】
【0001】
この発明は、野菜等の苗を圃場に植付ける苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来例としては、機体に6個の車輪を設けた苗移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の苗移植機の車輪は、左右遊転前輪と左右駆動輪と左右遊転後輪とから構成された6輪構成であり、駆動輪は左右駆動輪のみであって、その駆動推進力には未だ課題があった。また、6輪が連動して上下動する構成ではなく、機体の前後姿勢が左右駆動輪の上下動で変動してしまって、適切な苗移植作業には未だ課題があった。また、機体旋回時に車輪を連動させて上昇させるような技術思想もなく、旋回時の操作性においても未だ課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右前輪3と左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設け、左右各々複数個の駆動後輪2aが接地した状態で左右駆動走行装置2を上下移動自在に設けた苗移植機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明は、左右前輪3及び左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、6輪以上の車輪構成の苗移植機となり、然も、左右各々複数個の駆動後輪2aは駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや所定の株間となる適切な苗移植作業が行なえる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、機体側面視で左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aの略中間位置に苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成とした請求項1記載の苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となり、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、機体後部に操縦ハンドル6を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aを上昇させる構成とした請求項1または請求項2記載の苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明の作用に加えて、機体を旋回させる場合、機体の旋回操作に連繋して左右駆動走行装置2の最後部の駆動後輪2aが自動的に上昇するので、作業者は操縦ハンドル6を押し下げて、機体後部を下降させて左右前輪3を圃場面から浮かせて前側の駆動後輪2aを接地させて機体を旋回させることができ、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、左右前輪3及び左右各々複数個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、6輪以上の車輪構成の苗移植機となり、然も、左右各々複数個の駆動後輪2aは駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや所定の株間となる適切な苗移植作業が行なえる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右駆動走行装置2の複数個の駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となり、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加えて、機体を旋回させる場合、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】野菜移植機の全体側面図である。
【図2】野菜移植機の全体平面図である。
【図3】走行部と植付部の連結部分の斜視図である。
【図4】上下制御用センサ26部の斜視図である。
【図5】苗取装置43部の側面図である。
【図6】苗取装置43部の平面図である。
【図7】苗載台90の平面図である。
【図8】苗トレイ移動装置部の平面断面図である。
【図9】苗載台90の作用説明側面断面図である。
【図10】苗載台90の作用説明平面図である。
【図11】苗載台90の作用説明正面断面図である。
【図12】規制手段116の作用説明斜視図である。
【図13】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す側面断面図である。
【図14】横移動量の切換え機構部の伝動構造を示す平面断面展開図である。
【図15】横移動切換えレバー137部の平面図である。
【図16】機体制御機構Yの作動説明用平面図である。
【図17】苗植付装置5の側面図である。
【図18】苗植付装置5の平面図である。
【図19】他の例を示す野菜移植機の要部側面図である。
【図20】他の例を示す野菜移植機の全体平面図である。
【図21】他の例を示す機体制御機構Y’の作動説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施例として苗移植機の一例である野菜移植機を図面に基づき詳細に説明する。この野菜移植機1は、左右各々2個の駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2と左右前輪3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bで苗トレイ内の野菜のポット苗を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、畝U間を歩きながら機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向操作する。以下、各部の構成について説明する。尚、左右駆動走行装置2は、2個の前後駆動後輪2aを装備した例を示すが、3個以上の多輪構成でも良いことは謂うまでもない。
【0016】
走行部1aは、走行部ミッションケース7の前部にエンジン9が配置されている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上部をボンネット12が覆っている。走行部ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6の前端部が回動調節自在に取り付けられており、操縦ハンドル6の左右グリップ6aは高さ調節できるようになっている。
【0017】
走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右回動筒部15に左右第1駆動ケース16aの前部が一体に取り付けられ、その第1駆動ケース16aの前端部が固着された左右回動筒部15内に左右駆動軸7aを走行部ミッションケース7の左右に突出して設けている。そして、左右第1駆動ケース16aの後端部には左右第1駆動車軸7bを左右第1駆動ケース16aの左右に各々突出して設け、該左右第1駆動車軸7bに左右第2駆動ケース16bの前部を回動自在に設けている。また、左右第2駆動ケース16bの後端部には、左右第2駆動車軸7cが各々設けられている。そして、左右第1駆動ケース16a内の左右駆動軸7aと左右第1駆動車軸7bとの間に各々伝動チェーンを設け、また、左右第2駆動ケース16b内の左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cとの間に各々伝動チェーンを設け、左右駆動軸7aにて左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cを各々駆動して、左右第1駆動車軸7bと左右第2駆動車軸7cに各々軸架した駆動後輪2aを回転駆動する構成となっている。
【0018】
そして、左右回動筒部15に各々基部を固着した左右スイングアーム15aと左右第2駆動ケース16b後部に基部を固着した従動アーム15bとを左右連結体15cで各々連結している。従って、左右第1駆動ケース16aを左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部を上下動させると、前後2個の駆動後輪2aが共に接地した状態で共に同量だけ上下動する。
【0019】
また、左右連結体15cには、各々左右電動シリンダー15dが設けられており、後述の制御装置CPUや手動操作にて左右連結体15cの長さを変更できるようになっており、前後2個の駆動後輪2aが共に接地した状態と前後2個の駆動後輪2aのうちの前側の駆動後輪2aのみが接地した状態とに変更できるように構成されている。即ち、図1の状態から電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さが短くなると、第2駆動ケース16bは第1駆動車軸7bを回転中心にして後部が上昇作動するので、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となる。
【0020】
これは、機体を旋回させる場合には、操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を操作して左右駆動走行装置2の後部を最下動させて機体を上昇させて旋回するが、この機体旋回直前の植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さを短くし、第2駆動ケース16bの後部を上昇作動させ、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態とすれば、作業者は操縦ハンドル6を押し下げて、機体後部を下降させて左右前輪3を圃場面から浮かせて前側の駆動後輪2aのみを接地させて機体を旋回させることができ、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0021】
走行部1aには機体に対し左右駆動走行装置2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Yが設けられている。この機体制御機構Yは、走行部ミッションケース7後方のメインフレーム14に基部を溶接固定した支持柱20の上部に設けた左右電動モータ21、左右電動モータ21にて各々駆動される左右駆動歯車22、左右回動筒部15の外周に各々固着された左右従動歯車23、左右駆動歯車22と左右従動歯車23の間に各々設けられた左右伝動チェーン24、機体の左右傾斜を検出する振り子式センサ25、畝上面を検出する上下制御用センサ26、及び振り子式センサ25の機体左右傾斜検出又は上下制御用センサ26の畝上面位置検出にて左右電動モータ21を制御作動させる制御装置CPUにて構成されている。
【0022】
ここで機体制御機構Yの作動について説明すると、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、その上回動を上動センサUSが検出し、下回動を下動センサDSが検出する。即ち、畝が高くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させて左右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左右伝動チェーン24を介して左右従動歯車23もイ方向に回転し、左右第1駆動ケース16aが左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。逆に、畝が低くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させて左右駆動歯車22を図1でロ方向に回転させる。すると、左右伝動チェーン24を介して左右従動歯車23もロ方向に回転し、左右第1駆動ケース16aが左右回動筒部15と共に左右駆動軸7aを回転中心にして各々後部が上動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ上動する。この前後2個の駆動後輪2aの上動は、上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。このようにして、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、上下制御用センサ26の角度が元に戻る方向に制御装置CPUが左右電動モータ21を作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0023】
尚、上記上下制御用センサ26はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、上下制御用センサ26は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0024】
また、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾くと、機体の左右傾斜により振り子式センサ25が左右に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出し、右揺動を右傾斜センサRSが検出する。即ち、機体の左側が低くなるように左傾斜すると振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左電動モータ21を作動させて左駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左伝動チェーン24を介して左従動歯車23もイ方向に回転し、左第1駆動ケース16aが左回動筒部15と共に左駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。逆に、機体の右側が低くなるように右傾斜すると振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが右電動モータ21を作動させて右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、右伝動チェーン24を介して右従動歯車23もイ方向に回転し、右第1駆動ケース16aが右回動筒部15と共に右駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。この前後2個の駆動後輪2aの下動は、振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。このようにして、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾いて振り子式センサ25が左右に揺動すると、振り子式センサ25が元に戻る方向に制御装置CPUが左又は右電動モータ21を作動させる。これにより、機体を水平状態に維持するように制御し、常に適切な苗の植付けが行われるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0025】
操縦ハンドル6は、両端が後方に延び、その最端部が機体内方に折れ曲がった形状にして、その折れ曲がった最端部に左右グリップ6aが取り付けられている。旋回時や路上走行時には、作業者が左右グリップ6aを握って操縦する。
【0026】
左右グリップ6aの前下側には各々左右サイドクラッチレバー201が設けられている。そして、左右サイドクラッチレバー201を握り操作すると、握った側の駆動走行装置2への駆動が切れて、握った側の方向へ機体を操向操作することができる。この時、左右サイドクラッチレバー201の各々の基部には、サイドクラッチレバー201を握ってサイドクラッチを切り操作したことを検出するサイドクラッチ操作検出スイッチSSWが設けられており、該サイドクラッチ操作検出スイッチSSWがサイドクラッチレバー201を握ってサイドクラッチを切り操作したことを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力されて、該制御装置CPUにてサイドクラッチレバー201を握った側の電動シリンダー15dを縮小して連結体15cの長さを短くし、第2駆動ケース16bの後部を上昇作動させ、前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となり、即ち、サイドクラッチレバー201を握った側の駆動走行装置2の前後2個の駆動後輪2aのうちの後側の駆動後輪2aが上昇して前側の駆動後輪2aのみが接地した状態となり、旋回内側の駆動後輪2aが1個のみ接地した状態で駆動が切れて遊転輪状態となるので、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0027】
また、左右グリップ6aの各々内方端部には、左傾斜スイッチLSWと右傾斜スイッチRSWを設けており、作業者が左グリップ6aの内方端部に設けた左傾斜スイッチLSWを左手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが左電動モータ21を作動させて左駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、左伝動チェーン24を介して左従動歯車23もイ方向に回転し、左第1駆動ケース16aが左回動筒部15と共に左駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。逆に、作業者が右グリップ6aの内方端部に設けた右傾斜スイッチRSWを右手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが右電動モータ21を作動させて右駆動歯車22を図1でイ方向に回転させる。すると、右伝動チェーン24を介して右従動歯車23もイ方向に回転し、右第1駆動ケース16aが右回動筒部15と共に右駆動軸7aを回転中心にして後部が下動し、前後2個の駆動後輪2aが共に同量だけ下動する。
【0028】
従って、例えば、山間地で圃場が山の傾斜面にあり、畝の左右で左右駆動走行装置2の接地高さが異なるような場合、どうしても機体は斜面の低い側に進行しようとするが、この時、上記の左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを操作して斜面の低い側の駆動走行装置2を下動させて機体の左右傾斜を山側に傾斜させると、機体は斜面の低い側に進もうとすることが防止されて、機体は畝に沿って走行することができ、良好な苗移植作業が行なえる。このように、圃場条件に合わせて機体の左右傾斜角度を自由に設定できて、良好な苗移植作業が行なえ且つ作業性が向上する。
【0029】
また、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた後に、再び、同じ傾斜スイッチLSW(又は、RSW)を押し操作すると、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になる。
【0030】
なお、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた状態で作業をしている時に、下記の植付昇降レバー203にて植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をすると(植付昇降レバー203が植付クラッチ切操作位置になったことをスイッチが検出した時や植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことをスイッチUSWが検出した時)、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、機体旋回時には必ず植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をするので、機体旋回時に自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて旋回時の機体操向操作が容易に行えて作業効率が良い。また、主変速装置が路上走行速に変速操作された時も、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、路上走行時には必ず自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて路上走行時の機体操作が容易に行えて機体操作性が良い。
【0031】
また、エンジン9の下側に機体左右方向に設けた左右前輪支持軸17を各々独立して回転自在に設け、該左右前輪支持軸17の各左右両端部に各々左右前輪支持アーム17aを前方に向けて延設し、該左右前輪支持アーム17aの下端部に各々左右前輪3が遊転自在に枢支されている。そして、左右前輪支持軸17には、各々左右連係アーム17bが後方に向けて延設されており、該左右連係アーム17bの後端部と左右回動筒部15に基部を固着し前方に向けて延設した左右前輪スイングアーム17cの前端部とを連結アーム17dにて連繋した構成となっている。従って、左右駆動走行装置2を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Yが作動して左右駆動走行装置2が上下動すると、その左右駆動走行装置2の上下動に連動して同方向に同量だけ左右前輪3が上下動する構成となっている。よって、機体制御機構Yにより、左右駆動走行装置2の左右前後駆動後輪2a及び左右前輪3の6輪が上下に同期して上下動する。
【0032】
上記のように左右前輪3及び左右各々2個の前後駆動後輪2aを装備した左右駆動走行装置2を設けた苗移植機としたので、車輪が6輪構成の移植機となり、然も、左右前後駆動後輪2aの4輪は駆動輪である為に、傾斜地や湿地の圃場でも優れた直進性能及び推進性能を発揮し、スリップ率の少ない優れた走行性能で真っ直ぐな苗の植付けや株間が一定となる適切な移植作業が行なえる。
【0033】
また、機体側面視で前後駆動後輪2aの略中間位置に下記苗植付装置5の苗植付具42にて圃場に苗を移植する構成としているので、前後駆動後輪2aが接地して機体を推進している部位の前後中間位置(前後駆動後輪2aが圃場面を確りと捉えて、スリップや機体の蛇行を防止し、機体を直進させている位置)で苗植付具42にて苗を畝に移植する構成となっており、苗植付具42による畝への苗の移植位置が左右にずれることが防止できて、良好な苗移植作業が行える。
【0034】
一方、図1・図2等の実線で示す図例では、左右第1駆動ケース16aの機体内側に各々左右第2駆動ケース16bを装着し、左右第2駆動ケース16bの機体内側に各々左右前後駆動後輪2aを装着した例を示したが、左右第1駆動ケース16aの機体外側に設けた左右第1駆動車軸7bに各々左右第2駆動ケース16bを装着(左右第1駆動ケース16aの機体外側に各々左右第2駆動ケース16bを装着)し、左右第2駆動ケース16bの機体外側に各々左右前後駆動後輪2aを装着しても良い(図2に仮想線で示す)。このように構成すれば、左右前後駆動後輪2aの左右間隔が広く構成でき(トレッドが広く構成でき)て、傾斜地での機体横ずれが更に防止され走行性能が更に良くなり、更に良好な苗移植作業が行える。また、トラック等への機体の積み込みや機体降ろし作業が安定して容易に行える。
【0035】
尚、左右駆動走行装置2の各後側の後駆動後輪2aをクラッチ装置を介して駆動する構成とし、該クラッチ装置を切り操作した時には、左右駆動走行装置2の各前側の前駆動後輪2aのみが駆動される2輪駆動状態となり、該クラッチ装置を入り操作した時には、左右駆動走行装置2の各前後駆動後輪2aが駆動される4輪駆動状態となるように構成すれば、圃場条件に応じて駆動走行形態を自由に変更できて、圃場適応性が向上する。例えば、マルチフィルムを張った圃場では、2輪駆動状態とした方がマルチフィルムを車輪で破ることが少なくて良好な苗移植作業が行える(前後駆動後輪2aを共に駆動した場合には、前後駆動後輪2aのスリップ率の差異によりマルチフィルムを引張るような作用が生じて破ってしまうことがある)。
【0036】
植付部1bは、前記連結フレーム13の上面に走行部ミッションケース7から伝動される植付部ミッションケース30の下部が固着され、該植付部ミッションケース30の上部に第一植付伝動ケース31の基部が固着され、更に該第一植付伝動ケース31の先端部に第二植付伝動ケース32の基部が固着されている。そして、第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32に後述する苗植付装置5の各作動機構が連結されており、この第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32にて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1が構成されている。苗植付装置5の後記苗植付具42は、走行部1aの後部側に配置している。
【0037】
また、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した機体側面視でT字状の左右フレーム34に、機体の左右に苗トレイTを各々3個ずつ段状に載せられる三段の左右予備苗載台36が取り付けられている。そして、左右予備苗載台36は、左右駆動走行装置2の上方近くに配置され、三段の内の最下段の予備苗載台36が後述の植付部1bの苗載台90下端及び左右方向に配置された苗載台90の下案内レール91bよりも低い位置に配置され、三段の内の最上段の予備苗載台36が前後傾斜して設けた苗載台90の下端部と同じ高さになるように配置されており、従って、左右予備苗載台36は左右駆動走行装置2の上方近くで機体の低い位置に配置された構成となっている。また、左右予備苗載台36は機体の前後方向で機体の中央部に配置された構成となっている。
【0038】
従って、左右予備苗載台36は、機体の前後方向で機体の中央部に配置され、然も、左右駆動走行装置2の上方近くで機体の低い位置に配置された構成となっているので、機体の重心が低くなり、走行性能及び機体の取り扱いが容易となって、適切な苗移植作業が効率よく行なえる。また、左右予備苗載台36は機体の前後方向で機体の中央部に配置されて、機体前部に配置された燃料タンク11の燃料タンクキャップ(蓋)11aよりも機体後方に配置された構成となっているので、作業者が燃料タンクキャップ(蓋)11aを開けて燃料タンク11に燃料を入れる際に、左右予備苗載台36が邪魔にならず容易に燃料供給作業が行なえて、作業性及び作業効率が良い。また、左右予備苗載台36が左右駆動走行装置2の上方近くに配置された構成となっているので、該左右予備苗載台36が左右駆動走行装置2の左右前後駆動後輪2aのカバーを兼用した作用をなし、特別な車輪カバーを省略した廉価な構成とすることができる。尚、上例では、植付部ミッションケース30の上部に基部を固着した機体側面視でT字状の左右フレーム34で左右予備苗載台36を支持した例を示したが、左右第2駆動ケース16b上部に各々左右フレームを設けて、左右予備苗載台36を支持する構成にしても良い。
【0039】
また、三段の内の最下段の予備苗載台36が後述の植付部1bの苗載台90下端及び左右方向に配置された苗載台90の下案内レール91bよりも低い位置に配置されているので、操縦ハンドル6を握って機体を操作する機体後部に居る作業が、予備苗載台36から苗トレイTを容易に取出して苗載台90に載置することができ、また、苗載台90の移植作業を終えて空になった苗トレイTを予備苗載台36に載置する作業も容易に行なえて、苗移植作業が容易に且つ効率良く行なえる。
【0040】
また、左右予備苗載台36は、機体平面視で苗載台90の上下一対の案内レール91a・91bの左右外端を連結する左右縱フレーム95よりも機体内方に配置した構成(左右縱フレーム95の左右幅から左右予備苗載台36が機体左右方向に突出しない構成)としている。従って、機体走行時や機体を納屋等に収納する場合に、左右予備苗載台36が左右縱フレーム95の左右幅から機体左右方向に突出していないので、左右予備苗載台36が機体走行時の邪魔にならず走行操作が容易であり、また、機体収納場所も狭くて良い。
【0041】
また、左右予備苗載台36の苗トレイTを載置する載置面を正面視で外側が高く内側が低くなるようにした場合(左右予備苗載台36の苗トレイTを載置する載置面が、機体左右外側が高く、機体中央側が低くなるようにした構成した場合)には、左右予備苗載台36の左右外側が高い位置となるので、作業者が機体の外方に立って左右予備苗載台36から苗トレイTを取出したり入れたりする作業が容易に行なえて作業効率が良い。また、左右予備苗載台36に載置された苗トレイTは機体内方に向いて傾斜した姿勢となるので、苗トレイTの荷重が機体内方の機体左右中心側に向いて作用し、機体の左右バランスが良くなり、機体の走行性能が向上し、良好な苗移植作業が行なえる。また、左右予備苗載台36に載置された苗トレイTが機体左右外方に落ちることを防止できる。
【0042】
図3に示すように、植付部ミッションケース30の入力軸30aは該ケースの下端部から前方に突出しており、これを走行部ミッションケース7のPTO取出部7aに挿入することにより、該PTO取出部内の走行部側の軸に伝動連結するようになっている。また、植付部ミッションケース30は、前記連結フレーム13にボルト35…によって着脱自在に取り付けられている。このため、ボルト35…を外し、PTO取出部7aから入力軸30aを抜くことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外せることができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行なえる。
【0043】
側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられている。この構成とすることにより、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースが確保されている。
【0044】
苗供給装置4は、メイフレーム14の上方後方側に配置されており複数個のソイルブロック苗Sを縦方向と横方向とに多数収容した苗トレイTを後側が高くなるように傾斜して載置支持すると共に、縦及び横方向に間欠移動する苗トレイ移動装置40と、この苗トレイ移動装置40の前方側に配置されていて苗取出爪41によって前記苗トレイTから苗を一つずつ取出して苗植付具42へと搬送する苗取装置43とから構成されている。
【0045】
尚、苗トレイTは、薄肉に形成されて可撓性を有するプラスチック製で、縦方向及び横方向に所定のピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部Pを有し、ポット部Pの開口縁部が互に平面状に連結されて成型されている。そして、ポット部Pに充填した床土に播種し育苗することで、ソイルブロック苗Sが育成されている。
【0046】
苗取装置43は、前記苗取出爪41を具備すると共に、この苗取出爪41を駆動させる爪駆動機構44を有する。苗取出爪41は左右一対の先端が尖った丸棒材で構成されており、先端側ほど相互に近接するように設けられている。爪駆動機構44は、苗取出爪41を苗トレイTと苗植付具42との間で苗取出爪41を姿勢変更しながら往復駆動させるもので、一対の苗取出爪41が取付けられる爪支持体45と、一対の苗取出爪41の進退を案内する爪案内体46と、前記爪支持体45及び爪案内体46をそれぞれ長手方向往復動自在に支持する支持具47とを具備している。
【0047】
この爪駆動機構44は、メインフレーム14と植付部ミッションケース30との間に両端が固定された連結フレーム48に下端が溶接固定された板材からなる支持体49に取付けられた伝動ケース50に取付支持されている。この伝動ケース50は、左右両側に突出する入力軸51と右側に突出する出力軸52とを備えており、入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と前記植付部ミッションケース30の右側に突出する駆動軸54の先端に設けた駆動スプロケット55との間に駆動チェーン56を設けて、エンジン9からの動力が伝達される。この入力軸51の右側先端に設けた受動スプロケット53と植付部ミッションケース30の駆動軸54の駆動スプロケット55と両スプロケット53・55の間に設けた駆動チェーン56にて、苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2が構成されている。そして、前記出力軸52は、歯車伝動機構を介して入力軸51に連動連結されており、この出力軸52によって苗トレイ移動装置40が駆動される。
【0048】
前記入力軸51の伝動ケース50の左側に突出した先端にはクランク57が設けられ、このクランク57にクランクピン58が側方に突設され、また、入力軸51には、クランク57と同軸心で駆動カム59が設けられている。伝動ケース50の左側下部には、揺動アーム60の下部が揺動軸61を介して左右軸廻りに回動自在に枢結されており、この揺動アーム60の中途部には上下方向(アーム長手方向)に延びる溝カム62が形成され、この溝カム62には、クランク57のクランクピン58に外嵌されたローラ63が挿通係合されている。
【0049】
揺動アーム60の上部には支持具47がピン64を介して枢結され、この支持具47は、パイプ製の爪支持体45を軸方向移動自在に挿通案内する筒部47aを備えており、前記爪支持体45が苗トレイTに向かって出退可能とされている。また、この爪支持体45の先端部に、ポット部P内の苗Sのブロック土に斜め方向から突き刺される前記一対の苗取出爪41が取付けられている。
【0050】
また、伝動ケース50の上面には板状の支持部材65がボルトにより取付固定され、支持具47にはブラケット66を介して遊転自在にローラ67が取付けられ、このローラ67は、支持部材65にピン68を介して揺動自在に取付けられた案内板69に形成されたカム溝70に係合されている。前記案内板69は下方への突出腕の先端に転動ローラ71を有し、この転動ローラ71は駆動カム59上に当接されていて、駆動カム59の図5で反時計方向の回転により案内板69をピン68を中心として揺動可能にしている。また、案内板69は、支持部材65との間に介装されたスプリング72によって、ローラ71が駆動カム59に押し付けられる方向に付勢されている。
【0051】
爪支持体45の基端部に設けた基体73と、爪支持体45を内嵌保持する支持具47の筒部47aとの間には、爪支持体45を後退させる方向に付勢するコイルスプリング74が介装されており、爪支持体45の前端部には爪取付具75が嵌合固定されている。この爪取付具75に一対の苗取出爪41の基部がそれぞれ軸76を介して枢支されており、一対の苗取出爪41は爪取付具75に対して先端が遠近移動するように揺動可能になっている。
【0052】
支持具47の下端部には、押出リンク77がピン78を介して回動自在に枢結されている。この押出リンク77の先端部には長溝79が形成され、爪取付具75の突出腕に設けたピン80と係合されている。押出リンク77には、クランク57のクランクピン58と当接可能な略円弧状のカム板81が設けられている。前記爪支持体45・基体73及び爪取付具75には、前記爪案内体46が長手方向摺動自在に挿入され、該爪案内体46は丸棒等で形成されていて、その前端に苗取出爪41を挿通案内する案内孔を備えた案内部82が設けられ、後端に側面視L字状の作動部材83が装着され、中途部に止め具84が固着され、この止め具84と基体73との間にコイルスプリング85が圧縮状に嵌装されている。
【0053】
前記支持具47には作動片86が枢支され、スプリングによって図5で時計方向に付勢されており、この作動片86は1本の足と両腕とを有する略T字形状であり、一方の腕にはロック部86aが、他方の腕には解除部86bが、足には押動部86cが形成されている。前記爪案内体46に固着の作動部材83は爪案内体46と平行な部分を有し、この平行部分は支持具47によって回り止め状態で摺動が案内されており、その摺動面に突出した前記作動片86のロック部86aと係合して、爪案内体46の突出方向の移動が規制されている。
【0054】
前記爪支持体45の後端の基体73にはロックアーム87が枢支されており、このロックアーム87はスプリングによって図5で時計方向に付勢されており、先端部に支持具47の係合部88と係合可能な鉤部89が形成されている。前記構成において、図5に示す状態から、入力軸51が反時計方向に回転すると、クランク57が同行回転してクランクピン58に嵌合されたローラ63がカム板81を押動して押出リンク77が苗トレイT側へと揺動され、これによって、図5に示すように、支持具47に対して爪取付具75及び爪支持体45が苗トレイT側へ向けて押動され、コイルスプリング74,85を圧縮する。これにより、苗取出爪41は突出して苗Sのブロック土を突き刺し、かつ爪支持体45が後退するための復元力が保有されることになる。
【0055】
尚、苗取出爪41が突出して苗Sのブロック土を突き刺す際にあっては、苗取出爪41が案内部82の案内孔に規制されて、左右の苗取出爪41の先端間距離が狭められながら該苗取出爪41がブロック土に突き刺されるように構成されている。また、爪支持体45は突出した状態でロックアーム87の鉤部89が支持具47の係合部88と係合することによりその状態が保持され、揺動アーム60及び案内板69は揺動しない。
【0056】
この状態から、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、ローラ63が揺動アーム60の溝カム62内を摺動することで揺動アーム60が揺動軸61廻りに苗トレイTから離反する方向に揺動して、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTに対して後退し、苗Sのブロック土がポット部Pから取り出される。
【0057】
その後、さらに入力軸51が反時計方向に回転すると、爪支持体45,爪案内体46及び支持具47と共に苗取出爪41が苗トレイTから離反する方向に移動すると共に、ローラ67がカム溝70の前上がり状部分を摺動して、苗取出爪41等が略下向き姿勢に変更し、苗Sを下向き姿勢にすると共に、苗Sを苗植付具42の前部上方に位置させる。
【0058】
そして、苗取出爪41が略下向き姿勢にされた状態に移動してきたときに作動片86の押動部86cが支持部材65に位置調節自在に設けたロック解除部材と当接する。作動片86が回動されると、まず作動片86のロック部86aによる作動部材83に対するロックが解除され、スプリング85の付勢力により爪案内体46が突出して、苗取出爪41に保持されている苗Sを苗取出爪41から押し出し離脱させ、苗植付具42に上方から落下投入する。その後にさらに作動片86が回動すると、解除部86bによりロックアーム87を押し上げて鉤部89と係合部88との係合が解除され、コイルスプリング74の付勢力により爪案内体46を伴って爪支持体45が後退する。
【0059】
その後は、入力軸51の、図5の反時計方向の回転によって、図5に示す状態に移動し、前記作動を繰り返す。苗トレイ移動装置40は、苗トレイTを載置する苗載台90を備えており、この苗載台90は、左右方向に配置された上下一対の案内レール91a・91bに左右方向移動自在に支持されている。この上案内レール91aは、メインフレーム14の後端に固着された横フレーム92と左右上連結体93にて連結支持されており、下案内レール91bは、第二植付伝動ケース32と支持体49と各々左右連結体94にて連結支持されている。そして、上下一対の案内レール91a・91bは、その左右端を左右縱フレーム95にて連結しており、平面視で矩形状の強度の強いフレーム構成になっている。
【0060】
また、苗載台90は苗トレイTの底部を横一列のポット部Pに亘って支持する載置板96を有し(従って、この載置板96の上面が苗トレイTを載置支持する載置面96aとされている)、この載置板96は左右方向に対向配置された一対の側板97間に配置されていて、載置板96の左右端部が左右側板97の対向面(左右方向内面)に固定されている。
【0061】
左右側板97間下部には、縦移動駆動軸98が左右方向に配置されて設けられており、左右側板97間上部には、縦移動従動軸99が左右方向に配置されて設けられており、駆動軸98には左右一対の駆動スプロケット100が固定され、従動軸99には左右一対の従動スプロケット101が固定されている。また、駆動スプロケット100と従動スプロケット101との間には、これらに亘ってエンドレスチェーン102が掛装され、このチェーン102には、苗トレイTの縦方向(上下方向)のポット部P間の間隙に係合する搬送ピン103が左右方向内方突出状に取付けられている。したがって、駆動軸98が、図9に矢示Aで示す方向に回動駆動することによって苗トレイTが搬送ピン103によって押動されて縦移動可能とされている。尚、左右の側板97は前記縦移動駆動軸98や従動軸99以外に他の連結部材によって連結されている。
【0062】
この苗トレイ移動装置40には、苗トレイTの縦横の寸法が同じで且つポット部Pの開口の大きさは異なるがポット部Pの開口間の間隔が略同じ(即ち、縦横の配列方向のポット部Pの中心間のピッチ及びポット部Pの数の異なる)2種類の苗トレイTが装着されるようになっており、従って、前記搬送ピン103は、ポット部P間の各々に係合するように設けられるのではなく、2種類の苗トレイTの縦方向のポット部P間の間隙が縦方向に関して一致する位置に設けられる。
【0063】
苗載台90の載置板96の上端部には、樹脂材にてスノコ状に形成した平板よりなる延長苗載部300が回動自在に設けられている。即ち、載置板96の上端部に設けた回動支点軸301に延長苗載部300の基部が回動自在に装着されており、載置板96の苗トレイTを載置する載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1と載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2とに姿勢変更自在に設けられている。そして、この延長苗載部300に一体に設けたアーム302と後述の(苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする)植付昇降レバー203とを操作ワイヤ303にて連結し、機体旋回の為に植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように連係している。
【0064】
304は苗載台90の載置板96の上端部の左右両側に各々設けた左右トレイ受け具であって、載置板96の上端部の左右両側位置で各々上方に延びて内側に折れ曲がった形状をしており、この内側に折れ曲がった部分で苗トレイTの左右両側の苗が無い側部上面を支持できる構成となっている。即ち、延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更した時に、左右トレイ受け具304が苗トレイTの左右両側部を支えて、苗トレイTが前方に倒れたり折れ曲がったりして苗が損傷することを防止する。
【0065】
305は延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を規制する調節ボルトであって、該調節ボルト305の先端が延長苗載部300に一体に設けたアーム302と接当することによって、延長苗載部300の前方傾斜状態Z2の角度を規制する。即ち、調節ボルト305をアーム302側に突出させるほど、延長苗載部300の前方傾斜状態Z2に姿勢変更した時に調節ボルト305の先端がアーム302に接当するのが早くなり、前方傾斜状態の角度が小さくなる。柔らかい素材で形成された苗トレイTの場合は、延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を大きくすると、苗トレイTが前方に折れ曲がってしまい苗を傷めるので、調節ボルト305を調節して、延長苗載部300の前方傾斜状態の角度を小さくする。
【0066】
上記のように機体の旋回時に植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するから、操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をする作業者の方に向かって延びている延長苗載部300が前方に向けて自動的に姿勢変更する為、作業者は延長苗載部300が邪魔にならず作業性良く旋回作業が行なえる。
【0067】
尚、上記実施例では、植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると、操作ワイヤ303を介して延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように連係した例を示したが、操縦ハンドル6の基部に歪センサを設けて、機体旋回時に作業者が操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をすると、該歪センサがこの機体後部を押し下げて機体の旋回操作を行なうことにより歪を検出し、該検出に基づいて電動モータにて延長苗載部300を載置板96の載置面96aの延長線上に位置する傾斜状態Z1から載置面96aの延長線から前方に折れ曲がった前方傾斜状態Z2に姿勢変更するように構成しても良い。
【0068】
ここで前記苗トレイTの横移動機構について説明すると、苗載台90の左右両側方に配置されて左右縱フレーム95に取付支持された左右軸受部材104間に、左右側板97を貫通すると共に同ピッチで切られた左右ネジの谷部を結合した特殊ネジ(ナピヤネジ)が形成された横移動軸105が左右軸廻り回転自在に支持され、この横移動軸105には、その軸上の特殊ネジに係合するスライダ106が外嵌されている。このスライダ106は、苗載台90の載置板96の背面に設けられた左右一対の係合片107に係合されている。
【0069】
前記横移動軸105には、出力軸52から伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aを経て動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転駆動され、横移動軸105を間欠的に回転駆動すると、スライダ106が間欠的に左右方向に移動すると共に横移動軸105に形成されたネジの端部で折り返して、苗載台90が左右方向に往復移動されるようになっている。この伝動ケース108内の巻掛け伝動機構108aにて苗載台駆動系D3が構成されている。
【0070】
そして、横移動軸105は、苗取出爪41によって苗Sをポット部Pから取出す際にあっては停止されており、苗Sをポット部Pから取出した後に回転して、ポット部Pの横配列方向(左右方向)に1ピッチだけ苗載台90を移動させるように間欠回転するように構成されている。尚、選択的に使用される2種類の苗トレイTのポット部Pの横方向のピッチに対応した横移動量を選択できるように、伝動ケース50内で横移動量が切換え可能とされている。
【0071】
次に、苗トレイTの縦移動機構について説明すると、横移動軸105の左右両側には縦移動カム109が固定され、苗載台90には左右側板97間に縦移動作動軸110が回転自在に支持され、この縦移動作動軸110には、苗載台90が最左端又は最右端にまで移動したときに縦移動カム109に係合するホロワ111が左右一対備えられている。また、縦移動作動軸110はリンク112等を介して縦移動駆動軸98の左端側に設けられた縦移動手段113に連動連結されている。
【0072】
そして、苗載台90が左右の端部まで移動したときに、ホロワ111が縦移動カム109によって押されて縦移動作動軸110が回動し、リンク112を介して縦移動手段113が作動されて縦移動駆動軸98が、苗トレイTをポット部Pの縦配列方向(左右方向に直交する配列方向)にポット部Pの1ピッチだけ移送するように回動される。
【0073】
これによって、横一列のポット部Pからのソイルブロック苗Sの取出しを終えた時点で、苗トレイTがポット部Pの縦方向の間隔に相当する分縦移動されるようになっている。苗トレイTの苗Sが取り出された後の部分は、駆動スプロケット100に沿って載置板96の下面側へと折り返されるようになっており、図7及び図9に示すように、苗載台90の下部には、板材を縦移動駆動軸98の軸心を中心とする円弧状に形成されていて、苗トレイTを駆動スプロケット100に沿うように案内する案内部材114が、左右両端側及び中央部に取付固定されている。
【0074】
310は横移動軸105を駆動回転して苗載台90を左右移動させる電動モータで、操作パネル202に設けて苗供給スイッチ311を押すと、作動して横移動軸105を駆動回転して苗載台90を左右一側端(例えば、機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の位置)に向けて、案内レール91aに設けた苗載台移動端検出センサ312により苗載台90が左右一側端にまで移動したことを検出するまで移動させる。
【0075】
従って、苗載台90に苗トレイTを載せて苗移植作業を開始する際に、該苗供給スイッチ311を押すと、苗載台90は左右一側端(例えば、機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の位置)まで移動して停止するので、苗移植作業開始時に必ず苗トレイTの端の苗から苗取装置43が苗を取出すことができ、苗を無駄にすることなく、且つ、作業性良く苗移植作業が行なえる。尚、縦移動従動軸99を駆動する電動モータ313を設けており、苗供給スイッチ311を押すと電動モータ313が作動して、苗載台90に載せた苗トレイTを苗取装置43が苗を取出す位置まで下方に送るように構成している。
【0076】
また、機体旋回時に(植付昇降レバー203にて植付クラッチの切操作又は機体の上昇操作をすると)電動モータ310を作動させて、苗載台90を機体左右中心とオフセットした操縦ハンドル6と機体左右方向で反対側の端位置まで移動させ、旋回が終了すると(植付昇降レバー203にて植付クラッチの入操作又は機体の下降操作をすると)電動モータ310が作動した分だけ逆作動して苗載台90を元の位置に戻すように構成すると、機体の旋回時に操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って機体後部を押し下げて機体の旋回操作をする作業者の方に向かって延びている延長苗載部300が操縦ハンドル6と左右方向で機体の反対側に移動するので、操縦ハンドル6前方に苗載台90がなくなり、作業者は延長苗載部300が邪魔にならず作業性良く旋回作業が行なえる。
【0077】
更に、傾斜地での旋回時において、機体左右傾斜検出用の振り子25にて検出した圃場面の高い側に電動モータ310を作動させて苗載台90を移動する構成にすると、バランス良く機体の旋回が行なえて、旋回作業が容易に行なえる。
【0078】
左右両側の案内部材114には、それぞれ苗トレイTのポット部Pの底部が載置板96から離反する方向に移動する(浮き上がる)のを防止すべく苗トレイT上面の左右側縁側を押さえる押さえ部材115が設けられている。この押さえ部材115は弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成されており、基部側115aが案内部材114に取付固定され、中途部が苗トレイTの上面に接当してこれを弾圧し(単に接当するだけでもよい)、先端側は苗トレイTから離反するように構成されている。
【0079】
左右各押さえ部材115の、苗トレイT縦移動方向後方側には、苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制手段116が配置されている。この規制手段116は、弾性変形自在な鋼棒材を折曲して形成され、中途部が苗トレイTの上面左右側縁側に接当する押さえ部116aとされ、一端側が押さえ部116aを苗トレイT側に弾圧させるように側板97に取り付けられる取付部116bとされ、他端側がアーチ状に形成されたつまみ部116cとされている。
【0080】
前記取付部116bは、ボルト93によって側板97に回動自在に取り付けられており、押さえ部116aが苗トレイTの載置面96aから離反する方向の移動を規制する規制姿勢(図9乃至図12に実線で示す)から、つまみ部116cを把持して押さえ部116aを引き上げると共に取付部116b廻りに規制手段116を左右方向外方に回動させることで、苗トレイTが載置板96上に垂直方向から載置可能とされる退避姿勢(図12に仮想線で示す)へと、規制手段116が姿勢変更自在とされている。
【0081】
前記苗載台90の載置板96には、右側(左側でもよい)の規制手段116の近傍に位置して苗トレイTの通過を検出する検出手段117が設けられている。この検出手段117は、苗トレイTの右端側のポット部Pの底部に接当する接当部材118と、この接当部材118をポット部P側へと付勢する付勢部材119と、マイクロスイッチ等の接触センサ120とから構成されている。
【0082】
接当部材118は、苗トレイ縦移動方向後方側が載置板96の下面側に固定された支持部材121に支軸122を介して左右軸廻りに回動自在に支持されていて、載置板96に形成した開口部123を介して載置板96の載置面96a側に出退自在に突出可能とされている。また、接当部材118には載置板96の下面に接当して、接当部材118の突出方向(開口部123から苗トレイT側に突出する方向)の回動を規制するストッパ124が固定されて設けられている。
【0083】
付勢部材119は、バネ板等から形成されており、苗トレイ縦移動方向後方側が支持部材121に固定され、苗トレイ縦移動方向前方側が接当部材118の下面に接当しており、その弾性力によって接当部材118を突出方向に付勢している。接触センサ120は支持部材121に取付固定されており、その接触子120aが付勢部材119の中途部に接触している。
【0084】
従って、接当部材118は、図9に仮想線で示すように苗トレイTが検出手段117上を通過している間は、ポット部Pによって押圧されて載置板96の下面側へと退避して、付勢手段119を介して接触センサ120の接触子120aを押圧し、苗トレイTの存在を検出する。そして、図9に実線で示すように、苗トレイTが検出手段117上を通過すると、最後部のポット部Pが接当部材118から離反し、付勢部材119によって接当部材118が載置面96a側に突出すると共に、接触センサ120の接触子120aの押圧が解除されて、苗トレイTが検出手段117から離反したこと、すなわち苗トレイTの通過を検出する。
【0085】
尚、検出手段117が苗トレイTの通過を検出すると、その検出信号によって、ブザー、ランプ等からなる報知手段が作動され、苗トレイTを補給しなければならないことを作業者に報せる。また、図例では(図9)、ポット部Pの縦配列方向の後から2つ目のポット部Pが、苗取出爪41による苗取出し位置にきたときに、検出手段117が苗トレイTの通過を検出し、苗トレイTを補給するようになっているが、これよりもポット部Pの縦配列方向後方側で苗トレイTの通過を検出するようにしてもよい。
【0086】
作業者は苗トレイTが検出手段117を通過したことが報知手段の作動にて分かると、左右の規制手段116を退避姿勢に姿勢変更させて、苗トレイTを載置板96上に載置補給した後、左右の規制手段116を規制姿勢にもどす。前記のように、検出手段117は規制手段116の近傍に設けられているので、苗トレイTの浮き上がりによる検出手段117の誤作動が防止できる。従って、検出手段117を設ける場所は、規制手段117によって苗トレイTの浮き上がりを規制できる範囲内であれば、どこでもよい。
【0087】
尚、規制手段116は、苗トレイTの上面左右側縁側を押圧しなくても、接当させるだけで苗トレイTの浮き上がりを規制するようにしてもよく、また、接当部材118を苗トレイTの上壁(ポット部Pの開口縁を連結する部分)下面に接当させるようにしてもよい。また、検出手段117としては、マイクロスイッチ又はリミットスイッチ等の接触センサの接触子を直接苗トレイT又は接当部材118に接当させるようにしてもよい。
【0088】
ここで、入力軸51からの動力伝達機構及び苗トレイTの横移動機構の横移動量の切換え機構について説明する。図13乃至図15に示すように、入力軸51には欠歯歯車125がスプライン嵌合され、また、伝動ケース50内には、入力軸51及び出力軸52と平行に配置されて軸心廻りに回転自在に支持された中間軸126が設けられ、この中間軸126には、前記欠歯歯車125に噛合する伝動歯車127がスプライン嵌合されていて、入力軸51から中間軸126に間欠的に動力が伝達され、該中間軸126が間欠回転する。
【0089】
また、中間軸126には、軸心方向に間隔をおいて配置された第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129とが中間軸の軸心廻りに相対回転自在に外嵌され、一方、出力軸52には、第1横移動駆動歯車128に噛合する第1横移動従動歯車130と、第2横移動駆動歯車129に噛合する第2横移動従動歯車131とが一体回転自在に外嵌されている。
【0090】
また、中間軸126には、これら第1横移動駆動歯車128と第2横移動駆動歯車129との間にスプライン嵌合されていて、中間軸126と一体回転自在で且つ軸心方向移動自在とされたシフタ132が設けられている。このシフタ132には、第1横移動駆動歯車128に形成された第1噛合歯133に噛合する第1係合歯134が設けられると共に、第2横移動駆動歯車129に形成された第2噛合歯135に噛合する第2係合歯136が設けられている。
【0091】
従って、シフタ132を軸心方向に移動させて第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させると、第1横移動駆動歯車128、シフタ132、第1横移動従動歯車130を介して動力が伝達され、また、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させると、第2横移動駆動歯車129、シフタ132、第2横移動従動歯車131を介して動力が伝達されて、出力軸52が間欠回転され、前述したように、この出力軸52から横移動軸105に動力が伝達されて、該横移動軸105が間欠的に回転される。
【0092】
そして、第1横移動駆動歯車128と第1横移動従動歯車130との回転比は、第2横移動駆動歯車129と第2横移動従動歯車131との回転比よりも大きくて、ポット部Pのピッチの異なる2種類の苗トレイTに対応して、該苗トレイTの横移動量が2段階に切換えられるようになっている。前記伝動ケース50の上面には、横送切換レバー137が配置されると共に、伝動ケース50には、該ケース50の上壁に形成された挿通孔138に上下軸廻りに回動自在に挿通された回動軸139が設けられ、この回動軸139の下端部には、シフタ132の周溝132aに挿入されるシフトピン140が固着されており、回動軸139の軸心廻りの回動動作によってシフトピン140が回動軸139の軸心廻りに揺動してシフタ132を中間軸126の軸心方向に移動させことができるようになっている。
【0093】
回動軸139の上部は挿通孔138から突出され、その突出部分の下部側に連動プレート141の一端側が一体回動するように嵌合され、この連動プレート141の他端側には係合ピン142が固定されている。回動軸139の突出部分の中間部には、カラー143が相対回動自在に外嵌され、回動軸139の突出部分の上部はネジ軸部144とされ、そのネジ軸部144に当板145及びワッシャ146が外嵌されると共に、ナット147が螺合されている。
【0094】
カラー143には前記横移動切換えレバー137が相対回動自在に外嵌され、この横移動切換えレバー137には、バネ受け部148が一体形成されている。また、カラー143の、横移動切換えレバー137と、連動プレート141及び当板145との間には、それぞれねじりコイルバネ149が外嵌されており、これらバネ149は互いに逆方向に捩じられていると共に該バネ149の一端部は係合ピン142に、他端部は横移動切換えレバー137のバネ受け部148に掛止されている。
【0095】
従って、横移動切換えレバー137を回動軸139の軸心廻りに回動操作するとバネ149を介して連動プレート141が同行回動し、回動軸139が回動され、シフタ132が中間軸126の軸心方向に移動されることとなり、横移動切換えレバー137を図15に実線で示す位置から仮想線で示す位置に、又は仮想線で示す位置から実線で示す位置に回動操作することで、苗トレイTの横移動量の切換えがなされるように構成されている。
【0096】
また、この苗トレイTの横移動量の切換え時において、第1係合歯134が第1噛合歯133に、又は第2係合歯136が第2噛合歯135に噛み合わないと、一方のバネ149がねじられて、回動軸139及び連動レバー125等が回動しなくても横移動切換えレバー137の回動操作が許容されるようになっており、この状態において、第1又は第2噛合歯133,135が第1又は第2係合歯134,136に噛み合う位置になると、前記ねじられた一方のバネ149の付勢力によって、回動軸139及び連動レバー125等が回動し、苗トレイTの横移動量の切換えが完了する。
【0097】
従って、苗トレイTの横移動量の切換え時にあっては、横移動切換えレバー137を操作するのに、第1又は第2係合歯134,136と第1又は第2噛合歯133,135とが噛み合うように各部のタイミングを合わせる必要がなく、横移動切換えレバー137を操作するだけで、バネチャージ機能により、切換えタイミングの合った位置で自動的に切換わるように構成され、苗トレイTの横移動量の切換えの容易化が図れている。
【0098】
伝動ケース50の上部には、ネジ孔150が形成されると共に、該ネジ孔150に螺合されるノブボルト151を備えており、横送切換レバー137には、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態と、第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態とにおいて、前記ネジ孔150に一致する一対の挿通孔152が貫通形成されており、第1係合歯134を第1噛合歯133に噛合させた状態又は第2係合歯136を第2噛合歯135に噛合させた状態で、ネジ孔150にノブボルト151を螺合させることによって、横送切換レバー137を固定できるようになっている。苗植付装置5は、下端が尖ったカップ状の苗植付具42を備えている。この苗植付具42は、前側部材42aと後側部材42bとからなっており、苗植付具42の後方に位置する前側部材回動軸161Aに回動自在に支持された左右前側部材取付アーム162Aに前側部材42aが一体に取り付けられ、苗植付具42の前方に位置する後側部材回動軸161Bに回動自在に支持された左右後側部材取付アーム162Bに後側部材42bが一体に取り付けられている。よって、回動軸161A・161Bを支点にして両部材42a・42bが回動すると、苗植付具42の下部が開閉する。前側部材取付アーム162Aと後側部材取付アーム162Bに形成された長穴に遊嵌する連動ピン163によって、前側部材42aと後側部材42bは互いに連動して回動する。前側部材取付アーム162Aの脚部162aAと後側部材取付アーム162Bの脚部162aBとの間に、前側部材42a及び後側部材42bを閉じる側に付勢するスプリング164が張設されている。この苗植付具42は、下記の作動機構によって所定の動作を行う。
【0099】
第二植付伝動ケース32から上方に突出する支持部33aに後リンク支持アーム167Aが回動自在に取り付けられ、その支持アーム167Aに基部が枢着された後リンク168Aの後端に前側部材回動軸161Aが連結されている。後リンク168Aの中間部には、第二植付伝動ケース32の後端部に設けた後リンク駆動アーム169Aが連結されている。また、植付部ミッションケース30に前リンク支持アーム167Bが回動自在に取り付けられ、その支持アームに基部が枢着された前リンク168Bの後端に後側部材回動軸161Bが連結されている。前リンク168Bの中間部には、第一植付伝動ケース31の後端部に設けた前リンク駆動アーム169Bが連結されている。両駆動アーム169A・169Bが駆動回転すると、後リンク168A及び前リンク168Bが基部の位置を前後に変動させつつ上下に揺動し、苗植付具42が一定姿勢のまま上下動する。
【0100】
後リンク168Aの基部には開閉アーム171が回動自在に取り付けられ、その開閉アーム171の先端部と前側部材取付アーム162Aとが開閉ロッド172で連結されている。また、後リンク168Aの中間部には後リンク駆動アーム169Aと一体に回転する開閉カム173が取り付けられている。この開閉カムのカムフォロアとしてのローラ174が開閉アーム171に設けられている。苗植付具42が下死点付近にある位置から上昇する行程で、開閉カム173がローラ174に係合するようになっている。開閉カム173がローラ174に係合すると、開閉ロッド172が引かれ、前側部材42aと後側部材42bが互いに連動して回動し、苗植付具42が開く。開閉カム173がローラ174に係合しない時は、スプリング164の張力によって苗植付具42が閉じている。
【0101】
苗植付具42が上死点にある時に、苗供給装置4により苗が落下供給される。供給された苗は、前側部材回動軸161Aと後側部材回動軸161Bに取り付けられている筒状の苗案内176を通って苗植付具内に導かれる。苗を保持した苗植付具42が下降し、下死点では苗植付具42の下部が畝の表土部に突き刺さり、苗移植用穴を形成する。これとほぼ同期して苗植付具42が開き、保持していた苗を上記苗移植用穴の中に開放する。そのまま苗植付具42が上昇し、上死点付近まで上昇すると苗植付具42が閉じる。
【0102】
尚、苗植付具42の苗植付性能を維持する為に、苗植付具42が圃場に苗を植付けて上昇する過程で苗植付具42の外周面及び内周面にゴム材等よりなるスクレパーを摺接させて、苗植付具42に付着した泥土を落とす構成が知られている。この苗植付具42の内周面に摺接するスクレーパは、苗植付具42が開いて上昇している過程で苗植付具42内にスクレーパが入り苗植付具42の上昇により苗植付具42の内周面の泥土を落とす構成であるが、苗植付具42内にスクレーパが入った直後に苗植付具42を少し閉じる構成にするとスクレーパーの苗植付具42内周面に摺接する抵抗が大きくなって良く泥土を落とすことができる。
【0103】
177は筒状の固定苗案内であって、前記下案内レール91bの前側に固定アーム178にて前に傾斜した姿勢で固定されており、前記苗取出爪41が苗トレイTから取出し苗Sを苗植付具42に上方から落下投入する際に、該苗Sを苗植付具42の苗案内176まで案内する為に設けられている。この固定苗案内177の前に傾斜した姿勢は、苗取出爪41から苗Sを爪案内体46が突出して押し出し離脱させる方向と同じ方向に傾斜してあり、苗取出爪41下方にある苗植付具42に上方から確実に苗を落下投入することができると共に、苗取出爪41から押し出されて離脱した苗Sの姿勢もこの前に傾斜した姿勢の固定苗案内177にて安定した状態で苗植付具42に落下投入され、苗の植付姿勢がとても良い。また、固定苗案内177は苗載台90を左右移動自在に支持する下案内レール91bに固定されているので、苗載台90上の苗トレイTと固定苗案内177との位置関係は、常に一定であり、苗取出爪41にて苗トレイTから取出し苗Sは確実に固定苗案内177内に安定して落下投入され、更に、苗の植付姿勢が安定する。
【0104】
苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪180が配置されている。該左右鎮圧輪180は、メインフレーム14の前後中間部に固着した支持枠に上下に揺動自在に支持された揺動フレーム187の中途部に回転自在に装着されている。そして、該揺動フレーム187の後端部の左右中央位置より上方に向けてロッド188が延設されており、該ロッド188の上端部は、メインフレーム14の後端部に基部が固設された支持アーム189の貫通孔189aを貫通して支持されている。そして、ロッド188には錘190が貫通して設けられており、この錘190の個数を調節することにより、左右鎮圧輪180の鎮圧荷重が調節できるようになっている。尚、191はヘアピンであって、ロッド188が支持アーム189の貫通孔189aから抜けるのを防止するものである。
【0105】
この左右鎮圧輪180は、下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、機体の進行に伴って畝面を転動し、苗が植付けられた後の苗移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧するようになっている。
【0106】
また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル202が設けられ、該操作パネル202に、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作と機体の昇降操作をする植付昇降レバー203、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー204等が設けられている。図中の符号205は苗の植付間隔を調節する株間調節レバーである。
【0107】
一方、左グリップ6aの内方端部に苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作する植付昇降スイッチSAを設け、右グリップ6aの内方端部にメインクラッチの入・切操作をするメインクラッチスイッチSMを設ければ、作業者は左右グリップ6aを握って機体の操向操作を行いながら、苗供給装置4及び苗植付装置5へ伝動する植付クラッチの入・切操作やメインクラッチの入・切操作を該植付昇降スイッチSAやメインクラッチスイッチSMを操作して行なうことができて操作性が良い。更に、左右グリップ6aの内方端部に各々左右サイドクラッチを操作する左右サイドクラッチスイッチSCを設ければ更に、作業性が良い。
【0108】
360は作業者や苗供給装置4・苗植付装置5等からなる植付部1bに対する日除けや雨避けになるルーフであって、ルーフ体360aの後部を操縦ハンドル6に基部を着脱自在に設けた後部フレーム361で支持し、ルーフ体360aの前部を左右予備苗載台36に基部を着脱自在に設けた前部フレーム362で支持して構成し、ルーフ体360aは機体側面視で前部が低くなった傾斜状に設けている。従って、該ルーフ360にて作業者や植付部1bの苗を強い陽射しや雨から守って作業性良く適切な苗移植作業が行える。また、納屋等に機体を収納する時などルーフ360が邪魔になる場合には、後部フレーム361及び前部フレーム362を各々操縦ハンドル6及び左右予備苗載台36から外して、ルーフ360を機体から取り外すことが容易に行える。また、後部フレーム361上端部とルーフ体360aとの結合部には位置調節部材363が設けられており、作業者の身長に応じてルーフ角度を変更して、後部作業者が位置するルーフ体360aの高さを調節することができる構成となっている。更に、ルーフ体360aの後部で作業者の左右側方に位置する部位には、ビニールより構成された左右フード364が設けられており、作業者に対する側方からの雨や風を防ぐことができるようになっており、作業環境を良好なものとすることができて作業性が良い。
【0109】
更に、前部フレーム362の下端部362aは、苗植付具42の上部近くに配置された構成となっており、雨の日の作業で圃場の土が泥状になって苗植付具42に付着し苗の移植作業を阻害するような事態になることを、ルーフ360が受けた雨を前部フレーム362を伝わせて下端部362aから苗植付具42にかかるようにして、雨によって苗植付具42の外側に付着した泥を洗い流して防止できるようになっている。従って、雨の日でも良好な苗移植作業が行える。
【0110】
上記の野菜移植機1にて野菜の苗を圃場に移植する作業について、説明する。先ず、苗載台90に野菜苗が育苗された苗トレイTを装填する。そして、作業者は機体の後部で操縦ハンドル6の左右グリップ6aを握って右駆動走行装置2の後方の畝溝を歩きながら、メインクラッチレバー204(または、メインクラッチスイッチSM)を入操作して左右前輪3と左右駆動走行装置2を畝溝に沿わせて機体を進行させ、植付昇降レバー203(または、植付昇降スイッチSA)を操作して植付クラッチを入操作し且つ機体制御機構を制御状態にして、移植作業を行なう。この時、左右往復移動する苗載台90の苗トレイTから苗取出爪41が苗を一つずつ取出して苗植付具42へ落下投入する。そして、苗植付具42が畝に苗を植付けた後に、左右一対の鎮圧輪180がその苗の左右側部を軽く鎮圧する。
【0111】
そして、特に、上下方向に往復動して圃場に苗を植付ける苗植付装置5と苗載台90から苗を取出して下方に位置する苗植付装置5に移送する苗取装置43とを装備した苗移植機において、苗植付装置5への植付駆動伝動系D1を機体の左側方に配置すると共に、苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を機体の右側方に配置した苗移植機としたので、植付駆動伝動系D1と苗取出し駆動伝動系D2とが機体の左右両側に振り分けて配設され、苗植付装置5と苗取装置43との駆動伝動系が合理的で簡潔な構成となり、小型でコンパクトな構成となって、機械の操縦及び操作性(機体の取扱い性)が非常に良くて、能率の良い良好な苗の移植作業が行なえる。また、小型の機体構成であるから、その収納保管場所も狭くて良く優れている。
【0112】
また、側面視において、植付部ミッションケース30は連結フレーム13から後方上向きに設けられ、且つ第一植付伝動ケース31は植付部ミッションケース30の上端部から後方下向きに設けられ、且つ第二植付伝動ケース32は第一植付伝動ケース31の下端部から水平方向に設けられているので、機体の前後長を必要以上に長くすることなく、第二植付伝動ケース32の下側に前記天秤杆22が移動するためのスペースを確保することができ、機体の前後長を短くした非常にコンパクトで簡潔な構成となっている。
【0113】
更に、植付部ミッションケース30の左側方に機体前後方向に配置した第一植付伝動ケース31と第二植付伝動ケース32とにて苗植付装置5への植付駆動伝動系D1を構成すると共に、植付部ミッションケース30の右側方に苗取装置43の伝動ケース50へ動力を伝動する伝動部を配置して苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を構成したので、植付部ミッションケース30から苗植付装置5と苗取装置43との駆動伝動構成を植付部ミッションケース30を母体にして簡潔に構成できる。
【0114】
更に、苗載台90から苗を取出す苗取装置43への苗取出し駆動伝動系D2を機体の右側方に配置すると共に、該苗取出し駆動伝動系D2から苗載台90を左右動する苗載台駆動系D3を設け、該苗載台駆動系D3を苗取出し駆動伝動系D2と同じ右側に配置した苗移植機としたので、関連のある苗取装置43の駆動伝動系と苗載台90を左右動する駆動伝動系が直列状となり、苗取装置43と苗載台90との駆動伝動が簡潔で安定したものとなり、苗載台90から苗取装置43が確実に苗を取出すことができ、苗の植付性能が良い。
【0115】
370は灌水装置であって、エンジン9後方のメインフレーム14上に基部を溶接固定した水タンク支持枠371に樹脂製の水タンク372を載置し、植付部ミッションケース30の上部前側に植付部ミッションケース30からの動力で駆動される灌水用ポンプ373を設けている。そして、該灌水用ポンプ373は、水タンク372から給水パイプ374にて水を吸い上げて、送水パイプ375にて苗植付装置5の苗植付具42内に水を供給する構成となっている。また、苗植付具42が畝に突入して開いて苗を開放した直後に、灌水用ポンプ373が苗植付具42内に水を供給する構成となっており、畝に植付けた苗に対して適切に灌水できると共に、植付後の苗植付具42内に付着している泥土を洗い流す作用もある。
【0116】
そして、水タンク372は、エンジン9後方の比較的に低い位置で機体の前後方向の中央部(機体の重心位置近傍)に載置された構成となっているので、水タンク37内の水の量が変動しても、機体の前後バランスや左右バランスに影響を及ぼすことが少なくて、走行性能が安定し、良好な苗移植作業が行える。
【0117】
また、畝上面を検出する上下制御用センサ26の畝に接当する底面に水分センサを設けて、該水分センサの畝水分量の検出に応じて、制御装置CPUにて灌水用ポンプ373の駆動を制御して、畝水分が多い場合は上記の灌水装置370の作動を停止し、畝水分が少ない場合は上記の灌水装置370を作動するように構成すれば、圃場に適した灌水作業と苗移植作業が効率よく且つ適切に行える。また、該水分センサの畝水分量の検出に応じて、制御装置CPUにて灌水用ポンプ373の駆動を制御して、畝水分が適切になるように灌水用ポンプ373の灌水量を制御する構成としても良い。
【0118】
一方、送水パイプ375の先端を苗植付具42から外して、灌水用ポンプ373を連続駆動に切替えて、送水パイプ375にて水を散水できる構成すれば、該送水パイプ375にて作業後に車輪3・2a等を洗うことができ、圃場外に圃場の泥土をまき散らすことを防止できて周囲の環境を保全することができる。尚、灌水用ポンプ373に装着した別の長い散水パイプを機体に装備しておき、灌水用ポンプ373の送水を該散水パイプ側に切替えて、該散水パイプにて車輪2・3a等を洗う構成としても良い。
【0119】
次に、図19及び図20に示す他の例について、説明する。
左右駆動ケース381の前部を走行部ミッションケース7の左右側面から突出する左右筒部380に各々固定し、左右駆動ケース381の後部をメインフレーム14に固定し、該左右駆動ケース381の前部と後部に左右前車輪駆動ケース382Fと左右後車輪駆動ケース382Rを各々設けた構成とし、走行部ミッションケース7から左右筒部380を介して左右前車輪駆動ケース382F内に駆動軸にて駆動力を伝達し、更に、左右前車輪駆動ケース382F部から左右駆動ケース381内の駆動伝動チェーンにて左右後車輪駆動ケース382Rに駆動力を伝達する構成としている。
【0120】
そして、左右前車輪駆動ケース382Fから下方に向けて上下方向に上下方向に進出及び退入自在に左右前伸縮駆動軸383Fを各々突出して設け、左右前可動ケース384F内に左右前伸縮駆動軸383Fにて各々動力を伝達する構成とし、該左右前可動ケース384Fは上端が左右駆動ケース381に各々固着された左右前電動シリンダー385Fから下方に向けて左右前伸縮駆動軸383Fと各々平行に設けた左右前ピストン386F(左右前ピストン386Fは、左右前電動シリンダー385Fにて上下方向に進出及び退入する)の下端と固着している。そして、左右前可動ケース384Fに各々左右駆動前輪3を軸架して駆動する構成となっている。従って、左右前電動シリンダー385Fを各々作動させて左右前ピストン386Fを上下方向に進出及び退入させることによって、左右駆動前輪3を各々上下動することができる構成となっている。
【0121】
また、左右後車輪駆動ケース382Rから下方に向けて上下方向に上下方向に進出及び退入自在に左右後伸縮駆動軸383Rを各々突出して設け、左右後可動ケース384R内に左右後伸縮駆動軸383Rにて各々動力を伝達する構成とし、該左右後可動ケース384Rは上端が左右駆動ケース381に各々固着された左右後電動シリンダー385Rから下方に向けて左右後伸縮駆動軸383Rと各々平行に設けた左右後ピストン386R(左右後ピストン386Rは、左右後電動シリンダー385Rにて上下方向に進出及び退入する)の下端と固着している。そして、左右後可動ケース384Rに各々左右駆動後輪2を軸架して駆動する構成となっている。従って、左右後電動シリンダー385Rを各々作動させて左右後ピストン386Rを上下方向に進出及び退入させることによって、左右駆動後輪2を各々上下動することができる構成となっている。
【0122】
そして、左右駆動前輪3は走行部ミッションケース7の左右側方位置で接地し、左右駆動後輪2は苗供給装置4の左右側方位置で接地するように配置されているので、機体の前後バランスが最適な状態で走行することができて良好な苗移植作業が行える。
【0123】
走行部1aには機体に対し左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2を各々上下動させて機体位置を制御する機体制御機構Y’が設けられている。この機体制御機構Y’は、上記左右前電動シリンダー385F、左右後電動シリンダー385R、機体の左右傾斜を検出する振り子式センサ25、畝上面を検出する上下制御用センサ26、及び振り子式センサ25の機体左右傾斜検出又は上下制御用センサ26の畝上面位置検出にて左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを制御作動させる制御装置CPUにて構成されている。
【0124】
ここで機体制御機構Y’の作動について説明すると、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、その上回動を上動センサUSが検出し、下回動を下動センサDSが検出する。即ち、畝が高くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを全て作動させて左右前ピストン386F及び左右後ピストン386Rが全て同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2が全て同量だけ下動する。この全車輪2・3の下動は、上下制御用センサ26が上回動して上動センサUSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。逆に、畝が低くなる方向に変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを全て作動させて左右前ピストン386F及び左右後ピストン386Rが全て同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2が全て同量だけ上動する。この全車輪2・3の上動は、上下制御用センサ26が下回動して下動センサDSがそれを検出している間作動し、畝の上面から機体までの高さが一定になるように機体を上昇制御する。このようにして、畝の高さが変動して畝上面に接当している上下制御用センサ26が上下回動すると、上下制御用センサ26の角度が元に戻る方向に制御装置CPUが左右前電動シリンダー385F及び左右後電動シリンダー385Rを作動させる。これにより、畝の上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さの変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0125】
尚、上記上下制御用センサ26はメイフレーム14に左側が軸支された回動軸194に後端部が固着され先端が前方に向けて延設されたアーム195に軸196にて回動自在に軸支されている。そして、回動軸194は植付深さ調節レバー197の基部が連繋されており、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に係合係止して固定状態にすると、回動軸194は回動が固定され、従って、アーム195の軸196は上下高さが固定されるので、上下制御用センサ26は畝上面に摺接しながらその軸196回りに回動して、上記のように畝の高さ変更に係わらず常に苗の植付深さが一定になるように制御される。そして、植付深さ調節レバー197を係合案内198の調節係合部に対して位置調節して係合係止して固定状態にすることにより、アーム195の軸196の上下高さ位置を調節できるので、畝に対する機体高さを制御する基準位置を自由に設定できるので、苗の植付深さが調節できる。
【0126】
また、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾くと、機体の左右傾斜により振り子式センサ25が左右に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出し、右揺動を右傾斜センサRSが検出する。即ち、機体の左側が低くなるように左傾斜すると振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが左前電動シリンダー385F及び左後電動シリンダー385Rを共に作動させて左前ピストン386F及び左後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左駆動前輪3及び左駆動後輪2が同量だけ下動する。この左駆動前輪3及び左駆動後輪2の下動は、振り子式センサ25が左に揺動し、その左揺動を左傾斜センサLSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。逆に、機体の右側が低くなるように右傾斜すると振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出すると、その検出出力が制御装置CPUに入力され、制御装置CPUが右前電動シリンダー385F及び右後電動シリンダー385Rを共に作動させて右前ピストン386F及び右後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、右駆動前輪3及び右駆動後輪2が同量だけ下動する。この右駆動前輪3及び右駆動後輪2の下動は、振り子式センサ25が右に揺動し、その右揺動を右傾斜センサRSが検出している間作動し、機体が左右水平状態になるまで制御する。このようにして、圃場が機体進行方向に対して左右に傾斜して機体が左右方向に傾いて振り子式センサ25が左右に揺動すると、振り子式センサ25が元に戻る方向に制御装置CPUが左又は右前電動シリンダー385F及び後電動シリンダー385Rを作動させる。これにより、機体を水平状態に維持するように制御し、常に適切な苗の植付けが行われるように制御され、植付後の苗の成育が良い。
【0127】
左右グリップ6aの前下側には各々2段階に握り操作できる左右サイドクラッチレバー201が設けられている。左右サイドクラッチレバー201を1段握り操作すると、握った側の駆動前輪3のみの駆動が切れて(握った側の駆動後輪2は駆動された状態のままである)、握った側の方向へ機体を微調節での操向操作が行える。圃場での苗移植作業時の畝に沿った機体操向操作では、この左右サイドクラッチレバー201の1段だけの握り操作で機体を微調節で畝に沿うように操向操作できるので、苗移植作業が容易に行えて作業性が良い。そして、左右サイドクラッチレバー201を2段握り操作すると、握った側の駆動前輪3及び駆動後輪2の駆動が共に切れて、握った側の方向へ大きく操向操作することができる。圃場での苗移植作業時に、圃場端(畝端)で機体を旋回操作する際には、この左右サイドクラッチレバー201の2段握り操作で機体を大きく操向操作できるので、機体の旋回が容易に行えて作業性が良い。
【0128】
また、左右グリップ6aの各々内方端部には、左傾斜スイッチLSWと右傾斜スイッチRSWを設けており、作業者が左グリップ6aの内方端部に設けた左傾斜スイッチLSWを左手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが左前電動シリンダー385F及び左後電動シリンダー385Rを共に作動させて左前ピストン386F及び左後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左駆動前輪3及び左駆動後輪2が同量だけ下動する。逆に、作業者が右グリップ6aの内方端部に設けた右傾斜スイッチRSWを右手で押し操作している間だけ、制御装置CPUが右前電動シリンダー385F及び右後電動シリンダー385Rを共に作動させて右前ピストン386F及び右後ピストン386Rが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、右駆動前輪3及び右駆動後輪2が同量だけ下動する。
【0129】
従って、例えば、山間地で圃場が山の傾斜面にあり、畝の左右で左右駆動前輪3及び左右駆動後輪2の接地高さが異なるような場合、どうしても機体は斜面の低い側に進行しようとするが、この時、上記の左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを操作して斜面の低い側の駆動前輪3及び駆動後輪2を下動させて機体の左右傾斜を山側に傾斜させると、機体は斜面の低い側に進もうとすることが防止されて、機体は畝に沿って走行することができ、良好な苗移植作業が行なえる。このように、圃場条件に合わせて機体の左右傾斜角度を自由に設定できて、良好な苗移植作業が行なえ且つ作業性が向上する。
【0130】
また、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた後に、再び、同じ傾斜スイッチLSW(又は、RSW)を押し操作すると、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になる。
【0131】
なお、左右傾斜スイッチLSW・RSWの何れかを押し操作して機体を左右傾斜させた状態で作業をしている時に、下記の植付昇降レバー203にて植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をすると(植付昇降レバー203が植付クラッチ切操作位置になったことをスイッチが検出した時や植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことをスイッチが検出した時)、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、機体旋回時には必ず植付クラッチを切操作するか機体を上昇操作をするので、機体旋回時に自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて旋回時の機体操向操作が容易に行えて作業効率が良い。また、主変速装置が路上走行速に変速操作された時も、制御装置CPUの手動操作制御状態が解除されて、振り子式センサ25による左右ローリング制御が行える状態になるように構成すると、路上走行時には必ず自動的に機体傾斜状態のロックが解除されて左右ローリング制御状態になるので、機体が水平に制御されて路上走行時の機体操作が容易に行えて機体操作性が良い。
【0132】
一方、機体を旋回させる場合に、何らかの旋回操作をすると、具体的には操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を機体上昇位置に操作すると、植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて左右前電動シリンダー385Fを作動させて左右前ピストン386Fが同時に下方に向けて進出する方向に伸び出して、左右駆動前輪3が最大下降位置まで下動し、同時に、左右後電動シリンダー385Rを作動させて左右後ピストン386Rが同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動後輪2が最大上昇位置まで上動するように制御する構成にすると、機体旋回時に作業者は容易に操縦ハンドル6を引き上げて機体後部を上昇させて左右駆動後輪2を上昇させて左右駆動前輪3のみを接地させて、機体の旋回操作を行える。よって、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0133】
また、機体を旋回させる場合に、何らかの旋回操作をすると、具体的には操縦ハンドル6部に設けた植付昇降レバー203を機体上昇位置に操作すると、植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことを検出する機体上昇検出スイッチUSWを設けて、該機体上昇検出スイッチUSWによる植付昇降レバー203が機体上昇操作位置になったことの検出にて、制御装置CPUにて左右前電動シリンダー385Fを作動させて左右前ピストン386Fが同時に上方に向けて退入する方向に縮小して、左右駆動前輪3が最大上昇位置まで上動するように制御する構成にすると、機体旋回時に作業者は左右駆動前輪3のみを接地させて、機体の旋回操作を容易に行える。この旋回時に、左右駆動前輪3は上昇しているので、畝に左右駆動前輪3が接当して旋回の邪魔になるようなことがなく、容易な旋回操作が行える。また、圃場の土の横押し量も少なく、安定した小回り旋回が行なえ、旋回作業が効率よく且つ容易に行なえる。
【0134】
尚、上記実施例においては、畝に移植する作業例を示したが、平らな圃場に苗を移植する場合も同様である。また、野菜苗としては、キャベツや白菜等の葉菜類の苗・大根やさつま芋等の根菜類の苗・南瓜や西瓜等の果菜類の苗が挙げられるが、他に、い草や花等の如何なる苗でも良い。
【符号の説明】
【0135】
2 左右駆動走行装置
2a 駆動後輪
3 左右前輪
5 苗植付装置
6 操縦ハンドル
42 苗植付具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右前輪(3)と左右各々複数個の駆動後輪(2a)を装備した左右駆動走行装置(2)を設け、左右各々複数個の駆動後輪(2a)が接地した状態で左右駆動走行装置(2)を上下移動自在に設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
機体側面視で左右駆動走行装置(2)の複数個の駆動後輪(2a)の略中間位置に苗植付装置(5)の苗植付具(42)にて圃場に苗を移植する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
機体後部に操縦ハンドル(6)を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置(2)の最後部の駆動後輪(2a)を上昇させる構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の苗移植機。
【請求項1】
左右前輪(3)と左右各々複数個の駆動後輪(2a)を装備した左右駆動走行装置(2)を設け、左右各々複数個の駆動後輪(2a)が接地した状態で左右駆動走行装置(2)を上下移動自在に設けたことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
機体側面視で左右駆動走行装置(2)の複数個の駆動後輪(2a)の略中間位置に苗植付装置(5)の苗植付具(42)にて圃場に苗を移植する構成としたことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
機体後部に操縦ハンドル(6)を設けると共に、機体の旋回操作に連繋して、左右駆動走行装置(2)の最後部の駆動後輪(2a)を上昇させる構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の苗移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−273617(P2010−273617A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130076(P2009−130076)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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